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正義を志す君たちへ告ぐ

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ダークセイヴァー世界。
 絶望の闇に包まれたこの場所で、領民の前で小さな松明を掲げる屈強な男がいた。
「もう耐えられない! 我々は、このままでは座して死を待つだけだ! ならば領主のクソ野郎を倒すほかあるまい!」
 これに領民たちは歓声を上げて賛同した。
「そうだ、よくぞ言ってくれた……!」
「俺もやるぞ! 力を合わせて、領主の城を襲撃だ!」
「これは正義だ! 正義の鉄槌だ!」
 領主の圧政に、ついに領民たちが反抗組織(レジスタンス)を立ち上げた瞬間だ!
 だが、オブリビオン相手に、猟兵でない彼らが束で掛かっても敵うはずもない。
 彼らはこの数時間後、一人残らずオブリビオンによって命を落とすのだった……。
 正義は、為し得られなかった。

「ふん、正義であるか。猟兵稼業はこの手の話が尽きぬな……」
 深紅の瞳の蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)……ではなく、裏人格たる蛇神が呆れたように言葉を漏らした。
「余の名はオロチヒメ。レモンの裏人格である。よろしく頼む」
 威厳ある態度で、集まった猟兵たちの顔をしげしげと眺めた。
「此度の予知は余が見た故、この案件はレモンではなく余が預かる運びと相成った。さて、概要であるが……。ダークセイヴァー世界で誕生した、小さなレジスタンスの蛮勇を食い止めてほしいのだ」
 彼らは正義を御旗に掲げ、義憤に駆られるがまま領主の城へ特攻を掛けに突撃する。それはあまりにも稚拙な怒りと言動だ。狂熱に浮かされた自殺行為だ。
「正義に燃える彼奴らを止めるのは一苦労であるが、止めなければ多くの領民が感化されていたずらに命が消えてしまうだけである。猟兵たちよ、心を鬼にして事に掛かるのだ」
 君たちは腕っぷしで領民をねじ伏せたり、行動の矛先をかえてしまったり、説得して情に訴えるなどして、反逆を諦めさせなければならない。
「無論、領民たちを鎮めたら、貴様ら領民の出番である。一騎当千の働きに期待しておるぞ?」
 オロチヒメはそう告げると、グリモアを手のひらに出現させる。
「では、行くぞ、猟兵たちよ。貴様らの働きぶり、この余がしかと見届けてくれよう。期待しておるぞ?」
 ダークセイヴァー世界への転送が、始まる。


七転 十五起
 七転十五起、なぎてんはねおきと申します。
 今回はレモンの裏人格である蛇神様のオロチヒメにご登場いただきました。
 賑やかしの主人格が出てこない程度には、シリアス度合いが高いお話の予定です。

 第一章はレジスタンスの蛮行を食い止めます。
 第二章、第三章はレジスタンスの代わりに戦闘を行います。

 果たして、正義はそこにあるのでしょうか?
 皆様の御参加、お待ちしております。
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第1章 冒険 『レジスタンス達を止めよう』

POW   :    実力でねじ伏せて言うことを聞かせる

SPD   :    領主を討つ以外の行動を提案して行動の矛先を変えさせる

WIZ   :    情に訴える

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャレム・アルカード
【アドリブ・共闘歓迎】
力もなく正義を語り、あまつさえ無策にも突撃を行うか。
支配者に歯向かう気骨は評価できるが、正義という熱病におかされ正常な判断も出来ぬとなれば、結果は見えているというものよな。

ふん、良かろう。ここは我が一肌脱いでやるとしようではないか。
正義に燃える一団の前に立ちはだかり、【存在感】にて注目を集める。
一応襲撃をやめるよう忠告はするが、言っても聞かぬだろう?【血統覚醒】にて能力を強化し、リーダー格と思われる男をねじ伏せ、【怪力】で押さえ込み、再度の中止要求だ。


八剱・忍
まあ叛乱する気持ちはわかるんやけど、みすみす死地には向かわせられへん。

力で分からせるのが手っ取り早いんとちゃうかな。
領民の前に立ちはだかり、一人指名するで。

「言うても無駄やろし、手っ取り早くいこか。そこのごつい兄さん出といで」

あとは加減しつつ、ごつい兄さんを軽く叩きのめすで。

「申し訳ないんやけど、うちにコテンパンにのされるんやから、領主とその配下相手にもお察しやろ?」

あんたらがえらい目に合うてきて腹立つのは、他人ながらもようわかるしな。
代わりにうちがあんたらの恨みつらみを晴らしてきたる。それで納得してくれへんか?と、説得?宣言?するで。ある程度有無を言わさん雰囲気作るのも忘れんように。


クラーラ・レイネシア
圧政者に反逆して戦おうというその心意気は素晴らしい!!
しかし!束になっても敵わないのもまた事実!
素晴らしき反逆者たちよ!お前達に芽生えた反逆者の芽を此処で潰えさせる訳にはいかない!
お前たちのその意思!怒りは正当だ!
お前たちのその怒りを!その心こそこの世界に必要で広めなければならない物
そうは言っても簡単に止まれない奴もいるだろう!
さぁ掛かってくるが良い!君達の代わりに反逆を為す者の力を見せてやろう!

立ちふさがって実力で相手をねじ伏せます
相手の攻撃は激痛耐性とオーラ防御で耐え
めっちゃいっぱいパンチで兎に角気合いで数を叩き伏せます
組み伏せようとしてきた相手には怪力を以て叩き伏せます



