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迷宮災厄戦③〜本能のままに貪る〜

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●本能

 響く、オレンジ色の空が闇に侵食された不気味な森に獣の様な鳴き声が――
「食べつくしてアゲる……餓えて、餓えて、仕方がないの」
 樹々がざわめくと金の髪が夕闇を彩るかのように靡き、大切に細い両腕に抱えているぬいぐるみにシミが広がる。
 光を失った瞳は“何か”を探すかのようにせわしなく動き、小さく開かれた唇の端からヨダレが口から溢れて透明な糸を引きながらぬいぐるみの頭上に垂れる。
「美味しそうなニオイ……あぁ、アリスが来るのね。この餓えを満たしてくれるかしら?」

 小さな体が宙を舞う――

 樹の枝が小さく軋む音を立てると、少女、否少女たちは群れを成して“餓え”を満たすために駆け出した。

●グリモアベース
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。さて、アリスラビリンスにて“迷宮災厄戦”という大きな戦いが始まりました。それで、皆様にお願いしたいのは“夕闇に支配された不気味な森”にて蠢くオウガの群れを倒していただきたいのです」
 優しい笑みを浮かべたままロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は、集まった猟兵たちに告げた。
「皆様が今まで戦ってきたオウガの姿もありましょうが、この森にいるオウガ達には“不気味な身体部位”が埋め込まれております。そう――猫の本能を詰め込まれた心臓を」
 ロイドが説明をし終えると、ゆっくりと瞬きをした。
「オウガはほぼ猫に近い身体能力を得ておりますので、対抗手段をしっかりと考えてから現地へ赴いてください。それでは気を付けていってらっしゃいませ」


龍真 神
 オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
 龍真 神(タツマ シン)と申します。
 よろしくお願いします。

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 プレイングボーナス……「不気味な身体部位」への対抗手段を考える。
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 連携する場合は、相手のIDやチーム名の記載を忘れずにほぼ同時にプレイング送信して下さい。
 ※連携人数は最大でも4~5人が限度となりますのでご留意ください。
 プレイング受付は最大10件となりますが、午前8時半以降に日付をずらして送っていただければなるべくは全て採用出来る様に努力します。
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第1章 集団戦 『閉幕のアリス』

POW   :    ハートボム(打撃武器運用)
単純で重い【ハートボム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ハートボム(投擲武器運用)
【接触地点で大爆発するハートボム】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    ハートボム(射撃武器運用)
レベル×5本の【愛】属性の【着弾地点を貫く、ハートボム】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霧水・砕牙
[絡み・アドリブ歓迎]
猫の本能詰め込まれた心臓を埋め込まれて、猫に近い身体能力……!?
つまり……今回のオウガはにゃんこ……!?

ということは俺の【咎力封じ】で使う拘束ロープとか、アイテム【マント】のヒラヒラに反応して飛びかかるとして……。
その飛びかかりの時に心臓付近が無防備になったりしないかな?

でも身体能力だけかもしれないから、普通に【咎力封じ】使って押さえ込もう。
あわよくば拘束ロープに反応して、猫のようにばんざーいってしてくれますように。心臓狙いやすくなるから。


「猫ってあれだよな、よく伸びるっていう……」

「俺のマントでじゃれたりしないかな?」

「殴られたので殴り返すだけだ!!文句あるか!!」


浅雛・亀介
「喉ヨシ、ヘッドセットヨシ、スピーカーヨシ。……随分と遅くなっちゃったけど、デビュー戦、歌わせてもらいますよ」

・仲間猟兵への支援行動を行います。
特に乱戦になっている場所があれば、その近くの高台や遮蔽のある場所など、オウガの注意を引きつつも極力戦闘の邪魔にならないような場所から、ユーベルコードによる戦闘支援を狙います。可能であれば、積極的に他の猟兵さん達との連携を取りに行きます。

