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迷宮災厄戦⑦〜通すべき正義の力~

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●暴虐の喜び
 ――ご機嫌じゃァないか。
 アタシより強い奴が妬ましい、そんな奴など大っ嫌いだ。
 アタシより弱い奴が大好きだ、いっぱい甚振りゃイイ声で鳴いてくれる。
 噛んで殴って引き裂いて、思うがままに暴れりゃイイんだろ?
 この世界は、そうしろってアタシに言ってるんだから……!

●通すべき正義
「諸君。夏の陣だ」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、グリモアベースに集まってきた猟兵達を見回すと、金色に輝く羽根ペン型のグリモアを手に取った。
「そう、戦争だ。世界の危機が訪れようとしているのだよ」
 そう言ってスフィーエは、改めてグリモアを忙しなく動かし、崩壊の危機を迎えんとしている世界の光景を映し出した。

「さぁ語ろうか! 舞台は書物の溢れる迷宮世界、アリスラビリンス! 君達には正義のヒーローとして悪を打ち倒して貰いたい!」

 迷宮災厄戦<ラビリンス・オウガ・ウォー>――アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラは猟書家と呼ばれる者達に力を奪われてしまっている。
 そしてその猟書家なる者達は、他の世界への侵攻を始めようとしているのだという。
「色々思惑はあるが、とりあえず今回倒して貰う敵はこいつだ」
 そう言ってスフィーエは様々な本が立ち並ぶ巨大な図書館の如き世界と、そこに待ち受けるオウガを映し出す。
 この【世界征服大図書館】と呼ばれる世界には、数多の世界征服に関するあらゆる歴史書・図鑑・ノウハウ本・自己啓発本が収められており、それを読み悪役めいた行為を行うことで更にパワーアップしてしまうのだという。
 更に悪いことに――。
「元々が暴虐に酔うようなタイプの敵だ。しかもそれが悪役めいた口上や行動を行うことで、更に強化される。全くこの戦場の為にいると言って過言じゃないだろうね」
 スフィーエの指し示すオウガ――黒き豊かな尾を持った人狼めいた少女の姿のそれは、元々はアリスだったらしいが、暴虐と破壊に目覚め、強者を貶め弱者を甚振ることによろこびを見出しているのだという。
 生来の性質がそれ故、この世界では正に水を得た魚の如き力を発揮するだろう。

「だが諸君らにも対抗手段はある。それは正義のヒーローらしく振舞うことだ」
 その世界には同様に正義の書とも呼ばれる書物もまたある。
 世界征服に対してそれに抗う正義というのもまた付き物なのだろうが、それを読むことで対抗できるのだと語る。
「難しいことは考えちゃあいけない。兎に角、正義のヒーローであることを心掛けたまえ」
 兎に角、弱者を守る強き意志を示したり、自分の身を犠牲にしても仲間を守ったり。
 或いは高い所から笛の一つも鳴らして華麗に登場してみたりだとか、そうした物語のヒーローのように振舞えば猟兵の力も強化されるのだという。
 正義は人によって違うのかもしれないがね、と苦笑しながらスフィーエは肩を竦めた。

「……何というか、正義に酔う時が一番恐ろしい、とはよく言ったものだがね」
 そうして一頻りのことを語り終えたスフィーエは、溜息を吐き出しながらグリモアベースのあるかも分からない天を仰いだ。
 それから少し、一呼吸を置いて改めて猟兵達を銀灰色の瞳で見回すと。
「だが通さなければならない正義というのもあるのは確かだ。そしてそれは、紛れもなく今なのだよ」
 そうして金色に淡く輝く羽根ペン型のグリモアが、図書館世界への扉を描き出していくと、最後に彼女は微笑みながらこう締めた。
「私からは以上だ。また一月近く忙しくなるかもしれないが……よろしく頼むよ」


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 正義の反対は悪じゃなくて別の正義だとか言いますよね。
 危うさもありますが、大事な心でもありますので、皆様は正しく生きましょう。

 さて今回はアリスラビリンスの戦争で、【世界征服大図書館】なる世界へと赴き、暴虐に酔うオウガを倒して貰います。
 勿論普通に戦っても構いませんが、正義のヒーローらしい行動を心掛けることで、プレイングボーナスが発生します。
 OPで語ったような行動でも構いませんし、とにかく皆様が思うカッコイイ正義のヒーローらしく振舞いながら戦ってみてください。
 尚、正義の書については探すプレイングは不要です。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 ボス戦 『アリーチェ・ネラ』

POW   :    暴虐の魔狼
【魔狼形態】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【立場であると自覚させるような威圧感】を放ち続ける。
SPD   :    暴君の狩猟場
自身の【敵対する相手の戦闘力】を代償に、【配下のオウガや無理やり従えているアリス】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【アリーチェ・ネラを愉しませるやり方】で戦う。
WIZ   :    暴虐王の呪い
自身からレベルm半径内の無機物を【呪い、触れた相手を無力な姿(幼子や動物)】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リカルド・マスケラスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎

そこまでだ
お前の悪逆、ここで終わりにする
そう宣言して敵の前に立つ

絶対正義なんてものがこの世にあるとは思わないが
この戦いを終わらせなければ色々な世界が危うい
これは世界を救うための戦いである
俺は俺の正義のために
暴虐の魔狼、お前を討つ

その誓いを胸にUCで真の姿、ダークヒーローじみた黒の騎士に変身する

敵の威圧感は【覚悟】を持って耐える
正義の味方ってのは強大な敵に挑むもの
こちらの方が弱い立場なんて百も承知

高速飛翔を【第六感】【視力】をフル活用して【見切り】
攻撃は光の盾による【オーラ防御】【盾受け】で受け流し【カウンター】
炎の剣による斬撃からの【焼却】の【2回攻撃】で相手を追い詰めるぜ


シーザー・ゴールドマン
(赤い雷と共に華麗に派手に登場)

やあ、初めまして。突然だが正義の味方とは何だと思うかね?
様々な考えがあるだろうが、その一つに悪に対する敵対者というのがあるだろう。弱者を嬲り、暴虐を好む君は紛れもなく悪だろうね。
ハハ、つまり君を滅ぼす私は正義の味方という訳だ。
異議はあるかな?(楽し気に)
『ウルクの黎明』を発動。
オーラセイバーを自在に振るい高速機動戦闘(空中戦)を演じます。
大技は剣を一閃させて放つ巨大な死神の鎌の如き衝撃波
(衝撃波×なぎ払い×範囲攻撃)
敵POWUCに関しては飛翔はUC効果で。威圧感に関しては特に気にせず。(態度にも口にも出しませんが上位者への挑戦は慣れています)
アドリブ歓迎



●黒紅の雷と焔
 アリスラビリンスの図書館世界、悪の華が咲くものに尽き果てぬ加護を与える世界に於いて、その主が如く振舞う人狼めいた鬼の姿が其処に在った。
 己の為すがままに振舞えば振舞うほど、世界の悪意は力を貸す――何処までも不愉快な嘲笑を響かせ、破壊と暴虐の爪を振るう狼の耳に、紅蓮の雷が降り注いだ。
「そこまでだ」
 飛びのく狼の前に、その瞳に燃え盛るが如き強き意志を宿した青年が、狼を睨み付けながら立ちはだかった。
「お前の暴虐、ここで終りにする」
 青年こと久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)の決意を宿した瞳を嘲笑う狼は、唇を歪めながら己の爪を舐めると、その鋭さを遥翔の喉仏へと突き付けた。
 だが彼と狼の間を引き裂くように、更に赤い雷が降り注ぎ――その雷を降り注がせながら、悠然と現れた貴公子シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は鼻を鳴らしながら狼に問うた。
「やぁ初めまして。突然だが君は正義の味方とは、何だと思うかね?」
「――アタシにビビって最後に命乞いする無様なイキリ野郎」
 飛び退きながら、シーザーの姿に大きな尻尾を左右に揺らしながら、狼はその暴虐性を隠さず親指を下にする。
 その様子を見、シーザーは快活に笑い声を上げながら、体中に激しい魔力を迸らせた。
「ハハハ、間違いなく君は弱者を嬲り暴虐を好む悪だ。では、そんな君を滅ぼす私は正義の味方。異論はあるかね?」
「ハッ――だったら」
「正義は色々あるのかもしれねえが」
 シーザーの言葉に反論を為さんとした狼の言を制するように、遥翔が割り込んだ。
「――止めなければ色々な世界が危うい。俺にとっては、それだけで十分だ」
 どれが正しくてどれが悪かなど、それは立場や事情によって異なるものであろう。
 なれば自分が正しいと思った物に準ずる――今、この目の前の相手を倒し戦線を広げねば、数多のオブリビオンが他の世界を侵す。その分だけ無力な民が苦しむ。
 それは防がねばならない。
 ――これは、その世界を、力無き者を守る戦いだから。
「焔黒転身(フレアライズ)ッ!」
 ――覚悟完了。
 闇の英傑じみた黒き騎士の姿をとり、鎧の金属音を重厚に響かせる。
「行くぞ」
「楽しませて貰おうか」
「ッ……イキんじゃねぇぞヒーロー気取りがよォ!!」
 シーザーと遥翔の圧倒的な威圧感に慄きながらも、狼は吼えてその身を魔獣へと転じさせる。
 二人の放つ威圧感にも劣らぬ、殺意と暴虐の波動が一瞬だけ彼らを圧するも、それも一時のこと。
 狼がまずはその牙を遥翔の喉笛に目掛けて繰り出そうとすれば、一瞬でそれを見切った彼が裏拳の一撃でそれを弾く。
 投げ出された狼が今度はシーザーへとその爪を伸ばせば、それを光の剣で横へ受け流しつつ攻撃を空振りさせ、その隙を目掛けて繰り出された遥翔の刃が狼を斬り裂き、その血すらも黒き業火が焼却する。
 最早どちらが暴虐を体現するかも分からぬ程に圧倒的な戦況であれど、それでも狼は着地しながら嗤い咆哮を挙げる。
 強者を妬み憎み、暴虐で虐げる欲望を露わにする存在に、この世界は無限の力を与える――更に高まる威圧感に一瞬、二人は気圧されるも。
「成程、水を得た魚ということかね。地の利は間違いなく彼女にあるようだ」
「だから、どうした。……百も承知!」
 地の利がいくら味方しようと、不利な敵に挑むは常にヒーローが道理。
 地の利がいくら味方であろうと、敵わぬ者が一つある、それは――
「クソ、がぁぁっ!」
 遥翔が飛来してきた狼の突進を、逆に制するように光の盾で打ち据え、そのままのアッパーカットで上空へ舞い上げれば。
 空中にて待ち受けていたシーザーが打ち下ろす、光の剣による兜割が狼の額を斬り裂きながら彼女を地へと叩き落し。そして。
 追撃にシーザーが盛大に振るった光剣から放たれる、死神の鎌が如き衝撃波が狼の胴体に当たるその瞬間。
 黒き焔盛る、遥翔がその衝撃(インパクト)に合わせて叩き込んだ、力強い斬撃が重なり。
 正に悪しき力を焼き尽くし冥府に送る、死神の鎌の如く、人の和を体現した交錯せし刃が狼に叩き込まれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

