●桜珊瑚島
そこは無人島であり、以前はメガリスの影響で宝箱とそれと対になる鍵が見つかる島であった。今は影響を及ぼしていたメガリスは回収され、コンキスタドールが現れるような脅威もない。
以前と同じく、変わらず桜珊瑚島周辺の空も海も美しく、桜色の珊瑚が群生している。探そうと思えば、宝箱も見つかるだろう。宝箱は鍵とセットで見つかるようなので、興味があれば探してみるのもいいかもしれない。
●猟兵達の夏休み!
猟兵にだって夏休みは必要だ、と八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が集まった猟兵達を前に胸を張る。
「いっつも頑張ってるんやし、ちょっとした夏休みやと思ったらええと思うんやで」
そう言って、彼女が紹介したのは桜珊瑚島だ。軽く島の説明をすると、満面の笑みを浮かべて言った。
「つまり、バカンスには持ってこいの島ってことやな! 目一杯遊ぶんも、ゆっくり羽を伸ばすんも自由や!」
透き通る青い海の中で泳ぎ、珊瑚や魚達と戯れるのも、友達とビーチで遊んだり、全力で水鉄砲合戦をするのだってきっと楽しい。
浜辺でバーベキューをして、お腹いっぱいになったら樹にハンモックを吊るして昼寝をするのもいいだろう。
宝箱を探してあっちこっち散策するのも、中に何が入っているのかわくわくしながら開けるのも、きっといい夏の思い出になるはず。
長い長い昼休みを、どうやって過ごすかは君達次第なのだから。
「とびっきり楽しい昼下がりを皆で過ごしてな! 夏休みやで、夏休み!」
ぴょん! と楽しそうに飛び跳ねて、菊花が皆を鉄甲船に乗せる為に駆けだした。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
夏ですね、水着! こちらは一章のみのお楽しみシナリオとなっております。プレイングの受付期間はMSページに記載しております、お知らせ用のスレッドをご確認いただけますと幸いです。
水着は特に希望がなければ今年の水着を勝手に描写する場合があります。水着をお持ちでない方も、☆をプレイングのどこかに入れてくだされば、勝手にイメージで水着を着せます(ない場合は特にプレイングでの指示が無ければ描写致しません)
●できること
OPにあることや、他にやりたいことがあればお好きなようにプレイングを掛けてくださればと思います。基本的に、お昼~夕方までの気候のよい桜珊瑚島にて出来そうなことであれば採用致しますので、色々考えてみてくださいませ。
●桜珊瑚島
桜色の珊瑚が群生する島、当方が運営した『珊瑚の海とメガリスの宝物』にて解放された島となっております(特にシナリオを確認する必要はありません)
メガリスはもうありませんが、宝箱(鍵もすぐ傍にあります)を見つけることも可能です(持ち帰りは可能ですが、アイテムとしての発行はございません。RPの一助となれば幸いです)その場で開ける場合は、中身もお書き添えいただけると嬉しいです。
●同行者がいる場合について
同行者がいらっしゃる場合は複数の場合【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【昼3】同行者の人数制限は特にありません。
プレイングの送信日を統一してください、送信日が同じであれば送信時刻は問いません。
●注意点について
注意点としましては、海だからといって何も着ていないなどのプレイングや、未成年の飲酒、公共良俗に反するような内容を含んだプレイングなどは採用自体が見送りとなります、恐れ入りますがご了承くださいませ。
八重垣・菊花が同行しております、何か御用などありましたらプレイングにお書き添えください。何もなければその辺で皆様の邪魔をすることなく、浮き輪でぷかぷかしてるかと思います。
それでは、皆様の素敵なシエスタをお待ちしております。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルデルク・イドルド
ディル(f27280)と
◎ (お宝二人で分けられものでお任せ)
水着は今年のコンテストのものです。
あぁ、やっぱりこの島はのんびりするのにはもってこいだな。今日は砂浜で寛いでみたがやはりいい。
ディルは海の方に行ってるが…ん、ディルが呼んでるな。
珊瑚が綺麗だって?
そうだな今回は水着も着たし行ってみるか。
そんなひっぱんなって…わっ。
(水の中にドボン)
ッしょっぱいな。
(息を大きく吸って水中へ)
(ディルの言った通り珊瑚が綺麗だな…んあれは?)
(珊瑚の中に鍵を見つけ)
ディル!鍵だ!またお宝が手に入るかもしれねぇ!
この間のはメガリスだったからな。今回こそは二人で分けられるといい
ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
☆
お~っ、前回はメガリス探しだったけど
今日はずっと遊んでいいんだよな?
アル、いっぱい遊ぼうぜっ!
アルがパラソル指してる間に我慢出来ずに泳ぎに行く
お~っ、海きれい!水つめたくてきもちいいなっ!
しばらく泳いでて桜色のきれいな珊瑚を見つけて
アルに見せたくなってアルを呼びに行く
「アルー!きれいなサンゴ見つけた、一緒に見に行こうっ!」
アルの手を引いて海に潜るぞっ
珊瑚を二人で見てると、珊瑚の中に宝箱を見つけて
アルに見せようとするとアルが鍵を見つけてて
「へへ~っ、今度はどんなお宝だろうな?」
お宝見つかってアルが嬉しそうでオレも嬉しい♪
せっかくならアルとおそろいの物が手に入るといいな~
●海賊たちの夏休み
砂浜に日除けの為のビーチパラソルを勢いよく刺し、折り畳みだがゆったりと寝そべることができるデッキチェアを二つ並べる。パラソルの位置を少しだけ調整すると、よし、と小さく笑ったアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)がひとつ伸びをした。
潮風が、左耳を飾る青い羽根の耳飾りを揺らしていく。
「あぁ、やっぱりこの島はのんびりするのにはもってこいだな」
以前訪れた時には、宝箱探しに鍵探し、入っていたメガリスを狙ってやってきたコンキスタドールと対峙して――楽しくはあったが、今日のようなバカンスではなかったからな、と既に海へ向かっていった相棒であるディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)を見た。
白い肌が日光を弾き、琥珀色の髪が輝いている。瞳の色に合わせた赤いショート丈の水着も活動的なディルクにはぴったりだし、黄色の腰布も揃いの飾りも良く似合っているとアルデルクが満足気に目を細めると、ディルクが視線に気が付いたのかこちらに向かって手を振っているのが見えた。
応えるように手を振ると、また海の中へと潜っていく。
「元気だな」
ぽたりと落ちた汗を軽く拭って、着ていた海賊コートを脱ぐとデッキチェアの背に掛ける。夏仕様で薄手だし、何気に機能性も高いのだが、デッキチェアで寛ぐには脱いだ方がいい。
ごろりと寝転がると、ディルクが潜っていった海を眺める。どこまでも続く青い空に海、吹き抜ける風は普段グリードオーシャンを拠点として動いているアルデルクでもバカンスを意識してしまうほどに穏やかだった。
「うん、やはりいい」
暫く砂浜でゆっくりするか、と目を閉じる。潮騒が心地よく耳に届く、それからディルクの声も――。
「アルー!」
アルデルクが砂浜でパラソルを準備している間、我慢できなくなって海に飛び込んだディルクだったけれど、暫くの間ぷかぷか浮いてみたり潜ったりをしていると桜色の綺麗な珊瑚を見つけ、アルデルクを呼んだのだ。
こんな綺麗なもの、アルデルクに見せなきゃ勿体ない。楽しいことは一緒にしたい、思い立ったら即行動、それがディルクだ。
ざぶざぶと浜辺に向かって浅瀬を突っ切り、あっという間にアルデルクの前に立つと、少し身を屈めて彼の黄金色の瞳を覗き込んだ。
「きれいなサンゴ見つけた、一緒に見に行こうっ!」
「珊瑚? そんなに綺麗なのか」
目の前の赤よりも綺麗だろうか。そう考えた瞬間には、もうアルデルクの手はディルクに握られていて、デッキチェアから引き起こされていた。
「アル、いっぱい遊ぼうぜっ!」
前回はメガリス探しだったけれど、今日はずっと遊んでいてもいいのだ。一人で海を楽しむのもいいけれど、やっぱりアルデルクが一緒の方がいい。子どもがねだるように手を引くと、アルデルクが笑って頷いた。
「そうだな、今回は水着も着たし行ってみるか」
デッキチェアの上に、無造作に身に付けていたベルトや青い上着を放り投げると、ディルクに手を引かれるままに海へと向かう。
海の水はひんやりと気持ち良く、ゆっくり進むかと思っていたところ早くと急かすディルクの腕に力強く引っ張られ――。
「そんなひっぱんなって……わっ」
勢いよく、二人そろって水面に水飛沫を上げた。
「ッしょっぱいな」
「そりゃ、海だからなっ」
共に立ち上がって、顔を見合わせる。どちらからともなく笑って、潜るかと息を吸い込んだ。
とぷん、と潜ればそこは青が広がる海の世界。こっち、と指さしたディルクに再び手を引かれ、桜珊瑚が美しい海底に向かった。
途中何度か息継ぎに水面に顔を出し、あれが綺麗だった、こっちの珊瑚も、と笑い合う。もう一度、と深く息を吸って海中に潜ると、珊瑚の中に何かが光るのが見えた。
手を離し、ジェスチャーで向こうに潜るとディルクが告げると、アルデルクが頷く。ディルクが潜るのを見送ると、アルデルクも足元に近い位置でキラリと光る何かを見つけてそのまま潜る。海底の砂地に触れると、硬い物に触れてそれを掴んだ。
ちらりとディルクを見れば、手に何かを持って上を指さしている。指で丸を作って合図をすると、水面に浮かび上がる為に砂地を蹴った。
「アル! いいもん見つけたっ」
「俺もだ」
濡れた髪を掻き上げて、アルデルクが手にしたものを見せるとディルクが目を丸くし、それから嬉しそうに笑って自分も手にしていたものを見せた。
「宝箱か!」
「珊瑚の中に隠すみたいにあったぞ! アルの持ってる鍵で開くか、試そうぜ!」
二人で砂浜に戻り、パラソルの下でデッキチェアに腰掛けながら顔を突き合わせ、ディルクが持つ宝箱にアルデルクが鍵を差し込む。
「嵌まったな、またお宝が手に入るかもしれねぇ」
「早く開けようぜ!」
カチリ、と音がするまで回し、鍵を引き抜くと箱を開ける。わくわくとした表情のディルクが、箱の中を覗き込んだ。
「これって」
「バングルだな」
アルデルクが手に取って、二本のそれを検分する。
「材質は金か……? こっちは太陽でこっちは月の紋様が入ってるな。何かの加護を感じるが、悪いもんじゃないのは確かだ」
片方をディルクに渡すと、ディルクが目の高さに掲げてまじまじと見る。
「細かい彫刻も入ってるんだな!」
「ああ、太陽と月ってことは対になった腕輪かもな」
俺達にぴったりだ、とアルデルクが笑うとディルクも嬉しそうに笑って、互いの腕にバングルを嵌めた。
二人の腕に嵌まったバングルは、太陽の光を受けて二人の笑顔のように美しく光っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天玲寺・夢彩
☆◎
桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
15歳
高めで少し大きめのツインお団子に二つ結びが付いたような髪型。
明るい自由人。
色んなモノ吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
だけど最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。
口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』
UCはその時に使えそうなやつを選んで使用する。
ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳に違反しない。
『キーミー!え~と‥そう、菊花ちゃーん!!ねえ、夢彩と一緒に遊ぼうよ!!』
●桜珊瑚に花嵐
この島の珊瑚にだって負けないほどの桜色の髪を揺らし、少女が砂浜を歩く。少し高めの位置で結い上げたツインのお団子から、緩く編んだ二つ結びが揺れている。
「うーん、本当に綺麗な島! 海も空もぴっかぴかだよー!」
どこか軍服にも見えるセーラー服のような襟の付いたショート丈のトップスに、洗練されたハーネスの付いたミニスカート風の水着を翻して天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)が立ち止まった。
「ええっと……あの子、確か……」
名前、なんだっけと夢彩が首を傾げる。彼女の視線の先には、大きなピンク色の浮き輪で砂浜に近い浅瀬をちゃぷちゃぷしている少女が一人。
「梅じゃなくって、桜でもなくって、椿でもなくって……」
よく見れば、黒髪に黄色い髪が混ざっている。ツインテールに結った部分には菊の髪飾り――。
「そうだ、菊花ちゃん!」
思い出したー! と夢彩が満面の笑みを浮かべると、菊花に向かって叫ぶ。
「キーミー! 菊花ちゃーん!! ねえ、夢彩と一緒に遊ぼうよ!!」
おーい、と手を振って名を呼ぶ彼女に菊花が浮き輪を抱えて立ち上がり、水飛沫を上げて駆け寄った。
「うちのこと呼んだやろか!」
「うんうん、呼んだよ! 夢彩はね、天玲寺夢彩って言うんだよ、よろしくー!」
「うちは八重垣菊花やで、よろしゅうな!」
差し出された手を握って菊花がぶんぶん振ると、夢彩も同じように振り返した。
「それで、何して遊ぶんやろか?」
「え? え~っと……」
そういえば、特に考えもしていなかったと、夢彩が頬を掻く。
「ノープランやな?」
「そ、そんなことないよう」
そっと視線を外しつつ、そうだ! と夢彩が菊花に向き直る。
「菊花ちゃんは何してたのかな?」
「うちは見たまんまやで? 浮き輪でぷかぷかしとったんよ、綺麗な貝とかがあってな!」
「貝殻? 夢彩も探したい!」
一緒に探そう、と言う夢彩に頷いて、菊花がさっきまで遊んでいた浅瀬へと二人で向かった。
「冷たくって気持ちいいよー!」
夏の日差しに煌く飛沫が楽しくて、夢彩が両手で掬った海水を空へと広げるように勢いよく撒き散らす。
「天玲寺さん、こっちやで、こっち!」
綺麗な貝殻が沢山あるのだと、菊花がすぐそこの水底を指さした。
そこには白くて平べったいけれど、内側が真珠層と呼ばれる虹色に輝く貝殻や、綺麗にくるりと巻いた巻貝などが幾つも落ちているのが見える。
「きれーい! あっ、これって桜貝かな?」
ピンク色をした、薄い貝殻を拾って夢彩が菊花に見せた。
「せやで、桜貝や! 好きなん?」
「好き……うん、好きだよ!」
小さくて可愛くて、何より桜色なんだもん。
にっこりと笑った桜色の少女に、菊花もつられて笑顔になる。
「せやったら、綺麗なん見つけてお土産にしたらええんよ」
「お土産! 素敵!」
いい案だと頷くと、二人は虹色に輝く貝をお皿代わりにして、欠けの無い綺麗な桜貝を拾っては笑いあった。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブOK
今回はゆっくり過ごそう。
感覚的にはピクニックとやらが近いかもしれん。
木陰にクッションの効いたシートを敷いて陣取り、持参した弁当で昼ごはん。
バーベキューも考えたが俺一人と伽羅と陸奥の二匹とじゃ、俺が焼く担当で二匹というか陸奥がひたすら食いそうだしな。
食事が終わったらこの間と同じように二人には遊んで貰って、俺は昼寝。
本当に寝るわけじゃないし、見える範囲で遊ぶ二人を見てる。
一度は来たことある場所だし、伽羅もいるし、陸奥も無茶はしても無謀はしないはず…。
あの子は好奇心が主とはいえ一応俺の心の在り様を写した精霊だし、たぶん。
伽羅は俺とは逆だからなぁ。だからこそ一緒に来てくれたのかもしれんが。
●穏やかな昼下がり
浜辺にほど近い場所に生えている樹の下で、常とは違い紺青色をした薄手のパーカーを羽織り、今日の空のような天色をした水着を着た黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)と、彼を主と仰ぐ精霊の白虎である陸奥、そして水神の竜である伽羅の姿があった。
「こら、邪魔をしない……ったく」
石や邪魔になる枝を退け、クッションの効いた大きめのシートを敷いていた瑞樹が手を止め、陸奥と伽羅をそれぞれ撫でる。それに満足したのか、瑞樹の足に絡み付いたり前足で遊んでとアピールしていた二匹が離れていく。
「よし、これで……完了かな」
シートの端を持ってきた荷物や先程退けた石を置いて留め、重箱と水筒を真中へ置いた。
「ふふ、ピクニックみたいだな」
無人島へピクニック、中々に贅沢なシエスタだと瑞樹が笑うと、手招きをして陸奥と伽羅を呼ぶ。取り皿にそれぞれの分を取り分けて置いてやると、嬉しそうに口を付ける。それを微笑ましく眺めながら、瑞樹も自分の分を食べる為に箸を取った。
「うん、美味しい」
我ながら美味しくできたと、出汁巻き玉子を口に運ぶ。
「折角の海だからな、バーベキューでも良かったんだが」
自分と伽羅と陸奥の二匹とでは、自分が焼いて二匹……というよりも、陸奥が延々食べるという図式が出来上がりそうで止めたのだ。
賢明な判断だったな、と凄い勢いで自分の皿に載せられたおかずやおにぎりを食べ尽くしていく陸奥を見て、瑞樹が笑う。多めにお代わりを載せてやると、その身のどこに入るのかと思うほどの勢いで消えていく。
「慌てなくても、まだあるぞ?」
さり気なく皿を空にした伽羅の皿にも、お代わりを置いてやる。そして、きらきらと輝く海を眺めながら自分も負けぬようにと食べ進め、重箱の中身がすっかり空になる頃には程よく腹も満たされ、陸奥が遊びに行きたそうに尻尾を揺らしていた。
「いっておいで、その代わり無茶は……しても、危険なことはしてはダメだ。いいな?」
伽羅に向かって頼むと視線をやれば、波打ち際に向かって駆けていった陸奥を追い掛けるように伽羅が動く。
「さて、それじゃあ俺は昼寝でもするとしようか」
とは言うが、簡単に片付けを済ませてシートの上に寝転がっても、視線はしっかりと浜辺で遊ぶ二匹に向かっている。一度来たことのある場所であるし、伽羅が見ていてくれるならば無謀なことはしないはず。
「あの子は好奇心が……主とはいえ一応俺の心の在り様を写した精霊だし、うん」
多分、という言葉が付くけれど、自分とは逆である伽羅がいるなら大丈夫。……多分。
やっぱり後で見に行くかと思いながら、瑞樹は波の音と吹き抜ける爽やかな風に身を任せながら陸奥と伽羅が遊ぶのを眺めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クレア・オルティス
◎
兎乃・零時(f00283)と行動
※「れーじ」呼び
わくわくするような冒険はいつだってしたいよね
それなら…やっぱりお宝探しだね…!
どちらが先にお宝を見つけられるか…勝負だよ、れーじ…!
岩場の影や入り組んだところは念入りに探してみよう
海が透明で綺麗で…泳ぐ鮮やかな魚たちについつい意識を奪われちゃう
わっとと…滑って転ばないようにも気をつけなきゃね
お宝探しは慎重に…だけど勝負してると気持ちが早まってしまうね…
急げと焦るなの行ったり来たり
やっとのことでお宝を見つけられたなら…中身はきっと小さな桃色真珠(ハズレは桜貝)
イヤリングにしたら素敵かな…?
よし、それじゃぁ…れーじと合流しよう…!
兎乃・零時
クレア(f20600)と
◎
ふっふー
魔導書が前回の一冊だけとは限らねぇし
それに折角なら友達と遊びたいし!
再度来たぜこの島に!
だよな、冒険は何時だってしてみたいもんだし!
!!
勝負…いいぜ、やろうクレア…!
以前のジャングルとは別の所行ってみよ
未知の場所の探索!
きっと以前見つけられなかった何かがあるに違いない!
ってまた罠あるの聞いてない!!
ぎゃー!?
あっぶ、あぶな!?
パル協力頼むぞぉ!
み、みつけた…!
中身はいったい…
◆中身
希望は魔導書
水、光以外の魔導書が望ましい
魔導書(はずれ)でも大丈夫
良い物ならめっちゃ喜び
偽物なら「あ”ぁ”ぁ”!?」って悲痛な叫びあげる
よし、宝箱もって戻ってクレアと合流しねぇと…!
●二人のシエスタは冒険で
突き抜けるような青い空に白い雲、透き通って底まで見えるような輝く海、そして無人島とくれば――!
「わくわくするような冒険だよね、れーじ……!」
「だよな! 冒険は何時だってしてみたいもんだ!」
一度訪れたことのあるこの島に、改めて兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)がやってきたのには理由がある。
ひとつ! 魔導書が前回の一冊だけとは限らない!
ふたつ! 折角なら、友達と遊びたい!