後は、ダメ元ですけれど、歌声で「不気味な身体部位」への干渉を試みます。ほら、猫って飼い主の歌声に反応することもあるって聞きますし、何かしらの反応があることも考えられるかなって。


月日・とがね
猫の本能を与える心臓……
猫特有の機敏な動きには注意が必要ですね

【全力魔法】で【七耀符:埋火】を使用
即時起動する符と効果遅延した符を敵に向け打つ
全ての符は打ち切らず周囲に展開する

流石に簡単には当たりませんか
でも外れた符のお陰で私達の周囲は燃え広がります
動物の本能的に火は苦手ですよね?逃げ場を封じます

効果遅延した符が起動
【七耀符:埋火】は遅延した分、威力が上昇し
爆発的な威力になり大きな音と光を放ちます
猫なら大きな音に身を竦めるはずです

【七耀符:埋火】は使用時に遅延時間を設定します
もちろん私の周りに展開している符もです
動きが止まった敵を狙い打ち出します
最後まで取っておいた符です。威力は保証します



●業火

「猫の本能を与える心臓……」
 地獄の炎で白い瞳は静かにオレンジ色に燃え、微かな光で照らされている森の影から月日・とがね(七耀の輪廻・f00752)は視線を感じつつ呟いた。
 右目は黒い布で覆われており、服装は紺のセーラー服で華奢に見えるがちろちろと燃える地獄の炎へ無数の視線が突き刺さる。
「(猫特有の機敏な動きには注意が必要ですね)」
 とがねの周囲は自身の炎で照らされ、待っていては意味が無いのならば炙り出せば良い、獣は火を恐れるから――
「あなたの今日を燃えるような熱い日に……」
 とがねが静かに抑揚のない声色で呟くと、白い模様が描かれているオレンジ色の符が彼女の周囲に生成される。
 半月を描くかの様に手を横に振ると、実体のない無数の符が視線を感じる方向へと放たれた。
 空を切った符は、地面や樹々に当たるとごうっと燃え上がり薄暗い森を照らし出されると、閉幕のアリス達が影から音も無く姿を現す。
「――ッ!」
 ドン、地面が揺れ、樹々のざわめきがより一層大きく響いたかと思えば、とがねの足元にうさぎのぬいぐるみが地面にめり込んでいた。
「……いた……」
 視界が湿った土や瑞々しい緑で覆われた瞬間にとがねは、微かに閉幕のアリスの声が聞こえた。
「喉ヨシ、ヘッドセットヨシ、スピーカーヨシ。……随分と遅くなっちゃったけど、デビュー戦、歌わせてもらいますよ」
 浅雛・亀介(シンギングタートル・f00098)が“シンフォニックデバイス”を起動させながら、ヘッドセットを装着すると少女と見間違うほどの笑みを浮かべた。
「Set――――1、2――――」
 スマホを片手で操作するとスピーカーから曲が流れだし、観客は居ないが敵は無数に居る――そんな場所で深呼吸をする。
 サファイアの様な大きな青い瞳が再び開かれた時、亀介の白い髪を揺らしながら歌を紡ぎ始めた。

●歌

「猫ってあれだよな、よく伸びるっていう……ん? 歌声?」
 転移された瞬間に霧水・砕牙(《黒の風》[プレート・ヴェント]・f28721)の耳に届いたのは亀介の歌声だ。
「なるほど、これは助かります」
 とがねは無機質だが、それは見た目や表現という意味であって心に感情は存在している。
 亀介の歌声に心を共感させ、ピューマやジャガーの様な森に生息する大型の猫の様に身軽に動く閉幕のアリス達が接近した瞬間――