山鹿市・かさみ
POW

正義の味方らしく。ヒーロー志望としてはある意味最も難しいッス。
それでも逃げないこともまた正義の味方!
「イジメダメゼッタイを守る女」大音帝ヤカマシャー、行くッスよ!

とまぁ正義の味方らしく名乗りつつ、
相手にほぼ似た設定UCで正々堂々正面から拳で撃ち合うッス。
それもまたカサミが憧れるヒーロー。
けれどカサミが一番ヒーローで大事だと思うのは、
「立ち向かう勇気を力に変える心」だと思うッス。

故にカサミもそうするッス!
カサミのUCは機械心臓の鼓動の速さでパワーアップする技。
相手の威圧感で怯える心、そしてそれでも悪に立ち向かう勇気!
それら全てを心音に変えて、大事なものを守るために勝つ!
それが私の正義ッス!


レパル・リオン
待てぃ、オウガ怪人!罪もないわ人々に手は出させないわ!
傷つき、戦うのはあたしの役目!だってあたしはヒーローだから!

【変身】!とーっ!
あたしは魔法猟兵!イェーガー・レパルよ!

空飛ぶ狼が相手でも、しっかり地に足つけて戦えば勝ち目はあるわ!
飛んでくる動きを見切り、鼻っ面にカウンターパンチ!
そのまま魔法猟兵腕力で掴んで!思いっきり巴投げーっ!

(すっごい威圧感だけど…!この恐怖に負けずに戦う!だってそうしないと、誰かがこんな奴に襲われちゃうんだから…!)



●勇気の心を見せて
「ざけんなよ……イキってんじゃねぇぞクソヒーローがっ……!」
 傷口を抑えながらも狼は駆け付けてきた英傑への強い憎悪や妬みを露わにし、その爪を以て本棚を斬り裂きバラバラにしていく。
 書物さえも踏み躙り、暴虐を振り撒く姿へと、高らかな声が響いた。
「待てぃ、オウガ怪人!」
「ああ!?」
 明らかに不機嫌極まりない狼の声に、声の主が一瞬慄くも、本棚の影より二つの影が飛び出してきた。
「変!身!……とーっ!」
「とーっ!」
 その二つの影は空中で宙返りしながら、華麗に着地すると、そこに居たのは二人の少女だった。
 少女達はそれぞれ呆気に取られる狼の前で一斉にポーズを決めると、
「イジメダメゼッタイを守る女、大音帝ヤカマシャー!」
「魔法猟兵! イェーガー・レパル!」
 大音帝ヤカマシャーこと山鹿市・かさみ(大音帝ヤカマシャー・f01162)と、どこかライオンめいた姿の魔法少女らしきイェーガーレパルこと、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)の高らかな名乗りが響いた。
「罪もない人々に手は出させないわ!」
「イジメ、ダメ、絶対! イジメカッコワルイっすよ!」
「やかましいわクソガキャァッ! アタシに逆らう者は! 死刑!」
「御断りッス!」
 白目を剥き、フーッと獣の攻撃性を露わに獰猛な魔獣へと転じた狼が、その牙をぎらつかせ唸りを上げた。
 だが先手を打つように、放たれる威圧感に肌に嫌な緊張を張り巡らせながらも、空気膜が生み出す爆音と爆発の推進力を以てかさみが狼に肉薄し。
 音速に乗せられた拳の一撃が狼の頭部を打ち据え、数歩を引かせる。
 このまま真正面から、殴り合うのもまたヒーローらしいか、それもまたかさみの憧れる英雄像であるが――
「あっ」
「へっ」
 付き合い切れるかよ――真っ向から立ち向かうことを避ける狡さも備えるがこの狼、かさみの頭を乗り越え飛翔し、真っ直ぐにレパルへと――
「……てぇい!!」
 だが、その牙がレパルに届くことはなく、地を力強く踏みしめたレパルが繰り出した渾身の右ストレートが、顔面に陥没し牙を圧し折った。
 口から血を吐き出しながらよろめく狼の身体を、自らも打ち付けた拳の痛みを感じながらもレパルは強く掴むと、そのまま後方へ投げ飛ばし本棚へと叩きつける。
 崩れ落ちた本の角が次々と狼の身体を打ち据えていくも、彼女は書物を引き裂きながら現れ更に吠える。
「ちくしょぉぉ……怯えろよ! てめえら正義気取りなんざなぁ! アタシみてえな強くて悪い奴にボコられて! 惨めに! 命乞いしてりゃイイんだよォ!」
 図書館世界の本が逃げるようにページをめくらせ、本棚が震え埃が堕ちていく。
 感じる己が弱き身であると錯覚を感じさせる威圧感の前に於いても、負けずにレパルは先と同じように、と空飛ぶ魔狼に抗うように地を踏みしめた。
「すっごい威圧感だけど……! 負けない! だってそうしないと、誰かがこんな奴に襲われちゃうんだから……!」
 ――かさみの頭上を乗り越え、音速でやってきたときの威圧感は、確かに恐ろしかった。
 それでも、地に足を踏みしめたのは物理的な意味ではない――逃げて負けることで、傷つく誰かを守る為でもあるのだから。
「そうッス……怖いけど、でも、立ち向かう勇気! それが……」
 レパルの言葉にうんうんと力強く頷きながら、かさみの鋼の心臓が唸っていく。
 立ちはだかる全てを暴虐で叩き潰し、蹂躙することしか考えてない、獰猛に過ぎる悪意への恐怖。
 ――怖い。怖いけれど、でも立ち向かう勇気こそが、英雄の証。それこそが。
「「正義<ジャスティス>!!」」
 ――その勇気を力に変えてこそ、真のヒーロー。
 かさみが殴り飛ばした狼の身体を、がっしりとレパルが受け止め、バックドロップで地面に叩きつければ、重なる声と共に図書館世界を揺るがした。
「カサミは今生きてここにいる! 緊張も、怯えも! すべてがカサミの味方ッス!」
「傷つき、戦うのはあたしの役目! だってあたしはヒーローだから!」
「「せぇぇいっ!!」」
 ここで恐ろしい敵に屈するよりも、その敵に怯えて何も出来なかったという後悔に勝る恐怖があるものか。
 よろめきながら立ち上がる狼の両頬を、二人のヒロインが裁ち鋏の如く繰り出したフックが強かに打ち据えて――狼の身体を天に輝く星の一つと化すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

新山・陽
SPD そういうことは、いつだって報いを受けるのです。もしかして、因果応報という言葉をご存じない?

 「望まぬ者を戦いに追い立てるなど、弱者に無体を強いれば、通りすがりの名もなき正義に討たれますよ。今日のところは、それだけ覚えて骸の海にお帰りください」

 配下を使った攻撃は、【見切り】で躱し【逃げ足】で極力避け、対応する場合は【咄嗟の一撃】を用い【気絶攻撃】にとどめます。無理矢理従わされているアリスが攻撃を受けそうなら【かばう】で守り、ボスが消えれば自由になれるからと【元気】づけます。
 
 【ダッシュ】で敵にUC『ラッシュ』を発動。【体勢を崩す】を組み込んで、踏みつける攻撃を試みます。


四季乃・瑠璃
緋瑪「自分達が正義だとはあんまり思った事はないけどね~」
瑠璃「でも、相手が悪を名乗るなら、それを阻む私達は正義なんだろうね」
緋瑪「何より、弱い者苛めみたいに甚振る行動が気に入らない」
瑠璃「貴女を殺す為、正義を名乗らせて貰おうか」

【チェイン】で分身

敵が悪っぽい言動・行動をしようとする度に先手打って接触式ボムによる爆破やK100による銃撃で妨害。
悪を妨害する自分達=正義という理論で正義を名乗り、敵の悪行動を封殺。
配下のオウガは容赦なくボムで纏めて爆破。アリスは麻痺毒【マヒ攻撃、毒使い】を付与した麻痺毒ボムや麻痺毒を塗布したダガーで動きを止めて救助。
後は敵本体を連携して追い詰め、一気に消し飛ばすよ



●スタイリッシュに爆ぜて
 吹き飛ばされて尚、地面に叩きつけられて尚、立ち上がりほくそ笑む狼を目掛けて、幾つかの爆弾が降り注いだ。
 打ち付けられた玉が激しい熱風と衝撃を放ちながら、狼の身体を転がしていくが、狼はそれを投げつけた双子に対し唇を歪めた。
「はっ、不意打ちたぁ正義の味方かよ」
「自分達が正義だとはあんまり思った事はないけどね~」
「でも、相手が悪を名乗るなら、それを阻む私達は正義なんだろうね」
 双子――正確には一つの身体に宿る二つの魂を、二つの身体に分けた四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)は狼の嘲りにも怯まず、笑顔の下に悪辣極まりなき狼への侮蔑を潜ませて、新たに爆弾を投げつける。
 それをバク転で躱す狼の延髄を、しなやかな長い脚が打ち据え、狼の口から呻きを漏らさせた。
「てめぇ……何アタシを蹴ってやがる……!」
「やれやれ、もしかして、因果応報という言葉をご存じない?」
 髪を撫でつけながら現れたスーツの女、新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)が乾いた音を立てて靴の踵で床を叩けば、今しがた蹴られた延髄を押さえ、狼が吠えた。
「やっちまいな! そのイキリ女ども、ボロボロに嬲っちまえ!」
 狼が呼びつけるは、瑠璃と緋瑪、そして陽の戦う力を対価としこの場に召喚した配下のオウガや、名もなきアリスだった。
 召喚された怯えるアリスの襟首を掴み、小オウガ達はアリス達を「肉の盾」としながら向かわんとするが、すぐ様に狙いに気付いた瑠璃と緋瑪が大型拳銃を発砲しその腕を掠めることで制しつつ。
 配下の攻撃を巧みに躱しながら、対応しきれぬ分は陽がオウガの鳩尾のみを掌底で殴打し、アリスを躱しながらオウガを無力化していくも。
 配下のオウガは主の望みを満たすべく、その標的を怯えるアリスへと向けた――!
「ぐっ……!」
「正義の味方が、いい様だなぁ? ……やっちまい……」
 だが、咄嗟にそれを割り込んだ陽が庇い受け止めるも、庇われたアリスは必死な顔で彼女を後ろから押さえつけた。
 無理矢理従わせた存在が怯え、陽に謝罪の言葉をとめどなく告げながら押さえ込み、それを見た配下オウガが爪を振り上げたその時。
「何より、その弱い者苛めみたいに甚振る行動が気に入らない」
「貴女を殺す為、正義を名乗らせて貰おうか」
 冷徹に割り込むは、冷徹に告げた殺人姫達の鉛弾だった。
 オウガの振り上げた腕が貫かれるや否や、立て続けに打ち込まれた脳天への鉛弾と、愉悦に笑う狼の脚を貫く鉛弾。
「てめえ……!」
「そういうことは、いつだって報いを受けるのですよ、と……!」
 悪の華の愉悦を無力なものとされ、歯噛みする狼に正義の理を告げながら、陽は謝罪を続けるアリス達を瑠璃と緋瑪に預けた。
「大丈夫ですよ、あれを倒せば解放されますから」
「ごめんね」
 さりげなく緋瑪が麻痺毒を塗ったダガーでアリス達を無力化し保護して行けば、次々と投げ放たれていく瑠璃からの爆弾と、大型拳銃の弾丸がオウガ達を滅していく。
 何度狼がまたオウガとアリスを操り、人質作戦という悪辣な所業をせんとしても、最早その全てを見切った殺人姫達が正義の盾という名の妨害行為を行う。
 そして。
「ふっ……」
 ワンアクション。
 何処からか響いた弾かれる指の音をトリガーに、陽が一気に狼の元へと駆け抜けていく。
 残り少なきオウガの部下が立ちはだかるビル群とするなら、それをエウロペの激しい律動(ユーロビート)奏でられる中に華麗に駆け抜け、掻き分けていきながら肉薄し、その鳩尾へ拳を――
「がハァッ!」
 叩きつけると見せかけ、すぐ様にバックステップでフェイントをかますと、その勢いで顎を蹴り上げて。
 流れるように狼の脚を払い、横転させると、片膝で背に体重を掛け、その腕をあらぬ方向へ押さえつけ関節を無理矢理外させる。
「望まぬ者を戦いに追い立てるなど、弱者に無体を強いれば、通りすがりの名もなき正義に討たれますよ。今日のところは、それだけ覚えて骸の海にお帰りください」
 嫌な音が響き、目を見開きながら呻く狼を、その勢いで巴投げにすると――
「そう、私達みたいな」
「正義が、ね!」
 待ち構えていたのは、二人で一人の殺人姫達が投げ放っていた必殺の爆弾だった。
 予測は出来ても回避は不可能。
 みっともない命乞いは悪の華なれど加護は防御とならず――狼の前でカチリと打ち合わされた爆弾が火柱挙げて狼を包み込み。
 迸る熱風が一仕事を終えたスーツ姿の女と、学生服姿の少女達の装束と髪を靡かせていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
正義のヒーローらしさを宇宙海賊のボクに求めるかな!?
でも、せっかくだから派手に行くよ!
「困った時のサメ頼み!宇宙海賊シャークトルネード参上!」
名乗りと一緒に颯爽登場!
隣のウィーリィくんと【手をつなぐ】事で互いを【鼓舞】し合いながら【勇気】を合わせて敵のプレッシャーをはねのける
「ボクたち二人が一緒なら絶対無敵だよ!」
仲間を信じ、共に戦う!これってヒーローのお約束だよね?
ブラスターの【乱れ撃ち】で配下を蹴散らし、ウィーリィくんがボスにダメージを与えたらそれに乗っかって【援護射撃】+【クイックドロウ】+【スナイパー】でピンポイント攻撃!
「ボクたちは二人でひとつの正義のヒーローなんだよ!」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
世界征服に関する歴史書や自己啓発本ってどんな内容なのか気になるけど、今はそれどころじゃなさそうだな。

ヒーローらしさはシャーリーに任せ、俺は彼女のサポートに徹する。
威圧感を【気合い】で乗り越え、彼女への攻撃を鉄鍋の【盾受け】で【かばう】と同時に【カウンター】の【シールドバッシュ】で相手のバランスを崩し、彼女の攻撃の機を作る。
そしてボスからの必殺の一撃を【見切り】、【料理の鉄刃】を【限界突破】させた【捨て身の一撃】を【カウンター】で叩き込んで敵に深手を与える。
「今だ、シャークトルネード!」
……こんな感じでいいのか?



●義賊という言葉もありまして
 ――世界征服に関する歴史書や自己啓発本ってどんな内容なのか気になるけど、今はそれどころじゃなさそうだな。
 ――でも正義のヒーローらしさを宇宙海賊のボクに求めるかな!?
 ――まぁいいや、派手に行くよ!
「世界の海は、こいつの海ッ!」
 火柱の中から咳き込み、ふらつきながら出てきた狼に高らかな声が響いた。
 またこの手合いか、とうんざりしながらも、狼は耳を澄ませた。
「困った時の鮫頼みッ!」
「どこにいやがる!? 隠れてないで出てきな!」
 ――こうしてお決まりの言葉を放つ辺り、この狼も意外とノリノリなのだろうか。
 狼の目の前に、颯爽と、その右手に古めかしき様相のマスケット銃をくるくるとバトンのように回しつつ。
 ブーツの踵が図書館世界の床を甲高く打ち鳴らす――その音と共に。
 鍔広帽子をピィンと指で弾いて持ち上げ、その顔を露わにした海賊風の少女――そう、彼女の名は。
「宇宙海賊シャークトルネード、参ッ上!」
「そしてそのパートナー、鉄鍋のウィーリィだ」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)――そして、その傍らに立つは重厚な大包丁と鉄鍋を担ぐ者、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)だった。
「……うぜぇどいつもこいつも……やっちまいな!」
「ボクたち二人が一緒なら絶対無敵だよ!」
 ――繋いで離したその手に、温もりと分け合い、高め合った勇気と共に。
 ウィーリィが駆けだす最中に、狼が無数に呼びつけた配下オウガへと、シャーリーが熱線銃を解き放ち、的確に頭部を撃ち抜く。
「その程度? さっ、もう大丈夫だからねアリスさん」
 勿論、服従させられていたアリスのみは銃床を軽く打ち付け、気絶させながらさりげなく保護を行う。
 シャーリーの無双ともいえる奮戦の前に、業を煮やしたか、狼は嗤うと別のアリスの手首を掴み自身へと引き寄せた。
「おおっと、これ以上暴れたらこいつがどうなっても知らねえよ?」
「卑怯だよッ!」
「ハハハ、褒め言葉さ」
 怯え切ったアリスの首筋へ、その爪を突き付けながらシャーリーの非難を笑って受け流しつつ。
 攻勢を取り戻した配下のオウガが、煽るように立ち尽くすシャーリーへ距離を詰めていくその中で――
「へえ」
 完全な不意打ち――狼の爪を斬り裂く重厚な鉄の刃が其処に在った。
「だったら褒めてくれよ。“卑怯”だってな?」
「ナイス、ウィーリィくん!」
 呆気に取られる狼の一瞬の隙を突き、その腕を熱線で撃ち抜くと、アリスを保護する。
「てめえぇっ!!」
 その致命的な隙を作り出したウィーリィに狼は標的を定めると、全てを威圧するが如き気迫を放ちつつ、その身を魔獣へと転じさせた。
 ――この手に残るシャーリーの温もりが勇気を与えてくれる。
「ウォォォォォ!」