 暗澹たるダークセイヴァーの片隅で、小さな怒りの炎が灯った。
 遂に領民たちが、かの悪逆非道な領主へ向けて反旗を翻さんと気炎を上げているのだ。
「領主の城を俺達が囲んで火を放つんだ!」
「そうだ! あんな城なんて焼いてしまえ!」
「一気に走って城壁を乗り越えるんだ!」
 血気盛んに領民は叫ぶが、その内容は具体案の域に届かず、稚拙極まりない作戦ばかりだ。これに見兼ねた猟兵たちが、彼らを止めるべく接触を試みることとなった。
「力もなく正義を語り、あまつさえ無策にも突撃を行うか」
 見た目は小さな子供だが、れっきとしたダンピールの70歳児、シャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)が呆れたように領民へ語り掛けた。
「支配者に歯向かう気骨は評価できるが、正義という熱病におかされ正常な判断も出来ぬとなれば、結果は見えているというものよな?」
「な、なんだと……?」
 若い男がシャレムに詰め寄ってきた。
「子供がいきなりしゃしゃり出てくんな。偉そうな口をききやがって!」
「偉そう、ではなく実際、我は偉いのだ。フハハハ! 我は大公、シャレム・アルカードである! あとは我らに託して、貴様らは村で大人しく待っているのだな?」
「な、なんで!? 大公様とあろう方がこんな辺鄙な村に!? あわわわわ……!」
 シャレムの大公という肩書は自称なのだが、彼の放つ存在感が若者を腰砕けにしてしまった。
「まあ叛乱する気持ちはわかるんやけど、みすみす死地には向かわせられへん」
 ドヤってるシャレム様の後ろから八剱・忍(黒の囀り・f13028)が領民へ語り掛けた。
「領主とあんたらの実力差、わかってへんちゃうん? 今のままなら犬死やで?」
「たとえ俺が死んでも、続く仲間が諦めなければ……」
 壮年の男性の言葉に八剱は自分の顔の前でブンブンと手を振ってみせる。
「ありえへん、ありえへん! てか自分、死ぬ前提やん、ますます行かせられるかっちゅーねん、アホ!」
「その通りだ! お前たちを行かせるわけにはいかない!」
 アルダワ学園生にしてドラゴニアンの女性、クラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)が大声で高らかに言い放った。その気合の入った物言い様は、領民たちの注目を一身に浴びた。
「圧政者に反逆して戦おうというその心意気は素晴らしい!! しかし! 束になっても敵わないのもまた事実! 素晴らしき反逆者たちよ! お前達に芽生えた反逆者の芽を此処で潰えさせる訳にはいかない!」
「さてはお前、領主の回し者か!? さっきから俺達を止めようとしやがって!」
 生意気そうな少年がクラーラの目の前に飛び出してくるなり文句をぶつけた。
 だがクラーラは動じない。彼女の演説は続く。
「お前たちのその意思! 怒りは正当だ! お前たちのその怒りを! その心こそ、この世界に必要で広めなければならない物だ! そこの少年よ、お前は正しい! そのまっすぐな意思の力、俺は素晴らしいと思うぞ! だが、そうは言っても簡単に止まれない! そうなのだろう!?」
 クラーラは少年の双眸を力強く見詰めた。両者は互いに睨み合いをしばらく続けると、少年の方が折れた。
「ねえちゃんの気迫、すげぇや……。俺にはそこまでの覚悟は持ってないや」
「だが少年よ、絶望するな! お前の無念は俺が晴らしてやる!」
 なんか、無言で通じ合う精神バトルがあったのだろう。クラーラは少年と握手すると、めっちゃいい笑顔で仲良くなっていた。
「いいか! 圧政者は俺達が倒す! だが、納得いかないって奴は……」
 クラーラは拳を自分の顔の前に掲げてファイティングポーズ。そして不敵に笑みを浮かべる。
「さぁ掛かってくるが良い! 君達の代わりに反逆を為す者の力を見せてやろう!」
「そういうわけやな。言うても無駄やろし、手っ取り早くいこか。そこのごつい兄さん、出といで」
 八剱に指名された、一際大柄な男性が前に進み出る。
「ふん、良かろう。ここは我も一肌脱いでやるとしようではないか」
 シャレムは尊大な態度のまま、領民の集団を見据える。その存在感で、大半の者たちは怖気づいてしまう。だが、その中に前へ進み出る者がいた。
「俺はこの反乱組織のリーダーだ。俺達の正義に、水を差すような真似をしやがって……!」
「一応襲撃をやめるよう忠告はしたが、実際、言っても聞かぬだろう? ならば、この我を倒してから領主を討ち果たしに行くがいい。だが、それが出来るか?」
 シャレムの瞳が真紅に染まり覚醒モードへ! するとダンピールはバンパイアへ変貌を遂げ、強大な力を手に入れた。
「お前もヴァンパイアってことか! なら領主の前にお前を倒してやる!」
 リーダーの男が鍬を振り上げてシャレムへ襲い掛かる! だがその一撃をよけようとせず、むしろシャレムは片手で受け止めてしまう。
「無駄であるぞ」
 シャレムは怪力を発揮すると、鍬の柄を握り潰してしまった! そして軽々とリーダーの男を宙吊りにすると乱暴に振り回した後に地面へ叩き付けた!
「さぁ、観念せよ。計画を中止するのだ」
 柔道の締め技めいた抑え込みをシャレムはリーダーに掛ける。リーダーは顔を真っ赤にしてもがき苦しむが、全く体の自由が利かないようだ。
「申し訳ないんやけど、うちにコテンパンにのされるんやから、領主とその配下相手にもお察しやろ?」
 八剱も大男を軽く捻って地面に伸していた。よほど攻撃が効いたのか、大男は白目を剥いて気絶していた。
 その横で、クラーラは押し寄せてくる領民を文字通り千切っては投げていた。
「いっぱい殴れば解決!」
 高速の殴打による衝撃波が、立ち向かってくる領民たちを14mほど吹っ飛ばしていた。彼女に吹っ飛ばされた人の山が築き上げられ、その上でクラーラは右拳を高々と天へ突き上げて御満悦。
「勝った! 第一章、完ッ!」
 いや、終わってないから、終わらないからね?
 クラーラのはしゃぎっぷりを指差し、八剱は再度説得を試みる。
「これが現実や。どう足掻いたところで勝ち目はないねん。せやけど、あんたらがえらい目に合うてきて腹立つのは、他人ながらもようわかるしな。代わりにうちがあんたらの恨みつらみを晴らしてきたる。それで納得してくれへんか?」
 先程の血気盛んな様子は立ち消えとなり、現実を突き付けられた領民たちは失意に暮れていた。不満の根幹が解消されない限り、時間をおけば再び再燃しかねない。他の猟兵たちのケアが待ち望まれるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

冷泉・響杷
【行動方針】
レジスタンスに堂々乗り込み、情に訴え説得
圧政に対する怒りを肯定し、
自ら立ち上がりたいという意思を肯定し、
戦闘による無駄死にを否定して、圧政後の幸せな未来を提案
家族・恋人・友達……いたずらに喪うことのないよう
力の証明が必要であれば見せる
(WIZや技能祈りによる説得、証明は指定ユーベルコードを使用)

【説得内容】
辛い思いをなされてきたのね
けれど私は、あなた方が死ぬのを止めなくてはいけないわ
戦うのは、私たち猟兵の役目
あなた方が戦っても、残念ながら勝ち目はない
どうかその刃をおろして、私たちに任せてほしいの
そして私に、圧政後の幸せな世界を見せてくれないかしら?
お願い……愛する人を、泣かせないで


イヴ・クロノサージュ
▼出発前の心情

領民達が……立ち向かうお話
とても...素敵なのです……

そんな領民達の希望の光となるべく
私もダークセイヴァーに舞い降りますか……。
猟兵というデウス・エクス・マキナが
オブリビオンを撃ち滅ぼすでしょう

▼説得

反抗組織(レジスタンス)の皆さんに力不足だと訴え掛けます
強い猟兵さんが実力を見せて
(怪我をしてたら生まれながらの光で癒して差し上げましょう)
レジスタンスの皆さんが落ち込んだところで
説得します。

具体的には
「私達が必ず悪の根源を断ち切ります……!
ですが……防衛にはあなた達の力が必要なんです!」と情に訴えてみますね

(必ず領民の皆さんを護りますからね。と強い気持ちを持って領主の城を眺めます)


キギ・レインメーカー
ガラじゃないけどこの世界には思い入れがあるからね…やる気出してるところ悪いけど冷静になってもらおうか
【行動方針】
WIZ→情に訴える 
「コミュ力」で領民達の気持ちに共感し、「手をとって」説得しよう。気持ちはわかるけど君たちは行くべきではない。
信頼を勝ち取れて話を聞いてくれそうなら領主について語って「恐怖を与える」よ、ダークセイヴァー出身ならみんなわかってると思うけどね
面倒なことは俺たちに任せて君たちはその気持ちだけでも大事にしてくれ
【その他】
アドリブ、協力歓迎です


リカルド・マスケラス
『力なき正義は無力、正義なき力は暴力』昔から言われていることっすよね

真正面から戦うこと以外の提案をする(SPD?)
「彼らの実力見て判ったすよね?人知を超えた相手には、同様の力でしか対抗できないって」
「そこで提案っす。先着一名様、命を捨てる覚悟があるのなら、力を手に入れるチャンスっすよ?いやまあ、そんな覚悟もないなら無理強いはしないっすけど~」
と、挑発混じりに自分に体を貸すことを条件に討伐に力を貸すことを提案。なんか重い代償を匂わせるが、どうしても自分の手でやりたいなら、それでも立候補するくらいじゃなとっすね

誰も来ないなら、バイク単独で向かう所存。そうでないなら
「一日だけの相棒、よろしくっすよ」


リーヴァルディ・カーライル
…ん。今のまま反抗しても、全滅するだけ
こんな世界だもの。その程度の予想は当然、皆出来ている

それでもなお、吸血鬼に反抗する気概を見せた彼らの想いを、
彼らの正義を、私は否定したくはない

…本当に吸血鬼に勝ちたいなら、
勝率が0から万に1つになるだけでも良ければ、教えてあげる
吸血鬼の狩り方を…

教える前に防具を改造
私が告げる教えを忘れないように第六感に訴え、
言葉の存在感を強化する誘惑の呪詛を付与

【吸血鬼狩りの業】の基礎…体の鍛え方や武器の扱い、吸血鬼の能力、思考法…を彼らに教える

その後【常夜の鍵】から大量の保存食と救助活動用の物質を出して彼らに配る
…この知識と物質をどうするかは貴方達次第



 うなだれる領民たちの元に、猟兵たちが手を差し伸べる。
冷泉・響杷(凛として咲く華の如く・f00930)はここまでのやり取りを眺め、領民たちの圧政に対する怒りを肯定し、自ら立ち上がりたいという意思を肯定した。だが、戦闘による無駄死は否定しなければならないと固く誓った。
 彼らには未来がある。残された家族だっている。誰も悲しまなくてもいいように、冷泉は彼らに言葉を掛けた。
「辛い思いをなされてきたのね。けれど私は、あなた方が死ぬのを止めなくてはいけないわ。領主と戦うのは、私たち猟兵の役目。今のあなた方が戦っても、残念ながら勝ち目はない」
「本当に、倒してくれるのか?」
 ボロボロに打ち負かされたリーダーが問い掛けた。冷泉は頷く。
「私はこれが猟兵として初めての戦いになるわ。でも、それでも領主に負けるつもりはない。それに私だけじゃなく、猟兵の先輩たちも一緒よ」
 彼女の後ろに控える聖者が闇を照らした。イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)だ。その聖なる光に、領民たちは思わず平伏した。
「聖者様がおられるぞ!」
「聖者様! どうかお救いください!」
 さすが、ダークセイヴァーでの希望の象徴。その影響力は抜群だ。
「みなさん、先程の戦闘で怪我をされていますね……。おいでなさい。わたしが治して差し上げましょう……」
 イヴの身体から発せられる生まれながらの光が、傷付いた領民たちの怪我を癒してゆく。治療を終えたイヴは慈悲深い笑みを湛えながら、領民たちへ語り掛けた。
「領民達が……悪に立ち向かう話は、どのような形であれ、とても……素敵なのです……」
 ですが、と彼女は言葉を継ぐ。
「それは、力がある者に任せてしまって、構わないのです。私達が必ず悪の根源を断ち切ります……! ですが……、この村の防衛は、あなた達の力が必要なんです……! 居場所を守ることも、大切な役目なのです……」
「なるほど、聖者様の仰る通りだ……!」
 領民たちの多くが、イヴの言葉に賛同の意を示し始めた。
 そこへ同行していたキギ・レインメーカー(オラトリオの探索者・f02371)も説得に当たり始めた。
「ガラじゃないけどこの世界には思い入れがあるんだよね、やる気になっているところ悪いけど、君たちじゃ領主どころか、その配下ですら太刀打ちできないってことは、もうわかってくれたかと思う」
 語尾を少し強め、敵の強さを判りやすく伝えることで、キギは領民の恐怖心をあおることに成功した。
「ダークセイヴァー出身ならみんなわかってると思うけどね、領主はヴァンパイアだ。つまり人間じゃない、オブリビオンなんだ。オブリビオン相手に太刀打ちできるのは、俺たち猟兵だ。だから信じて待っててほしい」
 キギは若い女性の手を取って、親身になって説得をしてみる事にした。
「君の大切な人を守る為なんだ。気持ちはわかるけど、君たちは行かせるべきではない。止めるべきだ」
「……そうよね、父さんや兄さんが帰ってこないのは堪えられないわ!」
 女性が涙を流しながら頷けば、キギは領民の女性たちに訴えかける。
「君たちの大切な人たちにも説得をしてくれないかな? 面倒なことは俺たちに任せて、君たちはその気持ちだけでも大事にしてくれ」
 キギは女性たちを味方に付け、男たちをなだめさせるように頼み込む。どの世界でも女性は強いのか、あれだけ息巻いていた男性達があっという間に背を丸くして家の中へ帰ってゆく。
 それでも、少数の領民たちが頑として聞く耳を持たない様子。
「だったら、自分の話を聞いてほしいっすよ」
 白狐のお面を被った男のリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)がチャラい口調で領民たちへ声を掛け始めた。
「昔から『力なき正義は無力、正義なき力は暴力』って言われてるっすよね? 彼らの実力見て判ったすよね? 人知を超えた相手には、同様の力でしか対抗できないって」
「だが、それでもこのままでは面子が丸潰れだ……! 振り上げた拳を何処に下せばいいんだ……!?」
 現実を突き付けられても尚、男は自分の感情の整理が付けられていないのだ。これにリカルドが人差し指を立てて微笑んだ。
「そこで提案っす。先着1名様、命を捨てる覚悟があるのなら、力を手に入れるチャンスっすよ?」
「どういうことだ? 猟兵とやらに俺をしてくれるのか?」
 男が尋ねると、リカルドはいやいやと首を横に振った。
「違うっす! そこまで言うなら、先着1名だけ、猟兵の戦いに同行させてもいいっす! いやまあ、そんな覚悟もないなら、無理強いはしないっすけど~」
 これに男が自分の胸に手を当てて前に進み出た。
「い、行かせてくれ! 頼む! それに、お前たちの行いをこの目で見ないと気が済まないからな!」
「おお! 言ってくれるっすね? 領主を倒すのは嘘じゃないっすよ? 危険を伴うっすけど、それでも大丈夫っすか?」
「……ああ、頼む。村を守るリーダーの名代、そして領民を代表して俺が同行しよう。俺はジェイクだ。よろしく」
 差し出されたジェイクの手を、固く握手するリカルド。
「1日だけの相棒、よろしくっすよ、ジェイク!」
 こうして、一般領民のジェイクが目付役として同行する事となった。恐らく戦闘では全く役に立たないだろうが、帰還した際に領民へ報告がしやすくなるのはいいことだ。
 一方、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は自分の戦闘技術を領民へ伝授していた。
(……ん。今のまま反抗しても、全滅するだけ。こんな世界だもの。その程度の予想は当然、皆出来ている)
 それでもなお、吸血鬼に反抗する気概を見せた彼らの想いを、彼らの正義を否定したくはないとリーヴァルディは強く願っていた。
「……本当に吸血鬼に勝ちたいなら、勝率が0から万に1つになるだけでも良ければ、教えてあげる。吸血鬼の狩り方を……」
 領民たちはどよめいた。今まで力任せに数で押し切るしか考え付かなかった彼らにとって、ヴァンパイアの倒し方が存在する事実に驚愕した。彼女は猟兵としての職務よりも、ヴァンパイアを狩ることに興味を示す“吸血鬼狩り(ヴァンパイアスレイヤー)”なのだ。
「……まず、この装備じゃ、とても太刀打ちできない。貸して……?」
 リーヴァルディは領民のボロボロの鍋の蓋を譲り受けると、自身の防具改造技能を活かして立派な盾をこしらえてみせた。
「鍋の蓋が、こんなすごい盾に!?」
「でも、……奴らは影の蝙蝠を呼び出して、盾を潜り抜けてくる……。あと……剣を複製して斬りつけてくる……」
 彼女の言葉は、領民たちへの誘惑の呪詛とともに第六感に訴えかける存在感を有していた。
「だから、攻撃は予測、しなきゃいけない……」
 カーライル家に代々伝わる吸血鬼狩りの業は、ユーベルコードの域に達し、吸血鬼限定で攻撃を完全無効化することが出来る超回避技だ。だからこそ、それを目の当たりにした領民は悟った。
 これは無理だ、と。長年の鍛錬の賜物があって、初めて領主を手討ちに出来るのだと。
「……諦める、の……? でも、折角だから、これを……」
 リーヴァルディが指先を噛み千切ると、その血液で魔法陣を描く。彼女はその中に飛び込み、しばらくすると大量の食糧と医療品などの救助活動物資を抱えて戻ってきた。
「これが……常夜の鍵(ブラッドゲート)……。ユーベルコード製の、常夜の世界の古城から、持ってきた……。この知識と物質をどうするかは、貴方達次第……」
 領民たちは、自分たちの村の守りを固めるところから始めようという話に収まった。
 さぁ、遂に猟兵たちの出番だ。目指すは、悪逆非道な領主の城だ。
(必ず領民の皆さんを護りますからね……)
 イヴは、遠方に佇む領主の城を眺めて、決意を胸に秘めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『オルトロス』

