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迷宮災厄戦③〜森駆ける厄災の馬

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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 アリスラビリンスで発生した大規模な戦いは、数多の不思議の国を巻き込んでのものとなっていた。
 そしてこれはその内のひとつ、夕闇に支配された、森の世界での物語り。

 夕闇、木々の張り出した枝が深い闇を作り出し、地表を這うように広がる根が縦横無尽に広がって。
 まともな道という道もなく、獣道すら見当たらぬその場所に不釣合いな蹄の音。
 軍馬の如き嘶きが響けば重なり合う蹄の音色、こんな足場も悪く、見通しも立たない場所を数多の馬で進むなど正気ではない。
 だが、こんな正道から外れた行動をとるのがオブリビオン、いや。
 異形となったオウガだからであろう。
 そのオウガは馬の形をしていた、まさに悪夢といった存在。
 しかし、その形状にはひとつ、違和感を感じる点がある。
 本来の形から逸脱したもの、それは胴部から左右に伸びた、異様に長い骨の腕であったのだ。
 そう、まるで日本の妖怪、手長の腕、その骨だけが移植されたかのように不自然に伸びており。
 その腕を用い、足場の悪いこの森を走る中、体勢崩すも骨の腕で地面を、木の幹を押さえつけ、その反動で姿勢を戻し。
 強引な行軍を続け、苦痛、恐怖、悲しみといった不の感情を撒き散らすべくこの馬の集団は走っていたのだから。
 標的定まらぬ無為な行軍、されど見つけた存在には悲劇を見舞う群集団。
 その悲劇を未然に防ぐべく、猟兵達の力が必要とされていた。


「お集まりいただきありがとうございます。
 既に情報は広まっているかと思いますが、アリスラビリンスでの大規模な戦いが発生し、今回はその件についてのものです」
 集まった猟兵達を見遣り、クアド・ペントヘキシウム(バーチャルキャラクターの人形遣い・f09688)が説明を開始する。
 今回彼女が予知したのは、夕闇に支配された不気味な森、そこを進むオウガの群れを食い止め、殲滅する戦いである。
 この森は視界、足場ともに悪い状況ではあるが、今回集団で進む馬たちは長い骨の腕を胴部から左右に生やし、その腕を用いて体勢を崩そうとも持ち直し、速度をある程度維持したまま森を突き進んでいるという。
 また、通常のユーベルコードに加え、その骨の腕を振り回しての物理攻撃も一応は可能であるという。
「強引な行軍をしている、という点と。骨の腕にて姿勢を維持できている、という点がキーになります。
 もともと、最高速度で走り抜けることは難しい地形を生やした腕でなんとかしているのならそこを逆手に取りましょう。
 何らかの手段で機能不全に陥らせればあいてはその強みを失って、地形が逆に皆さんに味方します。
 もちろん、自信があるなら真正面から受け止める戦い方もあります。あるものを最大限に生かすのか、自分の力を前面に押し出してぶつかるか。
 選択肢は皆様次第、といった所です」
 敵の特性、地形を用いた戦いか、はたまた自分たちの能力を前面に押し出してぶつかるのか。
 戦い方は猟兵次第、どんな手段で挑むのかを一任させクアドは説明を終了。
 グリモアを起動させ、戦場へと猟兵を送り出すのであった。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。

 迷宮災厄戦のシナリオをお届けします。
 尚、今回のシナリオは数日まってからの作業開始ではなくプレイングが届き、作業可能な時間になれば執筆開始、納品の予定です、ご了承ください。

 今回のシナリオはギャグやコメディではなく、通常の戦闘シナリオです。
 見通し、足場が悪い森を行軍する馬の群れを駆逐してください。

 敵はイラストの外見に加え、胴部から左右に骨でできた巨大な人間の腕を生やしています。
 その腕を用いて崩れた姿勢を修正しつつ、速度をある程度維持して行軍できています。
 何らかの手段でその腕の機能を失わせれば、姿勢制御の能力を欠いて速度低下や転倒させ、優位に立ち回る事が可能となります。

