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イケナイ茶屋のハニートラップ!?

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●悪徳営業は誰が為に
「アナタ様、ワタクシからの手紙が八通届くまでに……きっとまた会いに来てくださいましね?」
 ある娘はそういって何人かのアナタ様へ一日に何枚も手紙をしたためた。
「うふふ、旦那様……わちきのために二人の愛の巣を買っておくんなまし」
 ある娘はそうして多くの旦那様から様々な愛のカタチを貢がせた。
 多くの人間が行き来する港町、一見様もご贔屓様も娘達の思うがままとなっていた。一度虜にしてしまえばカネヅル達は気に入った娘たちを幸せにするために躍起になるのだ。
 娘たちがある御方のために偽りの愛を客と語らうように。

●なんでこの店人気なんや
「と、いうわけで……関西の堺あたりで大量の人間がスッカラカンにされてもうてるんや!」
 キアラ・フォックストロット(輝きは愛の中に・f12890)は語る。
 予知によれば、この懐事情崩壊事件はサムライエンパイアに存在する堺という関西屈指の港町の茶屋で行われているらしい。茶屋で風俗といえば出合茶屋であるが今回はそういうのでもなく、何でも目を付けた客に茶屋娘が親しく声をかけ、耳打ちして店の中に用意されているという部屋に連れ込んで一対一で会話できるサービスを行うという。そして、虜にさせて金品を貢がせるのだ。男も女も関係ない。例えば、男を狙うなら大抵かわいい子がいるだとか、好みの子と二人きりで話せますよと誘導するだけだが、女性なら更に、茶屋娘の美容の秘訣や何やらを聴けるなどと誘惑するようだ。もちろん、そういう言葉に興味がありそうな客を狙って。
「ほんで、貢ぐだけ貢ぎ切った客は消息不明とか、事故や病気で死んでもうて、稼いだ金品もなんかアヤシイことに使ってるみたいやねん。
 たぶんこの不審な失踪とか死亡、資金の活用にはオブリビオンが絡んでるんやと思うねん。予知で出たし! そうたぶん。だって予知で出たんやから!」
 大事なことなので二回言いました。キアラは続いて茶屋について語る。
 茶屋は建物もそのへんの小さな外に椅子や傘があるような茶屋とは違い、二階建ての屋敷の一室。100畳ほどの大広間に机と座布団を並べた内装で、茶屋娘たちも表だけで常に5人以上いるようだ。
 逆に従業員で男というのは裏にいるのも合わせて5人ほどしかいないらしい。
 客は多くが男性客ではあるが、茶菓子自体はそんなに高く出していないようで女性客もそこそこに、カップルや家族、普通の待ち合わせなどにも使われている。

「皆にはこの茶屋にいって潜入でも聞き込みでもしてこのアヤシイ茶屋の裏営業の証拠とか、そんなことして資金集めてる黒幕について調べて、ついでにそんなことやめさせてほしいねん。まあ、嵌るのも嵌るほうなんやけど……やりすぎやしなぁ。
 方法は潜入でも聞き込みでも任せるけど、一般のお客さんもいっぱいおるから暴力系の聞き込みはあかんでって一応釘差しとくで? 穏便に頼むわ」
 キアラはそういってシャンシャンと両手の鈴を鳴らすと神楽を舞い踊りゲートを開く。
「それじゃあ猟兵の皆はん。悪徳茶屋の調査、よろしゅうな!」


ピンク☆フラッシュ
 茶屋って言われて一番初めに降りてきたネタが某ゲームの茶屋イベントでした。どうも、皆様はじめまして。ピンク☆フラッシュです☆
 二人きりの密室。何も起きないはずはなく……けしからん営業で資金を集める悪徳茶屋のお話です。皆様にはこちらの茶屋で調査をしていただき、この茶屋の資金を活用している謎の悪党を突き止めていただきたいと思っています。
 よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『一服している暇はない。』

POW   :    店の手伝いをして情報を集める。

SPD   :    客として店に入り情報を集める。

WIZ   :    茶屋を訪れる客に聞き込みをする。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蔵館・傾籠
客に夢を見さす商い、ってなら堂々とやっておけば良いのさ。態々裏に招いて密会の体を取らずとも。
表に出せぬ後ろめたい事をしてますよ、と明かしてる様なもんさ。

【行動】POW
お嬢さんと話せるってのは年甲斐もなく心が踊るが…まぁ此処は向き不向き、爺さんは力仕事に行かせて貰おうかね。
長い事仕舞われてたお陰で照れ屋なのさ。多分な。

こう言ったのは意味深に囁いて笑っておけば相手は勝手に勘違いしてくれるもんだ、事情を知ってる顔をして裏方に上手く潜り込めたらば上等。
精々、初々しげな新前の素振りであれやこれやと先輩方にご教授願いたいね。
仕事上がりの一酌、なんてあったら好都合だな。幾らでも合の手と酌を取ってやろうさ。


鍋島・小百合子
POW重視:店の手伝い兼情報集め

金は天下の回り物とはいえ女子相手にどっぷりと浸かるのは一体何事じゃ…
節制を知らぬのか

町娘の姿で茶屋の手伝いに来たとして店内に潜入、客寄せの仕事を志願
「特技ならば舞踊に自信があるからの。遠慮なく任せてたもれ」
客寄せの仕事でパフォーマンスと誘惑、そしてコミュ力を活用して祭祀扇を手にしての人を惹き付ける華麗な舞を披露
「さあさ美味しい茶菓子にうら若き女子との逢引、一ついかがかな。興味あればもっと近う寄るがよい」
休憩の合間に男の従業員に聞き込み
「ここの茶屋娘達は客に対しえらく媚びに徹しておるのう。なにか特別な事情でもあるのかえ?」
得られた情報は持ち帰りでき次第他者と共有す



●早速今日から働いてもらうよ
 潜入したい人のために早朝から送られてきた猟兵たち。
「こちらで綺麗なお嬢さんを募集してると聞いたんだが」
 中でも蔵館・傾籠(ヤドリガミの剣豪・f11800)と鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)はいち早く行動していた。
「お、なんだいお兄さん。あんたがそのお嬢さんだってのかい?」
 準備中の茶屋から出てきたのは、趣深い色気を放つ年増の女性。いかにも責任者ですというような熟練のオーラにあふれている。
「いやいや、違うぜ。俺は見ての通りお嬢さんじゃない。お嬢さんはこっちさ」
 そういうと傾籠は一歩横へとずれて、自分の背後に隠していた女性を年増に紹介する。小百合子は少し豪奢な着物を身にまとって堂々とした、綺麗な立ち姿で、年増の目を輝かせた。
「どうじゃ、わらわを客引きに使ってくれんかの? わらわは舞踊の心得がある、つかえるぞ?」
「良かったら俺も働かせてくれませんかねえ。知り合いの娘なんですけど、大変美しいがこの通り少々お転婆で、心配なんですよ。数日でいいんで。娘、まだまだ必要でしょう?」
 まあ、今日知り合ったばかりだけどな!
 内心傾籠はそうつぶやきながら、堂々たる自己紹介で自ら名乗りをあげる小百合子をフォローするようにさらっと自分も便乗する。しっかりと訳知り顔で笑って年増の反応をうかがって見せる。全て傾籠が即興で提案した作戦通りだ。
「ああ……まあ男手は足りているんだが、いいだろう。そういうことなら体験ってことでとりあえず一日、2人とも使ってみるさね。ただし、基本は別行動になるからね!」
「ああ、無論じゃ」
 願ったりかなったりだと小百合子は同意する。こうしてそれぞれの潜入捜査が始まった。

●山吹と黒
「まあ、俺らの仕事なんでほとんどが荷運びよ!」
 傾籠の教育を買って出てくれたの男が簡単に仕事の内容について説明する。この店では時折袋詰めにされた荷物が先ほどの年増やほかの熟練の茶屋娘から渡されて、それを指定によって運んだり捨てたりしているらしい。年増は男では足りているといっていたが、実際にやらされてみるとそこそこきつく、男手が足りているというのはどうやら女たちだけの意見のようだ。
 この茶屋では従業員の男たちの形見は狭そうだ。少人数でえっさほいさと荷物を運ぶすがたが、だんだん女の買い物に付き合わされている荷物持ちに見えてくるほどに。
「先輩。捨てるものと運ぶものってどうやって見分けるんで?」
 新米は下から下から先輩をうかがって情報集めってね。
 傾籠が芝居がかった下っ端口調で尋ねると、先輩の男は気をよくして
「袋の口を縛る紐さ。こいつに山吹色の十字飾りがついていれば運ぶもの、ただの黒い紐で縛ってあれば捨てるものだ。たいてい生ごみだからな、くせえぞ。開けたら異臭騒ぎになるから中は見ずに捨てるやつは倉庫に、運ぶ奴は店の裏の小屋の荷台につんどくれ。夕刻に俺が運ぶからよ」
 先輩の男は鼻をつまむジェスチャーをしながらいった。見本だとゴミ倉庫から一つ取り出された《捨てるもの》の袋は口を見てみると麻袋を何重かにしているようなのに確かに臭う。数が多く、中身が気にならないでもないが、怪しまれずに開けて確かめるのは無理そうだと傾籠は素直にうなづいた。
「ちなみに、運ぶ荷物はどちらまで?」
 ちょっと踏み込みすぎかと思うが。
「《お局様》の家だよ」
 先輩は気をよくしていて気づいてないのか、表で店を取り仕切る例の年増を顎で指して言った。どうやら娘たちへの貢物は一度彼女の家に運ばれ、中身に危険なものなどがないかを確認されてから分配されるという話になっているようだ。
「なるほど、大変なんですね」
 なかなか多くの情報を引き出せたのではないかと心にもないねぎらいの言葉を先輩にかける。
「ほら、もういいだろ、きびきび働いてくれ。とりあえず店が開いて荷物が渡されるまでは俺たちは掃除と呼び込みだよ」
 先輩の男は傾籠に雑巾を渡すとせっせと傾籠に仕事の指導を始めた。

