思い出は宝物のように
●猟兵たちの夏休み
グリードオーシャンは夏真っ盛り。
水着コンテストが行なわれ、その会場である『眠らぬ宴の島』は大盛況である。華やかな猟兵たちの姿は魅力的であり、力強さを誇る猟兵たちの姿はグリードオーシャンに生きる者たちの憧れだった。
未だグリードオーシャンの海図は完璧ではないが、猟兵たちの活躍によって発見されたり開放されたりした島地まには、海を楽しむことのできる素晴らしい砂浜、ビーチが存在してる。
『シャッツンゼル島』。その島もまたコンキスタドールの魔の手から猟兵が守りきった平和な島である。
その島は超巨大宇宙船が基礎となって生まれた島だ。巨大な3つのスラスターを皿のようにして、いつしか土壌が育まれ豊かで長閑な島へと変わっていた。
コンキスタドールの企みを阻み、島は再び平穏な時間がゆったりと流れている。
島民たちも猟兵達ならば、大歓迎で出迎えてくれるだろうし、水着でめいっぱいハシャいで遊んでもいいだろう。
釣りや素潜りをしてもいいし、砂浜で砂の像を作り出したっていい。
どちらにしたって、仲間たちとの思い出を育むこともできる。夏だから戦いを一時忘れ、バカンスに興じるのもいいだろう。
兎も角平和な島で楽しむ!
それが今回猟兵達に与えられた任務なのだ!
●グリモアベース発、『シャッツンゼル島』行
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「皆さん、こちらですよ。美しい海とビーチ、心優しい島民の方々がいらっしゃる『シャッツンゼル島』行の転移はこちらです」
いつもよりも微笑みが明るのは、今回の転移が事件ではないからだろう。
そう、すでに猟兵達は聞き及んでいるかもしれないが、今回はバカンスの誘いである。先日、彼女が予知したグリードオーシャンでの事件。
その舞台となった島へとバカンスに行けることになったのだ。
「綺麗な白いサラサラな砂浜は日光浴をしてもいいですし、海で思いっきり泳いで遊んでもいいです。釣りも楽しめますし、素潜りなんかも楽しいですよ」
いつもより浮かれた雰囲気が隠せないのは、彼女も楽しみだからだろう。
ナイアルテは少しだけソワソワした様子で、グリモアベースに集まってきた猟兵たちを呼び込む。
「バカンスです。せっかくの夏です。グリードオーシャンの海でのひとときを過ごしましょう」
いつもより明るい声で呼びかける声は、グリモアベースに明るい風を引き込むのだった―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
今回はグリードオーシャンでのバカンスを楽しむシナリオとなっております。平和な島『シャッツンゼル島』を訪れてみんなで楽しく過ごしましょう。
※このシナリは既に猟兵達によってオブリビオンから開放された島となります。(シナリオ名『欲望の眼差し』https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=26034)
※このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
また第一章の【日常】だけで構成されるシナリオとなっておりますので、今回はプレイングを受けつける時間を公開日より2日程長く設けさせていただきます。
リプレイの返却をその分だけおまたせしてしまいます。ご了承くださいますようお願いいたします。
お客様のご要望があれば、グリモア猟兵であるナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)も登場いたします。
それでは、グリードオーシャンでのひと夏のバカンスの思い出となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白く輝く波間に負けず劣らずの眩しい白浜。
ここは『シャッツンゼル島』。
島民たちは知る由もないが、この島はかつて宇宙を征く超巨大宇宙船の残骸に寄って生まれた島である。
巨大な宇宙船は垂直に海底に突き刺さったまま固定され、海上に出た3つの噴射口が皿のように土壌を育み、連なって出来上がった島。白い砂浜もそうであるが、豊かな島は、それだけで長閑な島民たちの気質を育てる。
猟兵達に助けられた恩を彼等は忘れないし、返そうとするだろう。
容貌を伝えれば、飲み物や食べ物を持ってきてくれる。そうでなくても猟兵であるとわかった途端歓待してくれるだろう。
この夏の島で猟兵達が今回すること―――それは、バカンス!
ただ、楽しめばいい。
戦いに疲れた心を癒やすのもいいし、親しい友人たちや、間柄の者たちと楽しむのもいい。
それはこの島を訪れた猟兵達に与えられたひと夏の休暇であるのだから―――。
※プレイングの受付は7月20日の朝8:30まで受け付けます。それ以降にリプレイを順次、返却、執筆していきます。
村崎・ゆかり
ここで戦ったのも、ついこの前よね。今度こそ暇人として羽を伸ばさせてもらいましょうか。
あたしの水着はスポーティーな白の競泳水着。アヤメもせっかくなんだしちゃんとした水着を……っていつの間にビキニなんて買ったのよ。
あーあー、胸の格差社会なんてあたしは知らないわ!
それじゃ、まずは一泳ぎしましょう。
勝手知ったる渚には雷撃であたしが焼き払った痕が……。そのうち元通りになるわよね、これ。
波打ち際から進んでいけば、全身を涼が包み込んで。たんっと脚を蹴れば、そこはもう本物の海の中。
スペースシップワールドのリゾート船で再現された海を泳いだことがあったけど、本物の海は違うわね。
さて、アヤメはどこへ行ったかしら?
一夏の休暇。
それは誰しもが憧れる響きであろう。バカンスとは良い言葉である。更に付け加えるのであれば、青い空と海、白い砂浜があれば言うことなしだ。
「此処で戦ったのも、ついこの前よね。今度こそ暇人として羽を伸ばさせてもらいましょうか」
スポーティーな白の競泳水着に身を包んだ、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)がビーチに降り立つ。
スレンダーな身体が綺麗なボディラインを際立たせ、その美しさを燦々と照り付ける日差しに見せつけていた。
彼女は嘗てこの島『シャッツンゼル』島へとやってきたことのある猟兵であった。
その時はゆっくりとバカンスを、ということはできなかったが、今回は違う。オブリビオンがいないのだ。
故に戦いは絶対に発生しないし、面倒なことも起きない。
彼女の言葉通り、羽を伸ばす絶好の機会なのだ。それにユーベルコード、愛奴召喚(アイドショウカン)によって共にやってきた恋人のエルフの式神・アヤメとの楽しいバカンスを楽しめるのだから言うことなしである。
その恋人のアヤメはというと……。
「アヤメもせっかくなんだし、ちゃんとした水着を……っていつのまにビキニなんて買ったのよ」
ゆかりの瞳に映るのは、彼女に負けず劣らずのボディラインを持つアヤメのビキニ姿であった。
艷やかな肌の色は、それだけで羨望の対象であったが、さらに目を引くのは―――。
何をとはあえて明言しないでおく。驚異の、とだけ。
「あーあー、胸の格差社会なんてあたしは知らないわ!」
あ、言ってしまった。
そう、アヤメのスタイルは大変よろしい。水着の選択にも、その自身は現れている。
同じ性別であるが、それはそれでなんとも羨ましいと思わないわけでもないのが悩ましいところである。
「こういうのが好きかと思いまして?」
アヤメはアヤメで挑発するように微笑んでから、穏やかな波が打ち付ける砂浜をかけていく。こっち、こっちですよ、と微笑みながら海の中から手招きする。
こうなってしまっては泳がないという選択肢はない。ゆかりはアヤメを追いかけて海へと駆けていく。
途中、先日の戦いで穿った痕が見てたのだが、それは気にしないでおく。
「……そのうち元通りになるわよね、これ」
そういうのはバカンスには無粋である。煩わしいことは何もかも遠い何処かに置いていけばいい。
っそのまま波打ち際からアヤメと共に進んでいく。海水が冷たくも涼をもたらしてくれる。
あれだけ太陽が照りつけていても、心地よい冷たさが体を駆け巡っていく。
「スペースシップワールドのリゾート船で再現された海を泳いだことがあったけど、本物の海は違うわね」
グリードオーシャンの海は場所によって様々な顔を見せる。
この『シャッツンゼル島』の海は穏やかで波も高くない。それゆえに遊泳するにはもってこいだろう。競泳水着で張り切ってはいるものの、そんなに気合を入れて泳ごうとは思っていなかった。
ただ、のんびり過ごしたい。
それがバカンスの楽しみ方の一つであるかも知れない。そんなことを思っていると、アヤメの姿が見当たらない。
「アヤメはどこに行ったのかしら?」
キョロキョロと海水に身を任せながら視線を巡らせる。あれ? と姿の見えないアヤメを探していると背後から、ざぱりと海中から現れたアヤメに抱きつかれる。
「ここですよ。ふふ、驚きました?」
海中の中であっても暖かさを感じる。互いの素肌の感触。
夏の暑さではなく、愛おしさで溶けてしまいそうな二人の触れ合いは、まだまだ始まったばかりだ。
おかえし、とばかりにゆかりはアヤメにやり返し、二人の黄色い歓声が海の波間に揉まれてい消えていく。
ひと夏のバカンス、僅かな時間ではあるけれど、それは宝物のように輝く思い出となって記憶の中に刻まれていくことだろう―――。
大成功
🔵🔵🔵
草野・千秋
詩乃さんと(f17458)
今年の水着姿に
おかしくなんてないですよ、詩乃さん
むしろ僕ちょっと派手なの着てきてしまったかな、なんて
暖かい感じ?そうでしょうか
照れつつ頭をかき
いつしかこのグリードオーシャンにも戦争が来てしまうんでしょうか
僕はそれが気がかりで、来月にもきっとどこかの世界で
いいえ、今は楽しまなきゃですね
心優しい住民さんがもてなして下さるんですからそれに応えねば
水遊び、いいですね
鋼鉄の腕と脚も生体パーツに換装してきましたので泳げます
詩乃さん、この世界『かみさま』として見てどうですか?
なるほど、詩乃さんは猟兵として
元々人を守るのが猟兵ですからね
人々の笑顔を守ってこそですから
大町・詩乃
千秋さん(f01504)と
「水着はあまり経験が無いのですが、おかしくないでしょうか?」と照れつつ千秋さんに聞きます
千秋さんの水着姿は「暖かい感じで、千秋さんの優しいお人柄に良く似合っています♪」と称賛
綺麗な海で誰かと遊ぶ。(神の)立場上、初めてだったりします。
私、猟兵になって良かったです。
任務は有りますが自由に行動する事もできますから♪
と感謝を籠めて笑顔を。
一緒に海で、水遊びや素潜りでお魚さんや珊瑚等を鑑賞と、夏の海を満喫♪
千秋さんの問いに「他世界からの侵攻を受けやすい危うさがありますね。だから世界と役割に縛られる神ではなく猟兵の出番なのでしょう。
勿論、猟兵として頑張りますよ!」と真剣にお返事
夏に水着は猟兵にとって特別なものであったことだろう。
水着コンテストが行なわれるのもあるが、それでも今年の水着、と思いながら選ぶものには特別な思いがそれぞれある。
白い砂浜と青い海が猟兵たちを出迎える『シャッツンゼル島』。穏やか波が打ち付ける砂浜も太陽を受けて眩しく輝く。
けれど、それよりも眩しく輝くのは、二人の猟兵の水着姿であったことだろう。
「水着はあまり経験が無いのですが、おかしくないでしょうか?」
照れながらも初めての水着を着た大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)が慣れない様子ながらも照れながら、連れ合いの草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)に尋ねる。
「おかしくなんてないですよ、詩乃さん。むしろ僕ちょっと派手なの着てきてしまったかな、なんて」
そんな風に思っていたんですよ、と千秋は己の水着を見つめ直す。それに詩乃は逆に称賛する。
「暖かい感じで、地悪さんの優しいお人柄に良く似合っています♪」
「暖かい感じ? そうでしょうか……」
今度は千秋が照れる番だった。頭をかきながら、気恥ずかしそうに言う。それでも詩乃の言うことだから疑うことはない。
そんな風に互いに互いの水着姿を褒め合う姿は微笑ましく映ったことだろう。島民たちの視線も暖かなものであった。
詩乃にとってきれいな海で誰かと遊ぶ、ということは、その身が神である立場上初めてであった。だからというわけではないが、何もかもが新鮮に瞳に映る。
千秋と連れ立って水遊びをした。共に透き通るような海中へと素潜りすれば、見たこともないような魚たちが優雅に泳いでいるし、色鮮やかな珊瑚も見れる。
夏の海を満喫しているのだと充実感が詩乃の心の中を満たしていく。
「水遊び、いいですね」
千秋もまた同じ思いであったことだろう。ひとしきり海中散歩とも言うべき素潜りを楽しんだ後、波打ち際でぱちゃぱちゃと水をはねさせ、詩乃と水を掛け合う。
サイボーグである彼にとって水は大敵ではないのかと尋ねると、生体パーツに乾燥してきたから大丈夫なのだと笑う。
何処を見ても平穏そのものな『シャッツンゼル島』の光景は千秋の心を穏やかな風で撫でるような心地であった。
だからこそ、彼は気がかりであった。
「いつしかこのグリードオーシャンにも戦争が起きてしまうんでしょうか……僕はそれが気がかりで」
何処の世界にも危険は満ちている。
オブリビオン・フォーミュラが、グリードオーシャンにも出現すれば、この島もまた戦争の惨禍に巻き込まれてしまうかもしれない。
この世界だけではない。きっとどこかの世界で起こってしまう危険性はどこにだってあるのだ。
「いいえ、今は楽しまなきゃですね。心優しい住民さんがもてなしてくださるんですから、それに応えねば」
二人の雰囲気を察したのか、島民たちが差し入れだというように飲み物を持ってきてくれる。
心遣いに感謝しながら、飲み物を片手に二人は揺れる波間を見つめる。
不安もある。けれど希望もある。だからこそ猟兵は戦わなければならない。過去の化身と、未来を守るために。
「詩乃さん、この世界……『かみさま』として見てどうですか?」
聞かずにはいられなかった。
神なる身である詩乃であれば、また違った世界が瞳に映っているかもしれない。同じ風景を見て、同じ思いを描くとは一人ひとりの猟兵が存在している以上、思えなかったのかもしれない。
けれど、同じ思いであることも、またあるのだと思いたい。
「他世界からの侵攻を受けやすい危うさがありますね。だから世界と役割に縛られる神ではなく猟兵の出番なのでしょう。勿論、猟兵として頑張りますよ!」
彼女の言葉は力強かった。
護らなければならないという思いが同じである。
「なるほど、詩乃さんは猟兵として……元々人を守るが猟兵ですからね。人々の笑顔を守ってこそ、ですから」
この世界に住む人々の笑顔が護られれば、猟兵が猟兵として存在することの意義は尊いものとなるだろう。
だからこそ、その思いをともにする者たちとオブリビオンに立ち向かわなければならない。
そんな風に千秋が考えていると、立ち上がった詩乃が砂浜へと駆けていく。振り返って、太陽の光を受ける黒髪が艷やかに輝いた。
「私、猟兵になってよかったです。任務はありますが自由に行動することも出来ますから♪」
それは彼女のなりの感謝を籠めた笑顔だった。
太陽にも負けない笑顔。その笑顔はきっと、見る者の心に伝播していく。明るい心はいつだって誰かの助けに、支えになる。
自由を謳歌する彼女の笑顔は、いつか思い出に変わるだろう。
それは掛け替えのない二人の共有する宝物のように―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
いやぁ、綺麗で穏やかでいい島だねぇ
何もせずにのんびり昼寝なんてのも良いんじゃない?
んー、それじゃあ…釣りなんてどう?
釣った魚をあとで焼いて食べるとか
何となく無人島生活っぽくて楽しそう
釣れた数で競うのは良いとして
罰ゲームがなんだか小学生みたいな発想だなぁ
と思ったけど口には出さず
いいよと笑顔で承諾
釣り道具を借りて
良い感じの釣りスポットは無いかと
島民に訪ねてそこで釣り開始
魚がかかるのを待つ間
綺麗な海と青空を眺めているだけでも楽しい
あれ?気合い入れてた割に随分少ないね
勝負は俺の勝ち。やったね
勝者の特権として
魚の調理を全部梓に任せて
俺は夕飯までハンモックでぐっすり眠るのだった
乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
ふむ、何してもいいとなると逆に悩んでしまうな
せっかく来たのに寝て過ごすだけというのも勿体ないだろう
おっ、釣りか。悪くないんじゃないか
ただ黙々と釣るのも少し面白みに欠けるから…
俺とお前、夕方までに釣れた魚の数で
競うというのはどうだ?
負けた方が一つ何でも言うことを聞く!
綾はのんびりマイペースに釣っているが
俺は沢山釣ってやろうと気合十分
焔と零も隣で応援してくれている
早々に一匹釣れて幸先の良いスタートだ
次々とバケツに入れていき…
ふと、焔と零が静かだな?と見たら…
釣った魚を、片っ端から二匹が食ってた
お、お前らー!?
こいつらのせいで釣った数が分からなくなり
結局綾に負けたのだった
海洋世界グリードオーシャンにある『シャッツンゼル島』。
そこはかつてスペースシップワールドに存在していた超巨大宇宙船の残滓が作りあげた島である。
しかし、その残滓は海底に沈み、そのうえに出来上がった土壌からはスペースシップワールドの残滓を感じ取ることはできないほどに豊かで長閑島であった。
「いやぁ、綺麗で穏やかでいい島だねぇ」
灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の第一声はそれであった。
彼の言葉通り、この島は穏やかな島の雰囲気と同じく島民たちもまた穏やかな気質の者たちばかりであった。彼等は猟兵と見るや親しげに声をかけてくれ、優しい言葉でもって歓待してくれる。
「ふむ、何してもいいとなると逆に悩んでしまうな。せっかく着たのに寝て過ごすだけというのも勿体ないだろう」
綾と共に島を訪れていた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が、バカンスと言えど何をするかだとか予定を決めずにやってきたことに少しだけもったいなさを感じているようだった。
勿論、滞在期間中は何をして過ごすのも猟兵達当人の思うままだ。
なんでも、と言われると逆に思いつかなく成ってしまい、穏やかに眠るのも悪くないと考えてしまう。
「何もせずにのんびり昼寝なんてのも良いんじゃない?」
綾の言葉は、それを肯定する。
むしろ、バカンスなんていうものは何もしないということをするといった趣だってあるはずだ。涼やかな風に揺られながら夢見心地で過ごすのだって、立派なバカンスだろうと。
けれど、梓はどうにも納得しかねる難しい顔をしていた。
考えすぎてしまって身動きが取れなくなるのは、もったいない。
「んー、それじゃあ……釣りなんてどう? 釣った魚を後で焼いて食べるとか。なんとなく無人島生活っぽくて楽しそう」
そう言って楽しそうに笑う綾。島民も居る島であるから、完全に無人島生活を満喫するのは難しいかもしれないが、細かいことは良いのだ。要は雰囲気である。
「おっ、釣りか。悪くないんじゃないか。ただ、黙々と釣るのも面白見かけるから……」
梓は少し考える。
確かに釣りは楽しそうだし、食べることを考えれば後の楽しみにもなる。黙々とというのが少し引っかかるが……。
「そうだ、俺とお前、夕方までに連れた魚の数で競うというのはどうだ? 負けたほうが一つ何でも言うことを聞く!」
とかな! と梓の笑顔に稜も頷きを返す。
ただ、釣果を競うという発想は面白いし、罰ゲームとして何でも言うことを聞く、と設定する当たりが、なんだか小学生みたいで幼く見えてしまって微笑ましく思えてしまう。
いいよ、と笑顔で快諾するが、今思ったことは口に出さないでおこう。きっと言ってしまえば、どんな顔をするか想像がつくからだ。
島民たちに釣具を貸してほしいと尋ねれば、彼等は快く二人に釣具を貸してくれる。暗くなる前に返してくれればいいから、言ってくれるのはよかったのだが、あれもこれもそれもどれも持って行けと、色々とお土産を持たされてしまう。
飲み物や日傘、必要そうなものはなんでも与えてくれるものだから、彼等の猟兵達に対する印象の良さを物語っている。
「さて、釣るか!」
綾と梓は島民たちから聞いた釣りのポイントへとやってきた。
岩場ではあるが、程よく腰掛けるにちょうどよい場所だ。それに波が穏やかであり、そこから眺める景色も素晴らしいものだ。
梓は沢山釣ってやろうと気合十分であり、闘志に燃えるようであった。竿を投げる手付きにも力がこもっている。
そんな彼を炎竜と氷竜の焔と零が隣で応援してくれている。
一方、綾の方はというとのんびりしたペースだ。
「―――あ、もう早速釣り上げてる。やるねぇ」
梓が釣ったー! と釣果を見せて嗤っている笑顔を見るのは、競争であるがなんとも微笑ましい気分になる。
それに綺麗な海と青空を眺めているだけでも楽しいと感じる。釣果を焦るより、こういうものはどっしりと腰を据えてのんびり過ごすことこそが肝要なのだ。
焦りは禁物であるし、そもそもそこまで競争しようという気持ちが表にでないのだ。糸を垂らし、ゆっくりと穏やかな時間が流れていく……。
「幸先がいいスタートだな……ふふ、これは俺の圧勝じゃないか?」
次々と魚を釣り上げ、バケツの中に入れていく梓。
島民が教えてくれたスポットなだけに、釣れる釣れる。たくさん釣るのが釣りの最大の目的というわけではないが、釣れれば嬉しいのだ。
だが、誤算というものは静かにひっそりと起きるものだ。なんだか、二匹の竜が非常に静かなのだ。いつもならば、こんなことはないのに……と視線をふと見下ろすと、そこにあったのは―――。
「あれ?気合を入れてたわりにずいぶん少ないね?」
バケツいっぱいに魚を釣り上げた綾が、がっくりと頭を垂れる梓を見て言う。
彼のバケツの中にはちょっぴりの魚。もっと釣ってなかったっけ? と不可思議な思いをしていると、梓がぽつぽつと語り出す。
そう、静かだった二匹の竜に魚を釣った端から食べられていたのだ。
ああ、だから、お前らー!? と叫んでたんだ、と綾は笑いをこらえていた。なんというか、只々微笑ましい。
だが、勝負の常であるが、結果は結果である。どれだけのアクシデントが過程で起きようとも、勝敗は決する。
「勝負は俺の勝ち。やったね」
さて、罰ゲームは、と綾と微笑む。これも勝者の特権である。
「お前たちのせいで釣った数がわからなくなってしまったのは誤算も過ぎる……!」
などと言いながらもしっかり二匹の竜の分まで魚の調理に勤しむ梓の姿をハンモックに揺られながら綾は見つめる。
こんなにも心穏やかに過ごせる日々が愛おしい。
ゆらゆらと風に揺れるハンモックが眠気誘い、ぐっすりと夕飯時に梓が起こしてくれるまで、眠るのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
奇鳥・カイト
仁美/f02862と共に
水着は今年のやつ、フード付きの赤いやつ
日を反射する砂、同じようにだだっ広い海、見てる分にはいいんだが──
「へいへい…」
のんびりとしたかったが、仁美に呼ばれて波打ち際の方へ
仕方ない
日差しは苦手だと──まあ、いい
ちょっとくれぇなら、付き合うか
フードを被り、日を避けつつ海の方へと向かう
うっせぇ…ンな事一々気にすんな
それよか、遊びたいんだろ。…何するよ
ふぅん…泳ぎ、ね
ま、それなら中に入りゃ変わんねぇかもな
いいぜ、やってやろうじゃんか
俺の華麗な泳ぎを見せてやるよ
泳ぎは得意ではないので、多分溺れることになります
おう…そうだな…ちと休むか
アドリブ歓迎
霧沢・仁美
(アドリブ歓迎)
カイトくん(f03912)と一緒に遊びに来たよ。
服装は今年の水着JCの青いビキニで。
んー、白い砂浜、綺麗な海、やっぱりグリードオーシャンの海はいいよね!
ほら、カイトくんも一緒に遊ぼう!
…って、あれ、カイトくん?
もしかして、日差し苦手だった?
それは悪いコトしたかな…ん、無理のない程度にね?
それなら、ちょっと泳いでみる?
水の中にいれば、ちょっとは日差しも気にならなくなるかなー…なんて思うし。
これだけの海、きっと気持ちいいよ!
というわけで一緒に泳ぐんだけど…あれ、カイトくん何処…
って溺れてるー!?だ、大丈夫!?
(慌てて救助に)
…落ち着いた?
それなら、後は浜辺でのんびりしよっか。
様々な世界を行き来する猟兵たちにとって、世界は一つではない。
目の前に広がる海であっても、それは掛け替えのない光景である。今年の夏は、グリードオーシャンにて猟兵たちによる水着コンテストが行なわれている。
その関係もあって、猟兵達が開放した島へとバカンスに向かうことができるようになったのだ。
今回向かう先は『シャッツンゼル島』。スペースシップワールドの超巨大宇宙船の残滓が島へと変貌した島であり、その残滓を感じ取ることが出来ないほどに豊かな土壌ができあがった島でる。
穏やかな風と波、透き通るような海水。
そのどれもが得難いものである。そんな豊かな島にあって、島民たちも猟兵達と見れば快く歓待してくれる。
それだけこの島を開放した猟兵達に感謝しているのだろう。
そんな美しいビーチに一際美しい猟兵が駆けていく。
麦わら帽子を被り、青いビキニ姿で霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)は年相応にはしゃいでいた。
「んー、白い砂浜、綺麗な海、やっぱりグリードオーシャンの海はいいよね!」
一歩を踏み出す度に、足の裏に熱せられた砂浜の心地よい感触が伝わる。全身で楽しいという感情を発露させる仁美が振り返ると、手を降って共にやってきた奇鳥・カイト(自分殺しの半血鬼・f03912)を呼ぶ。
「ほら、カイトくんも一緒に遊ぼう!」
ほらほら、早く早く、と急かすように笑顔で呼びかけるものだから、カイトは赤いパーカーに着いているフードを目深に被り直して仁美の元へと向かう。
のんびりしたかった、というのが本音であるが仁美に呼ばれてはいかないわけにはいかない。
「へいへい……」
日を反射する砂、同じようにだだっ広い海、見ている分にはいいのだが―――日差しは彼の生まれからして苦手なのである。
だが、まあ、いい。そう思えるくらいには付き合いがいいのだ。だが、そんな彼のフードを被り直した姿を見て、仁美は気がつく。
「……って、あれ、カイトくん? もしかして日差し苦手だった?」
悪いことをしたかな、と仁美は思ったけれどカイトはむっすりしつつも、首を振る。
「うっせぇ……ンな事一々気にすんな。それよか、遊びたいんだろ……何するよ」
互いに互いを気遣う姿は美徳である。
仁美は無理をしない程度に遊ぼうと提案するし、カイトはせっかく海を楽しみに来た仁美の気持ちを考えれば、自分の事情は構わないのだと提案する。
それならば、と仁美が提案したのは軽く泳ごうというものであった。
「それならちょっと泳いで見る? 水の中にいれば、ちょっとは日差しも気にならなくなるかなー……なんて思うし。これだけの海、きっと気持ちいいよ!」
両手を広げて、背後に広がる美しい海を示す仁美。
きらきらと瞳の中に太陽光が反射して輝く。他意もなく、ただ善意で言っていることがわかる。心優しい娘なのだと。
「ふぅん……泳ぎ、ね。ま、それなら中に入りゃ変わんねぇかもな」
カイトも彼女の提案に乗る。
確かに海の中であれば日差しも多少は軽減されるかもしれない。それに楽しもうとしている仁美の姿を見ていれば、自ずと一緒に楽しむのが、彼女のためでもあるように思えた。
けれど、それを素直に言葉にするには、少しばかり照れくさいし、気恥ずかしい。だから―――。
「いいぜ、やってやろうじゃんか。俺の華麗な泳ぎを見せてやるよ」
それいけ一番乗り! とカイトが砂浜へと駆け出していく。
だが、彼は勢いに任せて忘れていたし、彼の言葉を信じ切っていた仁美もまた反応が遅れてしまった。
まさかあんなことになるとは。
「ひゃあ、気持ちいいねー! 波が優しくて心地いいよー……ねぇ、カイトくん?」
穏やかな波間は遊泳するには最適であり、仁美はゆったりとしたペースで泳ぐことが出来た。背泳ぎでゆったりと海に浮かぶのは心地が良くて、うっかり眠ってしまいそう。
けれど、呼びかけにカイトが応えない。
「……あれ、カイトくん何処……」
周囲を見回す。いない、と思った瞬間、彼女の瞳に飛び込んできたのは、ばちゃばちゃと水しぶきを上げてバタつくカイトの姿であった。
そう、実は泳ぎは得意ではなかったのだ。
あれだけ自信満々な態度を見ていれば、誰だって得意なんだろうなぁ……って思うのも仕方ないことだ。
「って、溺れてるー!?」
と、考えている暇はない。溺れてしまえば猟兵と言えど、せっかくのバカンスが台無しだ。バカンスの思い出が溺れました、では悲しすぎる。
急いで仁美はカイトを救助し、浜辺に上がる。
ふたりとも息が荒く、げっそりしてしまっている。
「……落ち着いた?」
仁美が優しく声をかけてくれる。格好の悪い所を見せてしまったとバツが悪い顔になってしまうカイトの頭を優しくなでながら、仁美はビーチパラソルの方角を示す。
「大丈夫そうなら、後はあっちでのんびりしよっか」
木陰で休めば体力も戻るし、日差しが苦手なカイトにとっても好都合だろう。
それにパラソルの影から眺める景色だって捨てたものじゃない。泳ぐばかりがバカンスではないし、楽しみ方だって人それぞれだ。
「おう……そうだな……ちと休むか」
仁美の膝枕でカイトは休みつつ、穏やかな時間が二人の間に流れていく。
風は涼やかで、頬を撫でるように。
波の音は時折、耳に入り込むように騒々しくない。変わらぬ空の色、変わる波の形。泳ぎはちょっと残念な形になってしまったけれど、二人の思い出は、共に過ごした時間の分だけ生まれていく。
こうやってパラソルの影で涼みながら穏やかな海を眺める。
それもまた掛け替えのない宝物のように―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リジューム・レコーズ
グリードオーシャンの島でバカンスですか
先日受領した水着について、メーカーより使用感のデータ収集を依頼されていたのでこの機会を利用させて貰いましょう
厳密には女性型ウォーマシン用の水中戦用装備ですが…
とりあえず泳いでみましょう
水着の表面に電磁流体を発生させ水流をコントロールするとの事ですが、なるほど
推進装置が無くても人のようにスムーズに水泳が出来ますね
浮力も問題無いようです
防御性能はさておきこれなら実戦も十分に耐えられそうですね
折角なので更に遠くまで泳いでみましょう
それにしてもこれがグリードオーシャンの…星の海ですか
初めて海中に潜りましたが、どこまでも青いんですね
海面を見ると光が揺らいでる…綺麗…
ひと夏のバカンスと言えど、猟兵としての日常……つまりは戦いに備える時間を忘れない者もいる。
「グリードオーシャンの島でバカンスですか……先日受領した水着について、メーカーより使用感のデータ収集を依頼されていたので、この機会を利用させてもらいましょう」
リジューム・レコーズ(RS02・f23631)は転移前にそんなことをつぶやいていた。ワーカーホリックというか、効率的に仕事をこなす出来る女性というか。
それに水着の使用感と言っていたが、厳密には女性型ウォーマシン用の水中戦用装備である。仕事を忘れて、というよりも、並列にタスクを処理するようなものであったが、リジュームにとっては、これもまたバカンスである。
戦いの場がない。
それだけでも普段の猟兵の日常からすれば、得難い機会なのである。
転移した先は『シャッツンゼル島』。海洋世界グリードオーシャンに点在する島の一つであり、先日猟兵たちによって開放された島である。
元はスペースシップワールドの超巨大宇宙船の残滓が土壌を育んだ島であるが、それを感じさせないほどに穏やかな島であった。
その穏やかさのせいか島民たちも穏やかな気質のものばかりであり、猟兵と見れば喜んで歓待してくれる。
リジュームもまた、歓待された一人であり、泳ぐのであれば良い場所があると教えてもらっていた。
「とりあえず泳いでみましょう……水着の表面に電磁流体を発生させ、水流をコントロールするとのことですが……」
彼女の姿はまさに波間の美神であった。太陽の光を受けて美しく輝く神、スタイル良い、女性からも羨望の眼差しを受けるであろう身体を包む水着は時に大胆に、時に美麗にデザインされていた。
それがウォーマシン用の水中戦用装備であると言われなければ、誰も気がつくことができないほどに自然なる水着姿であった。
そんな彼女は海の中へと飛び込んでいく。
なるほど、とリジュームは納得する。推進装置がないというのに、水着から発生した電磁流体が水流を完璧にコントロールし、脚で水を蹴らなくても人魚のようにスムーズに海の中を泳ぐことができる。
意識を向けた先へと身体がすいすい進むのだ。
「……防御性能はさておき、これなら実践も十分に耐えられそうですね」
せっかくだから、とさらに遠くまでリジュームは海中を進む。
彼女の眼下には差し込む太陽光がキラキラと海底の砂浜を反射させる。それはまるで―――。
「これがグリードオーシャンの……星の海ですか」
そう思うほどに美しい光景が広がっていた。はじめての海中。潜ったことは彼女の記憶の中にはない。星の海、と彼女が表現したのは、遥かな宇宙を思い出させたからだろうか。
きらきらと輝く海底の砂、それに色とりどりの珊瑚。鮮やかな色の魚たちが遊泳する姿は、なんとも美しく、彼女の記憶領域に新たなフォルダを作り出すことだろう。
「どこまでも青いんですね……」
視線を前方に向ければ、青い海底が続く。
こんなにも美しい光景があるとは思っていなかったのだ。だから、彼女の身体が海面へと向けられた瞬間、その海面の美しさに彼女は息を飲む。
「……綺麗」
ゆらゆらと揺れる海面が太陽の光を受けて輝いている。
それは虹色の光。
宇宙では見ることの出来ない光景であり、スペースシップに再現された海とはまた別の趣がある。
これが本当の海なのだと知る感激は、彼女の心をいつしかデータ収集の機会から、広がる光景を記憶領域に納めることに変わらせた。
いつしか彼女はまた、この光景を思い出すだろう。
それを人は思い出と呼ぶ。
リジュームは新たに出来た宝物を抱えるように、海中を揺蕩うのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
たまにはこうやってのんびりするのもいいね
散歩がてら海の近くを歩こうか
水着を着てきたけれど
今日は泳がずに釣りにしようかな
邪神のせいで酷い目に遭いっぱなしだけど
手ぶらで釣りに来れるのはありがたいかな
生成した網でフナ虫っぽいのを捕まえて餌にしようか
さてと、この島ではどんな魚が釣れるかな
海を眺めながらのんびり釣り糸を垂れていよう
時には何もしない事も必要だからね
見渡す限り青い海に白い雲
気持ちいい海風と共に聞こえてくる波の音に鳥の声
最高だね
ナイアルテさんも
興味があるならやってみる?
そこそこ釣れたなら釣りは切り上げて宿まで戻ろう
宿の人に魚の調理をお願いできないかな
この島の料理はどんな感じなんだろう
楽しみだね
穏やかな風と波。
どこまでも続くように思える青い空。その青い空の下には島と海がある。グリードオーシャンにおいて、『シャッツンゼル島』とはそういう島であった。
穏やかな時間が流れる豊かな島であるからであろうか、そこに住まう島民たちは皆、穏やかな気質を持っており、猟兵たちを歓待してくれる。
そんな島を一人のんびりと散歩しているのは、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)だった。
可愛らしいフリルの付いた黒い水着に、うさみみのパーカーを着た彼女は、浜辺の波の音を聞いて心癒されていた。
「たまにはこうやってのんびりするのもいいね」
吐き出す息は日々の戦いの疲れが溶けて出ていくようであり、リフレッシュも兼ねたバカンスを満喫している証拠でもあった。
「さて、水着を着てきたけれど、今日は泳がずに釣りにしようかな」
泳ぐこともできたであろうが、のんびりしたいと晶は思っていた。
邪神のせいで酷い目に遭いっぱなしであるが、こんな風にバカンスを楽しめる機会があるというのならば、そう悪いことばかりではないのだと思えるほどに彼女の……彼の心はほぐれていく。
島民たちに声を掛けられ、釣りをするつもりならば釣具を貸すし、いい釣りの場所があるよ、と教えてくれる。その申し出をありがたく受けると、晶はますます上機嫌に成っていく。
「手ぶらで釣りに来れるのはありがたいかな……」
生成した網で岩場に隠れるフナムシのようなものを捕まえて餌にする。釣り針に仕掛け、釣り糸をゆっくりと垂らす。
のんびりとした時間だ。
どんな魚が釣れるか、と思いを馳せるのもいいが、海を眺めている時間も良いものである。
忙しない日々であるのが猟兵の常であるが、こういった時間もまた必要なのである。忙しいばかりでは、人の心はすり減っていってしまう。
だからこそ、バカンスは必要であるのだ。
「それに時には何もしないことも必要だからね」
見渡す限り青い海に白い雲。
心地よい海風と共に波の音が聞こえるし、鳥の声もどこからともなく耳に入ってくる。ああ、と声が漏れる。
のんびりとした時間の中に自分がいるのだという心地よさ。
「最高だね……あ、ナイアルテさん」
たまたま散歩をしていたグリモア猟兵のナイアルテが晶の近くを通りかかる。声をかけると、釣りですか? とナイアルテが覗き込んでくる。
「興味あるならやってみる?」
晶の言葉にナイアルテは微笑んで竿を受け取る。彼女にとって、釣りは初めての経験だ。おっかなびっくり釣り竿を握る横顔は真剣そのもの。
「そんな肩に力いれなくってもいいよ。のんびりやろ」
「は、はい……こういったことは初めてでしたので……以前も釣りをしている方をみたことがあるのですが、まさか私もできるとは思いませんで……あ」
ほら、引いてる引いてる、と引っ張られる釣り竿。慌てるナイアルテに、手伝いに入る晶。
わぁわぁ、と二人して騒々しくも楽しい時間が流れていく。
思わぬ釣果であった。
そこそこ釣れただけでなく、大物も掛かったものだから、晶な笑顔になりながらナイアルテと分かれる。ありがとうございました、とナイアルテは微笑み、晶を見送ってくれた。
そんな晶が向かうのは島の宿である。
捌くことができないわけではないが、やはり地の物は地の者に任せるのが一番であろう。宿の島民に調理をお願いして、晶はワクワクしながら料理の到着を待つ。
「この島の料理はどんな感じなんだろう……楽しみだなぁ」
楽しい思い出に、美味しい料理。
そのどれもが思い出に変わっていく。時折、思い出しては今日の出来事を頭の中で反芻する日々があるだろう。
それはきっと宝物のように、晶の心に癒やしの風をもたらしてくれる。
まだまだ前途は多難であるかもしれない。
けれど、この日の思い出が在れば、晶はまだ進んでいけるのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
地上に生命反応無くば自沈する機構のメガリス…
以前訪れた際に気掛かりでした
世界知識でこの島の元の船の構造は把握済み
水中用装備用い海中から侵入
障害は怪力や新型(水着)のテールブレード
UCも用い排除し内部調査
天地狂った環境ではテールのロープワークが移動補助に役立ちますね
この島の来歴
何処に何のメガリスがあるのか
島が沈む等の何らかの危機への対処法の私見
文字が通じない場合に備えた絵
保存処理施した鉛板に情報彫り付け船内各所に安置
ある意味、冒険の末に宝を隠した…とも言えるでしょうか
いつまでもガラクタであれば良いですね
『ナイアルテ様、地上への転送を願います』
形ある宝物は見つかりませんでしたね
そう、これからも
海洋世界グリードオーシャンに存在する『シャッツンゼル島』。そこはかつて、コンキスタドールの欲望の標的になった島である。
幸いにも猟兵たちの活躍に寄って、コンキスタドールは打ち倒され、島は恐怖から開放された。
元々、『シャッツンゼル島』はスペースシップワールドに存在した超巨大宇宙船の残滓によって形成された島である。
その面影はもはやどこにも見当たらず、詳しく調べなければそうであるとは思えないほどに豊かな土壌を作り出し、穏やかで平和な島となっていた。
だが、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は知っている。
「地上に生命反応無くば自沈する機構のメガリス……以前訪れた際に気がかりでした」
そう、コンキスタドールの企みの一部には、この自沈する機構を持ったメガリスも含まれていた。前回はコンキスタドールを打倒するだけで手一杯であったため、そのメガリスの調査まで手が回らなかったことをトリテレイアは心残りとしていたのだ。
「データベースにあった島の元になった宇宙船のデータはすでに把握済み……であれば、新たに手に入れた水中用装備の出番でありますね」
新調した水中用装備のお披露目でもあり、彼の装備に対するこだわりが詰まったそれは、いかんなく海中での行動を発揮する。
島の元になっている宇宙船は垂直に突き刺さるようにして海底から塔のように存在している。掃討な水深であるのだが、それだけ元になった宇宙船の大きさが凄まじいのだろう。
データと照合し、すでに海水が流入している船体へと赤熱するテールブレードによって開かれた船体へと侵入していく。
「……自律式妖精型ロボ 遠隔操作攻撃モード(スティールフェアリーズ・アタックモード)……いかなる障害があるやもしれませんから、用心だけは怠らないようにしなければなりませんね」
ユーベルコードによって呼び出された複数の偵察用妖精型ロボが海中に没した宇宙船の内部に展開する。
天地が狂った内部であれば、新たに増設されたテールブレードのワイヤーによるロープワークが移動の補助に活用される。
思った以上に性能を発揮する水中用装備に満足しながら、次々とトリテレイアは己の目的を達成していく。
それは、いつの日にか、偶然かそれとも必然かによって、この宇宙船の内部へと踏み入れる者たち……もしかしたならば、島民たちかもしれない、彼等に向けての情報の伝達手段の構築であった。
この島の来歴。
何処に何のメガリスがあるのか。島が沈む等の何らかの危機への対処の私見。さらには文字が通じない場合に備えた絵による伝達。
それらを刻んだ鉛板に保存処理を施し、船内の至る場所に安置していく。
その作業は、巨大な宇宙船においては相当な時間を要した。けれど、ユーベルコードによって操縦される妖精型ロボたちの助けも合って、予定よりも早く作業を終えることができた。
「……これはある意味、冒険の末に宝を隠した……とも言えるでしょうか」
確かにトリテレイアの行動は、遥か未来の誰かに何かを向けるというよりは、託したものであったかもしれない。
しかし、それでもとトリテレイアは思うのだ。
メガリスに意志があるのであれば、その思いを否定したかもしれない。けれど、それが最善であるとトリテレイアは感じているのだ。
「いつまでもガラクタであれば良いですね」
使うものがいなければ、どれだけの財宝であってもただのモノに過ぎない。メガリスもまた同様である。
使用されることがなければ、それはただのガラクタに過ぎず、誰にも害を成すこともない。無害なるガラクタに成り果てるだろう。
それをトリテレイアは願う。
ウォーマシンである彼にとって、作られた存在意義を発揮できないのは苦痛であるかもしれない。けれど、災厄を望まぬ者がいて、存在意義を発揮すれば災厄が降りかかるといのであれば、やはり、同じことを彼は願うだろう。
「ナイアルテ様、地上への転送を願います」
地上のナイアルテに告げる。
この宇宙船に何か思い入れがあったわけではない。けれど、トリテレイアは思わずにはいられない。
「形ある宝物は見つかりませんでしたね。そう、これからも―――」
きっとメガリスは、この先も地上に出ることは決して無い。それが一番いい。
宝物の見つからないバカンスだって合っても良い。
地上に戻ったトリテレイアを出迎えるのはナイアルテの微笑み。お疲れさまでした、と彼女は微笑みながらトリテレイアをねぎらう。
「ありがとうございます。トリテレイアさんの願いは、きっと島民の皆さんの幸せに繋がることでしょう。私は、貴方に感謝します」
きっと、こうした単なる作業の記憶もまた思い出に変わるだろう。
自分が成したこと、自分が思い出す度に、それはいつしか思い出でなく、形のない宝へと変わっていくのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
今日は完全なオフ、邪神はお休みです!
プライベートでバカンスを目一杯楽しみましょう
浜辺ロケだとかはまた別の機会、今は身体も心も、休める時にしっかりと休めないとね
それじゃ海へとダイブ! 気ままに潜っていこうかな
海中には、宇宙船の残骸とかが沈んでいるのかな?
お魚たちを眺めるのも良いけれど、特徴のある奇景も大好きだよ
撮影しがいのある光景を探そう、とか考えるのはもう職業病かもね
ひとしきり泳いだ後は、ビーチで身体を休めます
精一杯身を伸ばすのも、場所を取って普段はあまり気楽にできないから
ああ、ナイアルテさん、こんにちは!
……? どうしましたか、そんな怪訝な顔で?
……、……! ああいえ! 人違いです、私が!
バカンス。
それは日々の営み、労働から開放された真なる自由の時間であるのかもしれない。誰しもが働き続けることはできず、また同じようには生きてはいけない。
だからこそ、バカンスは生きる者には必要なことであるのだ。人は時として、それを命の洗濯とも言うだろう。
疲れは汚れとなって貯まりゆく。
心は汚れてしまえば、綺麗にするのに時間が掛かる。だからこそのバカンス。体の疲労も、心の疲れも、グリードオーシャン『シャッツンゼル島』に広がる青い海と空、そして涼やかな風に晒して溶かしていけばいいのだ―――!
「今日は完全なオフ、邪神はお休みです!」
平和な島、『シャッツンゼル島』へと降り立った御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、そう高らかに宣言した。
そう、彼女は今日、とことん休むつもりなのだ。
別に彼女の普段のライフワークが苦痛なわけではない。むしろ、楽しんでいる。けれど、時にはオフの日を作らなければメリハリだって効かないだろう。
メリハリのない動画が人の心を震わせるかと言われたら否である。ならば、人生だってそういうものなのだ。
全ての動画は全ての人生に通じる。
菘はプライベートバカンスを目一杯楽しむのだ。
「それじゃ、海へとダイブ!」
早速水着に着替えて透き通るような海へと飛び込んでいく。
音を立てて海中へと滑り込めば、肌にひんやりとした海水の冷たさが染み込んでくる。
浜辺のロケだとかはまた別の機会にと、意気揚々と飛び込んだ甲斐があった。疲れた体に海水の温度が心地よく、これは体も心も休める時にしっかり休めないと、と思っていた彼女の心を徐々に解放していく。
泳げば泳ぐほどに、疲労という澱が濯がれて行く気がした。
「わ―――!」
目の前に広がるのは宇宙船の残骸……いや、この『シャッツンゼル島』を形成する超巨大宇宙船の残滓が広がっていた。
透き通るような海の中に巨大な建造物がそそり立っているような光景、さらに色とりどりの魚が遊泳し、景色を彩っていく。
その光景は知らず知らずの内に、彼女の心の中にある『映える』という感情を膨れ上がらせていく。
それほどまでに圧倒的な光景であった。
どのアングルから撮影するのが良いだろうか。もっと良い光景があるのではないだろうか、と考えてしまうのは職業病であったのかもしれない。
けれど、心躍る光景を目の前にして、動画のことを、『映える』ことを考えるのは彼女にとって自然なことなのだ。
オンとオフなど関係ない。
心に、体に染み込んだ彼女という猟兵を形作る要因なのだ。切って離せるものではない。
ひとしきり海中遊泳を楽しんだ菘がビーチに上がり、パラソルの影で休む姿は圧巻であった。
彼女の下半身は、それは長大である。目一杯体を伸ばしてしまうと場所をとってしまうので、普段はあまり気を抜いて楽にできないので、今回のバカンスは良い機会だったのだろう。
伸びをするように体を伸ばしてリラックスしていると、視界に見知った顔が入り込む。何も考えずに菘は声をかける。
「ああ、ナイアルテさん、こんにちは!」
朗らかな声で呼びかけた先に居たのは、グリモア猟兵であるナイアルテであった。
彼女の瞳が驚きに見開かれている。
どうして? と思う前にナイアルテは少し怪訝な顔のまま微笑み、こんにちは、楽しんでおられますか? と訪ねてくる。
ここで菘も違和感に気がついた。なんだろう、あの一瞬の間は、と。
「……? どうしましたか、怪訝な顔で?」
何かおかしい所でもあっただろうか。それともあんまりにも気を抜いているから驚かれたのかな? と思ったのだが……。そう、気がついてしまった。
「……、……! ああいえ! 人違いで、私が!」
いつも接する彼女は、今の彼女の口調と違う。
それに雰囲気も。だからこそ、見慣れている方の菘と、今の彼女とでは、あまりに違うギャップにナイアルテが驚いたのだと気がついたのだ。
動画配信者として不覚! これはまずいと菘は慌てて取り繕ったのだが、普通にバレバレである。
だが、ナイアルテは微笑む。
きっと何か事情があるのでしょうね、と好意的に解釈してくれるようで、頭を下げる。
「すいません。私も人違いでした。もしも、私のご友人である同じような女性をお見かけするようでしたら、言伝をお願いいたします」
さわさわと風が流れていく。
心地よい風に乗って、ナイアルテの言葉が届く。
「―――どうか、良いバカンスを。ゆっくりと疲れを癒やしてくださいね」
大成功
🔵🔵🔵
レナーテ・フレンベルク
透き通るような海に白い砂浜……
本の中でしか知らなかった世界をこうやって実際に
見る事が出来て、しかもそこでバカンスだなんて
ふふっ、人生って何が起こるか分からない物ね
さて、島民に威圧感を与えてはいけないし
ヒルデは今回は姿を――え? 心配だから、腕だけでも出して日傘を?
そうね……ありがとう、ヒルデ
■
UDCアースで仕立てて貰った水着を着たら、貰ったドリンクを手に
この綺麗な景色や周囲の賑やかさを楽しみながら散策でもしましょうか
もし散策中にナイアルテさんを見つけたら、一緒に話でもしながら散策したり
良ければこの島の案内とかも頼んでみようかしら
釣りとかに初挑戦しても良いし、楽しそうな事ばかりで悩んでしまうわね
その世界は燦々と眩しい太陽が照り付ける海洋の世界であった。
本の中でしか知らなかった世界。
太陽光を受けて砂浜は白く輝き、穏やかな波は透き通るように青い海を際立たせる。レナーテ・フレンベルク(幽玄のフロイライン・f25873)が本の中の知識でしか知り得なかった光景が今、目の前に広がっていた。
「―――実際に見ることが出来て、しかもバカンスだなんて……ふふっ、人生って何が起こるかわからない物ね」
微笑みが自然と溢れてしまう。
それだけひと夏のバカンスに心が浮足立ってしまっているのだろう。転移した先にある『シャッツンゼル島』に降り立ったレナーテは、その広がる光景に感嘆し、またこれから訪れるバカンスの一時に期待を寄せていた。
「さて、島民に威圧感を与えてはいけないし……ヒルデは今回は姿を―――え? 心配だから、腕だけでも出して日傘を?」
巨骸であり、彼女のボディガードであるヒルデの姿は確かに威圧感の在る姿であったことだろう。
けれど、ボディガードとしての勤めを怠るわけにもいかない。
彼女の心優しさと生真面目さにレナーテは甘受する。ヒルデの気遣いを無下に断るのもまた、それは違うだろうと思ったのだ。
「そうね……ありがとう、ヒルデ」
くるりとヒルデの腕の中でお気に入りの日傘がくるりと回る。太陽光は眩しいけれど、目の前に広がる光景は別の意味でも眩しいものだった。
逸る心を抑えながら、レナーテは優雅な所作で歩く。
早くUDCアースで仕立ててもらった水着を着たいのだ。
「わ、ぁ―――」
ヒルデの持つ日傘に日光を遮ってもらいながら、レナーテは砂浜へと歩き出す。
今の彼女は水着に着替えたレディである。
白い水着のフリルが可愛らしく、彼女の魅力を際立たせる仕立ては見事であろう。手にした浮き輪をヒルデが預かり、島民からもらったウェルカムドリンクを片手に美しい海の景色を楽しむように散策する。
砂浜を踏みしめる感触が面白い。足が取られる、というほどではないけれど、サク、と小刻み良い音が奏でられるのは、とても気に入ったようだった。
「あら、ナイアルテさん。ごきげんよう。どうです、よろしければ……この島の案内をお願いしても?」
見知ったグリモア猟兵の姿をレナーテが捉える。
同じように浜辺を散策していたナイアルテと出会ったのだ。彼女はいつものように微笑みながら頭を下げて、レナーテに駆け寄る。
変わらぬ所作であるが、それが心地よい。
「はい、私でよろしければ、ご案内させていただきますね。ああ、そうです。釣りなんかもどうでしょう? 私も先程、初体験だったのですが―――」
レナーテとナイアルテは浜辺を散策しながら、共に他愛のない話に花を咲かせる。レナーテの水着が素敵だと目を輝かせるナイアルテ。ヒルデの腕がドリンクを持ってきてくれたりと、様々な時間が流れていく。
ゆっくりとした時間の流れを感じるのは、心地よいだろう。これがバカンスというものであるのならば、きっとこれは思い出になっていくのだろう。
「釣り―――初挑戦してみてもいいわね……ああ、楽しそうなことばかりで悩んでしまうわね」
釣りだけではない。
海中遊泳や、バーベキュー、できることはたくさんあるし、時間もたっぷりある。レナーテはナイアルテの案内を受けながら、島のあちこちを見て回る。
島民の子供たちと遊びに興じたり、高台から見える海の景色の美しさに感動したり……互いに笑いあい、互いに楽しん時間を過ごしていく。
いつまでもこの時間が続けばいいと望んでしまいそうになる。
けれど、これはひと夏のバカンス。
必ず終わりは来る。
けれど、思い出となるのであれば、記憶は掛け替えのないものへと変わっていくことだろう。
瞳を伏せ、頭の中に思い出されるのは、今日という日。
それはきっとレナーテの宝物のように―――。
大成功
🔵🔵🔵