迷宮災厄戦②〜書架の国の殺人鬼(作者 高月 渚
2



 迷宮の様に沢山の本棚が並ぶ図書館の国に沢山のオウガが集まっていた。
 今、彼らはこの不思議の国に沢山のアリスを呼ぶ為の儀式を執り行っている。
 目的はこの世界のフォーミュラである、オウガ・オリジンにアリスの命を捧げるため。
 中にはおこぼれがもらえるかもしれないと集まったオウガもいるかもしれないが、彼らは複数のグループに分かれてこの迷宮の様に入り組んだ図書館の国の各地で儀式を執り行っている。
「ほら、もたもたしてないで早く儀式の準備を進めなよ」
 暇そうにお菓子を摘まみながらこの一角での儀式の準備を取り仕切っているのは時計ウサギの姿をしたオウガだった。
「あー早くアリス達がこないかなー」
 椅子に座り足をばたつかせ遠くを眺めながら儀式によって沢山のアリスがこの世界に召喚される様子を想像すると自然とオウガの口元が楽しそうに笑顔を浮かべる。
「別に食べる時に生きている必要はないよね? だから僕がアリス達を殺しても誰も怒らないよね?」
 沢山のアリスをどうやって殺そう……纏めて殺すのもいいし、一人一人殺すのもいい……殺し方だって何通りも試せる。
 あぁ……早くみんなの大好きなアリスを殺しつくしたい……とオウガ・『アリス殺し』のベルク・ナイフはその時がくるのを楽しみにしながら召喚儀式の成功を待つのであった。


「アリスラビリンスで大規模な戦いが始まりましたにゃー」
 集まった猟兵に挨拶をしながら予知の説明をする為にグリモアの力を引き出しているのはクゥ・チコット(光風のハーピスト・f03424)だ。
「不思議の国の色んな場所で予知が集まってますが僕が予知したのは沢山のアリスを召喚しようと企むオウガ達についてですにゃー」
 と前置きをしながらグリモアで情報を投影していく。そこは迷宮の様に入り組んだ図書館の国で沢山集まったオウガ達がいくつかのグループに分かれて召喚儀式を進めているらしい。
「儀式に集まっているオウガはとてつもない人数でこのグループのオウガに指示を飛ばしている司令官に辿りつくのも大変かもですにゃ」
 ですがどうにか皆さんには乱戦の中、オウガの群れを潜り抜け司令官の討伐をお願いしますにゃとお願いする。

「司令官についてですが、アリス殺しの異名を持つベルク・ナイフって名前のオウガですにゃ」
 どうやら大好きな人がアリスを気にかけているのが気に入らなくて、それでアリスを殺し始めたためにオウガになってしまったようですにゃー。
 今回もフォーミュラにアリス達を献上する前に殺してしまおうと楽しみにしているらしい。
「もちろん、そんな危ない企みは阻止しませんとにゃ」
 ベルク・ナイフの使うユーベルコードはこんな感じですにゃとさらに予知の情報を伝える。
 まず、オウガになったことで手に入れたのか、身体の部位を狼の頭に変化させて噛みつくことで、生命力を奪いながら自己治癒を行うのが一つ目。
 二つ目は装備しているテーブルナイフを無数に複製し、その全てを念動力で巧みに操る技。
 最後は狼型オウガへとその肉体を変化させ爆発的に上がった戦闘力で全てを蹂躙する技である。

「どれも強力なユーベルコードですにゃー。たどり着くだけでも大変な戦いになりますが皆さんが彼を討伐してくれると信じてますにゃ」
 どうかよろしくお願いしますにゃとお辞儀をし、では転送を開始しますにゃと集まった猟兵を送り出すのであった。


 転送された先では既に猟兵とオウガ達の戦いが始まっていた。
 入り組んだ本棚の通路、時々開けた場所もあるが戦場は複雑に入り組んでいた。
 そんな敵も味方もひしめく中で一瞬、狙いの司令塔であるオウガの長いうさ耳が見えた気がした。
 それはすぐに人ごみの中に消えたが、進むべき方向が分かっただけでも大きいだろう。
 時間がかかればより迷宮の奥に逃げられてしまうかもしれない……。
 猟兵達はアリス殺しのオウガを討伐するべく、この乱戦を潜り向けようと行動を開始した。


