忘れじの灯(作者 唐揚げ
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●グリモアベース
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは、猟兵一同を見渡した。
「儀式魔術【Q】が成功したことで、UDCアースに隠された謎がひとつ解けたようだ。
 ワガハイが得た予知はそれに関するものでな。オヌシらの力を貸してもらいたい」
 事の発端は、新世界『カクリヨファンタズム』の発見に由来する。
 この世界に移住していた、太古の神……すなわち、竜神がその主題だ。
「彼らはかつて、このUDCアースのあちこちに邪神を封印した存在……そこまではよい。
 問題は、彼らが記憶する場所の封印が解けてしまっている、ということなのだ」
 つまりそれは、封印された太古の邪神が復活しつつあることを意味する。
 しかしムルヘルベルの話では、完全な復活にはまだ時間があるらしい。
「そこで、オヌシらだ。封印が完全に解ける前に現地に向かい、今のうちに邪神を倒す。
 そのためには、喪われた信仰を紐解き、邪神が封印された場所を探さねばならぬのだ」
 ムルヘルベルは続ける。
「そもそも件の封印は、大地に流れるエネルギー……竜脈を利用して築かれたもの。
 もはや信仰が絶えていようと、要となる場所の情報はどこかに遺されているはず。
 おそらく現地には、漏れ出した魔力に引き寄せられたオブリビオンも存在していよう」
 一筋縄ではいかない仕事だ。しかし、やる意義は大きい。
「いずれUDCアースでも、これまでと同じ大きな戦いが起きるはず。
 来たるべき時に備え、災禍の火種を潰すのはきっと役に立つであろう」
 ゆえにどうか力を貸してくれ、とムルヘルベルは言った。

「……そうそう、転移先は日本の片田舎でな。『阿蘇女村』と呼ばれる場所だ。
 なんでも、様々な花の生産地として、その筋では有名な場所らしい」
 もしかすると村名の由来や、花が育てられている理由も封印の手がかりかもしれない。
 注意深く伝承を探ってみてくれ、と言い、ムルヘルベルは本を閉じた。
「古代の皇帝に曰く、"名声のあとには忘却あるのみ"とも云うが……。
 たとえ信仰が尽きたとしても、残骸の跳梁は見逃せまい。オヌシらの健闘を祈る」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 麦飯です。儀式魔術【Q】の成功、おめでとうございます!
 というわけで、発見された新たな封印をどうにかするお話です。
 はたして、邪神はどのような場所に封印されているのでしょうか?

 なお、プレイング受付期間などについては断章でお知らせいたします。
 今回は採用数をちょっと絞るかもしれません。それではご参加お待ちしています。
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第1章 冒険 『竜脈封印の伝承』

POW巨石を動かしたり、沼の底に潜るなどして、竜神信仰の痕跡を探索する
SPD探索範囲内全域をくまなく歩いてまわるなど、足を使って竜神信仰の痕跡を探し出す
WIZ村に伝わる昔話や童歌の調査、村の古老との会話などから、竜神信仰の痕跡を探ります
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●UDCアース・日本:某県山間部・阿蘇女(あそめ)村
 猟兵たちが向かった先は、まさしく「寂れた田舎町」と呼ぶべき場所であった。
 いくつもの山に囲まれていることもあって、陸路はほぼひとつきり。
 最寄り駅(いわゆる道の駅だ)から、数時間に一度のバスで向かうようなところである。

 しかし村に踏み込むと、打って変わって鮮やかな風景が旅人を出迎える。
 薊。
 山茶花。
 花麒麟。
 他にも様々な……多種多様な花々が、そこかしこに植わっているのだ。
 どれもこれも、鮮やかな赤い花ばかり。山間部には向かないものまである。
「おやあ? あんたら都会の人かい。よう来なすったなあ」
 住民はみな温和で、猟兵たちが声をかければ快く会話をしてくれるだろう。
 よもや、彼らが邪教の徒ということはあるまい。
 なにせ封印は、信仰とともに完全に忘れられているのだから……。

 他にも村の近くには、古びた石碑などもあるようだ。
 山間なおかげで真夏だというのに風は涼しく、水も野菜も美味い。
 探索するにせよ、戦いの前の休息を摂るにせよ、選択肢は事欠かないだろう。

●プレイング受付期間
 2020/07/23 23:59前後まで。
淵守・竜二郎
・【WIZ】赤い花ばかりなのはなんででしょうね?村人に聞いてまわろうかな。

いやあこの片田舎さ、懐かしい感じですねぇ。僕も昔はこういう所に居たのかな。むしろ此処じゃないです?此処でよくない?帰ってきたよ故郷…!なんも分かんないですけど…!

それにしても綺麗な赤い花ばかりだ!いや可笑しいでしょ赤過ぎでしょこれ。僕じゃあるまいし。ベニバナあります? ちょっと、あの、あるなら僕は内なる自分とネーミング会議開催っていうかですね、あっなんでもないです…
…昔から赤い花ばかりなのかな? なら問題は龍脈…土、水…どこかに繋がってると思うけど。
…忘れられていても、きっと辿れる事はあるさ。そうだろ?知らない同胞よ。


●熱狂・情熱・あなたは特別なひと
「ここはねえ、青い花だけ決して咲かない場所なんだよ」
 淵守・竜二郎が話を聞いたのは、眼鏡を掛けた穏やかそうな中年男性であった。
「土に植えても、鉢植えで持ち込んでも必ず枯れてしまうんだよ。何故かね」
「はあ……だから赤い花を育ててる、ってことですか?」
「いや。もちろん、それ以外の色の花もあるんだけれどねえ」
 男性がちらりと家の中を見やれば、なるほど橙色のベニバナが咲いていた。
 だが外に置いてあるのは赤ばかり。男性はこのように語る。
「なんでも、赤い花を外に出すのは一種の魔除け、おまじないらしいよ。
 もっともどうしてそうするのか、なぜ赤くないとダメなのかは知らないが」
「そうですか……ううん、もう少し歳のいった方ならご存知ですかね?」
「かもしれないね。ああ、お団子はいかが?」
「ありがとうございます」
 竜二郎は団子を頬張り、赤い花々が揺れる村の風景を見やった。
「……いやあしかし、こういう片田舎……失礼、素朴な町って懐かしいですよね」
「キミのような年齢でも、懐かしく感じるものなんだねえ」
「ええ、まあ。なんて言うんでしょうかね……」
 竜二郎は目を細める。その胸に浮かぶのは、奇妙な郷愁だった。
 同時に彼は、妙な胸騒ぎを感じる。尻が痒いとも云うべきか、そんな違和感。
 落ち着かなさがある。ただそれは村の雰囲気がどうというよりも、
 どうも彼が忘れて久しい過去の記憶に関係しているようだった。
「……僕も、昔はこういうところに居たのかな」
 いっそのこと、ここを故郷にしてしまってもいいのではないか?
 などという他愛もない考えが頭をよぎり、竜二郎はふっと笑った。
「なんかこう、ノスタルジックっていうんですか? 田舎っていいですよね的な。
 ……あいや、田舎じゃないんですけど。都会の喧騒から離れるっていうかね!?」
「あっはっは。いいよいいよ、此処に居る人はみんな田舎だと思ってるから」
 中年男性は鷹揚に手を振り、そして言った。
「ああ、でもそうだ。昔、ちらっと聞いたことがあるな」
「……例の、青い花が咲かないっていう話ですか?」
「うん」
 男性は頷き、このように続ける。
「このあたりじゃ青い花は咲かないんだけど、一箇所だけ咲くところがあってね。
 騎野西(きのにし)谷というんだが……あんまり地元の人は近づかないんだ」
「……何故ですか?」
「さあ……とにかく行くな、とばかり言われて育ってきたからなあ」
 中年男性はさして気にしたふうもなく言った。
 だが竜二郎は、その名を深く頭の中に留めておくよう、考え込む。
 地元住民が近づかない不思議な地。いかにも竜脈の通っていそうな場所だが……。
「もう昔話なんて、私ぐらいの年代でも忘れてしまったからねえ」
「忘れられていても、きっと辿れることはありますよ」
「え?」
「……ああ、いや、なんでもないです。こっちの話です、すいません」
 竜二郎は苦笑しながら手を振って、ごちそうさまでしたと立ち上がる。
 涼しげな風が吹く。なぜだかそれは、少しだけ煙臭く感じられた。
「――そうだろ? 知らない同胞よ」
 過去の記憶は失われて久しい。
 けれども己には為すべきことがある。竜二郎は、漠然とそう思っていた。
 あるいはそれは、同じ竜神の封印を糺そうという彼なりの決意だったのだろうか……。
成功 🔵🔵🔴

ネグル・ギュネス
封は解れ、何時かは破れるか
日本は良く知って──、…何故か知った場所だ
何故かは解らないが、ともあれ行くか

封印となるならば、相応に楔のようなものがあるはず
で、あれば祠か地蔵か、或いは社があるのではと推測しながら、石碑を重点的に見て回ろう
多少でも情報が残ってりゃ良いんだが

封印の弱体は、大抵は経年による劣化や信仰の減少、或いは人為的によるもの
劣化だけなら、再度封印を施せば良いだけだが…いやに信仰が無くなってんのは、年月だけのもんなのかな?老人とかも忘れてんのか?

花が赤ばかり、忘れ去られた信仰、そして石碑
些細な情報でもトリガーになりかねん、ひたすら歩き回るか

…竜神による封印
もし、役立つならば、或いは…。


●見えぬ過去、見えぬ未来
 夏の陽射しを受けて咲く赤い花々は、燃える灯火のようにも思えた。
 涼やかな風は、ネグル・ギュネスの鋼の身体にも心地よく感じられる。
「封は解れ、いつかは破れる……か」
 グリモア猟兵によれば、それはもはや必然なのだという。
 しかし「なぜ封印が破れるのか」は、グリモアの予知ですらわからない。
 邪教団なり邪神の使徒なり、オブリビオンに類する何者かの仕業なのか。
 あるいは、数万年の時を閲した結果、自然と封印が解けてしまうのか。
 いずれにしても、邪神の復活などという事態はネグルの看過出来るところではない。
 ゆえに、調査するのはやぶさかではない……の、だが。
(……何故だろうな。この国に……いやこの場所に感じる、奇妙な既視感は)
 何故かはわからない。だが、転移してからというもののデジャブを感じる。
 この阿蘇女村に由来するのか、似たような景色を知っているのか。
 それすらもわからない……その引っ掛かりが、ネグルの胸をざわめかせる。
 しばし考えたのち、ネグルは短く嘆息して、頭を振った。
 いまはそんなことに頭を割いている場合ではない。問題は封印だ。
 彼はめぼしい石碑をひとつひとつ丹念に調べ、手がかりがないかを探した。

 石碑はどれも苔むしており、ろくに手入れもされていないのが一目でわかる。
 ないがしろにされている、というよりも、そもそも存在を認知されていないのだろう。
 それだけでも、この地の信仰がほとんど損なわれているのは明白だった。
「おやあお兄さん、どうしたんだい? その石が気になるのかい」
 ネグルが砕けた石碑をためつすがめつしていると、ひとりの老人が声をかけた。
「ええ、まあ……ちょっとした史料を調べている者でして」
「学者の卵さんかい、偉いもんだねえ」
 老人はひぇっひぇっとおおらかに笑いながら、こう語った。
「その石はねえ、大昔にこの地を守って下すった神様を祀ってたものなんだよ」
「神様を? しかし、ずいぶんと手入れがされていないようですね」
「私みたいな年寄りでも、うすぼんやりとしか憶えてないからねえ。
 けど私が子供の頃からずっとそうだったんだ。何百年と放っておかれてたんだろうね」
「……なるほど」
 竜神による封印は、それこそ数千、ことによっては数万年前に遡る。
 民間伝承など途絶えているのが自然だろう。おそらくそれは超自然的な理由ではあるまい。
 しかし幸いにも、こうしてその片鱗を記憶していたものはいたようだ。
「その神について、何か他にご存知ではないですか?」
「そうじゃのう……たしか竜の神様で……ああ、そうだそうだ」
 老人はぽん、と手を叩いた。
「ここには昔いくつもの神様がおって、それがお山になったって昔話を聞いたことがあるなあ。
 ほら、村には赤い花ばかり外に出てるだろう? あれも神様のおまじないなんだったか」
「龍の神……なるほど、わかりました。ありがとうございます」
 この地で封印行を行った竜神は、どうやら一柱ではなかったらしい。
 やはりあの赤い花は、その信仰に関連がある。
 信仰そのものが途絶え、花に関するしきたりだけが残ったのだろう。
(これ以上は、別のスポットを調べてみないとどうにもならないか……)
 ネグルは老人に別れの挨拶を告げ、その場をあとにする。
 彼の脳裏に去来するのは、忘れし過去と見通せぬ未来への微かな不安。
 そして――。
「龍神による封印。もし、役立つならば、あるいは……」
 ……それはまだ、誰にもわからない。
成功 🔵🔵🔴

佐々・夕辺
★アドリブ歓迎

村、ね
懐かしいわ、故郷を思い出すわね
故郷は精霊信仰だったけれど、信仰のある村にはなんというのかしら…
しっかりとした精神の柱がある気がするわ
例えそれが忘れられたものであっても

石碑などを探してみましょう
古文書は友達だったから、ある程度なら読み解けるはず
疲れたら川の水を汲んで飲んで
ああ、本当に…滅んだ故郷に似ている
精霊たちも喜んでいる この村には恵みが満ちているのね

管狐、ちょうど良いわ
お散歩がてら古い石碑などを探してきて頂戴
私は村人たちに古い書物を見せて貰うわ


●在りし日のふるさとに思いを馳せ
「…………懐かしい」
 涼風がそよぎ、赤赤とした花々を揺らす。
 その光景を丘から見下ろして、佐々・夕辺はほう、とため息をついた。
 故郷のことを思い出すのは、彼女にとってはいい思い出ばかりではない。
 なにせすでにふるさとは滅びて絶え、彼女自身もまた禁忌を犯したのだから。
 飢えという逃れられぬ限界。どんな生物ですらも苦しめる最悪の災厄。
 好き好んで餓えたがる生き物などこの世にはいない。それが妖狐であれ。
 あの大飢饉が訪れるまでは、故郷もこんなふうに平和な場所だった。
 村の辻を歩けば、精霊たちの歓喜の思念が届いた。
 このUDCアースという世界は、あちこちが文明によって穢されている。
 こんな静かで清廉な場所は少ないだろう。だからこそ精霊たちは歓んでいた。
 自然の歓び。
 人々と大地とがたしかな意味で交わる歓び。
 歓喜の思念が伝わるたび、夕辺も微笑み、足取りは軽くなる。
「この村には、恵みが満ちているのね」
 汲んだ川の水一滴にすら、生(き)のちからが溢れている。
 夕辺は、この村を好ましいと思った。

 おそらくそれは、この地に根ざした竜脈の力によるものもあるのだろう。
 木々は青々と茂り、それゆえに分厚い苔が石碑を覆っていた。
 石碑そのものを傷つけぬよう、慎重に苔を取り除きながら、夕辺は思う。
(――この地を護った竜神たちは、何を思って封印を施したのかしら)
 それは義務感からだったのか。
 当時に住む人々のためなのか。
 世界そのものを守るためなのか。
 夕辺は石碑を解き明かし、村民の厚意で古い書物にも目を通したが、
 竜神信仰の片鱗に触れることは出来ても、神そのものの正体は杳としてしれなかった。
 彼らが何を思っていたのかは、もはや推察するほかにない。
 たしかなのは、この地で「赤」は特別な意味を持つということ。
 花を生けるのは、大地の恵み……つまりは竜脈の恩恵を忘れずにいるため。
 同時にその色は、魔除けであり太古の神々への感謝の意味を示すのだという。
「そして、青は魔の色……だから、この地では青い花が根付かないのね」
 夕辺は古い書物の表面を指でなぞり、ひとりごちた。
 "蒼き魔を祓いたる竜の神、その身を御山に変えこの地を見下ろす"。
 そうした意味の文章が、ちょうど指でなぞった箇所には記されていた。
「蒼き魔……それが、封印された太古の邪神なのかしら」
 だとすればその魔力は、現在までも竜脈を穢していることになる。
 もしも本来の力を取り戻せば、大変なことになるだろう。
「……この村を、喪いたくはないわね」
 夕辺の呟きを聞いたのは、しゃらりと舞い戻った管狐だけ。
 その声音に秘められた決意を知るのも、また同じくである――。
成功 🔵🔵🔴

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……封印の仕方を復活させろってのも、
不思議な話だねぇ。
忘れちゃいけないようなモンまで忘れられる事があるってのは、
まぁ分からなくもないけどさ。
ま、ともあれでっかい世界の忘れ物だ、
さっさと探してみますかねっと!

この日本ならではだからね、カブに『騎乗』して、
のんびり村の中を流すよ。
農作業中のおっちゃんやおばちゃんと『コミュ力』で打ち解け、
村の地理や歴史を『情報収集』する。
ま、世間話や噂話程度で構わないよ。
けれど、「赤い花」については少し踏み込んで聞いておく。
何せ、青や黄色じゃダメなのは不思議だからねぇ。
そうして話を聞きながら、
それとなく石碑への「正しい」路も抑えておくよ。


御影・しおん
【WIZ】
あら、あの頃の封印、いくつか解けちゃってたんだ
他の連中は何をやって……って、わたしが言えたことじゃないわねー

丁度こんな姿だし、子供のふりしてご老人に話を聞くとしましょ
何かしら他と違う風習とか、しきたりみたいなやつ。
理由?今の子供は学校の自由研究ってのがあるんでしょう?

多分、鍵は赤い花よね
それ自体が封印を構成する要素なのか、
封印とは別に邪神復活の徴をいち早く知る為のものかは判らないけど
ほら「りとます」とか「ふぇのーるふたれいん」とかあるじゃない?

自分の信仰が途絶えてもある程度封印を維持できる仕掛けぐらいはしてると思うのよねー
まあ、あの頃のわたしならそうしたってだけだけど

※アドリブ歓迎


●赤い、赤い花
「この赤い花はねぇ、神様へのお祈りなのよ」
 年老いた老婆は、ふたりに対してそう言った。
 視線の先で揺れるのは、赤々と瑞々しく咲き誇るチューリップの花。
「むかぁしむかし、ここにはとっても悪い、そして恐ろしい魔物がいたの。
 竜神さまたちは、力を合わせて、その魔物をやっつけてくれたそうなのよ」
「へえ、なるほどねえ」
 数宮・多喜は腕組し、感心したように頷いた。
 しかし彼女は、老婆の家の前に建てられた古びた石碑を一瞥する。
「にしちゃ、もうだいぶ神様のことは忘れられて久しいみたいだね?」
「そうねえ……けど、この赤い花を植えるしきたりだけは残っているのよねぇ」
「ねえ、どうして赤い花でないといけないの?」
 そこで、子供のふりをした御影・しおんが相槌を挟んだ。
 老婆は「お利口さんだねぇ」としおんを褒めつつ、こう語る。
「なんでもねぇ、その悪い魔物は、青い火で木も花も焼いてしまったっていうのよ。
 だから、竜神さまたちは頑張ったけれど、この土地も焼け野原になったとかでね」
「……何もかも灼き尽くしちまう青い火、ねぇ」
 多喜は、老婆の何気ない語り口を深く心に留めた。
 おそらくそれは、伝承にありがちな暗喩や何かしらのメタファーではない。
 正真正銘、封印された魔物がそういった「蒼い炎」を武器としていたのだろう。
 この土地が一度焼け野原になったというのも、けしておとぎ話ではないはずだ。
「だから、この土地はもう、誰も住めない乾いた場所になってしまった……。
 竜神さまたちは、それを哀れんで、自らお山に姿を変えてくだすったってねぇ」
「それで、こんなにお花や木が生えてくる場所になったの?」
 しおんの問いかけに、老婆はこくりと頷いた。
「もちろん、昔話だからねぇ、きっと本当はいろんなことがあったんでしょう。
 でもこの土地では、それからずっと、青い花が咲かなくなってしまったのよ。
 だから、青い火がもう入ってこれないように、赤い花を咲かせているのよねぇ」
「……なかなか面白い話が聞けたよ。ありがとな、おばあちゃん」
「うんっ、とっても楽しかった! また聞かせてね!」
 多喜としおんは老婆に感謝を述べ、その場を離れる。
 涼やかな風に、チューリップの花がそよそよと揺れていた。

 ……そして家を離れ、並んで歩くふたり。
 彼女らは聞き込みの途中、偶然にも顔を合わせて同席した間柄である。
 しかし猟兵同士、あれをただのおとぎ話として片付けるつもりはなかった。
「それにしてもまさか、あの頃の封印が解けちゃってただなんて」
「ん? もしかしてアンタ、他ならぬ竜神さまなのかい?」
 多喜の問いかけに、しおんはこともなげに頷いた。
「わたしがここの封印を担当したわけじゃないけどね。同族がいたんでしょ。
 そして話を聞く限り、封印を施した竜神たちは、もう居なくなったみたいね」
 しおんはそう言って、村を取り囲む山を見やった。
 竜神が山に変じたというのは、おそらくこれも比喩ではない。
 封印で力を使い果たし、傷ついた竜脈を癒やすために眠りについたのだろう。
「赤い花は、弱まっていく封印を維持するためのおまじない、ってとこかしら。
 少なくとも、あの頃の私なら、そのぐらいの「せーふてぃ」は仕掛けたわね」
「なんにしても、やっぱりこの花々と封印は無関係じゃなかったってわけだ。
 ……しかしそうなると、問題の邪神がどこに封じられているのかが重要だね」
 昔話のなかには、残念ながら封印場所にまつわるヒントはなかった。
 強いて言うならば、この村の中では咲かないという「青い花」が手がかりか。
 おそらく花の色が、件の邪神が操った「青い火」に結びついているのだろう。
「……もしもこの近くに、青い花だけが咲く場所があるとしたら」
 しおんはそんな多喜の顔をちらりと見やり、続けた。
「それって、邪神の力が漏れ出している、っていうことじゃないかしら?」
「……となると、重点的に調べるべきは青い花のあるところ、ってことだね」
 多喜は頷き、カブのエンジンをスタートさせた。
「アンタも乗ってくかい? 後ろはあいてるよ」
「あら、じゃあ後ろ、失礼しようかしら」
 しおんは頷き、多喜のカブにタンデムする。
 ふたりが向かったのは「騎野西谷」。
 この地域で唯一、青い花が咲き誇るとされる場所である――。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

不染居・ユキ
※アドリブ等歓迎

邪神の封印された場所、か。龍脈を辿れば自ずと見つかるのだろうか
問題は龍脈探しだが…花がどうも気になるな
山の方には花が群生している場所もあるのだろうか
丁度いい、ひたすら野生の花を辿っていこうではないか

自らの【野生の勘】で山を探りつつ、山に咲いた花々を辿っていく。手掛かりを記録するために花を写生しながら山道を進もう
とりあえず探索&護衛役としてUC《毛描き『鳥獣絵画』》で生み出した人間以上の知性のカラスを傍に置く

「おお…これ程まで花が咲いているとは…!ひっそりと人知れず咲く赤き花々達…いいぞ、筆が進む!」

すっかり本題を忘れて写生に夢中

「ふふふ…これ程自然を堪能したのは久しぶりだ…」


●竜脈をたどって。
 竜脈。
 それは、大地を走る目に見えないエネルギーの線、いわば地球の血管だという。
 竜脈が伝うところ、土は肥沃にして鳥は舞い魚たちは歌う。
 見るものが見れば、自然の豊かさから一目でわかるのだとか。
 それを聞いた上でこうして山を歩けば、なるほどこの土地は実に豊かだ。
 多様な種類の花々が、瑞々しく赤々と燃えるように咲き誇っていた。
 花弁の一枚一枚、見えない根からすら強い生命力を感じるかのようである。
「おお……これほどまでに花が咲いているとは……!」
 そんな村を取り囲む山のひとつを、不染居・ユキはうきうきと散策していた。
 はじめは手がかりを得るために花々を追跡していたようなのだが、
 あまりにも見事に咲いていたせいか、珍しい花の品目を見つけたがためか、
 いまではすっかり写生に夢中になっている。
「ひっそりと人知れず咲く赤き花々たち……いいぞ、筆が進む!」
 男装の遺失絵師は目をキラキラと輝かせながら、夢中で筆を走らせていた。
 そんな彼女の隣で、知性を与えられたカラスがゲー、とたしなめるように鳴く。
 だがあいにく、ユキの耳には入らない。彼女にはこういう奇癖があったのだ。
 こと絵の話になると、時折目的を忘れて没頭してしまう……悪癖とも言うか。
「にしても本当に見事なものだ。ざっと見ただけでも数十の品目が自生している。
 それどころか、本来なら冬に芽を出す花まで……この土地特有のものなのだろうか」
 かと思えばユキは、目の前で揺れる山茶花を睨み、ううむと唸った。
 山岳地形には適さない花も多く、識者からすれば不気味にも映るだろう。
 だが、その不気味さを差し置いても、赤い花々の色合いは鮮やかなものだった。
 まるで燃える灯火のように。それは生命力の強さのかたちであり……。
「この地を守るために戦った、竜神たちの祈りの色なのかもしれないな……」
 ユキはふと郷愁にかられ、山茶花を墓碑代わりに手を合わせた。
 そして黙祷を捧げ終えれば、顔を見せるのは夢中になった絵師のそれである。
「ふふふ、それはそれとしてこの奇妙な風景、ぜひとも絵に収めておかねば!
 邪神ごときにこの地を台無しにされてたまるか。私の創作意欲が疼くぞ……!」
 呆れたようなカラスの鳴き声が、ゲー、と山間に響き渡る。
 日がとっぷり暮れるまでの間、ユキはしばし絵筆を走らせ続けた。
 彼女のスケッチが、邪神探索の意外な役に立ったことは、また別の話である。
成功 🔵🔵🔴

鷲生・嵯泉
龍脈の力を利用する事は術師として馴染みのある遣り方ではある
其れに封印方法が解れば、応用次第で何らかの援けに使えるやもしれん
其れを思えば……気は抜けんな

既に記録にも記憶にも残るものが少ないとあらば
其の辺りを調べるよりも別の方向からの方が良さそうか

恐らくは花の多さや赤に限られる理由も有るのだろうが……
今は其れよりも「育つ場所に拠る違い」を探す
育成分布図を調べているとでも云う事にして
より大きく育つ、或いは色鮮やかであったり、種を多く付ける等
目立つ違いが在る箇所を聴き調べ、地図へと印してゆく
其れ等の場所を繋げて行けば、力の流れの様なものが浮かぶはず
最終的に集中する場所こそが魔力の源泉へと繋がるだろう


●赤き灯火が導く道筋
「……やはりか」
 鷲生・嵯泉は、とある猟兵がスケッチした花の絵を手に、ひとりごちた。
 彼はいま、その花がスケッチされた現場にやってきている。
 絵を見た時点で半ば確信していたが、こうして実際に足を運べば一目瞭然だった。
 すなわち……赤い花の鮮やかさと、竜脈は完全に一致していたのだ。
 彼が目をつけた中でもっとも色濃い花々が咲くのがこのポイントであり、
 術師である嵯泉は、いちいち調べずとも力強い生命のエネルギーを感じた。
「しかしこの地脈、おそらく天然のものではないな……」
 嵯泉は呟きながら、斜面を上り山の頂上を目指す。
 人が踏み込むことは、もう数百年以上なかったのだろう。
 彼が歩むのはまさしく獣道であり、その荒廃ぶりが未踏を知らせていた。
 嵯泉のようなたくましい猟兵でなければ、遭難する危険さえある。
 だが彼は信じていた。おそらくこの山の頂上に、重要な何かが眠っている。
 老人たちの話によれば、村を囲む山々は竜神がその身を変じさせたものだという。
 なぜ彼らは、カクリヨファンタズムに渡るのではなくこの地に眠ったのか?
 邪神の力が強大すぎたゆえに、界渡りを成し遂げる余力すらもなかったのだろう。
 しかし、それだけには思えない。
 彼らは、この地に骨を埋めなければならない理由があったのではないか?
 この奇妙に「書き換えられた」竜脈は、その手がかりと言っていい……。

「……これは、墓碑か」
 やがてたどり着いた頂上部。
 たとえ航空機や衛星写真でも、木々に覆われた山頂の様子はわかるまい。
 現にこうして足を踏み入れてはじめて、その石碑を発見することが出来た。
 嵯泉からすれば、それは石碑というよりも墓石と呼ぶべきものだったが。
「…………」
 嵯泉は隻眼を鋭く細め、苔むした石碑の表面をなぞる。
 灰となりし野を癒やし、かのものを封じるため――我、ここに眠りたり。
「邪神の影響で大地が荒廃し、それを癒やすために竜神はその命を大地に宿らせた。
 そして残された力を振り絞って、地脈を書き換えて集束させたのか……」
 おそらく他の山々にも、同じような墓碑銘が刻まれているはず。
 であれば、この地脈が集束した場所にこそ、邪神は封じられているのだろう。
「……そこまでしなければいけない邪神とは、一体何者なのだ?」
 嵯泉のつぶやきに、答える声はない。
 もはや竜神はここに亡く、ただ風が吹き抜けるのみ――。
成功 🔵🔵🔴