POW   :    くらいつく
自身の身体部位ひとつを【もうひとつ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    ほえる
【悲痛な咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    なかまをよぶ
自身が戦闘で瀕死になると【影の中から万全な状態の同一個体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 領主の館の前までやってきた猟兵たち。
 強固な鉄の門を攻撃で強行突破すると、館の庭から唸り声を上げながら十数匹の魔獣が姿を現した。
 あれは領主のヴァンパイアが放し飼いにしている魔獣、オルトロスだ!
 領主の首を狙うためには、まずはこのオルトロスの群れを駆逐しなければならない。
 武器を構えよ、猟兵たち!!
イヴ・クロノサージュ
▼守護天使は語る

あれは……魔獣!
猟兵達は問題ないと思いますが…!

機械人形は気付く、目付け役の一般人に

村を守るリーダー、ジェイクさんが
同行しているのですね……?

だけど……丸腰だと、危ないですよ?
そうだ!私の機械鎧兵に《ユグドラシェル・シールド》を持たせて
彼を守らせましょう!

以前ダークセイヴァーに参入した時は
領民は絶望し生きる事を諦めていました。
でも彼らは《立ち向かう意志》《生きる希望》を失っていません!!
力が足りないだけ……

ならば、この小さな希望の芽は……摘んではならないのです!

行きますよ、私の鋼鉄の騎士達
《開戦》オープン・コンバット!!

▼戦闘

機械鎧兵基本武装《ブラスターアーム》

アドリブお願い!


リーヴァルディ・カーライル
…ん。攻め込むの、踏みとどまってくれたんだ
だったら後は私達の出番…雑魚に構っている暇は無い

事前に防具を改造、第六感に訴えて存在感を消す呪詛を付与
さらに魔力を溜めて【影絵の兵団】を即時召喚する待機状態に
戦闘では敵の行動を見切り回避優先で行動
躱せない攻撃も即座に召喚した影兵を盾にし武器で受ける

…術式選択。影の戦衣
この護り、易々と貫けると思わないで…

怪力を瞬発力にして敵の懐に潜って大鎌をなぎ払い
即座に召喚した影兵達が傷口を抉る2回攻撃で追撃
その後、影兵は生命力に変換して吸収し再利用する

…切り裂け。そして食い破れ…!

…ん。仲間を呼ぶと判っていれば、対処は容易
召喚される前に包囲し、動く前に殲滅するだけ…


クラーラ・レイネシア
オルトロスの群れー、一体一体殴り飛ばしてると囲まれそうだな
馬鹿だけど囲まれたら不味いって事ぐらいはわかってるぞ、うむ理論は知ってる

可能だったら参加してる猟兵と力を合わせるぜ
あと出来るだけ囲まれないように立ち回りたい処だな
出来れば壁を背中にしたい所かな、背中から攻撃されるのが不味いしな
無理そうなら【勇気】を出して開き直ろう

相手の攻撃は【オーラ防御】と【激痛耐性】で耐えるぜ
自慢の【怪力】で周りの敵を【気合い】を入れて目にも止まらぬ【早業】でめっちゃいっぱいパンチでぶっ飛ばす
【二回攻撃】で兎に角一杯殴って相手の【生命力吸収】で出来るだけ粘るように戦うぞ
兎に角数を減らさないと押し切られそうだしな


リカルド・マスケラス
同行してくれたジェイクの身体に憑依して戦う
「これが猟兵の戦いっす。よく見ておくんすよ」
戦う為の肉体を借りてこそ、ヒーローマスクの本領発揮。
ジェイク本体に怪我させないようには気をつける

ゴッドスピードライドで射程外から一気に距離を詰めてジェイクの持ってた武器(もしくは自分の鎖鎌)で斬り払い、一撃離脱のヒットアンドアウェイ

また、敵の攻撃を味方が受けそうになったら、鎖分銅で相手の首を拘束したりして阻害できないか試みる

技能としては
騎乗、なぎ払い、ロープワークあたりが使えたりしないっすかね?


キギ・レインメーカー
ワンちゃんの数が多いね、さっさと一掃して次にいこうか
【行動方針】
味方の猟兵がそれぞれ倒してると思うから俺は「なかまを呼ぶ」を対策して殲滅を重視しようか。
「零れる雨」で毒属性の雨を降らすよ、「毒使い」「属性攻撃」で「零れる雨」を強化
「毒耐性」で俺は問題ないけど味方の猟兵は巻き込まれないように使う前に警告。端的に伝えるのも「コミュ力」だよね。
生き残りがいるようならアサルトウェポンと「2回攻撃」で追撃、殲滅するよ。
【その他】
連携、アドリブ歓迎です。


八剱・忍
親玉の前にまずは露払いっちゅうことやな。

どっちが格上なんか、きっあさちりマウンティングかけたろか!

基本戦術は敵の撹乱やで。他猟兵はんが戦いやすいように戦場こね回したる!

敵陣に斬り込んで行って、スキル「残像」で敵を惑わせ、スキル「見切り」敵の攻撃を避けて回るで!
ついでに自分の手を甘噛みして、ユーベルコード 「スウィート・アバター」発現や!
己の分身と共に大鎌振り回して、敵陣見出して連携崩すで!



「……ん。攻め込むの、踏みとどまってくれたんだ」
 村を出立する前、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は領民たちへ語り掛けていた。
「だったら後は私達の出番……」
「そういうことっす!」
 リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)も明るく声を張り上げる。
「ところでジェイク、ちょっとこの白狐のお面を被ってほしいっす」
「ん? ああ、構わないが……」
 同行志願者の村人、ジェイクがリカルドの手渡す仮面を被ると、途端にジェイクが昏倒! どよめく村人たちだが、仮面を被ったジェイクがすかさず答えた。
「大丈夫っす! 倒れたこの身体はちょっと休ませてあげてほしいっす!」
 なんと、ジェイクの声ではなく、リカルドの声でジェイクの身体が会話している!
 混乱する村人たちに、リカルドは説明した。
「あ、言ってなかったっすね。自分はヒーローマスクっていう種族っす。自分の場合、この白い狐のお面が本体で、心を許してくれた相手に戦う為の肉体を借りてこそ、ヒーローマスクの本領発揮っす」
 リカルドのいう“同行者”とは、自分に体を貸してくれる相手の事を指し示していたのだ。
「さぁ、領主をぶっ飛ばしにいくっすよ!」
 猟兵たちは意気揚々と領主の城へ向かった、のだが……。

「オルトロスの群れー、1体1体殴り飛ばしてると囲まれそうだな」
 クラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)の言葉通り、今や猟兵たちは領主の館の門前でオルトロスの群れに包囲されかかっていた。
「俺、馬鹿だけど囲まれたら不味いって事ぐらいはわかってるぞ、うむ、理論は知ってる」
「やはり……魔獣ですか!」
 イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)はオルトロスの群れを前にしてリカルドが憑依したジェイクを見遣る。
「リーダーさん、丸腰では危険ですよ?」
「いや、俺はリーダーじゃないんだが……。リーダーは村の防衛で居残りだ。俺は村の代表として、リーダーの代わりにここにいるんだが……」
「へ?」
 イヴはキョトンと呆気にとられていた。どうやら、何か思い違いをしていたようだ。
「それに、リカルドのおかげで俺も戦えそうだ! 頼むぞ、リカルド!」
「ジェイクに猟兵の戦い方を見せてやるっすよ! 自分に体を預けるっす、ジェイク!」
「って、事だ、お嬢さん。俺のことは心配するな」
「はぁ……」
 ここにきて、盛大に勘違いをしていたイヴは途端に狼狽える。
(ユーベルコードで守って差し上げようと思ってましたが、もしかして、必要ないのかしら……?)
 イヴはやることがなくなり、途方に暮れている反面、この世界の変化を目の当たりにして喜ばしく思っていた。
(以前ダークセイヴァーに参入した時は領民は絶望し、生きる事を諦めていました。でも彼らは立ち向かう意志と生きる希望を失っていません!! ただ力が足りないだけ……!)
 猟兵の戦いの結果が、小さな叛逆の意思を紡ぎ出したのだ。
 これはこの1ヶ月で大きな変化と言えよう。
(ならば、この小さな希望の芽は……摘んではならないのです!)
 とはいえ、今のままではイヴは戦闘に参加できず右往左往するばかりだ。
 まだ回復役に徹していれば、狼狽えることはなかっただろう。
「ごめん、イヴさんは戦えないなら離れてて」
 見兼ねたキギ・レインメーカー(オラトリオの探索者・f02371)が前に出る。
「ワンちゃんの数が多いね、さっさと一掃して次にいこうか」
 キギの掌の上に魔法陣が描かれ始め、魔力が可視化されて渦巻き始めた。
 八剱・忍(黒の囀り・f13028)も、悪魔が鍛えたとされる魂を刈り取る大鎌『デモン・サイズ』を担いで、空いた手の指先でアンダーリムの眼鏡をくいっと上に持ち上げた。
「親玉の前にまずは露払いっちゅうことやな。どっちが格上なんか、きっちりマウンティングかけたろか!」
 オルトロスの群れが雄叫びを上げる。次の瞬間、群れが雪崩のように押し寄せてきた!

 クラーラは周囲を見渡すと、領主の館のレンガ積みの壁まで走った。
「これなら、背後を取られる心配をせずに戦える!」
 戦略が苦手な彼女なりに考えた作戦だ。確かに、これならば不意打ちを喰らうことはないだろう。だが、これだと猟兵との連携が途絶えてしまう。
「誰かー! 手伝ってくれー!」
 仲間へ救援を求め、堪え凌ぐことを選んだクラーラは勇気を振り絞る。
「こうなったら、正面の敵をひたすらぶん殴るぜ!」
 オルトロスたちが自身にもうひとつの頭部を生やしてクラーラを噛み喰らわんと殺到する! 彼女の肩、脇腹、太ももなどに、その鋭い歯が付きたてられた! だが彼女の超高速パンチのユーベルコードと怪力が魔獣の頭部を砕き、吹き飛ばし、押し寄せる群れを圧倒してゆく!
「そんな噛みつき、オーラ防御で我慢すれば痛くないぜ!」
 更に、殴れば殴るほどクラーラの傷が癒えてゆく。生命力を吸収しているのだ!
「お待たせ、クラーラはん! さぁ、スウィート・アバター、蹴散らすでぇ!」
 八剱は自身の指を甘噛みすると、もうひとりの八剱が現れセルフ連携攻撃を開始。魔獣の群れをバッサバッサと切り倒してゆく。噛みついてくる魔獣の牙を見切り技能で回避してゆき、カウンター気味に大鎌を振るって真っ二つにしてしまう。
「それは残像や! うちはこっちや、ノロマ!」
 背後から八剱に迫る魔獣をクラーラのめっちゃいいパンチが吹き飛ばし、2人は合流に成功する。
「忍! 大丈夫か!?」
「クラーラはんこそ、無茶しよるな、ホンマ!」
 2人と分身1人が拳と刃を振るっていると、魔獣たちが猟兵たちから一旦距離を置き始めた。そして悲痛な咆哮がオルトロスたちから放たれる! 思わず耳を塞いで蹲る2人!
「なんだ、これ!? 頭が、割れそうだぜ……!」
「無差別攻撃やて!? せやから、仲間を巻き込まんように群れが散開したんやな!?」
 背後のレンガ壁が振動で破壊され、計り知れないほどの音圧が2人を押し潰してゆく! 絶体絶命!
 その時だった!
「行きますよ、私の鋼鉄の騎士達! 《開戦》オープン・コンバット!!」
 魔導巨兵武装《ユグドラシェル・シールド》を構えた6mもの巨体を誇る12機の機械鎧兵小隊が、魔獣の咆哮の音圧を受け切った!
「大丈夫ですか、おふたりとも!?」
 《宇宙戦艦》クロノトロン=ユニットを呼び出したイヴが猟兵2人に駆け寄った。
「なんやあれ!? 世界観ガン無視かいな!?」
 八剱が指差す空の上には、ダークセイヴァーには似つかわしい巨大な宇宙戦艦が浮いていたのだ。どうやら、この機械鎧兵小隊は、あの戦艦から降下してきたようだ。
「あれは召喚した私の戦艦です……。ここは私が、皆さんを守ります!」
 イヴが魔獣へ向けて手をかざすと、機械鎧兵はブラスター砲を構えて一斉乱射!
 未知の兵器を前に、散開していた魔獣たちは次々と個別撃破されてゆく。だが魔獣は瀕死になると、自身の影から無傷の状態で増殖してくる。その増殖速度はイヴの機械鎧兵達の殲滅速度より早く、ユーベルコードの相性が悪いようだ。
「だったら、こういうのはどうっすか!?」
 リカルドが宇宙バイクと合体し、高速移動しながら瀕死の魔獣へ鎖鎌を放つ!
 その素早い一撃は、増殖する手前で魔獣の命を的確に刈り取ってゆく。そして再び咆哮の構えを見せる個体をリカルドが見付けるや否や、分銅付きの鎖を魔獣へ投げ付け、その首に絡み付かせて絞首してゆく!
「おっと、吠えさせないっすよ?」
 そのままロープワークを駆使して魔獣ごと鎖鎌を振り回し、他の魔獣達にぶつけ、まとめて薙ぎ払った!
「よっし! ストライクっすね!」
 そんなリカルドの左右背後から3体の魔獣が飛び掛かる! 危機一髪!
「……術式選択。影の戦衣。この護り、易々と貫けると思わないで……」
 素早く間に入ったリーヴァルディのユーベルコード『影絵の兵団(タイプ・レギオン)』で生成された影の兵士が、彼女の足元から湧き出て盾となって攻撃を受けとめた! 防具に“存在感を消す呪詛”を仕込んで改造していた彼女は、今までアサシンて戦場を駆け巡って魔獣の首を落として回っていたのだ。
 そしてこの瞬間もまた、怪力にモノを言わせて大鎌で魔獣3体を切り刻み、影の兵士が傷口を抉る2連攻撃で追い打ちを掛ける!
「……ん。仲間を呼ぶと判っていれば、対処は容易。召喚される前に包囲し、動く前に殲滅するだけ……」
 影の兵士を吸収して生命力を回復させるリーヴァルディに、リカルドはぐっと親指を立ててみせた。
「ありがとうっすよ、リーヴァルディ!」
「大丈夫……。ここはまかせて……」
 125体の影の兵士が戦場に溢れ出し、逆にオルトロスの群れを包囲してゆく!
「……切り裂け。そして食い破れ……!」
 形勢逆転! 影の兵士たちが魔獣達を蹂躙してゆく!
「自分もいくっす!」
 リカルドもゴッドスピードライドで神速の一撃離脱戦術を披露し、オルトロスの群れは増殖する事が出来ない!
 そこへ、キギが猟兵たちに大声で叫んだ。
「みんな! 散開してくれないかな? 大技がでるよ! 巻き込まれないようにね?」
 既に他の場所で魔獣達をひとりで殲滅してきたキギの魔力が紐解かれる。ユーベルコード『零れる雨』が猛毒の雨を魔獣達の頭上へ降らせ始めた!
「瀕死になるのなら、致死毒でまとめて殲滅してみるのはどうだろう?」
 猛毒を浴びた魔獣達は、必死に影から増殖を計ろうとするが、新しい個体が出現するたびに瀕死に陥り、また増殖をするという死の無限ループが発生! 堪らず毒の雨雲から逃げ出そうと飛び出してくる個体が出てくるのだが、キギはそれを見逃さない。
「おっと、大人しくしてくれないかな?」
 アサルトライフルで向かってくる魔獣を的確に射殺してゆけば、気が付けば魔獣達の増殖は止まっていた。おめでとう、猟兵たちの勝利だ!
「うん、これで全部かな? それじゃあ、飼い犬のしつけがなってない領主様にクレームを入れに行こうか?」
 キギをはじめとする猟兵たちは、悠々と館のドアを潜って領主のいる部屋へ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

冷泉・響杷
“他の参加者”と連携・アドリブ歓迎

【行動方針】
[歌唱]によって敵を自身に[誘導]し、
僅かでも存在する自然光を使い[神が全てを見通す目]で攻撃
魔獣が瀕死状態のとき、[聖なる光]で魔獣の影を消すよう行動
他の聖者がいる場合は協力して[なかまをよばれ]ないように動く
戦闘後には魔獣に対して冥福を[祈り]、鎮魂のうたを[歌唱]

【心情】
魔獣とはいえ、生き物を殺すのは抵抗があるわね
けれど、約束したから
領民たちの未来を切り開くため、愛する人たちのために
……私たちは戦うの
「……deus videt te non sentientem.(貴方が感じなくとも、神は貴方を見ている)」
暗黒でないこの世界には、光があるのよ



 他の猟兵たちの戦いの勝利が確実になっていたころ、館の別の方向から侵入を試みようとした冷泉・響杷(凛として咲く華の如く・f00930)は、オルトロスの群れと対峙していた。
「他の猟兵の皆さんは正面から侵入を試みているのね……」
 ならば、出来るだけここで魔獣を惹き付ければ、正面の戦力をおのずと削れるはず。
 苦戦は覚悟の上。だからこそ、冷泉は策を練る。
 まずは彼女は戦場で歌い始めた。これに魔獣達は耳を澄まし、出方を窺っているようだ。すぐに攻撃を仕掛けてくることはないと判断した冷泉は、聖者特有の聖なる光を魔獣の群れの中心で放ち、影を掻き消していった。
(魔獣とはいえ、生き物を殺すのは抵抗があるわね)
 聖者たる冷泉には、オブリビオンとはいえ魔獣も命を持つ生きとし生ける者として認識しているのか、それを殺す事に抵抗を覚えていた。だが、彼女の胸に領民たちとの約束がよぎる。
(けれど、約束したから。領民たちの未来を切り開くため、愛する人たちのために……)
 冷泉は魔獣達を見据える。その両目に太陽光と月光が宿り始めた。
「……私たち、猟兵は戦うの」
 そして、意を決してユーベルコード『神が全てを見通す目(アイ・オブ・ホル)』の詠唱を口にした。
「……deus videt te non sentientem.(貴方が感じなくとも、神は貴方を見ている)」
 次の瞬間、彼女の双眸から太陽と月の光線が魔獣達に放たれた!
 その光線は意思を持ったかのように曲がりくねり、敵を誘導して心臓を、頭を穿ち抜いていった!
 魔獣達は影の中から増殖を試みるが、冷泉の放つ聖なる光が魔獣達の足元に影を作ることを許さない。
「暗黒でないこの世界には、光があるのよ」
 次々と魔獣の死体の群れを築いていった冷泉は、最後の1匹を目で射抜き終わると、裏口から領主の館へ侵入していく。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちは、遂に領主の部屋を探り当て、勢いよく乗り込んでいった。
 安楽椅子に腰掛けていた領主――ヴァンパイアが立ち上がる。
 すると、猟兵たちへ問い掛けた。
「何故だ? 何故、抗う? その正義という感情など志して何になる? でなければ、こうして私に殺されずに済んだものを……」
 猟兵たちなどいつでも殺せる。そう言いたげなヴァンパイアが君達の前に立ち塞がった。先程のオルトロスの群れとは桁違いの戦闘力を有していると、君達の直感で計り知れるだろう。
 さぁ、領民たちの想いを背負い、猟兵たちよ、武器を取れ!
 君達の正義を巨悪に見せ付けてやるのだ!
イヴ・クロノサージュ


領主の部屋に
――機械鎧兵が大きすぎて突入できない

その事実がイヴ・クロノサージュにとって
大きな壁となり立ち塞いだ

人生で始めて彼女は…生身で強敵と対峙する



転生前は元地球人の学生
平和な国で争いには無縁の世界で生きてきた彼女にとって
初めて感じた恐怖
声も出ず脚が震え、眼元には涙が浮ぶ

今までは鋼鉄の戦艦にロボット、仲間に守られていた
ちょっと家事と料理ができるだけの普通の女の子で
恐ろしさで恐怖に支配されそうになった

だけど、どうしてだろう?
やらなくちゃ、と
領民の人たちを思い浮かべ
イヴはこう願った

怖くて恐ろしいけど…
立ち向かう、力が欲しい……!

――その時、聖槍が彼女の前に降臨した

◆戦闘
アドリブお願いします!


リーヴァルディ・カーライル
…ん。ジェイクだっけ。よく見ておいて
ここから先は実践で教える。吸血鬼の狩り方を…

…まずは妙な期待はしない
敵が強大だと認め、確実に滅ぼすまで観察を続ける

改造した防具の呪詛を変更
第六感を強化して些細な存在感も見逃さない見切りで
敵の殺気を感知して【吸血鬼狩りの業】で回避する

…筋肉の動きを見逃さないこと
能力を使う時も肉体の反応は決して誤魔化せない

敵の目前でレッスンを続け、挑発し攻撃を誘惑
敵の隙を命を吸収する大鎌を怪力任せに突き刺し、
力を溜めた大鎌をなぎ払って傷口を抉る2回攻撃を狙う

…そして仲間と連携、円の動きで追い込む
全周位を把握できても、背中が弱い事に変わりはない
…今みたいにね。理解した、吸血鬼?


八剱・忍
「抑えつけられたら反抗するんが人間の性や。せやから、その代弁者を買って出ただけで正義とか関係あらへん。」
大鎌の切っ先を相手に向けてな、続けて言葉を紡ぐわ。
「要はな。うちは、格上気取るあんたが気に入らんだけや」

先手必勝や。一気に距離を詰めて先制攻撃を仕掛けるわ!スキル「暗殺」で死角に回り込んでから大鎌振るうのが基本戦術や。攻撃はスキル「見切り」でぎりぎりを見切るで。

「……いつまで寝とんねん。そろそろ目覚ましや」

親指を噛み切り、血を大鎌の刃に押し付け塗ったら、ユーベルコード「魂喰らい」や!

「振るえ、ほんで魂喰ろうてまえ!」

漆黒の炎を纏った大鎌で、とどめにスキル「なぎ払い」で首刈りを狙うわ!


キギ・レインメーカー
俺たちを侮って油断してるね、そこに付け込むよ
【行動方針】
味方の猟兵のために隙を作ろうか、「挑発」して「逃げ足」で逃げに徹するよ
高慢な吸血鬼のことだし軽く煽ったら乗ってこないかな

●POW技対策
「レプリカクラフト」で「血で書いた誓約書」を模造して自分or味方の猟兵に当たったように偽造できないかな
1度しか使えないだろうから慎重に機を伺いながらここぞってタイミングでできたらいいかな
●SPD技対策
「逃げ足」で逃げに徹する
●WIZ技対策
五感共有してるみたいだし「世界知識」「毒使い」を元に「レプリカクラフト」でとびきり臭いがきつい毒物を作ろうか、吸血鬼が嫌いなやつね

【その他】
連携、アドリブ歓迎です


リカルド・マスケラス
イヴはゴメン

領主の問いっすけど
「抗わなければ、自分が助かったとしても心が死ぬんすよ。大切な人の為に、そして自分の誇りの為に人は正義を掲げ、立ち向かうんす」
猟兵に任せきりだった…みたいなことでジェイク達が悔やまないように一緒に戦いたかったってのは自分のエゴっすかねー?

そんな訳でジェイクを連れてきちゃって不利な所はあるが、そこは【ジャスティス・ペイン】で身体能力を上げて補う
基本は鎖鎌での攻撃と鎖分銅での拘束。
クルーエルオーダーの契約書は仮面で受け止める。ルールを破ったダメージは自分が肩代わりして、ジェイクに攻撃してもらうっす

あとは、この戦いを通してジェイクが思ったことを領民たちに伝えてほしいっすね



 領主のヴァンパイアは問うた。
「何故だ? 何故、抗う? その正義という感情など志して何になる? でなければ、こうして私に殺されずに済んだものを……」
 これに真っ先に返答した猟兵がいた。八剱・忍(黒の囀り・f13028)である。
「理解でけへんのやったら、うちが教えたるわ。ええか? 抑えつけられたら反抗するんが人間の性や。せやから、うちはその代弁者を買って出ただけで正義とか関係あらへん」
 大鎌の切っ先を相手に向けて言い放つ八剱。間髪入れずに彼女は言葉を継ぐ。
「要はな。うちは、格上気取るあんたが気に入らんだけや」
「笑止。返答になってないぞ、小娘が」
 片腹痛いと苦笑するヴァンパイアへ、今度はリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)が村人ジェイクの身体を通して答えた。
「抗わなければ、たとえ自分が助かったとしても心が死ぬんすよ。それは到底、“生きている”とは言えないっす。それに後悔という重いものを一生背負う事になってしまうっすからね。だから、大切な人の為に、そして自分の誇りの為に、人は正義を掲げ、立ち向かって――あんたを倒すっす!」
 この時、リカルドはジェイクと精神的会話を行っていた。
(ジェイク、いよいよっす。覚悟はいいっすか?)
(ああ、ここまで連れてきてくれて感謝してるぜ……! 奴をぶっ倒すぞ、リカルド!)
(もちろんっすよ! でも……よかったっす。実は自分、猟兵に任せきりだった……みたいなことでジェイク達が悔やまないように、一緒に戦おうと誘ったっすよ。これって自分のエゴっすかねー?)
(……いいや、それはな、リカルドの優しさだ。そして、それは今この場で何よりも強い原動力だぜ!)
 リカルドとジェイクが鎖鎌を身構える。既にユーベルコード『ジャスティス・ペイン』は発動され、身体能力が向上している。
 それを悟ったヴァンパイアが不敵に口角を吊り上げた。
「あくまで叛逆の牙を向けるか、猟兵たちよ。よかろう。ならば私が手ずから狼藉者を滅ぼしてやろう!」
 他の猟兵たちも身構える。いよいよ、戦闘が始まる。

「先手必勝や!」
 八剱が地面を蹴り出し弾丸のように駆けだすと、ヴァンパイアの周囲で素早く高速移動を始めた。そして死角から何度も暗殺しようと刃を振るってゆく!
 ヴァンパイアも自身が装備する豪奢な刀剣を50個複製し、念力で全てばらばらに操作! その剣を盾代わりにして八剱の大鎌の斬撃を紙一重で弾いてゆく! そしてカウンターとして吸血鬼が剣を放つも、八釼は寸でのところで見切り、ギリギリ回避してゆく!
 その間にリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)がリカルドとジェイクに話しかけてきた。
「……ん。ジェイクだっけ。よく見ておいて。ここから先は実践で教える。吸血鬼の狩り方を……」
 リーヴァルディはまず心構えを説き始めた。
「レッスン1……まずは妙な期待はしない。敵が強大だと認め、確実に滅ぼすまで観察を続ける」
 すると、彼女は八剱とヴァンパイアの間に割って入ると、宙に浮かぶ刀剣を一気に薙ぎ払って叩き割ってしまった!
 その間にリーヴァルディは改造した防具の呪詛を変更して第六感を強化! 飛んでくる刀剣に対して、些細な存在感も見逃さない見切り技能によって敵の殺気を感知!
 これが『吸血鬼狩りの業(カーライル)』なのだ!
「……吸血鬼狩りの業を見せてあげる」
 彼女のユーベルコードは、対吸血鬼に対しては無敵の回避性能を誇る。迫りくる刀剣の雨の中を、まるで散歩をするかのように平然と歩いてゆき、全て回避してゆく。そしておもむろに大鎌を振り上げると、八剱へアイコンタクト。八剱もそれを受け無言で頷く。
「レッスン2……。筋肉の動きを見逃さないこと。能力を使う時も肉体の反応は決して誤魔化せない……」
「何をごちゃごちゃとぬかしているのだ!?」
 面白くないヴァンパイアが直に刀剣を握り、リーヴァルディに切り掛かる!
 だが、それよりも先に八剱の行動の方が早かった。
「……いつまで寝とんねん。そろそろ目ぇ覚ましや」
 八釼は親指を噛み切り、血を大鎌の刃に押し付け塗り付けた。
 彼女の持つ大鎌デモン・サイズが歓喜に震え、ユーベルコード『魂喰らい』が発動! 漆黒の炎を纏い魂を喰らう悪魔の大鎌へと変化すれば、ヴァンパイアの身体にその刃を食い込ませて深手を負わせた!
「ちぃっ! 首は刎ねられへんかったか!」
「……大丈夫。私に任せて」
 リーヴァルディが大鎌『過去を刻むもの(グリムリーパー)』を怪力任せに傷口へ食い込ませて抉ってゆく! 一度振り抜いた大鎌を、彼女自身が独楽のように回転することで遠心力を付与し、もう一度その鋭利な大鎌の刃がヴァンパイアの身体を抉り取った!
「ぐっは……!?」
 ヴァンパイア、ここで膝を付いて血を吐いた!
 劣勢を悟ったヴァンパイアは次なる一手を放つ。
 すかさずヴァンパイアが血で書いた誓約書を丸めてリカルドに投げ付けた。その誓約書は白狐の仮面であるリカルド本体に直撃する。
「クルーエルオーダー! 貴様は我に攻撃をする事が出来ない!」
 唐突な『攻撃禁止令』を喰らったリカルドは困惑の声を上げる。
「それは卑怯っすよ!?」
「ふははは! 勝てばいいのだ!!」
 これではリカルドは攻撃が出来ない! 試しに鎖鎌を振り回してヴァンパイアへ攻撃を試みるが、白狐の仮面に電撃のような衝撃が走る!
「うわっ!? 効果は本物っすね!! だったら、ジェイク!」
 リカルドはジェイクに身体の主導権を渡す。するとジェイクはヴァンパイアの誓約書を破り捨ててしまった!
「リカルド宛の誓約書だったら、俺には関係ねぇよな?」
「おのれ! 貴様も誓約書の効果に含めば良いだけだ!」
「そんな悠長な時間あると思うかよ!?」
 敵の動きを観察し、予測したジェイクの渾身の右ストレートパンチがヴァンパイアの顔面に直撃!
 壁まで転がりながら吹っ飛ぶヴァンパイア!
「ざまぁみろ、クソ吸血鬼野郎!」
「ジェイク、やるっすね!」
 再び身体を任されたリカルドが声を弾ませる。
 だが、それでも立ち上がるヴァンパイア。その眼に怒りの炎が灯っていた。
「私を虚仮にして、許さない、許さないぞ!!」
「ふぅん、だったらどうするのかな?」
 キギ・レインメーカー(オラトリオの探索者・f02371)がドヤ顔で言い放った。
「ほら、俺は無傷だけど、攻撃してこないのかな? んん?」
「……その言葉、後悔させてくれる!!」
 ヴァンパイア、再び刀剣を複製させて念力で飛ばしてきた! それにキギは猛ダッシュで回避!
「こっちだ、こっち! ヴァンパイアって随分と鈍臭いんだね?」
「貴様ッ!?」
 激昂するヴァンパイアを引き付け、部屋中を逃げ回り続けるキギは仲間たちに目配せをする。
 今のうちに態勢を整えろ、と。
 それもそのはず。先程から涙目のまま全身と奥歯をガタガタ震わせて立ち尽くしているイヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)を猟兵たちは庇っていたのだ。
「イヴ、さっきはごめん」
 リカルドは小さく謝る。
「い、いえ、謝るのは……わたしの、方です……。この部屋には、機械鎧兵が入りません……。宇宙戦艦も外にあります……。わたしは、何もできません……!」
「村では……回復をしていたのに?」
 リーヴァルディは首を傾げてしまう。確かに、大人しく『生まれながらの光』でサポートに回るべきであった。だが無力感と恐怖に苛まれている今のイヴに正常な判断は持ち合わせていない。パニックに陥り、戦意を喪失してしまっている。
 ゆえに、猟兵たちはイヴを守りながら戦うほかなく、今ひとつ強硬な態度に出る事が出来なかった。そして、今まで機械鎧兵や他の猟兵たちに守られて依頼をこなしてきたという事実、更に現在、足手纏いになっている現状を突き付けられたイヴの心の中は濁流の如き感情の渦が支配していた。
「わ、わたしは……!」
 元々、イヴはUDCアースの人間だった。だが何の因果か、時空の魔力に巻き込まれてミレナリィドールとして異世界へ転生してしまった身なのだ。猟兵として選ばれてからも、臆病な彼女はしばらく外界との接触を拒んでいたくらいだ。
 心が折れそうになり、この場から消えてしまいたい衝動に駆られてしまう。
「わたし、は……!」
 だが、彼女は領民との約束を思い出した。
 すると不思議と恐怖心が晴れてゆく。代わりに沸き上がったのは使命感。そして猟兵への自覚の芽生えであった。
 やらなくちゃ。
 そう思った瞬間、イヴの心臓が輝き出す!
「わたしは、怖くて恐ろしいけど……、立ち向かう、力が欲しい……!」
 脈打つ輝く心臓が輝きを増してゆく!
 そしてイヴは万感の願いを込めて叫んだ!
「聖槍よ。わたしの声に応えてっ! 皆を守る力を……! 《聖槍聖域》プリズム・セイントランス!!」
 イヴは自らの心臓を掴み取ると、その光は白銀の聖槍へと変化した!
 これがイヴの新たなユーベルコード『《聖槍聖域》プリズム・セイントランス』の覚醒である!
「なんや!? そないな事ができるんやったら、はよ言うてや!」
 八釼はイブにツッコミを思わず入れてしまった。
「い、いえ、わたしも、初めてで……! ですが、これの使い方は分かりますっ!」
 イヴは槍の穂先を床に突き刺すと、光が漏れだして聖域へと変化、猟兵たちを優しく包んでゆく! 更に聖域内の猟兵たちの傷と体力が全快!
「すごいっす! これならもういっちょ暴れられるっすね!」
「そうだね……レッスン3が、できる……」
 リカルドとリーヴァルディが再び武器を手に取った。
「おーいっ! そろそろこっちは限界だ!」
 キギが今までほうぼうの体でヴァンパイアの攻撃から逃げ回っていた。
「皆さん、一気に畳みかけましょう!」
「急に威勢が良くなったな、イヴはん? ま、その意見には同意や!」
 イヴと八釼はキギの前に立ちはだかる!
「レッスン3……、仲間と連携、円の動きで追い込む。全周位を把握できても、背中が弱い事に変わりはない」
 リーヴァルディとリカルドはヴァンパイアの背後に立ち、挟撃が実現する。
「そういう事っすよ! 全方位一斉攻撃を喰らうっす!」
 まずはイヴの重量級の高速突きがヴァンパイアを貫く! 貫かれた部分が浄化され、ヴァンパイアの身体が灰となってゆく!
「振るえ、ほんで魂喰ろうてまえ!」
 八釼の漆黒の炎を纏った大鎌が薙ぎ払われるが、ヴァンパイアは身を捩って辛うじて首を落とされることを回避! だが代償として左腕が落とされ宙に舞う!
「ガラ空きっす!」
 リカルドの鎖鎌の一撃が吸血鬼の左脇腹を切り裂く!
「おのれ! だが私も奥の手を隠しているぞ! サモンシャドウバット!」
 発見されにくい影の蝙蝠を召喚して猟兵たちを攻撃せんと闇へ放つヴァンパイア。
「今度はこっちが切り裂いてくれる!」
「果たして、それはどうかな?」
 すかさずキギがレプリカクラフトで偽造した薬剤瓶の中身をヴァンパイアの頭上へ向けて放り投げた。それをキギはアサルトウェポンで撃ち抜けば、強烈な異臭が部屋の天井部分漂い始めた。
「げはっ、げはっ!? こ、これは堪らん!!」
「当然だ。今、腐ったニンニクと唐辛子の粉末をばら撒いたからね。影の蝙蝠が吸ったら、五感を共有している吸血鬼本人が悶絶するのは必然だ」
 猟兵も幾分か被害を受けているが、これによってヴァンパイアの動きが完全に止まった。この好機を吸血鬼狩りのリーヴァルディが見逃すはずがなかった。
「……トドメは背後から、心臓を潰す。こうやって、ね?」
 二連マスケット銃の『吸血鬼狩りの銃・改(Kresnik)』に呪壊弾を籠めると、至近距離からヴァンパイアの心臓を狙って引き金を引いた。撃ち込まれた呪壊弾がヴァンパイアの心臓に達すると、自壊の呪詛が発動!
「どう? 理解した、吸血鬼?」
「か、体が!? う、うわあああああぁっ!?」
 リーヴァルディの問いに答える間もなく、見る見るうちにヴァンパイアの全身が塵へと化してゆき、気が付けば床に灰塵の山が出来ていた。それも部屋の窓を開けてしまえば、風に吹かれて消えてなくなってしまうのだった。

「リカルド、そしてお前たち。俺達の怒りと正義を受けとめてくれて、本当にありがとう」
 村に戻ってリカルドから離れたジェイクが猟兵たちと熱い握手を交わしていた。
「あ、もしよかったら、この対吸血鬼の匂い瓶、置いていくよ?」
 キギは作った例の小瓶を数本、ジェイクに手渡しておく事にした。苦笑いしながらも、快く小瓶をジェイクは受け取った。
「領民たちによろしくと伝えてほしいっす!」
「ああ、勿論だ、“相棒”!」
 元の身体に戻ったリカルドとジェイクは、すっかり打ち解けていた。
 一方、八釼とリーヴァルディはイヴの槍の出所に興味津々のようだが、イヴ本人がよく分かっていないので結論は出ずに終わった。

 こうして、正義は為し得られた。
 猟兵たちの戦いはやがて、この闇の世界にもっと大きな叛逆の光を差し込むことであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月31日


挿絵イラスト