ジャックポットを狙って
●喪ったもの
妬ましい。
いつもどおりの日常を楽しんでいる者たちが妬ましい。その呪詛は、逆恨み同然の呪詛であった。
自分たちがこんなにも惨めな気分になっているというのに、何故奴らはあんなの楽しそうにしているのか。
―――許せない。
どんな手を使ってでも、此方側に引きずり込んでやりたい。自分たちと同じにしてやりたい。
恨みは行動を加速し、積もり積もった呪詛は形を成していく。
その感情を醜いと謗るのであれば、その者は幸せだ。
この感情を知らないのであれば、知らないほうがいい。けれど、大抵の人間は一度は、他者を妬ましいと思うことだろう。
それを呼び水にして呪詛型UDC―――喪失否定アプリケーションは顕現する。
●カジノ
グリモアベースに集まってきた猟兵たちの姿を認めると、宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)は手を降って猟兵たちを出迎えた。
「や、みんな。集まってくれてありがとね。早速なんだけれど、みんなはお金って好きかな?」
ヂュインはいきなりそんな事を言う。なんとも答えにくい質問であったかも知れない。
お金は魅力的ではあるが、同時に汚くも思えてしまうものだ。
逆に多種多様な世界に生まれた猟兵たちにとってみれば、金銭に興味のないものだっているかもしれない。好き嫌い以前の問題の者だっているかもしれない。
だから、ヂュインは直球で聞いてきたのだ。
「あたし? あたしは好きだよ。財宝の次くらいに好きかな?」
お金があれば大抵のことはどうにかなるし、お金でどうにかならないことはだいたいどうにもならないし、とあっけらかんと笑って手をふる。
「おっと、そうそう。今回の事件はUDCアースだよ。呪詛型UDCってみんなは聞いたことあるかな? 『呪詛を唱えるUDCの群れ』なんだけれど、この呪詛型UDCが怪異に巻き込むのが『その場で日常を満喫している者達』っていうことなんだ」
それと何が同関係在るのだろうか? と猟兵達が首をかしげる。
日常を満喫する、楽しむと呪詛型UDCに関連した怪異が起こる。それとお金がどう関係しているのだろうか?
「うん、今回の事件、怪異が起こるのがカジノなんだよ。違法なカジノじゃなくって、品行方正なって言うのもなんだかおかしいかもしれないけれど、真っ当な営業をしているカジノなんだ」
いわゆる非合法な組織や犯罪組織の関与を排除したクリーンなカジノであるらしい。
それ故に顧客を囲い込む目的のコンプ―――つまりは特別サービスなどが存在しないカジノなのだ。
そんなカジノの裏で蠢くのが呪詛型UDC。カジノを満喫している客を、邪神召喚儀式へと誘い込み呪詛を持って呪ってしまうのだという。
「普通の人達が犠牲になってしまう前に、猟兵の出番っていうわけなんだ。みんなはとりあえず、そのカジノに行っていっぱい楽しんで遊んでほしいんだ。できれば、勝った方がみんなも楽しいはずだから、勝ちを目指そうね。そうしていると、呪詛型UDCたちはみんなに引き寄せられてくるから……」
確かに、負け越していては楽しいという感情も発露しないだろう。
特にギャンブルというものは勝っている者が一番、その場を満喫していると言ってもいい。
「引き寄せられてきたUDCが、本来ないはずのコンプ、特別サービスが受けられるといって別室に呼び込もうとする、その別室こそが邪神召喚儀式の現場なんだ。そこで行なわれている邪神召喚儀式を阻止し、呪詛型UDCの群れを倒して欲しいんだ」
やるべきことは3つ。
カジノを楽しむ! できれば大勝したほうがいいし、負けるよりは勝っていたほうが良い。
邪神召喚儀式を阻止する。すでに拐かされている人もいるから救出して欲しい。
引き寄せられた呪詛型UDCの群れを撃破する。
この3つである。
「そうそう、カジノのゲームは色々あるみたい。テーブルゲームのバカラやブラックジャック、ポーカーなんかが有名だよね。ダイスゲームのクラップスとかルーレットもあるし、ゲームマシンのスロットやビデオポーカー。時にはビンゴなんかもあるし、スポーツ試合なんかがある時はブックメーカーなんかもあるみたい」
ともかくカジノは健全に楽しく遊べる場所になっている。
見目麗しいバニーガールやキリッと決めたスーツのボーイなんかもいるから目の保養になりそうだよね! とヂュインは笑う。
「気楽そうに言うなぁって? ふふ、だって今回は目一杯、楽しんで満喫していないとUDCは寄ってこないんだよ? 今からでも楽しいんだよ! てアピールしないとさ。ちょっとの役得だと思ってカジノ、楽しんできちゃってよ」
そう言ってヂュインは笑顔のまま、猟兵たちを送り出す。
その笑顔には不安はなく、心より日常を楽しむ者にこそ、強い力が宿ると信じているようだった。
そんな日常を満喫する者を妬み、嫉む者がいる。
それが呪詛型UDC。一般人を怪異に巻き込むわけには行かない。それにUDCを放置すれば、それだけ世界の破滅もまた近づいてしまうのだから―――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はUDCアースでの事件です。日常を満喫する人々を妬み、呪詛を撒き散らす呪詛型UDCの群れを誘き寄せ、人々の日常を護るシナリオになっております。
●第一章
日常です。
舞台であるクリーンなカジノで目一杯楽しみましょう。
大勝してもいいですし、そこそこ勝って満足するのもいいでしょう。ドレスコードが設定されていますが、猟兵は一般人には違和感ない存在として認知されますので、特に設定しなくても大丈夫です。
遊べるゲームはテーブルゲームやビデオゲームなど様々です。皆さんの好きなゲームで遊び、合法な賭博を楽しみ、満喫してください。
●第二章
冒険です。
カジノを満喫していると、カジノの従業員に偽装した邪神教徒が皆さんに接触してきます。存在しないはずのコンプ―――特別サービスが受けられる一室が在ると言って、別室の奥にある邪神召喚儀式をおこなう場所へと引き入れようとしてきます。
すでに拐かされている一般人もいますので、彼等の救出も含め、邪神召喚儀式を阻止してください。
●第三章
集団戦です。
事件の奥底に潜んでいた呪詛型UDCの群れとの戦いになります。
従業員に偽装していた邪神教徒たちがUDCへと変貌し、『喪失否定アプリケーション』と呼ばれるアプリを使用して皆さんに襲いかかってきます。
彼等はカジノやその他の賭博でお金を大量に喪ってしまった人々の成れの果てです。すでに過去の化身と化しているオブリビオンですので、骸の海へと還さなければなりません。
それではUDCアースの闇に蠢く邪神教徒達、その欲に溺れ、代償として邪神に未来を奪われた人々の成れの果てたる呪詛を撒き散らすUDCを打倒し、日常を満喫している人々の安寧を取り戻しましょう。
そんな皆様の物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『カジノ!!カジノ!!カジノ!!』
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POW : 精神力や動体視力などで辺りを引き当てるのだ。
SPD : 技量や感覚でジャックポットを引き当てるんだ。
WIZ : 計算と知識は決して裏切らない。あのカードはあそこだ。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
UDCアースのある一角。
そこは夜であっても夜ではない場所。クラシカルな佇まいは高級ホテルのような様相であり、一歩踏み出せばあちらこちらにドレスコードを意識させた身なりの良い人々が和やかに談笑している。
ここはカジノ。
欲望と金が渦巻く世界にあって、どことなく品位を保ったまま執り行われる紳士淑女の社交場として機能していた。
手入れの行き届いたスーツに身を包んだボーイが出迎え、見目麗しいバニーガールがウェルカムドリンクを持ってやってくる。
あちらこちらでテーブルゲームが催され、チップを置く音や支援煙ながらも清浄なる空気が流れていた。
ビデオゲームには目まぐるしく場面の変わるスロットや、その他のゲームが立ち並んでいた。
猟兵達は各々の姿でもいいし、ドレスコードを意識した身なりで、このカジノに挑んでもいい。
ただ、たった一つだけ。
大いに楽しむこと。このカジノを訪れた目的は呪詛型UDCを誘引することである。
けれど、少しだけ羽根を伸ばし、目一杯楽しんだって構わないだろう。
さあ、ジャックボットを狙って―――。
伊美砂・アクアノート
【POW】
……ま、楽しみましょうか。賭け事には技能不使用で、散財するの前提に遊んでいくよ。【演技、変装、礼儀作法、コミュ力】で、青のロングドレスでも着ていきましょう。いつも結っている髪も解いて、目標としては知り合いに会ってもバレないくらいに偽装しましょう。
遊ぶのはクラップス。テーブルを囲んでいるヒトと盛り上がれますし、勝ちを狙うよりは楽しむ事を主眼にしていきましょうか。そうね…同じテーブルのヒトよりちょっとだけ派手にチップを賭けたり、少し強気に攻めてみたり。バニーガールさんからドリンクを頂いて、少し酒精が回って楽しくなってきちゃった…と、そんな印象になるように演じるよ。折角だし遊ばないとね。
そのカジノは落ち着いた雰囲気がありながらも、どこか静かな熱狂が籠もるようなカジノであった。
非合法な組織や犯罪組織から切り離されているものの、いつの時代も賭け事というのはなくなるということはない。
常に綺羅びやかに光り輝いて見えるのは誘蛾灯のようであると例える者もいるが、一歩光の中に踏み出してしまえば、そんなことは気にならなくなる。
ボーイに促されるようにしてカジノの店内に入れば、その雰囲気に飲み込まれてしまう。
けれど、歴戦の戦士である猟兵にとって、多種多様な世界を見てきた瞳には浮ついた気分などなかったことだろう。
「……ま、楽しみましょうか」
青のロングドレスは白い肌を際立たせる。藍色の瞳が宝石のように光を受けて輝く。恭しく頭を下げて出迎えたボーイの息を飲む声が聞こえる。
白い髪はいつもはアップにして結い上げているのだが、今回は解いて下ろしている。伸びる白い髪が歩く度に揺れ、カジノの中でゲームに夢中になっていた人々の視線を集め、軽いどよめきが起こるほどには、伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)の美貌は際立つものがった。
エスコートするようにボーイたちが我先に集まってきたのは、少々苦笑いしてしまいそうになる。
これだけ見事に偽装できているのであれば、何も心配はない。知り合いに会ったとしてもバレないだろうと彼女は自分の偽装の精度に満足がいっているようだった。
さて、伊美砂はたおやかに微笑みながら何をして遊ぼうかと見回す。
周囲には騒々しい音を立てるビデオゲームのポーカーやスロット、テーブルの上にはルーレットやポーカーなど様々ゲームがひしめいている。
そんな中、彼女のが選んだのは、クラップスだった。
2個のサイコロの出目を競うゲームだ。
テーブルにはディーラーと客が何人か見える。今回の事件は楽しむことが前提条件である。
「―――失礼」
伊美砂はクラップスの卓につき、クラップスのゲームに参加する。
2個の出目を競うゲームであるが、このゲームは初級者から上級者まで幅広い人気がある。熟練が要求されないゲームであるし、胴元の取り分が少ないため、損をした気分になることも少ないことが大きいのだろう。
まずは、伊美砂がレディファーストということで最初の投げ手に選ばれる。サイコロに何か仕掛けがあるのかと疑うのは野暮である。
僅かな指の動きのみのサイコロを投げる所作は美しかった。ディーラーでさえ見惚れる投げ方。
多少派手にチップを掛けたせいか、熟練のハイローラーと思われたかも知れないが、以外にも最初はクラップス。つまりは負け。
「あら……幸先悪い」
と微笑みながらも、周りの客からは概ね好意的に受け入れられている雰囲気を感じる。気風の良い女性だと思われたのだろう。
次があるさ、と皆で笑いながら投げ手を交代していく。時折バニーガールからドリンクをもらって、気分が良くなってきたように微笑む。
「さあ、お次はお嬢様。どうぞ」
ああ、と酒精が回ってきて楽しくなってきたように彼女の表情は軟らかい。一度目に見せたのと同じように美しい所作でダイスロール。
盛大に盛り上がる卓。
誰もが笑顔になっているし、こういう時に飲むお酒というのはどうしてこんなにも美味しいのだろう。
勝ち負けは二の次で、楽しむ……それも卓の参加者全員で楽しむ。それが伊美砂の求める遊びであった。
「ふふ、楽しいね。さあ、次はどれだけ賭けようか」
折角だから、と思っていたが本格的に楽しくなってくる。それだけ楽しげな雰囲気でテーブルゲームに興じていれば、周りの客たちも卓に集まってくる。
伊美砂を中心に楽しい雰囲気が広がっていき、カジノの中の熱気も高まっていく。それは一人だけが勝ち抜けるより、ずっと良い結果であったことだろう。
ダイスロールする度に、場が湧き上がる。
そんな楽しさがずっと続けばいい、そんな風に思えるほどに―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
UDC組織に頼んでそれなりの服装で潜入
猟兵で良かったよ
外観年齢で追い出されかねないのと
着飾ってても中身までは変わらないから
襤褸が出かねないからね
晶はもう少し女性らしい振舞いを身に着けるべきですの
邪神のやつは僕が着飾ってるのをからかうついでに
手伝ってはくれるみたいだよ
とりあえずは楽しんでればいいみたいだし
周りに迷惑かけないなら問題ないかな
双子という事にしておくよ
ポーカーしてる後ろで煽ってくるから若干鬱陶しいけど
あら、また負けましたの
次は勝てそうですの?
煽られっぱなしも癪だし
邪神にもやらせてみようか
…かけ金どうでもいいからか思い切りいいな
普通に勝ったり負けたりしつつ
対象が声をかけてくるのを待とうか
UDC―――アンディファインド・クリーチャーと戦う人類防衛組織UDC、アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ。
そのUDC組織は猟兵にとって様々な支援を約束してくれる。それは彼等の力が猟兵に大きく劣るからである。だからこそ、全面的な協力を得られれば、頼もしいのだ。
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)も、その恩恵を受けた一人だ。
彼女のために用意された黒いドレス。
それは彼女が事件の現場となるカジノに向かうのに何ら遜色のないドレスであった。
「猟兵でよかったよ。外観年齢で追い出されかねないのと、着飾っても中身まではかわらないから、ボロが出かねないからね」
彼女の複雑な身の上を考えれば、確かに懸念することであったのだろう。
けれど、今の彼女は立派なレディとして、カジノの門をくぐる。仕立ての良いスーツに身を包んだボーイのエスコートを受けて、共に晶と歩むのは、邪神の恩返し(ガッデス・リペイメント)とでもいうのだろうか。自身と融合した邪神の分霊である。
「晶はもう少し女性らしい振る舞いを身につけるべきですの」
そう言って邪神の分霊がからかうように言う。
まったく、と晶は憤慨する気力もなく肩を竦める。晶が着飾っているせいもあって、なぜだかテンションが高いのだ。
手伝ってくれるのはありがたいけれど、周りに迷惑をかけないでくれ、とお互いの容姿が似通っていることから、周りには双子として通そうと晶は決意する。
「さて、どのゲームで遊ぼうかな。とりあえずは楽しんでいればいいみたいだし……」
丁度、カードゲームのテーブルが空いていることに気がつく。
せっかくならば、と地震も知っているポーカーに興じてみようかと卓に付いたのだが……。
「あら、また負けましたの?」
晶の後ろから様子を見るように覗き込みながら邪神の分霊が煽るような表情をして、クスクスと笑いながら晶の耳元に囁いてくるから、若干の鬱陶しさを感じてしまう。
手もとにあるカードの役を見る。
同じ卓についた他の参加者の顔色を伺う。降りるべきか、それとも続けるべきか。
ああ、それにしても背後の邪神の分霊が邪魔をすると言うほどではないが、手伝うというほどでもなく。
「次は勝てそうですの?」
もう! と言いたくなるのを、ぐっとこらえた晶は勝負を降りて邪神を自分の座っていた席に座らせる。
「そんなに興味があるなら、一度やってみたらいいよ!」
はい! とチップを手渡す。煽られっぱなしで癪であったのだが、邪神の分霊はチップ……掛け金などどうでもいいと思っているせいか、勝負勘があるのか、大胆に思いっきり良く勝負に出ていく。
それが功を奏したのか、大きく勝つ。
ぐぬ、と晶の悔しそう声が聞こえると、益々持って邪神の分霊の笑顔がにんまりとしたものになる。
ああ、もう! と今度は二人とも参加してポーカーに興じる。
それからは普通に勝ったり負けたりを繰り返す。けれど、そこにあるのは猫同士のじゃれ合いのような楽しさがあった。
これならば、邪神教徒が晶たちに声を掛けてくるのも時間の問題かも知れない。
「晶、次はあっちのビデオゲームに参りましょう!」
と考えているのに邪神の分霊ときたらもうあちらこちらに晶を引っ張っていく。これはこれで楽しんでいる、という風に映るのかな、そんなことを考えながらも晶の足取りは心做しか、軽かった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ルカ・メグロ
左腕の袖だけ破れて無いフォーマルシャツに、お気に入りの星型サングラスかけてカジノに乗り込むぜ!
っていっても初めてだし、俺こういう駆け引きみたいなの苦手だからさ。
カモにされねえように、頼むぜギータ。
挑戦するのはルーレット。
俺はルーレットとディーラーの手の動きをじっと見続ける。
感覚を共有するギータが、落下点を予想してネイバーベット。
俺はチップを置くことを気にしなくていいから、常人よりずっと盤面を見て、より確実に当てられるって寸法さ。
それでも最初はいくらか負けるだろうし、悪銭身につかず、勝っても豪華な食事を楽しめるくらいにしとくよ。
さあ、俺はここで楽しんでるぜ!
奇抜な格好というのは、人の目を引く。
それが人の世の常である。自分たちのコミュニティに異物が入り込んだことを素早く察知し、異変を取り除こうとする防衛機構のようなものだ。
だが、様々な世界を渡り歩く猟兵にとって、それは意味をなさない。どのような姿をしていたとしても、人々の視界に違和感となって映ることはない。
それが何故なのかはわからないが、猟兵の姿は多種多様であり、本来であれば存在しない種族がいても、猟兵である以上違和感なく受け入れられる。
ルカ・メグロ(ヴァージャ・コン・ギータ・f22085)の姿もそうだ。顔立ちこそ普通の青年そのものであったが、左側頭部より映える角、左腕にやどりしドラゴンのオウガ『ギータ』の力の顕現せし小腸である異形。
しかも今回は、彼なりのドレスコードを以てことに臨んだのだ。
左腕の袖がないのは、彼の異形なる腕のせいだろう。袖を通した瞬間破れてしまうから、元より破いてしまっていた。
さらに彼お気に入りの星型サングラスがキラリとカジノの照明を受けて煌めく。
確実に本来のカジノであれば、追い返されるたぐいの格好であった。だが、彼は猟兵である。
「カジノに乗り込むぜ! って意気込んだけど、初めてだし……俺こういう駆け引きみたいなの苦手だからさ。カモにされねぇように、頼むぜギータ」
ギータと呼ぶのはオウガブラッドたる彼の左腕に宿ったドラゴンのオウガ。母であり友である存在だ。
なんなく正面から奇抜な格好のままルカはカジノの扉をくぐる。彼の瞳に映ったのは何もかもが綺羅びやかな世界であった。
「わ、わわ……いや、どうも、ありがとう」
バニーガールがウェルカムドリンクを持ってきた時は、女性の姿にちょっとだけビクついてしまったが、問題なんてない。
女っ気のない生活を長く続けてきた弊害が今此処に出ていたが、誤差のようなものだと気を取り直してルカはカジノの中を見て回る。
こういうのは相性もあるだろうが、目的が楽しむということである以上、楽しまなければならない。自分が楽しそうと思ったゲームに興じるのが一番いいだろう。
そんなルカが目をつけたのはルーレット。
ディーラーとの真っ向勝負であるが、ルカには攻略の手段がある。
「むむ……」
ルカはルーレットとディーラーの手の動きをじっと見続ける。集中して見ているせいか、ゆっくりとルーレットが回ってるような気がする。
しかし、そんなことをすれば、チッポを置くことに意識を持っていけない。けれど、ルカは違う。感覚を共有する左腕のオウガ『ギータ』がいる。
役割分担だ。
ルカはボールの落ちる4つのエリアに集中。それを見た『ギータ』が素早くチップを置く。
他の人間は、同時にしないといけないがルカたちは二人分だ。他の人よりも盤面をよく見ることが出来る。
のだが。
「あ―――! なんでだ! しっかり見てたのにー!」
だがディーラーもさるものである。そう簡単に攻略させないのもまた、ディーラーとの駆け引きである。
それにルカはカジノ初心者である。最初は負けがこんでしまうのも仕方のないことだろう。
これは根気強くことに挑まねば、とルカは本腰を入れる。何度かの負けを経験した後、そこからはルカの快進撃だった。
次々と数字を的中していく。
集中すれば、何処に落ちた、というは手にとるようにわかる。並の反射神経ではないのだ。一瞬で判断し、一瞬でチップを左腕が置く。
またも的中。
「ま、悪銭身につかずっていうしな。これくらいにしておくよ」
そういってルカは自分の取り分のチップを回収してから笑う。
勝ったとしても豪華な食事を楽しめる、それくらいで勝負に挑んでいたのだ。これだけあれば、食べざかりの青年がいつも食べ慣れない豪華な食事を楽しめる分くらいはある。
それを思えば、思わず言葉にしてしまう。
「さあ、俺はここで楽しんでるぜ!」
何事も楽しまなければ損である。金銭を喪うよりも、楽しむ心を喪うほうがもっと損である。
だからルカは笑う。豪華な食事が楽しみだ。たったそれだけでという者もいるかもしれないが、関係ない。
ルカの楽しげに笑う声は、確かにこのカジノを一番楽しんでいたのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
ユージィーン・ダイオード
◆
―ム。任務了解。
カジノに潜入する。
しかし困った…。
金が…ない。
(注:超☆高額債務者)
◆
【判定:POW】
…なんとか金を工面できた。
さすがにカジノに居るのに何もしないのは…不自然だな。
服は…。いつものレザージャケットだ(男性用ドレスコードのレンタル料見て断念)。猟兵の力を信じよう。
まず、カジノ内のゲームを一通り【偵察】し、組みやすい相手を探そう。
カードゲームは得意だ
ブラックジャックでカウンティングは危険なのでやめておこう。なぁそこの青年。
さて、ブラックジャック、バカラ、ポーカー。
色々な台を回る為、勝つより減らさないよう調整する。
負けたら敗者復活できる金は…ない。
【視力】はそれなりに機能は有る…。
金は天下の周り者である。
それは確かに正しい。金を血液と例えるのならば、国は体である。血液が滞ってしまえば、人体が腐り落ちてしまうように、金も一箇所に留まっていては、経済が回らない。
当たり前の話であるが、金とはそういうものである。一箇所に留められているよりも、消費され巡るほうが互いの利益となるのだから。
だが、ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)にとっては、少しばかり言葉の重みが違う。
「―――ム。任務了解。カジノに潜入する」
そう言ってグリモア猟兵から情報を得たユージィーンは、そう言ってUDCアースへと降り立った。
けれど、彼にはのっぴきならない事情がある。
彼の仇名を知っているだろうか。その名も『1000万Gの鉄面皮』。サイボーグである彼は、その中でも更に肉体と機械の割合が偏ったフルボーグ型と呼ばれる猟兵だ。
その手術費、維持費などは、それはもう途方も無い額である。
何が言いたいかと言うと―――。
「金が……ない」
切実な問題であった。
借金を抱える超が付くほどの高額負債者である彼にとって金の問題はオブリビオンを打ち倒すよりも困難な問題であった。
しかも、事件解決のために赴いた手前、グリモア猟兵にお金を借りるというのもなんともしまらない。
どうしたものかと思案し……どういった方法で資金を調達してきたのかは、彼自身が語るであろうが、ここでは伏せておく。
「……なんとか金を工面できた。流石にカジノに居るのに何もしないのは……不自然であるからな」
彼の格好はドレスコードを意識したものではなかった。いつもの格好。レザージャケット。それだけでは流石に本来の意味でのドレスコードに適さないだろう。
だが、彼は猟兵である。彼等の姿は違和感なく人々に認知されるがゆえに、カジノにレザージャケットを羽織って入店しても咎められることはないのだ。
「流石に、あのレンタル料は信じられないものがあったな……」
単純にお金の問題であった。レンタルと言えど、あの値段は逼迫した懐事情を抱える彼に取っては、手が出せないのだ。
気を取り直して、ユージィーンは店内を見て回る。
綺羅びやかな内装では在るが、いやみったらしくなく、程よく品位の保たれているカジノであることが伺える。非合法な組織や犯罪組織から切り離されているというのは交換が持てた。
「カードゲームは得意だ。ほう、一通りは揃っているようだな」
ビデオゲームの騒々しさも嫌いではないのだが、やはり自身を活かすのだとすれば、カードゲームがいいだろうと判断し、卓に付く。
ブラックジャックのテーブルに付く。カードデックを切る音が小刻みいい。
だが、運が左右するカジノのカードゲームにも有効な手法が存在する。こと、ブラックジャックにおいては効果的すぎるがゆえに禁止されている手法が。
「―――ブラックジャックでカウンティングは危険なのでやめておこう。なぁ、そこの青年」
びく、と身体がすくみ上がる身なりの良い青年。ユージィーンは即座に見抜いていた。場に出るカード。そのカードを記憶し、デックの中にあるカードを突き止めていくカウンティング。それを行っていた青年に釘をさしたのだ。
どうせなら、誰もイヤな思いをしないほうがいい。
ユージィーンは大勝するほどでもなく、かと言って大負けするでもなくを繰り返しながらブラックジャック、バカラ、ポーカーと遊んでいく。
様々なゲームを楽しむ、という意味では彼の遊び方は最もなやり方であった。それに、彼の賭け方は無難な賭け方ばかりだった。
途中で降りることができるゲームを選ぶという点でも彼の考えが見て取れる。
「負けたら敗者復活できる金は……ない」
視力にはそれなりに機能は在るのだが、乱用するのも避けなければならない。カッティングに釘を差した手前、常人と同じ機能に抑えるのが筋であろうと考えたからだ。
「しかし、わずかに増えた程度。全額返済には程遠いが……」
それでもゲームに興じ、駆け引きをするのは良い息抜きになった気がする。常に戦い続け、生命のやり取りをするのではなく、こうした気楽なやり取りも悪くはない。そういった意味では、この隙間に出来た休息のような時間は、ユージィーンにとって、楽しい日常と呼べるものだったのだ―――。
大成功
🔵🔵🔵
片桐・公明
【SPD】
ブラックジャックで正々堂々勝負
負けるときは掛け金を控えめにして損害を抑える
勝つときはBETを重ねて大きく儲ける
ブラックジャックに対してはオールインする
「私、配られている手札見えているの。」
「イカサマしていると思うなら、それを暴いてみなさい。」
相手にイカサマされた時は手の甲はたき、殺意を出して脅しかける
「失礼、虫がいたわよ。」
(小声で)「下手な真似はしない方がいいわよ。」
勝利の仕掛けはカードカウンティングとUCを組み合わせることでほぼ完ぺきな予測が可能なうえ、相手のイカサマを見逃すことはない
(絡み、アドリブ歓迎です。)
勝負事とは、常に正々堂々と戦うからこそ面白いのである。
そこに一切の不純物が介在する余地がないほどの純粋なる力と技巧のぶつかり合いこそが、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)の求めるものであった。
例えそれが、運の要素が大きく入り込む賭け事の世界であったとしても、彼女の戦い方はかわらなかった。
彼女の姿は見目麗しくカジノ中の注目を集めるものであった。
綺羅びやかな世界に見合うだけの藍色の髪と赤い瞳は、さながら宝石のようであるとカジノに遊びに来ていた人々に印象づけていた。
「さあ、勝負しましょう。ディーラーさん」
ブラックジャックのテーブルについた彼女は、軍資金である紙幣を置く。
チップが返ってきて、ミニマムベット以上の金額が提示される。負ける時は小さく。勝つ時は大きく。
それが彼女の勝負事に対する考え方だ。
だが、ブラックジャックに関してはオールインである。全額賭ける。
ひりつくような勝負の感覚。いつのまにか付いていたギャラリーからどよめきがあがる。
「イカサマなんて考えないほうがいいわよ」
彼女の瞳はどんな些細なことも見逃さない。彼女には、殺人鬼の最適解(サツジンキノサイテキカイ)というユーベルコードがある。
ディーラーがイカサマをする、ということが攻撃であるとするならば、彼女のユーベルコードは、それすら予測し、回避せしめるのだ。
そんな彼女の瞳の前ではディーラーが例えイカサマを仕掛けようと、カードデックに細工をしようとも見抜かれてしまう。
彼女の視線は有無を言わさない雰囲気があった。
「そんなことはいたしませんよ。勝負を楽しんで頂くための役割が、ブラックジャックのディーラーの仕事ですから」
このカジノは犯罪組織や非合法な組織が排除されたクリーンなカジノだ。
だからこそ活気のある賭博場として人々が集まる。そんな場でイカサマをしようというディーラーはいないようだった。
「ならいいの。疑り深くってごめんなさいね」
それは一種の牽制であったのかもしれない。
互いの拳を合わせるような、そんなやり取り。カードが配られ、手札を見る。バーストするか、しないか。
ユーベルコードと組み合わせることによって彼女の前に並ぶカードは予測され、完璧である。
例え、しないといったイカサマがなされたとしても、それを見逃すことはない。
彼女の勝負はこれからだ。
拳を交えるわけではない勝負とは言え、これはこれで楽しいものだ。
事件の解決を図るために楽しんでいることも、少しだけ忘れてしまいそうになるほどに、ブラックジャックの夜は続いていくのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
椎宮・司
【SPD】
ほうほう、なるほどなるほど
合法的な賭場ってかい
その上、楽しんでいいなんてこりゃ極楽だねえ
存分に遊ばせてもらおうかい
花札……はないのか
じゃあ慣れたサイコロ賭博……げふんげふん
これだ!クラップスってので勝負といこうか!
おお、親だけじゃなくてこっちも賽を振れるのかい?
いいねえ、そういう楽しい奴は大歓迎だ
こういうのは度胸と勘が大事サ
種銭ある限り、張っていこうか
はっはっは、いやー楽しいねえ
江戸じゃ大っぴらに賭博なんてできないし
UDCアースは良い文化がたくさんあって飽きないさね
勝った方が嬉しいのは事実だが久しぶりの賭場で負けても気にしないサ
どうせ種銭は借りた金だしな!
※アドリブ歓迎 特に勝敗
「ほうほう、なるほどなるほど」
UDCアースのとある街中にある綺羅びやかな建物―――カジノを前にして、感心したような声を上げるのは藍色の髪美しい女性、椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)であった。
グリモア猟兵からの情報を受けてやってきた彼女は、一癖ありそうな微笑みを絶やさずにカジノを見上げる。
「合法的な賭場ってかい。その上、楽しんでいいなんてこりゃ後くらいだねえ。存分に遊ばせてもらおうかい」
猟兵の戦いが必要になる事件とは言え、前提条件が日常を満喫しているということな以上、賭場に来て楽しまないというのはありえない話であった。
彼女がカジノの扉をくぐると、そこは外とはさらに違った雰囲気を醸し出していた。落ち着いた敷物や内装とは打って変わって、人々の声や、ビデオゲームの騒々しい音楽が鳴り響く。
仕立ての良いスーツに身を包んだボーイのエスコートに任せるままに、バニーガールが運んできたウェルカムドリンクを受け取る。
「花札……はないのか。じゃあ慣れたサイコロ賭博……げふんげふん」
これは確実に普段から『やっている』人の発言である。空咳をしてごまかしたが、ごまかしが効かないくらいには、ある意味バレバレであった。
そんなな彼女が目をつけたのはサイコロを使ったテーブルゲーム。
「これだ! クラップスってので勝負といこうか!」
きっと彼女が普段慣れ親しんだのは丁半であろう。親がサイコロを振る丁半と違って、クラップスは参加者たちもダイスを振ることができる。
「おお、親だけじゃなくてこっちも賽を振れるのかい?いいねえ、そういう楽しいやつは大歓迎だ」
クラップスもまたダイスを振って、出た目で勝敗を決める。
ただし、参加者が振る以上、丁半のようにすぐに勝敗が決することはない。大まかなルールをディーラーから聞きかじって、司は笑う。
「こういうのは度胸と勘が大事サ。さあ、張って振っていこうじゃあないか」
彼女の気風の良い度胸は同じテーブルに付いた参加者からも好評であるようだった。女だてらに、と笑う者はいなかったが、このテーブルに付いた以上、皆平等の立場だ。
サイコロの転がる音が響く。
2個のサイコロがもたらす運命に参加者たちの瞳が釘付けになる。うまくすれば長くゲームを楽しめるクラップスであるが、すぐに勝負が決してしまうこともある。
種銭在る限りは張っていこう! と意気揚々としていた司の勝敗はというと―――。
「はっはっは、いやー楽しいねえ!」
大勝であった。
いきなり7の目を出してナチュラルに勝ちを拾ったり、ポイントが決定した後も狙いすましたようにポイントの数字を得たりと彼女の運は中々のものであった。
ユーベルコードも使用せずに、ここまで大勝できたのは、何かからくりがあるのではと勘ぐるほどであったが、彼女は正真正銘何もしていない。
純然たる運だけで大勝していたのだ。
「江戸じゃおおっぴらに賭博なんてできないし、UDCアースは良い文化がたくさんあって飽きないさね」
その江戸の時代も地続きで続いた結果の一つがUDCアースだ。どの時代も賭博は潰えることはない。
貨幣が終わりを迎えたとしても、物々で成り立つ賭博へと姿を還るだろうし、まだ自分たちが知らない別の何かを賭けることになるかもしれない。
そんな連綿と紡がれてきた文化に触れて司は上機嫌だった。
勝ったほうが嬉しいのは事実だが、久しぶりの賭場で負けを気にしないで良いというのは心のあり方が違うだろう。
そのどっしり構えた気構えが、彼女の大勝を呼び込んだのかも知れない。
大負けしていたらどうするつもりだったのだろうから……?
きっと彼女はこう言うだろう。
「なあに、どうせ種銭は借りた金だしな!」
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
f26725とは赤の他人で偶然同席、勝敗お任せ
色々気になるけど駆け引きを味わいたいわ
セブンポーカーの席へ
黒のタイトドレスに、髪も結って真珠のネックレスを下げ【変装】
淑女でしょ?
1回はルールを覚えながら、1ペアで負け
札と皆の表情を観察し【情報収集】……次のゲームよ
最初伏せて配られた2枚は『Q♡10♠️』と確認
表向きの3枚目はQ♠️
勿論コール
4枚はJ♠️、コール……5・6枚目、J♡8♡
表面上は1ペア。裏で2ペア確定、うまくいけばフルハウス。クイーンが来てくれるかしら
最後の7枚目は『全て伏せて配られたまま』
勘を信じるまでよ……コール
皆の札を見て笑顔になる
ふふ、これが勝負ね。癖になりそうよ
本・三六
行動のアレンジ等自由に
f26053とは互いに顔を知らない他人
偶然、同席しそのまま解散。勝敗お任せ
へえ、たまにはいいね
ちょいと遊んだら別件でお暇するけど
普段とまったく違う紳士に化けようじゃないか
【変装】は、慣れてるからね
薄灰のスリーピース、預け損ねた上着は脱いで椅子に掛ける
口笛など吹きながら
配られた札は伏せた2枚が『8♣️7♣️』
表向きの3枚目が♣️J……なかなか際どいねえ、コール
4枚目、♢8、おおブタは免れた
5枚目、♣️10
6枚目、J♢、……ああさっきJ♡があっち行っちゃったんだよね
最後の札は『皆、自身の札が何か知らない』
でも強気に行こうか。レイズだ
ああー顔に出てた?このスリル、たまらないよね
相応の場所には、相応のドレスコードというものがある。
とはいえ、猟兵は猟兵ではない一般人に違和感を感じさせることはない。それは姿も種族も多種多様な彼等にとって、一般人との間に横たわる認識の齟齬が起こらないありがたい力でもあった。
それ故に、今回の事件の舞台―――カジノを訪れるにあたって、本来ならばドレスコードにあった服装をしなければならない。
けれど、前述した通り猟兵が無理に着飾る必要はないのだが、日常を満喫している者に惹きつけられる呪詛型UDCの特性を考える上で、ドレスアップすることは日常を彩る重要なファクターとなり得るだろう。
ジャム・ジアム(はりの子・f26053)はいつもとは装いの異なる黒のタイトドレスを身に着けていた。彼女はバイオモンスターであるがゆえに高身長である。すらりと伸びた身体にドレスはとても似合っていた。
髪を結い上げ、真珠のネックレスを身につけた姿は、どこからどう見ても麗人であった。
「色々気になるけど駆け引きを味わいたいわ」
そういったジアムの言葉にエスコートしたボーイが、それならば、と勧めてくれたのが、セブンポーカーであった。
通常5枚の手札で役を作って、参加者の全員が互いの手札を知らない状態で勝負するかしないかを決めるゲームであるポーカーにおいて、このセブンポーカーは己の手札の一部を公開して行うポーカーである。
そんなふうにディーラーから説明を受けてジアムがゲームに参加する。
ルールを覚えながら、とジアムはゆっくりとした所作でゲームの侵攻を覚える。残念ながら手札の役は1ペア。
負けてしまったが、ルールの把握なのだからと納得する。
そんなゲームに新たな参加者が現れる。
薄灰色のスリーピースに身を包み、本・三六(ぐーたらオーナー・f26725)がジアムと同じセブンポーカーのテーブルに付く。
互いに猟兵であるとひと目でわかるが、面識がないゆえに軽く会釈をする程度に終わる。初めて見る顔だが、と三六は預けそこねてしまった上着を脱いで椅子の背もたれに掛けた。
「へえ、たまには良いね……こういうのもさ。ちょいと遊んだらお暇するけど、よろしくね」
ひょうひょうとした体で三六は口笛を吹きつつ配られるカードに目を通す。
普段の彼を知る者からすれば、その姿はにわかに想像し難い姿であった。それくらいに彼の変装は見事なものであり、もしもジアムが別の場所で彼と出会ったところで、あのときの、と思い出すのは困難であったかもしれない。
そんな彼を含め、参加者たちの表情をつぶさに観察していたジアム。
一度目のゲームは負けてしまったが、次のゲームだ、と意気込んでいる。
かくして、二度目のゲームが幕を上げる。カードが配られ、自分の手札を確認する。ハートのクイーンとスペードの10。表向きになっているのはスペードのクイーン。
となれば、勿論。
「コールね……ええっと」
ジアムのコールに釣られるようにして三六もコールする。
そんな彼の表向きになってる三枚目はクラブのジャック。その手札にあるのはクラブの8と7。
「なかなか際どいねえ、コール」
ジアムの四枚目はスペードのジャック。再びのコール。5枚目、6枚目はハートのジャックと8。
場に開示されたジアムの札からすいさつされるのは1ペア以上。もしくは2ペア。
「ふむ……さて、どうするか」
三六の四枚目はダイヤの8。
「おお、ブタは免れた」
なんてわざと声に出す。牽制らしい牽制。逆を返せば、三六の手札は今、瀬戸際であると判断されるだろう。
コールし、5枚目、6枚目のカードが三六の手もとにあつまる。クラブの10、ダイヤのジャック。
ああ、と三六は嘆息する。ハートのジャックがあっちに行っちゃったんだよなぁ、とジアムの方を見やる。
互いの視線がわずかに交錯するが、微笑むだけに終わる。互いに互いの表情から手札を読み合う駆け引きに同じ猟兵であっても、彼等は今というゲームを楽しんでいる。そこに立場は関係がない。
最期に配られた札。
その札は『皆、自身の札が何か知らない』。ジアムは上手くいけばフルハウスだ。強い役。そして、クイーンの手札は場に出ていない。直感を信じるか、信じないか……。
「ふむ……なるほどなぁ……でも、強きに行こうか。レイズだ」
三六の堂に入った所作は、他の参加者たちをひるませる。さらにチップを上乗せし、牽制という意味以上の意味を場に与える。
これである程度の役を揃えた者たちが動揺してくれれば儲けものだ。だが、勝負は時の運である。
三六の公開された役は、8のスリーカード。
「ふふ、これが勝負ね。癖になりそうよ」
そんあ役を覆すのはジアムのフルハウス。彼女が望み、引き寄せたダイヤのクイーン。見事なフルハウスは、他の参加者たちの視線を天井に向けさせてしまう。
「そちらのお兄さんも、レイズするからびっくりしちゃったわ。よほど強い手が来たんだろうって……でも、ちょっとだけお顔に出ていたわね?」
ジアムが微笑む。
その微笑みを受けて三六もまた、少年のような幼い笑顔を浮かべた。そこにあったのは取り繕わない笑顔であり、互いの健闘を称え合うものであった。
「ああー顔に出てた? このスリル、たまらないよね」
過剰に悔しがるわけでもないけれど、それでも共に駆け引きというスリルを楽しんだ仲である。
馴れ合うわけではない。それでもどこか同じ楽しさ、スリルを共有したという事実だけが、二人の中にあった。
勝負はジアムの勝ちであったが、次なるゲームではどうなるかわからない。三六が勝つかも知れない。
そんなどちらが勝ってもおかしくないような、ギリギリの駆け引きを二人は大いに楽しむのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『邪神召喚儀式阻止』
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POW : 正面突破による邪教徒の撃滅
SPD : さらわれた人間が儀式によって殺される前に救出する
WIZ : 秘密裏に召喚用の魔方陣に手を加える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達が思い思いのカジノを楽しんでいる様子は、この事件の元凶である呪詛型UDCたちの恨めしそうな視線を一手に惹きつけていた。
「……あいつら……あんなに楽しそうにして……絶対に引き込んでやる……此方側に……」
逆恨みも甚だしい。
日常を楽しむ者は、誰かを傷つけているわけではない。だというのに、その自意識は己が傷つけられたと錯覚し、眩いほどの笑顔を浮かべる者たちへと羨望であり、嫉妬の視線を向ける。
そんな彼等―――呪詛を撒き散らす邪神教徒たちの視線を猟兵達は感じ取っていたかもしれない。
彼等は思い思いに楽しんでいる猟兵たちにそれぞれ近づいていく。
「お客様、当店でお楽しみ頂きありがとうございます。掛け金の額が一定を越えられたようですので、コンプ―――当店の特別なサービスが受けられる特典がございます。よろしれければ、どうぞ此方へ」
そう言って猟兵たちを奥のVIPルームへといざなうボーイに偽装した邪神教徒たち。
彼等に導かれ、足を踏み入れたVIPルームは……歪な邪教の儀式が執り行われる異質なる催しであった。
ある者は現金を。ある者は手に入れたチップを。ある者は携帯端末から次々と電子通過を。
際限なく降り積もる雪のように魔法陣敷かれた場に設置された大きな端末に、自分たちの財産を投じているのだ。
そう、この邪神召喚儀式の要となっているのは、金。
金という概念を持つものを貪り食らって復活する邪神のための贄として、すでに何人もの一般人が囚われている。
彼等は洗脳されたように次々と己の財産をつぎ込んでいく。
彼等を救い、この邪神召喚儀式を止めなければならない―――。
ユージィーン・ダイオード
◆
―任務αクリアー。任務βに移行。
救出目標の確認と共に任務βを遂行する…。
しかし、増えた額は11%…か。
予定より4%も少ない…な。
◆
判定:POW
―武装展開(オープンコンバット)ヴァリアブル・ウェポン発動
魔法陣を敷かれた端末を射撃して破壊する(一般人に当たらないよう命中率を最大強化。【戦闘知識】と【情報収集】で適切な射撃パターンを計算、そして弾丸に【誘導弾】をリロード。)
いきなりの射撃と破壊に混乱した一般人に死にたくなければ出ていけとテロリスト、あるいは強盗のふりして追い出し、阻止しようとする邪教徒どもを【制圧射撃】する。
貴様らは逃がさん。
ここで制圧する。
呪詛型UDCを誘引するために必要なこと。
それは日常を満喫していること。楽しげに、日常を謳歌しているものにこそ、彼等は呪詛と共に近づいてくる。
ささやかな日常の喜びを、幸せを妬み、嫉む。そして、壊そうとするのだ。そんな彼等は次々と邪神召喚儀式の贄へと日常を満喫する者たちを騙し誘い込む。
カジノでは一般的に掛け金が一定の額を越えるとコンプと呼ばれる特別サービスを受けられる制度を設けている。
その甘い言葉を餌にして彼等は日常を満喫する者たちを誘うのだ。
「―――任務αクリアー。任務βに移行。救出目標の確認とともに任務βを遂行する……」
ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)はカジノを楽しんでいた。そこに現れたのは自分の掛け金が一定の金額を越えたので特別サービスを受けられる一室に案内するというボーイに偽装した邪神教徒だった。
これこそが彼等猟兵の真なる目的。
すでに邪神召喚儀式へと囚われた一般人を救うため虎穴に入ろうとしているのだ。しかも、このカジノのあちことでそういった部屋が複数用意されているらしく。ユージィーンの招かれた部屋も、その中の一つのようだった。
しかし、とユージィーンは嘆息する。
「増えた学は11%……か。予定よりも4%も少ない……な」
彼の予定ではもう少し稼げると踏んでいたのだろう。それもこれも己の身体を構成している超精密かつ高性能なパーツのせいである。
生命を維持するため、戦うためとは言え、彼の借金総額は少し口外できない桁である。あえて言うなら1000万以上はある、とだけ。
だからこそ、カジノでの軍資金を調達するのには骨が折れた。任務のためとは言え、これで少しでも回収出来なかった日には目も当てられない事態になってしまう。ミイラ取りがミイラになるどころではないのだ。
そうして、案内された一室を見た瞬間ユージィーンの瞳が輝く。
それは彼のユーベルコードの輝き。
「―――武装展開(オープンコンバット)……ヴァリアブル・ウェポン発動」
そのフルボーグたる体に内蔵された兵器の数々が展開される。銃火器がほとんどであり、その命中精度は凄まじいものがある。
あえてそれを選んだのには理由がある。
案内された邪神召喚儀式を行う一室。
そこには大きな端末と敷かれた魔法陣。そして、それに群がるように己の持つ財産やチップを惜しみなく注ぎ込む洗脳された一般人達。
彼等に攻撃を当てずに邪神召喚儀式を破壊するには、命中精度の高い武装でなければ彼等を傷つけてしまう。
「誘導弾リロード……一気に片をつけさせてもらう」
放たれる銃弾。
いきなりの射撃と破壊の音。凄まじい轟音が響き渡り、一室の中に反響する。それは洗脳されていた一般人たちの意識を現実に引き戻すには十分な轟音であった。
彼のサイボーグとしての瞳や情報処理に寄って、彼等には一発も掠めることはない。次々と破壊されていく魔法陣。
強引な強行突破ではあったが、これが効いた。正気に戻った人々は、さらに次に告げられたユージィーンの言葉に悲鳴を上げる。
「死にたくなければ、出ていけ。ただし―――」
ユージィーンの内蔵兵器から放たれる銃弾が次々と斉射されていき、逃げ惑う人々の間隙を縫って、邪神教徒たちを次々と制圧する。
テロリストや強盗のような役割が板につくのも考えものであるが、罪もない一般人たちを傷つけ、虐げるよりはマシであろうと考えたのだ。
「貴様らは逃さん。ここで制圧する」
一気に逃げ惑う人々の隙間を抜け、逃走を図る邪神教徒たちを取り押さえるユージィーン。UDC組織に連絡をすれば、彼らの身柄を職員たちが抑えてくれるだろう。
邪神召喚儀式を行っているのは、この一室だけではない。
そして、この次に現れる呪詛型UDC。
かのオブリビオンを打倒しなければ、この事件に幕は降りない。ユージィーンは、駆け出し任務の遂行に奔走するのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ルカ・メグロ
思ったより早かったな。いや、別に楽しくて時間を忘れてたわけじゃないからな!
……コホン。それじゃあ猟兵としての本業と行きますか。
相手の手口は聞いてた通りみたいだし、案内役を煽るだけ煽ってみるか。
「いやー、このカジノ最高っすね!初心者の俺でもこんなに楽しめるんだからさ!」
「こうやって常連にしようってことなら、商売上手だねぇ♪」
心底楽しそうにチップを指で弾きながらついてこうか。
儀式の間ではいっちょ派手にやらせてもらうぜ。
悪いけど救出は後回しだ。まずはあの端末をぶっ壊す!
ギリギリまで大根の演技をしつつ、チップを叩きつけてやろうか。
俺の左腕で放つ「竜の抱擁」ごとさ!
カジノの中には当然のように飲食をするための施設も備え付けられている。
ルーレットで勝ったルカ・メグロ(ヴァージャ・コン・ギータ・f22085)は、少しだけ早い祝勝会とでも言うように飲食の出来るブースにて腹ごしらえをしようと向かっていた。
その歩みの途中でルカはボーイに偽装した邪神教徒から接触を受ける。彼等は日常を満喫する者たちに近づき、邪神召喚儀式の贄とするために別室に誘導しようとすることは事前にわかっていた。
「思ってたより早かったな。いや、別に足しくて時間を忘れてたわけじゃないからな! ……コホン」
思わず本音が飛び出してしまったが、空咳をしてごまかすルカ。邪神教徒が偽装したボーイが訝しげな顔をしたが、笑ってごまかす。
ルカにとっての本業、猟兵としての戦いがここからはじまるのだ。
決して、飲食ブースの美味しそうな食べ物を食べそこねたとか、そんなことは微塵も思っていないのである。
「いやー、このカジノ最高っすね! 初心者の俺でもこんなに楽しめるんだからさ!」
あはは、と笑いながら邪神教徒を煽る。それはともすれば、賭け事なんてちょろいし、負けが込むなんて有りない、とビギナーズラックに乗っかって調子に乗るような若者のようにも彼等に受け取られたことだろう。
むしろ、そういった者達を破滅させることこそが、彼等邪神教徒たちの目的である。ルカが、そういった言葉を紡ぐ度に、これから起こる転落を見るのに愉悦を隠しきれないと言った風に邪神教徒たちは愛想笑いにもならない笑顔を向ける。
「こうやって常連にしようってことなら、商売上手だねぇ♪」
チップを指で弾くルカ。
益々持って乗りに乗りまくってしまう。逆に下手な演技、と自身では思っていたようだが、それがよかったのかもしれない。
邪神教徒はルカを丸め込めやすいカモのように思うようになっていたのだ。
だから、ルカの不審な態度にも猟兵としての顔となったことにも気がつけなかったのだ。コンプと呼ばれる特別サービスを受けられると歌われたVIPルームの一つにルカが通された瞬間、彼は一室の中央に備え付けられた魔法陣敷かれた大型端末へと掛ける。
「コォォォ……―――!」
それは竜の息吹のような呼吸であった。雷鳴のようでもあり、嵐のようでもあった。その特殊な呼吸より放たれる一撃。
手にしたチップを握りしめた龍の左腕。
「よし!ギータ、優しく抱きしめてやろうぜ!!」
放たれるは、竜の抱擁(アブラッソ・デ・ギータ)。
竜の呼吸により、その体に宿すオウガのドラゴン、ギータの力の籠められし一撃は、大型端末を一撃のもとに砕き割る。
破片が飛び、ルカの突然の蛮行に邪神教徒たちが悲鳴を上げる。
その悲鳴は伝播するように洗脳されていた一般人たちにも伝わり、一室は混乱に満たされた。
同じようにあちこちの部屋からも似たような騒動になっているということは、他の猟兵たちも行動を開始したのだろう。
「悪いけど、いっちょ派手にやらせてもらうぜ!」
床はひび割れ、魔法陣は砕かれて意味をなさなくなっている。さらに集金していた大型端末を破壊されたことによって、一般人たちの洗脳は全て解かれている。
彼等の救出を後回しにしたルカにとって、洗脳が解かれた彼等が逃げてくれるのであれば、助かるというものだ。
次々と竜の左腕とともに邪神教徒たちを捉え、拘束する。すでに連絡を受けていたUDC組織の職員たちが拘束した邪神教徒たちを確保していく。
「あっけないけど、どうせ次があるんだよな。さあ、俺とギータでぶっ飛ばしてやるから、さっさと出てきな!」
この事件の元凶たる呪詛型UDC。
彼等が復活させようとしていた邪神の一端であるUDCの群れを倒さなければ、この事件は解決しない。
早くUDCを打倒し、今日の勝ち分で豪華な食事をしたいのだ。逸る気持ちを抑えながら、ルカは現れるであろう呪詛型UDC目掛けて、矢のように駆け出すのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
片桐・公明
お金を邪神召喚の媒体にするのであれば、なんで一般人なんて集めているのかしら。カジノを使って巻き上げればいいのに。
【SPD】
UCを使って儀式場とその周辺にこっそり火をつける
それを理由にして強引に一般人を避難させる
「火事よ。早く逃げなさい。」
火事と声掛けで避難を誘導し、逃げない場合は俵担ぎで無理矢理引っ張り出す
邪教徒が妨害する場合は拳銃で手早く殺してしまう
「邪魔するんじゃないわよ。」
(絡み、アドリブ歓迎です)
あらゆる事象には理由があり、因果があるのだとすれば、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)にとってそれは不可解なものであった。
「お金を邪神召喚の媒体にするのであれば、なんで一般人なんて集めているのかしら。家事を使って巻き上げればいいのに」
そう、彼女の考えるとおりであった。
邪心を復活させる儀式として、金を贄とするのであれば、わざわざ日常を満喫する人々……つまりはカジノで勝っている人間をかどわかすのは非効率の極みではないかと。
言われえみれば確かに妙である。本当にお金が必要な邪神召喚の儀式であるのだろうかと。逆にお金を集めるのは手段なのではないかと公明は考え始めていた。
だが、今彼女は邪神教徒が偽装したボーイに連れられてVIPルームという名の邪神召喚の儀式の一室へと連れられている。
まだ行動を起こすには早い。
彼女の疑問は、その一室に通されて払拭される。
「なるほど、ね」
その一室は異様なる雰囲気であった。
すでに何人もの一般人が拐かされており、彼等は己の持つ財産……電子通貨やチップ、カードなどから惜しげもなく魔法陣の敷かれた中央になる大型端末へと注ぎ込んでいる。
彼等に必要だったのは金ではない。
金を喪うことに寄って現れる絶望や喪失感が邪神召喚の儀式に必要であったのだ。だから、彼女は違和感を感じていた。
醜悪極まりない。
それが公明の感想だった。
手にした拳銃から放たれる、ユーベルコード、紅蓮『赤壁乃業火』(グレン・セキヘキノゴウカ)。
それは彼女が射出の起点として認めた拳銃から放たれた業火の如きエネルギーの弾丸。それが魔法陣の儀式上に火の手を上げる。
「火事よ。早く逃げなさい」
突然の出来事に慌てたのは一般人だけではない。邪神教徒も不測の事態に右往左往する。その隙に彼女は未だ洗脳解けぬ一般人たちを俵のように抱えて部屋から駆け出していく。
一般人を救出する目的も在るが、この邪神召喚の儀式を成すわけにはいかない。
突如として現れた炎に大型端末は焼け焦げ、魔法陣は破壊された。これで十分であろう。
スプリンクラーが作動し、放水される中、邪神教徒たちが元凶である公明の前に立ちふさがる。
止まれ! と激高する彼等の額を打ち貫く公明の拳銃から放たれた弾丸。
有無を言わさぬ銃撃に邪神教徒たちがたじろぐ気配があった。彼女の赤い瞳は、一切の容赦がないことを伝えるほどに鋭かった。
「邪魔するんじゃないわよ」
たった一言、それだけで道が開く。
抱えた一般人たちの救出を優先した彼女にとって、邪神教徒たちの妨害はあって然るべきものであったが、それで妨害されて良しとするものではない。
邪魔するのならば討つ。
ただそれだけの意思を込めた瞳が邪神教徒たち射抜いては、道を開ける。行動は
最速最善に。
人の生命を優先した以上、彼女の行動は明快だった。スプリンクラーが作動し、放水される水が滴る中を彼女は拐かされた人々の救助に尽力するのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
伊美砂・アクアノート
【SPD 蒼溟香・氷晶夜光】
・・・囚われている一般人の救助を優先するよ。しかし、みんな派手にやるね。これじゃ演技したまま騙されたフリして潜入しなくても良さそうかな…?
【鍵開け、偵察、聞き耳、情報収集、忍び足、視力、第六感】 拙者、いちおう本職シーフでゴザルからなー。陽動で動いてくれる猟兵がいるのであれば、こっそりと奥まで潜入させてもらうでゴザルよ。 音を出したくないから、銃器は使わない。血を残したくないから、投擲武器も刃物も封印しておくよ。生存してる一般人の無事を確かめるまでは、あまり荒事はしたくないからのう。施設の奥へ進み、邪神教徒を排除する必要がある時は【暗殺、毒使い、誘惑、だまし討ち】
カジノに隠されたVIPルームという名の邪神召喚の儀式の場は、あちこちに点在しているようであった。
邪神教徒たちはカジノで日常を満喫する者たち……つまりは猟兵たちに目をつけ、彼等を堕落へと誘い、邪神召喚の儀式の贄としようとしていた。
だが、相手が悪いとはこのことである。
彼等の洗脳も猟兵には通じず、逆に入れてはならない者を邪神召喚の儀式へと招き入れた結果となったのだから。
そのせいか、あちらこちらで人々が逃げ惑っていたり、大きな音が響き渡ったりと、その音を聞いた伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)からすれば、カジノへと潜入していた他の猟兵たちの活躍に自身の仕事の手間が省けるように感じていた。
「しかし、みんな派手にやるね。この様子だと騙されたフリをして潜入しなくても良さそうかな……?」
彼女が最優先するのは、邪神教徒たちに拐かされた一般人の救出である。
洗脳され、己たちの財産を注げるだけで注ぎ、その喪失感を糧に邪神を召喚しようとする邪神教徒たちを捨て置くことは出来なかった。
「拙者、いちおう本職シーフでゴザルからなー」
彼女の口調がいきなり変わる。それは彼女が多重人格者であるがゆえ。とりわけ、シーフとしての技能を扱う場合の人格なのだろう。
今まで主張しようとして、一斉に他の人格と発話の混戦渋滞を起こしていたので、鳴りを潜めていたが、潜入といった仕事の際には自分が一歩秀でているという自負があるのだろう。
それに陽動で動いてくれる猟兵達がいるおかげで、カジノの闇に巣食う邪神教徒たちの奥までこっそりと潜入することなど朝飯前である。
彼女のシーフ技能である鍵開けや偵察、聞き耳に忍び足。ありとあらゆる技能を駆使すれば、この程度の偽装された場所など壁があってないようなものであった。
彼女が施設の奥を進み、囚われている一般人の救出に向かう途中、当然のように騒ぎを聞きつけた邪神教徒たちがわらわらと溢れ出てくる。
どこにこんなに潜んでいたのかと思わせる数であるが、彼女の前には数など無意味。
「却説、残念ながら、同じ空間に存在する時点で君は私の術中だよ」
ユーベルコード、蒼溟香・氷晶夜光(ソウメイコウ・ヒョウショウヤコウ)が発動する。
それは、さいはての水香と呼ばれる彼女の毒香水。
彼女は武装していなかった。音を出したくないから、銃器は使用しない。血を残したくないから、投擲武器も刃物すら使わない。
ならば、彼女の最後の武器は―――この水香である。たった一つの身のみで多数を制圧さしめる水の香りは、しかし無差別な攻撃ではない。
ユーベルコードの輝きに寄ってコントロールされた香りは彼女が敵と認識する者たちにのみ作用し、邪神教徒たちを排除していく。
これだけ彼等が溢れ出てきたということは、ここが邪神教団の最奥であろう。
開けた扉の中には拐かされ、囚われた人々がいた。彼等の拘束を解き、伊美砂は救出する。
これで後の心配をする必要はない。
他の猟兵たちも同じように邪神教徒たちを拘束し、邪神召喚の儀式を阻止している頃合いだろう。
後は、現れるであろう呪詛型UDCの群れを叩けば事件は収束する。
「楽しいカジノではあったけれど、仕方ないよね。―――ま、それでも仕事は仕事でゴザルからなー」
彼女の中の人格の一人があっけらかんとした口調で言う。
仕事は真面目にきっちりと。それが彼女の信条であるのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
声かけられたら素直について行こう
少し疲れたから休憩したいしね
件の部屋に着いたら周囲を観察
出口と邪神教徒の配置を把握しつつ
どんなサービスか聞くだけ聞いてみよう
邪神に小声で無茶しないよう言っておこうか
大丈夫ですの
一般人の方々が巻き込まれないように保管しておきますの
…一般人らしき人達が彫像になったね
UCの邪神の施しの様な感じで
彫像に変えて防御を強化したのか
保護じゃなくて保管なのは
司る権能が停滞・固定・保管とかだからだよ
もう隠す必要もないし
バッグから部品を取り出し
ガトリングガンを生成して薙ぎ払い
一応ゴム弾を使用するよ
ゴーグルを使いUDC組織に室内の状況をデータで共有
後始末は僕らより上手くできるだろうし
「お客様、少々よろしいでしょうか?」
そう言って佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)と邪神の恩返し(ガッデス・リペイメント)によって共に行動していた邪神の分霊の前に現れたのは、訪れていたカジノのボーイであった。
彼は晶たちの掛け金が一定の金額に達したため、コンプと呼ばれる特別サービスを受けることができるようになったと告げる。
勿論、晶達はその特別サービスにいざなうボーイの正体が邪神教徒であることを知っていた。だが、今回はすでに邪神召喚儀式に拐かされた一般人がいることもまた知っている。
彼等を救出するのもまた猟兵の仕事のうちの一つであった。
「それじゃあ、そうしよっかな。少し疲れたから休憩もしたいんだけれど……」
そう言って晶はボーイに偽装した邪神教徒に敢えて素直についていきながら、どんあサービスが受けられるのかを尋ねる。
VIPルームらしき一室はカジノのあちらこちらに存在しているようで、他の声を掛けられた猟兵たちもそちらへと回されているようだった。
つまりは、今、晶たちが誘導されている一室には晶と邪神の分霊しか猟兵は招き入れられていないということになる。
「は、それはとても素晴らしいサービスでございますよ」
邪神教徒の紛するボーイは、それらしいことを言ってはぐらかしてくる。これはどう転んだって碌なことではないな、と晶は感づいていた。
それ故に隣を歩く邪神の分霊に耳打ちする。
「できるだけ無茶しないでよ」
そうコソコソ耳打ちしたのだが、分霊ときたら、大丈夫ですの、としか返してこないから、晶は益々持って不安になる。やりすぎてしまってはあとの処理が大変なのだ。
彼女たちがVIPルームという名の邪神召喚儀式の場となった一室に招き入れられる。
そこは魔法陣が敷かれ、中央に大型端末が鎮座する異様なる雰囲気の一室であった。ひと目見ただけで晶たちは分かる。
あれは金を巻き上げるためのものではない。金を巻き上げるのは、手段の一つに過ぎないのだと。
彼等の目的は、全財産を喪ったという喪失感。それこそが、邪神召喚儀式のために集められる贄であるのだとわかってしまう。
晶が許せないな、と思った瞬間、一瞬で洗脳されるようにして大型端末に群がっていた人々が動きを止める。
なんだ、と思った瞬間、それがなんであるのか晶は理解した。
「一般人の方々が巻き込まれないように保管しておきましたの」
邪神の分霊が事も無げに言う。
彼女がしたこと。それは一般人らしき人々を彫像に変えたのだ。それが邪神の分霊である彼女の力。邪神の施しのように一般人を彫像に変えて、傷つけられないように強化したのだろう。
それに彫像にしておけば動けないだけではなく、洗脳された彼等が晶たちに襲いかかることもない。
邪神の分霊の司る権能は停滞・固定・保管である。それ故に振るう力の顕現が、彫像に変えるといった形で現れたのだろう。
「でも、もっと言い方ってあるでしょう……もう隠す必要もないっていうか、バレてしまっているからあえて言うけど!」
多機能ゴーグルをかぶった晶が叫ぶ。おしゃれなバックの中に隠していた部品らしきパーツを取り出し、ガトリングガンを生成し、襲い来る邪神教徒たちを薙ぎ払う。
「一応、ゴム弾使ってるから死なないとは思うけど、死ぬほど痛いから覚悟しておいてね!」
一気に邪神教徒たちを制圧し、晶は多機能ゴーグルからUDC組織に室内の状況のデータを共有する。
ゴム弾の斉射によって呻くように床に這いつくばる邪神教徒たちの拘束をUDC組織に依頼したのだ。
後始末という意味では自分たちより余程上手であろうUDC職員に此処は任せておけばいい。
晶が目指すのは―――。
「次は呪詛型UDC……これでこの事件は終わるんだから、さっさと片付けてゆっくりしよう!」
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
さっきのお兄さん=f26725と途中まで同行
待って。そう、貴方、猟兵でしょう?
奥の光景に不快そうに首元を押さえて
邪神召喚……また人の喜びを踏みにじるの?
……何度でも潰すまでよ
先手の彼の攻撃で一般人に破片が飛ばぬよう
急いで『護り現』と『ガラス蜘蛛』を展開、壁にする
ズルいわ、私だって。
『眠り真珠』で教徒と被害者たちを眠らせ、鎮めるわ
抵抗したり退避が必要な者を『謎のレモン』の蔦と【念動力】で確保してゆく
手を借りようとふと見回せば
彼の姿がなく。彼も猟兵、理由があるのだろうと一人納得し、目前の事に向き直す
『Q Q箱』と【医術】を活かし補水や応急処置を済ませたら
救出部隊に託し、元凶を追いに行く
本・三六
脚色お任せ
先の彼女=f26053と同行
おっと、帰るつもりなんだ
え?人が拐かされてる?……ハァ、しょうがないね
楽しんだ分、ひと働きするさ。
奥の光景にまた口笛を
カネ、金、金。こりゃあ壮観だけど、彼らさ、
もう食べても遊んでもいない。流石にアコギ過ぎるな(そりゃ真顔にもなるさ)
捨て置けないね
色鮮やかな『バトルキャラクターズ』を召喚
教徒と人々を引き剥がしながら
投入口など片っ端から壊してゆく
心配症だね!被害者を【かばい】回収しつつ【偵察】し
そこ、大事そうだね?
合体させたUCでもう一撃
満足げに笑んで、はっと腕時計を見やる
っと、ここは頼もしい猟兵がたくさんだ
持ち前のコミュ力で人々を仲間に託し去る。後は任せたよ
ポーカー勝負に興じていたジャム・ジアム(はりの子・f26053)と本・三六(ぐーたらオーナー・f26725)の二人。
他の参加者も居たが、お互いに猟兵であるということは認知していたせいか、互いに視界の隅に置く程度ではあったが、同じゲームを楽しんだという感覚の共有が行なわれていた。
これもまた一つの出逢いの形であったのかも知れない。
だが、そんな楽しげな雰囲気も長くは続かない。カジノの奥から火災を知らせる報知器の音や人々が逃げ惑うようにVIPルームから飛び出してくる姿あちらこちらで見受けられる。
三六はもう帰り支度を済ませようとしていた。あまり長居するわけにはいかないと最初に決めていたのだが、思いの外歯ごたえのある勝負に興が乗ってしまったのだ。
そんな彼を引き止めるのは、首元を抑えながら首の奥に蠢くであろう埋め込まれた針の感覚に深いそうな顔をしているジアム。
「待って。そう、貴方、猟兵でしょう?」
帰るつもりであった三六にとって、その言葉は予想外ではなかった。呼び止められるであろうとも思ったけれど、こちらにはこちらの都合が在るのだ。
「この奥、奥に人が拐かされているの。わかるの。だから―――」
手伝って。人の喜びを踏みにじる邪神が、その徒がいるのだとジアムが訴える。その表情を見せられて三六は、はいそうですかと、己の都合を優先できるほど薄情ではなかった。
「……ハァ、しょうがないね。楽しんだ分、ひと働きするさ」
ジアムと三六が互いに視線を向ける先にある光景。飛び出してきた人々の奥にある魔法陣や大型の端末。それにボーイに偽装していた邪神教徒たち。
その光景に三六は口笛を鳴らす。
目の前の大型端末に浮かんだ数字は、邪神召喚儀式を執り行っている邪神教徒たちが、一般人から巻き上げた金銭の額であろう。
「カネ、金、金。こりゃあ壮観だけど、彼らさ。もう食べても遊んでも居ない。それじゃあ、流石にアコギ過ぎるな」
先程までの飄々とした表情が消える。真顔にもなるというものだ。こんな光景を見せられては。
「捨て置けないね―――バトルキャラクターズ!」
掲げた手からあふれるようにして召喚されるのは色鮮やかなキャラクターたち。
数字の刻まれた彼等は一気に奥の部屋へと駆け込んでいく。洗脳されたように大型端末に電子通貨やチップ、銀行預金などを投じる一般人を教徒たちから引き剥がしていく。
「さあ、いっぱい暴れな。そこ、大事そうな場所だよね?」
バトルキャラクターズたちは一斉に大型端末のチャージするスキャナーやらチップ投入口を散々に破壊する。
さらに大型端末の電源を供給しているであろう魔法陣などを目ざとく見つけ、ゲームキャラクターズたちを合体させての巨大な一撃を見舞う。
大きな拳は大型端末の画面を割り、それを支えていた支柱やコードを引きちぎらんばかりに勢いでは辺を大きく周囲に飛ばす。
「任せておいて!」
ジアムの念によって強化されたガラス蜘蛛……水蜘蛛の泡のような銀の薄布が部屋全体に包み込む。魔力纏うヴェールの如き薄布に護り現のちからが流れ込み、破片が周囲に点在する一般人に及ばぬように壁とする。
バトルキャラクターズたちの盛大なる活躍に自分も負けては居られないと、ユーベルコード、眠り真珠(リテヌート)を発動する。
特別に調合した、七色に輝く霧状の薬がジアムを中心にして噴出し、キラキラと輝いて舞い落ちる。
猟兵たちの活躍に寄って、カジノは大混乱だ。これだけの混乱の中人が殺到すればそれだけで怪我をする者も出るだろう。
だからこそのユーベルコード。
「ズルいわ、私だって。ちゃんとできるんだから」
眠りの七色が優しく教徒たちと被害者である一般人たちを眠りに誘う。
「へえ―――やるじゃないか。……っと」
ジアムの奮闘に満足気に笑う三六。ジアムは謎のレモンから伸ばした蔦や念動力を組み合わせて、教徒を拘束していく。
その手際は鮮やかで、三六も頼もしいと感じたのだろう。これ以上は任せてもいいだろう。気にかけていた時間もそろそろタイムリミットが近づいている。
一言かけて帰ろうと思ったが、なんともそれは面映い。
決まりが悪い笑顔で分かれるのは、三六も本意ではないし、いつまた接点が生まれるかもわからない。己の活躍は人知れず。誰かの口から伝え伝わるようなものではない。そんなスーパーヒーローである彼にとって、別れの言葉は苦手なものだった。
「……ここは頼もしい猟兵がたくさんだ。後は、任せたよ」
その言葉はジアムに届いたかどうかまで確認はしなかった。さっそうとヒーローは去るのみ。
三六は猟兵たちにこの場を任せて、また別の事件へと飛び立つのだ。
「ねぇ、貴方―――……あれ?」
名前も知らず、名乗り合う時間もなかった猟兵の姿が見えなくなっていた。
ジアムは手を借りようと思ったのだが、いつのまにか戦うだけ戦っていなくなった三六をしばらく見回して探したが、姿が見えない。
やられてしまった、ということは考え難い。ならば、何かの理由があったのだろう。猟兵の求められる場は多い。
また会えるかどうかもわからないけれど、それでも、ジアムは感謝することを忘れなかった。一時の共闘であったけれど、この戦いは誇るべきものであった。
いつか、そういって語り合える運命の交錯が起こるかもしれない。
「痛むところはない? 大丈夫?」
診断AIの搭載されたポータブルERであるQQ箱を展開し、被害者である一般人たちの介抱を続けるジアム。
他の猟兵がUDC組織へと連絡を入れたくれたのであろう。次々とUDC職員たちが駆けつけてくる。彼等に被害者である一般人たちのケアを任せ、ジアムは元凶である呪詛型UDCの出現を聞き、駆け込んでいく。
「邪心召喚……人の喜びを、人の営みを踏みつけにするというのなら……何度でも潰すまでよ」
いつの日にか、この場をさったたった一度だけの共闘を果たした彼に、この日の顛末を伝えるためにジアムは事件の元凶を叩くために駆けるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『喪失否定アプリケーション』
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POW : 「やっとここまで取り戻せたんだ」
戦闘力のない【執着対象を模倣するモザイクの塊 】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【周りの人を代償に現状を都合よく変えること】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD : 「あんたも協力してくれるよな?」
攻撃が命中した対象に【因縁 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の未来を奪い不幸を招くこと】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 「この手は二度と離さない」
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【未来 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
イラスト:綴螳罫蝉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの活躍に寄って邪心召喚儀式を行っていた教団の教徒たちの拘束は全て果たされていた。
呪詛型UDC。
それは他者の楽しげな日常を妬み、嫉む心が産み出した歪なる存在。UDC、 『喪失否定アプリケーション』。
UDC職員たちに拘束されていた教徒たちが次々に手にした端末―――スマートフォンやデバイスを掲げる。
次の瞬間、彼らの体を覆うのは邪神の力の顕現。
天使の形を模ったアイコンマークが教徒たちの顔を多い、その胸から広がっていくモザイク。それを大事そうに抱えるようにして教徒たちは反芻するように声を上げ、拘束したUDC職員たちを吹き飛ばす。
「―――やっと、やっと此処まで取り戻したんだ。全部取り戻さないと。全部。全部。オレたちの不幸は、みんな幸福な奴らが、オレたちから横取りしたからだ。必ず取り戻す。全部だ!」
その言葉は逆恨みの言葉。
己の不幸は誰かの幸福の下敷きなのだと信じて疑わない心の持ち主たち。
それはもしかしたら、邪神によって歪められたからかも知れない。けれど、彼等が使用するアプリケーション…… 『喪失否定アプリケーション』は、彼等の願いを叶える。
「オレより恵まれた者を、オレよりも優れた者を、オレよりも運のある者を。全て、呪いたい。みんな、みんな、オレ以下にならないと。オレがこんなに不幸なのは、みんなが幸福だからだ。だから、わかるよな。みんな、オレと同じ、オレよりも下に」
理論的でもなければ、理屈でもない。モラルもあるものでもない。
自分の位置を上げるために、他者を引きずり下ろす。
己は何かを成すことはしないのに、評価されたい。幸せになりたい。
そのために誰かの不幸せがあって然るべきだと言う。
そんなことを許容するわけにはいかない。猟兵達は、『喪失否定アプリケーション』を使用し、呪詛型UDCと化した教徒たち……もはや人間ではなく、オブリビオンとなった彼等を打倒し、骸の海へと還さなければならない。
誰かの幸せを護るために―――!
ユージィーン・ダイオード
◆
幸福量保存の法則という奴か。
バカバカしい。確かに僕は借金を抱え不幸かもしれない。
だが、僕が不幸でいると誰がそれで幸せになるというのか。
貴様不幸で、誰が幸せだというのか…。貴様が不幸で誰が嬉しいか…。
ただの貴様の自己満足でただの貴様の自意識過剰だ。
◆
―目標確認。殲滅(ターミネイト)を開始する。
―武装展開(オープンコンバット)ヘビーアームド・ウェポナイズ
零式直接支援火砲とビームキャノンの装備を選択。このまま目標を殲滅(ターミネイト)する
全弾【一斉発射【爆撃】【制圧射撃】で殲滅する。
―【情報収集】完了
あのUCは…危険だ主に僕の懐未来てきに…。
アサルトライフに装備変更…【弾幕】を貼り迎撃する(切実)
呪詛とは如何なるものであるか。
それは他者を妬み嫉む心が産み出した怨嗟の声。自我と彼我の境界線すらもあやふやになった生者が抱く妄執に他ならない。
そんなものに何故誰かの幸せが脅かされなければならないのか。
「幸福量保存の法則というやつか」
ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)は対峙する呪詛型UDC 『喪失否定アプリケーション』の群れを前にして、彼等の言い分を聞いた。
だが、その言い分は到底受け入れられるものではなかった。
「バカバカしい。確かに僕は借金を抱え不幸かも知れない。だが、僕が不幸でいると誰がそれで幸せになるというのか」
ユージィーンは、彼らの言葉を切って捨てた。
意味のない言葉だと思った。自分の幸福も自分で決められないから、他者を傷つけているという自覚もない。誰かを貶め、誰かを踏み台にしなければ己の価値が上がらないと信じ込んでいる。
「貴様が不幸で、誰が幸せだというのか……貴様が不幸で誰が嬉しいか……」
彼のユーベルコードが静かに発動する。『喪失否定アプリケーション』のユーベルコードは長引けば長引くほどに周囲に害を成していく。
それは避けるべきことであり、ユージィーンにとっても短期決戦を望むだけの理由があった。
―――目標確認。殲滅(ターミネイト)を開始する。
―――武装展開(オープン)ヘビーアムド・ウェポナイス。
彼のサイボークたる体の中で電流の如き速さで命令が伝達される。彼の身体が重武装モードへと変形していく。
それは彼自身が、この場から動く移動速度を代償とした攻撃力と射程距離を強化する一撃必殺なるユーベルコード。
零式直接支援火砲とビームキャノンを構え、一斉にユージィーンの機械の目がターゲットを視線誘導に寄ってマルチロックされる。
「ただの貴様の自己満足で、ただの貴様の自意識過剰だ」
一斉に放たれる火砲の砲撃とビームキャノンの砲弾が一斉射でもって呪詛型UDCたちの群れへと放たれる。
それは殲滅という名に相応しい一撃だった。
呪詛型UDCたちが何も出来ぬ間に、超絶なる火力の前に灰燼に帰すしかなかったのだ。
彼の機械の目が、彼の周囲に残存しているUDCを探す。
しかし、あれほどの火力の前に存在しているUDCがあろうはずもない。
「―――殲滅、完了」
彼の任務はここに終わりを告げる。
けれど、彼の生はまだまだ続く。それは彼が抱えた多額の借金を返済するという重荷を背負ったものであるが、それでもユージィーンは不幸であるとは思わない。
なぜなら、その借金をしてでも得た力が誰かの幸せを護ることになるのだから。
「……しかし、あのユーベルコードは……危険だ。主に僕の懐の未来的に……」
今度からはアサルトライフルに装備を変更して弾幕を貼ることにしよう。そうしよう。そんなふうにユージィーンはこころに決める。
どれだけ強力な武装であっても、使う度に借金の額が増えていくのでは、心から笑うこともできない。
それに、オチが付いてしまったようだが、今回彼がカジノで得た勝ち分は、当然のことながら、零式直接支援火砲とビームキャノンの代金に消えたという―――。
大成功
🔵🔵🔵
片桐・公明
自身の不幸は他者が幸福だからって、呆れるくらい言いがかりね。
【POW】
UCによってひたすら殴る蹴るで攻撃する
相手の攻撃は基本的に回避するが、致命的な攻撃でない限り被弾は無視する
「一つ質問よ。あなたはコップ一杯の水を幸福に感じるかしら?」
「感じるわけないわよね。でもね、それを幸福に感じる人もいるのよ。」
「人の幸不幸なんてそんなものよ。要は当人がどう感じるかよ。」
「それも分からず八つ当たりする阿呆は…」
「…おとなしく死んでおきなさい。」(ひたすら冷たい声音で。)
(絡みアドリブ歓迎です。)
『喪失否定アプリケーション』は、損失を受けた分の願いを叶えるアプリケーションである。それを利用するということは、在り得たかもしれないという未来を担保に、今という現在に補填をするというものである。
つまりは、己自身の選択によって未来を担保に補填するということは、己の未来を消していくということにほかならない。
そうして、使い潰した未来しか残らない人々は、邪神の傀儡となって生きるしかなくなるのだ。
それこそが、この邪神教徒たちである。彼等は一様にこう言うだろう。
「自分たちが不幸せなのは、誰かの幸福のしわ寄せだ。自分たちには自由がある。自由に生きる権利がある。権利があるのにそれを行使しないわけにはいかない。生命は誰のどんなものであっても等というのだから」
その言葉は、綺麗事であった。
誰もが納得する綺麗事のように聞こえると、その言葉を弄する者達は思っていただろう。
けれど、それは決定的に間違っていた。
「自身の不幸は他者が幸福だからって、呆れるくらい言いがかりね」
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は、ほとほと呆れたように戦場となったカジノを駆ける。
ユーベルコード、諸葛流舞闘術(ショカツリュウブトウジュツ)によって武術と舞踊を組み合わせた独特な体術を持って、呪詛型UDCである『喪失否定アプリケーション』を使う邪神教徒たちを打ちのめす。
流れるような、踊るような拳が彼等のモザイク柄に染まった胴を打ち払う。足を払い、そのまま頭を蹴り飛ばすようにして壁へと叩きつける。
襲いかかる彼等を投げ、つかみ、公明は一人の邪神教徒へと言葉を投げかける。
「一つ質問よ。あなたはコップ一杯の水を幸福に感じるかしら?」
その言葉は、何気ない質問であった。
たったコップ一杯の水で誰が幸せになるものかと、邪神教徒が叫ぶ。それは彼等にとって当然の答えであった。
彼等の心には穴が空いているのだ。
際限のない欲望と欲求。
それを受け止めるだけの器に穴が空いているからこそ、他者を妬み嫉む。
その穴を埋める何かが無ければ、誰であってもそうなることは明白であった。
「感じるわけ無いわよね。でもね、それを幸福に感じる人もいるのよ」
公明の赤い瞳が輝く。
そこにあったのは明白な怒りであった。自身の不幸を嘆くのはいいだろう。嘆いたところで変わることはないだろうが、誰にも害を与えない。
けれど、己の不幸を誰かの幸福のせいにするのであれば、違う。
「人の幸不幸なんてそんなものよ。要は当人がどう感じるかよ」
誰かの不幸を願えば、当然のように己を不幸にする。人は誰かに幸福にしてもらうものではない。自身の力で幸福になるものだ。
だからこそ、公明の邪神教徒を掴む手に力が籠もる。
苦しみに悶える邪神教徒の耳には、公明の言葉はもう届いていないだろう。
「それも分からず八つ当たりする阿呆は……」
掴んだ邪神教徒の身体をボールでも投げるように投げつけ、叩きつける。イヤな音が響き渡る。
それは彼女の怒りであり、幸福を害された誰かの怒りでもあった。
「―――おとなしく死んでおきなさい」
赤い瞳が細められ、明確な怒りとともに叩きつけられた力は、呪詛型UDCの群れを一掃していく。
そんな戦いの音が奏でられる中に、公明のひたすらに冷たい声が響き渡る。
それが呪詛型UDCが聞いた最後の言葉であった―――。
大成功
🔵🔵🔵
伊美砂・アクアノート
【SPD 羅漢銭・須臾打】
うーん。理解はできるけれども共感はできないかにゃー…。ほら、あたしって基本的にいつでもハッピーだから…。
にゃはは、と笑いつつ。場に転がってるカジノチップやトランプを【投擲、スナイパー、早業】で投げつけて攻撃。 幸せなどというモノはな、詰まる所、頭蓋骨の内部にしか存在しないのだよ。私たちは神経細胞を疾走する電気信号、我々は化学物質の見せる幻影。……だから、他人を大事にしなきゃなんだよ。私は自分で勝手に幸せになれるけれど、外側の世界は妄想だけじゃ動かないからねぃ。 さあさあ、どうぞワタシの芸をご覧あれ! 冥土の渡し賃にしちゃあ、ちと豪勢だが…六文銭の代わりにくれてやる!
形のないものを語る上で、相互の理解は必須である。
そのために言葉はあるのだから、言葉を発する者同士において、形のないものを語ることは有意義であることだろう。
「俺達の幸せがないのは、何処かの誰かが幸せだからだ。俺達の不幸せの上に成り立つ幸せなんて間違っている! それを正すんだよ!」
邪神教徒たちの掲げる手に握りしめられていたのは、スマートフォンや端末。アプリケーションが使用できるものであれば、なんであれ、その中に宿ったUDC、喪失否定アプリケーションによって力を得ることが出来る。
それは己の未来という担保を元に成り立つ力である。己の未来がなくなれば、その力の代償は己に降り掛かってくる。自己の喪失。邪神の徒として傀儡になる他ないのだ。
「あんたもそう思うだろう、なあ!」
そう言って呪詛型UDCと成り果てた邪神教徒たちが襲いかかるのは、伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)であった。
彼女は少し困ったような顔を一瞬だけしたが、すぐにあっけらかんとした表情に変わる。
「うーん。理解は出来るけれども、共感はできないかにゃー……」
今はどの人格が表に出ているのかわからなくなるほど多種多様な人格があるのかもしれない。語尾ににゃーと付ける特徴の人格は如何なる存在か。
「ほら、あたしって基本的にいつでもハッピーだから」
にゃはは、と笑いつつ呪詛型UDCの群れを躱して、そこら中に散らばっているカジノチップやトランプを目にも留まらぬ早業で彼等に投げつける。
モザイクを抱えたような姿になった邪神教徒たちは、それを受けて怯む。
ただコインチップを投げつけただけでは在りえぬほどの衝撃。それが何故なのか、彼等はわからない。
「幸せなどというモノはな、つまるところ、頭蓋骨の内部にしか存在しないのだよ。私達は神経細胞を疾走する電気信号、我々は化学物質の見せる幻影」
また違う人格が表出する。
彼女の中の人格が我先にと発話を望んでいる。それは何も知らない者たちからすれば奇異なる光景であったことだろう。
会話の息継ぎの合間にスイッチが切り替わるようにして、違う人間と会話しているような気がしてくるほどだ。
混乱を受けながら、次々に放たれるカジノチップ。
凄まじい勢いで呪詛型UDCが倒れていく。おかしい。何かがおかしい。こんなにも劣勢を強いられるはずがない。
ただのカジノチップであるというのに―――!
「……だから、他人を大事にしなきゃなんだよ。私は自分で勝手に幸せになれるけれど、外側の世界は妄想だけじゃ動かないからねぃ」
また違う人格が声を発する。
呪詛型UDCたちは己達が数で圧する集団であることを忘れる。対峙する伊美砂の中に存在する人格の数々の言葉が彼等を追い詰めていく。
それに常に投げつけられるチップの重さが尋常ではない。
彼女が言葉を発する度に、一人、また一人とUDCの数が減っていく。
「さあさあ、どうぞワタシの芸をご覧あれ! 冥土の渡し賃にしちゃあ、ちと豪勢だが……六文銭の代わりにくれてやる!」
放たれるはユーベルコードによる投擲の一撃。
その一撃の重みはコインチップと侮るなかれ。放たれる初動は拳銃から放たれる弾丸よりも早く、あらゆる初動に置いて、この一撃に勝るものはなし。
そのユーベルコードの名を―――。
「羅漢銭・須臾打(ラカンセン・シュユウチ)―――とくと味わうといい」
煌めくようにして、カジノチップが放たれる。
それが呪詛型UDC、喪失否定アプリケーションを身に宿し、己の欲求のままに人々を邪神召喚の贄とした彼等の最後に見た光景。
こうして、伊美砂の周囲に存在していた邪神教徒達全てが、オブリビオンとして骸の海へと還っていくのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ルカ・メグロ
わかる、わかるぜ。
出来るやつって羨ましいよな。持ってる奴妬ましいよな。
だけどさ。失って初めて手に入るものだってあるんだぜ……。
そうだろ、ギータ。俺の左腕、俺の相棒!
その機会も全部捨てて、堕ちるところまで堕ちた「報い」はしっかり受けてもらうぜ!
屋内での戦闘だ。どうしても接近戦になるだろう。
一人ひとり倒してくのも切りが無いし、ギータの呪いを纏ったオーラ「乙女の溜息」で一度だけ、次々と攻撃して後は我慢比べだ。
【リミッター解除】してギータの力を引き出して、凌ぎきってやるよ。
よかったな。どうやら今が最悪じゃないみたいだぜ。
これからもっと絶望を味わうんだ。最後の幸せを噛み締めな。
「うぅ……妬ましい。オレ以外の誰かが幸せなのが恨めしい。どうしてオレはあんなふうになれなかったのか……俺が幸せではないのは、誰かがオレの幸せを奪ったからだ。だから、オレはこの手を離さない―――!」
呪詛型UDC『喪失否定アプリケーション』と成り果てた邪神教徒たち。
彼等の顔は一様にモザイク柄と天使のアプリケーションマークに覆われていた。彼等が願うのはもはや、己の幸せではなく他者の不幸。
自分たちが不幸なのは、誰かが自分たちの幸福を奪ったのだという妄執に取り憑かれてしまっている。
彼等が扱う喪失否定アプリケーションは、彼ら自身の未来を担保にして力を発揮してきた。彼等が誰かの幸福を妬み、自分たちの喪ったものを補填し続けそうして未来という担保そのものが無くなった時、彼等は邪神の傀儡へと墜ちるのだ。
「わかる、わかるぜ。出来るやつって羨ましいよな。持ってるやつ妬ましいよな」
ルカ・メグロ(ヴァージャ・コン・ギータ・f22085)は、そんな彼等に一定の理解を示していた。
誰かを妬む、誰かを嫉む。羨ましいと思う。その気持は、持たざるものでなければ理解できない感情であろう。
呪詛型UDCに囲まれてもなお、ルカはたじろぐことはない。呼吸を整える。
彼の行動、ユーベルコードの起点は呼吸である。
風をきるような音が聞こえる。周囲に響くのは、室内であっても屋外のように風の音が聞こえてくるようなルカの呼吸の音だった。
「だけどさ。失って初めて手に入るものだってあるんだぜ……―――そうだろ、ギータ。俺の左腕、俺の相棒!」
乙女の溜息(ススピーロ・デ・ギータ)。
それはオウガのドラゴン、ギータの齎す呪いの息吹。纏う死に至る病たるオーラを拳に乗せて、目にも留まらぬ連撃でもって呪詛型UDC全てに呪いを付与する。
ただ、それだけで呪詛型UDC全てが倒れるわけではない。
徐々にその体を蝕んでいく死に至る病によって、このユーベルコードは完遂される。
「やり直す機会だって、いくらでもあっただろうさ。這い上がる機会だってな。その機会も全部捨てて、堕ちるところまで堕ちた『報い』はしっかり受けて貰うぜ!」
ルカの呼吸の音が盛大に響き渡る。
それは竜の息吹。彼の左腕に宿りしギータの息吹。
その力を開放する。リミッターが次々と外れていく感覚が、ルカの体の中に響き渡る。それは時として荒々しくも、懐かしい感覚になる。
荒れ狂う嵐のような痛み。
凪の湖面のような穏やかさ。
相反するような感覚が波間のように襲い来る。けれど、それでもルカは流されない。己が決めた生きるという意味を噛み締めながら、呪詛型UDCたちと戦う。
「―――よかったな。どうやら今が最悪じゃないみたいだぜ」
呪詛型UDCへと成り果てた邪神教徒たち。
彼等の最悪とは彼等が死せること。その身に刻まれた呪い、死に至る病は、常に彼等の心に絶望の影を落とす。
そういうユーベルコードである。
けれど、ルカは笑う。ここが最後ではないと。
「これからもっと絶望を味わうんだ。今という最後の幸せを噛み締めな」
今という時間を懸命に生きられない者に希望は訪れない。
一瞬一瞬の刹那を思うのならば、誰かの幸せにかまってはいけない。けれど、誰かの不幸に気が付き、寄り添うことができるのであれば、それは『優しさ』である。
それができるのが人というものだ。
それを忘れた邪神教徒たちに、死は最後の安らぎであったのかもしれない―――。
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
真珠の飾りを毟り取り、裾を裂く
不幸しか望めない処まで堕ちたのなら、
戦うわ。幸せなんて遠くの向こう。負の連鎖は……、断ち切るの
『護り現・ガラス蜘蛛』で【オーラ防御】固め
『しっぽの針』で【先制攻撃】
まず包囲を少しでも崩して隙を狙うわ
応戦は【ダッシュ・残像】を交え【見切り・情報収集】に集中
彼らの狙いを見定めながら
【カウンター】で『煌めく溶液』の毒を撒き、鈍った者から撃破を
呪いなんて、痛みをずっと意識し続けること
それはすごく疲れるわ。
でもそれが、快楽に変わるなら……きっと戻れない。
彼らの連携を揺らがせ『万象の牙』発動
来世なんて信じてないけれど。彼らが囚われない日がそこにあるなら……信じるわ
他者を呪う怨嗟の声が響く。
他人の不幸を願い、自身の幸福ばかりを追求するのであれば、人という生命の脆弱さに気が付かぬ愚かな行いである。
人は誰しもが一人では生きていけない。だからこそ、誰かの隣に居ることを選ぶのだろう。
もしも、自分の隣りにある人が憂うのであれば、そこに添うことで、人は優しさとなるだろう。そうした優しさが少しづつ世界を良くしていく。
けれど、願うばかりでは誰も幸せになんてならない。
「不幸しか望めないところまで堕ちたのなら、戦うわ」
ジャム・ジアム(はりの子・f26053)は、いつも自身を小さく見せることに腐心していた。大きな体を小さく見せるように。大きな体は他者を怯え冴えるから。
だから、小さく体を折りたたむ。
けれど、彼女は言った。戦うのだと。
背筋を伸ばし、着飾った真珠をむしり取る。散らばる真珠の音が響き、ドレスの裾を引き裂いて、動きやすくなる。
その大きな体が何のためにあるのかをジアムはもう知っていた。
この大きな体は誰かの幸せを護るため。誰かの日常を、幸せを、尊いものを傷つける者がいるというのならば、此の手で護る。
「幸せなんて遠くの向こう。負の連鎖は……、断ち切るの」
彼女の体を覆う魔力纏う水蜘蛛の泡の如き銀の薄布が、護り現のオーラの力を受けて強固なものへと変わっていく。彼女の意思を反映するかのように銀の薄布は煌きながらも、邪神教徒たちの攻撃の手を、彼女まで届かせることはない。
「幸せだったという記憶もなくなってしまうほどに、誰かの不幸を願うというのなら―――!」
しっぽの針が放たれる。
空を飛ぶ針の大群が、呪詛型UDCたちの囲いを解くように穿ち、彼等の体を散々に貫く。
彼女は知っていた。
群れ成すオブリビオンは、いつも己たちの数を頼みに囲い込んでくる。だから、その囲いを崩し、煌めく溶液を振りまきながら接近を許さない。
素早く動くジアムの残像をどれだけ追っても、彼女に届かない。ジアムに手を届かせようとすれば、するほどに彼等の未来は潰えていく。
それだけ彼女の速度は、もはや誰にも捉えられない。
小さな体に見せかける必要のない彼女の明色の羽が広がるようにして、虚空に残像を描いていく。
「呪いなんて、痛みをずっと意識し続けること。それはすごく疲れるわ。でもそれが、快楽に変わるなら……きっと戻れない」
そこにあったのは憐憫の情であったのかもしれない。
そんな心が疲れてしまうような生き方しか出来なかった彼等に向ける感情。誰しもが報われて欲しい。
けれど、そんな都合の良いことばかりではないのが、世界だ。
だからこそ、ひとかけらの輝きであっても美しい。
「愛しい貴方たちの輝きを」
万象の精霊の加護を纏ったジアムのしっぽの針が燦然と輝く。
幾何学模様を描き複雑に飛翔し、屋内であっても埋め尽くさんばかりの数のおびただしい針が、一気に呪詛型UDCの群れを穿つ。
これこそが、もう戻れない彼等に向けるジアムからの手向け。
此の輝きを骸の海より見上げるしかない彼等に、もしも。
「来世なんて信じていないけれど。彼等が囚われない日がそこにあるのなら……」
牙となす針の群れが呪詛型UDCたちを一体残らず霧散させ、骸の海に還す。
笑顔では見送れない。けれど、怒りでもない。
ただ、哀れんでしまう。しかし、哀れむだけで救われる魂など存在しない。だからこそ、ジアムは祈る。
「―――……信じるわ」
いつの日にか、彼女の描いた燦然と輝く、万象の牙(スピリトゥアーレ)の元に今とは違う、誰かの幸福を願わずにはいられなかった―――。
大成功
🔵🔵🔵
椎宮・司
あ、しまった
調子に乗ってたら出遅れた
とりあえず終幕には間に合ったようだ
なら、ここから本領発揮といこうかい
【擬・神懸かり】を使って仕掛ける
野太刀に攻の剣気を纏わせて
近場から斬っていくよ!
ああ、なるほど?
あたいの未来を奪っていくってか?
なかなかケチな奴だ
そんなに欲しけりゃもっていきな!
今日の豪運くらいならのし付けてあげるよ!
纏わせていた剣気を斬撃に合わせて放つ方針に変更
足を止めて雑に振り回すとしよう!
「その代わり、あたいの剣がかわせると思うな?」
ま、未来なんざこれからいくらでも作れる
お前さんたちに奪われた未来は縁がなかったと思っておくサ
奪った分は痛い目に合わせるけどな!
※アドリブ連携歓迎
呪詛型UDCの誘引は成った。
カジノの中に存在してた邪神教徒たちの邪神召喚儀式の場は猟兵たちの活躍に寄って潰えたのだ。
「邪魔ばかりする。幸福な奴らは、不幸な俺達を踏み台にすることしか考えていない。だから、俺達がこんなにも懸命に、幸福になろうとするのを邪魔するんだ」
呪詛型UDC 『喪失否定アプリケーション』によって、顔を失い、体にモザイク柄を抱えるようにした天使のアプリケーションマークに覆われた邪神教徒たちが言う。
こんなにも惨めな自分たちから幸せになる権利すらも奪おうというのかと。
「あ、しまった。調子に乗ってたら出遅れた……とりあえず終幕には間に合ったようだ。なら、ここから―――」
椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)は逃げ惑う一般人たちの波に逆らうようにして、カジノの奥から溢れ出る邪神教徒の成れの果てである呪詛型UDCの群れと対峙する。
彼女の瞳に映るのは、邪神教徒たちが使い潰した未来。あのアプリケーションは、未来を担保にして失ったものを補填する。
担保にする未来が亡くなったのであれば、どうなるのか。それは目の前の邪神教徒たちが教えているようなものだった。邪神の傀儡となり、さらなる犠牲者を増やしていく。
「本領発揮といこうかい―――神様、仏様、椎宮様、ってね!」
彼女の持つ野太刀が椎宮神社の御守から解き放った神気を帯びる。鋭さを増す刃の煌きが、彼女の藍色の髪を反射し、美しい輝きとなって呪詛型UDCたちを照らす。
ユーベルコード、擬・神懸かり(シンジルモノハスクワレル)。
圧倒的な足捌きが彼女の高速移動を可能とする。神速の踏み込みに寄って、一気に距離を詰めた司の放つ剣戟の一撃は、清涼なる剣気を纏った斬撃となって呪詛型UDCの体を一刀のもとに伏す。
骸の海へと霧散し還っていくUDCを尻目に司の足は止まらない。
「俺達はただ幸せになりたいだけなんだ、そのためにはあんたの―――」
呪詛型UDCは、その清涼なる剣気に誘われるようにして、カジノのあちこちから湧いて出てくる。
司は、その様子を見やりながらため息をつく。
「ああ、なるほど?あたいの未来を奪っていくってか?」
ひらりと、彼等の手を躱すように宙に翻っては、距離を置く。着地し、妬ましい、恨めしいといった視線を向ける彼等に言う。
「なかなかケチな奴らだ。そんなに欲しけりゃもっていきな! 今日の豪運くらいなら、のしつけてあげるよ!」
足を止める。
これまでの司の剣戟と高速移動で在れば、彼らの手を躱しながら攻撃を加えていくことも可能であったことだろう。
だが、彼女は足を止めた。それは彼女の剛毅なる気質を、彼等は知らない。彼女は退かない。媚びない。顧みない。
それはまっすぐ見据える未来があるからだ。
「その代わり、あたいの剣がかわせると思うな?」
放たれた剣気は斬撃と共に。
その一撃一撃が必殺の威力を持って呪詛型UDCを薙ぎ払っていく。終わりがないのではと思うほどに呪詛型UDCたちが集まってくる。
けれど、それにかまってなど居られない。なぜなら―――。
「ま、未来なんざこれからいくらでも作れる。お前さんたちに奪われた未来は縁がなかったと思っておくサ」
爽やかささえ感じさせる気風の良い啖呵を切る。
彼女にとって未来とは、与えられるものでもなければ、甘受するものでもない。彼女自身の歩んだ道程、轍の先に繋がる道そのものである。
なれば、その未来をいくら奪おうとも、彼女は道を作っていける。
彼女の足が動く限り。彼女の意志が折れぬ限り。
「奪った分は痛い目に合わせるけどな!」
振るった剣戟が、神気を纏い、邪なる魂となった呪詛型UDCを切り捨てていく。
それはどれだけの未来が彼女から奪われようとも、消えることのない道の先に繋がる一歩となって、彼女の足を進め続けさせるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
私はこの方達をみてますの
そちらはよろしくですの
若干不安だけど一般人とUDC職員は
邪神の分霊に任せてUDCに対処しよう
自分の不幸は誰かのせい、か
原因を誰かに求めても辛いだけだよ
結局何も変わらないからね
もう言葉は通じないだろうし
ガトリングガンで範囲攻撃
薙ぎ払おう
攻撃されたら神気で攻撃手段の時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ
対象の未来を奪うUCか、確かに恐ろしいけど
もう別の邪神に未来を奪われてるようなものなんだよなぁ
私のお陰ですの
原因を誰かに求めても辛いだけだとわかっていても
張本人が目の前で笑ってると腹立つね
UCで局所的にEMPを起こす爆弾を投擲
デバイスを破壊しようとするよ
元を断てないかな
人と人とが同じ場所に居て、助け合うのだからこそ、人は集団となり、社会と成っていく。
そのつながりを蔑ろにした時、人は誰かのためではなく、自身のためだけに生きようとする。けれど、忘れてはならない。
人は一人では生きていけないし、一人では必ず誰かを傷つけてしまう。それは自分の大切だと思っていたものでさえ、容易に踏みつけるように成ってしまうのと同じことである。
「私はこの方達をみてますの。そちらはよろしくですの」
邪神の分霊が、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)に呼びかける。晶にとって、それは少しだけ不安を感じさせる相手ではあったが、此の場に置いて呪詛型UDCを倒せるのは猟兵である自身だけであることを自覚していた。
保護した一般人は邪神の分霊とUDC職員に任せることにして、晶はカジノの中に残存する呪詛型UDCを倒すべく駆ける。
「俺達は不幸だ。誰かの幸福のための踏み台にされたのだから。踏み台にしたということは、踏み台にされたって文句はないはずだ。だから奪ったんだ。誰も悪くない。俺も悪くない。悪いのは、誰かの幸福を奪って、自分のものにしている奴らだけだ―――!」
呪詛型UDCたちは同じようなことを言う。
幸福が誰かの不幸の上に成り立っていると信じて疑わないのだ。自分だけが不幸であると思い込んでいるからこそ、誰かの些細な幸福すらも妬ましく感じる。誰かが自身を害したわけでもないのに、自分が害されたように感じる。
「自分の不幸は誰かのせい、か。原因を誰かに求めても辛いだけだよ。結局何も変わらないからね」
晶は言葉を紡ぐ。
もうきっと自分の言葉は彼等には届かないだろうという確信がある。
けれど、それでもと思わずにはいられなかった。手にしたガトリングガンの引き金を引く。
斉射される銃弾の雨は、呪詛型UDCの群れを穿つ。しかし、数が尋常ではない。これが、彼等の持つ 『喪失否定アプリケーション』の犠牲者達であるのならば、悪しき力に拐かされたと言ってもいい。
喪ったものを取り戻したいと思うのは自然なことだ。
けれど、喪ったものは戻らない。過去に戻れないのと同じように。
「俺たちは取り戻したい。失くしたものは、取り戻したい。そう思うだろう、アンタも―――!」
呪詛型UDCたちが一斉に晶へと群がってくる。
それは彼等の亡くした未来を、晶の持つ未来を奪うことに寄って補填しようとするユーベルコードであった。
けれど、彼等は一向に晶の未来が奪うことの出来ないことに困惑していた。
「未来を奪うユーベルコードか……確かに恐ろしいけど、もう別の邪神に未来を奪われているようなものなんだよなぁ」
晶の自身のこと。
邪神の恩寵とも言うべき力によって、すでに晶の未来は固定されている。もしも、ここに邪神の分霊がいたとしたら、私のおかげですの、と自信満々に宣言するだろう。
いや、自身の体の中にある邪神の本体がまさにそう言っている。
「原因を誰かに求めても、辛いだけだとわかっていても、張本人が目の前で笑ってると腹立つね―――!」
複製創造支援端末(ブループリント・ライブラリ)。それが彼女のユーベルコード。UDC組織で設計された危機が召喚され、今、彼女の手の内に在る。
それは局所的に電磁パルスを発生させる小型爆弾。
呪詛型UDCが端末の中にあるアプリケーションを力の大本にしているのであれば、それを発信し続ける端末を破壊すれば―――。
「元を断つ―――!」
盛大にばらまかれる電磁パルス。それは局所的であったが、カジノ中の電子機器という電子機器全てを破壊し尽くす。
例外はなく、呪詛型UDCと成り果てた邪神教徒たちが持っていたスマートフォンや端末全てを破壊した。
瞬間、全ての呪詛型UDCが活動を停止し、霧散し消えていく。
骸の海へと還っていったのだろう。それを見送りながら、晶はため息をつく。あんなに自信満々によく邪神は言えたものだと。
あの権能がなければ、晶自身の未来は奪われていたかもしれない。
けれど、感謝はしない。してしまえば、きっと邪神は増長する。
それでも、もしかしたらと思う。未来が奪われてしまったのなら、自分の行き着く先も呪詛型UDCのようであったのかもしれないと。
「……―――未来を担保にして補填するなんて、そんな考え、もったらダメだね」
頭を振って、晶はUDC職員たちと呪詛型UDCの残滓をカジノから拭っていく。
地道な作業だ。
けれど、この一歩一歩が邪神事件の解決につながっていく。そんな未来に繋がっていくのだとしたら、晶自身の戦いもまた何一つ無駄ではないのだ―――。
大成功
🔵🔵🔵