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吸血鬼だってチョコが欲しいっちゅうねん

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●ダークセイヴァー とある領主の館
「チョコが欲しいねん」
 吸血鬼が唐突にそう言った。
「はあ、チョコレートですか?そのような嗜好品、領民が献上できるでしょうか?」
「アホか!誰が家畜共から欲しいって言うたか?」
 部下の問いに吸血鬼が返す。
「隣の領地に姫ちゃんおるやん?ワシのお気にの」
「ええ、領主様がだいぶ貢いでいる女吸血鬼の方ですよね?」
「貢いどるんちゃうわ!ワシの財力で姫ちゃんを磨いたってるんや!」
「で、その姫ちゃんがどうかしたのですか?」
「そう、その姫ちゃんがな『姫にい~っぱい活きのいい生贄を送ってくれたヒトへバレインタインにチョコあげちゃかも』って言っとったんや」
「なるほど。それでチョコが欲しいと」
「せや。ちゅーわけで、家畜共から活きのいい奴集めてぎょーさん姫ちゃんに送るで!」
「少しは自分の領地の財政を考えるべきでは…」
「待っててや、姫ちゃん!」
「…」
 仕える相手が選べない。部下はこの世の理不尽さを改めて噛みしめるのだった。

●グリモアベース
「…リアルの恋愛は…ロクなもんじゃない」
 今回予知した内容をそう片付ける中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。14歳でそう結論付けるのはいかがなものとも思われるが。
「…というわけで……吸血鬼の討伐をお願い」
 なんでも、周囲の村から生贄を集めるにあたり、吸血鬼直々に品定めに行くらしい。領主の館から出発したあたりを狙えば、護衛を倒すだけですぐ吸血鬼に刃が届くだろう。
「……バカみたいな理由で…吸血鬼の犠牲者を……黙って見過ごす訳にはいかないし…頼むわね。………それと…」
 裕美は猟兵を送り出す前に更に言葉を付け加える。
「…今…周辺の村では……冬を暖かく過ごせたことを祝う…感謝祭を開くみたいなの。……領主である…吸血鬼を討ったことを…触れ回るついでに……お祭りに参加してもいいんじゃないかしら?」
 吉兆を持ってくる猟兵を村人たちは迎え入れてくれるだろう。
「…もし…村の人達側だけに…振る舞ってもらうのが…心苦しければ……お祭りの準備を手伝ったり…何かお菓子とか持っていって…振る舞うとかでもいいと思うわ。…甘いものとか…あまりないだろうし」
 何ならこっちでもお菓子の用意をしておく。そう言って裕美は猟兵達を送り出すのだった。


麦門冬
 こんにちは、寒い日が続きますが、皆様お加減いかがでしょうか?麦門冬(むぎとふゆ)と申します。
 第1章で護衛している吸血鬼の部下達と戦い、第2章で吸血鬼を倒してもらいます。
 第3章は冬の感謝祭をやっている村に訪れて、お祭りの手伝いをやったり、お菓子を配ったりしてもいいでしょう。配る用のお菓子は猟兵が持参する他にもグリモア猟兵の裕美が用意してくれます。

●吸血鬼
 隣の領地の女吸血鬼、通称『姫ちゃん』に貢いでいる吸血鬼。領主のくせに搾取されている側ですが、本人は幸せそうです。

●部下
 領主のわがままに色々とつきあわされています。オブリビオンなので倒しましょう。

●姫ちゃん
 登場しません。

●バレンタインデー
 ダークセイヴァーにも存在するようですが、領民達がその風習を知っているかは不明です。

 それでは、皆様の冒険を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『朱殷の隷属戦士』

POW   :    慟哭のフレイル
【闇の力と血が染付いたフレイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【血から滲み出る、心に直接響く犠牲者の慟哭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    血濡れの盾刃
【表面に棘を備えた盾を前面に構えての突進】による素早い一撃を放つ。また、【盾以外の武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    裏切りの弾丸
【マスケット銃より放った魔を封じる銀の弾丸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミモザ・クルセイル
【他猟兵との連携・援護、アドリブ歓迎】
◆心情
仕える相手を選べないなんてお気の毒に
どの世界も労働とは厳しいのですね、部下さんの心中お察し致します
でも貴方達がオブリビオンである以上は戦わなければ

◆行動
流石に数が多いですね
戦力を少しでも減らす事を狙いましょう
ここはまず、鋼糸やワイヤーを使用して絡めとり、緊ぱ…いえ、捕縛して
技能の「敵を盾にする」で文字通り攻撃を受ける盾になって貰います
消えてしまったら至近距離にいる別の敵を同じように捕まえて盾にします
後は「ダッシュ」「オーラ防御」等で回避・防御しつつ
頃合いを見計らって
ユーベルコード「鈴蘭の嵐」を使用します
目標にする位置は、敵が固まっている辺りです


リステル・クローズエデン
ここで狩られるサダメと知れ。

『見切り4、戦闘知識3、先制攻撃4、暗殺1』で先制攻撃を狙う。

【炸裂穿牙】
『投擲11、鎧砕き4+鎧無視攻撃7、呪詛2+恐怖を与える1+マヒ攻撃4』
盾で防がれないよう鎧の脆そうなところを狙い、
呪いのオーラを上乗せした苦無を投げつける。

先制攻撃後も【炸裂穿牙】で攻撃。
相手の鎧がある程度壊れた場合
『呪詛恐怖マヒ』の代わりに
『毒使い4+マヒ攻撃4』で毒付きの苦無を投げます。

封印された場合
『投擲11、鎧砕き4+鎧無視攻撃7』で普通に苦無を投げる


相手の攻撃は
『見切り4+第六感5、ダッシュ2+ジャンプ6』で回避
どうしても回避できない場合
『オーラ防御8+激痛耐性3、怪力2』で防ぐ。



●ファーストアタック!
「うっしゃ!姫ちゃんの為にもぎょーさん狩るで!」
 お供を引き連れ、意気揚々と館を出発する吸血鬼。ここからはじまるのは部下のちょっとした小言を交えた一方的な略奪劇。そう、猟兵達が現れるまでは。

