強いられた革命(作者 里音
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 処刑台に、首が転がる。
 跳ね飛ばされたそれが重く、生々しい音を立てるのを聞きながら、こぼれたのは溜息だった。
「敵前逃亡は罪だと、まだ理解していないとは思わなかったわ」
 不甲斐ないことね。失望を声に乗せて吐き出して、女海賊は見守るように並ぶ存在に声高に告げる。
「挑まぬ者に栄光はない。恐れる者に幸福はない。さぁ、次の相手は誰!」
 その声に、その場にいた者達は一斉に我こそはと叫ぶけれど、その顔は一様に恐怖に怯えているようだった。
 ――その島は『彩煌』と名がついていた。けれどその由来を知る島民は、ほとんどいない。
 知るような島民は、この島を支配するコンキスタドールによって、殺されてしまったから。
「そう、そう、そうよ! 挑んできなさい、勝ってみなさい! そうでなければ、生きる価値すらもないわ!」
 己が最強である事を知らしめるために。そのためだけに、命をかけた戦いを強制する『掟』が、彼らを蝕んでいた。


 グリードオーシャンのとある島。そこを支配するコンキスタドールを倒してほしいとグリモア猟兵ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は深く頭を下げた。
「この島に敷かれた掟は、常に戦うこと。どのような手段でもいい、首魁であるコンキスタドールを討ち果たす事を、強いているのです」
 真の栄光を掴み取れ。始めは、ちょっとした力自慢を誘う程度に聞こえていた。
 けれどその実、戦いに破れた者も、戦いに挑まぬ者も、全てを殺してしまう悪辣な『掟』なのだ。
「今正に、その首魁に挑むことを強いられ、殺されようとしている方々がおりますの。彼らは闘技場のような空間に集められて、逃げることも許されないまま、無為に殺されようとしていますの」
 それは、命知らずの強者が自主的に集ったわけではない。コンキスタドールを討ち果たさんと決起に満ちた者でもない。
 目につく者を全て呼び集め、戦いを拒む者を順に殺していった結果残った、命を永らえるためだけに無謀な戦いに挑もうとしている者達ばかりなのだ。
「一先ずは集められた島民の方々を退避させる事が肝要かと思いますが……そのために、皆様に強者としての振る舞いを披露していただきたく思いますの。」
 戦うための空間であっただろう闘技場は、最早血なまぐさい処刑場と何ら変わらない。
 そしてその場所から島民を救うにも、敵前逃亡を良しとしない『掟』に縛られた彼らは、こちらの思うように避難してはくれないだろう。
「戦えぬ者を虐げを殺して強者とは、到底言えますまい。――そう言った、あちらの心理を利用し、上手く敵の目を皆様に向けることができれば、皆様が戦っている限り、島民への被害は無いかと思いますの」
 戦果を横取りされたくないから下がらせろ。などと言えば、避難誘導としてはより効果的かもしれないとソフィアは言う。
 逆に奇襲の類は勧めない。そうすることで、『開戦』と判断され、島民達が一斉に武器を手に戦いだそうとするかもしれないから。
「此処は一つ、皆様に格好良く名乗りを上げて挑んで頂くなどして頂きたく思っておりますの」
 ヒーローのようで素敵でしょう、と穏やかに微笑んで、ソフィアは道を開くべく、グリモアを展開した。


里音
 海で泳いだことのない里音です。グリードオーシャンでの冒険です。

 強者を求めるなら自分と戦えと敵の意識を惹き(冒険)、それならばまずはこいつらをとけしかけられる集団敵を退け、ボスに挑むという流れになるかと思います。
 ボスは最初から現地におりますが、OPでも言及しましたが奇襲はお勧めしておりません。

 今回は場合によってサポートさんもお招きしつつ、頂いたプレイングを時間の許す限り即時でお届けしていく方針で勧めてまいります。※時間がかかることもあります。
 途中の章からの参加も歓迎しております。

 二章以降、断章も適宜挟む予定でおりますが、待たずにプレイングを送って頂いても大丈夫です。
 皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『処刑台からの脱出』

POW処刑の場に割って入り、力ずくで執行を止める
SPD執行を待つ受刑者を手引きし、密かに脱出させる
WIZ演説や煽動で島の人々を率い、処刑への一斉反対を行う
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
ここに来るまでに既に殺されてしまった奴も居るのか
胸糞悪い話だが…せめてここに居る島民だけでも
助けてやらないとだな

その為にまずは一芝居うつ
綾は血も涙もない戦闘狂(…まぁ戦闘狂なのは素だが
俺はただのしがない舎弟
そしてドラゴンの焔は
見せしめの為に綾に殺される哀れな生贄
…綾にも焔にもクソみたいな役をさせて申し訳ないが

綾に言われるがまま
焔を成竜に変身させ処刑台へ
綾のナイフが焔に到達する瞬間
焔は悲痛な叫び声を上げながら
うつ伏せるように倒れ込む
※実際には傷が付いていないのを隠す為

…ったく、演技とは分かっているが
やっぱり心臓が止まりそうになるな
綾をよっぽど信頼していないと出来ない作戦だ


灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
生きることは戦うこと、俺もそんな生き方をしていたから
その価値観は共感するところがある
でもそれは他人に強制するものじゃない
俺のようなろくでなし同士だけで殺し合えばいい

俺はただの通りすがりの戦士さ
郷に入れば郷に従えって言うし
掟に従う――つまり戦う準備はいつでも出来ているよ
少なくともここに居る骨の無さそうな
人達よりはよっぽどいけてる自信あるよ?
まぁ言葉だけじゃ信用出来ないだろうから…梓

呼び出させた焔へ向けて躊躇せずナイフを投げつける
「屈強な竜をも殺せる男」とアピールする為に
でも、予めUCを使用してナイフに
「焔の身体を透過する」性質を与えておいたから
実際には焔が傷付くことは無い



 血の匂いがする。恐怖からくる興奮を掻き立てているのは、きっと、むせ返るほどの匂いのせい。
 すん、と一度鼻を鳴らし、嗅ぎ慣れた気のするそれにわずかに瞳を細めながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は群衆の間をすり抜けてコンキスタドールである女海賊の前に立つ。
「生きることは戦うこと、俺もそんな生き方をしていたから、その価値観は共感するところがある」
 それを、他人に強制するものだとは欠片も思っていないけれど。いまは、飲み込んで。
 そういうものだろう、と。同意をするような声は、静かでありながら不思議と通った。
 ――いや、その堂々とした振る舞いが、周囲を瞬間的に黙らせたのだ。
 へぇ、と興味を示すような顔をした女海賊は、値踏みをするように綾を見る。
 真正面から睨み合う綾の背後から、恐る恐るという雰囲気で場に立ち入ったのは、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)。ちらりと視線を向けてくる女海賊に、梓もまた、睨むような視線を返してやる。
「島の人間じゃないね。一体何者?」
「別に何でも良いだろう。俺はただの通りすがりの戦士さ」
 あっちは舎弟、と視線だけで梓を示しながらゆるりと笑ってみせた綾は、ぐるり、周囲の様子を見渡しながら口遊むように言葉を紡ぐ。
「郷に入れば郷に従えって言うし、掟に従う――つまり戦う準備はいつでも出来ているよ」
「ふぅん?」
「少なくともここに居る骨の無さそうな人達よりはよっぽどいけてる自信あるよ?」
 にこにこと笑みを浮かべながらの綾に、島民達の間には負けじと声を上げるべきかと悩む様子が伺える。しかし、彼がそのまま戦ってくれるなら、それを見守るという名目で己を差し出さなくて済むのだということも、理解しているのだ。
 すぐ傍で小さく震えている、武器なんか初めて持ったような青年を横目に、梓は眉を寄せる。
(胸糞悪い話だが……せめてここに居る島民だけでも助けてやらないとだな)
 もう既に殺されてしまった者が居るという事実は覆らない。だからこそ、だ。
 そのために必要なのは『綾がいかに戦うに足るか』を主張することである。
「梓」
 事前に打ち合わせたやり取りをなぞる声。
 かすかに肩を震わせ、躊躇うような素振りを見せてから、梓は綾の前に、ドラゴンの焔を呼び出してみせた。
 地に立つ瞬間、巨大な成竜へと变化した焔が空気を震わせるような声で鳴くさまを見上げ、綾はナイフを取り出す。
 獲物を前に、サングラスの下で爛々と瞳を輝かせているのを主張するように、にぃ、と口角を上げて。
 躊躇なく、振りかぶった。
(――クソみたいな役だな……)
 綾の強さを証明するために、贄として捧げられるドラゴン。
 その構図に苦い顔をする梓の表情は、女海賊にはどう映るだろう。
 ドラゴンを呼び出す力がありながら綾には逆らえない。そう、見えているなら。
 ――何処にいても、君を捕まえる。
 小さく、小さく。己だけが聞こえるほどの声で唱えた綾の手から、ナイフが放たれて。
 それは、焔へと容易く届き、その身を貫いた。
 急所を的確に射抜くナイフに、悲痛な叫びを上げた焔は、ずしりとうつ伏せに倒れ伏す。
 息を呑んで、小さな姿に戻ったドラゴンを抱え上げる梓を尻目に、綾はこれでいかがという風に女海賊を振り返った。
「へぇ、やるじゃない!」
 久々に興奮したよと弾む声が、綾を評する。
 ドラゴンを前に臆さないなんて、確かに骨がありそうだ。
 それに武具の扱いも長けていて。何よりも。
「殺すことに躊躇がない」
「それは勿論、俺のようなろくでなしは、殺し合いには縁があるからな」
「あはは! そう、それはいいね!」
 愉快げに笑う女海賊を睨むように見ながら、梓は抱えた焔をそっと隠す。
 何故なら、実際の所、焔に傷はついていないのだ。綾のユーベルコードが、任意の物体――焔を透過する性質を、ナイフに与えていたから。
 派手に鳴き、大仰にうつ伏せ、すかさず抱え隠したが、彼女の様子を見るに、気付かれてはいないのだろう。
(……ったく、演技とは分かっているが)
 それでも、あの瞬間は心臓が止まるような思いだった。
(綾をよっぽど信頼していないと出来ない作戦だ……)
 キュー。小さな小さな、自分にだけ聞こえる相棒の声に、改めてその無事を確かめた梓は、険しい表情は崩さぬまま、安堵の息を、吐くのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

亞東・霧亥
先に殺された奴等は、運が無かったとしか言えない。

【UC】
受刑者と執行者の間に立つと、受刑者を載せたまま大地を持ち上げる。
出口まで運んだら受刑者に降りるよう指示。
全員が降りたのを確認したら、大地で出口に蓋をする。

・殺気、属性攻撃
雷迅の刃に雷を纏わせ、殺気を放つ。
「これで邪魔者は居ない。思う存分殺り合おう。」



 不思議な興奮と異様な静けさの佇むその場所に、ふらり、立ち入ったのは亞東・霧亥(峻刻・f05789)。
 女海賊と周囲の『挑戦者』である島民を見比べるように見た後、彼らの間に割り込み立った。
「貴方も挑みに来たのかしら」
「そうだな、だがその前に……」
 女海賊を見据えた後、くるり、振り返って島民達の前にしゃがみ込む霧亥。
 最前にいた島民が一歩後ずさった次の瞬間、彼の――彼らの足元の地面が、ごそり、えぐられた。
「え、な、なに……」
 文字通り割れた地面が、持ち上げられる。そのまま処刑場と化した闘技場から離れていくのを目にした島民達は、動揺したように口々に声を上げた。
「ど、どこに連れて行こうっていうんだ!」
「俺たちは戦うんだ、戦わなきゃ……」
「少し黙ってろ」
 人間が立つ地面ごと持ち上げて運ぶなんて言う途方も無い力を持つ霧亥の言葉に、島民達はびくりとして押し黙る。
 このまま放り捨てられるのか。それとも、助けようとしてくれるのか。判別できない以上に、助けを期待しているなんて顔をしては女海賊が何をするか。
 不安に言葉を継ぐんだ彼らを大地越しに見上げ、出入り口へと到達した霧亥は、そこに、入ってきた時には居なかったはずの異形が佇んでいるのを見つける。
 島民が逃げ出さないように。見張りと、逃亡者を即座に殺すための配置だろうか。ため息を付きながら、地面をその場に降ろした。
 ずしん、と重い音と共に出入り口まで強制的に後退させられた島民達へ、霧亥はひらりと手を降る。
「邪魔はしないでくれよな」
 そうしてまた、向き合った女海賊は、露骨に不機嫌な顔をして霧亥を見る。
 何のつもり、と問いたげな表情へ向けて、霧亥が差し向けたのは、刃だった。
 ばちり、と刀身に爆ぜる雷を纏わせて。向ける眼差しに、殺気を乗せる。
「これで邪魔者は居ない。思う存分殺り合おう」
「へぇ……?」
 値踏みをする眼差しが、女海賊から少しだけ不機嫌を取り除く。
 地面を島民ごと持ち上げるような怪力の割に、扱うのは刃と来た。
 ――あぁ、これは、面白そうだ。
「そうね、貴方に免じてあの人達は後回しにしてあげる」
 その方が最大限の力を出した貴方を倒せるってことでしょう? 鋭利な殺意を前に、自身を最強と信じて疑わない女海賊は不敵に笑ってみせるのであった。
大成功 🔵🔵🔵