 もちろん、対策なく全力で、真正面からぶつかるという選択肢もあります。
 お好きに戦ってください。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『アルプトラオム』

POW   :    劈く嘶き
命中した【悲鳴】の【ような嘶き声に宿る苦痛の記憶や感情】が【対象に伝わり想起させることでトラウマ】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    狂い駆ける
【自身を構成する恐怖の記憶や感情をばら撒く】事で【周囲に恐怖の記憶や感情を伝播させる暴れ馬】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    もがき苦しむ
攻撃が命中した対象に【自身を構成する記憶や感情から成る黒紅の靄】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【かつてのアリス達が抱いた絶望の記憶や感情】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

春霞・遙
首なしライダーの噂
ピアノ線の張られた道を高速走行した結果、その速度の力によって首を落とされてしまったとか

何で再現しましょうね。
確実に切れるとすれば【紙片鋭刃】を使用した折り紙でしょうか。
大きな折り紙で木や陸上のハードルのようなものを折り、敵オブリビオンの横幅ギリギリの間隔で配置します。
そこの間を通過してくれれば両サイドの手を切り落とすことが出来ると思いますし、直進してくるなら言わずもがな。
飛び越えてくるなら紙飛行機や手裏剣など飛び道具で攻撃します。

トラウマになるような記憶は温かい思い出ごとあいつらに食われてしまったので、そんな欠片を集めないと思い出せないようなものは後で考えます。


ドゥアン・ドゥマン
竜の大陸よりしばし。再びの戦であれば
猟兵が一騎として、先の険しかろう道を開くべく
厄災の群れの葬送を果たそうぞ

森での戦いなら。本来、野に生きる身故、多少なりとも勘が働く
入り組んだ地形も、より複雑に絡む陰影を作る筈だ

まずは囁骨釘を地に穿ち、森の念と生命力を拝借。吸収し、
オウガ達の位置と進路を探ろう
知り得た情報は猟兵方に伝え、連携を
己はその行く先の影に身を潜め、群れが通りがかればオウガを腕ごと喰らう、影のあぎとに変じよう
出来る限り変ずるを広げ、範囲攻撃をば
恐怖を撒く者には、恐怖を与え迎えよう

また、頭上の樹の枝には、所持している晶燈を吊るしておく
より鮮鋭に影を作る為と
獲物がいると装い、誘き寄せる狙いだ


八条・麻乃
私、か弱い普通の乙女なので。
戦闘とか、怖いですし、できるだけ回避しましょう。

バランスを崩すなら網を投げつけるとか。
通る場所がわかってるなら、足元にロープとか、首の高さあたりにワイヤーとか。どちらかを警戒するともう片方が刺さりますね。

あとは、ロープでバランスを崩して、咄嗟に掴むであろう木に刺や刃を仕込んで、腕の機能を漸減するとか。
時間があったら、露骨に広げた網を迂回しようとしたら別のトラップに、的な嫌がらせとかもしたいですね。

「罠を仕掛けるルートをわざと歪めて、相手の進行ルートを惑わせる」とかも敵に知能があれば効くかも?
罠は通り道に仕掛けられる、という常識が、逆に罠になるかしら、と。



