迷宮災厄戦②〜雪の白に染まりて(作者 波多野志郎
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「新たな戦い、迷宮災厄戦が始まったようじゃな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、そう厳しい表情で切り出した。その上で、こう続けた。

「まずはおぬし達に頼みたいのは、他の世界から「アリス」を大量に召喚する儀式の阻止じゃ」

 現在、迷宮災厄戦に先駆けてオウガ達は大量のアリスをアリスラビリンスに呼び出そうとしている。そうなれば、何の罪もない無力な人々が巻き込まれる――猟兵として、決して放置はできないとガングランは強く念を押した。

「オウガ・オリジンが捕まっていた「迷宮のような図書館」の国で、この儀式は行われておる。おぬし達に頼みたいのは、その中の一つの儀式を阻止してほしいのじゃ」

 オウガ雪の女王は、図書館の一角を純白に染めて儀式を行なっている。この指揮官の一人である雪の女王を倒す事で、一つの儀式を止める事ができるのだ。

「ただし、オウガの大軍団がおる。ここでは色々と戦いが始まっておるのだが、これをくぐり抜けて雪の女王の元へたどり着かねばならん」

 現在、「迷宮のような図書館」の国では乱戦が繰り広げられている。この乱戦を抜けて召喚の儀式を行なっている雪の女王の元へ、まずはたどり着かなくてはならないのだ。

「まともに蹴散らして、などしていては時間がいくらあっても足らん。何としても首謀者である雪の女王の元へ手早くたどり着き、倒さねばならん」

 ガングランは深呼吸を一つ、真剣な表情でこう締めくくった。

「まずは一つ一つ、足場を固める必要がある。負ければ多くの者が不幸になる戦いじゃ。心して挑んでくれい」


波多野志郎
ついに新たな戦争が始まりました! どうも、波多野志郎です。
今回は、アリスを大量の召喚しようと企む雪の女王と戦っていただきます。

プレイングボーナスは、『オウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近する』というものになります。いかに素早く、効率よく到達するか? 皆様のアイデアをお待ち致しております。

それでは、図書館の迷宮にてお待ちいたしております。
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第1章 ボス戦 『雪の女王』

POW ●【戦場変更(雪原)】ホワイトワールド
【戦場を雪原(敵対者に状態異常付与:攻撃力】【、防御力の大幅低下、持続ダメージ効果)】【変更する。又、対象の生命力を徐々に奪う事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD ●【戦場変更(雪原)】クライオニクスブリザード
【戦場を雪原に変更する。又、指先】を向けた対象に、【UCを無力化し、生命力を急速に奪う吹雪】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ ●【戦場変更(雪原)】春の訪れない世界
【戦場を雪原に変更する、又、目を閉じる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【除き、視認外の全対象を完全凍結させる冷気】で攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


リデル・キャロル
・心情
悪い子悪い子オウガ達
雪の女王の僕となって
たくさんたくさんおおわらわ!
けれどもリデルな気にしない!
全速力でお空を駆けて
女王の元へひとっとび!

・行動
リデルはドレスアップ・プリンセスを使用して、飛翔能力で雪の女王の元を目指します
雪の女王と相対したら、プリンセスハートや技能【怪力】で攻撃します

・その他
アドリブ等は大歓迎です


ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ連携歓迎
アリスを大量に召喚しようとしていると。それは意地でも阻止しなければなりませんわね?
私、曲がったことは大嫌いなので。
さあ!オウガ共!貴方達の野望を阻止するために、ヴィヴィアン・ランナーウェイが参りましたわよ!!
敢えて名乗り、己を追い込みましょう。ですが、ええ。この不利こそが私を強くする。私に気がついてから追いかけようとも、強化され鍛えられたこの脚を捉えられませんわ。…仲間の囮にもなれるでしょうし、ね。
雪の女王の元へたどり着いたなら、躊躇うことはありません。この走ってきた勢いのまま、最短に最速で一直線!この槍を突き立てましょう!もとより、懸けるのはこの一撃にのみ!喰らいなさい!


ニオ・リュードベリ
うう、寒い……
こんな戦場で乱戦なんてご苦労さまだね
とにかくボスを叩かなきゃ!