 ドンッ、喉が焼けるような熱風と共に火柱が森の中から夕闇に染まっている空へと伸びた。

「えげつねぇなぁ……」
 砕牙は燃える森の中に平然と佇むとがねに視線を向けた。
 グリモア猟兵から聞いた情報で此処で戦うオウガは猫の本能が詰め込まれた心臓を植え付けられていると聞いて、『実質にゃんこなのでは?』と前向きな考えで来たのだが……
 とがねの符で炭の様に焦げた人の形をした何かを見て、砕牙が口元を拳で押さえながら呻き声を漏らす。
「俺のマントでじゃれたりしないかな?」
 炭は霧散して消えてしまうと砕牙の前に閉幕のアリス達が猫の手の様に握った拳を振り下ろす。
 素早く身に着けているマントを翻し、彼女たちの拳はぽふと手ごたえのないマントを殴った。
「ほらほら、これとかどうだ?」
 拘束ロープを地面に落として端を掴んだまま砕牙は、地を這うヘビの様に左右に振ると閉幕のアリス達は頭を低くしてお尻を上げてゆっくりと左右に振る。
「(アレ、完璧に犯罪のニオイしかしないのですが!?)」
 亀介が歌いながらちらっ、と横目で砕牙のロープに群がる閉幕のアリス達を見たが、直ぐに見なかった事にして歌う事に集中する。
「確かに心臓には猫の本能が込まれているとはいえ……」
 森を燃やして閉幕のアリス達の逃げ場を失わせ、符を放って次々と倒すとがねは冷ややかな視線で砕牙を一瞥した。
 成人男性と見た目は少女、埋め込まれている“不気味な身体部位”は猫の本能が詰め込まれた心臓なだけで、それを知っていようが次から来る猟兵が目にしたがギョッとするだろう。
「まだまだ!!」
 亀介がスマホを操作して、別の曲に切り替えると再び歌声を響かせた。
「これで、どうだ!!」
 砕牙がロープに夢中になっている閉幕のアリス達に向かって手枷、猿轡、拘束ロープを放つと、少女たちは攻撃する手段を奪われてしまう。
 その隙に“拷問具”で胸に埋め込まれた心臓を破壊した。

 数を減らしても尚、閉幕のアリス達の数は未だに分からない。

 静かな夕闇に支配された森は、オレンジ色の炎で燃え上がり、歌声が猟兵たちの戦闘力を増強させる為に響く――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鈴木・志乃
ほーれほーれ
(鈴蘭を活けた水※猛毒に浸した)マタタビだよー
君達の大好物でしょー? おまけに念動力でこんなにフリフリされたら思わず跳び付いちゃうよねー? 知ってる、動く獲物は追いかけちゃうもんね君達……。

あ、敵UCは自UCで対抗します
ボム(無機物)ならキャンセル出来るはず、DA!

マタタビ食べて倒れてくれないかなぁ
尚こちらに特攻して来た場合、高速詠唱で水を生み出し反撃します。
猫は水が大嫌いです。かかるものなら猛烈に暴れ狂います。
水のオーラ防御でも張っとけば私に近づけない……かもね?

さて全力魔法で水攻めするかUC全力魔法の衝撃波でなぎ払い攻撃するかは、その時の状況を見て決めましょうかね。



●野生の勘

「猫の本能といえばっ! コレでしょう!」
 乾燥させた木片が入っている袋を取り出した鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、袋の口を開き閉幕のアリス達に向かって上下に揺らす。
「ほーれほーれ、マタタビだよー?」
 毒を染み込ませたモノはいえ、惹かれない猫はいないだろうと思い志乃は念動力で袋を動かす。
 彼女は世間一般的な猫が好むと耳にする知識を活かして、戦いを有利に進めようと思いついた考えであったのだが――
「いやよ。そんなの食べ物じゃないわ。アナタが喰われるのよ?」
 猫の本能を得ているとはいえ、アリスがオウガとなってしまった閉幕のアリス達は基本的に“人”である。
「うふふ、ソレ。毒でしょう? おねーさん、顔に書いているわ」
 目の鼻の先には幼く、愛らしい人形のような顔に吸い込まれるような青く澄んだ大きな瞳が志乃の作戦を見透かしているかの様に、視線が逸らせない――
「くっ!?」
 猫の本能のみ対策を考えていた志乃はヘリオライトの様な瞳を見開き、苦悶の表情を浮かべながらオーラを展開させて雨の様に無数の“ハートボム”が彼女に投げられた。
 ドォン、と爆発音がして湿った土と葉っぱの匂いが肺を満たし、第六感で閉幕のアリス達の動きを読む。
「今一時銀貨の星を降らせる、世界の祈りの風よ」
 周囲の無機物が“世界に幸福な幻想を生み出す祈りと浄化の風”に変換し、操って次々と飛んでくるハートボムを風で弾き返した。
「(水を――)」
 中央の窪みにアクアマリンを埋め込んだ箱“雨降小僧”で魔力で水を生み出して志乃は、自信を守るために展開したオーラに込める。
 水を生成し、襲い掛かる閉幕のアリス達に水をぶっ掛ける、が――

