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悪鬼夜行の道行きに

#サムライエンパイア

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 その日、村では祭りが催されていた。
 特に何か特別な行事というワケではない。
 ただ、この村が生まれ変わったことを祝うための祭りだった。
 かつて村は戦乱の時代に一度滅びた。
 誰が悪いということではない。
 あえていうのならば村に自衛する力が無かったことが原因だ。
 そして一度は戦火に焼かれ灰となった村は、太平の世となったのち、それを惜しんだ者達の手によって復興されることとなった。
 復興が始まって四年。
 今日ようやく、村はかつての姿を取り戻した。
 だからこその祝いの祭りである。
 この場には、かつて村にいた者がいた。新たに村に来た者もいた。
 そんなことは関係なく、彼らは同じ村の民として、今日という日を祝った。
 だがこの日、村は再び滅びに瀕する。
 祭りが開かれている今このとき、危機の根源は村へと迫りつつあった。
 その男はかつて、村にいた農民であった。
 しかし男は農民として暮らすことを良しとせず、村を出奔した。
 村が灰となる一年前のことである。
 街へと出た男は兵となり戦に出るのではなく、民草に雇われる用心棒になる道を選んだ。
 戦の時代、用心棒は弱者の自衛手段としてかなりの需要があった。
 農民の生まれながら、男は優れた剣才を有していた。
 そして男自身もその剣の才に引きずられるようにして剣の道を志した。
 時代は戦乱。
 用心棒の身といえど、斬る相手には困らない。
 実際、用心棒という職業は男にとって天職のようであった。
 彼は何かと刀を抜く機会に恵まれたからだ。
 そのような天運にあったのかもしれない。
 ――だから、斬った。
 斬った。
 斬った。
 斬った。
 斬って。
 斬って。
 斬って。
 斬りすぎて、斬ることに馴染みすぎて、男はやがて依頼人すら斬るようになった。
 用心棒稼業が成り立たなくなるくらいに斬って尚、男は満足しなかった。
 街の民を斬った。友を斬った。妻を斬った。
 それでも、それでも、それでも男は満足できなかった。
 もはやその顔は凶を帯び、体は血の匂いに染まって、男は人ではなくなっていた。
 自らの名も忘れ、ただ斬るだけのものと化した男が討たれたのは、当然の帰結であったと言えよう。
 そして男は過去となり、オブリビオンとなった。
 今、かつて用心棒であった斬鬼が故郷の村へと迫っている。
 己が斬り捨て、その恨みゆえに鬼となった骸達を無数に従えながら。
 血の匂いを纏った男が、祭りに賑わう村へと近づきつつあった。

「話は単純で簡単で完結で明瞭で、分かりやすすぎて困るレベルだよね~」
 集まった猟兵達を前に、グリモア猟兵ルナンガ・ゼス(楽一文字・f05002)が、グリモアベースの向こう側にある景色を眺めつつ軽く笑った。
「お祭してる村にオブリビオンが近づいてるからやっつけてね。そんだけ」
 確かに、話は単純であった。
「でも敵のボスと思われる用心棒だった人斬りは、自分が斬った被害者を鬼に変えて使役してる。まずはこっちから叩かないと、人斬りを叩くことはできないだろうねぇ。戦いは数だよって、実際真理だよねぇ~」
 そしてルナンガは息をつく。
「自分の名前すら失った用心棒は、そう成り果てるまでに相当の人を斬ってる。タたった一人でも相当強いだろうから、注意してね~」
 うなずく猟兵達を、ルナンガは手を振って見送るのだった。


音虫
 どうも、音虫でございます。
 今回はサムライエンパイアを舞台にチャンチャンバラバラする明快なシナリオでございます。
 鬼を率いて村へと迫る人斬りを成敗していただきます。
 戦場は村からそこそこ離れた平原となります。
 距離があるので村の人々に戦いが気づかれることはないでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エスタシュ・ロックドア
人の人斬り、羅刹の鬼退治
なんつーか、浮世は業が深ぇよなぁ
ま、いっか
やるこた変わんねぇ
行くぜ椋(f01816)さくっと片付けようや
……いや、ダチの見分け位ぇつけろよ

『ブレイズフレイム』発動
業火を纏いながらフリントをぶん回し【怪力】【範囲攻撃】【なぎ払い】【吹き飛ばし】で攻撃
味方を燃やさねぇように火を制御しつつ、敵をぶった斬って火炙りにしていくぜ
火と派手な動きの【存在感】で椋の行動をちょいと助けもする
敵の攻撃は【第六感】で察知したらすかさず【カウンター】だ

椋がヤバかったら【かばう】
へいへいへい、戦闘中に何やってんだ
これでもお前の事ぁ信頼してんだから頼むぜマジで
ああ、信じてくれてありがとよ!


六島・椋
角だらけで見分けがつかなくなりそうだ
エスタ(f01818)、間違えて殴ったらすまない

人形のオボロとの【二回攻撃】で捌いていこう
【医術】や骨格の知識から、急所や腱などを狙って手早く済ませていきたい

隙があればエスタの炎に【目立たない】ようまぎれ【暗殺】
前から思っていたが一気に片付けられるのは便利だな

あとはそうだな、
【存在感】で敵を【おびき寄せ】、攻撃される直前で回避し別の敵を攻撃させるとか、
【ロープワーク】で【敵を盾にする】ことで同士討ちを狙ってみるか

それにしても面白い骨格をして……おっと
感謝を。初めて見るものにはつい目がいってしまうな
そいつはどうも
自分も君がなんとかしてくれるだろうと信じていたよ


国包・梅花
鬼退治とは、初のお仕事としては上々のやりやすさですね
腕試し…と言うては不謹慎ですが…梅花の剣、受けていただきたく

では尖兵などささっと斬り捨てて見せましょう
擦り足にて間合いを詰めて居合い斬りの要領で斬撃を浴びせつつ
他の鬼、落ち武者の霊が周囲に数多くいるならば
刀を抜き放ち「月世界」にて変化した花びらで切り裂きまする
「葬送の花にするには、鬼相手ではもったいない気もしますね」

怨念の塊となっても、弾力性のある身体ならば斬るにさほど苦労はないのでしょうか
石のごとく硬くなられれば厄介だったやもしれませんけど
金棒を受け太刀はさすがに危険ゆえ、【殺気】を察し次第避けまする
残像を叩いていてください



