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迷宮災厄戦⑦〜一番ヒーローっぽかった人が優勝するお話(作者 紅葉茉莉
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 アリスラビリンスで発生した大規模な異変、それらはすぐに多くの猟兵に伝えられ、また数多の予知がなされていた。
 これはその中のひとつ、巨大な図書館とその蔵書にまつわるお話である。


「オーッホッホッホ、美しい、美しいですわ!
 金銀財宝、宝石も何もかも、わたくしには劣りますがわたくしをより美しく飾り立てる為に使われて喜んでいるでしょう」
 数多の金銀財宝、宝石などなど、希少価値の高い物に囲まれて高笑いをするオウガ。
 周囲にあるものは自分を飾るに相応しいか値踏みし、価値あるならば用い、そうでないと判断すれば切って捨て。
 自分だけの美しい空間を作り出す事に腐心するオウガであるが、その言動は少し妙な動きと同時になされていた。
「えーと、この本によりますと……ふむふむ、こんな台詞ですわね。
 こほん……死に行く直前こそ、命の最後のきらめきこそ美しいですわ。
 さあ、最後の最後まで抗い、無様に戦い、命のきらめきを見せてわたくしを楽しませてくださいませ?
 こんな感じかしら……」
 手にした書物に記された、悪役っぽい台詞の一例を喋ってみる女王蟻。
 するとどうだろう、莫大な、というほどではないが自分の体に力がみなぎってくるではないか。
 この書物は本物だ、と彼女が確信するのはその瞬間。
「オホホホホ、さあ、美しく散って、わたくしにみせてくださいませ。
 そして、死体を着飾って、ひとつのオブジェとしてわたくしの国に置いてさしあげますわ!」
 ノリノリで悪役な台詞を追加、更に力を高めたオウガ。
 自身の妨害を行う敵対者を排除すべく、様々な台詞を試し、猟兵の到来を待ち受ける。


「えーと、ちょっと大規模な戦いなんですが……妙な場所を予知してしまいまして」
 苦笑しながらケーレス・ネメシア(怪奇人間の死霊術士・f25216)が頭を下げて、予知した内容を説明する。
 今回彼女が予知したのは、大図書館の世界。
 図書館に収められた、悪役についての本の力を受け、強化されたオウガが待ち受ける戦場であった。
「戦場は図書館の一角ですが、まあ国そのものが図書館ですので気になさらず。
 本棚が邪魔になりますが、逆に利用してしまうぐらいの気持ちで良いと思います。
 それで、敵についてですが……どうやら、この図書館にある、悪役な言動について記された本の力でパワーアップしているんです。
 普通に戦うとかなり厳しいですが、実は正義のヒーローに関しての本もあるみたいで。
 正義の書、に記されていると思わしき行動をすれば、皆さんもパワーアップして、相手に対抗できるはずです」
 敵は悪の書物によって強大に、普通に戦えば苦戦は必至。
 しかし悪の組織があるならば、対と為る正義の力があるのはお約束、つまりはそういうものであろう、多分。
「正義の味方っぽい言動で振舞えば、この国限定ですがパワーアップして、オウガに対抗できます。
 あとは、相手が悪の組織な言動をするのを邪魔すれば、更なる強化を阻むという妨害工作にもなるかもしれません。
 その辺りは皆さんにお任せします、どういった戦い方をするのかは自由ですけど……くれぐれも、無理はしないで下さい」
 ぺこり、と頭を下げながら、国に関しての情報を説明したケーレス。
 戦い方は自由に、されどあまり無茶をし過ぎないで欲しいと送り出す者として心配しつつ、角灯掲げて彼女はグリモアを起動させる。
「それでは、皆さんをご案内しますね。
 誰が一番ヒーローっぽい言動か、ちょっと楽しみではありますが……頑張ってください」
 最後に本音をちょろっと出して。
 角灯の炎が怪しく揺らめき、猟兵達を図書館の国へと誘っていた。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。

 迷宮災厄戦のシナリオをお届けします。
 タイトルでもわかると思いますがネタ、コメディ側のシナリオです。

 尚、今回のシナリオは数日まってからの作業開始ではなくプレイングが届き、作業可能な時間になれば執筆開始、納品の予定です、ご了承ください。

 今回は高慢ちきに、金銀財宝で飾り立てている悪役な言動をしているオウガを、正義のヒーローなお約束ムーブを決めて張り倒すシナリオです。
 一番ヒーローっぽい一が優勝ですが、優勝しても特に何もありません。
 リプレイの〆で誰が優勝か、表示されるぐらいです。

 オープニングでも説明していますが、今回のシナリオは正義の味方っぽい言動をするとパワーアップ、つまりプレイングボーナスを得られます。

 いかにも正義の味方な言動で決めてもいいですし、無茶な理論に仮説や推論を組み合わせて、こじ付けで正義の味方な言動を決めてしまってもいいです。
 ギャグ、コメディな方面ですので、あんまりにも酷いものでなければ正義の味方として扱っていきます。
 酷い理論の押し付けでごり押しもあり、という事です。

 また、ボーナスは低くなりますが、相手の悪役な言動を妨害して強化を阻害するのも手です。
 他にも、正義理論と相手の妨害を並行する、新しい理論の押し付けとかもアリです。
 つまりは自由に、好き勝手やってしまっていいという事です。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『よくばりさま』

POW ●味見をしてあげましょう。光栄に思いなさい
自身の身体部位ひとつを【巨大な蟻】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD ●美しきわたくしの庭で迷いなさい!価値なき者共が!
戦場全体に、【悪趣味な金銀財宝】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ ●わたくしは女王でしてよ無礼者が!かみ殺されよ!
自身が【見下された屈辱感】を感じると、レベル×1体の【金貨を背負った手下蟻】が召喚される。金貨を背負った手下蟻は見下された屈辱感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アンバー・スペッサルティンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ヴィヴィアン・ランナーウェイ
正義の味方、ですか。
どうやら私とは程遠いものであることは分かります。
逆に悪党の考えそうなことは分かりますわよ。その程度で悪を名乗るのは片腹痛い。この悪役令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイが貴女に本物の悪を教えて差しあげしょう!(UCで背後から輝きながら現れながら)
悪として恥ずべきこと、それは、その言葉一つ一つを遮られること!敵がなにか言う度にUCを使用して動きをとめつつ、こちらの正義(悪)をぶつけてやります!
正義と悪は表裏一体。貴女の悪を阻むため、今日の私はだーくひーろーを名乗りましょう!
敵が動きを止める度に槍で攻撃を放ち、敵の気勢を削がせていただきます!正義の味方は、他の方におまかせですわ!


霧島・絶奈
◆心情
誰もが「正義」を掲げて戦うものです
故に正義とは…

◆行動
では理詰めで行きましょう

正義とは何か?
其は勝者を指す言葉
では正義を前にした悪とは何か?
其は超える壁であり、正義の前に儚く散る者…

理解しましたか?
勝つまで戦い続ける我々こそが絶対正義であり、貴女が悪を自称するならば敗北しか道はない
…さて、貴女は悪役に徹するのか、勝利を目指すのか

『涅槃寂静』にて【範囲攻撃】する「死」属性の「濃霧」を行使
加えて私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
駄目押しに「数珠繋ぎにしたサーメート」を【衝撃波】に乗せて投射
手下諸共蹂躙します

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


カビパン・カピパン
あんまりにも酷い正義の味方がやってきた。

【黒柳カビパンの部屋】の始まり。

本日のゲストはよくばりさまさんをお招きしております。
あら、美しい宝石とピカピカしているお方ね(棒)
そしてその悪役っぽい台詞はどうなさったの?続けてどうぞ。
はぁー心が籠っていない言葉と演技!
あーた、そんなんじゃこの業界で真に輝けないわよ!
その金銀や宝石以上に最高の悪役として№1になりなさい!
あたくしと一緒に巨人の星を目指すのよ!!

カビパンもノリノリ。

それでは何か面白いことをして貰ってもよろしいでしょうか。ほほぅふーん。つまんね。あたくし勉強不足でどこが面白いか分からなかったので説明してくださる?

オチで相手の心をへし折った。


「オーッホッホッホ、わたくしの前にひざまずくのよ!」
 よくばりさまが悪役っぽい台詞で徹底的な自己強化をしている、このままいけば猟兵ですら敗北必須な強敵になってしまう。
 どうしよう、どうすればいいんだ。
 そんなとんでもない問題解決の為に、先行して三人の猟兵がよくばりさまと相対していた。
「本日のゲストはよくばりさまさんをお招きしております。
 あら、美しい宝石とピカピカしているお方ね」
 開口一番、どこかのご長寿番組のようなノリでよくばりさまに声をかけるのはカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)である。
 というかすでに広がってる謎の空間はなんなんだ、るーるる、るるる、るーるる、るるる、るーるーるーるーるるっるー、みたいなBGMと共にトーク番組なノリで話しかけおってからに!
「な、なによアナタ!? いきなり割り込んで何様のつもりよ!」
 至極まっとうなよくばりさまの反応、まあいきなりトーク番組なノリで話しかけられたら誰だってこうなる。
 ゲスト扱いでトークなんかさせられそうになったらそりゃあ怒るよね、当然だよね。
「あら、さまになってますわね、その悪役っぽい台詞はどうなさったの? 続けてどうぞ」
 そして言い返されたカビパン、まったく話を聞いちゃいねぇ。
 自分の展開したユーベルコード、黒柳カビパンの部屋によって色々な意味で伝説なトーク力の凄まじい霊をその身に降ろしてトークを続けてやがる。
「な、なによなによ、わたくしを愚弄するの!? 噛み千切ってやろうかしら!」
「はぁー心が籠っていない言葉と演技!
 あーた、そんなんじゃこの業界で真に輝けないわよ!」
「ぎょ、業界!?」
 言い返したよくばりさま、その言葉と演技は悪役としてまだまだだとピシャリと言ってのけるカビパン。
 その自信満々なトークを前に、本を読みつつ演技していたよくばりさまも思わずたじろぐ。
 やべえ、この人、トーク力だけで完全に自分のペースに持ち込んでやがる。
「台本のままに演じるだけじゃトップにはなれないわよ、その役がどんな背景をもっているのか。
 読んだだけで理解したと思っちゃダメよ、どう思ってそんな事を言うのか、完全に役になりきらないと。
 演技をする時意外、日常でこの役の人はどんな生活をしているのか、考えて再現するまでなりきったら、その役の考え、気持ちがわかるんじゃないかしら?」
「な、なるほど……台詞だけなら誰でもできるわよね、確かにそうね」
 なんということでしょう、というか、なんてことをしてくれたのでしょう。
 それっぽい役割を演じた人が優勝する話だったのに、敵をギャグ空間に引っ張り込んで、演技についてなんやかんやでプレッシャーを与えて悪役なキャラを崩壊させるなんて。
 シナリオの基盤をダイレクトに揺さぶってしまえば、後々出てくるヒーロー役の人の活動に影響が出るじゃないか、いい加減にしろ!
「その金銀や宝石以上に最高の悪役として№1になりなさい!
 あたくしと一緒に巨人の星を目指すのよ!!」
「そうね、わたくしは女王、つまりトップになるのは当然よ」
 あ、急に悪役な事をしろって言い出した。
 こっちの要求が通ったからかしら、軌道修正したしまあいいか、な……?
「それでは何か面白いことをして貰ってもよろしいでしょうか」
「いいわよ、みなさい! あなたたち、女王であるわたくしに従いなさい!」
 あ、軌道修正したのにまーた嫌な予感がする。
 何か見せろと迫ったカビパン、乗せられるがままによくばりさまが金貨を背負った働き蟻の集団を呼び出して、自由自在に操って、働き蟻を並べて人文字みたいなものを作っていたが。
「ほほぅふーん。つまんね。あたくし勉強不足でどこが面白いか分からなかったので説明してくださる?」
「んなっ!?」
 持ち上げて持ち上げて、その気にさせてからつまんね、って一言で終わらせたカビパン。
 なんてことするんだ、トークがすごいその霊はそんな事言ってゲストを傷つけたり心をへし折ったりしねーぞ!?
「オブリビオンだしいいんじゃね?」
 あっ、素に戻って本音を言いやがった。
 まあ相手がオブリビオンだからいいと思うが、開幕からなんて妨害をしやがるんだ、めっちゃ傷ついてるぞ、よくばりさま。
「よ、よくもよくも。わたくしをコケにしてくれましたわね!」
 ほらー、めっちゃキレて攻撃しようと動き出してるじゃないか。
 トークショーで邪魔して能力強化を防ぐまではよかったけど、ここからかなりの強化がされてしまわないか、これ?
 だがしかし、相手の台詞を妨害するのはなにもこんなギャグいトークショーだけではない。
「まずはあなたを八つざk……」
「おーっほっほっほ! 私が、来ましたわ!!」
 今まさに、敵役っぽい台詞でよくばりさまが攻撃しようとした瞬間。
 台詞に被せる様に高笑い、そして煌びやかな後光を背にして姿を見せたのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)であった。
 悪役な台詞には悪役な台詞で対抗と言わんばかりのその登場、ちなみに台詞を最後まで言えていないのでよくばりさまのパワーアップは失敗しています。
「な、なによアナタ、わたくしの邪魔をすr」
「その程度で悪を名乗るのは片腹痛い。この悪役令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイが貴女に本物の悪を教えて差しあげしょう!」
 まーた台詞を被せていく。
 完全に相手の妨害に特化した立ち回りである、なんて酷い。
「あ、あなたねぇ、悪役にも悪役の演技、台詞回しが大事ってこの本にも書いてるのよ!」
 よくばりさま、妨害されたことに対して悪役について書かれた本を前面に押し出して非常識アピール。
 なお、この台詞は悪役っぽい台詞ではないとヴィヴィアンは冷静に判断、被せずに静観している模様である。
 この人、とりあえず全部台詞を被せればいい、ってわけではなく、的確に相手の悪役な台詞を潰すために全力を尽くしてやがる。
「ふふん、悪党の考えそうなことはわかりますわよ。
 そして悪として恥ずべきこと、それは、その言葉一つ一つを遮られること!」
 うわぁ、全力で宣言しやがりました。
 億劫もなく、よくばりさまの悪役な台詞を徹底的に遮る宣言である、これは酷い。
「な、なんてことを……!」
「おーっほっほっほ、どう、何かいってみては?」
 何か言おうとしたよくばりさま、高笑いで妨害するヴィヴィアン。
 やめて差し上げろ、このままでは悪役な台詞が完全に無くなってしまうじゃないか!
 語る、語るチャンスをあげてこその悪役ですわよ、ヴィヴィアンさん!
「中々の妨害ですね……ですが言葉を遮るだけでは不十分、理詰めで行かせて貰います」
 相手の台詞をいつでも妨害する、なんて状況のヴィヴィアンを横目に現れたのは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)
 もし万が一、自分の理詰めを相手が論破、若しくは逆切れで何か言い返してきた時は任せると、無言で頷き合図を送れば意図を察したか、悪役っぽく、強者の余裕を見せつけて腕を組みつつ静観するヴィヴィアン。
 正義からは程遠いなぁ、この人! 自分でそれを認識してるのもより性質が悪いけど。
「な、なによアナタ、わたくしに何を言わせるのよ!」
 トークショーで心にダメージ、台詞も妨害されて強化もできず、そこへやって来た理詰め宣言。
 思わず身構え、悪役な台詞を言うのも忘れたよくばりさま、ここまで直接的な攻撃をされていないのにかなりの精神的ダメージを受けているっ。
「正義とは何か? 其は勝者を指す言葉」
 そんなよくばりさまに、正義は何を意味する物かと語り始める絶奈。
 正義が勝者とするならば、と誰もが思えば即座に語られる、敵対者たる悪の存在理念。
「では正義を前にした悪とは何か?
 其は超える壁であり、正義の前に儚く散る者……」
 正義が勝者となるならば、相対する悪は即ち敗北、散る事が存在理念。
 表裏一体、片方だけで存在することはできず、それぞれに与えられた役割があるのだと絶奈は説き。
「な、なんですって、あなた、わたくしが負けて終わりと言いたいの!?」
 わなわなと震え、否定しようとその前足を振り上げたよくばりさま。
 だがその動きにも一切動じず、淡々と絶奈は言葉を続けていく。
「力でねじ伏せようとする、そんな反応をしたという事は……。
 理解しましたね?
 勝つまで戦い続ける我々こそが絶対正義であり、貴女が悪を自称するならば敗北しか道はない」
 黙らせようとした行動を、理解しての否定と論じて結論付ける絶奈。
 仮に、いい感じの反論が出てきても後方に控えてるヴィヴィアンが台詞を重ねて喋らせないだろうし、もうこれは完全に詰みである、なんて酷い。
「……さて、貴女は悪役に徹するのか、勝利を目指すのか」
 そしてトドメとばかりに、強化を得るが敗北必須の悪役を演じ続けるか、それとも勝ちを掴む為、悪役としての立ち回りを捨てるのか。
 二者択一を突きつけての思考妨害、冷静な状態ならばこんな理論の押し付けを跳ね除けて。
 悪役でも勝利はあると言ってのけて、自分を強化し猟兵を叩き潰すことも可能であったよくばりさま。
 だがしかし、今のよくばりさまはトークショーで出鼻を挫かれ、悪役な台詞でのパワーアップも別の台詞を上書きされて失敗、そんな混乱するしかない状況での選択肢を押し付けられてどうしようもなくなって。
「キ、キィイイイイ! 五月蝿いわね、全員消し去ればわたくしのしょ……」
「正義と悪は表裏一体、そんな単純な事にも気付く事ができないとは、悪と名乗るのもおこがましいですわ!」
 怒りのままに叫び、猟兵を殲滅しようと動いたよくばりさま。
 だが、その台詞もヴィヴィアンに上から台詞を被せられて最後まで言えず、パワーアップができないままに。
 ハッとし振り向くも既に手遅れ、よくばりさまの金貨溢れる腹部へとヴィヴィアンの振るう槍の穂先が突き刺さり、そのまま彼女が振り上げれば多量の金貨が宙を舞う。
「ぶ、無礼者! わたくしは女王なのよ、傷つけるとはゆるさ……」
「今日のわたくしは不意打ち辞さないだーくひーろー、正義の味方は、他の方におまかせですわ!」
 怒りのままに叫び、働き蟻を召喚するよくばりさま。
 その叫びにすらヴィヴィアンは言葉を重ねて妨害し、気勢を削いで自分自身に注意を向ければ絶奈が攻撃準備を完了し。
「其は始原にして終焉。永遠不変と千変万化。万物が内包する奇蹟にして、森羅万象が齎す福音と災禍也」
 地の底から響くような、不気味な声色と共に力の解放。
 それと同時に周囲に立ち込める濃霧に飲まれ、数多の働き蟻たちがのた打ち回る。
 完全に不意打ちを受けたよくばりさまが顔を向け、絶奈の動きに対応しようとするも既に手遅れ。
 霧に飲まれたその中で見えたもの、それは濃霧を断ち切り飛来する衝撃波、吹き飛ばされる働き蟻、そして空中にて炎上する配下の蟻たち。
 続けざまに繰り出される攻撃を受け思わず後退、働き蟻達が炎に飲まれ、その動きを止める中。
 強化を阻まれ、更に妨害までされたよくばりさまを徹底的に追い詰め、駆逐するために。
 3人の猟兵が時間を稼いだその間に、多数の猟兵が相手を逃がさぬ様に多方向から方位を完了、各々の力を持ってよくばりさまを倒す布石が終わろうとしていた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