 襲い来る狼の気迫と爪を高らかに雄叫びを挙げながら、鉄鍋を以て横殴りにして受け流し。
 その勢いで、鉄鍋の曲面を以てのタックルで狼の身体を強く打ち据え吹き飛ばす――が。
 狼はバネの如き脚の筋肉を以て跳び、ウィーリィへと返りその爪を振りかざす――だが。
 託せる相手が居る、共に戦う相棒が居るという勇気は、その爪など取りに足らない――自分の持つ大包丁を、彼女と分け合った勇気を以て研ぎ澄まし。
「研ぎ澄まされた技と絆に……料理できないものは、ないッ!」
 飛び掛かったその勢いが仇となったか。
 袈裟懸けに力強く振り抜かれた、大包丁の何処までも鋭く重たい一撃が、狼の身体を吹き飛ばしながら、その身体より激しい血飛沫を降らす。
「今だ! シャークトルネード!」
 ――こんな感じで良いかは、わからないけど。
(受け取ったよ、ウィーリィくん)
 言葉を多く交わさずともに、確かな信頼を以て助け合うヒーローの行為は、世界より加護を引き出し――そして。
 研ぎ澄まされた宇宙海賊の狙いは――ウィーリィが深く斬り込んだその場所へと、莫大なプラズマの奔流となって襲い掛かる!
 全てを焼き尽くし原子にも還元しかねない、正に英雄放つ必殺の光線が如く!
「て、めぇっ……!」
「確かにボク一人じゃあのままやられてた」
 白煙を挙げながら蹲る狼に対し、ふっとマスケット銃の口から立ち込める熱を吹き消しながら、シャーリーは告げる。
 決定的な、正義と悪の勝敗を分ける、この一言を――
「ボクたちは、二人で一人のヒーローなんだよ!」
 ――ぐうの音も出ない、とは正にこのことだろうか。
 ウィーリィを肩に抱き、親指を立ててサイバーアイ越しの笑顔を決めた宇宙海賊に、狼は血を吐き出しながら倒れ込むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユースティ・アストライアー
アドリブ・絡みOK

そんな力を持ちながら、悪しきことに使うなど…
ヒーローとして正義の味方として絶対に屈するわけにはいきません!
基本的に技能【怪力】を用いて戦闘
力比べや肉弾戦は全部【怪力】使用
敵の攻撃も【怪力】を用い本棚を倒して防御したり、畳返しの要領で地面をえぐらせ、それを盾にする。
さらにUC【スーパー・ジャスティス】で、スーパーヒーローという意識、世界の皆を守らねばという意思で戦闘力強化。高速で空を飛び、攻撃を避け威圧感を跳ね返す

そして…そう戦いながらももしアリーチェ・ネラが重傷を負ったりピンチになったりしたら…迷わず、助ける
敵であっても助けるのが正義の味方の努めです
たとえ…間に合わなくても…


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…悪にも幾許かの事情があったりするものだが…
己の愉悦のために弱者を蹂躙するのは救いようのない方の悪だな

さて、それでは正々堂々と真正面から向かわせてもらおうか
正義の味方とは敵から逃げず、真っ向から立ち向かう者なのだからな
近距離はナガクニ、遠距離はシルコン・シジョンと武器を使い分けて敵を攻撃していく

教えてやろう…
「たとえどんなに苦しくても諦めずにやり遂げる」
それこそが正義の味方だ

敵の威圧感で心が折れそうになったら気合で奮い立たせる
正義の味方はどんなに追い込まれようと、決して自ら勝負を投げたりはしないのだ
そしてそのままUCを発動
地面を踏みつけ高く飛び、急降下で蹴りを相手に叩き込む



●正義と悪の決着
「大丈夫ですか?」
「……こんなアタシにも優しくしてくれるってのかい」
 数多の激戦を経て、重傷を負いながら蹲る狼に、温かな声が響いた。
 眩いばかりの金髪を輝かせ、鍛え上げられた肢体に真紅のマントは情熱的な正義の英傑が如き姿――ユースティ・アストライアー(スーパーウィッシュガール・f16665)が差し伸べる手を、狼は手を取った。
「当たり前です。それが……」
 迷わずに助ける、それこそが正義のヒーローなのだから。
 例えそれが、敵であっても――だが、その無償の善意すらも狼はいやらしく唇を歪めて、取られてない方の手の爪を。
「恰好の餌って、ことだろ?」
「ッ……!」
 だがその爪がユースティを貫くよりも早く、聖歌が響くが如き銃声と共に放たれた銃弾が狼とユースティの距離を取らせた。
 それを放った風に鮮やかな紫色の髪を靡かせ、両手に聖歌を響かすが如き荘厳な銃を携える――キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)の姿がそこにあった。
「フン……救いの手すら踏み躙るか。救いようのない方の悪だな」
 ――得てして悪というものには、何かしらの事情があるのもいるかもしれない。
 だがこの狼というのは、己の愉悦の為に弱者を踏み躙り強者を貶める――あまつさえ、無償の善意をも。
 グリップを握るキリカの掌にも、幾許かの力が心なしか籠る。
「アーッハッハ! イイ声で鳴けよクソヒーローッ!」
 それでも狼は銃弾掠められ、血の流れた腕を舐めると、高らかに吠えてユースティとキリカを圧する覇気を放つと、その身を恐ろしき魔獣へと転じさせる。
 その凄まじいバネからの、鋭き爪が振るわれようとした刹那、ユースティはその身に備わった、全てを剛力に割り振ったが如き力を以て巨大な本棚を蹴り倒す。
 圧倒的な質量が狼の身体へと覆いかぶさり、そのまま叩き潰さんとするも、狼はそれを爪で斬り裂きユースティへと肉薄する。
 だがそれをユースティはがっしりと、決意一つ黄金の闘気を迸らせながら受け止めると、そのまま一本背負いで叩き落す。
 其処へ再びキリカが狙いを付けたライフルの弾丸を割り込ませれば、聖なる箴言が狼の魂と身を揺さぶる。
 激しい苦しみに悶えながらユースティの捕縛を強引に払い、キリカに吠えながらその爪を向けても、キリカはそれを冷静に、短刀で激しい金属音奏で合うように打ち合い受け流し。
 堪らずに空へと逃れても、狼の脳天を金の奔流を噴き上げ飛翔したユースティが、組み合わせた両掌で殴りつけ地面へと叩き落し。
 叩きつけられ、ワンバウンドを経た狼へ、更にキリカが風のように過ぎ去れば、擦れ違い様に喉笛に短刀よりの閃き走り、血飛沫が舞う。
「チィッ……なんで諦めねえんだよ、どいつもこいつもォ!」
 絶え間なく自分が弱者であると思わせる波動を放ち、世界の加護を得て数多の本を引き裂き圧倒しようとも。
 彼女達は時に助け合いながら、狼に対して必死に抗う――正に狼狽の光景に対し。
「それだけの力を持ちながら悪しきことに使うなど……ヒーローとして、正義の味方として、絶対に屈する訳にはいきません!」
「教えてやろう……【たとえどんなに苦しくても諦めずにやり遂げる】こと。それこそが正義の味方だ」
 二人横並びになりながら、互いに互い、背を補いつつも力強く指先を突き出してヒーローがヒーローたる不屈の魂を示しつつ。
 彼女達は一斉に、力強く床を踏みつける――正義の書の加護が生み出す、強く気高き決意への力は、彼女達の身体を天高く導くと。
 一斉に突き出されるは、それぞれの長くしなやかな、それでいてそれが持つ気迫は万物を貫く槍が如く。
「こいつで」「終りです!」
 紫と金、煌びやかにして侵されざる気高き二つの流星が、急降下の蹴りを同時に狼へと叩き込めば。
 重なり合った二つの衝撃が狼の体内で相乗し合い、単体の威力を遥かに上回る程に高め合い、そして――!
「!!」
「ち……ち……ちくしょおお――っ!!」
 咄嗟に気付いたユースティが手を伸ばしても時は既に遅く――限界を迎えた狼の身体が爆ぜる。
 血の一滴も残さぬ程に、激しい力の奔流に呑まれながら――何も残さずに。
 消え去った後を見、ユースティは悔しそうに伸ばした掌を握り締めた。
「救いたかった。それでも」
 ――間に合わなかったとしても。そしてこれから先、それが何度裏切られようと。
 躊躇うことなくこの正義の女神の名を冠した少女は、手を差し伸べるのだろう――キリカの何とも言えないような視線に、苦笑しながらユースティは、
「……甘いと思いますか?」
「かもしれん。だが、それがお前の強さでもあるだろう」
 ――決して全てを受け入れること叶わずとも。
 苦笑するユースティの背をそっとキリカが押し、彼女達は正義と悪の戦いの終止符が打たれた世界を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月03日


挿絵イラスト