セシリア・サヴェージ
今までに一体どれだけの人に戦いを強い、そして殺めたのか。
……断じて許すことはできません。戦うは私の役目、必ずや報いを受けさせます。

「私は暗黒騎士セシリア!この闘技場の主に戦いを挑みにきました!」

【覇気】の篭った【大声】で名乗りを上げ、戦う意思を見せれば女海賊の注意を引くことは容易いでしょう。
次いで彼女に一対一の【決闘】を申し込み、島民たちを下がらせます。
我らの戦いに無粋な手出しをさせないため……とでも言って【言いくるめ】ましょう。

それでもまだ戦うに値しないと言うのであれば、暗黒の力の一端をお見せしましょう。
闇を纏い【殺気】を放ち、怖れをなしましたか?と【挑発】すればきっとその気になるでしょう。



 セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が見たのは突然の闖入者を味方として歓迎することも出来ず、恐怖に怯える島民達の姿。
 それだけで十分だ。それだけで、コンキスタドールである女海賊の所業は、明らかだった。
(今までに一体どれだけの人に戦いを強い、そして殺めたのか。……断じて許すことはできません。戦うは私の役目、必ずや報いを受けさせます)
 決意を秘めたセシリアの足取りは力強い。背筋をぴんと伸ばし、凛とした面差しで闘技場の中央へと進み出ると、わずかの間、女海賊と視線が合う。
 興味を抱くに値するか。判断しようとする一瞬に、セシリアはすぅと大きく息を吸って。
「私は暗黒騎士セシリア! この闘技場の主に戦いを挑みにきました!」
 高らかに、宣言した。
 覇気のこもった声は、闘技場の空気をびりびりと震わせる。
 セシリアの目論見通り、女海賊は興味を示し、楽しげに、獰猛に、強者を求める爛々とした眼差しでセシリアを見つめた。
「私が求めるのは貴方との一対一の決闘。無論、島民の皆さんも手出しは無用です!」
 そうでなくては真の栄光を勝ち取ることは出来ないのだと言うかのような、強い眼差し。
 我らの戦いに無粋な手出しはさせないと言うそれは、要求だ。けれど、だからこそ。支配者である己に『窺う』のではない態度に、女海賊は喜々と笑ってみせた。
「そう、そうね! 決闘とはそういうものだわ!」
 でも、と。溢れ出るほどの好奇心を抑えることもせずに、女海賊はセシリアを見つめる。
「貴方の他にも挑んできている者がいるのよ」
 他の猟兵達の存在を仄めかしながら、女海賊はセシリアに要求を返すのだ。
「貴方は、私と決闘するに値するのかしら?」
 挑発するようなその言葉に、セシリアはかすかに眉を寄せるが、その程度は、想定済みだ。
 己が身に纏う黒き鎧。その胸元にそっと触れ、鎧が孕む暗黒の力の一端を引き出すようにするりと撫でた。
「そこまで言うのならば、お見せしましょう」
 途端、セシリアを闇が覆う。白い肌も白銀の髪も覆い隠すような――見えているのに、黒く塗りつぶされてしまったかのような存在感を放つ深い闇。
 銀の瞳とは確かに視線が合っている。それなのに、まるで深い陰りに隔たれたようにさえ思うほどに、その闇は強大な力を持っているのだ。
「怖れをなしましたか?」
 くすり、と。笑う顔は、殺気を秘めた、鋭利な笑顔。
 島民がその姿を見たならば恐れ慄くだろうか。振り返らない背後の彼らがひしと滲ませている恐怖は、さて、どちらに向けてのものか。
 そんな思考が一瞬とは言え過ぎったのは、女海賊の視線が僅かにセシリアの背後を見た気がしたから。
 けれどそれを断ち切って、どうしますかと強い声で問えば、返されるのは、楽しげな声だ。
「貴方を倒せたなら、私はまた最強に近づくのでしょうね」
 挑むに足る。挑戦を受ける者としての振る舞いを崩さないまま、女海賊はセシリアを歓迎した。
 そうして睨み合う二つの笑みが、睨み合うのであった。
大成功 🔵🔵🔵

アニカ・エドフェルト
間に合わなかった、方には、ごめんなさい、ですが、せめて、これ以上、増やさないように、しませんと……。

その戦い、わたしも、混ぜてください。
どうせ、目につく人、みんな、集めてるんです。
一人くらい、こんなのが、増えたって、かわりません、よね?

そうすると、あなたの支配する島の人は、いわば最後にとっておく、主食。
まずは、前菜から、味わってもらいませんと。
もちろん、ただの前菜で、終わる気は、ありませんが。

そうそう、島の人たちは、手出し無用に、してくださいね。
すぐわかるでしょうし、教えちゃいますが、わたしは、超近距離で、戦う人なので、巻き込まれちゃうと、たまったものでは、ありません、から。

(アドリブ歓迎)



 昂揚が、満ちている。己が最強であるために戦いたい女海賊へと挑まんとする者達の、覇気であり殺意が、うねるように混ざり合っている。
 そんな空気に震えを隠せない島民達は、やはり、戦うには明らかに不向きなのだろう。
 強いられ、理不尽に殺された者は、どれほど居るのか。間に合わなかった者達には、謝ることしか出来ないけれど。
 だからこそ、これ以上増やさないようにと、願うのだ。
 アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は暫し見守っていた島民らにぺこりとお辞儀をすると、とてとてと昂揚の渦中へと歩んでいく。
「その戦い、わたしも、混ぜてください」
 齢七つ。小さな少女の無垢な申し出に、女海賊は訝るような顔をした。
「どうせ、目につく人、みんな、集めてるんです。一人くらい、こんなのが、増えたって、かわりません、よね?」
「……そう、ね」
 じっ、と見上げた女海賊は、これまで挑んできた者達よりも明らかに大人しい見た目のアニカに、落胆したように見えた。
 けれど、彼女もかつては力を求めて大海原を渡った存在。見た目で侮ることを恥じるように、ふるりと頭を振って、真っ直ぐにアニカに視線を合わせた。
「一人くらい増えたところで、何が変わるわけでも、無いわ」
 私が全員打倒して終わり。当たり前のことのように、そう言ってのける女海賊に、アニカはそうですか、と呟く。
「そうすると、あなたの支配する島の人は、いわば最後にとっておく、主食……に、なるわけですね」
 挑む姿に感化され、戦いを知らぬ者達がその数を武器に決起したならば、脅威となるものだろう。
 自分はそのための前菜なのだと、アニカは主張する。
「まずは、前菜から、味わってもらいませんと。――もちろん、ただの前菜で、終わる気は、ありませんが」
 小さな少女の宣戦布告のような言葉に、は、と短く笑う女海賊。
 やはり見た目で侮ろうとしたことは間違いだったと、狂喜を瞳に湛え、腰を曲げてアニカを覗き込む。
「面白いことを言うね。前菜の貴方が、主食を十分に引き立ててくれるっていうの?」
「もちろんです」
 アニカの言う主食は島民だけれど。ともすれば他の挑戦者達を奮起させることすらしてくれるかもしれない。
 そんな期待が、如実にわかる。
「そうそう、島の人たちは、手出し無用に、してくださいね。すぐわかるでしょうし、教えちゃいますが――」
 きゅ、と。一度拳を握って解き、格闘家さながらの構えを取るアニカ。
「わたしは、超近距離で、戦う人なので、巻き込まれちゃうと、たまったものでは、ありません、から」
 にこり、と。隙の無い構えで女海賊を見据えて微笑むアニカに。女海賊は声を上げて笑った。
「貴方、随分美味しそうな『前菜』なのね!」
「前菜って、そういうもの、でしょう?」
 主食のお株さえ奪おうとする前菜があったものか。楽しげに笑った女海賊は、最高潮に達した興奮のまま、高らかに声を上げる。
「その威勢、ハッタリじゃないことを証明して頂戴!」
大成功 🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『呪われた船首像』