●回る客引き娘
 小百合子は店が開店してしばらく仕事の指導を受けたのち、朝と昼は客もまだまばらなのでで早速お手並み拝見と客引きに出されていた。傍には同じ店の男の客引きがいて、何かあれば助けてくれるらしい。年増によれば
「客引きにも女を出したいが、何人も固まって出すほどは女手に余裕もないからね」
 とのことだ。小百合子が店の着物に着替えるときには実際にはたくさんの娘がいて、いまのお店にはむしろ多すぎるくらいに見えたのだが……
「表にはわらわを含めて娘が6人、わらわが見たのは12人、なるほど、半分じゃの」
 ぼそりとつぶやく。夕刻にはほかの猟兵と合流し情報を共有することになるだろう。一緒に潜入したのも今頃何かつかんでいるに違いない。胡散臭い男じゃったしのう。しかし、今は仕事じゃ、仕事仲間に見張られておるしの。
 そう思った小百合子はくるりくるりと舞い踊るり、往来の真ん中で呼びかける。
「さあさ美味しい茶菓子にうら若き女子との逢引、一ついかがかな。興味あればもっと近う寄るがよい」
 その舞は凛としていて、この冬の朝の張りつめた空気をさらに雪が舞うかのように凍てつかせる。かと思えば優雅に淡雪が舞うように。往来の老若男女、多くの人を引き付ける。回旋と小さな跳躍をベースにした力強く美しい舞だ。足場は広く使わないことで、呼びかけるよりも引き寄せられるほうへ人の意識が働いたのか、皆足を止めて小百合子に魅せられながら近づいていき、そうして傍によると彼女から茶屋のちらしを渡される。
 ひとしきり舞い終わると足を止めていた通行人たちはしばらくの拍手の後、またもとの流れに戻っていった。しかし何名からか店に興味を持ったような声が聞こえる。おそらく客引きは成功しているだろう。
 傍にいた仕事仲間であり見張りであった客引きの男も感心した様子だ。

「ここの茶屋娘達は客に対しえらく媚びに徹しておるのう。なにか特別な事情でもあるのかえ?」
 店に戻ってしばらく、小百合子は一緒に客引きに出ていた男と共に休憩に入ったのでふと思い出したように白々しく尋ねた。
「ああ、ここで客にたくさん名前を覚えてもらえると特別な仕事を任せてもらえるんだ。まあ、君も任せてもらえるようになれば《お局様》に教えてもらえるよ。ほら、表を取り仕切っている方がいるだろう?」
 男が指すのはやはり例の年増だ。どうやらこの店の実権はほとんどあの年増が握っているらしい。女たちのことは口止めを受けているのか詳しくは男の口からは教えてもらえなかったが……
「その特別な仕事、怪しい響きがするのじゃが、そのへんは大丈夫なのかの?」
 と尋ねてみると男は父親に憧れる息子のような眼差しで答えた。
「ああ、大丈夫さ。このお店は力のある御方に認可を受けていると聞いているからね」
 興味深い話は聞けたが、男から聞ける情報はどれも伝聞的なものばかり、薄々感じてはいたが、この店は客には女が媚びるが、店で実権を握っているのも、女のほうらしい。おそらく、直接黒幕とつながっているのも女、中でも怪しいのはやはり《お局様》なのだろうと小百合子は確信した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

琥星・流矢
堺の茶屋って…あー、あそこか。噂で聞いてたから、行きたいと思ってたんだよね。当然、客として入店する。店の雰囲気とか、値段とか、美味かったメニューとかもバッチリ調査してくるから、任せてくれ!
「有名になる前に良い場所を見つけられると嬉しいよなー」

え、そっちの調査はいらない?裏営業の調査?そんなー。仕方ない、茶屋にいる娘と何かしら話してみるか。旅人を装って、店の歴史とか、他にどんな娘がいるのか聞いてみよう。

帰り際に、貢ぎ物代わりに他世界の土産でも渡すか。スノードームって、この世界だと珍しいかな?
「色んな場所を旅してるからな。次はもっと良い土産を持ってくるよ」

んで、なんで男性客が多いんだ?



●マイペースな仕事人
 朝飯より後で昼飯より前。小腹のすくのは10時すぎ頃。琥星・流矢(世界旅人・f10204)は茶屋へと足を運んだ。もちろん、客として!
「いやぁ。ここってそこそこ有名なのかー」
 もともと少しは名が通っていたのだが、先ごろの客引きの舞によって今、この茶屋が熱い! 状態にになっている店内は、そんなに混む時間でもなさそうなのに過半数の席が埋まっている。現在は4人ほどの茶娘で回しているようだ。流矢は中に入ると適当に周囲が空いている場所を見つけて座った。

 広い店内のため、場所こそまだ空いてるが、なんだかガヤガヤしてる。だが注文されるのは団子とお茶が基本のため普通にまわせているようで、今なら娘から情報も聞きだす余地があるであろう。流矢は店内を見渡して話しやすそうな娘を吟味する。
 少しほかの人よりきびきびして熟練っぽいなんかすごい娘さん。いや、なんか女将さんって感じ?
 それから、堂々としてきびきび働く娘……あー、あれはダメだ、確か猟兵だった気がする。あ、なんかそこそここなれてそうな笑顔の娘さん発見。あの人でいいか。
「お姉さーん。注文とかいいー?」
 流矢は娘に声をかけ、目が合ったことを確認した後手招きした。

「はーい、ただいまー」
 娘は輝くような営業スマイルで流矢に近づくと、メモ用紙を手に持ってペンを片手に声をかけてくれる。
「初めてのお客さんですね。旅の方?」
「そうだよ。ここの噂聞いてさ、来てみたかったんだよなー。あ、おすすめってある?」
「そうやねぇ。みたらしだんごとかどうやろう? うちのはモチモチで腹持ちもええし、甘いけど後味はこう、すぅって甘みが引いていきよるからしつこくのおて、男のお客さんが飽きずに来てくれるのもこのみたらしのおかげ言うても過言ではない!っていう自慢の一品よー。あとは今の時期はやっぱイチゴ大福やな―。結構目当ての人もいてるんとちゃう? って、あ、ごめんなさい。気さくに話そうとするとお国言葉が出てしまうんですよ。ここはいろんなところからお客さんが来るから気を付けてるんですけど」
 いけないいけない、と娘は笑う。
 なるほど、みたらし団子とイチゴ大福か。ちゃんとメモ覚えておこう……あ。
 一番の目的を果たして満足しかけた流矢も、いけないいけない、と今回の猟兵としての目的を思い出し、娘との話を続ける。
「言葉は崩しても構わないよ。そうか、港町だからいろんな人が出入りしているんだな。そういえばこの店って立派だけど、歴史がある店なのか?」
 言葉は崩してもらったほうが何かポロっと出てくるかもしれないし、ちょっとわかりにくいかもしれないけどここは優しくしておこう。
「え? ああ、そんなことないよ。もともとここはある御方の屋敷やってんけど、それを改装させてもろて使っとんねん。常連さんならわりと知っとる話やねんけどな。まあ、そのお方が大家さんっていうんかな……あ、ご注文決まりました?」
 ふむ、大家がいるのか。それはもしかして黒幕なのでは……。
 やけにあっさりと教えられた大家なる人物。しかし、一見普通の茶屋のように経営しているように見えるし、予知がなければ裏家業のことも案外わからないものなのだろうか。流矢は考える。考えて、考えて……。
「それじゃあ、みたらしといちご大福両方で、熱いお茶もな」
 考えるなら甘味が必要でしょう。とりあえず戻ったら大家について調べるなり、他の奴に情報を共有して探ってもらうのもありかもしれない。常連なら知っているといっていたしな。帰り際に渡そうと思っていた土産品のスノードームは色々話してくれたお姉さんに渡して帰るとしよう。

 流矢は今度こそ一仕事終えたというような顔で運ばれてきたお茶と菓子をゆっくりと味わってから店を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●小休止
 時間は正午近く、昼時の長い休憩を傾籠と小百合子は同時に与えられた。
 店の裏から外へ出て休憩中の雑談を装って二人で店の表と裏の情報をまとめておく。
「よお、お二人さん。順調か?」
 二人の背後から声をかけたのはつい先ごろまでお茶を堪能していた流矢である。
「うむ。お主はもどるのかの?」
「ああ、戻って情報は共有したほうがいいかなーって」
 流矢は追加で持ち帰りとして包んでもらった団子を片手に答える。なるほどそれならばと小百合子は要点をまとめた箇条書きの文書を流矢に差し出す。
「ついでにわらわ達の情報も共有しておいてもらえるかえ? 要点だけにはなるがの」
「おー、任せてくれ!」
 流矢はそれを受け取ると懐にしまうと立ち去って行った。

「あんたたち、何してるんだい。そろそろ戻っとくれ」
 流矢が人並みに消えたころ、お局様から声がかけられる。
「ああ、すまない。もうそんな時間か。旅人に道を尋ねられてただけだ、今戻るよ」
 流れるようにでまかせをいうのはおそらく傾籠の得意分野である。少し怪しげにこちらの様子をうかがうお局様をスルーして飄々と店の中に戻る傾籠。それに続いて小百合子も店に戻るのであった。
竜禅寺・巌
「美人のネェチャンと飲む酒は格別だが、詐欺なら頂けねぇなぁ。・・・あ、茶だったな」


行動:POW
用心棒に志願したい所だが、関係無ぇ客が居るから穏便にやれ・・・と
しょうがねぇ。茶屋の営業に必要な食材やらを運搬する仕事をさせてもらうぜ?
大量の米俵だろうが砂糖1トンだろうが俺に任せとけ!ハッハッハッ!!
俺に出来そうなのは力仕事位ぇだからな。

それに、不審な失踪や死亡の方法や裏取引な現場を垣間見れるかも知んねぇしな。
更に黒幕の顔や売り子のネェチャンの総人数も知れるかもだぜ?戦になるなら知って損は無ぇ情報だと思うぜ?もし売り子のネェチャンが操られてるんだったら被害者だ。助けてやんねぇとな。



●外注
「追加の食材を届けにきたぜ」
 茶屋のにぎわう3時より一刻前の2時、の少し前。竜禅寺・巌(ドラゴニアンの破戒僧・f13262)は茶屋の裏戸を叩く。
「おや、業者さんかい。それじゃあ悪いけど中まで運んでくれるかい」
「任せとけ!」
 砂糖の袋を右肩に担いだ巌は顔を出した娘に招かれてそのまま調理場まで案内される。表では活気にあふれた様子で娘たちが行き来しているようだ。
「忙しそうだな。お前さんは俺の案内でいいのかい?」
「ああ、いいんだよ。私は別の仕事があるからね」
 道中尋ねた巌に娘はうきうきとした様子で答える。別の仕事とは恐らくこの店の裏営業のことを指すのだろうと考えた巌はさらにかまをかける。
「ああ、例の……お前さんもそうなのかい。仕事は好きなのか?」
「やだねえそんなの。楽しいに決まってるじゃないか」
 裏営業のことをわかっているだろう質問に動じることなく娘が答えると調理場についた。
「それじゃあ砂糖はそこに置いとくれ、ああ、そうそう。あんたのところは酒も扱ってたね。店主に言って酒も追加であとで持ってきてくれないかい?」
 担いでた袋をずしんとおろす巌に娘は思い出したように注文する、《あんたのところ》というのは今回潜入するために巌がお世話になることになった店であり、この茶屋がいつも使っている業者である。本来はこの茶屋で働こうとしていたが、道中腰を痛めた荷運び中の店主と出会ってしまいこの茶屋に向かっていたようなのでその荷物を引き受けたのである。半ば強引にではあったが。
「ああ、わかった。しかしこの店は酒も客に出すのかい?」
「やだねえ、さすがにそれはしないよ。今夜はこの店の大家さんが来るから裏の娘総出で接待するのさ」
 巌が事情を知っている風だからか娘は悪びれもせずに言った。重要そうなことをさらりと。もともとこの業者はそこそこの事情は知っているのだろうか。
「伝えておこう。どれくらいの人数なんだ?」
「そうさねぇ。あの御方と裏で働く娘だけだから……まあ、20人くらいかね」
 あの御方、と尊敬した様子で娘は言った。この娘は大家に恩義でもあるのだろうか。
「おいあんた、新客が入ったよ。早く上へいきな。酒は頼んだんだろうね?」
「あ、はいお局様……ちゃんとお願いしました。今伺います」
 娘はお局様と呼ばれた娘から声がかかるとそそくさと、そしてやはり楽しそうに店の奥へと消えていった。
「それじゃあお兄さん。夕方までに頼むよ」
 お局様と呼ばれた娘も巌にそう告げて表に戻っていく。仕方がないので巌も茶屋を出て茶屋からの注文を報告しに戻るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

葛乃葉・瑠璃
何事にも聞き込み調査って大事だよね〜。道行く人に聞き込みでもしようか。

「そこ行くお兄さん!ここ堺に今人気の茶屋があるって聞いたんだけど何か知らない?」

男性客が多いらしいから男の人中心に【誘惑】を使って聞き込みをしよう。後は実際に足を運んでみようかな。

「人気の店だけあるね、人が多い。あっ、そこの給仕のお姉さん注文なんだけど…。ん?お姉さんお肌綺麗だね!何か秘訣でもあるの?私にも教えて欲しいな!」

こんな感じに話しかけて店の奥に連れてってもらおう。後は話を聞くだけ聞いてフォックスファイアでちょっとしたぼや騒ぎでも起こしてドサクサに紛れて店を抜けよう。



●イケナイ潜入捜査14時~コスメティックガール編~
「そこ行くお兄さん!ここ堺に今人気の茶屋があるって聞いたんだけど何か知らない?」
 葛乃葉・瑠璃(腹ペコ旅狐・f12922)は道行く男たちを誘惑しながら着々と情報を集めていた。すでに10人ほどの男に聞いたのだが、この店は最近できた店ではあるが、なにやら偉い人が自分の拾った娘たちの働く場所として提供しているらしい。思ったより美談ではないか。かと思えば攫ってきた娘だのあちこちに作った娘などうわさも諸説あるようで
「これ以上は店の外じゃ出てこなさそうだね。そろそろ茶屋に行こーっと!」
 おなかが空いた瑠璃はそろそろ我慢ならぬと茶屋へ向かった。

「人気の店だけあるね、団子がおいしい! あっ、そこの給仕のお姉さん追加注文なんだけど……」
 店についた瑠璃は早速たくさんの注文を行っていた。食べ終えた串を入れておく筒はすでに買ったばかりのつまようじのように串が刺さっている。
「よう食べるね。お嬢さん。ご注文承ります」
「えっとねー、じゃあみたらし団子と……ん?」
 いけない。おなかが空いて目的が少しずれていた。いや、これはきっと誰かの陰謀に違いない!
 瑠璃は注文する口をとめて娘を見る。うん、すごくきれいだ。とくに肌つやがいい。茶屋娘は江戸のアイドルのような存在だと聞くけれどこの茶屋は裏の営業なんかしてるくらいだしレベルが高い。
「お姉さんお肌綺麗だね! 何か秘訣でもあるの? 私にも教えて欲しいな!」
 みたらし団子から美容の話にかわると娘はまんざらでもない様子だ
「秘訣か……簡単には教えられないな。でも、たくさん注文してもらったしいいわ。教えてあげる。少し奥に行きましょうか」
 おそらく成功したらしい。娘に案内されて店の裏手に連れていかれる。

 瑠璃が案内されたのは店の二階であった。店の二階へは一見壁と同化して目立たない隠し扉のようなものを使って通された。
「それでね、これが西洋の開発した美容水なの! 毎晩使うとお肌の通夜が違うのよ! お嬢さんはまだ若いし、いや私も若いけれどね! で、まだ必要ないと思ってるでしょう? ケア……違うのよ! まだ、なんてことはないの。若いうちから始めておくほうが若い肌をキープできるってもんでしょ!?」
 少し話だけ聞くつもりだったのだが、きらびやかな縦長の4畳間に通されたかと思うとすごい勢いで娘のセールストークが始まっていた。すでに半時がたっている。
「わあ、素敵ですね」
 若干ひきつってるかもしれない笑顔で瑠璃は必死に答える。
「でしょう! この美容水、いまならなんとこのお値段でお譲りできるのよ? でも外来品だから内緒ね!」
 そこそこのお値段を叩きつけられて、断るなら今ここしかないと瑠璃は覚る。
「うわー! 欲しい! あ、でも今日はたくさん食べちゃったから持ち合わせがないの。後日またきてもいいかな!」
 よし、これだ。
「えー、そうなの? 食事につぎ込みすぎてお金がないなんてあなた本当に美容に興味があるの?」
 美容の話が始まってからこの娘さんは本当に人が変わったのではないかと思うくらい聡い。ちょろく招き入れてくれたのになんだこの変化は。
「ありますよ! 大事なんですよ美容! ちょっと私の燃費が悪いだけで……あ、お手洗い、私お手洗い行きたいです!」
「はあ、仕方ないわね。表へお送りするわ」
 もちろん持ち合わせがないというのは断り文句だったわけだが。客商売をする人間なのだからわかっているのだろう。客商売をしていなくてもわかりそうな感じになってしまったのだが、部屋が思ったより狭かったのとずっと視線にさらされているため狐火でボヤを起こすのは困難で正面から帰らないと推し売られそうな勢いだったのは間違いない。
 結局、終始娘の視線を感じながら普通に店を後にすることになる瑠璃であった。そして、好きなものを語る女子は強い、と思うのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

彩波・いちご
うーん、単なるアコギな商売のような気もしますけどねぇ…
とはいえ実態は、連れ込まれて一対一にならないとわからないでしょうか…?
どうやったら目を付けられるのかは…難しいですけど、とりあえず客として入ってみましょう(さすがに男装していきますね)

中では好色そうに…演技とはいえ自分でもどうかとは思いますが…女の子を眺めつつ、軽く茶菓子注文しながら、それとなく誘惑や言いくるめで情報収集
首尾よく一対一になれたら、貢いだ資金で何をしているのか尋ねられればいいですね
いざとなれば催眠術にかけて聞き出しても

相手の誘惑には、寮の子たちの笑顔(ちょっと殺気じみた)を思い出せば耐えられますのでっ
ひとりで来てよかったです…



●イケナイ潜入捜査14時~男装女子編!?~
 いや、一応生物学上男なのだがあえて言わせてもらう。これはピークを迎える15時より前の14時に茶屋に潜入する男装娘の一幕である。
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は菓子を綺麗な所作で食べながら店をきょろきょろと見まわしていた。自分でもどうかとは思うのだが、こう、娘たちを吟味する感じで。
 男装したいちごは髪を後ろで一つに縛っていかにもお侍というような服を着て胡坐をかいていた。そのたたずまいはさながら牛若丸といううような美青年。細い線ははかなげで、いやらしいような視線を送っているつもりなのに、目が合った娘はなんだか喜んでいるような……
「ちょいとお兄さん。あんまりうちの娘たちを誘惑しないどくれ」
「あ、すみません。かわいい子が多かったので」
 いちごに声をかけたのはここまでお局様とか年増と表記されてきた娘である。いちごの視線に殺される茶屋娘たちが見るに堪えなかったのであろう。
「そんなナリをして好き者だね、そうさね、お兄さんみたいな客もたまにいたほうがうちの子たちも張り切りがいがあるってもんだよね」
 お局様が意味深に笑う。いちごは少し背筋に寒いものを感じた。

●誘惑の間
「モモヨでございます。お兄さん。どうぞおかけになってくださいませ」
 そんなに誘惑したいなら一対一でなんてどうだい? といわれて案内されたのは噂の部屋だった。縦長の四畳間。奥には最低限の家具、布団と長机と筆記用具。しかしこの部屋、少し散らかってるなー、と、部屋の端のほうに片づけきれてないちぎられた文の失敗作のような紙の残骸をみていちごは思った。
「へえ、かわいい名前ですね。私はいちごっていうんですよ。果物つながりですね」
 いちごがふわりと笑う。ああ、なんと濁りのない素敵な笑顔だろうか。部屋主の娘はその素敵な笑顔に逆に誘惑されてしまう。
「ああ、素敵なアナタ様。ワタクシ、アナタ様に手紙を書きますわ!」
 娘は客としていちごをロックオンしたようで、力強くそう言った。
「え、えーっと、お手紙を書くのが好きなの?」
「はい、大切な方にお手紙を書くときってなんだか幸せな気持ちになりませんか?ワタクシ、いちごさまのような素敵な殿方にお手紙を書けると思うと大変幸せになれる気がしますの」
 本気なのかセールストークなのか微妙なところをついた娘の誘惑に戸惑ういちご。しかし娘はさらにぐいぐい来る。ここでいちごはお局様の意味深な笑顔を思い出す。
 わ、私、人がいいカモだと思われてしまいました……!?
 娘に押し切られそうになって働いた脳がそう結論付ける。どこでそう判断されたのかはわからないが何か見破る力。客商売の直感というやつと女の感が合わさって最強といったところか。
「あ、でも私旅人でして、お手紙を送っていただいても私のもとに届かないかと……」
「まあ、そうなんですの、でしたらせめて一通。いましたためさせていただいても? 今夜はこのお店の偉い方がいらっしゃるので、いちごさんが私がとれる今日最後のお客様でして……帰ってしまわれると寂しいのです」
 娘は情感たっぷりに言う。手紙を書いている間なら情報収集の会話もできるかもしれないし押し切られずに済みそうだといちごは承諾を選択する。

「それで、偉い方って?」
「……このお店の大家さんです、素晴らしい方なんですよ。私は違いますがこの店のこういう部屋で働いてる娘はほとんどが彼に何かしらの恩義があるそうです」
 綺麗な姿勢で座り、端正な所作で文を書く娘はいちごに背中を向けたまま答えてくれる。
「へえ、その人のために皆こうやって稼いでるのですか?」
「ええ、まあ。なんでも昔は名のある方だったみたいですよ。ここで稼いだ資金であのお方はもう一度やり直すのだといっておりました」
「やりなおす?」
 いちごが疑問を口にすると娘は文を書き終えたのか向きなおって笑う。
「ふふ、いやですわいちご様。そんなに質問攻めにしないでくださいませ。尋問みたいですわ。もっとワタクシのことを聞いてくださいませ」
 少女は仕事人の顔をして笑っていた。これ以上は聞かないほうがよいか。そんな空気だ。
「ごめんなさい。それじゃあもう少しお話しましょうか。もちろん違う話題で」

 その後、いちごは娘といくつか他愛もない話をし、いくらか時間がたったころ。
「もし、私からの手紙が届くことがあれば、それが八つになる前に、きっとまた会いに来てくださいませ」
 という言葉と、短時間で書いたとは思えない少し分厚い文を手にして店を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

明智・珠稀
■心情
ふ、ふふ。
貢ぎたくなる素敵な方々が多い茶屋なのでしょうね、ふふ…!
ぜひお客として赴き、上客ロックオンされるように振る舞いたいものです…!

■行動【SPD】
羽振り良く、上客に見えるように振る舞い
裏のお客として誘われるよう仕向けたい。
【変装】【礼儀作法】で金持ち風の伊達男を装い

意味深な笑みを浮かべつつ
「初めて来店しましたが、噂違わず素敵なお店のようですね、ふふ…!」
出来るだけ手練れた茶屋娘さんに話しかけ、あんみつ注文しつつ

「最近描いた浮世絵が高値で取引されまして…突然裕福になったところで、金の使い方なぞわかりません。いっそ恋でもすれば、使い道もわかりましょうか?ふふ」

※アドリブ大歓迎!



●イケナイ潜入捜査14時~成金好き者変態ド畜生編~
 この一連のやり取りは筆者のアドリブが多めとなっております。やりすぎた描写があっても個のプレイングをもとに明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)をかわいそうな目でみるのは程々にしてあげてください。

 茶屋でメニューをなめまわすような目で見る男。珠稀は赤い派手で上質そうなきらびやかな着物の上に金の羽織を羽織って来店していた。シャランラ! というような謎の効果音をまるで背後にまとうような伊達男(?)は大変顔がいい。黙っていれば派手付きの西洋かぶれの成金男で、いかにもカネヅルって感じだ。
「あぁ、そこの麗しいお嬢さん!」
 珠稀はまよわずその場で最も手練れていそうな娘。お局様をご指名。お局様はそれはもう現代の娘が福沢諭吉(紙)を見るような目で今までの描写からは想像できないような太陽スマイル5000兆点みたいな笑顔で寄ってくる。
「あらあ、お客さん。ご注文、お決まりですか?」
 珠稀に対しねぎをしょってきたカモをあやすようにコワクナーイという笑顔をむけるお局様。
「初めて来店しましたが、噂違わず素敵なお店のようですね、ふふ…!」
 この珠稀の行動がどこまで考えて吐き出されたセリフかは珠稀本人にしかわからない。こちらは怪しさ5000兆点の珠稀の笑顔でございます。脳内フィルムでご覧ください。
「あんみつ……!」
「かしこまりました。あんみつですね! すぐにお持ちします!」
 まるで忍者のような速さであんみつをきれいな姿のままもってくるお局様と、それを恍惚の笑顔で迎える珠稀。
「さあさ、どうぞお兄さん」
「ありがとうございます」
 あんみつを一口ほおばる珠稀。嗚呼、なんということだろう。珠稀は身をもじもじとよじらせて己を抱きしめる。最・高DA! その姿に思わずお局様もドン引きか! いや、いやしかし、しかし……
「ところでお客さん、随分と羽振りのいい格好をなさっていますけど」
 言ったあぁぁぁあああああああ! お局様による懐事情伺いだ!
「最近描いた浮世絵が高値で取引されまして…突然裕福になったところで、金の使い方なぞわかりません。いっそ恋でもすれば、使い道もわかりましょうか?ふふ」
 これを待ってましたとばかりに意味深な色気たっぷりの空気で答える珠稀。ああ、しかしそのポージングはさながらボクは美しいとでも言いそうなやつだ!
「でしたら、ひと時の恋というもので体験してみるというのはいかがでしょうか」
 お局様何のためらいもなく釣れる。
「ほう、詳しく聞かせていただきましょうか……」
 珠稀はあんみつをほおばりながら悪の司令官のような表情でお局様にキリッと問いかけてみせるのだった。

●やり手婆と気丈な娘with成金好き者変態ド畜生風ド変態
「というわけでうちでは娘と一対一でお話しして楽しい時間を過ごしながらお茶をいただいてもらう制度があるんですよ」
 案内する部屋に向かいながらお局様は丁寧にところどころ濁しつつ珠稀に説明する。
「なるほど、それは大変素敵な制度ですね。私のような男でも素敵な女性とひと時を過ごせる。最高じゃないですか」
 どこまで本気でどの辺が演技なのかやはり本人にしかわからない態度でお局様を称賛する珠稀。しかし流石にこの年増が自分の相手をするわけではないらしい。
「こちらになります。さあどうぞ」
 お局は扉を開き珠稀が入ったのを確認すると部屋から離れていく。それを確認してから珠稀は戸を閉めて自分の相手をする娘を見た。
「いらっしゃいまし」
 その娘はお局に似ていたが、お局よりいくつも若そうな気娘という感じだ。このような変態丸出しの男に指す出すにしては慣れてなさそうな雰囲気すらある。
「貴女は先ほどのお嬢さんに似ていますね」
 珠稀は率直に口にする。
「ええ、まあ。姉妹ですから」
 娘は少し目をそらしはっきりとした声で言うが、どこか震えている。
「ああ、怯えなくて大丈夫ですよ。私は紳士ですから」
 珠稀は今までよりはまともな笑顔で娘をあやした。
「あ、えっと、その。貴女が初めてのお客さんで……ごめんなさい」
「姉妹なのにですか?」
「私はあまり姉のやることに賛同できなくて……あ、すみません私ったらお客様にこんな」
 娘の様子には嘘を感じられない。ふむ……と珠稀は少し考えてそれならばと発言した。
「ふふ、それなら私は、私たちは貴女の味方になれるかもしれませんよ?」
 一番いいところでまた珠稀の妖しくも怪しい笑顔が炸裂する。しかし娘はその笑顔を深読みして答える。
「それが本当なら……」

●準備完了
 珠稀が店を後にしたのは一刻の後のことだった。店は慌ただしくなった15時少し過ぎ。珠稀をみかけたお局様がまた能面のような笑顔で近づいてくる。
「いかがでしたか!」
「ふふ、最高でしたよ。ふふふ、次もまたあの子でお願いできますでしょうか? お土産はたんまり持ってきますので。ふふ」
 珠稀は涎を垂らさんばかりの笑顔でお局様に耳打ちするように告げる。
「ああ、それはようございました。あの子は少々不慣れで不快に思わせないかが不安だったのですが」
 お局様はますます笑顔になった。おそらくお局様にとってあの娘は変態の金持ちに売り渡したい物件だったのであろう。実際はそのようにはたぶん、おそらくなっていないのだが。

 ともかく、珠稀はお局様の姉妹から得た情報をもって茶屋を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『切支丹女武者』

POW   :    鉄砲三段
【鉄砲の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    部位狙撃
【鉄砲】から【トリモチ弾】を放ち、【手や足を狙う事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    聖母の慈悲
【聖母に捧げる祈り】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●つまりこういうことだったんですよ
「随分と色々な鼠を好き勝手暴れさせたようだな」
 今まであの御方、大家と呼ばれてきた男は茶屋が終わり店内のものが片づけをする頃に店に訪れていた。
「鼠ですか?」
 お局様は何のことだかといった笑顔でその御方に笑顔を向ける。ここには自分と一部、というかほとんどの茶屋娘だけが集められている。
「ふん、従順だと思っていたのだがな。食えぬ娘よ……おい、この年増を例の倉庫に入れておけ、ああ、まだ生かしておいてよい。殺すのは鼠退治の後じっくりとだ」
 男がそう支持すると、先ほどまでお局様の指示を従順に聞いて店を回していた茶屋娘や、上で特別な接待をしていた茶屋娘のうちの多くがお局様だった年増を取り囲み店の奥へと連れて行った。
「姉さん!!!!」
 たまらず年増の姉妹である娘が叫ぶ。
「ああ、そうだ。お前もだったな。この娘もつれていけ」
 男は残った茶屋娘達に指示し、娘たちはそれに従った。その眼には情も何もない。全てはこの御方のために……。

 姉妹を運び終えた娘たちが再び集まると、男は言った。
「すでに私がすべてをやり直す準備は整っている。娘たちよ、先ずはこの店に来るであろう鼠どもを倒し、それを始まりとする!」
 娘たちはきらびやかな着物を脱ぎ棄て、鎧を纏い銃をとる。
「全ては一度は死んだ私たちを拾ってくださった貴女様のために」

●情報まとめ
 それではここで情報を整理しよう。閉店間際になるとすでに家に帰されていた潜入猟兵たち、そして客として店に向かっていたり客から情報を集めていた猟兵たちは、茶屋娘姉妹が捕まったころ最後の情報共有を行っていた。
 この茶屋を牛耳っているのは大家と呼ばれる昔権力を持っていた謎の男。推定オブリビオン。そしてそれから店を授かっているのがお局様と呼ばれた年増であった。しかし、妹曰く姉は普通の人間で、ただ娘たちの思想に賛同していたのだ。
 西洋の宗教。禁止され淘汰された宗教。キリスト教。茶屋娘のほとんどがこのキリスト教の信者であり、それをかくまったのが大家なのだという。大家の思惑はともかく、娘たちはその男のために資金を集めていたらしい。そしてその使用用途は大家の悲願達成のため。もう一度大家が何かをやり直すためで、一般人がいくらか雇われているのはそのカモフラージュと更なる効率のいい資金集めのためだという。
 しかも、何人かの猟兵はおあつらえ向きに今夜その男が来るというような情報を得ているため、今夜何か事が起こるかもしれないと思った猟兵たちは戦闘の準備をして茶屋へ向かうのであった。

●歓迎、鼠様御一考
 店の裏手は完全に門扉を閉じ、逆に表はこれ見よがしに門を開いている。人波はまだまだ流れる夕刻。猟兵たちは正門から店に入る。

「いらっしゃいませ」
 推定20名ほどの娘たちが一斉に猟兵たちを迎えた。不気味なほど綺麗に片づけられた店内、物一つない100畳間にはびこる美女約20名と一人の偉そうな男。
「ふん、やはり来たな鼠どもめ。だがもう遅い。すでに準備は整った!」
 男は意味深な言葉を吐くと店の奥へと消えていく。ただ一言。
「やれ」
 と残して。店の奥へと消えていくのであった。娘たちはこの先へは行かせぬと銃を構え、一斉に猟兵目掛けて弾幕を張るのであった。
蔵館・傾籠
美女が揃って御出迎えとはこれまた絶景、なんてな
…そう恐い顔をしなさんな、信じる物を大事にする良い目だ、否が応でも俺には可愛く見えちまうもんよ

【戦闘】POW・近接
巫覡載霊の舞で彼女等の弾幕を引き受けよう、露払いなら役立つぜ
薙刀を振るって鉄砲の照準を惑わしてもやりたいな。
お嬢さんを傷付けるのは心が痛む。襖や畳を薙ぎ倒してひっくり返して、目眩しの間に鉄砲を不能にしたい。
目標は相手の戦意消失で初手を打とうか。

確か君らの神は「救い」を説いていたんだったか?…どうだ、現状、救われそうかい。
…これは過去から蘇ったオブリビオンへ問いますな、あれは過去しか知らぬ者。
今を生きる己らの心へ問うて、己らで決められよ。


琥星・流矢
また店に来たら、みたらしといちご大福を食いたくなってきたな。今度は包んでもらおうかな…って鉄砲撃ってきた!?一回外に避難!
「さすがに素手じゃ鉄砲は辛いっての!」

素早く敵陣に突っ込んで(SPD判定)、攪乱する必要がありそうだな。
店の外でクラウチング姿勢を取って集中。味方が隙を作ったらそれに合わせて、そうでなくても負傷覚悟で銃撃の合間に【クラウチングスタート】『ダッシュ』で娘さん達の中に突っ込むか。
突っ込んだら、なるべく注意を引けるように『2回攻撃』で適当に攻撃だ。

スノードームを渡したお姉さんは、なるべく怪我させたくないな。担いで店の外に運びたい。
「なんでって?んー、うまいもん教えてくれたし」


鍋島・小百合子
SPD重視:切支丹の鎮圧

堺の茶屋が切支丹の隠れ蓑となっておったのは意外じゃったのう
風俗業を行ってまで大家に忠を尽くすのは何故じゃ?

「一店員に対して随分な歓迎じゃの。無論おもてなしを尽くしてくれるよな?」
すぐに物陰に隠れ敵の鉄砲攻撃をやり過ごす
距離を取って隠れつつ敵の弾込めの隙を狙って長弓で攻撃
スナイパー・目潰し・範囲攻撃を併用し数本に束ねた矢で切支丹女武者達を射ていく
敵が怯んだ隙を見計らってユーベルコード「鎧装馬騎乗」発動
(伏せさせて)騎乗後薙刀に持ち替えて茶屋に向かって突撃、店内を荒らしながら馬の蹄となぎ払いを持って蹂躙していく
「祈りならば現世ではなくもう一度彼岸に向うて行うのじゃな!」



●銃弾を薙ぎ払え!
 旧式の銃から放たれる弾幕。敵は編隊を組んで3列になりそれを続ける。狭い店内では20少々の人員でも十分な弾幕がはられているように思える。
「一店員に対して随分な歓迎じゃの。無論おもてなしを尽くしてくれるよな?」」
「美女が揃って御出迎えとはこれまた絶景、なんてな」
「っておいおい、そんなこと言ってる場合かよ! 一回外に回避!!」
 鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)、蔵館・傾籠(ヤドリガミの剣豪・f11800)、琥星・流矢(世界旅人・f10204)。店の調査で面識を持った3人は慌てて店の外に出る。幸い店はそこそこ頑丈なのか銃は分厚い気の壁にめり込むだけで済んでいるようだ。
「なんということじゃ、弾込めの隙がほぼないではないか!」
 壁に隠れるとともに長弓を構えた小百合子が口惜しそうに切支丹達を睨む。
「素手じゃ鉄砲相手は流石に辛いしな」
 一方流矢も店の中を覗いて足踏みしている。二人ともそれでも強行突破しそうな面持ちではあるのだが……。
「まあまあ、ここは俺に任せな。ちょうどいいのもあるしな」
 傾籠が二人を抑えて前に出る。そして即座に【巫覡載霊の舞】を発動、神霊体へとその姿を変え切支丹女武者たちではなくその足元を狙って薙刀を振るい衝撃波を放つ。
「く、なんだ!」
 切支丹女武者たちは動揺する、銃弾すらも弾き飛ばす衝撃波によって女たちは一人も傷つかなかったのだ。
「お嬢さんを傷付けるのは心が痛む」
 傾籠は己の矜持を曲げないその一言を呟くと元の体に戻る。茶屋の中にはふわり、くるりくるりと回りながらゆっくりと宙を舞う畳。傾籠が狙ったのはこれだ、畳は目くらましになり、また、銃の射線を制限する。
「馬鹿にしているのか! 我々が神を信じて死んだことを憐れんでいるのか!」
 畳の隙間から伝わるほどの殺意が、憎しみが、怒りが傾籠を刺す。
「……そう恐い顔をしなさんな、信じる物を大事にする良い目だ、否が応でも俺には可愛く見えちまうもんよ」
 その視線をしなりと躱すように傾籠はまた、タヌキのようにふっと笑うのだ。

●支える者、穿つ者、疾る者。
「まったく、女を傷つけないとは大した信念じゃ。じゃが、わらわ達はやるぞ?」
 スナイパー・目潰し・範囲攻撃を併用し数本に束ねた矢を番え小百合子がいった。
「悪いねえ。年寄りは援護に回らせてもらうが、頼むよお嬢ちゃんたち」
 傾籠はまた銃弾が来れば何とかするさと薙刀を再び構えて立つ。
「よし、任せろ! 隙を作ってくれないと突っ込めないからな!」
 流矢は店の入り口でクラウチングスタートの体制をとる。
「ではわらわが更に隙を作ってやろうかのう……そりゃ!」
 小百合子は技能を織り交ぜて矢を放つ。矢は畳の隙間から曲線を描きながら次々と切支丹女武者の体目掛けて飛んでいく。
 切支丹女武者たち何名かの思わず出たというような悲鳴も聞こえる。手ごたえはありだ。宙を舞う畳も長く回っていたが地面に落ち、弾みながら少しずれて足場を悪くしているが概ね元の位置に倒れ、切支丹女武者と流矢の間を遮る壁はなくなった。
「位置について。よーい……ドンッ」
 流矢が勢いよく地面を蹴る。【クラウチングスタート】して流矢は走る。流星の矢の如く、その名の如く! 何人かの女武者たちがとりもち弾を撃ってくるけどその速さは流矢には届かない、予測射撃をも超える速さで駆ける。万一当たりそうになっても傾籠が衝撃波で叩き弾いてくれる……多分ね! だから速度は落とさない。そのままの勢いで一番先頭中央の切支丹女武者を思いっきり蹴り抜ける! 更にすかさずその後ろにいる発射準備をしていた切支丹女武者Bにそのままもう一歩踏み出して膝蹴り! 吹っ飛ばして……その後ろにいた切支丹女武者Cに吹っ飛ばされた切支丹女武者Bがヒット!
「よっしゃ中央突破! 距離さえ詰めれば素手でもイケる!」
 流矢が自信満々に切支丹女武者たちを煽る。傾籠に女だからと手心を加えられ、目くらましされて銃で矢に負けて、その上この連撃で陣形まで崩されては切支丹女武者たちの怒りも爆発する。
「おのれええええええええ!」
「切支丹である私たちを拾い傍に置き使ってくださったあの御方のためにも」
「我々は負けられぬのだ!」
 武者たちは散会し広い部屋へとバラバラに散る。ただし三人一組、それが5組だ。
「残りは15人か……っと。おい、避けろ!」
 傾籠がすかさずまた【巫覡載霊の舞】で薙刀を振るう。衝撃波は三方からうち放たれたとりもち弾の二つを弾き飛ばし壁に叩きつけるが、一つが流矢を捕らえてしまった。
「うわ!」
 足をとられて流矢は地面にこけてへばりこんでしまう。更に、15人のうちの残りの二組はそれぞれ神に祈りを捧げ、流矢に倒され完全には戦闘不能にならなかった切支丹女武者BとCを治療する。
「神よ……この者に裁きを!」
「くっ!?」
 起き上がった切支丹武者の二人が流矢に報復の一撃を放とうとしたその時。
「またせたのう……」
 小百合子がその2人を自らの薙刀で斬り伏した。荒々しく、そして迅速に。

●しっかり準備をしておったのじゃ。
 時はほんの数分だけ遡る。流矢が【クラウチングスタート】を決めているころ、小百合子もまた突撃準備をしていた。長弓を戻し薙刀に持ち替え、唱える。
「我は呼び出す敵を踏み潰せし蹄持つ騎馬…出でよ!」
 小百合子が召喚したのは馬。鎧軍馬。体長はギリギリ3メートルに及ばないが十分に巨大な馬である。小百合子は伏せた馬に飛び乗ると焦らずに起き上がらせてから、
「……流矢殿が危ない、行くぞ!」
 強く号令をかけ馬を走らせる。薙刀を利き手に持ち、目くらましに使った畳で悪い足場もものともせず、むしろ馬の駆けることにより起きる地鳴りで一層店内を荒らしながら駆ける。途中背後から傾籠の放った、流矢を守るための衝撃波が駆け抜ける。
「全く、共闘とは悪くないのう」
 笑う。今日あったばかりで片方は朝、潜入を共にするためダシに使われたタヌキ野郎だった。もう片方はのんきに手土産の団子まで買って帰るようなマイペースな男だった。それといま偶然にもこうして共に戦いそれなりに噛み合っている。
 小百合子はとりもちに捕まった流矢の背後で立ち上がった切支丹女武者を切り伏せる。
「またせたのう」
「いやぁ、早いお付きで」
 先程まで慌てふためいていた流矢が自分のペースを取り戻したようにように笑ってとりもちを手で取ろうとし始める。
「ではもう一仕事するとしようかの!」
 小百合子は流矢の安全を確認すると続いて祈りをささげていた女たちへ向かっていく。
「祈りならば現世ではなくもう一度彼岸に向うて行うのじゃな!」
 見事な馬さばきで歩を進めながら斬る。
「く! 皆の者、体勢を立て直す! 奥で迎え撃て!」
 途中から流矢も追いつき合計で6人ほど倒したころ、切支丹女武者の一人がそう吠えて、迅速に店の奥に逃げ込む。もちろん弾幕を張りながら。
「小癪な……!」
「とにかく追いかけよう。奥には関係ないお兄さんやお姉さんがいるかもしれない」
 先陣が斬られた。共に戦っていた他の猟兵たちも頷く。彼らと傾籠、小百合子、流矢は店の奥へ戦場を移すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●追いかけっこ
 逃げる切支丹女武者。しかし追わぬわけにもいかない。店内なら奥にいる誰かを人質に取られているかもしれないのでなおさらだ。
 店の奥は入り組んでいるばかりではなくいくつか倉庫や物置など広い部屋もいくつかある。今切支丹たちが向かっているのは傾籠が荷運びしていた《捨てるもの》を放り込んでいた倉庫とその前の広間方面だ。流石に100畳はないが待ち伏せの可能性が高いだろう。
「これはまた、銃の雨か……?」
「かもしれんが、廊下でぶっ放されると回避しずらいのでな、距離を詰めにくいのう」
 傾籠がこの後起こるであろう嫌な予想をたてると小百合子が同意する。
「あの!」
 猟兵たちが切支丹女武者たちの入っていく部屋の方向を壁から覗き見る様に確認していると、ふいに声がかかる。
「おや」
 傾籠がその顔を見て少し驚く、そこにいたのは確か同じくこの茶屋で働いていた娘ではないか。
「なにがおこってるん!?」
 娘がまくしたてるような勢いで詰め寄る。その言葉づかいに聞き覚えのある流矢がおやっとようやくそちらを見た。
「ああ、色々教えてくれたお姉さん!」
 それは流矢の探し人であった。もしいるのなら助けておきたかった存在。流矢が客として聞き込みをしていた時の娘だ。
「あんた昼前のお客さんやん! さっきのお侍さんなんなん!? 怖くて思わず隠れたんやけど……」
「ああ、無事でよかったよ。何、ちょっと立て込んでてな、終わったら説明するからこのまま隠れるか店から避難してくれ。ほかの人は無事かい?」
 流矢の穏やかな口調に少し落ち着きを取り戻す娘。一応知った顔も二人いるので疑問を飲み込み応える。
「え、うちがわかってる範囲やとお局様とそれに呼ばれてついていった娘さんがおらんなってるんやけど……」
 ああ、そうだろうな。猟兵たちは内心そう思うがその後何名かがはっとする。
 そうだ、お局様がいない! 切支丹女武者たちはみな知らぬ顔であったしお局様がいれば近づけば流石にわかるはずだ。
「そうか、わかった。俺達でちゃんと見つけておくからとにかく安全にしておくんだぞ!」
 流矢はおいしいものを教えてもらった感謝の気持ちを込めてそういうと猟兵たちと共に倉庫のほうへと進む。
「おそらく、お局様も黒幕と一緒にいるんだろうね」
 傾籠が道中呟く。お局様が敵か味方か、猟兵たちはまだ知らない。
明智・珠稀
おやおや。
お土産をたんまり持ってまいりましたのに…目当ての姉妹は居ないようですね…!
しかし、皆様お美しい…!
えぇ、敵対するその眼差しさえも、ふふ…!
さぁ、愛い合いましょう…!(妖刀を構え)

■戦闘
UC【妖剣解放】使用し、【残像】が出る程にスピードを上げる
「私の寿命など惜しくありません、ふふ…!」
敵の弾幕を避ける。もしくは当たっても
「あぁ、イイ…!素晴らしいです…!」うっとり笑うド変態。
中距離から妖刀の衝撃波で攻撃しつつも、隙を見て近づき
「しばしお眠りください」と【気絶攻撃】
チャンスあらば
「…ふふ。いただきます…!」
と敵の首筋に【吸血】し【生命力吸収】
ご満悦ド変態

※アドリブ、絡み、ネタ大歓迎です♡


竜禅寺・巌
「鼠とは心外だなぁ・・・ま、ただの人間のネェチャンもいるみたいだし、早ぇ所助けてやらねぇとな・・・」


行動:POW
飛び道具か・・・。んなもん俺の肉体で弾き飛ばしてやらぁ!(あくまで意気込み)

【ドラゴニアンチェイン】の射程に近づくまで、弾が当たろうが何だろうが突っ走って奴さんに『捨て身の一撃』をかましてやんぜ!!
・・・ヤバそうなら真の姿でも開放すっか。

んで、オーラの鎖でお互い繋がったら『グラップル』でバックドロップなり決めさせてもらうぜ?
「俺は女だろうと勝負に抜かりはしねぇぞ?オラオラぁ!!」


葛乃葉・瑠璃
いざ、敵に回すと少し残念だと感じるなぁ。…お団子美味しかったし、乗り気ではなかったとはいえ話してくれたお姉さんも良い人そうだったし。…好きなもの語る目は本物だったからなおさら普通の女性だと思いたかった。

まぁ、敵であるならやらなきゃこっちがやられるまでだ。一度弾を避けるために退こう。その際に白虎を呼び出して敵の注意を惹きつけて貰う。そして霊符を使い【呪詛】の力で敵を弱体化させよう。その後、白虎には攻勢に回ってもらおう。動き回って蹂躙してもらう。私も背後から【スナイパー】【援護射撃】【二回攻撃】で援護しよう。



●幕間
 逃げた先で切支丹女武者たちはその部屋の入り口の戸に向かって銃を構える。
 待ち受ける場所はゴミ倉庫の手前の広間。彼女たちにとってはいつもあの御方がやってきたときにやり取りをしている場所である。
「全く、逃げてくるとはな」
 広間のさらに奥にある部屋から襖を隔てて声をかけるあの御方。
「すみません。陣形を崩され、広い場所では不利となってしまいましたので」
 切支丹女武者は言い訳する。彼女たちは純粋に神を信じ、信じさせてくれた者を守るだけの武者。猛者ばかりではない。混乱してしまったのも確かなのだ。
「まあよい、ここで仕留めるのならな」
 あの御方が襖の先で答えた。
「御意」
 ここでならば戦える。主君のそばであれば私たちはさらに死ぬ気で戦える。それが武者と、大名の関係だと少なくともここにいる切支丹女武者たちは思っていた。

●一番槍はこの私です!
「さぁ! 愛し合いましょう!!!!!」
 明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は勢いよく横開きの戸をけり開けると撃ってみなさいとばかりに妖等を持ち美しい漫画の扉絵のようなポージングをとる。決して武道的な構えではない。なんか刀もってボディラインが映えるポージングだ。皆が今、なう、飛び込もうというときに誰よりも早く戸をけって渦中に飛び込む男、珠稀です、ヨロシク!
 切支丹女武者もこれには唖然とする。
「ふふ、とりましたよ……!」
 珠稀はその隙にしれっと女武者たちの背後まで飛び込む。早い! 妖剣解放による高速移動と衝撃波付きの斬撃で素早く2人切り伏せると、女武者たちはようやく我に還って銃をご自慢の三人一組で打ち始めるのであった。

●いいところ取られっぱなしじゃないからね!
 葛乃葉・瑠璃(腹ペコ旅狐・f12922)、竜禅寺・巌(ドラゴニアンの破戒僧・f13262)も流石に少し唖然としていた。
「うわっと!」
 瑠璃が先に我に還って引き、銃弾を避ける、しかし狭い! 先ほどまで大活躍だった人たちはちょっと突入する隙間ないかなこの銃の雨の中じゃ。
「おのれ鼠め等が!!!!」
 切支丹女武者の怒号が発せられる。味方である猟兵たちはともかく、なめた不意打ちに敵はもう怒髪天である。
「鼠とは心外だなぁ……ま、ただの人間のネェチャンもいるみたいだし、早ぇ所助けてやらねぇとな……」
 ここで瑠璃に続いて我に還る巌。拳を鳴らす。
「傾籠、小百合子。私と一緒に援護してくれるかな!」
 先程直接手は下さなかった傾籠と、弓が使えるとわかった小百合子にお願いし、同意を得ると瑠璃は唱える。
「西方を司りし白帝よ、その力を貸せ!」
 瑠璃のユーベルコード【十二天将・白虎】である。白虎は召喚されるとともに銃弾の中へ飛び込んでいく。
「おいお前、ここじゃさっきの技は使いにくいだろう? 俺が先に突っ込むから続け」
 巌は流矢にそういうと【ドラゴニアンチェイン】を発動。ドラゴンオーラを放ち自分と切支丹女武者の何人かとを繋ぎそれらを引っ張りながら自分も突っ込む。自分の距離は自分で作る。それはやはり拳で戦う者たちの鉄則なのだろうか。男二人で突っ込んでいく。
「俺は女だろうと勝負に抜かりはしねぇぞ? オラオラぁ!!」
「私たちもやっちゃお!」
 瑠璃が小百合子と共に矢を放つ。相手に銃を撃たせる隙なんて作ってやらない。こうなればもうあとは蹂躙するのみだ。
「ちょっと、私は仲間外れですか!? ふふ、仲間外れにしちゃうんですかー?」
 既に戦闘に入り刀と銃で殺陣を行っていた珠稀が軽い口調で言う。
「仲間外れというわけではないんだけど! じゃあ……白虎! 珠稀と暴れて!」
 戦闘中真剣にいきたいのだが瑠璃がどうもいつもの調子になってしまうのは恐らく珠稀のせいでおかげなのであろう。変わった剣士である。まあ、変わってるのは性格だけではないが。
「あ、なんかそれちょっと軽くあしらわれた感じがしますー♪ ふふ……」
 うんまあ、どう歪んでるかは言わなくてもふわっとは察していただけるとありがたい。まあそんなやり取りをしながら切支丹女武者戦は最終パートを迎える。

●舞い踊る終焉
 白虎をお供につけた珠稀は枷を外したように残像を作りながら速く刀とともに舞い踊る。
「私の寿命など惜しくありません、ふふ…!」
 苦し紛れに切支丹女武者たちが放つ弾幕を避ける。まあ、多少あたろうが
「あぁ、イイ…!素晴らしいです…!」
 くねくねと身をよじるのを戦闘中だからと我慢する。あ、これもイイですね。我慢も、快感です。括弧迫真括弧閉じ。とうっとり笑うド変態。更には中距離から妖刀の衝撃波で攻撃しつつも、隙を見て近づき
「しばしお眠りください♪」
 と華麗に切り付ける。そんな珠稀に負けじと雄々しく吠えながら爪と牙で切支丹女武者を引き付けてスタボロにしていく白虎もいろんな意味で強い。
「まだまだこんなものでは!」
 女武者たちはもうほとんど気合で立ち上がる。いったいなぜここまであの御方のためにもと戦うのかは。実際に信じるものを奪われなぶり殺しにされたわけでない猟兵たちには理解しきれるはずもないが。
「隙あり、ふふ。いただきまぁす♪」
 怒る切支丹女武者の一人の首筋に牙を立て、容赦なく吸血する系変態、珠稀。
「まだまだだと? いや、もう終わりにさせてもらうぜ!」
 倒れた切支丹女武者が立ち上がろうとするところをつかみバックドロップする巌。
「白帝、いいよ。そのまま暴れて終わらせよう!」
 と指示を出しながら弓を引き絞り矢を放つ瑠璃。そこに傾籠の防御援護や小百合子の追撃の弓、流矢の流れるような乱打も加わって切支丹女武者たちが完全に倒れこむのにそう時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪代官』

POW   :    ええい、出会え出会えー!
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【部下の侍オブリビオン】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    斬り捨ててくれる!
【乱心状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    どちらが本物かわかるまい!
【悪代官そっくりの影武者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悪代官登場
「確か君らの神は「救い」を説いていたんだったか?…どうだ、現状、救われそうかい」
 傾籠は意識があるかもないかもわからない切支丹女武者たちに問う。もちろん切支丹女武者たちの誰も答えない。
「ほっほっほっほっほ……これは傑作だわい」
 しかし、襖の奥からは笑い声が響く。声の主はもちろんあの御方。その正体は!
「使えると思って拾ってやったがとんだ役立たずどもよ! ええい! 私はなあ、こんなところでは終われぬのだよ!」
 襖を勢いよく開いて現れるのは金ぴか衣装の悪代官! そしてその背にはお局様と、情報によればその妹が縄で手足と口を縛られているではないか!
「お前らのような小物っぽい侍に敗れるとは笑止! こうなれば私自らお前らを倒し、ここの金で気づき上げた絡繰り兵器を使って今こそこの世界を牛耳ってくれる!!!」
 悪代官がそう吠える。これが、この悪代官こそが切支丹女武者たちの信じてきた男の正体である。
「貴様等。下手に動くなよ、さもなくばこの娘たちを殺してくれようぞ。それとも、昨日今日であったようなよく知らぬ娘など死んでも構わぬか、ええ?」
 悪代官は悪代官らしく、娘たちに刃を向けて凶悪な笑みを見せるのであった
鍋島・小百合子
SPD重視:人質の救出と悪代官の討伐

お局を人質にとるとは卑怯な真似を…!
下衆い輩には天誅を食らわせてくれようぞ!

「(すまぬが少しの間敵の相手をしてやっておくれ)厠へ向かう…漏れそうなのじゃ!」
仲間に敵の引き付けを耳打ちで要請し敵にも聞こえるように厠に行くと見せかけ一旦後方・悪代官から視認されない場所へ移動
悪代官の視界外から長弓でスナイパーと目潰し併用にて狙撃、仲間がお局を助け出す隙を作る
悪代官を攻撃する隙を作り出せたらダッシュで距離を詰めてユーベルコード「災禍刺刀撃」発動
腰に差した小太刀を抜刀し敵の心の臓目がけて串刺しにする
「天誅を食らわすと申したはずじゃ。欲塗れの己の恥を上塗りするがよい!」


琥星・流矢
「別にいいよ、斬っても。その代わり、オレはアンタが『斬る』よりも速く駆けるけどね」
悪代官があの二人を斬ろうとするなら、刀を振り下ろすよりも速く接近して、刀を天井に向かって全力で打ち上げる!(【名称未設定】の使用)
「…遅せぇ」

人質がどうにかなったら、悪代官の前に出て注意を引こう。この場にいる全員よりも速く動けば良いんだろ?(SPD判定)やってやるさ。
ただし回避に集中。味方が叩き込む準備が出来たら、悪代官を踏み台にして天井へジャンプ。
そのまま踏み付け…には行かず、『グラップル(握力)』で天井に張り付いておく。
「本命はオレじゃないんだよね!」

ま、明日の堺観光2日目のためにも、ここで倒れてもらおうか!


蔵館・傾籠
はぁ成程、誰かの後ろに居なきゃあ何も出来ない狸爺か。
…うん?近頃何処かで見た事がある様な気がするのは気の所為だ、はは!

【戦闘】POW・前衛後衛は局面、面子の動向により使い分けを。
さて此度然りと務めようか。
我武者羅に滅多撃とうが【残像】相手に空振ってくれりゃあ都合が良いね。
狸爺をちょいと言葉で擽って此方へ戦意を誘導したい所だ。
爺さんが囮になってる間に若いもんに存分奮って貰いたい算段さな。
後衛は任せなと言いたい所だが、張りぼての成金相手に手加減なぞ要らんだろうよ。

手前の野望なんぞの為に、彼女らの魂を二度も痛め付けてやるな、静かに眠らせてやれよ。
一極最強なんて詰まらねぇんだぜ?

共闘、アドリブ歓迎。


明智・珠稀
■心境
…ふ、ふふ。
私、怒りました。
(真剣な面持ちで)
…小物っぽいとは実に失礼ですね…!
言っておきますが、私の一部はビッグマグナムですよ…!!(憤怒)

■行動
【早着替え】でなんか下着姿になったり奇天烈な格好になり代官の気を引きたい。
その隙に、仲間にお局様と妹様を助けていただきたい心意気。
※他に仲間が敵の気を引けていたら
 自身が【忍び足】で2人を救出

2人の無事を確認できたら
「影武者さんも、部下さんも、皆纏めてお相手しましょう…!!」
とUC【青薔薇吐息】で武器の妖刀を青薔薇に変え範囲攻撃。
「さぁ、暴れさせていただきますよ…!!」
そして小型拳銃【闇霞】で確実に敵を減らす

※アドリブ、絡み、ネタ大歓迎です♡


葛乃葉・瑠璃
お姉さんたちをあくまで駒としてしか見てないなんて酷い!そんな企み潰してあげる。

とはいえ、人質取られているのはまずい…。一か八か敵の死角から【スナイパー】であの刃落としてみせる。それでも、御局様と妹さんを戦場に巻き込むのはまずいと思うから白虎に2人を連れて戦線離脱してもらう。後は、【援護射撃】【スナイパー】【2回攻撃】で前衛を援護、敵の技での増援はフォックスファイアで焼き払ってしまおう。


竜禅寺・巌
「人をダマして金儲け、その金で世界征服なんざ許されねぇな。それと、そのネェチャン達を開放してやんねぇならてめぇをぶっ潰すまでよ。」


行動:POW
今回は【灰燼拳】でタイマン張りてぇ所だな。
ただ、部下共をどう片付けるかだなぁ・・・
親玉との間合いを詰めてぇからな・・・目の前の邪魔な奴だけ始末して後は『気合』『怪力』『吹き飛ばし』で退かしてやんぜ!!
そんで親玉の所まで近づいたらボコボコに殴ってやりゃあ!!
「人質か・・・卑怯なもんだぜ。男なら正々堂々戦うもんだろ・・・!!」

出来れば誰かに手伝って貰いてぇかな・・・(頭ぽりぽり)
やばくなったら真の姿だな・・・。



●救出作戦への布石
「人をダマして金儲け、その金で世界征服なんざ許されねぇな。それと、そのネェチャン達を開放してやんねぇならてめぇをぶっ潰すまでよ。」
 竜禅寺・巌(ドラゴニアンの破戒僧・f13262)が威勢よく悪代官に告げる。
「ふん、姉妹の命などやはりどうでもよいという算段か?」
 そんな言葉にも、お局姉妹に刀を向け精神的にまだ優位に立てていると思っている悪代官は答える。部屋の中に緊張が走る……。
「あ、あー! もう駄目じゃ、わらわは厠へ向かう…漏れそうなのじゃ!」
 そんな緊張感を打ち破る様に一番に声を上げたのは鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)である。もちろんこれはわかりやすい建前なのであるが、
「ふふ、おトイレですか? いけませんよ、ちゃんと先に済ませておかないと、ふふふふ。あ、なんか私も催してきちゃいそうです。ふふ」
 明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)が妖しく笑ってこたえ更に緊張感をゆるめながら小百合子を見送る。
「あ、じゃあえっと。私も!」
 葛乃葉・瑠璃(腹ペコ旅狐・f12922)は見送るだけでなく小百合子に続いて部屋を出る。小百合子のやろうとしていることをなんとなく察知したのだ。なぜなら彼女もまた同じようなことを考えていたからだ。
「動くなといったであろうに! く、もうおらぬか。素早い鼠め」
 悪代官は呆れながら怒りをあらわにする。そのままお局姉妹たちを切りかからん勢いだ。
「まあまあ、女子は男よりそういう我慢が効かないと聞くし今のはご容赦願うぜ?」
 少しまずいかと蔵館・傾籠(ヤドリガミの剣豪・f11800)は軽口をたたき悪代官の意識をまだいる自分たちへ向けようとする。やれやれだぜ、といったようなジェスチャーまでつけて憎たらしいものだ。
「ふん、バカバカしい。容赦などせぬわ! 動けば斬る、それが道理よ」
 しかし悪代官は悪代官。ここはやり通すぞと刀を振り上げるのであった。

●一閃より速く
「道理とか無理とかどうでもいい。技名なんて考える余裕もない。ただ思いっきり、速く…駆ける!」
 悪代官の剣は決して遅いものではない。悪といえど代官。そして奴もまた侍なのである。そんな切っ先のスピードを超えるべく、琥星・流矢(世界旅人・f10204)はユーベルコード【名称未設定】を発動する。名前はまだない! しかしそれは彼の速さを悪代官が姉妹たちへ振り下ろす刀の剣筋を超えうるものに変えた。
 しかしダメだ、届かない。距離があるのだ。ただ刀を振り下ろすだけ、それもか弱い女を傷つけ適当に殺すための雑であるが素早い一閃には本当にあとわずか届かない。しかし、それでも諦めない。無理を押し通す走りをすると決めたのだから。
「んーーーーーーーーー!」
 姉妹たちが恐怖のあまりふさがれた口で必死に声を上げ、大名の刃が降りぬかれるかと思ったその時であった。流矢の頬をかすめ加速した流矢すら超える速さで突き抜ける物体があった。
 キーン! と悪代官の振り下ろす刃をそらしたのは2本の矢。それぞれ小百合子と瑠璃が放ったものである。小百合子も瑠璃も迅速に行動し部屋を出てから、流矢が動くより早く矢を射っていたのであろう。2人のスナイパーは刀が振り上げられてから振りおろされるまでの軌道をみごとよんで、それを成したのだ。
「何ぃっ!?」
 と悪代官が言うより早いか、流矢もそのまま駆け抜け弓に弾かれて動きの止まった悪代官の刀を蹴り上げる。
「……遅せぇ」
 その言葉を向けたのは、自分か、それとも悪代官か。
 【名称未設定】を使用した流矢の一撃は真空の刃を纏った高速の蹴り。刀はその刃を纏った蹴りに打ち上げられ天井に深々と刺さり、こうして悪代官は一瞬の間に人質を失うことになったのである。

