22
星往く河に花束を(作者 朱凪
26


●残夏の気配
 少女は一枚の紙を差し出した。
「宝の地図」
 そしてそれを集まってくれた人数分、机の上に置いた。量産されていた。
 少女──トスカ・ベリル(潮彩カランド・f20443)はこっくりと肯いた。
「宝、の正体は、一夜だけ姿を現す、妖精達の町。……という、伝説」
 実に曖昧な説明に、怪訝な視線が返るけれど、トスカは一顧だにしない。だってぜんぶ言っちゃったらつまらないでしょう? と。
「簡単に言うと今回の依頼は、『遊びながら探して』、『戯れながら戦って』、『楽しみながら散策する』の」
 だから気軽な気持ちで来ていいよ、と。
 トスカは浅瀬色の瞳を瞬いた。
「スタート地点は河。浅くてひろーい河なの。川底は丸くてやさしい石。深さは膝より下ってところかな。その河──アイウォーラ川、って名前なんだけど。アイウォーラ川に、花が咲くの」
 形としては桔梗のような、けれど色合いは様々らしい。
 川端であろうと、水底であろうと構わず咲くその逞しい花を集めて欲しいのだと、少女は言う。
「いくつか集まったら、お花と星が大好きな妖精さん──オブリビオンなんだけど──が現れる。引き続き浅瀬での戦闘になるから、鬼ごっこを楽しんでもらえたらと思うよ」
 もちろん、ユーベルコードを使う必要はあるが、
「綺麗な効果のユーベルコードを見せてあげれば、結構満足して消えるみたい。もちろんオブリビオンであることに変わりはないから、普通に倒してもらっても構わないよ」
 疑似生物である彼女は容赦がない。
 それでね、と一向に気にする様子なく話を続けた。
「妖精さん達がみんな水に還ったら、不思議な港町への道が拓けるんだって。辿り着く頃には夜になってるかもね」
 つまり宝探し中の時間帯は『夕方』ということになるが、照りつく太陽の陽射しはアイウォーラ川近辺の気温はまだまだ真夏日だ。例え夕方でも夜になっても、寒いということはないだろう。
「不思議の町。どんなだろうね」
 ちいさく笑って、トスカは告げる。楽しみだね、と。





第3章 日常 『摩訶不思議な夜に』

POW竜の骨付き肉、大海蛇の串焼き。一風変わった料理を食べ歩く。
SPD揺蕩う星が浮かぶ街並みや川。幻想的な風景を見に行く。
WIZお喋りな本、勝手に動くペン。摩訶不思議な魔法具店に行ってみる。
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ひみつの道
 港町。
 港とは、川や海の出入り口である。そしてあるいは、『行き着く場所』。
 妖精たちが猟兵よりもらった花を──花束をアイウォーラ川に捧げると、浅いはずの河から水の壁が立ち上がり、彼ら彼女たちを呑み込んだ。
──溺れる!
 いいえ、大丈夫。
 猟兵たちの周囲には空気の膜がちょうどシャボン玉のように包み込み、不思議と割れてしまうこともなくゆぅらりゆらりと河を下っていく。川底に咲いた星の花も、すっかり夜に近付いた紺色の空に小さく瞬き始めた星々も望むことができる。
 ゆぅらりゆらり。
 そうして揺られて、幾許か。
 河の終わりはさして高くもない段差があって、猟兵入りのシャボン玉は、とぽんと沈み──そのまま沈んで、沈んだ。
 そこに広がっていたのは、同じようにシャボン玉入りの妖精たち。かと思えば、猟兵達と同じように様々な風貌のヒトが居て、愛想よく手を振る。
 この夜のために同じく星往く河をくだってきた商人なのだろう。彼らのシャボンには、それぞれの商品がたくさん積まれている。
──聴こえる?
 聴こえるとも!
「さあ、なにをご所望かな? 星入りのぱちぱち弾ける綿飴がおすすめだよ!」
「さあさあ食べ歩き──いや、食べ浮かびはどうだい? 海竜のステーキも、食べやすいように串焼きにしてあるよ」
「いやいやそんなものよりうちの雑貨はどうだね。泡煙草に星の花酒……おっと、お子様にゃちょいと早いがね!」
「いやねぇ、そんなことより、シャボンでの散歩はいかが? 星花茶をお供に巡るとあたたかいわよ。まあ、そんなに深くは行けないけれど」
 海の中は、同じようにシャボン玉に包まれた灯りがそこここに浮いていて、しんとした静けさも堪能することができるだろう。
「さあ、ひと晩だけの海中港町。好きなように楽しんでおくれ」