POW ●まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD ●掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ ●呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――その威勢、ハッタリじゃないことを証明して頂戴!
 猟兵達の戦意と殺意、それから純粋な力を見せつけられた女海賊は、集めた輩よりよほど『最強』に近い存在との対峙に随分と昂揚していた。
 けれどそれをそのままぶつけてはつまらない。戦ってみて、ただの見せかけだったら、がっかりだ。
「この子達を倒して見せたら認めてあげる!」
 その声に応じて現れたのは、下半身を幾つもの触腕と化した美しい女性達。
 それは呪われた船首像。海原を進む船で、共に旅をしただろう、女性像。
 今やコンキスタドールと化し人類に牙をむく存在となった彼女達は、下半身の触腕を蠢かし、水かきのついた手の爪を掲げながら、今かと攻撃の機を窺っていた。
 高みの見物を決め込んだ女海賊の前に居並んだそれらを排除せねば、どのみち首魁へ直接刃を見舞うことはままならない。
 猟兵達が掛けた声、や行動で、島民達は最早その戦闘に割り込もうという意志などない。
 ただひたすらに、猟兵達の勝利を祈り、見守るばかりの彼らが巻き込まれる心配はないだろう。
 食らいついてやれば良い。自らを最強と信じる女海賊の喉笛へ。
 そのために、異形の配下など蹴散らしてやれば良いのだ!
亞東・霧亥
【UC】+ダッシュ、忍び足、早業、属性攻撃、貫通攻撃
雷迅の鞘を外して足元に置く。
敵を見据え、最小限の動作で次々と斬る。

ただ早いだけでなく、緩急自在の歩法で回避しつつ後の先を仕掛けたり、突き刺したまま雷撃を貫通させてまとめて焼いたりする。

「まあ、こんなもんか。肩慣らしにもならんな。」

※絡み歓迎


リコリス・ガレシア
普段はおっとりした穏やかな少女。
戦闘時は、天叢雲剣に宿るクールな鬼の少女。

飛ばないように帽子を押さえた少女が走りこんできます
「これ以上、島の人達に酷いことをしないで下さい!」
少女へ爪を振るわれると咄嗟に一歩下がり、斬られた帽子が宙を舞う。
「悪趣味だな」
襲った敵が真っ二つに斬られます。夜のような黒髪、血のような赤眼、帽子の代わりに般若の面を斜めに被り、左腕が変化した天叢雲剣を隻腕となった右手で構えた、鬼の少女に切り替わる。
「面倒だ。まとめて来い」
明鏡止水で攻撃を見切り回避し、神剣の一振りで薙ぎ払う。

敵がスピードを上げれば
「なるほど、ではこちらも本気で行かせてもらう」
残像を生み出すほどの縮地で対抗



 先んじて駆けつけた猟兵達が、少なくともその場にいる島民達と首魁との距離を置かせることに成功した。
 手出し無用を念押して、無闇に戦闘に参加させることも拒めたのだ。
 だけど、それでも。失った命は戻らないし、根付いた恐怖が消えるには時間のかかることだろう。
「これ以上、島の人達に酷いことをしないで下さい!」
 ふんわりと甘い色の髪に被せられた帽子が飛ばぬようにと抑えながら少女が駆け込む。
 自分に何ができるかわからないけれど、思わず、そう、居ても立っても居られなくて飛び出したのだと言うような少女――リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)の行動は、最早戦闘への参加とみなされる。
 問答の間も与えぬまま、水かきのついた手のひらが振り上げられ、リコリスへ向けて容赦なく振り下ろされる。
 また一人、犠牲が出てしまったと。島民達は思っただろう。
 いや、それともあれは油断を誘う演技なのかもしれないと、期待をした者もいたかもしれない。
 それくらい、彼らの気持ちは猟兵達へと傾き、縋っているのだ。
「――悪趣味だな」
 果たしてリコリスはその一撃を、とん、と後ろへ一歩退くことで躱す。
 大事そうに抑えていた帽子が真っ二つに切り裂かれ宙を舞ったその切り口から、一層鋭利な瞳が船首像を見据えた。
 甘かった髪色は深い夜の如き漆黒に。赤い瞳は血の色を写したかのようで。雰囲気だけではなく、容姿すらも別人と化したリコリスが、きゅ、と瞳を細める。
 吹き飛んだ帽子は、その行き先をちらと一瞥だけして、代わりに般若の面を斜めに被った。
 左腕は、いつの間にかなくなっている。斬り落とされたわけではない。元から、無いのだ。
 神器遣いたるリコリスの左腕は、彼女の扱う神器が変貌した姿。それが、振るうための刃へと戻っただけの話。
 一閃。間髪入れずに踏み込むと同時に隻腕の右腕が剣を振るい、目の前に立ちはだかる敵を斬り伏せる。
 その剣戟の鮮やかさを称賛するように笑みを湛え、亞東・霧亥もまた、己の得物を手に敵へと向き合う。
 先と同様、水かきの手を振り上げて攻撃をしようとする船首像。
 無骨で重い拵えを持つ野太刀を構えた霧亥はいかにも鈍重そうで、しかし頑丈そうにも見えたのだろう。そうして、大きく広げた手を鋭利にと意識するように研ぎ澄ませ、渾身の一撃を放って、きたのだろう。
「出海流奥義」
 すらり、音もなく鞘から刃が引き抜かれるのと、ごとり、鞘が足元に落ちるのとは同時だった。
 たった二種類の音がほんの僅か響いた後、稲妻を纏った刃が、敵の胴へと涼みこむように突き刺さっていた。
 その動きに無駄はない。あちらが詰めてきた距離と勢いに自身の早業を合わせただけのこと。
 野太刀の一撃はただでさえ素早く、重い鉄拵えの鞘を捨てることで、その速さは増す。
 けれどただ早いだけではなく、緩急自在の歩法を兼ね合わせれば、敵は翻弄され、自慢の爪も簡単に空を切ってしまうのだ。
 緩やかになったかと思えば急激に攻め込まれ。ひと瞬きさえ許されないような、文字通り稲妻のような刀捌きに、船首像達は次々と斬り伏せられていった。
「まあ、こんなもんか。肩慣らしにもならんな」
 挑発するような言葉は、当然、女海賊にも届いていることだろう。だけれど彼女は意に介さない。
 自身の手駒たる存在が呆気なく倒されれば倒されるほど、それを討ち果たす自身の強さへと繋がるのだと、悠々と構えているのだ。
「いい性格してるもんだ」
 少女が口走った『悪趣味』という言葉は、なるほど的を射ているものだと霧亥は口の端で笑う。
 知らぬところで同意を得たリコリスは、異形の船首像が周囲で蠢いているのをぐるりと見渡し、その一体から、周囲へと、やはりぐるりと、切っ先を突きつけていき。
「面倒だ。まとめて来い」
 煽るような言葉に、船首像達はその美しい顔を歪め、自らの肉を削ぎ落とした。
 びちゃりと生々しい音が響くと同時、そのままの意味で身軽になった彼女達は先程よりも素早い動きで、一斉にリコリスへと襲いかかる。
「なるほど、ではこちらも本気で行かせてもらう」
 鋭く細められた瞳は、次々と迫る爪の一つ一つを素早く見極める。
 躱す流れを明確に思い描きながら、流れるような所作で、動く。
 敵からは、残像すら見えるような滑らかな足さばき。爪撃を次々と躱しながら、隻腕の少女はついに自身へ襲いかかる敵全てを斬り倒すのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
あははっ、まずは準備運動というわけか
前菜どころか突き出しにもならなさそうだけどね
まだお芝居の途中だから強気な態度は崩さないけど
それ抜きにしても開戦には心躍ってしまう

自身の手を斬り、その血でUC発動
Duoを構え敵の敵陣へ突っ込み
わざと致命傷にならない程度に斬りつけ
敵を俺の周りに集めていく
群がったところへ梓のドラゴンの雷がドカン
動きが止まった瞬間、処刑開始
2本の大鎌を大きく振り範囲攻撃で一気になぎ払う
UCによって強化されたスピードを活かし
立て直す暇も与えず次々斬り刻んでいく

戦いの中、梓にだけ聴こえる声で問いかける
さっきさ、芝居とはいえ
焔にナイフを向けたこと、怒ってる?


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
さっきは焔をただ殺されるだけの生贄役にしたが
この女達も、女海賊にとっては
殺されても屁でもない生贄みたいなものなんだろうな

今回の戦闘では焔は隠しておき
UC発動、水・雷属性のドラゴンを召喚
綾の強さを見せつけるのが目的だから
こちらは綾が動きやすいようサポート
まずは水のドラゴンのブレスを浴びせ
ダメージを与えると共に
敵の身体や戦場自体を濡らしていく
更にそこに、雷のドラゴンのブレスをお見舞い
湿った身体にはよく効くだろう?
感電のマヒ攻撃で動きを止め、綾にトドメを任せる

綾の問いかけに、軽く小突き
バァカ、怒るくらいなら
最初からあんな作戦実行するものか
お前への信頼はそんなヤワなものじゃない



 ただでさえ濃い血の匂いに、また新たなものが混ざる。
 それは、戦闘の幕が開かれた証。実践でしか得られない昂揚が、灰神楽・綾の心を躍らせる。
 強気を振る舞う演技は継続しているけれど、そうでなくても、つい、笑みがこぼれてしまうものなのだ。
「あははっ、まずは準備運動というわけか」
 前菜どころか突き出しにもならなさそうだけどね、と軽く笑って見せながら、自身の手のひらへと刃を滑らせる。
 とろりと溢れる鮮血を拭うこともせず、べったりと、馴染ませるようにして己の武器に付着させれば、戦う準備は万端。
「ちゃんとついてきてね」
 それは、共に戦う乱獅子・梓へ告げるのによく似ていて、けれどそれとは全く別の気配を滲ませる、挑発めいた声音で。
 た、と。駆け出した綾の手に握られるのは大鎌だ。けれどその見た目に反し、綾はあまりにも軽々とそれを振るい、敵を薙ぎ払っていくのだ。
 戦闘狂な面がある、とは理解していたが、敵陣へ容易く突っ込んでいくその背に無鉄砲さを感じたことは一度や二度ではなく。梓は一度だけ溜息を零してから、虚空へと呼びかけるように声を紡ぐ。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 応じて現れたのは二体のドラゴンだ。先程綾に倒すふりをさせた焔とはまた異なる属性を持つ二匹は、それぞれに水と雷を纏っている。
 梓の立ち位置はあくまで綾の補佐。首魁たる女海賊との対峙までは、舎弟の身分を崩すつもりはない。
 だからこそ選んだ二匹の胴をそれぞれに撫でて、梓は戦場と化している場所を見渡す。
 敵陣で刃を振るう綾を助けるように、水属性のドラゴンが大きく膨らませた腹から大量の水のブレスを吐き出した。
 ざぶん、と波が打ち寄せるような音を聞き止めた綾は、とん、と軽い身のこなしでブレスの射線上から逃れ、敵だけを波に飲み込ませる。
 ――ここまでで、綾がきちんと倒した敵は居ない。まるで得物の扱いが不得手であるかのように……あるいは、中途半端な攻撃で敵愾心を煽るように。致命傷に至らない程度の攻撃しか、してこなかった。
 そうして敵を引き寄せるだけ引き寄せて、梓のドラゴンが放つブレスの範囲内へと、おびき寄せたのだ。
 無論、それで纏めて倒せるなどとは思っていない。そもそも海を渡る船に備えられた物が海の世界の理の元異形化した存在だ。水の勢い程度で押し流せるほど容易だとは、どちらも思っていない。
 ゆえに、二匹なのだ。
「流石に、湿った身体にはよく効くだろう?」
 仕上げだと言わんばかりに、雷のドラゴンが雷撃を呼ぶ。
 それは水を伝播し、ブレスを浴びせた敵を次々と感電させていくのだ。
 水を浴びたがために、焼け焦げるほどのダメージを負った者は少ない。けれど身体に残る電流が、その動きを著しく鈍くさせ、あるいは、止める。
 我ながら見事なサポートだと梓は密やかに笑う。
 そう、彼らは動きを止められることで、綾の刃から逃れるすべが、なくなったのだ。
「処刑開始」
 自分達がしてきた行いをそのまま返されるだけだろう。
 すなわち、敗者には、死を。
 黒地に赤。赤地に黒。二振りで一対の大鎌は、綾の血を抱き、綾の一部であるかのように、苛烈に閃く。
 爆発的に増した速度を活かしながら、的確に首を落とし、胴を分断し、確実に屠っていくのだ。
 その背に、先程感じた無鉄砲さはない。それどころか、少しの安堵すら滲んでいるように、梓には見える。
 ――さっきさ、芝居とはいえ焔にナイフを向けたこと、怒ってる?
 梓にだけ聞こえる声で、そう問うてきた綾の言葉が蘇った。
 一瞬だけ目を丸くした後、軽く頭を小突いてやった梓は、「バァカ」と笑う。
 怒るくらいなら最初からあんな作戦実行するものか。最もな事を言いながらも、促すように背を押して。
「お前への信頼はそんなヤワなものじゃない」
 告げた言葉は、きっと、綾の何かを軽くしてくれたのだろう。
 信頼しているがゆえ。相棒である焔を差し出せたし、焔もそれに従ってくれたのだ。
 自分のために斬り捨てられる船首像達とは、違う。
(この女達も、女海賊にとっては、殺されても屁でもない生贄みたいなものなんだろうな)
 それとも、そう在るのが自然だとでも思っているのだろうか。
 弱者は強者に従うのみだとでも――。
 ――嗚呼、
「滑稽だね」
「哀れだな」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

セシリア・サヴェージ
元より人々に害をなす存在は捨て置けません。望み通りに全てを斬り伏せます。

敵が動くよりも早く敵陣に切り込み、暗黒剣によるなぎ払いや重量攻撃で敵を蹂躙します。
反撃には武器受けで対処。あるいは咄嗟の一撃でカウンターを行うのもいいでしょう。

歌声で回復を図ろうとしたらUC暗黒を齎す者を発動。敵を恐怖のどん底に叩き落します。
この姿を見てもまだ歌う気力、戦う意思があるのであれば大したものです。
容赦はしません。戦意を失った者も含めてまとめて骸の海に送って差しあげましょう。

たとえ島民に怖れられようとも彼らを護る為ならば。それが暗黒騎士としての務めなれば……。



 倒せと言うなら倒してやろう。
 元より、人々に害をなす存在を、セシリア・サヴェージは捨て置けないのだ。
「望み通りに全てを斬り伏せます」
 暗黒剣を手に、敵が動くよりも早く、その只中に突っ込んでいく。
 薙ぎ払い、重さを生かして叩きつけて。敵陣をど真ん中から荒らしながら、セシリアは迫りくる爪の存在を横目に捕らえる。
 すかさず武器を振り上げ、その攻撃を受け止めれば、弾かれた衝撃で敵の体が僅かに傾ぐ。
 そんな隙は、見逃さない。振り上げた剣をそのまま振り下ろし、縦に両断したセシリアは、さあ次だと言わんばかりの鋭い眼差しで周囲を睨み据えた。
 それぞれが好き勝手に暴れ、確実に味方を屠っていく猟兵達の猛攻に、船首像はじりと一度は後ずさるものの、女海賊の配下たる彼女達が戦線を放棄することなど、ありえない。
 維持するために、彼女達は声を上げる。美しい歌声を、辺りへと響かせる。
 それは恨みの籠もった、悲しい歌声であるが、それゆえに、同じ恨みを有する船首像達を癒やす声となるのだ。
 だが、それを見たセシリアは焦るでもなく、赤く染まる暗黒剣に元の漆黒を取り戻させながら、ぞぶり、深淵から引きずり出したような暗黒を、更に濃く纏った。
「お前の恐怖を刈り取ろう」
 宣誓でもなく、挑発でもない。囁くような穏やかな声が、歌声の中にかき消えて。
 けれど、まるでその声に唆されたかのように、歌声を上げる船首像達の視線が、セシリアに吸い込まれていく。
 そうして、喉を引きつらせ、ガタガタと震えさせた。
 悍ましい。あるいは、恐ろしい。そんな感情に瞬間的に支配された船首像達は、女海賊の配下でありながら、戦意を喪失させられていた。
 そんな姿にも容赦はしない。動かぬならば大人しく斬られるが良いと、無抵抗の首を落とすセシリア。
「まとめて骸の海に送って差しあげましょう」
 けれど、そんな中にも、流石と称賛すべきか、戦意を奮い立たせる存在が居た。
 それは暗黒を纏ったセシリアに怯えるよりも、自身を支配する女海賊を恐れる者。
 自分の主が最強で在ることを信じて疑わないからこそ、目の前の敵に怯えて戦意を手放すよりも、そうすることで自身が惨殺される恐怖に突き動かされて戦い続けるしか、無いのだ。
「大したものです」
 ――それとも、憐れむべきなのだろうか。
 ほんの一瞬、思考を過ぎった感情を斬り捨てて、セシリアは少しの敬意を持って、立ち上がる者達へと刃を振るった。
 己の暗黒が深まるほどに、周囲に恐怖が満ちるのがわかる。
 それは敵対している船首像のものか。それとも、見守る島民のものか。いちいち確かめないセシリアにとっては、どちらも同じだった。
 怖れられるのは、慣れている。
 けれど、護る為ならば。
(それが暗黒騎士としての務めなれば……)
 振り返って確かめることをしないのは、その目に宿った恐怖が己を見つめることを、知りたくないからかもしれないけれど。
 ああ、それでも。
 立ちはだかる敵を全て倒しきれたのならば、誰でもない己が、誉れを与えることとしよう――。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『光翼のフランソワーズ』

POW ●破砕するl'or
単純で重い【輝氣(かがやき)の大槌】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●斬り裂くl'argent
【煌氣(きらめき)でできた大鎌による斬撃】が命中した対象を切断する。
WIZ ●抹殺のl'alliage
【指先から放つ煌氣(きらめき)の弾丸】が命中した対象に対し、高威力高命中の【輝氣(かがやき)の砲弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・夢瑪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ふわり、と。女海賊の背に、光の翼が生える。
 遊びは終わりということでしょう。そう言った彼女の表情は、待ちわびたのだとでも言うかのよう。
 彼女はかつて一つのメガリスを我がものとした。そして、二つ目のメガリスを求めて命を落とした。
 己が最強であるために。
 ゆえに、まだその志は半ば。最強への執着は、拭いきれないまま。
 そんな最中、強い者が現れた。その歓喜に、背中の翼が打ち震える。
 その手には大鎚が、大鎌が、そして物理的に煌めく闘気がある。
 それらを駆使して挑戦者達を受け入れんと――そして蹴散らさんと胸を張る女海賊の名はフランソワーズ。
 『光翼のフランソワーズ』の通称を持つ彼女は、自らの踏み台としか見ていない猟兵達へ、高らかに告げる。
「私を倒してご覧なさい、と言いたいところだけど……生憎ね、貴方達の快進撃もここまでよ!」
 侮るような態度をしているように見えたとしても、決して、油断はならない。
 その自身は、確かな実力に、裏付けられたものなのだから。
 それでも、挑み、倒す以外の選択肢はないのだ。
 島民の期待は最早隠しようもない。声無き眼差しが、君達に希望を託しているのだから。
セシリア・サヴェージ
そう、遊びはお終いです。あなたが定めた掟も愚かな野望もここで終わらせます。
改めて決闘を申し込みましょう。あなたの光と私の闇のどちらが勝るか、いざ尋常に……!

彼女が操る煌氣の大鎌に対抗してUC漆黒の呪剣を発動。暗黒剣を強化します。
煌めく光をも凌駕する昏き闇で全てを飲みこみましょう。

大鎌のリーチは脅威ですが懐に潜り込めば咄嗟には対処できないはず。
武器受けで敵の攻撃を防ぎつつ機を伺い、隙を突いて鋭い踏み込みからのタックルで敵の体勢を崩すことで転倒させ、暗黒剣を振り下ろして追撃します。

さあ報いを受ける時です。島民が味わった苦痛を思い知るといい。


灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
ここからは好きに暴れることを
許可してあげるよ、舎弟くん

まずはPhantomを戦場に放つ
でもこいつは何の害も無いただの蝶…
そう思わせ警戒心を薄れさせる為に
暫くは普通に戦う

敵の攻撃は当たると痛そうだけど
大きな一撃はそれだけ予備動作も分かりやすい
冷静に敵の動きを見切りながら
ジャンプやスライディングで躱したり
Emperorとぶつけ合って武器受けで対処
へぇ、光で出来ているのにしっかりとした重みがある

蝶の存在など忘れたであろう頃合いに
敵の一撃で抉れた地面に
足を取られ態勢を崩した、フリをする
きっと敵はすさかずそこを狙うだろう
その瞬間UC発動、鎖と化した蝶が敵を捕縛
仕上げは任せたよ、梓


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
ハハッ、その演技はもういいぞ

さぁ来い、焔!
焔を呼び、成竜に変身させその背に乗る
綾は地上から、俺は上空から攻撃を仕掛ける

上空から敵と綾の動きを観察し
綾とタイミングを合わせてブレス攻撃をしたり
または敵の攻撃に合わせて牽制や妨害をしたり
暫くは綾のサポートをメインに動く

綾の作戦を察し、援護を止める
まんまと敵が蝶の罠にかかれば
UC発動
遠慮なく真正面から焔のブレスをぶつけてやる
さっきまでの炎よりも何十倍も熱いぞ、覚悟しろ

己が最強であることを求め続けたという
手段はともかく、生前からの
そのブレない信念にだけは
一定の敬意を払ってやる
だが、独りで戦っている限り
お前は決して俺達には勝てない


リコリス・ガレシア
天叢雲剣を地面に突き刺し、右手で斜めに被った般若の面を顔の正面に付け直す。
「御託はいい。所詮は、ただの死合だ」
吐き捨てると同時に、隻腕の右手で地面に刺した天叢雲剣を抜刀し接敵します。
「……言葉を並べずとも結果を見れば分かる」
明鏡止水の極致で敵の動きを見切り、残像を生み出すほどの縮地から高速の斬撃を放ちます。
「良い腕だが、相手が悪かったな」
さらに般若の面の妖力を解放し、闘争本能と身体能力が上昇しさらに動きを速くしていきます。
「付いてこれるか?」

天叢雲剣に貯めこんだ霊気を解放し【天候操作】による雷撃や竜巻を生み出し、神剣を振るうと同時に敵へ放ちます
「悪いが遊びは終わりだ。自らの罪をあの世で詫びろ」



 そう、遊びはお終いです。静かな声が、闘技場に凛と響く。
 セシリア・サヴェージがその手に帯びた暗黒剣を突きつければ、どろりと纏わりつくような気配が、ほんのかすかに女海賊――光翼のフランソワーズの姿を眩ませる。
 だが、フランソワーズは自身の光の方が強いと言わんばかりに真っ向からセシリアを見据え、不敵に笑っているのだ。
 己の強さを信じて疑わないその姿勢は、メガリスを手に入れたことによる確かな自信か、あるいはその果に求めた最強への執着ゆえか。
 どちらでも、同じことではあるけれど。
「あなたが定めた掟も愚かな野望もここで終わらせます。改めて決闘を申し込みましょう。あなたの光と私の闇のどちらが勝るか、いざ尋常に……!」
 勝負――!
 踏み込むセシリアに、フランソワーズは以外にも真っ向から受けることをせず、トン、と身軽に距離を置く。
 その視線はセシリアを変わらず見据え、けれどちらりと左右へと散る。
「そう、そうね、決闘。いい響きだわ。受けて立ってあげてもいいけど……」
「――御託はいい。所詮は、ただの死合だ」
 一度地面に天叢雲剣を突き刺し、その隻腕で斜めにかぶっていた般若面を正面へとつけ直して。
 リコリス・ガレシアは地面に突き刺した剣を、しかと握る。
 夜叉般若の顔そのものと化したようなリコリスの言葉に、フランソワーズは浮かべていた笑みを深めて。
「あはは! そうよ、そう! 死合だわ!」
 命を懸けた大一番。メガリスを手にした時と同じ高揚感。一度目は成功した。二度目は駄目だった。それでもこうして、『生きて』いる。
 ならば目指さないわけにはいかない。求めないわけにはいかない。最強で、あろうとしないわけにはいかない。
「皆で、殺し合いましょう!」
 生き残った者が最強、それでいいじゃないかと高らかに笑う。
 その視界の端に、ひらり、紅色の蝶が舞うのを見つけた。
「一人で随分、楽しそうだね」
 紅い蝶を侍らせた灰神楽・綾が、にこりと笑んで、一歩後ろに立つ乱獅子・梓を悪戯げな顔で振り返り。
「ここからは好きに暴れることを許可してあげるよ、舎弟くん」
「――ハハッ」
 わざとらしい綾の口ぶりに、梓は思わずと言った風に笑い、ずいと立ち位置を隣に改めて。
「その演技はもういいぞ」
 待ちわびたのはこちらも同じだと言わんばかりに、一度は隠した相棒へと声をかける。
「さぁ来い、焔!」
 呼びかけに応じたのは、赤い竜。それは、綾がフランソワーズの前で『殺して』見せた竜。
 成竜へと転じたドラゴン、焔の背にひらりと跨り飛び上がった梓を見上げ、フランソワーズはまた笑う。
「弱い振りが上手なのね。――強い振りも、だなんて言わないわよね?」
 視線を地上の綾へと降ろし、挑発するように言うが、綾はさてねと肩をすくめるだけ。
「確かめてみなよ」
「……あはっ!」
 今日は、なんて楽しい日なのだろう。
 一人盛り上がるフランソワーズに、セシリアとリコリスが同時に斬りかかる。
 右には雷の気配を纏ったリコリスが。左には暗黒を帯びたセシリアが。
 だが、どちらを受ける、という選択はフランソワーズにはなくて。煌氣(きらめき)で出来た大鎌を大きく薙ぎ、二人纏めて打ち払うのだ。
「どうしたの、その程度!?」
「……言葉を並べずとも結果を見れば分かる」
 現に、その大鎌はこちらを威嚇するように薙ぎ払われただけで、傷を負わせたわけではないだろう、と。冷めた瞳を般若面の向こうで細めるリコリス。
 セシリアもまた同様に、薙ぎ払いに一瞬引いた身に傷はなく。大振りの動作の隙を突くようにして、低く、深く、その懐へと踏み込んだ。
 フランソワーズがかすかに目をむいたのは、そのまま剣を振るうかと思ったセシリアが、勢いのままにタックルしてきたから。
 咄嗟のことで受け止めきれず派手に転倒したフランソワーズに、暗黒を帯びた剣が振り下ろされる。
「くっ……甘い、わ!」
 その程度、と言いながらも、ギリギリのところで武器で受け止めただけ。
 そうして暗黒と煌氣がぶつかりあえば、セシリアはその力が拮抗するのを、見極めて。
「暗黒剣よ、今こそ真の力を見せる時だ」
 暗黒の封印を、解く。同時、セシリアの剣が纏った闇は、滲み出るようで、噴き上がるようでもあって。受け止めるばかりだった大鎌の煌氣を飲み込んで、押し切る。
 そして、それに対して、フランソワーズは退いたのだ。
「煌めく光をも凌駕する昏き闇――それを、怖れましたね?」
 渾身の力を込めて突き飛ばし、大きく大きく距離を開けて、初めて、その顔から笑みを消したフランソワーズを、セシリアは深追いしない。
 なぜなら、間髪入れずに梓を乗せた上空のドラゴンから炎のブレスが吐き出されたから。
 そして、その炎熱に紛れるようにして肉薄する綾のハルバード。
 炎諸共振り払うように大鎌を薙いだフランソワーズは、そのまま、ぱっ、と爆ぜるように煌氣の大鎌を手放して、代わりに輝氣(かがやき)に満ちた大槌を、振り上げた。
「それは、当たると痛そうだ」
 放たれようとしているのは、単純かつ重い一撃。だが、だからこそ、その予備動作もわかりやすい。
 明鏡止水の効果で見切ることに極端に長けているリコリスは言うまでもなく、比較すれば得意とも言い切れない綾にだって容易く躱せる程度には。
 最も、外れた一撃が砕いた地面からびしびしと蜘蛛の巣状に広がるひび割れと、それが齎す地震のような揺れは、躱せないけれど。
 だが、空へと飛び上がることでその影響を一切受けない梓がすかさず焔のブレスを見舞うことで、こちらの隙を突かれることもない。
「足場が多少悪くなったところで、何も変わらんな」
 リコリスの巧みな足さばきは、軽やかにフランソワーズとの距離を詰め、生じる残像で翻弄する。
「良い腕だが、相手が悪かったな」
「まだ負けたわけじゃないわ!」
 大鎚と大鎌を使い分け、使いこなし、確かに一人対四人で果敢に立ち回り続けたフランソワーズだが、ひとつ、ふたつと掠めるように斬撃を浴び始め、その動きがわずかとは言え、鈍る。
 それに気付いたのは、幾度目かの大槌の一撃を、綾がハルバード――Emperorで受けた時。
「へぇ、光で出来ているのにしっかりとした重みがある」
 ――でも、軽いね?
 くつりと喉を鳴らした綾に、カッ、と怒りに顔を赤くしたフランソワーズは、受け止めたハルバードごと叩き折らんとするかのように、再度力を込めた。
 それを、受け流して。既にぼろぼろになっている地面がさらに崩れるのに足を取られた綾は、かくん、とその姿勢を崩す。
 致命的な隙を、フランソワーズが狙わないわけがない。
 そう、好機とばかりに狙ったのだ。綾の演技に騙されていたことなど忘れて。
 彼が、紅い蝶を侍らせていたことさえも、忘れて。
「――離してあげないから、覚悟してね」
 ひらりと舞った蝶は、フランソワーズの傍に群れて。瞬く間に、その身に突き刺さる鎖へと転じた。
「な……」
 綾の意志以外では破壊できない鎖に縫い留められたフランソワーズから距離を置き、綾は自分の足元に影を落とす梓を見上げる。
「仕上げは任せたよ、梓」
「ああ、任せろ」
 避けられない相手に、焔のブレスは容易く届き。更に大きく息を吸い込んだ焔は、フランソワーズの真正面から、それを吐き出すのだ。
「悦べ、この炎を拝んで死ねる事を!」
 ごうっ――!
 先程までの何十倍もの熱を持つブレスが、フランソワーズを焼き払い、その周囲すら消し炭に変えていく。
「……は。さすがはメガリスとでも、言うべきか?」
 その、炎の直撃を受けても。まだ、フランソワーズは生きていた。光の翼が、まるで彼女を鼓舞するように、羽ばたく。
 最早虫の息であることは容易に見て取れるけれど、それでもなお、突き動かされるように、慟哭していた。
「さあ報いを受ける時です。島民が味わった苦痛を思い知るといい」
 炭と化した瓦礫を踏み砕き、なお黒く昏い闇を纏ったセシリアが、その首へと狙いを済ますように暗黒剣を構える。
 更には、フランソワーズを中心に広がる炎の余韻を掻き消すように、リコリスは天叢雲剣が持つ霊気から雷を、竜巻を呼び寄せた。
「自らの罪をあの世で詫びろ」
 右から、左から。再び共に放たれた斬撃を、今度は、いなすことも躱すことも出来ないまま。
 フランソワーズはその身に帯びた光の煌めきに飲み込まれるようにして、消失するのであった。
 残骸だけが残ったその場所を見下ろして、ひらりと地上へ戻った梓は、綾の無事を確かめてから振り返る。
「己が最強であることを求め続けたという、手段はともかく、生前からのそのブレない信念にだけは一定の敬意を払ってやる」
 言葉通りの、言葉程度の敬意を込めた声は、最早届くことはない。
 一度だけ唇を結んだ梓は、その脳裏に虐げられた島民の恐怖と、『最強』のために命を捨てた船首像達を思い浮かべて。
「だが、独りで戦っている限り、お前は決して俺達には勝てない」
 突きつけた敗因に、ふわり、燻るように残っていた光の粒が、掻き消える。
 それは、悪辣な掟に縛られた一つの島が、確かに開放された瞬間だった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月03日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