寒さと激しい戦乱を同時にくぐり抜ける方法……
アリスナイト・イマジネイションで無敵の鎧を作り出そう
あたしが信じれば寒さにも耐えられるはず
雪を踏んでも大丈夫なような鎧にしよう
そしてアリスランスを片手に戦場を【ダッシュ】するよ

【目立たない】ようにある程度は身を屈めて進んでいくけど
邪魔する相手は【ランスチャージ】で吹き飛ばしつつ先へと進もう
鎧のおかげで寒さ自体はごまかせるけど、生命力自体は吸われてしまっているかもしれない
だから短期決戦を目指していくよ

ボスの元まで辿り着いたら改めて【ランスチャージ】!
変な儀式は止めてみせる!


月夜・玲
しかし凄い数のオウガだね
これを抜けて雪の女王の下へ向かうのは骨が折れそ…
とまあ愚痴ってもしょーがない
楽しい楽しい戦争のお時間だ!

●行動
さてまずはどうやって行くかだけど…
乱戦だし丁寧な事はしてられないね、雪の女王の大体の位置さえ分れば十分
後は斬撃による衝撃波を地面に対して放ち、『念動力』をそこに加えて自分を『吹き飛ばし』て接近する!
何も接敵しなくても、彼女の姿さえ見えればそれで良い
それだけで、そこは私の射程さ

雪の女王の姿が見えたら【高速演算】を使用
衝撃波で『2回攻撃』
牽制も兼ねた攻撃だよ
そして『念動力』で吹き飛ぶ方向をコントロールしながらそのままの勢いで斬りかかる
さあ、斬撃の直送便は如何かな?


鈴桜・雪風
乱戦を潜り抜け指揮官を討て、ですか
この規模の戦となれば隙も相応に在るもの
ひとつ、挑んでみるとしましょう

まずは歩法(【忍び足】)とラムプの幻術(【催眠術】)で敵を欺き、
すり抜けて本陣に迫れるだけ迫りましょう

本陣に達するか上記対策だけでは難しくなってきたら
【桜の癒やし】で周囲の敵を眠らせます
直接相対するのでなければ回復は問題になりませんし
時間もわたくしが指揮官を討つまでの短い間で良いのです

敵の指揮官も、目を閉じてユウベルコヲドを行使するようですが……
その状態で、わたくしのもたらす眠気に抗えますか?
「一度眠れば最後、目覚めさせる間もなく、この一刀が貴女の首を刈り取ります」


ゼイル・パックルード
ガキが戦いに巻き込まれるのはあんまり好きじゃないんだよねぇ。

紅葉狩りで地形もろとも敵を燃やしながら、進行上にいるてきは魔裂で薙ぎ倒して、ダッシュで進んでいく。
どんどん燃え広がらせれば、敵も混乱するし目眩ましにもなるだろ。
「これでも読者は好きだから心は痛むけどね」

進む先にあるものは基本的に燃やしていき、雪の女王の戦場変更や寒さの対策にする。
相手の雪や氷で炎が消されても、こちらも紅葉狩りを放ってそれを打ち払う。

とはいえ、どっちの能力が上かもわからない。優劣をつけるんじゃなく殺し合いにきてるんだ。生命力とかを奪われすぎる前にケリはつけるべきだな。

炎を目眩ましにしながら、今度は直接紅葉狩りで攻撃する。


七枷・むつき
一つ一つ着実に、微力ながら力を尽くさせていただきましょう

大量のオウガの群れを抜ける…なら
ウィザードブルームに乗り、私は空から突っ切る方法を試させていただきましょう
怪我の有無を気にしてる場合ではないですし、雪の女王のもとへ早く辿り着くのを優先に

視認出来たら、鴉の使い魔にも協力してもらい、一撃でも攻撃を当てれるように
当ててしまえば後は私が
ユーベルコードを使用し、効果範囲内で出来る限りの攻撃を雪の女王へ

簡単に行くとは思いませんが…あぁ、そうですね
一つ、思い出しました。私にも雪女としての最低限の矜持があります
貴方と私の冷気、我慢比べと行きましょう

※共闘・アドリブは歓迎です


トリテレイア・ゼロナイン
大量のアリスが危険なこの地に召喚され、あまつさえオウガ・オリジンに饗される等、騎士として到底許容出来ません
一人でも多く、召喚者を撃破しなければ…

乱戦にかかずらう時間はありません、短期決戦と参りましょう
UCを使用
向上した行動速度で戦場を突破します
センサーでの●情報収集で敵の群れを潜り抜ける最適な侵攻ルートを●見切るのも容易でしょう

貴女が召喚者ですね、討ち取らせていただきます
(言葉を置き去りにする程の速さで接近)

事前に施していた●防具改造で雪原への転倒防止処理等の●環境耐性は整えました
さらにこの低温は過剰駆動の冷却には最適です

反応速度によった防御と怪力での高速近接攻撃で追い詰め味方の一打に繋げます


夕時雨・沙羅羅
アリスは僕ら、愉快な仲間には守るべき大切な客人
だけど、それはオウガに食らわせるためじゃ無い
食べるために呼び寄せるなら、アリスを大切にしないなら、そんなことはさせてなるものか
オウガさえ居なくなれば、きっとアリスもこの国を楽しんでくれる

たくさんのオウガ、全て押し流してしまいたい
そうも言ってられないなら、【水】でおおきなさかなになって飛んで行こう
空中に敵がいたり、下から攻撃が飛んできても、革命剣《唄》を飛ばして切り捨てる
或いは、いっそのこと飲み込んで溺れさせてやる
僕は池、水、雨がいのち宿ったもの
空行く雨はどこまでも自由だ

そうして氷の女王は、この水量で押し潰してしまえ
例え凍ろうとも、心の臓貫く刃になる


ユヴェン・ポシェット
巨大な大鷲「タイヴァス」を呼び、自身とタイヴァスをUC「クリスタライズ」を使用し姿を隠す。
タイヴァスに捕まり、雪の女王の元へ目指す。乱戦での流れ弾がタイヴァスへ行かないように注意を払い、飛んでくるものを見切って、タイヴァスに指示を出しながら回避。回避困難な場合は槍を手に、弾き返す。

見つからないように、巻き込まれないように注意をし、雪の女王の元へ辿りつけたなら、タイヴァスから降り彼女の元へ着地。
タイヴァスは巻き込まれない位置へと退避しつつ、偶に援護を行う。
足場の感触確かめつつ、槍を構えて彼女へ刃を向ける。
何としても…止めてみせる。
向かう冷気に布の盾で振り払い、一気に詰め寄り、槍での串刺し攻撃。


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
・味方猟兵による敵陣突破の支援のみを行う。
・二個装甲車化歩兵大隊、一個戦車大隊、一個自走榴弾砲大隊、一個戦術爆撃機大隊を率いて参戦。
・味方が敵指揮官まで迂回し接近するなら、自部隊は正面より敵部隊を攻撃し注意をそらす。敵指揮官と戦闘が始まり次第、火力と機動を駆使し敵部隊を拘束しつつ撃砕。
・味方が敵部隊を強行突破するなら、敵部隊中央へ攻撃を集中し味方猟兵の突破を支援。猟兵の突破後は突破口を中心に分断された左右両翼の敵部隊を側面から攻撃し粉砕する。
・自部隊は冬季(寒冷地用)戦闘装備で挑みつつ、爆撃機大隊によるナパーム弾の大量投下により戦場での凍結等を防ぐ。


リヴェンティア・モーヴェマーレ
葎さんと(f01013)一緒に行動デス

図書館の迷宮だなんて素敵な感じがしますガ…そうも言ってられないみたいデスね…

雪の女王さんの元へ辿り着くように頑張っていきまショ!

私はUCでオウガを2回攻撃や範囲攻撃を織り交ぜて、手数を増やしつつ攻撃して、なぎ払っていきマス
スナイパーで出来るだけ的が外れないようにも気をつけますネ
葎さんの接近を悟られないように出来るだけ私の方に注意を引き付けて動きマス

やっちゃえ葎さーーん!!