朱酉・逢真
落ち着いて静かな場所だよゥ。そりゃあ信仰も忘れられるってもんさ。安定した生活が出来るンなら、ヒトは神様なんざ要り用とせん。使わねえ“道具"の末路としちゃ妥当さ。
閑話休題。取る手段はひとつ、地味ながらに大技だ。現状出来て84秒。余裕みて限りゃ更に減る。調べられるンはひとつが限界だ。なら探すのンは決まってる。
星と同化し60秒。いっとう近い龍脈を見つけよう。ヒトに視えねえ陰の部分は俺と相性がいい。忘れられてンならなおさらさ。全体の流れと、乱れた部分。そんだけ見届けて戻ろうか。ああ、《虫》や《鳥》を使って情報共有すっか。そっから絞って特定すンのは他のおヒトらに任せるさ。俺は《獣》と木陰で休憩するよぅ。


●けものどもが伝えること
 星そのものと同化する。
 いかに生命の祝福舎、慮外の存在たる猟兵とて、簡単になせることではない。
 強大な神の片鱗たる朱酉・逢真ですら、出来て一分といったところ。
 影響は小さくない。現に同化を解除した逢真は、がくりと膝を突いた。
「……ハァーッ……たく、こないだのサクラミラージュといい、堪えンなァ。
 俺はこういうフィールドワーカーじゃねえんだ、勘弁してほしいぜ。ひひ」
 荒く息を落ち着かせながら、逢真は誰に言うともなくひとりごちた。
 あの時は"白いの"のたっての頼みということで仕方がなかったとはいえ、
 今回は完全な独断だ。まったく、我ながら面倒見のいいものである。
 しかし、複数の竜神をして滅殺しきれない邪神など、もってのほか。
 復活してしまえば、このUDCアースの生死の輪廻は間違いなく乱れるであろう。
 同化してわかった。この土地は一見して肥沃で生命力に満ち溢れているが、
 それはいわば絶対安静を終え、命を繋いだ重症患者のそれだ。
 もとから健康だったがゆえに生命力が溢れているのではなく、
 "それほどまでに生命力を集中させねばこの土地は再生できなかった"のだ。
 そして完全に構築された竜脈のネットワークは、ずたずたに引き裂かれていた。
 この地域一帯を利用して作られた封印の要が、いくつも破壊されている。
「どこの誰がやりやがったのか、はたまた経年劣化ってやつか、ぞっとしねえなあ」
 逢真は難儀そうに息を吐くと、山頂に生い茂る巨大な樹の根元に腰掛けた。
 この樹も、おそらくは大地に身をやつした竜神の墓碑のようなものだ。
 彼らは世界を渡って生きながらえることすら出来ず――あるいはせずに、
 この大地に散った。それほどまでした封印が、いま、ほどけかかっている。
「落ち着いて静かな場所だよなあ……そりゃあ信仰も忘れられるってもんだぜ。
 なあ、気分はどうだい。ヒトは、お前さんらのことを忘れてのんきこいてるぜ」
 もはや応えることなき墓たる大樹に、逢真は語りかける。
「……ひひっ。無念なわきゃねえやな。道具(かみさま)はお役御免してこそだ。
 神が力を持ち続けてちゃ、ヒトは自立出来ねぇ。忘却は悪くねえ末路さ……」
 己という、けして歓ばれることも尊ばれることもない凶星がそうであるように。
 たとえ人々が誰も崇め称えずとも、逢真はそれを嘆くことはない。
 むしろ、それでいいのだ。生きるものはみな死を恐れ悲しまねばならない。
 そうでなくば、彼らは生を謳歌出来ず、そして滅びていくのだろう。
「だからよ、いまだにもがいてるてめぇの気持ちは、わからなくもねえんだぜ。
 俺がそうであるように、てめぇもしっかり"役目"を果たさねえと、なァ……?」
 ほどけかかった封印の最奥、たしかに感じた邪神の胎動。
 いまだ現世に目覚めんとする、おぞましき残骸の悪あがき。
 同化の先に感じた邪悪なる神を遠くに見据えて、逢真は皮肉げに嗤った。
 邪神の役目――それは、当然のように討たれ、滅びることのみ。
 滅びるために在れとされたものをすら、逢真は慈しみ、そして愛していた。
成功 🔵🔵🔴

冴木・蜜
魔除けに赤い花、ですか
墓地に彼岸花を植えて
モグラ除けとするような感覚でしょうか

しかし赤い花ばかりが咲いている風景も
奇妙なものですね
とても美しいですけれど

…少し眺めていたい気がしますが
仕事と致しましょう
この風景を護る為にも

私は石碑を探して回りましょう

そうですね
私は人里から離れた山の方を探します
どうも伝承には花が不可欠に感じられます
花を辿ってみましょう

体内毒を弱毒化させた上で指先を『剥離』
この赤い花の咲く風景から見て
違和感を覚えるような場所を
手分けして辿らせます

赤くない花が咲いているだとか
花が咲いていない場所だとか
些細な違和感も逃さぬよう

其処を中心に伝承を記した石碑があれば
よく調べておきましょう


●赤き灯火、蒼き死
 ひときわ高くそびえる山の頂上。
 そこは、肥沃な土地とは対照的にひどく寂れた風景だった。
 この山そのものが、太古に力尽きて大地に還った竜神そのものであるならば、
 物寂しく木々すら生えていない風景は、何を意味するのだろうか。
「……己の証を遺せぬほどに、力を使い果たしたのでしょうか」
 山一帯に咲き誇る赤い花々は、大いなる竜神への葬送の灯火に思えた。
 だが冴木・蜜の視線を奪ったのは、生い茂る赤き花々の輝きよりも、むしろ。
「あれが、例の"騎野西谷"ですね……」
 曰く、この土地では「青い花」だけが決して根付かないのだという。
 自生はもちろん、苗木を持ち込んでも土に植えれば必ず枯れてしまう。
 しかしその青い花々が、唯一咲き誇る場所がある。それが、騎野西谷。
 ……山頂から見下ろす谷の全景は、あまりにも不気味なものだった。
 点々と続く赤い鮮烈とは完全に逆の、青い花々が一面に咲き誇る深い谷。
 おそらくこの山から、谷までは相当の距離があるはずだ。
 それでも一目見てわかるほどに、谷は青い花々に覆われていたのである。
 狂い咲き。そんな言葉が似合うほどに、びっしりと。
 それはまるで、青い花々が谷から這い出そうとしているようにも見えた。
「他の方々が調べたことによれば、「神に封じられた魔物」とやらは、
 青い火を以てこの土地そのものを焼き尽くし、そして封印されたそうですが……」
 この土地の赤い花々が生命力の化身、神々への祈りと鎮魂を意味するなら、
 あの異常なまでに繁茂する青い花々は、封印から逃れようとする邪神の爪痕か。
 であれば、竜神たちの封印は、はじめから綻びを生んでいたということか……?
「……そうは思えませんね」
 蜜は思った。
 これほどまでに長く、赤い花を植える伝承だけが生き残ってきたのならば。
 おそらく封印はほとんど完璧で、忘却の中で守られ続けていたのだろう。
 その封印がなぜか、突然に解け、そしてあの青が大地を侵食しつつある。
 なぜ? 誰がそうした? オブリビオンがそうしたか? あるいは……。
 真実はいまだわからない。しかし、たしかなことがひとつある。
 あの青は、死の色だ。何者も存在を許さず、生存を許さない滅びの色。
 同じ殺風景でも、この山頂の風景とあの谷の景色はまったく違う……。
「……? これはもしや、石碑の欠片でしょうか」
 そこで蜜は、足元に転がる石が碑の欠片であることに気付いた。
 自然にはありえぬ破壊。蜜は、邪悪なものの意志を感じ、眉根を寄せた……。
成功 🔵🔵🔴

レムリア・ザラタン
ほう…ほうほう
これが田舎というものか
豊かな自然にのどかな風景…文献やイメージ映像でしか見た事のない光景が、眼前に広がっている…
…いや、感動している場合ではないな
邪神とやらが完全に復活すれば、この自然も失われてしまうかもしれん
全力を以って事にあたるとしよう

封印に引き寄せられたオブリビオンがいるかもしれないなら、
村の者も異変に気付いているかもしれんな
最近変わった事が起きていないか伺ってみよう
例えば…動物達の気が立っていたりしないか
草木の生育が普段と異なっている場所があったりしないか

先んじて電脳空間内の本体に接続して仕掛けておいたサルベージチェーンでの情報収集結果とも合わせて、竜脈の位置特定を急ごう


●平凡な田舎景色の裏で
 レムリア・ザラタンにとって、田舎町というのはいわばひとつのフィクションだ。
 豊かな自然にのどかな風景、そしてそこに住む牧歌的な人々。
 冷たく音すら伝わらない宇宙には、そんな景色は存在しない。
 文献や記録映像のなかでだけ垣間見てきた空想の景色が、目の前にあった。
「ほう……ほうほう。これは、なるほど……と、いかんいかん」
 思わず感慨めいたものに打たれていたレムリアだが、首を振って我に返る。
 この景色は、たしかに感慨深い。まさに人々の営みがここにあるのだ。
 しかし、この事態を放っておけば、邪神はすべてを灼き尽くしてしまうだろう。
 そう、先ごろに守り抜いた、あのアポカリプスヘルの荒野のように。
「……この自然溢れる土地が、あんな殺風景に変わるのは喜ばしくないな」
 生命の存在を許さぬ忌まわしきオブリビオンストームの脅威を思い出し、
 レムリアは顔を顰めた。邪神が復活すれば、おそらくそれが繰り返されるのだ。
 なにせ敵は、かつての力ある竜神をして滅ぼしきれなかった存在である。
 グリモア猟兵の予知がたしかならば、封印されている今こそが好機。
 もしもすべての力を取り戻してしまったら、今の自分たちでは勝てるかどうか。
「待てよ? それほどの力を持った存在ならば、もう異変を起こしているのではないか?」
 レムリアはふとひとつの仮説に思い至り、調査に赴くことにした。
 多くの猟兵たちは、村の伝承や遺跡、あるいは土地そのものを調査している。
 だがレムリアは、「今何が起きているか」にピントを絞って調べたのである。
 その結果……彼女が最初に、「それ」に気付くことが出来た。

 所変わって、とある老人の家にて。
「子供が、姿を消している?」
 レムリアは、眉間に皺寄せて言葉を繰り返した。
 神妙な面持ちの老人は、湯呑をテーブルに置くと重々しく頷いた。
「そうなんじゃ。もともとこの阿蘇女村には、あまり子供はおらんのじゃが……。
 自然が多いというので、近くの村から山に遊びに来る子も多くてのう」
「それが、最近はまったく姿を見せていないと」
「うむ……まあ最近の子供は、外で遊ぶような子もめっきり減ったというしの。
 ほとんどの者はそんなふうに考えておるようじゃが、ワシはどうも胸が騒ぐ」
 そしてその話を聞いたレムリアも、嫌な予感に心がざわめいていた。
 邪神が復活しつつある土地で、それまで元気に野山を駆けていた子供が姿を消した。
 田舎街は一種の監視社会だ。異変があればすぐネットワークで伝わるもの。
 子供がただ、野山で遊ぶことに飽きて遊び場を変えたというのならば結構なこと。
 だがもしも、「地元の人々ですら異変に気付いていない」のだとしたら?
「……ありがとうございます、とても参考になりました」
 レムリアは礼儀正しくお辞儀をすると、老人の家をあとにした。
 焦燥感は募る。これは、無視してはいけない第六感だと彼女は思った。
「……最悪の事態になっていなければいいのだがな」
 祈りめいた彼女の呟きは、現実によって裏切られることになる。
 このときの彼女はまだ、それを知らなかった。
成功 🔵🔵🔴

鳴宮・匡
この世界のいたるところで邪神が復活してるかもしれない、なんて
ぞっとしない話だな

村一帯に幾つか【無貌の輩】を散らして
他の猟兵たちに随行させ、村での情報取集を盗聴
って言うと聞こえが悪いけど、役割分担ってことで許してもらおう

残った【無貌の輩】を周囲一帯に散らすよ
話じゃ、青い花の咲く一帯があるって言うし
近付かないように言われてるなら、確実に何かあるだろう
まずはその辺りを見つけにいこうか
それ以外にも、土地自体に何か異変がないかを探る
封印が解けているってことなら何かが起こっててもおかしくはない

ある程度場所のあたりがついたら【無貌の輩】は回収
戦う準備がいるかもしれないからな
万全の状態で向かうべきだろう


●影の陰
「…………」
 鳴宮・匡はしゃがみこみ、草むらに転がっていたものを拾い上げた。
 子供用の靴である。年齢はおそらく、小学生低学年ぐらいのものだろうか。
 それが一足だけ、まるで放り捨てたかのように乱雑に転がっていた。
「間違いないな」
 匡は、"影"たちがリアルタイムに伝えてくる情報を精査し、確信した。
 彼はいま、問題の土地……青い花が咲き誇るという騎野西谷を目指していた。
 しかしその途中で、「この地域では子供の姿が見られなくなっている」という別の猟兵が得た情報に当たりをつけ、周囲を探索していたのだ。
 そして、この脱ぎ捨てられた……いや、放置された子供用の靴を見つけた。

 "これで三足目である。"

 綻びつつある封印。
 邪神の瘴気が漏れ出てはびこる青い花。
 破壊された山の石碑。
 引き裂かれた竜脈の結節点。
 そして、この放置されたいくつもの"遺留品"。
「邪神がそうしたのか? 俺には、どうもそう思えないな……」
 匡は口元に手を当て、しばし考え込んだ。
 おそらく地元の人々は、なんらかの超自然的な影響力で気付いていない。
 だが間違いない。この土地ではいま、"子供が相次いで行方不明になっている"。
 ただの誘拐や神隠しではない。この裏には、邪神とその眷属が関わっている。
 そして"子供を標的にしたUDC"について、匡はひとつ心当たりがあった。
「……多分、あいつらも来てるだろ。合流して情報を共有しておきたいな」
 匡は一度"影"たちを回収し、目的である猟兵を探すために再び解き放った。
 "あれら"がこの事件に関わっているならば、彼とその相棒が居ないはずはない。
 グリモア猟兵はその存在を予知しなかった――否、出来なかったというべきか。
 それがかえって、封印された邪神の強大さを裏付けているように思える。
「ぞっとしない話だな。この世界が、知らない間に侵略されてるってのは」
 あいにく匡は、その事実に義憤を燃やしたり、怒りを抱くことは出来ない。
 けれども拳は自然と握りしめられていて、返した踵は力強く大地を踏みしめた。
 見逃してはならない。
 許してはならない。
 おそらく迅速に行動すれば間に合うはずだ。
 "あれ"は――"あのUDC"には、猶予がある。いくらかの時間的猶予が。
「……もう、そういうのはうんざりなんだよ」
 あの白き怪物を相手にしたときも、その前も、子供たちを撃ったときも。
 いつだって自分は、他人事のように俯瞰して、ただ遠くから見つめていた。
 今はどうだろうか。何もかもが激変したわけではない。だが。
 それを止めたいと思う心が、たしかにある。
 そうであるはずだと信じたい己の想いも、この胸の中に。必ず、宿っていた。
成功 🔵🔵🔴

フィルマリナ・ガラクシア
UDCアースに来たのは初めてなのだわ。これで片田舎ってマジ?この世界の都会にはもっと興味深い物が……っとと、そうじゃないのよね今回は。

【SPD】龍脈ってのはよく分からないけど、要は船乗りの吉兆とか凶兆と同じ理屈じゃない?
それならば、夜に村の北と北東、夜明け前に東に歩を向けるわ。
どうして夜なのかって?夜なら星がよく見えるでしょう。
北は柄杓、北東は悪いって言われてる方角、東は真夏ならば古い狩人の星が見えるもの。
人も少ない田舎町ですもの、夜中にウロウロしてても咎める人はいないのだでしょうし。
星の導きを信じて深夜徘徊に勤しむのだわ!


●夜明け前のひととき
 一説によると、夜の街から見上げる星空は本来の半分も見えていないのだという。
 文明の進歩によって、人々は夜を恐れなくともよくなった。
 電気の灯りが、闇という絶対恐怖を世界から引き裂き奪い取ったのだから。
 その代価として、人々は「完全な夜空」を見上げることは出来なくなった。
 夜を照らす街の輝きが、そこに瞬いているはずの星の輝きを消してしまうからだ。
 人はもう空を見上げない。そこにある星を忘れてしまった。
 さながら、この土地を守り抜いた竜神たちがそうであるように。

「……この世界って、ホントに明るいのね」
 自然多き世界で育ってきたフィルマリナ・ガラクシアにとっては、
 この自然豊かな田舎街ですら、「文明的な住まい」であることに変わりない。
 彼女はUDCアースの空を見上げ、故郷たる海の空との違いに唖然とした。
 そこにあるべき星は、か細く輝く文明の灯火によって光に飲まれてしまっている。
「かろうじて北極星と、狩人の星は見えるのね。よかったわ」
 フィルマリナは、目当てにしていた星星の輝きがそこにあることに安堵した。
 あるいは、この世界もまた己が知るものと繋がっていることを喜んだのか。
 船乗りは星を頼りに海を進む。星は、道標であり、命綱だ。
 たとえ海なき大地に立っていても、持って生まれた性分は消えないもの。
 文明の灯火は心強かったが、空を見上げるとなぜだか寂しさが増していく。
 生粋の海賊に、どうやら陸(おか)の生活はなじまないものらしい。

 彼女が思っていたとおり、深夜に出歩く少女を見咎める老人はいなかった。
 多くの家は明かりを消し、もうすでに眠りについているようだ。
 そして星の導きにしたがって歩みだせば、赤い花々がそれを出迎える。
 導きと花々の鮮烈さは一致している。おそらくこれが竜脈のしるべだろう。
 生命力が溢れる地脈に沿うほど、花々は狂おしく赤く咲いているのだ。
 やがて道は村の中心を離れ、山間の深くへ。その先には……。
「……なにあれ。まるで海みたいなのだわ」
 騎野西谷。この土地で唯一、青い花々が蔓延る場所。
 その不気味な青を見た瞬間、フィルマリナはぞわっと背筋が震えた。
 あそこは、"よくないもの"だ。"よくないもの"が、眠っている。
「……おっかないわね、邪神って。斬って殺せるようなもんなのかしら」
 はじめての世界、はじめて相対する神格。
 遠く、封印を隔てていても感じられるその怖気に、フィルマリナはひとりごちた。
 風がそよぐ。涼風の中には、不穏な臭いがかすかに感じられる。
 まるでそれは、近づく苛烈なる戦いをフィルマリナに警告しているように思えた。
成功 🔵🔵🔴

甘甘・ききん
道程から楽しむかと、やや邪な気持ちで少し手前から向かったわたしは、結局ぼんやりと時刻表を眺めて時間を潰す。逃したバスは数時間前、次のバスは数時間後。宙に浮いた様な気持ちで待合所の退屈を持て余す

わたし以外、バスに乗客は居るだろうか。情報収集がてら、声をかけてみようか

イエエエ雰囲気作り終了!わたし最高に登場人物してる!事件事件!事件まだ!?めっちゃ楽しみなんですけどー!Foo!あっ地元のおじいちゃん!おにぎり美味しそうですね!一つ頂いていいですか?中身は中身はなんじゃろな

お礼は必殺ユーベル聖者ビーム!集まれご老人!痛いとこ治すよ。ところで童歌とか伝承とかお花の根本の死体とかそういうのってないです?


●山間の寂れた村とか定番のシチュエーションだよね
 じーわ、じーわ、じーわ。
 夏真っ盛りの七月下旬、外では蝉の鳴き声がひっきりなしに聞こえてくる。
 甘甘・ききんはシャツの襟元に指をひっかけ、ぱたぱたと風を取り入れた。
「はあー、あっつぅ……」
 地形のおかげで風は涼しいが、直接日が差せばやはり夏の暑さがやってくる。
 どこかにコンビニでもあればいいのに、とききんは思い、すぐに考えを改めた。
 こんなに時刻表がスカスカの場所に、コンビニなどあるわけがない。
 次のバスはざっと一時間後。つまり、ここでぼんやりしているしかないのだ。
「それにしても平和だなあ……事件なんてこれっぽっちも起きなさそう」
 ききんは一面田んぼばかりの風景を見渡して、ふうとため息をついた。
 だが彼女は、それがとんでもない思い違いであったことを知ることになる……。

 …………。
「だが彼女は、それがとんでもない思い違いであったことを知ることになる……っと」
 あの、ききんさん? もしかして今の全部ナレーションだったんですか?
「イエエエ!! 雰囲気作り完了!! わたし、わたし最高に登場人物してる!!
 何の変哲もない田舎街、暑い夏の日、そして都会から来た可憐な少女!(要研究)
 これはもう事件が起きるしかない! 事件! 事件まだ!? FOOOOOOO!!」
 さっきまでの映像は、ききんの脳内主観イメージであった。
 実際のききんは、もうご覧の通りアゲアゲで騒ぎまくっている。ひとりで。
 いやまあたしかにね! シチュエーション的にはそれっぽいけどもね!!
「なんじゃあお嬢ちゃん、元気じゃのお」
「あっ地元のおじいちゃん! こんにちは!!」
「ふぉふぉふぉ。ええ挨拶じゃ、おにぎり食べるかい」
「食べるうううう!!!!!!」
 ききんに「知らない人から物をもらうな」という常識は存在しなかった。
 入れ歯がずれてフガフガ言ってるおじいちゃんのおにぎりを即受け取る。
 わくわくしながら中身を割ってみた。……梅干し!!!
「やったーーーーー梅干しだーーーーーー!!」
「ふがふが(入れ歯が外れかけた)」
「お礼に必殺ユーベル聖者ビーーーーーーーーーーーム!!」
「フガガガガガーッ!?」
 腰が90度にひん曲がっていたおじいちゃんが、ぴしっと背筋がまっすぐに!
「おお、こんなことが……! 事件じゃ、事件じゃあ!」
「あっところでおじいちゃん、なんかわらべうたとか伝承とか死体とか」
「事件じゃあああ!! ばーーーさーーーーーん!!(ダバダバダバ)」
「おじいちゃんはえー!? あの、事件! 首なし死体とかそういうのー!!」
 すっ飛んでいくおじいちゃん、握り飯食いながら追いかけるききん。
 じわじわうるせえセミ。夏の陽射し。逃げるジジイ、追うききん。
 ……うん、これ事件とかもうどうでもよくなってねえ!?
成功 🔵🔵🔴

狭筵・桜人
【WIZ】

第一村人発見!とかやりたいところですけど
昔話を聞きたいので村で一番のご高齢を訪ねてみます。

ここは赤い花の話を聞いてやってきた観光客を装うのが自然でしょうか。
実際SNS映えしそうですしね。あとで写真撮っとこう。

ああ、花の話はいいんです。他の猟兵も調べているでしょうし。
私は阿蘇女村の名前の由来を尋ねてみますね。
お年寄りはお喋りな人か寡黙な人かに大きく二分されがちです。
よく喋ってくれる人であることを祈りつつ
こちらからも色々聞き出して【情報収集】を。得られた情報は猟兵と共有します。

ついでにお茶とかお菓子とか出してくれる人だといいなあ。
私ってお年寄りウケいいんですよねえ。この通りかわいいので。


●阿蘇女の名の由来
「いやあ、わざわざありがとうございます。お茶までごちそうになっちゃって」
 とある老人の家。
 にこにこと人当たりのいい笑顔を浮かべ、お菓子をぱくつく狭筵・桜人。
 本人が「私はかわいい」と真顔で豪語するだけあって、うわべの評判はよい。
 実際このひねくれ者の腹の底は、相当に腹黒いのだが……まあ、さておき。
「いやいや、いいんじゃよ。で、たしか村の名前の由来、じゃったかの?」
「そうです。軽く調べてみましたけど、特に土地とも関係なさそうですし」
 桜人は花を目当てにやってきた観光客のふりをして、老人の信頼を得た。
 もともと外の人間には警戒を抱かない人々だ、話はスムーズに進んだ。
 いわゆる田舎街というと、どうしても閉塞した社会が思いつくものだが……。
(それだけ人の出入りが激しいってことですかね。花は実際キレイですし)
 村のあちこちで見かけた赤い花々を思い出し、桜人は心のなかでひとりごちた。
「実はのう、もともとこの村は「阿蘇女」という名前ではなかったんじゃよ」
 一方の老人は、緑茶をずずず、とすすると語り始めた。
「じゃあ、ほれ、あちこちに石碑があったろう? あれはもう調べたかの?」
「あー……いえ、まったく。何か伝説でもあるんですか?」
 嘘だ。桜人も、他の猟兵たちによる情報共有は受け取っている。
 しかし「花を目当てにした一般客」は、わざわざそんな学者めいたことをすまい。
「あれは、大昔にこの村を興してくだすった竜神さまのものなんじゃが……。
 とにかくその竜神さまは、悪い魔物を「赤い炎」でやっつけたと言われておる」
「ほう、なるほど」
「龍神さまはお山に変わって眠りについてしもうたが、人々は生き残った。
 そこでご先祖様は、村を護ってくだすった竜神さまがたに、祈りを捧げたんじゃ」
「……ふむ。つまりそれが、灯火代わりのあの花々と」
 老人はうなずく。
「空から見ると、この村はまるで赤く染め上げられたように見えるんじゃよ。
 だから「赤染村」と呼ばれるようになった。それがいつしかなまった結果……」
「"あかぞめ"が、"あそめ"ですか。ふうん、面白いですね」
 桜人はにこにこと笑いながら、それとなく雑談で話を濁した。
 ……おそらく、老人が語った言い伝えはおとぎ話のたぐいではない。
 封じられた邪神は、青い火によって大地を灼き尽くしたというのだから。
(この地を染めたのは、本当に神様の炎だけなんでしょうかねえ)
 もしかしたらこの地を染めた「赤」とは、太古の人々の血なのかもしれない。
 だとすればぞっとしない話だ。今の村人たちにその気はなかろうが。
 ……それだけ邪神が強大で、戦いが激化したということでもあるのだから。
「お菓子、ごちそうさまでした。ありがとうございます」
 桜人はにこりと笑顔でそつなく礼を言うと、老人の家をあとにした。
 家を出れば、大地を染め上げるような赤い花々が、涼風に揺られていた。
成功 🔵🔵🔴

ヒルデガルト・アオスライセン
邪神の捜索ですか…
人には向き不向きがあると思うんですけど

装甲を脱いで
青ワンピースと白帽子で

全く目星が付きませんが
経験上
信仰は知らず知らずのうちに人々の生活に何気なく入り込んでいるものではないでしょうか?
他では見られない珍しい風習が残っているかもしれません

…まあなくても
どこかでご飯をご馳走になります。最近、余暇がなかったもので

もしかしてお食事にも赤を用いていらっしゃるんですか?
うちでは専ら酒と肉でしたけど、この地ではご神仏にどんなお供え物をしていたんですか?是非食べてみたいなぁ
もし何かあるようなら、包んで持ち帰ります

違和感があれば空から偵察
破魔で不浄察知したら追跡

ベースに情報伝達、後続へ託します


●破魔の祈り、不浄の気配
 ざあざあと、花々を揺らす涼し気な風が吹き抜けていく。
 ヒルデガルト・アオスライセンは、白い帽子を抑えて空を見上げた。
 雲ひとつない晴れ空。アポカリプスヘルのそれとよく似ている。
 けれども違うのは、この地には生(き)のエネルギーが満ちていることだ。
(目に見えない力がもたらす感覚は、どの世界でも変わらないのね)
 心のなかでひとりごち、ワンピースの裾を風になびかせながら歩き出す。
 気を引き締めたヒルデガルトが、向かった先は……。

「はい、唐揚げ定食お待ち。たんとお食べ」
「……いただきます」
 定食屋であった。
 村の規模と人の入り的に、この地域に店はほとんど存在しない。
 村唯一と言っていい定食屋で、腹ごしらえをしたかったようだ。
 そして出てきたのは、握り拳ほどもあるどでかい唐揚げの山である。
「外から若い子が来るなんて珍しいからねえ。サービスしておいたよ」
「ありがとうございます」
 ヒルデガルトはぺこりとお辞儀しつつ、もっもっと忙しなく食べ始めた。
 なんやかや、戦いだなんだと余暇がなくなりがちなのが猟兵というもの。
 こんな平和な田舎の片隅で、思うまま食事をつつくのは珍しい経験である。
 なにより、美味い。土地が肥沃なだけに家畜も新鮮なのだろう。
 腹が減っていたこともあってか、食事はぺろりと平らげてしまった。
「まあ、キレイに食べきったもんだねえ。美味しかったかい?」
「ええ、とても。あの、ところでひとつお伺いしたいのですが」
 口元を上品に拭いつつ、ヒルデガルトは言った。
「私、異国から旅行に来たもので、この国の文化にとても興味があるんです。
 この地では、ご神仏にどんなお供え物をするのでしょうか? ぜひ……」
「おや、学生さんかなにかかい? 調べ物でもしてるのかね」
「……いえ。ぜひ、食べてみたいなあ、と」
 定食屋のおかみはきょとんとしたあと、からからと笑い出した。
「あっはっは! いいねいいね、若いうちはどんどん食べて育つのが一番さね。
 といってもまあ、珍しい食べ物を扱っているわけじゃないが、そうだねえ」
 言って、おかみは、店内に生けられた赤い花の花瓶を見た。
「強いて言うなら、あの花が神様へのお供え物ってとこかね。
 ……ちなみに、食べられる品目もあるよ? お茶にしたりとか」
「なるほど……よければいただけますか? 食後にちょうどよさそうです」
 にこりとほほえみ、ヒルデガルトは言った。
 その一方で彼女は、遠く谷の方角からかすかに不浄の気配を感じている。
(これは戦いの前の腹ごしらえ。だから問題なし。カロリーも全部燃えるわ)
 心のなかでは、そんな言い訳……もとい独り言を述べていたとか。
成功 🔵🔵🔴

零井戸・寂
★レグルス

……あまり良くない予感がしたんだ。手伝ってくれるかい、相棒。

――ありがと。

……村の人に聞き込みをしてみようか。「赤い花だけ咲く村があると聞いてきた」……建前を使うならそんな所かな。丁度夏休みの時期、自由研究なんて最もらしい。
嘘は良く良く嗜んでる、上手く色んな人から話を聞いてみよう。(コミュ力×情報収集)

あとは「NAVI」、"追跡者"として村の中をこっそり探索してきてくれ。君じゃないと探せなさそうな狭い所や、怪しげな所を中心に。

……あと村の中でもし「子供」がいたら聞いてみよう。妙なもの――獣か、「怪物」をみていないか。変な噂は流れてないか。

自分の調査が終わったら、ロクと合流しよう。


ロク・ザイオン
★レグルス

(赤い灯火に、包まれたような村だ
……豊かだけれど、何処か、違う)

もちろん。
おれは、キミの、相棒だよ。

(村での聞き込みや調査はジャックに任せた
しゃむを通じて連絡を取りながら
此方は青い花が咲く、という谷を探ろう
ひとがまだ伝えているということは、ひとが立ち入ったことがあるということだ
痕跡が朽ちていても【追跡、野生の勘】で、何かわからないだろうか)

(ひとが踏み入ることを禁じた、青い花のゆるされた土と
ひとが赤い花で守る、青い花を拒む土と)
……病んでいるのだとしたら。
どちらの、土なんだろう。


●消えた子ら
 "あまり、よくない予感がしたんだ。"
 相棒……零井戸・寂の言葉を、ロク・ザイオンは回想していた。
 グリモア猟兵としての予知ではない。ごく普通の、虫の知らせというやつだ。
 得てしてそういうものは、最悪の形で当たるものだということを彼女は知る。
 現に、匡がもたらした情報は彼の予感が正しかったことを知らせていた。
「…………ジャガーノート」
 灼けた鉄をこそぐような声は、怒りと苦渋に満ちていた。
 かがんだ彼女の手には、新たに発見した子供用の靴が片方だけ。
 放り捨てられたように草むらに転がっていたそれは、匡の情報を裏付ける。
 "いる"のだ。小さきものらを怪物に変える、忌まわしきものらが。
 だが、この地に封じられたのは太古の邪神。ジャガーノートではあるまい。
 だとすれば、"あれら"は邪神の瘴気に引き寄せられ、偶然に集まったのか?
 そして山や奥地に入った子供らを取り込み、邪神のもとへと……。
「……ジャック。このまま、おれは谷に入ってみようと、思う」
 "しゃむ"を通じて言葉を伝えれば、やや間をおいてから相棒の声が返ってくる。
《了解。こっちも一通り村を回ってみたけど、やっぱりだったよ》
 寂の声は苦みばしっていた。
 彼はロクと別行動を取り、そこらの学生のふりをして聞き込みをしていたのだ。
 主な目当ては、村の伝承よりも「子供がいるかどうか」。
 すでに調査を進めていた匡から、「子供が姿を消している」ことを聞いた彼は、
 村の子供たちはどうなのかと考え、重点的に捜索していたのである。

 もともと阿蘇女村には、小さな子供はほとんどいない。
 この手の村にはありがちな若者の流出と少子化の結果である。
 しかし、それを差し置いても、「ひとりもいない」ことは異常であった。
 加えて村の人々ですら、子供が姿を消している異常事態に気付いていなかったのだ。
 "ジャガーノート"の能力とは思えない。これは邪神の差し金だろう。
 解けつつある封印から漏れ出した瘴気が、認識妨害を引き起こしているのだ。
《僕もすぐに向かうよ。けど、もしかしたら戦闘中に合流することになるかも》
「……わかった」
 ロクは通信を終え、立ち上がった。
 彼女はいま、騎野西谷の入り口までやってきている。
 あちこちに繁茂する青い花々。それらは異常なまでに伸長していた。
 絡み合う蔦は、まるで蜘蛛の巣を思わせるかのようである。
 村のあちこちに咲いている赤い花々が、灯火の代わりを為しているのだとすれば、
 目の前でざわざわと蔓延る青い花々は、血の失せた人の顔に似ていた。
 あるいは、何もかもを灼き尽くしたあとに遺る、草すらも生えぬ地のような。
 青ざめた花弁は、どうしようもなく不気味で、そして忌まわしい。
 そしてロクは、その向こうから"いやな臭い"を感じていた。
 小さな子らのにおい。
 忌まわしい鉄のにおい。
 ……何も産まず、ただ灰のみを熾す、魔の焔のにおい。
「こんな病んだ花は、ひとの地には、必要ない」
 ロクは烙印の刃を振るい、ざわざわと蔓延る青い花々を灼き尽くした。
 だが灼いても裂いても、ぞっとするほどの量の青い花々が谷を覆っている。
 明らかな異常。これは森ではなく、そう、喩えるならば――"巣穴"だ。
「……先に行ってる、相棒。この病は、放っておけない」
 そう言ってロクは、騎野西谷の奥地へと足を踏み入れた。
 "怪物"どもの眼差しが、遠く闇の中から彼女のたてがみを睨みつけていた……。

 そして、阿蘇女村近郊。
「おかえり、NAVI。……やっぱり邪神が封印されてるのは、あの谷か」
 戻ってきた"追跡者"のもたらしたデータは、"異常なし"。
 この赤い花が生えている地域は、まだ瘴気の影響が薄いようだ。
 力強い竜脈のなせるわざか、あるいはこの祈りの花々の魔除けの力なのか。
 いずれにしても相棒を追わねばなるまい。おそらく、戦いは近い。
 少年は己の心臓のあたりを抑え、少しだけ目を閉じ、そして駆け出した。
 怪物どもを滅殺せしめる。その決意を胸に抱いて。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

黒雨・リュカ
アドリブ◎
信仰が失われた同胞は
カクリヨへと辿り着いたのか
それとも――

赤い花の花弁を撫でる
こうも数が多いとまるで血の海か火の海のようだな
そう考えるとコレは何かの代わり…やがて至る綻びから何かを守る為の代償か
はたまた忘れるなという警告か
いずれにせよ…コレを竜神が植えるように示したのであれば
己がいなくなった後も残るようにという事か?
――嗚呼、どれだけ人が好きなんだ
自嘲気味に呟いて

もし本当に人が好きなのであれば
人の口に残る形でも残っているんじゃないか?
そう、例えば村の名前だとか
そう言う解りやすい形で
由来を知っていそうな老人に話でも聞いてみるか

もし火が
火山が由来なら
火口があった、ありそうな辺りが怪しいか


●山の頂にて
 調べによれば、村の伝承では龍神たちは「山に変じて眠りについた」という。
 村を囲む山々は、いのちを使い果たした竜神たちの成れの果てなのだと。
 そしてその山のひとつ、低い頂にたどり着いた黒雨・リュカはため息をついた。
「……そうか。同胞たちよ、お前たちはここに骨を埋めたのだな」
 同じ竜神であるリュカだからこそ、言葉ではなく感覚によって理解できる。
 伝承は、真実だ。この山は、カクリヨにすら辿り着けなかった仲間の亡骸。
 人々の営みを守り抜き、再生させ、竜脈の一部へと還元された神の玉体である。
「……お前たちは、どうしてそこまでしてこの地を守ろうとしたんだ?
 神とて、死ねば滅びる。いっそ、力を失ってあの地へ辿り着いたほうが……」
 地面を指でなでながら、リュカはひとりごちた。
 頂からは、村の風景が一望できる。
 それはまるで、赤い灯火で染め上げられているかのようだった。
 老人たちは言う。これは、名前さえ忘れてしまった神への供えなのだと。
 魔除けであり、祈りであり、全てを忘れてしまわないようにするおまじないだと。
 たとえ信仰が絶え、神の威光さえ忘れ去られてしまったとしても、
 "この地は守られていた"ということだけは、人々は忘れてはいない。
 ……忘却は人にとっての救いだ。世界はそうしなければ前に進めぬ。
 ならばこそ、忘れてしまったことを誰が責められようか。
 いやむしろ、それこそが同胞たちののぞみだったのではないか。
「この地に銘も遺さず、ただ人々を生かすために骨を埋め、見守り続け……。
 ――嗚呼、お前たちはどれだけ人が好きなんだ。どれだけ彼らを愛するのだ」
 その言葉は自嘲めいていた。同胞たちの尻拭いに来た己も、同じようなものだ。
 彼らは滅びた。いのちを賭して邪悪なるものを封じ込めようとした。
 しかしその軛がいま、断たれようとしている。
 村と同様に、頂からはよく見える。青い花が咲き誇る場所、騎野西谷。
 そこだけが竜脈からぷっつりと切り離され、邪悪な瘴気を漏らしていた。
 あの青は、いわば神々が残した赤き灯火、生命の活力に抗い燃やす邪悪の火。
 許してはならぬもの。大地を、神すらも滅ぼしせしめる必滅の呪印のかたち。
「任せておけ。俺様が、お前たちのしそびれた仕事を終わらせてやる」
 リュカは言って、山を降りるために歩みだした。
 風が吹く。それは、もはや亡き竜神たちの、同胞への祈りの声か。
 邪悪なるものの瘴気は、招き入れるかのように強まり続けていた。
成功 🔵🔵🔴

アンコ・パッフェルベル
山茶花、ツバキ科の花を見ると、私が少しだけ薫陶した子を思い浮かべてしまうです…おっと、お仕事、お仕事。

UDCEには何度も来てますしこういうのは得意です。
世界知識ってやつですね。
廃道化した道に何かあるかもです、私はそちらを当たってみるです。
地道に聞き込みしたり、昔の地図を取り扱ってる場所を訪ねたり。

赤い花の群生地も探れるなら探ってみましょーか。
かもん、あいぼー。…草野姫さん…いや忙しいでしょうから、別側面。
野椎神さんをお呼び出しして何か感じられないか聞いてみるです。

白狼には一応道中の護衛をして貰うです。
もしかしたら村の方々に可愛がって貰えるかもですね?

まあ、他の猟兵さんも居るですしのんびりです。


●蒼き花の導く先
「……赤い花の群生地を離れたと思ったら、今度は青い花畑とは、なるほど」
 アンコ・パッフェルベルは、一面に繁茂する青を見てため息をついた。
 猟兵たちが調査した結果、この「騎野西谷」が邪神の封印地として浮上した。
 アンコは赤い花の群生地をたどっているうちに、やがてここへ辿り着いた。
 谷に近づくにつれ、赤い花々は嘘のように失せて、代わりに現れたのはこれだ。
 ぞっとするほど不気味な、鮮烈なまでに青い花々の群れである。
「野椎神さん、どう思います? これ、やっぱり"よくないもの"ですよねえ」
『……死と腐敗、呪いと滅び。そういう力を感じます』
 言葉に応えたのは、ユーベルコードによって招来された神の化身(アヴァター)。
 光に包まれし萱の姫の美しき相貌は、渋面に満ちていた。
『悪しき気が漏れ出し、大地を侵した結果がこれでしょうね……。
 あの赤い花々からは、旧き神々の精髄を、かすかにですが感じました』
「なるほど。花弁の赤は神の血でもある、っていうことでしょうかね」 
 アンコは神の化身に慇懃に一礼し、眼鏡の位置を直した。
 もっとのんびりと田舎の時間を楽しむつもりであったアンコだが、
 どうやら事態はもっと思った以上に、誰も知らぬ内に侵食を続けていたらしい。
 この青い花々そのものに害悪はないようだが、
 竜脈という生命エネルギーが満ちたこの地で、現に"漏れ出して"いるのが問題だ。
 つまりそれだけ邪神の力は強大であり、封印は崩壊寸前ということだろう。
「行きますよ白狼。すぐにオブリビオンが出てくるということはないでしょうが、
 護衛をお願いします。不意打ちとかされたらたまったもんじゃないですしね」
 アンコは美しき白き狼にそう言って、結界めいて生い茂る青い花の蔦を払った。
 そして踏み込む。谷は繁茂する青い花々が天蓋めいて覆っているせいで、
 少し足を踏み入れただけで暗くそして不気味な気配を増す。
 一部の猟兵の情報によれば、この付近で子供が姿を消しているという。
 ともすれば、その子供自体がUDCに操られて現れるかもしれない、とも。
「困るんですよね、復活とか。せっかく一応平和な世界なんですから……」
 アンコはため息まじりに言いながら、さらに奥へ奥へと踏み入っていく。
 谷を包む暗闇は、まるで招き入れるかのようにくろぐろと広がっていた。
成功 🔵🔵🔴


第2章 集団戦 『ジャガーノーツ』

POW ●I'm JUGGERNAUT.
いま戦っている対象に有効な【能力を持つネームド個体のジャガーノート】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD ●You are JUGGERNAUT.
自身が操縦する【子供に寄生する同族化装置(破壊で解除可)】の【寄生候補の探索力・捕獲力・洗脳力・操作力】と【ジャガーノート化完了迄のダウンロード速度】を増強する。
WIZ ●We are JUGGERNAUTS.
【増援】を呼ぶ。【電子の亜空間】から【強力なネームド個体のジャガーノート】を放ち、【更に非ネームド個体の軍隊からの援護射撃】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●UDCアース・日本:某県山間部"騎野西谷"
 この土地では、「青い花」だけが決して根付かないという。
 その「青い花」が唯一繁茂する場所――それが、この騎野西谷だ。
 猟兵たちは調査の末、ここに邪神が封印されているはずだと当たりをつけた。
 そして調査の過程で明らかになった、もうひとつの事実。
 ……それは、「近隣から小さな子供ばかりが姿を消している」というもの。
 明らかな異常事態にも関わらず、大人たちはそれを認識できていなかった。
 他でもなく、封印のほころびから漏れ出した邪神の瘴気によって。

 そしていま、行方不明になっていた子どもたちが猟兵のまえに立ちはだかる。
 彼らは邪悪なるUDC-146"ジャガーノート"によって侵食されていた。
 本来それらは、様々な電子媒体に偽装し子供を襲う寄生型オブジェクトだ。
 だが漏れ出した邪神の瘴気によって集まり、そして操られたそれらは、
 近隣の子供たちを無差別に襲い、ここで怪物(ジャガーノート)へと変えていた。
 ……変えている最中、というべきか。
 フルフェイスヘルメット型寄生体に乗っ取られる最中のものもいれば、
 もはやその体を電子ノイズ型構造体で覆われ怪物になりつつあるものもいる。
 しかしいずれも、まだ救うことが出来る。寄生体を破壊することさえできれば。
 ……当然、それをさせないために、別の"怪物"が立ちはだかるのだが。

 本来、寄生と侵食を完了したジャガーノートは"ネームド個体"へと進化する。
 子供たちを「守る」ように異次元から現れたのは、その進化した個体どもだ。
 戦闘機を模したパワードスーツ型の"ジャガーノート・イーグル"、
 白熊を思わせる重装甲型ネームド個体、"ジャガーノート・ポーラー"。
 あるいは未発見のネームド個体、ないしそのコピーが多数。
 "進化途上"の怪物もまた、こじ開けられた異次元から大量に流入する。
 ここはいま、封印から漏れ出した邪神の魔力により空間が不安定になっていた。
 繁茂する大量の青い花。それらは戦場を彩るように魔の炎に変じ燃え上がる。
 伝承に残りし死の青。大地の精髄、竜脈をも引き裂き枯渇させる邪神の灯火。
 これらが谷底から外に出れば、すべては再び灰に変えられてしまうだろう。
 連綿と継がれてきた"忘れじの灯"――赤い花の祈りも、鎮魂も、
 何もかもが踏みにじられ、"真っ平ら"になり、そして滅びていく。

 今ならばまだ、囚われた子どもたちを救うことが出来る。
 強大なる電子の怪物どもを討ち倒し、邪神の膝下へと急げ!

●プレイング上の注意
 集団敵"ジャガーノーツ"は、近隣の子どもたちに寄生したUDCオブジェクトです。
 この章では、UDC『ジャガーノート』になりかかったそれらの個体や、
 ユーベルコードで召喚された強力なネームド個体が主な相手となります。
 が、寄生された子供たちを救うために、あれこれ頭を巡らせる必要はありません。
 全力でぶっ飛ばせば無事に助かります。戦って倒すことが大事。
 なお戦場に蔓延る青い花々は、邪神の力で「青い火」に変化し燃え上がっています。
 これらに触れるとなんかヤバい気配がするので、そっちはご注意ください。

●プレイング受付期間
 2020/07/28 23:59前後まで。
朱酉・逢真
邪悪なるUDCの大群を、真っ向から打ち倒せってェ? ひ、ひ。無茶を仰る。俺にそんなパワーはねえや。だから出来るやつを喚ぼうか。邪悪なんだろう。子供を襲うんだろう。悪意のかたまりなんだろう? ああ、うってつけのやつが居る。
あふれる《虫》どもを器に、来なよアングラマイニュ。こいつは《異面》の中でも俺への負担が少なくってね。なんせ顕在化の代償は周囲の悪意だ。ここには山ほどあるだろう?
悪意をチカラに暴れまわりな。てめぇもやつらも争いの為生まれた。なら役目を果たすがいい。俺は眷属と避難しよう。青い火にだけ気をつけな。
寂しがりばかりだ。世界が滅ぶンなら滅ぶで愛でるだけだが、抵抗すんのが猟兵の役目さ。


●A.H.R.I.M.A.N
 "ふつうの猟兵"であれば、この光景を前にまず手が止まる。
 いたいけな子供たちが、悲鳴をあげながら悶え苦しむという惨状。
 合理的に考えれば、今すぐにでもあのオブジェクトを破壊するのが最善だ。
 あれこそが彼らを苦しめ、そして不可逆に汚染しようとしている根源。
 そして活路を拓き、根源たる邪神を討ち倒すのが最善手だろう。
 ……しかし、人は合理性のみで動けるようには出来ていない。
 "そうすべきだ"と思っていても、身がすくんで動けないものである。

 だが、彼は違う。
 朱酉・逢真と呼ばれるモノは違う。
「ひ、ひひ――こりゃあまた、邪魔くせえ害虫が蔓延ったモンだなぁ?」
 逢真はおかしげに肩を揺らし、あえて"害虫"という表現を用いた。
 本来、その"害虫"と呼ばれ忌み嫌われるものこそ、彼の"仔"らである。
 半身であり一側面であり愛子であり、つまりは受け入れ愛でるべきものだ。
 その逢真が、"害虫"という言葉を使う意味は、ひとつきりしかない。
「――来なよ、凶星の異面(アングラマイニュ)」
 双眸の白と黒が反転し、線香のような不気味な赤い瞳孔が闇の中に燃える。
 その全身は水面の月めいて揺らぎ、うつろい、そして虫の群れへと変じた。
 ゾロアスター教において、この世のすべての悪の根源とあだ名されるもの。
 火を恐れ、畏れたものたちが、あらゆる苦しみと哀しみの原因としたもの。
 それは、悪意を食らうもの。いと旧き、凶星の異貌にして強大なる"かけら"だ。

 溢れ出した"虫"どもは、さながら龍の如く集い、機械のみを喰らった。
 暴威である。雄々しく羽ばたく鷹も、素早き魚も、河の怒涛には勝てぬ。
 素晴らしい角を持つ獣も、鋼すらもひしゃげさせる爪を持つ獣ですらも、
 雪崩や地滑りには勝てぬ。つまり、虫の群れは"そういうもの"だった。
 ここには悪意が溢れている。
 純粋な子らを苗床に、己の存在を確立せんとするものども。
 そうして生み出されてしまった、哀れな怪物どもの無邪気な悪意が。

 邪悪なんだろう? 子供を襲うんだろう? 悪意の"かたまり"なんだろう?
 ――"こいつ"は、そういうのがだぁい好物だからよぅ。ちと、つまませてくれ。

 虫どものぶんぶんと耳障りな唸りは、そんなふうに聞こえた。
 青い火だけを嫌うように避けながら、濁流の如き蝗害がオブジェクトを蹂躙する。

 てめぇらは"還らない"。ずっと、ずぅっと、死んでも"そのまま"だ。
 そういうのは、俺の仕事の邪魔になっちまう。だから――平らげちまうぜ。

 世界が滅ぶというのならば、その黄昏をも凶星は愛するだろう。
 だが世界は滅びていない。滅ぶことはない。ならば、抗うのみ。
 それが猟兵の使命であり、いまを生きて未来を紡ぐものたちの祈りであり。

 ――聴こえンだよなァ、"いのり"の声がよぅ。ひ、ひ。

 救いと助けを求める子らの"いのり"を聞いた、"神"のすべきことであった。
成功 🔵🔵🔴

冴木・蜜
寄生という行為自体珍しくはありませんが
幼い子どもを宿主とするとは

……、
率直に言えば
遣り口が気に入らない
野放しにするわけにはいかない
全て間引いてしまいましょう

体内毒を調製
体内UDC用栄養剤に組成を寄せておきます
そのまま身体を液状化
火には触れぬよう注意しつつ
物陰に潜伏しつつ機を待ちます

他の猟兵へ攻撃が命中しそうな場合
身体を捻じ込んで庇いましょう
上手く私が"飛び散る様に"
急所だけは上手く避けて
致命傷は回避します

なるべく多くに栄養剤を散布できれば僥倖
体内の彼女を活性化させ『貪食』
電子情報も貴女の好物でしょう?
さあ
思う存分喰らいなさい

子どもの命は奪わせない
忘れじの灯も消させない
此処で全て食い止めてみせる


●灯火を絶やさぬために
 UDCオブジェクト"ジャガーノート"。
 それは端的に言えば、電子生命体でありながら寄生生命体たるもの。
 幼い子供ばかりを苗床とし、その欲望を刺激して怪物へと変貌させる。
 冴木・蜜の脳裏によぎるのは、とある水族館を舞台にした事件であった。

 ――たすけてください。

 無機質な、しかし縋るようなメッセージ。
 あの時は救えた。だが今回はどうだ。己に、また彼らの手を取ることは出来るか?
「……気に入りません。そのやり口も、生態も、何もかも」
 否。
 "手を取らなければならない"のだ。
 彼らに罪はない。何の悪意も、誤ちも、因果も、理由もない。
 おそらく"ただそこにいた"から、当然のように取り込まれたのである。
 理不尽。それを受け入れ、苦味を飲み干してこそ大人と人の言う。
 ならば、この運命も受け入れなければ大人とは言えないと?
 もしもそんなことをのたまう輩が居れば、蜜はおもいきり殴り飛ばしただろう。
 運命など関係ない。救えるものは、命は、救う。救わねばならぬ。
 ましてやこれは緒戦である。目指すべき巨悪はこの奥!
『邪魔するなよッ、これから楽しいことになるんだからさぁ!!』
 異次元より襲来せし"手遅れ"の怪物が、子供の声音で嗤い、そして襲いかかる。
 蜜は自らその爪に身を預けるようにして、あえてその爪を受けた。
『!? なんだ、こいつ……避けない、のか……!?』
「私の身体は、少々特殊なんです」
 突き刺さった傷口から噴き出したのは、血ではなく特殊精製された栄養剤。
 それらは"養分"だ。液体は四方に飛び散り、そして怪物の全身を濡らす。
『気味が悪いなッ、このまま引き裂いて殺し――』
「あなたは、もう"怪物"になってしまったのですね」
『……?』
「ですが、この子たちまで"そう"はさせません。さようなら、です」
 蜜がうっそりと言った直後、傷口から凄まじい勢いで植物が萌え出た。
 びゅるびゅると伸長した蔦は電子の怪物を絡め取り、そして、覆い尽くす。
『な、なんだこれッ!? くそ、動けな……ッ』
「おはよう、お嬢さん――あなたの好物がたくさんありますよ」
 蜜はもはや"怪物"には構わず、傷口から現れた"それ"に語りかける。
 蔦はヒュドラめいて暴れ狂い、侵食を続けるジャガーノート寄生体を絡め取る。
「――さあ、思う存分喰らいなさい」
 魔はその言葉に応じた。めきめきと音を立てて、怪物は喰らわれていく。
 悲鳴。もはや手遅れとなったネームド個体のそれを、蜜は心に刻み込む。
 救えぬものとて、彼はそれを背負う。たとえ怪物に成り下がったものだとしても。
 救えるものの手を取るためならば、彼はどんな罪業も、痛みも背負うだろう。
「この地には、長い、長い間、受け継がれてきたものがあるのです。
 ……忘れじの灯は消させません。この地で生まれた、小さな命も」
 寄生未完了の子供たちが寄生体から開放され、くたりと地面に倒れこむ。
 それよりも早く、蜜はボロボロの手をかりそめに再生し、その身体を受け止めた。
「何があろうとも、必ず」
 燃え盛る青い火をも退けて、植物の魔は荒れ狂う。
 救済と犠牲は紙一重である。異次元より来たりし怪物は救えない個体だ。
 蜜はその痛みを、悼みを、心に刻み込んだ。腕の中のか細い吐息と同じように。
成功 🔵🔵🔴

甘甘・ききん
へそ出しはちょっと都会的すぎたかな。冗談めかして独りごちてみるが、理解はしている。老人はわたしの力を見て逃げた。聖者の力。理に反する力。わたしもそれが恐ろしくて堪らない

癒やし、救える。ならば救おうとしないことは罪。救わないことは殺すこと。時折そんな強迫観念に囚われる。わたしは聖者に呪われている

雰作完!その者赤き焔を纏いて騎野西谷に降り立ちたりと伝承にもあった通り、狐火を装備したわたしは正に救世主よぉ。行ける?狐火。ヤバいじゃんな青い火、破魔れる?

あとは逃げ逃げ召喚者の胸元に線を二本引くだけ。NAUTを消して、We are JUGGERS。UC発動。まとめてバグって破壊的なアル中になっちゃいな!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

封印が解けかけている……!?
ってヤバすぎるじゃねぇか!?
子供を攫ったのも、寄生させているのも。
ここの封印を途切れさせて、復活の足掛かりとするつもりか!?
そんなの、やらせてたまるかよッ!

カブに『騎乗』したまま、「青い火」を避けつつ戦場を逃げ回る!
後ろに乗ってる奴ぁ気を付けな、
繊細に『操縦』するけども下手すると舌を噛むよ!
奴らが電気的、電子的な寄生をするならやり様はあるさ。
アタシから『ハッキング』の波動を込めた電撃の『属性攻撃』の
『範囲攻撃』で寄生装置をぶっ壊して回る!
そうしていりゃあ静電も満ちるだろ。
後は【超感覚領域】も展開して、手数で押し返してやらぁ!


