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女神がくれた夏休み

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み #テテュス島

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●グリモアベースにて
「みんな、水着コンテストは楽しんだ? あの島も楽しかったけど、みんなのおかげでグリードオーシャンにはオブリビオンから解放された島がたくさんあるの」
 エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)が集まった猟兵たちにそう笑いかけると、グリモアベースには紺碧の海と青い空、白い雲が広がる風景が映し出される。
「いつも全力で依頼に当たってくれてるでしょ? たまには夏休みってことで思いっきり遊んだって罰は当たらないわよ?」
 こんな風にたくさんの島々がオブリビオンの脅威から解放され、地図も広がっているのは全て猟兵たちの努力によるもの。ならば胸を張って遊んでいいというものだ。
「あたしが以前依頼で予知した無人島……テテュス島って呼んでいたんだけど、眠っていたメガリスは回収されたから、自由に過ごすことができるわよ」
 この島の神殿には、かつて船の守り神とされた船首像が眠っていた。それは神話の女神を模したもののようだったので、水にまつわる女神の名前を島の名前として呼ぶことにしたのだった。
 もとはUDCアースから落ちてきた島なのだろうか。神話を思わせる廃墟の神殿は来訪者の歌を欲していた。今はその扉は再び固く閉ざされているが、せっかくなので神殿の周囲や浜辺で歌を歌ったり、楽器を演奏するのもいいだろう。神殿の中にはたくさんの宝物が眠っていたが、その周りにもところどころに宝物が落ちているようだ。探せば、楽器なども見つかるかもしれない。
「無人島だから必要なものは持ち込んでね。泳ぐのはもちろん、魚釣りだって花火だってできるわよ。ただ夜は真っ暗だから気を付けてね」
 過ごし方は自由自在。海で思いっきり遊ぶのも、何もせずにまったり浜辺で過ごしたって構わない。
 しばらくすればまた戦いに赴かなければいけないかもしれないけれど。
 束の間の夏休み、あなたはどう過ごすだろう――。


湊ゆうき
 ※このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。
 ※このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 この夏は某無人島で過ごすゲームをしようと思っています。わくわく。

 以前のシナリオにちなんで、音楽などどうですか? という感じですが、全く気にせずどう過ごしていただいても構いません。ただ無人島なので、ほぼ何もないです。が、廃墟神殿の周りにはわりと都合のいいものが落ちていると思います。持ち込むか、拾うかどうぞ。神殿の中に入ることはできません。
 時間帯の希望があればご指定ください。なければ昼間となります。
 お誘いがあった場合のみエリシャがご一緒させていただきます。
 同行の方がいらっしゃる場合はその旨お書き添えください。
 無人島でのひととき、どうぞお楽しみください!

●テテュス島『N02E16』
『廃墟神殿に眠る女神像』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22718
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アニエス・ベルラン
ビビ(f06666)と同行

暇だし海にでも、と思って来たのはいいけど…
やはりこういうところは一人で来るものじゃないね。ぼっちというのは寂しいものだ
仕方ない。持ち込んだ釣り用具で釣りでもしてようか

…おや?ビビ君じゃないか。君も来ていたんだね
君も一人なのかい?君さえよければ、ぼくと一緒に釣りでもどうだい?
まあ、現状は君以外釣れてはいないわけだが…何、釣りというのは根気よく待てばいずれはだね…(長いうんちくタイム)

…ふふふ、ここまで一切魚がかからないとはね
やるじゃないか魚。ぼくの釣り糸に一切引っかからないとは…
…ってビビ君、引いてるよ!
慌てないで。落ち着いて…
ほお、中々大物じゃないか。素晴らしいよ


ビビ・クロンプトン
アニエス(f28971)と同行

折角水着もあるし、海に来てみたけど…
…一人じゃどうしたらいいのかわかんないや。どうしよう…

…あ、アニエスさんだ。何してるの?…釣り?私が釣れたってどういうこと?
…私も一緒に?うん、ありがとう…
…アニエスさん、お話、長い…

…?なんか、釣竿が重くなったような…
え、魚がかかってるの?…どうしようアニエスさん、私どうしたらいいか…
ええと、ここをこうして…?ゆっくりと、落ち着いて…?
わ、釣れた。やったよ、アニエスさん。結構大きい、のかな?

…アニエスさんはやっぱり、何も釣れてないんだね
…「余計なこと言うな」って?



●釣りは根気強く
 降り注ぐ日差しが眩しくて、金の瞳を眩し気に細めたアニエス・ベルラン(自称知識人の幼い老婆・f28971)は、改めてやってきた無人島を見渡した。それほど大きな島ではないが、島の中央に廃墟と化した神殿があるのが海岸からでも見えた。この神殿に眠っていたメガリスはもう既に回収済みということで、今はただ平和で穏やかな時間が流れている。
 せっかくの夏。ちょっと時間もできたので、海にでも遊びに行ってみるかとアニエスは軽い気持ちで訪れたのだが……。
「……やはりこういうところは一人で来るものじゃないね」
 他の猟兵が砂浜や海で遊んでいるのを横目に、ぼっちの切なさを噛みしめる。外見だけで言うならば、UDCアースで言うところの小学生ぐらいにしか見えないアニエスだが、実際には相当長く生きている魔法使いの妖怪なのだ。小さな女の子が一人なら他の猟兵も声をかけてはくれるだろうが、子ども扱いされるのもいい気がしないので、アニエスは準備してきた釣り道具を持って、魚が釣れそうな岩場へと移動した。

 同じ頃、海岸を一人で歩く少女がいた。
 紺碧の海と同じ色合いのビキニタイプの水着のビビ・クロンプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)は、辺りで楽しむ他の猟兵たちを見ながら、当てもなく歩いていた。日差しを受けて煌めく長い銀の髪に色白の肌。女神の名を冠する無人島に顕現した女神のようにミステリアスな雰囲気を纏っている。しかしその表情はこの長閑で明るい風景の中においても、特段感情を覗かせてはいない。
(「折角水着もあるし、海に来てみたけど……」)
 泳いだりした方がいいのだろうかと思うけれど、それも一人ではなんだか違う気がして。
「……一人じゃどうしたらいいのかわかんないや。どうしよう……」
 ビビに人間らしい感情が残っていたら、この海も他の仲間たちと一緒に楽しめたのだろうか。
 ごく一般的な家庭の一人娘として育ったビビの毎日には平凡な幸せが確かにあった。しかしそれは脆くも崩れ去る。妻を亡くしたことをきっかけに父の心は壊れてしまったのだ――大切な娘をサイボーグに改造してしまうほどに。父はその後、病でこの世を去った。けれど、一度失った人間らしい感情がビビに戻ることはない。
 そんなことを思いながら歩いていると、砂浜を抜け、岩場までやってきていた。
「……おや? ビビ君じゃないか。君も来ていたんだね」
 聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには見知った顔があって。
「……あ、アニエスさんだ。何してるの?」
 ちょうど持ち込んだ道具で釣りを始めたところだったアニエスは、こちらも知り合いに会えてほっとした表情を見せる。
「君も一人なのかい? 君さえよければ、ぼくと一緒に釣りでもどうだい?」
 年長であることと、生来の面倒見の良さも相まって、そう声をかけていた。
「……釣り? ……私も一緒に?」
 そういえば何か道具を持っているのはわかったが、用意されたバケツの中には魚が一匹も入っていないようだった。その視線の意味するところを察したアニエスは、それでも自信たっぷりにこう言った。
「まあ、現状は君以外釣れてはいないわけだが……今始めたところだからね」
「私が釣れたってどういうこと?」
 網や釣り針にかかってはいないけれど、とわずかばかり表情を変えたように見えるビビに、アニエスは、まあまあと余裕たっぷりに別の釣竿を差し出す。
「君も一緒に釣りをすればいいってことさ」
「うん、ありがとう……」
 差し出された釣竿を受け取るが、どうすればいいのか実はよくわからない。とりあえずアニエスの方を見て同じように釣り糸を岩場の下へと投げてみる。
「……これで、釣れるのかな?」
「何、釣りというのは根気よく待てばいずれはだね……」
 そうしてアニエスのうんちくタイムが幕を開けた。
「釣りといっても様々な釣り方があってね、初心者でも楽しめるサビキ釣りや投げ釣りというのがおすすめで……」
 どこまでも饒舌なアニエスの長い長い話は休みなく続き――。
「……アニエスさん、お話、長い……」
 ビビがその長い話をそれでも聞かなければいけないのだろうと耳を傾けている間に、しばし時は経ち――。
「……ふふふ、ここまで一切魚がかからないとはね」
 しかしアニエスの顔に焦りはない。
「やるじゃないか魚。ぼくの釣り糸に一切引っかからないとは……」
 なんなら魚たちを褒め称えたりなんかして。長く生きているだけあって大人の余裕である。
 その隣でじっと釣り糸を垂らしていたビビは、不意に釣竿に重みを感じる。
「……ってビビ君、引いてるよ!」
「え、魚がかかってるの? ……どうしようアニエスさん、私どうしたらいいか……」
 見よう見まねで釣りをしていたから、アニエスが釣ったらどうするかを見てそれを真似しようと思っていたのだが、まさか先に釣れるだなんて予想外だったのでどうしていいかわからなくなる。
「慌てないで。落ち着いて……」
 アニエスはビビに近づき、一緒に竿を持っては丁寧に魚の釣りあげ方を指示する。
「ええと、ここをこうして……? ゆっくりと、落ち着いて……?」
 なんとか釣りあげた魚はまだバタバタと暴れていたがしっかりビビの手元にある。
「わ、釣れた。やったよ、アニエスさん。結構大きい、のかな?」
「ほお、中々大物じゃないか。素晴らしいよ」
 アニエスに褒められ、ビビも悪い気はしない。人間らしい感情は消えたと思っていたけれど、こういった日常の中で少しずつそれらを取り戻せているのかもしれない。サイボーグになってから食事をすることはないけれど、自分で釣った魚を食べるというのはきっと楽しくて美味しいものなのかもしれないと考えてみる。
 そんな調子で釣りを続けていたのだが。
「……アニエスさんはやっぱり、何も釣れてないんだね」
 しばらく経ってもぴくりとも動かない竿を見て、ビビはぽつりとそう呟く。
「だから初めに言っただろう。釣りというのは根気よく待ってこそ成果があるというもので……」
「……長く生きてると忍耐力もつくんだね」
「む、それは年寄り扱いというやつかな? いいかい、そもそも最近の若者というのは……」
 余計なことを言ってしまったと思ったがもう遅い。
 アニエスの長い長いお小言めいた自称ためになる話は、次にアニエスに魚がかかるその時まで終わらないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティファーナ・テイル
SPDで判定を
※アドリブ歓迎

『スカイステッパー』で飛翔したり、海の中を泳いで回り『ゴッド・クリエイション』で海神ポセイドンを創造して海の生き物や海に喜ばれる物を作り出して「海と皆の楽しく賑やかで盛り上がろう!」と檄を上げます!
『エデンズ・アップル』で海産物や魚介類の好きな物を創造して海にバラ撒きます。

イルカや猟兵や海の生物で見た事が無いものに興味を湧かされて積極的に近付き話したり遊んだり、料理を食べて楽しみます!

「ボクは神様だから、できる事があったら何でも言ってね!頑張るからさ!」と言うと海神ポセイドンが“そう言う安請け合いして丸投げするんだから、止めてって聞いて無いよね…”と涙眼で笑ってます



●蛇神娘の夏休み
「へーえ、女神の名を持つ無人島かあ……これはケトゥアルコワトゥル神であるボクにぴったりだね!」
 背中から生えた金色の翼を羽ばたかせ、ティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)は【スカイステッパー】の力も借りて、空の高みからテテュス島を見下ろしていた。
 金の髪と瞳を持つ美しい少女の下半身は蛇神らしく金の鱗に覆われた蛇の尾。胸元と腰をわずかに覆い隠す銀色の布はスタイルの良さを引き立たせ、その魅惑的な肢体には他の女神さえも嫉妬してしまいそうだ。
 ぐるりと島の上を一周すれば、島の真ん中に廃墟となった神殿があるのが見えた。かつてあの神殿にメガリスが眠っていた時には、来訪者の歌を欲したというが、ティファーナはこの島に……いやこの海に喜んでもらうことをしたいと考えている。
「海のみんなー、遊びに来たよー!」
 空中から高飛び込みのように美しい軌跡を描いて海に飛び込むと、蛇の尾を活かしてすいすいと泳いでいく。
 美しいサンゴに小さな魚たち。ひょっとしたらイルカだっているかもしれない。中には見たこともない魚もいて、ティファーナは金の瞳を好奇心に輝かせる。
 この海の生き物たちにもっともっと喜んでほしい。ティファーナは【ゴッド・クリエイション】で海神ポセイドンを創造する。人間より大きな姿となったポセイドンは魚が産卵しやすいように水草や藻、岩場などを作り出していく。魚たちにとってはこれはありがたいようで、くるくるとまるでダンスを踊るようにティファーナとポセイドンの周りを泳ぐ。
「海と皆の楽しい時間……賑やかに盛り上がろう!」
 このダンスに海の生き物が次々と参加する。大きさも様々な魚たちが群れをなしてぐるぐると回って踊りだす。
「あ、イルカだ!」
 楽しそうな様子が水中越しに伝わったのか、イルカもこのダンスに加わった。
 賑やかな水中の舞いに満足し、海から上がると今度は浜辺を見渡す。スイカ割りやバーベキューなどをする猟兵仲間たちを見つけると、興味を持って近づいていくティファーナ。太陽神の隙を見て天界を飛び出した彼女には、まだまだ知らないことがたくさんある。こんな風にお祭りめいた賑わいと活気が大好きなのだ。
「ボクは神様だから、できる事があったら何でも言ってね! 頑張るからさ!」
 料理を分けてくれた仲間にそう笑いかけると、そばにいたポセイドンの顔が強張る。
『そう言う安請け合いして丸投げするんだから、止めてって……聞いて無いよね……』
 なんだかんだと実行するのはポセイドンのようで。涙目でそれでも笑う様子に今までの苦労がしのばれるのだった。
「あ、あそこに釣りしてる人がいる。あんまり釣れてないみたいだから……お手伝いにいこうかな!」
 ポセイドンの言葉を聞いているのかいないのか。ティファーナは明るい笑顔でそう言うと、また宙へと躍り出るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
可能ならエリシャさんもお誘い♪

お魚料理食べながら
演奏したりダンスしたいなぁ!

この島だと見た目に綺麗なお魚多そうだし
海に潜ってお魚ゲット頑張るね
食事場所の準備は
【サモニング・ガイスト】で田中さん召喚して
お願いしちゃうよ

準備できたら楽しくパーティー♪

私、皆の演奏に合わせて踊っちゃう♪
こないだの探索でゲットした鈴飾りも使っちゃうもんね♪

ふふ、ホントに動くたびに鈴が揺れて音がすごくキレイ
これはテンション上がっちゃうね

踊りは鈴を活かしてベリーダンス風に!
何?物足りない?
観客は胸を含めたセクシーさを所望だと…?

よしわかった、その辺は魅力的なエリシャさんを巻き込めば解決だ!
エリシャさーん、一緒におーどろー!


神坂・露
レーちゃん(f14377)とエリシャ(f03249)さん。
島だし水着で。今年は大胆に真っ赤なビキニ。
無人島だから飲み水と麦わら帽子を持っていくわ。

「エリシャさん~♪」って手を振るわ。久々だもの。
随分前に観光したいねって言ってたの思いだして彼女を誘うわ。
別の世界のじゃあないけどヨコウレンシュウってヤツよ♪
神殿の辺りを中心に…かしらね。楽しみだわ~♪
こーゆー神殿の雰囲気って心が落ち着くのよね。
なんでだろ?あたしの本体が石だから?
見回っている時に落ちてた宝物を拾ったわ。
…その幾つかが楽器…よね?この島って?
「歌を聞きたい神殿だったのね…素敵♥」
折角だし3人で演奏を。上手くないかもだけど。


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)とエリシャ(f03249)で。
黒ビキニの上下に白パーカー。日傘と飲料水。

露の案で島を…神殿周辺を散策するようだ。
島は日差しが強いだろうから日傘を差すぞ。
エリシャとは…暫く逢ってなかったか。
「久しぶりだ。壮健そうで何より」
目を細め微笑むが…はて。驚いた…?
(答:普段絶対にしないことをした)

神殿を巡りながら建造物の趣を味わう。
城もいいがこんな神殿も中々いいな。
ほう。演奏で神殿が反応を。面白いな。
露も気分が向上しているようだ。本能だろうか。

「? 楽器…?」
さっきから拾っていたのはこれか。
何?折角だし三人で演奏を?
私はしたことが…わかった。
その代わり下手だぞ?(お任せ)
やれやれ。


アカネ・リアーブル
夏です!
海です!
エリシャ様、泳ぎましょう!

綺麗な砂浜に水着で駆け出して
思い切り水を掛け合ったり砂のお城を作ったり
浮き輪にしがみついて足がつかなくてちょっとドキドキしたり
フローベッドで日光浴していたら沖合に流されそうになって慌てて戻って笑い合って
そんな楽しいひとときを過ごしたいです!

思い切り遊んだらおなかがすきました
バーベキューの支度をいたしましょう
普段あまり触れない魚介類をおっかなびっくり捌いて
炭火でこんがり焼けばもうごちそうです!

キャンプファイヤーに合わせて音楽を
アカネは踊りましょう
今日はずっとアカネの中で引き篭もっていた茜姫に声掛けを
もう怖いものはありませんよ
茜姫の舞いを見せてくださいませ



●女神がくれた夏休み
 夏らしい明るい日差しが降り注ぐ海岸を、子犬のような少女がこちらに向かって走ってきていた。
「エリシャさん~♪」
 麦わら帽子をかぶった神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)が、長い銀髪を揺らし手を振りながらこちらへと駆けてくるのに気付いたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)も笑顔で手を振り少女を迎える。
「ふふ、露も遊びに来てくれたのね……とすると……」
 いつも一緒にいる親友の少女の姿を探せば、日傘をさし、露とは対照的にゆっくりと歩いてこちらにやってくるシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)の姿が目に入る。
「もちろんシビラも一緒よね。来てくれて嬉しいわ。せっかくのバカンス楽しみましょうね」
 極寒の地で育ったシビラにとっては、夏の日差しは眩しく強烈なのだろう。透き通るように白い肌を守る日傘をさしてはいるが、黒いビキニに日差しよけの白いパーカーを羽織ったバカンススタイルにエリシャはにっこりと微笑んだ。
「久しぶりだ。壮健そうで何より」
 エリシャの前まで来ては目を細めて微笑むシビラ。それは極めて珍しいことだということに気付いたエリシャは、驚きに目を丸くした。
「え、今、シビラ笑ってくれたの!? えーもうめちゃくちゃかわいい! 露じゃないけどぎゅってしたい!!」
「じゃああたしがぎゅってする~」
 露がいつものようにシビラを抱きしめるが、シビラにとってはその反応は意外だったようで。
「そんなに驚くことだったのか……?」
「意外だったってだけよ。とっても嬉しかったの」
 微笑むエリシャに露がそうだ、と話を切り出す。
「ねえねえ、エリシャさん。随分前に観光したいねって言ってたでしょ?」
 昨年の秋に神戸の街に行った時のように、またどこか観光したいとバレンタインの時に話していたのだ。
「別の世界のじゃあないけど、ヨコウレンシュウってヤツよ♪」
 露の言葉に覚えててくれたのね、とエリシャも喜ぶ。
「この島には神殿があるのだったか」
「そうね。でも神殿の見学はあとにして、せっかく二人とも水着だもの……少し海で遊びましょ」

 海ではすでに夏を満喫する仲間がたくさん。
「夏です! 海です! エリシャ様、泳ぎましょう!」
 砂浜に現れたエリシャに、水着コンテストでも注目を浴びていた愛らしい桃色の水着のアカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)が満面の笑みでそう誘いかける。オラトリオの翼を持つ天使のように愛らしい少女は、露とシビラに気づくとぺこりと頭を下げた。
「露様にシビラ様……アカネの宿敵が関わった依頼ではお世話になりました」
「ああ、あの時の……もう一人同じ顔の少女がいなかったか?」
「茜姫は今はちょっと休んでいて……あとでまた出てきてくれると思います」
 シビラの問いに、アカネはちょっと曖昧に微笑んで。年頃の少女はいろいろとあるのだ。
「アカネちゃんにエリシャさん、今から泳ぎに行くの? 私は今から魚をゲットしに……」
 ショートパンツと桜色のギンガムチェックのトップスという動きやすく夏らしい装いの榎木・葵桜(桜舞・f06218)が二人に声をかけ、そしてあるものを目にして愕然とした表情で固まる。
 露の大胆な真っ赤なビキニ姿と、シビラのシックな黒のビキニ姿。
「露ってばなかなか大胆ね……でもすごくよく似合ってるわ」
「だってせっかく島だし、夏休みだし~」
 エリシャがそう言えば、露はえへへと笑う。葵桜の視線は確かに二人のビキニで止まっていた。いや、ビキニがよく似合う豊満な胸に。
 身長は葵桜よりも小さいし、見た目の年齢も年下に思える。なのに、なぜあんなに出るべきところは出て、引っ込むべきところは引っ込んでいるのか。思わず自分の胸と見比べ、そして思わずため息をついてしまう。
「おかしい……パリピ島でチチガミサマの加護を分けてもらったはずなんだけど……!」
「葵桜様、神仏の加護はきっとゆっくりと効果を表すものなのです」
「そっか、そうだよね! 気を取り直して……お魚獲ってくるね!」
 はたしてその加護に期待していいものかはさておいて。水着姿になった葵桜は元気に駆け出して行った。
「さあ、皆様。思いっきり夏を満喫しましょう!」
 アカネが率先して海へと駆け出すと、あとからやってきたエリシャに透き通る海水をかける。
「ふふ、冷たくて気持ちいい!」
 きゃっきゃっとじゃれあうように水をかけあって遊んだり、浮き輪で足の届かない場所まで泳いでみたり。
「シビラはこっちの方がいいのね」
 海から上がったエリシャがそうシビラに笑いかける。ビーチパラソルの下で日に焼けないように砂で城を作るシビラ。その横で露が一生懸命作っているのは、シビラの姿のようだった。
「うふふ、レーちゃんの砂のお人形ができたわ~。とっても自信作よ」
 思い思いに海を楽しんで。時にはアカネがフローベッドで日光浴中に沖合に流されそうになるちょっとした事件が起こったりしつつも、みんなで遊んで笑いあって時間が過ぎていった。

「葵桜ちゃん、お魚たくさん獲れた? わ、すごい!」
 海に潜った葵桜が獲った魚を入れていたクーラーボックスを覗き込んでエリシャは目を丸くした。
「こんなに獲れるものなのね。葵桜ちゃん泳ぎも上手だから」
 昨年もこうして葵桜とスペースシップワールドのリゾート船で海を堪能したことを思い出し、エリシャはにっこりと微笑む。
「見た目に綺麗なお魚がいっぱいいたんだ~。それにしても大漁だったなあ。女神さまの加護があったのかな?」
 それは、この島を訪れた神であり猟兵でもある仲間がくれた贈り物でもあるのだが。何も知らずに笑いあう二人は、その素晴らしい釣果に胸を張ってみんなのもとへと戻る。
「食事場所の準備は田中さんがしてくれてるんだ」
「まあ、ありがたいけど、田中さんともちょっと海で遊んでみたかったわね」
 葵桜がユーベルコードで召喚する古代の戦士の霊の田中さんは、あらゆることを器用にこなす素晴らしい存在で、依頼でもいつも大活躍をしているのだ。
「あ、葵桜様お戻りに……すごい、大漁ですね!」
「ふっふっふ、たくさんお魚ゲットしてきたよー!」
 田中さんとバーベキューの準備をしていたアカネは、獲れたての魚ににっこり。色鮮やかで綺麗な魚もたくさん。
「パリピ島とはまた違いますね」
「うん、ギョロ目とかはいなかったかな……」
 そんなこんなでアカネと田中さん、エリシャでバーベキューの準備をしている間に、露とシビラは廃墟神殿のそばを散策することに。葵桜も前に来たことがあるので、案内役を買って出る。
「UDCアースから落ちてきた島なんじゃないかって言われててね」
 廃墟神殿のそばまでやってきた葵桜は、二人にそう説明した。神話を思わせる造りの朽ちかけた神殿。中には宝物もたくさんあったが、メガリスの影響もあって亡霊などもいた。
「こーゆー神殿の雰囲気って心が落ち着くのよね」
 露はそう口にして、ふと首をかしげる。
「なんでだろ? あたしの本体が石だから?」
 ブルームーンストーンのヤドリガミである露だからこそ感じる心地よさなのかもしれない。神性を帯びた場所には、精霊もたくさんいる。あらゆる精霊と仲がいい露だからこそ、よりそう感じるのかもしれない。
「城もいいがこんな神殿も中々いいな」
 柱一本にしても、そこに建造物ごとの特色が表れる。それを丹念に観察し、シビラは頷いた。本の中の知識で得られるものも多いが、こうして実際に目にしてみるのもやはりいい。それこそが観光の醍醐味だ。
「この神殿ね、みんなで歌ったり演奏したりしたら扉が開いたんだ。不思議だよね」
 あの時はみんなで歌ったり踊ったり楽しかった。歌で扉が開くなんて今考えてもやっぱり不思議ではあるけれど。
「ほう。演奏で神殿が反応を。面白いな」
「歌を聞きたい神殿だったのね……素敵♥」
「そうそう! あ、探せばその辺に楽器とか落ちてるかも」
 前も落ちてたんだよねーという葵桜の言葉に、露は先ほど歩いている時に拾ったものを見つめる。いくつか拾ったが、これはひょっとして楽器だろうか。
「あ、それはカスタネットだね。ふふ、他にもあるんじゃないかな」
 葵桜の言葉に露が辺りを探すと、今度は小さめの横笛が。
「? 楽器……?」
 その近くで、シビラもまた別のものを拾っていた。銀色の細い金属の棒が三角形の形をしている。
「あ、それはトライアングル。近くに叩く棒もあるんじゃないかな……あったあった!」
 同じ銀色の棒を見つけ出し、シビラに手渡す葵桜。シビラは不思議そうにそれらを見て銀の棒で少し叩いてみる。澄んだ高い音を立てて、綺麗な音色が響く。楽器の演奏は専門外だが、露はわくわくとした瞳でこちらを見ている。
「……その目はなんだ」
「みんなで演奏したら楽しそうだなって♪」
「じゃあみんなで食後に演奏とダンスだね! きっとこの島や神殿も喜ぶんじゃないかな?」
 楽器なんて演奏したことがないのに。その言葉を飲み込んでシビラはやれやれと小さくため息をついた。

「皆様、お食事の準備がととのいました!」
 アカネが笑顔で三人を出迎える。魚介類のバーベキュー。獲れたての新鮮な魚や貝に海老など、串に刺して炭火で焼いたそれらからはいい匂いが立ち上っている。魚をさばいたりする経験は少ないアカネだが、田中さんが丁寧に教えてくれたのでおっかなびっくりではあったが、きちんと捌いて焼くことができたのだ。料理まで完璧にこなす田中さんに、エリシャもいろいろと教えを請いたいと思ってしまったほどだ。
「神殿どうだった? あら、また何か落ちてたのね。あたしもさっき楽器拾ったのよね」
 露とシビラが拾った楽器や宝物を見せてもらいながらエリシャも先ほど拾ったという小さな竪琴を見せる。
「旅にはお土産も大切だしね」
 昼間しっかり遊んだからすっかりお腹はすいていて。みんなでおしゃべりをしながら美味しくバーベキューをいただくのだった。
「楽器もあるようですし、みんなで演奏をなさりますか?」
 食後、薪を集めて作ったキャンプファイヤーの炎を見つめながら、アカネがそう提案した。
「うん、せっかくだから演奏してみたいなあって思ってたんだー」
「私はしたことが……」
「ね、レーちゃん?」
「……わかった。その代わり下手だぞ?」
 一応やったことはないということを告げてみたが、先ほどから露は楽しみにしていたのだ。言っても無駄だとすぐに思い直す。
「あたしも演奏は得意分野じゃないのよね……」
 弾くだけは弾けると思うんだけど、と竪琴を手に自信なさそうなエリシャに、葵桜がにこにこ笑顔で親指をぐっと立てる。
「だいじょーぶ! 楽しみたい気持ちが大事なんだよ。ね、アカネちゃん?」
「はい、そうだと思います。アカネと茜姫は踊らせていただきますね」
「あら、茜姫も踊ってくれるの?」
 今日は一日アカネの中で引きこもっていた魂の親友。アカネの呼びかけに応えた茜姫はユーベルコードの力を借りて姿を現す。
「……必要だとおっしゃるなら、踊らなくもないですわよ?」
 少し恥ずかしそうに頬を染め、ぷいと横を向く黒髪の少女。
「もう怖いものはありませんよ」
「こ、この神殿で亡霊に襲われたとか、そんなこと気にしてたわけではありませんからね!」
「わかっております。さあ、茜姫の舞いを見せてくださいませ」
「じゃあ私も踊るねー♪」
 三人の舞い手の登場に、楽器演奏組はどんな音楽がいいのかと顔を見合わせる。
「だいじょぶだいじょぶ、なんでもオッケー!」
 露は横笛を、シビラはトライアングル。エリシャは竪琴。そして田中さんにもカスタネットで加わってもらう。
 楽譜なんてない即興のメロディ。それぞれが思うままにかき鳴らすだけの音楽だとしても、不思議と楽しくて、なんだか息があって、思わず笑顔になってしまう。
 アカネと茜姫は舞扇を用いて優雅な舞を。二人の呼吸は合っていて、その美しさに思わず目が釘付けになる。
 葵桜はこの神殿の中で手に入れた、アカネや茜姫とおそろいの鈴飾りを活かしたベリーダンス風。動くたび鈴が揺れ、澄んだ音をたてる。アカネと茜姫がつけた鈴も舞の動きに合わせてそれぞれ奏でられる。
 思わずテンションが上がって気分よく踊っていた葵桜。自分がイメージするベリーダンスのようにちゃんと踊れていると思うのだが、ふと何かが足りないと感じる。
「なんだろう……何かが物足りない……」
 ベリーダンスの衣装は水着のようにおへそをだして、スカートの裾から太ももがちらりと見えたりするセクシーなもの。
「胸を含めたセクシーさが必要……?」
 むう、と自分の胸元を見つめる。残念ながらまだチチガミサマの加護は葵桜の元に届いていない。
「よしわかった!」
 葵桜は頷くと、竪琴をなんとかかき鳴らしていたエリシャに笑顔で手を伸ばす。
「エリシャさーん、一緒におーどろー!」
「え、踊るの?」
「そうそう!」
「じゃあ、シビラと露も踊りましょう?」
 楽器の演奏がなくなれば、鈴の音色がしゃんしゃんと鳴り響き。次に葵桜の歌声が明るく響き渡る。
「神殿も喜んでるのかな?」
「上手い演奏でもないのに喜べるものなのか……?」
 露の言葉にシビラは首を傾げるが、それでも演奏はなんとなく楽しかったし、踊るのも今なら悪くない気がした。
 歌声が徐々に重なっていき、最後にはみんなで歌ってみんなで踊っていた。
「茜姫、楽しい思い出が増えましたね」
「そ、そうね、おばけの記憶を消してくれるくらいには……」
 三人でおそろいの鈴をつけて踊ったことがほんとはとても嬉しかったのだけれども、茜姫は目をそらしながらそう呟くのだった。

 女神の名を冠する島でのひと夏の思い出が、きっとそれぞれにとって色褪せない大切な記憶となるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月05日


挿絵イラスト