 木々の合間を駆け抜け、骨の腕を振るい姿勢を戻し、速度を維持する怪馬の群れ。
 異形なる改造によって生えた骨の腕、それを用いての行軍は見るものに恐怖と嫌悪感を与えるが、されどこの視界、足場が不良の状況は薄氷の上を進むが如き危うさを持った行軍。
 ならば、その危うきバランスを突き崩すのは容易である。
「森よ、少し念と生命を拝借するぞ」
 闇の広がる森の中、地面にフック付きの鎖である囁骨釘を突き刺してドゥアン・ドゥマン(煙る猟葬・f27051)が木々からオウガの位置情報を確認。
 これまでの進路と現在位置を確認すれば、大まかな今後の移動経路は予測され。
「なるほど、北方より東方、そして南方へと弧を描くように進んでいる、か。距離はここよりまだ遠く、伏兵となるは容易。
 各々方、現在地から北北西に進めばオウガの進路と接触しよう」
 位置情報、猟兵の移動速度を勘案し、接触するタイミングを認識。
 仲間に周知すれば、他の猟兵達もそれぞれが仕掛けるべく獲物を、罠を用意して森を進軍。
 闇雲に森を進むのではなく、進路を知っての罠の設営。
 絶大な効果を発揮する、数多の仕掛けが最大効率で発揮されるには必須な敵の位置情報というものを入手した猟兵による一方的な蹂躙が今まさに始まろうとしていた。