●救出と防衛
「すまんの、結局わらわの行動によって強行突破になってしまったようじゃ」
 小百合子は部屋の外から謝罪の言葉を述べる。
「いや、どっちみち俺はこうする心算だったから大丈夫だ。援護ありがとな」
 なっちゃったものはしかたない。流矢は気にしていない様子で答えながらお局姉妹と悪代官の間に立ち、二人を守っている。すぐに巌と傾籠、珠稀が駆けてきて、巌は流矢同様壁として悪代官の前に立ちはだかり、傾籠と珠稀で姉妹の縄を切り、救出する。
「また会ったね、娘さんたち。ふふ、さあ、ここは危ない。逃げてもらえるかな?」
 珠稀が5000兆点のスマイルを二人に向けながら、先ほどまで共に戦っていた瑠璃の白虎に2人を乗せる。まだ余裕の戻らない2人はただ頷いて従うばかりである。流矢、巌、傾籠、珠稀に一礼すると白虎は走り出す。部屋を出て、小百合子と瑠璃にも隣を通る時にも姉妹は一礼して、白虎は流矢に情報をくれた娘がいたほうへとお局たちを運んでいくのであった。
「く、随分とこけにしてくれたな!」
 もちろん大名は激おこというやつである。憤怒。口惜しや。という追いつめられた悪役然とした表情で叫ぶ。
「ええい、出会え出会えー!」
 悪代官の号令とともに現れるたくさんの侍。額に1と書かれたそれは悪代官のユーベルコードに従ったものである証。部下の侍オブリビオンたちであった。
「はぁ成程、誰かの後ろに居なきゃあ何も出来ない狸爺か」
 傾籠が悪代官に対して悪態をつく……うん?近頃何処かで見た事がある様な気がするのは気の所為だ、はは!
「う、うるさい! 人質を取り戻した程度で勝った気になるでないわ!」
 悪代官は部下に持ってこさせた刀をとり、再び構える。
「さあゆけ、部下たちよ! 後ろにいる小娘共々やってしまえ!」
 おおおおおおおおお! と部下たちはいっせいに答え気迫たっぷりにかけてくるのであった。

●戦場のスナイパー
「瑠璃殿、まだまだいけるのう?」
 小百合子は弓を番えながら笑って尋ねる。
「うん、もっちろん! ここからが本番だよね!」
 同じく瑠璃も弓を番え笑う。自分たちの後ろには娘たちがいる。ここをもし通り抜けるような侍がいては困る。人数の有利で前衛たちを無視して突っ込んでくる侍たちに二人は矢を放つ。
「ここから先は通さぬぞ! お局たちを人質にとるような下衆い輩には天誅を食らわせてくれようぞ!」
 迫りくる者には矢を、そしてそれでもなお近づくものは薙刀でけん制をと小百合子が動く。
「お姉さんたちをあくまで駒としてしか見ない酷い企みなんてつぶしてあげる! 私たちがいる限り、ここは通さない!」
 瑠璃も負けじと矢を放ちながらその矢をユーベルコード【フォックスファイア】で燃やし火矢の雨を振らせていく。建物が燃えないようにしっかりコントロールしながら撃たれ燃やされ混乱する侍たち。更に瑠璃はその火を操ることで炎の壁を作り侍たちの進行を止めるのであった。


●立ち回る者たち
「俺の動きについてこれるかな!」
 流矢は後方の瑠璃や小百合子のほうも気にかけつつ、室内を駆け回り、敵を翻弄していた。悪代官の注意も引きつつ敵を纏めながら動き回り回避と部下侍たちへの不意打ちを繰り替えす。流矢が敵を集めたところに一撃を入れるのは珠稀と傾籠だ。
「皆纏めてお相手しましょう……!! さぁ、私の青薔薇に愛されてください……!ふふ……!」
 珠稀君は悪代官の小物っぽい侍たち発言におこおこ。流矢纏められた敵の中心に飛び込んでユーベルコード【青薔薇吐息(アオバラトイキ)】で青き薔薇の花びらの蛇剣のようになった刀でその軍勢を打ち、切り裂く。
「さぁ、暴れさせていただきますよ……!!」
 切り裂かれ倒れた侍たちを小型拳銃の闇霞で撃ち、着実に数を減らしていく。その表情はとっても猟奇的で、美しい。本当に口数さえ少なければいい男である。そんな珠稀を尻目に纏まりから離れてる侍たちをユーベルコード【剣刃一閃】で切り裂いていく傾籠。
「いやあ、若いもんは元気だな」
 などと笑いながらこちらもなかなか元気な動きである。
「流矢ー、そろそろいいぞー。巌の方を助けてくれ」
「私たちがこのあたりでばっちり暴れておきますから。ええ、任せてください。ふふふ」
 大胆不敵に嗤う2人。流矢は頷く。
「任せた!」
 そして走る。悪代官のほうへ。
「私に立派なマグナムがぶら下がっているということを教えて差し上げます」
「……そうかい」
 そして微妙にずれた怒りを発散させるがごとく珠稀となんだそれはと笑いながら役割をこなす傾籠はそのまま乱れ流れるように暴れ続けるのであった。

●悪代官に引導を渡す者たち
 扉を守り敵を阻む小百合子と瑠璃、部下たちを集めそれを処分する傾籠と珠稀、そして流矢のおかげで悪代官とタイマンをはるのは巌。
「人質か……卑怯なもんだぜ。男なら正々堂々戦うもんだろ……!!」
 悪代官の周りを守っていた部下たちを力でねじ伏せて悪代官に指を突き付ける。
「ふん、見事な戦闘能力だが、私に一人で勝つつもりか! 笑止、切り捨ててくれる!」
 悪代官がユーベルコードを発動する。悪代官の血管が浮き出て怒り狂った表情になる。
「ハッハッハー!」
 高々と笑いながら巌に斬りかかってくる悪代官に、巌は思いっきり地面をけって組み込みフックパンチを撃ち込む。
「キエエエエエエ!」
 悪代官は吹っ飛ぶがすぐに立ち上がりまた立ち向かってくる。
「ち、硬えな。強化系か」
 巌が吐き捨てる。飛び掛かってくる悪代官の攻撃を回避し、再び殴るが同じくまたすぐに立ち上がってくる。不通に殴るのでは少々手数がいりそうだが、一人では隙も作りにくい。
「お待たせ!」
 そこに登場したのが流矢だ。流矢が素早く動くと、悪代官は反応してそちらに狙いを定める。流矢に夢中で刀を振るう乱心状態の悪代官と、巌との距離は詰めながら回避に専念する流矢。巌はその意図を組み悪代官との距離を詰め、拳を振り上げる、
「本命はオレじゃないんだよね!」
 流矢は巌が拳を振り上げたのを見るとひょいと跳び上がりそのまま悪代官の頭を踏み抜き蹴りながらもう一度跳躍し、先ごろ自分が天井に刺した刀の持ち手へと手を伸ばしつかむ。そしてそれを握りしめて天井にへばりつき、巌の攻撃の邪魔にならないように移動しながら悪代官に大きな隙を作った。
「ありがとよ、お前等のおかげで最高の一撃がお見舞いできるってもんよ!」
 巌がユーベルコード【灰燼拳】で悪代官に向かって強力な一撃を叩きこむ。
「ば、ばかなあああぁぁぁぁああああ!……ぐふおぉお!」
 こうして、乱心していた悪代官は巌の一撃であっけなく倒されてしまうのであった。

●一夜明けて
 悪代官との戦いが終わった猟兵たちはお局の強い希望で一晩そのまま茶屋に泊まっていた。イケナイ営業をしていて、その従業員たちがいなくなった空き部屋がたくさんあったのでそちらで一晩過ごす運びとなりそれぞれが眠りについていた。
 翌朝。店は休業。猟兵たちは甘い団子やあんみつや大福でもてなされる。
「こんなことしかできなくて悪いねえ」
 いうのはお局だ。結局店はそのままお局のものとなることになった。お局はこの店をあの悪代官にそそのかされて売り上げのほとんどを献上する条件でこの茶屋を開いていた。しかし、資金集めの方法などがどんどんエスカレートしていく中で、正義感の強い妹が暴走しないようにああしてイケナイほうで妹を働かせて軟禁していたとも告げ、妹に長く苦労を掛けたとあやまっていた。
「ふふ、しかしこの店が続くのであればまたあんみつが食べられますね」
 珠稀が愛しのあんみつを至福の笑顔で頬張っていう。
「まあ、骨は折れたが今後どうなるかはそちらの決めることじゃしの」
「だねー! 上で働いてた悪代官の仲間じゃないってお姉さんたちも普通に茶屋で働いてくれるって言ってたし」
 瑠璃と小百合子はお団子をほおばりながらいう。瑠璃の皿だけ他の猟兵たちより圧倒的にたくさん団子が積まれているが。
「まあ、やりてのお局様だったみたいだし、年寄りは温かく若いもんの新しい門出も祝福するだけさ」
 傾籠はお茶をすすりながら老成した爺のように振舞う。その表情は中々に穏やかである。
「おう、そうなのか、そりゃ、安心だな」
 巌が豪快に菓子を食べながら笑顔で言う。
「ここのみたらし本当にうまいしな!」
 流矢も笑顔で団子を頬張る。その手には今日も持ち帰り用の団子と大福が包んである。用意してくれたのはスノードームを渡したあの娘だ。
「そう言ってもらえると嬉しいです。これからは何か広い敷地を生かしながら皆様に愛される茶屋となれるよう姉と頑張っていきますので、また機会があればいらしてくださいね」
 お局様と和解できた妹はにっこりと満面の笑みを向け、猟兵たちにあらためて感謝するのであった。

 この茶屋が今後どうなっていくかはまた別の話、と、なるかもしれないが。たくさんの茶屋の感謝のもてなしを受けた猟兵たちはその後各々の戻るべき場所へと帰ってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト