迷宮災厄戦②〜大量のアリス召喚儀式(作者 なちゅい
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 次なる戦争の部隊は、アリスラビリンス。
 ただ、今回はこれまでとは違って、ただ目の前の敵を倒せばいいというわけにはいかないようだ。
「最終目標はオウガ・オリジン撃破で、今のところは問題なさそうだけれど……」
 セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)も戦況については把握中といったところ。
 彼女は言葉を選びつつ、状況を説明していく。

 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ「オウガ・オリジン」は、「猟書家」と名乗る者達に力の殆どを奪われていた。
 猟書家達は、オウガ・オリジンから奪った現実改変ユーベルコードによって「他世界の侵略」を開始している。
 猟兵としては、アリスラビリンスを守る為、オウガ・オリジンを撃破が必須。しかし、その地点で残っている猟書家が他世界へと逃げてしまうし、猟書家を倒せばその分オウガ・オリジンが強化してしまう。
 オウガ、猟書家、猟兵、三つ巴の戦い、それが『迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)』である。

 現状の戦況は、各戦場の戦力を減らす段にある。
 オウガ・オリジン、猟書家攻略の為には、「①うつつ忘れの城」周辺の戦場から攻略せねばならないのだ。
「まずは、②砕かれた書架牢獄」から攻めようと思っているわ」
 この地は、今戦争における戦争サバイバルの部隊ともなっている「迷宮のような図書館」の国だ。
 現状、オウガの大軍団が他の世界から多数の「アリス」を召喚しようと儀式を行っている。
「サバイバルの乱戦を潜り抜け、アリス召喚儀式の首謀者を暗殺してほしいの」
 この戦場における勝利は、サバイバルでの戦況を大きく前進させるはずだ。

 勝利の為には、首謀者である『ドロシー・ヘイヤ』を討伐せねばならない。
 この時計ウサギは周囲のオウガに言われるがままこの儀式に手を貸しているようで、どんな事態を引き起こすかまでは理解していないようである。
「言われるがままであっても、人に迷惑をかけるこの時計ウサギを放置できないわ」
 ティータイムが大好きだというドロシー・ヘイヤはそれにちなんだ攻撃も行うが、単純であるがゆえにハンマーを叩きつけての攻撃も行う。
 ただ、このドロシー・ヘイヤにたどり着くには、召喚儀式を行う多数のオウガの群れをやり過ごす必要がある。
 この場のオウガ達は皆ウサギの魔獣を思わせる姿をしており、鋭い爪や牙で近づいてくる猟兵達を傷つけようとしてくる。
 それらを上手くやり過ごす方法があれば、効率的にドロシー・ヘイヤを撃破でき、召喚儀式を食い止めることができるはずだ。

 戦争はまだ始まったばかりで、皆情報収集に奔走している状況もあるが、動き出さなければ始まらない。
「まずは一つずつ、戦場での勝利を重ねていきましょう」
 セレインはそう告げ、依頼の参加を決めた猟兵を現地へと送り出すのである。


 砕かれた書架牢獄。
 この場は、オウガ・オリジンが捕まっていた、迷宮の如き図書館の国だ。
 集うウサギの魔獣の姿をした多数のオウガ達は何やら呟き、儀式を行っている。
「うんうん、儀式は順調!」
 それを見つめていたのは、暖色を基調とした衣装を纏った時計ウサギ。……いや、すでにオウガへと堕ちた『ドロシー・ヘイヤ』だ。
 彼女は優雅にティータイムを楽しみながら、オウガ達が行う召喚儀式を見つめている。
「あとはアリス達が呼び出されれば完璧さ!」
 その直後、気を良くしていた彼女の元へともたらされた情報。それは、どこからともなく現れた猟兵達の侵攻だった。
 しかし、ドロシーはティーカップを持ち、お茶をすすって。
「大丈夫大丈夫。これだけオウガがいるんだよ? ボクの元にたどり着けるわけないじゃないか」
 鼻を鳴らすドロシーはそれでも一応と、戦闘準備を整える。
 手元に手繰り寄せたハンマーで叩くも良し、ティータイムに誘いながらもジャムを塗りつけて動きを止めるも良し、質問で足止めしつつオウガ達に蹴りつけさせるのも一興。
「さあ、おいでよ、猟兵。素敵なティータイムを楽しもうじゃないか!」
 両手を広げ、ドロシーは高らかに笑うのである。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 アリスラビリンス、戦争シナリオへの参加を願います。
 『迷宮災厄戦』、及び戦争マップについては以下のURLのページをご参照くださいませ。
(https://tw6.jp/html/world/event/014war/014_setumei.htm)

 こちらのシナリオは1章構成、ボス戦シナリオです。断章執筆の予定はありません。
 大量のアリスを召喚する儀式を行う『オウガの大軍団』を率いる首謀者『ドロシー・ヘイヤ』の討伐を願います。
 ウサギのオウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近するプレイングがあればプレイングボーナスが付きますので、ご配慮いただければと思います。
 なお、この戦場でのシナリオ成功ひとつにつき🏅2万を加算します。

●執筆予定について
 戦況を顧みて、執筆スタンスを少し変更いたします。
 今回の戦争は、依頼の総本数が命運を分けると現状把握しております。
 その為、5~6人ほど集まった地点で執筆予定を組みます。1依頼当たり、6~10名の執筆を想定しております。
(目安は規定人数が揃ったタイミングから1日以内の執筆を目指します)
 当シナリオのご参加が10人を超えても全員執筆は目指しますが、できれば、別シナリオに協力していただけると幸いです。
(どうしても該当依頼に参加したいという方は大歓迎です。それはそれですごく嬉しいです……!)

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 ボス戦 『ドロシー・ヘイヤ』

POW ●「閃いた!話題を変えよう」
単純で重い【ハンマー】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●「招待もされないで座るのは失礼さ!」
【ティーセット】から【ジャム】を放ち、【相手の鼻に塗ること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ ●「うふふ、生まれない日を知らないの?」
対象への質問と共に、【足元の影】から【慌ただしいウサギたち】を召喚する。満足な答えを得るまで、慌ただしいウサギたちは対象を【蹴り】で攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はスミンテウス・マウスドールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


アリス・フェアリィハート
アドリブや連携等も歓迎です

この世界へ来る度に…
何かを忘れてる様な、そんな気が…
(自身の迷いを振り払う様に)

でも
今はこの世界を
救う為に…!

迷路やウサギさんの群れは
【動物使い】【動物と話す】で
自身のバディペット
『リリー』と『キティ』に先導して貰い
自身も【第六感】【情報収集】等駆使し
護りの薄い所を
駆け抜け又はUCで蹴散らし
素早く敵に接近

接近成功次第
自身の剣
『ヴォーパルソード』に
【破魔】を込め
【属性攻撃】や【なぎ払い】等の剣戟や
剣からの【衝撃波】【誘導弾】等の遠距離攻撃や
UCで攻撃

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】等で防御・回避

『ごめんなさい、ウサギさん…問答してる暇はないんですっ』


花澤・まゆ
アリスさんの召喚を阻止しなくっちゃね
これはもう、真正面から参りますか

小夜啼鳥を抜刀と同時にUC発動
高速移動で一気に敵へと近づきます
邪魔するウサギの群れは衝撃波でふっ飛ばーす!

ご機嫌いかが、ウサギさん
素敵なティータイムを始めましょうか!
ジャムの瓶を衝撃波で吹き飛ばしてから(【部位攻撃】)
【2回攻撃】も織り交ぜ、【切り込み】ます
紅茶はよく冷やしたほうが美味しい季節
せめて衝撃波の風でティーポットが冷えますように!

絡み、アドリブ歓迎です


ラブリー・ラビットクロー
アドリブ共闘歓迎

アリスのセカイ
ここにはネズミもモヒカンも居ない
でもウサギが沢山いるんだ?なんだかかわいーのん
でもあいつら悪い事をしよーとしてるん
それはらぶの居たセカイと変わらねーのん
マザー
アリスのセカイがピンチだ
助けに行くぞ
【GPS信号が確認出来ません】

図書館
らぶの居た街にもあった
なら本が沢山あって、そんなに変わらないのん
UCで書架を模写した偽物を作るなん
オウガは沢山居るけど作った書架の偽物を隠れ蓑にすればこっそりドロシーに近づけるかも
もし近くまで行けたらチェーンソーで攻撃するなん

ジャムがお鼻についちゃった?
ざんねん
らぶはガスマスク着けてるからそんなのヘッチャラ
それじゃー今度はらぶの番なん!


