5
迷宮災厄戦⑦〜一番ヒーローっぽかった人が優勝するお話

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦


0




 アリスラビリンスで発生した大規模な異変、それらはすぐに多くの猟兵に伝えられ、また数多の予知がなされていた。
 これはその中のひとつ、巨大な図書館とその蔵書にまつわるお話である。


「オーッホッホッホ、美しい、美しいですわ!
 金銀財宝、宝石も何もかも、わたくしには劣りますがわたくしをより美しく飾り立てる為に使われて喜んでいるでしょう」
 数多の金銀財宝、宝石などなど、希少価値の高い物に囲まれて高笑いをするオウガ。
 周囲にあるものは自分を飾るに相応しいか値踏みし、価値あるならば用い、そうでないと判断すれば切って捨て。
 自分だけの美しい空間を作り出す事に腐心するオウガであるが、その言動は少し妙な動きと同時になされていた。
「えーと、この本によりますと……ふむふむ、こんな台詞ですわね。
 こほん……死に行く直前こそ、命の最後のきらめきこそ美しいですわ。
 さあ、最後の最後まで抗い、無様に戦い、命のきらめきを見せてわたくしを楽しませてくださいませ?
 こんな感じかしら……」
 手にした書物に記された、悪役っぽい台詞の一例を喋ってみる女王蟻。
 するとどうだろう、莫大な、というほどではないが自分の体に力がみなぎってくるではないか。
 この書物は本物だ、と彼女が確信するのはその瞬間。
「オホホホホ、さあ、美しく散って、わたくしにみせてくださいませ。
 そして、死体を着飾って、ひとつのオブジェとしてわたくしの国に置いてさしあげますわ!」
 ノリノリで悪役な台詞を追加、更に力を高めたオウガ。
 自身の妨害を行う敵対者を排除すべく、様々な台詞を試し、猟兵の到来を待ち受ける。


「えーと、ちょっと大規模な戦いなんですが……妙な場所を予知してしまいまして」
 苦笑しながらケーレス・ネメシア(怪奇人間の死霊術士・f25216)が頭を下げて、予知した内容を説明する。
 今回彼女が予知したのは、大図書館の世界。
 図書館に収められた、悪役についての本の力を受け、強化されたオウガが待ち受ける戦場であった。
「戦場は図書館の一角ですが、まあ国そのものが図書館ですので気になさらず。
 本棚が邪魔になりますが、逆に利用してしまうぐらいの気持ちで良いと思います。
 それで、敵についてですが……どうやら、この図書館にある、悪役な言動について記された本の力でパワーアップしているんです。
 普通に戦うとかなり厳しいですが、実は正義のヒーローに関しての本もあるみたいで。
 正義の書、に記されていると思わしき行動をすれば、皆さんもパワーアップして、相手に対抗できるはずです」
 敵は悪の書物によって強大に、普通に戦えば苦戦は必至。
 しかし悪の組織があるならば、対と為る正義の力があるのはお約束、つまりはそういうものであろう、多分。
「正義の味方っぽい言動で振舞えば、この国限定ですがパワーアップして、オウガに対抗できます。
 あとは、相手が悪の組織な言動をするのを邪魔すれば、更なる強化を阻むという妨害工作にもなるかもしれません。
 その辺りは皆さんにお任せします、どういった戦い方をするのかは自由ですけど……くれぐれも、無理はしないで下さい」
 ぺこり、と頭を下げながら、国に関しての情報を説明したケーレス。
 戦い方は自由に、されどあまり無茶をし過ぎないで欲しいと送り出す者として心配しつつ、角灯掲げて彼女はグリモアを起動させる。
「それでは、皆さんをご案内しますね。
 誰が一番ヒーローっぽい言動か、ちょっと楽しみではありますが……頑張ってください」
 最後に本音をちょろっと出して。
 角灯の炎が怪しく揺らめき、猟兵達を図書館の国へと誘っていた。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。

 迷宮災厄戦のシナリオをお届けします。
 タイトルでもわかると思いますがネタ、コメディ側のシナリオです。

 尚、今回のシナリオは数日まってからの作業開始ではなくプレイングが届き、作業可能な時間になれば執筆開始、納品の予定です、ご了承ください。

 今回は高慢ちきに、金銀財宝で飾り立てている悪役な言動をしているオウガを、正義のヒーローなお約束ムーブを決めて張り倒すシナリオです。
 一番ヒーローっぽい一が優勝ですが、優勝しても特に何もありません。
 リプレイの〆で誰が優勝か、表示されるぐらいです。

 オープニングでも説明していますが、今回のシナリオは正義の味方っぽい言動をするとパワーアップ、つまりプレイングボーナスを得られます。

 いかにも正義の味方な言動で決めてもいいですし、無茶な理論に仮説や推論を組み合わせて、こじ付けで正義の味方な言動を決めてしまってもいいです。
 ギャグ、コメディな方面ですので、あんまりにも酷いものでなければ正義の味方として扱っていきます。
 酷い理論の押し付けでごり押しもあり、という事です。

 また、ボーナスは低くなりますが、相手の悪役な言動を妨害して強化を阻害するのも手です。
 他にも、正義理論と相手の妨害を並行する、新しい理論の押し付けとかもアリです。
 つまりは自由に、好き勝手やってしまっていいという事です。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
88




第1章 ボス戦 『よくばりさま』

POW   :    味見をしてあげましょう。光栄に思いなさい
自身の身体部位ひとつを【巨大な蟻】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    美しきわたくしの庭で迷いなさい!価値なき者共が!
戦場全体に、【悪趣味な金銀財宝】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    わたくしは女王でしてよ無礼者が!かみ殺されよ!
自身が【見下された屈辱感】を感じると、レベル×1体の【金貨を背負った手下蟻】が召喚される。金貨を背負った手下蟻は見下された屈辱感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アンバー・スペッサルティンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィヴィアン・ランナーウェイ
正義の味方、ですか。
どうやら私とは程遠いものであることは分かります。
逆に悪党の考えそうなことは分かりますわよ。その程度で悪を名乗るのは片腹痛い。この悪役令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイが貴女に本物の悪を教えて差しあげしょう!(UCで背後から輝きながら現れながら)
悪として恥ずべきこと、それは、その言葉一つ一つを遮られること!敵がなにか言う度にUCを使用して動きをとめつつ、こちらの正義(悪)をぶつけてやります!
正義と悪は表裏一体。貴女の悪を阻むため、今日の私はだーくひーろーを名乗りましょう!
敵が動きを止める度に槍で攻撃を放ち、敵の気勢を削がせていただきます!正義の味方は、他の方におまかせですわ!


霧島・絶奈
◆心情
誰もが「正義」を掲げて戦うものです
故に正義とは…

◆行動
では理詰めで行きましょう

正義とは何か?
其は勝者を指す言葉
では正義を前にした悪とは何か?
其は超える壁であり、正義の前に儚く散る者…

理解しましたか?
勝つまで戦い続ける我々こそが絶対正義であり、貴女が悪を自称するならば敗北しか道はない
…さて、貴女は悪役に徹するのか、勝利を目指すのか

『涅槃寂静』にて【範囲攻撃】する「死」属性の「濃霧」を行使
加えて私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
駄目押しに「数珠繋ぎにしたサーメート」を【衝撃波】に乗せて投射
手下諸共蹂躙します

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


カビパン・カピパン
あんまりにも酷い正義の味方がやってきた。

【黒柳カビパンの部屋】の始まり。

本日のゲストはよくばりさまさんをお招きしております。
あら、美しい宝石とピカピカしているお方ね(棒)
そしてその悪役っぽい台詞はどうなさったの?続けてどうぞ。
はぁー心が籠っていない言葉と演技!
あーた、そんなんじゃこの業界で真に輝けないわよ!
その金銀や宝石以上に最高の悪役として№1になりなさい!
あたくしと一緒に巨人の星を目指すのよ!!

カビパンもノリノリ。

それでは何か面白いことをして貰ってもよろしいでしょうか。ほほぅふーん。つまんね。あたくし勉強不足でどこが面白いか分からなかったので説明してくださる?

オチで相手の心をへし折った。



「オーッホッホッホ、わたくしの前にひざまずくのよ!」
 よくばりさまが悪役っぽい台詞で徹底的な自己強化をしている、このままいけば猟兵ですら敗北必須な強敵になってしまう。
 どうしよう、どうすればいいんだ。
 そんなとんでもない問題解決の為に、先行して三人の猟兵がよくばりさまと相対していた。
「本日のゲストはよくばりさまさんをお招きしております。
 あら、美しい宝石とピカピカしているお方ね」
 開口一番、どこかのご長寿番組のようなノリでよくばりさまに声をかけるのはカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)である。
 というかすでに広がってる謎の空間はなんなんだ、るーるる、るるる、るーるる、るるる、るーるーるーるーるるっるー、みたいなBGMと共にトーク番組なノリで話しかけおってからに!
「な、なによアナタ!? いきなり割り込んで何様のつもりよ!」
 至極まっとうなよくばりさまの反応、まあいきなりトーク番組なノリで話しかけられたら誰だってこうなる。
 ゲスト扱いでトークなんかさせられそうになったらそりゃあ怒るよね、当然だよね。
「あら、さまになってますわね、その悪役っぽい台詞はどうなさったの? 続けてどうぞ」
 そして言い返されたカビパン、まったく話を聞いちゃいねぇ。
 自分の展開したユーベルコード、黒柳カビパンの部屋によって色々な意味で伝説なトーク力の凄まじい霊をその身に降ろしてトークを続けてやがる。
「な、なによなによ、わたくしを愚弄するの!? 噛み千切ってやろうかしら!」
「はぁー心が籠っていない言葉と演技!
 あーた、そんなんじゃこの業界で真に輝けないわよ!」
「ぎょ、業界!?」
 言い返したよくばりさま、その言葉と演技は悪役としてまだまだだとピシャリと言ってのけるカビパン。
 その自信満々なトークを前に、本を読みつつ演技していたよくばりさまも思わずたじろぐ。
 やべえ、この人、トーク力だけで完全に自分のペースに持ち込んでやがる。
「台本のままに演じるだけじゃトップにはなれないわよ、その役がどんな背景をもっているのか。
 読んだだけで理解したと思っちゃダメよ、どう思ってそんな事を言うのか、完全に役になりきらないと。
 演技をする時意外、日常でこの役の人はどんな生活をしているのか、考えて再現するまでなりきったら、その役の考え、気持ちがわかるんじゃないかしら?」
「な、なるほど……台詞だけなら誰でもできるわよね、確かにそうね」
 なんということでしょう、というか、なんてことをしてくれたのでしょう。
 それっぽい役割を演じた人が優勝する話だったのに、敵をギャグ空間に引っ張り込んで、演技についてなんやかんやでプレッシャーを与えて悪役なキャラを崩壊させるなんて。
 シナリオの基盤をダイレクトに揺さぶってしまえば、後々出てくるヒーロー役の人の活動に影響が出るじゃないか、いい加減にしろ!
「その金銀や宝石以上に最高の悪役として№1になりなさい!
 あたくしと一緒に巨人の星を目指すのよ!!」
「そうね、わたくしは女王、つまりトップになるのは当然よ」
 あ、急に悪役な事をしろって言い出した。
 こっちの要求が通ったからかしら、軌道修正したしまあいいか、な……?
「それでは何か面白いことをして貰ってもよろしいでしょうか」
「いいわよ、みなさい! あなたたち、女王であるわたくしに従いなさい!」
 あ、軌道修正したのにまーた嫌な予感がする。
 何か見せろと迫ったカビパン、乗せられるがままによくばりさまが金貨を背負った働き蟻の集団を呼び出して、自由自在に操って、働き蟻を並べて人文字みたいなものを作っていたが。
「ほほぅふーん。つまんね。あたくし勉強不足でどこが面白いか分からなかったので説明してくださる?」
「んなっ!?」
 持ち上げて持ち上げて、その気にさせてからつまんね、って一言で終わらせたカビパン。
 なんてことするんだ、トークがすごいその霊はそんな事言ってゲストを傷つけたり心をへし折ったりしねーぞ!?
「オブリビオンだしいいんじゃね?」
 あっ、素に戻って本音を言いやがった。
 まあ相手がオブリビオンだからいいと思うが、開幕からなんて妨害をしやがるんだ、めっちゃ傷ついてるぞ、よくばりさま。
「よ、よくもよくも。わたくしをコケにしてくれましたわね!」
 ほらー、めっちゃキレて攻撃しようと動き出してるじゃないか。
 トークショーで邪魔して能力強化を防ぐまではよかったけど、ここからかなりの強化がされてしまわないか、これ?
 だがしかし、相手の台詞を妨害するのはなにもこんなギャグいトークショーだけではない。
「まずはあなたを八つざk……」
「おーっほっほっほ! 私が、来ましたわ!!」
 今まさに、敵役っぽい台詞でよくばりさまが攻撃しようとした瞬間。
 台詞に被せる様に高笑い、そして煌びやかな後光を背にして姿を見せたのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)であった。
 悪役な台詞には悪役な台詞で対抗と言わんばかりのその登場、ちなみに台詞を最後まで言えていないのでよくばりさまのパワーアップは失敗しています。
「な、なによアナタ、わたくしの邪魔をすr」
「その程度で悪を名乗るのは片腹痛い。この悪役令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイが貴女に本物の悪を教えて差しあげしょう!」
 まーた台詞を被せていく。
 完全に相手の妨害に特化した立ち回りである、なんて酷い。
「あ、あなたねぇ、悪役にも悪役の演技、台詞回しが大事ってこの本にも書いてるのよ!」
 よくばりさま、妨害されたことに対して悪役について書かれた本を前面に押し出して非常識アピール。
 なお、この台詞は悪役っぽい台詞ではないとヴィヴィアンは冷静に判断、被せずに静観している模様である。
 この人、とりあえず全部台詞を被せればいい、ってわけではなく、的確に相手の悪役な台詞を潰すために全力を尽くしてやがる。
「ふふん、悪党の考えそうなことはわかりますわよ。
 そして悪として恥ずべきこと、それは、その言葉一つ一つを遮られること!」
 うわぁ、全力で宣言しやがりました。
 億劫もなく、よくばりさまの悪役な台詞を徹底的に遮る宣言である、これは酷い。
「な、なんてことを……!」
「おーっほっほっほ、どう、何かいってみては?」
 何か言おうとしたよくばりさま、高笑いで妨害するヴィヴィアン。
 やめて差し上げろ、このままでは悪役な台詞が完全に無くなってしまうじゃないか!
 語る、語るチャンスをあげてこその悪役ですわよ、ヴィヴィアンさん!
「中々の妨害ですね……ですが言葉を遮るだけでは不十分、理詰めで行かせて貰います」
 相手の台詞をいつでも妨害する、なんて状況のヴィヴィアンを横目に現れたのは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)
 もし万が一、自分の理詰めを相手が論破、若しくは逆切れで何か言い返してきた時は任せると、無言で頷き合図を送れば意図を察したか、悪役っぽく、強者の余裕を見せつけて腕を組みつつ静観するヴィヴィアン。
 正義からは程遠いなぁ、この人! 自分でそれを認識してるのもより性質が悪いけど。
「な、なによアナタ、わたくしに何を言わせるのよ!」
 トークショーで心にダメージ、台詞も妨害されて強化もできず、そこへやって来た理詰め宣言。
 思わず身構え、悪役な台詞を言うのも忘れたよくばりさま、ここまで直接的な攻撃をされていないのにかなりの精神的ダメージを受けているっ。
「正義とは何か? 其は勝者を指す言葉」
 そんなよくばりさまに、正義は何を意味する物かと語り始める絶奈。
 正義が勝者とするならば、と誰もが思えば即座に語られる、敵対者たる悪の存在理念。
「では正義を前にした悪とは何か?
 其は超える壁であり、正義の前に儚く散る者……」
 正義が勝者となるならば、相対する悪は即ち敗北、散る事が存在理念。
 表裏一体、片方だけで存在することはできず、それぞれに与えられた役割があるのだと絶奈は説き。
「な、なんですって、あなた、わたくしが負けて終わりと言いたいの!?」
 わなわなと震え、否定しようとその前足を振り上げたよくばりさま。
 だがその動きにも一切動じず、淡々と絶奈は言葉を続けていく。
「力でねじ伏せようとする、そんな反応をしたという事は……。
 理解しましたね?
 勝つまで戦い続ける我々こそが絶対正義であり、貴女が悪を自称するならば敗北しか道はない」
 黙らせようとした行動を、理解しての否定と論じて結論付ける絶奈。
 仮に、いい感じの反論が出てきても後方に控えてるヴィヴィアンが台詞を重ねて喋らせないだろうし、もうこれは完全に詰みである、なんて酷い。
「……さて、貴女は悪役に徹するのか、勝利を目指すのか」
 そしてトドメとばかりに、強化を得るが敗北必須の悪役を演じ続けるか、それとも勝ちを掴む為、悪役としての立ち回りを捨てるのか。
 二者択一を突きつけての思考妨害、冷静な状態ならばこんな理論の押し付けを跳ね除けて。
 悪役でも勝利はあると言ってのけて、自分を強化し猟兵を叩き潰すことも可能であったよくばりさま。
 だがしかし、今のよくばりさまはトークショーで出鼻を挫かれ、悪役な台詞でのパワーアップも別の台詞を上書きされて失敗、そんな混乱するしかない状況での選択肢を押し付けられてどうしようもなくなって。
「キ、キィイイイイ! 五月蝿いわね、全員消し去ればわたくしのしょ……」
「正義と悪は表裏一体、そんな単純な事にも気付く事ができないとは、悪と名乗るのもおこがましいですわ!」
 怒りのままに叫び、猟兵を殲滅しようと動いたよくばりさま。
 だが、その台詞もヴィヴィアンに上から台詞を被せられて最後まで言えず、パワーアップができないままに。
 ハッとし振り向くも既に手遅れ、よくばりさまの金貨溢れる腹部へとヴィヴィアンの振るう槍の穂先が突き刺さり、そのまま彼女が振り上げれば多量の金貨が宙を舞う。
「ぶ、無礼者! わたくしは女王なのよ、傷つけるとはゆるさ……」
「今日のわたくしは不意打ち辞さないだーくひーろー、正義の味方は、他の方におまかせですわ!」
 怒りのままに叫び、働き蟻を召喚するよくばりさま。
 その叫びにすらヴィヴィアンは言葉を重ねて妨害し、気勢を削いで自分自身に注意を向ければ絶奈が攻撃準備を完了し。
「其は始原にして終焉。永遠不変と千変万化。万物が内包する奇蹟にして、森羅万象が齎す福音と災禍也」
 地の底から響くような、不気味な声色と共に力の解放。
 それと同時に周囲に立ち込める濃霧に飲まれ、数多の働き蟻たちがのた打ち回る。
 完全に不意打ちを受けたよくばりさまが顔を向け、絶奈の動きに対応しようとするも既に手遅れ。
 霧に飲まれたその中で見えたもの、それは濃霧を断ち切り飛来する衝撃波、吹き飛ばされる働き蟻、そして空中にて炎上する配下の蟻たち。
 続けざまに繰り出される攻撃を受け思わず後退、働き蟻達が炎に飲まれ、その動きを止める中。
 強化を阻まれ、更に妨害までされたよくばりさまを徹底的に追い詰め、駆逐するために。
 3人の猟兵が時間を稼いだその間に、多数の猟兵が相手を逃がさぬ様に多方向から方位を完了、各々の力を持ってよくばりさまを倒す布石が終わろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジュリア・ホワイト
ふっ、ヒーローらしく……?
ボクを呼んだかな?ヒーローそのものであるこのボクを!
「ヒーロー・オーヴァードライブ参上!これより正義を執行する!」
(ひとつの本棚の上から飛び降りてスーパーヒーロー着地を決めつつ)

「これ以上は好きにさせないよ、悪のオウガ!このオーヴァードライブが、ここでキミを倒す!」
「発動、バーニング・ハートォ!」
持ち込んだ石炭を食べて【圧力上げろ!機関出力、最大解放!】を発動
強化された身体能力で敵に戦いを挑もう

敵の噛みつき攻撃を動輪剣で受けて火花をちらしつつ
相手の脳天に『No.4』の銃撃を叩き込んであげよう
「ちゃんと勝つのがボクの正義なのさ!さようなら!」

帰還するまでがヒーローなのさ


山田・キリン
その高笑い、お前か悪党!
このキリンサンダーさんが来たからにはもう悪い事はさせないぞ!

【Killin'it】で仲間たちを召喚し、本棚の影から本に書いてあったヒーローの心得を教えて貰おう

そんな金銀財宝で飾り立てたって、お前の心は醜いままだ!
お前を本当に心配してくれる仲間はいるのか?
本当の自分をさらけ出せる相手はいるのか?
本当に美しいもの、それは仲間たちとの熱い友情だ!

本棚の影から仲間たちが姿を表し、応援してくれるぞ
キリンさんは手下蟻に襲われる仲間を助け(幻だから守る演技だけど)友情を見せつけてやる
お前らの声があるからキリンさんは頑張れるんだ!
仲間を守るための友情パンチで、お前の目を覚まさせてやる!


御堂・茜
正義が御堂を呼んでいる…
御堂が正義を呼んでいる…!!
呼びましたか!この正義の化身、いるだけで正義たるわたくしを!
御堂が正義で正義が御堂、ご存知御堂茜ですわ!(決めポーズ

ご覧なさいこのジャスティスな装備の数々を…!
未だかつてない正義量(ジャスティスエナジー)の強さにあらゆる悪がははーっとひれ伏すでしょう!
居城はジャスティスミドウ城!
称号も祖父の名前もアイコンまで正義!
まさに正義の味方…である前に剣豪ですが
曲げぬ侍魂はむしろ正義の証ですわ!

もし御堂以上の正義量を持つ者がこの戦場にいるとしたら…
それもまた、別の正義…ッ!!
さあ正義を背負いし皆様ッ!
ご唱和くださいませッ!
【完・全・懲・悪】ッッ!!!!


四季乃・瑠璃
緋瑪「ヒーローって言えば、正義の猟兵なわたし達の出番だね!」
翡翠「金ピカ…ゴールデン翡翠ちゃんZ持って来れないかなー…」
瑠璃「アレはあの国限定だからねー」

緋瑪「世の為」
瑠璃「人の為」
翡翠「出番の為」(ボソ)
3人「貴方をここで成敗するよ!」

【クリエイト】で分身

とにかく敵が悪っぽい言動・行動をしようとする度に先手打ってボムや【クリエイト】したロケラン等の火器で爆破して徹底妨害。
「敵が自身を「悪」と定義しているなら、悪を妨害する自分達=「正義」という超理論で正義認定。

最後は【クリエイト】で再現したゴールデン翡翠ちゃんによる翡翠ちゃんプレスでぷちっと

緋瑪「そういえば、アレも兵器だから再現範疇だね♪」


シャーロット・キャロル
正義のヒーロー。
まさしく私がこの戦場で戦わないでどこで戦うというんですか!

「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!」
まずは高台から登場し名乗りを上げますよ。堂々とした登場はヒーローの鉄則です!

どうやら相手は傲慢な性格のようですね。そこを刺激して隙を作るのがいいかもしれません。

「どんなに宝石で飾ろうともその悪しき心は隠せませんよ!悪党よこのマイティガールが相手になります、かかってこぉい!!」

相手が挑発に乗って攻撃してきたらしめたもの、UC【マイティバスター】で逆に強烈な投げ技を使って返り討ちにしてやりますとも。
掴んでしまえば私自慢の【怪力】からは逃げられませんよ!

【アドリブ、連携大歓迎です】


ヴェル・フィオーネ
・心情
えっと、正義の味方っぽいことすればパワーアップできるのよね……うん、そういうことなら大丈夫!
だって、この『猟兵』の力は、そういうことの為にあるんだもの!

・戦闘
アリスナイト・イマジネイションで、『正義の書』に示されていたようにヒーローっぽい感じで鎧を纏って、名乗りをあげるわ!
正義のヒーローって想像力を籠めたこの鎧は、あなたなんかに打ち砕けない!
もちろん、攻撃する時にもそれっぽい感じで技名をつけて攻撃するわ!
これも、『正義の書』に示されていたものね!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ!


香椎・碧
では、少し僭越ながら。
第四の壁を、破りましょうか。
あくまで傍観者として。

「序盤は正義が押されるのは、ままあることですね」
「それにしても、背後の組織もなければ、確たる信念もない。長期ストーリーよりは一話完結で負ける、三下の悪のようで」
「力で押すだけでは昨今の子供向け番組の悪役未満ですね」
「正義の側が押されていますが、そろそろ転機を掴むことでしょう。もうBパート中盤ですし」
「最後に雑魚の悪役らしく、姑息な手を使ってみては?一般人を人質に取るとか」
「残念ながら私は一般人ではないので、負けフラグですけどね。お約束、お疲れ様でした」
きっと仲間が知らなかった協力者枠、といったあたりでしょうか、本当の私は。


闇之雲・夜太狼
ヒーローっぽいと言えば、俺は王道を往く名乗り口上!
聞いてください、アースクライシスでの俺の決め台詞!

ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!

さて、ビシッと決まったところで、いざバトル……
って、あれ?迷路?
はは~ん、さては乗り込んできた者を惑わす、悪の要塞ごっこだね?
でも、正義の味方に不可能は無いんだから
UCを使って、一度も迷わずに迷路を駆け抜ける!

すぐに迷路を抜けたら、びっくりしてくれるかなぁ?
悪の親玉のにおいを嗅ぎ付けたから、あんな迷路一発で攻略できたのさ(嘘だけど)
アリさんにはパワーアップしたガオウ丸から、光属性攻撃の正義の光線を浴びせてあげよう!


ノエル・フィッシャー
【POW】
うんうん、全くその通りだね。残念ながら儚く散る命はキミのだけどさ。
おっといけない、ついつい売り言葉に買い言葉だ。正義の味方ムーブだ王子様。

正義とはまず形より入りしもの、故に使うUCは【光溢るる夢幻の剣】。

説明しよう!
光溢るる夢幻の剣(ルビ:ザ・ライトブリンガー)は、王子様の未来への希望と溢れ出る心の光によって鋳造された剣だ! その刀身は心が折れぬ限り決して折れることはない、即ち――無敵! しかもひかる!
(以上説明終わり)

正義の味方らしく得物の説明をしてから、正面切って剣を構え突撃。すれ違い様に敵を一閃、鞘に納めるようにして剣を仕舞い、正義の味方ムーブをするよ。

アドリブ・共闘歓迎だよ。


久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎

金銀財宝で見た目だけを着飾り滑稽な事だな
ただただ外見だけを飾り立て中身が一切伴わない偽りの美、
人、それを「虚飾」という

などと決め台詞っぽく言いながら高い所から登場する
「なにやつ」とか言ってくれたら嬉しいがとにかく飛び降りつつUCで「フレアライザー・ヘヴン」に変身して敵の前に立つぜ

本棚の【地形利用】であちこちの壁を蹴りながら高速飛行によるエネルギー、衝撃波を乗せた斬撃と黄金の焔を織り交ぜた【空中戦】【2回攻撃】による急襲
相手の噛みつきは初動を【見切り】、【オーラ防御】【盾受け】で受け流しつつ【カウンター】も狙って戦う
俺の焔は【生命力吸収】する
相手に吸収されても返して仕切り直しだ


新山・陽
SPD 組織で働く社会人に、そんな悪趣味な金銀財産を見せても財宝の価値が計れるだけです。これを盗れば私も悪。その誘惑が貴方の悪ですね?
 OK。ですが、私が対価を払えばこれはむしろ正当な契約。悪は悪らしく、私の正義に【取引】に苦しむがよろしい。
 そんなわけで目指せwinwin。
 申し訳程度に、上着をばっと脱いで「変身!」と力強く言い放ち、普通に上着を着ます。

 敵の攻撃でできた迷路の中で、すすっと『良き隣人』で【暗号作成】で生成した高級なお肉の数々を無限に置いていき、支払い分をUC『しれっと』頂戴しながら進み、出口のボスに【投擲】でぶつけ撃退を試みます。

 え? お肉欲しくなかった? 知りませんね。


ラックラ・ラウンズ
そこまでだ。
数多の金銀財宝を掠め取り、価値あるものを踏み台にし、自己の利益のみ追い求める下劣なるオウガ……者よ。
今こそ成敗の時である!

……口上に困りながらもそれっぽくやりましょうか。
それはそれとしてオウガは死ね。

正々堂々と盾と巨砲をぶら下げて正面に立つ。
そのまま俺も向上を告げる。
今此処に居るのは、お前を討つという意思持つ者だ。今こそ成敗の時である。
その身に纏う黄金も、白銀もアリス達のものであろう、返して貰おうか。

巨盾を正面に構え、脚に力を込めて、跳躍する程強く屈曲させ、それをばねとして真横に射出するように突進。
その勢いのまま奴の顔面を凹ませながら吹き飛ばす。すぐさま巨砲を構え、逃さぬ一撃を!


月影・このは
正義の味方っぽい言動ですか、それならボクの出番ですね!
対ヴィラン用量産型戦闘ロボ518号、これよりアリスラビリンスにて交戦に入ります!


高いところからの宣言はお約束、本棚の上に登り一言、待てい!

美しさを求め人を殺める所業許しがたし!
と飛び降り着地!図書館の埃が舞上がる中ゆっくり体勢を整え

当然、彼女が悪役なら名を尋ねてくることでしょう。
なら、こう答えましょう…悪に名乗る名はなし!と


挑むはこの拳や足を使って格闘戦です【グラップル】
敵のUCに対しては致命傷を避けつつ【見切り】この身で

こう噛み付いては離れることは逃げることは不可!
零距離のオーラブラスター!これでトドメです!

悪は滅びるのです…


エアリーネ・シルベンスタイン
正義についてはいろいろありますよね
時代でも場所でも、何なら世界が変われば結構移り変わっちゃうものですし
互いに正義を主張するのも珍しくありません。
でも、少なくともここで一つはっきりしているものがあります
此処は図書館、つまり、「図書館ではお静かに」
うるさくする子は悪であり静かにさせる事は正義なのです
ルールを守って正しく使いましょう


なので高範囲沈黙魔法(自己申告)【フィールドサイレンス】を使用します
これより、うるさくしている子には「粛清の光」と「黙らせる(物理)」を駆使する天使さんが
やってきますよ……

どうせ参考にするなら、偉人伝とかの方が良かったんじゃないでしょうか……?
割と征服者とかいますよね?



 強化を阻まれたよくばりさま、気付けば完全包囲され、戦場となる図書館世界、その本棚のいたる所に猟兵の影。
 腕を振るい、金貨をばら撒き、働き蟻を呼び出して守りを固め、集まった猟兵を前に声を張り上げていた。
「キィイイ、馬鹿にして、そんなに雁首揃えて集まって!
 いいわよ、女王であるわたくしが、全員、斬首刑にしてさしあげますわ!」
 怒りに任せて叫びつつ、猟兵を全員倒してやると微妙に悪役な台詞を言って戦闘力を微増させ。
 妨害されて強化がままならぬ状況、理詰めで追い込まれたままやられてなるものかと叫びつつ、カンニングペーパーのように本を読みつつ、こうい時の台詞を放つ。
「えーと、敵が高台にいた場合……これですわね。
 きさまらは何者だ!」
 妨害する台詞も来ずに、言い切れたよくばりさま。
 やったね、よくばりさま、これでパワーアップだよ!
 そんな達成感と共に、よくばりさまの体に力が満ちて、さあここから反撃だ、台詞妨害も押しかえしてやると頭をあげたがその勢いは直後、容赦なくへし折られていた。
「「「「「オそわ対あ天お正たボのれがふしレ義ク!!!!」」」」」
 うむ、何がなんだかわからない。
 というか総勢、10を超える猟兵達が、敵のお約束な問いかけに対して一斉に名乗りを上げようとしたんだからもうぐちゃぐちゃに混ざって少し喋っただけでもうわけがわからない。
 これはもう、聖徳太子も耳を塞いで諦めるレベルである。
 せっかく、敵の台詞を妨害する猟兵が空気を読んで、仲間の名乗りを促す悪役な台詞を言わせる事で仲間が名乗り、パワーアップできるようにと協力したのにこれでは台無しである。
「ちょ、なんで全員一斉に名乗りをあげるんですの! そこは一人ずつするものでしょう!!」
 あ、よくばりさまがキレた。
 というか誰だってまあ怒るか困惑するだろう、こんなもう無茶苦茶に名乗りが混ざった光景を見せられたら。
 最早最初の悪役っぽい言動とか完全に頭から抜け落ちて、名乗っていいから一人ずつしろと言い出す始末。
 どうしてこうなったんだ。
「さあ、早く名乗りなさいよ! 一人ずつよ、一人ずつ!」
 念には念を入れて、一人ずつと要求した欲張りさま。
 そこに応じまず最初に名乗りをあげたのは……あげた、のは……?
「……なんで一人ずつっていったら、全員で順番を譲り合ってますのよ!?
 どうぞどうぞ、って譲り合ったりじゃあ自分が、って重なってお互い遠慮しあったりとかどういうことですのよ!?」
 最初に誰も名乗りをあげなかった光景。
 一人ずついこうか、っていうかよくばりさまが言ってるから一人ずつ、って雰囲気になったけど。
 じゃあ最初はどうぞ、って譲り合ってる猟兵とか、一番手に、って動いたものが2人以上出たのでそこでどっちが先にいきますか、みたいな感じでアイコンタクトを取り合って。
 先ほどは全員一斉で大混乱、今度は譲り合って誰も名乗らないという両極端な状況に、悪役っぽい台詞とか関係なくツッコミ担当になってしまったよくばりさま。
 もうだめかもわからんね、これは。
「ムキィァァァアアアアア!! もう、いいかげんになさい!!!
 ああもう、わかったわ、そこのあなた、そう、あなたよ! あなたから、時計回りに一人ずつ名乗りを上げて!
 いいこと!? 順番は守るのよ! はい、じゃあ名乗りをあげる!!」
 もう悪役とか女王様な威厳もかなぐり捨てて、混沌としてしまった場をどうにかしようと声を荒げたよくばりさま。
 もちろん、こんな事をいう悪役なんていないのでパワーアップ効果は皆無である、やったね、猟兵のみんな!
 妨害効果が絶大だよ!
「えっ? 私が一番手ですか? えっと、正義の味方っぽいこと……」
「なんでいざ指名されたら戸惑うんですのよ!?」
 指差した先、ヴェル・フィオーネ(ウィザード・オブ・アリスナイト・f19378)が戸惑う姿に思わずツッコミよくばりさま。
 まあ仕方ない、全員一斉で混乱して、一人ずつで譲り合って、じゃあ指名制でって感じで指名したら開幕からちょっとたじろいでるんだもの。
「大丈夫! いきなり指名されて驚いたけど、この猟兵の力は、そういうことの為にあるんだもの!」
 よくばりさまのツッコミに、何がとは言わないが大丈夫と答えて力を込めて。
 瞳を閉じたヴェルの体を覆うように、光が鎧の形を成す。
「私はヴェル・フィオーネ! 正義のヒーロー、その無限の想像力を籠めたこの鎧は、あなたなんかに打ち砕けない!」
 叫ぶと同時に光が散って、その下から金属特有の煌き見せる鎧が出現。
 無敵のヒーロー、という想像から形を成した鎧に身を包み、白銀の光を放つ槍を頭上で大きく大旋回。
 風切る音を響かせて、その武威を示した後に穂先を相手に突きつけ構え、ヴェルはよくばりさまに相対するのであった。
「くっ、いきなり正統派ですわ! 次、その隣のあなたはなにもの!?」
「なにもの、か……ならば名乗ろう」
 ヴェルの正統派っぽい名乗りに押されつつ、次とばかりに隣の久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)によくばりさまが問いかける。
 待ってましたとばかりに遥翔は本棚の上から跳躍、落下しながらその身に漆黒と黄金、二色の焔を纏いつつ変身を。
「天焔解放(オーバーフロウ)――フレアライザー・ヘヴンッ!」
 決め台詞と共に着地、右手に持った黒焔剣を一振りすれば、その勢いで全身を覆う焔が剣圧にて吹き飛んで。
 周囲に散らばる撒き散らされた紙片を焼き焦がし、漆黒の鎧に身を包んだ遥翔の姿がそこにはあった。
「貴様は金銀財宝で見た目だけを着飾り滑稽な存在だな。
 ただただ外見だけを飾り立て中身が一切伴わない偽りの美、人、それを「虚飾」という」
 手にした剣を突きつけて、よくばりさまが虚飾でしかないと宣告した遥翔、もといフレアライザー。
 ダークヒーローな見た目から相手を的確に挑発する言葉を発し、冷静さを奪っていた。
「ム、ムキィイ! なんなのよぉ! あなた、あとで覚えてなさいよ! 次、次々! もう2人ぐらいいっぺんにやってもいいわよ!」
 怒りで我を忘れつつあるよくばりさま、多分このまま一人ずつ名乗りを上げられて、毎度毎度挑発されると怒りでとんでもないことになってしまいそうだと思ったか。
 もう二人ずつ名乗らせて、お互い潰し合わせて挑発効果を抑えようとしたのだろうがそうは問屋が卸さない。
「そこまでだ。
 数多の金銀財宝を掠め取り、価値あるものを踏み台にし、自己の利益のみ追い求める下劣なるオウガ……者よ。
 今こそ成敗の時である!」
「先の高笑い、そして相手が誰だと聞いてくるこの台詞、お前か悪党!
 このキリンサンダーさんが来たからにはもう悪い事はさせないぞ!」
 ちょっと口上に困りつつ、何とか体裁を整えたラックラ・ラウンズ(愉快口調の墓守案山子・f19363)と、これまでの言動をしっかり観察、いまこそ悪党呼びの好機とばかりにバッチリ口上を決めた山田・キリン(キリンサンダー・f14194)
 金銀財宝を奪い、他者を踏み台にした行いを否定し、下劣と断じるラックラにあわせて悪党と言ってのけるキリンの組み合わせは更に口撃をエスカレート。
「今此処に居るのは、お前を討つという意思持つ者だ。今こそ成敗の時である。
 その身に纏う黄金も、白銀もアリス達のものであろう、返して貰おうか」
 巨大な盾にて身を守り、巨砲の砲身突きつけたラックラ。
 虚飾は今ここで吹き飛ばさんと宣言していく中で、続けてキリンが問いかける。
「そんな金銀財宝で飾り立てたって、お前の心は醜いままだ!
 お前を本当に心配してくれる仲間はいるのか?
 本当の自分をさらけ出せる相手はいるのか?
 本当に美しいもの、それは仲間たちとの熱い友情だ!」
 美を求め、収集してきたよくばりさまの行動。そして飾り立てた今の姿では醜き心であるとキリンが告げて、彼を助ける故郷の仲間、それらが本棚の影から姿を見せた。
「こんな場所にまで、キリンさんを助けるべく馳せ参じてくれた仲間の友情、お前にわかるか!?」
 よくばりさまを指差して、友情のすばらしさを説いていく。
 結果、二人同時に名乗らせた為に片方からは虚飾だなんだと徹底的に言われ、また片方には別の美しいもの、友情のすばらしさを叫ばれるというダブルパンチに。
 なお、友情うんぬんのくだりは正義の書に書かれていた仲間との信頼とかそういった類のページの受け売りらしい。
 そんなこんなで二人同時に言わせたら相乗効果で余計にダメージがひどくなったよくばりさま。
 でも複数同時にいっぺんにやっていい、って言ってしまった手前、この流れは止められない。
「ぐぬぬ、わたくしが虚飾か、力で思い知らせてやりますわ! もう何人でもまとめていらっしゃいよぉおおお!」
 流れが悪くなって悪役な言動も言いにくくなったのか、ヤケクソ気味に叫んでいくよくばりさま。
 ならば一気に言葉で追い詰めるとばかりに、順番待ちの猟兵たちが続けざまに名乗り始めるのは必然であろう。
「正義が御堂を呼んでいる……御堂が正義を呼んでいる…!!
 呼びましたか! この正義の化身、いるだけで正義たるわたくしを!
 御堂が正義で正義が御堂、ご存知御堂茜ですわ!」
 一度の名乗りで正義という単語が何度も出てくるわ、自分こそ正義とまで言ってのけるわでこのまま続けると正義とは何か、正義がゲシュタルト崩壊を起こしそうな勢いで堂々と名乗っていたのは御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)
 装備そのものが正義って感じのものでいっぱい、あと住居もジャスティスってついてるジャスティスミドウ城、あと関係ないと思うけどおじいさんのお名前が正義、って感じらしい。
 つまりは正義に正義を乗せる正義の過剰積載状態、正義ってなんだっけ、な正義のマウンテンや!
「おおっ、なんという正義! ですが! 正義のヒーロー。
 まさしく私がこの戦場で戦わないでどこで戦うというんですか!」
 そんな正義のエメラルドマウンテンな茜に続き、正義を前面に押し出したのはシャーロット・キャロル(マイティガール・f16392)
 堂々とした名乗りこそ正義の鉄則、高台、もとい妙に高い本棚の上に仁王立ちして名乗りをあげます。
「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!
 どんなに宝石で飾ろうともその悪しき心は隠せませんよ! 悪党よこのマイティガールが相手になります、かかってこぉい!!」
 己が名前、というかヒーローネームを堂々と。
 そしてそのまま跳躍、赤きマントをはためかせ華麗に着地。
 美しき正義の登場ムーブを見せて、ビシッとよくばりさまを指差して。
 金銀宝石、それらで隠した悪しき心を指摘して、いつでも相手になってやると輝く光を背にして宣言するのはまさにヒーローとして申し分ない言動であろう。
「ふっ、正義やヒーローって言葉が多いね、ならばヒーローらしく……。
 いや、らしさなんてものじゃない、ボクを呼んだかな? ヒーローそのものであるこのボクを!」
 正義、ヒーローという言葉が飛び交った二人の名乗り、そこに便乗というか更に重ねて本棚の上にて姿を見せるはジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)
 順番が半ばだったので既にヒーローや正義、なんて言葉を出す猟兵の名乗りがあったが、それに負けじとスーパーヒーローである事を証明すべく。
 トンッと本棚の上から軽やかに。
 飛び跳ねそのままクルッと空中一回転、身体能力の高さを見せつけながら名乗りを上げるジュリア。
「ヒーロー・オーヴァードライブ参上! これより正義を執行する!」
 着地と同時にヒーローネームの名乗りを上げれば、その手に在るは彼を引き出すアイテム、石炭片。
 ジュリアは蒸気機関車のヤドリガミ、その蒸気機関を動かす原料は石炭、となれば行うことはただ一つ、燃料たる石炭の摂取である。
「これ以上は好きにさせないよ、悪のオウガ! このオーヴァードライブが、ここでキミを倒す!」
 手にした石炭を躊躇無く咀嚼、体に取り込むジュリア。
 直後、内部のボイラー出力が急上昇、それを示すように彼の体表から水蒸気が立ち上り、力の向上を見せ付けていた。
 だがヒーロー、その単語に便乗する猟兵はまだいるぞ!
「ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
 俺が来たからにはお遊びはここからだよ!」
「そこ、お遊びはこれまでだ、って言うところですわよね!?」
 別の本棚、その上に飛び乗って姿を見せた闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)の名乗りに対し、ちょっと間違ってないかとツッコミ入れるよくばりさま。
 何とか名乗りで押される流れを変えようとしたのだが、相手も相手、ヒーローを名乗るも正体不明の嘘つきと称される夜太狼に弁舌で適うはずもない。
「何言ってるんだよ、戦いは遊び、そっちが金銀財宝を集めるのも似たようなもの。
 なら、命がけのスリリングな遊びってことで間違いはないよ」
 それっぽい文言でツッコミを入れたことが野暮だと断じて、それを踏まえて今の名乗りは王道だったと主張する夜太狼。
 何とか言い返そうとするが、その発言を許さぬとばかりに別の猟兵が畳み掛けていた。
「ちょ、それは詭べ……」
「待てい!
 美しさを求め人を殺める所業許しがたし!」
 口を開いたよくばりさま、その発言に被せるようにとある本棚の上から響いた叫び声。
 声の主は月影・このは(自分をウォーマシーンと思いこんでいる一般ヤドリガミ・f19303)
 対ヴィラン用量産型戦闘ロボ518号、これよりアリスラビリンスにて交戦に入ります! なんてどこかの司令部に連絡するような発言をしながら戦場に来ていた彼ではあるが……勘違いしてはいけない、彼はそんなロボではなくヤドリガミである。
 確かに言動やらバックボーンは正義の味方っぽいものではあるが、彼のロボな設定はそういう設定で遊ばれていた玩具時代のものなのであしからず。
「くっ、いつの間に!? とりあえず……あなたはなにもの!?」
 新手を前に、やらねばならない義務作業、相手に名前を聞いていくよくばりさま。
 その問いかけを本棚からの跳躍という形で返し、両膝まげて衝撃を殺しながら着地。
 あまり人が立ち入らなかったエリアだったのだろう、地面に積もった埃が舞い上がる中でゆっくりと立ち上がるこのはは鋭き眼光でよくばりさまを見据え、冷淡に言い放つ。
「……悪に名乗る名はなし!」
「いや、名乗りのシーンですわよ!?」
 一人ずつ、いやもう纏めて名乗っていいよと言って正義の味方、もとい正義の猟兵に名乗らせてた中で名乗る名は無い、と返されて思わず本音が出たよくばりさま。
 まあ仕方ないね、でもこういう、悪党どもに名乗る名は無い、ってのも王道だしそういう事を言われる想定をしていなかったよくばりさまが悪いんだよ、これは。
「うんうん、全くその通りだね。美しいものに対しての気持ちには同意するが、残念ながら儚く散る命はキミのだけどさ」
 そんな正義な流れを変えるような、ちょっとダークヒーローな空気で本棚の影から姿を見せたノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)
「なんですってぇ? 美しさがわかる点は褒めてさしあげますけど、わたくしが散るというのは聞き捨てなりませんわよ!」
「おっといけない、ついつい売り言葉に買い言葉だ。正義の味方ムーブだ王子様」
 儚く散る、という言葉に反応、ちょっと悪役な言葉で返したよくばりさまを見て、今回は正義ムーブだと自分を律するノエル。
 じゃあどうするんだ、という問いかけに対し、彼が行うのは至極簡単、そう、形から入るという事である。
「君は正義が何であるかしっているかい? わからない? そうだろうね、ならどうすればいいか?
 そう、それは形から入り、やがて心を正義にするのが一番って事さ!」
 いいこと言った、見たいなドヤ顔で引っ張り出したのは王子様なノエルの心から作り出された光の剣。
 未来への希望、その思いが宿る剣ならば正義として申し分ない、形としてはばっちりである。
 心の力の剣って、完全にヒーロー側がピンチを打開するのに使う武器だし当然だね。
「ヒーローって言えば、正義の猟兵なわたし達の出番だね!」
 形からのヒーロームーブが決まった時、満を持してというか待ちくたびれたというノリで響いた声。
 その声は四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)の別人格であり、分身して形を成した緋瑪であった。
 更に分身だけではなく、瑠璃と緋瑪に瓜二つの姿を持つ人形に宿った別人格の翡翠もそこには居て。
「目立つには金ピカ……ゴールデン翡翠ちゃんZ持って来れないかなー……」
「アレはあの国限定だからねー」
 自分の出番が少ない、そして正義は最終的に金色になって、目立つ為にと10倍のスケールを持つ、とある不思議の国で作った自分の黄金な巨像を持ち込みたかったなんて口にする翡翠と、それは無理だと諌める瑠璃。
 というかそんな巨大な物を持ち込まれてたまるかっ!?
 目立つ云々通り越して、パワーで蹂躙して終わるわっ!
「な、なにをいってますのよ、それとわたくしを無視して3人ソックリさんだけで話を終わらせないでくださる!?」
 出番が来た、という宣言と用意したかったアイテムについて語り、よくばりさまを無視したムーブ。
 いや、せっかくの名乗りなんだからきちんとしろ、三人で完結させるなとよくばりさまが叫んだので、ああ、忘れてた、といった様子で其方を向いた三人が。
「世の為」
「人の為」
「出番の為」
 うん? 出番の為……? しかも小声で何か妙なものが混じったような……。
「「「貴方をここで成敗するよ!」」」
 ツッコミ所がある宣言、だが最後にビシッと三人で決めることで怪しい部分を強引に流してしまう力業。
 なんて奴らだ、完全にペースを渡さないつもりである。
「なるほど、皆さんのお話を聞くに、正義についてはいろいろありますよね。
 時代でも場所でも、何なら世界が変われば結構移り変わっちゃうものですし」
 一同の名乗りを聞きつつ、ポンと手を打ち本棚の後ろから姿を見せたエアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)
 納得しちゃいかんと思うのは気のせいだが、まあここまで多様な正義が出てきたら納得するのも仕方ないね、よくばりさまも反論できてないからここでツッコミを入れるのも野暮だしね。
「オウガである貴方にも、悪役という形の正義があるかもしれません。
 となれば、互いに正義を主張するのも珍しくありません。
 でも、少なくともここで一つはっきりしているものがあります」
 何かを言い聞かせるように、そしてこの場所であるからこそ大切なものがあるとばかりに大仰に手を振って、図書館全体を示すように歩くエアリーネ。
「此処は図書館、つまり、「図書館ではお静かに」
 うるさくする子は悪であり静かにさせる事は正義なのです。ルールを守って正しく使いましょう」
「な、盛大に名乗ってるのは貴方たちでしょうに! あとわたくしがここまで叫ぶのも貴方たちのせいでしょう!」
「言いましたよ、図書館ではお静かに」
 図書館使用のルールを淡々と語るエアリーネに対し、いや、五月蝿いのはそっちのせいだと全力で叫ぶよくばりさま。
 だがしかし、静かにしろといわれて叫んだのは悪手であった。
 ルールを守れと言わんばかりにエアリーネの背後に、騒音を嫌う気持ちに呼応して出現した天使が右手を上げれば、粛清の光がよくばりさまに降り注ぐ。
「ごふぉぉ!? ちょ、なんて理不尽なのよ、これ!」
 おかしい、明らかに自分だけがやられる道理はないのにと叫ぶもこれも騒音と判定されたか、追加で降り注ぐ粛清の光(物理的衝撃)
 名乗りをさせたのに、最後には何故か一方的に攻撃されてしまう悲劇というなんともひどい光景がそこには広がっていたのである。
「序盤は正義が押されるのは、ままあることですね」
「いや、最初から押されてるのはわたくし……ふおおお!」
 何故か始まった光の粛清、その光景を前にして淡々と言葉を紡いだ香椎・碧(珈琲屋・f24176)
 明らかに言ってる事と状況が違うだろとよくばりさまが叫んでしまい、またしても五月蝿い騒音判定で光の攻撃をうけていた。
「いえ、僭越ながら、第四の壁を破る為には虚報も止む無し、と思いまして」
 第四の壁ってなんだ、という中で完全に傍観者的な立ち位置、更には言葉でよくばりさまの妨害を行う為に動く碧。
 ヒーローがたくさん、さらには悪役な台詞も妨害される最悪の状況になった、よくばりさまの明日はどっちだ!?


 ………………
 …………
 ……
 戦いは終わった。そう、正義の力を高めた猟兵の圧倒的な力の前に、よくばりさまは成す術も無く無残に敗れ……。
「勝手にナレーションで殺さないでくださる!? 確かに押されてますけど、まだまだわたくしは健在よ!」
 あ、生きてた。
 なんだ、正義のヒーローな猟兵の数が大体、第六の戦士を混ぜても2チームぐらい作れるのにまだ戦えるのか、さすが事前にある程度はパワーアップしていたオウガだなぁ。
「なるほど、本来は行殺される展開でも否定し、力業でなんとかしようとするだけでは昨今の子供向け番組の悪役未満ですね」
 そんなオウガ、よくばりさまの必死の抵抗を淡々と否定する碧。
 えげつない言葉の暴力である。
「ムキィイ、なんてことを言うのよ!」
「事実を言ったまでです。背後の組織もなければ、確たる信念もない。長期ストーリーよりは一話完結で負ける、三下の悪のようで」
 行殺の運命を覆したのに毒舌でオウガを攻める碧、この人が一番の悪な気がしてきたぞぉ。
 だがそんな言葉に負けていられぬとまだ立ち上がるよくばりさま、金銀財宝で出来た迷宮を作り進路を阻み、更には金貨を背負った働き蟻の集団を召喚して徹底抗戦の構えを取る。
 そこへ救いの手、もとい救いの言葉、っぽいが実際はよくばりさまを追い込む声がかけられたのはその時であった。
「組織で働く社会人に、そんな悪趣味な金銀財産を見せても財宝の価値が計れるだけです。これを盗れば私も悪。その誘惑が貴方の悪ですね?」
 それっぽい台詞と共に姿を見せたのは、名乗りのシーンに居なかった新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)である。
「へ? いや、誘惑が悪とかじゃなくってですね……」
 何か味方になるような、それでいて違うような雰囲気の台詞を聞いて困惑するよくばりさま。
 そんなよくばりさまを無視して更に陽は続けていく。
「私はwinwinを目指しています、つまり取引。私が対価を払えばこれはむしろ正当な契約」
 両方が得をする関係、取引、契約。
 あれ、これ味方になってくれるの? って感じで首をかしげたよくばりさまだが、やっぱり相手は猟兵である、そんな希望は無い。
「変身!」
 力強く言い放つ陽、そして上着を勢い良く脱いで……うん、脱ぐまではよかったよ。
 そのまま普通に着なおすってどこが変身だ!? ただ単に、服についてるかもしれないゴミを跳ね飛ばして着なおしただけじゃねーか!?
「なによなによ、なんなのよぉおおお!?」
 まあそうだろう、もうなんていえば良いのか、猟兵のペースに押されっぱなしのよくばりさま。
 混乱状態になった中、ここから完全に倒すべく先ほどまで攻めていた猟兵達が再びの攻勢を見せるのは自然の摂理であろう。
「はは~ん、さては乗り込んできた者を惑わす、悪の要塞ごっこだね?」
 金銀財宝の迷路を前に、夜太狼がニヤリと笑い飛び込めば、その後を追う様に陽も突入。
 正義の味方に不可能は無いとばかりに全速力で突き進み、曲がり角や細道でも迷う事無く突っ切れば、不思議と全ての道が正解で。
 迷宮突破の最速記録、走りっぱなしで正解ルートだけを進んだ理想値で出口から飛び出した夜太狼を前にして、時間稼ぎが出来ていない事に驚愕するよくばりさま。
「なっ!? 何故、どうして、こんなに早いのよぉおおお!?」
「アハハッ、悪の親玉のにおいを嗅ぎ付けたから、あんな迷路一発で攻略できたのさ」
 においがした、なんてそれっぽく嘘を吐き、引き出したのは狼の顔を模した発射口持つ光線銃のガオウ丸。
 そのまま正義の光、光線を頭部目掛けて射出して、視界を奪いながらの一撃離脱。
「おお、すばらしい突破力です。そしてルートもわかりました、となれば私は出口までの道しるべを作るのがお仕事ですね」
 突っ切った夜太狼の動きに感嘆しつつ、彼に続けとばかりに迷宮進む陽。
 正解ルートを追いかけながら、道しるべとばかりに高級なお肉を置いていく陽。
 転送される高級なお肉、その価格はとんでもない事になりそうであったが、彼女はそれはもう自然に、しれっと迷宮を構築する財宝に手を伸ばし、主婦がスーパーで野菜を手にして吟味するような自然な動き。
 そうして手にした財宝を瞬時に転送、代金として頂戴しながら迷宮を進み、さくっと出口に到着し。
「ちょ、あなた、人のものを盗んで……ごぶぅ!?」
「いやですね、交換しただけですよ、高級なお肉に」
 財宝を奪われて、更にはあっさり突破されて文句を言うよくばりさま、その顔面に高級なお肉をなげつけて反論を封じ込め。
 代金として財宝をもらっただけ、迷宮に高級なお肉を置いて交換しただけだと悪びれも無く言い放つ。
 それでもまだ、何か言おうとするよくばりさまであったのだが……。
「え? お肉欲しくなかった? 知りませんね」
 反論などさせぬ、とばかりに再びお肉を投げつけて言論弾圧、完全に押さえ込み、更には彼女が標を置いたことで迷宮の機能が事実上完全に沈黙。
 せっかくの迷宮ではあるが、猟兵達が高級お肉を目印に一斉に出口から飛び出してきたのだから。
「イヤァアア、なんなのよ、これはぁあ!? あぶぅ!」
 迷宮無力化、そして猟兵の一斉攻撃。
 何かこう、ピンチな悪役な台詞を言おうとしたがその台詞を言い切る前に飛んできたのはロケットランチャーの弾頭や爆弾など、命中すれば音を出す代物。
「自分を悪、って言ってるなら、それを妨害する私たちは正義だよね♪」
「うんうん、間違ってない正論だね」
「出番……」
 緋瑪と瑠璃の超理論、そして自分の欲望を語る翡翠による爆発物による妨害アタック。
 その攻撃を皮切りに、残る猟兵が殺到し、応戦しようと体中に蟻の顎を生み出したよくばりさまに攻撃を仕掛けていた。
「発動、バーニング・ハートォ!」
 爆発からの連続攻撃、その一番手となったのはジュリア。
 残る石炭を一気に食して出力を更に強化、動輪剣……っていうか完全にチェーンソーな剣を振り上げて、けたたましい駆動音を響かせながら振り下ろす。
 その一撃を強靭な顎で受け止めて、回転駆動と張り合うことで多量の火花が周囲に飛び散る。
 奇襲気味に攻撃されて先手を取られたが、力負けはしていないと腕からも顎を生やして反撃に出るよくばりさまだがそれより早く引き抜かれたのはジュリアが持つ大型拳銃、No.4。
 乾いた音と共に銃弾が放たれて、額に受けたよくばりさまは大きく体を後方へのけぞらせていた。
「ちゃんと勝つのがボクの正義なのさ! さようなら!」
 勝って帰還するまでがヒーロー、ならばそれを確実にするためと仲間の攻撃を援護する様に連続発砲、そこに続くのはヴェル、ノエル、シャーロットの三人であった。
「正義の書が示していたわ。一人の力では敵わない強敵でも、力を合わせれば希望は見えるって」
 掲げた槍の穂先を向けて、ヴェルが渾身の突撃を敢行。
 今まさに腹部が貫かれようとした瞬間、よくばりさまはそこを顎へと変換させる事で槍の穂先に噛み付いて、その攻撃を凌いでいたがヴェルの言う様に猟兵は一人で戦って居るわけではない。
「光溢るる夢幻の剣、ザ・ライトブリンガー!
 悪を名乗る君に説明しよう! これは王子様の未来への希望と溢れ出る心の光によって鋳造された剣だ!
 その刀身は心が折れぬ限り決して折れることはない、即ち――無敵! しかもひかる!」
 めっちゃナレーションっぽい説明が来た。
 自分で自分の武器をビシッと解説するノエル、名乗りの時に生み出した光の剣を自慢げに解説しながら今まさにヴェルに反撃しようと振り上げられた前足狙い急接近。
 一閃、虚空に光の筋が走ったかと思えば駆け抜けたノエルはいつの間にか生み出された鞘へと光の剣を収めれば、それと同時に振り上げていたよくばりさまの前足がボトリと落ちる。
 完璧な正義の味方ムーブである。
「キアァアアア、な、なんなのよぉお、なんで鞘とかいつの間にかあるのよぉおお!
 っていうか、鞘必要ないでしょぉおおお!」
 そんな風にバッチリ決められて、叫んでクレームをつけるよくばりさま、しかし攻撃はまだまだ続く。
「どうやら攻撃されて、メッキがはげたようですね! 言い回しからも気品がなくなっていますよ!」
 錯乱状態のよくばりさまを挑発、そのまま懐に飛び込むのはシャーロット。
 自分の金銀財宝がメッキ、そして気品もなくなったといわれては激昂しないはずもなく、腹部の顎でヴェルを押さえ込み、また右前足を切り落とされた不利な状態のまま、よくばりさまは体を傾けその顎でシャーロットと噛み砕こうと仕掛けていた。
 しかし、その攻撃こそシャーロットが待っていたもの。
「打撃だけじゃないですよ! こういうのはどうです!!」
 左肩に噛み付かれつつ、噛み付きが当たる間合いならば自分の掴みも届くとばかりに怪力でよくばりさまを捕まえて。
 そのまま力任せに持ち上げれば、その拍子にヴェルの槍をくわえたよくばりさまの口の圧力が弱まって、一人持ち上げられた状態に。
 自分が噛まれた痛みなどものともせずに、真上に持ち上げるシャーロット、そのまま勢い任せに地面へと叩き付ければ書庫の床がめり込んで、盛大にひび割れ衝撃で本棚から何冊もの本が落下、埃をまきあげていく。
「ごぼぉ!? ぐ、ぐぎぎ、よってたかって、一人相手に何人も! 卑怯ですわ、それで正義を名乗りますの!?」
「いいえ、それは違います! 正義の書にはこう記されていました!
 悪が一つの大きな力ならば! 正義は、正義という力を幾人にも分けて対抗しているだけだと!
 だから数が多い、卑怯という理論は当てはまらないと!」
 一方的にやられる展開で、数押しで卑怯と言って正義ではない判定にしようとしたよくばりさま。
 そこへ間髪入れずにヴェルが見たという正義の書、その知識を言い放ってクレームを無効化させれば更なる追撃。
「あなたは所詮、悪と言いつつ上辺だけをまねたまがい物!
 そんなあなたに、正義という私たちが負けるはずが無いわ。
 受けてみなさい、セイクリッド……ブリゲーイドッ!!」
 よくばりさまの薄っぺらな悪役振りを否定しながら、自分は正義の書の知識の受け売り、ついでに必殺技名まで完全にそのまんま利用して。
 銀槍に鎧の力を注ぎ込み、光輝と共に突撃し、よくばりさまの腹部へ再度の攻撃。
 光の暴風ともとれるその突撃は多量の金貨をぶちまけて、よくばりさまに多大なダメージを与えることに成功していたのだ。
「どうした、悪の女王様。これで終わりじゃないぜ」
 強烈な一撃で揺らいだ体勢、そこへ続けざまに仕掛けていくのは遥翔。
 単純な接近ではよろめく相手であろうと反撃が来ると踏み、地面を蹴って飛び跳ねて。
 手近な本棚、その仕切り板を足場にして上へ下へと斜めに移動し、また反動でぶちまけられた書物が飛び散り、遥翔の手にした焔の剣、その焔によって燃え上がることで視界を遮る目くらましに。
「ぐあっ、視界が……ど、どこからきますの!?」
 スピードを生かしたかく乱戦術、それと同時に放たれた衝撃波により無事な左前足が跳ね上げられれば、衝撃波によって生まれた空間へと遥翔がするりと入り込んでいた。
「俺の焔は命を喰らう。お前が他者の財を食い物にしたようにな」
 冷たく言い放ち、焔黒剣がより一層、焔の勢いを増したその時。
 スッと突き出されたそれは何の抵抗も無くよくばりさまの胸部を貫き、その全身を黒き焔で包み込んでいたのである。
「ギアァアアアア!? わたくしの、わたくしの財宝がぁああ!?」
 この期に及んでもまだ財宝に執着するよくばりさま、無茶苦茶に腕を振り回し、自身に剣を突き立てる遥翔を跳ね飛ばし、更に攻撃を仕掛けるべく猛進するがその突撃を阻むように、巨大な盾が立ちふさがる。
「お前の進軍はここまでだ、私の盾は全てを防ぐ」
 盾の持ち主、それは名乗りでも堂々と、巨大な盾、タワーシールドを見せ付けたラックラ。
 前面に押し出した盾、そして両足は極限まで収縮、屈曲。
 強力なな反発力をカカシである己が両足に溜め込んで、砲弾が飛び出すような勢いで真横に跳躍。
 勢いのままにタワーシールドでよくばりさまにぶちかまし、顔面から胸部にかけてを盛大に凹ませながら跳ね飛ばす。
 ふわりと浮いたよくばりさま、空中にて制御が出来ぬ今こそ好機。
「逃しません、この一撃に続いて下さい!」
 浮遊状態のよくばりさま、そこへ向けたのは左肩に担いだ巨砲の砲身。
 追撃とばかりに放たれたその砲撃は一条の光となってよくばりさまを更に飛ばせば、その下方、下から上へと仕掛けるように入り込む一つの影。
「体崩し、感謝します! このまま一気に勝負をつけます」
 制御不能な空中浮遊、その機を逃さず飛び込むこのは。
 空中の相手を狙い身を屈めてから地面を蹴って空中へ。
 飛び上がる際の反動が床に落ちた書物を巻き上げ、背表紙外れ多量の紙片が撒き散らされるが彼は意に介さずによくばりさまに急接近。
「お互い空中、そしてこの距離ならば! 走り逃げることも出来ません」
 相手を跳ね除けようとする脚部の振り回し、その攻撃をかいくぐり懐に組み付くこのは。
 ならばと腕に顎を生やして噛み付くも、致命傷を避ける様にこのはは体を反らし、右腕で受け止めて。
 そのまま左腕は相手の腕を引き掴み、ほぼ密着状態になれば攻撃準備は万全に。
「こう噛み付いては離れることも逃げることも不可!
 エネルギー充填! オーラッブラスタァアアアアアアアア!!」
 胸部が開き、銃口が覗くと同時に放たれる強烈な熱光線。
 先の焔を上回る熱量を前にして、せっかくの金銀財宝が溶け出し溶着、混ざり合ってまだらな色を生み出しながらよくばりさまは地面向けて落下を開始。
 その最中、このはは相手の体を蹴って反動で距離を取り華麗に着地。
 無残にも地に落ち、車に引かれた蛙のように足を広げるよくばりさまを見下ろしていた。
「如何に飾ろうとも、悪は滅びるのです……」
 勝利を決定付ける様な一撃、されどまだ戦うとばかりに死力を振り絞り、震える足でなんとか立ち上がろうとするよくばりさま。
「おや、まだ戦おうとするのですね? もうBパートも中盤を過ぎてクライマックス、引き伸ばしは感心しませんよ」
 しかしせっかく立ち上がり、何か悪役な言動をしようとしたら腰を折る碧の解説。
 流れを的確に断ち切っていく恐るべき口撃である。
「ま、まだ、まだよ……わたくしには、従う者がいるのよぉおおおお!」
 部下を呼び出し何とか逃げのびようとする、ピンチな怪人よろしくな行動。
 召喚していた働き蟻の軍勢を集結させて、攻撃させて何とかしようとするよくばりさまであったがそれも防ぐのが猟兵というもの。
「くっ、みんな! 無理はするな、キリンさんの為に命まで捨てることはないんだ!」
 うごめく働き蟻の集団、相対するように展開していたキリンの故郷の仲間達……の幻。
 いや、幻なんだからやられても問題ないし、仲間が死ぬわけでもないし、命がけで守る必要も無いんだけど、ここは友情パワーを見せ付けねばならぬとばかりにキリンが仲間の幻、その前に立って働き蟻に噛まれつつ、仲間を守る姿を見せた。
「いやそれ、何か無駄な動きじゃないんですの!?」
「無駄なものか! 仲間を守ろうとする友情、それを否定する権利はお前には無い!」
 ツッコミは野暮、キリンの友情とそれに伴う力を前にしてよくばりさまの意見など通るはずもなく。
 仲間(幻)を全力で守り抜くムーブを見せるキリン。
「お前らの声があるからキリンさんは頑張れるんだ! 見ろ、悪党!
 これが仲間を守る為の力で放つ友情パンチだ、これでお前の目を覚まさせてやる!」
 仲間を守るヒーローな動きから、声援を受けてパワーアップしてのパンチ。
 なお、完全に見た目は普通のパンチであるが、熱い友情がこもっているから威力もあるし洗脳されて悪に染まった者の目を覚ます効果もあるとかないとかいうパンチだ!
「ごふぉ……ま、まさか、このわたくしが、こうまで、何も出来ずに……?」
「そのようですね、ですが最後に雑魚の悪役らしく、姑息な手を使ってみては? 一般人を人質に取るとか」
 まともに動けなくなったよくばりさま、配下の働き蟻頼りの状況で煽りを入れる碧さん。
 あっ、人質をとるって手段があったかぁ、って顔で、今まで攻撃みたいな攻撃をせず、ただ言葉だけで攻めてきた碧ならば何とか出来そう、ってノリで配下の働き蟻を繰り出すが、相手は猟兵である。
「おっと、危ない。残念ながら私は一般人ではないので、負けフラグですけどね。お約束、お疲れ様でした」
 迫る働き蟻の軍勢を飛び越え回避、三下以下の悪党ムーブお疲れ様ですとばかりに一礼する碧。
 そこに姿を見せたのは、光り輝く後光を背負った天使さんである。
「まったく、ギチギチとうるさいですよ……静かにしてください……」
 広範囲沈黙魔法(自己申告)なユーベルコード、天使を呼び出して光とか物理で黙らせる、先の戦闘開始前に力を見せたエアリーネ。
 その天使が、集結した働き蟻を前にして。青筋浮かべながら満面の笑みを浮かべていたのだ、これはもう終わりである。
「先ほども言いましたが、図書館ではお静かに。守れなかったので……。
 粛清の光と物理で黙らせる天使さんが、やってきちゃいましたから」
 ふっと呟くエアリーネ、そして降り注ぐ光と鉄拳制裁。
 節々の擦れる音とか、金貨を背負うせいで仲間と接触した際に鳴る金属音も五月蝿いと理不尽な判定を下されて、働き蟻の集団は天使さんによって一斉に駆逐。
「あ、ああ、そんな……」
「どうせ参考にするなら、偉人伝とかの方が良かったんじゃないでしょうか……? 割と征服者とかいますよね?」
 最後の頼みも断ち切られ、絶望のどん底なよくばりさま、もうやり直しがきかないが、ここにきてエアリーネがどうすればよかったか、何て言い出してたら、そこへ追加で碧が追い討ち。
「そうですね、偉人をモチーフにした怪人というのもよくある悪役像です。
 それら先人から学べなかったのが敗因でしょう」
 傍観者、なポジションなのに的確に相手の心をえぐり、また台詞を妨害するとんでもないやつだ。
 これはもう、碧は傍観者ってポジションじゃねぇ、仲間も知らなかった協力者枠じゃねーか!
 そして、戦いはいよいよ終わりの時を迎えようとしていた……。
「皆様の正義……この目にしかと焼き付けましたわ!
 わたくし、御堂は自分を正義の味方……もとい剣豪であり、曲げぬ侍魂を正義の証とする者と思っておりましたが!
 素晴らしき正義量を見せていただきました!」
 何か妙に感動している茜さんが満を持してやってきた。
 あとその後ろでいそいそと、瑠璃、翡翠の2人が何か妙なものをクリエイトしているのは見なかったことにしよう。
「御堂に勝るとも劣らない正義量、ならばそれもまた、別の正義……ッ!!
 さあ正義を背負いし皆様ッ! ご唱和くださいませッ!」
 何かこう、自分の正義が一番っぽいように聞こえつつ、しっかりと別の正義という物も認める心の広さを見せながら。
 今こそ決めるとばかりに気合を入れて、身の丈ほどの大太刀であるジャスティスミドウセイバーを構えつつ。
「完・全・懲・悪ッッ!!!!」
 裂帛の気合と共に一閃、よくばりさまの胴部と腹部を離れ離れにする一撃が放たれて。
 そこへ止めとばかりに飛来する黄金の塊、というか16メートルほどの黄金の巨人。
「キイイイアアアアアア!?」
 絶叫と共に巨体に潰されたよくばりさま、その黄金な巨人、というか翡翠ちゃんにそっくりな黄金像を前にして緋瑪がポロリと言葉を漏らす。
「そういえば、アレも兵器だから再現範疇だね♪」
 おっ、そうだな……って! だからといって再現して押し潰すんじゃねぇえええ!?
 あと出番が欲しいからってこんなものを兵器として再現すんな!?
 最後の最後に巨大黄金像なんてものを出したせいで、本棚が倒れまくって埃が舞い上がって大惨事。
 そんな中、知らぬ間に痕跡も残らずよくばりさまは完全に消滅し、集めに集めた黄金も、銀も宝石も跡形も無く消滅し。
 この戦いは終焉を迎えるのであった。


 悪役の中の悪役、もとい悪の組織を生み出しかねない図書館での戦いにて猟兵達は勝利を収めた。
 では、ここで最後に優勝した正義な猟兵を発表しようと思う。

 その猟兵は……御堂・茜である!

 自らの正義を語る者は多く、その正義にはしっかりとした理由があった。
 ならばそこで一段上の正義と見える言動は何だったのか?
 そう、それは彼女が自らの正義だけでなく、他の正義の正義量、それを認め別の正義とする器量の広さがあったからだろう。

 いや、その、決して正義が正義して正義なアイテムで正義がゲシュタルト崩壊したわけじゃないですからね!?
 きちんと選考して、色々総合的に判断した結果ですから、あっ、物はなげないでっ!?
 正義の書物とか悪の書物とか、とりあえず手当たりしだい何かを投げるのはやめてっ!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月09日


挿絵イラスト