 草もまばらな広い平原。
 かつて戦乱の時代には幾度となく合戦の舞台となった場所である。
 数多の人々の血が沁み込んだこの地が、再び戦場となる。
「鬼退治……。私に合う仕事があってよかったですね」
 身を低く保ち、平原を疾駆する影一つ。
 村を守るべくやって来た猟兵の一人、国包・梅花(妖刀乱花を舞わす・f15283)である。
 彼女が見据える先には、ゆらりゆらりと揺れている赤い影が幾つもあった。
 太い棍棒を手にした赤い鬼――棍棒鬼であった。
 鬼の群れは陣を組むでもなく、一か所に集うでもなく、ただそれぞれは気のない足取りでゆっくりと前に進んでいるのみだった。
 どの鬼を見ても視点は定まらず、どこを見ているかも分からない。
「あなた達も元は弔われる側。分かってはいます。しかし――」
 手近な鬼の真ん前に駆け込んで、一閃。
「…………ァ、ア」
 右から左に刃は流れ、赤い鬼の胴を深々と切り裂いた。
「今を生きる人々を害するとあれば、捨て置くことはできません」
 告げる彼女の前で棍棒鬼は影となって消えた。
 それがきっかけとなったか、周りの棍棒鬼達が一斉に梅花の方を向く。
 彼女は一人。敵は多数。
 このままならば多勢に無勢もいいところであるが、
「退いてなるものですか!」
 梅花はあえて一歩前に出た。
「私の剣は守るための力です。数の差など、退く理由にはなりませぬ!」
 只人のために刀を振るう。
 その信条に従って、彼女は全力で鬼の群れに立ち向かわんとした。
 彼女の背後で爆炎が噴き上がったのは、まさにその瞬間。
「オウオウ、気持ちのいい啖呵じゃねぇの。なぁ、椋よ」
「ああいうの、君は好きそうだな、エスタ」
 現れたのは二人の猟兵。
 黒き鬼の姿をしたエスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)と、白き骨を従えた六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)であった。
「あなた達は……?」
 突然現れた二人に、梅花が驚いて目を軽く見開いた。
「助太刀ってヤツだ。いるかい? いらんなら、俺らは勝手にやるけどよ」
「いやぁ、それにしても角ばっかりだ。見間違えてエスタを殴ったら悪いから今のうちに謝っておこうか。ごめんね、エスタ」
「オイ、何で殴る前提で話進めてんだ!?」
「わー、棍棒鬼だー。行け、オボロ。君に決めた」
「棒読みで指示出してんじゃ――」
 カタカタカタカタ。
「ホントにこっちに骨けしかけてんじゃねェェェェェェェ!!?」
 逃げるエスタシュ。追いかける骨。
 一体何が起きているのか分からず棒立ちになる梅花だったが、
「――ッ! 危ない!」
 棍棒鬼の一体がエスタシュの死角から殴りかかろうとしているのを見て、血相を変えて叫んだ。それに対し、見えていないはずの彼は答えた。
「ああ、知ってンよ」
 梅花がそこに見たのは、彼の体から解き放たれた業火であった。
 先に見た爆炎は、エスタシュが己が身から発したものだったのだ。
「オ、ア、ァ、ァ、ァ……」
 肉薄していた棍棒鬼が、炎に巻かれて彼から離れようとする。
 亡者といえども焼かれれば痛いのか、小さく声を漏らしよろめいた。
「やっぱりこのやり方、やりやすいな」
 椋の操る骨人形がその隙を突き、鬼の背中にナイフを深々と突き立てた。
「…………」
 倒れた鬼を眺めながら、椋が何かを言いたげにする。
「……何だよ」
「エスタじゃなかった」
「何でちょっと残念そうなんだよ、お前は!」
 のどが裂けそうな勢いで叫んでからエスタシュは梅花の視線に気づく。
「あの……」
「お、おお! 悪ィ悪ィ! で、話戻すが、助太刀は必要かい?」
「ええと、それでしたら――」
「応」
 返したエスタシュは、見た。
 いつの間にか梅花の周囲に漂う、淡い光を纏った無数の花びらを。
 大して風もない中で、花びらは彼女の周りを渦巻くように巡り、そして梅花が軽く右手を掲げると一気に広がっていった。
「――今のところは、不要です」
 多方より梅花へと近づきつつあった鬼達が、花びらに裂かれて血をしぶかせる。
 エスタシュは「おお、怖ェ」と苦笑しつつ呟いて、己の鉄塊剣を肩に担いだ。
「そうかい、じゃあ、こっちは好きにやらせてもらうぜ」
「ええ、ご武運を」
「お互いな。……って、イッテェェェェ!?」
 カッコよくキメようとしたエスタシュが、椋の骨人形に殴られた。
「はっ、まさか鬼じゃなくてエスタだったなんて」
「その棒読みがテメェの犯行の揺るがぬ証拠なんだよォォォォォォォォ!」
 騒ぐ二人に微笑みかけて、梅花は愛刀を鬼の群れへと向き直る。
「国包・梅花、参ります」
 そして彼女は構えて吼えた。
「いざ尋常に――勝負!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天之原・真紅
POW使用。アドリブ、絡み歓迎

罪なき者達が変えられた姿か。許してくれ、お前達に罪はない…きっとただの被害者だったのだろう。だが、結果として今お前達は多くの罪なき人々を襲おうとしている……故に、俺は俺の正義をもってお前達を滅する。せめて安らかな眠りになる事を。次の目覚めが良き目覚めである事を祈って…いくぞ!
(ヴァハムートとテンペストを装着し鐵を手に持ち、鎧、脚、武器の推進力を使い一気に敵のど真ん中までつっこみ、鐵で薙ぎ払ってから(怪力)UCを発動。テンペストを形態変化させ(武器改造)大型化。斬撃を伴った大きな竜巻にすることで鬼達を一気に殲滅させようとする(範囲攻撃、属性攻撃、力溜め、生命力吸収)


夜神・静流
この鬼も、元々は犠牲者ですか……ならば、
「せめてそれ以上苦しまぬよう、その魂を浄化しましょう」

祈り・早業・先制攻撃・属性攻撃・範囲攻撃・破魔技能を使用し、七ノ太刀・暁で攻撃します。
外れた場合は浄化した地形の上で戦い自身の強化をしつつ、投擲・早業・破魔技能を使って鉄礫や霊符による攻撃を中心に。
召喚された落武者の霊の攻撃に対しては見切り・残像・武器受け・オーラ防御による回避や防御で対応します。

「その魂、天に還しましょう。我が剣は陽――祓え、浄化の刃!七ノ太刀・暁!」
「安らかにお眠りなさい。もう苦しむ必要はありません」

アドリブ・絡み歓迎。


清川・シャル
鬼には鬼でどうでしょう?
羅刹シャルちゃん行きまーす

飄々と
ぐーちゃんで早業、目潰し、衝撃波、吹き飛ばし、スナイパー、誘導弾、マヒ攻撃
とりあえずどかーんと行きましょう
難しい事は考えずに。
快楽殺人だったんでしょうか?
オブリビオンに何言っても仕方ないので、片っ端からおやすみなさいませ

ThornSocietyでなぎ払い、2回攻撃、範囲攻撃、武器落とし、鎧無視攻撃、鎧砕き

敵の攻撃には盾受け、見切り、カウンター
第六感、野生の勘で対応

近接距離は桜花乱舞で殴る、同時に氷魔法で足止めも考えましょうか



「ォ。ォォ……、ォォオ……」
「ウオォ……、オ、ォ……」
 鬼達の声は小さく、そしてか細いものだった。
 その声は今を生きる者に対する怨嗟か。それともただの呻きでしかないのか。
「この鬼(ひと)達も、元々は犠牲者なんですよね……」
 ゆっくりと前進する鬼の群れを前にして、夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)は沈んだ声音でそう呟いた。
 このような形で戦いが終わった今の世に駆り出され、戦わされる。
 そんなものが彼らの本位であるはずがない。
 静流は刃渡り二尺五寸の愛刀をしっかりと構えて、
「せめてこれ以上は苦しまぬよう、その魂を祓いましょう」
 地面を蹴ると共に、一気呵成に棍棒鬼へと斬りかかっていった。
 上段から降り下ろされる刃を、鬼は棍棒で受け止めようとするが、静流の刃が帯びる浄の気が棍棒ごと鬼を真っ二つに両断する。
「アア、ァ……、ァァ……」
 真っ白い煙を上げながら、鬼は崩れ去った。
「次!」
 一体を倒し、静流は別の棍棒鬼を狙おうとして、
「どっかーん!」
 元気な大声と共に吹き飛んで空に放物線を描く鬼を見た。
「……え?」
 硬直する静流の視線の先で、鬼はそのまま地面に落ちてドグワシャ。
 頭からみぞおちの辺りまで地面に埋まるという芸術的な着地をキメて見せた。
「……え?」
 あまりの事態に、静流は同じ疑問符をもう一度繰り返したほどだ。
「うーん、ちょっと距離が足りなかったでしょうか?」
 棍棒鬼を往年の少年漫画よろしくな状況に追いやったのは、派手派手しいどピンク色の武器を手にした清川・シャル(バイオレットフィズ・f01440)であった。
「もうちょっと盛大におやすみなさいをしてあげないとですね!」
 ピンクの金棒をブン回しながら、シャルはキョロキョロと辺りを見る。
「あ」
 ばっちり、静流と目が合ってしまった。
「どーも、羅刹のシャルちゃんです!」
「あ、ど、どうも……、静流です」
「静流さんですね。どうです、一緒にやりませんか?」
 共闘の提案、ということでいいのだろうか。静流はしばし考えた。
「爽快ですよ、鬼ぶっとばしアタック!」
 あ、これ共闘の提案じゃないな。静流は気づいた。
「待って、あの鬼達も元々は犠牲者で……」
「でも今はオブリビオンですよね」
 あっさりと言い放ったシャルに、静流は咄嗟に言い返すことはできなかった。
 彼女の言う通り、棍棒鬼達は絶対に放置できないもの。倒すべき敵。
 それに間違いはない。だが、しかし――
「ああ、確かにその通りだ」
 そこに割って入ってくる。第三者の声。
 自身も鬼と戦いながら、ここまでやってきた天之原・真紅(人々を助ける英雄の卵・f15059)が、静流に代わってシャルへと答える。
「そう。そちらの羅刹のお嬢さんの言う通り、あの鬼はオブリビオンだ。倒さなければならない。だが同時に、皆、非業の死を遂げた哀れな死者達でもある。それを知っているからこそ、簡単に割り切れないんだよ」
 彼の言葉は、まさしく静流の言いたかったことであった。
「でも、敵ですよ?」
 シャルが小首をかしげて問い返してきた。
 これには、静流が応えた。
「分かっています。今さら助けられないことも知っています。だから――」
 一度鞘に納めた刃を、静流は素早く抜き放った。
 光と化した刃は棍棒鬼の一体を切り裂き、形も残さず影に還した。
「だからせめて、これ以上は苦しまないように、私達が葬るのです」
「ああ、そういうことだ!」
 今度は真紅が鬼の群れの真っただ中へと突っ込んで、握り締めた獲物に己の命を注ぐ。それは力を結び、刃となって顕現した。
 彼は、迫る鬼達へと向けて、一言だけ呟く。
「安心しろ。もう、お前達は罪を重ねずに済む。ここで、俺に倒されるから!」
 薙ぎ払った一閃は棍棒鬼達を巻き込んで轟風と化した。
 唸る風のただ中で、鬼達は己を縛る呪縛を消し飛ばされて次々に消えていく。
「おー」
 それを見ていたシャルが、驚きの声を漏らしていた。
「眠れ。お前達の無念は、俺達がしっかりと晴らしてやる」
 棍棒鬼が消えたそこに立って、真紅は短く黙祷を捧げた。
「分かりました!」
 静流と彼の戦いを見ていたシャルが、納得したように手を打つ。
「三者三様、やり方色々、感じることは人それぞれ、ですね!」
「ま、まぁ、そうですね……」
 確かに、シャルの言う通りではあった。
 だがなぜか釈然としない静流ではあった。あれ、そういう話だったっけ?
「あの鬼さん達が本当は眠りたいというのはよく分かりました。それじゃあ、片っ端からシャルちゃんがおやすみないさせてあげましょう!」
 言うが早いか、シャルはピンクのバズーカ砲を片手に走っていく。
 それを見送りながら、静流は真紅の方を見た。
「えっと……」
「俺達は俺達の戦いをすればいい。それこそ、三者三様だ。だろ?」
「そう、ですね。はい、そうです! で、あの……」
「俺は真紅だ」
「真紅様、ですね。私は静流と申します」
「静流さんだな。ああ、覚えたよ。で、自己紹介も終わったところで」
「ええ」
 二人はうなずき、まだ残っている鬼の群れをしっかりと睨み据えた。
「俺達の戦いをしに行こうか!」
「ええ、私達の戦いをしに向かいましょう!」
 そして二人の剣士もまた、戦場たる平原へと突き進むのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『用心棒』

