2
迷宮災厄戦③〜歪な尖兵達〜(作者 平岡祐樹
2


 夕闇に支配された不気味な森。そこではガチャガチャとした金属音が鳴り響いていた。
「アリスを我らが女王の墓所へ」
「妨害する猟兵には死の償いを」
「女王の仇を取った猟書家には忠誠を」
 そう棒読みで行進を続けるトランプのカードのような胴体を持った兵隊の兜からは、まるで悪い魔女のような長く尖った鼻がはみ出していた。
「アリスラビリンスから他世界に猟書家が攻め込もうとしていることは皆様もうご存知でしょう」
 一方、グリモアベースでは大勢の猟兵を前にしてルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)が音頭をとっていた。
「その猟書家の配下とみられるオウガが『ゆうとろどきの森』と呼ばれている森で確認されました」
 そこで隊列を組んでいるのはトランプのハートのカードを模した姿をした尖兵「トランプ兵」。
 見た目そのまんまな名前かつ、アリスラビリンスの各地で確認されているオウガであるが、その鎧は堅く武器も鋭く、一筋縄ではいかない相手である。
 しかしその見た目は明らかにおかしかった。
「今回確認されたトランプ兵には兜の視線通しの穴から飛び出るほど長く尖った鼻があるんですよね。この鼻が厄介で……臭いに非常に敏感で我々のいる場所を正確に見つけ出すことが出来るようなのです。この変容が猟書家による物なのか、精鋭の兵にのみ発現する特徴なのか、まだ判明しておりません」
 経緯は不明だが、トランプ兵達は与えられた犬顔負けの嗅覚で敵を見つけたら、大勢で取り囲み抑え、槍で何度も突き刺してくる。
 前半以外は普段と一緒だが、こちらも普段と同じ戦い方を取っては先制パンチを喰らわせることは非常に難しいだろう。
「まぁ、人によっては『普段のやり方』で十分突破出来るとは思いますがね」
 そうポツリとつぶやいたルウの言葉を聞いていた猟兵の反応は頷きか困惑か。
 それを確認しないままルウは叫んだ。
「それではゆうとろどきの森掃討戦を開始します! 皆様のご健闘をお祈りしております!」


平岡祐樹
 お疲れ様です、平岡祐樹です。派手に動き出した猟書家を止めにかかりましょうねー。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。
 このシナリオには、「『不気味な身体部位』への対抗手段を考える」がございます。
 これに基づき、「犬顔負けの嗅覚を持つ長い鼻」に対する対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
58




第1章 集団戦 『トランプ兵』

POW ●『女王直々の召集令状である!』
【ハートの女王】から【の令状を読み上げ怒号】を放ち、【令状に従い組み付くトランプ兵】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD ●『赤く赤く、染めねばなるまい!』
【ハートのスピア】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ ●『――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
自身が【ハートの女王に対する恐怖】を感じると、レベル×1体の【ハートのトランプ兵たち】が召喚される。ハートのトランプ兵たちはハートの女王に対する恐怖を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


春霞・遙
匂いを嗅ぎ分ける能力ね。
強い匂いで麻痺させるか、周囲の香りに同化するか、かな。

【葬送花】で香りの強い桃色のバラの花弁を周囲に撒きます。
自分自身もバラのポプリを持っておきます。
原作同様かは知りませんが、真っ赤に塗られていないバラの花が恐怖対象になれば、召喚されたハートのトランプ兵はそちらへ引かれてくれないかな。
バラの花へ行ってくれるにしろ私自身へ来るにしろ、花びらを広く撒き散らして花弁でダメージを与えます。