依神・零奈
今回の戦争は随分と賑やかな戦いになりそうだね、ま、その方がこの世界らしいのかも知れないけれど。

ともあれ今回はまずオウガの群れを突破するのが先決……かな。なら敢えて群の真ん中を抜けてしまおう。群体には群体の弱点……懐に飛び込んでしまえばむしろ良い隠れ蓑になるしね。まず【情報収集】して群れの敵数が少ない場所を探しそこを目掛けて一気に突入しよう。あとは【第六感】を駆使して敵の攻撃を避け同士打ちを誘いつつ敵の数が少ない場所から少ない場所を目指して走り続けるよ。

ドロシーが目視できる距離に近づいたらUCを発動、【破魔】の力を込めた無銘刀で斬撃を放ち攻撃を仕掛ける。残念だけど今日はお茶会の気分じゃない。


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
隠密侵入なら望むところよ。

右手に【騎兵の友たる銃】、左手には【揺らぎ逸らす刃】。
そして[迷彩][忍び足][目立たない]で図書館の書架を使って隠れつつ侵入するわ。
ウサギたちの会話を[動物と話す]で盗み聞ぎしながら警備の甘そうなところを通過。
もし気づかれそうになったらユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】よ。
「貴方たちには見えない」

後はドロシーを銃で攻撃。
WIZだから奇妙な質問をしてくるみたいだけど。

「生まれない日? そうね2月30日かしら」
「存在しない日には何も生まれないわ」

文句があるなら[見切り][武器受け]で受け流しながら[制圧射撃]でお答えするわね。回答(物理)よ?


黒髪・名捨
●心境
アリスの大量召喚…。
碌な事じゃない。
碌なことするオブビリオンが居るはずもない…か。

●行動
オウガを一々相手している暇はない。
『闇に紛れる』と闇に『迷彩』し『目立たない』ように『存在感』を消して突き進む。
オレは今…無…闇そのものだッ

●戦闘
さて、素敵なティータイムがご希望なんだって?
悪いが付き合う気はない。
ステルス状態で気が付かれる前にスタングレネードを投げて『目潰し』『恐怖を与える』ことで混乱しているうちに、一気に決めさせてもらう。
ユーベルコード:神無でドロシーを殴る際に、一緒に召喚儀式を『地形破壊』で破壊する。
あばよッ!!これでお前のくだらん企みは終わりだ


ラモート・レーパー
対(アンゲルス)と連携
「わかった。協力するからUC頂戴?」
お姉さん姿で戦うわ。
 対から白剣とUC【白馬の王子様】を受け取り、UC【夜の領域】と一緒に発動する。
後者のUCで自分をオブリビオンに書き換え前者で敵に向けてワープ。オブリビオンにとって猟兵は敵だから敵の敵は味方の理論でできるはず。
ワープ直後にUCを解除して存在を猟兵に戻し、白剣を天高く投げる。
あとは黒剣を槍等の狩猟武器に変えて戦う。
対を始め他の猟兵との連携攻撃だってする。


ラモート・アンゲルス
対(レーパー)と連携
「協力お願いします。対」
 お姉さん姿で闘います。
 UC【技の祝福】を発動して、対にUC【白馬の王子様】と白剣を渡します。UCは他の猟兵に渡しても構いません。
対がワープ直後、白剣を投げるはずですからそれに合わせてUC【主の守護者】を発動して、軍勢及び敵の影を従えてそれぞれその影の持ち主の動きを封じ込めます。
敵が動けないうちに私は飛翔して白剣を回収しつつ対と合流。白剣を様々な武器に変化させるなどして戦います。
対を始め対の猟兵との連携攻撃だってします。



 アリスラビリンスで始まった戦争『迷宮災厄戦』。
 それに多数の猟兵達がこの世界を守るべく、続々と駆け付ける。
「この世界へ来る度に……何かを忘れてる様な、そんな気が……」
 水色のリボンとエプロンドロスが目を引くアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は、この世界に何かを感じていたようだが、思い出せずにいる。
「……アリスのセカイ」
 同じタイミングに訪れたガスマスクを装着したラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)はゆっくりとこの世界を見回す。
 続いて降り立つ、桜學府制服を纏った少女、依神・零奈(殯の掃持ち・f16925)。
「今回の戦争は随分と賑やかな戦いになりそうだね」
 その方がこの世界らしいと零奈は印象を口にしながらも、駆けつけた仲間達と砕かれた書架牢獄を眺めた。
 迷宮の如き図書館の国にいたのは、多数のウサギの姿をしたオウガ達である。
「ここにはネズミもモヒカンも居ない。でも、ウサギが沢山いるんだ? なんだかかわいーのん」
 一見ほっこりさせる光景だと零奈は認識するが、この場にいるウサギは大量のアリスを他世界から呼び寄せようとしていた。
「アリスの大量召喚……。碌な事じゃない」
 口元を黒い包帯で巻いた怪奇人間、黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)が呟く。
 世界を破滅に導くオブリビオンの行いなど、大概ロクでもないことばかり。それが自身の出身世界と変わらないことラブリーは感じ取って。
「マザー、アリスのセカイがピンチだ。助けに行くぞ」
『【GPS信号が確認出来ません】』
 ただ、ラブリーの相棒であるマザーはいつものごとく、ポンコツっぷりを発揮したコメントを返すのみだ。
「アリスさんの召喚を阻止しなくっちゃね」
 白い翼を生やす學徒兵、花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)は真正面から仕掛けようと考えている。
「隠密侵入なら望むところよ」
 一方で、金髪オッドアイのヤドリガミ、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)はオウガ達に見つからないようスムーズに奥を目指す心づもりだ。
 と言うのは、砕かれた書架牢獄ではウサギのオウガ達をやり過ごし、司令官である『ドロシー・ヘイヤ』を手早く討伐する必要がある。
 そうすれば、オウガ達による召喚儀式を食い止められるはずだ。
 この書架牢獄内を突破するに当たり、作戦について語り合う女性が2人。
「協力お願いします。対」
 長い茶髪を揺らすラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)が呼びかけるのは、白く長い髪の額から角を生やすラモート・レーパー(生きた概念・f03606)だ。
「わかった。協力するからユーベルコード頂戴?」
 アンゲルスから共闘依頼を受け、頷くレーパーが何やら要望を出す。
 対となる存在である2人のラモートは普段幼女の姿をとることも多いが、今回の依頼に当たっては成人女性の姿の方がいいと判断していたようだ。
 皆、それぞれ策を立てて動き出すと、考え事をしていたアリスも迷いを振り払って。
「でも、今はこの世界を救う為に……!」
 まずはこの召喚儀式を止めるべく、素早く多数のオウガ達を突破して司令官の討伐を目指すのである。
 

 本棚が多数立ち並ぶ書架の奥ではおそらく、オウガの指揮官『ドロシー・ヘイヤ』は優雅にティータイムなどしゃれこんでいるのだろう。
 ウサギの姿をしたオウガ達による召喚の儀式は続く。それが完了する前に、オウガ達を躱しながら速やかにドロシーを討伐せねばならない。
「図書館……らぶの居た街にもあった」
 本がたくさんある状況は、ラブリーのいた街とさほど変わらないと考えて。
「一回見たら忘れない。ちゃんと覚えておいたのん」
 ラブリーがユーベルコードによって展開するのは、書架を模写した偽物。
 多数のオウガがこの場にはいるが、相手は儀式を行っていることもある。
 自ら出現させた書架の偽物を隠れ蓑にしつつ、ラブリーはこっそりと書架の奥を目指す。
 こっそりと言えば、両手に銃と短剣を手にするヴィオレッタも【迷彩】、【忍び足】、【目立たない】といった技能を使って隠密活動で行動する。
 ヴィオレッタは元々ある図書館の書架を使って隠れつつ、潜入していく。
 その際、ヴィオレッタは【動物と話す】技能を使い、オウガ達の会話を聞いてみると。
『早くアリスを呼び出そうぜ』
『ああ、どんな奴が来るか楽しみだ。涎が止まらない』
 愛嬌を感じる見た目だが、やはりオウガ。呼び出すアリスを餌とすら見ているそいつらは爛々と目を赤く輝かせ、儀式の完了を楽しみにしていたようだ。
 そんなオウガ達の会話をヴィオレッタは盗み聞きしながら、警備の甘そうな場所を見定め通過していく。
 運悪く、オウガに遭遇しそうなれば、ヴィレッタはすかさずユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】を使って。
「貴方たちには見えない」
 自身と身に着けている装備を透明化し、オウガからの視認を避けて彼女は移動していく。
 名捨もオウガをいちいち相手にしている暇はないと判断していた。
「オレは今……無……闇そのものだッ」
 【闇に紛れた】名捨は闇に【迷彩】し、【目立たぬ】よう【存在感】を消し、暗がりの中を突き進んでいた。
 姿を潜ませて進むメンバーがいる中、ラモート達はこんな策をとっていた。
「『 』の名を以って力を授ける。敵を討つ力を」
 まず、アンゲルスがユーベルコード【技の祝福】によって、レーパーへと『白剣』を共に渡そうとしていたのは、なんとユーベルコード。
 対象となる【白馬の王子様】は2人が現状直接行使できないはずのユーベルコードだが、一時的にそれを給仕することができるのがアンゲルスの【技の祝福】である。
「この刻は我が領域にして狩の刻なり」
 それを受け取るレーパーは自らの存在を一時的にオブリビオンへと書き換える。後は、同じオブリビオンであるオウガの……指揮官の元へとワープするという論法だ。
 なんとも強引な手法だが、ユーベルコードを使った力技でどうにかするのが『概念』である彼女達らしいと言えるのかもしれない。

 オウガとの接触を避けて行動するメンバーに対し、敢えて姿をさらして行動する猟兵達の姿も。
「桜の香りで惑わせて」
 退魔の霊刀『小夜啼鳥』を抜刀したまゆは同時に【剣術・桜】を発動させる。
 幻朧桜の香りを纏ったまゆは、高速移動で一気にオウガ達へと近づいていく。
 当然ながら、一斉に赤い瞳を煌めかせたオウガ達がまゆ目がけて襲い掛かってくる。
 鋭い爪を光らせ、牙を剥いてくる狂暴なウサギ達をまゆは衝撃波でぶっ飛ばしながら書架の奥へと進む。
「ともあれ今回はまずオウガの群れを突破するのが先決……かな」
 群体には群体の弱点……懐に飛び込んでしまえば、むしろ良い隠れ蓑になると、零奈もまた敢えて軍の真ん中を抜けることを選択していた。
 とはいえ、下手に飛び込めば多数の敵の的になると判断した零奈は先に【情報収集】し、群れるオウガの数が少ない場所を探す。
 丁度、アリスも【動物使い】、【動物と話す】の技能で、バディペットの『リリー』や『キティ』に先導してもらっていた。
 零奈もその後を追う形で進むが、アリス、零奈の2人は【第六感】も駆使して敵の攻撃を避けていく。
 その際、零奈はトリッキーな動きでオウガ達の同士討ちを誘う。
「「…………!?」」
 オウガ達が爪や牙を突き立て合う中、アリスも邪魔なオウガの対処をとユーベルコードを使い、『ヴォーパルソード』を一時的に鈴蘭の花びらに変える。
 それは時空すら歪ませる衝嵐を巻き起こし、オウガどもを蹴散らす。
「先を急ぎましょう」
「そうだね」
 敵が態勢を崩す間に2人はその場を駆け抜け、司令官の元へと急ぐのである。


 書架の奥では、暢気にお茶をすすっている時計ウサギを思わせるオウガ『ドロシー・ヘイヤ』の姿が。
「いやあ、物事が順調に進んでいるときに飲む紅茶は美味しいね」
 しかしながら、彼女はすぐに侵入者の接近を察し、テーブルのティーセットにあった瓶よりジャムを飛ばす。
 それは接近してきたラブリーの顔にかかるのだが……。
「ざんねん」
 生憎とガスマスクを装着した彼女にはそんなのはヘッチャラである。
「おっと、もう1人」
 反対側からはまゆが距離を詰めてきていたことに、ドロシーは気づいて、ジャムの瓶に再び瓶に手を掛けようとする。
「ご機嫌いかが、ウサギさん。素敵なティータイムを始めましょうか!」
 呼びかけるまゆは『小夜啼鳥』を振るって衝撃波を起こし、瓶を吹き飛ばしてからドロシーへと【連続斬り】を仕掛ける。
 一撃は避けられなかったが、ドロシーも立て続けに攻撃されっぱなしではない。
「やれやれ、あれだけオウガ達がいたのに。無能だねえ」
 毒づきながらも、死角から飛んでくる銃撃をドロシーは避けていく。
「ねえ、一緒にティータイムを楽しもうよ。そうだね。生まれない日ってなんだかわかるかい?」
 それは誕生日以外……何でもない普通の日を指すのだが、銃撃を行うヴィオレッタはこう解釈する。
「生まれない日? そうね、2月30日かしら」
 奇妙な質問だと思いながら返答するヴィオレッタは、『存在しない日には何も生まれない』と論じつつ、『騎兵の友たる銃』の引き金を引く。
「そういう意味じゃないよ」
 ドロシーは足元の影からウサギのオウガ達を呼び寄せ、猟兵達へと襲い掛からせようとする。
 それを文句と判断したヴィオレッタは、オウガどもの爪牙による攻撃を【見切り】、右手の銃と左手の『揺らぎ逸らす刃』で【受け流しながら】、再び銃口をドロシーへと向けて。
「回答(物理)よ?」
 鉛の弾をもって、彼女は答えとしてみせた。
「ごめんなさい、ウサギさん……問答してる暇はないんですっ」
 アリスもまたその質問を向けられていたが、彼女は返答すらせず、【破魔属性】を込めた『ヴォーパルソード』でドロシーを【なぎ払う】。
「嫌だなあ。ボクはティータイムを楽しみたいだけなのに」
 弾丸や斬撃を浴びたドロシーは呆れながらも、アリスの方にもウサギのオウガ達をけしかけてくる。
 【第六感】でオウガの出現に気付いたアリスはすぐにその対応に追われ、ウサギの爪牙を【見切り】、【残像】で避けつつ【オーラ防御】を合わせてしばらく応戦を続けていた。
 そこに投げつけられた何かが突然爆発し、閃光が走る。
「うおっ!?」
 周囲のオウガ達と共に【目潰し】を受けたドロシーが少なからず【恐怖を受けて】混乱する。
 そのタイミング、ステルス状態から姿をさらしたのは名捨だ。
「素敵なティータイムがご希望なんだって? 悪いが付き合う気はない」
 ただ、名捨が攻撃へと転じる暇に、他メンバー達が一気に仕掛ける。
 そこに、ワープしてきたレーパーが自らの存在を猟兵へと戻してから白剣を天高く投げる。
 対であるアンゲルスがレーパーの白剣を使い、ユーベルコード【主の守護者】を発動する。
「影どもよ、主人の元を離れ『 』に従え」
 光に照らし出されたラブリーやオウガ達の影を従え、アンゲルスは本体の動きを封じ込めてしまう。
「それじゃー今度はらぶの番なん!」
 ラブリーは視覚が戻らぬ上動けぬドロシー目がけて、『ラビットファングアンドハッピーチェーンソーエッジ』を振り回し、斬りかかっていく。
「ううっ……目が、目が開けば……!」
「残念だけど、今日はお茶会の気分じゃない」
 さらに零奈もドロシーを目視できるほどに迫り、ユーベルコードを発動する。
「……偽りの御霊を断ち切りその死を謳え」
 【零の太刀「白鷺は塵土の穢れを禁ぜず」】。
 【破魔】の結界を纏った零奈は高速で懐まで近づき、『無銘刀』から斬撃を繰り出し、ドロシーへと斬りかかる。
「ごめんなさい……」
 改めて謝るアリスも剣から【誘導】性能のある【衝撃波】を浴びせかけ、さらに再び武器を鈴蘭の花びらに変えて衝嵐となし、ドロシーへと浴びせかけていく。
「紅茶はよく冷やしたほうが美味しい季節……」
 その嵐が止めば、まゆがさらに刀を振るって衝撃波を叩き込む。
「せめて、衝撃波の風でティーポットが冷えますように!」
 【2回攻撃】も織り交ぜ、まゆは【切り込んでいく】。
「ううっ……、こんなはずは……」
 ようやく、視界が戻ってきていたドロシーだが、まだ動けずにいる。
 ほぼノープランで慢心していていた彼女だ。これだけの猟兵から束になって攻撃され、無事であるはずがない。
 レーパーが『黒剣』を槍に変化させて鋭い突きを繰り出すと、飛翔したアンゲルスが『白剣』を回収して合流し、メイスに変化させて光る弾丸を放出して牽制してから長剣に変えて切りかかっていく。
 ラモートも『黒剣』をヨーヨーやブーメランに変え、遠近から攻め立てる。さすが対なる存在。2人のラモートによる連携した攻めは見事だ。
「ううっ、ハンマーすら握れないなんて……!」
 影に縛られながらも、ドロシーは残る力を振り絞ってハンマーを手繰り寄せようとする。
「一気に決めさせてもらう」
 そこに拳を握りしめた名捨が躍り込んできて。
「あばよッ!! これでお前のくだらん企みは終わりだ」
 ドロシーの身体ごと名捨は地面を殴りつけ、【周囲の書架ごと破壊】することで召喚儀式をも破壊していく。
「これじゃ、怒られちゃうかな……うう……」
 猟兵達の力に対抗することすら叶わず、ドロシーはその場から消え失せ、骸の海へと返っていった。

 司令官を失ったウサギのオウガ達は慌てて書架から逃げ出していくが、猟兵達は追撃することなくこの場での戦いを切り上げる。
 何せ、『迷宮災厄戦』は始まったばかり。
 次なる戦場での戦いに赴くべく、猟兵達は砕かれた書架牢獄から離れていくのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月03日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