POW   :    剛なる居合い
【居合い 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    飛刃縮地の構え
自身に【修羅の気 】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    死者の誘い
【用心棒が殺した死者 】の霊を召喚する。これは【悲痛な叫び声】や【生前持っていた武器になりそうな物】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――かくして、望まずして鬼となった者達は討たれた。
 倒れた鬼は跡形もなく崩れ、影も形も残すことなく消え果てる。
 何たる悲劇であることか。
 何故、死して尚、これほどの仕打ちを受けねばならないのか。
 一人でも正気を保つ者がいれば、そう嘆いて自ら首をくくるであろう。
 だが彼らは死していた。
 誰一人として、まともな心など残していなかった。
 ゆえに、鬼となっても戦わざるを得なかったのである。
「然り、然り、弱き心を持つ者は、死んでもやはり弱いまま」
 男はそう呟き、笑う。
 平原を歩く鬼達を従えていた、全身を死臭にまみれさせたその男。
 一振りの刀を手にして、ひたりひたりと裸足で平原を歩く、立派な体躯のその男。
 その男こそが用心棒。
 人でいられなくなった用心棒。
 人を斬って斬って斬って、挙句に斬られてもまだ斬りたい、狂える斬鬼。
「弱き者は恨みが足りぬ、怒りが足りぬ、執念が足りぬ、怨念が足りぬ、執着が足りぬ、憎悪が足りぬ、あがきが足りぬ、もがきが足りぬ、欲が足りぬ、望みが足りぬ、絶望が足りぬ、恐怖が足りぬ、強さが足りぬ、弱さも足りぬ、飢えが足りぬ、足りぬ、足りぬ、足りぬ、足りぬ、何もかもがまるで足りぬ。足りぬからこそ負けるのだ。足りぬからこそ及ばぬのだ。足りぬからこそ届かぬのだ。わしは違う。違うぞ。わしは恨んでおる。わしは怒っておる。わしは執念を持っておる。わしは怨念に駆られておる。わしは憎んでおる。わしはあがいておる。わしはもがいておる。わしは欲しておる。わしは望んでおる。わしは絶望しておる。わしは恐れておる。わしは自らの強さを知っておる。わしは自らの弱さも知っておる。そして何より、わしは飢えておる。――嗚呼、もっとだ。もっと、もっと、もっともっと斬りたい。もっと人が斬りたいなぁ」
 “人斬り外道”が、猟兵の前にその姿を現した。
国包・梅花
…恨みも、憎悪も、足りております
ただ全てはこの刀の中に、あなたの如き外道を斬るために
きっと私とあなたの違いはその程度の差なのでしょう

妖刀を抜き「白鷹」を発動
白き梅の花びらを身に漂わせます
「ゆえに剣にて、どちらが正しいか決めましょう」

斬撃から放たれる白刃の放射にて相手の受け太刀を誘います
ただのフェイントではなく、殺気も十分込めた斬撃ではありますが
刀を使って受け、居合いを放てなくなったらば
狙うは刀を戻すまでの瞬きの間
高速移動の【ダッシュ】にて寄り、踏み込む足が地に着くまでに放つ【2回攻撃】の刺突を見舞います

鍔迫り合いは本位ではありませぬし
霊の相手もありますゆえ一撃入れたらば素早く間合いを空けます


清川・シャル
真の姿は鬼神也
快楽殺人が用心棒など笑わせてくれますね
生きながらにして地獄を見せた後地獄に堕として差し上げましょう

ThornSocietyを持って一気にダッシュを
なぎ払い、2回攻撃、範囲攻撃、武器落とし、鎧無視攻撃、カウンター、鎧砕き
ヒットしたらチェーンソーモードに切り替えて殴って、ThornSocietyはぶん投げます

村雨でUC
なぎ払い、残像、捨て身の一撃、串刺し、生命力吸収、毒使い、マヒ攻撃、属性攻撃

敵の攻撃には見切り、盾受け、カウンター、野生の勘、第六感で対応

近接は桜花乱舞、優美高妙・斬で連撃も

斬った分、斬られて死ぬのが良いでしょう?ばいばい



 人斬りがゆっくりと歩み進んでくる。
 その前にまず立ちはだかったのは、二人の少女。
「――恨みも、憎悪も、私には足りております」
「快楽殺人者が用心棒とは笑わせてくれますねー!」
 梅花とシャルであった。
「ほぉ、これは面白い。刀の精に本物の鬼とは。クククク……」
 一目で梅花の在り方を見抜き、シャルを前に舌なめずりして、人斬りは鞘からスラリと白刃を抜き放った。
「だが小娘共、わしの前に立つことの意味、解していような?」
 右手に刀をぶら下げたまま、人きりは問いかけてきた。
 まだ構えてもいない。しかし、その身からはすでに殺気が溢れている。
「解するも何も」
 だが梅花はおぞましいまでの密度の殺気を前に、だが顔色一つ変えなかった。
「私は元より、そのつもりでここに来ておりますので」
「ほぉ……」
「私は、はっきりと用心棒さんの言いたいことは分かってますよ!」
 シャルは陽気に言うと、ピンク色の棍棒を振り回して、
「あなたに地獄を見せたあと、地獄に落としていい。そういう意味ですよね!」
 彼女の笑みが、獣さながらの獰猛なものに変わる。
 少女二人に逆に殺気を叩きつけられて、人斬りの顔が嬉しげに歪んだ。
「然り、然り、できるものならばやるがいい。できるものならばな!」
 人きりが地を蹴り歩き出す。
 ――走るのではない?
 一瞬、訝しむ梅花であったが、次の瞬間には人斬りが間合いに踏み込んでいた。
「……速い!」
「ほぉら、どうした?」
 人斬りが片手で刀を振り回す。
 梅花はかろうじてそれを愛刀で受け止めたが、体がフワリと浮いた。
 これは、一体どういう膂力なのか。
「――せェい!」
 だが、梅花もまた一廉の剣士であった。
 着地直後に彼女の姿は風と共に掻き消えて、人斬りはその動きに目を瞠る。
「むぅ!」
 響き渡った甲高い音は、刃と刃が衝突したことで起きたものだった。
 間一髪、人斬りは背後に回った梅花の気配を察し、彼女の一閃を防いだのだ。
 梅花が纏っていた花びらが、剣気に吹かれて鮮やかに舞い散っていく。
「これはこれは!」
 人斬りの顔がさらなる喜悦に染まった。
 相手は剣士。それも、確かな剣腕を持つとなれば、ただ人を斬るよりも俄然悦楽も増すというもの。彼は湧き上がる喜びに身を震わせた。
「見てて気持ち悪いです」
 そこへ、シャルが一気呵成に駆け込んでいく。
 手にしたピンクの金棒は、何と棘の部分がギュンギュン回っている。それを振りかぶって、彼女は人斬りを狙った。
「呵々ッ、見え見えぞ!」
 人斬りが笑って彼女の大振りの一撃を易々とかわす。
 だがそれこそが狙い通り。元々、この攻撃はそれ自体が見せていたものだ。
 勢いのまま、シャルは金棒を投げ捨てた。
「何と!」
 戦いの最中に得物を捨てる愚行。
 さすがに人斬りも目を剥く。が、シャルの動きはこれでは終わらなかった。
「――血の桜よ、咲き誇れ」
 いつの間に手にしていたのか、彼女は刀を構えていた。
 刃が閃き、繰り出された連続斬撃が人斬りの身を幾重にも刻みつけようとする。
「くおおおおおおおおお!」
 人斬りは体に斬傷を作りながら、しかし応戦した。
 刃が噛み合い、無数の火花が二人の間に散った。だが、防ぎきれない。
 何故ならそこにいるのは、シャルだけでなかったからだ。
「隙あらば突きます。卑怯とは言わせませんよ!」
 死角から、梅花が斬り込んできたのだ。
 シャルとは違う、一直線の全力攻撃。刃の刺突が人斬りの脇腹を抉る。
「くふっ……」
 手応え、確かにあり。しかし――
「フ、ッフッフ、フッハハハハハハハハハハアァァァァァァァ!」
 口から血を垂らしながら、人斬りが繰り出した至近距離での居合の一閃が、梅花とシャルを諸共に吹き飛ばした。
「これだ! この命の奪り合いこそが我が悦楽! ハハハハハハハハ!」
「そうですか」
 高く笑う人斬りに、すぐさま立ち上がった梅花は気のない返事を返すのみ。
 シャルもまた、刀を手にして構え直す。
「斬った分は斬られましょうね。そして地獄へ落ちなさい?」
 艶やかなるかな花の如き二人の少女剣士が、汚濁に塗れし人斬りへと果敢に挑んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜神・静流
あの鬼達に対しては哀れに思う気持ちはありました……が、この者に対しては一切の慈悲も容赦も持ち合わせておりません。ただ斬り捨てるのみ。

祈り・封印を解く技能を用いて真の力を解放し、八ノ太刀・神威を使用。
見切り・早業・カウンター・怪力・属性攻撃・範囲攻撃・なぎ払い・破魔・残像・2回攻撃・呪詛耐性技能を使用して、光の剣で召喚された死霊ごと薙ぎ払う。

「我が剣は魔を断つ刃。そのような小細工は通用しない」

それと長々と自慢げに語ってくれたが、一つだけ言っておこう。
私の一族は気が遠くなる程の長い年月を、魔を討つ為だけに捧げてきた。
ゆえに、私の方が飢えている。全ての魔を滅するまで、私は決して止まらない。


六島・椋
反省してまーす(24歳人間)
怖い怖い、後で飯奢るから落ち着きなよエスタ(f01818)

にしても話が長いな彼
大人しく聞かず、話している途中で殴ればよかった
世辞にも全部聞いていたとは言えないが

エスタとは別の方向から攻撃を仕掛ける
【フェイント】と【二回攻撃】、【騙し討ち】で
そう簡単には攻撃を読まれないように

エスタが隙を突かれそうなら
人斬りの目めがけて(【スナイパー】)
【早業】で投げナイフを【投擲】してやろう
当たるにしろ弾かれるにしろ、シーブズ・ギャンビットで追撃にいく
エスタならその間に建て直すだろ

向うの攻撃は真っ向からは受けず
蝙蝠たちの【盾受け】で受け流す
力は向こうのがありそうだしな


エスタシュ・ロックドア
信頼していた友人に後ろから殴られるとは思いませんでした(羅刹 27歳 男性)
……あー、オボロちゃんくっそ痛ぇ
椋(f01816)後で覚えてろよ

しっかし随分と欲も罪も業も深ぇ奴がいたもんだ
深ぇくせに此の世に浮き出てくるたぁよ
仕方ねぇ、地獄の出張サービスだ
ここで折檻受けてけや

【怪力】でフリントをぶん回しながら『羅刹旋風』しつつ近づくぜ
【第六感】【視力】で敵の攻撃のタイミングを読んで、
こっちに斬りかかる隙を狙ってフリントで【なぎ払う】【吹き飛ばし】
ついでにさっきの鬼連中の【呪詛】も乗っけとくかぁね
こいつに効くかどうか分かったもんじゃねぇが

敵が椋に気ぃ取られたらすかさず横合いからぶった斬る



 椋の代わりに骨人形がヘコヘコ頭を下げていた。
「ほら、オボロもこの通り謝ってるし、許してやんなよ、エスタ」
「お前が謝ってねぇのはどういう了見だ!」
「実行犯はオボロで、私は現場を目撃した第三者だから」
「第三者じゃなくて首謀者、主犯、黒幕、その全部だろうがァ!」
 椋とエスタシュの戦いは、いよいよ白熱しつつあった(エスタシュのみ)。
「ほぉ~う」
 人斬りが興味深げに声を出したのは、椋が最強の切り札『飯奢るから』を切り出すかどうか考え始めたときのことだった。
 二人の視線が、現れた本当の第三者へと注がれる。
「……テメェか」
 エスタシュの表情が一変する。
 椋の方は、表情に変化こそないが纏う空気が鋭いものに変わっていた。
「わしを前に乳繰り合うとは何とも豪胆な。いやはや、少々驚いたわ」
 すでに誰かとやり合ったのか、笑う人斬りの身は血の紅に染まっている。
 それを見て、エスタシュは嘲るような笑みを浮かべた。
「何だ、誰かから逃げて来たのかよ?」
「ああ、その通りだ」
 人斬りはそれをあっさりと認めた。
「わしは命のやり取りを望んでおるが、再び死ぬつもりは毛頭ない。それに、貴様らのようにわしを狙う者は他にも来ているのだろう? 全て味わい尽くしたいではないか。なぁ?」
 顔をくしゃりと笑みに潰して、人斬りが血に濡れた刃を両手に握り直す。
「ああ――」
 言いかけている最中、エスタシュは駆け出した。
「そうか、よ!」
 肩に担いでいた分厚い鉄塊剣を軽々と振り回し、彼はその勢いを全て人斬りに叩きつけようとする。
「オォラァ!」
「フッハッハ、思い切りのいいことよ!」
 しかし、お大振り過ぎたがゆえに読まれていた。
 人斬りは刀の峰で鉄塊剣を、刃筋を立たせずに刀身を滑らせることでエスタシュの一撃をいなし、その威力をほぼ完全に殺し切った。
「随分と、器用なマネしてくれるじゃねぇか!」
 攻撃をかわされつつも気にする様子もなく、彼は人斬りめがけて前蹴りを放つ。
「フンッ! 甘いわ!」
 だが、人斬りが最小の挙動で繰り出した刺突が、エスタシュの足を貫いた。
 刃は靴を串刺しにして、切っ先が足の甲から飛び出す。
「ぐおおッ!?」
「クフフ、い~ぃい感触だぁ……」
 抉る手応え、エスタシュの悲鳴。どれもが人斬りにとっては甘露である。
 戦いの中、刹那に感じるそれらに酔いしれて、彼は刀を引き抜いた。
「当然――」
 そして身を翻し、刃を振った先にキィンと刃がぶつかり合う。
「気づいておわるわ。愚物めが!」
 ダガーを手にした椋が、音もなく背後に忍び寄っていたのだ。
「クソが! 足一つ犠牲にしたのに無駄ってか!」
「そう、その通りよ! 呵々々、悔しいか、恨めしいか! ヒハハハ!」
 痛みに耐えつつ舌を打つエスタシュを見て、人斬りは大笑いをする。
「耳障りだな」
 椋は抑揚のない声で言うと、ダガーを骨人形のオボロに持たせて操った。
「ぬ、骨を繰るとは面妖な、妖術使いか!」
「鬼を率いる君よりはマシだと思うよ?」
「抜かせ、アバズレが!」
 骨人形と人斬りが刃と刃で切り結ぶ。
「俺もいるぞ、オラァ!」
 そこにエスタシュも再び切り込んでいくが、二人を相手にしながらなお人斬りには笑うだけの余裕があった。
「どうした? そんなものか。わしを討とうというのならば、ほれ、もっとだ。もっと力を尽くすがいい。この程度では到底わしの命はやれんなぁ!」
 骨人形の放つ突きをミリ単位の見切りで避けて、エスタシュの豪快な降り下ろしを鉄塊剣の腹を蹴ることでそらして外させる。
 逆に攻めに転じれば、刃は確実に二人を刻み、血を流させる。
 数多の人を斬ることで磨き抜かれた人斬りの技巧はさすがのものといえた。
「クック、どぉした? どぉした? どぉぉしたぁぁぁ!」
 追い込まれ、下がるばかりとなるエスタシュ達に対し、人斬りはどんどんと勢いに乗っていった。数の差などものともせず、彼の攻撃は苛烈を極めた。
「このままでは本当に死んでしまうぞォ!」
 血風渦巻く中に、瞳を血走らせた人斬りの咆哮が轟く。
 それを聞いて、エスタシュは逆に笑った。
「応、そうだな」
 違和感。人斬りの動きが凍る。
「貴様、何故ここで笑……!」
「死ぬのは君だけどね」
 そして椋が告げたその言葉は、もはや手遅れだということの宣告であった。
「我が剣は魔を断つ刃――御命頂戴仕ります」
 横。涼やかな女性の声がした。
 人斬りがそちらを向こうとする。その前に、輝ける静流の刃が首筋を撫でていた。
「お」
 一声。人斬りの首から、どす黒い何かが噴き出してパッと散った。
 そして刀を握ったまま彼はその場に前のめりに倒れる。
「お、お、お……」
 倒れ、それでも何とか起き上がろうとしてできぬまま、人斬りは仰向けに転がって自分を見下ろす三人を順々に見ていった。
「さ、三人目……、三人目が……」
「気づいてなかったのはあなただけですよ。没頭しすぎましたね、外道」
 吐き捨てるように、静流は言う。
 その姿は、通常の彼女のものとは違う、真なる姿であった。
 握る剣も光を帯びて、それは邪を砕く神なる気を刀身全体に纏っていた。
 人斬りは次に、エスタシュと椋を見る。
「さ、誘われたのか……、お、俺が……?」
「ああ、俺が足を貫かれるところも含めてな。全部、誘いだよ」
「勝ったと思った? 残念でした、負けてあげてただけなんだよ」
 エスタシュと椋は最初から静流の存在に気づいていた。
 それゆえに、人斬りに彼女のことを悟られないよう、自分達に人斬りの意識を集中させるべくあえて手を抜いていたのだ。
「「ウーイ!」」
 勝利のハイタッチをする二人に、人斬りは弱々しく笑みを浮かべる。
「そう、か……。これは、た、立ち合いではなかったな……」
 今更ながらに気づいた。
 人斬りは所詮人斬りでしかなく、ありとあらゆる手段を講じて勝ちをもぎ取りに行く“戦争”をした経験は、ほとんどなかったのだ。
「嗚呼、口惜しや……、もっと、俺はもっと、人を、も……ッ!」
 彼が言い終えるのを待つことなく、その胸に静流が刀を突き立てる。
「あの鬼達は哀れもう。だが、貴様に向ける感情は何もない。――去ね」
 こときれた人斬りが、鬼と同じように影へと崩れて消えていく。
 灰すら残さずして、人斬りは現世から退場した。
「どうか、安らかに」
 吹く風に髪を流されながら、静流はやっと眠りにつくことができた犠牲者達を想い、空を見上げた。
 遠くから、かすかに祭囃子の音が聞こえた気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『今宵は夜宴の時なり』

POW   :    豪快に一気食いや一気飲みに挑戦する。もしくは美味しいお酒や食べ物に舌鼓を打つなど

SPD   :    素早く一気食いや一気飲みに挑戦する。もしくは皆の前で芸を披露するなど

WIZ   :    賢く一気食いや一気飲みに挑戦する。もしくは月や星を眺めて風流に浸るなど

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「いや~、何とか終わったね~。お疲れ様~」
 グリモア猟兵のルナンガが、戦いを終えた猟兵の前に現れた。
「これで村の方も何事もなく済んだワケだ、あー、めでたいねぇ」
 相も変わらずのほほんとした調子で彼は言う。
「みんな疲れたでしょ。このまま村に行ってお祭楽しんで来たらどうかな?」
 と、ルナンガは猟兵達にそんな提案をする。
「そろそろ日も暮れてきてるしね。祭りはこのまま宴会になると思うよ~。今だったら、外から来た人でも受け入れてくれるんじゃないかな~」
 彼はやや胡散臭げな笑みを浮かべて、うんうんとうなずいた。
「楽しみなよ。頑張ったんだから、ねぎらわれる権利だってあるはずさ。多少羽目を外しても、許してくれるんじゃないかな~」
 胡散臭いながらも言ってる言葉は純粋に猟兵を慮ってのものであり、彼は猟兵達に村の詳しい場所を伝えるのだった。
 ――とゆーワケで、宴会だー!
国包・梅花
POW

一気食いも楽しげではありますけど、帯を直すのが面倒ゆえ
お食事は甘味とお酒を少々……出来れば大福を

夜空を眺めながら本日の戦いを心中で反芻しつつ
己の剣を見つめ直しまする
己の想定を越える速さへの対応が遅れたこと
相手が上手とはいえ突きにて致命傷を負わせられなかったこと
どれも必殺のつもりで放った斬撃でした
されどまだまだ奥義には届かず
道を極むるというのはかくも遠きもの…

「はぁ……でも、なんて綺麗な月でしょう」
溜息はつけど気持ちはこの夜空の如く静かなもの
宴会の喧騒が清清しい心持にて…
少なくとも、村が血に染まることはなかったのですから


清川・シャル
f08018
恋人のカイムをすまほで呼び出します

「カイムー。シャルちゃんです。今ここなので頑張って来てなう」

来るまでのんびりわたあめでも食べてますね

あ、来れたんだ。すっごーい!
よく見つけられたなぁと感心しながら、ふらっとお散歩して軽く食べ物見繕って。
人々から少し離れた芝生の上で適当に寝転がって、星でも眺めましょう

ねー。
星。
綺麗だね。
手が届きそうで届かないのがいいな。
遠いから綺麗なんだよ。

星に手を伸ばす仕草なんかして、カイムに笑いかけますね
来てくれてありがとう。


カイム・クローバー
シャルと行動(f01440)
依頼が一段落したから、星や月を見に。シャルに呼び出され、シャルを探す。携帯に連絡があっても場所言わずに切るなら、探し回るしかない。見つけた時は汗だくだったりしないよな、俺…。
無邪気に笑うシャルに俺は少し困ったように笑う。めちゃくちゃ探したぞ?……ったく。
飯はシャルがある程度購入してくれてるってんで、俺は何も持ってない。
辿り着いたら、飯食いながら転がって星を見る。
ダクセで見る星とはまた少し違うようで。手を伸ばそうとするシャルに手を添える。
届かないモンは確かにあるが、届くモンも直ぐそこにある。猟兵としての力と俺自身の意志。それでこの手を繋いで守って見せるぜ。



 丸い月が浮かぶ、朗らかな春の夜だった。
「さて、どこにいるんだ?」
 祭りに賑わう村の中を、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)が歩いていた。
 戦いが終わった後からこちらへとやって来た彼は、目当ての人物を探して村を回る。
 どこに行っても笛や太鼓の音が届き、笑顔の村人達がいた。
 今日はお祭と聞いていたが、なるほど、ここはいい村のようだ。
「あー! いたー! カイムー!」
 聞き覚えのある声がして、カイムがそちらを向くと大きく手を振る少女が見えた。
 シャルである。カイムが探していたのは、彼女だった。
「やーっと来たー! 遅いよー!」
 両手をバタつかせて騒ぐシャルを前に、カイムはため息をついた。
「俺も、めちゃくちゃ探したんだぞ?」
「へへー、じゃあ許してあげる。よくここまで来れたねー。すごいすごい」
 彼が言うと、一転してシャルはゴキゲン笑顔になった。
 カイムも苦笑して、シャルの手を取ろうとした。と、彼女が何かを突き出してくる。
 竹串に刺さった焼き魚であった。
「はいこれ、お腹すいてるよね? 買っておいたよ!」
「ありがたい、いただくぜ」
「すごくすご~く、美味しいよ!」
「へぇ……」
 ただ塩をふって焼いただけの魚に見えるけど、と思いつつ、カイムはそれを口に運んだ。
「…………うっま」
 柔らかな魚の身と強すぎない塩の味。
 シンプル極まりないながらも、口に広がる美味はまさにこの上ない。
「へへへ……」
 二人で魚を食べながら、カイムとシャルは祭りの村を手を繋いで歩いた。
 やがて食べ終わる頃、二人は村近くの河原まで来ていた。
「おなかいっぱーい!」
「結構、ボリュームもあったな」
「だよね~。……あ、見て見て、星が奇麗!」
 雑草茂る河原へと寝転んで、シャルが空を指さした。
 隣に座ったカイムが見上げれば、確かに、そこには星々瞬く見事な夜空があった。
「届かないなー」
 シャルは見える星へと手を伸ばして握ってみるが当然何も掴めない。
 すると、逆側の手をカイムが握って来た。
「俺の手は、届いてるだろ」
 ややぶっきらぼうに言うカイムに、シャルはフッと笑って、
「うん。そうだね」
 遠くに星煌めく空の下、答えるシャルの声は弾んでいた。
 ――そして、同じく空を見る少女が、別の場所に一人。
「ふぅ……」
 小さな碗に注いだ費や酒を口にした梅花が、満足げに息をつく。
 酒の肴はさきほどできたばかりのつきたての餅で餡子を包んだ大福だ。
 酒は少し雑味が強いが、それもまた風情であろう。
「今日は色々と大変でしたね……」
「おう、そうなのかい? 獣にでも追われたのかい、大変だったねぇ」
 通りがかりの農民が、一人で酒を楽しんでいた梅花に声をかけてきた。
「ええ、そんなところです」
 梅花は農民に返すと、まさか答えが返ってくるとは思っていなかった彼は「へぇ!」と小さく驚きの声を出した。
「それでここまで逃げれたのかい。運がいい」
 本当に運がいいのは、きっとそれを今言っている農民の方だろう。
 今日滅びるはずだった村は、猟兵の活躍で明日を生き延びられるようになったのだから。
 無論、梅花はそれを語るような無粋はしない。
 農民が去った後で、彼女は今度は大福と一口。甘い。そして美味しい。
 夜空を眺めつつもしかし梅花が考えているのは今日の戦いのことだった。
 己の技を存分に振るいながらも、だが人斬りを仕留めきれなかった彼女。
「まだまだ未熟、ですね……」
 本当に、今後への尽きぬ課題を実感した戦いであった。
 ああ、しかしそれでも――
「何て奇麗な月でしょう」
 梅花は反省することしきりだったが、だが同時に喜びも確かにあった。
 この村を守ることができたという、静かな喜びが。
 彼女が軽く掲げた碗の中、注がれた酒に丸い月が映り込んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エスタシュ・ロックドア
よーし椋(f01816)、今回はお前の奢りな
いいだろ、たまにはよ
こちとら脚一本犠牲にしたんだぜ
それくらい労ってくれても良いんじゃねぇか?
ま、傷はブレキャリの炎で塞いで余裕なんだがな

ただ飲み食いするのも良いが、せっかくだ
村の連中と一つ飲み比べでもしようかぁね
椋はどーするよ、やるか?
まずは宴で出た酒で軽く勝負して、
良い感じで場が温まってきたら持参したとっておきの「羅刹殺し」を出すぜ
こいつぁやべぇぜ、引くなら今の内だ
とかなんとかやってる内に酔いが回って勝負とかどうでも良くなってくるんだよなぁ
あー酒がうめぇ
椋ー、羅刹殺しなら辛口だぜー飲むかー?


六島・椋
エスタ(f01818)と
なんだい藪から棒に
まあいいか、元より言うつもりではあったしな

食べ比べなら考えたが飲み比べはパスだ
そんなに強いわけじゃない
苦手な甘い酒でも困るしな
なんだい、君飲み比べするのか。……ふむ

羅刹殺しが出る辺りに【早業】でのぼりを作成
「酒豪決定戦 村陣営対エスタ 勝つのはどちらだ」
さて此方を注目だ、酒呑み比べが始まるぞ
大人数で彼を落とせたら村の勝ち、落とせなかったら彼の勝ち
果たして勝つのはどちらか。さあはったはった
まあ、結果に関わらず金は返すがね。祭に水を差す真似はしないさ
そこまで金に困っているわけでもない

君のその酒はかなり強い奴だろ
自分に火でも吹かせるつもりか
貰うが

一人称:自分


夜神・静流
祈り技能を使用。
月光の癒しにて負傷者の治療を行ない、後は鬼となった者達が成仏出来るように祈ります。
……それと、あの人斬りも。二度も死んだのだから、懲りてもう迷い出る事が無いように、ゆっくり眠れるよう祈っておきましょうか。

お酒や食事は、冷酒と軽くつまめる物を少しいただこうと思います。
暴飲暴食は避けて、周りの方にも一応気を配っておきましょう。



 村の中央、神社の前、最も人が集まっているのがそこだった。
「よーし、椋。今日はお前の奢りな」
「何だい藪から棒に」
 やって来たエスタシュと椋が、活気に満ちた神社前でそんなことを話している。
 戦いを終え、傷を癒したエスタシュは自分の足を椋へと示した。
「俺、足痛かったし」
「仕方がないね。まぁ、自分は別に構わないよ。そのつもりではあったし」
 椋は肩をすくめて、周りを見た。
「おや、彼女は……」
 そこに見つけたのは、先刻の戦いで自分達と組んだ少女――静流であった。
 彼女は神社の階段に腰を下ろし、祭りに騒ぐ人々を眺めていた。
「よぉ、こんばんはっと」
 エスタシュが静流に向かって軽く挨拶をする。
「あら、奇遇ですね。こんばんは」
 気づいた静流は笑みを浮かべて会釈した。椋が彼女に問う。
「あっちには混ざらないのかい?」
「ええ、そうですね……」
 静流はそう返して、背後の神社をチラリと顧みた。
「祈りを捧げていました」
「祈り、だ?」
「ええ。今回の戦いに駆り出された鬼の方々と……、あの人斬りに」
 彼女が口にした言葉に、エスタシュは意外そうな表情を浮かべた。
「人斬り? あのクソ外道もかよ」
 あれは、自らが斬った犠牲者を鬼に変えた張本人ではないか。
「彼も二度も討たれたのですから、祈りくらいは、と。おかしいでしょうか?」
「いや、おかしくないよ」
 答えたのは椋だった。
「誰が何に祈ろうとおかしくはないさ。人それぞれでご自由に、だ」
「違ェねぇな」
 エスタシュも同調してガハハと豪快に笑った。
「けど、それだけじゃ面白くねぇよな」
「お、面白く……?」
「応!」
 いきなりそんなことを言い出した彼を、静流はきょとんと見上げた。
「せっかくの祭りだ。精々派手に弔ってやろうじゃねぇか!」
 彼はその大きな手をバシンと打ち合わせた。
「さぁさぁ、この場に集まってる野郎共! よく聞きな!」
 声を張り上げたエスタシュの方を、農民らが何だ何だと注目する。
「お前ら、もっともっと派手に騒ごうたぁ思わねぇか? 俺は思うね!」
 叫び、腕を振り上げ、エスタシュは農民らに提案する。
「こんなめでてぇ夜はとことん飲んで騒ぐのがいいに決まってらァ! ってことでどうよ、飲み比べと行こうじゃあねぇか! 村一番の酒飲みはどいつだ! 我こそはと思うヤツ、前に出てきな。全員相手してやるぜェ!」
 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
 呆気に取られたままの静流の前で、農民達が彼に釣られて盛り上がる。
「俺に勝てるか、若いの!」
「ヘッ、村一番の呑兵衛となったらオラしかいねぇさ!」
「あたいだって負けちゃいないさ!」
 農民の中から、次々に名乗りを上げる者が出てきた。
「さーて、準備準備」
 いつの間に持ってきたのは、竹竿と白い布、それに太い筆と墨。
 椋はテキパキと早業でイベント用のノボリを作成する。
「俺はこの都で買ってきた特別な酒を提供するぜー!」
「「「おおおおおおおおおおおお!」」」
 エスタシュが持参してきた『銘酒・羅刹殺し』を片手に農民の歓声を浴びている横で、椋が完成したノボリを颯爽と突き立てる。
『第一回酒豪決定戦! 村陣営対えすたしゆ 勝つのはどっちで候!』
 きちんとエスタシュの名や言い回しがサムライエンパイヤ風になっている辺り、椋の必要かどうかわからない程度の気遣いが見て取れた。
 あれよあれよという間に始まった飲み比べを前に、静流はやっと我に返る。
「……あの、私はどうすれば?」
「ん~? 何しててもいいんじゃないかな。さっき言った通り、人それぞれでご自由に、だよ」
「そうですか」
 椋の返答を聞いた静流は、うなずいて神社の階段から腰を上げた。
「もし頭が痛くなったりしましたら、こちらまでおいでください。私、多少ではございますが医学に通じておりますので!」
 静流の声に、農民から新たなどよめきが起きた。
 医学に通じている、というのはもちろん嘘だが癒しのすべは修めている。酔っ払いを治療する程度はどうとでもなるだろう。
「手伝ってくれるんだ?」
「これは死者の手向けでもあるのでしょう。だったら、当然です」
「いいね。頼もしい」
 聞いた答えに、椋は他人には分からない程度の小さな笑みを返す。
「よーし、そンじゃ派手に呑もうぜ――!」
 丸い月の下、三人の猟兵は弔いの酒宴を大いに楽しんだのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年03月13日


挿絵イラスト