スライド島の危機~猟兵達よ、滑れ!~(作者 えむむーん
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●日常の終わり
 騒然としていた。島民達は逃げ惑い、あるいは現実を受け入れる事が出来ずにただただ茫然と立ち尽くし、走り回る者に突き飛ばされていた。
「マズイぞ! 26番コースのレバーが外された!」
「こっちは72番コースの途中に穴をあけられた! おかげで真下のうちの店が水浸しだ!」
「ちくしょう、あのコンキスタドール共め!」
 次々にもたらされる悲惨な状況報告。それに島民達は怒り怒声を挙げる。今、彼らにとって生まれ故郷たるこの島の、その始まりの時から存在する象徴にして、彼らにとって大切な生活のインフラとなる物が、コンキスタドールによって支配され好き放題されているのだ。とても許される事では無い、座して何もしないわけなどあり得ない……だが。
「見た目が子供なのにあんなに強いなんて……」
「子分の方は分裂して転ばせてきたり武器を盗みやがるし、親玉の方はとんでもねぇ化物を召喚するわこっちの攻撃をはじきやがる」
 この島にもメガリスの試練を乗り越えた海賊達が居た、だが、皆返り討ちにあい戦えぬほどに負傷していた。
 手詰まり、閉塞感に満ちた島民達は肩を落とす。この島の長、豊かな髭を蓄えた最古老たるテレビウムは海を見つめた。
「もうこの島に奴らに敵う者など居らぬ……誰か、誰か、あのコンキスタドール達を倒してこの島を、この島の宝であり象徴であるアレを解放してくれる者は現れぬか……あの、ウォータースライダーを……」

「おっほーぅ☆ さーいこうじゃー♪」
 島内に縦横無尽に張り巡らされた無数の構造物。すなわちウォータースライダーをすさまじい勢いで滑っていく影があった。豊かな金髪を水に濡らし、フリルとリボンのついた深紅の水着に身を包んだ彼女は、一見するとただの愛らしい少女だった。だが、魔を修めた者ならば気づくだろうその異様に。幼いその身が宿す常識を超えた膨大な魔力に。明らかに常人では有り得ない存在だった。
「フラックよ、これ、フラック!」
「何々? ベルちゃん様どうしたのー?」
 少女の呼びかけに反応し、ウォータースライダーの中を流れる水が盛り上がると、フード付きマントを纏った子供のような姿になった。
「フラックよ! もっとスピードをあげるのじゃ!」
「おっけー! じゃあ他のレバーとかも色々動かしちゃおーっと」
 フラックと呼ばれた人型をした水の塊は、そのマントの内側から無数の分身を飛ばす。分身達は地上へ落下し、島民達の悲鳴や嘆きの声が挙がる。
 ウォータースライダーは軋みをあげながら位置を変え、ベルちゃん様と呼ばれた少女が滑っているレーンの角度がさらに急になっていく。
「よいぞよいぞー! 気に入った! この島はベルちゃん様専用の遊園地に決定なのじゃー!」
 大はしゃぎのコンキスタドール達は気づいていない。島民達が愛し大切にしてきたウォータースライダーが、その無法により壊れ初めている事に。一日と持たずに全てが崩壊し、逆上したこの我儘王女自身が、島全てを吹き飛ばし消してしまう未来が待っている事を。

●夏休みの宿題
「コンキスタドールに支配された新たな島が見つかりました。夏休み中ではありますが、向かってくださる方はおられませんか? 水着で」
 水着で? 真月・真白(真っ白な頁・f10636)がグリモアベースの一角で放った言葉に首を傾げながらも興味を引かれた猟兵が何名か、詳しい話を聞きに集まった。
「ありがとうございます。向かっていただきたいのはスライド島といいます。キマイラフューチャーから落下した海辺のリゾート施設だったようです」
 惑星の全てがリゾートと化しているキマイラフューチャーでマリンスポーツや水泳等のアクティビティが楽しめる場所だったらしい。もっとも、他の島同様グリードオーシャンへ落下した際のダメージで機械的なものはほ壊れ機能を喪失している。
「ですがただ一つだけ、島全体を覆うように存在している、超巨大なウォータースライダーだけは、かろうじて利用が出来る状態のようです」
 利用といってもなんやかんやの結果で永遠に流れ続けるウォータースライダーを島内での移動、物流の要としてそのまま使っていたということらしい。スライド島の島民達にとっては生活に必須な設備であり島民のアイデンティティとなる大切な物だった。
「ですがそのウォータースライダーは島を支配したコンキスタドールに占拠されました。コンキスタドール達は島民が触れるのを禁忌にしていた操作盤を弄り回し、ウォータースライダーの向きや角度を変え続け、島民の住居等に被害が出ています」
 現状辛うじて動いているだけのウォータースライダーに無茶をさせた結果、最終的にウォータースライダーそのものが崩壊し、逆上したコンキスタドールは島そのものを破壊してしまうだろう。
「コンキスタドール達は常にウォータースライダーの中を滑っているので、皆さんもそこに突入してもらう事に成ります」
 それ故の水着推奨だ。
 新しい島へ直接の転送は出来ない。まずは鉄甲船『銀翼女鹿丸』へ向かい、海から上陸することになる。ウォータースライダーへ入る前に、水に流されたり壊れた建物に巻き込まれた島民を助けたり、操作盤をめちゃくちゃにしているコンキスタドールの分身を追い払って止めたりしてほしい、と真白は告げる。
「コンキスタドールには只の玩具だとしても、島民達にとって『過去』から引き継ぎ『未来』へ遺す大切な宝物です。どうかコンキスタドール達の手からスライド島の宝を奪い返してください」
 本を閉じると真白は頭を下げ、猟兵達の転送準備に入るのだった。


えむむーん
 閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。

●シナリオの概要
 冒険、集団戦、ボス戦のシナリオフレームです。
 テレビウムやキマイラ等が暮らす、巨大で複雑なウォータースライダーが特徴的なスライド島が、コンキスタドール達によって支配されています。背景は宇宙船っぽいですがキマヒュ世界のリゾート施設という事で一つよろしくお願いします、
 ウォータースライダーを滅茶苦茶にしながら滑り遊び続けるコンキスタドール達を撃破して島に平和を取り戻してください。
 一章では放置すればウォータースライダー崩壊につながる、滅茶苦茶な操作を阻止する&被害にあっている島民を助けてもらいます。二章に登場する集団的の分身が様々な悪さをしていますが、これ自体は簡単に排除できるので、色々な手段で排除し島民達を助けてください。

●水着
 ウォータースライダーで滑りながら戦うので水着着用をお勧めします。プレイングに記載があればその様に描写させていただきます。
 なお、ボスは水着を奪う能力を持っていますが、そこは今シナリオ下では奪われないように対処することが可能ですのでご安心ください。

●合わせ描写に関して
 示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】か【同じチーム名】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。文字数に余裕があったら合わせられる方々の関係性などもあると嬉しいです。
 それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。

 それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『危機一髪!』

POW危険を承知で行動する
SPD迅速に対処する
WIZ冷静に状況を俯瞰する
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 スライド島の港に降り立った猟兵達が見た光景は酷いものだった。
「うわー、俺の店がー!」
 レーンの移動により真上から滝のように水が降り注ぎ、
水浸しになっている店舗と頭を抱えるテレビウムの店員。
「うにゃー!?
 逃げ惑うその足を、水の塊のような何かにひっかけられて転ばされるキマイラ。
「わー! それ動かしちゃだめデスー!」
「うひゃー!? とーめーてー!」
 村の中央には、かつて祠の様なものがあったであろう残骸の中央に佇む機械装置を、無数のレバーやボタン、メモリを手の平サイズの人型をした水の塊が滅茶苦茶に動かしている。
 慌てるバーチャルキャラクターを無視し、ヒーローマスクを投げ飛ばしながら、それらの暴挙は続く。それに合わせながら頭上に広がる無数のレーンが悲鳴のような軋みをあげていた。
迅雷・電子
【心情】水着もあるしせっかくだからと思って来てみたけどどうやら迷惑なお嬢ちゃんのオブリビオ…あ、この世界だとコンキスタドールだっけか。がいるようだねえ。こいつぁお仕置きだねぇ…その前にスライド島の人達を助けないとね!

【行動】恰好は水着イラストの水着(青いビキニ)。被害に遭ってる住民達を【救助活動】するよ!「大丈夫かい!?私は猟兵だよ!」足をケガして動けない人がいれば【運搬】で運んで安全な場所へ。瓦礫に潰されそうな人がいれば瓦礫を張り手で【吹き飛ばし】だよ!そして水の塊には普通に張り手をして、効きそうになければ雷電張り手だよ!【絡み・アドリブOK】


●神成る一撃
「う、うぅ……誰か、助けてにゃ……」
 水の塊に転ばされ、濡れた地面に顔面から倒れこんだキマイラの少女。普段なら暑い日差しの中心地よく感じる事もあろう水の感触が、今は冷たく気持ち悪い。それは体だけでなく少女の心までも絶望に染め上げようとしていた。その時だ。
「大丈夫かい!?私は猟兵だよ!」
 少女を抱え上げる者が居た。彼女が大好きな漁師の父親のような、丸太の様に太い腕ではない。それに比べれば圧倒的に細い女の腕。けれど、その皮の内側に収められた筋肉がしっかりと自己を主張し、その力強さが少女に、父親に抱き上げられた時の様な安心感を与える。
「い、えー……がー……?」
 抱き上げた者が発した聞き慣れぬ言葉、けれど、その声色に込められた少女を案ずる心は、絶望に冷え切った少女の心を太陽のように照らし温める。
 少女は見た。抱き上げていたのはやはり女性だった。島民には居ない、偶にやってくる海賊の中に見かける人間という種族のように思えた。黒真珠のような瞳が真っすぐに自分を見つめていた。
「水着もあるしせっかくだからと思って来てみたけどどうやら迷惑なお嬢ちゃんのオブリビオ……あ、この世界だとコンキスタドールだっけか。がいるようだねえ」
 自分を抱きかかえながら何処かへ駆けだす女性はそんなことを呟きながら村の中央を睨みつけた。
 やがて女は、いつの間にか入港していた見慣れぬ金属を張り付けた船に少女を運び込む。そこには見知った島民達が避難していたり手当を受けていた。
「こいつぁお仕置きだねぇ……その前にスライド島の人達を助けないとね!」
「助けて、くれるの?」
「もちろんさ! この女雷電! 迅雷・電子に任せときな!」
 垣間見えた希望の光が消えてしまうのを恐れる様に、震える声で問うた少女に、女性は、迅雷・電子(女雷電・f23120)は力強く宣言し、未だ悲鳴止まぬ島内へ駆けだす。
 その後ろ姿を、縛り上げた黒髪を揺らしながら駆けていく様を、少女はずっと見つめ続けていた。

 島内に戻った電子が目撃したのは、水の塊達が瓦礫を突き飛ばす瞬間。重力に従いそれが落ちていく先にはそれに気づかぬ島民の姿。咄嗟に彼女は踏み出す。地面が深く電子の足の形に抉れる。一呼吸の合間に瓦礫の真下へ飛び込んだ電子は、頭上へ向けて張り手を繰り出す。鍛え上げられた彼女の右腕は間一髪瓦礫を粉々に砕く。
「上にも気を付けるんだ! あんた歩けそうなら港へ逃げて、あたしの乗ってきた船があるから!」
「べ、別の島の海賊さんか、た、助かった」
 礼を述べながら逃げ出す島民の姿を目の端に収めつつ、電子は周囲を飛び回る水の塊を見やる。グリモア猟兵の話によれば、これはコンキスタドールの生み出した分身らしい。
「ちっ、数が多いね!」
 張り手が決まれば簡単にはじけ飛ぶような存在だが、いかんせん数が多い。
 電子はその場で右足を開き、次に左足を開いた。そして背筋を伸ばしたまま真っすぐに腰を落としていく。それはすなわち四股の構え。相撲における基本姿勢の一つである。
「(あんた達に蹲踞は必要ない)」
 蹲踞とは、これもはやり相撲における基本姿勢、その中でも最も基本たるものだ。だが、あえて電子は今回それを行わない。蹲踞とは、これから戦いを始めるという意識を持つための物、そして目の前の対戦相手をリスペクトする意を込めたものだ。今彼女の前にいるのは単なる分身、これは戦いでもなんでもない立てるべき相手でもないのだ。
 故に四股から入る。四股とは邪気を払う構えである。相撲は武道でありスポーツであり、そして神事としての側面も持つ。故に力士は破邪の手法もその動作に組み込まれているのだ。
「すううぅ……はああぁ……」
 深呼吸。電子のそれに合わせて彼女の周囲に変化が生まれる。四股によって整えられた神聖なる領域には神が成る。空気中を、彼女の白い肌の上を、放電が駆け回る。
「どすこぉぉぉい!!」
 裂帛の掛け声。雷撃を纏った張り手が空を切り裂いて突き出される。放たれる激しい雷撃、大気が押し出される事によって生まれる衝撃波。それら全てが電子の周囲を飛び回っていた分身を飲み込み跡形も無く消し去った。
「いよっし! 次ね!」
 手刀を切り神に感謝を示した後、電子は次なる分身の集まる場所を目指して駆け出すのだった。
大成功 🔵🔵🔵

木常野・都月
ウォータースライダー…って、あの巨大な滑り台の事か?

なるほど、水を使って、この滑り台を滑り落ちるんだな?

今年は自前の水着で水場を戦うぞ。
仕立て屋さんに頼んだ深緑と草色のサーフパンツで参加したい。

とりあえずウォータースライダーで滑りだそう…ってアレ?思ったより早い!?

[野生の勘、第六感]で状況を把握し、一般人や崩壊を招きそうな箇所には[オーラ防御]による保護を最優先で。

変に操作してる奴を見かけたら、風の精霊様の[属性攻撃]で敵を吹き飛ばしたい。

というかだな、凄く、これ、早いんだけど!?
いや、こんなに早いものなのか!?
ゆったり滑るものじゃないのか!?
思ったより激しいな!?


●激流に身を任せて
「ウォータースライダー……って、あの巨大な滑り台の事か?」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は船を降りて、、島全体を包むように存在するその巨大構造物を見上げながら口を開いた。角度によっては半円のその内側が見える。激しい勢いで水が流れていた。
「なるほど、水を使って、この滑り台を滑り落ちるんだな?」
 合点がいったと都月は満足気な様子で駆け出した。仕立て屋に頼んだ自前の水着、深緑と草色のサーフパンツから伸びたすらりとした足が桟橋を蹴り水飛沫をあげる。
「ん?」
 不意に都月の頬を風がくすぐる。都月が気になったのはその匂いだ。船の上でずっと嗅いでいたような海の香りではなく、何処か、森を思わせた。
「風の精霊様……?」
 都月はそこに、自らに言葉とは異なる何かで語り掛ける意思を感じた。風に誘われるままに向かった先にあったものは。ウォータースライダーのノリ口だった。レーンの続く先を目で追えばそうやらこの辺をぐるりと一周するようだ。
 駆け回るよりも良い、と考えたのか都月は風の導きに従いその身をレーンに委ねた。しかしここに大いなる誤算があった。
「とりあえずウォータースライダーで滑りだそう……ってアレ?思ったより早い!?」
 そう、都月の想定する流れよりはるかに速かったのだ。勿論、普段はそこまでではない、が、今はコンキスタドール達によってレーンの向きが弄られていたのだ。
「うわわわ……はっ!」
 激流に振り回され目を回しそうになっていた都月だったが、突然その背筋に悪寒が走る。殆ど何も考えずに反射的に腕を振るう。腕の先にはちょうど建物の崩落に巻き込まれようとしている島民の姿があった。瓦礫に潰されそうになったその瞬間、都月の放ったオーラが包み込み事なきを得る。
「ほっ……ふぁっ!?」
 一瞬で後方に流れていく島民の姿にほっと安堵の息をつくも直ぐに次なる悪寒が体を襲う。水を吸って細くなっていた尻尾が、水玉を吹き飛ばしながら膨らんだ。
 都月は己の勘の銘ずるままに再びオーラを飛ばし島民を守る。そして確信した。風の精霊様はこの為に自分をウォータースライダーに乗せたのだと。それはいいのだが。
「というかだな、凄く、これ、早いんだけど!?」
 こんなに早いものなのか、ゆったり滑るものじゃないのか、尽きぬ疑問が沸く都月の鼻腔を、再び森の風がくすぐった。見れば村の中央、制御装置を動かしている水の塊を捉えられた。都合よくその真上を通過するようだ・
「よし!」
 都月はタイミングを計り、制御装置の真上で体をひねってレ^ンから飛び出した。重力の鎖に絡めとられ落ちていく中で、ずっと自分の周りにいてくれた存在へと語りかける。
「風の精霊様、風の精霊様。世のあまねくを渡る永遠の旅人たる方。万物を優しく包み通り過ぎしは御身、しかして集いし時、如何なるも抗えぬ暴君となる方。どうかその荒々しき腕を以て俺の敵に鉄槌を。伏してお願い申し上げます」
 都月の願いを受けて、彼を取り囲んでいた風がその質(かお)を変える。激しく強い風が凄まじい勢いで真下へと叩きつけられる。操作盤を弄っていた水の塊達は一瞬ではじけ飛び、地面に衝突した風が四方へ飛び散るのに合わせて雲散霧消したのだ。


 落下してくる都月の体は牙を修めた風がふわりと受け止め地面に着地し、少し考える。今この場を離れれば、また別の水の塊がやってくる可能性は高い。だが、別の場所でも島民の悲鳴が上がっている。それを無視するわけにもいかない。
 確か制御装置を守る目的で動く他の猟兵もいたはずだ、と都月は島民を助ける為に駆けだすのだった。
大成功 🔵🔵🔵

天道・あや
ふむふむ、島を覆う程のウォータースライダーとな?…来るのが依頼じゃなかったらめっちゃ滑って、遊びたかったかも…!だがしかし!今回はお仕事!独り占めする悪い人に注意とお仕置きをせねば!

上陸よし!スライダー確認よし!水着よし!それじゃ、まずは……レスキュー!

というわけで島中を【ダッシュ、ジャンプ】して島の人達をお助け!見つけたらしっかりと掴んで【グラップル】!そして呼んどいた船員幽霊さん達にシュートしてパス!そして安全な所へ誘導して貰いましょう!

あ、途中邪魔してくる分身達や手下さ攻撃を【見切り】、接近して、スライダーへシュート!!

うーん、しかし本当にすっごい大きいスライダー。……キマフュってすごっ


●Dreamship
 天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)がグリモア猟兵からこの依頼を聞いた時、最初に思い浮かんだのは残念の二文字だった。
「ふむふむ、島を覆う程のウォータースライダーとな?」
 来るのが事件を解決するための依頼で無かったなら。めっちゃ滑って遊びたかったとあやは残念がっていたのだ。
「だがしかし! 今回はお仕事!独り占めする悪い人に注意とお仕置きをせねば!」
 鉄甲船の甲板で気持ちを切り替えたあやは何かの準備を始めるのだった。
 そして現在、あやの姿は桟橋にあった。
「上陸よし!スライダー確認よし!水着よし!」
 あやもまた水着を準備してきた。青いセパレートの水着に白く長いパレオを纏えばお姫様のようでもある。
「それじゃ、まずは……レスキュー!」
 そういうとあやは駆けだした。
「あ、危ない!」
 パレオをはためかせ、散らばる瓦礫を飛び越えるあやは、水の塊に吹き飛ばされた憐れなヒーローマスクが飛んでくるのが見えた。すかさず両手で抱きしめキャッチする。
「あ、ありがとう助かっ」
「よかった。ちょっと我慢していてくださいね、えーい!」
 そのまま後方に投げる。
「なんでええぇぇぇぇ!?」
 疑問符を飛ばしながら放り投げられたヒーローマスクは更に誰かにキャッチされる。
「こ、今度こそありがとうござ」
「……」
 幽霊だった。
「お、おばけー!?」
「『Dreamship』のみんな、その人をよろしくね!」
 再度悲鳴を上げるヒーローマスクを、船乗りの姿をした幽霊は鉄甲船へと運び込んだ。そこには他にも船乗りの恰好を、否。海賊や船乗りをモチーフとしたライブ衣装に身を包み、楽器を手にした幽霊達の姿があった。彼らはあやの異能により呼び出された者達だ。
 幽霊集団の中で一人が前に出る。いかにも海賊の船長といった風体のその幽霊は、あやへ向かって握った拳を突きだし、ゆっくりと親指を上に立てた。
 あやもまた、満面の笑顔で親指を上に立てて返す。
 普段はライブ等で力を借りるこの『友人』達だが、今回は島民達を安全な場所へ誘導するのに協力してもらう作戦だ。幽霊という存在、正直まだあや自身も怖いと感じてしまう事はあるが、彼らが過去に囚われず、夢や希望を思い出して未来へと進もうとする者達なのを知っている。『未来照らす一番星!(スタァ)』足らんとするあやだからこそ、彼らの音楽でそれが理解る。故に全幅の信頼を置けるのだ。
「よしっ、次の人を……おっと!」
 次の島民を助けに行こうとした矢先、あやへ水の塊が飛びかかってくる。
 あやは難なくそれを避けると、その場で回転し遠心力を加えた足で蹴り飛ばす。水の塊は勢いよく近場のスライダーへ叩き込まれる。
 一見すれば美しくまた可憐な少女のあやだが、スタァ足らんとする彼女は、長時間体を酷使し体力を消耗するコンサートや、様々なショーを成功させられるように、体力を付けている。日々ハードな訓練をこなしている。短銃な体当たりを見切れぬ道理は無いのだ。
「シュート! ふふ、甘い甘い」
 にっこり笑顔で流され区別のつかなくなる水の塊を見送り、あやは改めて頭上のスライダーを見る。
「うーん、しかし本当にすっごい大きいスライダー……キマフュってすごっ」
 この島が元々の世界、キマイラフューチャーにあったころは、一体どれほどの施設となっていたのだろうか。
 在りし日の威容を頭の中に巡らせながらあやは、邪魔をしようとする水の塊をいなし、島民達を助けて船へと誘導してまわるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

アリスドール・トゥエルブ
これ以上、ウォータースライダーをすきかってさせません!

恥ずかしいですけど、ひめさまの選んでくれた水着に着替えてスライド島に降り立ちます!
水浸しになっている村を「ダッシュ」で突き抜け一気に中央にある機械装置群に張り付きます!

ここは人手がいりますと装備に変身していたスート・ドラゴン4体にも手伝ってもらって
装置を滅茶苦茶に動かしていた水の塊を追い払います!

なんとか追い払ったら制御装置を「学習力」で詳しく調べて水量を調整しているレバーを特定
せめてこれ以上レーンに余計な負荷をかけないように水量を下げますね

※アドリブや連携も大歓迎です


●騎士の忠誠
「これ以上、ウォータースライダーをすきかってさせません!」
 鉄甲船の甲板でアリスドール・トゥエルブ(ロ○コン殲滅するドール・f12300)が宣言した。他の猟兵達に誘導され避難してきた島民達から、おおっ、と歓声があがる。
「……っ」
 期待を向ける彼ら彼女らの視線に、アリスドールは少し困ったような、照れと困惑の混じった表情で白い頬を朱に染める。
 その原因は身に纏う水着にあった。所謂ビキニである。ただ、その布面積は非常に少なかった。少女らしい膨らみの大部分を露わにしたブラ部分。ボトム部分がローライズ、それも所謂スーパーローライズと言われる物なのだ。
「(恥ずかしいですけど、ひめさまの選んでくれた水着ですから……)」
 彼女がひめさまと仰ぐ大切な人からの贈り物なので着ない選択肢は無いのである。
 アリスドールは水浸しになている村を全力で駆けた。水飛沫を上げながら彼女が目指すのは、村の中央。制御装置のある場所だ。
 一度別の猟兵に追い払われた水の塊達だったが、島民の救助を優先した結果再び集まって弄り始めていた。
「ここは人手がいります」
 アリスドールは普段身に纏う装備を取り出す、主たる彼女の意を組んだ装備達は四体のドラゴンへと変ずる。
「お願い、手伝って! スート・ドラゴン達!」
 ドラゴン達は吠えて翼を広げて飛ぶ。水の塊達を彼らの牙が砕き、爪が切り裂き、翼のはためきが吹き飛ばして地面に叩きつけた。
 ドラゴン達が制御装置に群がっていた水の塊達を潰し追い払い、更なる接近を妨害しながら囲むように陣取る。その内側でアリスドールは制御装置の前に立った。
「せめてこれ以上レーンに余計な負荷をかけないようにしないとです」
 アリスドールは軽々に装置に触れなかった。のんびりはしていられないがそれでも慌ててさらにスライダーにダメージを与えるわけにはいかない。
「……これが、多分向きを変えるんですよね。それならこのスイッチが……」
 殆どかすれてしまった制御盤の文字、数字、ここから見える範囲にあるレーンと見比べて結論を出す。無数にあるレバーやスイッチの中で、一つのレバーに手を伸ばす。
「……えいっ!」
 緊張しながらレバーを動かすアリスドール。果たして、彼女の狙い通り、スライダー内を奔る水の勢いが確実に緩やかになっていくのだった。
「おお……お嬢ちゃんがやってくれたのか」
 目論見通りにいったようでほっとしたアリスドールの背後から声がかかる。みれば白いひげを蓄えた年老いたテレビウムだ。聞けばこの島の長なのだという。
 彼はアリスドールに、長にだけ伝えられる制御装置の戻すべき位置を伝える。コンキスタドールを排除した後でそれを行えばウォータースライダーを元の形に戻せるだろう。
 そのためにもコンキスタドールを速やかに排除せねば。アリスドールは決意を新たにするのだった。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『悪ガキ怪盗・フラック』

POW ●やーいひっかかったー!
【マントの内側】から【大量のミニ分身軍団】を放ち、【目潰しや転ばせ等色々な悪戯攻撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD ●おたからめーっけ!
レベル×5本の【自分にとってお宝になる物の場所を感知する】属性の【伸縮自在で高い盗み技術を持つ腕】を放つ。
WIZ ●どこからでも出てきちゃうよ!
【メガリス『尽きぬ雨の如雨露』の中身】を降らせる事で、戦場全体が【自分の体の一部】と同じ環境に変化する。[自分の体の一部]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の救助活動及びコンキスタドールの分身である水の塊の排除が繰り返された結果、村内での騒動は一時的な沈静化をみた。
「猟兵海賊団とおっしゃったか、ご助力感謝しますぞ」
 豊かな白いひげを蓄えた老テレビウム……この島の長が猟兵達に感謝を述べる。彼らにとってはユーベルコードを扱う島外より現れたる者は、破滅をもたらすコンキスタドールか、其れと戦う海賊かに二分されるのだ。
「コンキスタドール共はウォータースライダーの中で未だ暴れておるでしょう。向かわれるのでしたらこれをお持ちくだされ」
 長は戦いに向かおうとする猟兵達に二つの物を渡した。一つは、大変古びているが、未知の物質で構成された案内図。そしてもう一つは何かが収められた革袋だ。
「その板は、この島のウォータースライダーの地図ですじゃ。遠い遠いご先祖様が持っていた物だそうで、それがあれば慣れておらぬお前様達でも、迷うことなく滑れると思いますじゃ」
 そしてもう一つの革袋はお守りなのだという。コンキスタドールとの戦いできっと身を守ってくれることだろうから肌身離さず持っていてほしいと長は語る。
 全ての猟兵が案内板とお守りを持ったのを確認して、長は深々と頭を下げた。
「わしらの大切な物を、わしら自身で守れぬ非力が情けない……ご迷惑をおかけするが、どうかあの今季すたどー0ル共を倒してくださいませじゃ」
 コンキスタドール、即ちオブリビオンの撃破は猟兵の使命。猟兵達は快諾し案内板を頼りにしながらウォータースライダーへ乗り込んでいく。


「あっれー? 分身やられちゃった?」
 一方その頃、ウォータースライダーを流れる水と一体化していた、元はセイレーンだったらしいコンキスタドールは制御盤を奪還されたことに気付いていた。
「ふーん、まぁそれならいいや、悪戯しがいがありそうだし、何かお宝持ってるかもだし」
 コンキスタドールはマントの内側から如雨露を取り出す。その中身を自らが流れているレーンの中に注ぎ込む。如雨露の水はレーンを流れる水と同化し、やがてあちこちから同一個体のコンキスタドールの集団が顔を出し始める。
「よーし! みんなで悪戯しにいくぞー!」
「「「「おー!!」」」
天道・あや
ふむ?さっきもらったこのお守り。一体どんなご利益があるんだろ?……ウォータースライダーって事はプールだったんだよね。この島って。…健康祈願とか、千客万来のお守りなのかな??……っと、考えてたら、そろそろ目的地、声聞こえるし。…それじゃ、右よし!左よし!あたしよし!you達!悪戯はそこまでだっぜ!!

っと、こりゃまた水の勢いが凄い…!下手に動くと滑って流され……なんて!そうは問屋はなんとやら!あたしだって、今まで色んな場所で戦ってきたらこのぐらいの足場なら問題、ナッシング!(足場習熟、水上歩行)

狭いスライダー中、上手いこと敵の攻撃を避けて相手より上に行って、UC発動!(見切り、楽器演奏、歌唱)


●虹の音色
「ふむ? さっきもらったこのお守り。一体どんなご利益があるんだろ?」
 ウォータースライダーに身を委ねながらあやは渡された革袋を見ていた。ウォータースライダーがあるという事はこの島はプールだったはず、であれば健康祈願、千客万来のお守りなのか、そこまで考えながら貰ったもう一つ、地図と見比べて気づいた事があった。
 元の世界にあったころからの備品だったであろう案内板は、未知なる物質で出来ているのか劣化した様子が無い。それに対して、お守りと言われた革袋は使い込まれたのを感じさせるそれほど高い技術で作られた物品には見えない。恐らくここ数年のうちに作られたものだろう。
 つまり、中身はともかく入れ物自体はごく普通のもので、今回の事態に際して急いで用意したもののような印象をあやに与えていた。
「……っと、考えてたら、そろそろ目的地、声聞こえるし」
 あやの耳に水をはじく音と共に子供の様な声が届いた。どうやら今彼女が滑っているレーンと並走しているもう一つのレーンに一体いるようだ。
「……それじゃ、右よし! 左よし! あたしよし! you達! 悪戯はそこまでだっぜ!!」
「うわ、おねーちゃん誰!? ここはベルちゃん様のスライダーなんだから勝手に滑っちゃダメだぜー」
 上半身を起こしてポーズを取りコンキスタドールを指差すあやに対して、当の本人はぷんすかと音がでそうな程に頬を膨らませて腕を振り上げて身勝手な抗議を上げる。
「あたしは天道あや! 皆の未来や夢を照らす一番星(スタァ)よ★ このウォータースライダーは島の人のものよ、大人しく返しなさい!」
「やなこったー!」
「まちなさ、きゃっ」
 舌を出して逃げようとするコンキスタドールを攻撃しようとしたあやだったが、ウォータースライダーの激しい勢いに振り回され狙いが定まらない。
「っと、こりゃまた水の勢いが凄い……! 下手に動くと滑って流され……なんて! そうは問屋はなんとやら!」
 言葉の最後に吐く息と共に、全身のばねを一気に開放するように体を起こすあや。
「あたしだって、今まで色んな場所で戦ってきたら」
 再び起き上がった上半身。今度は腰も上げてそのまま立ち上がっていく。
「このぐらいの足場なら問題、ナッシング!」
 あやは予めインラインスケートを履いていた。踵の部分に備え付けられた装置が大気を圧縮し、駆動力に変えていく。あやは流れる水の上を走った。
「うそぉ!? すっげー!」
 思わず感嘆するコンキスタドール。あやは勢いを付けて空を飛んだのだ。白いパレオを翼のようにはためかせながら、水しぶきを上げて彼女は隣の、コンキスタドールが要る方のレーンへ移った。呆気にとられる敵の横をすり抜けて、丁度上り坂になったレーンを一気に上へ。
「んー! 気持ちいいー! 戦ってる最中なのにいい音色思い付いちゃった!」
 レーンの上り坂頂上。空のアオと海のアオ、その全てを掌握できる場所で、あやの指は生まれたばかりの音を描く。彼女の指に付いていた水が飛沫となって飛び散り、それは太陽の輝きを受けて虹を成した。
「一番に聴かせてあげる、そーれっ!」
 アオに背を向けて、虹を背負って、あやは下方を向く。そこには青い少年の姿があった。振り下ろされた腕の指に導かれ、生まれたばかりの音色達がコンキスタドールを包み込んだ。
「うわぁ、すげぇ、さいこー!」
 音色に呑まれたコンキスタドールは、虹色の光の中ではじけ飛んで消えていく。だが、どこかその表情は明るく楽し気に、あやには見えたのだった。
大成功 🔵🔵🔵

迅雷・電子
【心情】ふー…なんとか村の人達は助けられたみたいだね。(お守りは水着の胸部分の方に入れる)とりあえずもらった案内板を見つつウォータースライダーを滑って移動するよ。…あっ!あの青いチビ供か!スライダーを乗っ取った奴の仲間は…よーし、手始めにあいつらからお仕置きだよ!お尻ペンペンだ!

【作戦】奴らのイタズラや盗み攻撃は【見切り】で回避するよ!「怪盗らしいけど残念ながら私は何もないよ!武器?そんなのもないよ!私の武器はこの身一つさ!」でもスライダーで結構不安定な場所だから全部避けられるかは分からないね…
そして奴らへの攻撃は連続つっぱりだ!全員まとめてお仕置きだよ!(絡み・アドリブOK)


●疾風迅雷のお仕置き
「ふー……なんとか村の人達は助けられたみたいだね」
 安堵しながら電子は、彼らから渡されたお守りを胸元の、水着に咲き誇るハイビスカスの裏にしまい込む。
「……あっ!あの青いチビ供か!」
 電子の瞳は、コンキスタドールが集団で滑っていくレーンを発見する。急いで貰っていた案内板を確認すれば、どうやらこのまま滑っていけば背後から接近できるようだった。
「……よーし、手始めにあいつらからお仕置きだよ!」
 お尻ペンペンだ!だ、と語気を強める電子は、レーンの中で体を寝そべり、風の抵抗をなるべく受けないようにして加速していくのだった。
「うわ、なんか凄い勢いで滑ってくるおねーちゃんがいるぞ!」
「やっちゃえやっちゃえー」
 後方から追い詰める電子に気付いた敵達はマントの内側から次々と小さな水の塊を繰り出し飛ばしてくる。それは島民達に悪戯をし村を破壊していた、つい先ほど全て倒したあの塊と同じもののようだった。
「やり口はわかってんのさ!」
 電子はレーンの中で体を捻り、回転させる。目潰しを狙ってその黒い瞳に飛び込もうとしていた塊は勢いのついたポニーテールに、突き出されていた足の裏に貼りついてくすぐろうとしていた塊は足の甲で思いきり遠くへと飛ばされた。
 それ以外にも彼女の武器を奪おうと手元を狙って飛んできた塊もいたのだが、何も持っていない手のひらに叩かれてはじけて消える。
「(やっぱり、結構不安定な場所だから全部避けられなかったね……)」
 もしこれが、流れるウォータースライダーの中ではなく、しっかりとした大地の上であったならば、日々の稽古により鍛えられた電子の足腰が生み出すフットワークは、全ての攻撃を難なく避け、受け流す事が出来ただろう。だがこの足の踏ん張りどころのない不安定な状況、見切る事は出来ても全ては回避できないかもしれない、という電子の懸念は辺り、いくつかの塊は彼女の体に貼りついて……そして武器を奪おうとして、水着以外、武器らしきものを携えていない事に困惑した所を捕まえられ、潰されて終った。
「怪盗らしいけど残念ながら私は何もないよ! 武器? そんなのもないよ! 私の武器はこの身一つさ!」
「このみひとつさ! ……すげー! かっけー!」
「あのおねーちゃんかっけー!」
 電子が切った啖呵に大盛り上がりの敵達。その姿は実に無邪気と言ったもので。それはすなわち、自らの行いに何一つ罪悪感を覚えていないという、何よりの証拠だった。
「こりゃあ駄目だね……」
 頭を振った電子は気合を入れ直す。流れるレーンの中で体を起こすと、その鍛え抜かれた足腰で前に飛び込む。
「全員まとめてお仕置きだよ! どすこいどすこいどすこい!!」
 敵達を間合いに捉える距離まで飛び込んだ電子。気合の掛け声とともに空を切り裂く音を発しながら高速の張り手が繰り出される。それは一度ではない、二度、三度、一撃一撃が必殺の威力を込められた恐るべき連続のつっぱりだ。
 電子の連続つっぱりは固まっていた敵を次々に吹き飛ばし消し飛ばしていく。お尻ぺんぺんとはいかなかったが、ふざけていた彼らの目を覚ますにそれは十分なものだっただろう。
「うわー! 悪戯してごめんなさーい!」
 涙と共に謝罪を口にしながらこの場に居たコンキスタドール達は消えて行った。無論、他の個体と意識が繋がっているわけではないから、これで他の者達も反省し悪さを止めるわけではない。故に電子は他の悪さをしている個体にもお仕置きを下す為、更にウォータースライダーを滑っていくのだった。
大成功 🔵🔵🔵

アリスドール・トゥエルブ
村長さんに託された地図をもってコンキスタドールを探してウォータースライダーをすべっていきます!
それにしても水の勢いを落としておいてよかったです。い、勢いが強いと水着がめくれてしまいそうです!

フラックにそうぐうしたらさっそく戦闘開始です!いたずらされないように注意しますよ!
【四竜結界の守護者】を使ってミニ分身軍団が近寄れないように結界でバリアを張ります!
バリアで身を守っている間に「力溜め」して、分身を生み出したと思われる本体目掛けて「槍投げ」でドラゴン・ランスを投げつけてやります!

※アドリブや連携も大歓迎です


●守護騎士として
「それにしても……」
 案内板を片手にコンキスタドールを探して、ウォータースライダー滑っていたアリスドールは独り言つ。水の勢いを落としておいてよかったと。もしあのままだったなら。
「い、勢いが強いと水着がめくれてしまいそうです!」
 アリスドールが今唯一身に纏っている物である水着は、非常に布面積が少ないのだ。僅かにずれるだけで致命的な事態を引き起こすだろう。色々と複雑な身の上な彼女ではあるが、それでもその心は17歳の乙女のそれである。そんな事になってしまえばきっと恥ずか死ぬだろう。多分。
 さてそうこうしていると騒がしくしながら滑っているコンキスタドール達の姿が前方に捉えられた。
「あれ? 後ろから誰か来る……? うわー! 裸のおねーちゃんだ!?」
「は、裸じゃないです! ちゃんと着ています!」
 白い頬を朱に染めながら言い返すアリスドールだが、敵が様々な悪戯攻撃を仕掛けてくる事を念頭に、その一挙手一投足を見逃すまいという冷静さは保っていた。
 コンキスタドール達が滑りながら体だけこちらに向いたのを見るや否や、普段装備として活用している小型ドラゴン達に指示を飛ばす。
「ひめさまをまもる盾となります!てとら・がーでぃあん!」
 小型ドラゴン達がアリスドールの周囲に等間隔で浮遊し、姿を変えていく。目に見えぬ繋がりが、主たるアリスドールの体の内側より必要な魔力を、小型ドラゴン達へ注ぎ込む。その力以て結界モードに変じた小型ドラゴン達が、アリスドールを包み込む白く輝く結界を展開した。
 彼女にとってかけがえのないひめさまを守る為の術。まだまだ騎士の真似事のようなそれだが、胸に秘めたる心は、真の騎士と遜色は無い。『騎士アリスドール』の忠誠心の結実がそこに在った。
 僅差だった。アリスドールが結界を展開した直後に、コンキスタドール達はは自身の体の一部を飛ばしてきたのだ。べちゃりとアリスドールの眼前で結界に叩きつけられた分身は、名残惜しそうに蠢いて、風に吹き飛ばされ散っていく。
「わー、すげー、なんだあれ」
「いっぱいぶつけたら割れるんじゃない?」
「いけいけー!」
 コンキスタドール達はそれ自体がある種遊びに感じたのか次々に分身を結界に叩きつけて遊び始めた。
「……」
 アリスドールはそんな敵の様子を無視し、結界越しに視界を覆い始めた分身の先にいる敵を見据え続ける。その利き腕に力を溜めて、小型ドラゴンが変じた槍を構える。
「……っ! ええいっ!!」
「「「うわー!?」」」
 全力を込めて投げつけられる槍は、結界の周りに貼りついていた分身を全て吹き飛ばし、風を裂き、水を切り、まるで羽ばたいたようにさらなる加速をし、コンキスタドール達をまとめて吹き飛ばす。
「ふぅ……お疲れさま。さ、まだまだ敵はいますから頑張りましょうね」
 結界モード、槍、それぞれを解除した小型ドラゴン達を撫でて労う。気合を入れ直すと案内板を参考に滑っていくのだった。
大成功 🔵🔵🔵

