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欲望の監獄(作者 ヨグ
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 ここは、ダークセイヴァーの地下監獄。
 石造りの壁が並び、鉄格子が嵌められ……最奥の牢は、完全に鉄で閉じられていた。
「あはは! ねぇ、もっと遊んでよ!」
「くっ……申し訳ありませんが、これ以上はお許しを……!」
 その最奥の牢から響くのは、可愛らしい女の子と男性の声。
 吸血鬼の少女の足元には、血反吐を吐いて倒れる河童の看守。
「えー、もっと私に血をちょうだいよ!」
 鉄扉の外にいる河童たちは、中の1匹がゴギりと首をもがれるのを覗き穴から見つつ、
「……今日のところは、彼で勘弁してください。」
「ぶー。明日は絶対遊んでよ!」
 パタンと覗き穴が閉じられ、少女の声が聞こえないところまで歩いて離れ、
「……ここも、居心地のいい場だったのになぁ。」
「全くだ……次に暴れ出したら、俺達のどっちかが喰われるかもしれねぇ。」
 はぁ……。
 そう肩を落としていた河童たちの元へ、急ぎ駆けてくる足音が響く。
「なんだ?」
「敵襲! 敵襲だ!」
 駆けてきた河童の声に、舌打ちと共に拷問具を掴み取り、
「……ちっ、ますます居心地が悪くなっていくな!」
「まぁいい、ここを守りきれば褒賞くらいはもらえるだろ。行くぞ!」
 河童たちは外へと駆けていった。

「皆さん、集まってくれて……その、ありがとうございます。
 あの、早速ですが、ダークセイヴァーで事件なんです。」
 グリモアベースに集まった猟兵達へ一礼し、影山は手にしたグリモアを輝かせる。
 壁に映し出されるのは、地下に広がる監獄の映像で、
「ここは、吸血鬼が作った牢屋なんですが……ここの一番奥に、強力な吸血鬼が現れたんです。
 吸血姫『プリズム』って呼ばれてて、強くなりたいっていう気持ちだけで血を求めてて……手が付けられないくらいの戦闘狂なんです。
 で、ここを任されていた看守たちは、必死で宥めすかして落ち着かせてたんですが……今度は、別の異端の神がここに攻め込んできたんです。」
 次に映し出されたのは石壁の廊下で……看守である河童の群れと、浮かぶ月に座る少女が対峙している。
 向かってくる河童たちに対し、少女の座る月から重たそうな雫が零れ……向かってくる河童と似た泥人形へと変わり、河童たちへ殴り掛かっていった。
「この女の子が、異端の神です。
 『欲望の粘土細工』って呼ばれてる、相手の欲望を捏ねて固めて、人形にして出してくる存在、ですね。
 何でここに来たのかは、ちょっとわからないですが……この異端の神なら、河童の群れの数をだいぶ減らしてくれるはず、です。
 一番奥にいる、プリズムを倒すなら、今しかないんです。」
 そう言ってゲートを開くと、石造りの冷たい廊下へと繋がった。
「えっと……敵意さえ向けなければ、異端の神はこっちに人形を差し向けてこないはず、です。
 そして、異端の神に欲望を向ければ、それに対応した人形を生みだすから……もしかしたら、有利に戦える、かもしれないです。
 あの、よろしく、お願いします。」


ヨグ
 ヨグです、同族殺しの物語をお送りします。
 停滞と破壊衝動、それを人形に変えて返す者。
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第1章 集団戦 『地下牢の看守』

POW ●『やぁ、きみは新顔だね。心より歓迎するよ』
いま戦っている対象に有効な【拷問器具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD ●『ふふ、きみの顔は靴底の泥を落とすのに最適だね』
【足】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ ●『きみは元気がいいね、なかなか楽しめそうだ』
【手錠】【鉄鎖】【劇薬入り注射器】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


虻須・志郎
全く、こんな辺鄙なところに召集とはね……だが
見つけちまったモノは仕方ねえ
五番目か……終わらせるさ

暴れる異端の神は放置
アンタに用は無えんだ、勝手にしやがれ
といいつつ眷属を忍ばせて適宜援護を
最短でルート構築だ。その後に続く

自身は情報収集――戦場を把握して
念の為足枷になる罠を仕掛ける
発動はこの次だ――覚悟しとけ
テメェの居場所はここじゃねえ

で、河童か。ハッ! 愉快だねぇ
舐めるなよ、蜘蛛の脚は二本じゃねえんだ
眷属の蜘蛛糸で河童の体制を崩し
殴って生命力吸収しながら前進
内臓無限紡績兵装の蜘蛛糸でロープワーク
足場を確保して地形の利用――上から皿を叩き割ってやらあ
眷属にアシストさせりゃ難しくない
さあ、先へ進むぜ


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

ふむふむ、これがギョフノリってやつだね!
ようし、河童たちが異端の神に気を取られているうちに一匹ずつやっつていくぞ☆

小さな身体なのを利用してこっそり隠れて河童の隙を伺って、【妖精の見えざる一刺し】で攻撃だよ♪
狙うのは河童の弱点……頭のお皿だ!帽子で隠してても隙を逃さず突き刺しちゃうぞ☆
やっつけたら背中の翅を羽ばたいて「空中浮遊」、河童の足に狙われないように上空に逃げちゃうよ!
そのまま再び隠れてどんどんやっつけていくね♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


「ぐあああ!」
「くっ、何なんだこいつは!」
 薄暗い地下監獄の廊下……拷問具を持った河童たちと異端の神が対峙していた。
「……これが、欲しい?」
 泥で出来た三日月のようなものにぼーっと座る異端の神が呟くと、三日月から泥がぼたりと落ちる。
 それはすぐに、目の前にいる河童を模したような姿の泥人形になって立ち上がり、
「あげる……。」
「要らないって言ってるだろ!」
 泥人形は鞭を手に河童へと襲い掛かっていった。

「全く、こんな辺鄙な所に召集とはね……。」
 そんな廊下へ、曲がり角から顔を出したのは、虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)。
 河童たちと泥人形が殴り合い、それをぼんやり眺めている異端の神を見て、
「で、何やってるんだ? あいつらは。」
「なんか、戦いっていうより……喧嘩かな?」
 虻須の横に浮かんで応えるのは、フェアリーのティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。
 相手の2勢力……特に河童たちはこちらに全く気が付いていない様子に、
「こういう時に河童たちを倒すことをなんて言ったっけ? ギョフノリだっけ?」
「ああ、それだ。」
「やった、合ってた♪ じゃあ一匹ずつやっつけていくぞ☆」
 そのまま、小さい身体を生かして隠れて飛んでいくティエルを見送り、
「……見つけちまったモノは仕方ねえ。五番目か……終わらせるさ。」
 監獄の一番奥にいる吸血鬼を想い呟いた虻須も、廊下へと飛び出した。

「ん……あなた、は?」
 後ろから現れた虻須へと、ぼんやりした視線を向けてくる異端の神。
「アンタに用は無えんだ、勝手にしやがれ!」
「……解った。」
 異端の神は思いのほか素直に、虻須から河童へと視線を戻す。
 足元から眷属の毒蜘蛛を放ちながら、周囲の地形を額のゴーグルから確認していると、
「新手か!」
「なんだ、人間か!?」
「ハッ! テメェこそ河童か、愉快だねぇ!」
 虻須に気が付いても、泥人形を相手に手いっぱいの河童たち。
 そんな河童の頭に、小さな一つの影が落ちる。
「えーい!」
「ぐあああ!」
 真っ直ぐに、河童の帽子の上から突き立てられた、ティエルのレイピア。
 パキリと皿の割れる音が響き、断末魔の叫びと共に河童が塵へと変わる。
「く、貴様!」
「うわっと……へへーん、ここまで届かないよね☆」
 隣の河童から蹴りが飛ぶが、ティエルの翅の方が早い。
 河童の足をすり抜けて飛び上がり、
「でも、私ばっかり見てていいのかな?」
「何……ぐあ!?」
 河童の足が蜘蛛の糸に絡まれ、蹴り上げた勢いのまま転んでいた。
「俺もいるんだぜ?」
「がはっ!」
 虻須の拳が転がる河童の頭を殴りつけ、皿ごと叩き割る。
 しかし、下がった虻須の頭へと突き出される河童のブーツの底。
「これは、足の拭き甲斐があるね!」
「……そうかい?」
 その言葉を残し、虻須は空中へ吸い込まれるように浮き上がっていく。
「くっ!?」
 その背から伸びる、蜘蛛の糸から編まれたロープに引っ張られていた。
「舐めるなよ、蜘蛛の脚は二本じゃねえんだ。」
「それに、ボクの事も忘れないでよね!」
「ぐあああ!」
 背後からレイピアを突き立てられ、ティエルの下に河童の形に塵の山が出来上がっていた。

「よーし、この辺りの河童は倒したね☆」
「ああ、お疲れさん。さて……、」
 静かになった廊下の先を見れば、泥の三日月が先に浮かんでいる。
「……あいつは何しに来たんだろうな。」
「河童たちを倒しに来たのかな?」
「うーむ……。」
 分からん……と二人は少し首を捻り、そのまま監獄の奥を目指していた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

リーヴァルディ・カーライル
…欲望ね。私の望みは過去の存在を討ち果たし、
人類に今一度の繁栄を、この世界に救済をもたらすこと

…その望みを叶える人形がどんな姿か、私に見せてみて

事前に全身を"風精の霊衣"のオーラで防御して音や臭いを遮断し、
小石のように存在感を希薄にして闇に紛れ同族殺しに祈りを捧げ、
自身の望みを叶える人形を召喚してもらう

…さて。彼方は任せて私は別の敵を狩るとしましょうか

今までの戦闘知識から敵の死角を暗視して切り込み、
右腕に自身の生命力を吸収して魔力を溜めUCを発動

…お前達の顔は何の価値も無さそうね

限界突破して暴走する怪力の右手に持った呪詛を纏う大鎌を、
残像が生じる早業で無数になぎ払い敵を乱れ撃つ


「これ以上、奥には行かせん!」
 監獄の廊下に並ぶ河童たち。
 彼らを異端の神は泥細工の三日月の上から見下ろし、
「……そう。」
 一言だけ呟くと、ぼたりと泥を床に零す。
「くっ、これが俺達なのか!」
 その泥からは河童たちに似た姿の者が立ち上がり、河童たちへと襲い掛かっていった。

 そうして泥人形と河童たちが争っている様を異端の神がぼーっと眺めていると、
「……あなたは、人の持つ欲望を人形にするのよね?」
 小さく言葉が耳元に入ってきた。
 異端の神が顔を横に向けると、そこには祈りを捧げるリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の姿。
「そう……ね。」
「……それなら、私の望みを人形にして見せて。」
 そう話すリーヴァルディの姿を認識しているのは、異端の神だけだった。
 暗がりに隠れて気配を消し、言葉は風にのせて異端の神にしか届かない。
「……過去の存在を討ち果たし、人類に今一度の繁栄を……この世界に救済をもたらすこと。」
「……解った。」
 頷きながらそう応え、異端の神の手が三日月の泥を掬う。
 リーヴァルディの顔を見ながら軽く捏て床に落とすと……その泥から立ち上がるのは、剣を手にした女性の姿の泥人形。
「……さぁ、いきなさい。」
 頷き、河童たちへと斬りかかる泥人形には、少しずつ精細な造形が浮き出していく。
 村娘といった服装で、その顔はリーヴァルディに似て、
「ぐああ!」
「くっ、新手か!」
 河童の一人を斬り裂く表情は、悪へと立ち向かう聖女のモノ。
 別の河童のブーツに蹴られるが、その程度では動じずに剣を振るっていく。
「……なるほどね。」
 奮闘する泥人形を視界に納め、自嘲気味な笑みを浮かべたリーヴァルディは、自身の右腕の封印を解く。
 気配を消し、暗がりから近づくリーヴァルディに、河童たちはまったく気がついていない。
「がはっ!」
「……無防備にもほどがあるんじゃない?」
 泥人形の方へと気を取られていた河童を、残像が残るほどの速度で大鎌が斬り裂く。
 吸血鬼と化して暴走する右腕を支配下におきながら、リーヴァルディは次の獲物へと刃を振るう。
「黙れ! 貴様らの相手などしたくはないんだ!」
「……そう。」
 もはや、残った河童も何を言っているのかわからなくなっている。
 そんな彼を背後から泥人形が剣で斬り付け、
「……お前達には、何の価値も無さそうね。」
 リーヴァルディの大鎌が河童を頭から真っ二つに斬り裂いていた。

「……それにしても。」
 その場にいた河童たちを倒した時、リーヴァルディを模した泥人形が崩れていった。
 最後に、リーヴァルディにむけて優しく微笑みを向けて……。
「……あの異端の神には、私がそう見えたの?」
 死神のような黒衣で、呪詛の篭る大鎌を振るう姿。
 それと掛け離れた泥人形は、今はただの泥となって床に広がっていた。
成功 🔵🔵🔴

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※MSより
 身内に不幸があり、少しの間執筆が困難になります。
 参加をお考えの方は、26日以降のプレイングの送信をよろしくお願いします。
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ。お好きに。
汝が為したいように為すがよい。
妄想世界(結界術)を展開し、分霊(式神使い/集団戦術)達であえて拷問を受けるわ。コウノトリ(ハゲタカの娘)が割とお気に入り☆ま、妄想世界の中なので拷問の果てに されてもすぐにリポップしますが。
さて、私に向けられたカッパ達の欲望はすべて読心術を介した第六感の転写で異端の神へと、自分へと向けられたと誤認した異端の神はカッパ達の欲望をこねこねしてカッパ達へと差し向けるでしょう。そう、カッパ達は私に施した拷問の数々を自分でうけるのだ。
分霊でなく本体に触れて深淵に引きずり込まれるのとどっちがマシかしらね?(くすくすくす


「くっそ、侵入者は……。」
「こっちだ!」
 走ってきた看守の河童たちが角を曲がると、なぜかその廊下は拷問器具が並んでいる。
「……おい。誰だよ、ここに出しっぱなしにしたのは。」
「た、すけ……て……。」
 か細い声に視線を向ければ、拷問器具には少女たちがかけられている。
「え、何でここに?」
「……そんなことはいい。せっかくの居場所を崩されてむしゃくしゃしてんだ。」
 疑問を覚えた河童もいたが、1人が首枷手枷足枷が一緒になったコウノトリと呼ばれる器具にかけられた少女へと、鞭を振り上げる。
「おら、これでどうだ!」
「ぎ……ぐぁ……っ!」
 身動き一つできずに殴られ、その肌が裂け……痛みに身を捩れば、枷が喰い込んでいく。
「ギ……ァッ……。」
「……俺もやってやる。」
「ひっ!? や、やめ……。」
 悲鳴に誘われたか、ほかの河童たちもネジや滑車など、様々な拷問具を操り動かしていった。
 嗜虐的な笑みを浮かべ、狂気の宿る瞳で苦しむ少女たちを見つめている……。
 しかし、河童たちは気が付いていない……責め殺したはずの少女が、また別の拷問具にかけられている事を。

「それが私の望みよ。」
「……わかった。」
 三日月に座る異端の神が泥を手に取り、捏ねるのを楽し気に見つめる、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)。
 生みだされていくのは、動く拷問具たち……それも大量に、異端の神の手から零れ落ちていく。
「へぇ……なかなかえっぐいわね。」
 生みだされた拷問具はアリスの願望ではない。
 アリスによって生み出された世界で、アリスの分霊である少女たちへと拷問を行う河童たち……その望みを覗き見て、異端の神へと見せた結果だ。
「ふふふ……さぁ、ショータイムよ。」

「ひひっ! どうだ、これで……ぐひっ!?」
 突如、1人の河童の身体が拘束される……すべてが繋がった枷に、身動きできない形で。
 最初に責め殺した少女につけた、コウノトリにかけられて。
「がっ……こ、これ、は。」
「ぐああああ!」
 後は河童の悲鳴が支配する空間と化していた。
 ネジに頭蓋を割られる者、滑車に身体を伸ばされる者、真っ赤に焼けた靴を履く者……それはすべて、河童たちが操っていた拷問具。
「分霊でなく本体に触れて、深淵に引きずり込まれるのとどっちがマシかしらね?」
 苦しみ死んでいく河童たちを、アリスはクスクスと笑いながら楽し気に見つめていた。
成功 🔵🔵🔴