迷宮災厄戦⑤〜瘴気(煙)に巻いて逃げる悪戯兎(作者 ペプシ派
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 まるで古い古いおとぎ話のような情景。
 色褪せたセピア色の一面に、視界いっぱいに埋め尽くす花の数々。
 羊皮紙のような淡い色の蝶々がはらはらと舞い、穏やかな日々を過ごしていた。
 ……つい先ほどまでは。
 幻想的なその世界を荒らすように、バニーガールのコスチュームを身に纏う少女が花々を散らしながら跳ね回りだしたのだ。
「ウサウサウサ!楽しい遊び場見つけたウサッ!もっともっと跳ねるウサ!」
 丹精込めて作られた美しい華を散らす悪戯好きな少女を止めようと、周囲の大人たちも近寄ろうとするも素早くて捕まらない。
「ウサウサ!そんなノロノロ亀さんじゃ捕まらないウサ!っとと、今のはちょっと危なかったウサ!だったらこうウサ!」
 少女が叫ぶと、腰と背中に着けた怪しげな蒸気機械から勢いよく大量の瘴気が溢れ周囲をもうもうと曇らせる。
 煙はとても息をすることが出来ないほど苦しく、誰も近寄ることが出来なくなってしまった。
 皆せき込みながらも、悔しそうに唇を噛んで遠巻きに立ち尽くす。
 立ち昇る灰色の煙の中、小柄なうさ耳の黒い影がぴょんぴょんと跳ねまわり、風に乗って花びらの残骸が舞って来るのを見守るほか術がなかったのだ。
「ウーサウサウサ!ウサギさんはもう誰にも止められないウサ~!!」

「ってことになってるんだって!」
 そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「とっても悪戯好きな女の子が花畑で暴れ回っているんだって!なんでも、【不思議な蒸気機械で瘴気を撒き散らすから呼吸も出来ないし近寄れない】みたい!」
 六本の腕をしっちゃかめっちゃか振り回し、なんとか身振り手振りで状況を説明する。
「まずはあの【瘴気か蒸気機械をなんとかしないと】!!それと瘴気だけじゃなくて他にも厄介な悪戯を考えているみたいだから注意してね!」
 ピコンとアホ毛を伸ばし、緊張した様子を見せる。
「周りは一面平坦な花畑で隠れる場所も無いし、派手な攻撃をされたら大変かも!追い詰めようにも逃げ場所だらけでキリがないしそこも注意だね!それと相手が子供だからって油断してると怪しい魔法で形成逆転される可能性もあることを忘れないでね!」
 そういうと、真多子はすぐさまキミ達をグリモアで転送し始めた。


ペプシ派
 戦争始まりましたね。
 久しぶりのシナリオなのでリハビリしながら頑張ってみます。
 みなさんも戦争頑張りましょう!

 『注意点』
 瘴気の蒸気の振り撒いて汚染しているので、無策では近づけません。
 どうにかして蒸気機械か瘴気の対策をしましょう。
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第1章 集団戦 『イタズラ好きなウサギさん』

POW ●大怪獣ウサゴンだウサ~ッ!!
【自身の身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD ●逃げるが勝ちウサッ♪
技能名「【逃げ足】【ダッシュ】【ジャンプ】【残像】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ ●子供からやり直しちゃえウサッ♪
【首から下げた懐中時計】から【周囲の時間を巻き戻すサイキックウェーブ】を放ち、【対象の肉体、精神年齢を急速退行させること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


メンカル・プルモーサ
よし、シンプルに行くとしよう……
瘴気の対策は……重奏強化術式【エコー】により範囲と持続時間を強化した
復元浄化術式【ハラエド】で一気に祓ってしまうとともに、しばらくの間無効化するよ……

あとは効果時間内にあのうさぎを倒せばよし……
まあ、あちらもそれに気付いたなら逃げるだろうけど……
【狩りたてる嵐の魔犬】により超連射の誘導弾をばらまいてその名の如くに追い立てるよ……
これが当たれば良し、回避しても逃げようとすれば動きは読めるから……
動きを予測して【撃ち貫く魔弾の射手】で仕留めるよ……
犬で狩りたてて仕留める、まあ基本だね……
うさぎを倒したら後続の為に瘴気発生装置を探して壊してしまおう……


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
 そして柔らかい出迎えで花のベットからすくっと立ち上がった猟兵、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は愛おしさと切なさを混ぜた表情で髪についた花片を掃う。
 幻想的な雰囲気に飲まれそうになっていたが、そう遠くない所で騒ぎ立てる少女の声で無理やり引き戻されたのだ。
「……なるほど、花畑を荒らしているのはあのウサギだね……」
 着地の際にズレた眼鏡をくいと上げて直しながら、花畑を元気に跳ね回るバニーガールを見やる。
 小柄でよく通る甲高いその声からまだ幼い少女のように感じられるが、あれは人々の苦労を踏みにじる悪であり、悪戯が過ぎた相手にはキツイお仕置きをする必要があるだろう。
「……手加減は、いらないね……。よし、それならシンプルに行くとしよう……」
 あの少女オブリビオンの跳ね回った後には、もうもうと瘴気が立ち込めて花が枯れていく。
 そうして茎が朽ちて頭を下げると花びらが煙に巻きあげられて雪のように流れていった。
 このままあの煙を放置すれば美しい花畑が枯れ果ててしまうのは考えるまでもない。

「……まずは、あの瘴気の対策からだね……」
 メンカルが呪文を詠唱しながら杖を天にかざすと、青白く発光する魔法陣が彼女の足元に展開していく。
 くるくると回転するそれは徐々に速度を増していき、詠唱が終わりに近づくとメンカルの周囲を光で包み込んでいった。
 そして『ひとつめ』の詠唱を終えると杖の先端を悪戯ウサギの方へ向けると、足元の魔法陣が杖先の空中へ大きな鏡のように垂直に描かれた。
「……浄化復元術式【ハラエド】、これで穢れを祓える、そして……」
 彼女の策はまだこれで終わりではない。魔力を放たず器用に留めながら続けて詠唱を重ねていく。
 そのまま彼女の声が紡ぐ言葉に呼応するように、杖先で空に描かれた魔法陣はブブと音を立てて輪郭がブレていった。
 やがて魔法陣はプツリと分裂し、複製された二重魔法陣が姿を現したのであった。
「……これが重奏強化術式【エコー】、前の術式の効果が引き延ばされる……」
 メンカルが臨界まで高めた魔力を解放すると、青白い光が波動のように花畑を抜けていき波を立てる。
 そして清涼なる風が煙に触れると瘴気はたちまち露と消え、地平の彼方まで見通すことができるようになっていた。
「ウサ!?機械が故障したウサ?このポンコツ!動けウサー!」
 瘴気のおかげで好き勝手やれていた悪戯ウサギは、隠れ蓑が消えたことに動揺し腰の機械に集中しているようである。

「……残念だけど、その玩具はしばらく使えなくさせてもらったよ……」
「ウサッ!!ビックリしたウサ!いつの間に後ろにいたウサ!?」
 ぷすぷすと空気を吐き出すだけになってしまった機械と悪戦苦闘していた悪戯ウサギは背後を取ったことへ抗議する。
 メンカルはそんなこと知ったことかと、対立を示すように杖を向けた。
「ウ……やる気ウサ!?へへ~ん、煙が無くたっておねーちゃんになんか捕まらないウサ!」
 この一帯は邪魔する物のない平坦な花畑、そのため一度駆け出せば絶対に人力では追い付けないという自信があるのだろう。
 悪戯ウサギはお尻をぺんぺんと叩き捨て台詞を吐くとぴょんと助走もなしに10mは跳ねていく。
「……活きの良い獲物だね……。まぁ、その方が猟犬も張り合いがあるんだろうけど……」
 メンカルには逃げることも想定内であったのか、花畑に隠れていた足元の魔法陣が発光してせり上がって来る。
「……紡がれし魔弾よ、追え、喰らえ、汝は猛追、汝は捕捉。魔女が望むは追い立て喰らう魔の猟犬……!」
 魔法陣はメンカルの脚、腰、胸と徐々に浮かんでいき肩を抜けるように垂直に起き上がると杖先へ移動していく。
 そして杖の先で留まる魔法陣を意識し、魔力を絞り出すように感覚を集中し解き放つと、獣のような唸りを上げて無数の光弾が飛び出して行った。

「ウサウサウサ!子供パワーに追い付ける大人なんていないウ……サー!?何か来てるウサ!!!」
 恐ろしい速度でメンカルを引き離し、途方に暮れるその表情を見ようと振り返った悪戯な表情は、すぐに恐怖と焦りの色に塗り替わる。
 いくつもの恐ろしい魔法が自分を追って風を唸らせているのだ。
「ウサー!どこまで追ってくるウサ!しつこ過ぎるウサ!!」
 直線的だけではなくフェントやジグザグ走行を試みても執拗に追って来る光弾達。
 やがてウサギの心が折れていき、ついに追い付かれた光弾がウサギの腰に付いた蒸気機械に食らいつく。
「あー!!それはダメウサー!!!」
 金属の皮が剥がれた瞬間、中で圧を掛けられていた瘴気が一気に抜け出し爆発する。
 爆心地でボロボロになってよろよろとふらつくウサギだが、動きを著しく緩めたためにメンカルの弓の様な魔法の矢が彼女を貫き消滅させたのであった。
大成功 🔵🔵🔵

ベルカ・スノードロップ
「随分とえっちな格好ですねぇ」
まぁ、今はどうでも良いのですけど
今回は、この娘をそっちの意味で酔わせるような戦いではないハズですしね

でも、だからといって
「こんな子供に負けるわけにはいきませんね」
この世界を救うためにも負けないと、対抗心を燃やして≪選択UC≫の発動
これから行う行動を成功させるためのものです

瘴気とはいえ蒸気なら気体
水滴になることがあれば液体
ならばとユーベルコード≪エレメンタルノヴァ≫を追加で発動し、瘴気の蒸気をすべて無害化してしまいましょう

そこから先は、捕まえて発生装置を解除して
おしおきタイムです
女の子相手なので苦痛を与えることはしませんけどね?

※あとは、フルアドリブ歓迎で❤️


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
着地の風で舞い上がった花びらが降り積もり柔らかなシーツとなったそれをベルカ・スノードロップ(Wandering Dream Chaser・f10622)は朝のベットから抜け出すように優しくどかす。
 なぜ朝のベットを想起したのか。ふと疑問に思うベルカだが、朝の陽光と共にあるものといえば雀達のチュンチュンと姦しい鳴き声であろうと思い至る。
 そしてそのよく通る甲高い声に似た少女の声が耳に届いてたのだ。
「あれは……ふぅん、随分とえっちな格好ですねぇ」
 声の方へ振り向くと、花畑で楽しそうに跳ね回るバニーガール姿の小さい女の子の姿があった。
 隠すもののない晒された四肢をこれでもかと元気いっぱいに振り回して花を散らすその姿にベルカも色々と思うところがあるのだろう、しばらくじっと見つめていたが首を振って気を取り直す。
「おっと、今はそれどころではないですね。今回は、あの娘をそっちの意味で酔わせるような戦いではないハズですし」
 少し怪しげな表情を隠すように笑顔に戻ると、花畑を守るために悪戯ウサギの元へ駆けていった。

「そこの可愛いお嬢さん、それ以上悪戯するなら私も容赦できませんよ?」
 煙が濃いため近寄ることは出来ないが、瘴気の切れ間からチラチラとラメ入りのバニーコスが煌めくためその所在はすぐにわかった。
 そして声の届く距離からベルカが問うと、よほど自身があるのか怖いものを知らないのか、わざわざ瘴気の中から悪戯ウサギが姿を現し(無い)胸を張った。
「ウサウサウサ!またウサギさんを叱ろうとする大人が来たウサ!でも無駄ウサ!ウサギさんは子供パワーで大人には絶対に捕まえられないウサ!」
 カラカラと鈴のように高笑いを上げて、自分の身長の二倍はあるベルカを挑発しながら嘲笑う。
 しかし、ベルカはそんな子供の様に幼稚で安い挑発に乗るような男ではない。
 そのまま紳士然として態度を崩さず言葉を返す。
「そうですか、悪戯を止めないのでしたら私も大人としてこんな子供に負けるわけにはいきませんね。しっかりとわからせてあげましょう」
 ベルカは優しい笑顔は張り付けたまま、子供を戒めるように声にだけ棘を持たせる。
 しかし、根っからの悪戯好きなウサギの心には言葉だけでは届かないらしく反省する素振りは露ほども見せなかった。
「ウーサッサ!わからせられるものならやってみるウサ!どうせ大人はみんな口だけウサ!」
 そう言うと瞼を指で引っ張り、べーっと舌を出して挑発を重ねる。
 だが、この時放った悪戯ウサギの言葉はあまりにも迂闊であった。
(やってみろ……つまりこの子からゲームを持ち掛けられた、と解釈していいですね。いいでしょう、この世界を救うためにも『絶対に負けられません』)
 ベルカの中でこの瞬間、カチリと見えざる力が働き出したのを感じる。
 世界の理を動かし味方につけたベルカは、いよいよと瘴気に向かって足を進める。

「おっやる気ウサ?ぷぷーどうせこのモクモクには入ってこれないウサ!」
 そう捨て台詞を吐いて悪戯ウサギが後ろに飛退くと、白い煙が彼女の姿を影に変えていく。
「かくれんぼですか?ですが『絶対に負けません』。既に天の采配は下っています」
 周囲に立ち込めていた瘴気は、ベルカが吸い込む前に重く沈んでいき、やがて水溜りのようにぺちゃりと地面に落ちた。
「ウサー!!!どうなってるウサ!?」
「子供にはわからないでしょうが、瘴気も蒸気、少し弄れば水滴にしてしまえます」
「何言ってるウサ!全然違うウサ!大人はすぐに難しいこと言うウサ!こうなったらだっとのごとくウサ!」
 自分も難しいことを言ってやったぞと、にやにやしながら悪戯ウサギは一目散に逃げだそうとする。
「今度は鬼ごっこですか?それでも『絶対に負けません』。天命には逆らえませんよ」
 ベルカの言葉が耳に届くと、悪戯ウサギの脚は水溜りでぬかるんだ花で滑らせ転んでしまう。
「ウサー!!!」
「さぁ捕まえました。もう逃げられませんよ」
「あーん止めろウサ!離せウサ!んー!んー!!」
 がしりとベルカに腕を掴まれると、『力』を使えなければ非力な少女でしかない悪戯ウサギには為す術もない。
「ここからはおしおきタイムです。大人として悪戯したことを反省するまでみっちりとわからせますよ」
 ベルカは胡坐で腰を下ろすと、胡坐の上にうつ伏せで悪戯ウサギを乗せてペンペンとお尻を叩き、しっかりたっぷり躾けるのであった。
「んっウサっやっ、止めろウサー!!!」
大成功 🔵🔵🔵

火土金水・明
「蒸気機械も含めて、範囲攻撃で纏めて攻撃させてもらいます。」
瘴気に対しては【環境耐性】【毒耐性】【地形耐性】の技能を駆使します。【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【無酸素詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『イタズラ好きなウサギさん』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
 魔女帽子に花冠でも飾ろうかと子供のころの情景が脳裏をよぎるが、騒がしい声が耳の響いて我に返る。
 花びらを運ぶ風がつむじを描いて足元を駆け、股下をくぐってマントをはためかせた。まるで進めと言っているようだ。
 それに応えるように、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はマントを翻して黒いレオタード姿を現した。
「さぁ参りましょう。私の敵はどなたですか?」
 先ほど耳にした喧騒の方へ明が振り返る。
 すると、それほど遠くない花畑の中を好き勝手に跳ね回っては煙を巻き散らすバニーガールの少女がいた。
 聞いていた情報とほぼ合致する、彼女がオブリビオンで間違いないだろう。
「あんな小さい子が敵なの……?心苦しいけど、だからといって丹精込めて手入れされた花畑を荒らすことを許せるわけではないわね」
 決意がブレないように握っていた杖をギュッと力を込め、とんがり帽子を目深に被り直して悪戯ウサギへと近づいていくのであった。

「ウーサウサ!ウサギさんのことは誰も止められないウサ!今日も悪戯絶好調ウサ―!」
「そこまでよ!」
「ウサ?……その格好、お仲間ウサ?……でもちょっと違うウサ」
 明の静止を求める声に注意を引かれ、悪戯ウサギがピタリと足を止めて首を傾げる。
 どうやら素直に従ったわけではなく、明の黒いレオタード姿を見たためのようだ。
「あ、これはレオタードだけどあなたの着てるバニーとは別物なのよ……そうじゃなくって!」
 相手が子供なのもあるだろうが、友好的で人の良い明はつい優しく答えてしまい自分にツッコむ。
 これではせっかく整えた大人の威厳が台無しだ。
「なーんだウサ。それならおねーちゃんの言うことなんて聞いてあげないウサ!ウサギさんは悪戯で忙しウサ!」
 途端に興味を失ったのか、悪戯ウサギはぴょんと高く跳ねて煙の中へと消えていこうとする。

「そうはさせないわよ!こうなったら私も本気で本気でいかせてもらうわね!」
 明がそう叫ぶと、新鮮な空気を肺に取り込み息を止める。
 産まれながら身体は丈夫なので、多少の瘴気であれば皮膚から取り込んでも平気だ。
 なのでこのまま瘴気の中へと飛び込む無茶が出来てしまうのだ。
「ウサ!?この中にまで追って来た大人なんて初めて見たウサ!でもモクモクはいっぱい作れるからすぐにゲホゲホするはずウサ!ウーサウサ!」
 今までに経験したことのないイレギュラーに度肝を抜いたが、未だ突破されたことのない煙の中の鬼ごっこに自信があるのだろう、悪戯ウサギはそのまま跳ねて逃げだす。 
(無詠唱魔法は精神を乱しては駄目よ、イメージして……我、求めるは、冷たき力。放たれよコキュートス・ブリザード!)
 明は息を吐くことなく脳内で詠唱を行うと、白い閃光が稲妻のように枝分かれして奔り、無数の氷柱が飛んでいく。
「ウサウサウサ!どこ狙ってるウサ!……ウサ!?」
 拡散する魔法はてんで『悪戯ウサギには』当たらなかったが、高くそびえる氷柱は彼女を取り囲み氷の牢獄が作られていた。
 気付いた時には既に時遅く、逃げ場だらけだと思い込んでいた平野に閉じ込められてしまったのだ。
 完全に王手。あまりにも打つ手のない状況に膝をつく悪戯ウサギ。
「ウゥ……ウサァ~もう絶対絶命ウサ……もう降参す……るわけないウサ!子供になっちゃえビームを喰らえウサ!」
 捕まってしおらしくしたかと思えば、まったく懲りずに隠し玉を放ってきた。
 首から下げた時計から飛び出したビカビカと煩い光が明を捉える。
「これでおねーさんも弱っちい子供ウサ!魔法も解け……ないウサ?」
 ビカビカが消えて明の姿が見えると、何故か大人のままで佇んでいる。
 当たれば絶対変わる虎の子が何故通用しないのか不思議でならないようだ。
 その時、明の身体が周囲の空間事ヒビ割れて砕け落ちる。
 そして同時に、悪戯ウサギが腰につけていた蒸気機械も砕け落ちて瘴気が止まる。
「ど、どーなってるウサ!?」
「残念、それは虚像よ。あなたが撃ったのは氷の鏡に写った私、気を引いている内にその厄介な装置も破壊させてもらったってことなの。」
 悪戯ウサギが振り返ると、種明かしをする大人のままの明の姿。
「ウサー!!!そんなのズルイウサ!」
「あら、ズルイ手を先に使ったのはあなたはずよね?ちゃんと反省すれば、とも思ったけれどどうしようもなく悪い子みたいよね。だからきつーいお仕置きをあげるわね。」
 明が再び杖を高く掲げると、巨大な氷柱が降って来て牢獄を押し潰すのであった。
大成功 🔵🔵🔵

プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可

「悪い子には、お仕置きしなければいけませんね」
逃げ回るのならば閉じ込めればよい。
○戦闘知識による行動予測
追いかけるが捕まえられないという○演技で○だまし討ち、こちらに有利な場所まで○おびき寄せ、○罠使いと○ロープワークの要領を用いて、竜の楯鱗を発動。
相手を中心に円形に閉じ込めるように設置した城壁にて閉じ込める。
「蒸気による対策は出来ていますよ」
収納魔法で蒸気を収納していく。
城壁は高く設置するが登ってくるようであれば収納した蒸気を浴びせる。ダメージはなくとも行動阻害にはなるはず。
後は城壁と同時に召喚した兵士による集中砲火で仕留める。


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
 美しく丹念に整えられた花畑の姿は、在りし日の故郷にあったものを彷彿させて郷愁にふけいりそうになる。
 しかし、それはもう過去の話。今を生きると誓ったプリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)は、散った花びらで作られたセピアカーペットを踏み締め明日の方向へと顔を上げる。
「綺麗なものはそれだけ人の苦労が込められています。それをこのように悪戯に踏みにじることなど許しておけません!」
 末姫として、臣民の苦労をよく見ていた立場だからこそより怒りも大きい。
 プリンセラはキッと騒がしい声のする方へ鋭い視線を向けると、その影が小さい少女のものであろうと眉を下げることは無かった。
「悪い子には、お仕置きしなければいけませんね」
 毅然とした態度を崩さず、王族として示しとなる振る舞いでそう呟くと、スカートの形を乱さないよう器用に駆けだした。

「ウサウサウサ!ぴょんぴょん跳ねた場所の花がプチプチ潰れて気持ち良いウサ!ぷっちぷっちウッサウッサらんらんらん♪」
 子供ゆえの無邪気で残酷な悪戯。
 たしなめる大人も瘴気に巻かれて近寄れずお手上げなため、悪戯ウサギの完全な独壇場である。
 しかし、ついに彼女を諫める者が現れる。
「そこまでになさい。あなたは人の痛みを考えたことがありますか?失ったものはもう戻っては来ないのですよ」
 滅ぼされいていく故郷の情景、それを目の前の惨状に重ねてプリンセラが棘のある声を投げる。
「ぷぷー何言ってるウサ!お花なんていくらでも生えて来るウサ!おねーさんそんなことも分からないウサ?」
 しかし悪戯ウサギは悪びれる様子も無く、代替えを用意すれば良いと返す。
 確かに形だけならば確かに元通りに見えるよう戻すことは出来るだろう。
「いいえ、そうではありません。まだ子供のあなたには分からないかもしれませんが、その花一輪一輪に育てた人の気持ちが篭っているのです。その大切な心までは戻らないでしょう?」
「気持ち……ウサ?ウサ……わ、わからないウサ!難しいこというなウサ!」
 わがままで自分勝手、そして悪戯好きなウサギにはまだ理解するのが早かったのだろう。
 誤魔化すように叫ぶと、悪戯ウサギは脱兎のごとく跳ねて去っていく。

 その後ろ姿を寂しそうな瞳で見つめ、プリンセラがため息をついた。
「……しかたありませんね。ウサギ狩りは習ったことがあります。確か……」
 警戒心の強い動物を追うコツは相手の虚を突くことと教わった記憶が甦る。
 そしてその記憶に従い、着かず離れずの距離を保ち追いかけていく。
「蒸気の対策も出来ていますよ」
 視界を邪魔する瘴気は、収納魔法により取り払われるので見失うこともなかった。
「ウサ!?そんなのズルイウサ!!」
 煙に巻けないと気付いた悪戯ウサギはなんとか距離を離そうとジグザグ走行なども試すが、それでもプリンセラは追って来る。
「ウサー!!もうしつこいウサ!こうなったら子供になっちゃえビームで無理やり置いていくウサ!!」
 先にしびれを切らした悪戯ウサギがプリンセラに向けて時計を突き出し、ビカビカと煩い光線を放つ。
「油断しましたね!ここが境界線。これより先に立ち入れば命の保証はいたしません!」
 悪戯ウサギが攻撃の動作に入った瞬間、プリンセラは号令を上げるように大きく右手を掲げる。
 すると、彼女の足元から突如堅牢な石造りの城壁がせり上がり、彼女を数十mの高さまで持ち上げた。
 当然悪戯ウサギの放ったビカビカの光線は堅い城壁に弾かれて掻き消され、傷跡は無い黒ずんだ焦げ跡だけを残す。
「ウサー!!!またズルだウサ!!しかも逃げ場まで無くなってるウサ!ズルズルウサ!」
 プリンセラが呼び出した長い城壁は、なんと悪戯ウサギの四方を囲むようにズラリと並び巨大な牢獄のようになっていたのだ。
「さぁもう観念して降伏なさい!今なら相応のお仕置きだけで許してあげましょう!」
 遥か上方から、チェックメイトをかけたプリンセラが叫ぶ。
 あくまでも寛大な心を忘れず、相手の更生の余地を信じるつもりのようだ。
「ふふーんウサ!ウサギさんを舐めるなウサ!こんな壁くらい三角跳びでぴょぴょいのぴょいウサ!!」
 四角く囲む城壁の構造を利用し、角隅の二辺を跳びついでいくつもりのようで、助走をつけて勢いよく飛び跳ねる。
「ウサ!?」 
 しかし壁に足を着けた瞬間、摩擦を感じずツルリと滑る。
 さらに追い打ちをかけるように、自分が作り出していたはずの瘴気が大風となって悪戯ウサギを地面に叩きつけた。
「それも想定済みです。既に油が塗ってあったのです。先ほどたっぷりとあなたの瘴気もいただいていますから逃げる術はありませんよ」
「そんなウサ~!!」
「残念ですがこれで最後です。みなのもの、戦いの時間です!」
 せっかくのチャンスを蹴った悪戯ウサギに対し、今度は容赦なくプリンセラは攻撃の号令を上げると戦士の亡霊たちが一斉に火矢を放ち獄炎がオブリビオンを消し去ったのであった。
大成功 🔵🔵🔵

播州・クロリア
人々が丹精込めて育て上げた花畑を...
許せませんね。ダラキュです
(その場でしゃがみ、クラウチングスタートのSetの姿勢になった後、翅を震わせながら{蠢動の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムは草花と共に生きる虫たちのリズム
貴方はそれを踏みにじりました
報いを受けるべきです
(UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを遅くする)
鬼ごっこはおしまいですか?ではこれでおしまいですね
(『念動力』で草花を敵の足に絡ませ動きを阻害し『オーラ防御』壁で敵を蒸気機械ごと包み込むことで煙を封じ込めた後『貫通攻撃』を付与した『衝撃波』でオーラ防御壁越しに攻撃する)


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
 花々が敷き詰められた一面に囲まれていると、故郷の蟲達が住まっていた地域を思い出す。
 ふと、彼らもこの地を見れば喜ぶだろうかと考えたが、今はそんな呑気にしている場合ではないと播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)が首を振った。
「これでは私もまだまだあにさんやオフクロさんに追い付けませんね。気を取り直しリアな気持ちで行きましょう」
 頭の中に木霊している敬愛する家族の声がクロリアの心を前へと動かす。
 同時に顔を上げあらためて周囲を見渡すと、ここからでも微かに鼻につく瘴気とその中で跳ね回るバニーガールコスチュームの少女の姿。
 煙を巻き散らし花畑を踏み荒らす彼女こそ今回の騒動の原因に間違いないだろう。
「そんな……人々が丹精込めて育て上げた花畑を……許せませんね。ダラキュです」
 クロリアが敵を認識しキッと眼を細めると、上半身を折って屈み、クラウチングスタートのような体勢を取る。
 長身を折ったその姿はそれでも子供ほどの体躯はあり、重心が安定した蟲らしい恰好で集中する。
 そうして背中の大きくて陽光に透ける薄羽を震わせると、ブブブと羽音を立ててリズムを取っていく。
 それは矮小にして壮大、薄命にして不滅、個にして無限、蠢き貪る者のリズム。
 複雑な言葉や感情を織り交ぜダンスとして身体で表現していくのだ。
「とてもリアになってきましたね。この地に相応しい草花と共に生きる虫たちのリズムで、力が湧いてきて実にリアです」
 己を高めていくダンスという鼓舞が済むと、それを維持しながらクロリアは悪戯ウサギの元へと向かったのであった。

「ウサウサウサ!好き勝手ぴょんぴょんするのは本当に楽しいウサ!どうせ止める大人なんて誰もいないウサ!ウサギさんは無敵ウサ~!!」
 煙のせいで誰も近寄れないため、調子に乗って油断している悪戯ウサギ。
 だがそれだけ隙を晒そうと、今までは自由にやれていたのだから直すつもりもないのだろう。
 彼女が現れるまでは……
「その考えはダラキュです。今すぐやめるべきです」
「ウサ!?ウサギさんに偉そうなことを言う大人がまた来たウサ!ウッサッサ!どうせそんな偉そうなおねーちゃんでもモクモクでゲホゲホになるウサ!」
 本気で怒られたことがないのだろう、人生イージーモードで舐め切った態度の悪戯ウサギは、屈んでダンスしているクロリアを指差して嘲笑う。
「それもダラキュですね。私はまだ6歳なのであなたと同じくらいです」
 スクっと立ち上がった2m超えのクロリアが、自身の年齢を明かし悪戯ウサギを見下ろす。
「ウサー!!!デカすぎるウサ!嘘ついてウサギさんの心を踏みにじるなウサ!」
 クロリアの作った影にすっぽりと覆われてしまった悪戯ウサギは、あまりの体格差に驚きぺたんと尻もちをつく。
「いいえ、踏みにじったのはあなたですね。ダラキュなその行いにはしっかりと報いを受けるべきです」
 クロリアは散った花々を指差し、念を押すようにジリと一歩踏み込む。

「ウ、ウサ……ウサギさんは悪くないウサ!お仕置きなんて絶対受けてやらないウサ!」
 んべーと舌を出して踵を返すと、悪戯ウサギは脱兎のごとく逃げようとする。
 しかし、何故かどっと全身に訛りを乗せられたような重圧を感じて上手く飛退くことが出来なかった。
「どうなってるウサ!?」
「今この場はリアな空間になっています。ダンスを楽しめないダラキュな人はみんなそうなるんですよ」
 クロリアのその言葉を聞き振り返ると、先ほどのように屈んで複雑なステップを踏んでいた。
「いいこと聞いたウサ!だったらウサギさんも踊ればいいだけウサ!……ウサ!?」
 自分からタネを明かすとは馬鹿めと、自分もぴょんぴょん踊ってみるが、身体の重さは変わらずクロリアにあっさりと追い付かれてしまった。
「ダラキュです。それは『踊らされている』だけですね。ダンスは表現、心が篭っていなければダラキュなんです。それで、鬼ごっこはおしまいですか?ではこれでおしまいですね」
 クロリアがブレイクダンスのパワームーブのように大きく激しく回転して足元の花びらを巻上げると、それを念動力で固めてボールのように悪戯ウサギを包んで捕える。
「だ、出せウサー!!!」
 どんどんと花の牢獄を非力な腕で叩くが、思いの詰まったその壁を打ち砕くことは叶わない。
 そのままクロリアのダンスがヒートアップしていき、フィニッシュの大きく身体を開いたポーズの掌底がボールを叩き、念動力の波動が中に入る悪戯ウサギを共鳴させて動かなくしたのであった。
大成功 🔵🔵🔵

ラブリー・ラビットクロー
アドリブ連携歓迎

なんだろー
荒野と違って茶色なのに幻想的なセカイ
きれーな花
でもこのままじゃどんどん荒らされちゃう
セカイが壊されちゃう
そんなのダメなんな!
らぶが絶対ゆるさないなん!

瘴気?
あれ?もしかしてガスマスクいらないかもなん?
らぶは清浄な空気は苦手だから特製マスクつけてたけど
でもらぶの街の瘴気と違うかもしれないから一応マスクつけとくなん

逃げるが勝ちなん?
じゃあらぶもウサミミと天使の翼の偽神兵器をUCで生やすのん
花畑を荒される前に空からやっつるん
その変な機械
らぶがバットでぶっ飛ばしてやるのん

うぎゃ
もしかしたら残像でバットがサンシンかも?
しょーがねーのん
天使の翼で三回攻撃で捕まえちゃえ


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、直接嗅ぐことは出来ないのに甘い香りと爽やかな緑の匂いを感じて心を満たす。
 マスク越しに感じたこの異世界の匂いは幻視なのであろうが、それでもあの瞬間に夢のような心地良さをしっかりと感じたのは間違いないのだ。
 不思議で作り話のような体験の余韻をもう少し楽しもうと、ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)はぼうっと惚けたように花畑を見つめる。
「なんだったんだろー。荒野と違って茶色なのに幻想的なセカイときれーな花。こういうのなんて言うのん?」
 ポツリとそんな疑問が口からこぼれる。
 フラスコチャイルドであるラブリーは、一般人とあまりにも異なる生まれと成り立ちである。
 そんな彼女には、絵本のような世界という目の前の情景を例える言葉が出てこなかったのだ。
「おいマザー、聞いてないなん?」
 先ほどの呟きに対するアンサーが返ってこないことに痺れを切らしたラブリーは、手にしていたタブレットをマザーと呼んでブンブン振る。
 すると、ポコンと可愛らしい通知音が鳴りタブレット画面が切り替わった。
【よくわかりませんでした。最寄りの雨宿りスポットを検索しますか?】
 切り替わった画面からは妙齢の女性の声が響き、見当違いな答えを返す。
 頓珍漢な返答にラブリーが小首を傾げ髪を揺らすと、一応その真意を聞き出してみた。
「もうすぐ雨になるのん?」
【今日の天気を表示します。今日の降水確率は、0%です】
 余計なことには反応が早く、マザーは検索した結果を伝える。
 しかし結局この問答で判明したのは、最初の問いの答えとはまったく関係ないということだけであった。
「マザーは今日もポンコツなんな」
【ところにより、局所的な濃霧注意報が出ています】
 再びマザーが報告すると同時にポコンと画面が切り替わりマップが表示される。
 それは現在地とそう遠くない場所にかかる霧マーク。
 ラブリーがタブレットから目線を上げて目視すると、瘴気の中を飛び跳ねるバニーガールの姿があった。
 そしてあろうことか、その少女は綺麗に手入れされた花畑を踏み荒らしているではないか。
「このままじゃどんどん荒らされちゃう、セカイが壊されちゃう、そんなのダメなんな!らぶが絶対ゆるさないなん!」
 珍しく役に立ったマザーを大事にしまうと、ラブリーは勢いよく瘴気の中へ飛び込んでいくのであった。

「あれ?もしかしてガスマスクいらないかもなん?」
 いざ瘴気の中に飛び込んでみると、どうもただの濃霧には見えない。
 やや灰色づいた煙のような感じなのだ。
 フラスコチャイルドであるラブリーは正常な空気が毒であるためマスクをしているが、これだけ空気が汚れていれば大丈夫なのではという考えが頭をよぎる。
 しかし、チラとマザーをしまったポケットに視線を送るが反応はない。
「やっぱり一応マスクつけとくなん」
 マスクへかけていた手を下ろし、ラブリーは考え直してバニーガールの元へ向かうことを優先した。

「そこまでなんな!」
「ウサ!?なんでモクモクの中でゲホゲホしないウサ!ズルイウサ!」
 誰も入ってこれないだろうと油断していた悪戯ウサギが、突然声を掛けられビクリと肩をすくむ。
「でも残念だったウサ!ウサギさんは脚も速いからモクモクが効かなくたって捕まらないウサ!」
 そう言い捨てると、悪戯ウサギは挑発するように自分のお尻をペンペン叩き、助走もつけずに高く跳び上がる。
「逃げるが勝ちなん?じゃあらぶもウサミミと天使の翼の偽神兵器を生やすのん。これで一緒なんな」
 跳び上がった悪戯ウサギを見上げたラブリーは、うなじからファサリと後ろ髪をかきあげると背中から純白に淡く煌めく3対の羽が生え、その6枚の翼が空気を叩いてラブリーを大空へと巻き上げた。
「花畑を荒される前に空でやっつるん。その変な機械、らぶがバットでぶっ飛ばしてやるのん」
 直線的にしか跳べず、あとは落ちるだけの悪戯ウサギを狙ってラブリーはクルリと旋回して先回りする。
 だがあまり強度はないのか、羽ばたくたびに天使のように純白な羽が徐々に抜け落ち雪のように降り落ちていた。
「ウサ!?お空にまで追って来るとかズルズルのズルウサ!でもウサギさんにはコレがあるウサ!」
 悪戯ウサギは腰に着けていた蒸気機械からボフンと瘴気を吐き出し、軌道を何度も変えてラブリーのフルスイングを三振させる。
「うぎゃ、バッターコウタイかも?しょーがねーのん、こっちのバッターでやるなんな!」
 ラブリーがバットを放ると、クルンと前転して巨大な6枚羽で悪戯ウサギを無理やり包み込む。
「ウサー!!!前が見えないウサ!上はどっちウサ!?どこに噴射すればいいウサー!!」
 脆く儚い翼はごっそり剥がれ、悪戯ウサギに纏わりついて離れない。
 前後不覚となった悪戯ウサギは着地の衝撃を緩めることも瘴気で姿勢制御することもままならず地面に叩きつけられて消滅するのであった。
大成功 🔵🔵🔵

白々布・風楽
ふらふらふら、遊びましょうふら。邪魔な瘴気は『キャメラ』さん撮っちゃって下さい

瘴気を晴らしつつ兎さんも撮りましょう。笑顔良い、笑顔良いですよ!はにかんでー!ネイル輝いてます!メイク似合ってますねー!艶々キューティクル最高!こんなに可愛いオブリビオン居たら世界滅んじゃいますよ!躯の海の奇跡!

巨大化も良いですね、可愛いですよウサゴーン!究極ローアングル!不思議の国のトップコンパニオン!ポーズも色々行ってみましょう。はい縮んでください。お花咥えてみてください。あ、機械も邪魔ですね、外しちゃって下さい

撮影が進み『キセルの煙と怪奇油の薬効』で動きと反応が鈍くなってきたら新聞ボディでキュッてして終了です


 セピア色の世界に包まれた花畑に一人の猟兵が光と共に現れる。
 クッションのようにふわりと着地する猟兵を受け止めたのは、散らされて集まった花びらの絨毯であった。
 着地の瞬間、鼻を通るような甘い香りと爽やかな緑の匂いが心を満たす。おとぎの国とはよく言ったものだ。
 視界に取り込む色の少なさは見慣れた新聞に似ており親近感が沸いてくる。
 風に乗って舞ってくる花びらを見つけると、白々布・風楽(怪奇!承認欲求人間・f26418)はそのシャッターチャンスを逃さず、すかさず配信用のカメラに捉えて納めるのであった。
「いいですねいいですね。私は今、間違いなく物語の始まりに……いえ物語の終わりに近づいています!終わりを迎える被写体はどこですか!」
 幻想的な舞台、プロローグが流れていそうなだだっ広い花畑、そこへ物語を動かす配信者が来たのだから、ここまでいかにもに整ったお膳立てはないだろう。
 彼女、風楽は今までの経験から、ここで何かが起こっており自分が巻き込まれることを確信していた。
 というよりも、巻き込まれるのではなく首を突っ込むの方が正しいだろう。
「事件が私を呼んでいます!今行きますよ!」
 これから待ち受けるのは事件だというのに、ムフと楽し気に笑って風楽は花畑を進みだす。
 大抵の場合彼女はこのようにして事件に触れては、手痛い体験を文字通り身体に刻むのだ。
「むっ!あっちの方に怪しい煙が上がってます!迷わず行ってみましょう!」
 好奇心を抱いたら止められない。目立てそうなら止まらない。
 なぜなら彼女は怪奇人間、人呼んで承認欲求人間なのだから。

「ウーサウサウサ!いつも煩い大人たちが苦労して作った花を踏むのはたまらないウサ!そーれぴょぴょいのぴょいウサ!」
 瘴気の一帯で暴れ回っているのは、この瘴気を生み出した張本人の悪戯ウサギ。
 彼女の言う通り、瘴気で誰も近寄ってこないことをいいことに好き勝手しているのだ。
 しかし、近寄ってこないのは普通の人間ならばである。
「そこのバニーガール、笑顔良い、笑顔良いですよ!はにかんでー!ネイル輝いてます!メイク似合ってますねー!艶々キューティクル最高!」
 命よりも承認欲求が勝るような厄介な輩が来るとは想定していない悪戯ウサギは完全に油断していた。
「ウサ!?なんか変なのが来たウサ!モクモクが怖くないんウサ?」
 そのため突然マシンガントークで声を掛けながらカメラを向ける者が現れたことに驚愕して、悪戯ウサギはビクリと脚を止めてしまう。
「怖い?そんなこと考えてる場合じゃないですよ!こんなに可愛いオブリビオン居たらそれどころじゃないんです!可愛すぎて世界滅んじゃいますよ!躯の海の奇跡!炎上系の華!」
 相手の心を解きほぐすように、風楽は悪戯ウサギをおだてにおだてて足を止めた彼女をファインダーに捉えた。
「そ、そうウサ~?いやぁウサギさんはそれほどでもあるウサ。えへへ」
 まんざらでもなさそうにはにかむ悪戯ウサギは、風楽のカメラに向けてダプルピースを構える。
「ナイスポーズ!おとぎの国のリトルクイーンですよ!」
 そして風楽がシャッターを切ると、悪戯ウサギの周囲に漂っていた瘴気が霧運かれたようにスパっと消失してしまった。

「ウサー!?おねーさん何したウサ!ウサギさんを騙したウサ!もう怒ったウサー!!」
 これ以上カメラで撮られれば身の危機があると察した悪戯ウサギは、ぷんすか怒るとむくむくと身体が大きくなっていき、風楽を軽く見下ろすほどになっていた。
「ウッサッサ!巨大怪獣ウサゴンウサー!ありんこみたいに踏み潰してやるウサ!」
 大きくなったことで野太くなった悪戯ウサギの声が響き、大きく振り上げた脚が風楽を狙う。
「おぉ巨大化も良いですね、可愛いですよウサゴーン!究極ローアングル!不思議の国のトップコンパニオン!ポーズも色々行ってみましょう。」
 しかし、対する風楽は絶対絶命の危機にも関わらずカメラを下げずになおもシャッターを切っていく。
 すると、今度は瘴気ではなくウサゴンの巨体がどんどんと縮んでいくのだ。
「いいですねもっと縮んでください。お花咥えてみてください。あ、機械も邪魔ですね、外しちゃって下さい」
 パシャリパシャリと、マシンガントークにも負けない速さでカメラを光らせ、ついにウサゴンは元の少女よりも小さい幼女へと変化してしまっていた。
 相手が非力な幼女となっても、風楽は止まらず機械を服をと次々脱がし怪しい撮影会となって事態はますますヒートアップしていく。
「あーんやめるでしゅうさ!おとなをよぶうさ!……あー!うしゃぎさんがおいはらってたうさ!」
 怪しい油の入った香を焚き、気分まで怪しい雰囲気になったところで悪戯ウサギが諦めたことに満足したのか、風楽が怪奇人間の本性を現す。
「素晴らしい体験でした!最後はあなたを身体に刻ませてもらいますね!」
 そう言うと、風楽の身体はバラりと巻いた新聞を解くように分解されていく。
 そして非力なオブリビオンに巻き付くとギュッと絞めて物語の幕を閉じるのであった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月04日
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