高月 渚
 お世話になってます。高月 渚です。
 アリスラビリンスでの戦争の開始です。この依頼は1章で完結する戦争シナリオとなっています。

 OPにも記載しましたが以下の行動がプレイングボーナスとして付与されます。

『プレイングボーナス……オウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近する。』

『プレイグと執筆について』
 OP公開後、参加者様のタイミングで送信していただいて大丈夫です。誰かと一緒に参加する場合は文頭にグループ名や相手のお名前とIDなどを記入後、近いタイミングで送信をお願いします。
 執筆にはお時間を頂くことになるかもしれませんのでお急ぎの方はご注意ください。

『依頼の補足』
 今回の戦場はサバイバルの舞台でもあります。なので依頼での討伐目標以外にも周りには沢山のオウガが居ますがそこはサバイバルの参加者が戦ってくれてますので深く考えなくても大丈夫です。
 参加者の皆様にはいかに乱戦を潜り抜け司令官とどう戦うかに集中していただければと思ってます。
 また、この戦場の依頼が成功するごとにシナリオ成功ひとつにつき🏅2万を加算されるようです。

 それでは長くなりましたが皆様のご参加お待ちしてます。
18




第1章 ボス戦 『『アリス殺し』のベルク・ナイフ』

POW ●僕はただのウサギじゃないよ
自身の身体部位ひとつを【狼】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD ●Dancing Knife
自身が装備する【テーブルナイフ】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ ●僕がアリスを食べてあげる♪
【真紅の瞳】に覚醒して【狼型オウガ】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はラフィ・シザーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎

「少し状況が複雑だし、大規模だけど……(眼鏡を外しつつ)……やる事は変わらないであります。……戦場に立ったなら、敵は屠る……!」

まずは、【選択UC】(第六感、見切り)で乱戦の未来を観測して、適切に此方への攻撃や流れ弾を回避しながら、今回の最優先目標の下に【ダッシュ】する。

敵はどうやら、ナイフを操るようでありますが――それも、回避できる道さえあればどうって事はない。回避不可の攻撃は、腕を硬質化させて致命傷を避けて(盾受け)、そのまま接敵。
アサルトライフル『刹那』の刃部分で【串刺し】にして【零距離射撃】でトドメ。
「――迷わず、逝け……!」


「少し状況が複雑だし、大規模だけど……」
 と戦場を見渡しながら眼鏡を外すのは紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)。
「……やる事は変わらないであります。……戦場に立ったなら、敵は屠る……!」」
 どんな状況でも冷静に戦えるようにと口調を変えるルーティーンを智華は本日も実行しながらアサルトライフル『刹那』を構え司令官を叩くべく動き出す。

 瞳を赤く輝かせながらユーベルコード・虚構の神脳を発動させた智華の目に映る光景がゆったりとした動きに変わる。
 一流のアスリートが陥ることがあると言うゾーンと呼ばれる現象に近いだろうか?
 その停滞した世界とも言える景色の中で智華はサイボーグとしての頭脳の処理能力を全力で開放する。

 右前方の敵、味方からの攻撃を回避、その流れ弾はそのまま左後方の戦闘地帯に命中、それなら安全に潜り抜けるには……。

 第六感と見切りを駆使しながら混戦する戦況の全てをその頭脳で演算し続けることで最小限の被害で目的地に到達しようとする智華、それは彼女がサイボーグだからと言うよりこれまで積み重ねてきた戦闘経験によってもたらされた奇跡の技とも言うべきユーベルコードだった。
「――見えた」

 乱戦の中見えたターゲットの耳とそこに至るまでの安全なルートを割り出した彼女の体は瞬時に動き走り出していた。
 常人なら途中で動きが止まりそうなギリギリで流れ弾や周り手で戦うオウガの攻撃を躱し、隙間に潜り込む様に進む彼女の動作にはまったくの無駄がなかった。

「あれ? もしかして見つかっちゃった?」
 よくこの混戦の中見つけたねーとベルク・ナイフは走り抜けてきた智華を称える様に迎えた。
「敵に褒められても嬉しくないであります! 貴方の企みは私達、猟兵が阻止するであります!」
 『刹那』をしっかりとベルク・ナイフに狙いを定めながら智華は敵の動きを見逃さない様にしっかりと目で捉えながら相対した。
「あは、言うね~君もそんなにアリスが大事なの? 別にこれから沢山呼ぶのだから何人か殺してもいいじゃないかこんな風にさ!!」
 ベルク・ナイフがいつの間にかテーブルナイフを取り出したかと思えばそれを宙に投げると、テーブルナイフは無数に複製される。
「ほら、切り刻んであげるよ!」
 この数の攻撃を避けれるわけないと自信たっぷりにテーブルナイフを念動力で操り多角度的な動きで智華を翻弄しようとする。
 だが、そんな動きに惑わされる智華ではなかった。

 派手にナイフを動かしているけど殆どは混乱を誘うフェイク、なら敵の癖を読み回避できるルートを探すのみ。

 瞬時にユーベルコードによる演算を行い、回避ルートを割り出した智華は迷いなくベルク・ナイフへと近づく。

「!? こいつ……!」
 まさかこの数の攻撃を見切っているのかと向かってくる智華の姿に驚きすぐさまかく乱を止めて集中攻撃に変える。
 だが、その切り替えさえも予測し行動に移った智華には殆どの攻撃は当たらない。
 どうしても回避できない攻撃と予測が告げれば、硬度可変ナノマシンスキンアーマー【迅】により即座に体表を硬化させて腕などを用いて致命傷を避けてみせる。
 全ては敵に一撃を喰らわせるため!!

「捕えた!」
 至近距離まで接近してみせた智華は『刹那』に搭載された刃の部分でベルク・ナイフの腹部を串刺しにして見せれば、敵の余裕な表情にわずかな苦しみが浮かんだ。
「――迷わず、逝け……!」
 銃身を固定した状態での回避不能の零距離射撃を智華はベルク・ナイフに叩き込んだ。

「クッソ……こんな所で死んでたまるか!!」
 銃弾を撃ち込まれて苦しみながらも智華を蹴りつけて拘束から脱出してみせたベルク・ナイフは傷口を抑えながら再び混戦する戦場へと逃げる様に隠れた。

 そんな彼に深追いはせず智華はユーベルコードを発動したまま周囲の状況から未来を演算する。
 一撃を与えたことであちらの方角に逃げたのなら他の仲間が遭遇する確率が上がったはずだ。
 なら、今やるべきはこの混戦の中でも動きやすくするためのサポートだと決めた智華はすぐさま行動を開始する。
 その顔には予知に集った仲間が必ず彼を倒してくれると信じている信頼が浮かんでいた。
大成功 🔵🔵🔵

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』のほほん忍者
一人称:私/私たち
対応武器『漆黒風』

いろんなオウガがいるものですねー。
生前請け負った任務と似てますしー。犠牲は出したくありませんからー。
そう、生前『鬼』とも言われた私の矜持にかけて、ね。

(口調『複合型悪霊』。語尾伸ばし消滅)
【暗殺】の要領で。駆け抜けられる場所は【ダッシュ】し、慎重に行く場所は【忍び足】。
敵からの【見切り】、目標を見つけたのなら【早業】で指定UC使いつつの武器を【投擲】。
攻撃を受けたとしても、【オーラ防御】【激痛耐性】で耐える。
相手は勝手に寿命を削る。それが他の猟兵への助けになればいい。

※他三人
『あいつが一番怖い』


「いろんなオウガがいるものですねー」
 のほほんと戦場に現れたのは馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)だ。
「生前請け負った任務と似てますしー。犠牲は出したくありませんからー」
 生前『鬼』とも言われた私の矜持にかけて、ねっとふふふと笑う彼の内側から3人の声で『やっぱしあいつが一番怖い』とツッコミが飛んできそうだ。
 一見、普通の多重人格者の悪霊に見える彼だが、その実態は4人の人間が合体した複合悪霊だ。
 その時々で最適な人格が表に出てきて任務にあたるのが彼らのスタイルなのだが、今回は疾き者と呼ばれる人格が私にお任せくださいと張り切っている。
 他の3人は一番怖い奴に任せて大丈夫だろうかと内心ハラハラしているのはここだけの話。

「それではそろそろ暗殺に参りましょう」
 語尾を伸ばす癖が消えたかと思えば疾き者はシュタッと素早い身のこなしで乱戦の戦場を駆け始める。
 今回の任務はいわゆる暗殺だ。生前もこんな風に多数の敵の中を潜り抜けて暗殺したことだってある、要は規模が違うだけでやることは同じだ。
 そう思いながら駆け抜けられる場所は素早く駆け走り、逆に慎重に動くべきところは忍び足で、敵や味方の攻撃の動作を見切りながら間を縫うように素早く潜り進む姿はまさしく忍者のそれだった。

「クソ! 猟兵め! 僕に傷を負わせるなんて!」
 混戦する戦場でふと少年の声が聞こえた疾き者は見つけたと思い、素早く接敵しながらも気配を消したその動作で少年、ベルク・ナイフに向けて自身の愛用の棒手裏剣・漆黒風を投げつける。

「ッア!? くそっまた別の猟兵か!」
 背後からの奇襲によってその背に深々と棒手裏剣を食い込ませながらベル・ナイフは疾き者の姿を捕らえると憎たらしそうに叫ぶ。
「邪魔をするな猟兵ども! 僕はアリスを殺しつくしたいだけなんだよ!!」
 怒りのままにその瞳が真紅に輝いたかと思えば、少年の姿は時計ウサギのそれから巨大な狼のオウガへと変貌してみせる。
「アリスの前にお前を食い殺してやる!!」
 怒りのままにその獰猛な牙を見せつけながら襲い掛かるベルク・ナイフ、だがそんな彼の攻撃を悪霊としてのオーラで防御しながら忍者としての素早い身のこなしで攻撃をいなす疾き者。
 既にこちらの呪いは発動した、後は時間を稼ぎながら相手の力を削ぐだけだ。
 敵のユーベルコードが寿命を削る性質を見抜いた疾き者はできるかぎり自分に釘付けにし他の猟兵の助けになることを選んだのであった。
「がぁぁぁ!!!!」
「おっと……」
 敵が渾身の勢いで噛みついてきて思わず避けられずに腕を噛まれてしまった……演技をする疾き者、牙が体に食い込むのは悪霊としてでも痛むがそこは激痛耐性で耐えきってみせる。
「あんたの攻撃変身したわりには大したことないね」
 噛みつかれているというのに涼しそうな顔をしながらベルク・ナイフに挑発をする疾き者。
 その挑発に怒りさらに牙を食い込ませるが疾き者の顔は涼しいままで逆に空いている片手でベルク・ナイフのマズルに漆黒風を突き刺してみせる。

「グァァァァ!!!!」
 反撃によろめき思わず後退するベルク・ナイフの巨体が書架に激突した時に、突如地震が発生した。
「!?」
「おやおや……」
 他の戦場で儀式を阻んだ影響だったりするのだろうか? 不運にも突如発生した地震の影響でベルク・ナイフはそのまま迷宮の様に入り組んでいる書架に押しつぶされるように本棚に埋もれてしまった。

「これだから私たちの呪いは怖いのですよね」
 最初の一撃で癒えぬ傷と共に与えたのは不慮の事故が起こる呪いだった。
 どんな風に呪いが発動するかは解らないがベルク・ナイフの様に悲惨な結果が付きまとってしまう呪いである。
「ふむ……逃げましたかー」
 本棚の中で逃走する動きを気配で感じ取りながらも深追いはしない疾き者、この本棚を超えるのも大変だが狙い通り、敵の寿命をだいぶ削ぐことができたはずだ。
 呪いの方は仲間の猟兵が相対するころには切れているかもしれないが、逃走中に様々な不慮の事故に見舞われて敵の気力も削れるだろうから戦果としては十分だ。
 ふふふ……その様子想像し涼しい顔で笑う疾き者に他の3人は疾き者の怖さを再認識していたという。
大成功 🔵🔵🔵

メリー・アールイー
おいかけっこだね、うさぎさん
『花風』の練り香水を付けて、香りに溶け込む
【継接人形】で花風メリーに変身だ

霧の姿になればきっと
入り組んだ本棚の隙間を縫って擦り抜けられるだろ
さっさと司令官を探すよ
かわいいお耳が見えた方へ向かって、どんどん進もう
追いついたら、うさぎの背後で元の姿へ戻る

みつけたよ
ビックリさせてテーブルナイフが飛んできても
針山クッションで盾受け、あーんど
しつけ針でカウンターだ
針には彩玉の、麻痺つきの雷属性攻撃が出来る黄色い糸が装着済

テーブルマナーの悪いお手手を縫い付けられたいかい?
それとも
アリスを殺そうなんて思っちまう、心の臓を貫かれたいかい?


 おいかけっこだね、うさぎさんと相棒の人形「Re」と共に戦場にやってきたのはメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)だ。
 混戦する戦場では既に仲間の猟兵がベルク・ナイフを追い詰め始めている。
 なら、あたしも頑張らないとねとReと一緒に花風と呼ばれる微かに香る桜の練り香水をつけ始める。
「なりたい姿になればいいさ」
 今の気分はこんな感じと花風を付けた二人の体は霧の様になるなる幻の姿に変じる。
 この姿ならどんな戦場も潜り抜け、本棚の隙間だって通り抜けられるさと淡い桜色の霧は戦場を進み始める。
 その気がついてくれたら嬉しい微かな桜の香りを通り抜けた時にオウガや戦っている猟兵が、ん? と気が付いたりすると少しだけクスっと嬉しそうに笑ってしまうメリーであった。

 うさぎの耳が見え隠れしたその方向へと突き進むメリー達、最初に見かけたころより移動してたみたいでちょっと探すのに苦労してしまったが遠くに少しばかりボロボロの毛並みになっているうさ耳を見つけたらスイーっと音もなく近づいてみせる。

「ん? なんかいい香りが……」
「みつけたよ」
「うわぁ!?」
 素敵な桜の香りがしたかと思えば突然背後から声を駆けられて思わず驚愕の声を上げながら距離を取るベルク・ナイフ。
 元の姿に戻ったメリーとReは、見つけたねとハイタッチで喜び合う。

「クソ! また猟兵か!」
 しつこいんだよ! とお得意のテーブルナイフによる攻撃を行うベルク・ナイフだったがその攻撃はだいぶ先の戦いで消耗しているからかキレがなく単調だ。
 そんな単調な攻撃ならメリーの針山クッションで防ぎきれる。
 巨大化した針山クッションに突き刺さるテーブルナイフに悔しそうにするベルク・ナイフの元にいつの間にか接近していたのはメリーの相棒のからくり人形のRe。
「テーブルマナーの悪いお手手を縫い付けちゃうんだよ」
 メリーがReにそう命じればチクチクチクっと高速手芸でベルク・ナイフの悪いお手手はしつけ針によって文字通りしつけられてしまう。

「くそっこんなもの!?」
 テーブルナイフを念動力で操りその糸を切って見せるがベルク・ナイフの手には妙な痺れが。
「気分はどうかな? うさぎさん」
 自らもしつけ針を装備してReと共に巧みなコンビネーションで再び縫い付けて見せながらメリーは問いかける。
「手がしびれて思うように……」
 念動力でテーブルナイフを操るが手の痺れもあってうまく操れないベルク・ナイフの攻撃を二人は華麗にいなしながらもなおもチクチクとしつけ糸で縫い合わせる。
 種明かしをするとこのしつけ糸、本日はこの悪いウサギを懲らしめようと黄色に染めることで雷属性が付与されている。
 そんな糸で縫われてしまえば手がしびれて動きが鈍くなっても仕方ないことだ。

 手だけでなく全身の動きが鈍くなりつつあるベルク・ナイフにメリーは止めを刺そうと告げる。
「アリスを殺そうなんて思っちまう、心の臓を貫かれたいかい?」
 えい!っとReと共に心臓を狙った一撃を放つメリー。
 だが、その一撃はベルク・ナイフが咄嗟に自らテーブルナイフで自身を刺し体をずらすことでどうにか心臓を回避させられてしまった。

「ゲボっ……こんな所で負けて堪るか!!」
 心臓じゃないとはいえ体をしつけ針で刺しつかれたベルク・ナイフは血を吐きながらもテーブルナイフを自分を守る様に周囲に展開し動かすことでメリーの元から逃げてみせた。

 残されたしつけ針を拾いながらメリーはその様子を見送った。
「逃げられちゃったのは残念だけど仲間は他にもいるからね誰かが仕留めてくれたらいいさ」
 そしたらあたし達猟兵の勝利だよとReに笑いかけるメリー。
 猟兵達のそれぞれの活躍によりもうすぐアリス殺しは討伐されるだろう。
大成功 🔵🔵🔵

メアリー・ベスレム
まぁ、可愛いウサギと思えば悪いオオカミで
油断したところをパクりと食べてしまうのね

【目立たない】よう陰から陰へ
隠れられない程にオウガがいるのなら
【ジャンプ】と【足場習熟】で【踏みつけ】て
【逃げ足】活かして捕まらないよう駆け抜ける

司令官のところに辿り着いたのなら
消耗している【演技】をしてみせて
油断を誘う【騙し討ち】

やられる振りをしながらも
お尻を振って【誘惑】して
かじりつきたいと欲望を向けて来たのなら
【復讐の一撃】叩き込む!

ただのウサギじゃないのは、あなただけではないんだから
メアリはアリスで、アリスはメアリ
ウサギと思えばオオカミで、油断したところを殺すから!


 目立たないよう陰から陰へ移動しながら、予知の内容を思い出しているのはメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)だ。
 可愛いウサギと思えば悪いオオカミで油断したところをパクりと食べてしまうのね。
 アリスは怖いわとプルプルと体を震わせてしまう彼女。司令官の前についてから弱った演技をと思っているが既に役に入っているのかどことなくひ弱でそしてオウガから見たら美味しそうに見える空気を纏っている。

「あら?」
 そんな彼女が突き進んでいると遠くても聞こえる苛立ち交じりの声とうさ耳がオウガと猟兵が混戦している戦場の奥に見えた気がした。
「あんな所に居るなんて……それなら仕方ないわね」
 とちょっとだけ準備運動をしてから意を決してメアリーは司令官を見つけた方向へと混戦を横断するように走り出す。
「そーれ!」
 ピョーンとウサギの様に可愛くジャンプしてみせたメアリーはあろうことか混戦しているオウガを踏み台にどんどんジャンプで突き進む。
 当然、踏みつけられたオウガは怒りで襲い掛かりそうになるがメアリーの逃げ足の速さと戦っていた猟兵のサポートもありメアリーに攻撃が向くことはない。
 狩られる者のヴェールと名付けられた衣装についたうさ耳がぴょこぴょこ揺れるたびにメアリーはピョンっと飛び跳ねて突き進めばしばらくしてお目当ての人物の元までやってこれた。

「クソ! クソ! クソ! 僕はアリスを殺したいだけなのに!」
「きゃぁ!?」
 ドンっと音と共にイライラと喚いていたベルク・ナイフの元に転がり込んできたのは如何にも弱弱しく美味しそうで何より殺しやすそうなメアリーであった。

「あ、あなたもアリスを食べようとするの?」
 プルプルと怯え切った様子で問いかけるメアリー。
 いや、食べないで来ないでと言いつつ可愛いウサギの尻尾のついたお尻もさりげなく振って誘惑してみせる。
「あはは! なんだよコイツ猟兵の癖に怯えているのかよ」
 こいつはいいアイツらに復讐するにはまずは力を付けないとねと愉快そうに笑いながらベルク・ナイフは瞳を真紅に輝かせるとその身を巨狼の姿に変じさせる。
「あっ……あっいや!? 来ないで!! わ、私まだ死にたくっ」
「泣き叫んでろ! アリスはやっぱしこうでないとな!!」
 まがまがしい牙を見せる様に笑いながらベルク・ナイフはゆっくりとメアリーに歩み寄りその大きな口をゆっくりと開けて食べようとした。
「それじゃあ食い殺してやるよ!」
 そう言いいざ食べようとした時に目の前の少女の空気が一変しいつの間にか手に握られていた肉切り包丁によってそのマズルの一部を重い一撃によって切り飛ばされた。
「グガァァァァァ!!!!」
「クスクス……」
 よろけながら前足で切断されたマズルを抑えるベルク・ナイフ。
 そんな彼に豹変したように笑いかけるのは獣としてのメアリーだ。
「ただのウサギじゃないのは、あなただけではないんだから……油断しては駄目よ?」
 優しく語り掛けるメアリーだがその笑みは狂気に染まっている。
「メアリはアリスで、アリスはメアリ」
 ゆったりとした動作で血の滴る肉切り包丁を構えながら近づいていくメアリーにこいつはヤバイと慌てて逃げ出すベルク・ナイフ。
「ウサギと思えばオオカミで、油断したところを殺すから!」
 ピョーンとウサギの様に飛び跳ね、その眼光は獲物を狙う狼であるメアリーによって敗走していたベルク・ナイフの動体は肉切り包丁の一撃で胴体を真っ二つにされてしまった。
「ウガ……ま、待て僕はまだ……アリスを……」
「駄目よ、メアリを食べようとしたのだから許せないものそれに……」
 あなたを逃がしたらアリスを殺すでしょ? アリス達は殺させないよと囁く様にベルク・ナイフに告げたメアリーは胴体を切断され虫の息でるベルク・ナイフに止めを刺すべくその真っ赤に染まった肉切り包丁を振り下ろした。
 アリス殺しの異名を持ったオウガが最後に見たのは復讐者として武器を振るう一人のアリスの姿だった。

 こうして猟兵達の活躍によりこの場での儀式は無事阻止されるに至った。
 だが、この国ではまだ複数のグループがアリスを召喚しようと儀式を進めている。
 そんな彼らの企みを阻止する為に猟兵達の戦いはこれからも続いていくだろう。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月02日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