 足場の悪き道なき道を突き進むオウガ、アルプトラオム。
 蹄の音を響かせて、強行する視線の先に揺れる灯りを認めたのはその時である。
 それがドゥアンの吊るした、囮の灯りであるにもかかわらず。全ての者に不の感情をぶちまけたいと願うオウガの欲求、そのために。
 嘶き、方向を定めて勢い増したその刹那。
「私、か弱い普通の乙女なので。
 戦闘とか、怖いですし、できるだけ回避しましょう」
 なにをもってか弱いと、普通とするのか。
 ツッコミどころが多々ある発言と共に八条・麻乃(ただの巫女・f00108)が灯りを目指し走るオウガの群れへと躊躇いなく網を投擲。
 突如広がる、進軍阻む障害物だが先頭を走るオウガは骨の腕にて受け止めつつ、更なる罠を警戒してか進路を逸らし、後続のオウガは麻乃を狙い少集団が分離、一気に距離を詰めようと走り出すがそれも想定の範囲内。
「あ、そこを進むと危ないですよっと」
 ぴょんと跳ねて後方へ、逃げる素振りを麻乃が見せれば最前線のオウガは足元のロープに引っかかり転がって。
 後ろのオウガはロープを飛び跳ね回避すれば、ちょうど走れば首を跳ねる高さに設置されていたワイヤーを回避できずに巻き込まれ、更には骨の腕にて木を掴むも後方から迫る仲間は速度を落とせず。
 結果、空中に浮いた状態のオウガと接触、複数のオウガが次々と横転し、多大な被害を受けていたのである。
 足元のロープ、中空のワイヤー。
 二種のトラップを前にして行軍停止、迂回して回ろうと試みるオウガ達。
 麻乃の追跡がままならない仲間を見てか、新たな小集団が合流し、木々の合間に広げられた網を迂回しながら麻乃を追って走り出すが更なる罠がオウガを襲ったのはその時である。
「首なしライダーの噂……。
 ピアノ線の張られた道を高速走行した結果、その速度の力によって首を落とされてしまったとか。
 そのままの罠が既に張られていましたけど、私はこれで再現しましょうかね」
 突き進むオウガの群れ、その眼前に突如生み出されたのは春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が折り紙にて生み出した陸上競技のハードルのようなもの。
 その数は大量、飛び越えて回避するか、自身の体躯、その横幅ギリギリの隙間を駆け抜けるか。
 二つの選択肢をオウガに突きつけたそれは、単なる進軍を阻む障害物にあらず。
 その縁は鋭き刃、不用意に触れれば切り裂き断ち切る危険な代物。
「さて、どう出ます? 飛び越えるか突っ込むか、どちらにせよ詰みですよ」
 既に結果は出ていると言い切って、手元で折り紙を弄び。
 飛行機や手裏剣を作りつつ挑発すれば、オウガたちは不気味な鳴声と共に突撃。
 あるものは隙間を強行、あるものはハードルを飛び越えて。
 それぞれが無理矢理に遥を打ち倒さんと突き進むが、合間を抜けたオウガはその改造された腕を根元の肉ごと切り取られ、姿勢制御能力を失った瞬間に。
 投げつけられた紙飛行機が頭部に命中、よろめき転倒すれば立ち上がれず。
 飛び越えたオウガには、空中で制御できない軌道を読んで遥の投げる手裏剣がその身を引き裂き、大きなダメージを受けながらも強引な突撃を再開。
 だが、その突撃も多重に仕掛けられた猟兵の罠の前には完全に無力となる。
「呻き、唸り、囁き」
 地の底から響くような、不気味な声が聞こえれば。
 その声はドゥアンの発したもの、そして影に潜み、機を待つ彼の体が異様に変質。
 ぐにゃりと体がゆがみ、不定形の影になったと思えばそのまま形を成していき、巨大な獣のアギトへと変ずれば。
 大きく開いたその口は強行するオウガの群れを、振り回し木々を掴まんとする骨の腕ごと飲み込んで。
 バクンと閉じればそのまま咀嚼、骨を、体を、全てを噛み砕き。
 影のアギトが姿を消せば、そこには最初から何もなかったかのように、何も残りはしなかったのだ。
「わお、あんなものがあると見せられれば、こっちの道には来ないでしょうね。
 知能があるなら回避して別のルートを通るでしょうけど……「罠を仕掛けるルートをわざと歪めて、相手の進行ルートを惑わせる」って作戦なんですよね」
 罠の存在を知らしめて、多少なりとも知恵があれば、または危険察知能力があるならば。
 危険なルートは避けて進むだろうと踏んでいる麻乃が言葉を紡ぎ、森を走る母集団を眺め見る。
 通り道に仕掛けられた罠による不意打ち、それを避けるようにして直線的な動きだった集団が、更に大きく弧を描く軌道を見せて大回りになりうるが、それも彼女の策であり仲間の猟兵が仕掛ける時間を捻出するものである。
「うーん、なんとも耳障りな嘶き声でした。まあ、トラウマになるような記憶は温かい思い出ごとあいつらに食われてしまったのでおぼろげなものしか見えませんでしたけど」
 二重三重の罠へとオウガを誘った麻乃の隣、いつの間にか合流をした遥が呟く。
 その手にあるは折り紙で出来た手裏剣、そしてひょうと投げつければ、闇に紛れ、木々の合間を縫って近づき、不意打ちしようとしていたオウガの頭部に刺さり、その生命活動を完全に停止させていた。
「此方に向かった集団は此れで終いだな。
 先遣部隊とはいえ、役目となる厄災の群れの葬送を果たせたと言えようぞ」
 そんな二人の様子を見つつ、影から姿を見せたドゥアン。
 罠のあるルートを避けて、集団が迫らず回避し離れる様子を見遣り、3人の役目は果たしたと呟いて。
 猟兵が一騎として、先の険しかろう道を開く一手を打てた事、そして残存部隊を仲間が駆逐するという確信と共に遠方で始まる更なる追撃を見守るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
速度を維持する?
ああ、であれば…私は貴方方にとって天敵となり得ます

◆行動
【暗視】を駆使して闇を見通し、【聞き耳】を立てる事で索敵を行います
加えて【空中浮遊】で足場の不利を軽減し移動を容易くします

更に【罠使い】の技能を活かし、自分の周囲一帯の木々や地面に「大量の潤滑油」を散布
私自身は地に足を付けませんので、此れに滑るのは敵だけです

以降は『反転』し迎撃
「速く動く物」が攻撃対象です
走る速度でも、転ぶ速度でもどちらでも同じ事です
【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し蹂躙します

敵の攻撃は各種耐性と球状に展開した【オーラ防御】で遮音し軽減
負傷は【生命力吸収】で回復する事で戦闘を継続


四季乃・瑠璃
緋瑪「無茶な、というか無茶苦茶な暴れ馬って感じだね~」
翡翠「人がいるトコまで来られると被害が拡大しそうで厄介だね」
瑠璃「放っておくわけにもいかないし…早急に片づけよう、2人共」

【破壊の姫君】で分身&シスターズ

3人で飛翔翼で飛行し、空中から氷属性【属性攻撃】を付与した接触式凍結ボム【範囲攻撃、蹂躙、爆撃、早業】を大量投下。
敵及び敵の進路を凍結させる事で広域攻撃で敵を凍結粉砕すると共に更に地面や木々を凍結により行動を困難にして動きを制限。
敵の動きを封じ込めたら、まとめて一気に広範囲を通常の接触式ボムで爆破粉砕したり、四苦八苦してる敵を空中からK100で銃撃する等で仕留めて行くよ。


ユヌ・パ
…なんておぞましい姿
馬はうつくしい生き物よ
あんなの、いのちに対する侮辱だわ

初めに相棒(取り憑いたオウガ)と融合して、身体能力を強化

髪の毛を複数の長い手の形にして
猿が木々を移動するみたいに
周囲の枝を掴みながら馬を追うわ

崖や、木々による行き止まり
他の馬と衝突させられそうな場所で
あえて馬の前に降り立って、引きつける
死も傷も恐れないから、ギリギリまで待ちましょう

確実に骨の腕を破壊できる至近距離で
オウガの左腕を使い馬の腕を破壊

残念だけど
あたしはイヤな記憶から先に相棒に喰わせたの
トラウマなんて残っちゃいないのよ

骨の腕を破壊したら、次は脚を折るわ
1頭倒したなら、その馬を別の馬に放り投げるわね

アドリブ連携可


ドロレス・コスタクルタ
「まさに悪夢じみた姿形ですね……あの姿に有利な点があるのも確かなのでしょうが」
気味悪く思いながら戦闘開始。

UCを使って生い茂る木々を表面はそのままで、中身だけ腐らせて骨抜きにする。敵が掴んだ時に崩れて体制を崩させる狙い。

振り回される腕の攻撃範囲に入らないようにしながら距離を取って二丁拳銃で攻撃。同時にUCの地形操作効果を使い、弾丸が敵に届くように木々や起伏のある地形を「脇にどかす」。そうやって生み出した空間を利用して二丁拳銃で撃ちまくる。

敵が接近した場合や弾倉交換の場合は今度は木々や地面を盾にして、それらを薙ぎ払っているうちに距離を取る。
「うかうかとそちらの攻撃範囲に入ると思いますか?」



「速度を維持する?
 ああ、であれば……私は貴方方にとって天敵となり得ます」
 小集団が駆逐され、罠を警戒しながら分散、進軍を続けるオウガの集団を見遣り霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が言葉を紡ぐ。
 その宣言どおり、彼女が得意とするのは数多の罠を併用した広域へ影響を与える攻撃。
 となれば、強引な行軍を続けるオウガの群れ、更に位置情報を把握し先回りが出来る状況にある今は絶対的な優位を彼女に与える事になる。
「ああ、言い忘れましたが……そのまま進むと足をとられますよ。まあ、手遅れでしょうけど」
 そんな彼女が仕掛けた罠、それは大地に広がる液体……いや、大量の潤滑油である。
 あえて姿を見せた彼女の周囲、そしてそこに至るまでの道筋にぶちまけられた油は蹄という接地面積の小さいオウガに対し絶大な効果を発揮。
 足を滑らせ、横転しかけた先頭のオウガが骨の腕を伸ばして太い木の枝を掴んだが……掴んだ瞬間、枝の皮が砕け、朽ちた木片をぶちまけて。
 姿勢制御が出来ないままにオウガが横転、更に続くオウガ達も次々と転倒し、木々に伸ばした骨の腕も、掴み、押しのけ反動を利用しての姿勢制御をねらっていくも。
 その全てが砕け、掴めず、無様に転倒するオウガの集団。
 想定していた動きが出来ず混乱、進軍止めた集団を木の上から見下ろす猟兵が一人いた。
「ナノマシンにはこういう使い方もあるのですわ」
 パチン、と指を鳴らしつつ。更にナノマシンの力を活性化させたのはドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)
 彼女が用いるナノマシンは広域へ影響を与える、腐食効果をもった存在。
 それの集団を射出し、あえてオウガそのものではなく地形である数多の木々に影響を及ぼして、内部のみを彼女は腐食、強度を奪い。
 オウガが生やす骨の腕、それを持って姿勢制御を狙う行動を阻害する方に力を用いていたのである。
 足元の潤滑油、姿勢制御をしようにも木々が腐食し掴めずに。
 せっかくの骨の腕も生かせずに、転げもがくオウガ達。
 その中でも何とか、骨の腕を地面に突き刺し支柱とする事で何体かのオウガが強引に立ち上がる。
「まさに悪夢じみた姿形ですね……あの姿に有利な点があるのも確かなのでしょうが」
 無茶苦茶な動き方、再起動の方法を見つつ、嫌悪感を隠さずドロレスが言葉を紡ぐ。
 潤滑油により足元不良、そして姿勢制御の為に用いる木々も腐食しまともに利用できない状況だが、それでもまだ攻撃の手段はあると、体を悶えさせ、黒き靄を身に纏い。
 骨の腕をアンカーに見立て、腐食した木の根と地面に突き刺し体を浮かべ、骨の腕にて行軍を再開したのである。
「まったく、無茶苦茶ですね。足元が使えないなら、あるものを使って感情をぶつけにかかる、なんて」
 全てのオウガが骨の腕にて体を浮かべ、馬の体をくねらせて。
 無茶苦茶な進軍を再開した、その不気味な光景に眉を顰めてドロレスが後退、その手に握るは左右両手に装備した大型拳銃。
 彼女が銃口を敵に向ければ、それに応じて腐食し、意のままに操れる木々達が形を変えて射線を生み出し。
 ぽっかり開いた何も無き空間目掛け、躊躇無く引き金を引いていく。
 夕闇に支配された森の中、激しい閃光が幾つも走ればそれと同時に鳴り響き、重なり合う数多の轟音。
 うめき声と共に体躯を地面に投げ出して、のた打ち回る多数のオウガ。そしてその犠牲を見ても尚、進軍をやめず開けた空間に飛び込もうとする者も存在するが。
「うかうかとそちらの攻撃範囲に入ると思いますか?」
 ドロレスが不敵に笑い、体を捻ればその瞬間。
 彼女の望むがままに木々が動き、生み出された空間は再び木々が立ち並び視界を塞ぐ。
 そこへぶつかるオウガ達、その間にドロレスは空になった弾倉をマガジンリリースボタンを操作し地面に落とせば、手早く予備の弾倉を取り出して。
 拳銃のグリップ部分へ差し込み森を駆け、方向変えて再びの銃撃を。
 次々と繰り出される銃弾によって数を減らすオウガであるが、そこへ更なる追撃がなされたのはその時である。
「一気に殲滅します、距離を取って下さい」
 その声の主は絶那。
 潤滑油塗れの大地でありながらも浮遊能力を駆使、自身は足場による問題を受けないままにオウガの群れへと急接近。
 そのまま中心部にて能力を開放、ヒトの形でありながら、ヒトではない異形に姿を変えて、更には理性も失って。
 周囲に撒き散らされるのは、ドロレスと同じく腐食の力を持った霧、されど此方は相手を完全に倒す為に用いられ。
 広がる霧がオウガの肉体を腐らせ、激痛を与え、悶え苦しむ相手に対し、理性無き絶那は容赦なく。
 手にした大鎌が振るわれて、生じた衝撃波がオウガの持つ骨の腕を吹き飛ばし。
 腐り始めた肉片が周辺に撒き散らされて、一方的な蹂躙が始まった。
 何とか走り出そうとした者も、転げまわる者も、痛みにのたうつ者も等しく全て容赦なく。
 放たれた衝撃波が肉体をぶちまけ、倒れ動けぬ体が腐り果て。
 やがて動くオウガの集団は消滅、最後の一体が骨となり、ようやく絶那の猛撃は終わりを迎えていたのである。
「同じ腐食の力ですが、直接的な形でしたわね」
「ええ、ですが相手に恐怖を与えるには……こういうものが効果的、でしょう?」
 分離した集団を駆逐したドロレスと絶那が言葉を交わし、森の中へと視線を向ける。
 その先には最後の小集団、それを追い込む仲間の猟兵の姿が鮮明に移っていた。

 分離した集団が壊滅したその頃、最後の小集団も猟兵の猛攻を受けていた。
「無茶な、というか無茶苦茶な暴れ馬って感じだね~」
「人がいるトコまで来られると被害が拡大しそうで厄介だね」
 森を見下ろせる空中で言葉を交わすのは、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)の分身体である緋瑪と、彼女らを模した姿を持ち、別の人格が憑依した人形である翡翠。
「放っておくわけにもいかないし……早急に片づけよう、2人共」
 相手の動きを見つつ、感想を述べていた緋瑪と翡翠。そんな2人を促すように、一気に攻めると瑠璃が言葉を発すれば。
 空中からの容赦ない強襲が始まろうとしていた。
「さーて、一気にやっちゃうよ~♪」
 いの一番に突っ込んだのは緋瑪、飛翔翼の速度を最大に、オウガの群れの進行方向を塞ぐように急降下。
 地表スレスレで手にした爆弾を一斉にばら撒いて、そのまま木々の合間を縫いつつ急上昇。
 緋瑪が上昇を始めた瞬間、ばら撒かれた爆弾が一気に爆発、しかしその爆弾は通常の爆弾と違い、周囲に広げるのは爆風ではなく超低温、氷属性を持った氷結ガスを撒き散らしていたのだ。
 一瞬で凍りつく木々の根、そしてもとより足場の悪い地形が凍る事にて更に移動が困難に。
 先の潤滑油展開に通じる戦術を用いて進軍そのものを阻んでいけば、二の手、三の手として控えていた翡翠と瑠璃も急降下。
「瑠璃、左側からいく」
「オッケー、それじゃ私は右側だね」
 進軍方向、つまりは真正面を緋瑪が塞げば、今度は両側面を塞ぐとばかりに翡翠と瑠璃が分かれて展開。
 2人も同じく、氷結効果を持つ爆弾を先ずは地面にばら撒きながら。
 そのまま空中の敵を掴もうと伸ばされた、オウガの振るう骨の腕を掻い潜り、交差するようにオウガの上空を飛び越えて。
 今度はオウガそのものに氷結爆弾をぶちまけて、その体を凍らせて完全に進軍そのものを停止させていたのである。
 こうなれば逃れる為の道は後方、来た道を引き返すより他は無い。
 進める場所が限られた中、反転したオウガ達であったがその撤退を許さぬとユヌ・パ(残映・f28086)が後方より猛追を仕掛けていたのだ。
「……そんなおぞましい姿のまま、逃げれるとは思わないで」
 馬の形から変異、異形の腕を生やした存在。
 走る為に完成されたうつくしいその形に無理矢理付け足した骨の腕、いのちに対する冒涜と強い嫌悪感を示しつつ。
 自身に憑依したオウガと融合、髪の毛に蒼き炎が纏わりつかせ、自在に操る腕へと転化。
 足場が悪い地形ならば、木々の枝を利用し進めば良いと、ユヌは髪の毛を多数の長き腕の形へ変化させ。
 枝を掴み、足場の悪さを無視してオウガを追跡、反転した群れの前へと降り立っていたのだ。
「どうするの? 逃げたいならあたしを倒さないと無理よ」
 死中に活路を見出した集団、生きるための猛進撃は真正面に立つとするならば。
 優位な状況であろうと窮鼠猫を噛むが如く、危険を伴い自身が傷つき、恐怖を覚えるものではあるが。
 泰然自若。無茶苦茶に腕を振り、嘶き、速度を上げて突っ込む集団を前にしてもまるで動じぬユヌ。
 それは数多の、自己を定義するあらゆるものを代償に、戦い続け一度死を迎えたユヌにとっては取るに足らない些細なこと。
 中身の無き、空虚な悪霊として存在する彼女にとっては傷つくことに恐れを抱く、その概念そのものが欠落しているのだから。
「ギィィイイイイイヒヒン!!」
 ユヌから漂う異様な空気、それを感じたオウガが嘶き、強烈な不の感情を与え苦しめ、そして骨の腕と突進力にて突破しようと試みる。
 だがその嘶きすらも無表情で受け止めて。
 今まさにオウガと接触せんというタイミングでユヌの左腕が肥大、強靭な爪を持つオウガとしての形を成して馬の体を受け止めて、力任せに押し倒し。
 そのまま骨の腕をへし折って、暴れる体躯に爪を突き立て、その命を奪い取っていたのである。
「残念だけど。あたしはイヤな記憶から先に相棒に喰わせたの。
 ……トラウマなんて残っちゃいないのよ」
 頭を振って言葉を紡ぎ、たった今命を奪ったオウガの馬、その体を持ち上げて。
 嘶き迫る群集団、後方から瑠璃、翡翠、緋瑪の放つ銃弾に追い立てられて、骨の腕と頭を振り回し、何とか逃れようとするオウガを前に哀れみすらも一切見せず。
「こっちは封鎖したわ。包囲を狭めるから後は任せるわよ」
 淡々と言葉を紡げばユヌは大きく振りかぶり、持ち上げたオウガを集団目掛け投擲。
 ぶつかり合ってオウガ達がもんどりうって転げ、仲間の転倒に混乱し、進路が歪んだ刹那を逃さずユヌが残る集団へ急接近。
 伸ばした髪の毛で骨の腕を絡め取り、そのまま氷結した領域へと投げ飛ばせばそこは既に死地となる。
「ありがとー、それじゃ纏めて」
「この一発で、ふっとばすよ!」
 投げ込まれた先、そこは緋瑪と瑠璃が魔力を溜めて、更には翡翠が拳銃と爆弾構え、逃れる先など無いとばかりに備えた殲滅空間。
 投げ込まれ、転げまわったオウガたち。
 そこへ容赦なく、最大限に高まった魔力と共に投げ込まれた緋瑪と瑠璃の爆弾が木々ごとオウガの体を吹き飛ばし。
 強烈な光と爆風、それが収まり何とか生き残っていた者も、よろめく体へ容赦なく追撃の銃弾が撃ち込まれ次々と倒れ、やがて全てのオウガ、アルプトラオムは消滅。
 数多の罠が重なり合う、徹底的な殲滅戦はここに終結していたのである。

 普通に戦えば、地形の不利を受けぬ相手の機動力を前にして苦戦もありうる戦い。
 だが、敵の位置情報、進路予測に加え、自分達の機動力を殺さず最大限に発揮し、相手の足を奪う罠。
 加えて数多の罠を重ねることで、危なげない勝利を猟兵は得ることが出来ていたのだ。
 この戦いは大規模な戦場の一角、ほんの小さな勝利でしかない。
 しかし、蟻の穴から堤が崩れるが如く、仕掛けた強大な敵の企みも小さな勝利の積み重ね、その上で崩壊させることは決して不可能ではない。
 此度の成果を持ち帰り、更なる脅威と戦うべく、今はただ、戦った猟兵達に暫しの休息があらんことを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月04日


挿絵イラスト