6
その心酔は誰が為か

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




●燃え上がる焔の如き恋心
 ああ、とても素敵!!この一面の赤い焔の海が私の行く末を祝福してくれるようだわ!!
 哀れな悲鳴も聞こえるけれど些細なことでしょう。この絶望と悲鳴がこの地を豊かにしてくれるのね。そして咲いた赤薔薇はあのお方に捧げるに相応しいわ!!!そうすればあのお方も私を認めて下さる。そう、そうに違いないわ!!!

 ――そこは、かつて『救い』が齎されようとしていた村。
 今は、理不尽の如き業火に包まれ、それを見下ろす乙女心を持った逞しきモノにより、蹂躙されるのを待つだけの、哀れな場所。

●悪夢のような偶然が齎す未来
「……嫌な未来を見た」
 佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)は、猟兵達にそう切り出した。
「二重の意味で悪夢のような事が起きる。前に俺が依頼した村があるだろう?このままだとその村が……いや、厳密に言えばその『場所』が、だがな?オブリビオンに目を付けられて、火の海になる」

 かつて、猟兵達の活躍により偽りの『救い』から逃れた村があった。嶺滋が言うには、その村が偶然のような不幸で、オブリビオンの手によって『焼かれる』、というのだ。
「残念ながらこのオブリビオンは村のある『場所』に執着していて、村が襲撃される未来を避ける方法は、俺にも分からなかった。けれども……あの人達なら俺達の話を聞いてくれるだろう。村が火の手に包まれる前に『避難』させる」
 嶺滋が言うには、村のある場所が確実に戦場になり、それは避けられないのだと言う。なので、護るべき対象である村人を疎開させよう、ということらしいのだ。
 無論苦しみの中とは言え、慣れ親しんだ村を捨てるのも苦渋の決断になるだろう。嶺滋はその上で「村をなるべく被害なく村人達に返す」ことを依頼してきたのである。
「つまりは……火の手を回らせない為の戦いになる。場所を護りきれても村が焼け野原になってしまっては、ダークセイヴァーでは再興までの時間で喰い物にされてしまう。それだけは、頭に入れておいてくれ」

 其処まで説明を進めた上でとある猟兵が嶺滋に質問をする。「村に執着しているオブリビオンは誰なのか」と。だがその質問に彼の顔が青ざめる。
「……その、だな。筋骨隆々な漢の身体にツインテール。黒いベビードールっていう冗談みたいな見た目をした乙女(性別は勿論漢)だ」
 そりゃあ二重の意味で、って付くよなって猟兵達も同情した。嶺滋はその後、咳払いをして話を続ける。
「確かに冗談みたいな見た目だが、動機も中々に狂っているものが見えた。なんでも『心酔するとあるオブリビオンの為にこの場所を薔薇の庭園にする』とかなんとか」
 そんな理由の為に村が焼かれるのだから溜まったものではない。
「残念ながら、そのとあるオブリビオンまでは分からなかった……けれど、お前達はこの乙女心を持った漢のオブリビオンに集中してくれ。……集中したく無いだろうけどな」

 嶺滋が猟兵達を見回し、長い息を吐いた後に再び向き直る。
「もう一度……あの村に向かって貰うことになるなんて俺も思ってなかった。けれど、俺達が救った生命を、こんな理不尽で潰されて溜まるものか。……頼んだぞ!!」


逢坂灰斗
 乙女心は時に暴走すると、自分以外の事情はどうでも良くなるのです。どうも、逢坂灰斗です。
 今回はオブリビオンの襲撃が予測された村の住民達を避難させた上で、「村の被害を最小限に食い止める」為の防衛戦を行って頂きます。
 なお、今回の舞台である村は以前「その救済は誰が為か」で舞台になっておりますが、前作を読み込まなくても特に問題はございませんのでお気軽にご参加下さい。

 ――では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。
91




第1章 冒険 『ついにこの里を捨てる時が』

POW   :    重い荷物を持つなど、スムーズに移動できるように手助けする。

SPD   :    敵の斥候を捕らえたり罠を仕掛けたりして、追っ手を妨害する

WIZ   :    移動の痕跡を消すなど、敵から発見される危険を取り除く。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神宮寺・絵里香
〈心情〉
オブリビオンの恋ねぇ…くっそどうでもいいわ
贈り物に頼らんとどうしようもない時点で望み薄だろ
珍妙な恰好をした馬鹿が珍妙な恰好をして迷惑かけるからぶち殺す
そんだけだ。んじゃ、仕事だ。やることやるぞ
〈避難誘導〉【WIZ】
鉄火場での経験は人並み以上にある。この手の撤退戦でどんな危険が
あるのかもまあ、それなりに分かる。後はその【戦闘知識】をこの
ダークセイヴァーの【世界知識】に当てはめて、危険を予測して
避難するのに適した場所を割り出し、そこまでの危険を実力排除
ルートを設定して安全に避難できるようにする
気づいたことは一緒に依頼に入る猟兵と共有
時間があれば偽装の足跡でもつけておく
襲撃されたらUCで撃退


死之宮・謡
里の人間全員の集団避難か…。
資金、護身用の装備、食料、辺りは必須として後はそれらを持った場合どれだけ他の物を持て行けるか…。重い荷物はある程度私が持って、里の人達の中でも力がある人達に手伝ってもらうとしてもある程度の荷物は諦めるしか無いだろう…。まずはそこの説得かな?
後は、その通りのルートで行けるかは分からないけど里の人たちに荷造りしてもらってる間に先に私一人でルート確認はしておいたほうがいいだろう。
後は他の猟兵達がどのくらい集まるか、どう動くかだが…そこは今考えてもしょうがない、とりあえず私の方針は固まった。実際に動き始めてからは臨機応変という名の行き当たりばったりだが仕方あるまい。



●動き始める前に
「ええ、この周辺の立地ですとこの様になっておりまして……」
 神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)はまず周辺立地を村人に確認しながら避難ルートを検討していた。
「相手の狙いが火攻めだとするならば、少なくとも近隣の森に隠れるよりは……」
 村人の描いた周辺の地図を見ながら村全体を見渡すことの出来る、拓けた高台を指差す。
「火の手の回りにくい此処になるな。一時的な避難とはいえ、日数を掛けずに移ると考えると」
 その会議を覗き込むように死之宮・謡(神喰らいの狂戦士・f13193)が声を掛ける。
「シカシ、コノ高台マデ荷物ヲ運搬スルニシテモ、物量ノ問題ガゴザイマスガ……」
「ああ、それは他の猟兵がなんとかしてくれる。都合のいい方法を持ってる奴がいるらしい」
 謡ははじめ、撤退に置いて村人の避難において『家財道具』を問題点として指摘していたが、集まった猟兵達の中に『都合のいい収納法』を持ち合わせていた猟兵が居た為、絵里香はこうして避難ルートの検討に専念していたとも言える。その言葉を聞き、謡が絵里香が設定したルートを眺めながら自分達が行うべき次なる行動を提案した。
「デシタラ、私達ハ『ルート』ノ安全面ヲ確認シナガラ先行スル、ノガ良サソウデスネ」
 その言葉に同意しつつも、脳裏にこの村に執着する珍妙なオブリビオンを想像しながら戦巫女は頭を抱えた。 
「……珍妙な格好の奴の狙いがこの村の『土地』そのものだけならまだしも、村人も狙いだとひとたまりもないからな」
「村人ノ方々ガ狙イデシタラ移動中ニ狙ワレル危険性モ、否メマセンカラネ……」
「んじゃ、仕事だ。実際に運搬する連中に警護して貰う前に危険を排除といこうか」

 そうして先行偵察に出ていく二人。ダークセイヴァー故にすんなりと通れるという事も無いのだが、二人は危険を排除していく内に一つの違和に気づく。
「……現状ハ、特ニ統率サレテイル気配ノアルオブリビオンモ見当タリマセンネ」
「村を出ていく分には何も邪魔される気配はねえな……。ルートを開拓すんのに困らないという意味では楽だが」
 順調に避難ルートは開拓されていくが、襲ってくるのは野良に近い個体のみであり、火を操るような個体も特に見受けられない。むしろ、村から『出ていく』事を歓迎されているような気すらしてくる。そんな風な感想を抱いたまま、二人は高台に到着する。が、その高台にて二人は村の置かれている状況を目撃する。
 ……何者かの集団が囲うように、村の方へ向かっている。だが、村を出ていく者には興味を示さず、むしろ村に近寄る人間を始末しようと動いている。幸いにもまだそういう被害は出ていないようだが……。
「……帰リ道、念ニハ念ヲイレテ備エタ方ガ良イカト」
「ありゃ本当に『村のある土地』が手に入るなら村人なんかどうでもいいって感じだな……抵抗する可能性があれば『ついでに』殺す、って気配しか感じない」
「ソノ仮定ガ正シイノナラバ……戻レバ襲ワレマスネ、私達モ」
 白肌の狂戦士がこの後に起こり得る自体を思案すると、再び戦巫女が頭を抱える。
「ったく、くっそどうでもいい奴の迷惑に振り回される人間の身にもなれ、ってんだ……」
 二人の仮定は見事に的中した。村へ帰還し、他の猟兵達と情報共有をしようと歩を進めていくと、村を狙う篝火を抱えた個体に襲撃されたのである。
 避難ルートと、村人を避難させれば安全であるという保証はだいたいなされたものの、村に戻ればその身を狙われるという事実。猟兵達の下準備はその事を念頭に再び進み始めた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

亞東・霧亥
自分達の土地を焼け出される。
我慢為らないだろうが、今は避難に専念してもらいたい。

【SPD】
避難先やルートを特定されては元も子も無い。

【レプリカクラフト】
10立方mまでの空間を使用し、老若男女、様々な身長や体格の村人を作製する。
『早業』も使用し最大限に空間を活用すれば、約50人分は作れる。
これは普通の人形ではなく、触ると破裂して神経を害する毒煙を撒く『毒使い』の【仕掛け罠】でもあるため、逃げ惑う姿や隠れている様に見せたりと、姿だけでなく表情も極めて精巧に作る。

他の猟兵がうっかり触れたり、巻き添えにならないように、仕掛けるルートについて十分説明する。

「邪魔者は減らさないと、後々面倒だからな。」


オーキ・ベルヴァン
【SPD】
一難去ってまた一難って感じだな。
ダークセイヴァーに生まれるってことは、終わらない恐怖に脅え続けるってことだよな。
……救える命は、救わないとな。

オレは、村人達が逃げる間、木にぶら下がって追っ手の警戒をするな。
双眼鏡くらいなら用意できるかな。
【絶望の福音】を常時発動で奇襲にも気をつける。

けど今回は、火が相手かー。
カシムもチェスの軍勢も元々は、木だから相性あんまり良くないんだよな。
敵が襲って来るようなら、ダッシュ、フェイント、吹き飛ばしで速攻かけるしかないかなー。

とにかくさ、折角『救い』から助けることが出来た命なんだ。
絶対にこれ以上、1人の命だって奪わせねーよ。

オレ達で守りきるぜ!
カシム!



●空の村の「囮」達
 避難ルートを先行していた猟兵の情報を元に、村人達の避難は開始された。
 避難が始まる裏で、空となる村を護る為に事前の細工や偵察を行う猟兵も当然ながら存在した。

「一難去ってまた一難って感じだな……」
 オーキ・ベルヴァン(樫の木のキング・f06056)はこの村に嘗て起きた出来事を思い返しつつも、終わらない恐怖に脅え続ける村人達を想像し、改めて救う為の決意を新たにする。そんな風にして、樹上から村の周囲の様子を偵察していた。双眼鏡をもって周囲を眺めるが、今の所は派手な動きも無い。
「んー、言ってた通りだな。篝火を抱えた連中っぽいのは確かにこっちに向かってるけれど、避難してる村人達の方には全然向かわねぇや」
 オーキは事前の情報の通りに行動をしている『本命』を見て、村人の形をした罠を作成している亞東・霧亥(冒険野郎若作りなおっさん・f05789)に声を掛ける。
「間違っても村に引き返さないようには言い含めたが、これは俺の仕掛けは……」
 村に戻ってくる猟兵(なかま)を護る為の物になりそうだな、という結論に至る。巧く『村に引き返そうとしている』住人を模した罠を用意出来れば誤認して向こうから引っかかってくれる可能性が増えそうだ、と判断した霧亥が事前に打ち合わせた通りにルートを作成し、村の防備を固めていく。その最中にも、オーキが覗き込む双眼鏡の向こう側は、じわじわと、村に近寄ってきていて。
「……準備、間に合いそうか?」
「なんとか、って所だな。先手とって避難や防衛の準備が出来てるのがでかいが、俺らが知らせなきゃ日常を過ごしている最中に焼き出されてた可能性が高かった、ってのが……」
 苦虫を噛み潰すように霧亥は最期の『仕掛け』に取り掛かる。ゆっくりと近づいていく集団を考え、到来するであろう時間を予測する。
「たぶん、あの集団が村に完全に近づく頃ってのが……」
 一旦視界を薄曇りの様に晴れない世界へと移す。日が落ち、段々と赤く染まり始めている。
「……日没頃、じゃねぇのかな」
「人が休む為に家に入る時間帯か。本当に碌でもない時間を狙ってやがる……」
 猟兵達の、防衛戦は間もなく本番を迎えようとしていた。

 日が落ち始め、薄曇りの世界が惨劇のように真っ赤に燃え始めた頃。村の周囲に明らかな異変が始まった。オーキはそれを視界に捉える。
「――篝火の連中が火を焚き始めた!!!」
 幸い、霧亥の仕掛けた罠に掛かり、自ら神経毒に掛かっていくオブリビオンの群れも居た事で火の回りも抑えられては居たが、まだ村人を避難させている猟兵達は帰ってきていない。仕掛け罠だけでは抑え込むには時間が足り無さそうだ。
「邪魔者は減らさないと、後々面倒だからな……俺達も出るぞ」
「……オレ達で守りきるぜ!カシム!」
 『救い』から逃れた村人の生命は一先ず護ることは出来ているが、『村』そのものを護る為の戦いはこれからなのだと、堕ちる陽の如く赤く燃え始めた篝火の群れを見遣り、二人は戦地へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テリブル・カトラリー
POW
以前の事は参加していない故分からないが……
乙女心か…向こう見ずな所は悪いばかりではないが、
人の迷惑を省みる事もできないではなぁ…
邪魔をされても仕方ないというものだ。

さて、私がやれる事は、力仕事ぐらいだろうな、
多くの荷物か、大きな荷物をを持てるよう、腕を換装
怪力も使用して荷運びと行こう。ああ、荷物が壊れたりしないよう気をつけつつダッシュでな。

そういえば、件のオブリビオンはこの場所に何か執着しているそうだが、
一体なぜだろうか?

村民からなにか知らないか情報収集をしてみるか?
昔話でもどうでもいい話でも良い。良い結果がなくても、話ができれば
重い気も少しは紛れるだろう。


シャレム・アルカード
【アドリブ歓迎共闘可】
相も変わらず辛気臭い世界よな。
だが、それもヴァンパイアが原因、か。
……ふん、良かろう。これも我の責務の内だ。手を貸してやろうではないか。

POW
荷物の運搬だ、重いものは任せるがいい。
『ヘカトンケイル』の内蔵機構『ナグルファル』により反重力を発生させ、その上に荷物を縛り付け、鉄鎖『タイタン』で引っ張って運搬。
上手く乗せられないものは我が【怪力】で直接持とう。

馬車の御者等が足りなければやっても構わん。多少【騎乗】【操縦】の心得はある故な。

生きてさえいれば先がある。我も随分と長く眠ることになったが、こうして再び奴に挑む機会を得たのだ。
精々生き足掻けよ!フハハハ!
(精一杯の励まし)


リーヴァルディ・カーライル
…ん。偽りの救い…てんしさま?
何か引っかかるけど…今は目の前の事に集中しよう
村人と荷物に関しては任せてほしい
こういう時、とても便利な術が私にはある

事前に【常夜の鍵】の魔法陣を描いた紙を複数用意
村人達の前で装備類を出し入れして使い方を教え、
必要な物をこの中に入れ、彼らもこの中に避難してもらうよう告げる

…ん。流石に村一つ丸ごと収納する事はできないけど
それでも、普通に避難するより遥かに効率的

安全な場所まで移動したら自身の生命力を吸収して魔力を溜め、
存在感を薄くして第六感を誤魔化す呪詛の結界で周囲を覆い、
【常夜の鍵】から村人達と荷物を外に出す

…万が一、私が死んでも、ここなら安全に逃げられる



●そして、村を焔が囲う時
「……相も変わらず辛気臭い世界よな」
 シャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)はそう独りごちるも、自らの責務であると、魔改造された棺を用いて村人達の家財道具を指定した場所へ移動させていた。テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)も自らの腕部を換装し、他の村人の物の運搬を手伝っていた。
「しかし、都合の良い手段があったとはな」
「確かにな!我も最初は足りぬ分の御者を買って出るつもりで居たのだが――」
 荷物を運ぶ二人の目線の先に居たのは、自らの術式の使用法を村人へ伝えるリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の姿。彼女は荷物や村人達の避難において『都合のいい』手段を持ち合わせている、と最初に集結した猟兵達に告げていたのである。
「……確かに、私達も家財道具もいっぺんに運ぶ事が出来そうね」
「……ん。流石に村一つ丸ごと収納する事はできないけど……それでも、普通に避難するより遥かに効率的」
 使用法を伝授されている女性が頷くのを見て、更なる説明を付け加えていくリーヴァルディ。彼女が用意した手段は【常夜の鍵】。異世界へ『抵抗しない』対象を格納する術式なのである。これを用いれば、実際に移動するのは猟兵達だけであり、護るべきなのは『術式の刻まれた紙』となる。
「これで全部か?」
 二人がリーヴァルディと女性の下へ辿り着き、声を掛けると女性が彼女なりに快活に返事を返す。
「はい、有難うございます。家財道具全ては無理だろうと考えていましたから……」
 今回は限られた時間で避難を終えなければならない以上、共に持ち出せる家財道具にも限りがある。だが、このユーベルコードはその問題を解消することが出来たのだ。
「確かにな!普通であれば幾らか諦めねばならぬ所だっただろう」
「だけど……これなら、万が一、私が死んでも安全に逃げられる」
 最悪を想定しつつも、少女は村人の安全を優先した。その為、術式の刻まれた紙自体は他の猟兵達に預け、村人達の避難の手筈が整った。
 村に残る猟兵達を見遣りながらも、先行した者達が切り拓いた避難ルートを辿り、三人は高台へと向かっていった。

 高台に辿り着き、リーヴァルディが自らの呪詛の結界を設置する中、テリブルは村人達へふと、疑問をぶつける。
「そう言えば、なんだが……件のオブリビオンはこの場所に執着しているようなのだが、何か心当たりはあるだろうか?」
「いいえそれが……」
 村人達もソレに関しては当惑しきっているようで、心当たりも無いようだ。
「あえて言いますなら、貴方方に嘗て助けて頂いた時、『てんしさま』という者からの偽りの『救い』から解放して頂いたことがあるぐらいですね。関係しているとは全く思えないのですが」
 その言葉に、結界の術式を組み上げている少女がふと因縁を感じ取り、手を止める。
(……ん。偽りの救い……『てんしさま』?何か引っかかるけど……)
 今は眼の前の事に集中しよう。と、少女再び手を動かし始める。その事に気づかず、女機兵は村人達と話を続ける。
「以前の事は参加していない故分からないが……、私と話すことで気が紛れるのであれば相手になろう。重い気も少しは晴れる筈だ」
 情報収集は上手くは行かなかったものの、村人達は口々にその後にあったことや、苦しかった中でも希望を見いだせた出来事など、様々な話題を口にしていく。沈んでいた瞳の中であっても、彼らの光はまだ失われていなかった。

 そうして、結界の設営が完了し、村人達の安全が確保された時には陽はすっかり落ち始めていた。薄曇りの世界が、血染めの如く真っ赤に染め上げられていく時間。だが、事態はそこから動き始めた。
「皆様、あれを……!」
 村長が高台から視える光景に指を差す。それは、村に残った猟兵により被害は抑えられているものの、周辺に焚かれ始めた焔であった。それを見遣り、大公が結論付ける。
「……向こうも漸く動き始めたという事だな!!」
 村人達は猟兵達が語った『最悪の未来』を回避出来たことに安堵しつつも、あの中へ戻って行くこととなる彼らの身を案じる。
「私共の身を助けて下さり有難う御座います。ですが……お気を付けて。我々は無き神に祈ることしか出来ませぬ」
「なぁに、生きてさえいれば先がある。我も随分と長く眠ることになったが、こうして再び奴に挑む機会を得たのだ」
 村を覆う光景のその先にあるだろう、常夜の支配者を見て、大公は調子を変えずに村人へ彼なりの励ましを贈る。
「精々生き足掻けよ!フハハハ!」
「ええ、……足掻かせて頂きますとも」
 村人達の光は潰えていない。猟兵達はその眼差しを受けて、村へと急ぎ帰還していく……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●1つの視点
 ……素敵。
 今彼処には村人の比にならない程の素敵な『欲望』を抱えている人達が居るわ。ああ。早く聞かせて欲しいわ。私には『解る』から。
 どんな欲望も、生命である以上、私には『解る』の。それはあの人も同じ。あの人のとても素敵な『支配欲』。満たして差し上げたいわ。そして――

 ――私の、手のひらで、ずうっと、踊って貰うの。
 その為に、私はその『欲望』を『肯定』し続けるわ。だから、燃やしてあげましょう。
 貴方達の『欲望』が、この地を豊かにしてくれるでしょうから。
オーキ・ベルヴァン
【SPD】
(身震いする)なんか、すげえ背筋が凍るポエムが聞こえた気がしたけど、気のせいか?
とりあえず、篝火を持つ亡者を全て倒せば黒幕が出てくるんだろ?
会わない方がいい気もするけど、村を滅茶苦茶にさせる訳にもいかないしな。
真の姿、第一段階【黒のキング】になって【バトルキャラクターズ】発動で15体の黒の戦士達を召喚!
敵の数が多いな。
ポーンを主体に近接戦に持ち込め!
その他の駒は、殲滅チャンスに纏めて叩け!

カシム!
俺達も出るぞ!

【フェイント、吹き飛ばし、ダッシュ、第六感、見切り】技能を駆使して隙を突く形でヒット&ウェイってやつだな。

欲望で溢れるこの世界だからって、オレ達も奪われてばかりじゃねえからな!


亞東・霧亥
【WIZ】

【レプリカクラフト】
今までに面識のある猟兵の姿をした精巧な人形を創る。
【仕掛け罠:麻痺毒散布】
攻撃で破裂し麻痺毒を散布。

奴等は近い。
『早業』『毒使い』を併用しても10体が限度か?
「人形でも、殺気の篭った表情なら多少は警戒するはず。」

一人で殲滅は無理。
倒しても同じ姿で復活する。
でも、麻痺なら死亡や気絶の条件に値しない。

人形を風上に配置し、その中心に立つとバリアフリーで一時的に『毒耐性』を獲得。
篝火の一群が近付いたら『投擲』や『2回攻撃』を使用。
錐と熱線銃で自ら人形を攻撃し罠を作動させる。

「チッ、手が痺れた!誰か、立ってる敵を倒してくれ!」
毒霧の中、敵の排除は難しい。

(アドリブ大歓迎!)



●紅い夕景が地平から迫ってくる
 夕焼けがそのまま地に堕ちて、大地を広がりだすかのように、篝火の波が広がっていく。亞東・霧亥(冒険野郎若作りなおっさん・f05789)は自らの仕掛けた罠により、被害は抑えられているものの、十全とは言えないと感じていた。
「一人では殲滅は無理だ。それに向こうは中途に倒せばまた補充される……」
 篝火の亡者には戦場で死亡か気絶している対象を新たな亡者として追加する力がある。村人が被害に合っていれば当然ながら加速度的に火の海は広がっていっただろう。それだけでなく、もし『倒しきれなければ』、新たな亡者の足掛かりとされる。ならば、と霧亥は新たなる人形罠を構築する。一気に倒しきれないのであれば、『無力化』すればいいと。
「……人形でも、殺気の篭った表情なら多少は警戒する筈……!」
 予め仕掛けてあった住人の形の罠に引っかかる程度には有効であった為、当然こちらの人形ならなおのこと効果的である。
(俺には直接的な手数を増やす術は無い。だが、持ち堪えられれば……!!)

 同時刻、オーキ・ベルヴァン(樫の木のキング・f06056)は周囲の熱気とは裏腹に悪寒を感じ取っていた。
「なんか、すげえ背筋が凍るポエムが聞こえた気がしたけど、気のせいか……?」
 それは気の所為と、振り払う。振り払わねば今、この村が火の海に沈む。
「とにかく、こいつらを倒せば黒幕が出てくるんだろ!?」
 オーキはその身を『黒の王』へと変じさせ、黒の戦士の軍勢を出現させる。猟兵もまだ全員が帰還はしていない。物量には物量で対抗するしか無い。黒のポーンが篝火の亡者達へと突貫する。
「ポーンを主体に近接戦に持ち込め!」
 幸いにも、霧亥の懸念である『手数を増やす術』をオーキの側が持ち合わせており、なおかつチェスの戦士達は『木製の人形』である。故に……

 霧亥が人形を遮蔽にしつつも、自らの罠を起爆して敵陣の足止めを進めていたが、流石に彼自身にも麻痺毒が襲いかかる。起爆用に握られていたブラスターを落としかけるが、そこに『黒の王』が視界に入る。
「チッ、手が痺れた!誰か、立ってる敵を倒してくれ!」
「分かった!!そっちにポーンを回して……」
 兵達は木製の人形であるから、麻痺毒は、意味を成さない。動きの止まる亡者達を一方的に押し返す。
「今だ、纏めて切り崩せ!!」
 更に追撃の槍がナイトの駒より飛来する。勝機を見た瞬間に火力を集中させ、手数で補うオーキの戦術が霧亥の求めていた物と合致した格好となっていた。

「……此処まで耐えきれば他の連中も間に合うだろうな」
 痺れから抜け出しつつも手を休めずに立ち回る懐中時計の探索者に、黒の王が応えるように敵陣へ向き直る。
「欲望で溢れるこの世界だからって、オレ達も奪われてばかりじゃねえからな!」



 ――素敵。こんなに抗ってくれるのね。益々『肯定』したくなるわ、貴方達の『欲望』を。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テリブル・カトラリー
極力村人の住居は破壊したくない。

視力、聞き耳を併用し敵位置の情報収集、
ブーストダッシュで村を移動しながら
ラストデザートでのスナイパー、クイックドロウ、併用で二回攻撃。

また小型ロボ爆弾をばらまき操縦、
時間稼ぎを兼ね敵に纏わりつかせて動きを鈍らせる範囲攻撃。

見えないこいつらに動きを鈍らされれば多少は回避もしづらいだろう。

爆破は住居等を巻き込まない位置にいる際に爆破する。
必要ならば私自身がブーストの勢いも乗せて
怪力で殴り吹き飛ばして位置を調整する。


死之宮・謡
さて遂に本番の始まりか…さっきまでは住人に固執していなかったから楽だったが里には固執しているし此処からはそうもいかないか。
まだ本命の前だし余り此方が損害を受けるわけにはいかない。だが、此の面子、敵の炎対策できそうな猟兵いるよな…取り合えず【三重血統装具】でも使って今回は攻勢に回ろう。ん?だが損害は出したくないから最初は防御よりで様子見して、大丈夫そうなら攻撃に参加すればいいか。
結局行き当たりばったりだな、まあ良いが。だが、良さそうな作戦が在ったらそっちに乗るが…またよくわからない力を持っているのがいるかもしれないしな。

さあ、戦闘開始だ。



●赤き波間を掻き分けて
「……村の住居は破壊させはしないし、燃やさせはしない」
 村にブースト加速のまま帰還し、道を切り拓くかのごとくテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は突き進む。先に村へ帰還していたり、残って敵陣の様子を見ていた猟兵達がそれぞれ奮闘する光景を遠くに見ながらも彼女は突破口を切り拓いていく。
 その姿を見て亡者を紅き血で吹き飛ばしながらも死之宮・謡(神喰らいの狂戦士・f13193)が女機人の下へ駆け寄る。
「村ノ方々ハゴ無事ナノデスカ!?」
「彼らは全員避難を完了した。高台の上の結界で趨勢を見守っている筈だ」
 その言葉に数瞬安堵した後、謡は自らの力を高める鮮血を再び纏わせる。
「ナラバ、防勢ハココマデ。……私ト命を削リ合ッテ貰ウワ」
 避難を担当していた猟兵達の帰還を確認した瞬間、謡が狂い咲く。更に苛烈になった狂戦士の舞踏は、亡者を置き去りにする程のステップで。共にステップを踏める程の個体は無く、バラバラに砕け散っていく。その舞踏に追従するかのようにテリブルの火砲が適切に敵陣を射抜き、篝火の亡者はその数を減らしていくが、既に村の住宅地へ躍り出ている個体もいた。

「……被害は、出させない。動きを制限する」
 住居に被害を出す事を防ぎたい。だが、相手をこれ以上進めさせる訳にもいかない。テリブルは『見えない爆弾』をばらまいた。不可視の存在に行動を牽制され、動きを鈍らされる亡者達が住居から離れた瞬間、ソレは起爆する。
「成ル程、貴方ノ『見エナイ爆弾』ニ当テレバ纏メテ倒セソウデスネ」
 謡も女機人の展開した『爆弾』の有用性を理解し、テリブルの誘導に合わせて舞い踊る。
 テリブルの示し合わせた位置へ、狂戦士が苛烈にも亡者の群れを叩き込み、反対側からはブーストの加速も利用した女機人の吹き飛ばしの一撃で他方の亡者の群れが叩き込まれる。群れが『見えない爆弾』を挟み込んだ瞬間、哀れにも集団で爆ぜていく。吹き飛んだ直後、周辺の家屋を確認し、テリブルは安堵する。
「……家屋に被害は出ていないな」
「後ハ、火ノ手ニサエ気ヲ付ケレバ……急ギマショウ」


 ――さぁ、もっと踊って頂戴?私も、貴方達と踊るのが楽しみになってきたわ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。避難は無事に完了したけど…本番はここから、ね
村は焼かせない。可能な限り、家屋への被害は抑えてみせる…

事前に防具を改造
第六感を強化して精霊の存在感を見切り、
彼らを鼓舞してUCを強化する誘惑の呪詛を付与する

…術式選択。魔導師の衣
光の精霊、命の精霊。彷徨える亡者に安息を…

【限定解放・血の教義】を発動
吸血鬼化した自身の生命力を吸収して魔力を溜め、
亡者の魂を浄化する“光の雨”による2回攻撃を行う
吸血鬼化している影響で、光属性の術の反動を受けてしまい、
自分にもダメージが入り傷口が抉れるが制御は手放さない

…これが私の魔法。降り注げ、浄化の雨…!

…弔いは全てが終わってから、ね。眠りなさい、安らかに…


尾守・夜野
恋路に人を巻き込むんじゃねぇ
この亡霊共は巻き込まれた口か?
…胸糞悪ぃな
すまねぇがこれも村の平和の為だ
消えてくれや

炎が周りに回れば残された畑や、家に被害が出るだろう

可能な限り、それらを巻き込まねぇように村のちょいと外で戦う

主に篝火を持つ手を狙って行くぜ

後は、復活阻止の為に四肢切断を狙ってく
達磨なら何しようと動けんだろ?
切り離した手足は握手させる感じに組み合わせて結んどく
行動はさせない

俺と別人格の俺の二人で事にあたる
片方が切り落とし、片方が結ぶ

炎が村に行きそうなら、毒液を飛ばして消火にあたる
まぁ、人や畑に害がねぇように…こいつらにとって害のある…聖水だがな!


神宮寺・絵里香
〈心情〉
・成程、こいつらが今回の放火魔か。好き勝手にそこら中に火を
 つけられても面倒だ。早々に対処するとしよう。
・オブリビオンの炎にどこまで効果があるかは知らんが、最低限の
 放火対策でもするか。
・その醜い欲望の炎、神宮寺の雨で鎮めてみせよう。
〈戦闘〉
・【祈り】と【全力魔法】を使用したUCを発動。大雨を降らせる。
・【世界知識】と【戦闘知識】を基に敵を分析、危険な行動を【見切る】
・黒蛇剣ウルミと擬槍蛇の目をメイン武器に。【破魔】と【水属性】を
 付与する。黒蛇剣で【薙ぎ払い】擬槍で【武器受け】して受け流す
・遠距離の敵には【高速詠唱】した『因達羅乃矢』に【破魔】の力を
 纏わせ【麻痺攻撃】として放つ。



●清き雨水が赤を鎮める
 一方、新たな猟兵の姿もあった。村の外縁部で『もう一人』の自分と共に亡者と相対していくのは尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)。
「この亡霊共は巻き込まれた口か?……胸糞悪ぃな」
 まだ猟兵達は預かり知らぬ事であるが、彼らも『欲望』を『肯定』された果てに現出した存在である。生者への羨望。営みを破壊するという欲望。彼らもまた巻き込まれた存在ではあるのだが、『手のひらで踊らされている』事は誰一人知らない。だが、そんな事情を知っても彼らは止まらないだろう。
「すまねぇがこれも村の平和の為だ。……消えてくれや」

 夜野達は亡者の腕……特に篝火を掲げる腕に注視していた。持てぬように『切断』し、更に残った四肢を斬ることで達磨にしていく。こうすれば物理的に行動不能だ。切り離された手足も丁寧に組み合わせて縛り上げ、復活させる要素を極力廃していくが……
「此処まで対処しても……まだ一押し足りないな」
 物理的に対処をし続けていても数の上では向こうが多い為、火の手はどこかしらで上がってしまう。
「そら、お前らに一番効く毒液(せいすい)だ!!」
 消火用に持ち込んだ聖水で邪気を払うと共に、亡者達を更に外へ追いやっていく。有効に作用してはいるが、あくまで対処療法であり、完全に押し切る一手を夜野は待っていた。
(……流石に無力化だけじゃ限界がある。一気に消し飛ばせるような……)

「無事に戻ってこれたみたいだな。……成程、こいつらが今回の放火魔か」
「……ん。避難は無事に完了したけど…本番はここから、ね」
 一方、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は帰還したリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の無事を確認すると、改めて戦地に蔓延る篝火の亡者を一瞥する。リーヴァルディもその光景を見て改めて構えを取る。
「村は焼かせない。可能な限り、家屋への被害は抑えてみせる……」
「――その醜い欲望の炎、神宮寺の雨で鎮めてみせよう」
 二人は偶然にも共に雨を願った。巫女の祈りに雨雲が応え。術式を選び取り、安息を齎す光の精霊、命の精霊へ吸血鬼へとその身を変じさせた少女が干渉する。
「――大いなる水を司りし白蛇の神よ!汝が巫女たるこの我に恵みの雨を与え給え!急急如律令!」
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
 村一帯に2つの雨が、交差する。神宮寺の恵みの雨。欲望を鎮める恵雨。吸血鬼で有りながら、自らを害す程の浄化の力を持つ光の雨。

 光が雨粒に乱反射しながらも降り注ぐその光景は、ダークセイヴァーに於いてあまり見ることの叶わない神々しい光景だろう。けれど、雨冠の戦巫女はもう一人の術者の状況を見抜いていた。自らをも浄化する程の光の雨を、苦痛にも耐え抜き制御を手放さずに行使し続けているのだ。
「……オレが早めに片を付ける」
 火の手が鎮められゆく中、巫女が光の雨の術者を見遣り、前線へと躍り出た。鎮火しつつあるものの、亡者達を押し込み切れている訳ではない。既に前で切り結んでいる『二人の』夜野に加勢するように【因達羅乃矢】が飛来する。
「雨のお陰でだいぶ勢いは削げてるがオレらだけじゃ流石に決めきれねぇ!!」
 聖水の散布で徐々に村の外側へ追いやられていく個体が多いものの、完全に浄化しきるには後一押しという所。
「何、後少しってなら話は早い。弱ってる奴から崩していくぞ」

 光の雨が止んだ頃、亡者達は全て押し切られ、浄化されていった。その様子を見ても術者は構えを緩めない。
「……弔いは全てが終わってから、ね。眠りなさい、安らかに……」
 亡者への弔いを後に回そうと考える程に、構えを緩めなかった原因、それは……

 悠然と、雨上がりの村へ歩を進めていく、1つの影が合ったからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『変態的破滅招来体』ランジーリ』

POW   :    本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD   :    あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ウルフシャ・オーゲツです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その恋心は『欲望』を『肯定』するが故に
「――うふふ。素敵な『欲望』が沢山。」
 悪夢の象徴たる存在は、まさしく悪夢のような造形をしていた。
 その眼差しは、猟兵達の根源を見透かすかのように。

「この世界は素敵な『欲望』で溢れているわ。私が『心酔』する程に」
 乙女心は、偽りではない。ただ、このオブリビオンはそれ以上に、『欲望』を『肯定』し、その相手を手のひらで踊らせ続けるのである。この乙女に見初められるということは、自らの『欲望』が彼女の駒に相応しいと認められたことに他ならない。
「だから、貴方達も、もっと見せて頂戴。その『欲望』を」

――全て、受け止めてあげるわ。
死之宮・謡
はぁ、信じられないほど気持ち悪いんだが…夢?夢か?(頬を抓る)痛い…。現実逃避は止めよう。このままいけばさほど被害も出なさそうだしなかなか良いんじゃないかな?後私にとって重要なのは彼奴が強いかどうか…それだけ。まぁひとまず此れで最後だし周りもやるだろうし全力で行こうか。もとより只の人よりは長い命、愉悦の為に使うのは本望。サッサト死ネ!
【鬼神血統装具・真式】展開…



●壊れた狂戦士の場合
「……信ジラレナイ程ニ、気持チ悪イワ」
 死之宮・謡(情緒不安定の狂戦士・f13193)は正直、眼の前に現れた悪夢の如き造形の相手に当惑していた。思わず頬をつねったが、現実であることを認識してしまう。
「あら、……貴方は。うふふ」
 その言葉と同時に、明確な『悪寒』を感じる。
 まるで、自らの心を覗かれているかのような。寄り添うように慈しまれているような。
 このまま行けば然程『村には』被害は出無さそうだが……
「私の強さに興味があるのかしら?」
 軽いウィンクのように愛嬌ある仕草。見た目が壊滅的に悪夢的なせいでそれすらも『通常ならば』吐き気を齎しそうな物だが、彼女は。
「エエ、私ハ」
 ――オ前ノ強サニシカ興味ガ無イ。

 紅潮したように。興奮したかのように。ランジーリが間合いに踏み込む。
「素敵!貴方は『壊す』娯楽の上で『殺し』に楽しみを見出しているというのね!!」
「元ヨリ只ノ人ヨリハ長イ命……『愉悦』ノ為ニ使ウハ本望!!!」
 そのまま拳の一撃へ移行しようとするのを見遣り、【鬼神血統装具・真式】を展開。その身に得た機動力で以て寸前で避け。
「――サッサト死ネ!」
「あら、『気持ちは解る』わ。でも急くのは良くないことよ?」
 謡が振り抜いた血の刃を『理解していた』かの如く回避し、足払いを仕掛けようとするランジーリを更に謡は回避する。
「……ジックリ、私ヲ『理解』シタイ、トデモ?」
「ええそうよ」
 その乙女の紅潮は、止まらない。
「だって、こんなに素敵な『欲望』なのよ!!もっと、『知りたい』わ!!」
 衝動の如く、欲望に、本能に忠実に。吐き出される言葉を無視するかのように狂戦士が再び間合いを詰め。
「――ソンナ、『共感』モ、『理解』モ、イラナイ。死ネ」
 袈裟斬りに血の刃を放出させ、欲望を喚起しようとする悪夢を斬り裂く。そんな最中でもランジーリの紅潮は、『心酔』は、止まらない。
「……とても、いいわ」

 ――とても、気味が悪い。一方的に、此方の心に踏み込んで、貪り尽くそうとしている。眼の前にいる悪夢はそういうものなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

神宮寺・絵里香
〈心情〉
・はぁー‥ぶっさいくなのが居るな。
・同じツインテールならオレの馬鹿娘のが億倍マシだな。
・欲望?とりあえず、お前が不快だからぶっとばす。以上。

〈戦闘〉
・高速詠唱で呪文を短縮。戦勝を【祈り】UCで雨を降らせる。
・武器は黒蛇剣と擬槍蛇乃目。【雷属性】と【麻痺攻撃】で
 痺れる雷を武器に付与しておく。
・WIZの攻撃については視線を傘で遮り【武器受け】することで対処。
・なるべく相手の顔を見ないよう、敵の足元や水たまりを踏む音など
 から敵の動きを【見切り】、躱せない攻撃は傘で【武器受け】して
 受け流し対処
・隙をみて【高速詠唱】して【麻痺攻撃】の『因達羅乃矢』をぶち込み
 痺れさせることで味方を支援する



●迷い込みし雨冠の巫女の場合
「はぁー……ぶっさいくなのが居るな」
 神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は脳裏に、自らの世界にある娘の姿を過ぎらせ、まだ自分の馬鹿娘の方が億倍マシ、とも感じる。それ程までに相手は不快な『悪夢』。
「あら、とても……素直な『欲望』を貴方から感じるわ」
 喜びを感じるように、絵里香に相対するランジーリ。それにすら不快感を隠さず。修羅たる戦巫女は構える。
「当然だろ?『お前が不快だからぶっ飛ばす』。以上だ。それ以上の答えが居るか?」
「ええ!貴方へはそれ以上いらないのでしょう?私がその『欲望』を満たしてあげるわ!!」

「『――大いなる水を司りし白蛇の神よ!汝が巫女たるこの我に恵みの雨を与え給え!急急如律令!』」
 再び、村から災厄の焔を振り払った恵みの雨が戦場を支配する。各所の水溜りがランジーリが踏み込む音を伝え奏で、その雨中に有りながら巫女は力強く、舞い踊るように打ち合う。
「『欲望』以上に、素晴らしい力ね。……『どうやって鍛えたのかしら』?」
 視線は傘で遮られ、刹那、雷撃を纏った黒蛇剣がランジーリを斬り裂いていく。黒きベビードールが鮮血で染まる。
「お前に答える必要も感じねぇな。今からその力で屠られるだけの奴にはな」
「……あら、こわい」

 恵みの雨こそ、神宮寺の巫女の御業を清め、高める一助となる。欲望を覗きこそ出来ても、根本的な対策を取られながら相対するというのは、表情には出さないもののランジーリは不利を悟っていた。
(……ここまで真っ直ぐな『欲望』、素敵よ。本当はもっと愉しみたいのだけれど)
 再び懐に飛び込み右ストレートを素早く叩き込む。その瞬間に躱せぬと悟った巫女は傘で受けた。
「少しぐらい、良い声で哭いて貰っても――」
 ランジーリの漏らした『欲望』が致命的な隙を産んだ。
「『――神々の王の裁きよここに!魔を滅ぼせ因達羅の矢よ!!』」
 雨で水気を大量に受けた『悪夢』の象徴に、裁きの因達羅が降った。黒焦げになりつつも立ち上がろうとするランジーリを一瞥するように、絵里香は言う。
「……人の心に土足で踏み込む不快さが、気に入らねぇ。何度でもぶっ飛ばしてやる。オレの『欲望』はそれだけだ」

 ――降り続く恵みの雨。それは猟兵達へ少しずつ、悪夢より解き放たれる先を暗示しているかのように優しく降り注ぎ続けている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャレム・アルカード
フハハハ!猟兵達よ!露払い大儀であった!
後は我に任せるがいい!

早速【百手千撃】でケリを付けたいところだが、うむ……見れば見るほど面妖な敵だ。
その……できればクネクネしながら近づいて来ないで欲しいのだが。

欲望を持っているか?当然ある!支配者たるもの強欲さは必須よ!欲こそが治める場より良くする原動力になるのだからな!
……何!我の分身だと!?ヘカトンケイルは正直扱いにくいから武装を減らすべき!?くっ、我の分身でありながらロマンを解さぬとは……!
良かろう!貴様の現実と我のロマンのぶつかり合いと行こうではないか!
(繰り広げられるディスカッション、出来上がる良い感じの折衷案)
ふぅ……濃密な時間であった。



●小さき傲慢なる大公の場合
「フハハハ!猟兵達よ!露払い大儀であった!後は我に任せるがいい!」
 恵みの雨の降り注ぐ村にシャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)の馬鹿でかい哄笑が響き渡る。それを見てさっき黒焦げになったばかりのランジーリが俄に色めき出す。
「あら、真打登場って所かしら、素敵ね!!」
 めっちゃくねくねしながら近寄ってくる乙女(♂)を前に小さな大公様は内心困っていた。出来ればくねくねして来ないで欲しいと。
(――早めに【百手千撃】でケリをつけてしまいたいが……見れば見る程、面妖というか……)
 少しというか半歩の半歩ぐらい、軽く後ずさるが退いている場合では無い、と大公はその身の丈に合わぬ改造棺を構え直す。
「ならば真打に相応しい我が重装と火砲を見せてやろうではないか!!」
「ええ、ええ!!『欲望』の塊のようで素敵だわ!!」
 ――さぁ、早く相対しましょう、と。まるで玩具を待ちきれぬ子供のように『悪夢』が両手を広げる。

 改造棺より展開された重厚な弾幕が、雨中の静寂を打ち破るかのように鋼のオーケストラを奏でる。
「貴方はその傲慢さ故に幾つも『欲望』を抱えているのね、素敵だわ!!」
 弾幕の渦中に有りながらもランジーリが歪んだ舞踏で舞い踊る。
「当然であろう!!支配者たるもの強欲さは必須よ!欲こそが治める場より良くする原動力になるのだからな!」
「――けどなぁ、『我』よ」
 戦場において、その特徴的な声がもう一つ増えるなど、ユーベルコード以外には有りえぬと、弾幕を繰り広げながらも大公がそちらへ向くと。
「……正直に言うが、改造棺は身の丈に合わん。扱い辛い。もう少しスマートに、コンパクトにすべきだ」
 冷めた現実を突きつけるように棺を盾にし、銃器型ガジェットを展開する『もう一人』が居た。
「くっ、我の分身でありながらロマンを解さぬとは……!良かろう!貴様の現実と我のロマンのぶつかり合いと行こうではないか!」

 弾幕と弾幕、理想と現実の討論が村を喧騒の如きオーケストラで包む。その最中を狙おうとするのは――『悪夢』。
「うふふ、『本当の自分と向き合う』のはどうかしら?」
 しかし、大公にとってそれは『タイミング』が良かった。ちょうどよく弾幕の応酬の中に有りながらも得たディスカッションの成果が、次なる改良の材料として導き出されたのである。
「うむ、中々濃密な時間、良き機会であった!礼と言ってはなんだが……」
 ヘカトンケイルから、『全ての武装』が、鎌首をもたげ。
「――貴様には特別にヘカトンケイルの真髄を見せてやろう!!」
 より重厚な弾幕の海に自ら身を晒す形となったランジーリ。声にならぬ絶叫が村に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾守・夜野
…お前に語る本音なんぞねぇ!
分身?
…はっ!今さら俺が一人増えようと、二人増えようと関係ねぇな!
そもそも、それは誰の本音だ?
俺か?僕か?私か?儂か?我か?
分身が出てきたら瞬時に別の人格に切り替わる。
無関係な自分に何か吼えられてもそれで傷つく人格は少ねぇはずだ。
出てくる人格はお任せする。

怖がって逃げるのもいるだろうし、戦闘狂のもいるからな。
特攻を仕掛けるのもいるだろう。

多彩な手段で攻める。
それだけ欲望が好きとほざいてるんだ。
一人にこんだけの感情、人格が集合してれば囮ぐらいにはなるだろう

共闘、アドリブ歓迎



●歪に入り交じる半死人の場合
 まだ戦場に降り続く雨中にありて、尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は叫んだ。
「……お前に語る本音なんぞねぇ!」
「ふふふ、『欲望』持たぬ命なんて、存在しないわ。さぁ、『向き合って』頂戴?」
 その叫びは無駄なものだとあざ笑うかのように。悠々と手を広げて、『悪夢』がその心に忍び寄る。だが……

 ランジーリは、『視た』。そして、歓喜と悲哀の入り交じる絶叫をした。
(――ああ、なんて、『多い』の。彼処に立っているのは『一人』ではないと言うの!?)
 『欲望』の感情を持ち合わせぬことは、至難の業だ。だが、彼は。いや、『彼ら』は。多重人格者だ。まるで魑魅魍魎が凝縮しているかのように、複数人の『欲望』が、そこに立っている。
 誰かの本音は他の誰かには効かない。ぶつけるべき相手に『届かない』。挙句の果てに、切り替わる人格から即座に心を『理解』するのは、いくらランジーリが『悪夢』のように得手としていることだとしても、『至難』である。
「そもそも、それは誰の本音だ?」
「俺か?」「僕か?」「私か?」「儂か?」「我か?」
 人格の如く多彩な攻め手が、入れ替わり立ち替わりランジーリを襲う。自らの利が通用しない相手に、彼女は焦燥感を感じていた。

 ――切り結び、夜野の『もう一人』の自分を顕現させようとしても、その複雑怪奇たる『彼ら』全員を1つに纏めたような『本音』など、存在しない。
「無関係な『自分』に吼えられて……傷つくとでも、思ったか?」
 にやりと半死人が嗤う。それと同時に、『悪夢』へ深々と殺戮捕食の剣が突き刺さる。
 響き渡る痛みの絶叫。そして完全に理解出来ぬということへの悲観。『悪夢』が、剥がれ始めてきている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーキ・ベルヴァン
【絶望の福音】常時発動!

受け止めてもらえなくて結構だぜ!
と言うかな……言わせてもらえるのならば、ごめんこうむる!
(マントを広げて真の姿第二段階、漆黒のキングの姿になる)
全軍、味方猟兵を援護する形で展開!
彼の者の攻撃を全て受け止めよ!
攻撃を向けさせるな!
我が軍ならば彼の者の言葉など効かぬ!
味方猟兵が攻撃する機会と共に前に出よ!

クイーン、剣を我に!
ナイトよ!
我も前に出る!
我に続け!

我が漆黒の剣、欲望などに負けはせぬ!
我が剣戟受け止められ続けるものなら受け止めてみよ!

【フェイント、吹き飛ばし、ダッシュ、第六感、見切り、ジャンプ、怪力、恫喝、存在感】使用

全くよう、お前はお前の欲望に忠実なだけだろうが!



●遊戯盤の黒王の場合
 それぞれの『欲望』が、『感情』が受け止められている。それでもなお、オーキ・ベルヴァン(樫の木のキング・f06056)は、それを『拒んだ』。
「受け止めてもらえなくて結構だぜ!と言うかな……」
 マントをたなびかせ。樫の木の人形と繰り手のその身が『混ざり合う』。其処に現れるは、漆黒の『黒の王』。
「――言わせて貰えるのならば、ごめんこうむる!」
「あら、其処まで私に視られるのが嫌かしら?」
 既にズタボロになりながらもランジーリは気丈に振る舞うというか、そういう素振りを見せないのは、自らの『欲望』はまだ折れていない、というのだろうか。
「――全軍、味方猟兵を援護する形で展開!彼の者の攻撃を全て受け止めよ!」

 あらゆる生物には『欲望』が宿るのだと、『悪夢』はうそぶいた。
 けれど、『黒の王』が統率するのは、遊戯盤の駒の軍勢。無機でありながら命あるが如く動く軍団。故に、読み取るべき『心』は無い。味方の攻撃に追随するように無機なる命の群れが、果敢な進撃を続ける。
「クイーン、剣を我に!」
 女王より託される黒き断罪の剣を掲げ、黒き王が進撃する。
「ナイトよ!我も前に出る!」
 号令を掛けるが如く、王の威光が共に並ぶ騎兵達に示され、更なる追撃が始まる。
「我に続け!」
「チェスは心理戦とも言うけれど……貴方のその徹底的に『読ませない』姿勢」
 余裕の無くなったランジーリが、すうっと、対戦相手を見据える。
「……『感服』するしか、ないわね」
 ポーンを剛拳で払うも続けざまに重ねられる兵法に、『悪夢』の構築した戦術が崩壊してゆく。
「我が漆黒の剣、欲望などに負けはせぬ!」
 それは、黒の王の誓い。この絶望に塗れた世界であっても、欲望に塗れた世界であっても。この剣は、負けはしないと。

「剣戟受け止められ続けるものなら受け止めてみよ!」
 ランジーリに、深々と黒の王の断罪の剣が突き刺さる。零れたのは黒の王の『本音』。
「――全くよう、お前はお前の欲望に忠実なだけだろうが!」

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。一度だけ闘った事があるけど…見た目以上に厄介な相手
何のつもりでこの地に来たのか知らないけど
最後の最後まで油断はしない

事前に改造した防具に施した呪詛を反転
第六感に訴え、自身の存在感を消して小石のように目立たなくする
その上で【見えざる鏡像】を発動し、敵の追跡から逃れる

…愛してほしい。救ってほしい…とか
私の心を、これ以上お前に覗かせる気は無い

敵の行動を見切り、他の猟兵を援護するよう立ち回る
不意を突いて怪力任せに生命力を吸収する大鎌をなぎ払い
即座に死棘弾を銃撃する2回攻撃を行う
そして敵の攻撃に併せて死棘弾を起動。傷口を抉る事で隙を作る

お前の戯言に耳を傾けるつもりは無い
…消えなさい吸血鬼ランジーリ


テリブル・カトラリー
欲望を教えろとはな…放火等問題のある行為や、
敵同士である以上この様な事をいうのはあまりに問題だと思う故、
抑えていたが、欲望を教えるというのならばあえて言おう。
……私は恋という感情をよく知らないが、
恋の為に奔走するお前のその姿勢を、私は、応援したいと思っている!

ランジーリに近付きランジーリを応援したいという欲望を宣言。
フェイントとカウンター発動、同時に腕を戦争腕に換装、
怪力を使いランジーリの腹に杭を叩き込み射出する二回攻撃。

応援したい。とは思っている。
だが、敵オブリビオンである以上殺す。
機械的に、感情等無くとも敵は殺せる。



●吸血鬼狩りの黒騎士と穏和な女戦闘機兵の場合
「……ん。一度だけ闘った事があるけど……見た目以上に厄介な相手」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はかつて『別個体』と相対した頃の記憶を反芻する。見た目こそ奇妙で面妖だが、他人の心を覗き見るかのような力は、想像以上に厄介なことも把握していた。
「何のつもりでこの地に来たのか知らないけど、」
 ならば、と取るべき戦術を決めた彼女の姿が、段々と虚空へと溶けていくように『見えた』。
「……最後の最後まで油断はしない」
 徹底的に自らの存在を消し、視える『姿』すらも消し去り。彼女は秘密裏に動き始めた。

 その一方でテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は戦地でありながら考え込んでいた。
「欲望を教えろとはな……」
 放火等問題のある行為や、敵同士である以上この様な事をいうのはあまりに問題だと考え、今まで抑えていたが、欲望を教えるというのならばあえて言おうと、ランジーリに向き直り、告げた。
「……私は恋という感情をよく知らないが、恋の為に奔走するお前のその姿勢を、私は、応援したいと思っている!」
 それは正しく告白というべき言葉。ランジーリが紅潮し、歓喜するかのようにテリブルの下に向かった……が、それこそが罠だった。
 至近距離まで到達した瞬間に、腹部に杭が重く穿たれた。
「が……はっ!?」
「……恋は盲目、という言葉もあるらしいな。私の狙いも『読めなく』なるほどに、盲目になっていたのか?」
 突き放されたランジーリが視界に収めたのは応援してくれた存在と同じに見えぬ程の、酷薄な表情。だが、彼女に呆けている暇は許されず。
 後ろから隠れ潜んでいたリーヴァルディの鎌による奇襲で斬り裂かれる。後ろに視線を投げかけようとしているランジーリに見えたのは、明確な敵意。
「……愛してほしい。救ってほしい…とか」
「私の。『私達』の心を、これ以上お前に覗かせる気は無い」
 睨みつけるように、彼女は即座に死棘弾を乱射して、植え付ける。抵抗しようとした『悪夢』の身体の中でその荊棘は芽吹いた。……傷は、もう踊れぬほどに刻まれていた。

 酷薄な表情を浮かべるテリブルにじりじりと追い詰められるように、もう踊れなくなった『悪夢』が膝を付く。
「応援したい。とは思っている」
「ならば、どうし」
 機械は機械的に。敵オブリビオンである以上、殺す。
「――機械的に、感情等無くとも敵は殺せる」
 その言葉と同時に杭が、満身創痍のランジーリの心の臓を貫く。
「お前の戯言に耳を傾けるつもりは無い」
 テリブルの杭が戒めのように深々と突き刺さる瞬間を一瞥するかのように、少女は告げた。
「……消えなさい吸血鬼ランジーリ」

●『悪夢』の幕切れ
 ――消える瞬間、その『悪夢』は、強烈なまでの笑顔と確信を持った言葉で、猟兵に告げた。
「――また、逢いましょう?」
 村を襲った『悪夢』は、まるで夢から醒めるように塵に還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト