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バッドラック・ランドマーク(作者 やさしいせかい
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●それを凶兆と呼ばずして
 とある『奪還者』を自称する男は褐色に染まる荒野の空を見上げ、グラスに注がれた合成着色と科学調味料で整えられた”不出来なワイン”を飲み干した。
 有毒ハーブを含むそれは疑似的な酔いをもたらす。もっと刺激的な酒を喉奥が欲するのも後に、頭がフワフワと揺れ、視界を緑の粒子がチラつくようになればどうでもよくなった。
「あのベースキャンプ、もったいなかったなー」
 乱れた着衣。土と汗の臭気に混ざって香る鉛と鉄の気配。
 傍らで雑に抱かれていた女が寝息を立てているのを見た男は、薄情にもマネキンでも放るように横合いに転がす。
 そうしながら男は”不出来なワイン”の入っていた瓶が空になっているのを確認すると、ふと数日前に放棄した『拠点』の事を思い出すのだった。
 不運の連続。多少腕が立つ程度の流れ者にはとても太刀打ちできない暴力が押し寄せていた悪夢。男はオブリビオンストームに侵された機械どもに恐れをなして逃走した過去を持っていた。
「まあ、ありゃしかたねえよなぁ」
 男はフラフラと立ち上がる。
 背後を見渡せば、そこには錆色に染まった嘗ては『遊園地』なる娯楽として知られていた施設が広がっている。男は今や、苦い思い出などすっかり忘れて新たな拠点で奪還者として迎えられていた。

 遊園地といっても、そこにあるものは折れ曲がった観覧車や発電機代わりに回り続けているメリーゴーラウンド、拠点中央に広がるジェットコースターだけだ。
 そこにはかつての輝かしい残滓が見られるものの、今は一部の施設を住居として利用されていた。
 立地が荒野に囲まれている事もあり、主に他拠点との中継に利用される機会の多い土地だ。そこに目をつけた荒くれ者たちが商業施設や宿を開き、旅の補給を担うなど細々とした活動が拠点となったものである。
 当然、拠点の防備は完璧である。拠点外周数キロに渡って監視できるレーダー装置に加え、射程と威力に優れた機関砲が拠点各所に設置されているのだ。
 まさしく安全地帯。防衛システムに限らずこの拠点に立ち寄る者達が補給を受けながら戦闘に参加すれば、並みの化け物では相手にならないだろう。
「しばらくはここでバカンスと行こうじゃないの」
 自称奪還者の男はベタベタと整髪料を自らの金髪に塗りたくりながら、次の遊び相手を探しに行こうとする。
 しかしそんな時、不吉の報せが彼の肩を叩いた。
「拠点北西に敵影! ダミーを突破しやがった奴がいる、知性のあるタイプだ!」
「おーい! 奪還者のあんちゃん、ちょいと仕事だー!」
 おいおい、と男は水を差された気分になる。
 荒野をうろつく奴の中には稀に、迷い込むのではなく何らかの要因から拠点に近付いてくる存在がいる。
 そうしたものは拠点内の熱反応やエネルギーに引き寄せられたりと様々な理由があるが、自称奪還者の男が任されるのはたいてい『雑魚』の掃除だ。
 要するに機関砲で狙うにしても姿が見えない程度の小物である。

 小物、つまり彼の敵ではない。
 その筈なのだが――この時だけは妙に嫌な予感がした。
(レーダーの反応……)
 拠点を囲う様にして造られた外周の壁沿いをバイクで移動しながら、男は未だ目視できない存在を探す一方。自前のバッテリー式スコープで周囲を見渡した。
 いない。
 拠点内の人間達からの声はまだ落ち着いたものだ、「そろそろ近いぞ」「支援は任せろ」などと頭上から言われても、どこにも敵は見えない。
「…………」
 ぞくりと妙な汗がバイクの操縦桿を握る手に滲んだ。
 それだけで充分だった。たったそれだけで、男は拠点を見捨てて全力で逃走を開始したのだった。

●不運に過ぎる
 シック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は二日酔いから醒めたような目の下にクマを作って、これからアポカリプスヘルで起きる事を語る。
「地下からだったんだよ。モンスターが襲って来たのは」
 シック曰く。
 何も知らずに構えていた拠点の人間達は突如、地下に埋もれてしまっていた古い大型車両用通路から侵入したオブリビオンストームに侵された大型機械兵器に襲われてしまったという。
 頼みの綱である戦闘要員は一部逃走してしまい。設置型兵器でしか歯が立たないような相手に為す術もなく、彼等は安全地帯と思われていた拠点の内側で蹂躙を受けてしまうのだ。
 それだけではない。これはあくまでも内側から『鍵を開ける』ための陽動だったのである。
「機械兵器をけしかけてきたのは機械化した盗賊……なんてったか、サイバーレイダーっていうのかな。そいつらが首魁だったわけだ。
 やべえのが暴れて拠点を内側から崩す事で、外で待機していたならず者どもがわんさか押し寄せて来たんだとさ」
 完璧な陽動作戦である。
 一晩経たないうちに拠点は蹂躙され、人間はサイバーレイダー達によって全滅するのだから。

「とりあえず、皆にはこの状況から拠点を救ってやって欲しいな。
 忙しくなると思う。先行して来た大型戦車に、サイバーレイダー達を連続で相手しないといけないから」
 シックが言うには、敵勢力は徹底的な破壊を目的としているわけではないらしい。
 ゆえに、目標は拠点住民を逃がす事も兼ねた戦闘だ。猟兵が相手している限り、敵の注意は間違いなく逸れる。
 迎撃に次ぐ迎撃。しかし立ち回り次第では後手に回ることなく正面からサイバーレイダー達を撃滅する事もできるかもしれない。
「……とにかくやっちまってくれよな! えっぐいレイダーどもに一泡吹かせてやろうぜ!」
 シックはそう締め括り、猟兵達をグリモア猟兵の力で移動させるのだった。





第3章 ボス戦 『サイバーレイダー』

POW ●パワーアシストアーマー
予め【パワーアシスト機能に充電しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD ●奪い尽くす者達
レベル×1体の、【タトゥーで額】に1と刻印された戦闘用【機械化レイダー軍団】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ ●レイダーズシャウト
【略奪を宣言する叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●奪う為に破壊する
 寄せ集めのジャンクパーツを継ぎ合わせた大型バイクが荒野を駆ける。
「お前らァ!! この世は弱肉強食だ! どいつもこいつも、俺たちの食いモンだ!!」
「イエエエェェェァア!!!」
 機械化した肢体。或いは”サイズの合わない”義肢を取って付けたような男達。
 サイバーレイダーと称される彼等は、オブリビオンストームによってその在り方を極端にまで歪めた者達である。
 鉄の棺桶とも呼べるガラクタバイクや車を走らせ、旋律もクソも無いテンションに任せて掻き鳴らされるエレキギターの怪音。
 貴重な燃料すら、己を誇示する為ならぶちまけて火を放つ。先頭を走る頭目の男の前で大手を振って自ら焼身して絶叫して見せるのだ。
 もはや人の形をした獣。
 それこそがサイバーレイダーだった。
「あの拠点を落とせば女も酒も手に入る!! 装備が手に入りゃもう一度暴走戦車くらい手なづけてやれる!
 いいか野郎ども!! この俺が、俺達がこの荒野の王だァッ!! ヒャッハハァアアアアア!!!!」
 外壁に包まれた旧遊園地を機械化された手指が差し示して。
 拠点の防衛が機関砲を乱射してくるも、頭目の男はそれらを左腕で弾くと返す刃の如くバイク側面から取り出したロケット弾で吹き飛ばしてしまう。

 そして。
 拠点前にいる影を見つけた瞬間、頭目の男『アグニス・レ・レ』はバイクを棄てて飛び上がった。
 金属フィンが背部で一瞬羽ばたいた後、派手に腰から抜いた軽機関銃を乱射しながら着地する。後ろから追い付いて来た下っ端どもはその姿を称賛する絶叫を上げたかと思えば、アグニスの周囲にロケット花火を撒き散らした。
「見つけたぜぇぇぇ……テメェら全員、ここでぶち殺してやるぁあああ!! 百ハァッ!!」
 軽機関銃さえ投げ捨てた。
 ゴツゴツに、ゴリゴリに機械化された体のあらゆる角度から刃やドリルを突き出し、背負っていた鉄塊の如きハンマーを振り上げたアグニスは下っ端どもと猟兵達に襲い掛かって行く――!
バン・クロスハート(サポート)
【ボス戦、サポートします!】
「世界を乱すオブリビオンは許しません!」
「貴方は、削除します!」

僕の得物はダブルセイバーですから
前衛に回ってユーベルコードで支援しますね!

【前衛】
ダブルセイバーと具現化するレンガで敵の攻撃を凌ぎます!
動き回って攪乱も狙います

技能:残像、激痛耐性、武器受け、ダッシュ、逃げ足

【支援】
<クローズサイクロン>
武器を回転させて生み出す竜巻で相手の動きを封じます!

<インフィニティクロッサー>
手数が不足している時ならこちらで!
ダブルセイバーを複製し、敵にぶつけます!

<ドラッグオンチート>
強大な相手には身体能力を上げて対応します!


技能:念動力、部位破壊、二回攻撃、ドーピング


ガンズ・ハルモニア
花火だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
『重機兵召喚』発動。ガンソルジャー搭乗・操縦。
上空から重量攻撃踏みつけ。着地。サドンデスカッタースラッシュ!鎧無視攻撃でサイバーレイダーを蹴散らす。

う?始めて?初めまして?こんにちは!!死ねぇええええええええええ!!
ガンマシンキャノンで制圧射撃。
私は豆、貴方はトンカチ!鬼だ!盗賊だ!レイダーだ!!ゲームしよ!!

背部に追加されてた大型遠距離狙撃武器・単発式爆弾発射カタパルトを展開
キレイなキノコ雲ができるよ!どっちが耐えるられるか試してみよう!
ブースターで機体を吹き飛ばして接近、からの焼却大型爆弾発射。
敵もろとも自爆。継戦能力で耐えきる。



「花火だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
 紫電と光電が交わり爆裂して暫く、その絶景に喜んでいたガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)に向かい地団駄を踏む男が叫ぶ。
「見つけたぞぁあ……見つけたぜ発見したぜ、この野郎がァアッ!!」
 サイバーレイダー頭目にして拠点襲撃首魁。一部の拠点においては”お尋ね者”として知られているアグニス・レ・レが怒号を上げ、手下達を前に出させる。
「ひゃっはー!」
「う? 始めて? 初めまして? ……こんにちは!! 死ねぇええええええええええ!!」
「ぇぇえっーー!??」
 空中でフワフワと浮きやがって。そんな罵声を浴びせながらガンキューブ形態のハルモニアの周囲に集まるレイダー達。
 しかしハルモニアの間の抜けた声と態度からはまったく別の、突如箱型大型兵器の姿が虚空に消えたと思った瞬間。入れ替わりに重量級人型兵器がレイダー達を一部叩き潰しに降下してきたのである。
 情けない悲鳴も一度だけ。即座に重機兵『ガンソルジャー』に搭乗したハルモニアをレイダー達が怒号を上げながら取り囲む。
 だが、どう見てもそれは無謀に等しい。
 それでも気付いたのは、手下達の奥で殺意を煮え滾らせていたアグニスただ一人だった。
「馬鹿野郎が、そいつは木偶じゃねぇッ!」
「私は豆、貴方はトンカチ! 鬼だ! 盗賊だ! レイダーだ!! ゲームしよ!!」
 ハルモニアのガンソルジャーが大きく金属音を鳴らし、その両腕部に連結されたナイフとガンマシンキャノンを同時に振るった。
 コン、という軽い音に悲鳴が連続する。背部ブースターを噴射させて加速したハルモニアのガンソルジャーがその腕を振り抜いただけで、ナイフは躱しても質量の差で鉄塊に殴り付けられたレイダーが宙を錐揉みして吹っ飛ぶのだ。
 ハルモニアが駆るガンソルジャーは地を滑り、追加ブースターを吹かしながら地表を軽く跳躍する。
「サドンデスカッタースラッシュ!」
「チィッ……! テメェら、距離を取って蜂の巣にしてやれ!!」
 牽制。吹き飛んで行く手下を見上げ舌打ちをしたアグニスだが、ハルモニアの撃つマシンキャノンの制圧射撃に怯んで追撃に出られない。

 代わりにその他の手下達がアグニスより後方から次々に銃撃を繰り返して行く。
 飛び散る火花。しかしその損傷が少ないことに苛立ったアグニスが、更に踏み込もうとしてその足を止めた。
「なんだゴラァッ!」
「くっ……!」
 後ろへ迷いなく振り抜く一閃。鉄塊のハンマーが風を切った後に、地を這うかの如く姿勢を低くしたバン・クロスハート(一×十Χのガーディアン・f23853)が咄嗟に躱したそのハンマーを下から切り上げて弾いた。
 ただの脳筋と見ていたが、勘が良いらしい。
「この戦い、介入させていただきます!」
 屈んだ姿勢から発条仕掛けのように、その手が操る両刃剣を回転させながら飛ぶ。
 横合いから差し込まれるマシンキャノンによる射撃に足を止められ、苛立ちからアグニスの咆哮が空気を震わせる。
「ザッケンな、オラァアアッ!!」
「っ、スー君……!」
 踏み込み、やぶれかぶれにも薙ぎ払われたアグニスの剛腕をバンが念動力で受け止めた。バンが『VW-ダブルクロッサー』を回して弾き返す。飛び散る火花に混ざる新緑の光は、彼の武装が削られたものか。
 小さなモーター音が幾つも連なり、次いでアグニスの体躯を包むパワーアシストアーマーに外付けられた凶器の数々が凶悪に駆動して、至近で襲い掛かる。
 だが、それを背後から差し込まれた銃撃が。四方八方から突如顕現したバンのダブルクロッサーを複製した物が一斉に突き立てられたのである。

「ち、ィ……メンドくせぇ! フラスコチャイルドか何かかァ……ッ!?」
 念力でバラバラに操作された両刃剣の暴威に怯み、大きく体勢を崩しながら後退するアグニスは不意に天を仰いだ。
 バンに気を取られている間、ハルモニアの駆るガンソルジャーの肩部に見慣れない大型の重武装が生えている事に気付いたのである。
 中空のガンソルジャーから幾度と耳にした、あの幼くも破天荒な声が響いた。
「『大型遠距離狙撃武器・単発式爆弾発射カタパルト』――展開。
 ――――キレイなキノコ雲ができるよ! どっちが耐えられるか、試してみよう!!」
 聞き終える前からアグニスは脇目も振らずに逃走していた。
 あの無邪気を装ったモンスターは絶対にヤバい。仲間もいるだろうこの戦場で何という戦法を取ろうとしているのか。
 アグニスは例の如く手下達を殴り付けてバイクを数台手繰り寄せる。
 同時。
 なけなしのバリケードを咄嗟に組んだアグニスの眼前に高速で接近して来たハルモニアが、展開されていた焼却大型爆弾を至近距離で発射した。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