▼雪の女王
流石ラブ&リンスでス!(ラビリンスをただただラブとリンスの愛くるしい何かだと思っている)


硲・葎
リヴェちゃん【f00299】と。
できるだけ素早く、雪の女王の所か。頼むよ、バイクさん。氷結耐性で足場をしっかり確保して、運転でできるだけ素早く近くまで!オウガは途中蹴散らしながら、地形を利用して雪を吹き飛ばし、目潰し。
「気づかれないようにするには森に木の葉戦法!!」ある程度まで近づけたらバイクさんからジャンプで飛び降りて、背後に忍び足を使いながらもできるだけ急いで近づこう。
到達できたら後ろから騙し討ちして、彼岸花之葬で斬りつけよう。
「あまりよそ見しないほうがいいと思うけど?」
こちらを向かれたら捨て身の一撃!そのまま傷口をえぐるよ。


●「迷宮のような図書館」の国

 世界を本が詰まった本棚が埋める。オウガ・オリジンが捕らわれていたこの国は、いまや世界の趨勢を決める戦場の一つだった。

「図書館の迷宮だなんて素敵な感じがしますガ……そうも言ってられないみたいデスね……雪の女王さんの元へ辿り着くように頑張っていきまショ!」
「できるだけ素早く、雪の女王の所か」

 リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)の言葉に、硲・葎(流星の旋律・f01013)がこぼす。そのやり取りを聞いて、鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)も呟いた。

「乱戦を潜り抜け指揮官を討て、ですか」

 眼下では、戦いが繰り広げられている。その攻防は激しく、オウガ達の抵抗は未だ強い――月夜・玲(頂の探究者・f01605)も呆れたように言った。

「しかし凄い数のオウガだね。これを抜けて雪の女王の下へ向かうのは骨が折れそ……」

 それがわかっていても、集った猟兵達に諦めはない。

「アリスは僕ら、愉快な仲間には守るべき大切な客人。だけど、それはオウガに食らわせるためじゃ無い。食べるために呼び寄せるなら、アリスを大切にしないなら、そんなことはさせてなるものか」

 オウガさえ居なくなれば、きっとアリスもこの国を楽しんでくれる――夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)の静かな決意に、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)も首肯する。

「大量のアリスが危険なこの地に召喚され、あまつさえオウガ・オリジンに饗される等、騎士として到底許容出来ません。一人でも多く、召喚者を撃破しなければ……」
「ガキが戦いに巻き込まれるのはあんまり好きじゃないんだよねぇ」

 ゼイル・パックルード(囚焔・f02162)は、一際高い本棚から見下ろしつつぶっきらぼうに言い捨てた。

 ――諦めなど、あるはずがない。多くのアリス、その未来を守るためにここに集ったのだから。

「愚痴ってもしょーがない。楽しい楽しい戦争のお時間だ!」

 玲の高らかな宣言と共に、ここにこの国の一角を支配する雪の女王へと挑む戦いの幕が上がった。

●オウガの群れを抜けて

「アリスを大量に召喚しようとしていると。それは意地でも阻止しなければなりませんわね? 私、曲がったことは大嫌いなので」

 ザンッ! とオウガ達の前に敢えて降り立ったのは、ヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)だ。オウガ達は、面食らった。何せ、隠れた女王の元へ向かうものと思い警戒していたからだ。

「さあ! オウガ共! 貴方達の野望を阻止するために、ヴィヴィアン・ランナーウェイが参りましたわよ!!」

 己を追い込むように、ヴィヴィアンが名乗りを上げる。この不利こそが自分を強くする――ヴィヴィアンは悪役令嬢は曲がれない(ランナーウェイ)によって自身の危機さえ力に変える。

「っと!」

 オウガの雑兵達の槍が、ヴィヴィアンを狙う。それをヴィヴィアンは跳躍、本棚を蹴って駆け出した。

(「私に気がついてから追いかけようとも、強化され鍛えられたこの脚を捉えられませんわ……仲間の囮にもなれるでしょうし、ね。っと、あら?」)

 ヴィヴィアンは、不意に本棚の影にいた沙羅羅と視線が合った。ハンドサインで告げられる方向に、ヴィヴィアンは迷わず向きを変える。オウガ達も、その後を追った。

『バカメ、ソコハイキドマリダ』

 嘲笑うオウガに、ヴィヴィアンは加速する。タタン! と軽い調子で壁――という名の本棚――を駆け上がったヴィヴィアンに、オウガ達も武器を構えて一斉に攻撃しようとした。

「forte pluie.」
『――ガボ!?』

 その直後、背後から水(オンディーヌ)によっておおきな水のさかなに変身した沙羅羅がオウガを飲み込んでいった。

「僕は池、水、雨がいのち宿ったもの、空行く雨はどこまでも自由だ」
『ゴボゴボゴボ!?』

 直線の行き止まりへ集まっていたオウガ達は、ひとたまりもない。あっけなく水のさかなに溺れ、押し流されていった。

(「たくさんのオウガ、全て押し流してしまいたい」)

 だが、沙羅羅がそう言ってられないほど図書館は広大でオウガの数は多すぎる。しかし、一部であるのなら飲み込む事さえ可能なのだ。

「乱戦だし丁寧な事はしてられないね」

 玲が本棚から落下、《RE》Incarnationを振り払った衝撃波からなる一撃がオウガ達を巻き込み図書館の床を穿った。一瞬の浮遊感、衝撃が落下の速度を殺したのだ。

「こっちかなっと」

 そして、衝撃に乗って念動力で玲は自身を飛ばしていく。まだ白い世界は見えないものの、確かな冷気は感じている――そちらに向かって、玲は衝撃波をくり出していった。

『マトマレ! ゲイゲキシロ――』

 オウガ達は数に任せて、仲間を盾に攻撃態勢を整える。例え十の仲間が倒れようと、猟兵を一人討ち取れるならリターンになる――己さえ捨て駒にする、人海戦術だ。

「総員傾注、『驕敵殲滅、神機齎し真鋭示すべし』……征け」

 だからこそ、寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)がいる。特別集団編成命令によって召喚された、二個装甲車化歩兵大隊、一個戦車大隊、一個自走榴弾砲大隊、一個戦術爆撃機大隊が展開――仲間の猟兵達の進軍をフォローする。

「爆撃機大隊、爆撃開始」

 美月の指示に、玲の繰り出す衝撃波に爆撃の爆発が重なる! より激しい衝撃に乗って、玲は加速を得た。

『マワリコメ! ベツノツウロカラ――ッ!?』

 オウガ達は、体勢を立て直そうと転進しようとする。しかし、それを許さなかったのは轟音を立てて倒れた本棚だ。

『バカナ! コノクニノホンダナヲ……!?』

 驚愕の声と共に、視界が地獄の炎で埋め尽くされる――トン、と通路に突き刺さった魔裂の柄頭へ降り立ったのはゼイルだ。

「これでも読者は好きだから心は痛むけどね」
『オ、ノレエエエエ!!』

 巨体のオウガが、ゼイルに襲いかかる。ゼイルは床に降り立つと同時、即座に魔裂を引き抜き薙ぎ払った。

「――果てな」

 ゴォ! と地形を上書きし塗り潰すほどの地獄の炎が踊る。ゼイルの紅葉狩りが、オウガの太い胴を断ち切り、燃やし尽くした。

「戦車大隊、撃て」

 美月の号令一下、地獄の炎に退路を断たれたオウガ達へ戦車の砲弾が次々に着弾していく。それを見届け、ゼイルは『次』へと駆け出した。

「乱戦にかかずらう時間はありません、短期決戦と参りましょう」

 トリテレイアは戦機の時間(ウォーマシン・タイム)を起動、走り出す。混乱するオウガ達の隙間をコンマ秒で――分析、解析、結論、行動――迷いなく駆け抜ける。
 トリテレイアは強化された反応速度とセンサーを合わせ、瞬く間にオウガ達を置き去りにしていった。

「頼むよ、バイクさん」
『問題ない』

 AI搭載超大型バイク、バイクさんを駆って葎が疾走。その後ろに乗ったリヴェンティアが、エレクトロレギオンで召喚した機械兵器で立ち塞がるオウガ達を撃ち抜く。

「やっちゃえ葎さーーん!!」
「任せて!」

 リヴェンティアの狙撃による範囲攻撃で空いた『隙間』に、バイクさんで葎はオウガ達を置き去りにする。時折、ギャリ! とタイヤに滑るような感覚を覚えるようになる――白く凍った一角へ到達したのだ。

『このまま行くぞ、葎』
「もちろん!」

 氷結耐性でバイクさんのタイヤはグリップを失わない。そのまま、オウガ達を蹴散らしながら進んでいった。

●密かに、到達せんと

 まるで童唄を歌うように、リデル・キャロル(力持ちのプリンセス・f22015)は踏み出した。

「悪い子悪い子オウガ達、雪の女王の僕となってたくさんたくさんおおわらわ! けれどもリデルな気にしない! 全速力でお空を駆けて、女王の元へひとっとび!」

 一歩目、ニ歩目、三歩目で足の裏から伝わる感触が消える。本棚から落ちたリデルは、ドレスアップ・プリンセスによって豪華絢爛なドレス姿へと変身。舞い散る花びらをまとって、飛び立った。

「よいしょっと!」

 ヒュオン! とオウガ達の上をリデルは飛び去っていく。後ろから矢や投げ槍の追撃はあるが、届かない。すぐに他の地上の猟兵達の攻撃に巻き込まれ、オウガ達の追撃は止んだ。

「一つ一つ着実に、微力ながら力を尽くさせていただきましょう」

 七枷・むつき(六花の魔女・f28060)も、その後をウィザードブルームに乗って続く。

(「よし、タイヴァス。向こうだ」)

 ユヴェン・ポシェット(opaalikivi・f01669)は巨大な鷲タイヴァスの背に乗って、飛んでいく。クリスタライズによって姿の消えたユヴェンを乗せたタイヴァスは、冷気に満ち始めていた図書館の一角に到達しようとしていた。

「うう、寒い……こんな戦場で乱戦なんてご苦労さまだね」

 ニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)は小さく呟き、アリスランスを片手に純白の図書館をダッシュで駆けていく。指の先から凍え、身動きができなくなりそうな寒さの中でもニオは止まらない――アリスナイト・イマジネイションの無敵の鎧で、強引に突破しようというのだ。

(「向こうも順調そうですわね」)

 桜の癒やしでオウガ達を寝かしつけながら、雪風が呟く。長時間眠らせる必要はない。短時間、雪の女王を倒すまで邪魔さえされなければいいのだ。雪風は、駆けるニオの行く手を遮ろうとするオウガ達を桜の花吹雪で寝かしつけ、自身も進んでいく――。

「あれですね」

 むつきの呟きに、黒鴉が同意するように小さく鳴いた。円形に開けた一角、その中心に立つ女性をむつきがついに見つけたのだ。

「みんなに伝えてきてください」

 むつきの言葉に、黒鴉はすぐさま隣から進路を変える。その動きに気付いたのか、雪の女王の冷たい瞳がむつきの方を見上げた。

「来たのね」

 雪原に、冷たい風が吹き抜けていく――雪の女王は、猟兵達を迎え撃つためにさらなる冷気をもたらしていった……。

●雪原の終わり

 戦場を、凍てつく風が吹き抜けていく。配下のオウガ達を抜けた猟兵達も、次々と雪の女王の元へと集っていった。

「ああ、本当に……無粋な人達ね。何故、邪魔をするの?」
「気に入らないからだ、当然だろ?」

 ジュウ! と雪を解かしながら、魔裂の切っ先を引きずりながらゼイルが駆ける。炎の道を刻みながら走るゼイルに、雪の女王は不愉快そうに眉根を寄せた。

「……美しくないわ」

 雪の女王の指先が、ゼイルに向けられる――しかし、その指の先にはもうゼイルはいない。炎を踊らせ、跳躍していたからだ。

「優劣をつけるんじゃなく殺し合いにきてるんだ」

 遊びはない、ゼイルの渾身の紅葉狩りが雪の女王を捉えた。それに雪の女王は、目を閉じる――即座に吹き荒れる視認外の全対象を完全凍結させる冷気が、吹き荒れた。

「……あぁ、そうですね。一つ、思い出しました。私にも雪女としての最低限の矜持があります。貴方と私の冷気、我慢比べと行きましょう」

 そこへむつきが咲かせた氷花――葬送六花が、雪の女王の冷気を受け止め、拮抗する。ゼイルの膨大な熱量とむつきと女王の冷気が水蒸気爆発を起こし、爆風が本棚を薙ぎ払っていった。

「ああ、本当にうるさい――」
「爆撃機大隊、爆撃開始」

 怒りをにじませた雪の女王の頭上から、美月が爆撃機大隊によるナパーム弾を大量に投下させる! その爆撃に雪の女王は指差し、クライオニクスブリザードで凍りつかせ――。

「今です」

 美月は、その瞬間を逃さなかった。爆発しなくても、ナパーム弾は着弾していく。それを隠れ蓑に出来るだけの動きを可能な者がいたのだ――そう、トリテレイアだ。

「貴女が召喚者ですね、討ち取らせていただきます」

 その言葉さえ置き去りにして、トリテレイアが重質量大型シールドを構え突撃した。雪の女王へのシールドバッシュの突撃――雪の女王は、それを冷気で受け止め――。

「この低温は過剰駆動の冷却には最適です」

 凍りつき、低温の冷却でヒビの入るシールドに構わずトリテレイアは雪の女王を抑え込んだ。バキ、バキバキバキ……! とトリテレイアの怪力と冷気に、シールドが保たない。それでも、この足止めの時間だけで充分だった。

「さあ、斬撃の直送便は如何かな?」
「――ッ!」

 そこへ、玲のくり出した衝撃波が重ねるように叩き込まれる! トリテレイアのシールドが完全に砕け、雪の女王の体が宙に吹き飛ばされた。

 宙を舞う雪の女王へ、まっすぐに飛びかかったのはリデルだ。

「いくよ!」

 プリンセスハートを眼前に、自身の特攻の勢いと怪力を合わせたリデルの一撃が雪の女王を地面へと叩きつける。バキバキバキバキ!! と雪原に亀裂が入る――そこへ、ヴィヴィアンがアリスランス・烈火を構えて突撃した。

「もとより、懸けるのはこの一撃にのみ! 喰らいなさい!」

 この図書館を走ってきた勢いをすべて乗せた、全力疾走にして一撃に込めたヴィヴィアンのランスチャージに、雪の女王は鏡によってそれを受け止める。ズサササササササササ! と雪を削りながら後退する雪の女王。

「こ、の――不敬者!」

 バキリ、と鏡に亀裂が入るのを見て、雪の女王は冷気をでたらめに吹き荒れさせた。その時だ、横合いから駆け込む人影があった――ニオだ。

「変な儀式は止めてみせる!」
「ぐ……!」

 ヴィヴィアンの一撃を食い止めるのに全力を行使した雪の女王は、ニオのランスチャージをまともに受ける! 肩に食い込むランスの切っ先、それを強引に氷の壁で軌道を変えて雪の女王は跳んだ。

「よくも、私に傷を……許さな――」

 大きく後方へ跳んだ雪の女王は、言葉の途中でハっと振り返った。そこにいたのは、水(オンディーヌ)によって大きな水のさかなに変身した沙羅羅だった。

「この水量で押し潰れてしまえ――例え凍ろうとも、心の臓貫く刃になる」
「させない」

 沙羅羅の水流を、雪の女王は目を閉じて冷気で凍らせ――ようとして、動きを止めた。

「その状態で、わたくしのもたらす眠気に抗えますか? 一度眠れば最後、目覚めさせる間もなく、この一刀が貴女の首を刈り取ります」
「次から次へと……!」

 忍び寄っていた雪風の桜の花吹雪に、雪の女王は息を飲む。春の訪れない世界を発動させようとして、雪の女王は目を閉じ損ねる。雪風の言葉の通りになる、その予感があったからだ。

 そして、だからこそ沙羅羅の水流を雪の女王はまともに受けて押し流された。

「何としても……止めてみせる」

 足場の感触を確かめ、ユヴェンがミヌレを構え走った。くり出した槍の一撃が、雪の女王の胸部を貫かんと迫る――その槍を、雪の女王は鏡で受ける。

「――く!」

 バキン! と鏡が砕け散る――それを呆然と見入った雪の女王へ、不意に背後から声がかかった。

「流石ラブ&リンスでス!」

 ラビリンスをただただラブとリンスの愛くるしい何かだと思っているリヴェンティアの感想に、雪の女王は吐き捨てる。

「な、にを言って――」

 その文句は、最後まで紡げない。リヴェンティアの機械兵器による一斉掃射。それに紛れ、バイクさんを駆った葎が頭上から迫った。

「あまりよそ見しないほうがいいと思うけど?」

 赤い刃の妖刀、彼岸花之葬による葎の一撃が雪の女王の傷口をえぐる。それが止めとなった。純白を赤く染める鮮血が濡らし、白い世界が剥がれていく……その瞬間、迷宮災厄戦の小さく、確かな勝利の一歩が刻まれたのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月05日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