そんな単純明快で、わくわくするような誘いを受けて共にやってきたのが、黒で纏めつつもアクセントとしてピンクのパールビジューで縁を飾ったビキニとミニスカート姿も可愛い、クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)だ。零時に負けず劣らず、目の前に広がる風景に青い瞳を輝かせている。
「冒険……それなら、やっぱりお宝探しだね……!」
「!!」
ぐっと拳を握り、クレアが隣の零時に向き合い、彼の目を見つめる。零時も真っ向からその視線を受け止め、大きく頷いた。
冒険イコール宝探し、零時もこの島に来た時に思ったものだ。それならば、どこへに行くのがいいだろうか? クレアと二人で探しに行くなら……そこまで零時が考えた時だった。
クレアが零時の名を呼び、こう言ったのだ。
「どちらが先にお宝を見つけられるか……勝負だよ、れーじ……!」
勝負と言われれば、友達とはいえ引き下がらないのが自分だと零時がクレアに向かって口を開く。
「勝負……いいぜ! やろう、クレア……!」
彼らの宝探しはこうやって始まったのだった。
零時と別れ、どこを探そうかと考えた結果、クレアが選んだのは入り組んだ岩場だ。
「わあ……! やっぱり綺麗……!」
岩場から見える海は砂浜から見た海よりも透明で、真下を泳ぐ鮮やかな魚だってよく見える。オレンジ色、黄色、青、縞々の魚も、クレアの目を楽しませるかのように泳いでいた。
「……いけない、宝探し勝負だよ」
でも、目が奪われてしまうのは仕方ないし、もしかしたらそれでお宝が見つかるかもしれないし……なんて思いながらもう一度だけ覗き込む。しゃらり、とクレアの右腕を飾るブレスレットが揺れた。
「わっ、とっと……焦らない焦らない」
滑って転ばないように気を付けながら覗き込めば、色鮮やかな魚達が泳ぐ海の中、岩場の根元部分に光る何かが見えた。
「もしかして……お宝、かな?」
慎重に、そうは思うけれどこれは勝負なのだ。
「うん、今は水着だし……大丈夫、準備運動だってれーじとしたものね」
うん、と頷いてクレアが大きく息を吸い込むと、岩場から海へと綺麗なフォームで飛び込む。上がる水飛沫すら美しく、気泡と共にクレアが潜る。目指すはさっき光った何かだと、懸命に手足を動かして岩場の根元を目指した。
見つけたのはピンク色をした、エナメルのような艶を放つ宝箱。それから、同じような色と素材をした鍵だった。
水面へと上がり、ぷはっと息を吸って岩場へと上がる。それから、しっかりと手にした宝箱と鍵を見た。
「綺麗な宝箱と鍵……!」
太陽の光を受けると、ピンクのエナメル部分がパールに輝いていて、クレアは自分でも知らぬうちに笑みを浮かべていた。
「あっ、そうだ……れーじに見せなくちゃ……!」
勝負だけど、こんな素敵な宝箱と鍵を見つけたことを一緒に喜んで欲しい。岩場に足を取られぬように、クレアは元居た浜辺へと駆けた。
一方、クレアと別れて歩き出した零時が向かった先は、前回来た時にちょっと気になっていた洞窟だった。
「前はジャングルだったしな、今回は海のそばの洞窟だ!」
海の冒険に洞窟はお約束だよな! と意気揚々と向かったのは、洞窟だというのに光を放つ……そんな神秘的ともいえる洞窟だった。
「ヒカリゴケの一種か?」
前に本で見たことがあると、零時が壁をまじまじと眺める。薄い水色のように発光するそれは、零時の水着をなんともいい感じに浮かび上がらせている。ちょっと未来っぽさもあり、魔法使いっぽさもある水着は零時の今年の新スタイルだ。
泳いでよし、潜ってよしのスタイルな上に、紙兎のパルも夏仕様として小さなサングラスを掛けている。
「よーし、奥に向かうぞ! パル!」
ぴょんっと跳ねたパルを肩に乗せ、零時が勢いよく踏み出した時だった。
カチッ。
「……カチ?」
何か踏んだな、でも洞窟でそんなスイッチみたいな音がする? いやしないよな! と笑顔で何かを踏んだ足を浮かす。ゴゴゴ、と背後から聞こえる音に、既視感を覚えて零時が走りだす。
「いや、だから! 古典的だし二回目ぇぇ!!」
ぎゃー!? と叫びながらとにかく前へと走る。走りながら、洞窟の入り口にそんな巨大石ころとかなかったじゃん! とか、どっから!? とか考えるけれど、答えに結びつくはずもない。肩に乗っていたパルが、こっちだと横道へ誘導してくれるままに身体を滑らせた。
「あっぶ、あぶな!? 危険はないはずじゃねぇの!?」
コンキスタドールとメガリスの危険はない、とパルがジェスチャーで伝えると、なんとなく理解した零時がそっかぁ……と力なく頷いた。
「あれ、こっちの方が光りが強くねぇ……あっ!」
零時の視線の先、ヒカリゴケに囲まれた小さな部屋のようになった場所に、それは在った。
「み、みつけた……!」
淡く水色に輝く宝箱と、鍵だ。中身は? と考えると共に、一緒に来たクレアが危険な目にあっていないか気になって、宝箱と鍵を掴むと一目散に浜辺に向かって駆け抜けた。
洞窟を抜け、眩しい光を浴びながら浜辺に到着すると、そこには同じように走ってくるクレアの姿が見えた。
「れーじー!」
「クレア!」
お互い駆け寄って、顔を突き合わせる。
「見て、宝箱!」
「俺も!」
クレアのは両の手にのるくらいの小さなもの。零時のは、小脇に抱えられるほどの小振りだけれどそれなりの大きさのもの。
「開けた?」
「まだだぜ!」
危険な目に合っていないのは見てすぐに分かったから、それは隠して零時が宝箱を砂浜の上に置いた。
「一緒に開けようぜ!」
「うん……!」
ドキドキしながら、二人で宝箱の鍵穴に向かって鍵を差し込む。そうして、同時に箱を開ければ――。
「わあ、綺麗な真珠!」
「魔導……書?」
クレアの宝箱の中には幾つかの桃色をした真珠が。
レイジの宝箱には、どこか古ぼけたような、けれど何か力を感じる魔導書のような本が。
「うーん、魔導書は魔導書なんだけど、いまいちピンとくる感じじゃ……ってなんだこれ!」
ぺらりと捲ると、そこには白紙が広がっていて、零時は少ししょんぼりとしてしまう。
「えっと……魔導書、なんだよね?」
「だと思うんだけど、白紙じゃな」
ハズレだったかな、と笑った零時に、クレアがゆっくりと首を横に振る。
「真っ白なら、れーじが、れーじだけの魔導書にすればいいと思う……!」
「!!」
零時だけの魔導書。それはなんて、なんて素敵な言葉なんだろうか。きっとクレアは、零時ならできると思ってくれている。それなら、何時になるかはわからないけれど応えなければ自分ではない。
「……ありがと! クレア、俺、この魔導書を自分のモンにしてみせるぜ!」
オリジナルの魔法を研究するのだって、きっと絶対に楽しいに決まっている。
「うん……! わたしは、今日の記念にこれをイヤリングにしようかなって……」
「それ、絶対に似合うぜ!」
嬉しそうに頷いたクレアが笑う。その笑顔を見て、零時も笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヒマワリ・アサヌマ
【陽廻3】
海だ〜〜〜〜!!!!
ほんとに海だ!本物本物!わっつめたっ!
……ほんとにしょっぱい!すごいすごい!!
入っていい?いいよね!?わぁ〜〜〜〜!!
えっ右腕?だいじょ〜〜ぶ!『ぼうすい』なんだって!えへん!
ねぇネオンちゃん!どっちが長く潜れるか勝負しない?
よ〜〜しっ、せ〜のっ!
あはははっ!ネオンちゃん変な顔するのズルいよ〜〜〜!も〜〜〜〜!!
わだちくんもっ、ほらほら!
む〜〜………とりゃ!あは!当たった当たった!
なにって水鉄砲だよ!えいえい!!そりゃそりゃ〜〜〜!!
ぐぅ。
たくさん遊んだら、お腹空いて来ちゃった…
バーベキュー!!??やったぁ〜〜〜〜!!!!
無間・わだち
【陽廻3】☆
この世界の海は
昔見た物よりずっと綺麗だ
…もしかして二人共、これが初めての海ですか?
なら、はしゃぐのも仕方ないか
水着着てるならどうぞ
ああ、飲んだらしょっぱいですから
そこは気をつけて
足が着く深さに居て下さいね
二人がざぶざぶ入ってる間に
青白い膚にのみ日焼け止めを塗る
二人の勝負もちゃんと見てますよ
でも潮風が心地よいから
このまま昼寝もいいかもしれ…んぶ(ばしゃー
なにすんだいきなり!
水鉄砲…どこから…ちょっうわ、待っ(ざぶ
やったらやり返されるんですよ
いいですね(偽神兵器を巨腕に変形、盛大に二人へ波を起こす
浜辺、戻りますか
バーベキューの用意してあるらしいですよ
食べられるだけ食べて
また遊びましょう
雨弓・ネオン
【陽廻3】
海〜〜〜!!!遊ぶぞ〜〜ッ!ヒューッ!イエーイ!
初ん〜……(ぽくぽくぽく)忘れた!!!しょしかんてつ?初心忘れない的な感じで!気にしないのだ!!!
そんなことよりめちゃくちゃ映え映えやばたにえんだし写メとろ〜ぜっ写メっ!!!
オケまる〜〜っ!!!ふっふっふ!このあたしちゃんに勝負を挑んだことを後悔させてやるぜ〜っ!!!
(変顔十連発)
勝負とは…非常なものなり…( ˇ꒳ˇ )。
隙ありーーーッ!
(わだちに水鉄砲ブシャーっ!)
にっひひぃ!わだちん隙ありマクリスティ〜ッ!
…えっ、ちょっ待ったっタンマタンマぐぇ〜〜〜っ!!!
は〜〜つっかれた〜っ!でも、チョ〜〜楽しかったね!
BBQ!?食べる食べる!
●キラキラの夏休み
海~~~! 海だ~~!! と叫びながら波打ち際に走って行った女子二名を視線で追いつつ、荷物を置いた場所から無間・わだち(泥犂・f24410)が海を見る。
「この世界の海は、昔見た物よりずっと綺麗だ」
青くて透明で、キラキラしていると、黒地に青い電子パターンのようなラインが入ったハーフパンツの水着を穿いたわだちが目を細めた。
「ほんとに海だ! 本物、本物!」
「イェーーイ! 海! ヒューッ!」
夏の海にテンションが常よりも高くなっているヒマワリ・アサヌマ(陽和・f25473)と雨弓・ネオン(Neon・Rainbow・f25557)に向かって、わだちが声を掛ける。
「……もしかして二人とも、これが初めての海ですか?」
「うん! 初めてだよ! わっつめたっ!」
初めてだと答えながら、足先を打ち寄せる波に擽られたヒマワリが、すごい! 冷たい! と笑う。
「初……ん~……」
反対に、ぴたりと動きを止めたネオンがシンキングタイムとばかりに目を閉じ、カッと目を見開いた。
「忘れた!!」
つまりは、過去に海を見たことがあったとしても忘れたゆえにそれはノーカン! と、ネオンが海を指さす。
「だからきっとこれが初! そう、しょしかんてつ? 初心忘れない的な感じで! 気にしないのだ!!」
「ああ、はい」
じゃあもう纏めて初めてでいいですね、とわだちが表情を変えずに頷く。
「わだちくん! わだちくん! 海入っていい? いいよね!?」
「水着を着てるなら問題ないでしょう、どうぞ」
わだちの返事に、やったー! とヒマワリが飛び跳ねる。
「海に水着ってめちゃくちゃ映え映えやばたにえんだし写メとろ~ぜっ写メっ!!!」
一息で言い切ったネオンに、ヒマワリが嬉しそうに頷いた。
左目とお揃いの向日葵をあしらった麦わら帽子に、様々な花の模様が愛らしいフレアビキニと揃いのミニスカートという水着姿のヒマワリと、どっかの壁に派手なペイントでもしてきました? と言いたくなるほどに派手なペイントが施されたような水着姿のネオンが頬を寄せ合って写メを撮る。
「そのスマホ防水加工されてますか? されてないなら荷物と一緒に置いておくんですよ。ああ、あと海の水はしょっぱいですから気を付け――」
「……ほんとにしょっぱい!」
「いえ、僕今そうやって言いましたよね?」
「百聞より一軒家が静かだよ、わだちん!」
「それは多分、百聞は一見に如かずです」
そうとも言う~~~~! と言いながら、荷物置き場にスマホを置くとネオンが走って海へと飛び込んだ。
続いて飛び込もうとしたヒマワリに、わだちが声を掛ける。
「ヒマワリさん、その右腕……水には強いですか?」
「えっ右腕? だいじょ~~ぶ! ええっと、さっきわだちくんが言ってた」
「防水」
「それ! ぼうすいなんだって! えへん!」
じゃあいいですよ、とわだちが言うと、ネオンを追い掛けるようにヒマワリも海へと飛び込んでいく。それを見送って、わだちが日焼け止めを取り出す。それから、ぱっちりとした右目を閉じると青白い膚の部分にのみ指先を使って丁寧に塗った。
塗り残した部分がないか確認していると、ヒマワリがネオンに向かって勝負を仕掛けている声が聞こえて顔を上げる。
「ねぇネオンちゃん! どっちが長く潜れるか勝負しない?」
その申し出に、ノーはあり得ないとネオンが不敵な笑みを浮かべて両手でオッケーサインを作って言う。
「オケまる~~っ!!! ふっふっふ! このあたしちゃんに勝負を挑んだことを後悔させてやるぜ~っ!!!」
「よ~~しっ、勝負だネオンちゃん! せ~のっ!」
二人同時に大きく息を吸って、水音を立てて二人が潜る。透き通る海の中、お互いの顔がクリアに見えていて、思わずその美しさにヒマワリが目を瞠った時だった。
ネオンが唇をニィっと持ち上げて――変顔をしたのだ。
それも、一つではなく、花火が上がるかのように十連発! そんなネオンの変顔に耐えきれるはずもなく、ヒマワリがブフォッと口の中の息を吐き出す。
「ぷはぁっ! ねお、ネオンちゃ、あは、あはは!」
堪らず水面に顔を出したヒマワリが、笑い声と共にネオンの名を呼んだ。
「何やってるんですか」
二人の勝負を見ていたわだちだけれど、さすがに水の中の変顔までは見えなかったのだろう、怪訝な顔をしてヒマワリを見ている。
「だって、ネオンちゃんが、あはははっ! 変な顔するのズルいよ~~~!」
ざばー! と勢いよく立ち上がったネオンが、ニヒルな表情を浮かべてヒマワリにフッと笑う。
「勝負とは……非常なものなり……!」
「非常も何も、それは卑怯と……んぶっ」
「隙ありーーーッ!」
卑怯と言うのでは? と言おうとしたわだちの顔に、勢いよく水が飛んでくる。
「なにすんだいきなり!」
「にっひひぃ! わだちん隙ありマクリスティ〜ッ!」
よく見れば、どこから取り出したのか立派な水鉄砲を手にしたネオンがわだちを狙って、再び引き金を引こうとしていた。
「水鉄砲……? どこから……ちょっうわ、待っ」
海に入っていないのにもかかわらず、びっしゃびしゃである。このまま昼寝でもしようかと思っていたのに、これでは昼寝どころではない。目には目を、歯には歯を――わだちがゆらりと海へと向かう。
「わだちくんっ! えいっ」
手で作った水鉄砲で、ヒマワリがわだちを狙う。上手く飛ばず、不発に終わったそれを何度もこちらへ向かってくるわだちへと飛ばした。
「とりゃ! あは! 当たった当たった!」
喜ぶヒマワリの隣で、ネオンも構えた水鉄砲をわだちに向かって放つ。楽しそうに笑う二人に、おもむろに偽神兵器の夜叉を取り出してわだちが言う。
「やったらやり返されるんですよ」
勿論、その覚悟はあってのことだよな? と呟いたわだちが手にした夜叉を巨大な腕に変形させる。
「いいですね?」
「……えっ、ちょっ待っ」
ネオンがタンマ! と叫ぶ間もなく、変形した巨腕は二人に向かって盛大な波を起こし、水鉄砲など児戯に等しいといわんばかりの海水を浴びせたのだった。
「ぐぇ~~~~っ!」
やーらーれーたー! とネオンがぷかぷかと水面に浮かぶ。同じくやられたヒマワリは楽しそうに笑って、向日葵柄の浮き輪で浮いていた。
暫くの間、そうやって遊んでいると、ヒマワリのお腹が唐突に大きな音を立てた。
「ものすごい音がしましたけど」
「たくさん遊んだら、お腹空いて来ちゃった……」
えへへ、と笑ったヒマワリに、わだちが浜辺へ戻ろうと提案する。
「そうだね~、一杯遊んでつっかれた~っ! でも、チョ~~楽しかったね!」
「うん! 楽しかったぁ~~~~!」
「そういえば、バーベキューの用意がしてあるらしいですよ」
バーベキューの一言に、二人のテンションがまた上がっていく。
「バーベキュー!? 食べる食べる!」
「バーベキュー!? やったぁ~~~!!」
早く食べに行こう! と、二人がわだちの手をそれぞれ握ると、急げとばかりに走り出す。
「わっ、慌てなくてもバーベキューは逃げませんよ」
「お肉はなくなっちゃうよ!」
「急げ~~~!」
楽しそうに笑う二人に引き摺られ、仕方なしにわだちも走り出す。
たくさん食べたら、今度こそお昼寝をするのもいいし、また三人で遊ぶのもきっと楽しいに違いない。
三人のシエスタは、まだまだ始まったばかり。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【綾(f02235)と】◎
宝探しか…心躍る響きだな!
二人で一緒に探してもいいが
どうせなら別行動してみないか?と提案
俺は焔と一緒に行くから、綾には零を貸してやろう
零、ちゃんと綾に協力してやれよ
成竜の焔の背に乗り飛び立つ
空の旅を楽しみながらの宝探しと洒落込む
上空から島の全貌を眺めれば
無人島だけあって、人の手が入っていない
あるがままの自然の美しさに見惚れる
すると焔がせわしく鳴き出して…おぉ!
徒歩では行けなさそうな断崖絶壁に
強い輝きを放つ立派な宝箱を発見
綾と同時に宝箱を開ける
俺の宝箱の中には年季の入った海賊帽
…もしかして過去にここを訪れた海賊が居た…?
まぁ真相は謎だが
何となく綾の頭に被せてみる
灰神楽・綾
【梓(f25851)と】◎
お宝と聞くだけで何だかワクワクしてくるよねぇ
どっちが先に見つけたとか、沢山見つけたとか
より素敵なお宝を見つけたとか
そんな風に競いながら探すのも楽しいかもね
ということで別行動を承諾
宜しくね、と零の頭を撫でてあげる
梓は空から探している気がするから
泳ぎが得意な零が居ることだし
俺は海の中から探してみようかな
(☆黒系水着で詳細お任せ)
宝探しは勿論、珊瑚や色とりどりの魚達の
鑑賞も純粋に楽しむ
…あれ?
一瞬見逃しそうになったけど
珊瑚に囲まれた小さくて可愛い宝箱を発見
梓と合流して宝箱を開けて見せ合い
俺のは…珊瑚や貝殻を使ったアンクレットかな
いいね、シンプルなデザインで男の俺でも使えそう
●空と海と、宝探しと
目の前に広がる空と海の青に、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)がサングラスのブリッジに指を掛け、下に向かって僅かにずらすと赤い瞳を覗かせて口笛を吹いた。
「いい島だな」
「そうだね、バカンスには持ってこいって感じじゃないかな」
紅い蝶のデザインとラインが入った、黒のハーフパンツタイプの水着に着替えた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が梓に相槌を打ちながらそう言うと、自分も軽く赤いサングラスをずらして目を細めたまま空と海を眺める。
「こんなに綺麗な島で宝探し、心躍る響きだな!」
「お宝と聞くだけで何だかワクワクしてくるよねぇ」
更にはこのロケーションだ、気分も盛り上がるというもの。二人で一緒に探すのもいいけれど、どうせなら――。
「別々に宝を探してみないか?」
「別行動?」
ふむ、と綾が梓を見ながら考える。どっちが先に見つけたとか、沢山見つけたとか、より素敵なお宝を見つけたとか――。ああ、確かに別々に探すのも楽しいかもしれない、と綾の唇が弧を描く。
「いいよ、のった」
「そうこなくちゃな! 俺は焔と一緒に行くから、綾には零を貸してやろう」
梓が名を呼べば、肩に乗るくらいのサイズをした赤い仔ドラゴンの焔と、青い仔ドラゴンの零が現れる。
「零、ちゃんと綾に協力してやれよ」
梓が零にそう声を掛けると、わかっていると言わんばかりに零がガウ! と鳴いた。
「宜しくね、零」
綾が零の頭を優しく撫でると、焔が自分も! と梓に頭を差し出した。
「よしよし、焔も頼むな」
キュー! と焔が鳴くと、それを合図にしたように梓と綾が互いの腕を軽く合わせ、視線を交わして笑う。
「それじゃ、あとでね」
「ああ、宝探しの始まりだ」
梓と焔が浜辺を離れていくのを見送って、綾が零に話し掛けた。
「さあ、どこから探そうか?」
楽しそうにそう言うと、零が海を見るように首を動かす。それにつられるように、綾も海を眺めた。
「んー、梓は空から探す気がするから……」
泳ぎな得意な零がいるのだ、それなら自分は海の中を探してみようかと、綾が零を連れて海へと向かう。途中、案内するとでもいうように綾の前で零が振り向くと、水飛沫を上げて海へと潜っていく。
「付いてこいってことかな?」
頼もしいね、と笑って綾がそれに続く。海の中は陸から眺めるのとはまた違って、どこまでも透き通るような永遠とも思える青が広がっている。零が案内してくれるのに任せてついていくと、目の前に桜色の珊瑚が見えた。
あれがこの島の名前の由来にもなっている珊瑚か、と綾が近付いてみると、色鮮やかな魚が群れを成して泳いでいく。追い掛けるように泳げば、まるで人魚にでもなったようだと綾が笑みを零した。
息継ぎの為に一度水面に上がると、零と共にもう一度潜る。今度は魚は追い掛けず、珊瑚をよく見ようと近付いてみると、キラリと目の端に光る物が見えた。
もしかして、と海底に向かって進むと、珊瑚に囲まれたような場所に小さくて可愛い宝箱。そのすぐ傍には、同じように小さくて可愛い、真珠が付いた鍵があった。
早く中身を知りたいと思う気持ちと梓に見せたいと思う気持ちを胸に、綾は宝箱と鍵を落とさぬように手に持つと浜辺に向かって泳いだ。
一方、焔を連れて海辺から離れた場所を歩いていた梓は肩に乗っていた焔を成龍の大きさにすると、颯爽とその背に飛び乗って空の旅へと洒落込んでいた。
「空を一人占めって感じだな!」
梓の言葉に、焔がガウ! と鳴声を上げる。
「はは、そうだった、焔と二人だな?」
梓の言葉に気を良くしたように、焔が一層高く空を舞う。焔の背中から眼下を望むと、人の手が入っていない自然といつの時代のものか分からないけれど、人工的な建物とが不思議な調和を見せた景色が広がっていた。
「確か……アックス&ウィザーズから落ちてきた島なんだったか?」
そんなことを言っていたような気がする。どこか不思議な遺跡に、ジャングルに、妙に開けた場所にある小さな泉……空から眺める桜珊瑚島は、陸からでは味わえない景色を梓に見せてくれていた。
「この島そのものが、宝物みたいなものなのかもしれないな」
綾にも見せてやりたいくらいだ、と梓が思った時だった、ガウ! と焔が忙しなく鳴き出したのだ。
「どうした?」
主の声に、梓が首を巡らせる。その先を見れば、到底徒歩では辿り着けないような断崖絶壁に、岩棚のようになった場所があった。
「ん……? あれは……!」
そんな人の手が届かぬような場所に、強い輝きを放つ何かが――。
「宝箱か!」
答えるように焔が鳴き、ゆっくりと岩棚に近付く。その場に留まる様に飛び続ける焔の背から岩棚に向かって梓が飛び、難なく宝箱の前に立つ。
「中々立派な宝箱だな、鍵は……これか」
今すぐにでも開けたい気持ちはあれど、開けるならば綾と一緒がいい。宝箱を抱えて鍵を手に持つと、再び焔の背に飛び乗った。
「焔! 浜辺まで頼む!」
ガウ! と鳴いた焔が、背に乗せた梓を落とさぬように浜辺へと向かって飛び立つ。すぐに白く輝く砂浜が目に飛び込んだかと思うと、海から上がってくる綾の姿が見えた。
綾からも梓の姿が見えたのだろう、濡れた髪を掻き上げながら、何かを持っている手を梓に向けて振っている。ゆっくりと砂浜に降り立った焔に元のサイズに戻ってもらうと、梓が綾に駆け寄った。
「いい物は見つかったみたいだね」
聞かなくても分かるよと、綾が笑っている。
「綾も首尾は上々みたいだな?」
「もちろん」
小さな宝箱だけれど細工は細かく、上等な物だ。
「せーので開けるか?」
「望むところだよ」
顔を突き合わせるように砂浜に座った二人が、それぞれの宝箱に鍵を差し込む。
「それじゃあ……」
「……せーの!」
同時に鍵を回し、宝箱を開く。
「俺のは……アンクレットかな」
綾の手には、珊瑚や貝殻を使ったシンプルなデザインのアンクレット。
「俺のは海賊帽だな」
梓の手には、年季の入った……アンティーク商ならそれなりの高値を付けるであろう、シックなデザインの海賊帽。
「もしかしたら、過去にこの島を訪れた海賊の物かもな」
真相は誰にもわからないけれど、そうだとしたら浪漫があると笑って梓が綾の頭にそれを被せる。
「……似合うな、お前」
「鏡が無いのが残念だね。帰ったら、もう一度被らせてよ」
綾が笑って海賊帽を手に取ると、お返しと今度は梓の頭に海賊帽を被せた。
「梓も似合ってるよ」
「……帰ったら鏡で見るか」
そうして二人で笑い合うと、焔と零もそれぞれ鳴き声を上げた。
宝探しは終わったけれど、シエスタはまだまだこれから。お互いが見た風景を、今度は二人で――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
【金蓮花2】◎
水着は全身参照
グラサン着用
初めて来たが桜珊瑚たァ綺麗だな
おう、宝探し行ってみっか!
観光気分で島の中探索(情報収集・第六感
場所お任せ
?何か言ったか
俺は自分用のグラサン沢山持ってるぜ!
掛けてみるか?(グラサン渡し
それは俺の真似かよ?
よく似合ってンぞ
かわいーかわいー(意地悪
水鉄砲の攻撃は手でガード
ウワ!オイ、やめろ!
褒めてたじゃねェか
あっ前髪濡らすなッ!…っの!(澪の髪わしゃり
引き続き宝箱捜索
今日の記念に澪が持ってろ
そのサングラスもお前にヤるよ(グラサン外し澪の羽織りの胸元へ掛けて
ン、見つけたら俺にも…今ご飯何でもっつった?
作ってくれンなら食いたい(素直
そーんなに俺と遊びてェの?(ニヤ
栗花落・澪
【金蓮花2】◎
宝探し楽しそう!クロウさん行こっ!
無邪気に手を引き島の中を散策
道中珍しいクロウさんの水着姿をじぃっと見てから
ふと自分の水着を見下ろし
……全然違う
…ねぇねぇ、クロウさんってサングラスするんだね
いいの?かけるー!
借りたサングラスをかけ
無意識にクロウさんのポーズを真似ながらどやぁ
どう?似合う?
もー、そこはかっこいいって言ってよー!
あんまり笑うからえいっと水魔法の指鉄砲をおみまい
からかうからいけないんだよー、べーだっ
わー髪崩れるー!(くすぐったい笑顔
えっ、これ僕が貰っていいの?
ありがとう…!
じゃあ僕が宝箱見つけたらクロウさんにあげるね!
それか…ごはん何でも作るから、また遊んで?(上目
●シエスタの時間をあなたと
大きな黒い日傘を差して、身体のラインに添うスイムパンツに海を模したような腰布を巻いて杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)がサングラスを軽く下げると、砂浜から広がる海を眺める。
「初めて来た島だが、なかなかに綺麗な島だな」
「そうだね、僕もこの島は初めてだけど綺麗だし、何より楽しそう!」
クロウの隣、日傘の恩恵を受けながら彼と同じものを見ようと海に向かって目を輝かせているのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)だ。白いシャツの裾を胸元で可愛く結び、黒いショートパンツの水着からのぞく健康的な白い足。いつもとは少し違う活動的なスタイルで、隣のクロウを見上げた。
「宝探しだよ、クロウさん!」
「おう、どっから探す?」
「うーん……あっち!」
澪が何となく指さした方向はクロウが気になっていた方向と同じで、クロウの唇の端がニヤリと持ち上がる。ばさりと大きな音を立て、差していた日傘を閉じると金の鎖を巻き付けて肩に担ぎ、澪を見下ろして笑った。
「よし、行ってみっか!」
「はーい!」
思うままにクロウの手を取って、澪がクロウを引っ張る様にして歩き出す。すぐにコンパスの差から隣に並ぶことになるのだけれど。
砂浜から岩場へ向かう途中、手を繋いだクロウの水着姿を澪がじっと見つめる。しっかり付いた筋肉に、波をモチーフにしたような首飾りがよく映えて似合っているし、腰布も人魚の尾ひれのよう。まるで海の神様みたいでカッコいい……そこまで考えてから、思わず自分の姿を見下ろす。
「……全然違う」
「ん? 何か言ったか?」
まっすぐ前を見ていたクロウが澪に視線をやると、慌てて澪が首を横に振る。自分も大きくなったらクロウみたくなれるかな、なんて恥ずかしくて言えやしない。でも、ちょっと真似するくらいなら――。
「ねぇねぇ、クロウさんってサングラスするんだね?」
「ああ、俺は自分用のグラサンは沢山持ってるぜ!」
趣味というわけではないが、気に入ったサングラスや似合うものはつい買ってしまう。その結果、サングラスが沢山集まったのだ。多分これからも増えるだろうな、と思いながら掛けていたサングラスを指先で引き抜いた。
夕赤と青浅葱のオッドアイを露わにしながら、澪へとサングラスを向ける。
「掛けてみるか?」
「いいの? かけるー!」
渡されたそれを受け取って、ドキドキしながら蔓の部分を耳へと掛ける。それからちょっと気取った、カッコいいポーズを取って唇を得意気に持ち上げた。
「どう? 似合う?」
「それは俺の真似かよ? よく似合ってンぞ」
笑いそうになるのを堪え、クロウが悪くないなと澪を褒める。
「……笑ってない?」
「笑ってない笑ってない。ほら、そこの岩場ンとこ危ないから気を付けろよ」
誤魔化すように前を向いて、繋いでいた手をしっかり握ってやると今度はクロウが先導するように前を歩いた。
すぐに開けた場所に出て、サングラス額の上へとずらした澪が歓声を上げる。
「わあ! すごく綺麗……!」
目の前に広がるのは、青い空と海、それから海の中に広がる桜珊瑚。透明な青に包まれてもなお桜色に輝く珊瑚は、周囲を泳ぐ色鮮やかな魚達と相まって美しく見えた。
砂浜からでは見れなかった風景に、クロウが思わず口を開く。
「これが島の名前にもなってる桜珊瑚か、確かに綺麗だな」
「すごいすごーい! 底まで見えるよ!」
覗き込んだその先にキラリと光る何かが見えて、澪がもう少しと身を乗り出す。
「おい、あんまり眺めてると落ちるぞ?」
「あそこにね、何かあるみたいなんだよ」
落ちないように澪の身体を支えつつ、クロウも海の中を覗き込む。
「……確かに何か光ってンな」
「だよね!? ちょっと僕、潜ってくる!」
よし! と立ち上がって澪がシャツの結び目を解いて手早く脱ぐと、岩場に置いた。それから、頭の上に乗せたサングラスを大事そうにその上にのせる。
「気を付けろよ?」
「任せてー!」
大きく息を吸い込んで、せーの! と海の中に飛び込む。飛んだ水飛沫を軽く避けて、クロウが水泡を上げる海の中を覗くと、そこには器用に羽を縮こませ、まるで人魚のように潜っていく澪が見えた。
あっという間に岩の根元で光る何かを掴み、クロウの前に戻ってくる。
「見てみて! 宝箱だよー!」
鍵もあったと嬉しそうに澪がクロウへ見せる。
「どうどう? 僕の泳ぎ! かっこよかった!?」
「カッコいい……? いや、かわいーって感じだったな」
本当は綺麗、という言葉がしっくりくるのだけれど、そこは思わず見惚れてしまったクロウからのちょっとした意地悪だ。
かわいー、かわいー、と笑っていると、ぷくっと頬を膨らませた澪が指先をクロウに向ける。
「もー! そこはかっこいいって言うところだよー!」
えいっと指先から水鉄砲の如く魔法の力で水を発射すると、慌てた様にクロウが手でそれを防ぐ。
「ウワ! オイ、やめろ! 褒めてたじゃねェか、あっ前髪濡らすなッ!」
「ぜーったい褒めてなかったよ! からかうからいけないんだよー、べーだっ」
「……っの!」
なおも水を発射する澪に、クロウがガードしながら近付き――。濡れた髪をわしゃりと崩すように撫でた。
「わー! 髪崩れるー!」
きゃあきゃあと、それでも楽しそうに澪が笑っている。それにつられて、クロウも口元を緩めて笑った。
一頻り笑うと、澪がばさばさと羽の水気を切って上着を羽織り、サングラスをちょっとだけ名残惜しそうにクロウへと差し出す。
「今日の記念だ、お前にヤるよ」
「えっ、これ僕が貰っていいの?」
返事の代わりに、クロウがサングラスを澪の羽織った上着の胸元へと掛ける。
「じゃあ、代わりになるかわかんないけど、僕が見つけた宝箱をクロウさんにあげるね! えっと、要らなかったらごはん、何でも作るから……」
また遊んで? と、軽く首を傾げてクロウを見上げる。
「ン? 宝箱は澪が見つけたンだから、澪のでいいぞ。俺はそれより澪のご飯の方が食いたい」
作ってくれると言うのならそっちの方が宝よりもいいと、上目遣いで見上げてくる澪を覗き込んだ。
「そーんなに俺と遊びてェの?」
唇の片端を持ち上げてクロウが笑う。
「遊びたいから言ってるんだよ?」
負けじと澪がそう言うと、わかったわかった、また遊ンでやるよと言って、クロウが澪の頬を流れる水滴を親指の腹で拭うように撫でた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【楽5】ぴよこ&亀も一緒
輝く海といや水着美人!
…のハズなのに
何でまたオレの周りはやたら活きの良い筋肉ばかり…(澪は守備範囲外で遠い目)
嗚呼…ウン、清史郎、ココはせめてペット達の為に一肌脱ぐネ
オレはぴよこの応援があれば百人力…って既に昼寝中!
え、亀がやる?いやそんな入刀はしないし西瓜よか寧ろ何か違うトコに誘う気だろ!?
(結局亀とぐだりつつも何とか楽しく割り)
完食後は腹ごなしにまた遊ぼ――ん?動物達がそわそわしてるな
もしや噂の宝?よし掘るか…って、ンな宝があってたまるかー!
(桜珊瑚風装飾で一安心し、ペット達につけてやり
後は遊び疲れてすやすや微睡むペット達に和みつつ)
何だかんだで良い一日になったな!
鳳来・澪
【楽5】大事な家族の福(猫)も一緒
青い海に白い砂ってわくわくするよね
(伊織ちゃんはスルーして)うちも遊ぶ~!
組分けも景品も賛成!やけど大玉西瓜が人数分って食べ切れ…そやね、皆なら!
ペットの皆も仲良く頑張ったで賞で、後でおやつあげよね
ふふ、せやから福、西瓜の元まで招き猫頼んだよ
楽しいし美味いし凄いし、皆流石やねぇ…!
(皆の勇姿に和んだり笑ったり、福と頑張って西瓜割ったりと満喫)
あ、是非どうぞ清史郎さ…って言う前に福から突撃!
(和んでたら不意に福が駆け)わ、今度は宝物まで招き猫?
こっちも可愛い珊瑚飾り!
…やけど、福は箱の方を気に入ったみたい(箱で微睡み始めた姿に笑い)
この癒しの光景もまた宝物やね!
重松・八雲
【楽5】相棒のたぬこさまと夏を謳歌!
夏の浜といえばやはり此じゃろ!(無邪気に元気に人数分西瓜並べ!)
先ずは薬玉の如く盛大に割らねば始まるまい!
そして此処は折角じゃで、其々遊びたそうなぺっと達とたっぐで挑戦せぬか!
こう、ぺっと達の声援を頼りにすぱーんとな!
という訳で頼んだぞたぬこさま!腐っても剣豪、腕が鳴るわい!
(やる気満々の狸狐、勢い有り余り豪快に空振るも次で見事に!)
皆もやるのう!やはりもふ&🐢と愛の力は偉大じゃな!
夏の醍醐味と癒しの光景が目白押しで最高じゃな!
おお、何じゃ?ここ掘れこんにゃんたぬぴよかめ?(自分は宝物一任)
伊織は金銀埴輪さんが出ると良いの!
うむ、今日が丸ごと宝の様じゃな!
千家・菊里
【楽5】お供のおたま(管狐?)とのんびり
輝く海に瑞々しい魅惑の果実
これはついつい食も進みそうです
西瓜は上手く割れたら景品にこのラムネもつけます?(清史郎さんにさむずあっぷして)
あ、伊織は遂に亀さんと西瓜入刀ですか?おめでとうございます(にこにこ)
兎も角俺も早く西瓜を堪能したいので、一撃で仕留めましょう(おたま共々食気満々できりり――第六感と見事な食意地連携で狐まっしぐら!)
西瓜御馳走様後は締め(?)にかき氷も良いですが――おや宝探しですか
懐とか色々と寂しい伊織は、金の埴輪(?)でも出ると良いですねぇ
(自分はちゃっかり金貨銀貨…風の菓子当て)
ふふ、おねむな姿もまた微笑ましく幸せな気分になりますね
筧・清史郎
【楽5】ひよこのポポ丸も共に
おお八雲、西瓜割りとは楽しそうだ
確かに食も進むしラムネも良いな、菊里(にこにこ頷き
伊織も、良い格好を見せる機会では(だが筋肉だらけ
ポポ丸を定位置の頭に乗せ、いざ西瓜割りを
確かに、早く甘い西瓜さんをいただきたいところ
ここは真剣に、西瓜さんの気配見切り、舞う様に一太刀を(超本気
皆も流石の腕前、何より西瓜さんが沢山味わえて良いな
伊織は亀さんと仲が良くて何より(微笑み
澪の猫さんも撫でてあげても?(猫さん大好き
宝探しか、海なので金のチンアナゴもあるかもな(伊織に笑み向け
福は箱が好きか、俺も箱だ(本体硯箱
…金の猫さんのお宝はないだろうか
寝ているペット達の姿も癒されるな(微笑み
●バカンスは可愛い子たちと共に
燦々と照り付ける太陽、抜けるような青い空に遠くに見える白い雲、透き通ってどこまでも泳いで行けそうな輝く青い海――!
「……とくれば、水着美人!」
力強い声で叫んだのは、裾に花の和柄が入った水着をややルーズに腰で穿き、肩に羽織りを掛けた呉羽・伊織(翳・f03578)で、勢いよく海から砂浜に視線を戻して、遠い目をしてぽつりと呟く。
「のハズなのに、何でまたオレの周りはやたらと活きの良い筋肉ばかり……」
彼の視線の先には、共にバカンスにやってきた仲間の姿があった。
「青い海に白い砂浜ってわくわくするよね」
伊織の発言を完全にスルーして、バカンスを楽しむぞとばかりに笑顔を浮かべているのは赤地に金のラメが鏤められたビキニに、紅の薄衣を纏った鳳来・澪(鳳蝶・f10175)だ。足元では彼女の大事な家族でもある猫の福が、しなやかな尻尾を揺らしている。
「うむ! 夏の浜といえば……やはり此じゃろ!」
波模様が描かれた水着を腰元でしっかりと穿いた重松・八雲(児爺・f14006)が、千歳緑の羽織を揺らして大玉の西瓜を砂浜に並べ、豪快に笑っている。傍では円らなおめめ、まんまる、ふるもっふボディを兼ね備えた可愛い狸のたぬこさまが彼を見上げていた。
「西瓜割りですか? 良いですねぇ、輝く海に瑞々しい魅惑の果実、これはついつい食も進みそうです」
狐耳を潮風に揺らし、彼岸花が燃えるように咲く柄の入った水着に腰元に狐面を付けた千家・菊里(隠逸花・f02716)が西瓜を見て笑う。肩に掛けた紫紺の羽織が風に揺れ、金赤の裏地が太陽の光を受けて煌き、ちょこん、もこんとした彼の管狐……多分、であるおたまが羽織の中で身体をくるくるさせて遊んでいるのが見えた。
「おお八雲、西瓜割りとは楽しそうだ」
美味しそうな西瓜に目を輝かせるのは、まんまるでちっちゃく、ふわっふわな可愛いひよこ、ポポ丸を頭に乗せた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)だ。シンプルな水着を桜模様の入った帯で締め、仕立ての良い着物をそのまま羽織として肩に掛けた彼は、八雲の元へ歩いて行く。
「いや、いいんだぜ、良いんだけどな……」
澪は水着美人ではあるが、妹分であるし守備範囲外なのでノーカンだと呟く伊織を慰めるように、円らな瞳と無邪気な仕草がたまらなく可愛いふわもこひよこのぴよこがちょこんと彼の肩に乗る。先日助けていただいた亀である亀も、でぇとする? 大丈夫? と伊織を見上げている。
「伊織、良い格好を見せる機会ではないか?」
八割方筋肉しかいないけれど。
「嗚呼…ウン、清史郎、ココはせめてペット達の為に一肌脱ぐネ」
筋肉の為に脱ぐよりは、可愛いペット達に良いところを見せた方が精神衛生的にも良いに決まっていると、伊織が力なく笑った。
「では! 先ずは薬玉の如く盛大に割らねば始まるまい!」
並べた西瓜は五つ、一人一つ割れると木刀を片手に八雲がにっかりと笑みを浮かべ、今日という日を共にする四人とその家族を眺める。
「うむ! 此処は折角じゃで、其々遊びたそうなぺっと達とたっぐで挑戦せぬか!」
呼んだ? とばかりに、たぬこさまが八雲を見上げ、ぴよこ&亀と福、おたまとポポ丸が八雲の方へと視線を向ける。
「やる気のある良い視線じゃのう!」
「福とタッグを組むのは大賛成だけど、どうするんやろ?」
澪の質問に、八雲が大きく頷いて答える。
「こう、ぺっと達の声援を頼りに……すぱーんとな!」
木刀を振り下ろす真似をして言うと、なるほど、と菊里がその後を継いで言う。
「つまり、ペット達に西瓜まで案内してもらい、ここぞという場所で振り下ろす……そういうことですか?」
そう、それじゃ! と八雲が笑うと、足元のたぬこさまもぴょこんと跳ねた。
「良いですねぇ、西瓜は上手く割れたら景品にこのラムネもつけます?」
持参してきたクーラーボックスに入っているラムネを見せ、菊里が清史郎に親指を立てて微笑む。
「西瓜にラムネ、風流で良いな、菊里」
にこにこと微笑んで頷くと、清史郎が柏手を打つように手を鳴らした。
「では、折角の八雲の案だ。皆で西瓜割りと洒落込むとしようか」
ここに、夏の西瓜割り大会~それぞれのペットと共に~が開催される――!
順番は厳正なるじゃんけんの結果、伊織が一番手、続いて菊里、澪、清史郎、八雲だ。
「オレはぴよこの応援があれば百人力……ってぴよこ!?」
さっきまで肩の上に乗っていたはずのぴよこは、並んだパラソルの下に置いた荷物の上で、気持ち良く昼寝をしている。
「……可愛すぎて起こせないな!?」
ぴよよ、と寝息まで聞こえてきてしまっては、起こす訳にもいかない。どうするかと考えた時、ここは私が! とばかりに亀が手を上げていた。
「え、亀がやる? いやでも」
任せて! と張り切る亀と伊織の様子に、パラソルの下に並んで座った菊里が声を掛ける。
「伊織は遂に亀さんと西瓜入刀ですか? おめでとうございます」
「おめでとう! 幸せになってね!」
菊里に重ねるように澪も笑ってそう言うと、伊織が叫んだ。
「いや、そんなケーキ入刀みたいな風に言われてもな!?」
「初めての共同作業、というやつだな」
「亀殿も本懐であろう」
清史郎と八雲の言葉に、亀が嬉しそうに伊織を見上げる。
「いや、これ西瓜割りだからな!」
しかしぴよこが寝てしまった今、伊織が頼れるのは亀だけだ。渋々、それでも楽し気に亀の案内に木刀を構えたまま足を動かす。
「亀、これ何か違うトコに誘う気だろ!?」
足先を波が擽っていったことにより、これは海へ誘われている、もっと正確に言えば二人きりになるように仕向けられている……! どんなチャンスも見逃さない、先日助けて頂いた亀よ、恐るべし。
途中グダグダになりつつも、なんとか持ち直した伊織&亀ペア。伊織が西瓜の前に立ち、真っ直ぐに木刀を振り下ろす。確かな手応えを感じて目隠しを取ると、中央からはやや外れていたが見事に割れた西瓜がひとつ。
「次は俺の番ですね」
菊里が立ち上がると、伊織から目隠しと木刀を受け取ってスタート位置に立つ。
「兎も角俺も早く西瓜を堪能したいので、一撃で仕留めましょう」
西瓜が割れるのを見ていたら、早く食べたくなってしまったのだと笑って菊里がおたまに向かって笑い掛ける。
「おたま、案内をよろしく頼みます」
目隠しをし、木刀を構える菊里に、同じく西瓜が食べたくて堪らなくなったおたまが任せてとばかりに跳ねた。
こん、こん! おたまの合図に見事な尻尾を揺らし、菊里がぶれぬ動きで西瓜を目指す。きりっとした表情の下に隠された、食い気と彼の第六感が唸る――!
「はっ!」
「お見事! 次はうちの番やね」
ぱかりと割れた西瓜に手を叩き、澪が立ち上がる。
「ペットの皆も仲良く頑張ったで賞で、後でおやつあげよね」
ふふ、と笑って澪が目隠しと木刀を受け取ると、足元の福に向かって笑い掛ける。
「せやから福、西瓜の元まで招き猫……頼んだよ!」
にゃあ、と鳴いて澪に答えると、福がてってと砂地に足跡を付けてスタートラインに澪と並び立った。
「うちの準備はええよ、福!」
西瓜までの真っ直ぐな道を、福がにゃあ、と鳴いて知らせては澪が進んだ分だけ先へと進む。少しずれると、それを修正するように短く鳴いて澪を西瓜まで導いていく。
そうして、西瓜の前に立った澪に向かって、一際大きく鳴いた。
「ここやね? そーれっ!」
渾身の力を籠めて、澪が木刀を振り下ろす。何か硬い物を割る感触に、手応えありと澪が目隠しを外す。
「見事な連携プレーだったな」
清史郎が澪と福に拍手を送ると、澪が嬉しそうに福を抱き上げて笑った。
「では、俺の番だな」
羽織っていた着物を荷物の上に落とし、清史郎がポポ丸を頭に乗せてスタート位置に立つ。目隠しをしっかりと締め、木刀を構える。
「ポポ丸、頼んだ」
ぴよ! と鳴いたポポ丸の案内を受け、真剣な表情で清史郎が西瓜の気配を探る。早く甘い西瓜を食べたいという気持ちは菊里と同じで、時間を掛けず、一息に。舞うような足運びからの、ポポ丸のそこだ! と言うような鳴声と共に木刀を一閃――!
ぱかり、と割れた西瓜の手応えに笑みを浮かべて目隠しを外す。
「最後は八雲だな」
「おお、西瓜割りの締め、承った!」
目隠しと木刀を受け取り、スタート位置に立つ。皆の早く西瓜を食べたいという圧にも負けず、八雲が目隠しをすると木刀を構えた。
「という訳だ、西瓜を食べる為にも頼んだぞ、たぬこさま!」
腐っても剣豪、西瓜割りと言えども腕が鳴る! と真剣試合もかくやの構えを見せる。たぬこさまも気合充分で八雲を案内するように、ぽんぽこと音を鳴らした。
「む、そこか!」
捉えたとばかりに八雲が木刀を振るうと、たぬこさまの合図が僅かにずれて豪快に空振るけれど、なんのこれしきと八雲が再び木刀を上段に構える。
「たぬこさま!」
八雲の声に応えるように、たぬこさまが再び合図を送る。
「せぇいッ!」
気合一閃、木刀の切っ先は見事西瓜を捉え、本日の西瓜割り大会はもりもり西瓜を食べる会へと相成ったのである。
「甘くて美味しいねぇ」
揃った手練れの西瓜割りなんて中々見られるものではないと、澪が西瓜を食べながら笑う。
「澪の西瓜割りも見事だった、ところでそちらの猫さんを撫でてあげても?」
ポポ丸が一番可愛いけれど、猫も大好きな清史郎が問い掛ける。
「あ、是非どうぞ清史郎さ……福!?」
返事の途中で福が清史郎の胸に向かって突撃していく。それを難なく受け止め、清史郎が幸せそうに福を撫でた。
「西瓜に塩を掛けると、また甘くて美味しいんです」
菊里がぱらりと塩を振り、西瓜を食べる。その横では、八雲が笑顔を浮かべて豪快に西瓜に齧り付き、伊織が亀に迫られながらも西瓜を味わっていた。
最初は五つも食べ切れるだろうかとも考えた西瓜も、種と皮を残すのみ。しっかりと夏の味覚を楽しんだ五人は、次は宝探しだと立ち上がる。
「西瓜の締めはかき氷かと思いましたが……宝探しですか」
「腹ごなしに宝探しをして、それからかき氷食べたらいいんじゃないか? っと、なんか動物達がそわそわしてるような……」
菊里が、なるほど宝を見つけたらかき氷も良いですねと笑い、伊織が指さした方向を見る。
「何かあるんじゃろうか? もしやあれか、ここ掘れこんにゃんたぬぴよかめ?」
「さっそく噂の宝を見つけたか?」
八雲のここ掘れに反応し、伊織がきらりと視線を鋭くする。
「宝探しか……ここは海だしな、金のチンアナゴもあるかもな?」
「懐とか色々と寂しい伊織は、金の埴輪でも出ると良いですねぇ」
清史郎が伊織に笑みを向けると、菊里もそれに乗る様に笑う。
「金銀埴輪さんが出ると良いの!」
「金銀珊瑚じゃなくって埴輪なの、伊織らしいね」
八雲が重ねて言い、澪が楽しそうに笑いを零す。なるほど金のチンアナゴに金の埴輪……と伊織が考えてから首を横に振った。
「ンな宝があってたまるかー! ……いや、ないよな!?」
「ふふ、確かめる為にも掘ってみよか!」
澪がそう言うと、ペット達を追い掛ける。波打ち際から少し離れた、真っ白な砂浜の上で一斉にここだと言うようにぴよこも亀も、福もたぬこさまも、おたまもポポ丸も飛び跳ねたり足先で砂地を叩いたりと、主達に向かってアピールをしている。
「ここで間違いないようじゃの」
「よし、いっちょ掘るとするか!」
ここだと言う場所を中心にし、五人と六匹がぐるりと円を描くように位置取ると、せーの! と砂地を掘り出した。
一人では時間が掛かったかもしれない、ここ掘れこんにゃんたぬぴよかめも、皆で掘ればあっという間の事。出てきたのは葛籠のような宝箱で、鍵もセットだ。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか、はたまた宝物が出るか」
清史郎が笑いながら、そっと鍵を開けて葛籠を開く。果たして、その中に在ったのは――。
「わあ、桜珊瑚の細工物やね!」
そこには可愛い髪飾りから首飾りといった装飾品から、帯留めや根付けにもなりそうな飾りが五人と六匹分。それぞれ気に入った物を手に取ると、空になった箱へ福が飛び込んで丸くなる。
「福は箱が好きか、俺も箱だ」
硯箱のヤドリガミである清史郎がそう言うと、今はこっちの箱がいいのだと返事をするように福が鳴いた。
葛籠の宝箱ごと持ち帰り、パラソルの下に置くと、いつの間にか葛籠の中には福の他にもポポ丸にぴよことおたまが詰まっていた。
入れなかったのであろうたぬこさまと亀は、寄り添うように葛籠の傍で寝ている。
「なんと、寝ているペット達の姿も癒されるな」
金の猫さんの宝はないかと探していたが、見つからずちょっとしょんぼりしていた清史郎もこの光景には自然と笑みが浮かぶ。
「ふふ、おねむな姿もまた微笑ましく幸せな気分になりますね」
ちゃっかりと金貨銀貨風のお菓子が詰まった宝を見つけた菊里が、清史郎にお裾分けをしながら頷く。
「この癒しの光景もまた宝物やね!」
「うむ、今日が丸ごと宝の様じゃな!」
澪が福を起こさぬように撫で、八雲も声を抑え気味にして目尻を下げた。
「うん、何だかんだで良い一日になったな!」
葛籠に入っていた桜珊瑚の装飾を寝ている間にと、伊織がそれぞれ寝ている子たちに付けてやる。どの子にもよく似合っていて、また一つ増えた夏の宝物に満足気な笑いが五人から零れたのだった。
大成功
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ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と。
ターコイズブルーの水着を着ていざ!!
墨ねーと力いっぱいに泳ぐ。でも今までの僕じゃない。
墨ねーに泳ぎ方を教えて貰って犬掻きは卒業したじょ♪
まだぎこちなくって墨ねーに追いつけないけどねぃ~。
…。そーいえばこの島って不思議と宝箱が見つかる島だったね。
疲れたら宝箱の上に乗っかって休憩しよーかな♪
休憩しながら鍵も探してみよー。中身が気になる。
前回はアクセサリーだったけど今回は髪飾りがいいな~。
「おお!」僕の気持ちが届いたみたい♪
で。寝ちゃうのも…え?それは沖まで流されるから危険?
そっか…残念。今度一人で来たらしてみよー。(やめなさい)
朝から泳いてたからなんだか泳ぎに慣れたじょ!
浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と。
薄い橙色のビキニの上に白色パーカー。
浜辺まで少し歩くそうでその間にお話を。
ロベルタさん達が解放した島のようで解説を聞きます。
解放までの話は楽しかったのですが…。
「…宝箱…自然…寄っ…くる島…で…か…?」
一部分だけよくわからなかったです。見ればわかるようですが。
ロベルタさんに付き添う形で泳ぎます。
透明度がよく珊瑚や魚が水面からでもよく見えて綺麗です。
と。何かがこちらへ寄ってきて…た…宝箱?!
上手に上に乗るロベルタさんを泳ぎなら見守ります。
…本当に宝箱が寄ってきました。
私も習って宝箱の上に。そのまま暫く休憩を。
鍵も見つけて開けてみます。中身は綺麗な貝…でした♪
●君と一緒に夏の海!
目の前に広がる海にも負けない、ターコイズブルーが鮮やかなリボンとフリルが可愛らしいワンピースタイプの水着を着たロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)が、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)を呼ぶ。
「墨ねー! 早く早く~!」
控え目に手を振って、薄い橙色のビキニに白色のパーカーを羽織った墨が急ぎ足でやってくるのが見えた。
「お待たせ……しました」
「だいじょび! でも、この風景を見たら我慢できなくなってね!」
どこまでも高い空と、煌くエメラルドグリーンの海! 一度訪れたことのある島だけれど、今日はなんたってバカンスだ。
しかも、今回は一人ではなく二人、ロベルタがはしゃぐのも頷ける。
「この島に初めて来たときは、犬掻きしかできなかったんだよねぃ~。それであそこの鉄甲船から飛び込んで島まで泳いだんだけどね」
「……犬掻き、で……この海を……?」
墨が鉄甲船の停泊する場所から島までの距離を二度見して、それからロベルタを見た。
「でも! 墨ねーが泳ぎ方を教えてくれたから、犬掻きは無事卒業できたじょ♪ ありがとう、墨ねー!」
「……いえ、私は……大したことは、教えて……ない……です」
泳げるようになったのはロベルタの努力と頑張りだと、墨が笑みを浮かべる。それから、ロベルタが島を解放した時の話を聞かせてほしいと言うと、ロベルタがくるりとターンを決めて墨に向き合う。
「任せてよ、海で泳ぐまでに語っちゃうじぇ♪」
こくこくと頷いた墨に、島に到着するまでに海でぷかぷか浮いた宝箱に出会ったこと、到着してから鍵を探したこと、それからコンキスタドールのシーサーペントを猟兵達と倒したこと、更にその後で焚き火をしてシーサーペントの肉を焚き火で炙って食べたこと――。
「……待っ……て、待って、ください……」
明らかに聞き逃してはいけない部分が、二か所はあった。
「どうしたのかな、墨ねー」
「……宝箱……自然……寄っ……てくる島……で……すか…?」
「そうだじぇ! 少なくとも、僕の時はそうだったんだよねぃ~」
お陰で宝箱を浮き輪代わりにできたのだと、ロベルタが思い出したように言う。持って帰ったあの宝箱には、今でもたまに座っているとロベルタが頷く。
彼女が言うならば、きっとそうなのだろう。そう納得して、墨はもう一つの聞き逃せない点を問う。
「……コンキスタ……ドール、を……食べ……?」
「うん♪ ウナギみたいに食べられるんじゃないかなって、試しに食べてみたら意外といけたんだじぇ!」
どうしよう、聞き間違いではなかった。
「……お腹、は……?」
大丈夫でしたか、と聞けば、同じように心配してくれた人もいたけど、大丈夫だった! とロベルタは満面の笑みだ。
美味しかったのなら、お腹も壊さなかったのなら、もうそれで充分だと墨はそれ以上聞くのを止める。だって、海はもう目の前で足先には既に波が当たっているのだから。
「泳ぐじぇー!」
「……はい、泳ぎ……ましょう」
ロベルタが水飛沫を上げて海の中へ入っていくのを、墨が後ろから追い掛ける。そして、彼女に付き添うような形でゆっくりと泳ぎ出した。
犬掻きは卒業したと言うだけあって、ロベルタの泳ぎは以前に比べたら格段に上達していて、平泳ぎで海中の珊瑚や群れを成す鮮やかな魚達を眺める余裕もあるほどだ。
墨はといえば、ロベルタの少し後ろ隣を危なげなく泳ぎ、ロベルタが指さす先や歓声に笑顔で答えている。透明度の高い海は潜らずとも海底まで見渡せて、本当にバカンスには持ってこいの島だと墨が吐息を零した時だった。
「墨ねー!」
ロベルタが大きな声で墨を呼ぶ。何かあったかと、墨が慌ててロベルタの隣に行けば――。
「……た……宝箱!?」
ぷかぷかと、こちらに寄ってくる宝箱。
「そーいえばこの島って不思議と宝箱が見つかる島だったね」
「……島、の……特性……です、か……」
なるほど、先ほどのロベルタの話は嘘偽りなく真実であったのだ。
「ちょっと疲れたから、宝箱に乗っかって休憩しよーかな♪」
よいしょ、と浮き輪代わりに宝箱の上に腹這いになると、ロベルタがぷかぷかと浮く。さすが……慣れていらっしゃいます……と思いながら、墨が彼女を見守る様に泳いだ。
「墨ねー!」
再びロベルタが叫ぶように墨を呼ぶ。何かとそちらを向けば、そこには――!
「……もう、ひと……つ……」
墨に向かって宝箱が。
墨がロベルタと視線を交わし、本当に宝箱が寄ってきたと若干混乱しながらも、ロベルタを真似るように宝箱の上に腹這いになって乗っかった。
「楽ちんだねぃ」
「……はい……それに……平和、です……」
聞こえてくるのは波音と、浜辺で楽しむ誰かの声。なんとも長閑で素晴らしい昼下がりだ。
二人して宝箱を浮き輪代わりにし、浜辺に戻る頃には鍵も手に入れていて、砂浜でそれぞれの宝箱を開封する。
「おお! 髪飾りだじぇ!」
欲しいと思っていた髪飾りを思いがけずゲットできて、ロベルタはにっこにこだ。
「……私、のは……貝……でした♪」
不思議な色をした、とても綺麗な貝だ。耳に当てれば、今日の想い出が蘇るような美しい波音が聞こえるだろう。
「よーし、次は宝箱に乗って昼寝でもしちゃおうかな♪」
ぷかぷかと、どこまでも。
「……それは……沖まで、流され……ます……」
危険だから、お昼寝をするならばハンモックでと墨が木陰を指さす。
「そっか……気持ち良さそうだと思ったんだけど、うん! 墨ねーが言うなら止めておくじぇ♪」
今度一人で来た時にしてみよう、と思ったのは口に出さず、ロベルタはひたすらに無邪気な笑みを浮かべるのだった。
大成功
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ファウ・ダァド
あーっ!遅刻遅刻!
せっかく海に出られたのに迷うなんて……新しい島だから地図もないし……でも、なんとか到着できたからいっぱい遊ぶぞー!
ぐるーっと島の周りを回って探検だー!
小舟をユーベルコードで大きくして移動するよ!
丁寧にマッピングも兼ねて……海岸線がここで、方位がここ、座標が……
こっちには珊瑚がいっぱい!
ということはお魚もいっぱいだね!他の人間さまにも教えなきゃ!
●遅れても、シエスタには余裕!
遅刻遅刻ー! と、可愛い眉を下げて砂浜をファウ・ダァド(オートパイロット・f28402)が駆ける。波打ち際の前でキュッと止まって、空を見上げた。
「うん、青い!」
それから、海も。
「とっても青いね!」
それから、寄せる波に視線を落としてしゃがみこむ。
「それなのに、ぼくってば盛大に出遅れて……!」
本来であれば、滅びし人類によってつくられたナビゲーションAIであるファウが出遅れるなんてあり得ないはずなのだが、ここはグリードオーシャンなのだ。
「グリードオーシャン……!」
そう、異常気象のせいか何なのかは不明だけれど、グリモアの予知とテレポートすら不可能な世界、それがグリードオーシャン! つまりはこの世界において、ファウは……。
「ぼくのアイデンティティー!」
でも安心してほしい、解放された島は地図に載っているのだから。アップデートさえされれば、ファウにもチャンスはあるのだ。
……アップデートがされれば。
「うん、なんとか到着できたから、今は忘れるべきだよね。よーし、いっぱい遊ぶぞー!」
ぐるっと島の周りを回って探検するのだ、なんてわくわくする言葉なのだろうか、探検!
さっきまでの下がり眉はもうどこかへいって、綺麗なアーチを描いている。
「まずはここにある小舟をユーベルコードで大きくして、と!」
ファウが操縦する船舶であれば、どんな物でもその乗客数と乗り心地を増強することができるのだ。つまりは、大きさと船の造形を弄ることも可能で――。
「よし! いっくぞー!」
小さくて、それでいて快適な船舶になった小舟に乗って、いざ出発! 華麗に総舵輪を操って、煌めく海から島をマッピングしていく。
「ええと、海岸線がここで、方位がここ、座標が……」
海の周囲にある洞窟や、ちょっと変わった魔力の波形の全てがファウの頭の中に記録されていく。
「他には……あっ」
不意に広がる珊瑚礁に、ファウがエメラルドグリーンに輝く瞳に電子回路を瞬かせる。
「こっちには珊瑚がいっぱい!」
ということは、きっと魚もいっぱいだ。
少しだけ、と船の縁から覗き込むと、色とりどりの魚が桜色に輝く珊瑚の合間を縫うように泳いでいた。
「ビンゴだね! 他の人間さまにも教えなきゃ!」
いつまでも眺めていたくなる風景だけれど、きっと人間さまがいた方が楽しい。
だって彼女は次世代型航行用ユニットVCであり、誰かを案内する為に生まれた電子の精霊なのだから。
「よーし、浜辺に戻るよ!」
まだまだ太陽の位置は高く、シエスタは終わらない。
とびっきりのバカンスの為に、ファウは鼻歌交じりに総舵輪を操って浜辺へと向かうのだった。
大成功
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