木常野・都月
ウォータースライダーって思ったより早いけど、楽しいな!
仕事なのについつい楽しんでしまった…

様の人達のためにも、ちゃんとお仕事しないと。
コンキスタドールを倒して、何の心配もなく楽しめるウォータースライダーにしたい。

それに、そもそもこのウォータースライダーは、島の人達の大事なものだ。
それを好き勝手にオモチャにして、いたずらしたらダメだ。

[野生の勘、第六感]で状況を把握しつつ、UC【精霊の矢】を氷の精霊様の助力で使用したい。

敵の攻撃は[高速詠唱]を乗せた、氷の精霊様の[属性攻撃、範囲攻撃]の[カウンター]で対処したい。

相手は元セイレーンらしいな。
水の種族は、多分凍らせやすい。
凍らせて無力化したい。


●精霊術士として
「ウォータースライダーって思ったより早いけど、楽しいな!」
 都月はすっかりウォータースライダーを満喫していた。仕事なのについつい楽しんでしまった……と反省する都月は自らの頬を軽くもみほぐしながら気合を入れ直す。
「島の人達のためにも、ちゃんとお仕事しないと。
 コンキスタドールを倒して、何の心配もなく楽しめるウォータースライダーにしたい」
 そう決意を新たにしていると、笑い声をあげながら我が物顔で滑っていくコンキスタドール達が目に入った。
「それに、そもそもこのウォータースライダーは、島の人達の大事なものだ。それを好き勝手にオモチャにして、いたずらしたらダメだ」
 表情を引き締め、都月はコンキスタドール達の方へ滑っていく。
「誰かくるぞ?」
「あのおにーちゃんをやっつけちゃえー!」
「いけー!」
 都月の接近に気付いたコンキスタドール達は大声をあげながら分身を飛ばしてくる。
「はっ!」
 都月が野生の狐とて身に着けた鋭い勘が脅威への警告を全身に走らせる。
「っ! 精霊様っ!」
 咄嗟の呼びかけに応じて、かすかな氷の煌きが都月の周囲に浮かぶ。弱弱しくも見えたそれは、飛び込んできた分身を凍らせて共に消える。
「氷の精霊様のお力が弱い……暑いからか?」
 精霊術士である都月ですら、今この場で氷の精霊の気配を感じ取れなくなっていた。
「(氷の精霊様がおられないからお力を借りられない……いや、違うそうじゃない)」
 森の中で一匹の狐として精霊達と共に過ごしていた時に既に、彼は『知って』いた。大地の養分を得て育った木々は他の生き物を育み、それらが死した後、その骸は大地に還って次代の木々を育てる。
 それと同様に水も流れる小川の水が大海へいたり、雲となって天を行き、雨や雪として還ってくるということを、人の世界に入り彼らの知識より『知った』
 万物は流転してなお不変である。精霊とはそのあまえねくに在る。水が在るのならここにまた氷も在る。ただ形が違うだけなのだ。
「俺が、氷の精霊様の為にそれを整えるんだ」
 瞳を閉じる、意識を指先に集中させる。流れる水と接するそこを介して己の魔力を注ぎ込む。不可視なる力は水の分子を絡めとり、その奔放な動きを抑えていく。水の在り方が変化していく。すなわち相転移。そこに都月は視た。そこに存在(い)た。
「氷の精霊様、氷の精霊様。世のあまねくを行きわたる流れを停滞させる方。可変なるは御身、しかしてその本質は不変なる方。どうかその在り様を以て俺の敵に貴方の威光をお示しくださいませ。伏してお願い申し上げます」
 都月の触れていた水面が凍り付く。その氷から生まれた氷の矢が、再び放たれた敵の分身を凍り付かせ、さらにその本体達に襲い掛かる。矢は伸び、いつの間にか鎖の如きとなり、矢じりがコンキスタドールと貫くと当時に鎖となった全体が絡めとる。
「うわー、なんだこれー!?」
「うごけなくなるー!」
「お前達は元セイレーンらしいな。水の種族は凍らせやすい」
 凍らせて無力化してやる。都月の作戦は見事に効果を発揮し、周囲のコンキスタドール達は溶けぬ氷の塊にさせられ完全に沈黙したのだった。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『『海を満喫』我儘王女ベルベット』

POW ●ベルちゃん様の言うことを聞くのじゃ!
自身の【海の魔物を操るレアアイテムに込めた魔力】を代償に、【海の魔物クラーケン】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【無数の触手】で戦う。
SPD ●ベルちゃん様の水着姿に見惚れるのじゃ!
装備中のアイテム「【全てのダメージを反射する水着】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ ●あれもこれもベルちゃん様に寄越すのじゃ!
レベル分の1秒で【海に関する装備(主に水着)を奪い取る魔法】を発射できる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はティエル・ティエリエルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の活躍によって手下のコンキスタドールは全て排除された。その頃になってウォータースライダーにも変化が訪れていた。助け出された島民達、特に制御盤を管理する役目を負っていた長が、記憶を頼りに制御盤の設定を基に戻し始めたのだ。
 ウォータースライダーに負荷を与えないように慎重にゆっくりと行われていたため、今になってようやくその影響が滑っている者達に感じられ始めた。それは猟兵達だけではない。
「むー、なんかスピード落ちてきておらんかー? のじゃ!?」
 この島を襲ったコンキスタドール達の首魁、我儘王女ベルベットは唐突な浮遊感に襲われた。終わりが無いように繋げていたはずのレーンがいつの間にか途切れて、放り出されたのだ。その体は大きな水飛沫あげて着水した。この島の中央に、かつてのプールの名残と思われる大きな湖が存在していた。そこがスライダーの終着点だったのだ。
「もー、いったいどうなっておるのじゃー! むむむ、亜奴らは猟兵か」
 水面に顔を出したベルベットは自分と同じように着水してくる猟兵達に気付いた。楽しみを邪魔された怒りから、彼女は猟兵達へ魔法を飛ばす
「あれもこれもベルちゃん様に寄越すのじゃ!」
 猟兵達に着弾した魔法は、その輝きのままにベルベットの手に戻る。
「ふふふ、お前達の水着はいただくのじゃ! これですっぽんぽんじゃ、ざまーみ……じゃ?」
 手の中にある布を掲げて高らかに宣言したベルベッド。けれど彼女の魔法を受けた猟兵が身に着けた水着を奪われている様子はない。代わりに長が渡したお守りが光っていた。
「さては、その中に水着が入っておったのじゃな! ええい、別にベルちゃん様の魔法は水着しか奪えないわけではないのじゃ! 覚悟しろ猟兵!」
 最初に彼女達にこの島が襲われた時、この島を根城にする海賊達が抵抗ぢ、そして敗北した。その時海賊達が水着を奪われたのを目撃した長は、代わりに戦ってくれる猟兵達の為に、村に残された水着を詰め込んだ革袋をお守りとして全猟兵に渡していたのだ。
 このお守りがある限り水着をピンポイントで奪われる危険はない。猟兵達はこの島を解放する為に最後の戦いに挑むのだった。
木常野・都月
あの革のお守り、最初は何だろう?って思っていたけど、このためにあったのか……お守りって凄いな!
効果は抜群だ!
人は人前で裸になったら逮捕されるからな……。

ベルちゃん様は、少し悪ふざけが過ぎた。
俺自身は水着がなくても尻尾で隠せるけど…。
でも、この水着は、俺にとって、仕立て屋さんに作ってもらった、初めての水着なんだ。
とても大事な水着。
それを奪おうとするのは、ダメだ。

ベルちゃん様の魔法は[高速詠唱]の[オーラ防御]の[カウンター]で防ぎたい。

UC【雷の怒り】でビシッとやりたい。
今地面にいるなら、猟兵仲間を巻き込む事はないはず。

子供でも、相手がコンキスタドールなら、手加減は出来ない。


天道・あや
え、嘘マジ、た、たんま…きゃ、きゃあっ!

って、あれ?盗られてない?あ、お守りが守ってくれた?な、成る程、これの為に住民の人がくれたんだ。…よーし、なら今度はこっちの番!住民の気持ちよし!お仕置きの気持ちよし!反省させる気持ちも…よし!それじゃ、行きますか!

おおっと!?でっかい、イカ!?こりゃこんな場所で出しちゃイカんでしょ!?

イカの攻撃を【ダッシュ、見切り、足場習熟、水上歩行】で避けながら楽器を構えて…UC発動!イカをコンキスタドールへシュート!泉に浸かって頭を冷やしてね!【歌唱、楽器演奏】



反省&お仕置きのタイム!ここはね、一人じゃなくて、皆で遊ぶ場所だったんだからね!独り占めは、ナッシング!


アリスドール・トゥエルブ
ベルちゃん様、悪い子にはおしおきです!
それにしても、見た目だけならちいさくて可愛らしい方なのですが……
同じお姫様でもひめさまとは大違いですね

せんてひっしょう!とばかりに水面から「ジャンプ」してドラゴンランスを投げつけてようとしますが水中から伸びてきた触手に捕まってしまいます!?
マイクロビキニ姿のせいで肌の露出が激しいせいか触手が直接触れて、き、きもちわるいですぅ!
し、しかも魔法で奪えないなら直接剥ぎ取ってしまえばいいとベルちゃん様が……!?
触手の先端が水着に伸びてきたところで羞恥心の限界に達し【お人形さん大暴走】が発動!
うにょうにょと動く触手をひきちぎってしまいますよ!

※アドリブや連携も大歓迎


迅雷・電子
【心情】まさかこのお守りがそんな効果を持ってたなんてね…後で長さんや島の人達にお礼言わなきゃね…さーて!それはさておきそこのお嬢ちゃんだね…ちょっとおいたが過ぎたようだね…お仕置きの時間だ!

【作戦】「悪いね、私は他に何も持ってないんだよ!力士だからね!」奪い取る魔法は他に何もないので考えず、他の敵の攻撃は基本【見切り】による回避か【怪力】で受け止めるよ!クラーケンはびったんびったんで追い払った後、ベルベットの腰部分を持って抱え上げそのまま水着のスカート部分を捲ってわずかに露出してる尻部分(反射する水着対策)を雷電張り手だ!!「今度こそお仕置きのお尻ペンペンだ!反省しな!!」


●開戦
「え、嘘マジ、た、たんま……きゃ、きゃあっ!」
 ベルベットの放つ強奪の魔法。それを受けて一番慌てたのはあやだ。紺色の水着、純白のパレオ、全てをはぎ取られ肌を晒す己が脳裏に浮かび悲鳴と共に手で体を隠してしゃがみ込む。
「って、あれ?盗られてない?」
 けれどその手の平が伝える感触は水着の物で、恐る恐る目を開けてみれば己も他の猟兵達にも変化はない。
 驚いた猟兵達だったが、ベルベットの怒声により長がくれたお守りに助けられたことに気付いた。
「あ、お守りが守ってくれた? な、成る程、これの為に住民の人がくれたんだ」
「まさかこのお守りがそんな効果を持ってたなんてね……後で長さんや島の人達にお礼言わなきゃね……」
 乙女の心を深く傷つけるであろう最悪の事態を回避できたことに声が弾むあや。隣で電子も深く首肯で同意を示し、助けた島民達の顔を思い出していた。
「あの革のお守り、最初は何だろう?って思っていたけど、このためにあったのか……お守りって凄いな!」
 効果は抜群だ! 人は人前で裸になったら逮捕されるからな……。と神妙に首を振る都月。日々人間社会へのお勉強は進んでいるようだ。
「それにしても、見た目だけならちいさくて可愛らしい方なのですが……同じお姫様でもひめさまとは大違いですね」
「なんじゃと!」
 アリスドールは己が姫と仰ぎ使える少女の事を思い出す。ベルベットも見た目の愛らしさだけなら負けてはいないかもしれないが、その心根は比べるまでもない。
「ベルちゃん様、悪い子にはおしおきです!」
 アリスドールはびしっと指をベルベットに指して言い放った。
「さーて! それはさておきそこのお嬢ちゃんだね……ちょっとおいたが過ぎたようだね…お仕置きの時間だ!」
 アリスドールの宣言に賛意を示し、島民達への感謝をいったん横に置いて電子は構える。右足、ついで左足と順に足を開いて中腰になり、背中をやや丸めて胸の前で両手を、力を抜いて何かを抱えるように構える。これは相撲の基本姿勢の一つ、すぐに足を出せる動きやすい姿勢にて臨戦態勢を整えたのだ。
「今度はこっちの番! 住民の気持ちよし! お仕置きの気持ちよし! 反省させる気持ちも……よし! それじゃ行きますか!」
 ポーズをとるあや。一番星(スタァ)本日ラストナンバーが始まる。
 都月も真剣な表情でベルベットを見つめる。その手にはいつの間にか一振りの杖が握られている。

●我儘王女の守り(水着)と白き海の悪魔
「せんてひっしょう!」
 最初に飛び出したのはアリスドールだ。水底を蹴り飛沫を飛ばしながら水面から跳躍したアリスドールはそのままの勢いを乗せてドラゴンランスを投げつける。しかし。
「え!?」
「甘いのじゃ!」
 ベルベットの胴体を貫く軌道で襲い掛かったドラゴンランスは、しかし彼女が身に包む水着に触れたとたん、まるで滑ったかのように見当違いの方向へ飛んでいく。
 想定外の事態に一瞬固まってしまうアリスドール。それが致命的な隙になってしまった。
 ベルベットの手の中で光が生まれると、湖面から突然何本もの巨大な何かが飛び出してきた。
「きゃっ!?」
 悲鳴をあげるアリスドールの体に巻き付いていたのは、無数の吸盤を持つ触手だった。
「ベルちゃん様の事を舐めおって、さー、海の魔物よ、ベルちゃん様の言う事を聞くのじゃ!」
ベルベットの手の中には輝きを放っている幾つもの物品。海を思わせるような青く美しい宝石や、真珠、あるいは鮮やかな色合いの水着らしき布等色々なものが乗っていたが、それら全てが輝きを放ちやがてそれを失っていった。
「ベルちゃん様のとっておきレアアイテム達の魔力を代償にしたんじゃ、そこの生意気な猟兵達をぼっこぼこにするんじゃぞ、海の魔物、クラーケンよ!」
 ベルベットの叫びに応じる様に、湖の水を押しのけて巨大な質量が現れる、アリスドールを捕まえ、そして別の触手にはベルベットが乗り、それでも尚何本もの触手を携えたそれは、巨大なイカのように見えた。
「おおっと!? でっかい、イカ!? こりゃこんな場所で出しちゃイカんでしょ!?」
「ふふふ、これぞ海の魔物クラーケンなのじゃ! さぁやるのじゃ、クラーケン!」
 慌てるあやに自慢げに魔物、クラーケンを紹介するベルベット。命令を受け、クラーケンは無数の触手を残りの三人へと叩きつける。
「おっと!」
「そこだっ!」
「ふんっ!」
 電子とあやは咄嗟にその攻撃を見切ってその場を跳び退き、都月はオーラによる防御で丸太の様な触手をそらす。
 無論それで攻撃が終わるはずもなく、次から次へと強烈な触手の一撃が迫る中、三人は各々別の方向へ逃げていく。

●少女人形危機一髪
 一方その頃、唯一捕まったアリスドールは。
「き、きもちわるいですぅ!」
 マイクロビキニと呼ばれる肌の露出が激しい水着だった事が災いしていた。巻き付いた触手が直接肌に触れる部分が多く、何とも言えない気持ち悪さがアリスドールの全身を包んでいた。
「ふん、良いざまなのじゃ!」
「くっ、ベルちゃん様……」
 身動きの取れないアリスドールの前に、ベルベットが別の触手に運ばれてやってくる。その瞳には確かな怒りが灯っていた。
「先ほど貴様は、誰ぞと比較して随分と失礼な事を言ってくれたからのう。お返しをくれてやるのじゃ」
 そういうと、アリスドールの体を拘束しているのとは別の触手が迫る。二回りほど小さいそれは器用に先端を細かい動きでくねらせていた。
「魔法では奪えないからのう、直接はぎ取ってくれよう。良く見えるように大の字にしてやるのじゃ」
「なっ!? きゃあ!」
二回り細い触手はアリスドールの両手足に巻き付く様に絡みつき、振りほどこうとする彼女を強引に大の字に中空に貼り付けにする。そして彼女の水着へと触手の先端が迫る。
「あ、あ、いや、そんな、そんなの……」
 この先に待ち受ける絶望的な未来を想像し、アリスドールの頬は羞恥に染まる。その姿を見てベルベットは嗜虐的な笑みを浮かべた。その時だった、
「あわっ、あわわわわわわー! こ、こんなの恥ずかしすぎですー」
 アリスドールの内側で何かが弾けた。と同時にぶちぶちと何かを引きちぎる生生しい音が響く。
「な、なんじゃ! こやついきなり体内の魔力が有り得ん位に跳ねあがりおったのじゃむべっ!?」
 ベルベットの顔面に引きちぎられた触手がすさまじい勢いで叩きつけられ、そのまま彼女は乗っていた触手から大きく後方へと吹き飛ばされる。
 触手を引きちぎられたクラーケンは大慌てで、最初に捕らえた太い触手で全身をぐるぐる巻きにする、が、
「いやあああっ! はずかしいいぃっ!!」
 アリスドールの叫び声と共に強靭で柔軟なはずの巨大触手も引きちぎられる。
「危ない!」
 遂に支える物の無くなったアリスドールは、そのまま重力に引かれ落下していく。そんな彼女を都月が飛び出して抱き止める。風の精霊に頼みアリスドールの落下を減速させたので難なくキャッチできた。
「よかった、アリスドールもアリスドールの水着も無事だったみたいだな」
「は、はい、ありがごうございます」
 邪気の無い笑顔を向け、触手と違って温かく心地よい腕に抱きあげられているうちにアリスドールも少しずつ平静さを取り戻す事ができた。

●狐の見つけた宝物と何も持たぬ力士が身に宿す宝物
「ベルちゃん様は、少し悪ふざけが過ぎた」
 都月はアリスドールを立たせるとベルベットに視線を向ける。吹き飛ばされた彼女は別の触手にキャッチされて乗り換えたようだ。
「俺自身は水着がなくても尻尾で隠せるけど……」
「そ、それはそれで駄目だと思います……」
 実際に水着の上から実演してみせる都月の恰好に、傍らのアリスドールは再び頬を染める。
「でも、この水着は、俺にとって、仕立て屋さんに作ってもらった、初めての水着なんだ」
 そうして愛おしそうに自らの水着を撫でる都月。彼はきっと、実際に自分も水着を仕立てた事で、何故多くの人々が新しい水着を用意して見せて楽しんでいたのか、おそらく実体験で理解したのだ。水着。それはその人それぞれの大切な宝物なのだ、と。
「とても大事な水着。それを奪おうとするのは、ダメだ」
「うるさいうるさいうるさーい、海の物は全部ベルちゃん様のものなのじゃー!」
 苛立ちクラーケンに都月を叩きつぶすよう指示するベルベット。クラーケンは命じられたままに巨大な触手を叩きつけようとするが、それは都月に当たらずその手前で叩きつけられた。反動で飛んだ大量の水飛沫が、都月とアリスドールの姿をベルベットとクラーケンから隠した。
「なんじゃ、なんで届かないん……じゃじゃー!?」
 不審に思ったベルベットが振り返ると、なんと電子が一本の太い触手をがっしりと抱え掴んで引っ張っていたのだ。手を離させようとして巻き付いて来る触手達を意にも介さず、不敵な笑みを浮かべる電子。
「悪いね、私は他に何も持ってないんだよ! 力士だからね! それ、どおぉっせえぇぇいっ!!!」
 己の何倍もの巨体を持つクラーケンを、その全身の力で引っ張る電子。裂帛の掛け声とともに大きく投げ飛ばす。右上手投げだ。
「のじゃああ!?」
 クラーケンに乗っていたベルベットは振り落とされ大きな水柱を立てる。一方のクラーケンは、激しい地響きを立てて湖岸に叩きつけられた。

●心掴む歌声
「はぁ……すっごい。流石は力士ね」
 目の前で起きた光景に感嘆するあや。猟兵として様々な世界で色々な驚異的なものを見てきてはいるが、彼女にとって身近なスポーツであろう相撲の力士が見せた奇跡のような光景には不思議な感情が湧き上がったのかもしれない。
「確か相撲は神様に奉納する武芸なんだっけ? 芸ということならあたしも負けていられないよね!」
 あやの眼前にマイクとマイクスタンドが、そしてその手の中には楽器が出現する。
「ではでは! 一曲演奏させてもらいまショータイム!」
 楽器が奏でられ歌が始まる。明るく、可愛らしく、それでいて力強く、魂を震わせる、スタァ天道あやのライブだ。
 魂が震えれば心は湧き立ち、体は踊りだす。クラーケンに如何程の知性があるか、期待するのは如何なものか。けれどこれは知性ではない。歌はエモーショナルである。感情を脇起こさせる為の理論理屈はあるだろう、しかし最終的に必要なのは歌を感じる心と震わせる魂だ。故に、クラーケンにもあやの歌の素晴らしさがわかった。心が掴まれた。
 残った触手を、まるでサイリウムを持っているかのように振り回すクラーケンに、あやは一回転ターン、ピタッと止まって指鉄砲を向けている。ウィンク。
「ハートキャッチ! あなたの心、あたしに夢中!?」
 決めのサビ。まるで撃ち抜かれたように、あるいは投げ飛ばされるかのように、クラーケンは背後の湖に吹っ飛ぶ。
「の、のじゃー!?」
 ベルベットの上へ。
「ここはね、一人じゃなくて、皆で遊ぶ場所だったんだからね! 独り占めは、ナッシング! 湖に浸かって頭を冷やしてね!」
 激しい水柱を上げる湖を背に最後のポーズを決めるあやだった。

●雷は天からのお仕置き
「今なら皆を巻き込むことは無いはずだ」
 あやのライブの間に他の面々も地面に上がっていた。都月は湖内のクラーケンとそれに巻き込まれているであろうベルベットを見つめる。
「雷の精霊様、雷の精霊様。遥けき天空にて大地を見る方。黒雲の合間を翔ける黄金龍たるは御身、しかして万物に悪心ある時、神罰の具現となりて空裂き地を貫かれる方。どうかその荒々しき怒り以て俺の敵に鉄槌を。伏してお願い申し上げます」
 都月は手にしていた杖を空へと投げる。それは放電を起こしながら光の塊となって天へと昇った。途端に空を暗雲が覆う。稲光が走り雷鳴が轟く。
「子供でも、相手がコンキスタドールなら、手加減は出来ない」
 都月がクラーケンを指差した直後。一瞬だけ全てが白に染め上げられ、次いで轟音が鳴り響き衝撃波が湖水と空気を吹き飛ばす。落雷だ。
 猟兵達の視界に色が戻った時、クラーケンはそこに居なかった。完全に消し飛んでいた。
「ぐぐぐ、おのれ……もうこんな島いらんのじゃ」
 クラーケンと共に激しい落雷が直撃したベルベットは逃げようと空に浮かび上がる、その時だ。一本の槍が飛来したのは。
「逃がしませんよ!」
 湖岸でアリスドールが、ドラゴンランスを投げた後の姿勢で叫んでいた。水着を纏っていない肩を貫かれたベルベットは体勢を崩して落下する。
 未だ放電続く湖に入る者がもう一人いた。電子だ。通電し体を駆ける電流をものともせず、否。むしろそれを操りその両手に集めていく。
 電子は力無く浮いていたベルベット残し部分を持ち抱え上げる。
「今度こそお仕置きのお尻ペンペンだ!反省しな!!」
「電子様、水着が攻撃をはじきます、お気をつけて!」
 身を以てした経験を元にアドバイスをくれたアリスドールへ電子は手を振って応える。と水着のスカート部分を捲り、僅かに露出していた尻へ向かって。
「どすこぉぉぉい!!」
 雷撃纏った張り手を叩きつける。
「あんぎゃあああああっ!!!」
 この世の終わりの様な悲鳴を上げるベルベット。それが最後の一押しとなったのか、その体は薄くなり、末端から光の粒子になって消えていく。過去として骸の海へ還る時が来たのだ。
「おのれ、おのれぇ……許さんのじゃ、次会った時覚え説くのじゃ」
 果たして『過去(オブリビオン)』が変わる事は不可能なのだろうか、わからないが、少なくとも今回ここに顕現したベルベットは最期まで恨み言を放っていた。

●取り戻した『宝物(平和)』
 かくして、スライド島を襲った危機は猟兵達の手によって完全に除去され、島にはいつもの平穏がもたらされた。
 案内板を手に再びスライダーにのって村の中央にまで戻ってきた猟兵達を見て、その晴れやかな笑顔を見て、島民たちは大歓声をあげた。
 その後猟兵達は村人からの熱烈な申し出を受け、島を取り戻してくれた事への歓迎会に招かれる。本来の形に戻ったウォータースライダーを大いに楽しみ、島民達が振る舞う料理に舌鼓を打ち、連戦の疲れを癒し、本来のこの島を満喫するのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月08日
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