「匂いを嗅ぎ分ける能力ね。ならば……」
 薄暗い森の中に潜んでいた春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は先端がほのかに光る杖を金属音が鳴る方へと向けた。
『風に舞う薄紅の嬰児よ惑う命の導きと成れ』
 すると香りの強い桃色のバラの花弁が周囲にばら撒かれた。
 濃暗色の世界に突然現れた桃色の物体にトランプ兵達は警戒を強めて槍を構え始める。
「原作通りなら塗り潰す物ですが……はてさて」
 真っ赤ではないバラの花があれば、トランプ兵達はハートの女王に殺される。
 昔も今も読んでいる童話の展開になることを祈りつつ遙が見つめる先でトランプ兵達は援軍を呼び寄せると、総出で地面に落ちた花弁を土ごと串刺しにし、隠滅を図ろうとし始めた。
 ただ慌ててペンキの類を持ってくるようなことはしなかった。流石に森の外までペンキを求めて走るような行動まではしないらしい。
 隠れている身としてはこちらに駆け出して衝突する危険性が避けられたので良いことではあるのだが。
「あの慌て様ですと、少なくとも私の存在には気付いてらっしゃらないようですね」
 自分自身もバラのポプリを持っておくことで匂いを上書きを図っていた遙は地面に転がっていた枝を踏み折ることでわざと音を立てる。しかしトランプ兵は作業に夢中で一切気付く様子はない。
 強い匂いで麻痺したか、周囲の香りに同化出来たかは定かではないが、少なくとも嗅覚は高くても視覚や聴覚はそれほどでも無いらしい。もし高ければ杖の光だったり物音で気づかれてもおかしくはないからだ。
「それでは、参りましょう」
 紙飛行機の形に折りたたんだ符が投じられて、トランプ兵達の間に落ちる。
 すると飛行機の周りから風が巻き起こり、地面に埋められていた花弁がトランプ兵達の体を切り刻み始めた。
 落ちてきたときとは違う、突然牙を剥いてきた形となった花弁の前にトランプ兵達は満足な抵抗も出来ないまま紙片となって鎧を地面に転がしていった。
「そういえば、この世界のハートの女王はすでに亡くなられていたんでしたっけ。それでも隠そうとしたのはクセなのか決まりだったのかそれとも……聞ける機会は多分来ないのでしょうね」
大成功 🔵🔵🔵

御門・結愛
ユニコーンに選ばれた正義の味方に目指す少女。
あやかしメダルとアリスナイトの力で変身する能力を持つ。

降り立った少女は、静かに三枚のメダルをベルトポーチから取り出しUCを使用します。
「お願い、力を貸してね」
玉兎のメダルを選択し、兎耳が生え、白兎のモチーフの衣装と大槌を装備します。
「鼻が利くのよね?なら」
UCで状態異常力を強化。魔力で強烈な匂いを発する臭い玉を作り出し、怒号を上げながら近づく敵兵たちに投げつけます。
「悪いけど……その鼻、潰させてもらうわ」
混乱した敵兵に大槌を振るい【怪力】でまとめて吹っ飛ばします。
「この悪臭は私だって結構きついんだから、さっさと終わらせるわよ」
さらに追加で投げつける


 茂みの中に身を隠した御門・結愛(聖獣の姫騎士・f28538)は静かに三枚のメダルをベルトポーチから取り出して祈りを捧げた。
「お願い、力を貸してね…… 『玉兎、人狼、妖狐、月の石に導かれし妖たちの力を1つに!』」
 メダルが手の中から消えると結愛の耳が縦に長く伸び、白い毛に覆われ始める。
 そして見開かれた目が赤い色に変わると着ていた服が動きやすそうな白のワンピースに作り直される。そのお尻の辺りには小さく丸い尻尾のような装飾が浮かんだ。
 そして最後に餅つきで使いそうな薄黄色の杵を模した巨大なハンマーが手元に現れると結愛は迷わずに掴み、軽々と両手で振り回してからポーズを取った。
「ギョクトクラッシャー・ユア……いざ、参りますわ」
「ん、誰かそこにいるのか?」
 名乗りに気づいたトランプ兵の一団がこちらに寄ってくる中、結愛が左手を離すとその掌に茶色い球体の物を生成される。
「鼻が利くのよね? なら」
 そしてそれを宙に放り上げると握り直した杵を豪快に振り回し、捉えた。
「悪いけど……その鼻、潰させてもらうわ」
 弾丸ライナーでトランプ兵達の元に飛び込んだ球体から漏れた液体はえげつない悪臭が生じ始め、トランプ兵達は総じて情けない悲鳴を上げながら顔を覆う。
 そこへ続けて飛び込んできた白い物体が闇夜を切り裂くような筋を描き、地面を凹ませた。
「な、何者だ!」
 陥没に巻き込まれたトランプ兵のうちの一体が怒声をあげると結愛は地面にめり込んだ杵を引っこ抜いてから視線を向けた。
「あなた方に二度も名乗る名はありませんわ。……そんなことよりこの悪臭は私だって結構きついんだから、さっさと終わらせるわよ」
 そして新しい臭い玉を構える。先程見たばかりのそれに目敏く気づいたトランプ兵は白紙の巻物を開いて、悲鳴混じりの大声を上げた。
「じょ、『女王直々の召集令状である!』あのバカを止めろー!!」
 女王の令状という指示に従い、臭いに負けそうになりながらも無事だったトランプ兵達が結愛を鎮圧しようと近づいてくる。
 しかし的確なハンマーコントロールで顔面に臭い玉を直撃された兵は耐えきれずにその場で泡を吹きながら倒れ伏していった。
「臭いで気絶するか、殴られて気絶するか、選ばせてあげますわ。黙ってるようでしたらこちらで勝手に決めますので……お早めにどうぞ?」
大成功 🔵🔵🔵

シエナ・リーレイ
■アドリブ可
とても長い鼻だね。とシエナは呟きます。


沢山の『お友達』候補と遊ぶ事が出来る戦争に歓喜するシエナ
そんな彼女が手始めに向かったのは何かに恐怖する尖った鼻の生えた兵隊の闊歩する森でした
恐怖する『お友達』候補と仲良くなる為にシエナはスカートの中から沢山の動物の『お友達』を呼び出し森を突き進みます

みんなで兵隊さんを癒すよ!とシエナは『お友達』と共に行進します。

匂いを嗅ぐまでもなくシエナ達は兵隊に見つかるでしょう
だけどシエナは気にする事無く500体近い動物の亡骸から作られた人形と共に突撃します
そして、兵隊達を癒し『お友達』に加わって貰う為に槍で刺されても決して怯まず[怪力]でじゃれつき遊びます


『さぁ、皆を癒してあげて!とシエナは動物さんを呼び出します。』
 沢山のお友達候補と遊べそうな状況に歓喜するシエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)は大胆にスカートをまくし上げる。するとそこから大量の肉食獣、草食獣の人形の群が飛び出してきた。
「みんなで兵隊さんを癒すよ!とシエナは『お友達』と共に行進します」
 号令に従ってキメラ人形がシエナの体を担ぐと、一同は猛然と薄暗い森の中を突進していく。
 そんなあまりに大所帯の一行はあっさりとトランプ兵達の捜査網に引っかかった。
「お前たち、一体何者だ! 所属を名乗れ!」
「とても長い鼻だね。とシエナは呟きます」
 槍を構えたトランプ兵を前にして、シエナは興味津々に呟く。しかし問いかけに対する回答ではないそれにトランプ兵は苛立った。
「答えぬか、ならば討たせてもらう、覚悟しろ!」
「みんな、長いお鼻のトランプ兵さん達もお友達にしてあげよう! とシエナは叫びます」
 その言葉をきっかけに、動物達が一斉に飛びかかった。
 血も肉も布や綿に変えられた人形達はどれだけ貫かれても苦しまず、トランプ兵達にじゃれつき続ける。それが例え致命傷になりかねない威力だとしても。
 しかしトランプ兵達もハートの女王の苛烈さを知っているが故に一切気圧されずに槍を振い続ける。そうして群れの奥まで何とかたどり着いた猛者がシエナに気付いた。
「ようやく見つけたぞ! その首取らせてもらう!」
 放たれた素早い刺突をキメラ人形は避け切れず、シエナの右腕に刃を掠らせる。
 するとたったそれだけで500体近くいたはずの動物達は影も形も無くなった。
 担ぎ手がいなくなった代わりに体の自由を取り戻したシエナはヒラリと着地すると、つまらなさそうに口を曲げた。
「静かになっちゃいました。寂しいです。とシエナは嘆きます」
「黙れ娘! 同胞達の仇!」
 そう叫んでトランプ兵は追撃を仕掛けるが、シエナは槍を簡単にへし折り、抱きついた。
「何、私の動きが読まれた、だと!?」
「安心してください」
 トランプ兵の体から破れる音が響く中、シエナはニッコリと笑みを浮かべてその耳元に口を寄せた。
「お友達は、わたしの中でゆっくり休んでますから。あなたも早くいきましょう? とシエナは囁きます」
 そして、音は止んだ。
成功 🔵🔵🔴

家綿・衣更着
「狼だろうと匂いを消し、風下から近づけば結構分からんもんす」

【地形の利用】で森の葉っぱや木の皮の汁、泥を体に染み込ませ体の匂いを消すとともに【迷彩】する。
そのうえで【化術】で森にいる存在に化け風下から【忍び足】で敵に近づき、【第六感】を重視して一人になるなど倒しやすい敵から忍者手裏剣で【暗殺】していく。
他の猟兵との連携時も見つからぬよう補助攻撃。

「嘘ついて伸びたような鼻っすね!」

見つかった時は【綿ストール全力モード】で摩擦を減らしたストールの片側をスケボーように使って下がりながら【おどろかす】でけん制、近づかれないようもう片側を布槍モードで敵を【串刺し】攻撃する。

「進もう。世界を守るっす!」


「狼だろうと匂いを消し、風下から近づけば結構分からんもんす」
 ごろごろと地面を転がり、森の葉っぱや木の皮の汁、泥を体に染み込ませ体の匂いを消した家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)は自前の葉っぱを頭に乗せると、鼻が長いトランプ兵に化けた。
「嘘ついて伸びたような鼻っすね!」
 そんな感想を抱きながら、念のため風下を選びつつ最寄りにいたトランプ兵の集団に近づき、最後尾につく。
 そして音もなくトランプ兵の頭を掴んで物陰に引き摺り込むと苦無をその首に突き刺した。
「ん?」
 ふと僅かな違和感を覚えたトランプ兵が振り返るが、その時にはすでに一仕事終えた衣更着は列に戻っていた。平然としている様子と後ろにいた数が変わっていないことに、トランプ兵は疑問を抱かない……はずだった。
「……貴様、嗅ぎ慣れない臭いがするな。汗か?」
 強化された嗅覚により生体の違いによって生まれてしまった臭いの違いに気づいたトランプ兵は言い終わる前に勢いよくハートの槍を突き出してきた。
 兜の中で目をひん剥いた衣更着は咄嗟に元の姿に戻り、その一撃を躱す。
「やはりか、猟兵は『赤く赤く、染めねばなるまい!』」
「バレたのなら仕方ないっす、ですがここから『打綿狸の本領発揮、誰にもこの綿は捉えられないっす!』」
 摩擦を減らしたストールに飛び乗り、スケボーのように使って下がりながら距離を取った衣更着の後をトランプ兵達は得物を構えて追いかけて来る。
 体勢を低くして岩をジャンプ台代わりにして飛んだ衣更着はフリーにしていた右腕で枝を掴むと鉄棒の大車輪の如く一回転し、逆にトランプ兵達に突っ込んできた。
 突然の一転攻勢にトランプ兵達は一斉に足を止めて迎え撃とうとしたが、槍が突き出される前にスケボーから布槍へと転じたストールが異常に伸び、トランプ兵達の兜を一気に貫いた。
 そして地面に着いた勢いで槍を上に跳ねあげると、テコの原理でトランプ兵の頭部と体が離れ離れになった。
 布槍に刺さった兜を足蹴にしてまるで団子のように一気に抜き取った衣更着は痙攣しながら倒れ始めた亡骸から目を離して頷いた。
「進もう。世界を守るっす!」
成功 🔵🔵🔴