「ここで狩られるサダメと知れ」
 暗がりの中から何かが飛来する。ダークセイヴァーの環境に適応したオブリビオン達であれば、多少の暗がりなど問題ではない。だが、彼らは自分達が狩る側ではあっても狩られる側に回ることはないという油断があった。
 オーラを込められた苦無【炸裂穿牙】が吸血鬼の部下の一人に刺さり、爆発を起こす。
「なな、なんじゃあ!?」
 吸血鬼が苦無の飛んできた方を見渡すと、そこにはリステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)の姿があった。
「次は、こんなのはどうですか?」
 右手に持った苦無のオーラの種類を変え、投げつける。爆発の余波で防具が破損していた別の部下の肉体に苦無が突き刺さる。
「ぐふっ!」
 部下の肉体にみるみる毒が回り、倒れる。
「チィッ!おんしら、細かく動いて数で押さんかい!相手は一人やぞ!一人がやられても、その隙に総攻撃じゃい!」
 リステルの攻撃に恐怖を感じ、狼狽えていた部下達に吸血鬼が檄を飛ばし、戦術を支持する。部下達は散開してそれぞれが棘付きの盾を構え、玉砕覚悟でリステルに突進する。
「思ったより立て直しが早いじゃないですか」
 苦無を飛ばして一体を爆破するものの、残りの勢いは止まらない。
「っしゃあ!グシャグシャの挽き肉にしたれ!」
 数人の部下達がリステルになだれ込み、ぐわっしゃあ!と激しい衝突音がする。
「どこのモンか知らんが、ワシに楯突くとこうなるん…んん!?」
 攻撃で潰したのは、リステルと思いきや、鋼糸で縛られた部下の一人だった。
「仕える相手を選べないなんてお気の毒に。どの世界も労働とは厳しいのですね、部下さんの心中お察し致します」
 鋼糸を操っていたのはミモザ・クルセイル(倒花・f00333)だ。
「でも貴方達がオブリビオンである以上は戦わなければ」
「しかし、何故このような緊縛を?」
 キッと敵を見据えるミモザに対してリステルは他にされた部下に施された特殊な縛られ方を疑問に思い、口にする。
「これはただ捕縛してるだけですよ?」
「これは捕縛と言うより」
「ただの捕縛ですよ?」
「そう…なのですか」
 過去の記憶がないリステルは、そういうものかと。一旦引き下がることにした。
「おどれら、何のんきにくっちゃべっとるんじゃ!」
 吸血鬼が号令を出し、部下達に銃を構えさせる。
「流石に数が多いですので、戦力を少しでも減らさせていただこうと思いまして」
 ミモザがそう言うと、リステルのそばに立つ。そして足元に鈴蘭の花びらが舞う。
「ちょうどよく固まっていて、いい頃合いですわ」
 ミモザを中心に【鈴蘭の嵐】が発動する!花びらの渦がリステルを攻撃していた部下達を巻き込み天高く舞い上がる。
「なんじゃあ!……とにかく撃ちまくれ!」
 吸血鬼の命令でミモザ達めがけて銃を撃つが、花びらが邪魔で狙いが定まらない。
 嵐が止んだ時にあったのは、無傷のミモザとリステル。そして花びらの刃でズタズタにされた部下達の姿であった。
「こいつら…猟兵か!」
 吸血鬼達は自分達を倒しうる存在に戦慄するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マユラ・エリアル
心なしか哀愁を感じる部下たちだ…
どこの業界にも迷惑上司に振り回される部下が居るのは常という訳か
少しだけ同情するよ、ほんの少しだけな
まあ最終的には倒すんだがな
恨むなら自身がオブリビオンである事を恨めよ

●戦闘
技能『全力魔法』、『2回攻撃』を活用
まず最初にユーベルコード【氷塊召喚】を使用
2回攻撃で2個召喚だ1個は適当な部下たちに
もう1個はわざと外して地形を氷で覆い自身に優位なフィールドを作る
その後は鉤爪を用いた近接戦闘を仕掛けるぞ
敵の攻撃は『武器受け』や『第六感』で回避
攻撃の際には『薙ぎ払い』、『2回攻撃』で纏めて敵を攻撃


マイア・ヴェルナテッド
他参加者との絡み及びアドリブ可
とりあえずは領主に『礼儀作法』を以て挨拶しておきましょう。思いとどまるなら良し、ダメなら吹き飛ばしてしまえば良いでしょう。

「…ふむ、アホな領主に使えないといけない騎士の方々には申し訳ない気もしますが人々に危害を加えるというのでしたら対処せざるをえませんね」

戦闘
『第六感』で行動予測しつつ『呪詛』『属性攻撃(闇)』を乗せて『高速詠唱』した『全力魔法』の『ウィザード・ミサイル』で『二回攻撃』を行います。

ユーベルコードを封じられた場合は黒いナイフ片手に戦い『属性攻撃(闇)』『生命力吸収』で切り抜けます。



●優雅にして苛烈
「その通りよ。はじめまして、領主様。私、猟兵のマイア・ヴェルナテッドと申しますわ」
 吸血鬼達の前にフワリと現れたのはマイア・ヴェルナテッド(ノーレッジデザイア・f00577)だ。上流階級で育った彼女の立ち振舞はなかなかに堂に入ったものだ。
「この度、己の欲望の為に無辜の民への暴虐を働こうとする領主がいると耳にし、参じました次第ですわ。そのような愚かしい行為、やめていただけるのなら良しといたしますが、もしも続けられるようであれば、こちらとしてもお諌めしなければいけませんわ」
 丁寧な言葉で、吸血鬼の行いをやめるよう説得する。これに応じてくれるならばそれで良し。だが、吸血鬼の返答は
「じゃかあしい!そっちから喧嘩売っといて勝手な言い分を並べよってからに!しかもお前、『混ざりモン』やろが!純血の吸血鬼に口出しできると思うとるのそもそも間違いやっちゅーねん!」
 明らかなる拒絶。そして、ダンピールであるマイアへの侮辱であった。
「まあ、猟兵となれば、姫ちゃんへのいい土産になるわ!お前ら、こいつら畳んだれ!」
 吸血鬼の命令で動く部下達。
「やはり、アホには説得など通用しませんでしたか」
 種族への侮辱は両親への侮辱にも繋がる。冷たい目で吸血鬼達を見つめるマイア。戦場の温度が急激に下がった気がする。いや、それは気のせいではなかった。
「心なしか哀愁を感じる部下たちだ…どこの業界にも迷惑上司に振り回される部下が居るのは常という訳か。少しだけ同情するよ」
 そう言ってユーベルコードを放ったのはマユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)だ。【氷塊召喚】で二つの巨大な氷塊を召喚する。
「氷よ、全てを凍てつかせろ」
 マユラの全力の魔力を込めた氷塊が飛来し、一つは部下達に直撃し弾け、氷の彫像を何体も作り出し、もう一つの氷塊は部下達に当たることなく地面に直撃した。
「こっちは外したか。次弾が来る前に潰せ!」
 氷像となることを免れた部下達がマユラめがけてマスケット銃を構える。
「アホな領主に使えないといけない騎士の方々には申し訳ない気もしますが」
 しかし、大部分の射撃はこのことを予測したかのようなマイラの放った【ウィザード・ミサイル】に阻害され、残りの弾丸もマユラのガントレットに弾かれる。
「よし、『当たった』ぞ!これで奴はもうあの攻撃は撃てまい!」
 部下の一人が勝ち誇ったように言い放つ。彼らの【裏切りの弾丸】はダメージを与える以外にも己の寿命を代償に敵のユーベルコードを封じる効果があるのだ。
「せや、次の攻撃はあらへんから、先に混ざりモンや飛び道具使いを始末や!足元が凍っとるから、うかつに向こうも手は…」
 吸血鬼が命令を出そうとする時にふと違和感に気づく。足元が凍ってる?さっき位の氷塊の外れたほうが地面に当たったから?もし、地面が凍ることを想定して氷塊をわざと的に当てなかったのであれば…
「あかん!お前ら、すぐに凍ってる所から離れるんや!立て直しや!」
「もう遅い」
 魔力のこもった氷の上はマユラを強化し、優位に立たせるための舞台。氷上を滑るマユラは、マスケット銃を構える部下達の照準をくぐり抜け、ガントレットから生やした鉤爪で部下達を引き裂いてゆく。すでに下準備を終わらせていた彼女にユーベルコードの封印など関係なかった。
「少しだけ同情するよ、ほんの少しだけな」
 血しぶきが舞い、氷の上に紅い花が咲く。
「まあ最終的には倒すんだがな。恨むなら自身がオブリビオンである事を恨めよ」
 こと切れた部下達を見下ろし、マユラは呟いた。
「人々に危害を加えるというのでしたら対処せざるをえませんものね」
 マユラの言葉にマイラが続く。魔力の矢を全力で打ち尽くした彼女は闇の力を纏わせたナイフで氷の上から何とか逃げ切った部下達を仕留めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
バカ領主の相手も大変そうだな。
悪ぃとは思うが、あの世でもバカ領主の面倒を見といてくれ。
お前たちを送った後は直ぐにそいつも送ってやるからよ。

◆戦闘
攻撃は主に【属性攻撃】を上乗せして強化した【竜神の裁き】を使用するぜ

前衛として行動するし、味方がいるなら連携を重視だ
武装は【怪力】【2回攻撃】を活かす長剣とハルバードの二刀流
多数の敵を相手にする時は【なぎ払い】だ
守りには【武器受け】【オーラ防御】を駆使して立ち回るし、味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】

フレイルの挙動に気をつけ、最優先で避けるか武器で弾くかするが、どうしても回避や防御は出来なさそうな場合は相討ち上等で【捨て身の一撃】


ラザロ・マリーノ
チョコのために人間狩りしてんのかよ…ほかに することは ないのですか?

【フェイント】をかけながらの【ダッシュ】で攻撃を回避しつつ、【怪力】【なぎ払い】でハルバードを振り回すぜ。

バラバラにされる前に、来世でまともな上司に巡り合えるよう祈っておいた方がいいんじゃねえのか?


レギーナ・グラッブス
何やら色々と世知辛い話のようですが
関係の無い方達が犠牲になるというのでしたら
見逃せません。

他の猟兵の方々もいらっしゃるようですし
連携できるならば協力して戦います。

基本的には他の方々をサポートする形で動きます。
できれば少し離れて全体を見渡し
囲まれたり、不意打ちを受ける方がいれば
声をかけたりジャッジメント・クルセイドで
支援したりするつもりです。

接近されたならメイスで殴り倒すとしましょう。
フルプレートには鈍器が相性良いでしょうから。
ドタマかち割ってもよろしいですか?

可能なら咎力封じやミレナリオ・リフレクションも使用します。



●案外悪くはなかった
「チョコのために人間狩りしてんのかよ…ほかに することは ないのですか?」
 呆れた顔でバルバードを構えるのはラザロ・マリーノ(ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)だ。
「姫ちゃんのチョコのためじゃい!惚れた女を第一優先っちゅーのが男の本懐っちゅーもんじゃろがい!」
 だが、吸血鬼は皮肉などどこ吹く風か、あまり堪えた様子はない。
「そうかよ!」
 ラザロはそう言って吸血鬼を護衛している部下達に向かう。ダッシュ中にフェイントを交えて敵の攻撃を回避し、そのまま力任せに振り回す。
「バラバラにされる前に、来世でまともな上司に巡り合えるよう祈っておいた方がいいんじゃねえのか?」
「余計なお世話だ」
 だが、その一撃は部下の持つ棘付きの盾に阻まれてしまう。ラザロは現在、攻撃にも強化にもユーベルコードを使用していなかった。 世の中の大抵の問題は暴力で解決すると考えているラザロではあったが、今回はその暴力を有効活用することが抜けてしまっていたようだ。
「終わりだ!」
「ちっ」
 ラザロが逃げられないよう、盾の棘をうまく使い、ハルバードを押さえつけると、部下は【慟哭のフレイル】をラザロに叩きつけようとする!
「おっと、そうはいかねぇな!」
 部下のフレイルの一撃がハルバードで弾かれる。弾いたのはラザロのハルバードではなかった。
「大丈夫かい、そこの兄チャン」
 そこにいたのはハルバードと長剣の二刀流をしたガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)の姿だった。
「おう、サンキュな」
「まさかユーベルコード無しで突撃するたぁ肝を冷やしたぜ」
 そう言葉をかわす間にラザロが部下を蹴飛ばしてハルバードの自由を取り戻した所で、ガルディエが体勢崩れた敵を叩き斬る。
「ここはいっちょ連携と行こうぜ。俺と兄チャンと…」
 そういったガルディエの背後に別の部下が迫る。
「後ろ、危ない!」
 声がするやいなや、迫ってきた部下は天から降ってきた【ジャッジメント・クルセイド】の光を浴びる。その隙に今度はラザロが敵を斬り伏せる。
「何やら色々と世知辛い話のようですが、関係の無い方達が犠牲になるというのでしたら見逃せません」
 ラザロとガルディエから離れた所で、敵を指さしていたのはレギーナ・グラッブス(人形無骨・f03826)だった。
「お二人をサポートさせていただきます」
「て訳で、俺と兄チャンとそこの嬢チャンと連携するぞ。俺と兄チャンで斬り込むから、嬢チャンはさっきみたいな感じで不意打ち食らいそうになっていたら声かけてくれ。で、嬢チャンを銃で狙う奴がいたら俺達で仕留める。いいか?」
「分かりました」
「暴れられればそれでいい」
 短いやり取りの中で即席のチームが結成される。
「それじゃ、行くぞ!」
 ラザロとガルディエが敵陣に突っ込む!
「この雷は半端じゃねぇぜ。覚悟しな!」
 ガルディエのユーベルコード【竜神の裁き】による紅い雷が周りにいた部下達を灼き払う。ユーベルコードの相性が良かったのか、最前衛は黒焦げである。前にいた味方が壁となり、難を逃れた部下達がフレイルを振りかざし、ガルディエに殺到する。
「やらせるかよ!」
 攻撃の隙を突き、ラザロがハルバードを振り回し、敵をなぎ払う。
「させません!」
 そして二人の攻撃の隙を埋めるようにレギーナが聖なる光を天から打ち下ろす。他のユーベルコードでも支援しようかと思っていたレギーナだが、【ジャッジメント・クルセイド】はこの敵と相性が良いようで、ただでさえ命中力の高い攻撃ではあるが、正確に攻撃を撃ち込めるので、今はこのままで良さそうだ。
 即席チームの連携により、吸血鬼の部下達はどんどん押されている。
「バカ領主の相手も大変そうだな」
 ガルティエが部下達の中でも動きの良かった一体に長剣で斬りかかりながら話しかける。おそらくは部下の中でもリーダー格だろう。
「ええ。脅威となる物がいなくなったせいで、女に貢ぐしか生きがいがないくらいに平和ボケもしてましたしね」
 リーダーの反撃のフレイルをガルディエがハルバードで弾き、二人は距離を取る。
「ですが今日、久々に我々を指揮するあの人の姿を見ることができましたよ。ええ」
 フレイルを高速回転させながら言葉を続けるリーダー。他の部下達やラザロ達は互いに邪魔が入らないよう牽制する。
「だから、そのことには感謝していますよ猟兵!」
 不規則な軌道を描きつつ鉄球を放つリーダー。
「…そうかい」
 回避も防御も困難と見たガルディエは鉄球の攻撃をかわす素振りもなく突っ込む。最低限の動きだけで直撃は避けるが、それでも掠った箇所は抉られ、心に慟哭の悲鳴が響く。だが、ガルディエは勢いを落とすことなく突っ込み、ハルバードをリーダーに突き入れる。
「ガハッ!」
 盾による防御が間に合わず串刺しにされるリーダー。そして、穂先が抜き取られると共に崩れ落ちる。
「悪ぃとは思うが、あの世でもバカ領主の面倒を見といてくれ。お前たちを送った後は直ぐにそいつも送ってやるからよ」
 ぶっきらぼうに言い放つガルディエの視線の先には、今まで倒してきた隷属戦士達の主である吸血鬼の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●数十年ぶりの本気
「もう、ヤメやヤメ!ケルヴィンがやられた以上、お前らじゃもう勝ち目はないわ」
 隷属戦士のリーダーがやられてすぐさま、吸血鬼が大声を張り上げる。
「コイツラの相手をワシがしたるさかい、お前らは下がっとけや」
「しかし、我々はまだ…」
「じゃかあしい!それにお前らが全滅したら、誰が姫ちゃんへのプレゼントを運ぶんじゃい!」
「……」
 すごすごと下がってゆく部下達。
「おう、お前らが最近噂になっとる猟兵か。家畜共や混ざりモンばっかで何が出来ると思うとったが、正直見くびっとったわ」
 ガラの悪い感じで話しかけてくる吸血鬼。その目は『獲物』ではなく『敵』を見る目だ。
「ああ、そこの混ざりモンの嬢ちゃんは自分のことを名乗っとったか、確か」
 ダンピールの少女をちらりと見て、吸血鬼は声を上げる。
「ワシの名は、レブラン・ノーヴェス。過去より来たりてこの世界に君臨せしモンじゃ!猟兵共、ワシを止めたいのならかかってこいや!」
マイア・ヴェルナテッド
他参加者との絡み及びアドリブ可

追い詰められたとはいえ堂に入った立ち居振る舞い腐っても領主、といった所でしょうか。
とはいえ『混ざりモノ』と侮辱されて黙っていられるほど私も人が出来ていませんのでここで死んでいただくとしましょう。

【戦闘】
『血統覚醒』を使用しヴァンパイア化
『蝙蝠の使い魔』を飛ばして攪乱しつつ『呪詛』『属性攻撃(闇)』『生命力吸収』を用いた魔法攻撃の『二回攻撃』で戦闘します。
『学習力』を活かしての行動パターン把握『第六感』を用いての攻撃回避を行います。


リステル・クローズエデン
(なるほど、本気になったということですか。)
(なら……いえ今回は、援護に回りましょう。)

『暗視2+視力3、見切り4+戦闘知識3』で
相手の行動を観察しつつ
『投擲13、毒使い4+マヒ攻撃4』による
毒付き手裏剣の投擲で嫌がらせのように攻撃。
(この時、植物の種も投げている)

相手の攻撃に対しては
『見切り4+第六感5』で感知して
『ダッシュ5+残像2、ジャンプ6』で回避。
『オーラ防御8+呪詛耐性3+激痛耐性3』で防御する。

ある程度戦闘が進み、相手が大技を使うタイミングを見極めたら。
【我流忍法・絡み蔓】『念動力1+マヒ攻撃4』を発動して
邪魔をします。

「そこですね」

「仕掛けが一つだけだと、いつ言いましたか?」


ガルディエ・ワールレイド
へぇ、見直したぜ。
部下を下がらせる度量と言い、見事な名乗りと言い、ただのバカ領主ってだけじゃ無さそうだ。

我こそはガルディエ・ワールレイド!
過去の因果を絶ち斬る騎士なり!
いざ参る!

◆戦闘
【存在証明】で攻撃力を強化してから仕掛けるぜ

武装は【怪力】【2回攻撃】を活かすハルバードと長剣の二刀流。
攻撃が命中すれば【生命力吸収】
【武器受け】を駆使して立ち回るし、被弾しそうな時は【オーラ防御】
味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】

どうしても防御や回避が出来そうにない攻撃に対しては、相討ち上等で【捨て身の一撃だ。
クルーエルオーダーを喰らって、且つルールを守れそうにない時は【存在証明】を防御重視に切り替えだ。


ラザロ・マリーノ
まともな戦争ならそれなりに経験を積んできたが、猟兵としてはただのルーキーだったなぁ…。
それならサポート回らせてもらおうか。

まず真の姿を開放。体格が一回り大きくなり、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見になる。

そのうえでユーベルコード「修羅の業」を発動。
お互いを羂索でつなぎ、【ロープワーク】【怪力】相手の行動を阻害して味方が攻撃の準備を整えるまで【時間稼ぎ】するぜ。

反撃は【オーラ防御】で耐えるしかないな。

本物のベテランがお前さんにイイのを叩き込むまで、少しだけ付き合ってもらおうか!


マユラ・エリアル
ああ…うん…
なんというか…うん少し気が抜けるな
主に口調とか口調とか…
だがまあ、止めたいのならかかってこいと言われたなら買わねばな
お前は此処で終わりにしてやろう

●戦闘
『全力魔法』で【氷刃展開】を使用
半分は敵の足を止める為に、足元を重点的に狙う
残りは逃げ場を断つように覆い囲むように氷刃を展開し、敵の足が止まったタイミングで一気に射出
敵の攻撃は『第六感』で察知しつつ回避
回避出来ないものは『武器受け』を利用して右手の鉤爪で受け止める

数なら其方の刀剣より此方の氷刃の方が上だ
さあ、氷刃の檻に囚われろ



●本当に欲しかったもの
(追い詰められたとはいえ堂に入った立ち居振る舞い腐っても領主、といった所でしょうか)
 吸血鬼の名乗りにダンピールの少女、マイアはある程度は感心する。
「とはいえ『混ざりモノ』と侮辱されて黙っていられるほど私も人が出来ていませんのでここで死んでいただくとしましょう」
 マイアの瞳が紅く輝く。自分という存在は人間である父と吸血鬼である母とが愛し合って生まれた結果である。両親を誇りに思っているマイアにとって、それを混ざりモノと言われるのを許せるものではない。
「ハッ!混ざりモンがどこまでやるか見せてもらおうやないか!」
 一方の吸血鬼も、猟兵達のことを対等に渡り合える敵対者と認めながらも、暴言を改める様子はない。このダークセイヴァーを君臨する種族としての誇りからか、少なくとも部下の前では安々と撤回できるようなものではなかった。
「そういうところ、くだらないんですよ!」
 ユーベルコード【血統覚醒】の力でマイアはヴァンパイアへと姿と変える。そして、コウモリ型の使い魔を飛ばして牽制をかける。
「ほう、純度が上がったっちゅうことか」
 感慨深げに吸血鬼はマイアを見て呟く。
(なるほど、本気になったということですか。なら……いえ今回は、援護に回りましょう)
 毒付きの手裏剣を投げ、リステルも吸血鬼の動きを牽制する。
「ハッ、小賢しい!」
 吸血鬼は豪奢な長剣を抜くと、手裏剣や使い魔を切り払う。
「これならどうです!」
 切り払った直後を狙い、マイアは両手に闇の属性を込めた魔力弾を連続で飛ばす。
「そらアカンで」
 だが、吸血鬼は避ける素振りを見せずに突撃。いつの間にか召喚していた刃【マサクゥルブレイド】に闇の魔力を纏わせて受け止める。
「闇っちゅーのはワシら吸血鬼の得意な属性やで?同質の力で勝負したって勝つのは力の強い方や。けどま、鬱陶しいんでその力封じさせてもらうわ」
 そう言うと手に【クルーエルオーダー】の誓約書を手にマイアに迫る。
「なあ、吸血鬼の闇の力を失ったら、どんなモンを見せてくれるん?」
「っ!!」
「そこですね」
 リステルが冷静にそう言い放つと、地面から蔦が伸び、吸血鬼を拘束する。リステルの【我流忍法・絡み蔓】である。
「仕掛けが一つだけだと、いつ言いましたか?」
 手裏剣を投げている間にリステルがこっそりと撒いていた植物の種がユーベルコードで急速成長したものである。
「面白いモン使うやんけ!」
 だが、縛られた吸血鬼はずいぶん余裕である。
(動きを拘束しているのに優位に立てた気がしない。さっきの動く剣があるから攻撃するのに支障がない?だが、注意していれば軌道自体は見切ることは…)
 リステルはそう思いつつ、何気なく見回した時にマイアの姿が視界に入る。そう言えば、この少女はさっき使い魔を呼び出して戦わせていたが、もしや…
「これは!」
 リステルの、そして猟兵達の影から無数の蝙蝠が出現する。【サモンシャドウバット】だ。
「ハッハ!使い魔っちゅーモンはこう使うんやで!」
「そうかよ!勉強になったぜ!」
 蝙蝠の攻撃を回避したり打ち払ったりしている者達がいる中、蝙蝠達が纏わりついているにもかかわらず、吸血に突進するものがいた。
「少しだけ付き合ってもらおうか!」
 防御は自分から発するオーラだけに留め、吸血鬼を思い切りぶん殴る。拘束されていて避けることができない吸血鬼は彼のユーベルコード【修羅の業】の力で爆発を起こし、吹き飛ぶ。
 そして、爆発の衝撃でコウモリが吹き飛ばされて現れたラザロの姿は、先程よりも一回り大きくなり、元々竜派のドラゴニアンではあったが、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見になっていた。オブリビオンと戦う猟兵として覚悟を決めた、彼の『真の姿』である。
「まともな戦争ならそれなりに経験を積んできたが、猟兵としてはただのルーキーだったなぁ…」
 そうひとりごちた彼の手には五色の糸で編まれた縄があり、吸血鬼の腕と繋がっていた。【修羅の業】の効果である。ドラゴニアンのパワーでロープを巧みに操り、吸血鬼の動きを封じる。
「本物のベテランがお前さんにイイのを叩き込むまで、サポート回らせてもらおうか」
「こんだけのことをやって、今更ルーキー呼ばわりできねぇだろ」
 そう言って戦列に加わるのはガルディエだ。そして吸血鬼に語りかける。
「あんた、見直したぜ。部下を下がらせる度量と言い、見事な名乗りと言い、ただのバカ領主ってだけじゃ無さそうだ」
「誰がバカ領主やねん」
「まあ気にすんな。で、名乗られたからには名乗らなきゃな。我こそはガルディエ・ワールレイド!過去の因果を絶ち斬る騎士なり!いざ参る!」
「そういや、アンタもそこの嬢ちゃんと同じく混ざりモンやな。よっし、かかってこいや!」
「俺は俺の道を行く。例え俺が何者であろうと揺るがぬ意思を以て!」
 ガルディエの言葉に呼応するように体に赤い稲妻を纏う。『人間としての意思』『ヴァンパイアの血脈による魔力』『己の内にある異端神の力』で自身を強化するユーベルコード【存在証明】の力だ。
「ええやんけええやんけ!ワシら吸血鬼に届く力を持ちつつ、それとは異質な力で殺しに来る。だから『混ざりモン』は面白いねん!」
 興奮気味に吸血鬼はまくしたてる。
「んなもん、知るかよ。さっさと始めようぜ!」
 ガルディエがハルバードと長剣の二刀流で斬りかかり、吸血鬼が念動で飛ばした刀剣で弾き、反撃する。ラザロがロープワークで吸血鬼の体勢を崩した所でリステルの忍術が更に動きを抑え、マイアが魔術を叩き込む。そして吸血鬼は使い魔を猟兵達に襲わせることで生命力を奪い、手傷を癒やす。だが、その後にダンピール二人のそれぞれの攻撃が吸血鬼から生命力を奪い返し、何度もそういった奪い合いを続ける。
「ああ、楽しいなあ。こんな楽しゅうなったのは一体何十年ぶりやろか?」
 猟兵と吸血鬼の一進一退の攻防が続き、吸血鬼がポツリと漏らす。
「この時間が、いつまでも続けばええな」
「だがまあ、止めたいのならかかってこいと言ったのはお前だ。お前は此処で終わりにしてやろう」
 この均衡を、勝負の終焉を宣言したのはマユラだった。
「途中、少し気が抜けてしまって、完成するまでに時間がかかった。主にお前の口調とか口調とか」
「口調ばっかやないか!」
「それだよそれ」
 ユーベルコードの相性が悪かったのか、使い魔を打ち払ったりで術式の展開が遅れたりもあったのだが、そのあたりのことは黙っておき、彼女は自身のユーベルコード【氷刃展開】を発現させる。
「氷刃の名は伊達じゃないという事だ。覚悟しろ」
 吸血鬼の周囲に展開された氷の刃の数は100。しかもその一本一本にマユラの全力魔法で強化された魔力が宿っている。
「数なら其方の刀剣より此方の氷刃の方が上だ」
 全力を込めているということは、逆に言えば放った後は魔力が回復するまで魔法が使えなくなる故に一撃必殺の構えである。
「面白いやんけ!やれるもんなら、やってみろや!」
「さあ、氷刃の檻に囚われろ」
 マユラの言葉と共に氷刃が吸血鬼に撃ち出される。当初の狙いでは半数くらいを吸血鬼の動きを止めるのに足元あたりに撃ち込む予定ではあったが
「逃がしゃしねえぜ!」
「五行木術。伸びて捕らえよ、緑の手」
 ラザロの羂索とリステルの蔦が吸血鬼を拘束して動きを抑えたため、前段吸血鬼を仕留めることに回す。
「なら、これでどうや!」
 吸血鬼も全力で【マサクゥルブレイド】と【サモンシャドウバット】を防御用に展開しようとするが
「往生際が悪いぜ!」
 ガルディエが長剣を振るい、赤い稲妻を放ち、50を超える吸血家の刀剣の大半を撃ち落とし、
「その行動パターンはすでに学習済みです」
 マイラが影の蝙蝠の出現地点を予測し、あらかじめ自分の使い魔を放って妨害することで、防御に向かうのを遅らせる。
 残った刀剣やギリギリ間に合った蝙蝠で防御をするも、100本の氷刃を止めることはできず、吸血鬼になだれ込む。
「あー、すまんな姫ちゃん」
 攻撃が止んだ時、そこには全身を無数の氷の刃に貫かれた吸血鬼の姿があった。
「ワシ、姫ちゃんといる時よりも楽しゅうなってもうたわ」
 そう言ってドサリと大の字になって倒れた彼はどこか満ち足りた顔をしていた。
「退屈な世界の果てで、どえらい贈りモン貰ってもうたわ」
 それが吸血鬼・レブランの最期の言葉だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『冬の感謝祭』

POW   :    お祭りの調理は力仕事。パンをこねたり、お餅をつくったり、大鍋でスープを作ったり。

SPD   :    飾りつけは時間と勝負。お祭りの賑わいを、限られた準備期間のなかで、どこまで届けられるかな?

WIZ   :    飾り作りは工夫が必要。外は寒くて暗い町、どんな飾りをつくったら華やかに見えるか?

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●退廃した世界の片隅で
 吸血鬼が倒されたことに対し、生き残った部下達は猟兵達へ仇討ちを仕掛けたが、猟兵達にすべて倒されることとなった。逃げ延びようとせずに主に殉じた彼らの本心は、想像する他ないだろう。そして、猟兵達はやるべき仕事がまだ残っている。
 周辺の村では冬の感謝祭の準備が行われていると言う。その村に行き、悪虐なる領主が討たれたことを伝えに行かねばならないのだ。なんなら感謝祭の準備を手伝ってもいいだろう。また、村に振る舞うようのお菓子などもグリモア猟兵が用意してくれたので、それらを配ったりするのもよいだろう。

 猟兵達よ、それぞれを想いを胸に、最後の仕事を果たすのだ。
リステル・クローズエデン
領主は倒された……これからも大変でしょうが。
今は、ひと時の安らぎを

【SPD】で飾り付けの手伝いをします。
『ジャンプ6+ダッシュ5、、投擲14、念動力1』で
移動したり、高いところを飾り付けたりします。

ただ、こういった祭りの飾りつけ自体はわからないので指示を頂ければ。



●楽しいかざりつけ
(領主は倒された……これからも大変でしょうが。今は、ひと時の安らぎを)
 リステルは訪れた村で、祭りの準備を手伝っていた。
「ただ、こういった祭りの飾りつけ自体はわからないので指示を頂ければ」
 自分の世界の記憶を持っていないリステルにとって、ここは異邦の地。勝手なことはしないほうがいいだろうとの判断か。
「そうかい?じゃあ、高いところの飾り付けとかやってもらおうか」
「それならお安い御用」
 リステルは飾りを受け取ると、その場でジャンプ。そのまま手に持っていた飾りを、飾り付けする位置にめがけて投擲した。すると、リステルが狙ったように、飾りが支持された場所に収まる。リステルの投擲の正確さと、投げた飾りを念動力で微調整する、彼女の技術の賜である。
「すごいな姉ちゃん!」
「この辺に来る大道芸人なんかよりもすごいや!」
「最初はヒヤッとしたけどすごいもんだ」
 村人から歓声が上がり、たちまちリステルは囲まれてしまった。
「すごい!もう一回やって!」
「僕にも教えてよ、それ」
 村人の対応に困りながらも、リステルはふと思う。
(暖かいな)
 リステルの少ない記憶の中で、経験したお祭りの中でも、ここは一段と質素なものかもしれない。だが、彼らの活気のある笑顔は他のお祭りと比べても遜色はなかった。
(これからも大変でしょうが、おそらく大丈夫ですかね)
 村のこの先は安泰だ。なので、リステルを現在の自分の状況を切り抜けることに思考を移した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミモザ・クルセイル
はっ、あの領主さん(と配下達)は倒されていました!流石は歴戦の猟兵さんたちです、お力になれず申し訳ありませんでしたが
これからだけでも頑張ります!

◆行動
【SPD】で飾り付けを手伝います
技能「ダッシュ」で飾り付ける花や明かりを運んだり
テーブルの上に飲み物や食べ物、菓子を並べたり…
あとは広告も必要ですね

この見窄らしい小娘では大した効果は無さそうですが
オラトリオの翼でそっと空へ舞い上がり
街の住民に向けて技能の「優しさ」「礼儀作法」「歌唱」を活用して声を届けます

ユーベルコード『シンフォニック・キュア』で
祝いの歌をそっと

少しでも楽しんで下さいね、と
集まってくれた方に菓子や食糧を配ります

春はもうすぐですよ



●春の訪れは…
(流石は歴戦の猟兵さんたちです)
 ミモザは飾り付けの手伝いをしながらも、領主を倒した猟兵達を見やる。あの時の自分は大した活躍をすることはできなかった。
(お力になれず申し訳ありませんでしたが、これからだけでも頑張ります!)
 ミモザはせわしなく飾り付けの花や明かりを運び、テーブルに料理や飲み物、お菓子を並べる。
「あとは広告も必要ですね。この見窄らしい小娘では大した効果は無さそうですが…」
 そう言いながら、そっと空を舞い、優しく、そして厳かに春を告げる歌を歌い始める。7歳にして見窄らしい小娘と卑下するのは自分の生まれ故か。しかし、村人達にはそうは見えなかったようである。
「天使様だ」
「お話に出てきた天の御使い様みたい」
 天の御使い…それはダークセイヴァーにおけるオラトリオの代名詞。圧政の終わりを告げるにはまさにうってつけの存在とも言える。
「少しでも楽しんで下さいね」
 空から降りてきたミモザは集まってきた人々にお菓子を配る。天使様からのお恵みだと子供達ははしゃぎ、老人達はありがたいと手を合わせる。予想とは違う反応に戸惑いながらも、彼らの反応に対して返す言葉を決めた。
「春はもうすぐですよ」
 ミモザは微笑んで、そう告げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラザロ・マリーノ
【POW】
祭りってんならやっぱり料理がないとな!
とはいえ、豊かな村にはみえねえから食材集めからはじめるか。

とりあえず【ロープワーク】【罠使い】で簡単なくくり罠をしかけるぜ。
猪でもかかったらラッキーなんだが、期待はしないでおくか。

近くに水場があるなら魚を捕りに行くぜ。【衝撃波】で魚を気絶させて一網打尽にできるからな。

ついでに、移動中は【世界知識】【視力】で食べられる野草を探しておくかな。

【料理】はできないこたないが、あんまり祭り向きじゃないんだよな…。
得意な奴がいるなら任せたいんだが、いないなら集めた材料を使ってスープでも作るぜ。



●豪快!男の料理!
「祭りってんならやっぱり料理がないとな!」
 そう言って村に現れたのは、大きな猪を担ぎ、大量の魚が入った魚籠をたくさん下げた半人半竜の男・ラザロ・マリーノその人である。
 実は彼、祭りの料理の材料を確保するために野に出向き、狩りや漁をしてきたのだ。出向いたのは僅かな時間だったので、ガチンコ漁で集めた魚だけを持っていく予定だったのだが、念の為にしかけた罠に運良く猪が捕まった為、こうして豪勢な食材を持ってくることができたのだ。
「おいおい、こんなめでたい日にこんな豪勢な食事にありつけるなんて!」
「兄ちゃんすげえな!」
 狩りの名手と言えば、こういった村ではヒーロー的な存在だ。ある意味、吸血鬼を倒したというおとぎ話みたいな存在よりも、より身近に凄さを感じさせてくれる存在だ。尊敬や憧れの目で見てくる村人達を押しのけ、ラザロは料理を作っている村人達に食材を差し出す。
「料理はできないこたないが、あんまり祭り向きじゃないんだよな…こういうのは、あんたらのほうが得意だろ?」
 その言葉に、調理を取り仕切っていたらしき女性が答える。
「そんなかしこまる必要はないよ。別にお貴族様が食べるわけじゃないんだ。うまけりゃいいんだ、うまけりゃ。まあ、これだけいいモン持ってきてくれたんだ。更に働かせようとしたらバチが当たっちまうよ」
「そうか?ああ、あと、ここに来る途中でこんなものを見つけたんだ」
 そう言ってラザロは、荷物から新たに何かの草を取り出す。狩りと漁から戻る途中で何か野草がないかと探していて見つけたものだった。
「臭み消しに使ったりするんだろう?」
「アンタよく知ってるね!これがあれば、料理が数段華やぐよ!よし、油の準備をするわよ!」
 こうしてラザロの持ってきた猪は串焼きや煮込み料理などに使われ、魚も焼いたものの他に香草を混ぜたパン粉をまぶしてフライにしたようなものまで出された。余った食材などは燻製などにして保存食となるだろう。
 めったに食べられない料理の数々に村人達は舌鼓を打つのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
【POW】持参した菓子を配る。

周辺の村に領主討伐の報告がてら、ガキどもを対象に菓子類を配るぜ。
配る菓子は、ダークセイヴァーに有って不自然じゃ無さそうなものを別世界で準備しておく。手作りって柄でもねぇしな。
しかし結構な量になったし、意外と力仕事だな。

「一応、日持ちしそうなもんを選んでるが、それでも腐るからな。さっさと食えよ」
「おう、喧嘩はすんなよ。ちゃんと配ってやるから順番に並べ」


(あらかた配り終わった後に少し敵を思い出して独白)
菓子といえば、目当ての相手からのチョコを欲しがってるガキみたいなのが一人いたな。
いつか、そっちに姫とやらも送ってやるよ。チョコはあの世で貰っとけ。



●ガキどもに送るモノ
「しかし結構な量になったし、意外と力仕事だな」
 周辺の村に領主討伐の報告がてらと子供達に菓子類を配りに来たガルディエ。彼はダークセイヴァーに有って不自然じゃ無さそうなお菓子を別世界で準備していた。力自慢の彼でも結構な量と言っているのだ。村の子供達に行き渡らないことはないだろう。
「一応、日持ちしそうなもんを選んでるが、それでも腐るからな。さっさと食えよ」
 お菓子を子供達に配るガルディエ。
「わあ、すごいおいしいそう!」
「お兄ちゃん僕にも僕にも!」
「僕が先だぞ!」
「おう、喧嘩はすんなよ。ちゃんと配ってやるから順番に並べ」
 わちゃわちゃとやってくる子供達を並ばせるガルディエ。口は悪いがなんだかんだで面倒見はいいのだ。

「ふぅ」
 子供達にお菓子をあらかた配り終えた彼は村のはずれで一息つく。祭りの喧騒から離れおり、ここなら少し落ち着ける。
「菓子といえば、目当ての相手からのチョコを欲しがってるガキみたいなのが一人いたな」
 そう言って思い出すのは一人の吸血鬼。なかなかの度量のある男だったが、そんな彼がチョコの為に領民から略取するような暴挙に出るようなものになってしまったのは何が原因だったのか。
「いつか、そっちに姫とやらも送ってやるよ。チョコはあの世で貰っとけ」
 そんな彼の言葉に答えるものはいなかったが、寒空の下に一陣の風が吹き、そして消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト