●グリードオーシャンにて
「テンサウザンド島」に、穏やかな風が吹く。
風は、白い浜辺を優しく撫で、鬱蒼とした木々を潜り、ビルの谷間を抜けていく。
眠っているかのように安らかな時間が、この島では流れていた。
●グリモアベースにて
「みなさーん!ごそくろうかんしゃです!」
水鉄砲をぶんぶん振り回しながら、水着姿のメメ・ペペル(やせいのてれびうむ・f15302)がその場を駆け回る。いつもに増して落ち着きのない様子に猟兵達が首を傾げていると、ペペルはニコニコの顔文字を画面に浮かべながら、こう問いかけた。
「とつぜんですが、みなさん、なつやすみにしたくないですか?」
猟兵達の返事を聞く前に、ペペルは続けた。
「いぜん、りょーへーさんに、『メガリス』のちょうさをおねがいした『テンサウザンド島』というしまがあるのですが、そこにあそびにいこうとおもっていまして!」
ペペル曰く、「テンサウザンド島」はキマイラフューチャーの面影を残した無人島らしい。かつては暴走した遺構(コンコンするやつ)によって島に食べ物が溢れ返り、大変な事態になっていたが、猟兵達の調査によって、島は無事平穏を取り戻したのだという。もしかしたら、この場には心当たりのある猟兵もいるかもしれない。
「うみであそぶもよし、もりをさんさくするもよしです!もしかしたら、こんこんするやつのなかには、まだつかえるものがあったりするかもしれません!」
いかがですか、と曇りのない画面が猟兵達をじっと見つめた。
はんぺん
夏だ!海だ!テレビウムだ!はんぺんと申します。今回はグリードオーシャンでの日常シナリオとなります。一章で完結する特殊シナリオです。お手柔らかにお願いします。以下は、シナリオの補足です。
●目的
島でのバカンスを全力で楽しんでください。フラグメントやペペルの提案に準拠する必要はありません。自由なプレイングをお待ちしております。
水着を着て参加する方は、その旨をプレイングに記載してくださると幸いです。複数ある方は、どの水着を着るのか指定があると助かります。水着イラストがない方でも、服装の記載があれば可能な限り反映いたします。
今回の舞台は、拙作「まんじゅうこわい」(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22122)でオブリビオンから解放された島です。そのため戦闘が発生せず、獲得出来るEXP・WPが少なめになります。予めご了承ください。また、今回は日常シナリオのため、グリモア猟兵であるペペルも一応現地にいます。何か御用があればお呼びください。
公開された時点でプレイングの受付を開始します。人数が集まり次第プレイングは締め切らせていただきます。それでは、よろしくお願いします。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
草野・千秋
澪さんと/f03165
この島は過去に僕が任務で入って平和にした島なんですよ
食べ物が溢れるハプニングなんてのも存在しましたが
今は普通にコンコン出来るようです
お互い猟兵としての任務が忙しい身ですが
今日はのんびりしましょう
お肉なんか焼きますかね?
僕実は焼肉奉行だったりするんですよ
はい、いい感じに焼けたので美味しいうちに食べて下さい!
コンコンしたのはお肉にお野菜
魚介類は、貝類とか欲しいですね、汁がジュワーっと
ビールは……未成年さんにお酌をさせてしまうのは申し訳ないので僕はジンジャーエールと烏龍茶で
この島にもいつしか戦争が来るんですかね
今は一時の平和を楽しむ
お散歩、いいですね
せっかくいい景色なんですから
栗花落・澪
草野さんと/f01504
わーい海だ海だーっ!
大好きな大自然を前にはしゃぎつつ
草野さんの言葉に森も浜辺も食べ物で埋め尽くされてる図を想像してしまい
溢れ…うわぁ…大変……平和になってよかった…
焼肉かぁ
僕の周りお肉さえ食べられればで
あんまり拘る人いなかったから
そこまで詳しくはなかったなぁ
順番もあるんだよね、確か
貝類貝類…(コンコン
あっ、エビとホタテ出て来た!
これも焼く?
飲み物僕注ぐよ!何がいい?
草野さん用の飲み物と
自分用にも烏龍茶を入れて
焼けたお肉を幸せそうに頬張る
美味しいー♪
こういう場所で食べるのは格別だよね
ねぇねぇ、食べ終わったらちょっとお散歩しよ!
せっかく綺麗な場所だもん、食後の運動も兼ねて♪
ユキ・スノーバー
今年の水着できゃっきゃするっ!
メメさーんっ!(水鉄砲撃ってうちわ振り)(もし打ってくれたらパラソルガード!)
前の時はゆっくり探検出来なかったけど、夏休みって言えば冒険はつきものだから
コンコンで夏らしいアイテムゲットどれだけ出来るかなチャレンジとか
昆虫採集とか、あっ釣れるお魚こんな感じっ!(魚の絵があるノート差し出し)
貝殻拾って工作とかも楽しいと思うっ!
…選べなーいっ!夏の誘惑やばいねっ?
一日あっという間に終わっちゃうけど、とりあえずやれそうなの全部盛りてんこ盛りっ!
暑くなったら海にドボンして、でも熱中症が怖いから水分補給もちゃんと…画面冷やした方がぼく達的には良さげ?
他猟兵さんとの絡みも歓迎っ
●びうむとぼーぐとおらとりお!
「メメさーんっ!」
到着早々、ユキ・スノーバー(しろくま・f06201)がサンダルでとてとてと足跡をつけながら、砂浜を駆け抜けていく。
「おりゃー!」
「おわー!!」
ユキが発射した水鉄砲は、見事ペペルの間抜け面に命中した。
「えへへ、当たった~」
「おのれー!」
ペペルが仕返しに二丁の水鉄砲を打ち返すと、ユキはそれを自分の背丈よりも高いパラソルで弾いた。
「なんですと!!」
「パラソルガードだよー」
「お二人とも随分楽しそうですね」
はしゃぐテレビウム達を遠目で見守りながら、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が呟く。
「わーい海だ海だーっ!」
その横には、びうむ達に負けないくらい喜びを顕わにしている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がいる。どこまでも続く海、空、緑。狭い鳥籠とは大違いの景色だ。
「澪さんも楽しそうで良かった」
元々は「兄」だったからだろうか。なんとなく無意識のうちに周囲の状況を確認してしまう。
「この島は過去に僕が任務で入って平和にした島なんですよ。食べ物が溢れるハプニングなんてのも存在しましたが、今は普通にコンコン出来るようです」
澪はそれを聞いて、この豊かな自然の至る所にびっしりと食べ物が詰まっている地獄絵図をイメージする。
「溢れ…うわぁ…大変……平和になってよかった…」
それももう過去の話。澪の言う通り、今の島には地獄絵図とは無縁の平和な風景が広がっている。
「お互い猟兵としての任務が忙しい身ですが、今日はのんびりしましょう。お肉なんか焼きますかね?」
千秋が手際よくバーベキューセットを広げると、びうむ達もつられてそちらに集まってきた。なぜかペペルだけびしょ濡れになっている。
「ざんぱいだったうえに、おなかがすきました……」
「パラソルさまさまだよ~」
「お疲れ様でした。じゃあまずは材料調達をしないとですね」
「僕も手伝うよ、まだコンコンするやつって使えるんだよね?上手いことお肉とか野菜が出てくると良いんだけど」
「貝類もあったら良いですね」
「ぼく、貝殻で工作したーい!」
各々が理想のバーベキューを想像する。
「では、ボクはここですみびのようすをみておくので、みなさんそーさくをおねがいします!」
「メメさん、もしかして疲れただけじゃ」
ユキにツッコまれると、ペペルの画面がブレッブレになる。
「きききききkきkkきのせいですよみなさんいってらっしゃい!!」
「あわわー」
半ば強制的にぐいぐいと押され、三人は探索へと向かった。
「とはいっても、どこから探しましょうか」
「しらみつぶしに、目についた所からコンコンしていくのが手っ取り早いかな」
「また前みたいにいっぱい出てきちゃったらどうしようっ!?」
三人は、滝のように溢れ出る食べ物を思い浮かべる。
「その時は、またお二人を抱えて逃げますから、安心してくださいね」
「草野さん頼もしい~」
二人の後をとてとてと付いていくユキが、嬉しそうにぴょこぴょことスキップをした。
「なんだか弟が増えたみたいですね」
「僕も、草野さんみたいな人がお兄ちゃんだったら、どうだったかなあって思う」
千秋には母親の違う弟がいるが、正直彼のことは嫌いだ。澪には本当の家族の記憶が無い。二人は互いに、あったかもしれない家族について思いを馳せた。
「ここら辺とかどうかな、コンコン出来そうな場所が多いから、何かしら食べる物は見つかるはずだよ」
三人は話をしているうちに、廃墟の集まりにたどり着いた。かつてはここでもキマイラやテレビウム達が面白おかしく過ごしていたのだろう。
「まずは試しにコンコンしてみようかな」
「いっぱい出るかもだから、気をつけてーっ!」
腕をぶんぶんと振るユキは、万が一に備えて既に千秋に抱きかかえられている。その姿はまるでぬいぐるみのようである。かわいい。
澪は壁に慎重に近づくと、力を加減して弱く軽めに一回だけ「コン」と叩いた。
「「「…………」」」
しばしの沈黙の後。
「わっ」
ポンと音が鳴ったかと思うと、壁からカボチャが丸々一個転がり落ちてきた。スーパーなどでもよく見かける、皮が緑で中身が黄色のカボチャである。
「カボチャだ!これなら使えるよね!」
「鮮度的にも問題なさそうですね」
「バーベキューするならカボチャは必要だよねー」
三人は顔を見合わせて頷いた。
「この調子で色んなところをコンコンしてみるね!」
「手分けしてコンコンしましょうか」
「コンコンで夏らしいアイテムゲットどれだけ出来るかなチャレンジするーっ!」
一時間後。
再び合流した三人は各々の収穫を報告し合った。
「お肉と野菜は確保しておきました。絶対必要になりますからね」
「僕はエビとホタテをゲットしたよ、あとお菓子!」
「ぼくはね、夏野菜!あとカブトムシ捕まえた!」
「カブトムシ!?」
「ま、まさかユキさん食べるんじゃないよね?」
「さ、流石に食べないよっ!?」
ユキは慌てて小さな手を振った。
「観察するんだー、キャッチアンドリリースだよー」
「び、びっくりした……」
ユキは懐からノートを引っ張り出して二人に見せてくる。
「絵を描いとくのー」
ノートには、以前釣った魚のことも描いてあった。
「そろそろメメさんのところに戻らないとだね、傷みやすいやつはぼくに貸してー!ひんやりさせられるからっ!」
そう言って、先程ノートをしまっていた懐から今度はアイスピックを引っ張り出してくる。
「何でも出てくるね……」
「ユキさん、そういえば先程まで持っていたパラソルはどこにしまったんですか……?」
「パラソルもここにあるよー」
「「えっ」」
ユキは、自分の背丈より大きいパラソルを懐から引っ張り出した。
びうむの謎は多い。そう二人は確信した。
「僕実は焼肉奉行だったりするんですよ」
その言葉通り、手際良く肉や野菜が焼かれていく。
「僕の周りお肉さえ食べられればであんまり拘る人いなかったから、そこまで詳しくはなかったなぁ」
澪は少しガサツなあの人のことを思い返しながら、皆の分の烏龍茶を淹れた。こんがり焼けた肉に、さっぱりした飲み物は相性抜群だ。
「えへへ、おにくたのしみですー」
「ぼくもー」
びうむ達は二人並んでカブトムシを観察している。
「今並べますから、ちょっと待っててくださいね」
焼肉奉行は流れるような手捌きで、焼けた食べ物を平等に配置した。
「はい、いい感じに焼けたので美味しいうちに食べて下さい!」
「わー!草野さんありがとう!いただきます!」
澪は焼きたての肉を幸せそうな表情で口に入れた。
「んー!美味しいー♪」
「幸せの味だよー」
ユキも小さな口で肉をぱくぱくしている。
「こういう場所で食べるのは格別だよね」
「確かに、誰かと食事をした方が美味しく感じたりしますよね」
この島がキマイラフューチャーの一部だった頃もきっと、こんな平穏があったのかもしれない。それが崩れて落ちて、島となって、また平穏が過ぎていく。
「この島にもいつしか戦争が来るんですかね」
「その時は、僕達でこの島の平和を守っていけたら良いね」
「……そうですね」
穏やかな風が、皆の頬を撫でる。
「ねぇねぇ、食べ終わったらちょっとお散歩しよ!せっかく綺麗な場所だもん、食後の運動も兼ねて♪」
「お散歩、いいですね。せっかくいい景色なんですから」
「やることいっぱいだーっ!一日あっという間に終わっちゃうねー」
僕達の目にこの景色を焼き付けておくのだ。
壊れないように、崩れないように。
僕達の夏を、この思い出を。守っていこう。
皆はそう心に誓った。
大成功
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