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青海にて唄え、黒鉄の艦よ(作者 七転十五起
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 グリードオーシャン、名もなき島にて。
 そこは『速さ』を尊ぶ『イダテン・シャーク海賊団』のアジトである。
 彼らは海賊船は速ければ速いほど素晴らしいという考えのもと、年に数回、他の海賊団を招待して催し物を行っている。その催し物とは……?
「海賊船最速レース! 開幕だーッ!」
「「おおーッ!!」」
 スピード自慢の海賊たちが一同に集結したアジトの島は大変賑わっている。
 レース仕様に魔改造された海賊船の数々は、どれもみな個性的な外見だ。
 どの海賊たちも、自分の海賊船が優勝すると信じてやまない様子。

 ――だが、その島の背後から、異様な黒鉄の艦が接近していた。
「このお祭り騒ぎなら、私達の巨大な艦船が接近しても怪しまれません! 今があのアジトの島に攻め入るチャンスです♪」
 歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』の人魚海賊達がほくそ笑む。
 彼女達は虎視眈々と平和な島へと魔手を伸ばしていたのだ。

「今回の任務は、海賊達に気付かれることなく、接近するコンキスタドール達を撃退することだよっ!」
 蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は予知の内容を、頭上のグリモアから投影しつつ話を進めた。
「みんなはまず、この海賊船レースに紛れてもらって、アジトの島を根城にする海賊団達と交流を図ってもらいたいなっ! 彼らの許可なしに島への滞在は出来ないし、せっかくだからレースに参加するのも面白そうだよねっ!」
 レースに参加するだけではなく、観客として紛れ込んだり、商人に成りすまして海賊達へ物を売ったりする方法もある、とレモンは助言した。

「海賊団の許可が下りれば島への滞在が認められるから、急いでイベント会場とは真反対の海岸へ急行してねっ! そこに今回の敵であるコンキスタドールの海賊団が上陸を試みようとしているよっ!」
 そこからは普段通り、島へ上陸させないように猟兵達が食い止めるだけだ。
 しかし、レモンは首を傾げていた。
「不審な点といえば、襲ってくる敵の海賊船に“船長”がいないんだよね……っ? 少し警戒したほうがいいも……っ?」
 猟兵達は、レモンの言葉を胸に留めつつ、早速、グリモアの力を借りてグリードオーシャンへと向かうための鉄甲船へ転送されてゆくのだった。





第3章 ボス戦 『航宙駆逐艦『レコンキスタ』』

POW ●亜光速加速砲
自身の装備武器に【亜光速にまで物体を加速させる装置】を搭載し、破壊力を増加する。
SPD ●大気圏突入シールド展開
全身を【多重装甲のシールドで包む大気圏突入モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ ●『アーマー・レコンキスタ』の出撃
【敵の動きを強制的に止めるビームガン】で武装した【超装甲のロボットに登場する特殊隊員】の幽霊をレベル✕5体乗せた【吶喊用ドリルがついた強襲揚陸艇】を召喚する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクリスタル・ファイアヘッズです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』の人魚海賊は全滅した。
 だが、彼女達が頭目なしに行動していたとは考えにくい。
 その“答え”が今、島に接近していた。

 水平線に浮かぶ黒い艦船。
 あれが人魚達の海賊船だったのだろう。
 その割には、やけに機械的なフォルムである。

 猟兵達が黒い艦船を望遠鏡で眺めていると、彼等の脳内に直接語り掛けてくる声が!
『イェーガー諸君。当機は航宙駆逐艦『レコンキスタ』である。スペースシップワールドで航行していた際、正体不明の次元の歪みからこの世界へ墜落した。以後、当機は海洋巡航駆逐艦として、この世界を彷徨っている。そして、偶然拾った人魚たちの海賊船であり、その海賊船の実質的指揮権を有している』
 まさかの艦船型コンキスタドール!
 しかも、この船が船長だというのだ!
 ……確かに、あの人魚たちは宴会と歌うことしか頭になさそうであったので、むしろ機械の指示に従っていたというのなら納得できる話である。
「全団員の死亡を確認。当機はこれより、ジェノサイドモードへ移行。目標、前方の島及び海賊達、並びにイェーガー。駆逐します。駆逐します」
 黒鉄の艦船が唸りを上げて戦闘モードへ移行!
 このまま島への揚陸を果たしたら、いくら屈強な海賊達が束になっても敵いっこないだろう。
 猟兵たちよ、すぐさま悪魔の黒鉄の船を破壊するのだ!
大崎・玉恵(サポート)
『あまり、老狐に無理をさせるでないぞ』
 妖狐の戦巫女×陰陽師女です。
 普段の口調は「女性的(わし、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」、気にいったら「尊大(わらわ、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、公序良俗に反する行動はしません。
ユーベルコードを絡めた【誘惑】による認識操作や籠絡、【呪符】に【破魔】【焼却】等の【呪詛】を込め【呪殺弾】とする、薙刀による【薙ぎ払い】【2回攻撃】が得意です。
卑劣な手段をとる敵には【威厳】【存在感】を放ち神として振る舞います。


スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!


リディア・スカーレット(サポート)
 ダンピールのビーストマスター×パラディン、女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 恋人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

静かな場所や花などの自然が大好きです。
人との会話は淡々とこなし、あまり私情を入れない様にしてます。
仲間は大切に思っており、仲間とは協力し合い
依頼の成功を目指します。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


バン・クロスハート(サポート)
【ボス戦、サポートします!】
「世界を乱すオブリビオンは許しません!」
「貴方は、削除します!」

僕の得物はダブルセイバーですから
前衛に回ってユーベルコードで支援しますね!

【前衛】
ダブルセイバーと具現化するレンガで敵の攻撃を凌ぎます!
動き回って攪乱も狙います

技能:残像、激痛耐性、武器受け、ダッシュ、逃げ足

【支援】
<クローズサイクロン>
武器を回転させて生み出す竜巻で相手の動きを封じます!

<インフィニティクロッサー>
手数が不足している時ならこちらで!
ダブルセイバーを複製し、敵にぶつけます!

<ドラッグオンチート>
強大な相手には身体能力を上げて対応します!


技能:念動力、部位破壊、二回攻撃、ドーピング


 敵は海洋に浮かぶ黒鉄の艦船そのものであった。
 猟兵は島の砂浜から海洋へ向かう必要があるが、その間に攻撃されては元も子もない。
 故に、鉄甲船の上に救援の猟兵達が急遽集結して時間稼ぎを行う運びとなった。
「どんなオブリビオンかと思えば、よもや巨大な船を相手取る羽目になろうとはな……? 老狐には堪えるのう」
 見た目は14歳程度の少女だが、実年齢は遥かに上の大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は、これから攻撃するコンキスタドールに困惑していた。
「あんな大きな艦船に砲撃されたら、島はひとたまりもありません! 浜から駆け付けてくる猟兵さん達、そして島を守るためにも時間稼ぎに徹しましょう!」
 気合十分に訴えるスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は、フリルがふんだんに用いられた改造巫女服に炎の精霊の力を宿した弾丸を連射する突撃銃を抱えていた。
「何であろうと、与えられた任務はこなすだけよ。行きましょう」
 灰髪ダンピールのリディア・スカーレット(孤高の獣使い・f24325)は淡々と告げた。
 対して、バン・クロスハート(一×十Χのガーディアン・f23853)は、眼前に待ち構える黒鉄の艦船へ強い警戒心を露わにする。
「世界を乱すオブリビオンは許しません! まして、お祭りを楽しんでいる人たちの背後を狙うような卑怯な相手は尚更です!」
 キマイラフューチャー出身の少年型のバーチャルキャラクターであるバンにとって、目の前で行われようとしている敵の作戦は度し難く、そして許せない内容であった。
「貴方は、削除します!」
 バンが鉄甲船の甲板を駆け出すと、そのまま船の外へ跳躍!
 あわや海中へ身を投げ出す寸前のところで、彼の足元に両剣が召喚された。
「インフィニティクロッサーを使います! こういう使い方だってアリですよね!」
 ユーベルコード『インフィニティクロッサー』によって、バンの代名詞である仮想現実両剣型兵装こと『VW-ダブルクロッサー』を57本複製すると、自分の足場として両剣を数本組み上げる。そして念動力で操作すれば、空飛ぶ剣で出来たエアボードの完成だ。これがあれば艦船相手に空中戦を仕掛けられる!
 猟兵の攻撃を感知した航宙駆逐艦『レコンキスタ』は、格納庫から大量の超装甲のロボットを載積させた、吶喊用ドリルで武装した強襲揚陸艇を発進させた。
『攻撃パターンを検知。『アーマー・レコンキスタ』を出撃させます』
「前衛はみなさんに任せました! あの揚陸艇は私が食い止めます!」
 突撃銃の銃口から閃光を瞬かせながら弾幕を張るスピレイル。
 炎の精霊の力が籠もった弾幕は、着弾時に盛大な爆炎を拡散してロボットを海中へ押し沈めてゆく。
 だが、ロボットが装備しているビームガンが鉄甲船を狙っている!
 それに気が付いた大崎は、いち早く真紅の霊符に自身の神の力を宿して解き放った。
「させぬぞ! 己が力、その身を以て味わうがよい!」
 札が接触したロボットは焼け爆ぜて機能停止するも、残る機体がビームガンの引き金を絞った。
 放たれる光線を前に、大崎はユーベルコード『偽・太陽鏡(ギ・オオイナルヒノカガミ)』で対抗する。
「おぬしらの攻撃が光線で助かったのじゃ」
 鉄甲船を守るように出現するは、神気を宿した鏡。
 ビームガンの弾幕を一手に受け止めて吸収してしまうと、今度は鏡から膨大な光量の洪水が奔流する!
「鏡は光を反射するのじゃよ。そのまま人形は吹き飛んでゆけ」
 揚陸艇に積載されたロボは、この反射する光線で全て消し飛んでしまった。
 だが、肝心の揚陸艇の船首に搭載された吶喊用ドリルが、鉄甲船へ迫ってきている!
「今度は私の出番ですね! ライトニングリボンバラージ!」
 使役する雷の精霊から放たれた電撃の無数のリボンが揚陸艇を絡め取ったかと思えば、次の瞬間、紫電と火花を散らしてエンジンをショートさせてしまった!
 煙を上げながら黒焦げになった揚陸艇は、完全に海洋上で動きを止めたのだった。
「あれを足場にすれば、私も海を渡れそうね?」
 飛行手段を持たないリディアだが、ユーベルコード『血統覚醒』を用いて真紅の瞳に覚醒、ヴァンパイア化による爆発的な身体強化を活用することで艦船への接敵を試みる。
「私は他の人と違って、このバスタードソードくらいしか有効打がないもの。とにかく接近しなくちゃいけないわ」
 黒焦げになった揚陸艇へと飛び移ったリディアは、波間へ向けて急に獣奏器を奏で始めた。
 すると、どこからともなくイルカの群れが海面から顔を出したではないか。
「あの黒い艦船まで私を連れて行って」
 リディアの願いに、イルカたちはきゅいきゅい♪と鳴きながら承諾。
「あら、背中に乗せてくれるの?」
 きゅいきゅい♪
「ありがとう。でも気を付けて。相手には砲撃が……」
 その言葉を遮るように、亜光速で飛来する弾丸が、黒焦げになった揚陸艇を轟沈させた!
「危なかったわ……! イルカさんたち、無理しないでね?」
 間一髪でイルカたちの背に飛び乗ったリディアは、そのままイルカたちの巧みな連携に助けられ、遂に艦船のバルジまで到達出来た。
「ヴァンパイアの超身体能力、その身で体感してみなさい」
 バスターソードでバルジを叩き斬る!
 すると、金属が砕け歪む凄まじい轟音を撒き散らしながら、艦船の真横に大穴を開けることが出来たのだ。
「チャンスですね! インフィニティクロッサー!」
 高度の空中からオールレンジ攻撃を敢行するバン。
 だが、彼の剣先は艦船に突き刺さることはなかった。
『大気圏突入シールド展開。防御モードへ移行します』
 絶対無敵状態となった黒鉄の艦船だが、その場から動くことが出来なくなってしまった。
 これにバンはVG-ブロッキングブロックをサイバーから具現化させた。
「攻撃が効かない上に身動きができないなら、足止めとしての責務は果たされていますが、何もしてないのも癪なので……」
 甲板に降り立ったバンは、何やら艦船の左に無数のブロックを積み上げてゆく。
「宇宙ならどうか知りませんが、艦船って海の中で転覆すると大変ですよね」
 ただのブロック詰みは攻撃に該当せず、次第に重量が左に集中して艦船が傾いてゆく。
 そして限界まで積み上げたブロックが崩れる頃には、艦船のは左へ傾いて横転してしまったのだ。
『警告。警告。リカバリーモードへ移行。当機の体勢を修復します』
 沈没させることは出来なかったが、起き上がらせるためにかなりの時間を浪費させることにバンは成功した。

 こうそうしている間に、島から本命の猟兵達が駆け付けてきた。
 いよいよ、本格的な破壊作戦が決行される……!
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

大町・詩乃
都月さん(f21384)と

人々も島も駆逐するなどと簡単に言ってくれますね。
そんな事は私達が絶対にさせません!

UC発動

都月さんの援護を受けつつ高速飛翔。
(「ありがとう都月さん、チィさん♪」と感謝します)
敵の攻撃は【第六感】で予測し、軌道を【見切って】、【オーラ防御】を纏った天耀鏡の【盾受け】とUCによるオーラで防ぎます。

詩乃からはUCと都月さんの援護による戦闘力増強を元に下記実施
①煌月に【光の属性攻撃】を籠めた【なぎ払い・鎧無視攻撃】で艦橋や砲塔を切断。
②都月さんの雷攻撃に合わせて詩乃も【雷の属性攻撃・全力魔法・神罰・高速詠唱】で雷攻撃(「神鳴る力を受け取りなさい!」)。

「誰も死なせませんよ!」


木常野・都月
詩乃さん(f17458)と

スペースシップワールドの船!?
なんでこんな所に……。

とはいえ、相手が船だろうと、コンキスタドールなら、倒すしかない。

折角の宝珠だ、試しに使ってみたい。
時の精霊様にお願いして、敵の動きを遅くしてもらいたい。

あとは、さっきと同様に、詩乃さんを守りつつ、UC【精霊の歌】を使用、風の精霊様の力で詩乃さんに、チィの歌声を届けたい。
詩乃さん、思いっきりお願いします!

敵の攻撃は、[高速詠唱]乗せの雷の精霊様の[属性攻撃]の[カウンター]で対処したい。

加えて、[属性攻撃(2回攻撃)、全力魔法]で追撃を行いたい。


 神性に満ちた若草色のオーラを纏った大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)が、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)を背におぶって飛翔する。
「あの艦船……人々も島も駆逐するなどと簡単に言ってくれますね。そんな事は私達が絶対にさせません!」
「というか、どうしてスペースシップワールドの船がこんなところに!? けれども、相手が船だろうと、コンキスタドールなら、倒すしかない」
 木常野は大町の背から飛び降りると、風の精霊の加護を得て、自身の体を逆巻く暴風で包み込んで、波間で浮き上がらせた。
「少しバランスを取るのが難しいけど、これなら海の上でも戦える。詩乃みたいにあんな早くは動けなくても、俺には精霊様の加護とチィがいるからな。これで十分戦える」
 木常野の肩にしがみつく月の精霊が『チィ♪』と元気よく鳴いた。
「そうだ、せっかくの時精霊の宝珠だ、試しに使ってみたい」
 海賊が持っていたオーブに己の魔力を込める木常野。
 すると、彼の周囲に幾多の時計盤めいた魔法陣が浮かび上がったではないか!
「……なんだ、これは? 今まで味わったことのない感覚だ。とりあえず、敵の攻撃を遅くしてみよう」
 空中に浮かぶ時計盤の針をくいっと指で押し戻すと、途端に世界は様変わりし始める。
 ぐにゃり、と木常野の視界が揺らいだかと思えば、再び元へ戻ってゆく。
 何が起きたのだろうと狼狽する木常野だったが、それはすぐに理解できた。
『――おぉぉおあぁああぁぁ――』
 黒鉄の艦船の電子音声アラートが、やけに間延びした再生速度になっているのだ。
 更に、格納庫から発進してきた揚陸艇も、コマ送り再生を眺めているかのようにゆっくりと近付いてくるではないか。
「これが時精霊様の加護か。凄い効果だな……。でも俺も凄く疲れるぞ。早めに決着を付けないと」
 時間制御の精霊術に慣れていないせいか、魔力をどんどん持ってかれてゆく感覚に苛まれながらも、木常野はこの大きなチャンスを逃すことなく攻勢に出た。
「チィ、頼む」
 木常野は肩に乗る相棒へ協力を仰いだ。
 月の精霊チィの歌声が大海原に響いてゆく。
 更に風の精霊の加護で歌声は上空を飛ぶ大町の耳にも届いてくる。
「これが精霊の歌声……。心が透き通るような、なんて清浄な気に満ちた調べなんでしょうか」
 大町はチィの歌声に共感したことにより、己の神気を増幅させてゆく。
「都月さん、チィさん! ありがとうございます♪」
「詩乃さん、思いっきりお願いします!」
 上空と海面で互いに手を振り合う大町と木常野。
 偶然から生まれたコンビ連携だが、今ではすっかり板に付いている。
 大町は緩慢な動きで砲撃準備をすすめる艦船へ急接近してゆく。
「いくら砲弾が亜光速とはいえ、射出するまでの準備が遅いのなら此方のものです。発射される前に攻め潰すまでです!」
 それに、砲弾が放たれれば島への被害が出てしまう。
 かといってその身で亜光速の物体を受け止めるのは、いくら不死身といわれる神と言えども無茶が過ぎる。
 それがユーベルコードで消滅できるかとはいえ、加速した物体の衝撃波までは相殺できるかどうか怪しい。
 故に、先手必勝。先に攻め潰して出鼻を挫くに限るのだ。
 大町は愛用の薙刀である煌月を振りかぶる。そのオリハルコンの刃に光を満たしたまま、マッハ7を超える超音速で艦橋や砲塔を次々と薙ぎ払い、斬り落としてゆく!
「はぁぁっ! せぇいっ!」
 裂帛の気合の声とともに放たれた、鎧さえも斬り裂く光の一閃が黒鉄の艦船を着実に破壊してゆく。
「あれが詩乃さんの神様としての全力か。俺も負けてられないな」
 スローモーションのまま接近してくる揚陸艇は、ロボを解き放って木常野へ襲わせた!
「遅いぞ。雷の精霊様、あのロボットと小さな船を攻撃して下さい」
 エレメンタルダガーを振り抜けば、雷の魔法弾が射出されて敵へ吸い込まれてゆく。
 着弾して火花を散らすロボット達は、次々と海の中へと撃沈!
 残る揚陸艇もエンジンが高圧電流に寄って焼け切れて爆発、そのまま沈没していった。
「詩乃さん、今です!」
「攻撃を合わせましょう、都月さん!」
 木常野のエレメンタルダガーに膨大な電流が局所集中!
 大町も自身の纏うオーラこと魂命霊気を変質させ、雷属性の神力の槍を生み出してゆく。
「機械は余分な電気をたくさん流すと壊れるって聞いたぞ。船のコンキスタドールも感電して壊れてしまえ」
「誰も死なせません! 神鳴る力、神罰の雷の槍を受け取りなさい!」
 2人の放つ雷撃が一瞬で黒鉄の艦船に突き刺さった!
 おお! 見よ!
 青天の霹靂とはまさにこのこと!
 2人の猟兵が放つ雷撃は、まるで古代ケルト神話に登場する太陽神ルーが所持した宝具『フラガラッハ』と『ブリューナク』が如き凄まじい閃光と威力を放った!

 コンキスタドールの艦船の動力部から黒煙が上がる。
 轟沈まで、あともうひと押しだろう。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