 これも、甘かった。

 水が苦手な猫は多いが、やはり本質はアリスだったオウガ。
 怖がるどころか、餓えた獣の様に閉幕のアリス達は新鮮な肉へと喰らいつく――オウガだ。

 志乃が覚悟をした表情で迎え撃とうとした瞬間、一人の猟兵が間に入ると力強い声を上げた。
「いくら素早くても、付け焼刃のつまらない曲芸ね……遊んであげるからかかってきなよ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

政木・朱鞠
ちょっと危険だけど、敵さんを【挑発】するように語りかけちゃおうかな…。
いくら素早くても、付け焼刃のつまらない曲芸ね…遊んであげるからかかってきなよ。
貴方達が欲望を満たすために非道な捕食を行なった事をたっぷりと後悔させてここで幕引きさせて貰うよ…。

戦闘【POW】
猫の能力で素早い動きは厄介だけど、攻撃で向かってくるならタイミングを狙って捕まえてやるだけだよ。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使って体に鎖を絡めて動きを封じたいね。
猫心臓は後付け器官だから効果が有るか未知数だけど…『忍法・投げ恋菱』で今まで犯した咎について楽しくお喋りして貰おうかな。

アドリブ連帯歓迎


ナギ・ヌドゥー
猫が本気を出せば素手の人間では勝ち目が無いという
ましてやオブリビオンが猫の身体能力を得たら……接近戦では戦えないな

遠距離戦に徹する
UC発動
武器サイコパームの【リミッター解除】
これでより遠くから強力な攻撃をできる
【誘導弾・制圧射撃】の【弾幕】を張る
光弾の誘導先は猫の本能を詰め込まれた心臓だ

敵UCは投擲か?猫が得意とは思えんが
接触すると大爆発するならその爆弾を【誘導弾】で狙い撃つまでだ
誘爆で纏めて爆死しな!


サビエラ・ナヴァツカ
猫なら、動くものを追いかけるよね?
なら俺は、まず『天翔ける蹄』で彼女達の周りを跳ねまわって気を引くよ
焦れて近づいて来るのを焦らず待とう

ボムを投げてくるなら【野生の感】や【フェイント】を使ってかわしていきたい
飛びかかってきてくれるなら、そのまま【怪力】【踏みつけ】で動きを封じよう

そのうえで弓で心臓を射たせてもらう
なるべく苦しまないよう、可能な限り一発で

アドリブ、共闘◎



●咎の数

「貴方達が欲望を満たすために非道な捕食を行なった事をたっぷりと後悔させてここで幕引きさせて貰うよ……」
 金色の髪が夕闇に照らされ、夕焼けの様な赤い瞳が怪しく光ったと思えば政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)に向かって閉幕のアリス達が駆け出した。
 ジャララと音を鳴らしながら鉛色の鎖状の金属に薔薇の棘が付いている“拷問具『荊野鎖』”を四方八方へ放った。
 蛇の様にしなり、意志があるかのように“咎”を喰らう為に閉幕のアリス達の体に絡みつき、白い肌に棘が食い込み血を啜る。
「命が惜しければ貴方の咎を指折り数えなさい……ただし、両手で足りたらの話だけどね……」
 妖艶な動作で朱鞠が投げキッスを放ち、『荊野鎖』に拘束されて体の自由を奪われている閉幕のアリス達は睨む。
「愛に……餓えて何が、悪いの!?」
 棘が食い込もうがそれでも体を動かして抗う閉幕のアリス達は、幼くしてオウガされたアリスだ。
「それが罪なら、アナタ達も同罪よ……」
 ずるり、と鮮血に濡れた何かが閉幕のアリス達の胸を貫いて飛び出す。
「……これは、私のユーベルコードが――」
 他の閉幕のアリス達が手にしたハートボムを振るって地面を破壊し、捕まった仲間もろとも朱鞠を倒す為に放ったハートボムに驚愕の声を上げた。

「(猫が本気を出せば素手の人間では勝ち目が無いという)」
 鉄が錆びた様な嗅ぎなれた血のニオイにナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は、銀色の瞳を細めると閉幕のアリス達へ視線を向ける。
「(手段、択ばずか……)」
 仲間の死体を盾にしながら閉幕のアリス達は、朱鞠へ息もつかせぬ攻撃を繰り出す光景を目の当たりにすると自然と口元が吊り上がった。
「天も地も我が道となれ――」
 タタン、と蹄で地面を蹴ってサビエラ・ナヴァツカ(獲物を狩る鹿・f03523)は、夕闇に照らされている森を駆け出す。
 傷付いた朱鞠を担ぎ、閉幕のアリス達の間を駆けて翻弄する。
「しっかり、捕まっててね」
 サビエラが“アルテミスの祈り”の弦を張りながら言うと、朱鞠はこくりと頷きながら腰を抱きしめた。

●衝動

 胸の中から溢れるモノは、悦び

 殺戮への衝動――

「心など、もはや不要!」
 指が食い込みそうな程にナギは、己の心臓がある胸の部分を握りしめながら獣の様に咆哮を響かせた。
 自身の体に埋め込まれている光線兵器“サイコパーム”が駆動音を響かせながら精神力をビームへ変換させ、掌を閉幕のアリス達に向けると無数のビームが射出される。
「逃がさん」
 猫の様に身軽さを活かして回避する閉幕のアリス達だが、ナギの想定内だった様で複数で一匹の獲物を追い込み、捕獲する獣様にビームが急に方向を変えたかと思えば心臓を貫いた。

「今!」
「分かっているよ」
 朱鞠が言うと、サビエラは死角から襲い掛かってきた閉幕のアリスを蹴り飛ばし、小さな体が吹き飛ぶと木に背中からぶつかると『荊野鎖』で拘束する。
 “アルテミスの祈り”に矢を番えて矢じりを向けて狙いを定め、弦を弾きながら矢を放って心臓を的確に貫いた。
「誘爆で纏めて爆死しな!」
 そう叫びながら投擲用のハートボムをビームで貫くと、閉幕のアリス達の手の中で爆発してしまい黒焦げになった人形の様に四肢を躍らせながらぼとり、と地面に落ちた。
「(何が愛、だ)」
 グシャリ、と閉幕のアリスをナギが踏みつけると霧散して消えた。
 口元や頬に手を当てると、どうやら自身が苦々しい表情をしていた事に気づいたナギは夕闇に支配されている空を見上げた。
「餓えや過去から解放させるのは……こうするしかない。一瞬で、苦しまずに――」
 サビエラはサファイヤの様な瞳で最後の閉幕のアリスを見詰めながら言うと、“アルテミスの祈り”から矢が放たれた。

 矢が胸を穿つと、閉幕のアリスは夕闇の空を仰ぐと小さく笑みを浮かべながら、過去へと消えていった。

 まだ、森には亀介の歌声が響く

 勇ましさよりも、慈しむ様な声色

 猟兵たちの影が、寂しくなった森へと伸びた――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月06日


挿絵イラスト