●宇宙カブ大爆走
「ヘソ出しはちょっと都会すぎた、カナ……」
 冗談めかしてひとりごちながらも、甘甘・ききんは理解していた。
 あの老人が逃げ出したのは、服装や彼女の振る舞いが理由ではない。
 他ならぬその力――すなわち聖者としての力、理に反する再生を恐れたのだ。
 ああ、そうとも。自分ですら、己のこの力が恐ろしくてたまらない。
 癒やし、救える……それはたしかに素晴らしいことだ。救済の力だ。
 では、その力を行使しないことはなんだ? ……それは、罪にほかならない。
 "救える"ということは、"救わねばならない"ということ。
 "救わない"ということは、"殺す"ということ。
 どこまでも機械的に、自動的に、合理的に、救えるものを救わねば、
 己はエゴによって多くを見捨て、そして見殺しにするのと同じことなのだ。
「わたしは、呪われてる――この力に。聖者であることに」
 ききんは遠い目をして、憂いげに呟いた……。

「ってぇ、いまそんなこと言ってる場合じゃないだろーーがッ!!」
 そんな感じで伝奇ものっぽい雰囲気にどっぷり浸かっているききんに、
 数宮・多喜は怒鳴り散らした。そう、今はまさに戦闘中なのだ!
 彼女らを飲み込むように「蒼い火」が食指を伸ばす。
 多喜は舌打ちして宇宙カブのエンジンをフルスロットルにし、ロケットスタートした。
「いやーせっかくだしもうちょっと雰囲気作りをしたたたたたたたた!?」
 ききんは多喜の後部座席にタンデムしている。がくがくと揺れて舌を噛んだ。
「いいから黙ってな! 舌を噛むよ!」
「……!! ……!!!!」
「あ、もう噛んだあとかい。ごめんね……」
「~~~~っ、ま、まあいいですけど! いいですけどぉ!!」
 ききんは涙目になりつつ気を取り直した。そしてふたりを追う電子の怪物!
 異次元から召喚されし、"ジャガーノート"の完成体=ネームド個体の追撃である。
『アッハハハハ!! 逃げろ逃げろォ、まとめてぶっ殺してやるよォ!』
「チッ、頭ン中だけは子供のままってわけかい。厄介な連中だね……!」
 ネームド個体のレーザー攻撃をハンドルさばきで回避しながら、多喜は舌打ち。
 あの寄生されている子供たちを救出出来なければ、彼らも"こう"なるのだ。
 それは看過できない。しかし寄生進行中の敵を叩くにはネームド個体が邪魔だ!
「追っかけてくる連中が鬱陶しいね。どうにかできないかい!?」
「その者赤き焔を纏いて騎野西谷に降り立ちという伝承がですね!!」
「は!? まだ与太続けんのかい!? 怒るよ!!」
「ちちちち違うよぅ気合入れてるんですぅー!! わたしはまさに救世主っ!!」
 ききんは周囲に回遊させた狐火を放ち、追跡ネームド個体を迎撃!
『あっ、アアアアアアアッ!?』
 電子の怪物は狐火に飲まれ霧散! 活路が開いた!
「……やりゃできるじゃないかい。そうじゃなきゃ後ろに乗せたかいがないよ!」
「でしょ? でしょ! だからお説教はご勘弁くださいねマジで!!」
「それはここからの働きで考えるよ、さああの子たちを救助しようか!」
 多喜はギャリギャリとバーンナウト痕を刻みながら180度反転し、急加速。
 新たに召喚されたネームド個体の妨害を躱し、子どもたちのもとへ急いだ。
 ジャガーノート寄生体による乗っ取りはいまなお進行中である。
 彼らを救うには、寄生体「だけ」を破壊しなければならない……!
「ひとつひとつ壊してたらきりがないね、一気にやるよ!」
「よぉーし、賢い狐は文字だって書けるぅー!!」
 迫りくる青い火を狐火で押し留め、ききんと多喜は力を解き放った。
 ききんは短刀でジャガーノート寄生体の胸部に傷をつけ、
 多喜はスピンによって生み出した静電気を数万倍の電流に増幅!
「"NAUT"を消せばあら不思議、まとめてバグってアル中("JUGGERS")になぁーれ!!」
「手数で押し返してやるよ――子供たちは返してもらうからねぇ!」
 バチバチバチバチッ!! と、超常の電撃が蜘蛛の巣めいて咲き誇る。
 存在意味を書き換えられたジャガーノート寄生体は電子的機能を喪失。
 迫りくるネームド個体も含め、すべてが電撃に絡め取られて破砕する!
「わーお、一網打尽。これ、伝奇ものっていうかアクション映画って感じ!」
「封印を解かせるわけにはいかないからね。多少乱暴にでも突破させてもらうよ」
 寄生体から解き放たれた子どもたちは、その場にどさどさと崩れ落ちる。
 助け起こしたいのはやまやまだが、異次元からは新たなネームド個体が出現していた。
「てなわけでもうひとっ走り行くとしようか。今度は舌を噛むんじゃないよ!」
「はぁーい!」
 エンジンが唸りを上げる。第二ラウンドの始まりだ!
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

鷲生・嵯泉
漏れた瘴気の副産物とでもいった所か……
先ずは子供等を解放せねば話に成らん
出来るだけ疾く終わらせるとしよう

数を増やすと云うなら此方も数で抗じる迄
――蹂刀鏖末、悉くを断て
空間の歪む“気配”を第六感で以て先読み、初動を潰し
援護射撃は戦闘知識にて動きを計り、カウンターで弾き落してくれる
衝撃波のフェイントで動きを制御、隙を抉じ開け斬撃を叩き込む

……明らかに寄生虫共より此の青い炎の方が問題の様だ
破魔を付与した黒符を周囲へ張り、触れかけた時には弾く様に仕込み置く
万が一には呪詛耐性で抗うとしよう

自らの身を以てして邪を封じた竜の遺志
其の赤い炎を消させはせん
邪神が蘇ろうと云うのなら、青い花ごと刈り取って呉れる


●魔に逢うては魔を斬り、怪物に逢うては怪物を斬る
 幾何学模様を描き飛翔する、無数の刃。
 およそ八百を超える刃は、あらゆる"魔"を否定する鏖殺の剣。
 その銘を"蹂刀鏖末"。鷲生・嵯泉が繰り出す回避・防御不能の必殺剣なり。
 電子の亜空間から現れた怪物は、ことごとくがその刃によって切り払われた。
『隙間なしの弾幕とかクソゲーかよッ!?』
「怪物が賢しらに囀る。堕ちたるその身を討つのに仔細なし」
 もはや怪物に成り果てたとは言え、それらは本来無邪気な子供だったモノだ。
 だが、嵯泉は微塵も躊躇しない。彼は魔を討つ剣士なのだから。
 目の前に救える命があるならば、慈悲も躊躇も捨て去るが合理である。
 囀る怪物を256の肉片に分割し、嵯泉は一刀を手に無造作に歩みだした。
「どうしてもというならば、私を討ってみるがいい。それで終いだぞ」
『おっさん、うぜえんだよッ!!』
 武者鎧めいた重装甲のジャガーノート個体が接近戦を挑む。
 乱舞する蹂刀をかいくぐりインファイト距離に到達できるのは見事。
 嵯泉は動揺を見せず、大上段からの打ち下ろしを水の如き動きで受け流した。
「――ぬんッ!」
 そして瞬時に剛力を解き放つ。柔から剛へ、達人のみが可能とする切り替わり。
『うおっ!?』
「力を得ても人の術理を知らぬ。それでは私の頸は獲れんぞ」
 体勢を崩した鎧怪物の側面に回り込み、淀みない動きからの横一閃。
 怪物の頸がごとりと落ち、血しぶきめいて電子のノイズが撒き散らされた。
「次」
 嵯泉は身を低く沈めると大地を砕き、一瞬で間合いを詰める。
 出現したばかりのネームド個体をさらに一蹴、攻め込むさまは鬼神の如し。
(……子らを苗床に蔓延る怪物。実に胸糞の悪い)
 一刀に伏すに躊躇はなし。されどその心には怒りが燃えていた。
 煮えたぎるマグマじみた、高熱が過ぎるゆえに静かな怒りの焔である。
(それを利用する邪神も実に忌々しい。あたら封印を解かせるわけがない)
 嵐の如き剣舞を振るいながら前へ。さらに前へ。
 寄生未完了の子供たちに寄生した電子の虫どもをなます斬りにする。
 その五体を飲み込もうと青い火が迸った。符を放ちこれを相殺。
 燃え上がる焔からは吐き気がするほどの邪気が感じられる。神の焔か。
「竜の遺志は人々が受け継いだ。この地に根付いた赤い炎を消させはせん。
 再びこの地を灰の野に変えようというならば、まず私を灼き尽くしてみせろ」
 隻眼は闇の奥を見据える。討つべき神はこの先に居るのだ。
 空気を灼くほどの速度で振るわれた切っ先が、赤き火花を散らして燃え上がった。
成功 🔵🔵🔴

不染居・ユキ
※アドリブ、共闘歓迎

己の手を汚さず子供達を利用するとは…なんと醜悪なやり方だ
いいだろう。その青い炎もろとも私が塗り替えてやる

敵は複数…しかも増援を呼んでくる
多数を巻き込み、かつ寄せ付けぬ攻撃を
まず、写生した赤い花の絵の頁を全て破り取り、敵に向けてばら撒く
幽世の顔料で描いた絵は、魔術の媒介には充分
赤い花びらが舞うような、赤い炎が燃えるような【弾幕】魔術を周囲の敵に向け放つ
敵が怯んだ隙に《墨流し『色彩奔流』》を発動
周囲の敵全てを染めるような、赤い絵の具の奔流
醜いUDCに姿を変えられた子供達を、鮮やかな赤に塗り替えるように

「貴様の染める青い色は醜悪極まりない。ならば、私が全て美しい色で染めるまで」


レムリア・ザラタン
予感が当たってしまったか
…だが救う手立てがあるなら、まだ最悪の事態ではない
寄生体の機能だけを破壊すれば子供達を解放出来る筈だ
…が、ネームド個体とやらの能力が妨害をしているようだな
ならば…

防具改造でバリアに火炎、呪詛、狂気耐性を施し、青い火へ取り急ぎの対策を
攻撃を見切りつつ、ネームド個体へ切り込み
グラビティアンカーを振り下ろし、重力負荷を掛けてネームド個体を地面に縫い付けた隙に能力をハッキング、解析
妨害を受けぬよう調整したECMを周辺の敵へ纏めて叩き込む

こういう他人に寄生をする手合いにはあまり良い思い出が無い
…私がもっと早く顕現していれば、クルー達も…
いや、今は過去に思いを馳せる時ではないな


御影・しおん
機械仕掛けの敵……?いえ、本質は別……電気でできた悪霊、あるいは邪霊に近いモノかしら?

どっちにしろ、邪神といいあなたたちといい、元とはいえ境界にまつわるモノたる私の前で
よくまあ亜空間だの空間の歪みだのやってくれるものね

手元に黒い結晶体「黒鏡」を呼び出し結界術を発動しつつ、同時に【隔絶する封剣領域】を起動。
封剣を放ち、その軌跡と結界を用いてこの地を外部から「隔絶・閉鎖」しましょう
もちろん、その亜空間という「外部」に対しても、よ

後は封じの剣でじゃがーのーとを攻撃するだけだけど、
可能なら封じの剣で青い炎を封じられるか、あるいは隔絶領域で邪神の瘴気を遮断できるか見ておきたいわ

※アドリブ連携歓迎です。


●青木火の侵食
 あたりに立ち込めるのは瘴気――すなわち、邪神の悪意であった。
 いまだ封印の軛に縛られているとは思えぬほどに強大かつ濃密なものだ。
 それがこの電子寄生体どもを呼び寄せ、子供たちを毒牙にかけたのである。
「……これも邪神の企てか。己の手を汚さず子供たちを利用するとは……。
 姿を見ずともはっきりわかる。その醜悪さ、下劣さ。実に苛立たしい!」
 不染居・ユキはふんすと鼻を鳴らし、"ジャガーノート"の群れに相対する。
 寄生はいまもって進行中であり、子供たちの身体は黒い電子ノイズに覆われる。
 それは厳しい機械化兵士めいた大柄のシルエットを取り、屹立するのだ。
 まるでゲームの中から飛び出してきたかのような、どこか馬鹿げたフォルム。
 "ジャガーノート"に悪意はない。すべて自動的な"生態"である。
 当然のように子供を襲い、当然のように侵食し、当然のように変異させる。
 その成れの果てが、電子の空間から現れたる"ネームド個体"ども。
 あるものは鳥類を模した機械的なパワードスーツに身を包み、
 あるものは西洋騎士を思わせる無骨な機械鎧で全身を覆われ、
 またあるものはハリネズミの如き砲塔を全身に備えている。
「……予感が当たってしまったか。しかし、あの姿は……」
「電気で出来た悪霊、あるいは邪霊に近いモノ、ってとこかしら?」
 レムリア・ザラタンのつぶやきに、御影・しおんが同調した。
 亜空間から現れた増援はともかく、寄生進行中の個体はまだ間に合うはずだ。
 そのためには、一切の躊躇なく彼らを撃滅し、寄生体を滅ぼすしかない。
「どっちにしろ、よくもまあこの私の前で境界をいじってくれるものね。
 ――この身は零落した神の残骸なれど、外道を許すほど呑気でなくてよ?」
 しおんは笑顔の裏に竜神だけが持つ凄烈な威圧感をたたえ、怪物どもを睨んだ。
 そして彼女たちと怪物の群れを取り囲むように、"青い火"が蔓延る。
 レムリアはその邪悪な炎を一瞥し、顔をしかめた。
 正しくは、その青い火から感じる、生命を否定するような邪悪な魔力を感じて。
「……あの火に触れるわけにはいかないな。子供たちも触れては危険だ。
 バリアで侵食を食い止めてみるが、いかんせん数の利が骨、といったところか」
 レムリアは双方の戦力を冷静に分析し、あくまで合理的な結論を出した。
 敵は多数。範囲攻撃を得意とするレムリアだが、そうすれば"青い火"が来る。
 つまり、手が足りない――しかし、その言葉に、ユキが不敵に笑った。
「それならば私の出番だな! こんなこともあろうかと、というやつさ!」
 ユキが懐から取り出したのは――無数の紙束である。
 符でもなければ魔書でもない。ただ絵が描かれただけの紙束である。
 だが、彼女は筋金入りの絵描き。その筆には神が宿り魔すらも羨むのだ!
「さあさ、この地に"忘れじの灯"を燃やすとしよう!!」
 ばさり、とばらまかれた紙片に描かれているのは、赤い花々である。
 竜神がその身を変えた山々をめぐり、無我夢中に写生した無数のスケッチ。
 それらは神なる筆さばきによってかりそめの命を持ち、まさしく"咲き誇る"!
「――……へえ、面白いわね。魔除けのおまじない、だものね」
 しおんはその絵から感じる同胞たちの残り香に気づき、くすりと笑った。
 描かれた花々は現実のものとなり、そして紙を薪として赤く紅く燃え上がった。
 すなわち、青き火を否定する魔除けの灯火。
 かつてこの地を命がけで守り抜いた竜神たちと、彼らを悼む人々の祈り。
 たとえ信仰は廃れ伝承すらも途絶えても、その灯火だけは受け継がれてきた。
 赤き炎は渦を巻いて戦場を包み込み、病んだ青き火を飲み込み華となるのだ!

「――グラビティアンカー、射出。重力負荷、最大出力!!」
 機を見るに敏、レムリアは出力をバリアからアンカーに切り替えた。
 打ち出されたアンカーはたじろぐ"ジャガーノート"の群れを絡め取り、
 超強力な局所重力によって、その機動力と回避能力を奪い取る!
『チッ、足止めかよ! これじゃあ飛び回れないじゃんか……!』
『ワンサイドゲームなんてつまんねえ! 殺させろよ、猟兵ッ!』
 無邪気な子供の精神を持つ怪物どもは、忌々しげに吠えた。
 もはや救えぬネームド個体の異形を見て、レムリアは瞼を伏せた。
 他者に寄生しいいように操る手合いに、レムリアはいい思い出がなかった。
 わずかな郷愁、そして後悔がよぎる。だがそれは、戦いにおいてはノイズだ。
(――もしかしたならば、私がもっと早く顕現していれば……いや)
 在りし日の戦友たちへの悲嘆と後悔は、いまは振り捨てる。
 その後悔すらもノイズに変えて、アンカーを伝いECMを射出した!
「少しばかりおとなしくしていてもらうぞ。これはゲームではないのでな」
 ZZZZZZZTTTTTT!! アンカーを伝い超圧縮電子ノイズが怪物どもを捉えた。
 ジャガーノートは電子寄生体である。いわんやその成長体たるネームドシリーズは、電子攻撃にすこぶる弱い。それが活路を拓く結果となった。
『『『が、あぁああああああっ!!?』』』
 ネームド個体は脳髄を抉るような痛みに悶え苦しみ悲鳴をあげる。
 寄生未完了の"ジャガーノート"たちは、たまらず子供の身体を離れた。
 黒ずんだシルエットが虫を思わせる寄生体本体に再顕現する。……好機!
「あら、まさかわたしの前でこれ以上、忌々しい穴を拓けると思ったの?」
 しおんはくすりと笑う。その手には、光通さぬ黒き鍵が握られていた。
 その身は零落し信仰は絶えて久しい。されど彼女は紛れもなく竜の神。
 往時ほどの力はなくとも、境界を操る権能にかけてはまさしく"神業"だ。
 電子の亜空間をこじ開けることなど不可能。――寄生体に逃げ場はない!
「御影しおんが命ず。閉じ、絶ち、封じよ――封じの闇剣よ!」
 神なるその御言葉に従い、白き闇の封剣が形となりて飛翔した。
 幾何学模様を描く無数の刃は、囚われた怪物と寄生体をジグザグに切り裂く。
 軌跡は稲妻の如し。物理でも魔術でもなく、存在根幹を滅ぼす神の刃!
「子供を食い物にする魔物なんて必要ないさ。この地には赤がふさわしい」
 ユキは力ある絵の具の奔流を振りまき、悪あがきする青き火を上書きした。
 空間そのものを隔絶・閉鎖する封剣の神力もあって、青き火は完全に絶える。
 しおんはその反応を目ざとく確かめていた。なにせ、敵はこれで終わりではないのだ。
『あ、あああああ……! せっかく、せっかく得た力が……!』
「……君たちは人ならざる怪物だ。彼らまで、そんなふうにするわけにはいかない」
 滅びゆく怪物の断末魔に対し、レムリアは憂いげに言った。
 ネームド個体は電子ノイズに変じて消え去り、あとには眠るように気絶した子ら。
 電子の悪魔は焼滅し、子供たちを救うことに成功したのだ。
「……根源を断たねば同じことの繰り返しだ。それでは意味がない」
「なら、味わわせてあげましょう? 愚行の報い、というやつを」
 邪神への敵意を漲らせたレムリアに、しおんは妖しく微笑んだ。
 それはまさしく、強大かつ気まぐれな神の相貌だった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ネグル・ギュネス
また、またか
何処の世界も犠牲や被害となるのは幼子ばかり
弱きものを食い物にするのが、そんなに楽しいか…ッ!

待ってろ、今助ける

寄生された箇所のみを破壊する
【強襲具現:深き海の瞳】
弾丸は非殺傷指定切り替え、ただ破壊と吹き飛ばす事を狙う
この瞳は、狙った場所は逃がさないんだ

電撃の属性を乗せ、電子ノイズを潰しにかかる
ネームド個体?──ハ、貴様ら確か″ジャガーノート″と言ったか?

俺の知るジャガーノートは、そんな弱い機体では無い
優しく強く、何より気高い戦士の称号だ!

その装甲を貫通する刃で叩き斬りながら、すぐ様離脱、斬る、撃つ!
集団を相手にする戦術は、慣れたもんだ

待っていろ邪神よ
世界も、子供たちも貴様には渡さん


佐々・夕辺
共闘、アドリブ歓迎

青い炎が燃えている
それだけなら幻想的な光景なのにね

何の罪もない子どもたちに非道なことを…
許せないわね。赦せないわ!
ふるべ!ふるべ!精霊よ私たちに加護を!

移動はせず、UCの衝撃波で火を消せないか試してみるわ
一瞬でも消せるなら、仲間を援護する手になるでしょう
もちろんジャガーノートたちにも衝撃波を
管狐を同時に射出して、二重攻撃に
頭を狙うのは気が引けるけど、とにかく倒さなければ

ネームド個体に目をつけられたら移動しながらの攻撃に移行
来てみなさいよ、カウンターで管狐の連撃が火を吹くわ!


●邪悪なる火、怒りの炎
「……またか」
 ネグル・ギュネスは、血の通わぬ鋼の拳を強く強く握りしめた。
「どこの世界でもそうだ。犠牲になるのは、いつもいつも幼子ばかり。
 弱きものを食い物にするのが、そんなに楽しいか――外道どもがッ!!」
 ネグルは"ジャガーノート"を知っている。
 その寄生体の悪辣さを、
 その宿命を背負い戦うものを、
 その怪物の強さ、恐ろしさ、そして脆さを。
 犠牲となった子供たちの悲鳴を、哀しみを、苦しみを。
 己もまた、オブリビオンによって大きな傷を負ったからこそ、
 その悪性によって傷つけられるものの痛み、苦しみはよくわかる。
 許してはならない。
 けして許せない。
 ネグルの双眸が怒りの炎に燃える。
 寄生体は、その怒りを嘲笑うように侵食を加速させる――!

「……許せないわね」
 そしてもうひとり、怪物どもの暴虐に怒るものがいた。
 佐々・夕辺。その怒りは、暗闇の奥に居るであろう邪神に向いている。
 これはけして偶然に起きたものではない。間違いなく作為的な"誘引"だ。
 ほとばしる邪神の瘴気は、手先となるべきものを求めたのであろう。
 それに寄生体が応えた。そして何も知らず、罪もない子供が犠牲となったのだ。
 ……否、なろうとしている。まだ間に合うはずなのだ。
「赦せないわ。何の罪もない子供たちへの非道、その邪悪さ!
 精霊よ、私たちに加護を――ふるべ、ふるべ! どうか力を!!」
 夕辺の怒りと祈りに呼応し、大地に眠る諸精霊が渦を巻いて起き上がった。
 青い火はその神々しき力を嫌い、夕辺を焼き尽くそうと食指を伸ばす。
「絶対に許さない。子供を犠牲にすることも、この地を燃やそうとすることも。
 私たちがすべて止めてみせる。――焼けるものならば、灼いてみなさい!」
 夕辺と精霊は危険なほどにリンクし、その霊力は加速度的に高まった。
 そして見えない衝撃波が、迫りくる青い火を圧し、消し飛ばす……!

 急速の侵食加速によって黒きシルエットに覆われた子供たちが、呻いた。
 もはや一刻の猶予もなし。ネグルは夕辺が発動した衝撃波の間隙に乗じ、疾走。
 その瞳は深き海めいて澄んでいた。前に走りながらの連続射撃!
 BLAMBLAMBLAMBLAM!! 弾丸が黒ずんだ怪物のシルエットを精密に撃ち抜く!
 弾丸に込められた電撃はその身体を物理ではなく電子によってかき乱す。
『あ、ア、アアア……ア――た、スけ……て』
 とぎれとぎれのノイズまみれの声。砂嵐に覆われていく悲痛な祈り。
「助けるとも、待っていろッ!!」
 ネグルは吠える。しかしその眼前に電子の亜空間が亀裂をもたらした!
「新手……!? ネームド個体とやらね。けど、止めさせない……!」
 夕辺は新手の出現を察知し、一手早く動いた。
 管狐たちを弾丸めいて射出し、亜空間の亀裂へと滑り込ませる。
 今まさにこの世界へ現れようとしていた怪物が、わずかにたじろぐ!
「邪魔を、するなッ!!」
 ネグルは瞬時に刃を抜き放ち、足を止めぬまま加速しながらの一閃を繰り出す。
 あろうことか、その斬撃は空間に生まれた亀裂もろとも怪物を一刀両断!
『が……!? ウソ、だろ、俺は"ジャガーノート"になったのに……!!』
 ネームド個体とは、すなわちいつかどこかに寄生完了されてしまった子供たち。
 しかしその精神は怪物の悪性に堕ち、無邪気であるがゆえに邪悪だ。
「"ジャガーノート"、か」
 すでに斬撃を終えて背後に立っているネグルは、振り返らずに言った。
「俺の知る"ジャガーノート"は、そんな弱い機体ではない。
 優しく、強く、そして何よりも気高い戦士の――いや、騎士の称号だ」
 残心。二重の斬撃の軌跡が円弧を描き、完全に怪物を滅殺した。
 そして寄生体すらもばっさりと両断され、黒ずんだ電子ノイズは霧散する。
 倒れゆく子供たちを、夕辺の差し向けた管狐たちが眠らせ、癒やす。
 青い火が子供を絡め取ろうとする。夕辺はそれを精霊の力で退けた。
「待っていなさい、邪神よ。いまにその封印を、望み通りに解いてあげる。
 ――そして完全に滅ぼすわ。かつての竜神たちが出来なかったことを、いま」
 赤き花が、祈りの灯火が繋げたその遺志を、無駄にしないために。
「…………邪神、か」
 ネグルはそんな夕辺を一瞥し、暗闇の奥を睨みつけて吐き捨てる。
 彼の胸に燃える怒りの炎は、いまもなお煌々と闇を照らしていた――。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

アンコ・パッフェルベル
…何かあるとは思ってたですけども
なるほど、ちょーっと大変な状況です
首に提げた犬笛ならぬ猫笛を意識して、首をふるふる
敵も集団、こっちも集団だと青い火を避けらんないですね
言いつつ手鏡で道士服姿に早着替え。ここはわたしと白狼で対処です

疾きは風を追い越して、迅なりしは雷の先を征く。疾風迅雷っ
自在鞭を操るロープワークに怪力を伴わせ、素早く力強く奮闘です
攻撃の出掛かりを潰したり、捕縛してぶん回しでなぎ倒したり
必要そうな戦闘ステータスも頂くです
盾で攻撃を往なし、青い火は避けて堅実にです

白狼は倒し損ねにだめ押して貰ったり、
引っ張って貰い回避とか動物使い・会話を活かし援護中心です
あっ助けた子の救助もお願いですー


●青き火をかき分けて
 この事件、ただごとではない何かが隠されていると思ってはいた。
 だが明らかになった事実は、アンコ・パッフェルベルの想定を越えていた。
「これはまさに混戦模様ですねー……白狼!」
 アンコは相棒の狼の名を呼び、襲い来る黒き怪物に対処する。
 いまだその寄生は未完了であり、"ジャガーノート"のフォルムは黒い靄めいている。
 どことなくゲームキャラクターのような、大柄な体躯だ。
 もしもこれが寄生完了し完全な怪物へと変貌してしまえば、
 それぞれに特性を持つ非常に強力なネームド個体へと進化するのだ。
「電子生命体のくせに寄生も進化もするとか、厄介なことうえないですねっ!」
 アンコは自在鞭を振るい、電子の触手を退けた。
 しかし同時に、足元には青い火がはびこり彼女を捉えようとする!
「よっ、と」
 アンコが振るった自在鞭は、怪物をはねのけた反動で天井へ飛んでいる。
 その軌道は計算した上でのもの。手首のスナップで強靭な蔦に鞭を絡めると、
 ふわりと跳躍。巧みなロープワークによって、地上から離れた。
 青い火は狂おしく燃え上がる。アンコはその不気味な挙動を見下ろし眉根を寄せた。
「あきらかに敵意ありますねえ、封印されてる分際で手癖が悪いですよ」
 ジャガーノートたちがアンコの着地地点を取り囲み、迎撃しようとしていた。
 そこへ飛び込んだのが白狼。疾風迅雷の如き大立ち回りで怪物どもを吹き飛ばす!
「こいつら、神の従僕とか信徒ってわけじゃないのが厄介です、ねっと!」
 アンコは開放した自在鞭でジャガーノートを縛り付け、思い切り振り回した。
 さながらハンマーめいて、怪物と怪物がぶつかり合い火花を散らす。
 ぐしゃんっ!! と地面に叩きつけられた怪物に、白狼がパウンスを仕掛けた。
 そして喉元を――正しくは喉元に絡みついた寄生体を牙で抉り、引き裂く。
「助けた子の救助もお願いですよ! この火に呑まれたら大変です」
 白狼はこくりと頷き、眠るように気絶した子供の襟首を銜えて安全地帯へ。
 敵の数はまだ多い。青い火はどんどん燃え広がりつつある。
 この谷に蔓延る青い花自体が火元だとすれば、消し去るのは不可能だろう。
「文字通り"根"を断たないとダメそうですか。通してくれるといいんですけど……」
 道士服姿のアンコは毬のように身体を丸め、天井を蹴って地上へ。
「邪魔するなら力づくで、ということになりますかねえ!」
 そしてカンフーマスターよろしく身構えて、挑発的に手招きした。
 これは緒戦である。討つべき巨悪はこの暗闇の先にいるのだ――!
成功 🔵🔵🔴

ヒルデガルト・アオスライセン
規則的で醜怪、まるで蟲のよう
これら全て犠牲者だと

目を覆うばかりの惨状ですが、幸い私達には打破する力がある
腹ごなしと行きましょう

私に有効なネームドは
束縛し、浄化が効かない辺りと予想

天に仇名す者達が飛行するようなら落とします
…あの長閑な空が見る影もない

範囲に乏しいので
盾を掲げて寄生体をおびき寄せ
攻撃を浴びながら空中戦でネームド狙い

被弾覚悟で衝突し
UCで大地、侵食集団、他の強個体にぶつけて落下ダメージを与えます

仕留め切れずとも
飛行力を奪い、空に静寂を取り戻せればそれで

侵食中の個体が灯に触れないよう気を払い
慣れてきたら侵食速度を上げるネームドを優先的に叩きます

あの灯こそ気掛かりですが、後にしましょう


●電子の蟲
 花が蠢いていた。
 邪神の瘴気を苗床に蔓延った青い花の蔦が、谷を天蓋めいて覆う。
 もはや陽射しは届かず、代わりに煌々と闇を照らすは"青き火"。
 否、それは照らしているのではない――闇を、食らっているのだ。
 闇よりも恐ろしきもの。それが、揺らめく鬼火の正体であった。
「……まるで蟲のよう」
 ヒルデガルト・アオスライセンは忌まわしげに眉根を寄せた。
 それはざわめく植物の蔦を見上げて言った台詞でもあり、
 無辜の子供たちを捕らえて飲み込もうとする電子の怪物への言葉でもある。
 そして彼女の眼前に亜空間の亀裂が走り、"怪物"が出現した。
 すなわち、ネームド個体――完全に"ジャガーノート"となってしまったモノ。
 一見すると"それ"は、聖別を受けた気高き騎士の如き相貌である。
 全身を覆う白銀の鎧は誇らしげに輝き、鏡面めいてヒルデガルトの渋面を映す。
 だが。本物の聖者である乙女は、たしかに感じていた。
 鎧の奥に詰め込まれた無邪気な悪意。怪物と堕した子の殺気を。
『我は聖騎士ジャガーノート・クルセイダーなり! ……なあんてね。
 言っておくけど、その体の力は効かないよ? だって僕は"選ばれた"んだ』
 怪物に成り果ててしまった子供は、うっとりとした声音で語る。
『僕には力がある。だから僕が正義だ。僕がヒーローなんだ! そうだろう!?
 ――僕の前に立ちはだかるのは、みんな悪さ。お姉さんもそうなのかな?』
「何が善で悪なのか、そんな問答をここでするつもりはありません」
 ヒルデガルトは金の瞳を刃のように鋭く細めて、言った。
「ですがあえて言いましょう――その思い上がり、へし折ってあげます」
『ハハハハ! だったら、串刺しになっちゃえ!!』
 クルセイダーが仕掛けた! 稲妻じみた速度の踏み込み、そして刺突!
 右腕はランスと一体化して異形となっており、それを突進から繰り出したのだ。
 質量と速度を乗せた刺突は、分厚い鋼鉄の壁すらたやすく貫くだろう。
 ヒルデガルトはまっすぐ飛んだ。そしてジョウストめいてランスをかすめる。
 衝撃を上方ベクトルへいなす。くるくると舞うように頭上へ!
『……疾い!』
「あなたが見るべきは空ではありません」
 直後、ヒルデガルトの体が不自然な急加速で落下し、衝撃をもたらした。
 インパクトの着弾点は、言わずもがな真下に立っていたクルセイダーである!
『が、はッ!?』
「深く後悔し、地を見下ろして懺悔すべきですから」
 ぐしゃん!! と両者を中心に地面がクモの巣状にひび割れた。
 ヒルデガルトは這うほどに身を低くかがめ、そしてバネを解き放つ。
 第二撃は下から上へ。機構剣を利用した極めて変則的な地摺り残月!
 その一撃は鎧もろとも怪物を真っ二つに断ち切り、そして光で飲み込む。
『あ……あああ! 僕の、力が――』
「どうか安らかに。あなたのような犠牲者がでないよう、私は戦います」
 ヒルデガルトは振り返ることなく飛んだ。光の飛沫が寄生体を滅ぼす。
 クルセイダーとなった少年の意識は、まことの聖女の光をたしかに見た。
 それはおそらく、もはや戻れぬ怪物にとっての、唯一の救いとなったはずだ。
大成功 🔵🔵🔵

狭筵・桜人
“進化途上”、ねえ。
まあこちらとしては、いい意味で中途半端ってとこですか。
で、横入りしてきた奴らが手遅れの個体であってます?
助かるものだけ助けます。出来ることしかしない主義なので。

エレクトロレギオンを展開。
私はネームド個体の足止めをして、他猟兵に花道を飾らせましょう。
正しくはレギオンによる【制圧射撃】で牽制しつつ
私自身はその隙に解放された子供から拾って回って、戦線から下げておきますよ。

別に避難に託けてさっさと安全圏に引っ込みたいとかじゃないですって。
こんな少子化待ったなしの片田舎で子供が減ったら困るでしょう。
土地から人がいなくなれば、きっと此処を守る神様の力だってなくなってしまいますから。


淵守・竜二郎
めっちゃハイテクな感じ!ちょっと!僕は機械苦手なんですけど!
いやほんと冗談じゃないですよね。子供とか。ええ、もう、本当…見過ごせるわけがない。
悪いですが、名も知らぬ同胞たち。僕はけっこ目先のことを優先しますので、もうちょっと頑張って下さい。
あの子供たちを「守る」事が出来なければ、きっと君たちは悲しむでしょう。
大丈夫! 赤き花を僕がやりますよ。ええ、この青い花の灯火が盛るなら、僕は、僕達は、十分に誓う事ができる。命を守り、大地を守り、そして生と死、赤と青の境界を守る為に。
――起きろベニバナ。僕らの拳が届く限り、邪なる夢の好きにはさせない。
じゃあ殴りますか!苦手な相手?乳のデカいヤツが苦手かなあ!


フィルマリナ・ガラクシア
何が起こっているのかは分からないけど、何かが起こっているのは分かったのだわ。
そして何をするべきなのかもね。

UC北斗七剣星。子供たちの犠牲を増やさない為にも、これから生まれる新たな敵を増やさない為にも、その奇妙な冠を破壊するのだわ!
なるべく効率よく行きたい所だけれど、そうも言ってられないから身体強化をして目の前の敵を蹴散らすべしよ。
余裕できた所で投擲武器を冠に投げつけ破壊を試みるわ。
青い炎には気を付けるけれども、こんな胸糞悪い奴が相手だなんて思ってもみなかったのだわ。


●赤き花に誓いを込めて
「……面倒なことになってますねえ、これは」
 混戦模様の戦場を見渡し、狭筵・桜人は平気そうな顔で肩をすくめた。
 こういうときは、いつも以上に前に出ないようにしたほうがいい。
 それが、サボり魔桜人の学んだ猟兵豆知識のひとつである。
 ……などと言っても、最低限の仕事はこなすのがこの少年だ。
 エレクトロレギオンを召喚し、あちこちの戦場にちょっかいをかけることで、
 召喚されたネームド個体ジャガーノートの行動を妨害したり、
 他の猟兵が寄生未完了のジャガーノートを撃破する補佐をしていた。
 そして桜人は、倒れた子供たちを片っ端から救助して回っているというわけだ。
「もちろん非戦闘員の保護は必要ですからね。はい理論武装完璧。
 ……ま、皆さんやる気になっていらっしゃるようでなによりですが」
 桜人は、子供が犠牲になることに何の痛痒も感じていないようだった。
 生真面目な猟兵が見咎めれば、なんたる冷酷と怒り狂うかもしれない。
 だが、これが彼のスタイル。こうやって彼は生き延びてきた。
 ……はたしてそれは、ひねくれ者なりの本心を隠す演技なのか?
 それとも桜人は、本当に人の不幸をなんとも感じない冷血人間なのか?
 答えは誰にもわからない。そして桜人は注意深く戦場を観察する。
 己が手助けすべき猟兵が誰なのか。それを見定めようとする――。

「おおっと!!」
 鎧武者めいた姿のジャガーノート――通称"ジャガーノート・カゲミツ"の攻撃を、
 淵守・竜二郎は紙一重のスウェーバックで回避し、バックステップを踏んだ。
 ネームド個体。それは電子の亜空間から召喚される怪物の成長体。
 いまも奴らの後方で苦しめられている子供たちが辿るであろう末路。
 ああなってしまえば、もはやそれは怪物だ。不可逆の変異は取り戻せない。
『どうしたんだよ? かかって来な! それとも降参する?』
「……降参したって、見逃してくれるわけないですよね?」
『当たり前じゃん! 首刎ねてポイント稼ぎしなきゃさァ!』
「ま、そうでしょうけど。どこまでもゲーム感覚、か」
 竜二郎は眉根を寄せた。ジャガーノートは子供ばかりを標的にする。
 そして怪物に堕した子供は、枷を失った無邪気な化け物となるのである。
 その精神はどこまでも無垢で、見た目はゲームキャラクターめいて勇ましい。
 だがその本性は、電子の寄生体に歪められたどうしようもない怪物。
 そのアンバランスさが、見るものの生理的嫌悪感を催させる。
「……悪いですが、あの子たちを"そんなふう"にさせるわけにはいかないんですよ。
 だから、名も知らぬ同胞たちよ。どうかもう少し頑張ってください」
 竜二郎はひとりごちて、拳をぐっと握りしめる。
「てなわけで、喧嘩なら相手になりますよ! さあ来い!」
『へえ。だったら――僕が増えたっていいよね?』
「えっ」
 ずしん、ずしん、ずしん!!
 電子の亜空間から現れたるは、同型個体の別存在!
 ジャガーノートはUDCオブジェクト……つまり、オブリビオンである。
 ならばネームド個体になるということは、"そういうこと"なのだ。
 竜二郎はぽかんとした。あれだけ疾く鋭い敵が、一体どころか四体……!?
「前言撤回。これはかなりヤバいかも」
『『『『バラバラになっちゃえよ、アッハハハハァ!!』』』』
 狂気の刃が迫る。竜二郎は躱そうとする、だが――間に合わない!

 ……かに、思えた。
 そこに割り込んだのが桜人のエレクトロレギオンと、もうひとつ。
 振るわれたのは馬鹿げたほどに巨大な錨、そしてそれを持つ猟兵は……。
「まったく、無茶するのだわ! あなたバカなのかしら!?」
 ぶおん、と錨を無造作に振り回し、褐色の少女は不敵に笑った。
 その名はフィルマリナ・ガラクシア。星と海に生きる神の海賊であった。
「うーん、カッコつけていたのは事実ですね! すいません!」
「そんなあっけらかんとされると怒る気も失せるのだわ……まあいいか。
 そっちが大勢で来るなら、こっちだってひとりふたり加勢してもいいでしょ?」
 フィルマリナは、エレクトロレギオンを、次いで後方の桜火を見た。
 その当人は、まるで気付いていないかのようにわざとよそ見をしている。
 どうやらだいぶいい性格をしているらしい。フィルマリナは肩をすくめた。
「すべての事情がわからずとも、何をするべきなのかはわかっているのだわ。
 あなたもそうでしょ? 格好つけの男の子。で、どうするのかしら?」
 フィルマリナの挑発的な眼差しを受けて、竜二郎は鼻頭を掻いた。
「そりゃあ――決まってますよ。赤き花の代わりを僕が務めます!
 生命を守り、大地を守り、そして生と死、赤と青の境界を守ります」
 そう言い放つ竜二郎の背後に、力ある竜のヴィジョンが揺らめいた。
 ヴィジョンは竜二郎自身と重なり合い、離れ、うつろう。
「起きろベニバナ。僕らの拳が届く限り、邪なる夢の好きにはさせない!」
「いい啖呵だわ。男ってのはそれでこそよ」
 フィルマリナはこれみよがしに桜人を見る。もう知らぬふりは通じない。
「……そういう暑苦しいの、私は専門外なのでー!」
「情けないのだわ。ならばアタシも手本を見せてあげましょう!」
 青い瞳が星のようにきらめき、同じ青髪は波のように揺らめいた。
「たとえ目に見えていなくとも、道標はいつもそこにあるのだわ。
 立ちふさがるものはすべて蹴散らす。覚悟はいいかしらね、電子の怪物!」
『『『『雑魚どもが、べらべらうるせーんだよォ!!』』』』
 ジャガーノート・カゲミツが恐るべき魔剣を振り上げて襲いかかる!
 同一存在ゆえにその連携は極めて高度であり、回避は不可能だ。
「でもそういうのって、かき乱すと簡単に足並み崩すんですよねえ」
 そこで絶妙なタイミングで茶々を入れるのが、桜人という男だ。
 エレクトロレギオンの一斉射撃。ダメージではなく妨害を狙った搦め手だ。
 弾幕はジャガーノート・カゲミツの突進を堰き止め、間隙を生む!
「じゃあ、殴りますか!!」
「ええ、ぶっ飛ばすのだわ!!」
 竜二郎とフィルマリナが跳んだ。その速度、まさしく烈風の如し。
 竜のヴィジョンが竜二郎と重なり合った瞬間、神速のラッシュが放たれた!
 そして勇気ある乙女の錨が、竜巻じみて破壊を巻き起こす!
 強壮なる怪物の鎧が、刃が! 竜と神の牙によって砕かれる!
『そ、そん、な……!!』
「夢は醒めるものなんですよ。――おやすみなさい、さようなら」
 竜二郎は瞼を伏せて言い、愕然とする怪物の頭を殴り砕いた。
 暴風の中から放たれた鉄の星が、寄生未完了の子供たちの装置を破壊。
 一瞬にして破壊は過ぎ去り、あとには眠るように気絶した子供たちだけが残る。
「回収と保護はおまかせなのだわ。そのためにいるんでしょ?」
「そうでーす。なので私のことはお構いなくー」
 呑気な声で言う桜人のほうを見て、竜二郎は言った。
「いやあ、感謝しますよ! こういうハイテクな敵、僕苦手なんで!」
「奇遇ですね、私もです。なので残りもお願いしますね」
「調子のいいやつ。言われるまでもないけどね」
 フィルマリナは錨を担ぎ、竜二郎を見やった。
 少年の姿をした竜神はつかの間遠い目をし、思い出したようににへらと笑う。
「あ、そうですね! 僕、そのぐらいしか出来ませんから」
 さらなる怪物が立ちふさがる。そしてふたつの風が、邪悪へと再び挑みかかった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ジャガーノート・ジャック
★レグルス+凪の海

(嫌な予感は的中したという訳だ。そして)

(ザザッ)
此処でお前の顔を見るとはな。
(イーグル他は二人に抑えて貰い、白峯、もとい"ポーラー"と対峙する。)

此処にはお前が求めるものはないぞ。
――いや、余計な世話か。どうあれ逢ったからには倒すのみ。
いつかの続きだ、筋肉熊ゴリラ。

(ザザッ)
その身体になる前も
なった後も知ってる。
癖から行動を読み躱し迎撃する。(学習力×見切り×狙撃)

――なあ
こうなる前にお前達を知る努力をしていれば
何か違っていたんだろうか。

――そうだな
"そうはならなかった"んだ。
過去は覆りはしない。お互いに。

母親は元気だ。
それだけは伝えておく。

じゃあな、ガキ大将。(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス+凪の海

(翼持たぬ己たちの前には)
…ジャガーノート・イーグル。
(苦いくらいに
おれは、その姿を知っている)

お前にジャックの邪魔は、させない。
こどもを連れて行かせも、しない。
……鳴。お前の翼を貸してくれ。

(以前。あれは自分に並ぼうとするものに反応した
勝ちたがりの、こどもだ
「鳴烏」
高く、疾く
匡が子供たちを助ける間、太陽烏の姿を借りて飛び回りイーグルを惹き付けよう
戦場へ光を注ぎ、あの機械どもの弱点を晒させながら
白日の下へ、射手の前へ鷲を誘い出す)

狙いはいいか、匡。


鳴宮・匡
◆レグルスと共闘


一通り情報の共有は済んでる
――敵陣容の把握も

白いのはジャックが相手取るんだろ
じゃあ、まずは周囲の掃討からだな
邪魔はさせないさ、思いきり戦ってこい

地上戦闘は、通常の銃器を用いて行うよ
寄生体は眼で視て、実際に子供たちを捕えている個体と
異次元から現れたそうでない個体を判別
それぞれ狙う箇所を変えて対応する
前者なら寄生デバイスを排除すれば行動不能になるだろう
――少なくとも、救える命を取りこぼす道理はないさ
ジャックとの約束でもあるしな

黒い鳥型の接近までは地上勢力の掃討に努める
ロクの姿が視えたら【無形の影】を狙撃に適した形態へ移行

――ああ、もちろん大丈夫だ
次弾は考えない、一撃で仕留めるよ


●圧倒的破壊、あるいは救われなかった子供たち
『アァアァアアアアアアアアアッッッッ!!』
 子供の癇癪をサイレンで拡大したような、耳障りな咆哮。
 氷の岩とでも呼ぶべき巨躯は、ただただ怒りのままに吠えた。
『殺す!! 殺す殺す殺す殺す殺してやらァアア!! テメェら!! 全員ッ!!』
 ジャガーノート・ボーラー。強大なるネームド個体の一。
 そいつは自慢の――自ら望んで得た爪を振るい、すべてを引き裂こうとした。
 猟兵を? いいや、それだけではない。"同じジャガーノート"をも。
 寄生未完了の子供たちを、その黒いシルエットをまとめて裂こうとした。
 同型オブジェクトであるとか、そんなことは彼には関係ないのだ。
 すべて邪魔だ。殺してやる。そうして怪物になった彼には。

《――相変わらずだな、"白峯"》
『!!!!』
 しかしその破滅の爪は、砂嵐によって堰き止められた。
 赤いバイザーが浮かび上がる。そして、黒いスリムなシルエットが。
《――此処でお前の顔を見るとは思わなかった。嫌な予感は的中したらしい》
『…………その声。そうか、そういうことかよ』
 たとえ電子ノイズで偽装されていようと、わかるものだ。
 同じ"ジャガーノート"だからだろうか。あるいはその因縁ゆえか。
 閾値を越えた怒りを抱え、ジャガーノート・ボーラーはそいつを睨んだ。
 己を滅ぼすためここに来たもう一体の怪物、もうひとつの圧倒的破壊。
 ジャガーノート・ジャック。あるいは、別の名で呼ばれるべき少年を。
《――此処にはお前が求めるものはないぞ。お前はすでに一度》
『黙れよ』
《――そうだな。余計な世話だった》
 煮え立つような声に対し、ジャックは悪びれずに言った。
《――お前の隙にはさせない。お前は誰も殺せない》
『……ハ。ハ、ハ、ハハハハハハハッ!! なんだテメェ、なんだそりゃあ!!
 同じ化け物のくせにヒーロー気取りかよ!? 同じ化け物のくせによ!!』
《――本機とお前は違う》
 ジャックは静かに言った。
《――本機(ぼく)は、お前よりも強いのだから》
『……………………』
 氷岩は身じろぎひとつしなかった。怒りが底を抜けたのである。
 何を偉そうに。こいつは。無様にも逃げ出した弱虫なあのいじめられっ子が。
 怪物の意識は正しく"そのまま"だった。それがオブリビオンの限界であり皮肉。
 過去の残骸たるその身は、進歩することも成長することもない。
 抱えた怒りも、後悔も、執着も、永遠に消えることは、ない。
《――いつかの続きだ。筋肉熊ゴリラ。お前を、殺してやる》
 ジャックは言った。けだものは、恐るべき咆哮で応えた。
 すべてを殺す爪と砂嵐が激突し、常人には手出しできぬ破壊が吹き荒れた。

『なぁんだよォ~、つまんないなァ。絶対邪魔したほうが面白いのにさぁ!』
 対して、もう一体のジャガーノート……イーグルは退屈そうに言った。
 相対するのはロク・ザイオン。その目は、融けた鉄めいて熱くも冷えている。
「お前に、ジャックの邪魔は、させない」
『へぇ? 言うじゃん。ああ、もしかしてボクのこと知ってんのかな?』
 オブリビオンは記憶を継承しない。それはジャガーノートとて同じことだ。
 ゆえにロクの前に現れたイーグルは、"あのとき"のイーグルとは違う。
 あの悪辣な哄笑も、捻じ曲がった快楽気質も、何もかもそのままだが。
「お前に、ジャックの邪魔は、させない」
 言い含めるように、ロクは復唱した。
「こどもを連れて行かせも、しない――お前は、おれが倒す」
『面白すぎて逆に笑えないや。勝てるわけないじゃんかさァ、このボクに!!』
 キィイイイイイイイ……と、耳障りなエンジン音が響き渡る。
 発射寸前の大気が張り詰めて膨れ上がる。愉悦まじりの殺意を受け止める。
 脳裏に思い浮かぶのは、けして勝利とは言い難い己の姿。
 ロクはその苦々しい過去の映像をあえて引き伸ばし、脳裏に焼き付けた。
 己を超えるのだ。克己(グロウアップ)はとうに済ませた。
 相棒が因縁と相対しているのに、己が尻込みする理由などあるものか。
「……鳴、お前の翼を貸してくれ」
 霊符を手に、ロクは祈るように目を閉じた。
 やがてその姿は、巨大な巨大な一つ目の鳥へと変貌する。
『――ハ! ハハハハッ!! ボクに"そいつ"で挑むって!? お前、バカかよ!!』
 あまりにも不敵な挑戦。イーグルは、それに抗うことが出来ない。
 プライドがそうさせない。一瞬あと、ふたつの翼は蔦の天蓋を破り空へ舞う!

 白きけだものと黒き騎士がぶつかり合い、破滅を撒き散らす。
 頭上ではふたつの翼がDNA螺旋めいた軌跡を描き、互いを切り裂いていた。
 それらを同時に知覚しながら、鳴宮・匡はたったひとりで寄生体を相手取る。
 寄生は未完了とはいえ、"ジャガーノーツ"の戦闘力は無視できぬものだ。
 さらに異次元から襲来するネームド個体も、放っておけばねずみ算式である。
「けど、悪いな。お前ら(ジャガーノート)のことは、よく知ってるんだ」
 救えぬケースがあった。
 ネームド個体との戦いがあった。
 因縁に触れたとしても、匡は他人事めいて遠くにそれを見ていた。
 今はどうか。トリガを引く指先は変わらず醒めていて、狙いは無慈悲だ。
 寄生体の中枢を撃ち抜き、比較的侵食程度が低い者から救出する。
 飛来するネームド個体の攻撃を横っ飛びに回避。起立からの三点バースト。
 頭部を撃ち抜かれたネームド個体が爆散する。憐憫はなく。
(救える命を取りこぼす道理はないだろ)
 相棒のように、その所業に怒りを燃やすことはしない。いや、出来ない。
 ただ、仲間のために、この力を使いたいという欲求はあった。
 それは、熾火だ。冷たく乾いた心に生まれた、小さな種火。
 いのちを守り、救うことが、その熱を守り育てることに繋がるなら。
 おそらくは――それこそが、己にとっての"勝ち"なのだ。
『邪魔を、するなよ! 猟兵ッ!!』
 見慣れぬネームド個体が子供の声で吠えた。
「いいや。邪魔するよ。何度でも、何回でもな」
 応えたのは銃声。弾丸は狙い過たず脳髄を貫き怪物を死滅させる。
「俺は勝ちに来たんだ。お前たちみたいなのは、もう増やさせない」
 慣れ親しんだ死神の鎌は、その決意によく応えた。
 また一体、また一体と子供たちが開放され、眠るように気絶する。
 救助する余裕はない。おそらくそれは別の猟兵がやってくれるはずだ。
 頭上を一瞥。高速のドッグファイトはいよいよ最高潮に達していた。
 ジャックのほうは――考慮しない。彼は、"任せろ"と請け負ったのである。
 ならば、そうする。あれは、誰でもない弟分の戦いなのだから。

 ――ガギンッ!!
『アアアアアアア畜生畜生畜生畜生!! なァんで死なないんだよテメェはァ!!』
《――本機はお前たちを殺しに来た。死ぬ理由がない》
『クールぶってんじゃねえぞテメェエエエエエエ!!』
《――まだわかっていないんだな、白峯――いや、"ボーラー"》
 振るわれた爪を受け流し、レーザーファンネルで装甲に亀裂を走らせる。
《――お前も僕も、もうただの子供じゃない。お互いに怪物だ》
『うるぜェエエエ!! 俺は……俺はッッ!!』
《――"ジャガーノート"はすべて破壊する。それが本機の使命だ》
 電撃。大振りな爪を高速移動で回避し、背後に回り込んでのゼロ距離射撃。
 装甲が火を吹いた。ボーラーは苦悶に呻いて蹈鞴を踏む。
《――あるいは》
 "こうなる"前に、お互いのことを知ろうとしていたのならば。
 勇気を出していたならば、何かが変わっていたとでも?
『変わるわけ、ねェだろうが!!』
 ガキ大将は吠えた。
『お前はウジウジ鬱陶しいガキだ!! それは何も変わらねェ!!』
《――そうだな》
 たとえ彼がどれだけ成長したとしても、"奴"の中ではそうなのだろう。
 それがオブリビオン。過去の残骸。変化も進歩もしないモノ。
 かつて在りしものの残り香。もうどこにも居ない誰かの残影。
《――"そうはならなかった"。過去は覆りはしない。お互いに》
『納得、出来るかッ!! そんなお為ごかしでェ!!』
《――ならばそのまま死ね》
 ZAP――無慈悲なレーザーが、ボーラーの胸部を貫いた。
『が……ッッ』
《――……母親は元気だ》
『!!!!』
 "白峯"が、凄まじい形相で己を睨んでいるのがわかった。
 ジャックは何も言わない。こんなもの、手向けでもなんでもない。
 過去は変わらない。だからこれは、自己満足。他愛のないエゴイズムだ。
《――じゃあな、ガキ大将》
 氷岩は融けて崩れて砕ける。あとには何も遺らない。
 もうすべては失われた。約束だけがここにある。
 またあいつが現れたとき、自分は同じように言葉を送るのだろうか?
 ……くだらない話だ。己は圧倒的破壊(ジャガーノート)。
 同じ怪物は破壊する。徹底的に。無慈悲に。必然的に。……感傷的に。
《――……変わるってのも、それはそれで楽ではないんだ》
 少年は、仮面の下でひとりごちた。

『ボクの!! 前でッ!!』
 そしてふたつの翼のドッグファイトも、いよいよ岐路にさしかかっていた。
『ボク以外のゴミが!! 得意げに飛び回るんじゃねえよッ!!』
 ミサイル攻撃。巨鳥と化したロクは被弾を受け入れてそれを受け流す。
 光が降り注ぐ。青き火は畏れるように退いた。
 イーグルは気付いていない。眼下で狙いを定める影の射手を。
(――匡。狙いは、いいか)
 ロクは言葉なくして思った。そして大きく翼を広げた。
 イーグルからすれば、それは諦めた獲物が最期を受け入れた姿に見えたろう。
 だが違う。一直線に飛翔する鷹を、死神の目が捕らえていた。
「もう十分だろ。――地に落ちる時間だぜ」
 弾丸が放たれる。黒き影を纏いし魔弾は、地から天へと届いた。
『…………あ』
 イーグルは喪失感を味わう。そして、重力に体を引かれる忌まわしい感覚。
 翼をもがれた哀れな子は自由落下していく。巨鳥が遠ざかっていく。
 そして。青い空が。誰にも邪魔されない自分だけの最高の遊び場が。
『嫌だ、ボクは』
 ぐしゃん、と鈍い音がした。
「……これで最後だ」
 匡は無残な落下地点の有様を一瞥すると、呟いた。
 怪物どもの狂宴は、痛いくらいの静寂によって幕を下ろす。
 その亡骸を、青い火が飲み込み、そして灼き尽くしていった……。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『アフスズルト』

POW ●強撃
【邪神の速度と剛力から繰り出される猛連撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD ●殲滅
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【蒼焔によって鍛え上げられた邪神武器】で包囲攻撃する。
WIZ ●創傷
攻撃が命中した対象に【この戦いに勝利しても消えない邪神の疵跡】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【魂をも灼き尽くす必滅の蒼焔】による追加攻撃を与え続ける。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●UDCアース・日本某県:騎野西谷――深淵部
 青い火は、長く続く回廊を照らす篝火めいて燃えていた。
 深く深く、根の国に続くかと思えるほどに深い亀裂めいた谷の奥底。
 そこには注連縄を巻かれた、巨大な岩戸が鎮座していた。
 はたして、それは一体どれほどの世紀を閲してきたのだろうか?
 十や二十では効くまい。おそらく百の世紀を越え、万の年月を耐えてきたのだ。
 ……だがそれも、いまにも青い火によって砕け散りそうだった。

 猟兵たちは、あえてその軛を自らの手で断つ。
 邪神が自ら封印を解くのではなく、あえて解き放つ。
 そこに呪術的意味がある。つまり、邪神が取り戻す力の問題だ。
 たとえその差が刹那であろうとも、復活が「予期せぬもの」であるならば、
 必然的に神たるその霊格は凋落し、滅殺可能な存在として顕現しうるのだ。

 ――はたして。
 砕けた岩戸は青い火に呑まれた。
 地を、壁を、天蓋めいて空を覆う蔦をも焼き尽くすその鬼火は、
 まるであるじの帰還を歓喜する、この世ならぬ邪鬼の群れにも思えた。
『……此方は、ここに再び舞い戻りたり』
 闇より現れたるは、獣身巨躯の異形の魔神。見上げるほどの大邪身。
 頭部があるべき場所には、恐ろしき魔の蒼炎が燃え上がる。
 獣身の前肢を合せれば、六臂である。その四つ腕の中で青い炎が燃えた。
 炎はやがてこの世ならざる鋼を鍛え上げ、すさまじく巨大な大剣と槍となる。
 風が渦を巻いた。吐き気を催すほどの邪気が満ち満ちていた。
『口惜しいかな。此方に侍るべき鋼の獣どもは、すべて朽ちて滅びたか。
 猟兵よ、天敵よ――其方らの戦いを此方は視たり。そして此処に知る。ゆえに』
 神の聲は朗々と言った。
『此方の名は"Ahcszlut"。灰の野を歩み、魂をも灼き尽くすものなり』
 人の発声器官では、力あるその御名を唱えることは出来ぬ。
 ゆえに"それ"は、旧き禁書において注意深くこう呼ばれていた。
 ――アフスズルト。あるいは、"灰の野を歩むもの"。
 必滅の碧焔によりて、星をも灼き尽くすもの。猛き武神。けものの王。

 あふすずると!
 や・が・はあぐ・じゃうれむ・ふたぐん!
 あふすずると!
 や・が・はあぐ・じゃうれむ・ふたぐん!

 青い火の燃える音は、たしかに名状しがたい呪文を唱えた。
 おお、我らの王。我らの神。我らのあるじ。いまここに帰還せりと。

『此方は力ある者に敬意を払おう。その挑戦を受け入れ、相対そう』
 神は言った。
『ゆえに名乗るがよい、天敵よ。其方らの名を。それこそが戦の礼なり。
 竜神とて此方を滅ぼすには至らず。猟る者どもよ、運命に挑むがよい』
 不遜。されど不思議と、そこには戦士の礼節があった。
 強大なる神は、しかし予期せぬ復活によりたしかに弱体化している。
 今ならば、倒せる。ゆえにここで逃げることは不可能だ。
 忘れじの灯が紡ぎし因果を、いまここで断つとき。
 滅び逝きたる竜に代わり、かの邪神を討つべし!

●プレイング受付期間
 2020/08/02 23:59前後まで。
朱酉・逢真
名乗りねぇ。っひ、いいよぉ。ご期待に添えそな名前もあらぁ。昔とった杵柄だ。毒を注ぐように朗朗名乗ってやっから、しっかり聞けよぅ。

『私の前に神は獣と枕を並べ 王は奴隷と酒坏を交わす』
『私の前に城塞は砂塵と吹き 海は干上がり枯れ果てる』
『私は汝の過去、忘遠の果て 汝が恐れ棄て失ったもの』
『私は終わり 私は暗がり 命を追い、はてに届くもの』
『私は死("Death")』

汝、邪神。愛しき世界の“病み"。世界を侵す“毒"よ。腕の中へおいで。抱きしめてやろう。怖いこたぁない。誰にでもくる終わりだ。誰でも迎える門出だよ。怯えるならいっしょに居てやろう。
さあ――かみさまが来たよ。


●神と神
 朱酉・逢真の像が――人たる宿のシルエットが、ブレた。
 それは甘やかな毒にほぐされる肉のように腐り、ぐずぐずと崩れていく。
『――……ほう』
 そのさまを見て、強大なる邪神は、おそらく感嘆めいた声を漏らした。
『これは驚いた。其方……否、"貴様"のような者が、生命の祝福者たるとは』
「ひ、ひひ。そりゃそうだろぉ? だって"俺"は、誰よりも生命を寿ぐものだ。
 ま、その様子じゃわかってるだろうがよ……名乗れと言われたからにゃ、ひひ」
 肉が腐り、骨が崩れ、目玉はひしゃげ、歯が錆びていく。
 髪は抜け落ち爪は液体に変わり、それはもはや人の形をしていない。
「昔取った狐塚だ。朗々名乗ってやらぁ――しっかり聞けよぅ」
 ごぼごぼとした声が言った。邪神は仕掛けない。
 仕掛けてはならぬことを、知っているからだ。

 ――私の前に神は獣と枕を並べ、
 王は奴隷と酒盃を交わす。

 ――私の前に城塞は砂塵と吹き、
 海は干上がり枯れ果てる。

 ――私は汝の過去、忘遠の果て、
 汝が恐れ棄て失ったもの。

 ――私は終わり。

 ――私は暗がり。

 ――命を追い、はてに届くもの。
 
『此方は貴様を知る。貴様は此方が振りまくものであり、此方が唯一畏れるもの』
 邪神は言った。
『貴様が此処に来たるは運命か。此方が滅びるものと定めた世界の結論か』
 邪神はされど、身震いしていた。
 それは対等なるものへの敬意、敬服、畏怖、そして喜び。
『おお、甘美なり。
 おお、苦渋なり。
 おお、懐かしや。
 おお、忌わしや。
 貴様こそは――』
 邪神は指した。それは、同じように名乗った。

            Death
『「貴様(わたし)は、 死  なり」』

 直後、邪神が跳んだ。一切の躊躇なき強襲、紛れもない強撃である。
 人には見えず悟れず避け得ず防ぎ得ぬ一撃。死はそれを抱きとめた。

 ――汝、邪神。愛しき世界の"病み"よ。世界を侵す"毒"よ。

『オオオォッ!!』
 咆哮。六臂が一秒に八十の打撃を叩き込む。死が霧散した。
 収束。青い火が残滓を灼く。邪神は尾を放ったのち大剣を振るう。
 腕の形をした毒がそれを受け止める。鋼が腐り落ちた。続けて槍の一撃。

 ――腕の中へおいで。抱きしめてやろう。

 "腕"が邪神に到達。一瞬にして邪神の体躯の七割が腐り堕ちた。
 蒼焔が燃え盛る。毒素を焼灼し、竜脈より汲み上げた力によって縫合。
 双鎌の左右同時斬撃。"頭"は刎ね飛ぶ。一瞬あと、"頭"が戻っていた。凝視。
 ……微笑。邪神はびくりと竦んだ。蒼焔が笑顔に沿って死を灼く。

 ――怖いこたぁない。誰にでも来る終わりだ。誰でも迎える門出だよ。

『恐ろしや。されど悲しや。貴様もまた、宿に身を縮こませたるか』
 邪神は毒に侵され浸され一秒の間に七度死にながら、嘆いた。
『かつての貴様であれば、此方をすでに十二度は滅ぼせていたであろうに。
 此方はいまだ滅ばず。此方はいまだ旅立たず。此方を喰らいて神となるか』

 ――言ってくれるじゃあねえか。お前さんだって同じだろう?

 魔剣鍛造。四臂による同時斬撃、合わせて二十。全身を分割。
 死は再生した。人のかたちを取ろうとして腐り崩れ、黒の靄となる。
 末端は赤く染まり、黒は白へと変じた。死は再生の象徴である。
 生命よりもっとも遠く、生命を奪うものは、翻って生命を証明しうる。
 ゆえにその身は生命の祝福者として選ばれた。未来を生み出すものとして。
 過去を滅殺することで未来は生まれる。邪神はそれを知っていた。
 赤白い、赤子のような手がぞわりと沼めいて伸びた。青火はそれを滅殺する。
 極大剣、鍛造。正中線を斬る斬撃、両断された死はけたたましく笑う。

 ――ほらな。俺を殺せやしない。

 肉塊が爆ぜた。千を超える《獣》どもが邪神を飲み込む。
 青火が抗う。互いに殺し、再生し、殺し、再生し、それは終わらぬ。
 同じ神であるがゆえに。
 同じ死であるがゆえに。
 彼方の神は死をもたらすものであり、
 此方の神は死によりそうものである。
 完全な拮抗。両者はぐるぐると太極印めいて混ざり離れ淀み澄み融けて固まった。
 滅殺の青と生死の赤がぐちゃぐちゃに絡まり、衝撃とともに離れる。

 ――っひ。ひひひ。ひひひひ、ひひひひひ!

 死は嗤った。これは神の貌だ。人にはその笑みの理由を悟れぬ。
 身を捩りたくなるほど嬉しいのだ。《あの女》ほどではないが、なるほど。
 ともに滅と死では、喰らい合い奪い合い補強し合いこうもなるか。
『死よ。此方を食らうものよ。毒を以て毒を制すものよ』
 青炎が燃え上がる。おそらくそれは、同じ歓喜を示していた。
『此方は喜悦を感じれり。死よ、此方の亡骸は貴様にくれてやろう』
 神は識った。己はここで滅ぶと。なぜならば死がここに居るのだから。
 その軛を断つのが誰かはわからぬ。だが己は死ぬ。神はそれを受け入れた。
 死は必然。死は当然。死は救済であり死は安寧だ。終わりではない。

 ――ああ。かみさまが見守っていてやるさ。存分に暴れな。

 それの声音は、母のように優しく、父のように静かだった。
 死は識っている。人は、神すらも殺しめるということを。
大成功 🔵🔵🔵

ジャガーノート・ジャック
★レグルス+凪の海

(ザザッ)
――感傷に浸ってる場合ではないな。

名乗れと言われれば名乗ろう。
ジャガーノート・ジャック。レグルスの一柱にしてお前を乗り越えて征く者だ。
行くぞ、ロク、匡。作戦行動を開始する。

(ザザッ)
チームの防護役を担う。
"TORCHICA"起動――壁面操作。焔は重ね掛けした壁面を用い使い捨ての盾代わりにする。(庇う×操縦)
尚且つ壁を匡とロクが利用しやすい様に使用。ロクなら三次元的な足場代わりに、匡なら身を隠し焔を遮る遮蔽物として使える様配備。

本機も狙撃にて二人を援護(援護射撃×スナイパー)し敵の隙を突きやすくしつつ――チェックメイトはロクに任せる。
匡と本機で援護する。
行け、相棒。


鳴宮・匡
◆レグルスと共闘


名乗る必要があるならそうするさ
……チーム・アサルトの鳴宮匡だ
別にお前に恨みがあるわけじゃないが
滅びとやらを受け入れる気もないんでね
ここで倒させてもらう

影の魔弾で焔を相殺していくよ
ひとつの瑕も二人に残すわけにいかない
勿論、俺自身も下手を打つわけにはいかないけど

防壁のお陰で攻撃の軌道はある程度制限されるだろう
防壁が防ぎきれないものを相殺しながらロクの進路を確保
同時にこちらも、敵を射程に捉えられる位置まで移動しておくよ

ロクが駆け上がるのに合わせて、こちらは相手の動きを止める
六ある腕を、可能ならばすべて同時に機能不全にする
一瞬でいい、ロクの速度ならそれで十分だ

――じゃあ、任せたぜ


ロク・ザイオン
★レグルス+凪の海

(青くとも。赤くとも。花は花だ
咲き得る地に咲くを阻むものを
地の御旨を乱す病を、森番は心底忌む)
 
ジャック。匡。
行こう。
炎と灰の在り方を。あの嫌な奴に教えてやる。

――ロク。レグルスをやっている。
森番。
お前のような、ただの病を、灼くものだ。

(此処は谷底、壁面には事欠かない
ジャックの生み出す壁も含め【地形利用】
病の位置は二人の射線が教えてくれる
真の姿を解き放ち【ダッシュ、ジャンプ】、【早業】「烙禍」
死角からジャックの防壁を脆く撃ち抜き
病本体に迫り「烙禍」で【焼却】する)

おれがお前を灰にしてやる
土に、花に、この地のあらゆる小さきものに喰われろ、お前は、
――森の糧になれ。


●炎と灰の在り方
 竜脈の力が、この場に集っている。
 力の行き先は大きく二種――つまり、猟兵と邪神である。
 まるで竜脈は、意志を持つかのように猟兵たちに味方していた。
 だが同時に、邪神はその一部をもぎ取り、解し、己のものとしていた。
 青い花はその発露だ。邪神は長く永く、この地を侵していたのである。
《――……感傷に浸っている場合では、ないようだな》
 長い沈黙のすえ、ジャガーノート・ジャックが顔を上げた。
 鳴宮・匡もロク・ザイオンも、彼を慮って言葉はかけない。
 それが不要であることをふたりは識っていたし、なによりも。
「……ジャック、行けるな?」
 匡は目線を邪神から逸らさない。否、"逸らせない"。
 永きに渡る封印と急激な復活により、たしかにその霊性は凋落している。
 だが……たとえるならば、海を半分埋め立てたとして、それは湖になるだろうか?
 否。であれば、四分の一ならば? これも否である。
 八分の一、十六分の一、三十二分の一――海は、おそらく海のままだ。
 これは、斃せる。斃せるが、それが易いものかと言えば、否。
 そもそもの霊格が莫大なものであれば、百に削ったところで神は神である。
 つまり……匡は一瞬とて(もとより彼はしないが)油断が出来なかったのだ。
「…………」
 ロクはじっと、獲物を狙う狩猟獣めいて、青い目で青火を睨んでいる。
 たとえ邪神が穢したものであろうが、花は花。それ自体に罪はない。
 だがあの火は違う。あれは、何も産まぬ。何も齎さぬ。何も殖やさぬ。
 ただ滅ぼし殺す、そういうたぐいの"もの"だ。あってはならぬ"もの"だ。
 地の御旨を乱す病。忌まわしきもの。灰の野を歩むもの……。
「……ジャック、匡、行こう。炎と灰の在り方を、あの嫌なヤツに教えてやる」
《――ああ》
「そうだな」
 ふたりは頷き、ともに並んだ。
 神は不動である。それは、彼らの名乗りを待つための不動だ。
「……ロク。"レグルス"をやっている。森番だ」
 ロクは眦を決した。
「お前のような、"ただの病"を、灼くものだ」
 邪神であろうが、強大なるものであろうが、病は病だ。過去は過去だ。
 ロクはそう言い切った。そんな彼女の肩を叩き、ジャックは云う。
《――ジャガーノート・ジャック。レグルスの一柱、お前を乗り越え征く者だ》
 匡は最後に銃のスライドを引き、短く息を吐いた上で言った。
「……チーム・アサルトの鳴宮・匡」
 恨みはない。怒りもない。だが、滅びを受け入れるわけにはいかぬ。
 ここで斃す。彼らの名乗りには、その強い強い決意が込められていた。
『善き哉』
 灰の野を歩むものは言った。
『此方は其方らの名を憶えたり。蒼焔を以て滅しよう』
 四臂に携えた邪神武器がどろどろと、飴のように溶け崩れていく。
 それは武器の形をした青き焔と変わり、従者たる火もまた燃え上がった!
 さながら、決戦場を仄明るく照らす幽鬼の火めいて……!
『――参るぞ』
 宣誓。直後見上げるほどの巨体が、一切の予兆なく消えた……!

 目にも留まらぬ疾さを、風のようだとたとえることがある。
 邪神の速度を人の言葉で表そうとするならば、それでは足りなかった。
 嵐だ。音も光もなく大地を蹴立てた獣の足は、そこに局所的な嵐を起こした。
 音の風が爆ぜて、衝撃波を撒き散らす。がりがりと爪が地面を引っ掻いた。
 最初に振り返ったのは匡。彼の目はかろうじて邪神の速度を捉えていた。
 アフスズルトは、壁を三角飛びして一瞬にして彼らの背後を取っていたのだ!
「――させるかよ」
 BLAMBLAMBLAMBLAM!!
 影の魔弾が放たれ、飛礫めいて飛来した蒼炎の塊を打ち貫いた。
 "黒蝕の影"は、そもそもユーベルコードの発動起点を"殺す"力である。
 だが、邪神が焔を放つ瞬間にわずかに遅れた。影と焔は相殺され滅消。
「焔(あれ)は俺が抑える。ジャックは本体を頼む」
《――オーヴァ》
 ざりざりとノイズがニューロンに伝わった瞬間、大地が轟音をあげた。
 "TORCHICA"。戦場全体を制圧し、自在に防壁を生み出す術式だ。
 ロクは前に跳躍している。まず彼女の予測軌道に合わせて十枚。
 ジャガーノートと匡の前に分厚い防壁を五枚。さらに後方に六つ。
 ジャックと匡は同時に左右斜め後ろへ跳躍した。五枚の防壁が"蒼熱"する。
 溶け崩れた防壁の残骸がめらめらと燃え上がる。熾火だ。
 ロクは二度目の跳躍――を、断念。両手両足で地面を爪立てて減速。
 骨がきしむ音を聞きながら真横に跳んだ。眼前の防壁が蒼熱し溶け崩れる。
 頬を影の魔弾がかすめる。眼前50cmで蒼の火炎弾が相殺。飛沫が髪を一房灼いた。
「ぐるぅ、ぁああああっ!!」
 喉を絞りウォークライ。炎が燃え上がりばちばちとたてがみがなびく。
 足場代わりの防壁へ跳躍。先んじて飛来した蒼焔は匡が撃ち落とす。
 足場に着地、真上に跳躍。足場は一瞬にして溶け崩れた。邪神が跳ぶ。
《――させるものか》
 ジャックは片腕に砂嵐を収束、擬似的にジャガーノート・ポーラーの装備を模倣。
 巨大氷爪を遠隔射出。音速を越えた爪が邪神の前脚と相撃、砕けた。
 追い打ちのレーザーファンネル連射。アフスズルトの蒼き焔は光を飲む。
 約コンマ三秒の間隙。ロクは手近な防壁を一瞬で裁断、瓦礫を尾で蹴り飛ばす。
 赤熱した残骸は飛礫となった。神は右上腕の剣型蒼焔でこれを薙ぎ払う。
 左下腕の槍型蒼焔をロクめがけ投擲。匡、装填弾丸をこの一刀に叩き込む。
(リロードする余裕はないな)
 匡、拳銃を手放す。地面に隠匿していた狙撃銃を蹴り上げ、キャッチ。
 蒼焔到達。特殊鉄鋼魔弾が眼前20cmで相殺、魔弾はさらに秒速400mで飛翔。
 アフスズルトは右下腕に握った斧型蒼焔を盾状展開、影魔弾焼滅。
「燃え、堕ち――」
《――ロク、下がれ!》
「!!」
 相棒の警告は一瞬先んじた。ロクが斬りかかった間隙は邪神の罠だ。
 ロクは大気を灼くことで空中で捻転、きりもみ回転しながら急制動をかける。
 同時に、アフスズルト左上腕の剣型蒼焔が彼女の焔を薙ぎ払った。無傷。
『見事なり』
 邪神は状況判断、戦力脅威度を算出し直し蒼炎武器を再生成。
 匡は狙撃銃を手放す。影が二挺短機関銃を生成、下部銃身めがけフルバースト。
 上半身がこれを迎撃。両下腕に顕現させた槍型蒼焔が魔弾滅殺。突撃敢行。
 ロクとの相対距離、約45メートル――10メートルへ。邪神眼前に防壁出現。
 ロク、刃を突き立てブレーキ。ジャックが入れ替わりに跳躍。
 砂嵐形成。爆ぜた防壁残骸が降り注ぐ。複製反転、邪神は意に介さず。
『縫い留められよ。其方には地の虜囚が最適なり』
 両下腕の槍型蒼焔による刺突、ロクは地面にさらに刃を突き立てた。
 そして咆哮。満身の力を込めて地面を"抉る"。散弾が蒼焔を退けた。
 同時に匡の連射妨害。双槍消失。ジャガーノートが上半身へレーザー射撃。
 両下腕が翳される。レーザーファンネル自壊、ジャックは外装を一部パージ。
 残骸が蒼く燃え上がる。匡は全残弾の狙いを上半身上腕に集中、狙撃。
 斬撃妨害。ロク跳躍。邪神下段獣身、両前脚でロクを迎撃――爪撃命中。
 だが蒼焔はない。ロクは空中で身を捻った。血の霧が彼女を包み、護った。
 蒼焔のロク表皮到達がコンマ二秒遅れる。ロク。火の輪をくぐり滅殺距離へ。
 匡、投げ捨てた拳銃を蹴り上げ二丁同時射撃。後ろ脚を縫い止める。
 蒼焔は影魔弾滅殺に費やされる。ジャガーノートは叫んだ。
《――やれ、ロク! 本機が盾を作る!》
「おーば!!」
 邪神は真正面からの突撃を警戒した。だがそこに現れたのは防壁だ。
 ロクは防壁を蹴り斜め前へ跳躍、邪神アフスズルトの側面をすり抜ける。
「森の、糧に――なれ!!」
 烙刃、到達。刀身は邪神下部獣身の内臓を抉り、焼灼し、滅殺した。
 ロクは刃にしがみつき、駆ける。ジッパーを開けるようにはらわたを裂く。
 邪神は咆哮した。……苦痛。歓喜。感嘆。流れ出た血が燃え上がる。
 ジャック、ロク着地点を相対的に凹ませる。ロクは防壁間に落着。
 蒼焔爆裂。ジャック、匡、両名地面を転がり着弾を回避。
『おお。此方は歓喜せり。これこそまさしく戦士の戦いなり』
 息を切らせながら三人は立つ。邪神はそれをこそ何より喜んだ。
『来たれ、定命の者よ。青き焔はいまだ健在なり』
 蒼火が燃え上がる。そして獣と人と人でなしは、再び銃声と咆哮をあげた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

甘甘・ききん
【赤竜乗り】

猟兵側で邪神を復活させるため準備時間は十分。戦いは備え、勝敗は開戦前に決す。雰囲気?作ってる場合か!遊びじゃねえんだ!

『スケスケの助』で各所の竜脈パワーをがっつり吸収。封印解くんでしょ?完全に倒すんでしょ?なら使って良いよね竜脈。むしろ使うべきじゃん。古の何かの遺した想い的なものを汲むべきじゃん。うおお…湧き上がるこの力は…!二徹くらいできそう!

我が名はききんザ聖者。有難い竜気溢るるわたしが何をするかと言えば落書きです。戦闘?そういうのはちょっと

多喜さんのカブに十円玉で赤竜って書いたら強そうだけど朝日を拝めなくされそうなので自重し駄目だ我慢できねぇガリガリィ。違っ、この手が勝手に!


数宮・多喜
【赤竜乗り】

アタシは数宮・多喜。しがない人の子さ。
好きに呼んでおくれ、邪神さんよぉ。

悪いね甘甘さん、
せっかくの雰囲気ぶち壊しちまってさ。
罪滅ぼしって訳じゃないが、聖なる力にゃ縁がないんだ。
ちょいと手助けしとくれよ……
って十円傷かよ!?いやそん位えぐい方が効果あるけどさ!?

そうして準備を終えたなら、
カブを【ゴッドスピードライド】でそれこそ神なる赤竜に変身させ。
『騎乗』してアフスズルトへ突進さ!
甘甘さん、しっかり掴まっとけよォ!
元がカブなら、竜でもきっちり『操縦』しきってみせらぁ。
包囲攻撃は『衝撃波』の『範囲攻撃』でこじ開けて、
聖なる力を全体に纏いながら『ダッシュ』!
勢いに任せて『踏みつけ』るよ!


●赤き竜と青き滅び
 ドルン、ドルルン……と、宇宙カブがエグゾーストを吐き出す。
 甘甘・ききんと数宮・多喜は、騎乗状態で邪神アフスズルトと相対していた。
 濃密な殺気と邪気が満ちる。多喜は、汗がひとしずくこぼれ落ちるのを感じた。
(弱体化していてこれたぁ、本体の強さは想像したくもないねえ……)
 もしも猟兵たちが封印地の発見に遅れれば、この地はどうなっていたか。
 ……おそらく、今度こそその破壊と滅亡はこの地を永遠に穢しただろう。
 かつての竜神たちがその身を糧にして護ったものも、何もかも絶えて果てていた。
 間に合ったことは僥倖だ。しかし、事態は好転したとはけして言いがたい。
『名乗れ、人の子と聖なる傷痕を持つ者よ。此方は敵対者の名を望む』
「……アタシは多喜。数宮・多喜。しがない人の子さ。好きに呼んでおくれ」
「我が名はききんザ聖者! っていうか、こっちのジョブモロバレですね!?」
 邪神の知覚力はそれほどまでに高いということだろう。
 おそらくは、多喜が内在させるサイキッカーの能力も見破られている。
 生半可な搦手は通用しない。ふたりは、そのことをあらためて思い知らされた。
(かといって、真正面から挑めば……おそらくアタシの速度じゃ凌ぎきれない)
 多喜は、すでにアフスズルトと相対した猟兵たちの戦いを目の当たりにしている。
 だからわかる。あの邪神の速度と猛撃は、相棒のスピードでも捌けないと。
 つまり、正面から戦っても勝利は遠い。霊格が凋落しているにも関わらず、だ。
「さてさて、どうしましょうかね~多喜さん。これはガチなやつですよぉ?」
「悪いね甘甘さん、もっぺん雰囲気作りでもしておきたかったかい?」
 多喜にからかわれたききんは、心外だとばかりに唇を尖らせる。
「何言ってんですか多喜さん、最終局面ですよ? 作ってる場合か!」
「ええ……?」
「遊びじゃねえんですよこの戦いは! だからつまり――」
 ききんは邪神を見据える。その口元には不敵な笑み。
 だがその口の端が、怯えるようにひくついているのを多喜は見逃さない。
「雰囲気とかどうでもいいんで、わたしたちでちゃちゃっとやっちまいましょう!」
「――いい啖呵だ、気に入った! 飛ばしてくよぉ!!」
 多喜はエンジンをフルスロットルさせる。マシンが唸りを上げた。
 その瞬間、まったく前触れなしに出現した無数の邪神武器がふたりを襲う!

 青い焔は、無から鋼を鍛造し邪神の武器たらしめる万能の焔だ。
 まずアフスズルトは四つの腕にそれぞれ双剣・槍・斧を顕現せしめた。
 鍛造された鋼から溢れた焔は、小規模な刀や苦無めいたナイフに変身する。
 そして殺到! ユークリッド幾何学を嘲笑うような異次元的軌道を描き、
 都合二千本近い武器の雨である! 多喜はロケットスタートで初弾を回避!
「ぶええええええっ!! ってぇ、これじゃ傷つける暇が」
「しゃべると舌噛むよ、甘甘さんッ!!」
 多喜はほぼ直角のL字型カーブを決めた。地面にバーンナウト痕が刻まれる。
 直後、仕掛けられていた百の刃が壁のように地面に突き刺さる。
 もしも多喜が直線的に相対距離を広げようとしていれば……。
(ったく、おまけに本体までかかってくると来たかい)
 多喜は額のあたりで、ぱちり、と電光が瞬くような感覚を得た。
 サイキッカーとしての超感覚がもたらす一種の第六感、虫の知らせだ。
 多喜はその勘に従い高くウィリー、そしてくぼみを利用しジャンプした。
「ぎええええええっ!!」
 ききんが悲鳴を上げて機体にしがみつく。それが彼女の命を救った。
 直後、邪神下部前脚が、ききんの首があった場所を思いきり薙いだ!
『小癪なり』
「――!!」
 多喜は舌打ちした。空中に跳躍させられたのは張り巡らされた罠だ。
 彼女は地面すれすれを這う邪剣を回避するためにジャンプしたのだが、
 邪神はそこまで読んでいた。いま、ふたりは完全にまな板の鯉も同然だ。
 双剣がゆったりと空気をゼラチンめいて裂くのが見える。死の寸前の極度集中。
 多喜は信じた。ききんが、すでに布石を終えてくれていることを――!

 はたして、邪神の魔剣がふたりをバラバラに切り裂くことはなかった。
『何?』
 訝しむアフスズルト。応えたのは、雄々しき竜の咆哮であった。
 ギャガガガガガガッ!! と、巨躯の龍は爪を立てて減速、着地。
 その肩上では、ききんが腰に手を当ててふんぞりかえっている!
「ふっふーん! 騙された? 騙されましたね? わたし大成功!!
 いや慌ててたのはマジですが? 竜脈パワーマジ様様って感じぃ!」
『……なるほど。かつての竜神の残滓を吸収し、騎馬に注ぎ込んだか』
「ひょえいっ!!」
 ききんは、憎悪とも怒りともつかぬその名状しがたい迫力に身を縮こませる。
 もし邪神の放った感情を、人間の言葉でもっとも似たものに形容するならば……。
「……喜んでんのかい? アンタ。仇敵の力だろうに」
『否、だからこそである。竜神どもと再び相対せるとは実に愉快なり』
 赤き竜となった多喜は身構える。歓喜の念は戦意放射と極めて近かった。
 そんな彼女の拳に当たる部分には、きっちり刻まれた十円傷。
「ち、違うんです多喜さぁん! この手が勝手にぃ!」
「ならばその手を切り落とす……って、別に怒りゃしないよ」
 それよりも、と多喜は言った。
「ここからが本番だ。しっかりその力、サポートしてくれよ甘甘さん」
「もちろん! 竜脈パワーを利用せずして何が聖者って感じですからねぇ!!」
 ききんは、己が持ち得るほぼすべての生命力を多喜に流し込んだ。
 赤き鋼の鱗がまばゆいほどに輝く。周囲にわだかまる青い火が退けされた。
「さあ行くよアフスズルト、こんどはアタシらの番だッ!!」
『善き哉』
 ドウッ!! 赤き竜がききんを抱え全力疾走で間合いを詰める!
 残魔剣到達、鋼がハリネズミめいて串刺しにされる。さらに蒼炎化し炎上!
「多喜さぁん!?」
「やられる前に一発でも叩き込むさぁ!!」
 炎が多喜自身を脅かすまでおそらく三秒。多喜はブースターを噴射した。
 己が持ち得るサイキッカーとしての精神力、および生命力を拳に集中。
 相対距離5メートルへ。邪神魔剣同時四撃! ききんは手をかざす!
「古のなんかの想いは汲んであげるから役にたってってば!!」
 ぱきん――! と、澄んだ水を打ったような音が響いた。
 邪神魔剣が砕けた。残滓が降り注ぎききんと多喜をざくざくと刻む。
「……!!」
 もはや調子のいいセリフも出ない。生命力もおよそすべて譲ったのだ。
 だがそのかいもあって、ついに赤き拳が――邪神に! 到達する!!
「過去からのお届けものだ! 一撃ィ、食らっときなッ!!」
 速度を乗せた竜拳が、邪神の胴体を撃つ――巨体が吹き飛ぶ! 轟音!!
『オオオオオ……!!』
「ぜ、全然聞いてないしなんか嬉しそうな声出してますけど!?」
「いや、効いたさ……ただアタシも、ちと持ってかれすぎたね……」
 外装が強制解除され、ボロボロの有様の多喜が膝を突いた。
 ききんは聖者の力で癒そうとするが、それは叶わぬ。からっけつだ。
 邪神の身体には、多喜の言葉を示すように、赤い拳がくっきり刻まれていた。
 それこそが竜たちの意地。いまだ滅びぬ滅びを討つための一手なのである。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

佐々・夕辺
共闘、アドリブ歓迎
負傷描写OK

…明らかな強敵ね。
怖くないと言えば嘘になる。
でもね、女の子にはやらなきゃいけないときっていうのがあるのよ
私は夕辺。佐々夕辺。――貴方を殺しに来た、ただの妖狐よ

まずは管狐に呪詛を宿して一斉射
一匹でも食らいつけば僥倖――!
其の炎が消えてしまう程に、冬を知りなさい!
広がる呪詛の氷で、冷え切って消えてしまいなさい

相手とは常に一定の距離を保ち
数匹の管狐は隠し持ったまま、相手の攻撃に対してカウンターの備え

私は知っている
信仰が侵された場所が一体どうなるのかを
そんなのは二度と繰り返させない
青い炎の侵略は此処で終わり
炎(あなた)は此処で消えるの!其れが、私が紡ぐ運命なの!


御影・しおん
……じゃあその炎、『境界に潜む骸竜』こと私「御影しおん」がもう逝った連中の代わりに断たせてもらうわ

さっきの戦いで、猟兵達の技ならあの炎を一時消せることはわかってる
それに、遮断すれば炎の復活は止められることも

なら再度結界術を構築しつつ【隔絶する封剣領域】
ただし今回は構築する閉鎖領域の大きさを絞って複数展開

敵攻撃へは封剣で構築した侵入不可の「閉鎖領域」を盾にして、
誰かが攻撃を受けたら距離を取れるまで閉鎖領域を一時その周りに展開して炎による追撃を遮断するし、
場合によっては侵入不可な閉鎖領域を敵の逃げ場を塞ぐように構築し足を止める

あら、貴方を殴りたいのは私だけじゃないのよ?ふふふ

※アドリブ連携歓迎です


レムリア・ザラタン
なるほど、討滅に至らなかった理由も頷ける
不完全な状態でこれ程の邪気
…やはり出し惜しみをしている余裕はないな

クロノスを出撃させる
念動力で奴の武器の動きを止めて時間稼ぎをしてくれ
敵は確かに強大だ
だが奴は不完全で…専門家がここに居るのだろう

地形をハッキング、アクセス先は竜脈…そして、それを通じて山々の竜神へ
弾幕で時間稼ぎを引き継ぎ、クロノスのリミッター解除と同時に時流操作を開始
一時的に竜神達に力を取り戻させ、彼らの力を借りて邪神を討滅する
村の人々まで届く程の威光を見せてくれて

後に村人達の記憶処理はされるだろうが…
それでも今一度、彼らにその力を見せてあげたいんだ
…忘れられっぱなしというのも悲しいだろう


●追憶の灯
 邪神アフスズルトの胴体に刻みつけられた、巨大な赤い拳痕。
 それはめきめきと音を立て、ひび割れるように赤い亀裂を走らせる。
『さすがはかつての竜たちの力――されど、此方を滅ぼすには足りぬ』
 先遣の猟兵たちによって叩き込まれたその一撃は、たしかに邪神を退けた。
 しかし、斃すには至らない。亀裂は走れど、邪神を滅するには足らない。
「なるほど、過去の竜神たちが討滅に至らなかった理由もうなずける……」
 強烈なプレッシャーに身構えながら、レムリア・ザラタンは呟いた。
「不完全な状態でこれほどの邪気だ。出し惜しみはしていられないな」
『此方を討たんとするならば、天敵どもよ。その命を懸けて向かって来い』
「…………!」
 ずん、と重力が増したような違和感。レムリアは険を深めた。
(けれど、さっきの戦いであの"青い火"の対処法はわかっている。それなら……)
 一方で御影・しおんは、楽観視とまでは行かずとも十分な期待を抱いていた。
 "ジャガーノーツ"との戦いで猟兵たちを苦しめた、あの"青い火"。
 しおんは、自らが持つ境界制御の権能でこれを完全に隔絶したのである。
 竜神である己の力はもちろん、猟兵のユーベルコードもあれに対応せしめた。
 ならば、勝ち目はある。そもそもあれは霊格が凋落した弱体者なのだ。
 ここで勝てなければ、いずれ来る完全なる邪神との戦いなどもってのほか。
「……名乗るわ。"境界に潜む骸竜"、御影・しおん。
 もう逝った連中に代わり、あなたを――いえ、貴様を討たせてもらう」
 少女の姿をしたしおんから、邪神の圧に匹敵するほどの神力が漏れ出した。
 たとえ力を失い人同然に身をやつしたとて、その存在は竜の神。
 かつて邪神を封じこめ、そしてこの地に散った同胞たちに報いるためにも、
 しおんはここで退けなかった。退くわけには、いかないのだ。
 そしてそれは、妖狐である佐々・夕辺にとっても同じことだった。
 種族としての義務……というよりも、猟兵としての、そして彼女自身の意地だ。
 明らかな強敵。怖くないと言えば嘘になる……恐怖がたしかにある。
 しかし、それを理由にして尻尾を巻いて逃げるようなことを、よしとしない。
(……女の子には、やらなきゃいけないときっていうのがあるのよ)
 逃げろと囁く心の中の弱い己を跳ね除け、夕辺は一歩踏み出した。
 怖気が立つほどの狂的な"冷たい熱"を放射する邪神を、まっすぐ見据える。
「私は夕辺。佐々・夕辺。――あなたを殺しに来た、ただの妖狐よ」
『此方を殺すと? 善き哉。善き哉……』
 ぼっ!! と邪神の四つの掌の中に、蒼い炎が薪めいて燃えた。
 それは一瞬にして無から鋼を鍛造し、剣・槍・斧の魔刃として結実する。
 飛び散った青い飛沫は空中で小さな刃に変わり、あるじの周囲を回遊した。
 三人は、まるで無数の鏃がこちらを向いているような錯覚を受けた。
 引き絞られた弓矢。殺到寸前の刃の群れは、その大規模攻撃の前触れだ。
「……CICよりクロノスへ。ここが大一番だ、頼むぞ」
 レムリアは自らの傍らに拘束衣を着たサイキッカーの霊を出現させた。
 しおんは境界を形作る封剣を展開し、夕辺は管狐たちを備えさせる。
『――此方こそは運命。其方らを滅ぼすものなり』
 傲岸なる邪神の言葉は、迸る二千以上の刃の雨となって具現化した……!

 邪神武器が描く軌道は、幾何学的でありながら既知幾何学を否定していた。
 この世の"正しい"角度をあざ笑い、正気を破壊する異界じみた非・幾何学的軌道。
 それは猟兵でなくば見切るのは不可能……猟兵であっても容易いことではない。
 加えて刃の間にばらまかれた無数の蒼焔は、邪神が張り巡らせたもうひとつの罠。
 邪神武器だけに気を取られれば、地や空間を嘗める蒼焔が襲いかかる。
 かといって蒼焔だけに対処しようとすれば、その隙に刃が突き刺さる。
 ひとりでは決して対処出来ない地獄じみた波濤。だが……。
「クロノス!!」
 レムリアの叫びに呼応し、霊は莫大な念動力を解き放った。
 見えざる帳が三人を覆い、五百近い邪神武器の雨を堰き止める。
 滅殺の意思を付与された命なき刃の群れは、ぎちぎちと空中で震えた。
 まるで、がんじがらめにされた鎖を千切ろうとする猛獣のようだ。
 しかしそこに、青い焔が来る。次いで守りの手を打ったのはしおんである。
「御影・しおんがメイズ! 閉じ、絶ち、満ちよ!」
 カカカカカカ! と封剣が鉄柵めいて周囲に突き刺さり、発光した。
 まず自分たちの周囲に境界を構築。さらにいくつかの小規模な領域を複数展開。
 クロノスの念動力は強大だ。だが、すべての邪神武器を封じることは不可能。
 ゆえに、小分けにした領域そのものを盾として戦場を制圧するのである。
 青い焔は、見えざる境界を忌々しげに嘗めながら地を焦がした。
 しおんのこめかみを汗が伝う。張り詰めた境界は今にも砕かれてしまいそうだ。
「さすがに、この体だと真正面から防ぐのはきついわね……!」
「ならば、"専門家"の力を借りればいい。奴を不完全にせしめたかつての力を」
 レムリアは言い、大地の根源――すなわち、竜脈へとアクセスした。
 力の線を辿り、遠く山脈へ姿を変えた竜神たちの骸へと意識を飛ばす。
 クロノスは段階的に拘束術式を開放し、いまだ殺到する武器を封じていた。
 危うい均衡だ。しかし、耐えられている。あと10秒あれば……!
「――ウソでしょ?」
 そのとき、しおんは己が見た光景に思わず呆けた。
 邪神武器は封じ込めた。追撃の青い焔も、権能が遮っている。
 だが、"邪神本体が何もしないはずがない"のだ。巨体は、たわんでいた。
『見事なり。こうも此方の意を防ぎ切る。さすがは生命の祝福者たち』
 全身の筋肉が張り詰め、ぎちぎちと軋み、邪神下部獣身が一回り巨大化していた。
 引き絞られた弓矢。全身を駆動機関とした邪神が……放たれようとしている。
(真正面からわたしの閉鎖領域を破壊するですって? どこまでも馬鹿げた……!)
 全盛期のしおんの力であれば、邪神の突撃にすら対応出来ていたはずだ。
 だが、今は違う。あれが凋落しているように、その身も多くの力を失った。
 そして忌々しいことに――残された力の総量は、あちらが上だ。
「くそっ!」
 レムリアは全兵装を起動、クロノスにエネルギーを注ぎながらフルファイア。
 ドウドウドウドウドウ……! 邪神武器と弾幕が相殺し焔が視界を灼いた。
「管狐たち、援護して! 絶対にあれを通してはダメ!」
 夕辺もまた霊力を与えた管狐たちをミサイルめいて使役し、レムリアを援護。
 パンプアップした邪神は、弾幕を意に介さず……大地を! 蹴る!!
『正面より、叩き潰す』
 軌道上に"置かれ"たいくつかの閉鎖領域が、足蹴にされる叢めいて砕けた。
 弾幕が迸る。蒼焔が滅殺する。
 管狐が噛み付く。邪神は容易く握り潰した。
『滅びよ、猟兵!』
 そして邪神の前爪が、三人をバラバラに引き裂いた――!

 ……かに、思えた。
『何?』
 邪神はそのつもりであった。引き裂かれる側の猟兵たちですらも。
 だが爪が加速するよりも先に、自ら前に出ることでそれを封じ込めたのは。
「……あなた! 何やって……!!」
 しおんは瞠目した。ドーム状に展開された閉鎖領域の表面に、赤い飛沫。
 邪神が到達する一瞬前に飛び出したのは、夕辺だったのだ。
 つまり彼女は、爪に自ら突っ込むことでこれを受けた。
 レムリアは息を呑む。迸った血の量は、ぞっとするほどだった。
「……私は、知っている」
 夕辺の身体を焼こうとする青い焔は、閉鎖領域が遮断し隔絶する。
「信仰が侵された場所が一体どうなるのか――そんなことは、繰り返させない」
 夕辺は首から下を朱に染めたありさまで、ぎらりと邪神を睨んだ。
「青い非の侵略は此処で終わり。焔(あなた)は、ここで! 消えるの!!」
『――!!』
 邪神は二撃目を放てなかった。死にものぐるいで食らいつく管狐がさせなかった。
 カウンター用に隠し持っていた虎の子たち。邪神は鉤爪で握りつぶす。
『見事なり』
「――クロノス!!!!」
 血を吐くほどの叫び。瞬間、念動力は完全に解放された。
 局所的時流操作能力が発動、竜脈を通じ骸たちの力のみを呼び起こす。
 しかし邪神の滅殺は因果にすら影響する。往時のすべては蘇らない。
「人々は忘れなかった! その灯を! 今日まで紡ぎ続けてきた!!
 見ろ、邪神よ! これが追憶の灯――お前を討った者たちの逆襲だ!!」
『オオオオオオッ!!』
 赤い亀裂がさらに加速する! 邪神の傷口から血のように青い炎が噴き出した!
 しおんは状況判断した。封剣を再展開し閉鎖領域を狭める――邪神を閉じ込めるように!
『此方を!! 縛るか!!』
「あなたを殴りたいのは私だけじゃないのよ」
 白き闇の剣が一本の大剣に変じた。その刀身は赤く燃え上がる。
「獣の……冬を、知りなさい……神すら、滅ぼす、冬の寒さを……!」
 夕辺は昏睡寸前の身体に鞭打つ。流れ出す血が神の剣に絡みついた。
 邪神は動けない。閉鎖領域と、クロノスの念動力がその身を縛る。
 クロノスの霊体は拮抗により砕け始めていた。わずか数秒、だが。
「御影・しおんが命ず」
 骸竜が宣誓した。
「――貫き、穿ち、滅ぼせ。滅殺の闇剣よ!」
 赤き剣が音を越えて走った! 邪神の胴体を貫通、地に縫い止める!
 そして剣はどろどろと融けて燃え上がり、邪神の身体を包み込んだ……!

 同時刻、阿蘇女村。
「なんだあありゃあ」
「騎野西谷のほうだ!」
 夜闇を照らさんばかりにあがった赤い輝きに、老人たちは困惑した。
 だがひとりの老人が、はっと何かに気付く。
 自らのもとへ来た、竜神の寓話を知りたがる少女のことを思い出したのだ。
「……ありゃあ、神様の灯だ」
 確証はなかった。けれども、誰も否定はしなかった。
「ずっと護ってくだすってたんだ、名前すらも忘れちまったってのに……!」
 老人たちは赤い輝きに向けて手を合わせ、一心不乱に祈った。
 感謝を。そして……どうかこれからもその力を賜りますよう、と。
 祈りに力はない。だが――竜脈が、どくんと、ひときわ強く脈動した。
 動きを止めていた心臓が脈打つかのように、たしかに、強く。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

鷲生・嵯泉
……成る程、邪なれど神なぞと称するだけの事はある
だが斃す
人々の命を、未来を脅かすものを看過する事なぞ出来ん

武を以て礼を為すならば応じるが筋――鷲生嵯泉、参る
――終葬烈実、箍なぞ不要
あの剛力を真面に喰らえば身も刀も砕けよう
ならば視覚、聴覚等得られる総ての情報を戦闘知識にて計り
集中した第六感にて機を先読み躱すか、武器受けにて受け流す
致命に至らねば構わん、激痛耐性と覚悟で捻じ伏せ前へ出る
お前なぞの前に付く膝は持ち合わせん
衝撃波を囮に使ったフェイントで隙を抉じ開け
怪力回した脚で一気に距離を詰め叩き斬ってくれる
邪神の座する場なぞ此の世には無いと知れ

……灰の野を歩む、か
珍しくもない――ああ、ありふれた事だ


不染居・ユキ
※アドリブ・共闘歓迎

貴様が封印されていた邪神…!
くっ…凄まじい邪気だな…。だがここで立ち向かわなくては

距離を取って攻撃を叩き込む戦法は変わらず
この筆で全てを塗り替えよう
筆で宙に赤い炎を描き、【破魔】の炎を具現化させて敵を攻撃
あまり期待は得られぬが、奴に手傷を負わせるには充分だろう
更に【弾幕】魔術を放ち敵を撹乱し、怯んだそこへ《一筆書き『火花乱れ舞い』》を叩き込む
攻撃力を重視した大輪の菊の花火を描き、鮮やかに青い邪の炎を上書きしていこうではないか

「この地に竜神はもういない。しかし、その意志を受け継ぐ事は出来る。この赤い炎のようにな」
「この地に貴様のような邪神は必要ない…早く燃え尽きるといい」


狭筵・桜人
流れでついてきてみましたけどマジで封印解きやがった。
ヤですねえ、あの蒼い焔。キズモノにされそう。

あとが残ると嫌なので脆さをあえて利用します。
エレクトロレギオンを再召喚。
耐久性ゼロの数だけ多いポンコツ共ですが
傷が残る間もなく一撃で消えるので追撃も延焼も防げます。
鬱陶しく纏わりつく蒼焔や包囲攻撃から
猟兵たちを【かばう】盾にするにはピッタリじゃないですか?

天敵とか言われてもなあ。私は名乗るほどの者でもないですし。
あなたにも侍らせてた配下がいたでしょう。
なんかそういうポジションのやつです。ですから私のことはお構いなく。ダメ?
……【逃げ足】と【見切り】で傷だけ貰わないように頑張ります。


ヒルデガルト・アオスライセン
やだやだ
故郷を出て初めて出会う戦士の礼儀を知る相手が邪神だなんて

我が名はヒルデ、故国最後の神官戦士
でも信ずる神はとうに捨てたわ
貴方もすぐに忘れてあげる

青の狂信は最高潮
竜神の再来が現れるまでに
この狂った火勢を衰えさせる

テリトリーモジュール展開
磁場の壁を発生させ、急所に厚く纏い、被害軽減
盾、篭手、回転運動で邪神武器を捌き、それ以外は受けて固定・反発させます
どれだけあっても一人に接触出来る数には限りがある

空中戦と舞踏で防戦
大剣と聖水瓶で、周囲の灯と武器を消し飛ばし
猟兵が戦えるスペースを拡張

防御を固めたら総攻撃が来るかもしれません
針鼠状態を解除して急襲
蓄積した浄化の力を集めて十八番、蹴飛ばします


●乱れ舞うは一夜の徒花
 赤い赤い炎が、邪神アフスズルトを包み込んでいた。
 深淵部の闇を煌々と照らす輝き。まるで真昼の太陽のようだった。
「あー……これ、あれですよね。もう私たち、帰っていいんじゃないですかねえ!」
 最初に声を上げたのは、狭筵・桜人である。
「封印も解いて、邪神も倒して、万々歳ですよ! ね、帰りましょう帰りましょう。
 いやー私このあたりの名産品とか食べてみたかったんですよねえ、何を食……」
 にこにこと世間話を始めた桜人だが、やがてその表情はひきつる。
 本当は彼もわかっている。だがもういい加減帰りたくて仕方がなかった。
 わざわざ邪神の封印をこちらから解いた時点でドン引きしていたのだが、
 あの邪神――アフスズルトの戦いぶりを見て、後悔はますます強まるばかり。
 これで倒したということにしよう。倒れていてくれ。そう思っていた。
 そんなわけがないと、もう十分に皮膚感覚で理解していたのだが。
「……ダメですかね?」
「本気で言ってるなら、あなたひとりでどうぞ。私は残りますから」
 ヒルデガルト・アオスライセンは冷たく言い、いまだ燃え盛る赤を睨む。
「――まあ、"無事に帰らせてくれるなら"の話ですが」
「不可能だろうな。背中を見せた瞬間に消し炭になろう。あるいはそれが望みか」
 鷲生・嵯泉はぎろりと桜人を睨む。桜人は萎縮し縮こまった。
「そんなわけないじゃないですか! ただこう……ねえ? 無理ですよあれ。
 なんであんだけ食らってまだ……いやいや。こう……私にはだいぶ……」
「……口にしたくない気持ちはわかる。言霊は現になるものだ」
 嵯泉は隻眼を閉じ、そして同じように赤を……その奥の巨躯を睨んだ。
「だが、諦めろ。世の中には、言葉にせずとも変わらぬ事実もある」
「――"あれだけの攻撃を受けて、生きている"とはね」
 桜人が絶対に口にしたくなかった現実を、不染居・ユキは言葉にした。
 誰かがそうせざるを得なかった。桜人は大きく大きくため息をつく。
 然り……かつての竜神たちの力を呼び起こした必滅の一撃を受けてなお、
 その霊体を大きく減じれど、邪神アフスズルトは滅んでいない。
 この吐き気をもよおすほどの邪気が、否応なしにそれを知らせていた。
 もっとも認めたくない事実は、"これでまだ弱体化している"ということだ。
 倒せる可能性が存在する……ただしそれは、ラクダを針の穴に通すがごとし。
 往時の力を取り戻す可能性など想像したくもない。ユキは渋面を深めた。
「だがここで立ち向かわなくては、この地が再び灰に変わってしまう。
 ……私は、それが命を失うより恐ろしい。あの花々が失われることが」
「ひとりを除いて、結論は変わらないということですね」
 ヒルデガルトは冷たい視線を桜人に送る。桜人はやけになった。
「ああもう、わかりましたよ! やりますよ、私もやりますって――ひぃ!」
 彼の言葉に呼応するかのように、どぉん!! と赤い炎が爆ぜた。
 内側から迸るのは、赤い炎を食らうが如き禍々しい蒼の炎である。
 邪神、アフスズルト。その身体は6割近くが損壊し、無残な有様だった。
 存在力を汲み上げ、竜脈の力を簒奪することでこれを再生していく。
 見かけ上は無傷だ。もっとも全身には根のように赤い亀裂が縦横無尽に走り、
 岩戸の奥より顕現した時に比べれば、生命力が大きく減じていたが。
 外面を取り繕ったところで、根本的なダメージは無に出来ないのである。
『……かつての竜のちからを借り、生命を振り絞り、此方を滅殺せんとする。
 生命の祝福者たちよ、此方は歓喜している。天敵たる其方らの力量と強さに』
「子供を配下にしようとしておいて、いまさら武人ぶるか? 小賢しいな」
 ユキは嫌悪を込めて邪神を睨んだ。アフスズルトは意に介さない。
『此方は戦士なれど騎士に非ず。すべての生命は奪い、灼くための苗床なれば。
 それを否とするならば、名乗るがよい。此方は敵対者の名を望むなり』
「……不染居・ユキ。貴様を滅ぼすために此処へ来た猟兵だ」
 ユキに続いたのは、嵯泉である。
「邪なれど神なぞと称するだけのことはある。よかろう」
 隻眼の剣士がじっとりとした殺意を放射する。
「鷲生・嵯泉。武を以て礼を為し、命と未来を脅かす者をここに斬らん」
「あー……私はパスで。こう、名乗るほどのものでもないというか……」
 味方ながら怖気が立つほどの剣気に臆しながら、桜人は手をひらひら振った。
 そんな彼の軽薄な様子に相変わらず嘆息するヒルデガルト。
「故郷を出て初めて出会う、戦士の礼儀を知る敵が邪神だなんて、やだやだ……」
 かぶりを振り、眦を決する。金色の瞳が敵を睨んだ。
「我が名はヒルデ。故国最後の神官戦士。光を以て悪を砕くもの。
 けれどもう、信じる神は棄てたわ。あなたもすぐに忘れてあげる」
 彼ら四人に共通していたのは、神殺しを恐れず、厭わぬ豪胆だ。
 あるいは無謀とも云うべきか……邪神は、その蛮勇を名とともに認めた。
『善き哉。ならば此方は青き炎を以て其方らを滅殺せしめる。この地とともに』
 上半身四ツ腕に青き焔の邪神武器が鍛造され、飛沫めいた火の粉が刃に変わる。
 下半身獣態はめきめきと爪を突き立て、破滅の時を待ち望んでいた。
『参るぞ。抗ってみせよ、天敵ども』
 そして、破滅が到来した。

 まず最初に殺到したのは、既知幾何学を嘲笑う軌道の邪神武器であった。
 規則正しくありながら、そもそもその法則性が常軌を逸した魔の一撃。
 都合二千を超える刃が四方八方から、物理学の角度を否定し襲い来る。
 並の戦士であれば、その軌道をなぞっただけで発狂していただろう。
(テリトリーモジュール、展開……!)
 ヒルデガルトが跳んだ。磁場領域により邪神武器の軌道を逸らす。
 光盾輝煌。青き炎をまとった刃は、そのかそけき努力を一笑に付した。
 刃は光すらも喰らい、ヒルデガルトの柔肌を切り裂く。出血。
「……ッ!!」
 苦痛の叫びを漏らさぬのは意地だ。ヒルデガルトは空中を蹴り急制動。
 眉間めがけて邪神武器到来。桜人のエレクトロレギオンがこれを身代わりになる。
「ほらね、私だって少しは――っと!」
 邪神武器が目標を変更、残存数のうち一割が桜人に差し向けられた。
 ヒルデガルトは状況判断。爆発する機甲兵器残骸を足場にさらに前へ。
 邪神が迎え撃つ。左右上腕の魔双剣がバツ字を描き、交差点に聖処女を捉えた。
「させるか!」
 ユキが術式発動。空中に描かれた破魔の赤炎が爆裂し魔剣を妨害。
 斬撃速度5%減少。ヒルデガルトはクロスガードし右側の剣を受けた。
 その衝撃で地面に叩きつけられることで、左側の剣による惨殺を回避する。
「――かはっ」
「ぬん……ッ!!」
 倒れ込むヒルデガルトをかばう形で嵯泉が割り込み、踏み込みながらの打ち下ろし。
 狙い定め降り来る邪神武器を一蹴、嵯泉は切り上げを放ち追撃を相殺。
 ヒルデガルト、バックフリップで回避しながら跳躍。邪神武器がわずかに命中。
 嵯泉の周囲に機甲兵器五機が展開。青い焔の爆裂を身代わりに受け止めた。
『最初に来たるは其方か。ならば此方の爪を受けよ』
 邪神跳躍。まっすぐに突撃した嵯泉に、下半身前脚が振り下ろされた。
 嵯泉は身を低く這うほどに屈ませる。頭上を前脚が通過、背中に裂傷。
 下腹部を狙っての斬撃――上半身下腕が持つ槍により防御される。反発で後退。
「美しく散らせ、浮世の花よ!」
 ユキは空中に花火を描き、弾幕とした。突撃姿勢の邪神を赤い炎が包む。
 アフスズルトは意に介さず邪神武器を制御。魔刃十振りがユキを狙う。
(あれはヤバいですね)
 桜人、自身の周囲に展開していた機甲兵器をユキへ。身代わり爆散。
 彼の予測通り、魔刃は喰らえばけして癒えぬ傷跡をもたらしていただろう。
 青い炎が飛散する。ヒルデガルトは聖水瓶を投擲、ユキがこれを花火で破壊。
 高熱化された聖水が青い炎を鎮火する。ヒルデガルト突撃――却下、跳躍。
 直後、彼女の跳躍地点を邪神の槍が貫通。地面が円く消し飛んだ。轟音。
 制空権はいまだ邪神が握っている。桜人はぞくりと悪寒を憶えた。
 邪神の貌なき眼が、たしかに桜人を睨んでいた。
『臆病者を装い此方を欺こうとするか。賢しらなり』
「素のリアクションだったんですけどねさっきの!!」
 邪神武器が鋒を変え桜人のもとへ。桜人全力疾走、背中を刃が抉る。
(ヤバイヤバイヤバいヤバい!!)
 幸い、それは必滅の蒼炎をもたらすには至らぬ。ユキの赤炎がそれを防ぐ。
「この狂った火勢、衰えさせなければ攻撃が通りません」
「請け負った。ならば竜神の意思を受け継ぎし、赤の炎よ! 乱れ舞え!」
 ユキは足を止め術式に全能力を注ぐ。邪神武器五十到来、機甲兵器が身代わり防御。
 ヒルデガルト、アフスズルトの側面を取るため跳躍。右腕を魔刃が貫通。
 突き刺さった剣が燃え上がる。ヒルデガルトは治療を後回しし聖水を散布。
 嵯泉は邪神と真正面に撃ち合い、猛撃による一点突破を防いでいた。
 代償は彼自身の重傷だ。全身から朱き血が噴き出し、両足がぐらつく。
『戦士の矜持、しかと刻みたり』
「これで終わりと思うか、それを傲慢と知れ!!」
 嵯泉、自らの脇腹を犠牲にする形で前へ突貫、兜割りを邪神下半身に叩き込む。
 傷口から青い炎が噴き出しその身を灼いた。破魔術式により振り払う。
「お前なぞの前に突く膝は、持ち合わせん」
 狂的なまでに覚悟がそこにある。邪神は四刀の鋒を嵯泉に向けた。
『ならば串刺しになるがよい』
 魔剣疾走――ヒルデガルト、側面から蹴撃を叩き込み邪神をぐらつかせる。
 さらに光盾を純粋魔力に還元させ炸裂。四刀のうち半分が爆砕。
『何』
「神はどうしてこうも、私たちを見下すものか!」
 蹴撃二連。邪神は武器を喪失した腕でヒルデガルトを殴り飛ばす。
 少女は壁に背を叩きつけられ血を吐いた。聖性を脈動させ内臓を賦活。戦える。
 残る二刀、嵯泉は刃を盾にすることで受け止めていた。ぎゃりり、と火花が散る。
「致命に至らず。貰ったぞ」
 嵯泉、さらに踏み込む。蒼炎による迎撃をものともせずに地摺り残月。
 斬撃余波は邪神の上下半身を切り裂き、さらに深淵部天蓋をばっさりと割いた。
『オオオオオォォッ!!』
「もうひとつ」
 嵯泉は突き刺した刃を螺旋状に抉り傷を割り開く。邪神、咆哮。
 邪神武器が剣士を背後から串刺しにしようとする。だが燃えて砕けた。
「この地に、貴様のような邪神は! 必要ないッ!!」
 ユキである。菊の花火が大輪と燃え上がり、一夜限りの徒花と散った。
 赤い炎は希望と生命の輝きだ。それこそが邪神を封印したのである。
 残存邪神武器がユキの手足を縫い止める。脇腹を裂かれユキは地を吐いた。
 眉間狙いの最後の一刀――桜人の最後の機甲兵器が、相殺自爆。
「マネ出来ませんよ、あなたたちみたいな戦い方」
 心底からの呆れがあった。だがそれは彼なりの称賛でもあるか。
「さっさとケリつけてください、私まで死んじゃいそうなので!」
「勝手に殺すな……」
 ヒルデガルトは消え入るような声量で毒づき、身を起こした。血が滴る。
 嵯泉は串刺しにした刀を離さぬ。ならば己も同じように為すべし。
「せ、え……のッッ!!」
 蹴撃到達。浄化光が爆砕し、邪神肩部を破壊。左両腕脱落。
『此方の身を灼く光とは!』
「光だけではないぞ、邪神」
 嵯泉が凄絶なる声音で言った。
「今一度赤き炎に焼かれ、その身で味わえ」
 邪神下部前脚が嵯泉を切り裂く。血溜まりがくるぶしまでを浸す。嵯泉は倒れぬ。
 意地である。男はここが終局でないと識っていた。そのつもりもなかった。
「灰の野を歩むなど、人にとっては珍しくもなし!」
 抉りこんだ刃を横薙ぎに振るう。邪神下半身が真っ二つに裂けた。
 滝のような出血。焼灼せんと爆ぜるのは大輪の花火。赤き炎。
「――とっておきの一筆だ。貴様には似合わぬ美しさだな」
 ユキは血を拭い不敵に嗤った。直後、邪神を飲み込むほどの爆炎の華。
『見事――……オオオオオオッ!!』
 咆哮。苦悶である。邪神はたたらを踏み退く。……しかり、退いた!
「まだ仕留めきれませんか、これだから邪神は嫌なんですよ……」
 桜人は朦朧とする意識を支えつつ血を吐き捨てた。背中が灼けるほどに痛い。
 だが倒れるものは誰もいない。誰もが、燃え上がる敵を睨んでいた。
 かならずこの邪悪を斃す。必滅の決意をこめて、まっすぐに睨んでいた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

フィルマリナ・ガラクシア
【淵守・竜二郎f28257と同行】
名乗りを上げるって事は、決闘ね!受けて立つのだわ!
フィルマリナ・ガラクシア、生まれ落ちてからずっと迷子の海賊よ!
帰る場所に戻れたのは羨ましいけど、他人の迷惑を考えなさい。

UC、銀河流星群。身体強化は何度も使えないもの、新技のお披露目よ。
降りそそぎなさい隕石さん達!……って来るのが遅いのだわ!
ちょ~~~っとだけ時間を稼いでくれないかしら?
私の隕石さんは攻防一体。私を庇った竜二郎が受ける追加攻撃の青い炎には、真っ赤な炎で対抗するわ。
隕石さん達、アフスズルトに突撃ぃ!青い炎を飲み込むのだわ!
そしてダメ押しで最後の一発。飛びなさい竜二郎!


淵守・竜二郎
応えます
拳竜ベニバナ、淵守竜二郎
真名を忘れ、信仰を忘れ、されど意思を握るもの
邪神よ 旧く遠き蒼の淵よ
かつての竜神が残した祈りは、いまの猟兵が受け取った
おまえが途切れず死を咲かせるのなら
僕らだって忘れず命を咲かせるんです

ってカッコつけたけどくっそ強い!必死で強撃を避けます
でも誓ったからやるしかない
絶対痛いし絶対死ぬ
それでも!

(フィルマリナに放たれた創傷をかばって食らう)

ははは案外致命傷だな!
でもお前を斃すにはまだ届かない
なら届くまで届かせる
僕だけじゃ無理ですね
でも一人じゃあないですから
フィルマリナの操る隕石に乗って、撃たれて、撃ち出されて邪神へ一気に肉薄
はいこんにちは、僕です。【一撃必殺】


●天に届く火
 めきめきと音を立てて、脱落した邪神の腕が再生していく。
 それは、彼奴の根源的な存在力を代償とした急ごしらえの再生である。
 見た目を取り繕っても、滅びかけたその霊性までは補えない。
 ……ここで猟兵が敗退し、彼奴が全てを滅ぼしたならば話は別だが。
『善き哉……』
 邪神アフスズルトは、偽りようのない歓喜に身を浴していた。
 その性は無慈悲であり冷酷であり残酷だったが、それは戦士の礼を知る。
 塵芥と見下す生命の持つ力を、同時に愛でていてもいた。
 滅びるも一興。否、この身の滅びはすでに"死"が指し示している。ならば。
『此方は敵対者の名を、望む。名乗るがよい』
「決闘ね。受けて立つのだわ」
 青き髪にして神たる少女は胸を張り、仁王立ちした。
 ……そんな彼女の手が少しだけ震えていたことを、少年は見て取った。
 だが口にはすまい。そこまで無作法ではないのだ。
「フィルマリナ・ガラクシア。生まれ落ちてからずっと迷子の海賊よ!
 あなたは帰る場所に戻れたのね。羨ましいわ――けれど、迷惑を考えなさいな」
『神が生命を慮る必要などなし。しかしそれゆえに生命は此方を排さんとする。
 それこそが闘争。此方は神であるがゆえに傲然である。否と思わば討つべし』
「わかっていて他人を害するならば、同じ神として云うことはないわね」
 フィルマリナはあっさりと頷いた。神の身ならばこそその理屈は理解できる。
 人々にとっては無理にも程があろうが、神とは"そういうもの"なのだ。
 正邪は人々が名付けるタグだ。言われた程度で己の在り方を変えられようか。
「――あなたもそれは同じでしょ? 竜二郎」
「どうでしょうかね。僕の場合は、いろいろ忘れてしまいましたから」
 少年は苦笑しつつ、拳を開き、握り、開き……しばし掌を見つめた。
 忘れし同胞たち。夢見る真の己。それらは水面に揺らめく月めいて曖昧だ。
 ただなぜか、この青い炎はいかにしてでも己が滅さねばならぬと思える。
 あるいは本当に、己もまたこの地で果てたる竜の一翼だったのだろうか。
 ……思索を振り捨て、少年は敵を見据えた。そして、応える。
「真名を忘れ、信仰を忘れ、されど意思を握るもの。
 拳竜ベニバナ、淵守・竜二郎――あなたの、天敵です」
『……成る程。赤き花の徒、眠りし竜の夢。生命の祝福者と成ったか』
 邪神の声音は、どこか懐かしむようでもある。よもや……。
「邪神よ。旧く遠き蒼の淵よ」
 その疑念を一顧だにせず、清廉たる声音で竜二郎は言った。
「かつての竜神(とも)が遺した祈りは、いまの猟兵(ぼくら)が受け取った。
 おまえが途切れず死を咲かせるのなら、僕らだって忘れず命を咲かせるんです」
『然り。ゆえにこそ闘争は生まれる。ゆえにこそ此方は生命を簒奪する』
「……そうでしょうね。命と死は分かちがたいですから」
『此方は敵対を以て生命を証明するもの。そして其方らを滅ぼすものである』
「そう簡単に滅ぼせると思うのかしら? 弱体化したあなたが!」
 フィルマリナは錨を担ぎ、言った。邪神は手の中に四つの魔器を生み出す。
「行くわよ、竜二郎。神を討つのだわ」
「ええ――生命を肯定するものとして」
 邪神が奔った。深淵の闇が鳴動し、戦いを告げる!

 はたして繰り出された邪神の猛撃は、弱体化を疑わせるほどのものだった。
 刃が振るわれるたびに地は亀裂を生み、爪痕は容赦なく深淵を引き裂く。
 青き炎は絶えずふたりの肌を灼いて、降り注ぐ刃の雨が肉を骨ごと貫いた。
「が、はッッ!!」
 竜二郎が吹き飛ぶ。肋が二、三本持っていかれたか。衝撃を受け流してこれだ。
「倒れている暇はないのだわ、竜二郎!!」
「わかっています、よっ!!」
 ネックスプリングで起立、一瞬あとに前脚のストンプが地面を砕いた。
 フィルマリナは地を蹴り接近戦を挑む……魔剣の斬風がその身をずたずたにした。
 きりもみ回転して吹き飛び、血まみれの有様で地面を転がる。
「ダメね、そもそも攻撃が届かないのだわ。こうなったら……」
「何か手が? ……強がりとかじゃないですよね?」
「いちいち心配しいね! あるのだわ、新技が!」
 ずしん! と錨を地面に突き刺し、見上げられぬ空に指を突き出した。
「降り注ぎなさい隕石さんたち! ――すぐには届かないでしょうけど!」
「それじゃあ意味ないですよねぇ!?」
「だから」
 フィルマリナは笑みを向けた。悲壮な笑みだった。
「あなたが、時間を稼いでくれるかしら。ちょっとだけ、ね。
 そうしてくれれば、私があれをぶちのめすと誓うのだわ」
「――……」
 竜二郎は呆け、頭を振り、頷いた。
「誓いですか」
「誓いよ」
「ならば、誓います」
 拳を握りしめる。
「あなたは傷つけさせません――絶対に!」
 邪神が地を削る。竜二郎はためらわず前に出た。
 幻影の竜が拳を握りしめる。一撃、二撃、三撃、四撃!
『おお』
 邪神アフスズルトは感嘆を漏らした。
『心地よく懐かしき手応え。竜神よ、そこに在りや!』
「邪神よ、僕は此処に居るぞ! 竜の残骸がここに!!」
 ドウ、ドウ、ドウ、ドウ……ドウドウドウドウズドドドドドドドッ!!
 爪と剣と槍と斧と槌と、拳が撃ち合う。撃ち合う、撃ち合う!
 邪神と竜神のラッシュだ。波濤が壁を床と天を砕きクレーターを生んだ!
 一撃ごとに竜の、竜二郎の拳はひしゃげて再生しまた砕ける。
「ははははは! 痛いですねえこれ! けど!! 誓いましたからね!!!」
 誓いあるかぎり拳竜は砕けぬ。拳龍は死なぬ。だが、邪神は。
『見事なり――ゆえに其方、飛び越えさせてもらう』
 跳躍。出し抜けにラッシュを棄権し、背後のフィルマリナを狙った。
 凄絶なる振り下ろし斬撃。フィルマリナはそれを呆然と見上げ――。

「……竜二郎」
 尻餅をついたフィルマリナは、呆然と言った。
「竜二郎!!」
「ははは!」
 ばっさりと肩から腰を袈裟懸けに断たれた少年は笑った。
「案外致命傷だなあ! よく生きてますね僕!!」
 傷口が燃え上がる。蒼く。魂をも滅ぼす炎がその身を捉える。
「――けど残念。星は、もう、堕ちてきましたよ」
『――!!』
 直後、空に刻まれた亀裂から堕ち来る無数の流星。
 それは赤き炎を伴い蒼を喰らい、邪神を討った!
 フィルマリナは臆しかけた。だが不敵に笑い、叫んだ。
「飛びなさい、竜二郎!!」
「応ッ!!」
 跳躍。龍は星を蹴り、渡り、邪神の直上を取る。
 剣も槍も斧も槌も、いわんや爪先すらも越えた懐に。
『――竜よ、其方は』
「はい、僕です。こんにちは、さようならッ!!」
 正拳炸裂! 一撃必殺の竜の牙が邪神を捉え――その身を! 砕いた!!
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ネグル・ギュネス
岩戸に注連縄が無数、まさに封印らしい封印
或いはこうして封じれば──いや、まずは力を弱めるのか?

で、人が考え調べてる時に喧しい
今忙しいんだ邪魔を──焔?必滅の?….気が変わった

真の姿解放
黒髪の、陽光を名に宿す姿に

ネグル・ギュネス
今からテメェを真っ二つにする男の名だ

迷彩及びダッシュで連撃を撹乱
剛力を武器で柔らかく受け流し、切り込みまた離れる
生憎デカブツとは慣れっこだ


強いし速い、だが、目指す先はさらなる厄災
ここで負けてはられねぇ
リミッター解除、封印解放、身体を軋ませながら加速し、突撃

『破魔の断・雷光一閃』
邪を祓い、焼き尽くす光の刃で、一刀を放つ!


悪く思うな、カミサマよ
邪神は、須く斬ると決めているんだ


冴木・蜜
敢えて正面に立ち
体内UDCで攻撃を受け流しつつ
全力で攻撃を躱しながら
貪食する枝葉で攻撃

頃合いを見計らって
全力で回避をしたが
直撃を免れず脱落したと見せかけます

攻撃を受ける直前
此処で初めて液状化
多少の損傷は激痛耐性で凌ぎ
飛び散った己の血肉を利用し
そのまま『陶酔』

捨て身の毒性で
邪神の権能ごと
私に触れる総てを融かしましょう

今の名は借り物だからと
すっかり名乗るタイミングを見失っていましたが
私は万物を蕩かす死毒でして

貴方の疵が永久のものとなるのなら
私はその疵を融かしましょう
貴方の焔が魂魄をも灼くなら
その権能をも融かしましょう

私の前で癒えない疵はない
そして私に毒せぬものはない

さあ
私という毒に溺れて下さい


アンコ・パッフェルベル
…はー、ヘンな所で律儀さんですね。どーもご丁寧にっ
わたしの名前はアンコ・白玉・パッフェルベル!…です!
本名は別にあるですけど、
それは誰もわからん言語ですので。猟兵としての名です
そしてっ!ストライダーでもあるのです。馳せる者っ
そう、神の棲む谷すら馳せて。おうちに帰るのですよ

さあさあ大一番。笛を吹いて猫達を喚ぶです
彼らとは兵士の経験蓄積を目的に契約してるのです。ビジネス!
ただ師団全部はキツキツでしょーし戦闘に不自由ない程度で!
ユベコはそのまま!
時空弦を演奏し邪神さんを攻撃したらユベコの性能を奪うです!
弱化した邪神武器を撃ち落とし猫軍団と白狼を支援するですよ
盾も活用して動物達を庇いつつ軍団戦闘です!


●そして彼らの名は消える
『……おお……オオオオオ……!!』
 燃え上がる炎の中から、じくじくと肉を灼かれた邪神が歩み出た。
 立て続けの攻撃は、強大なる邪神をしていよいよここまで追い詰めたのだ。
 しかしてなおその霊格は十分なものであり、深淵に圧を落としていた。
『かつての竜神ですら、ついには滅ぼし得なかった此方をこうまで追い詰めるか。
 流石は生命の祝福者、此方に敵対せしものども。その銘を此方は望む。さあ!!』
「……必滅の蒼焔を操る邪神、だったか。どうやらテメェを斬らなきゃ、
 満足にここを調べることも出来ないらしい。まったく、手間をかけさせる」
 真の姿を開放し、普段の白髪を黒きそれに染め上げた男が言った。
「ネグル・ギュネス。今からテメェを真っ二つにする男だ。名乗りはこれでいいか」
 普段のネグルを知るものならば、その凄烈な剣気に怖気を感じただろう。
 事実その目つきも、紳士として振る舞うかれのそれとは別人めいていた。
 だが本来、これが彼本来のものだと言っていい。つまり、"本気"なのだ。
「死にかけの体でも、わざわざ自分を殺す相手の名前を聞きたがるんですね。
 ……ま、いいでしょう! ならわたしも、礼儀として名乗っておきますよ」
 紫髪の少女が言い、まっすぐと邪神を見据えた。
「わたしの名前はアンコ。アンコ・白玉・パッフェルベル! ……です!
 あくまで"猟兵としての名"ですが。"馳せる者"としてお相手しましょう」
 アンコは胸を張り言った。ビリビリと肌を刺すようなプレッシャーを前にして。
 ここでひいては猟兵が廃る、というやつだ。彼らは邪神を斃すため来たのだから。
「…………」
 一方でもうひとりの白衣の猟兵――冴木・蜜は、名乗りをあげなかった。
 邪神の言葉を軽んじていたわけではない。彼は、意識を集中させていたのである。
 敵がいつ仕掛けてくるか。
 攻撃をどう凌ぐか。
 ネグルやアンコほどに、蜜は純粋な戦士として研ぎ澄まされているわけではない。
 どれだけ超常の力を持とうと、彼はあくまで医者であり研究者なのだ。
 だからこそ、全身全霊を注いでその時を待つ――戦いの火蓋が切られるときを。
 それほどまでに、アフスズルトの放つ重圧は彼を警戒させていた。
『善き哉。我が滅び、生き延びられるか否か。試してみよ』
 邪神の四臂に炎が渦巻き、一瞬にして巨大な剣・槍・斧を鍛造した。
 膨れ上がっていた殺気が窄まる。ネグルとアンコは構えを取った。
 直後――邪神の巨体が、残像を刻みながら大地を砕き、三人へと迫った!!

 邪神の突撃に対し、最初にまっすぐに前に出たのはネグルだった。
「せぇいッ!!」
 裂帛の気合とともに二対一刀の機構剣を振るい、強烈な突撃を相殺。
 しかし根本的な質量差により、ネグルは大きく吹き飛ばされた。
 鋒を地面に突き立てがりがりと勢いを殺す。そこへ邪神が再跳躍し、迫った!
「そうはさせませんよ! さあ猫たちよ、契約に従い出撃のときですっ!」
 アンコの奏でる笛の音が響き渡る。同時に、異空間の穴から現れる大量の毛並み。
 猫と言うとどうにも戦いにはそぐわぬ生き物に思えるが、そんなことはない。
 彼女が契約――といってもビジネス的な意味でだ――を結んだ師団は、
 異界に存在するという猫の街・ウルタールで鍛え上げし"母なるバストの啓蒙"!
 虎の如き苛烈な爪牙が横合いから邪神を襲う。怒涛の如き電撃戦だ!
『夢の国より来たりし猫どもよ。――不遜なり』
 邪神は下半身の両脚で大地を踏みしめ、上半身四つ腕を掲げた。
 邪神武器がめらめらと燃え上がり、飴のように溶け崩れた。邪神はそれを飛散。
 飛び散った溶鋼は無数の刃に変わり、猫の兵たちを串刺しにしていく!
「弱体化させてもあの速度ですか!? 困っちゃいますねえ!」
「本体を仕留めるッ!!」
 ネグルが仕掛けた。大地を砕くほどの跳躍から、二刀分割した剣での連続斬撃。
 邪神は溶け崩れた鋼をソードブレイカー型の短剣に形成、これに付き合う。
 ガガガガガガガガッ!! と火花が煌めき、ネグルの斬撃を邪神が凌いだ。
「チッ……!」
『此方を相手にして下がれると思うな』
 ネグルのバックステップよりも、邪神の反撃(リポスト)のほうが疾い!
(デカブツのくせに速さと技巧まで兼ね備えてやがる、だが!)
 ネグルは弾かれた勢いを斬撃に転用し、邪神の剣が到達する前に空を薙いだ。
 バチバチと虚空に刻まれた雷光がとぐろを巻き、ネグルを守る。
 臓物を引きずり出す刺突は破魔の雷光と撃ち合い、邪神武器は砕け散った。
「ご自慢の武器はちょーっと脆くさせてもらいましたよ?」
 時空弦を爪弾くアンコはにやりと笑う。その周囲に蒼焔が出現した。
『見事なり。燃えよ』
 邪神の間合いはアンコの想像よりも広い。猫師団は邪神武器の対処で精一杯だ。
 蒼焔は鏃めいて尖り飛来する――これを遮ったのは横合いから割り込んだ蜜。
「あなたの焔は、魂をも灼き尽くすそうですね」
 蜜の身体にいくつもの裂傷が生まれ、毒々しい色合いの枝葉が蔓延る。
 すさまじい速度で伸長した蔦は蒼焔を抱きかかえ、そして飲み込んだ。
 さながら、強い生命力を持つ植物が、建物すらも草で覆ってしまうように。
「私の身体に流れる毒蜜と、あなたの焔。どちらのほうが危険でしょうか?」
『……かつての竜を思わせるその権能。興味深い』
 褒美代わりに振るわれたのは、一刀に依り集められた異界の鋼。
 大地をも亀裂で割り開くほどの大剣の一撃が、蜜を真っ二つに両断した。
「大丈夫ですかっ!?」
 事実上かばわれたアンコは、真っ二つに両断された蜜を前に叫んだ。
 だが蜜は言葉を返す前に、全身を液状化させてぱしゃりと飛び散ってしまった。
 邪神の剣戟が残骸すら遺すことを赦さなんだか? ……おそらくは、否。
「白狼! 邪神の動きを止めてくださいっ! 師団は両翼に展開!」
 アンコは状況判断し、サポートに徹する。代わりに攻め込むのはネグルだ。
 百以上の邪神武器が刃の壁めいてその身体を切り裂く。鋼ゆえにダメージは少量。
(強いし、疾い。だがオレが目指す先は、この先にある――負けてられねぇ!)
 その意地がネグルを突き動かす。蒼焔がその身を灼くより先に間合いへ突撃。
 ぎしりとリミッター解除の負荷が全身を襲う。正中線狙いの刺突を――。
『其方らの死物狂い、此方はそれをこそ評価する。ゆえに』
 都合六つの爪が待ち受けていた。この吶喊は邪神の"掌の上"――!
『抱擁を受けよ。勇ましきものよ』
「――……ッッ!!』
 音速で振るわれた六つの爪が、抱きかかえるようにネグルを斬り裂いた!!

 その一撃でネグルが四散せず済んだのは、いくつかの要因によるものだ。
 最大の要因は、ネグル自身が危険を感知しギリギリで踏みとどまったこと。
 次いで大きいのは、アンコのユーベルコードによる弱体化の成果である。
 邪神の攻撃はわずかに減じられていた。だがその妨害の代償は大きい。
 時空弦の光が邪神を裂いた瞬間、二重の守りを潜り抜けた邪神武器が殺到。
 肩・腿・脇腹、さらに両脚。ダガーサイズの異界の鋼がその身を貫いていた。
「……ッッ、わたしに、構いすぎましたね……!」
 血のしずくを口の端からこぼしつつ、アンコは笑う。
 猫軍団と白狼はフリーだ。大群が飛びかかり、邪神の介錯を全力で遮る。
『小癪なり』
 邪神は流れ出す血を呼び水とし、蒼焔を爆裂させ軍勢を吹き飛ばそうとした。
 だが無数の傷口から噴き出したのは、青い焔ではなく毒に侵された血であった。
『何』
「――私の名前は、借り物ですから、名乗りそびれていました」
 うぞり、と毒血がひとつところに集まり、人らしきカタチを取った。
 立ち上がったのは四散したはずの蜜。その瞳は落ち窪んでいたが、しかし。
「ですが私は、万物を蕩かす死毒でして」
『……此方を冒していたというのか。気づかぬうちに!』
「あなたは強い。その疵は永久に大地を穢し、その焔は永遠に滅びを齎す」
 ですが、と蜜は言った。
「あなたの疵が永久となるのなら、私はその疵を融かしましょう。
 あなたの焔が魂魄をも灼くなら、私はその焔も融かしましょう」
 邪神の視界で、遠くに立つアンコが笑っている。
 疵だらけのままでしかし立ち上がり、不敵に、不遜に、笑っている。
 彼女は信じていた。"同じ猟兵が、この程度で死ぬはずはない"と。
 それはネグルに対しても同じだ。……そして黒髪の剣士は、立ち上がった。
「憶えておくといいです、邪神――猟兵(わたしたち)は、群れで戦う生き物だと」
 蜜のかたちをした毒、あるいは毒そのものとなった蜜が手を伸ばした。
「さあ、私という毒に溺れてください」
 焔がそれを焼こうとした。だが、もはや焔が生まれることはなかった。
 溶け崩れた毒は邪神を外からではなく中から冒し、何もかもを融かす。
 邪神は悟った。今こそ、"死"が宣告したる滅びのときが来たのだと。
『オオオオ!』
 なんたる幸福。なんたる歓喜。此方はいずれこのものらと相見えよう。
 そして再びその武を刻み、この身滅びるまで殺し、殺され、相討つのだ。
 雷光を纏う剣が来る。ネグルの瞳と、邪神の意識が交錯した。
「悪く思うな、カミサマよ――邪神は、ことごとく斬ると決めているんだ」

 ……善き哉。

 己の最期を受け入れた邪神の言葉は、閃光の如き一刀の前に消えた。
 両断された身体は青い焔に呑まれていく。そして血の底から生まれるもの。

 ――約束通りだ。お前さんの亡骸は、俺が受け入れてやるよぅ。

 "死"の聲がした。赤白い手の群れは亡骸を貪り、抱き、そして無に帰す。
 青き焔もまた消えていく。青い花も、邪気も、深淵の闇も、何もかも。
「……邪神を相手に、オレは止まらねぇ。止まってやれねえんだ」
 ネグルは刃に付着した血を払い、言った。
 アンコの身体に突き刺さっていた刃は溶け崩れ、蒸発していく。
「神の棲む谷すら馳せて、わたしたちはおうちに帰るのです。いたたた……」
「……大丈夫ですか、おふたりとも。必要であれば疵を診ますよ」
 うっそりとした声。人型を取り戻した蜜だが、彼は大きく消耗していた。
 人型を保つことが精一杯。それでも彼は、癒やすことをやめるつもりはない。
 かつての竜神たちも、同じように思っていたからこそ大地に姿を変えたのだろう。
 ……蜜は遠くそびえる山々を、夜の闇の彼方に見上げた。
「あなたたちが遺したものは、終わりましたよ。安心してください」
 もはや、その声に応える神はいない。
 だがきっと、竜脈を通じ、猟兵たちの意思は彼らに届いただろう――。

 それから。
 阿蘇女村には、ひとつの変化が起きるようになった。
「おやまあ」
 "それ"を見つけた老婆は、ぱちくりと目を瞬きして驚いた。
 小さなつぼみ。村の片隅に芽吹いた、小さな小さな――青い花のつぼみだ。
 だがそこから邪気は感じられない。脈動する生命の力、みずみずしさだけがある。
「……きっともう、神様がお許しになったんだろうねえ」
 村の人々は知らぬ。猟兵たちのその戦いを知らぬ。
 かつて信仰された神々と同じように、彼らの名も消えていく。
 だとしても、たしかに守り抜いたものがあった。
 邪神の瘴気によってではなく、正しく巡るいのちの力で芽吹いた花のその青は、
 誰も知らぬ英雄たちの戦いを誇るように、朝露を浴びてきらきらと輝いていた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

最終結果:成功

完成日2020年08月05日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