●海底の天
深海島――その島の名前は『海闊島』という。
ぶくぶくと湧きあがる空気の泡。それに包まれた島では誰もが普通に呼吸ができる。
色とりどりの珊瑚たちに囲まれ、嘗てはどんな世界から落ちた島だったのか――それはわからない。
建物なども、巻貝を模していたり珊瑚を埋めこんだ壁であったりと、まさに海の底の街というところ。
そしてこの島の者たちは陽気に笑って楽しんで、平穏なる日々を送っているのは確かだった。
浜辺では楽し気に遊ぶ子供たち。浜に添って続く道には様々な店がある。
すすいと、時折水と共に包まれた魚たちが遊びに来て目の前を通っていくときもある。
そして、天の海へと昇っていく泡たち。
その向こうに――けがれた色が揺らめいた。
どこからともなく空間を割って現れたのは泥だった。それは泳いでいた魚を飲み込んで腐らせ、死に至る。
それが今、この『海闊島』を終わらせようとしていた。
●予知
グリードオーシャンへと向かってほしい、と終夜・嵐吾(灰青・f05366)は集った猟兵たちへと紡ぐ。
向かってもらうのは、その中でも海底島であると続けて。
「海底にある島、そこは空気の泡に包まれておって入れば呼吸なんかは問題ないんじゃ」
そして、その島へと今コンキスタドールの手が伸ばされているのだと、続けて。
そんなわけで、その手を叩き落としに行ってほしいのだと嵐吾は言う。
「まず島の周囲に手下のコンキスタドールが現れる。呼吸は、島から空気の泡がぶくぶくしとるから。それをうまく使えば問題ないじゃろう。ただ」
水圧は気合で耐えるしかないと嵐吾は言う。皆ならどうにかなるじゃろうと笑って。
手下たちを倒したなら、しばらくのちに現れる別のコンキスタドールと対するために、島の民を非難させたり戦いやすい場所を見つけたりしておけば良いだろう。
「何はともあれ、向かってみんとわからんこともある」
皆を島の上――空気の泡の外に送ろうと嵐吾は告げる。
じゃから、息止めておくんじゃよと紡いでその手のグリモアを輝かせた。
志羽
お目通しありがとうございます、志羽です。
公開と同時に受付となります。
●シナリオについて
第一章:集団戦『汚す者』
第二章:日常『ナンパをあしらおう』
第三章:ボス戦『うみなりさま』
以上の流れとなっております。
●お願い
複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章、三章参加の場合、IDについては必要ありません)
ご協力よろしくお願いします。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『汚す者』
|
POW : 穢れの一撃
【汚染の泥】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 冒涜する命の進撃
レベル×5体の、小型の戦闘用【死した動植物に感染した同族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : 汚染の連鎖
【自身が放つ球体の黒光】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を感染して汚し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クリュウ・リヴィエ(サポート)
記憶喪失のダンピールだよ。
名前も年齢も本当かどうか、僕にも判らない。
ま、気にしてないけどね。
自分の過去は判らなくても、色々考えるのは好きだよ。
他人の行動とか状況とかに違和感があると、それに何か意味がないのか考えちゃうよね。
まあ、それで僕が有利になるかどうかは別問題だけど。
あとは食べることも好き。
食わず嫌いはしないし、残さないよ。
戦うときは、突っ込んで力任せに殴り掛かることが多いかな。
一応、剣も魔法も使えるんだけど、結局シンプルなのが性に合うね。
息を止めて、次の瞬間には水の――海の中だ。
ごぼり、と頭の横を通っていく泡は空気だ。
海に投げ込まれて天地は逆さま、クリュウ・リヴィエ(よろず呑み・f03518)は器用に水の中を回って体勢を立て直した。
クリュウは記憶喪失のダンピール。
名前も年齢も、本当かどうか――わからない。
水中に投げ込まれる、なんてことも。
(「あったかな、ないかな……ま、気にしてないけどね」)
これはこれで面白い経験かもしれないと思うのだ。
過去は判らなくても、色々考えるのは好きだ。
海の底にある、海底島――足を踏み入れるのは初めてとなるだろう。
少し、心躍るものもあるかもしれない。
足元から登ってくる空気の泡を捕まえて呼吸を繋いで、少しばかり身体は水圧で重いだろうか。
と――頭上、その海が割れた。
そこより漏れ出てくるのは泥だ。
泥――目のある泥だ。それがどろりと零れて海中に漂うと、そこから海が汚されていく。
泳いでいた魚がその泥に飲まれたなら、浮き上がっていった。
死んだのだ。
それを目にしたクリュウは僅かに瞳見開く。
クリュウは食べる事も好きだ。
あの魚は、誰の糧となることもなく無為に死んだ――あの泥は、食べないものなのだろう。
それは意味がないことではと、思う。
あのまま、泥が足元の海底島へと向かえば人々も同じように死を迎えることは明らかだ。
クリュウはその瞳を真紅に変え、ヴァンパイアあとして――泥へと突っ込んだ。
殴る、ぐにゃりと崩れていく感覚。けれど手応えはない。
けれど、直感で感じたのはあれにも体の中心があるということ。そこは拳より逃げていた。
剣も魔法も使えるけれど、結局シンプルなのが性に合う。
水中での動きもあるのだから、なおさら。呼吸も繋ぎながらの戦いで剣を躍らせるのも難しい。
振るう拳が敵の身を捕らえてその身をどんどん散らして、削っていく。
そして――その拳は、やがて汚す者の真ん中を捕らえて、その身を砕いたのだった。
成功
🔵🔵🔴
ケイ・キャッスル(サポート)
集団戦だね、まっかせてー!
好戦的に戦闘するよ!
ボクはアイドルだから歌を歌ってユーベルコードを使ったり、スタンドマイクで敵をぶん殴るよー
あ、可愛い敵ならちょっともふもふしたいかも。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使うよ、怪我は嫌いだけど多少の怪我は厭わず積極的に行動するね。他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。あとあと、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はぜったいしないからね!
あとはおまかせ。よろしくねー!
瞬けば、水の中だ。こぽりと、僅かに開いたその口から泡が昇っていく方向で、上を認識する。
ケイ・キャッスル(偶像メルト・f26046)は少しだけ慌てて、けれどすぐに水中にも慣れてきた。
女児用のアイドルゲーム、その中で唯一の男性アイドル――男の娘なケイは、足元から登ってきた空気の泡で呼吸繋ぎつつ周囲を見回した。
泳いでいく魚たちの姿は楽しくて、何故ここに来たのか一瞬忘れそうになり首を振る。
そして、気付いた。ここは水の中であるのだから、水着の方が良い。
ジュエルハートを取り出して、コーデカードを取り出してセットすれば纏っていた服は一瞬でチェンジ。
ふわり、腰の後ろのリボンが水の中に靡いていく。
白いフリル、メイドさんのような雰囲気の青い水着。淡くチェック柄も入ったスカートの裾摘まんでケイはお辞儀一つ。
ここは戦う場ではあるが、ケイにとってはステージでもある。
(「ボクはアイドルだから歌を歌って……水の中じゃ歌えない!」)
仕方ない、とケイはその手にマイクスタンドを。
かわいい敵ならちょっと触れ合ったり、なんて思ったけれど。
(「か、かわいくない」)
空間を割って現れた泥――汚す者たち。
海を泥の色に染めて、周囲の魚たちはそれから避けるように逃げていく。
空気の泡で呼吸を継ぎながら、ケイはその泥に向かってマイクスタンドを振り下ろした。
ほかの猟兵のみんなも戦っている。
汚す者が放つ黒光は、触れたらまずいと身を翻す。それは近くの魚を飲み込んで、汚していくのだ。
こんなものを、この先――海底島へと向かわせるわけにはいかないと、ケイは再び攻撃を仕掛けていく。
成功
🔵🔵🔴
赤鉄・倖多
ヒメくん(京杜)/f17071と
目ぇ開いたら、海の底!
すっげぇと呟きそうになって
慌てて両手で口を抑えた
泡の中でお喋りするヒメくんをみて
自分もすいすいーえいと飛び込み
息出来る!
にゃはは、すげーな
おうっ、おれとヒメくんにかかれば
あんなばっちぃドロドロなんてひとたまりもない!
流石ヒメくん、頼りにしてるぞ
ガジェットショータイム
出て来るのは掃除機みたいな形のガジェット
見た目はゾウさん!
おお、これで吸い込めってことかな?
よっしゃどんどん吸い込むっ
ヒメくんはつえーけど
かっこいいヒメくんが汚されたら嫌だなと思う
――よし、協力だっ
ヒメくんは敵を攻撃するのに集中してくれ
おれ、向かってくる攻撃を全部吸い込むぜ
姫城・京杜
倖多(f23747)と!
ちょっと海に入る時はドキドキしたけど
そうっと目を開ければ
おお、この泡のおかげで海の中でも息できるのか
何か魚になったみたいでわくわくするぞ、倖多!(手招き
うんうん、すげーよな、何かテンションあがる…!
いや、ちゃんと海の平和は守るぞ(きり
俺達の手でちゃちゃっと綺麗にしようぜ!
俺は掃除は大得意だしな(どや
おお、ぞうさん掃除機!
すげーな倖多!
その吸引力、我が家にも一台作って欲しいぞ…
おう、協力し合えばあっという間だろ!
ぞうさん掃除機が吸い込みやすいよう、大きめの泥を焔紅葉で刻んだりしつつ
よし、攻撃は任せろ!
神の炎で徹底的に泥を燃やしてく!
俺達ナイスコンビネーションじゃね?(どや
冷たい――水の気配に赤鉄・倖多(倖せを招く猫・f23747)は瞳を開いた。
もうそこは、世界が変わって海の底だ。
「すっ……っ!」
すっげぇと呟きそうになりごぼりと口端から空気零れて、慌てて倖多は口を両手で押さえた。
その様子に姫城・京杜(紅い焔神・f17071)は瞬く。
海に入る時はドキドキしたけど、そうっと目を開ければ魚も泳ぐ楽しそうな世界。
ゆるゆると足元から登ってきた大きな泡の塊に捕まえれば、呼吸もできて。
「おお、この泡のおかげで海の中でも息できるのか」
何か魚になったみたいでわくわくするぞ、倖多! と手招き。
その手招きに水かいてすいすいーえい、と倖多も飛び込んだ。
ふわん、と泡が揺れるような感覚にちょっと笑い零れる。
「息出来る! にゃはは、すげーな」
「うんうん、すげーよな、何かテンションあがる……!」
足元に広がる海底島もどんな島か楽しみだな、なんて京杜は言って――首を振る。
「いや、ちゃんと海の平和は守るぞ」
その、京杜の藍色の瞳が向けられた先には泥が広がっていた。
それが、これから海底島を脅かそうとしている汚す者だ。
「俺達の手でちゃちゃっと綺麗にしようぜ! 俺は掃除は大得意だしな」
どや、と笑って見せた京杜に倖多もにぱっと笑って。
「おうっ、おれとヒメくんにかかれば、あんなばっちぃドロドロなんてひとたまりもない!」
流石ヒメくん、頼りにしてるぞと言いながらその手の内で倖多はガジェットを現す。
倖多の手から生み出されたのは――掃除機のような形のガジェットだ。
そして、その見た目は。
「おお、ぞうさん掃除機! すげーな倖多!」
「おお、これで吸い込めってことかな?」
なるほど、わかった! と倖多は泡の外に掃除機の先を向けて、すいっちぽち。
ごぼぼぼぼぼと周囲の水も吸い込んで、けれど水は掃除機の排気口――ちょうどゾウの耳の後ろあたりからばばばばと吐き出されている。
それにより耳がゆれていて、ちょっとかわいい。
その可愛さと裏腹に吸引力は文句なしの一級品。
けれど大きな泥は吸い込めぬままのものもある。
「その吸引力、我が家にも一台作って欲しいぞ……」
「よっしゃどんどん吸い込むっ」
ヒメくんはつえーけど、と倖多は思う。
(「かっこいいヒメくんが汚されたら嫌だ」)
だから一人で戦わせるつもりはなく。
「――よし、協力だっ」
「おう、協力し合えばあっという間だろ!」
それは京杜も同じだ。
ぞうさん掃除機が吸い込みやすいよう、大き目の泥を小さくしてくる! と京杜は言う。
倖多はヒメくん、とその名を呼んで。
「ヒメくんは敵を攻撃するのに集中してくれ。おれ、向かってくる攻撃を全部吸い込むぜ」
「よし、攻撃は任せろ!」
その手から、、京杜は紅葉舞い燃ゆる、激しく燃え盛る数多の焔を躍らせて。
「徹底的に燃やしてく!」
海中の中でも、神の焔は消える事なく。
広がる泥を包み込み燃やして、散らして。
それをぞうさん掃除機がきゅいーんと吸い取っていく。すると、濁っていた海の水は元の色を取り戻して。
「俺達ナイスコンビネーションじゃね?」
どや、と振り返って笑う京杜に倖多も笑み返しこの調子であっちも綺麗にっ、と指さした。
そちらにもまだ、泥の――汚す者たちがいるのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
チル・スケイル
※これはおまかせプレイングです
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」
竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません
戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操りますが、それ以外の属性は使いません
侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
送られた先は海中だ。
チル・スケイル(氷鱗・f27327)は傍らを登っていく空気の泡を捕まえて一呼吸。
その中であれば、声も出して大丈夫そう。
「皆さん、よろしくお願いします」
お辞儀一つ、向けた先は――美しい海の青を汚す者たち。
空間を割って流れ落ちて、広がっていくそれは良いものではない。
近くを泳いでいた魚を飲みこめば、それは死してぷかりと浮き上がっていく――かに、思えた。
それはびくりと身を震わせて再度息を吹き返すかのようだった。けれど体は溶けているようで、生きているとはいえない。
その姿にチルは瞳細めて、両手両足に魔法の杖を装着する。
それは突撃銃に似た、魔法の杖だ。体への負担も少ないそれは敵が多い今、長く戦うのはもってこいのものだろう。
仕事の時間です、と踊るように、周囲へと視線を巡らせる。
氷のように蒼いローブが海中でふわりと広がって――その周囲に氷の粒が生み出された。
チルの視線が撫でた先、泥のような汚す者と、それが生み出した腐った魚たちが向かってくる。
氷の礫が魚たちを撃ち海の藻屑へと還す。
そして礫から、塊となって汚す者へとチルは放った。
泥の身をはじく様に削って、打ち抜いて。
その身が小さくなれば海の穢れも消えていく。
ほかの猟兵の方へと逃れようとするものがいればさらに激しい魔法弾の贈り物を。
一度戦いはじめたら、最後までお付き合いくださるのが礼儀でしょうと、紡いで。
大成功
🔵🔵🔵
フルカ・アルカ
うつくしい島に穢れを持ち込むなど。
なんぞ、おれがいうのも馬鹿馬鹿しいが。
ほう、呼吸は問題ないようじゃの。
それでも気分を出すために仮面をダイバー仕様にしておこうかの。
水圧で欠けてしまわぬよう、魔力で躰の強度を高めつつ。
ああ、うつくしき清流じゃ。
気泡が幻想のごとく。じゃというのに、なんだあれは。
両鉤爪の腕を伸ばして、遠方の泥を掻きて、潰そう。
メガリスよ、おれの敵じゃ。おぬしの敵じゃ。
伸びよ、――斬り裂け。
伸ばした腕は軽く外側より、相手の動きを誘導するように迂回。
できれば向かってくる小型機ごと丸ごと握り潰したい。
おれは多少水の流れに乗って動き、捕捉されぬよう泳ぐ。
掃除は心地好いものじゃな?
イスヴァルト・ツァディ
海底にある島…
当機であれば潜水には問題は無いが、ふむ
防水処理は施しておいた、と言っていたから問題は無かろう
ぶくぶく泡なるものもありがたいな
水圧は問題ない。当機は頑丈が故——ふむ、息子の方が心配ではあるが
今は敵対生物の排除を
偽神兵器を解放
貴殿に恨みは無いが当機に出来るのは殲滅のみだ。
海が汚れれば困るものもいるだろう
不定形の敵であれば、当機の圧で容易く崩れはしないだろう
最大限の警戒を
当機は機械。ものであるが故に、破損は構わない
回避が不可能であれば腕を外す
——否、破片が落ちれば海は汚れるだろうか
当機に貴殿等の嘆きを理解する機能は無い
——だが
死を死に戻そう。
展開せよ、偽神兵装
大鎌にて全てを刈り取る
うつくしい島に穢れを持ち込むなど、とこぽりと大きな泡を生み出す海底島を眺めてフルカ・アルカ(アエテルヌム・f27606)は、ふと笑い零した。
(「なんぞ、おれがいうのも馬鹿馬鹿しいが」)
そしてフルカは手を伸ばしひとつ、空気の泡を捕まえて息を継ぐ。
「ほう、呼吸は問題ないようじゃの」
その泡の中であれば声も響く。
その様子にイスヴァルト・ツァディ(白銀の狼・f27603)は心配はいらないか、と一息。
海底にある島――ウォーマシンたるイスヴァルトは、潜水は問題ない。だが、防水処理は施しておいた、と聞いたので問題はないはずだ。
ぶくぶくと、泡が立ち上ってくる――それはありがたい。
水圧も問題はないと、その身に感じる感覚もあるのだがイスヴァルトの計器は言っている。
けれど、フルカはどうだろうか。
気分を出すために仮面をダイバー仕様にしてぶくりと足元から浮かび上がる泡に笑いながら、この水圧でその身が欠けてしまわぬよう、魔力で躰の強度をフルカは高めつつ。
「おとーさん、あれのようじゃ」
泡の中で声を響かせる。フルカが示した先は――濁っていた。
あれのおらぬところは――ああ、うつくしき清流じゃと。
生まれて登って、消えていく気泡が幻想のごとく。それは星の雫のように消えていく。
引き込まれてしまいそうな美しさがあるというのに、それを引き裂く様に広がる泥の色。
なんだあれは、とフルカは不機嫌さを隠しはしない。
フルカの示した先の穢れはイスヴァルトにもはっきりとわかる。
海が汚れれば困るものもいるだろう。その最たる魚たちは泥より散るように逃げているようだ。
「貴殿に恨みは無いが当機に出来るのは殲滅のみだ」
スヴァルトは偽神兵器を解放する。
息子よ、と視ればすでに現れた泥を払おうとしている。
両鉤爪の腕を伸ばす――遠方の泥を掻きて、潰そうとばかりに。
海が汚れれば困るものもいるだろう。
今最も、この海を汚しているのはあれらだ。
不定形の敵――であればとイスヴァルトは考える。
当機の圧で容易く崩れはしないだろうから、最大限の警戒を。
イスヴァルトは、機械だ。
ものであるが故に、破損は構わない。回避が不可能であれば腕を外すだけだ。
(「――否、破片が落ちれば海は汚れるだろうか」)
泥が広がる様――それは本当に美しくない。
フルカはその手を、伸ばす。
「メガリスよ、おれの敵じゃ。おぬしの敵じゃ。伸びよ、――斬り裂け」
空気の泡の中で紡ぐ。その腕は伸び、外側から、汚す者を、そしてそれが放ったのは腐っていく泥の魚。
泥に飲まれた死したものを、また使って向かわせてくるのだ。
それをかき集めるようにフルカは誘導して、寄せて。
泥も共に丸ごと握りつぶすように。
そしてとんと、イスヴァルトの身を足場にするように蹴って水流の流れへとフルカは乗る。敵に細くされぬように泳いぎながら。
おとーさん、いってくるという様に。
息子の、フルカのその動きをイスヴァルトは留めることはない。
フルカが集め潰した残りを、さらに消していくように偽神兵器は振るわれる。
「当機に貴殿等の嘆きを理解する機能は無い――だが、死を死に戻そう」
展開せよ、偽神兵器――その言葉に大鎌と化す。
散り散りに向かってくる泥に、死した魚に――もう一度死を。
イスヴァルトの大鎌が泥もそして死した魚を斬り裂いて霧散させていく。
その様を目にし、フルカは僅かに瞳細め。
「掃除は心地好いものじゃな?」
泡をその口端から零しながら紡ぎ、残るもの達を追いかけて言葉通りにその数消していく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『ナンパをあしらおう』
|
POW : ●『撃退』:相手を脅したり…少し“退いてもらった”り…。力加減さえ考えればそれだけで解ってくれる
SPD : ●『離れる』:相手をするのも面倒なので…単純に怖いので…。理由は様々だがともかくその場を離れる
WIZ : ●『連れがいる』:それは他の猟兵だったり…はたまたUCやアイテムで呼んだ存在だったり…?
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海底島の頭上での戦い――広がっていく泥の色を人々は見上げていた。
けれどそれが薄れ、戦っていたもの達が島へと降り立った猟兵たち。
すると、よく払ってくれた、退治してくれたと人々は礼を言うのだ。
けれど、まだこれから。
先ほどの汚す者たちを差し向けていたものがこれからこの島へとやってくる。
戦いとなるであろう海岸は広い。
そこは観光地なのだろう。ゆるりと夏の海を楽しんでいるもの達、様々な屋台なども溢れている。
そしてそこにいるだけでも倒してくれたものたちだ! と人を集める事にもまたなっていた。
その中で――島の若者たちは。
「素敵なお兄さん、ねぇ遊ばない?」
「暇なら俺達と遊ぼうぜ!」
折角島の外からやってきたのだ、目一杯この島を楽しんでもらおうと声をかけてくる。そこに恋愛めいたものがあるのかないのか、ただ純粋に遊びに誘っているのか。
だが、此処に居れば戦いに巻き込んでしまうだろう。
彼らを避難させつつ、猟兵たちは戦うための準備を行っていく。
エンティ・シェア
やぁ、楽しそうで何よりだ
遊びたいのは山々だが一応目的があってきているのでね
それを果たすまではどうにも…
いや何、君が付き合ってくれるというのならそれはそれで構わないか
ねぇ、君
一夜の恋に溺れるのも悪くはない。そう思うだろう?
綺麗な綺麗な思い出で着飾るのも良い。うん、そうだねぇ
それでは――ねぇ、お嬢さん
私と一緒に死んでくれないかい?
美しい海に、私と共に還ってくれないかい
何も怖くないよ。さぁ、ほら
この手を取れば、綺麗な夢だけを見られるよ?
…はは
冗談に決まっているだろうに
脅迫?心外な
ただの、本気の演技だよ
ナンパは意外と危ないからね
危機意識でも持ってくれれば幸いだ
さてさて、楽しくお仕事をしていかないとね
海の底、海底島――エンティ・シェア(欠片・f00526)はなるほど、確かに呼吸もできて地上とは変わらないと笑う。
そうしていると、他の島の人だと島民たちがやってくる。
「ねぇ、外から来たんでしょう? 面白い話きかせてほしいな」
「えー! 私の方が先!」
「それより俺達と遊ぼうぜ! 海でサーフィンなんてどうだ?」
と、きゃあきゃあ軽い、若い女の声に混じって男が遊びに誘う声響く。
「やぁ、楽しそうで何よりだ。遊びたいのは山々だが一応目的があってきているのでね」
と、エンティは紡ぐ。その声に、目的があるなら仕方ないと男たちは言う。
けれど、女達はまだそばに。どうしても? なんて尋ねてくるのだ。男たちがそれ以上は、と止めるのも振り払って。
その様に大丈夫と制しながら、それを果たすまでにはどうにも……と残念そうにエンティは首を振る。
「目的? それってすぐ終わる?」
「いや何、君が付き合ってくれるというのならそれはそれで構わないか」
付き合えることなの、と尋ねられて――エンティは柔らかに微笑み浮かべてその指先を滑らせる。
「ねぇ、君。一夜の恋に溺れるのも悪くはない。そう思うだろう?」
その言葉にきゃあ、と可愛らしい声一つ。
顎先を指で持ち上げられた女はひとり。もう一人はなんで私じゃないの、というような視線さえ向けてくる。
「綺麗な綺麗な思い出で着飾るのも良い。うん、そうだねぇ」
それをかわして、それでは――ねぇ、お嬢さん、と誘うのだ。
「私と一緒に死んでくれないかい?」
「えっ?」
「美しい海に、私と共に還ってくれないかい。何も怖くないよ。さぁ、ほら」
この手を取れば、綺麗な夢だけを見られるよ? と顎先滑ったその手が差し出される。
その手を見て、私はいいわ~と一人はそそと距離とって。
「わ、私もそういえばちょっと用事が、じゃあね!」
と、そそくさとこの場から逃げていく。
「……はは、冗談に決まっているだろうに」
そんな言葉に様子を見守っていた男たちは本当か、なんて視線を向ける。
脅迫? 心外な、なんて面白がるようにエンティは声転がして。
「ただの、本気の演技だよ。ナンパは意外と危ないからね」
危機意識でも持ってくれれば幸いだとエンティは笑って、君達もここを離れるといいよと告げる。
これから、きっと戦いの場になるだろうからと。
男たちはその言葉に、ひとまず従うことにしたようで離れていく。
「さてさて、楽しくお仕事をしていかないとね」
その言葉通りに楽しそうな声色響かせる。
まだこの浜辺にはたくさんの人々がいるのだ。
避難を呼びかけるのは大事な仕事。それがどんな方法であっても、避難してもらえればそれでよしなのだから。
大成功
🔵🔵🔵
フルカ・アルカ
おとーさんと
おれを誘うとは趣味が良いのか悪いのか、苦笑を隠し。
折角じゃ、面白いモノがあるなら見せてもらおうかの!
屋台の名物とか、面白い遊びとか……
え、おとーさん。ついていっては駄目じゃと?
おれは子供ではないから大丈夫じゃ!
彼女らを此処から離すために、お願いして向こうに行く方がよいのじゃ(小声)
それとおとーさんの海水はきちんと拭いた方がよい。
防水処理は完璧じゃが、あの魚が泥を塗りつけているやもしれん。
じゃから――人間形態になって、むしろナンパするのじゃ!おとーさん!
ナンパセンスは兎も角。
おとーさんを自慢しつつ、避難してもらうために家に案内してもらうのじゃ。
途中でおれ達は引き返すけれど。すまぬの。
イスヴァルト・ツァディ
息子と(f27606)
——検索完了。
ふむ、これは所謂未成年との事案にあたるのではないか
その誘い、断らせてもらおう。遊びであればなおのこと
当機もフルカも貴殿等の遊びに付き合うつもりは—……
…フルカ、当機はその誘いを否定する
検索。8歳の見目は子供に該当する
…む、成る程。向こうに行くのが良いと
——ん? 当機は宇宙戦闘にも耐えうる機体を有してはいるが
貴殿の忠告に応じよう
フルカ。当機のメカニックは貴殿であるが故
超重装甲を組み直し、装甲を変更
黒髪の人型を使用する。美形らしい
(中性的なきらきらの美男子顔:フルカ談)
当機——否、俺と運命の時間を過ごさないか?
……ん? 違うのか?
ふむ。ナンパ、というのも難しいな
降り立った海底の島は、美しい。
フルカ・アルカ(アエテルヌム・f27606)は自分たちを快く迎えた者たちへと視線を向ける。
「さっき戦ってたよね、ありがと!」
「ねぇねぇ、島の案内してあげるよ!」
と、イスヴァルト・ツァディ(白銀の狼・f27603)の傍らにいるフルカへと言葉向けていた。
おれを誘うとは趣味が良いのか悪いのか、とフルカは苦笑隠す。
そして笑顔向けて。
「折角じゃ、面白いモノがあるなら見せてもらおうかの!」
屋台の名物とか、面白い遊びとか……なんでもいいぞ、とフルカは言う。
すると彼女たちはどこにいこっか~! と行先のチョイスを始めた。
そのやり取りをイスヴァルトは静かに検索にかけていた。
いや、検索完了というところ。
(「ふむ、これは所謂未成年との事案にあたるのではないか」)
その誘い、断らせてもらおう。遊びであればなおのこと、と検索の結果イスヴァルトは決定する。
(「当機もフルカも貴殿等の遊びに付き合うつもりは――……」)
と、思考を得ている間に行先が決まっていた。
若い――フルカより多少年上の子供たちは恋に忙しいお年頃の少女たちはきゃあきゃあとはしゃいでいる。
「……フルカ、当機はその誘いを否定する」
「え、おとーさん。ついていっては駄目じゃと?」
「検索。8歳の見目は子供に該当する」
「おれは子供ではないから大丈夫じゃ!」
年相応といった体でフルカは言って――こそ、とイスヴァルトだけに聞こえる声で。
「彼女らを此処から離すために、お願いして向こうに行く方がよいのじゃ」
「……む、成る程。向こうに行くのが良いと」
それは一理ある。これからここは戦場になるのだから。
己の考えを理解したイスヴァルトへとフルカはそれと、と言葉続ける。
「おとーさんの海水はきちんと拭いた方がよい。防水処理は完璧じゃが、あの魚が泥を塗りつけているやもしれん」
じゃから――人間形態になって、むしろナンパするのじゃ! おとーさん!
「――ん? 当機は宇宙戦闘にも耐えうる機体を有してはいるが、貴殿の忠告に応じよう」
フルカ。当機のメカニックは貴殿であるが故――イスヴァルトはその身を、人の形へと変えるべく動く。
超重装甲を組み直し、装甲を変更して。
そして、イスヴァルトは黒髪の人型を使用する。
そのかんばせはフルカいわく――中性的なきらきらの美男子顔。美形らしいのだが、それが本当なのかはイスヴァルトの感覚にはない。
検索しても、美醜についてはひとそれぞれ、さまざまであるという結果が導き出されるだろうから、明確な答えとなるかどうか。
すう、と開いた瞳も漆黒だ。
集っていた少女たちは素敵! ときゃっきゃ。
そしてその様を見ていた女達もそっと近づいてくる。そんな彼女たちへと、表情は変えず。
「当機――否、俺と運命の時間を過ごさないか?」
そのイスヴァルトが向けた言葉にうーんとフルカは苦笑交じり。
それに気づいたイスヴァルトはフルカへと視線向け。
「……ん? 違うのか?」
「多分……ちょっと違うのじゃ」
「ふむ。ナンパ、というのも難しいな」
検索ではこれで良いと出たのだが、今のはやりは違うのだろうか、と真面目に。
ナンパセンスは兎も角、おとーさんらしいとフルカは笑って。
「おれのおとーさんはかっこいいじゃろ!」
と、少女たちに自慢を。そして、ここから街を案内してほしいと告げる。
そして浜辺から離れて、避難をと彼女たちを家へと送り届けていく。
しかし途中でフルカとイスヴァルトは引き返すのだ。名残惜しそうな彼女たちに、共に街を遊んだりできぬことにすまぬの、と小さく零して。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
姫城・京杜
倖多(f23747)と!
何かみんなナンパされてるぞ
やべェ、俺イケメンだから、きっと女子に囲まれちまう
いやー悪ぃな、倖多…って!?
声掛けてきたの、何でガタイいい野郎共なんだよ!?
なんか囲まれてるし!
え、女子…とか思ってたら
ん?野球する人数足りない、って?
助っ人か!よし、俺がかっ飛ばしてやる!
おう、倖多、俺も野球したいぞ!
…って!今はそんな場合じゃねェ!
でもどうする?野郎達が野球やる気満々に…
てかお前ら準備運動終わったのかよ?
試合の前に、あの灯台のとこまで走り込んで避難しつつ素振り1000回しねェとだろ!
その間に俺達用事済ませてくるからな!
…何かうまくいったか?
終わったらあいつらと野球しようぜ!
赤鉄・倖多
ヒメくんと!
ほんとだ、あっちこっちでナンパされてる
おれさまたちもナンパされちまうのか…(そわ
ヒメくんめちゃくちゃかっこいいから
美女がたくさん来るに違いない
でも大丈夫だ
ヒメくんの貞操はおれが守るから!
あっ、悪いがおれたちは――
声をかけられ、声が低めの事にも気づかず
って、ンン!?
野球……そうか。野球か(好き
おれ、ヒメくんと野球したい!
あ、そうだったな。危なかったぜ
おれたちにはこれから大事な仕事があるんだ
お前らも此処は危ないから
一旦あっちの方に避難しといた方が良いぞ
大丈夫、おれたちも仕事片付けたら行くから
後でみんなで野球しようっ
な、いいだろ、ヒメくんっ
ヒメくんの的確な指示に感動しつつ
またあとでな!
海底島の浜辺では、降り立ったもの達が島民達から声を――いや、ナンパを受けていた。
「何かみんなナンパされてるぞ」
「ほんとだ、あっちこっちでナンパされてる」
おれさまたちもナンパされちまうのか……と赤鉄・倖多(倖せを招く猫・f23747)はそわり。
そして姫城・京杜(紅い焔神・f17071)は。
「やべェ、俺イケメンだから、きっと女子に囲まれちまう」
そう――すでにロックオンされている。
視線が刺さるほどに痛い。だが彼女たちもまた牽制し合っている様子。
それを感じた倖多は、京杜を見つめ。
(「ヒメくんめちゃくちゃかっこいいから美女がたくさん来るに違いない」)
でも大丈夫だ――と、大きく頷いて京杜だけに聞こえる声で。
「ヒメくんの貞操はおれが守るから!」
「いやー悪ぃな、倖多……って!?」
と、話していると。
「そこの二人、一緒に遊ぼう!」
「あっ、悪いがおれたちは――」
ナンパきた――流れるような動作で倖多は京杜を守るように動く。
が、まだ気づいていない。その声が低めの事に。
「って、ンン!?」
「声掛けてきたの、何でガタイいい野郎共なんだよ!?」
しすていつの間にか、囲まれている。
彼らの人数は10人以上だ。ちょっと迫力がある、その向こうでその二人狙ってたのに! と女達がぴょんぴょんしているのが見えた。
「え、女子……とか思ってたら」
男だ。何人ものガタイのいい男たちが――並んでいる。
なんだ、遊ぼうってなんだ――と、戸惑いを見せていると。
「野球するのに人数たりなくてな、丁度二人で揃うんだがどうだ?」
野球のお誘いだった。
野球。
「野球……そうか。野球か」
野球好き、と倖多は零す。
「ん? 野球する人数足りない、って?」
いちにーさん、と京杜は数えていく。確かに二人たりない。
「助っ人か! よし、俺がかっ飛ばしてやる!」
任せろとバットもって振るふりの京杜。倖多は楽しみだ! とその尾を揺らす。
「おれ、ヒメくんと野球したい!」
「おう、倖多、俺も野球したいぞ!」
野球しようぜ……! やろうぜ……! とこの場に集うものは思う。
けれど、京杜はちゃんと思い出した。
「……って! 今はそんな場合じゃねェ!」
主もいたら楽しいのになー、とふと思い。おい、仕事忘れんなと脳内でぴしゃりと言われたのだ。多分。
そして倖多もはっと気づいてぴんと尻尾をあげた。
「あ、そうだったな。危なかったぜ」
「でもどうする? 野郎達が野球やる気満々に……」
とりあえず、素直にまず言ってみようと倖多は声向ける。
「おれたちにはこれから大事な仕事があるんだ。お前らも此処は危ないから、一旦あっちの方に避難しといた方が良いぞ」
と、言うものの。
「仕事? それはすぐ終わるのか?」
「人数足りないと始められねー!」
「危ないって? でもあんたたちが危機は払ってくれただろ?」
と、これから戦闘になるということ告げてもあまりよくわかっていない様子。
それなら、と京都は策を講じる。
「てかお前ら準備運動終わったのかよ?」
そういうと、それはまだだなという空気感。
「試合の前に、あの灯台のとこまで走り込んで避難しつつ素振り1000回しねェとだろ!」
その間に俺達用事済ませてくるからな! 任せとけ! といように京杜は胸を張る。
それにうんうんと倖多も頷いて。
「大丈夫、おれたちも仕事片付けたら行くから」
後でみんなで野球しようっ、したいと倖多も言う。
「な、いいだろ、ヒメくんっ」
「ああ、もちろん! ホームラン打つぞ!」
野球を楽しみにしている。けれど今は、というように男たちへと言葉向ければ、灯台の近くにもいい場所があるしな~と誰かが言う。
そして彼らは、また後でな! と手を振りつつランニングを開始。
ヒメくん、すげぇ! 的確な指示だ! と倖多は感動しつつ両手を上げて大きく振ってお見送り。
「またあとでな!」
「あとでなー!」
と、京杜も一緒に手を振って彼らを見送れば、倖多へと顔向けて。
「……何かうまくいったか?」
「ヒメくん、ばっちり!」
「終わったらあいつらと野球しようぜ!」
その為にも――と、視線向けた先。
この島包む泡の向こう側に大きな――何かの影が、泳ぐのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『うみなりさま』
|
POW : 生まれ故郷
【海水のブレス】を降らせる事で、戦場全体が【太古の海】と同じ環境に変化する。[太古の海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : 至る道
戦場全体に、【激しい海流】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 加護の歌
【加護を与える鳴き声】を披露した指定の全対象に【この声を聴き続けていたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「サフィリア・ラズワルド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海底の島を包む大きな空気の泡を突き破りうみなりさまが海岸へと現れる。
その姿に僅かに海岸に残っていたものたちは自ら避難をして、そして残るのは猟兵たちだけだ。
戦いを仕掛ければうみなりさまの気は猟兵たちへと向き、他のものへと手を出すことはないだろう。
そしてうみなりさまも、猟兵たちを敵と認めて――海岸にいる猟兵たちへととびかかるのだった。
ケイ・キャッスル
わわ、おっきーい!でも、あいつを倒さなきゃいけないんだよね。
うん、頑張っちゃうよー!
『見せてあげる!これが、ボクの最強コーデ!』
ジュエルハートにカードを通し、真の姿エトワールあおほしコーデにコーデチャンジ!
星と空の力を宿したコーデはきらきら輝いているよ!
翼を広げて飛翔能力で空を飛び、歌声の【衝撃波】で敵をひるませるよ。
エターナル☆マイクでえーいって殴りに行くね!
それで無理なら歌の【衝撃波】【乱れ撃ち】!
敵の歌はボクの歌でかき消すよ。歌を歌う同士の勝負だね!
皆を助けて、笑顔を戻すのもアイドルのお仕事だものね!
終わったら、島の皆にも歌を聴いてもらいたいなぁ
「わわ、おっきーい!」
海岸にて、現れたうみなりさまを見上げてケイ・キャッスル(偶像メルト・f26046)はぱちぱちと瞬いた。
「でも、あいつを倒さなきゃいけないんだよね」
うみなりさま――竜のようなそれは水中であっても空中であってもその巨体をうねらせて泳いでいるようだ。
あんなに大きな存在を倒せるのかな、とは思うのだけれど戦うのはひとりではない。
「うん、頑張っちゃうよー!」
ケイはぱっと笑み浮かべ、ジュエルハートをその手に。
『見せてあげる! これが、ボクの最強コーデ!』 水着姿もかわいいけれど――カードを通せばその背に煌めき抱く翼。空の色を映すスカートには虹がかかっていた。
星と空の力を宿したコーデはきらきら輝いてケイの力になる。
翼広げてふわり、飛翔する。
うみなりさまの近くまで向かってケイは歌う。
その歌は――衝撃波となってうみなりさまをはじいてひるませた。
そのひるんだ瞬間、エターナル☆マイクを掲げて。
「えーいっ」
そして振り下ろすだけだ。
その衝撃にうみなりさまは体をうねらせて逃げる。
そして己の為への鳴き声を響かせるのだ。
「歌を歌う同士の勝負だね!」
歌には歌を重ねてかき消すのみ。
ケイはマイクスタンドくるりと回して、すちゃっと歌う体勢つくる。
「皆を助けて、笑顔を戻すのもアイドルのお仕事だものね!」
だからその声より、ボクの歌声を聞いてもらうよと歌う。
そして歌いながら思うのだ。
(「終わったら、島の皆にも歌を聴いてもらいたいなぁ」)
何の脅威もなくなったこの島で歌えたら、それはきっと素敵な事。
大成功
🔵🔵🔵
チル・スケイル
…(巨大、あるいは偉大なる脅威か)
…(いずれにせよ討ち取らなければならない)
両手両足に【ラケート・ランティーロ】を装着。つかず離れずの距離で戦いを挑み、攻撃を避けながら魔法弾を何発も撃ち込みます
氷の魔法弾が炸裂する音、着弾点が凍りつく音、氷がきしみ砕ける音で鳴き声をかき消す作戦です
トドメは【氷術・召竜】
絶対零度の息吹により海ごとオブリビオンを凍えさせます
完全凍結には至らずとも、氷の爪で敵の体を切り裂きます
…(私1人では勝ち目はない。だが、猟兵は世界さえ超えて集う)
…繋がりが、猟兵の力という事ですね。肝に銘じるとしましょう。
チル・スケイル(氷鱗・f27327)は海岸より、その姿をただ黙して見詰めていた。
(「巨大、あるいは偉大なる脅威か」)
いずれにせよ討ち取らなければならない相手というのは、間違いない。
チルはその手足に巨大な氷の魔砲弾を発射する、大砲型の魔法の杖を装備していた。
威力に特化したそれをチルはうみなりさまへと向ける。
放たれる弾丸は氷の魔法。
何発も撃ち込まれたそれが身を凍らせていく。
それに――うみなりさまは己へと向けて鳴き声を上げる。
海流が唸るような鳴き声だ。
だがそれも、チルの放った弾丸によりその身が凍り付く音、氷がきしみ砕ける音が重なれば、わずかずつでも途切れてその力を十全には発生できないままだ。
うみなりさまがその身をうねらせる。
一人であったなら――勝ち目はなかっただろう。
(「だが、猟兵は世界さえ超えて集う」)
繋がりが、とぽつりとチルは零す。
それが――猟兵の力という事。
「肝に銘じるとしましょう」
それぞれの力を重ねて――チルは己の召喚の力を重ねる。
「喪われし命脈に、我が氷雪を巡らそう。吹雪を連れ、彼方より来たれ!」
偉大なる氷竜は氷結の息吹をうみなりさまへと向け凍えさせ、その氷の爪で引き裂いていく。
身をくねらせるうみなりさまの傷は深い。
多方からも攻撃かけられているうみなりさまは、いったいどこへ攻撃を向ければいいのかと迷っているようでもあった。
大成功
🔵🔵🔵
赤鉄・倖多
ヒメくんと
バント!ヒメくんなら球の勢いをきっちり殺せそうだ
見てみたい…ってうおおー!
うみなりさま、ちょっとかっけえが
ヒメくんの言う通りだ
同じ水使いなら、與儀くんのがうんとかっこいい!
わ、海流が…っ
ヒメくんっ
UCを使えばアヒルさんボート型のガジェット
慌てて乗り込んでヒメくんに手を伸ばす
危なかったぜ
これで迷宮を出ろってことか?
ペダルこぎこぎは任せてくれ
ヒメくんは操縦頼む!
こっちか?あっちか?
ふうと一息
ヒメくん…?
炎でパワーアップ…いいな、やってみよう!(ドキドキ
はえー!
このアヒルさん、砲弾も出るっぽい!(さっき調べた
おれがどかんを気を引くから、その隙に!
かっとばせー!ひーめーくんっ!
ホームランだ!
姫城・京杜
倖多と!
倖多、野球する為に早いとこ終わらせようぜ!
俺は器用だからバントとかも得意だぞ(どや
確かに敵も強打者感するけど
水使いなら俺の主が最強だ!(超どや
それに神の炎は海水なんかじゃ消えねェ!
わ、海流!?
けど、倖多の手を、ありがとな!って確り掴んで
一緒にアヒルさんに!
操縦は任せろ!
華麗なハンドル捌きみせてやるぞっ
ふと足元見れば動力炉の蓋
俺の炎入れたら、アヒルさんパワーアップしそうじゃね?
炎焚べると同時にレバーガチャン!
!?おわっ!すげー!!
倖多、確り掴まってろよ!
出口へとハンドルぐんと切る!
アヒルさん砲弾の最中、俺も武器を創造!
ん?炎のバットか
よし、これでぶん殴ってかっ飛ばして、干物にしてやるぞ!
野球しようぜ――姫城・京杜(紅い焔神・f17071)と赤鉄・倖多(倖せを招く猫・f23747)の頭の中はそれでいっぱいだった。
「倖多、野球する為に早いとこ終わらせようぜ! 俺は器用だからバントとかも得意だぞ」
どや、と自信ありの表情でバントするポーズを決める京杜。
「バント! ヒメくんなら球の勢いをきっちり殺せそうだ」
見てみたい……と、思う倖多は自分たちの上に影刺したのに気づいて顔をあげる。
「……ってうおおー!」
かっけえ、と倖多はうみなりさまの姿に視線釘付け。
そして京杜はおおーと見上げ。
「確かに敵も強打者感するけど、水使いなら俺の主が最強だ!」
「同じ水使いなら、與儀くんのがうんとかっこいい!」
ヒメくんの言うとおりだと倖多も大きく頷く。
「それに神の炎は海水なんかじゃ消えねェ!」
京杜が掌の上で炎躍らせる。
それを目にしたか――うみなりさまは大きく口を開いていななき、激しい海流を生み出した。
すべてを押し流すかのように。
「わ、海流が……っ、ヒメくんっ」
あの海流に対するものを、と倖多が生み出したのはアヒルさんボート型のガジェット。慌てて乗り込み、倖多は京杜へと手を伸ばした。
「わ、海流!? ありがとな!」
その伸ばされた手を確り掴んで、マントひらりと靡かせて京杜もアヒルさんへ。
「これで迷宮を出ろってことか? ペダルこぎこぎは任せてくれ」
ペダルこぎこぎしながら倖多は、ヒメくんは操縦頼む! と託す。
「操縦は任せろ! 華麗なハンドル捌きみせてやるぞっ」
京杜はハンドル握って海流の上を上手に進んでいく。
そしてきこきこしつつ、こっちか? あっちか? と倖多も周囲を見つつふうと一息。
と、京杜は気付いた。
ふと見た足元に、動力炉の蓋があることを。その視線が足元に留まっていることに気づいた倖多はそこを覗き込む。
「ヒメくん……?」
「なあなあ倖多、俺の炎入れたら、アヒルさんパワーアップしそうじゃね?」
「炎でパワーアップ……いいな、やってみよう!」
それは、ドキドキする――京杜はやるぞ、と炎焚べて、同時にレバーガチャン! といれると。
ぶるぶると震えたアヒルさんは進む速度を一気にあげた。
「!? おわっ! すげー!!」
突然の速度アップにがくんと身体揺れたが京杜はすぐに体勢立て直す。
「倖多、確り掴まってろよ!」
「はえー!」
出口へとハンドル切る京杜の動きにあわせ、ばばばばばと水をかきわけアヒルさんは海流の中を勇ましく進んでいた。
「このアヒルさん、砲弾も出るっぽい!」
さっき調べたばかり。砲弾――それにもちょっとドキドキワクワクする。
「おれがどかんと気を引くから、その隙に!」
じゃあいくぞー! と声だして。
どーん! どーん! 砲弾飛ばしうみなりさまを狙っていく。うみなりさまはそれを避けつつ、他の猟兵からの攻撃もかわさねばならないのだ。
そんな中、視界が開けて――迷路のおわり。
迷路出れば京杜も武器を創造する。それは――バットだ。めらめらと燃えるバット。
「ん? 炎のバットか。よし、これでぶん殴ってかっ飛ばして、干物にしてやるぞ!」
ぐっとバット握って掲げる様見た倖多は応援も。
「かっとばせー! ひーめーくんっ!」
ホームランだ! と飛び出した砲弾を京杜が撃ち放てば、それはうみなりさまを貫いていく。
本番の野球の練習の如く、さらにうみなりさまへむけて二人の野球攻撃が続く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フルカ・アルカ
おとーさんと
さて、神退治じゃ。
まだ面白いところも、美味しいものも楽しんでおらぬ。
破壊されては困る。のう、おとーさん。
躰は小さいが、カロリーは一人前じゃよ?
ふむ、迷宮。
おとーさんなら問題無くこの激流を抜けて征けるのじゃ。
おれは肩に乗せて貰って出口を探す。しっかり掴んでいるのじゃ!
脱出できたならば、メガリスの両腕より小さな楔を放出。
命中するのは、ほんの一欠片で構わぬ。
この呪い、穢れは、こんな時に役に立つと見せてくれよう。
よき歌じゃ。
じゃが、おれは加護など求めぬわ。
それでも意識が逸れるようならば、メガリスで肩に爪を立て痛みで引き戻す。
躰が自由になるならば、常に楔は放出し、おとーさんの援護するのじゃ。
イスヴァルト・ツァディ
息子と
神。人知を超えたすぐれた存在。天地の支配者
——計測。討伐可能と判断
当機は、貴殿と敵対する
あぁ。フルカも楽しんでいない。おとーさんであれば、存分に遊ぶものと判断する
だが、甘いものの食べ過ぎは推奨できない
迷宮か。
——フルカよ、肩に。貴殿であれば心配は無いだろうが、落ちぬように
プラクティカスを展開し、長距離強行偵察機型に換装し海流を抜ける
速度と飛翔力で一気に迷路をぬけよう
流れも見て、最適なルートを検索し、抜け出す
——この歌が理由か
息子を守るように前に。盾となり、武器を持ち立ち回ろう
当機は機械故破損は構わぬ。当機より—……
フルカが目覚めれば連携し、立ち回ろう
屋台巡りなるものまだだったからな
神。人知を超えたすぐれた存在。天地の支配者――イスヴァルト・ツァディ(白銀の狼・f27603)の眼はその姿を捉えて。
「――計測。討伐可能と判断。当機は、貴殿と敵対する」
イスヴァルトの傍ら、小さな影もああと頷く。
さて、神退治じゃ、とフルカ・アルカ(アエテルヌム・f27606)はころり、声を転がして。
「まだ面白いところも、美味しいものも楽しんでおらぬ。破壊されては困る。のう、おとーさん」
「あぁ。フルカも楽しんでいない。おとーさんであれば、存分に遊ぶものと判断する」
だが、とイスヴァルトはフルカに視線向け。
「甘いものの食べ過ぎは推奨できない」
「躰は小さいが、カロリーは一人前じゃよ?」
だいじょうぶじゃ、という声。
そんな話していると海流がうみなりさまから踊り始める。それは周囲を囲い、迷路のように走り抜けた。
フルカとイスヴァルトもその迷宮の中に閉じ込められていく。
「ふむ、迷宮」
けれど、この海流の迷宮は恐れるものではなかった。
「おとーさんなら問題無くこの激流を抜けて征けるのじゃ」
「――フルカよ、肩に。貴殿であれば心配は無いだろうが、落ちぬように」
うん、おとーさんとフルカは手を伸ばす。イスヴァルトも手を伸ばしフルカを抱え上げ、肩へ。
「しっかり掴んでいるのじゃ!」
フルカの声に、イスヴァルトは己が身を変えていく。
「――提言。当機は強硬偵察機であるが故に、必要に応じ己を改変する」
長距離強行偵察機型へとなったイスヴァルト。フルカは先の言葉の通り確りつかまり、出口を探す。
激しい海流もイスヴァルトにとっては苦も無く進める場所。
速度と飛翔力をもって一気に駆け抜ける。
「おとーさん、あっちじゃ」
「――当機もそう判断する」
流れ、ほかの要素も組んでイスヴァルトはフルカが示した先へ。
しっかりとイスヴァルトを掴んでいるフルカはこの速さに僅かに心も踊る。
海を走るのは楽しいものじゃと。
そして――迷宮が終わればその先にはうみなりさまが待っている。
脱出できた瞬間、フルカはそのメガリスの両腕を伸ばし小さな楔を放出した。
命中するのは、ほんの一欠片で構わない。それは徐々に生命力を奪う穢れの棘なのだから。
「この呪い、穢れは、こんな時に役に立つと見せてくれよう」
しかしそれを厭うたか、うみなりさまは鳴き声を――歌を紡ぐ。
それは己に向けてでもあり、周囲へ向けてでもある。
「よき歌じゃ」
その声に、歌にフルカの意識は撫でられていくような感覚を得た。
僅かに様子の変わった息子の様子に何が原因かとイスヴァルトは測定する。
先ほどと変わった事と言えば――
「――この歌が理由か」
フルカを、息子を守るように前に、盾となり武器を躍らせる。
(「当機は機械故破損は構わぬ。当機より――……」)
大事なのは、と。それは状況判断などではなく、得た心ゆえのもの。
おとーさんが戦っている――その気配にフルカの意識もそちらへと戻ってくる。
「じゃが、おれは加護など求めぬわ」
己の肩に爪をたて痛みで意識を引き戻す。
「おとーさんの援護するのじゃ」
再び楔を放出し、フルカはイスヴァルトの力となるように。
その様に息を合わせてイスヴァルトも仕掛ける。
その中でふと、思うのだ。屋台巡りなるものもまだだったからな、と。
この戦い終われば共にと思いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンティ・シェア
随分と勇ましそうな子のお出ましかい
けれど楽しく遊ぶ者たちの憩いを邪魔するものではないよ
大人しく、元いた海におかえりよ
一先ずは華断を展開しておこう
盾ではなく刃とおなり。流されてもめげずに、真っ直ぐに、あれを刻んでおいで
…それで幾らか届けばいいね。泡とは違う白を、浴びせてくれよう
橘が水中を泳ぐさまを眺めながら、私はのんびりと歌を聞いていようか
花は既に私の手を離れたんだ。彼らに耳はないからね、代わりに私が聞いてあげるとしよう
歌は好きだよ。聞いているととても心地よい気持ちになれるから
でも、そうだね…私は与えられるより勝ち取るほうが好きなんだ
だから、アンコールは要らないよ
それに、聞きたい歌は他にあるんだ
ゆうるり巨体がうねるように泳いでいた。
エンティ・シェア(欠片・f00526)はその様に緑瞳を細める。
「随分と勇ましそうな子のお出ましかい」
けれど、とエンティの表情には笑みが滲む。先ほどまで、このあたりで遊んでいたもの達の姿を思い返したりしながら。
「楽しく遊ぶ者たちの憩いを邪魔するものではないよ。大人しく、元いた海におかえりよ」
追憶よ、刃たれ――ひらりひらりとエンティは橘の花弁を巡らせる。
それは盾ではなく刃として。
水流で流されでもめげずに、真っ直ぐに。
「あれを刻んでおいで」
エンティは花弁を送り出す。そのすべてが届くとは、思わない。
目の前に広がる水流の激しさは目に見えてあきらかなのだから。
「……それで幾らか届けばいいね。泡とは違う白を、浴びせてくれよう」
橘が水中を泳いでいく。その様をエンティはゆるりと眺めるだけだ。
泳いでいく、向かう先を定めて――それを視線で追っていると、うみなりさまの鳴き声が――歌が響き始めた。
いい歌だね、なんてのんびりとエンティは微笑みその声に耳傾ける。
花は既に手を離れて、揺るがずそのまま進む。
彼らに耳は無いからね、とエンティは笑み零して。代わりに私が聞いてあげるとしようと紡ぐ。
綺麗な歌、なのだろう。
歌は好きだ。聞いているととても心地よい気持ちになれるのだから。
「でも、そうだね……私は与えられるより勝ち取るほうが好きなんだ」
歌は確かに、美しいと思うけれど――ああ、とエンティの瞳に白い花びらがいくつも映る。
それは水流より飛び出して、うみなりさまの喉元へととびかかる。
その刃が、身をいくつも斬り裂いて。
「だから、アンコールは要らないよ」
それに、聞きたい歌は他にあるんだとエンティの気は揺るがないのだ。
もうすでに、欲する歌があるのだから。
いくつもの攻撃重ねられうみなりさまはその傷の深さにその身の一部を崩していく。
最後に長い歌声を響かせて――その形を保てなくなったうみなりさまは弾けるように泡となり海底の島のそらから消えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