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バッドラック・ランドマーク

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●それを凶兆と呼ばずして
 とある『奪還者』を自称する男は褐色に染まる荒野の空を見上げ、グラスに注がれた合成着色と科学調味料で整えられた”不出来なワイン”を飲み干した。
 有毒ハーブを含むそれは疑似的な酔いをもたらす。もっと刺激的な酒を喉奥が欲するのも後に、頭がフワフワと揺れ、視界を緑の粒子がチラつくようになればどうでもよくなった。
「あのベースキャンプ、もったいなかったなー」
 乱れた着衣。土と汗の臭気に混ざって香る鉛と鉄の気配。
 傍らで雑に抱かれていた女が寝息を立てているのを見た男は、薄情にもマネキンでも放るように横合いに転がす。
 そうしながら男は”不出来なワイン”の入っていた瓶が空になっているのを確認すると、ふと数日前に放棄した『拠点』の事を思い出すのだった。
 不運の連続。多少腕が立つ程度の流れ者にはとても太刀打ちできない暴力が押し寄せていた悪夢。男はオブリビオンストームに侵された機械どもに恐れをなして逃走した過去を持っていた。
「まあ、ありゃしかたねえよなぁ」
 男はフラフラと立ち上がる。
 背後を見渡せば、そこには錆色に染まった嘗ては『遊園地』なる娯楽として知られていた施設が広がっている。男は今や、苦い思い出などすっかり忘れて新たな拠点で奪還者として迎えられていた。

 遊園地といっても、そこにあるものは折れ曲がった観覧車や発電機代わりに回り続けているメリーゴーラウンド、拠点中央に広がるジェットコースターだけだ。
 そこにはかつての輝かしい残滓が見られるものの、今は一部の施設を住居として利用されていた。
 立地が荒野に囲まれている事もあり、主に他拠点との中継に利用される機会の多い土地だ。そこに目をつけた荒くれ者たちが商業施設や宿を開き、旅の補給を担うなど細々とした活動が拠点となったものである。
 当然、拠点の防備は完璧である。拠点外周数キロに渡って監視できるレーダー装置に加え、射程と威力に優れた機関砲が拠点各所に設置されているのだ。
 まさしく安全地帯。防衛システムに限らずこの拠点に立ち寄る者達が補給を受けながら戦闘に参加すれば、並みの化け物では相手にならないだろう。
「しばらくはここでバカンスと行こうじゃないの」
 自称奪還者の男はベタベタと整髪料を自らの金髪に塗りたくりながら、次の遊び相手を探しに行こうとする。
 しかしそんな時、不吉の報せが彼の肩を叩いた。
「拠点北西に敵影! ダミーを突破しやがった奴がいる、知性のあるタイプだ!」
「おーい! 奪還者のあんちゃん、ちょいと仕事だー!」
 おいおい、と男は水を差された気分になる。
 荒野をうろつく奴の中には稀に、迷い込むのではなく何らかの要因から拠点に近付いてくる存在がいる。
 そうしたものは拠点内の熱反応やエネルギーに引き寄せられたりと様々な理由があるが、自称奪還者の男が任されるのはたいてい『雑魚』の掃除だ。
 要するに機関砲で狙うにしても姿が見えない程度の小物である。

 小物、つまり彼の敵ではない。
 その筈なのだが――この時だけは妙に嫌な予感がした。
(レーダーの反応……)
 拠点を囲う様にして造られた外周の壁沿いをバイクで移動しながら、男は未だ目視できない存在を探す一方。自前のバッテリー式スコープで周囲を見渡した。
 いない。
 拠点内の人間達からの声はまだ落ち着いたものだ、「そろそろ近いぞ」「支援は任せろ」などと頭上から言われても、どこにも敵は見えない。
「…………」
 ぞくりと妙な汗がバイクの操縦桿を握る手に滲んだ。
 それだけで充分だった。たったそれだけで、男は拠点を見捨てて全力で逃走を開始したのだった。

●不運に過ぎる
 シック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は二日酔いから醒めたような目の下にクマを作って、これからアポカリプスヘルで起きる事を語る。
「地下からだったんだよ。モンスターが襲って来たのは」
 シック曰く。
 何も知らずに構えていた拠点の人間達は突如、地下に埋もれてしまっていた古い大型車両用通路から侵入したオブリビオンストームに侵された大型機械兵器に襲われてしまったという。
 頼みの綱である戦闘要員は一部逃走してしまい。設置型兵器でしか歯が立たないような相手に為す術もなく、彼等は安全地帯と思われていた拠点の内側で蹂躙を受けてしまうのだ。
 それだけではない。これはあくまでも内側から『鍵を開ける』ための陽動だったのである。
「機械兵器をけしかけてきたのは機械化した盗賊……なんてったか、サイバーレイダーっていうのかな。そいつらが首魁だったわけだ。
 やべえのが暴れて拠点を内側から崩す事で、外で待機していたならず者どもがわんさか押し寄せて来たんだとさ」
 完璧な陽動作戦である。
 一晩経たないうちに拠点は蹂躙され、人間はサイバーレイダー達によって全滅するのだから。

「とりあえず、皆にはこの状況から拠点を救ってやって欲しいな。
 忙しくなると思う。先行して来た大型戦車に、サイバーレイダー達を連続で相手しないといけないから」
 シックが言うには、敵勢力は徹底的な破壊を目的としているわけではないらしい。
 ゆえに、目標は拠点住民を逃がす事も兼ねた戦闘だ。猟兵が相手している限り、敵の注意は間違いなく逸れる。
 迎撃に次ぐ迎撃。しかし立ち回り次第では後手に回ることなく正面からサイバーレイダー達を撃滅する事もできるかもしれない。
「……とにかくやっちまってくれよな! えっぐいレイダーどもに一泡吹かせてやろうぜ!」
 シックはそう締め括り、猟兵達をグリモア猟兵の力で移動させるのだった。


やさしいせかい
 初めましてやさしいせかいです、よろしくお願いします。

「シナリオ詳細」

『第一章:ボス戦』
 大型の連装砲搭載戦車が相手となります。
 通常の暴走戦車と異なり、サイバーレイダー達の手が加えられた自律行動を取る兵器です。ジェットコースターなどのある広場の地下から出て来て撃ってきます。
 基本的に範囲攻撃を行う場合、拠点住民を数人巻き込む事もあります。上手く気を逸らして逃がすも、逆にダーク要素として囮に利用して成功率(敵の迅速な破壊)を高める方法も取れます。
 また、ハッキング等の電子攻撃など特殊プレイングによる内容も成功判定に加味します。

『第二章:集団戦』
 外部から集団で襲い来る軍用ロボット犬を迎撃、或いは第一章の全体的な状態に応じて戦います。
 数が多いです。
 環境に応じて戦闘に工夫を加えると判定に+あったりします。

『第三章:ボス戦』
 第二章からノンストップで始まるボス戦です。
 半ば集団戦めいていますが、子分のサイバーレイダー達より強力な個体がボスとして位置しています。
 前章参加済みの方など、希望があればダメージや疲労が蓄積している状態を描写します。(【疲労orダメージ有】などの表記のあるプレイングに対応します)

●当シナリオにおける描写について
 三章全てにおいて描写(リプレイ)中、同行者または連携などのアクションが必要な場合はプレイング中にそういった『同行者:◯◯』や『他者との連携OK』などの一文を添えて頂けると良いかと思います。
 また、三章通して戦闘オンリーなシナリオになると思われます。

 以上。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『暴走戦車』

POW   :    オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●土竜戦車襲来
 自称奪還者の男が連絡を絶って数分後、旧遊園地拠点の中央で地響きと轟音が連続する。
 この時、よもや不測の事態が起きているとも知らず。拠点各所に避難せずにいた人間達は恐る恐る異変の生じた地点を遠巻きに、愚かにも口を半開きにしてるような無防備な姿で眺めていた。
 そこは拠点中央。
 高々と組み上がったジェットコースターのレールが揺れ動く下で、朦々と立ち昇る土砂と粉塵の奥からガガガと駆動音が鳴り響いて来ていた。

「せ……戦車……!?」

 誰かが気付いた。誰かが悲鳴を上げた。
 地下から噴き出す火柱は巨大な連装砲の一つが放った雄叫びだ。轟音と共に現れた大型の暴走戦車は、暴力的な趣味の悪いペイントを施された姿で文字通り地下より登場する。


 ――――赤黒く染まった砲口が、あなたに向く。
ガンズ・ハルモニア
はじめましてぇえええええ!
こんにちは!!今晩は!!!?大砲カッコいいね!
よこせ!!!

最初からガンキューブに搭乗。操縦。
瞳型のハイビームキャノン砲から焼却熱線を発射。
オーバーキャノンの威力減退狙い。

うい、よくよく考えたらガンキューブに戦車砲は合わぬ。くれ。
機体を吹き飛ばし、装甲と継戦能力で押し切り戦車と接触。

『デジタルウェポン』ハッキング電子兵器
特殊効果・操縦権奪取。

これぞまさしく夢にまで見た戦車砲!
カッコいい!!カッコいいからお空にむけて撃とう!
撃ったら壊れるあたり良い感じに欠陥があって好きだよ私!

着弾点を遊園地外に設定し、オーバーキャノンを撃てるだけ撃つ。


ノア・フラグメント
戦車好きとして戦車を相手にするのは……
いえ、外見が戦車とはいえオブリビオン。撃滅が最優先項目です。

敵の位置は広場、遮蔽物が少なく防御効果のある建築物も少ない。
周りへの被害を最小限に抑える為、私の戦車を囮にする。
愛車を傷つけたくはないけれど仕方ない。
UC【タンクキャバリア】で装甲を増強。
攻撃は機銃で足回りへ【援護射撃】、後は本体へ主砲での【鎧無視攻撃】、こちらの主砲であれば十分貫徹可能なはずです。

それにしても……その砲をとにかく一杯乗せてみましたという感じ、嫌いではありませんよ?


黒木・摩那
いきなり土の中から戦車とか大変なものに狙われましたね。
もちろん、このままにしておくわけにはいきません。

戦車は強力な兵器ですが、反面死角が多く、隙を突きやすい弱点もあります。
もちろん、今回もそこをつかせてもらいます。

最初にUC【胡蝶天翔】で周辺の端材を黒蝶に変換して、戦車のセンサー類をかく乱します。
その隙に戦車の上面に【ジャンプ】。戦車に取り付きます。

あとは戦車のセンサーからサイキックグローブを通して【ハッキング】。
センサー類の設定を初期化します。
自動機械ならばセンサー死ねば、動きが止まります。
再設定までは殴り放題です。


ライカ・ネーベルラーベ
敵が正面以外の場所から出てくるなんて、いつものことだよね
慌てず騒がずぶっ壊せばいい

「相手はデカブツ、金属装甲。自陣内に居て攻撃させずに無力化が必要……じゃあ電装系から殺そうか」
バイクで手早く接近して相手に飛び移り
【マクスウェルの方程式】で、心臓のメガリスを核に全身を高圧の雷に変換
敵戦車の制御系を力づくで焼き切って動きを止めよう
いくら車体の機械構造が無事でも、制御する電装系が死んだら動きようがない
「焼かれて消えろ、空も飛べない不細工なガラクタめ」

燃料に引火したら爆発しそうだけど……
まぁ、どうせ壊すつもりのものだし、別にいいか


レイ・オブライト
にしたって、人ひとりの命が軽い世になっちまったな
おかげで連日無休だぞ
お前(敵)もか?よく会うじゃあねえか、兄弟

で、例に漏れず砲弾飛ばしてくんだろうな。立ち往生する現地民を掻き分け
鎖にて前方の宙を薙ぎ払うことで(枷で大気に触れることで)【Lava】発動
Vエンジン製電気の『属性攻撃』。空間中に生じる電流の鎖により砲弾の雨を迎撃、着弾前の爆破を狙う
走れ。死ぬな。オレが来た意味がなくなる
成功したなら
爆炎が後方へ向かわぬよう覇気の『衝撃波』で散らしつつ紛れる形で敵へ殴り込み、現地民はその間に逃げさせる作戦だ

負傷は捨て置く
履帯でも殴っとくか、『地形破壊』地面に穴開けて時間稼ぐついでに

※アドリブ、連携歓迎



●BadLuck!!
 モニターパネルを前にした男は、今はもう失って久しい口元を笑みに染める。
 オブリビオンストームに侵された暴走戦車。その多くが強力な機体として知られる大型兵器を今、彼は操っていた。
「クク……ッ、こんな簡単に拠点に潜り込めるとはなあ!!」
 外部運搬ルート。旧文明とされている時代の文書からその情報を得て、これまで入念な準備に勤しんだ甲斐があったというもの。
 レイダー達の頭目として君臨しても尚落とせない拠点の一つが、楽園がもうすぐ手に入る。偶然弱体化していた暴走戦車を改造して支配下に置けたことが何よりも幸運だった。

●●●

 そして。
 間抜けヅラをした連中に、今こそ砲弾を叩き込む時が来たのだと。巨大な多連装砲を旋回させた大型戦車は装填音を響かせ宣言する。
 個の人間相手に撃つような兵器ではない事は、どう見ても明らかだった。
 砲口が向いたのを目にした拠点住民は一瞬でその顔を蒼くさせる。戦車などという分かり易い兵器相手に、ましてや横並びに連なる恐るべき火器を前にどこへ逃げろと言うのか。
 悲鳴が上がる。しかし、もう遅い。

 ――砲口の奥で駆動音が嘶くその瞬間、雑踏或いは大型戦車をも飛び越えて、幾つかの影が人々の前へと滑り込んだ。
 その中で唯一人型の影……レイ・オブライト(steel・f25854)はその手の中から宙に薙ぎ払った銀の鎖を伸ばし、迸る稲光を一線に描いて。たった一言告げる。
「走れ」
 直後爆風が、炎の壁が電流を奔らせたレイの前で広がった。
 半ば腰を抜かしながら言われるがままに走る住民達の鼓膜を、後から遅れて凄まじい爆音が打ち。心臓の鼓動を轟音が叩いた。
「ひ、ひぃっ……!?」
 振り向いた先に見えたのは目を疑う事に、砲撃の波を防ぐレイに、奇妙な機械と戦車の姿だった。
 同時に目が合う。
「死ぬな。オレが来た意味がなくなる」
 金の瞳は静かに、しかし目が合った者の体を叱咤するほどの覇気を以てそう言った。

 遠方で何者かが大型戦車に搭載されたカメラ越しに驚愕の声を上げている事などいざ知らず。
 爆炎の中からエンジン音を響かせ。全門からのバースト射撃を耐え抜くほどに装甲面を強化した戦車、住民達を庇ったノア・フラグメント(記憶の残滓・f24530)が前へ急発進する。
「戦車好きとして戦車を相手にするのは……いえ、外見が戦車とはいえオブリビオン。撃滅が最優先項目です」
 タンク内部で首を振るノアはそのまま、目標大型戦車へ向けて機銃で牽制を始める。前へ出て、囮となる事で後方の被害を減らすために。
 履帯へ走る銃撃。大型戦車が半ば地下通路に沈んでいた車体を起こすように走る。
 巨大な装填音の後に、スピーカーから野太い男の声が鳴り響く。
『「てめぇら……何者だゴルァ――!!」』
「はじめましてぇえええええ! こんにちは!! 今晩は!!!? 大砲カッコいいね! よこせ!!!」
『「!!?」』
 まさかの声量負けにスピーカー音の奥で喉がひゅっと鳴ったのが聴こえる。
 ノアの操る戦車と並んで飛行している球体の機械、ガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)の姿とその機体中央部で光る眼球のような部位に驚いていた。
 直後、二度目の『全門発射』が猟兵達を襲う。
 しかしそれらはいずれもノアの車体が斜めに受け、或いは真っ正面から熱線を放つ事で砲撃の威力を緩和させていた。特に目を疑ったのは、後方で鎖を一閃させただけで残った砲弾を全て撃ち落としているレイの姿だろう。
「そこ――!」
 大型戦車の動きに一瞬迷いが生じる。隙を狙い、ノアの徹甲弾を装填した主砲が車体を分厚い装甲を穿つ。
 大きな火花が散り、紅い火線が軌跡を描いたのを巨大な車体が切る。
「はっしゃー!!!!」
 旋回して滑りながら荒ぶる回避行動を行う大型戦車を、今度はハルモニアが瞳型のハイビームキャノンで車体旋回方向へ更にプッシュする形で火線を直撃させた。
『「なぁにィ――ッ!?」』
 巨大な戦車が僅かにコントロールを失い、回る。
 搭載カメラの奥で操るレイダー頭目の男は絶叫しながらも機体レーダーへ目を向ける。
 敵はたかだか数人。全門をそれぞれに集中させれば落とす事は容易いと男は考えたのだ。自動迎撃システムを起動すれば多少奪還者が集まった程度の戦力、脅威にはならない。
 だが、その思惑をまるで嘲笑うかのように。
 ――レーダーが捉えた動体反応は真っ赤に染まっていた。

 カメラが回る。
 その先には、レールコースターに使われていたと思われる端材から飛び立つ黒蝶の群れが映っていた。
「いきなり土の中から戦車とか大変なものに狙われましたね」
 大型戦車のセンサー機器をも攪乱させる黒蝶の中。悠然と姿を見せる黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)はサイキックグローブをしっかりと填め直しながら、不敵な笑みを添えた。
『「ばかな……他のセンサーも!?」』
 下手に操作を切り替えたのがいけなかったのだろう。
 レーダー以外の機器がいずれもバグを起こしたかのように過剰反応に明滅していたのだ。
 舌打ち。怨嗟に喉を震わせながら操作が切り替わった車体が砲口を再度猟兵達に向こうとする。
「まっけないぞ!! ほらどすこーい!!!」
 だが履帯が旋回行動に移るその際に青い球体が突撃を仕掛ける。
 至近。ハルモニアのガンキューブの中央で熱線が再び閃光を放った。
「車体の動きが止まりましたね」
 熱風、轟音。追い打ちをかけるようにノアの戦車から徹甲弾が放たれたのを皮切りに、重厚な金属同士がぶつかり合うその衝撃に紛れてその場に集まっていた猟兵達が一斉に動く。

 ハルモニアと衝突しぶつかり合う大型戦車の履帯が地面を滑る。
 刹那。稲妻めいた轟音が辺り一帯に奔る。
 押し切られる前に後退するその車体がガクンと大きく揺れたのに、果たして遠隔から操作していた男は気付いた。
 各センサー機器がバグを起こす最中、唯一音声を拾う。
「にしたって、人ひとりの命が軽い世になっちまったな――おかげで連日無休だぞ。
 ……お前もか? よく会うじゃあねえか、兄弟」
『「……!!」』
 ”よく会う”などと、どんなジョークだ。レイが履帯の下、地盤を抉り前にスピーカーがノイズを撒く。
 悪態を吐くレイダーの男は、モニターを殴り付けそうになる。いつの間に接近を許したのか。或いはハルモニアが駆るのに乗じて影に潜んでいたとでもいうのか。
 紫電纏う謎の男が大きく振り被ったと思った瞬間には、その覇気が鉄塊を打ち拳が履帯をひしゃげさせてしまう。
 今なお続くノアからの支援砲撃が大型戦車の装甲を削る。ガンキューブが距離を詰めて来る間にも履帯がレイの怪力によって破壊されて行く。

 焦れたように搭載カメラが勢いよく回る。
 そこで、何処からともなくバイクのエンジン音が鳴り響く。黒蝶が辺りを渦巻く拠点中央、戦場の真っ只中へ駆け抜けて来るはライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)だった。
 連装砲の一部が火を噴く。あらぬ方向へ砲弾が飛ぶ中にも幾つかライカの駆るバイクの周囲を吹き飛ばすものがあったが、いずれもダメージたり得ぬ結果となる。
 そして、ついに最後の役者が揃ったとばかりに砲撃に徹するノア以外の全員が大型戦車へ辿り着いていた。
 車体上部に軽やかに着地した黒木摩耶に並んで飛び移って来たライカが一瞬その金髪を揺らし、口を開く。
「相手はデカブツ、金属装甲。自陣内で攻撃させずに無力化が必要……」
「見た所、私の放った蝶による攪乱が効いているようです。それに先程からダダ漏れの声から察するに、恐らくこの機体は遠隔操作されている物でしょう」
 ライカの言葉に続き彼女の意図へ確証を裏付けるように、摩耶が黒蝶を指先に乗せて頷く。
 二人は「つまり」と口を揃えた。
「……じゃあわたしは、電装系から壊そうか」
「では私がシステムの初期化を」
 少し離れ、車体上部にある通信用アンテナと思しき装置に触れる摩耶。同時に鋸型のガンブレードでハッチを破壊して内部へ侵入するライカ。
 それまで音声を拾っていたレイダーの男がスピーカー越しに叫んだ。

『「や、やめろォォオオオオ――!!」』
「焼かれて消えろ、空も飛べない不細工なガラクタめ」
 
 車体内部。胸部から眩い閃光と共に凄まじい高電圧の雷と化したライカが内部の制御系をズタズタに引き裂いた。
 この瞬間、大型戦車をモニターしていた男はあらゆる面からの電子攻撃に震えた。
 センサー機器が全て初期化され、全門の火器管制システムがエラーを起こしたかと思えば外部からのハッキングが幾重にも行われたのである。
 極めつけは電装系が全て失われた事で、機体大破と同等の被害を被ったのだ。
 そして。
「これぞまさしく夢にまで見た戦車砲!」
 モニターがなんぞバーチャルな美少女のはしゃぐドアップで埋め尽くされた。
 どこか遠方でレイダーの男がモニターを叩き割った事も知らず。仲間の手により完全に無防備となった廃車寸前の主砲ガツ盛り機体を乗っ取ったハルモニアは歓喜の声をスピーカーで鳴らした。

『「もうこれは私のもんだぁ!! カッコイイ!! 全部で十二本もあるよ戦車砲! カッコイイからお空に撃とう!」』
「……シュールだな」
 履帯を破壊し尽くしたレイが車体から離れつつ苦笑していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『軍用ロボット犬『ゲルマーネン』』

POW   :    噛撃分析
【噛みつき 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動データ】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    制限解除
【遠吠えをする 】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    戦闘機動
【予め思考回路にプログラムされた連続攻撃 】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●このままでは済まさせねえ!
 大型戦車がその猛威を奮う直前、猟兵達の猛攻によって沈黙した。
 それどころか完全にハッキングされたのだ。軍用のセキュリティシステムにも拘らず全てのデータが吹き飛び、挙句に後で他の『野良』を支配下に置く為に作成しておいたデータさえも摩耶が初期化……つまり何もかもが消し飛んだ。
 モニターを破壊したサイバーレイダー、『アグニス・レ・レ』はテントの外に立っていた部下の一人を殴り飛ばす。
「野郎ぶっ殺してやる!!」
 虫が収まらない。殺意に満ちた声で怒り狂うアグニスは荒野の向こうを睨みつける。
 空に向かって花火でも撃ち上げる様に『オーバーキャノン』を無駄撃ちしている様子は嫌でも目に入る。テントの中にあるモニターからは「その砲をとにかく一杯乗せてみましたという感じ、嫌いではありませんよ?」などと話し声も聴こえて来る。
 なんたる余裕。次に聴こえてきたバーチャル美少女の笑い声に青筋を浮き上がらせ、アグニスは起き上がって来た部下をフルスイングでラリアートした。

「犬を出せ……狩りだ!! 正面から乗り込んで全員この手で挽き潰してやるァ!!」
 怒号。
 狼煙は上がり。サイバーレイダー達のキャンプから次々に大型の軍用ロボット犬『ゲルマーネン』が解き放たれた。
 先攻、ロボット犬を放つことで接近までの時間を稼ぐつもりなのだ。

 ――荒野を駆ける数十の群れが、獰猛に唸り声を上げて拠点に迫って来ていた。
ミラリア・レリクストゥラ(サポート)
やや戦いの不得手なクリスタリアンの旅人です。唄を得意とし、必要であれば口だけではなく全身を震動させ発声します。また、ユーベルコードとして唄う場合は様々なサポートをします。
性格としておっとりしている所はあるものの、尊厳を卑劣に踏みにじる行為を見ると許せないと憤怒します。
ビーストマスター適性はかなり限定的で、『地母の恵み』で活性化した大地の恩恵を求め集まったものと一時的な協力関係が築かれます。
食事も呼吸も不要で、大地の放射エネルギーを糧とします。このためスペースシップワールドには適性がありながら苦手意識が強く、近寄りたがりません。

『お祝いですね!一曲唄わせてください!』
『あら?お困りでしょうか…』


ライカ・ネーベルラーベ
力づくで蹂躙、ね
わたしも嫌いじゃないよ
「でもさぁ……こんな犬のオモチャで、わたしをどうこうしようっていうのは舐め過ぎなんじゃないかなぁあああはははははははは!」

【半人半機の帰還兵】の力でゴリ押ししていくよ
あえて犬に腕とかを噛みつかせ、動きが止まったところを反撃で破壊していく
そもそも、牙だろうが爪だろうが、触れた瞬間に走る高電圧に抗えないならそのままお終いだしね
「お前らは狩る側じゃないっていつになったら気づくんですかねぇええ!!わたしの前に出てきた時点で、お前らなんかただの獲物なんだからさぁぁあ!!」


ノア・フラグメント
さて、奇襲してきた戦車は始末しましたが……
次は軍用ロボット犬ですか、かなり数が多そうです。

個の戦力に欠けても数は驚異ですから、出来れば少しでも数を減らしておきましょう。
距離があるうちにドローンを通して遠隔から【ハッキング】、システムをダウンさせるか乗っ取って同士討ちを狙いましょう。
抜けてきた犬は機銃での【範囲攻撃】。数が多く狙いをつける必要もなさそうですし。

さて、小物といえどオブリビオン……一匹たりとも逃さず撃滅します。




 不味い事になった。そんな声が距離を置いて、猟兵達の耳に入って来る。
「サイバーレイダーだ……二時の方向から放たれたロボット犬の群れがこっちに来てやがる!?」
「機関砲の用意! 幸い、拠点防衛は奪還者のおかげで生きてる。女と整備士どもを拠点奥に下がらせろ! 迎え撃つ!」
 地平線に濛々と砂煙を上げ、獰猛な遠吠えを連続させ迫るオブリビオンの集団。
 機械化、あるいは軍用兵器として造られた犬達はいずれもその移動速度は――速い。ともすれば隊列を編隊し、時に散開しては新たな陣形を組むことを繰り返しながら接近して来るその姿は、思わず荒野のならず者でも喉元に手を当ててしまうような迫力があった。
 何より数が多い。一頭でも拠点に侵入を許せばどれだけ被害が出るのか想像もつかないような相手が、である。

「さて、奇襲してきた戦車は始末しましたが……次は軍用ロボット犬ですか、かなり数が多そうです」
 戦車『ツェルベルス1A1』上部から顔を出して風に当たっていたノア・フラグメント(記憶の残滓・f24530)が揺れる白髪を掻き上げ、無機質に呟く。
 次いで、ノアが拠点の外へ視線を向けたのに合わせて戦車が発進する。
 その時、横合いから戦車後部に取り付いた影が映る。
「私も同行致しますわ。これ以上、この地に根付こうとしている人々の安穏を踏み荒らす行為は見過ごせませんもの」
 ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)がオパールの輝きを秘めた瞳を瞬かせ、スピネルの体を揺する様にして言った。
 その眼差しの先にあるのは同じく。獰猛に牙を剥くケダモノどもに注がれている。
「……どこの世界にもオブリビオンの姿は、形を変えて居るものですね」
 ミラリアが指すのは機械仕掛けの獣だけではない。地平線に白煙を昇らせて来るレイダー達、その人間が持つ醜悪さを増したような姿と在り方に、ミラリアは静かに憤怒の感情を懐いた。
 拠点端にノアが操る戦車が近付く。
「奪還者が出るようだ、隔壁を開放しろ!」
 敵接近の報せから間もなく、既に機関砲台が甲高い音を連続させて火線を奔らせている。
 旧遊園地における元締めらしき男が指示を飛ばすや否や、ノア達の前にあった重い金属扉が開放される。舞い込む砂塵と硝煙香る風を裂いて戦車が出て行く。

 ――荒野を駆け抜けるロボット犬は波打つ機銃の嵐の中を突き進む。
 これは拠点の防衛に当たっている砲手に非は無い。犬共の動きは傍目に見ても狙う事の難しい、実に変則的な機動を見せつけていたのだから。
 如何に数が多くとも、その点と点に当たらねば意味はない。しかし、戦車の主砲でも並べねば命中は期待できないのだ。
 これだけの速度を維持しての反射行動に秀でた動き。人工知能やプログラムだけでは、生半な膂力では、バランスを保ち為し得ることは難しいだろう。
「力づくで蹂躙、ね……わたしも嫌いじゃないよ」
 アクセルを全開に。マフラーから漏れ出る荒い呼気を背に、ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)が駆る単車が一息の間に拠点外壁を飛び越え、一度大地を跳ねた後に荒野を滑る。
 視界の端からノアとミラリアが乗った戦車が飛び出すのを一瞥。無機質にも思えるライカの淡々とした声が続いた。
「でもさぁ……」
 否。淡々とした声音が、弾んだ。
「こんな犬のオモチャで、わたしをどうこうしようっていうのは舐め過ぎなんじゃないかなぁあああはははははははは!」
 ガシリと、荒野を駆けるバイクを力強く挟み込む脚。
 その振動は強い。筈なのだが、ライカの一見華奢にも見える手足が宙に放り出される様子はなく。自動操縦に切り替わった単車が走行する上で半ば力技でバランスを保ちながら、腰と背に携えていた鋸剣を彼女は手にした。
 目を引くは狂乱とも取れるその笑い声に乗じ荒々しく揮う、挙動。
 全速で突っ込むライカと眼前から駆けて来た軍用ロボット犬が接敵するのに、何秒もかからなかった。
 唾のように撒き散らした質の悪いオイルと共に飛び掛かって来た軍用ロボット犬。
 対するライカは単車の軌道を脚力で直角に曲げると同時、力任せに薙いだ鋸剣で顎から脊髄にかけて切り開いて吹き飛ばしたのだ。
 ノイズ混じりの断末魔。爆散に次ぐ炎。
「GAAARRLLLLLLL……!!」
 シュタン、という軽い足音。ドリフトめいた急旋回するバイクを囲むように集まって来たロボット犬たちが低くもバグった唸り声を挙げ、一斉に飛ぶ。
 軽い音とは裏腹に、体重と脚力を乗せた鋭い爪を閃かせた一撃が。大型の獣の突進と同等以上の衝撃を以て繰り出された体当りや噛みつきがライカをバイクごと地に落とそうとした。
「――そこ……!」
 だが、その内の二頭が後方から飛来した機銃による掃射を受けて転倒する。
 加えてライカの腕がロボット犬の口腔に半ば叩き付けるように差し込み噛ませると、そのまま単車が加速するのと合わせて雷電を帯びた彼女の手刀がロボット犬の体躯を突き破って棄てた。
 視線を走らせれば周囲を駆けていたロボット犬の何体かが挙動をおかしくしているのが見えた。頭上を飛び交うドローンの姿。ノアが操る後方支援型ドローンである。
(……セキュリティが妙に硬い。軍用だからでしょうか)
 ハッキングによる同士討ちを狙っていただけに、僅かに逸れた結果を見て訝しむノア。
 だがこの場では動きを停められるだけで良い的に出来る。その方法に、限りはない。
「支援します……♪――未来を夢見た あの日の幻 とこしえに 底へと 眠りなさい……!」
 遠くから聴こえて来るミラリアの優しい歌声。
 ともすれば、この戦場下にあっても眠気すら感じる程の鎮静を含んだ音色。しかし時にその旋律は変わり、神秘の歌い手が紡ぐそれは荒野に埋もれた無機物を大地に還すと共に彼女の手となって獣の侵攻を縫い止める。

 ロボット犬の群れの一翼を完全に捉えた中、苛立ちとも憤激とも似て非なる絶叫が電流を纏って奔る。
「お前らは狩る側じゃないっていつになったら気づくんですかねぇええ!! わたしの前に出てきた時点で、お前らなんかただの獲物なんだからさぁぁあ!!」
 二合、三合に渡るロボット犬との接触で勘を得たのか。ついにバイクから飛び降りたライカが全身をバネの様に弾ませて襲い掛かって行く。
 膨大な電流が走り、胸部から閃光が眩く照らす。狂乱めいた中にある確たる殺意が、ライカの膂力を後押しする。
 駆けるライカが通り過ぎる度に爆散して行くロボット犬。
 時にノアが操る戦車がその背を護る様に滑り込みながら、彼女達の銃撃と破壊の音が止まることは無かった。

「さて、小物といえどオブリビオン……一匹たりとも逃さず撃滅します」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レイ・オブライト
機械に詳しい奴がこうも集まるたぁ
ツイてねえな、あいつら

オレはからっきしなんでロボだろうと獣扱いでいく
要は『こう』だが。叩けば壊れるは万物共通だ、シンプルでいい
基本は格闘で応戦。素早いようだが宙での仕切り直しは難しいんじゃねえか。敵が地を蹴り飛び掛かってきた瞬間【Haze】
覇気を打ち付け一瞬怯ませ、追撃を決める狙いだ
囲まれた状況なら同時に『属性攻撃(電気)』を撃ち込んで、一匹を基点に周辺へ放電・動きを鈍らせる策でいく
あとは他が派手にやるだろ

尻尾を巻いて逃げるなら追うほどでもねえってのに。この、いかにも鉄砲玉な動き
お前らの牙は、あっちの畜生(ボス)にくれてやる方が良かったかもな

※アドリブや連携歓迎


ガンズ・ハルモニア
いえーい!最後のオーバーキャノンだぁ!!これはぁ……調子に乗って撃ち過ぎた。最後の一撃は…むぅ、敵?……早業、弾道予測再計算、完了。射角、修正。ふぁいあ(発射)!

適当に拠点外に砲撃。戦車から出る。
最後の一発は…切ない。あ、そうだ、おーい、(遠くの人達に声かけ)

この抜け道、塞ぐなりなんなりした方が良いよー?
あー、整備して緊急避難口か罠にするのも良いかな?まぁ、ご自由に~

『箱呼』発動 じゃ、もう会う事もなかろう!またね!!

空中浮遊、からの高速飛翔
えー本日の天気、雨。拠点外の皆様は降り注ぐミサイルにご注意くださーい!!!良い天気ぃいいいいー

ミサイル・クラスターミサイルによる絨毯爆撃で敵集団に範囲攻撃


黒木・摩那
戦車の次は犬ですか。
犬かー。
犬もかわいいんだけど、やっぱり猫ね。

犬には申し訳ないけど、しっかり狩らせてもらいます。

魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
軍用犬からの攻撃はスマートグラス『ガリレオ』のAIで分析して、
【武器受け】で受け流したり、【敵を盾にする】したり、【念動力】で軌道を逸らして回避します。

のらりくらりと回避しつつ、敵の中心に滑り込んだところでUC【風舞雷花】を発動。
一網打尽にします。




 こういう浪漫もあっていいな、と無邪気に”眼”を輝かせてガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)は大破寸前の大型戦車を乗っ取りながら思った。
「いえーい! 最後のオーバーキャノンだぁ!! これはぁ……調子に乗って撃ち過ぎた。最後の一撃は……」
 少し残念そうに「どうしようか」と。ハルモニアが最後の主砲を少し角度をつけて空に傾ける。
 そこへ、敵襲の報せ。
 グリモア猟兵より聞いていた、サイバーレイダー達一派が自ら襲撃に躍り出て来たのだ。
 ハルモニアが気怠そうな声を上げたのも一瞬。後に、彼女はまたも無邪気な様子で、先行するロボット犬の一翼を己がレーダーで捉えて言った。
「むぅ、敵? ……早業、弾道予測再計算、完了。射角、修正。ふぁいあ!」
 拠点外壁上部スレスレに衝撃波が掠めた直後、地平線から迫って来ていた数体のロボット犬と土砂が撒き上がったのを確認する。
 鹵獲した兵器の運用という観点では正しいが、何という即決即行。適当ながら精度も良い。
 それを実行出来るだけの技量がある。数人同時にハッキングを試みた結果とはいえ、完全にコントロールを奪うまでに弱体化させただけの事はある。
「機械に詳しい奴がこうも集まるたぁ……ツイてねえな、あいつら」
 黒煙を上げて佇むジャンクを見上げ、小さく同情するような笑みを一つ。
 一方、仲間の猟兵が出て行った出入口から見える荒野に視線を移し。レイ・オブライト(steel・f25854)は遠目に見える敵を改めて見据える。
「次は犬か」
 並び立つ黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)もまた反応を示す。しかし腕を組み肘を指でトントンと鳴らす様はどこか不満を感じさせる。
「犬もかわいいんだけど、やっぱり猫ね」
 興味のなさげな反応を見せる摩那の掛けている眼鏡には各種情報、視界奥から迫る敵と自分達の距離などが映し出されている。
 ロボット犬の姿も一部拡大され見えているのだ。その姿はお世辞にも愛らしいとは言い切れない貌なのだから、表情が浮かばないのも当然だった。
 獰猛な唸り声やサイバーレイダー達の雄叫びが届き始める。
 既に大型戦車の残骸から抜け出たのだろう。幼くも愛らしい姿で拠点の端まで向かうハルモニアがふと、思い出したように外壁上部に配置された機関砲に着いた男達へ声を掛ける。
「おーい、この抜け道、塞ぐなりなんなりした方が良いよー? あー、整備して緊急避難口か罠にするのも良いかな? まぁ、ご自由に~」
 一瞬彼女の小さな指が指し示した先に、ホログラム投影された矢印が大きく空に浮かぶ。周囲の何人かの男達がすぐにハルモニアの言わんとする所に気付いた。
 半ば満足そうに頷いたハルモニアは、電子に変えて姿を消す。
「――『箱呼』 発動」
 コール・ハルモニア。
 彼女の意志に呼応するように。先の戦闘序盤でも操っていた大型浮遊箱型兵器が何も無かった空間からその鮮やかなブルーの光沢を、重厚な金属の質感を顕現させた。
 周囲の人間があっけにとられる中、見れば青い髪の少女の姿は既にない。
 箱型の兵器が中央の眼球めいたキューブを瞬かせ、ハルモニアの声を再度高らかに響かせる。
「じゃ、もう会う事もなかろう! またね!!」
 飛翔。そのまま荒野に迫るレイダー達の元へと高速で空を駆け抜け、姿を消す。
 ……彼女が暗に、このままレイダー達を退けると言っていたことに気付いた者は何人いただろう。

●殲滅戦
 鉄砲玉。それも躾のし甲斐が無いような、規律に従い、命令に応じた動きしか出来ない軍用犬。
 ゼンマイ仕掛けの玩具の方がよほど愛嬌がある。
「さて」
 猟兵達が戦闘を開始する一方でレイは後続の群れに向かい歩を進める。
「尻尾を巻いて逃げるなら追うほどでもねえってのに。この、いかにも鉄砲玉な動き――お前らの牙は、あっちの畜生にくれてやる方が良かったかもな」
 ロボットだの軍用兵器だのと見せつけられても、彼が相手に懐くのは見た目通りの認識と感想だけだ。
 事実、目に見える存在を噛み砕くだけが能ならば、何なら獣にも劣る。
「――要は『こう』だが」
 ただ歩いているだけのレイでも、周囲の気配が自身に集中するのを感じ取る。
 無機質な息遣い。切り取られた一瞬、映し出された光景は電光石火に等しかった。
「GAaッ……!?」
 突風。
 地を蹴り、四方から飛び掛かった筈のジャーマン・シェパード達の体躯が不可視の圧力によってその勢いを失う。次いで繰り出されたのは音を置き去りにしたブロウだ。紫電すら奔らせ踏み込んだ巨漢の一撃が、機械仕掛けの獣が開いた無防備な顎を再び閉口させるために打ち上げる。
 振り抜いた拳の勢いは壮絶な破壊音と火花が散る最中に加速する。
 背後からの奇襲を鋭い回し蹴りが刈ると同時。ロボット犬を足蹴にして跳んだレイの丸太の様な右足が、地面を這うように駆けて来たモノを力任せの蹴りつけで吹き飛ばしたのだ。
「GRRRRR……!!」
「……お座りまでは期待してねぇがな」
 瞬く間に数体を破壊したレイを囲むロボット犬がノイズ混じりの唸り声を連続させる。
 その姿に。殺意の籠っていない威嚇に、レイの眼光が鈍く閃く。
「えー本日の天気、雨。拠点外の皆様は降り注ぐミサイルにご注意くださーい!!!」
 頭上から響き渡る少女の声。
 それが誰かなど、レイがロボット犬に拳に纏った紫電を打ち込んだ直後に背後で連続した爆裂が全て物語っている。

 轟音。爆風。
 ハルモニアがクラスターミサイルを降らせたのと同時、紫電が落ちた――その周辺を側撃雷が襲うのを傍目に摩那が剣閃を迸らせる。
「防弾防刃等のスペックは高いようですが、経年劣化によるプロテクター表皮密度や電圧耐久度が下がっているようですね。つまり……急所が存在すると」
 褐色に染まった空の下、美しい黒髪が刃と共に流れる。
 摩那の掛けているスマートグラス『ガリレオ』が羅列した情報は精確に、敵ロボット犬の弱点を示していた。
 視界端で敵を蹴散らしているレイが時折放つ電流に感電した機体がショートを起こしたり、動きを停めているのを彼女は見ている。
 ならばと、この数を相手に堂々と大立ち回りをせずとも殲滅は可能だと摩那は輝くルーンの刀身を揮いながら結論付けた。
「GAAAAAッ!!」
 閃く剣戟の合間に、万華鏡の如く煌めくルーン。ノイズ混じりの断末魔。
「犬には申し訳ないけど、しっかり狩らせてもらいます」
 やはり猫の方がいい。などと脳裏で頷いて。
 砲弾の様に全体重を乗せて飛びかかって来るロボット犬を念動力でいなす片手間、細剣で突き上げた敵を盾にして高速の一撃を防ぎ、あしらう。
 戦場に上がる粉塵が濃くなり、爆散の数が増す。それと比例して、機体の枷を外して高速化して行くロボット犬の群れもまた包囲の層を厚くして来る。
 渦を巻くような陣形で摩那を取り囲むそれを、彼女は僅かに顎を引いて眼鏡のズレを直しながらルーンソードの輝きを一薙ぎの下に放った。
「精度良好――散開!」

 ――それはアポカリプスヘルでは殆ど見られない、花弁舞い散る一陣の吹雪。
 七色に光る無数の花弁は、それぞれが摩那の制御下に置かれた刃である。爆風の如く広がった妖艶なる刃は全て高電圧を帯びたもの。
 風に舞うそれを警戒する間もなく、摩那を中心に咲き乱れた雷花によってロボット犬はいずれも破壊されたのだ。
「派手にやるな、ならついでだ……”種蒔き”でもするか?」
 壮絶な光景が広がる摩那の周囲を見て、閃いた様にレイが跳ぶ。
 後続の群れ。その中から跳躍したレイを追いかける様に躍り出て来るロボット犬等を、冷めた目で見下ろして。
 大きく振り上げた脚を戦斧の如く地面に叩き付けることで放つ、莫大な電流による放電。
 奔った紫電が摩那の放った『風舞雷花』に達した瞬間、七色の光がさらにその範囲を広げ膨大な電流が吹き荒れて爆発する。

「雨のち雷、程なくして虹が見えるでしょう! 良い天気ぃいいいいー!!」

 煌めく爆砕。
 ガンキューブから追撃のミサイルを降らせながらハルモニアは、地上に咲いた大きな花火を見てテンションを上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『サイバーレイダー』

POW   :    パワーアシストアーマー
予め【パワーアシスト機能に充電しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    奪い尽くす者達
レベル×1体の、【タトゥーで額】に1と刻印された戦闘用【機械化レイダー軍団】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    レイダーズシャウト
【略奪を宣言する叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●奪う為に破壊する
 寄せ集めのジャンクパーツを継ぎ合わせた大型バイクが荒野を駆ける。
「お前らァ!! この世は弱肉強食だ! どいつもこいつも、俺たちの食いモンだ!!」
「イエエエェェェァア!!!」
 機械化した肢体。或いは”サイズの合わない”義肢を取って付けたような男達。
 サイバーレイダーと称される彼等は、オブリビオンストームによってその在り方を極端にまで歪めた者達である。
 鉄の棺桶とも呼べるガラクタバイクや車を走らせ、旋律もクソも無いテンションに任せて掻き鳴らされるエレキギターの怪音。
 貴重な燃料すら、己を誇示する為ならぶちまけて火を放つ。先頭を走る頭目の男の前で大手を振って自ら焼身して絶叫して見せるのだ。
 もはや人の形をした獣。
 それこそがサイバーレイダーだった。
「あの拠点を落とせば女も酒も手に入る!! 装備が手に入りゃもう一度暴走戦車くらい手なづけてやれる!
 いいか野郎ども!! この俺が、俺達がこの荒野の王だァッ!! ヒャッハハァアアアアア!!!!」
 外壁に包まれた旧遊園地を機械化された手指が差し示して。
 拠点の防衛が機関砲を乱射してくるも、頭目の男はそれらを左腕で弾くと返す刃の如くバイク側面から取り出したロケット弾で吹き飛ばしてしまう。

 そして。
 拠点前にいる影を見つけた瞬間、頭目の男『アグニス・レ・レ』はバイクを棄てて飛び上がった。
 金属フィンが背部で一瞬羽ばたいた後、派手に腰から抜いた軽機関銃を乱射しながら着地する。後ろから追い付いて来た下っ端どもはその姿を称賛する絶叫を上げたかと思えば、アグニスの周囲にロケット花火を撒き散らした。
「見つけたぜぇぇぇ……テメェら全員、ここでぶち殺してやるぁあああ!! 百ハァッ!!」
 軽機関銃さえ投げ捨てた。
 ゴツゴツに、ゴリゴリに機械化された体のあらゆる角度から刃やドリルを突き出し、背負っていた鉄塊の如きハンマーを振り上げたアグニスは下っ端どもと猟兵達に襲い掛かって行く――!
バン・クロスハート(サポート)
【ボス戦、サポートします!】
「世界を乱すオブリビオンは許しません!」
「貴方は、削除します!」

僕の得物はダブルセイバーですから
前衛に回ってユーベルコードで支援しますね!

【前衛】
ダブルセイバーと具現化するレンガで敵の攻撃を凌ぎます!
動き回って攪乱も狙います

技能:残像、激痛耐性、武器受け、ダッシュ、逃げ足

【支援】
<クローズサイクロン>
武器を回転させて生み出す竜巻で相手の動きを封じます!

<インフィニティクロッサー>
手数が不足している時ならこちらで!
ダブルセイバーを複製し、敵にぶつけます!

<ドラッグオンチート>
強大な相手には身体能力を上げて対応します!


技能:念動力、部位破壊、二回攻撃、ドーピング


ガンズ・ハルモニア
花火だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
『重機兵召喚』発動。ガンソルジャー搭乗・操縦。
上空から重量攻撃踏みつけ。着地。サドンデスカッタースラッシュ!鎧無視攻撃でサイバーレイダーを蹴散らす。

う?始めて?初めまして?こんにちは!!死ねぇええええええええええ!!
ガンマシンキャノンで制圧射撃。
私は豆、貴方はトンカチ!鬼だ!盗賊だ!レイダーだ!!ゲームしよ!!

背部に追加されてた大型遠距離狙撃武器・単発式爆弾発射カタパルトを展開
キレイなキノコ雲ができるよ!どっちが耐えるられるか試してみよう!
ブースターで機体を吹き飛ばして接近、からの焼却大型爆弾発射。
敵もろとも自爆。継戦能力で耐えきる。




「花火だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
 紫電と光電が交わり爆裂して暫く、その絶景に喜んでいたガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)に向かい地団駄を踏む男が叫ぶ。
「見つけたぞぁあ……見つけたぜ発見したぜ、この野郎がァアッ!!」
 サイバーレイダー頭目にして拠点襲撃首魁。一部の拠点においては”お尋ね者”として知られているアグニス・レ・レが怒号を上げ、手下達を前に出させる。
「ひゃっはー!」
「う? 始めて? 初めまして? ……こんにちは!! 死ねぇええええええええええ!!」
「ぇぇえっーー!??」
 空中でフワフワと浮きやがって。そんな罵声を浴びせながらガンキューブ形態のハルモニアの周囲に集まるレイダー達。
 しかしハルモニアの間の抜けた声と態度からはまったく別の、突如箱型大型兵器の姿が虚空に消えたと思った瞬間。入れ替わりに重量級人型兵器がレイダー達を一部叩き潰しに降下してきたのである。
 情けない悲鳴も一度だけ。即座に重機兵『ガンソルジャー』に搭乗したハルモニアをレイダー達が怒号を上げながら取り囲む。
 だが、どう見てもそれは無謀に等しい。
 それでも気付いたのは、手下達の奥で殺意を煮え滾らせていたアグニスただ一人だった。
「馬鹿野郎が、そいつは木偶じゃねぇッ!」
「私は豆、貴方はトンカチ! 鬼だ! 盗賊だ! レイダーだ!! ゲームしよ!!」
 ハルモニアのガンソルジャーが大きく金属音を鳴らし、その両腕部に連結されたナイフとガンマシンキャノンを同時に振るった。
 コン、という軽い音に悲鳴が連続する。背部ブースターを噴射させて加速したハルモニアのガンソルジャーがその腕を振り抜いただけで、ナイフは躱しても質量の差で鉄塊に殴り付けられたレイダーが宙を錐揉みして吹っ飛ぶのだ。
 ハルモニアが駆るガンソルジャーは地を滑り、追加ブースターを吹かしながら地表を軽く跳躍する。
「サドンデスカッタースラッシュ!」
「チィッ……! テメェら、距離を取って蜂の巣にしてやれ!!」
 牽制。吹き飛んで行く手下を見上げ舌打ちをしたアグニスだが、ハルモニアの撃つマシンキャノンの制圧射撃に怯んで追撃に出られない。

 代わりにその他の手下達がアグニスより後方から次々に銃撃を繰り返して行く。
 飛び散る火花。しかしその損傷が少ないことに苛立ったアグニスが、更に踏み込もうとしてその足を止めた。
「なんだゴラァッ!」
「くっ……!」
 後ろへ迷いなく振り抜く一閃。鉄塊のハンマーが風を切った後に、地を這うかの如く姿勢を低くしたバン・クロスハート(一×十Χのガーディアン・f23853)が咄嗟に躱したそのハンマーを下から切り上げて弾いた。
 ただの脳筋と見ていたが、勘が良いらしい。
「この戦い、介入させていただきます!」
 屈んだ姿勢から発条仕掛けのように、その手が操る両刃剣を回転させながら飛ぶ。
 横合いから差し込まれるマシンキャノンによる射撃に足を止められ、苛立ちからアグニスの咆哮が空気を震わせる。
「ザッケンな、オラァアアッ!!」
「っ、スー君……!」
 踏み込み、やぶれかぶれにも薙ぎ払われたアグニスの剛腕をバンが念動力で受け止めた。バンが『VW-ダブルクロッサー』を回して弾き返す。飛び散る火花に混ざる新緑の光は、彼の武装が削られたものか。
 小さなモーター音が幾つも連なり、次いでアグニスの体躯を包むパワーアシストアーマーに外付けられた凶器の数々が凶悪に駆動して、至近で襲い掛かる。
 だが、それを背後から差し込まれた銃撃が。四方八方から突如顕現したバンのダブルクロッサーを複製した物が一斉に突き立てられたのである。

「ち、ィ……メンドくせぇ! フラスコチャイルドか何かかァ……ッ!?」
 念力でバラバラに操作された両刃剣の暴威に怯み、大きく体勢を崩しながら後退するアグニスは不意に天を仰いだ。
 バンに気を取られている間、ハルモニアの駆るガンソルジャーの肩部に見慣れない大型の重武装が生えている事に気付いたのである。
 中空のガンソルジャーから幾度と耳にした、あの幼くも破天荒な声が響いた。
「『大型遠距離狙撃武器・単発式爆弾発射カタパルト』――展開。
 ――――キレイなキノコ雲ができるよ! どっちが耐えられるか、試してみよう!!」
 聞き終える前からアグニスは脇目も振らずに逃走していた。
 あの無邪気を装ったモンスターは絶対にヤバい。仲間もいるだろうこの戦場で何という戦法を取ろうとしているのか。
 アグニスは例の如く手下達を殴り付けてバイクを数台手繰り寄せる。
 同時。
 なけなしのバリケードを咄嗟に組んだアグニスの眼前に高速で接近して来たハルモニアが、展開されていた焼却大型爆弾を至近距離で発射した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●まだまだァ!!
 大気を震わせる程の衝撃。
 小さなキノコ雲が褐色に染まった空に昇る最中、焦熱地獄から帰還したサイバーレイダー頭目・アグニスは焦げた外骨格内蔵デバイスを幾つか棄てた。
 焦げた土に落ちる複数の注射器。
 アーマー下で焼け爛れた肉体を再構築する際に生じる、脳内麻薬の過剰分泌によってアグニスはグラつく視界を”多少星が散っている程度”に抑えて首を鳴らした。
 近くに寄せた手下の殆どが吹っ飛んでしまった以上、後続が来るまで孤立する事は避けられない。唯一の幸運はここまでの手傷を与えた相手が今暫くは、その『手番』を譲ってくれるだろうことか。
「クソがァ……俺はこんな所で終わるタマじゃねえ」
 グローブに張り付いた鉄塊のハンマーの柄を握り締める。
 肩を慣らす様に、ハンマーを幾度と振り回して。アグニスは叫んだ。

「まだまだァッ!!」
 脚部内蔵のモーターが駆動し、アグニスの巨躯が大地を滑る。
 その殺意は未だ健在だった。
四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【部位破壊】で急所や腱を狙い、更に【傷口をえぐる】。
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

あと、虫が苦手


ドイル・グラップラー(サポート)
性格は粗野で大雑把、他人の名前を覚える気がなく『そこのちっさいの』等適当に判別が付きそうな感じで呼びます。
死にそうな人が居れば助ける程度の良心はありますが、判断基準は死ぬかどうかです。
どちらかと言うとツッコミ型
基本的に筋肉ゴリラで脳味噌まで筋肉な適当に走っていって殴る、というシンプルな行動を好みますが、状況に応じてその辺の物を投げ付けたり野生の獣レベルの作戦行動は取ります。
その辺の物や人を拾って投げ付けたり殴り付ける、盾にする等、他人との連携を取る場合は物を使う行動を取る事も良くあります。
連携等は御随意に。NGは特にありません。




 殺意と戦意は異なる色を有しているものだ。
「すぐに終わってしまってはもったいないですわね」
 とりわけ、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が副人格であるシルヴァーナの放つ圧は、ドロリとした粘り付く様なそれである。
 濛々と立ち昇る粉塵舞う戦場。荒野を駆ける少女の姿は半ばその白い髪の描く軌跡しか見えない。
「すばしっこいッ、女ッ、がァッ……!!」
 視界を横切る白髪の軌跡を捉えるや否や、瞬時に後ろへ腕を振り抜いてナイフの切先を弾く。
 速度と威力だけの、拳での横殴り。しかし、サイバーレイダー頭目アグニス・レ・レはシルヴァーナの残像を掻くばかりで捉え切れない。
 大きく舌打ちをするアグニス。
 直後、機械化されゴツゴツとしたアーマーを駆動させてその体躯を飛び退かせたアグニスの足下を、何処からか投擲されたバイクが着弾した。
「本当に勘のいい奴だ、直接殴った方が早そうか」
 もう一台、乗り捨てられていたレイダー達のバイクを持ち上げていたドイル・グラップラー(殴る人・f24734)が首を捻って。半ば適当にバイクを投げつけてから走り出す。
 参入。乱戦。
 アグニスという男は腐っても武闘派なのだろう。思えば暴走戦車さえ手懐けた背景を思えば恐らく、弱くはないのだ。
 シルヴァーナの凶刃が各急所を狙う間にもドイルの剛腕が打って来る最中、サイバーレイダー頭目は退きこそすれど致命打を受けることは避けていたのだから。
「ふたりとも、焔のお人形さんに気をつけてねー」
 そこへ、無邪気な声が僅か後方から差し込まれる。
 カシャンと軽い響き。四王天・焔(妖の薔薇・f04438)が操るゴシックに包まれたパペットが乱戦の間合いへと入り込む。
 流れるように切り裂くシルヴァーナの刃、荒々しく叩き込まれるドイルの拳。殺到する濁流が如き勢いを受けながら後退していたアグニスの足が、その場に縫い止められる。
「……!!」
 既に先の戦闘で痛い目を見たばかりであるアグニスにとって、動きを一瞬でも制限される事は何よりも避けがたい。
 だが、遅い。
「咲きませい紫陽花の焔!」
 有象無象の荒野の蟲ケラだけならば、どれほど蹴散らすのが容易いか。
 アグニスを包囲するに至った焔の操るからくり人形はくるりと花咲くように舞い、その糸引く主から伝い流れて来た妖気が膨らみ、爆炎となって閃いた。

 ――――PiPi――
「~~!? ッソ、がぁ!!」
 青紫の炎の渦、その中心でアグニスの纏う機械仕掛けの鎧が悲鳴の代わりに無機質な電子音を鳴らす。耐久値の限界に達したか、或いは危機的状況に反応したものか。
 激昂。怒声を挙げながら大地を踏み砕いてハンマーを振り回すサイバーレイダー頭目を前にして尚、猟兵達は更に追い詰めるべく距離を詰め、踏み込んで行く。
 アグニスは駆動鎧と接続したメタリックバイザーの下で唯一『生身』である額に太い青筋を幾つも浮かべる。
「……何してやがる、テメェらぁああああああ!!! 制限解除ォッ!! こいつらを、ぶち殺せぇぇぁあああ!!」
「――あまり、大きな声を出さないで下さいまし」
 懐に忍び込んだシルヴァーナのナイフが逆袈裟に一閃される、が……その刃が喉笛を切り裂く前に挟み込まれた腕が防いだ。
「ドラァアア――ッ!!」
 刹那、瞬時に頭上から振り下ろされたドイルの一撃が大地を穿ち、大量の土砂を撒き上げた。
 岩の如きダブルスレッジハンマーが起こす、爆撃に等しい破壊力である。妖艶に宙返りをしながら土砂を躱して退くシルヴァーナは目の前の光景に目を細めて微笑んだ。
「あの方々……とっても元気なのですね」

 バラバラと降り注ぐ土砂の向こうを指して焔が言う。
 激しい戦闘の間にも近付いて来ていたサイバーレイダー達が、遂に自らの頭目の下へ集結していたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒木・摩那
さぁ、やっと出てきましたね。
今までは遠くから見てるだけで、さぞフラストレーションが溜まっていることでしょう。
でも、それは私達も同じこと。
直接お会いできて感激です!

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
UC【獅子剛力】でサイバーレイダーを絡めとったところで、
大車輪にぐるぐる回して、
大地や壁にサイバーレイダーをびったんびったんに叩き付けます。
ついでにボス諸共にレイダー達も巻き込んで一掃しちゃいましょう。

さすがに頭目を張っているだけあって、頑丈ですね。
どこまで耐えられるか、試してみましょうか。


レイ・オブライト
前々から気になってたんだが、お前らのそのノリは遺伝子レベルのもんなのか?
いや、真似できねえと思ってよ

覇気+格闘で応戦
部下が集まってきているなら一体ずつ相手より『衝撃波・地形破壊』で地面を砕く、岩雪崩に巻き込む等してボス狙いの巻き添えにする
向こうも派手な戦いをしてきそうだな。攻撃は避けるより格闘で弾き、打ち合いの最中に攻守のパターン掴む試み
決めの大振りに合わせ『怪力』で掴み取り、武器伝いに『属性攻撃(電気)』を流し防御を遅らせることが叶えば
逆の拳で【一撃必殺】
正面から打ち砕いてやりてえところだ

お前らが荒野の……なんだっけか
どうせ人間をやめるなら、死なねえ機能でも積んどくんだったな

※アドリブ他歓迎


ライカ・ネーベルラーベ
この何もない荒野で、王様気取って何になるのさ
「お山の大将やってるだけなら好きにすればいい。でも自分達が最強者だと振る舞うなら……この程度の試練潜り抜けてみせるんだね」

【Donner突撃/チェーンガンブレード四刀流】でバイクの体当たりと武器の連続攻撃を仕掛けるよ
手数が正義って教えてあげる
「ホラホラホラぁ!ちゃんと全部捌かないと死んじゃうよぉアハハハハハハ!!」
雑魚?跳ね飛ばせばそれで終わり
勢いを削ぐ盾にもなりやしない

「さあ、あんたのメカ(からだ)の力はそんなもんじゃないでしょう?どっちかがぶっ壊れるまで徹底的にやろうじゃないか!」


ノア・フラグメント
見えない所からこそこそしていたようですが……ようやくお出ましですか。
逃げずに出てきてくれたおかげで手間が省けます、それだけは感謝しましょう。

それにしても、随分ボロボロですね……まぁ手負いの獣ほど面倒な物はいませんし。
接近戦が得意そうですし、近づかれては困るので容赦なくあるだけの弾を撃ち尽くしましょう。別に車外に出て戦っても構わないんですが……面倒な事をやる必要もありませんからね。

さて、残念ながら貴方の暴挙もここで終わりです、次はありません。



●Round Fight!
 後続のサイバーレイダー達は集結する。
「ヒャァッホォオオオオウッ!!」
「さすがボス! 卑怯にも奪還者が複数で囲んで来ても余裕だなんて、パねえソウルだぜ!」
「ボスに続け!! ボスの下に集まれや!! ヒャッハー!!」
 殺到する機械化レイダーが口々に自分達の頭目を賛美する言葉を叫びながら、絶叫と共に銃や火炎放射をめちゃくちゃに乱射していた。
 中には特に意味のないロケット花火が連射され辺りを派手に着飾る、その彼等の行動にレイ・オブライト(steel・f25854)並びに猟兵達が呆れたように目を伏せた。
「前々から気になってたんだが、お前らのそのノリは遺伝子レベルのもんなのか? いや、真似できねえと思ってよ」
 高鳴るエンジン音。
 サイバーレイダー頭目アグニス・レ・レの下に集まった軍団は、己の力を誇示するようにひたすらに騒ぎ立て、暴力こそが全てだと全身で語っていた。
 その光景に振り返ることもせず、猟兵達と戦闘を開始したアグニスは高らかに叫ぶ。これこそが荒野に君臨する王の"力"なのだと。
 見れば、機械化レイダー達の中で何人かが互いのパーツを寄せ合い、冒涜的にさえ思える無機の融合を果たしていたのだ。
 『数』を棄ててでも力を求める。
 その雑で歪な、分かり易い帰結に。目の当たりにした猟兵の中からアグニスに視線が向かう。
 暫しの後。肩越しに黒煙立ち昇る拠点を一瞥し、視線を戻した一人の少女はレイと同様に首を振った。
「お山の大将やってるだけなら好きにすればいい。
 でも自分達が最強者だと振る舞うなら……この程度の試練潜り抜けてみせるんだね」
 誰に言っているのかは分かっているだろう、と。荒い息を吐きながら構えるアグニスと視線が一瞬交差する。
 先の戦闘で破壊したロボット犬の残骸をグシャン、と。ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)の跨るバイク『Donner』がエンジンを駆動させた瞬間に踏み潰した。
 戦場に満ちる殺意、怒気が、サイバーレイダー達から漂い流れて来たのをライカは静かに感じ取る。
 彼女はチェーンガンブレードを振ってそれを散らす。この何もない荒野で、王様を気取って何になるのか、と。

「さぁ、やっと出てきましたね」
「逃げずに出てきてくれたおかげで手間が省けます、それだけは感謝しましょう」
 やや俯瞰する位置。
 ノア・フラグメント(記憶の残滓・f24530)が『ツェルベルス1A1』車内でCユニットの調整を手動で行う片手間に、各機器に脳波コントロールをも用いて最高水準へと自己強化を施していく。
 その傍ら。
 車外を映していたモニターの中で、戦車の砲塔に立った女が揺れる。
「今までは遠くから見てるだけで、さぞフラストレーションが溜まっていることでしょう――でも、それは "私達" も同じこと」
 しきりにスマートグラス『ガリレオ』を通して移り変わる景色を観察しながら、戦況を把握し終えた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が吹き抜ける風に黒髪を流して呟いた。
 集結した敵戦力。言い換えるならば、これで決まりだった。
 猟兵も一人や二人ではない。冷静に見て、フルヘルスの猟兵が有する戦力ならば集結したレイダー相手ならどれほど集まろうと物の数ではなかった。
 では、この戦局で例外があるとするなら――アグニスの号令によって合体を果たしたサイバーレイダーがどれだけの戦力と成ったかに因るだろう。
 そんな時。思案を巡らせ、僅かに流れていた膠着の中で突如銃声が響き渡る。
「ではそろそろ、始めましょうか」
 急発進する戦車の上から軽やかに黒蝶が飛び立つ。
 ――わかりきったことだ、敵に作戦もクソも無い。
「ヒャーハハハハァ!!」
 下卑た、昂った感情のままに引き金を絞りフルオートで弾丸がばら撒かれる。
 空気を走る弾丸の音。耳元を裂くそれに動じず、速度を増した単車のエンジン音が低く嘶いた。
 加速し、誰よりも先に駆け抜けるバイクの上で――X字に火花が散る。
「ホラホラホラぁ! ちゃんと全部捌かないと死んじゃうよぉアハハハハハハ!!」
「ひっ、ぎゃはぁあ……ッ!?」
 数秒前まで美麗で大人しかったその顔立ちが、凶笑を浮かべていた。まさしく突撃の姿勢を取ったライカの前に立ち塞がるレイダー達だったが、その気迫と狂った笑い声に一瞬気圧されてしまう。
 狙いのブレた銃撃に怯むことなく。直前で車体を滑らせたライカがチェーンガンブレードを駆動させ、縦横無尽にレイダー達を撫で切りに掻き乱して行く。
 銃撃が少女の軌跡を追うが、しかしその思惑は即座にノアの差し込んだ砲撃によって打ち砕かれる。
「全門発射……!」
 走り抜ける戦車が唸り声を上げる。

 狂笑と悲鳴が連続する中――戦場に雷鳴が轟き、連なり重なった。
 血飛沫とタールが入り混じる狂騒の狭間を跳び抜け、意識の外からレイダーの一人を錐揉みさせたのは踊る紫電の一矢だ。
「威勢が良いのは構わないがな。急に通夜みたいな面になるのは笑えねえぜ?」
 ライカの胸部で『メガリス』の稲光が如き閃光の軌跡と交差して、レイの腕から伝い伸びた銀の鎖が覇気を纏って揺れる。
「てめーらの飼ってた犬の方がよっぽど元気に尻尾を振ってたぞ」
 紫電纏う鎖が弾かれた様にしなり、次いで唸り声と共に幾本に分かれてレイを囲う――それは覇気と紫電が渦巻いて形成される一柱。訳の分からない光景を生み出した彼に、周囲にいたレイダー達が狼狽えた。
 直後、僅かに体重を浮かせて振り被った拳を柱の中心に位置する足元へ向け打った瞬間。一条の雷と莫大な衝撃波が地盤を割り、粉砕され畳返しの様に吹き飛んだ土塊と岩石が雪崩れ込んだのである。
「ひぎゃああああぁぁぁぁ…………っ!!!」
「大した芸だ、ウチの犬どもと遊んでくれた礼も兼ねて相手してやるぁあ!!」
 衝撃波と岩雪崩に飲まれる手下達を踏みつけ、サイバーレイダー頭目アグニスがハンマーを振り上げて襲い掛かる。
 さらに、ボスに追随して来た合体して強化されたレイダー達が、スレッジハンマー振り上げロケットランチャーを撃ち込もうとしていた。
 岩と岩が衝突するかのような。稲妻が奔ったかのような音が鳴り響く。

 切り取られた光景。
 ハンマーを潜り抜けドロップキックでアグニスを打ち上げるレイの後ろ、バイクの前輪が鼻面にめり込んだ強化レイダーが、それぞれ周囲の仲間を巻き込んで跳ね飛んで行った。
「がッは、グホァ! 畜生がぁ……ッ」
 途中、強化レイダーの潰れた鼻に蹴りを入れて体勢を立て直したレイダー頭目アグニスがその手を止める。
「……あァッ!? なんだコリャア」
 握るハンマーの、先端……正しくは鉄塊と柄の隙間に。ワイヤーが見慣れない物と共に絡み着いていた。
 引いてもビクともしない感触に訝し気な声を漏らしたのも束の間。
「ごきげんよう――直接お会いできて感激です!」
 ワイヤーが伸びている先へ視線を移したのと、妖し気に笑みを浮かべた摩那の声が聴こえたのは同時だった。
 アグニスの視界がブレる。純粋な膂力ではない不可視の力、黒髪の少女がその手にある糸を手繰り寄せた瞬間に、機械化され超重量となった大男の体が宙へ投げ出された。
 手を離そうとしても、見れば既にハンマーと手は別のワイヤーが巻き付いている。引き千切る暇は、無い。
「ふッ――!」
 回る世界。
「こ、ッの……ッんンッッぐぬぅぅああああ!?」
 華奢な摩那が巨躯のアグニスを振り回し、容赦なくその体を大地に打ちつけ、手下達に殴りつけて勢いよく投げ放つ。
 漸く解放されたと思いきや、砲弾の如く地面に打ち込まれたアグニスが今度こそ悲鳴を上げた。
 次いで土塊の下から飛び起きたアグニスの怒号が、手下達を喚び集める。
「さすがに頭目を張っているだけあって、頑丈ですね」
 思わず称賛の声を上げる摩那だが、最早残った手下も数体の強化レイダーだけである。
 すなわち数による戦力は失われたのだ、ならば当然――。
「ぐッ、うおおお!?」
 辺りに立ち込めていた粉塵が晴れる。
「さあ、あんたのメカ(からだ)の力はそんなもんじゃないでしょう? どっちかがぶっ壊れるまで徹底的にやろうじゃないか!」
 強化レイダーが、正面から摩那の横を抜いて駆け抜けて来た一台のバイクの前輪を受け止める。
 騎乗するライカが鋸剣を薙ぐ。下っ端ごとき眼中にないなど、言うまでもない。
 車体下から退こうと動いたレイダーだったが、その刹那。突如嘶いた銃撃・砲撃によって、一切の慈悲無く薙ぎ倒されていた。
 強化レイダー達の視線が揺らぎ、その意志が崩れかける。

「さて、残念ながら貴方の暴挙もここで終わりです、次はありません」
 駆ける戦車。
 宣言するように、ノアの声が響いた。その声音は淡々としていて、サイバーレイダーよりも余程無機質だ。
 だがそれは彼女が万に一つの油断も無く、アグニスを手負いの獣と見て警戒している為だった。
「な……嘗めやがってェ……ッ!!」
 ノアの警戒は果たして確かなものだった。
 ダメージは無視出来ぬレベルにまで蓄積されたものの、未だアグニスは健在である。猟兵と相対してこれなのだから、相当に運が良いと言っていい。
「まだ元気そうですね。どこまで耐えられるか、試してみましょうか」
「『試す』って言っても一回きりだろうがな」
 摩那の微笑が、ライカの狂笑が、サイバーレイダー達の気を逆撫でする挑発めいたその言葉が一つ。それで火蓋を切るには充分だった。
「死ねやオラァアアッ!!」
「邪魔だ退けぇ!」
 戦車からの精密砲撃が、ライカの鋸剣が、強化レイダー達をその場から退場させる。
 全速で駆け、高速で旋回しながらのドリフト射撃にも拘らず。強化レイダーの振り下ろした一撃の軌道を計算し、車体角度を合わせることで見事に衝撃を逃がしたツェルベルス1A1が至近で砲撃をお見舞いしたのだ。
 貫通した砲弾が土砂を噴かす。
 土塊のカーテンを破って躍り出て来るは、二体の強化レイダー。
「力場開放……!」
 迫るレイダー達の魔手が伸びるも、その手は地面と共に沈む。
 摩那が解放した特殊な念動力場が彼女の神秘を後押しして、その手が操る超可変ヨーヨー『エクリプス』を伝い変則的かつ避けようのない一撃を繰り出す。
 驚愕に見開く男達が宙を舞う。
 傍らでロケット弾を撃とうと構えた強化レイダーもいたが、まるでクイックドローさながらの砲撃によって為す術もなく血飛沫を上げて錐揉みしてしまっていた。
「なにしてやがる馬鹿どもがぁ……!」
 引き摺られ、挙句に吹き飛んで来た強化レイダー達をハンマーで殴り飛ばしたアグニスが激昂のままに突っ込んで来る。
 男は忘れていた。
 この時既に……彼は一人になっていたことに。

 距離を詰めるサイバーレイダー頭目アグニスの前に、一対の雷光が衝突する。
 衝撃波さえ散らして、今更何を口に出すまでもなく。振り抜かれたハンマーを鎖で絡め取りながら防いだレイの隣で、バイクを加速させたライカが激しい駆動音と共に鋸剣を突き出した。
 バギン、と。何かの部品が削り取られて飛ぶ。
「『つ か ま え た』」
 空白の刹那に囁かれた少女の声。
 突き出された機械腕が、ライカの背と脇から一瞬飛び出した副腕に軌道を逸らされて。返す刃にライカがチェーンガンブレードを二本叩き込んだ。
 ドロリとタールのような物がぶち撒かれる。
 しかし止まらない。バネの様に身を反らしてから放たれたアグニスの回し蹴りを、腰から抜いたもう一対の鋸剣でライカが受け止めたのだ。一瞬、口笛が鳴る。
 剣を二本生やしたまま全力で地面を穿とうとするアグニスをレイが側面からのブロウで止める。弾かれる。
 一瞬で両者の間合いが開き、開いたその距離が詰まる。紫電が唸りアーマーを爆ぜ飛ばすも、レイの頬をアグニスの拳が切り裂いた。
 轟音と衝撃が入り乱れて。更なる衝撃が大気を震わせるのだ。
「こうなりゃ、死んででも……」
 怨嗟の声。
 瞬間。ライカとレイの二人が同時に、横薙ぎに揮われた蹴りを飛び越え、地に伏せ躱す。
 駆け抜ける暴風と耳鳴りは、それが音速を越えたものだったと報せる。しかしアグニスにとって不運にも――それだけで通用する相手ではなかった。
 全力にして最強の一撃。ドン、と地を踏み砕いて回転鋸のように頭上から振り下ろした巨木の一撃に等しい踵落としが、強靭なワイヤーが間に挟まれたことによって威力を殺されたのだ。

「なっ……」
 それは初めて出された、本当に呆気にとられた声だった。
 張り詰めた糸。そこに添えられた傷だらけの腕と、鋸剣――繰り手である摩那が、同時に電撃を流したのだ。
 複数の電撃が重なり、奔る青白い電磁波が遂にアグニス・レ・レに直撃し、その強靭な機械鎧を停止させる――!
「お前らが荒野の……なんだっけか。
 ――どうせ人間をやめるなら、死なねえ機能でも積んどくんだったな」
 それは『デッドマン』ゆえの冗句だったのだろうか。或いは偶然か。ライカがほんの一瞬狂笑に歪んでいた目元を綻ばせた気がした。
 刹那に駆け巡る数瞬前の記憶。
 視界の奥に佇んで砲口を向けている戦車から聴こえた、ノアの放った言葉がアグニスの脳内に木霊した。
 次はない。とは、どういう意味だろう。

 レイの突き出した必殺の一撃が、飛び込んだ砲弾が、サイバーレイダーに堕ちた男の心臓部を貫き飛ばす。
 糸の切れた人形のように落ちるその瞬間。
 男は最後に容赦無く振り下ろされた、鋸剣の残酷な刃を目に焼き付けて逝くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト