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燃エ果テ、出ルモノ

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●灼熱神殿
 とある火山の火口、その縁より僅かばかり下ったところに、ぽっかりと横穴が空いていた。その穴を通り抜け、その先の空間の最奥に位置するようにたてられた神殿、そこから何者かの声が漏れている。それらの声は掠れ、小さく、だが聞くものの耳朶に響くものだった。
「――――」
 神殿の内部で、何かの祭壇に向かって祈りを捧げていたのは、篝火を手に持った黒衣の集団。異様な雰囲気の中一心不乱に祈りを捧げている集団の中から、1人がゆっくりと前に進み出ると祭壇の真正面に立ち、徐に篝火の火を自分の服へと点火する。
「――――」
 火は炎となり、瞬く間に黒衣全体に燃え広がるも、中のモノは気にしている様子もなくその場から微動だにもしない。
 やがて炎は巻き上がる様に天井へと上がると、不意に元から存在しなかったかのようにかき消える。後には塵一つ残っておらず、それを確認したのか新たな黒衣が祭壇の前へと進み出てきた。
 それは、儀式の一環なのか。まるで自らを生贄に捧げるかのように淡々と己を燃やす黒衣の集団は、儀式が終了するまでか、或いは最早燃やすものがなくなるまで、その身を燃やし続けるのだろう。
 そしてまた一つ、黒衣の数が減り、神殿の内部を明るく照らした。

●グリモアベースにて
「よく集まってくれたわね。ちょっと厄介なことになっているの」
 呼びかけに応じて集まった猟兵達を見回して、ムイナ・ドラベルシア(狂乱の刀・f08528)は言葉を発する。
「ダークセイヴァーでの予知を確認したわ。連中、儀式を行ってより強力なオブリビオンを呼び出そうとしているみたい」
 ムイナが語った予知の内容は、とある集団が自らを生贄に捧げるという邪法を使って強力なオブリビオンの個体を呼び出そうとしている、というものだった。
「あの世界はただでさえ力の強いオブリビオン達が跋扈しているっていうのに、これ以上その数を増やされたらたまらないわ。そこで、あなた達にはこの儀式の阻止をお願いしたいの」
 ムイナが語った依頼の内容に、猟兵達はなるほどと頷く。確かに、ダークセイヴァーに強力なオブリビオンが召喚されるというのは、多少なりとも厄介なことだろう。
 だが、それと同時に首をひねる猟兵もいた。あの世界ではそれなりの頻度でオブリビオンや異界の神達の召喚儀式が執り行われており、わざわざ「厄介なこと」と前置きをするようなことでもないのでは? と感じたからだ。
 そんな猟兵達の疑問を感じ取ったのか、ムイナは一つ頷くと詳細を話すために再び口を開いた。
「これがただの召喚阻止、だったら話はそこまで面倒ではなかったの。けれど、今回は儀式が執り行われている場所が悪かったわ。そこは活火山の火口付近で、とんでもない高温帯になっているわ。なんの対策もしないで突っ込んだら、火傷で済めば良いほうかも知れないわね」
 火山の火口付近。なんとも厄介なところで儀式を行ってくれるものだと、猟兵達は渋面を作る。だが、それだけならまだなんとかなるだろうと楽観的に見るものもいた。熱対策をしっかりしさえすれば、そこまでの障害にはならないだろうと。
「それに、儀式を執り行っている神殿への一本道は、熱に耐性を持つ……というよりも、そこでの生息に特化した魔獣達が縄張りにしているわ。彼らは自身の縄張りに入ってくる相手に容赦はしないでしょうし、環境は彼らに味方しているわ。たかが魔獣、なんて侮ってはだめよ」
 しかし、続けざまにムイナの口から飛び出した情報で、そんな楽観的な考えも吹き飛んでしまう。どうやら一筋縄ではいかないようだと気を引き締めた猟兵達をみたムイナは、若干表情を緩めて猟兵達を見回す。
「色々脅すようなことを言ってしまったけれど、やることは単純よ。道中の魔獣達を蹴散らして、儀式の阻止を……いえ、今後同じ輩が現れないように神殿の破壊をお願いするわ」
 単純か……? と首を撚る猟兵達を無視し、ムイナは激励の言葉と共にワープホールを開いた。

「それじゃ、オブリビオンの召喚の阻止、任せたわよ。私はここから動けないけど、最大限のバックアップはするわ。心置きなく頑張ってきて頂戴!」


赫麟
 初めましての方は初めまして。それ以外の方はこんばんは。ダークセイヴァーの世界でギャグシを作ろうと画策し、見事怒られた赫麟です。そりゃ当たり前だ。
 今回のお話は最初こそ冒険になってますが、結局魔獣をどうにかしないといけないので実質戦闘×3回のシナリオ構成となっています。只管戦いたい方のための満足設計!
 なんの対策もしないと、火口付近で行動するのは不可能に近いですからね。それぞれの対策方法を楽しみに待っています! ……それにしても、火口付近の熱って気合でどうにかなるものなのかしら?
 熱対策、魔獣対策とどんな方法でも受け付けておりますので、自分だけの突飛な方法をどしどしお寄せ下さい! 魔獣と一緒に神殿を吹っ飛ばせ!

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『火山神殿の異端の神』

POW   :    熱には気合で耐える、魔獣は力で排除して神殿を破壊するまで。

SPD   :    相手に有利な環境だ、ここはスマートに各個撃破と熱対策をしないと。

WIZ   :    魔法で熱を軽減、魔獣の生態を事前調査、神殿は火山を利用して破壊できないか。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バル・マスケレード
……暑ッちィ!!
ただでさえ露出のねェ服だから蒸れてたまったモンじゃねェ。
ああクソッ、宿主が汗流す感覚が伝わって気持ち悪ィ……!
仮面だけで来た方が楽なんじゃねェか!?

……ヒハハッ、まあいい、熱さにゃ水と氷だ!
トリニティ・エンハンス、水の魔力を重点的に用いて「防御力重視」で自分を強化だ。
水のヴェールなんてスマートにはいかねェだろうが……。
【属性攻撃】にゃ一日の長があらァ。
魔獣とは俺の剣、トリニティソードから氷の属性を引き出して戦うぜ。
火口暮らしじゃ寒さにゃ慣れてねェだろ?
【2回攻撃】、防御力に任せて手数重視を見舞ってやるか。

「ケンカ売る相手も選べねェなら……その頭、まとめて冷やしてやらァ!」


幻武・極
ふう、さすがに火山の火口は暑いね。
トリニティ・エンハンスを守りに固めているけど、それでも暑いよ。

熱に耐性を持った魔獣ということは弱点はやっぱりこれだよね。
属性攻撃を氷にして魔獣を蹴散らしていくよ。



「……暑ッちィ!!」
「……ね、本当に」
 茹だるような、どころではない灼熱の空間に、2人の猟兵が降り立った。全身を満遍なく冒険者用の装備で固め、表情を仮面に隠したバル・マスケレード(エンドブリンガー・f10010)と、身軽な服装に身を包んだ幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)。双方ともこの空間にとどまれるような装備ではないのだが、不思議と2人は暑さに辟易した様子こそ見せるものの、この空間に踏みとどまる事ができていた。
「ああクソッ、宿主が汗流す感覚が伝わって気持ち悪ィ……! 仮面だけで来た方が楽なんじゃねェか!?」
 とはいえ、快適な空間とは言い難いこの場所でとどまっているのは精神衛生的にも非常に悪いらしく、バルは唸るように悪態をつく。
「それだと、魔獣との戦いが厳しいんじゃないかな? だって、ほら、あれ」
 そんなバルに対して、極はちょんちょんと肩を叩くと穴の奥の方を指さしてみせる。その方向に目を向けたバルは、仮面サイズどころか宿主すら一飲みにしてしまいそうなサイズの魔獣がこちらを見て唸っていることに気が付き、その様相に生唾を飲み込む……。
「……ヒハハッ。おもしれェじゃねェか!」
 ことはなく、逆に獰猛な笑い声を上げる。そして一振りの剣を抜き放つと、その切っ先を魔獣へと向けた。その剣は灼熱の中にもかかわらず霜を纏っており、凍てついた空気が周囲のそれと混じり合い空間が歪んで見える。
「あ、そういう反応なんだ。まぁ、怯えられるよりは全然マシだけど」
 バルの反応を見て、極はそう零す。どうやら思っていた反応とは違ったようだが、戦ってくれるならまぁ良いかと切り替えるようにしたようだった。
 バルとは違い無手で構えをとる極。それは魔法と拳撃を合わせた特殊な武術であり、当然ただ殴る蹴るといった動作で終わるものではない。
「先行くぜ!」
 そんな極をおいて、バルが魔法剣『トリニティソード』を振りかざし、魔獣との距離を一気に詰めていく。縄張りを侵し、あまつさえ向かってきたバルを明確な敵と判定したのか、魔獣は威嚇の唸りを中断し迎え撃つ体制を整えた。
 振り上げられ、一直線に振り下ろされる鉤爪。その直下を掻い潜り懐へと一気に侵入したバルは、トリニティソードから大量の霜を迸らせながら魔獣の身体に切り込む。切り裂かれた傷からは血が出ることなく、瞬時にその場所が凍りついた。
「ッハ! 口ほどにも――」
 確かな手応えを感じ、あまり苦戦する相手でもないと判断したバル。だが、それを口に出し切ることは叶わなかった。視界の端から何かが迫ってくるのに気がついた瞬間、バルは咄嗟に剣を盾にして防御姿勢を取る。その直後に襲い来る、凄まじい衝撃。
「――ッ!」
 踏ん張りが効かずに跳ね飛ばされるも、トリニティ・エンハンスで強化した防御力のおかげで大した怪我はなかった。すぐさま跳ね起きて魔獣を睨みつければ、懐に入ったバルを鬱陶しく思ったのか前足で無理やりなぎ払い、やや体勢が崩れていた。
「それじゃ、次はボクの番」
 そんな魔獣のもとに、極が歩み寄っていく。体勢が崩れている好機にもかかわらず一気に距離を詰めようとはせず、その歩みはまるで散歩をするかの如くだった。
 当然、魔獣はすぐさま体勢を立て直すと次の標的である極に向けてその鉤爪を振るった。それに対し、極は片腕を上げるのみ。
 ――ガキィッ!
 巨躯の魔獣が放つ豪腕と、幼い少女の細腕。その2つが交わり、到底生物同士が衝突したものではないような音が周囲に響く。その対決の軍配は極にあがり、その細腕で……正しく言えば、腕を覆い地面へと伸びる氷の柱で凶悪な鉤爪を受け止めていた。
 流石にこの環境に耐えきれないのか、氷の柱はものの数秒で蒸発する。だが、逆に言えば数秒は魔獣の攻撃を防いでいたということ。極にとってはその時間さえ有れば、己の高めた武術を叩き込むには十分すぎるものだった。
「せ、やぁッ!!」
 踏み込み、打ち込む。予備動作であるはずの踏み込みですら、踏みしめた場所から氷が広がり、敵の動きを封じる力を持っていた。ならば、打ち込みは?
 その答えは、その巨躯をわずかに浮かせた魔獣の姿を見ればわかることだろう。打ち込みと同時に現れた複数の氷の柱。それらが魔獣を穿ち、その巨躯を持ち上げていたのだった。
 だがそこまでされて尚、魔獣は己の縄張りを荒らすものを許す気はなかった。自身を貫く氷の柱を砕くと、怒りからか鼻先から煙を吐き出して2人に向く。そして、大きく息を吸い込み一瞬貯めると、その吐息を炎とともに吐き出した。
 ファイアブレス。いかにも火属性の敵が扱いそうかつ、狭い空間で逃げ場のない驚異となる範囲攻撃。一本道故に避ける場所などなく、射線に立つものをことごとく燃やし尽くす一撃。
「――しゃらくせェッ!」
 それを、相反する属性の剣を手に飛び出したバルは見事両断してみせた。まるでバルのみを避けるかのように2つに分かれて後方へと流れていく炎を見、後ろにいたもうひとりの猟兵を思い出したバルはやっちまったかと後ろを振り返る。だが、極は幾柱もの氷の柱によって空間を塞ぎ、流れてきた炎をすべて受け止めきっていた。
「……ねぇ、ボクになにかいうことはない?」
「ッハ、焼かれちまったら自己責任だろ!」
 崩れた氷の柱の奥から、ジト目の極が顔を覗かせる。だが、バルは知らないとばかりに笑い飛ばした。炎が来たから、斬った。ただ、それだけのことなのだから。
「んなことより、これで終わりにしてやらァ!」
 終わりにすると決意を込めて、再度魔獣の元へと接近するバル。そんなバルを見送った極は、溜息を吐きながらその場で構えを取る。
「ケンカ売る相手も選べねェなら……」
 パキパキと、空気すら凍りつきそうな冷気を放つトリニティソード低く構え、バルは正面から魔獣を睨みつける。魔獣も迎え撃とうと鉤爪を振るうが、同じ攻撃ばかりならば見切れない道理はない。ワンステップで攻撃を交わしたバルは、その冷気を一気に解き放つ。
「その頭、俺が冷やしてやらァ!」
 一閃、二閃。放たれた斬撃は2つ。その冷気は魔獣の半身を氷漬けにし、完全に動きを封じる。
「これがボクの、武術!」
 そして、後ろで構えをとっていた極は、練り上げた魔力を地面へと流し込む。次の瞬間、魔獣の足元から伸びた氷の柱が交差するように魔獣の身体を貫き、凍った半身を砕いていった。
「……いや、それどっちかというと魔法じゃね?」
「魔法拳だから、武術だよ!」
 魔獣を無事撃退した2人は、暑さを少しでも紛らわせようと互いに言葉をかわしながら、最奥にある神殿を目指して歩みを進めていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
流石に暑いですね…!大丈夫ですかナイくん?(f05727)
火山を隠れ蓑にするとは考えた物です、多めに持ってきた水で補給は小まめにしましょうかっ
敵は邪悪な神をこの世に放とうとしています…ふふ、ですがわたしはワクワクしていますよ!
過酷な試練の先で強大な敵を討つ!これもまた浪漫ある冒険の一幕です!
いざ、勇猛に進みましょう!(鼓舞)

暑さは無敵の【勇気】・気合・根性で耐え忍び魔獣は正面撃破!
勇気ある者は全てに打ち勝つ!これがわたしの【勇者理論】!!(根性の状態異常重視)
【盾受け・オーラ防御・見切り・かばう】で味方とナイくんを守ります
ふふん、干し肉を炙る余裕すらありますっ!ぶっちゃけ結構な強がりですが!!


ナイ・デス
宇宙服の冷却機能で熱対策

私は大丈夫、です。ソラ(f05892)は、大丈夫ですか?
……ソラの勇気、気合、根性は、無敵、ですね

【地形の利用】地縛鎖で大地(火山)の魔力を吸収、熱を軽減し
吸収した魔力で疲労回復しながら【生まれながらの光】
周囲を常に照らし、光の中では味方は常に回復。火傷等負っても端から高速治療され
敵は光【属性攻撃の範囲攻撃で生命力吸収】され衰弱してく
そんな聖域を展開しながらついていきます

魔獣に接近されたら攻撃を【第六感と見切り】で避け
受けても【激痛耐性】でひるまず。生まれながらの光の力もあって高速再生しながら
【カウンターで鎧無視攻撃】刃をあて、生命力吸収で命を奪います

次は亡者、ですね



「流石に暑いですね…! 大丈夫ですかナイくん?」
「私は大丈夫、です。ソラは、大丈夫ですか?」
「もちろんっ」
 互いに励まし合いつつ、神殿への道を進んでいくのはソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の2人。ナイは宇宙服の冷却機能を使い灼熱の空間に対応していたが、ソラスティベルは時折飲む水以外の対策らしい対策を行っていない。それ故にナイはソラスティベルが心配だったのだが、当の本人はなんともないといったように笑ってみせる。
「敵は邪悪な神をこの世に放とうとしています…ふふ、ですがわたしはワクワクしていますよ!」
 今回の依頼内容を聞いたソラスティベルの心境。それは恐怖や畏れと言った類いのものではなく、未知の冒険に対する期待や憧れのようなものだった。それを見て、ナイは安堵すると共に流石だと改めて感心する。ナイからしてみればソラスティベルのこの姿勢は最早見慣れたものであり、どんな逆境にもくじけないソラスティベルに対して一種の憧れすら抱いていた。
「……おっと、どうやらお客さんみたいですね」
 ふと、ソラスティベルのそんな言葉でナイは視線を正面に戻した。そこにいたのは、2人を警戒するようにやや離れた位置で威嚇の唸り声を上げる数体の魔獣。灼熱の空間に適応するためか身体の所々から排熱のための蒸気を噴出しており、どういう原理かその4本の足の先端には赤々とした炎が揺らめいでいる。
「魔獣。なら、戦うための、準備」
 そう呟いたナイは、自身を中心に光のドームを形成する。その光は力強く、それでいて優しくナイとソラスティベルを包み込み、その身体を癒やしていく。
「ふふふ、これもまた浪漫ある冒険の一幕です! いざ、勇猛に進みましょう!」
 そして、ソラスティベルはナイと自らを鼓舞するようにそう叫ぶと、巨大な戦斧を手に走り出した。うっかりするとあっという間に効果圏外に飛び出してしまいそうなソラスティベルに、ナイは慌てたように追従していく。
「とりゃーっ!!」
 自慢の膂力でその戦斧を高々と掲げると、魔獣たちに対して一気に振り下ろすソラスティベル。それを俊敏な動きで避けた魔獣達は、しかし体の底に響くような重低音を響かせながら地面を穿った戦斧の余波を受け、その足を鈍らせる。
 そこに遅れていたナイが追いつき、手袋型に変形していた黒剣の変形を解き、手近にいた1体の魔獣を斬り裂いた。
「やりますね!」
「ううん。ソラの、おかげ、です」
 自分一人ではこう上手くいかなかっただろうと考えながら、ナイは頭を振る。一方で、斬られた魔獣は致命傷にこそならなかったのかナイからわずかに距離を取るが、不思議なことに時間が立てば立つほどその身に刻まれた傷は悪化していっていた。
「無駄です。この光は、あなたたちにとって毒、ですから」
 先程ナイが展開した光のドーム。それは味方を癒やすだけでなく、敵対するものの生命力を奪い吸収すると言った特性も有していた。その証拠に、ナイの光のドーム内にいる魔獣の動きは外にいる魔獣のそれと比べて段々と鈍くなっており、斬りつけられた魔獣に至っては最早動くのすら精一杯といった様相であった。
「これは私も負けていられませんねっ」
 そんな様子を見ていたソラスティベルは、一層奮起し魔獣たちへと果敢に戦斧を振るう。その怒涛のような攻撃に、ナイの光のドームに触れて疲労していた魔獣2体がたちまちの内にその身を引き裂かれ絶命した。ナイも先程の1体に加え、別の魔獣に短剣による不意打ちで傷を負わせ実質的に2体を行動不能にした。
 そうして着実に数を減らされた魔獣達は、残りわずか2体という有様になっても依然として敵意を喪失せずに、むしろ同族を殺した2人に対して恨みを込めるように吠えた。2体は2人に対してバラバラに接近してくると、炎を纏った鉤爪でもって斬り裂かんと飛びかかってくる。
「なんのこれしきっ」
 迎え撃つソラスティベルは戦斧を振り抜いたが、魔獣はそれを躱してソラスティベルへその爪を届かせた。だが、その爪はソラスティベル本人ではなく、腕に装備されたバックラーによって阻まれていた。
「そい、や!」
 そのつばぜり合いが拮抗していたのは一瞬。ソラスティベルはその自慢の膂力でもって魔獣を押し込めると、止めと戦斧を振り下ろし魔獣の身体を2つに両断した。
 一方のナイは飛びかかってきた魔獣の攻撃を見切って躱すも、間近を通った炎を纏う爪に怯んだのか、一瞬その身を固まらせた。その一瞬のすきに魔獣は反転し、今度こそその爪をナイへと喰い込ませた。
「――ッ!」
 深々と刺さった爪にナイは顔を顰めるも、逃さないとばかりにその足を捕まえ、手にしていた黒剣を魔獣へと突き立てる。見た限りでは爪に突き刺されたナイのほうが重傷に見えるが、ナイの方は光のドームに加え、突き立てた黒剣からも魔獣の生命力を吸収し回復しているため、実際は内のほうが遥かに優勢だった。
 やがてすべての生命力を吸い取られたのか、魔獣の全身から力が抜けその場に崩れ落ちた。それを見届けたナイは黒剣をいつもの手袋型へ戻し、近づいてくるソラスティベルの方へと向き直った。
「大丈夫ですか、ナイくん?」
 魔獣の攻撃を受けた場面を見ていたのか、ソラスティベルがやや不安そうにナイへと尋ねたが、ナイの身体には既に傷一つ残ってはおらず、それを示すようにナイは一つうなずく。
「そうですか。それなら良かったです! ……それにしても、手応えがさほどない連中でしたね。干し肉を炙る余裕すらありましたよっ!」
 ナイの様子に安堵したような表情を浮かべたソラスティベルは、なんともなかったと言いたげに胸を張る。しかし、暑さによるものではない汗がソラスティベルの額に浮かんでいるのを見たナイは、それがどんな意図で発したのかを汲み取って、沈黙を選ぶことにしたようだった。
 2人は退治した魔獣達の縄張りを突破し、神殿を破壊するために更に奥へと歩みを進めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
「こりゃまた、大変な場所だなー!」
あたしにできる範囲で力を貸して、みんなを【鼓舞】していくぞ!

【星の遊び場】を発動!
【第六感】を通じて星に【祈り】と魔力を捧げ、超自然現象を呼び起こす!
冷気属性の風を吹かせて、みんなが涼しく過ごせるようにサポートするぜ!
火山に適応した魔獣なら、環境の変化で近寄りにくく感じてくれるかもしれないぞ!

これぞ一石二鳥!
いつまで維持できるかわからないけど、そこは【気合い】で頑張る!

……ん? 火口近くで儀式をしてるなら、噴火とかで一気に……
いや、敵の狙いが火山に関する何かだったら、逆に刺激するかもしれないな!
最後の奥の手としてやんわり検討する程度に留めておくぜ!


クラーラ・レイネシア
誰も寄せ付けぬ火口近くにある神殿と魔獣
それに対応すると言う事は、つまり熱さと圧政者に対する反逆だな!
えーっと馬鹿だから良い方法はわかんないので、わからないなりに考えるぜ!
濡らした布で口を覆って、一応水筒を持ち込んで何時でも濡らせるようにしておこう!
これなら喉を焼く心配も無いな!
それ以外はこう、勇気と気合いと火炎耐性と激痛耐性(と無意識のオーラ防御)で押しとおる!
魔獣が居たら反逆の拳でぶん殴る!丁度良い!生命力吸収で回復させてもらおう!
前へ前へ!クライミングとジャンプを駆使して神殿まで踏破するぜ!
神殿はこう、端からぶん殴ったら壊れない?壊れるまで殴ればいっか!
圧政者よ!反逆の時だ!俺が来たぞ!


エルデラント・ズィーマ
暑い……元々機械の熱に侵されないように生身の部分は保護してありますけど暑さはどうにもならんですね。とりあえず直接の熱耐性はそれでいいとしてマメに水分取りましょう。死ねます
魔獣は極力先制攻撃で早い内から始末しましょう。いくら環境に適応してるとはいうものの火口に突き落とせば生きててもただでは済まないです。クイックドロウからの尻尾状のアームで殴って落としましょう。
少ない労力で蹴散らすのが一番です


レイ・キャスケット
えー…自分を生贄にするだけでもすごいのに焼身自殺って、何がそこまでさせるんだろ、ちょっと理解に苦しむなぁ?

【SPDで探索】
こんな特殊環境下だもん、熱に強い魔獣が居るのは当たり前だよね
でも、熱に強いってことは逆に考えればそこが弱点な気もするなー?
≪アイスバレット≫による【属性攻撃】を威力よりも制圧力重視で、両手指先10本からばら撒き
ここまで弱点わかり切ってると対処は楽だよね
熱源対策には≪付与の羽衣≫
魔力の羽衣に火山の熱を取り込み、更に氷の魔力を流すことで【火炎耐性】をさらに上げて快適火山ライフだよ♪

(絡みアドリブ大歓迎です)


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
たかが肉を焼く炎など生ぬるいわ
我等が怨念は魂すら焼く地獄の炎
熱も痛みも我等が怨念を駆り立てるものに過ぎぬ

【行動】
基本的にオブリビオンを狩る事しか考えていない
耐性はあるがそれ以上に殺意と狂気で他が度外視されている

【戦闘】
「先制攻撃」の「影面」で敵を牽制
爆発で体勢が揺らいだら「ダッシュ」の勢いと「怪力」を乗せ「串刺し」
そのまま「二回攻撃」で「傷口をえぐる」
影面失敗時は「残像」で「フェイント」を入れて接近
「二回攻撃」で「なぎ払い」
防御が高いなら「鎧砕き」「鎧無視攻撃」で守りを崩す

攻撃は「見切り」避けられない物は「武器受け」
同時に「怪力」で受け流して「カウンター」を狙う



「……なに、あれ」
 それは、誰が呟いたのか。ドドドッ、と地面を揺らしながら押し寄せてくる大量の魔獣を前に、呆れか戸惑いか、そんな思いを乗せた言葉が響く。身体はそこまで大きくないのだが、戦いにおいては数は力だと言う言葉もあるように、大きさなど関係なしに大量の魔獣達は脅威だった。
「……撃退します」
 一瞬固まっていた猟兵達の中で、いち早く復帰したエルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)は、ノヴァブラスターをばら撒くように乱射する。本当なら適当に放った弾など殆ど当たらないものだが、今押し寄せてきている魔獣達は迫りくる壁のように空間を埋め尽くしている。壁に向かって撃って、外すことのできるものは逆にそうはいないだろう。
 放たれた熱線は命中した魔獣を蒸発させるが、後から後から押し寄せてくる魔獣のせいで一向に減ったようには見えない。だが、その音で無事再起動できたのか、他の猟兵達も魔獣を迎え撃たんと動き出す。
「空間を埋め尽くす魔獣達、これはよもや圧政なのでは!? 否、きっとそうに違いない! ははは、圧政者たちよ反逆の時だ!」
 ややくぐもった声で叫んだのは、クラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)その人。口に巻き付けた湿った布の下から歓喜の声を上げ、逃げるどころか魔獣の群れへと突進していく。
「ふん、そちらから出向いてくるとは好機。そうまでして狩られたいのならば、望み通り冥土を見せてやろう」
 クラーラが前に飛び出す直前、魔獣達の群れへと何かの影が飛んでいき、群れの中で幾つかの爆発が巻き起こる。それは西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)が放ったものであり、着弾を確認した織久はクラーラと並走するように魔獣へと駆ける。
「む? お前も圧政への反逆か? 良いぞ、共に存分に圧政者へと抗おうか!」
「……知るか。そんなことより口を閉じておけ。舌を噛むぞ」
「ははは、それもまた圧政なり!」
 成り立っているのかいないのか、よくわからない会話を交わしながら2人は魔獣の群れへと突っ込んだ。それを見て、後ろに待機していたフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)とレイ・キャスケット(目指せパーフェクトオールラウンダー・f09183)は唖然とする。
「ちょ、何考えてんの!?」
「すとっぷ、すとーっぷ!」
 焦ったように、魔獣の群れに無謀にも突貫していく2人へと声を投げかけるが、、当然そんな言葉で止まるものではない。フィロメーラとレイもその事に気がついたのだろう、慌てて引き止めるのを諦め援護へと回る。
「あたしに任せろー! バリバリ!」
 謎の擬音を口にしながらフィロメーラが天へと祈りを捧げた途端、その場所に一陣の風が吹いた。その風はこんな場所だというのに肌を焼くような熱はなく、むしろ涼しいとさえ言える代物だった。
 また冷気を纏った風が吹き、その場の熱を奪っていく。どうにも安定しない様子ではあるが、それでも気温が下がっているのは事実であり、魔獣達も心なしか気温の低下によって動きが鈍くなる。
「霜焼け注意、だよ!」
 そしてレイも、魔獣たちへと向けた指先から大量の氷の弾丸を撃ち出す。氷の弾丸が命中した魔獣は一瞬でその身を凍らせ後続を巻き添えにして転倒するが、やはりその数は減ったようには見られず空いた穴は押し寄せる大量の魔獣にすぐに塞がれてしまう。
「もー! いくらなんでもキリがないよ!」
「泣き言なんて言ってる暇があったら、手を動かして下さい」
「おー、辛辣……でも確かに、これじゃキリがないぞ?」
 自身の攻撃が全く有効打になっていないことに焦りを含めた声を上げるレイに対し、エルデランドが熱線をばらまきながら諌める。とはいえ、レイの言った言葉もあながち嘘ではなく、本当に倒しても倒してもキリがないほど魔獣の群れは大量だった。そのことを察したフィロメーラも、冷たい風を吹雪かすことに集中しながらレイの言葉に賛同を見せる。
「取り敢えず、現状を嘆いて打開できるのなら止めませんが、攻撃の手は緩めないでくださいね」
「うー……わかったよ」
 この場で攻撃の手を緩めることに利点がないということはしっかり理解できているのか、レイは文句をいうことなく再び指を魔獣の群れに向けると、氷の弾丸を放ちだした。
 一方、後ろでそんなことをやっているとは知らないクラーラと織久は、魔獣の群れと接敵し大立ち回りを演じていた。
「これぞ圧政! だったら俺は見事反逆してやろう! 黙して受け取れ――要は、黙ってろ!!」
 クラーラが振り抜いた一撃は、魔獣の群れに大穴を開けることに成功する。拳自体の威力と、それに追随する衝撃波。それらによって吹き飛ばされ、或いは殴り飛ばされた魔獣達は一瞬でその生命を散らしていった。
 高威力の技を放ち、大きな隙きが生まれたクラーラに対して魔獣達が襲いかかるも、攻撃をくらったクラーラはびくともしない。それどころか、自身に噛み付いている魔獣を鷲掴みにすると、思い切り魔獣の群れへとそれを投げ込み魔獣達の足を止めようとまで画策していた。
 そしてそれを横目に、クラーラと共に走り込んできた織久は走った勢いそのままに敵を手にした槍で突き穿った。その槍は何の抵抗もなく魔獣を刺し貫き、その後ろにいた数匹の魔獣をも巻き添えにする。
「――ふん!」
 魔獣たちから槍を引き抜くと、織久は槍を大剣へと持ち替えて横薙ぎに払う。幸い当たる的に不足はなく、その一薙だけで複数の魔獣を屠ってみせた。それでも後から湧いてくる魔獣達はひるむことなく、織久へと襲いかかってくる。
 だが、それを躱し、或いは大剣で押し戻すと、織久は仕返しとばかりに大剣を振るいとどめを刺していく。
 前衛2人によって着実に数を減らされていく魔獣達を見た後衛の3人は、これならなんとかなりそうだと援護に力を入れる。
「あのお二人が対処できない位置の敵は、ワタシ達で相手をしましょう」
「うん、そうだね!」
「わかったぜ!」
 エルデランドの提案に賛同したレイとフィロメーラは、織久とクラーラの攻撃圏外にいる魔獣へとその対象を絞って攻撃を続ける。大量の熱線と氷の弾丸に見舞われた魔獣達は、凍てついた風によって変わった環境に身体が鈍り、為す術なく蒸発、或いは氷漬けにされていく。いわば面制圧されている魔獣たちにとっては、倒れた同族たちでさえも足を鈍らせる原因になり、加速度的にその数を減らしていった。
 どれ位経ったか、あれほど空間を埋め尽くさんばかりに大量にいた魔獣達は最早数えることができそうなほどに数を減らし、自分たちの不利を悟ったのか全滅する前に散り散りに逃げ散ってしまった。
「これこそが反逆! 見たか圧政者よ!」
「……さっきから言っている、その圧政者っていうのは一体何だ?」
「ふふん、圧政者とはすなわち圧政を敷くもの! つまりこの俺、反逆者様に打倒される存在のことだ!」
「……そうか」
 得意げに胸を張るクラーラに対し、理解を諦めたのか早々に話を打ち切る織久。そんな2人のもとに、後ろで援護していた3人も合流する。
「あれだけの敵を捌き切るとは、流石ですね」
「2人がいなかったら厳しかったと思う。ありがとね」
「ま、あたしの援護が一番輝いていたけどなー!」
 素直な称賛を述べるエルデランドとレイに対し、フィロメーラは自分が一番だったと主張する。一見ただの自画自賛にしか見えないが、フィロメーラの起こした風は魔獣達の動きを鈍らせただけでなく、気温を下げ生物が活動しやすい環境にしたことで他の猟兵達が本来の力で戦うことができるようにサポートしていたため、影の立役者としての貢献は十分だっただろう。
「確かに、そうだな」
「ああ、見事な反逆だった!」
「ええ、お疲れ様でした」
「うん、ありがとね!」
 それをわかっているのか、皆口々に称賛の声を投げる。それを聞いて、フィロメーラは得意げに胸を張った。
「よし、それじゃ次の反逆へと向かおうか!」
 魔獣の脅威は去った。ならば次は神殿の破壊だと、クラーラは先陣を切って前へと進む。その後ろに、他の猟兵達も続いていった。

 かくして見事魔獣の群れを突破した猟兵達は、最奥にある神殿へとたどり着いた。この場所は火口から離れているせいか、それともなにか特殊な設備が置いてあるのか、ここまで来る道に比べたら涼しいと言えるレベルで気温は低かった。
 そんな空間の、更に奥の壁。その壁を彫り抜くような形で建てられた神殿の内部から、不気味な詠唱が聞こえてくる。不思議と耳朶を打つその声色になにか不穏なものを感じ取りながらも、猟兵達は各々の攻撃方法で神殿を攻撃し、破壊することに成功した。
 これで依頼は達成した。そう考えた猟兵達の耳に、何者かの声が響いてくるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『炎は消えぬ。炎は消させぬ。焚け、燃やせ。祈りを、その身を……』
 崩れた神殿の瓦礫、その向こうから声が響く。そして、瓦礫を押しのけて黒衣の集団が姿を表した。
『捧げよ、捧げよ、捧げよ、捧げよ……』
 黒衣の集団は手に手に篝火を掲げ、猟兵達の姿を捉えると襲いかかってくる。
『捧げよ、捧げよ、捧げよ、捧げよ……』
 口々に呪詛を吐きながら、猟兵達を同じ供物にせんと画策しながら……
幻武・極
おや、神殿が壊されたはずなのに、まだ終わってないんだね。
今度は怪しげな亡者が現れたみたいだよ。
さあて、こいつらも倒しちゃうか。

あれ、ボクの武術が見切られている?
こんな亡者に見切られるはずがないんだけどね。
そうか、この影に触れると行動が読まれちゃうんだね。
なら、これでどうかな?

バトルキャラクターズに属性攻撃炎を付けて光源を増やし、影を少なくするか
バトルキャラクターズを合体させて、ボクより大きくなったバトルキャラクターズの影に隠れて敵に近づき攻撃するよ。


フィロメーラ・アステール
「お祈りってのは、誰かに押し付けられてするもんじゃないんだぜー!」
こいつらは、なかなかしぶとそうだ!
早めに支援しておいた方がよさそうだな!

【生まれいずる光へ】を使って、味方を【鼓舞】するぞ!
くるくる踊る【パフォーマンス】で光の粒子を振りまき、全員まとめてパワーアップだ!
これでどんなに相手がしぶとくても安心だぜ!

ついでに聖なる光で【破魔】の力も宿る! ……たぶん!
とにかく【気合い】入れて一気にいくぞー!



「おや、神殿が壊されたはずなのに、まだ終わってないんだね」
 瓦礫を押しのけて姿を表した黒衣の集団。その姿を認めた幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は、どこか呆れたように瞳を細める。
「お祈りってのは、誰かに押し付けられてするもんじゃないんだぜー!」
 そんな極の横で、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が黒衣の集団に向けて得意げにそんな事を言ってのけた。当然黒衣の集団はそんなことに耳を貸すハズもなく、依然呪詛の言葉を吐きながら向かってきていた。
「さあて、こいつらも倒しちゃうか」
 向かってくるなら倒すまで。その考えのもと極は構えを取ると、手近まで迫ってきた黒衣の1人に拳を打ち込む。風をきる音とともに放たれたそれは、しかし黒衣の身体を捉えることはなく空を切ってしまった。
 ならばと振り抜いた拳の勢いを利用して回し蹴りを放った極だったが、黒衣はそれもあっさりと躱して篝火の火を振りかざしてきた。
「おっとっと……ボクの武術が見切られている?」
 黒衣の攻撃を躱した極は数歩後ずさり、自身の武術をあっさり見切った黒衣を訝しげに見つめた。一度見られたならば見切られる可能性があるだろうが、初見で対応できるほど黒衣が武に長けているようにも見えない。
「なんだ、こいつら、なかなかしぶとそうだな!」
 なにか種があるはずだと考える極の後ろで、その攻防を見ていたフィロメーラが黒衣達の戦闘力が存外高いことに気が付き、早めに支援をしたほうが良いようだと判断を下す。
「そんじゃ、明日に繋ぐ物語のはじまりはじまり、ってなー!」
 くるり、とその場で宙返りをしてみせたフィロメーラは、そのままくるりくるりと舞い踊り始めた。小さい体を活かし、まるで大空を揺蕩うかのようにその空間を自由に行き来し、我がものとする。幾つかの黒衣がそんなフィロメーラに狙いを定め攻撃を仕掛けてくるが、的が小さい上に飛び回っているフィロメーラを上手く捉えることが出来ずにすべての攻撃が空を切った。
 そんなフィロメーラが踊りながら通った場所から、光の残滓のようなものが雨のように地面へと降り注ぐ。それは黒衣たちと戦闘を始めた猟兵達にも降り注ぎ、当然極の身体にもそれは触れた。
「……あれ? 身体が軽くなったような気がするね」
 光の触れた箇所からじんわりとした温かみが広がっていき、それと同時に自身の身が普段より軽くなっていることに気がついた極。その極の呟きを聞いたフィロメーラは、踊りながらも自慢げに声を張る。
「どうだ、これでみんなパワーアップだぜ! さぁ、気合い入れてはっ倒せー!」
「なるほど、助かるよ」
 技のキレが上がったことを確認した極は得心がいったように頷き、フィロメーラへの礼を述べる。そして、黒衣が見せた驚異的な対応能力のギミックに気がつくと、適度に力を抜きながら相手していた黒衣から距離を取って構えを取り直した。
「そうか、影に触れると行動が読まれちゃうんだね」
 黒衣達が手に掲げる篝火。その篝火の炎が作り出す影に触れた状態で放った攻撃が、ことごとく回避されるのを見た極はそう判断を下した。
 とはいえ、黒衣達の数は多い上にどれが篝火によって作り出された影なのか判断がつきにくい。そこで極は、根本から解決する方法をとった。
「なら、これでどうかな?」
 いいつつ極は懐から何かの端末を取り出し、電源を入れる。するとその端末からまばゆい光が漏れ、その光が晴れると先程まで何もいなかった場所に複数体のデフォルメされたキャラクターが佇んでいた。
「それ!」
 そのキャラクターたちはわらわらと集まって合体していき、最終的には4体のやや大きなキャラクターが残った。そのキャラクターたちは踏ん張るように表情を変化させ、自身の体を赤々と燃やした。キャラクターたちの身体に灯った炎で周囲の影が薄れたことを確認した極は、そのキャラクターを盾にするように後ろに潜み黒衣の群れへと突っ込んでいく。
「よーし、やっちまえー!」
 未だ踊り続けて黒衣達の視線をある程度誘導しているフィロメーラの声援を受けながら、極は最寄りにいた黒衣の集団へとたどり着いた。
 黒衣の集団は炎を纏ったキャラクターに対して攻撃を仕掛け、攻撃を受けたキャラクターはぽんっ、と音を立てて消滅する。だが、その後ろにいた極はすでに攻撃姿勢へ移行していて、黒衣達が気がついたときにはもう遅かった。
「これでも、見きれるかな!」
 極が放った後ろ蹴りは、見事に黒衣の身体の中心部を捉え、その身体を燃え上がらせる。だが、極の武術は魔法を組み合わせた合わせ技を得意としており、当然極の技がそれで終わるはずもない。
 極が蹴りを放った瞬間、極の背後から炎が龍の頭を象り噴出し、黒衣の集団へとその牙を剥いた。飲み込まれるように炎に巻かれた黒衣達は、いっぺんの塵すら残すことなくその身を消失させる。
「おー、やるなー極ちゃん!」
 極の技を目の当たりにしたフィロメーラは驚きつつその腕を称賛したが、その周りには先程までフィロメーラを追っていた黒衣達の姿はない。
「ありがとう。でも、いつもより技の威力が高かったのはさっきの光のおかげだと思うよ。ところで、追っかけてきてた亡者達は?」
「ん? 彼奴等ならちょうどいい火葬場に放り込んできたぜ!」
 そう言いながらフィロメーラが指さした場所は、丁度今しがた極の技で黒衣達を焼いた場所だ。つまり、フィロメーラは踊りながら黒衣達を上手く誘導し、極の技に巻き込ませたことになる。
「すごいね。全部計算通り?」
「あったりまえだろー! あたしを誰だと思ってるんだ?」
 ふふん、と胸を張ったフィロメーラは、しかしその直後に小さく舌を出す。
「ま、本当は全部たまたまなんだけどなー」
 その言葉に、極はどうリアクションを取れば良いのかと悩む。そして、近くの他の黒衣の集団に突っ込むことでそれを有耶無耶にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バル・マスケレード
ヒハハッ……炎を携えて総出でご苦労さんなこった!
炎には水。シンプルにいこうぜ。

……炎ごと、テメエらまとめて『水神の猛り』で押し流してやらァ!

つってもこいつは大技、首尾よく撃たせてくれるとも思えねェ。
幸い崩れた神殿に瓦礫、取っ掛かりはいくらでもある。
まずは『久遠の《棘》』……伸縮自在のイバラを使った【ロープワーク】でもって、【地形を利用】しながら逃げ回る。
なるべく拓けた場所に敵を纏めてやろうってェ寸法だ。

程よい数が集まったら、瓦礫を利用して高所に陣取って。
そこで改めて、ユーベルコードを発動だ。

「さァ亡者ども……三途の川の流れは、ちィとばかし激しいぜ!?」

高笑いでもして亡者の川流れを見守りてェな。


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
炎が欲しくばくれてやろう
我等が炎は怨念の炎
狩るべき敵がいる限る尽きる事はない

【行動】
周辺の状況を「視力」「第六感」も働かせ把握
集団の中で狙いやすい対象を「見切る」

【戦闘】
「殺意の炎」による「範囲攻撃」を「先制攻撃」にする
命中した中で狙いやすい対象に「ダッシュ」の勢いで「串刺し」
「二回攻撃」で「百貌」を刺さった敵ごと振り回して「なぎ払い」
その中で反撃してくる敵を優先して「傷口をえぐる」

敵の攻撃は常に「見切り」か「武器受け」とセットで「カウンター」を狙う


エルデラント・ズィーマ
いや普通に暑いんで寄らないでいただけますかね。炎を見てるとイライラしてきます。暑くて
ワタシの右腕は色々な武器に変形出来ますのでとりあえず右腕を銃に変えてぶっ放しましょう
篝火に触れなければ予測もできないですし
あとは他の猟兵の方をアシストする手段として咎力封じを使いますね。上手く拘束ができれば御の字程度で



「ヒハハッ……炎を携えて総出でご苦労さんなこった!」
 黒衣の集団を眺めてニヤリと笑ってみせたバル・マスケレード(エンドブリンガー・f10010)は、篝火を手に携えた彼らにそう言葉を投げかける。しかし言葉が返ってくることはなく、黒衣の集団の呪詛の言葉は途切れない。
「炎が欲しくばくれてやろう……」
 そんな黒衣達の呪詛を聞いてか、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)の瞳が妖しく光る。そもそもにして織久は黒衣の集団に対して大した感情はもっておらず、欲しいのならばくれてやるとばかりに殺意をむき出しにしている。
「いや、普通に暑いんで寄らないでいただけますかね……」
 そして、そんな2人の横でうんざりとした表情を浮かべているのがエルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)。暑い、と言っているのが、果たして黒衣達の篝火に対してなのか、バルの勢いに対してなのか、それとも織久の内なる感情に対してなのか。バルと織久から一歩退いているのを見るに、もしかしたらその全てに対してなのかも知れない。
「そんじゃ、後は任せたぜ!」
 事前の打ち合わせ無しに突然そんなことをいったバルは、そのまま説明をしないで自らが召喚したイバラを伸ばし、神殿の瓦礫の方へ向かっていってしまう。
「我等が怨念尽きる事なし」
 そして、織久は一言つぶやき炎の塊を召喚すると、それを黒衣の集団目掛けて投擲する。その炎の塊が集団の中央部で炸裂し大きな爆炎を上げたことを確認した織久は、手に赤黒い槍を持ってその集団へと走り込んでいく。
「……なるほど」
 そんな2人の行動を見ていたエルデラントは、とある一つの事実を思い知ることになる。どうやらこのメンバー、連携というものを知らないらしい。
「……ワタシが間を取るしかなさそうですね」
 面倒だと内心で思いながらも、エルデラントは右腕を銃の形へと変形させると遠距離から黒衣の集団を狙撃し始めた。
 図らずも一歩引いた位置から黒衣の集団を眺めることとなったエルデラントは、その塊がバルを追跡する一団と織久を迎え撃つ一団に別れたのを確認し、まずは距離を取ろうとしているバルを支援するために銃口をそちらへと向けた。
 一方のバルは、伸ばしたイバラを収縮させて瓦礫と瓦礫の間を飛び回りながら、黒衣の集団達がうまい具合に纏まるタイミングを図っていた。時折進路を妨害してくる黒衣がいるが、1体や2体の黒衣に遅れを取るようなバルではない。
「ヒハハッ、邪魔だ邪魔だァ!」
 行先にいた黒衣にイバラを突き刺しとどめを刺しながら、バルは笑い声を上げる。そんなバルを引きずり降ろそうとしたのか1体の黒衣が飛びかかってくるが、バルが伸ばしたイバラに串刺しにされてその身を散らした。
「ハハッ……ん?」
 そんな様を余裕げに眺めていたバルは、初めに黒衣が飛びかかってきた方とは逆の方角から別の黒衣が飛びかかってきているのに気が付き、急いでそちらに意識を向けなおそうとする。急いでイバラを手元に引き寄せ黒衣に対して再度伸ばそうとしたが、その寸前で黒衣の身体がなにかに弾かれたように軌道をずらす。
「……なんだァ?」
 バルは黒衣が弾かれた方向とは反対の方角。つまり何かしらが飛んできたであろう方へと視線を向けた。すると、そこには変形させた右腕を構えたエルデラントが、その銃口をこちらに向けているのが見える。バルを撃とうとしている、というわけではないだろう。状況的に、今のはエルデラントによる支援と考えるのが妥当だとバルは結論づけた。
「ッチ、仕方がねェ。暫くは集めるのに集中するか」
 その支援が気に入らなかったのか、多少遊びがあったバルの動作に隙きがなくなり、ただただ目的のためだけに瓦礫と瓦礫の間を飛び回るようになった。それを確認したエルデラントは、黒衣の集団へと突っ込んでいった織久へと視線を移す。
 槍を手に黒衣へ向かって駆けていった織久は、手近にいた黒衣へ向けて躍りかかるとその槍で串刺しにした。走った勢いに加え織久の体重も加わったそれは黒衣の身体を安々と貫通し、串刺しにされた黒衣はぐったりとして抵抗を見せない。だが、織久はそんなことは気にせずに、黒衣が突き刺さったままのその槍を今度は横薙ぎに振るった。刃の部分があたった黒衣は両断され、柄や刺さったままの黒衣にぶつかったものは吹き飛ばされる。そんな高威力の一撃に、黒衣の集団には大きな穴が生まれた。
 先程振り回した際に刺さっていた黒衣は抜けたのか、重石がなくなった槍を構え直した織久は、殺意の赴くがままに黒衣達を屠っていく。
 手近な黒衣を刺し穿ち、別の黒衣を突き穿つ。黒衣達に囲まれて尚、その攻撃を予知しているかのように躱し、反撃の一撃を加えていく。
「……無駄だ」
 躱しきれないタイミングで振るわれた篝火を、織久は槍の柄でもって受け止めると、石突を跳ね上がらせ黒衣の頭を砕いた。崩れ落ちる黒衣の影から伸びる篝火を再度石突で叩き落とすと、その持ち主を槍で一突きにする。
 そうして戦場を我がものとしていた織久だったが、ふと頭上に光点が発生したのに気が付き上を見上げる。するとそこには、数え切れないほどの炎の塊が織久を焼き尽くさんと迫ってきていた。一瞬の判断で自身に近づく炎を槍で斬り裂いた織久だったが、その他の炎は織久の周りに着弾し巻き込まれた黒衣ごと爆炎を上げる。
 無差別に、それも仲間ごと攻撃してきた黒衣にいらだちを覚えながらも、織久は攻撃を続けるべく槍を構え直した。
 そんな織久のピンチを離れたところで見ていたエルデラントは、集団の中に1人で突貫すればそうもなるだろうとやや冷えた視線を向けていた。とはいえ、仲間のピンチを見て見ぬふりをするほど冷酷でもなかったエルデラントは、織久を仲間ごと燃やしつくそうと炎を放つ黒衣達に狙いを定めていく。
 こちらに意識を向けておらず、また殆ど動いてもいない相手を狙い撃つことは造作もなかったのだが、いかんせん数が多い。ならばまとめて吹き飛ばせないかとも考えたが、何やらバルが黒衣達を一箇所に集めようと飛び回っているようなので、下手に吹き飛ばしてしまうと邪魔になってしまう。
 なぜ自分がいちいち周りの事を考えて戦闘しなければならないんだと頭を悩ませながら、エルデラントは別の方法を実行することに決めた。
 黒衣達を倒すことは出来ずとも、要は炎を出させないようにすればいい。それならば黒衣達をバラけさせることもなく、複数の対象を同時に行動不能にできる。
「咎力封じ……まぁ、当たれば儲けものですね」
 黒衣たちに向けて大量の手枷や猿轡、拘束ロープなどを放ちながら、エルデラントはそんなことを呟いた。どれか一つでも当たれば動きを制限できる上、拘束を嫌って黒衣が避ければ織久に向けた攻撃を妨害するという目的は果たせる。後は拘束されていない黒衣から順番に片付けていけばいいだけだ。
 当たれば儲けもの、とエルデラントはいったが、無論元から外すつもりなどなく全て当てる腹づもりである。そして、狙い通り拘束具が命中した黒衣達は織久への攻撃の中断を余儀なくされ、拘束具を躱した黒衣はエルデラントが狙い撃ちをして早々に倒していく。
 外からの攻撃がやんだ織久は、先の攻撃の報復を行うかのように攻撃の苛烈さを増していた。そんな織久の様子にこれ以上の手助けはいらないだろうと判断したエルデラントは、そういえばバルはどうしているだろうと戦場へ視線を彷徨わせる。そして、バルの姿を認めたと同時にエルデラントは拘束ロープを織久へと放っていた。
「……む、何を」
 突然自身に向けて攻撃とも取れる行動をとってきたエルデラントがいる方へ鋭い視線を向けた織久だったが、そのロープが引っ張られ黒衣の集団から抜け出し、一瞬戦場を俯瞰してみる形となった織久はおそらくエルデラントがこの行動を取ろうとしたであろう元凶の姿を確認できた。
「ヒッハッハァ! いィ感じに集まったもんだなァ!」
 神殿の瓦礫を足場に高笑いしているバル。そんなバルの頭上には巨大な水瓶が存在しており、眼下に固まる黒衣達の姿を確認しながらバルはその水瓶をひっくり返した。
「さァ亡者ども……三途の川の流れは、ちィとばかし激しいぜ!?」
 水瓶から流れ落ちる大量の水が先程まで織久がいた場所を直撃し、周囲の黒衣達を飲み込んでいく。織久は、おそらくあのままあそこにいては織久自身も危なかっただろうと想像し、エルデラントの真意を理解した。
「運河の底へと沈んじまいなッ!」
 流し込まれた大量の水は渦を巻き、次々と黒衣達を巻き込んでいく。それはさながら津波のごとく、無慈悲に、無感動に、その場にいるものを飲み込む。やがて水が全て流れ去ったときには、そこにいた大量の黒衣達は綺麗サッパリ押し流されており、洗い流された大地だけが存在していた。
「ヒハハッ、いィ見世物だったぜ。てめェらもそう思うだろ?」
「……さぁな」
「……そんなことより、よくもまぁ何のためらいもなく仲間ごと攻撃しようと出来ますね」
 終始高笑いしていたバルが話を振るが、織久は興味がなさそうに返し、エルデラントはやや呆れたように皮肉を言う。
「ちゃんと離脱を確認してから攻撃しただろォが」
「それはそうですが。あの時ワタシが助けなかったらどうしていましたか?」
「んなもん、気合で耐えてもらうしかねェな」
 冗談だか本気だかわからないバルの返しにため息を吐きそうになりつつも、結果的には大量の黒衣を一掃できたバルの攻撃に免じて、エルデラントはそれ以上の言葉は飲み込むことにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クラーラ・レイネシア
レイ(f09183)と一緒に参加だぜ1
援護は完全にレイに任せた!こう上手くやってくるだろうと信じて俺は敵に突っ込むぜ!
【勇気】を出して黒衣の軍団へ【力溜め】ながら駆けて距離を詰めるぜ
相手の攻撃は【オーラ防御】でガードし、ガードしきれなかった場合は【激痛耐性】と【火炎耐性】でめっちゃ我慢する
痛みに喘ぐ暇があれば前へ前へと進むぜ

殴れる距離になれば溜めた力を解放し【怪力】による【衝撃波】を伴っためっちゃいっぱいパンチで軍団を攻撃するぜ
一回じゃ倒せないだろうから【早業】による【二回攻撃】でもう一度同じ攻撃を行うぜ
更に殴った時に【生命力吸収】をして少しでも長くたっていられるようにするぜ


ナイ・デス
これは、まだ儀式は続いている、ということでしょうか?
炎、消せば……?
……ソラ(f05892)蜜って、液体、ですよね?
一緒に、呼びましょう

蜜ぷに召喚!

【勇気と覚悟】をカラフルぷるん、花の蜜でできたスライムボディに秘めた彼らの【捨て身の一撃】津波のようなそれで亡者を飲み込んで、倒すと同時に蜜で炎を消します

戦場に、蜜がカラメルになった時のような美味しそうな香りが……

まだ亡者生きてたら、疲労気にせず蜜ぷにも一緒に【生まれながらの光】をぱぁっとあてて
生命力吸収でトドメにします

蜜ぷに食べて、疲労回復
あまあま、美味しい、です

……儀式続いていたら
この惨状で、美味しそうなのがでてきてしまったり、するでしょうか?


レイ・キャスケット
お姉様【クラーラさん】と一緒に行動なのです!

魔法援護、癒して自衛も出来る、臨機応変に立ち振る舞う多対多の集団戦こそボクの本領発揮だよ!

低級な【属性攻撃】なら殆ど扱えるボクは防御や回避の阻害や全方位への氷弾撒き散らしによるヘイト管理で【援護射撃】魔法を使用

炎攻撃をもらった人が居たら水の魔法球をぶつけて消火。大丈夫、威力最低安心設計!
もちろん≪ダン・デ・ライオン≫によるアフターサービスも忘れずに

基本は【ダッシュ】で立ち止まらない、囲まれると弱いからね
でも囲まれても大丈夫、ボクに意識を向けてていいのかな
ボクはサポーター、アタッカーはほら別にいるでしょ

お姉様に対してはなのです口調で無条件リスペクト


ソラスティベル・グラスラン
……神殿の破壊は終わりましたが、奥から感じる悪意は寧ろ強さを増しています!
炎を消すとなれば、ここあの手ですねナイくん(f05727)!任せてください!
我らが勇気集いし時、ぷるんな勇者ここにあり!【蜜ぷに召喚!】ッ!!

攻撃回数もとい数で勝負です!出番ですよ勇者ぷに軍団!
心に【勇気】の剣を、【オーラ防御】の鎧を纏いし彼らの勇気ある特攻!
頑張って!負けないでわたしたちの蜜ぷにさん!
勇気は必ず勝つのですよーっ!(と【鼓舞】する召喚主)

わーい!気づけば敵も倒し辺りは蜜だらけ!
ちょっと味見を……んふふー!美味!

あ、それいいですね、捧げものに蜜!
どうせなら邪悪なものよりあまいものの方が神様もご機嫌でしょう♪



 各所で猟兵達が黒衣の数を順調に減らしている中、ここでも二人組が二組、黒衣達と相対していた。
「よっしゃー! 纏めてのしてやる!」
「お姉様流石なのです!」
 黒衣の集団を目前に、自身に気合を入れるかのようにそう叫ぶクラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)と、その横でそんなクラーラを憧れの表情で見つめるレイ・キャスケット(目指せパーフェクトオールラウンダー・f09183)。
「……神殿の破壊は終わりましたが、奥から感じる悪意は寧ろ強さを増しています!」
「これは、まだ儀式は続いている、ということでしょうか?」
 そして、黒衣達を見て儀式の阻止がまだ完了していないことに気がついたソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。
「それじゃ、任せたぜ!」
 睨み合っていたのも一瞬。クラーラは一声叫ぶと脇目もふらずに黒衣の集団へと駆け出していく。その目は目の前の敵にしか注がれておらず、いっそ清々しいほどに周囲の敵のことは無視していた。当然無視された黒衣は無防備な姿を晒しているクラーラを見逃すこともなく、手にしていた篝火を振りかぶる。
「させないよ!」
 だが、その篝火が振り下ろされる前に黒衣の身体を電撃が走り抜けた。地に伏せるほどの威力はないものの、身体を痺れさせた黒衣は攻撃の機会を逃す。そして、攻撃の妨害をしてきた存在にその視線を移した。
「掛かったみたいだね。ボクはこっちだよ!」
 それを確認したレイは、クラーラとは反対の方向に走り出した。そして、走りながらも小規模の氷弾を周囲へ撒き散らす。その氷弾は一撃で止めとなるほどの威力こそないが、当たれば動きを阻害され、避ければ行動がワンテンポ遅れる。未だ攻撃らしい攻撃を行わないクラーラよりレイの方が面倒だと判断したのか、黒衣の集団はその大半が対象をレイへと変えていた。
「……ソラ。蜜って、液体、ですよね?」
「ええ、そうですね。炎を消すとなれば、ここはあの手ですねナイくん!」
「一緒に、呼びましょう」
「任せてください!」
 一方、ソラスティベルとナイの2人は何やら話し合いをしていた。周囲からはジリジリと黒衣達が迫ってきていたが、それを気にしていない2人はどうやら一つの結論に至ったらしい。一つ大きく頷くと、迫ってくる黒衣達に向き直る。
「ぷにぷにタイム、です」
「皆さんいきましょうッ!」
 そして、それぞれが片手を掲げ何かを呼んだ。次の瞬間、2人の足元からまばゆい光が漏れ、その光の中からスライムたちが飛び出してくる。
「デバンプニー!」「オナカスイタプニー?」「オイシクタベテプニー」「モットキテクレプニー!」「プニプニー!」
 ナイの足元から飛び出してきたスライムたちは、口々に何かを叫びながら黒衣の集団へと体当たりを仕掛けていく。そんなスライムを黒衣達は鬱陶しそうに篝火で打ち払うが、払っても払っても無尽蔵に湧いてくるスライムに手が追いつかず、やがてその波の中に飲まれていく。
「勇気ト根性でムテキプニ!」「確実ニ、シトメル、プニ」「「「最後ニ勝ツノハ、勇気アル者プニ――ッ!!」」」
 そしてソラスティベルの足元から飛び出したスライムは、ナイのそれとは一風変わっておりどこかやる気に満ち溢れていた。とはいえ、攻撃方法は変わらない。蜜でできた体を引きずり、敵めがけて体当たり。
 そんなことを続けていたせいか、気がつけば周囲には蜜の甘い香りが漂い始め、スライムたちの波に飲み込まれた黒衣は手の篝火の炎が消され、固化した蜜によって完全に動きを封じられていた。
「……あれ? なんだか甘い香りが……」
 そんな蜜の香りは少し離れた位置で戦っていたレイのもとにも届いており、戦場には場違いとも言えるそんな香りを嗅ぎ取ったレイは首をひねる。
「……おっと、危ない危ない!」
 そんな一瞬の隙きをついて振るわれた篝火を避けつつ、止まりかかっていた足を再度動かしてレイは戦況を見つめ直す。
 クラーラは未だに真正面しか見据えずに走り続けており、レイが時折援護射撃をしているとはいえ幾つかの生傷が生じていた。言わずもがな、素通りした黒衣につけられた傷である。
「……ッ!」
 また一つ、素通りした黒衣の攻撃が纏っていたオーラの鎧を貫通しクラーラの体を傷つけた。その痛みを、しかしクラーラは歯を食いしばることで耐え抜く。その身に降りかかる苦痛を前へ進む動力に変え、前へ前へとその足を運ぶ。
「お姉様!」
 そんなクラーラの様子を見たレイは悲痛な叫び声を上げる。尊敬する人が傷ついていく姿を見て平気なものはそう多くはいないだろう。レイもそんな平気でいられないうちの1人だった。
「あなたに宿せ、ボクの華……ッ」
 傷つくクラーラの様子をこれ以上見ていられないと、レイは自身のユーベルコードを切る。レイの周囲に淡い光を放つタンポポの綿毛が複数現れ、レイが生み出した突風に乗せられたそれは前をひた走るクラーラの元へと届く。
 そのタンポポの綿毛がクラーラに触れた途端、その身に刻まれていた傷の数々が徐々に癒え始めた。
「……やっぱり、レイに任せて正解だったぜ」
 耐えることはできると言っても、それはイコール痛みを感じないということではない。傷が増える度に歯を食いしばって耐え抜いていたクラーラは、徐々に引き始めた痛みに後を任せた仲間を思い、ニヤリと笑う。
 既に目標としていた集団は目と鼻の先。となれば耐え忍ぶ時間はもう終わりで、後は本能のままに突き進むのみ。
「ぞろぞろ数を揃えたようだが……」
 拳を握り、力を貯め込む。この攻撃で決めると鋭く覇気を込めながら、クラーラはその力を開放した。
「いっぱい殴れば、解決!」
 目にも留まらぬ殴打の雨は、黒衣の些細な抵抗を全て飲み込み吹き散らす。一瞬でクラーラの正面にいた黒衣の集団の姿が消し飛び、離れていた位置にいた黒衣でさえそのあまりの衝撃に意識を手放す。
 だが、クラーラの攻撃はそこで終わらない。確かに眼前の敵は全て倒した。だが、自分の仲間を追い込む不届きな連中はまだ倒していない。
「はぁぁぁッ!」
 拳を引き戻す。腰をひねる。対象を捉え……そして、打ち出す。
 クラーラの意図をきちんと理解していたのだろう。レイは自らを追いかける黒衣達がクラーラの攻撃範囲内に入るように、戦況を見ながら誘導していた。そして、クラーラが打ち出した拳が捉えたのはそんな黒衣の集団のちょうどど真ん中。クラーラの攻撃を受けた黒衣達がどうなったかは、言うまでもないだろう。
「あれだけの数の敵を一瞬で……さすがはお姉様ですの!」
 クラーラの渾身の攻撃を目撃したレイは、心からの賛辞を述べる。たとえその攻撃が失敗していようともクラーラリスペクトなレイにとっては些細な問題なのだが、それはそれとしてすごいものはすごいのだ。
「ふぅ……いや、レイのサポートあってこそだぜ」
 そんな賛辞に若干照れつつも、1人ではこうは行かなかったと考えたクラーラはレイの頑張りを労う。その言葉を聞いたレイは、喜色満面の顔で頷いたのだった。
 片方の戦場で決着がついた一方、大量のスライムを召喚して黒衣達と戦っていたソラスティベルとナイの2人もいよいよ決着間際と言う所まで来ていた。だが、その戦場の様子は全くと言っていいほど違うものだ。
 あちらを見ても蜜、こちらを見ても蜜。四方八方、どの方角に目を向けてみても、目にうつるのは甘い香りを漂わせ嗅いだもののお腹を刺激する蜜ばかり。そして、そんな蜜に閉じ込められて身動きが取れない黒衣達は、弱々しく身体の端々を動かすことしか出来ないでいた。
「これで止め、です」
 そして、そんな黒衣に手をあてがったナイは、その生命力を吸い尽くすことでとどめを刺していく。抵抗すら許されず最後の一滴までその生命力を吸われた黒衣は、砂のようにその身を崩れさせていく。
 ふと、ナイは手にぺたりとついた蜜に目をやり、ぺろりとそれを舐め取る。すると、口内に芳醇な蜜の香りと炎で若干焦げたのかほのかな苦味が広がった。
「あまあま、美味しい、です」
 思わず、といった具合に顔を綻ばせたナイは、もう一口舐め取りながらそう呟いた。
「そこです! 頑張って!」
 そんなナイの後ろでは、ソラスティベルがスライムたちを指揮しながら着実に黒衣達をその蜜の中へと沈めていた。もともと物量に頼っていた黒衣達は、それを上回る圧倒的物量に為す術もなく押されていき、とうとう残った最後の一団が壁際にまで後退させられる。
「今です! やっちゃって下さい!」
「任セロプニー!」「コレデオシマイダ、プニ」「突撃プニーーッ!!」
 ソラスティベルの号令の元、スライムたちが雪崩のように黒衣の集団へと押し寄せる。黒衣達も抵抗を見せるが、無尽蔵のごとく押し寄せるそれの前には焼け石に水。一角が崩れた瞬間、そこからスライムが押し寄せ瞬く間に蜜の海へと沈んでいってしまった。
「勝鬨ヲ上ゲルプニーーッ!!」「「「プニーーッ!!」」」
 妙にハイテンションなスライムたちの勝鬨に周囲を見回してみれば、最早黒衣の姿はどこにもなく只々蜜の海が広がるばかり。
「ふふふ、これで一件落着です! さて、ちょっと味見を……んふふー! 美味!」
 味見とばかりに指で少しすくい取って舐めたソラスティベルは、頬に手を当ててそれを堪能する。
「……ソラ。儀式続いていたら、この惨状で、美味しそうなのがでてきてしまったり、するでしょうか?」
 黒衣にとどめを刺し終えたのか合流してきたナイが、ふと疑問に思ったことを口にする。炎を対価に召喚されるオブリビオンが、蜜を対価にして召喚されれば見た目甘そうなのが召喚されるのでは、と考えた結果である。
「んむ……それいいですね、捧げものに蜜! どうせなら邪悪なものよりあまいものの方が神様もご機嫌でしょう♪」
 そして、そんなナイにソラスティベルも同意した。なぜって、自分が捧げられるのなら断然甘い物のほうが良いからである。

 紆余曲折はあったものの、神殿から這い出してきた黒衣の集団は猟兵達の前にその全てが敗れ去った。これで儀式を進めるものはもうおらず、儀式を執り行うための神殿も破壊された。依頼は達成、後はあの灼熱の道を引き返すだけだと、ここまで来るのに通った場所の熱さを思い出して辟易した表情を浮かべた猟兵たちは、ふと違和感を覚える。
 身体が、熱い。一瞬、あの一本道を思い出した事による気のせいかとも思ったが、そうではなく確実に周囲の温度が上昇している。その事に猟兵達が気がついたのと同時、崩れた神殿の瓦礫を吹き飛ばしながら、一本の巨大な火柱が舞い上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ジャック・ザ・カーニバル』

POW   :    汝、肉に別れを告げよ
戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【炎が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    ヘルファイアゴースト
レベル×1個の【髑髏】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    ジャックブレイズ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【頭頂部の炎に映し出し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はネフラ・ノーヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ハッハッハァッ! 良い目覚めだなぁ、身体が燃えるように滾るぜ!』
 立ち上った火柱の中から、1体のオブリビオンが進み出てくる。そのオブリビオンは猟兵達の姿を認めると、その口を限界まで横に裂けさせながら、嘲笑とも取れる笑い声を上げた。
『いいねぇ、早速供物の献上とはわかってるじゃないか! さぁ、てめぇらの命の灯、俺に分けてくれよ!』
 生まれ落ちてしまった強大なオブリビオン。これを野に放ってはいけないと、猟兵達は最後の戦いに身を投じる事になる。
レイ・キャスケット
引き続きお姉様【f11610】と一緒なのです

あれあれ?神殿破壊して儀式も止めたと思ったのに…
仕方ない、みんなで協力してソッコーお帰り頂かないとね

敵は強大でも一体、目の前に集中できる分味方の援護に意識が割きやすいね

敵の頭上に巨大な水球を創り出して落とす、眼前に石壁を出現させて視界封じ
等威力はないけど鬱陶しい妨害行動を【高速詠唱】

抱えるくらいの氷魔法を【投擲】
防御成功?当たり前、割れやすいように出来てるもん
本命はこっち≪リフレクト・リフレクティア≫だよ
【全力魔法・属性攻撃・フェイント】
邪魔ばっかで攻撃はしないとでも思った?残念でしたー(あっかんべ)

向かってきたら【ダッシュ】で退避
相手しろ?やだぷー


ナイ・デス
(火柱をみて)……儀式、続いていました
流石に、蜜の海が影響して、美味しそうなのができたりは、しない、ですよね
(火柱から進み出てきた姿をみて)……カボチャ?
どうしましょう、ソラ(f05892)
本当に、食べられそうな敵が、でてきてしまいました……!
美味しく、食べられるでしょうか?

と、いえ、味は倒してから、ですね
【蜜ぷに召喚】ぷにぷに、まだいける、ですね?
【勇気と覚悟で捨て身の一撃】津波攻撃です!
今度は、私もいきます!
色付きぷに達の波を隠れ蓑に【忍び足ダッシュからのジャンプ】
蜜ぷに突き抜け飛びだして、短剣で【鎧無視の暗殺攻撃】!

蜜ぷに召喚を借用すると
頭頂部の炎から召喚されてその炎で即死
蜜塗れ南瓜頭が


ソラスティベル・グラスラン
わぁーっ!
ナイくん(f05892)、カボチャの神さまが召喚できましたよ!
ふふふ、蜜ぷにさんの蜜が上手くいきましたねっ
しかし…どうやら食べられるカボチャさんではないようです
寧ろこっちを食べてきそうな!くっ、やはり不純物(黒衣の生贄)ありではダメですかっ
仕方ありません…【勇気】を持って、邪神を討ちましょう!

ナイくんの蜜ぷにの波に乗りいざ突撃!
正面から相対、貴方の相手はわたしです!
【オーラ防御・盾受け・見切り】を併用し敵の攻撃を流し、
抉じ開けた隙に【怪力・鎧砕き】の斧を叩き込む!
そして全ての行動を全力の【勇気】で補うこと!
竜の力を、我ら勇者を甘く見ましたね!これがわたしの【勇者理論】!!(防御重視)


クラーラ・レイネシア
レイ(f09183)と一緒に参加するぜ
今回におレイは命中力重視のユーベルコードみたいだし、俺もそれに倣って命中力高めのユーベルコードにするかな
レイが攻撃をしたら俺もそれに合わせて突貫
相手は炎で攻撃してくるんだっけなそれなら【オーラ防御】で守りを固めながら、【激痛耐性】と【火炎耐性】で何とか突っ切って接近できないかな

攻撃は【気合い】を入れて【力溜め】て、素早い【早業】で自慢の【怪力】を利用して二回ぶん殴る!
【衝撃波】を発生させながらぶん殴って、同時に【生命力吸収】で回復しながら【二回攻撃】で再度二回ぶん殴る!
出来るだけレイの攻撃とずらして、お互いの隙をカバーしあえるとベストだな



「あれあれ? 神殿破壊して儀式も止めたと思ったのに……」
「どうやら、間に合わなかったみたいだな」
 さぁ帰ろうというタイミングで現れたオブリビオン【ジャック・ザ・カーニバル】に、やや疲れた視線を向けるレイ・キャスケット(目指せパーフェクトオールラウンダー・f09183)とクラーラ・レイネシア(殴って叩いてはいお仕舞い・f11610)。ここに来るまでに戦い通しだったためにそれも仕方のないことなのだが、それでも滲む疲労の色は隠しきれない。
「……カボチャ? どうしましょう、ソラ。本当に、食べられそうな敵が、でてきてしまいました……!」
「いえ、ナイくん。どうやら食べられるカボチャさんではないようです。寧ろこっちを食べてきそうな! くっ、やはり不純物(黒衣の生贄)ありではダメですかっ」
 一方、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)とソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)の二人組は、【ジャック・ザ・カーニバル】の姿にややテンションを上げる。蜜を触媒に食べ物を模したオブリビオンが召喚されたのだ、よもや、と考えてしまうのも無理はない。現実はソラスティベルが言った通り、食用には適さないようだったが。
「……仕方ない、みんなで協力してソッコーお帰り頂かないとね」
「そうだな。そういうわけで、先手はもらうぜ!」
 疲労を見せていたということは、その分戦闘を重ねていたということでもある。【ジャック・ザ・カーニバル】の姿を確認し、いち早く戦闘態勢に移行したのはレイとクラーラの2人だった。
 レイが呪文の詠唱を始めると同時に、クラーラが【ジャック・ザ・カーニバル】へと走り始める。
『おいおい、俺とやり合おうってのか? 身の程を知れよ、食料』
 それに気がついた【ジャック・ザ・カーニバル】は、嘲るように笑いながらクラーラを迎撃しようと構えた。だが、そんな【ジャック・ザ・カーニバル】の視界が突然降り注いだ岩に塞がれる。
『ッチ、邪魔だな』
 だが、それは一瞬の足止めにしかならなかった。【ジャック・ザ・カーニバル】は鬱陶しそうに手を掲げると、そこから髑髏の炎を生み出し一瞬にして岩を蒸発させる。たったそれだけの動作で、【ジャック・ザ・カーニバル】は再び視界を確保した。
「――遅ぇ!」
 だが、その一瞬の隙きを猟兵達は見逃さない。蒸発した岩の向こうから、未だ凄まじい熱気が空間に残留しているその最中を突っ切って、クラーラが【ジャック・ザ・カーニバル】に最接近する。
 当然、岩すら一瞬で蒸発させてしまうような熱量が一瞬で霧散するはずもなく、接近したクラーラの肌は幾重にも張り巡らせた防御の上からジリジリと焼かれていく。それでもクラーラは歯を食いしばってその激痛に耐え、【ジャック・ザ・カーニバル】に殴りかかる。
『誰が、何だって?』
 向かい来る拳に対し、しかし【ジャック・ザ・カーニバル】は恐れなど抱かない。自身に害を与ええないとわかっているものに、どうして恐れなどいだけようものか。
 【ジャック・ザ・カーニバル】はその拳を軽く躱し無造作にクラーラの腕を掴むと、勢いよく地面に叩きつけた。その衝撃は地面を僅かながら陥没させ、大量の土煙を巻き上げるほどだった。
「ぐ、くそ……ッ」
 とはいえ、全力で防御を張り巡らせていたクラーラを一撃で昏倒させるほどの威力はなかったのか、クラーラは血を吐き出しながらも意識はしっかりしていた。追撃が来る前に距離を取ろうと起き上がったが、既に【ジャック・ザ・カーニバル】は次の一撃を放つ準備にはいっていた。
『丸こげは趣味じゃねぇが、食えりゃ何でも良いか』
 掲げた右手に宿っているのは、遠目から見ても分かるほどの熱量をもった炎の塊。想像するまでもなく、そんなものを喰らえばただで済むはずがない。
「お姉様!」
 【ジャック・ザ・カーニバル】が攻撃を繰り出そうとするが、クラーラは1人で戦っているわけではない。仲間のピンチにレイはすばやく反応し、【ジャック・ザ・カーニバル】の頭上に大量の水を生み出し、落とし込んだ。
 その水は【ジャック・ザ・カーニバル】に触れる直前には蒸発してしまったが、その量は一滴や二滴の話ではない。蒸発する先から次の水が押し寄せてくるため、一瞬にして周囲に水蒸気が立ち込め視界を塞ぐ。
『ったく、鬱陶しいな……』
 何度も妨害してくるレイにいらだちを覚えながら、【ジャック・ザ・カーニバル】は自身の足元から爆炎を立ち上らせ、水蒸気を晴らした。実害こそないが、面倒臭さでは直接攻撃よりも勝ると判断した【ジャック・ザ・カーニバル】は、度々邪魔をしてくるレイを先に排除しようと周囲を見回す。
「デバンプニー!」「マダマダイケルプニー!」「蜜漬ケニシテヤルプニーッ」
『……なんだ、こいつら?』
 そして、いつの間にか自分を取り囲んでいる不可思議な物体の群れを見て、動きを止めた。固体と液体の中間のような、半透明の体を持ったその集団は、【ジャック・ザ・カーニバル】目掛けて群がっていく。
「貴方の相手はわたしです!」
 そして、【ジャック・ザ・カーニバル】の正面にはそんな物体を波のように乗りこなし、手に持った蒼空色の巨大斧を【ジャック・ザ・カーニバル】へと突きつけるソラスティベルの姿があった。
『……これは、お前が召喚したのか?』
「ふふん。わたしとナイくん自慢の蜜ぷにさん達です!」
『なるほどな』
 ソラスティベルの返答を聞き一つ頷いた【ジャック・ザ・カーニバル】は、右手に宿した炎を掲げながらソラスティベルへと言葉を投げる。
『一つ教えておく。俺は甘いのは大嫌いだってなぁッ!』
 炎は【ジャック・ザ・カーニバル】の手を離れ、ソラスティベルの近くで爆炎を上げる。近場にいた蜜ぷに達はその熱で蒸発し、カラメルを焦がしたような甘い匂いを充満させた。
 爆炎が晴れた時、そこにソラスティベルの姿はなく、それを確認した【ジャック・ザ・カーニバル】は蒸発したかと笑い声を上げた。
「――ならば一つ、わたしからも教えましょう!」
 そんな【ジャック・ザ・カーニバル】の耳に、ソラスティベルの声が届く。声のした方向、自らの頭上へ視線をやった【ジャック・ザ・カーニバル】は、体中に焦げ跡を残し、それでもひたすらに真っ直ぐな光を瞳に宿したまま巨大な斧を振りかぶるソラスティベルの姿を認めた。
 逃げ場のない空中にいるなら仕留めるのは容易いと、【ジャック・ザ・カーニバル】は再び右手に炎を宿した。
「――後方注意、です」
 しかし、その炎を放つ寸前、【ジャック・ザ・カーニバル】の体勢が大きく崩れる。【ジャック・ザ・カーニバル】が前方に集中している間に、蜜ぷにの隙間を音もなく移動したナイが関節部を狙って短剣を突き立てたのだ。
『この……ッ』
 体勢を崩した【ジャック・ザ・カーニバル】は、ナイを捕まえようと右手を伸ばす。だが、ナイは素早くその手を掻い潜ると再び蜜ぷにの群れの中へと紛れていった。
「勇気で攻め! 気合で守り! 根性で進む!」
 【ジャック・ザ・カーニバル】がナイに気を取られている隙きに、ソラスティベルは空中で身体を捩り斧を振りかぶった。距離は至近、防御はおそらく間に合わず、間に合ったとしてもその上から叩き潰す。その心意気で、ソラスティベルは全体重と力を乗せて斧を振り切った。
「これがわたしの勇者理論ッ!!」
 斧は【ジャック・ザ・カーニバル】が寸前で振り上げた炎を纏わせた右腕とぶつかり、雷鳴のような音を立てる。まるで硬質の物体同士が鬩ぎ合うかのように腕と斧の間に火花が散るが、その拮抗は数秒と続かなかった。
 再び、蜜ぷにの群れの中から短剣が飛び出す。狙いすましたかのようなその短剣の投擲は、見事に【ジャック・ザ・カーニバル】の右肘を捉えた。炎の鎧を貫通し肘を刺し貫いた短剣は、【ジャック・ザ・カーニバル】の右腕から一瞬でも力を奪い去る。
「はぁぁぁぁぁっっ!!」
 均衡が崩れたのを悟ったソラスティベルが、一気呵成に斧を押し込む。それを押し返す術を【ジャック・ザ・カーニバル】は持っておらず、その刃は【ジャック・ザ・カーニバル】の肩口から腰にかけてを大きく斬り裂いた。
『ガッ……この、巫山戯やがって……!』
 普通であれば致命傷の傷も、【ジャック・ザ・カーニバル】にとっては痛手であれど致命的なものではない。所詮食料としかみていなかった存在に手痛い反撃をくらった【ジャック・ザ・カーニバル】は、怒り狂いながら全身から炎を噴出しようとする。ソラスティベルは攻撃の直後で逃げることが出来ておらず、このまま喰らえばただでは済まないと直感で悟る。
「ぷにぷに、おねがい、です」
 だが、そんなソラスティベルと【ジャック・ザ・カーニバル】の間に割り込む影があった。それは、ナイが召喚した蜜ぷに達の群れ。弱く戦力にならなくても、盾になり炎の威力を軽減することはできる。それ故にナイは蜜ぷに達へと指示を出し、蜜ぷに達もそれに従った。
 蜜ぷに達が【ジャック・ザ・カーニバル】を覆うように壁を作りおえた直後、その内側で炎が炸裂する。中心に近い蜜ぷには瞬時に蒸発し、その外を覆っていた蜜ぷにも衝撃で吹き飛ばされていく。
 荒れ狂う炎は蜜ぷにの壁でかなり威力が削がれたものの、それでも確かな熱量を持ってソラスティベルに襲いかかった。
「うぁ……ッ」
 炎に巻かれ、衝撃に弾き飛ばされたソラスティベルに、【ジャック・ザ・カーニバル】は追撃を加えようと右腕を掲げる。
「行くよ! 魔法の合わせ技!」
 しかし、そんな声とともに巨大な氷塊が姿を表したことで、【ジャック・ザ・カーニバル】はソラスティベルへの追撃を諦めた。そして、自身へ向けて飛んでくる氷塊へとターゲットを移す。
「クラッシュドアイス!」
『効かねぇよ』
 【ジャック・ザ・カーニバル】が振り上げた右手によって、氷塊はその大部分を蒸発させながら粉々に砕け散る。大規模な攻撃をあっさりと防がれたレイは、悔しげに歯を食いしばる……
「――からの~」
 ことはなく、狙い通りとばかりににやりと笑った。だが、そんなレイの様子を不審に思う暇もなく、【ジャック・ザ・カーニバル】は氷塊の後ろに潜んでいたクラーラを迎撃するために炎を纏う。
『馬鹿の一つ覚えが。その連携はさっき……』
 最初の攻撃の焼きましのような光景に、【ジャック・ザ・カーニバル】は嘲りの声を上げる。いるかも知れないと警戒していれば、攻撃を食らう前に迎撃できる。ここで仕留めてやると腕を振るう直前、クラーラの顔を見た【ジャック・ザ・カーニバル】は一つの疑問を抱いた。
 ――なぜこいつは、目を瞑って突っ込んできたんだ? と。
「リフレクト・リフレクティア!」
 その疑問は、直後に解決した。叫んだレイは指から光線を出し、その光線は【ジャック・ザ・カーニバル】か砕いた氷の欠片に乱反射して光の檻を作り出す。
『ぐ、おぉ……!?』
 更に、その光線は直視した【ジャック・ザ・カーニバル】の目を焼き、大きな隙を作り出した。
「これで……」
 そして、目を瞑ったままのクラーラが【ジャック・ザ・カーニバル】の懐へと潜り込み、拳を構える。見えているわけではない。だが、【ジャック・ザ・カーニバル】の発する熱で位置を特定することは容易だった。
 左のジャブで正確な位置を割り出し、渾身の右ストレートで殴り抜ける。その威力に【ジャック・ザ・カーニバル】は身体を宙に浮かせた。だが、クラーラの攻撃はそれだけで終わらなかった。
「……解決ッ!!」
 落下してくる【ジャック・ザ・カーニバル】に、再度の左ジャブを繰り出したクラーラ。先程と同様、そのジャブは牽制と位置確認のためのもの。そして、正確な位置を確認したクラーラは、握りしめた右の拳に全ての力を集中し、全体重を乗せた右ストレートを繰り出した。
 その拳は見事に【ジャック・ザ・カーニバル】の身体を捉え、確かな手応えと共にその身体を遠くへと吹き飛ばした。
 幸いにして反撃をくらったクラーラ、ソラスティベルの2人に大事はなかったが、【ジャック・ザ・カーニバル】の追撃に向かうには負傷が深かった。

『――舐めるなぁッ!!』
 そして、【ジャック・ザ・カーニバル】が吹き飛ばされた方角から、怒りの声とともに炎の柱が立ち上った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
なんだか熱そうなヤツが出てきたぞ!
みんな割りと暑いのはウンザリしてる感じだったのになー!
……おー、そうだ!

【願い願われし綺羅星】にみんなの想いを乗せて、あいつにぶつけてやったらいいんじゃないか?
「もう暑いのはコリゴリ的」な気持ちを合わせれば、すごいパワーになりそうな感じ!
あたしの【全力魔法】を軸に、みんなの力を合わせた光の【属性攻撃】で、ドカーンとやる!

「もうひといきで、この熱さともおさらばだぜ! ファイトだー!」
みんなを【鼓舞】してパワーを高めていくぞー!


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
我等が怨念尽きる事無く
餓えは絶えず凌ぐには唯一つ
互いに血肉を喰らい合う他無し
強者であればより良い糧となろう

【行動】
致命傷になる攻撃のみ回避
軽傷は無視して攻撃の手数を増やす
白兵距離を保つため敵の行動を読み「見切り」
不足の事態に備え「第六感」も働かせる

【戦闘】
「先制攻撃」は「怨鬼解放」
「二回攻撃」で更に「黒炎装」で強化
「ダッシュ」の勢いを乗せ「串刺し」
刺したまま「二回攻撃」で「影面」を武器から伝わせ爆破で「傷口をえぐる」
敵がよろけたら胴体と足を狙って「なぎ払い」を「二回攻撃」の連撃
至近距離の攻撃は回避不可なら「武器受け」で凌ぐ
同時に「残像」を利用して回り込み「カウンター」狙う


幻武・極
勝手に供物にしないでほしいなぁ。
キミがどんなに強くても、諦めた覚えはないよ。

トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化して、属性攻撃で水の武術で攻撃するよ。
肉なんて食べてる余裕なんか与える気はないからね。



 怒りの咆哮を上げる【ジャック・ザ・カーニバル】の近くに、3人の猟兵が歩み寄る。先の開幕の一戦に出遅れ、ならば追撃は任せろとばかりに闘志を漲らせていた。
「……強者であればより良い糧となろう」
 【ジャック・ザ・カーニバル】を眺めつつそうこぼしたのは、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)。それは先程の供物云々に対する皮肉か、あるいは純粋な気持ちなのか。
「そもそも、ボクは大人しく食べられてやる気なんてないからね」
 そして、そんな織久の隣で幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は呆れたような視線を【ジャック・ザ・カーニバル】に送っていた。ここへは儀式を止めるためにやって来たのであって、断じてオブリビオンの供物などになりに来たのではない。そんな思いが、視線に込められていた。
「っていうか、あいつ暑そうだなー! 暑いのにはみんなうんざりしてるんだぞ!」
 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は【ジャック・ザ・カーニバル】に向けてそう叫ぶが、明らかに1人だけ感想がズレていた。【ジャック・ザ・カーニバル】について着目する点は他にもあるだろうに、どうしてそこに目をつけたのか。だが、気まぐれな妖精の心中を察することができる存在はここにはいなかった。
「なればこそ――我等が本性、ここに解放する」
 ずん、と織久の纏う雰囲気が変わる。これまでの織久をさざなみ立つ水面だと表現するならば、今の織久は荒れ狂う時化の海。内々から溢れ出す力を隠そうともしない織久は、【ジャック・ザ・カーニバル】に向けて一歩を踏み出す。
 次の瞬間、織久の足元から黒い炎が吹き出し、織久の身体を覆い隠した。それは【ジャック・ザ・カーニバル】が見せた炎の鎧に似通ってはいるが、炎自体から禍々しい気配が感じられるため同一のものではないようだ。
『猿真似がァ……ッ』
 とは言え、炎の化身たる【ジャック・ザ・カーニバル】にとって、同じ炎の使い手というだけで癪に障るらしい。明らかな怒りを込めた視線を織久に向けると、轟々と燃え盛る炎を纏った。
 一方の織久は気にも留めていないようで、炎に覆われたまま一気に【ジャック・ザ・カーニバル】との距離を詰めた。そして、その勢いのまま手に持った鎌で【ジャック・ザ・カーニバル】を刈り取ろうとする。
 だが、その攻撃は【ジャック・ザ・カーニバル】が突き出した炎を纏った右腕に防がれる。本来であれば拮抗し得ないはずの両者は、その中心に火花すら散らせて互いを押し込もうとせめぎ合う。
「ボクを忘れないでほしいな!」
 そんな最中に、極の拳が割って入る。これは一対一の決闘ではなく、オブリビオンを討伐せんとする猟兵達との純粋な戦闘。故に、極のそんな横やりじみた攻撃も非難される謂れはない。
『ッチ、うじゃうじゃと。まとめて消し炭になれ!』
 一対二の戦闘を嫌ったのか、【ジャック・ザ・カーニバル】は織久の武器を大きく弾くと後方へと距離を取る。すかさず追撃を仕掛けようとした織久と極は、直後に発生した炎の壁によってその足を止めることになった。
『俺の出せる最大火力だ! 食えねぇのは残念だが、骨の髄まで焼き尽くしてやるよ!』
 自身の攻撃に絶対的な自信があるのか、【ジャック・ザ・カーニバル】は既に勝ちを確信したような口ぶりで笑い声を上げた。そんな中、出現した炎の壁を見たフィロメーラはやっぱり、といった顔で【ジャック・ザ・カーニバル】をみやった。
「やっぱり暑いやつかー! おい、もうみんな暑いのはコリゴリなんだ! さっさと消せー!」
『……鬱陶しい』
 いかにも外野の野次、といった具合に叫び倒すフィロメーラをみやり、【ジャック・ザ・カーニバル】はうんざりとした表情を浮かべる。できることなら真っ先に排除したいところだが、光の軌跡を描きながら飛び回るフィロメーラに狙いを付けるのはなかなか難しく、直接的な害がないならばととりあえず後回しにすることにしたようだ。
「もうひといきで、この熱さともおさらばだぜ! ファイトだー!」
『は、何を言ってやがる』
 鼓舞するかのように空中をくるくる回りながらフィロメーラが発した言葉に、【ジャック・ザ・カーニバル】は嘲りの笑いを漏らす。いくら鼓舞したところで、消し炭になる運命は変わらない。確かに、消し炭になれば熱さを感じることもなくなるだろうと自身が作り出した炎の壁の方に視線を戻した【ジャック・ザ・カーニバル】は、目を見張った。
『な、に……?』
 出せる最高火力を持って作り出した炎の壁。それが有ろう事か、織久と極の繰り出した攻撃と拮抗――否、押され始めている。
『馬鹿な……! お前らごときに破れるはずが……!』
 きらきらと光の粒子が舞い落ちる中、【ジャック・ザ・カーニバル】はありえないと叫び声を上げる。それは、絶対の自信を持っていた技が破られることへの動揺。ありえない現実に、【ジャック・ザ・カーニバル】の目は曇る。
「何人たりとも、死の影より逃れる事能わず」
「こんな攻撃、どうってことないよ……ッ」
 そして、ついに炎の壁を突き破り、黒き炎と清き水がその中から姿を現す。そして、未だに動揺している【ジャック・ザ・カーニバル】のもとへ、今度こそその刃を至らせんと織久が距離を縮める。
『……チィッ』
 直前で気がついた【ジャック・ザ・カーニバル】が防御のために腕を上げるが、精彩を欠いたその防御を掻い潜り織久の振るった鎌の刃が【ジャック・ザ・カーニバル】の身体を捉える。
『ガッ……』
 深々と突き刺さった刃を、しかし織久は抜くどころか突き刺したまま追撃をかける。鎌を伝って黒い炎が【ジャック・ザ・カーニバル】へと流れ込み、小規模な爆炎と共にそれらが弾ける。
 衝撃でふらついた【ジャック・ザ・カーニバル】はなんとか体勢を立て直そうとするが、そこにさらに織久の振るう刃が迫る。足への攻撃はなんとか防いだものの、胴体を横薙ぎにされた【ジャック・ザ・カーニバル】は、その衝撃から二、三歩後退する。
「まだまだ!」
 だが、追撃を仕掛けるのは織久だけではない。腕に水を纏った極が蹌踉めいた【ジャック・ザ・カーニバル】の懐に潜り込むと、その拳を握りしめて連打を叩き込む。拳を防御してもそれを取り巻く水まで防ぐことは出来ず、水に触れた箇所は力を奪われる。
 接近戦は危険だと判断した【ジャック・ザ・カーニバル】はなんとか極と距離を取ろうとするが、極の魔法拳に対してそれは悪手だった。
「囲い込め!」
 ぱんっ、と打ち鳴らされた極の手に連動するかのように、周囲から湧いてきた水が【ジャック・ザ・カーニバル】を包み込むように迫る。それを炎で蒸発させようとしたが、明らかに火力が落ちたそれでは水を沸騰させることは出来ても蒸発させることは出来なかった。
『くそっ、力が……ッ』
 蓄積された負傷に加え、極の操る水によって力を奪われた【ジャック・ザ・カーニバル】は、抵抗虚しく極の水に取り込まれる。
「みんなの想いが伝わってくるぜ!」
 そんな【ジャック・ザ・カーニバル】の前に、フィロメーラが姿を見せる。これまで直接攻撃に回らなかったフィロメーラだったが、光り輝く宝石を握りしめたフィロメーラからは大きな魔力の波動を感じることが出来た。
「この力を一つにまとめて!」
 フィロメーラから溢れ出る魔力が握りしめられた宝石へと収束されていき、それに伴って宝石の輝きも増していく。そして、その光が一定のラインを超えた時、フィロメーラはその力のすべてを解放した。
「いっけーー!!」
 解き放たれた力は白き極光となって、水に囚われたままの【ジャック・ザ・カーニバル】を飲み込む。そのまま光は突き進み、最奥の神殿だった瓦礫へと到達し、そこで光を弾けさせた。
 光に飲み込まれた【ジャック・ザ・カーニバル】は怨嗟の声を上げながらも次第にその身体を光と同化させていき、最終的には完全に光に飲み込まれて消滅した。
「みんなの想いの勝利、だなー!」
 自慢げに小さな胸を張ったフィロメーラは、そのばでくるりと一回転してみせた。

 こうして、強大なオブリビオンであった【ジャック・ザ・カーニバル】の討伐は終わった。勝利の余韻に浸る間もなく、最後の一撃によって火山が目覚めてしまったのか振動を始めた地面をしっかりと踏みしめながら、猟兵達は崩れた地盤に押しつぶされ埋まっていく神殿を後にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト