#アポカリプスヘル
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アポカリプスヘルでは、足りるものを探す方が大変だ。武器弾薬、日用品、そして食料。最近では猟兵達の活躍によって、拠点に大規模農場が併設される事が見られるようになった。これは大きな変化、そう言って過言ではない。
「ええ、ええ、だからこそのボーナスタイムですよ! 皆さん」
『イッヤッハー!!』
巨大トラックに備え付けられたスツールに腰掛け、赤いスーツの怪人が手を叩く。喝采を上げるのは略奪者、レイダー達だ。
「思索実験機ヘの228理81走デス四、今回のゲームで皆さんにお与えするのはコレです。AI搭載型歩行戦車ですが……あ、まぁ、細かい点は考えなくてよろしい。重要なのはコレを使っての『ゲーム』の内容です」
『イッヤッハー!!』
「あそこ、見えますね? 最近、生意気にも大規模農場を営むようになった拠点です。あの大規模農場と拠点が今回のゲームフィールドです」
瓦礫の上から見下ろすのは、荒れているがしっかりとしたビルの拠点とアスファルトを引き剥がして耕された麦畑だ。まだ穂は実っていなないが、時期になれば多くの人々の胃を満たす食料となるだろう。
「ダメです、この世界でそんな生産性ある生き方してどうするのか! 『ゲーム』の締めでキャンプファイヤーにして燃やしますよ?」
『イッヤッハー!!』
「男は5点、女は10点。子供は+5点で、老人はななんと! +10点です! 皆さん、気張って殺し回ってください!」
『イッヤッハー!!』
地響きを立て、大量のAI搭載型歩行戦車がなだれ込んでいく。それを満足気に見送り、怪人――シックスは仮面の下で笑っていった。
「ハハハハハハハ! ゲームスタートですよォ!」
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「人の命を駒にしたゲームなど、あってたまるものか」
不機嫌を隠さず、ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は吐き捨てる。そして、猟兵達を見回して言った。
「アポカリプスヘルではおぬしらの活躍で、ようやく大規模な農場を手掛ける者たちが出てきたのだが、今回レイダー達に狙われるのはそんな場所の一つなのじゃ」
シックスとそれが率いるレイダー達は、『ゲーム』と称して拠点に生きる人々を殺し、ようやく実ろうとしている麦畑を焼き払おうとしていた。
「そのような真似、決して許せん。現地に向かい、連中を退治してくれ。頼んだぞ」
波多野志郎
イッヤッハー!! 波多野志郎です。
今回はアポカリプスヘルで、『ゲーム』と称して人々の命を奪うシックスと愉快な仲間達を倒していただきます。
なお、第三章は農作業を手伝うパートとなります。ぜひ、第三章まで楽しんでいただければ幸いです。
それでは、『ゲーム』をお楽しみくださいませ。
第1章 集団戦
『思索実験機ヘの228理81走デス四』
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POW : 天才式赤熱飛翔拳・有線型
【赤熱した腕部装甲を展開し飛ばす攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【拘束と、腕のコードを巻き戻しながらの追撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 搭乗者を省みない突進
【両腕装甲を展開、点火し加速した 】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【陣を組んだ仲間】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : 蘇る脳細胞
自身が操縦する【ゾンビ 】の【無意味だが知力】と【反応速度】を増強する。
イラスト:草間たかと
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
銀山・昭平
ゲーム感覚で殺し回るってなら、おらもその悪い遊びを全力で止めてやるだけだべ。
◆行動
敵さんたちは単純な攻撃が多いが、農地が近いから戦うときはそれも気をつけねぇといけないべ。
ここは【銀山流即席絡繰術・弐式】による【罠使い】で、【マヒ攻撃】の電流フェンスを用意して、でかいからくりを一網打尽にしてやるべ。突進で陣を組んでくれればしめたもの、陣ごとまとめてブッ倒してやるべ。
或いは、【防具改造】で耐熱の作業着にしてからわざと相手の腕部装甲に捕まって鉄挺(バールそのもの)による【とっさの一撃】で搭乗者のドタマをそのまま狙ってやるのも良さそうだべ!
御剣・刀也
典型的な小悪党だな
殺しがゲーム?じゃあお前達に教えてやるよ。人に殺意を向けるとき、その相手もまた殺意を持ってることを
殺される覚悟は出来てるんだろ?出来てないなんて言葉は聞く気はねぇ
天才式赤熱飛翔拳・有線型を見切り、第六感、残像で避けて巻き戻るコードよりも早く勇気で追撃を恐れずダッシュで一気に距離を詰めて懐に入り込んで捨て身の一撃で搭乗者事、機体を斬り捨てる
「ふん。殺される覚悟もない奴が、興味本意で人を殺すか。悪いなお前らを生かしておく気はない。武器を抜くってことは殺される覚悟が有ったと言うことだ。じゃあな。授業料が高くついたな」
秋津洲・瑞穂
あら。うちの家業だわ。
うちの初代、お伊勢から今の郷へ、農を教えに行ったのよね。
そしたら豊かにはなったけど、まー襲われる襲われる。
近在の村々を束ねて跳ね返していたら、いつの間にやら戦巫女。
「田畑を守って二千年。稲霊の巫女は尋常ではないわよ」
食べ物目当てなら殴り倒してから食べさせるけど、
焼き払いにくる罰当たりには、自ら灰になってもらいましょう。
敵軍の正面に立ちはだかって狐火の乱舞。
「おいでおいで、火の子たち」
狐火は個別に動くから、多様な戦術が可能です。
敵一人に数体で掛かりつつ、後続も無尽蔵というね。
「鉄をも燃やす御霊の炎。隙間だらけの絡繰りでは防げない」
一部を手元に残して身を護ることも出来ますよ。
リコリス・ガレシア
普段は、のんびりした少女。
戦闘時は、クールな鬼の少女。
「ここから先には行かせないのです!」
少女の怒りに対応。
夜のような黒髪、血のような赤眼、彼岸花模様の着物。
頭には帽子の代わりに、般若の面を斜めに被ります。
「外道相手なら情けは無用だな」
左腕が変化した天叢雲剣を右手で抜刀し、突進してくるマシン相手に隻腕で構える。
「俺は尼でも巫女でもない。力尽くで、あの世に送ってやる」
【天候操作】で暴風雨を起こし、雷で薙ぎ払う。
「悪いが殲滅させてもらう」
近づく敵は、雨風で動きが鈍くなったところを【明鏡止水】で関節部などの急所を見切り切り裂く。
「遅い」
【怪力】で崩した残骸を陣を組んだ相手にぶつける。
「纏めて墜ちろ」
馬県・義透
四人の複合型悪霊。生前は戦友。
疾き者「イライラしますねー、こういう敵」
静かなる者「同感ですな」
不動なる者「一番、怒りを力に変える『者』がでるか」
第三人格『侵す者』が表出。
一人称:『わし/わしら』豪快古風
対応武器:黒燭炎
端的にいうと。『わしら全員を怒らせた』。
何がゲームだ、人の命、農場を何だと思って…!
故に【それは雷のように】を使用しての攻撃。
敵のは戦闘知識、第六感、見切りを駆使する。
ああ、もちろん、農場に被害を出さぬようには気をつける。
本意ではないからの。
※依頼を表出して聞いていたのは『疾き者』。
四人ともオブリビオンに殺されてるので、とても怒っている。
一人称『わしら』は四人総意の意味。
サオササ・テセル
理解できない」彼らの雄たけびにポツリと呟いて私は学生服を脱ぎ武装を展開する/突進攻撃対応/【空中浮遊】【空中戦】【念動力】で2つの子機を虚空に浮かせ【先制攻撃】【誘導弾】を攻撃の主軸に敵の群れを容赦無く叩く/回避には【ロープワーク】【第六感】【見切り】【空中浮遊】【空中戦】の動きを読ませない軌道に防衛けん制として手に持った武装の【乱れ撃ち】/陣を組むのなら【集団戦術】で敵の次の動きまで予測後【弾幕】【制圧射撃】【貫通攻撃】/【戦闘知識】【学習力】から導き出された【武器改造】そして【継戦能力】が私と皆の戦いを下支えしてくれる。私の本来の役目は戦う皆を支える事…負けはさせない
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
「気に食わねぇな」
別に正義感から猟兵になったわけではない。
だが、こんなふざけたゲームに何も感じないほど薄情ではない。
「推して参る」
得物は徒手格闘【グラップル+戦闘知識】
先ずは『観』【視力+第六感+情報収集】る。
呼吸を整え、無駄な力を抜き、目付は広く、周囲の地形状況、敵戦力の数と配置を確認。
周囲の遮蔽物と雑魚のレイダーを盾にするようにして『思索実験機』の懐に飛び込み、間合いを殺し、接続されているゾンビを狙う。
また腕部装甲が展開されたら、赤熱化と機体と腕部の方向から、射角とタイミングを見切ってUCにて受け止める。
そのまま機体ごとブン回して周りの雑魚と他の機体にぶつける。
●『ゲーム』スタート
穏やかな風に揺れる小麦畑を見て、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は懐かしそうに呟いた。
「あら。うちの家業だわ」
そこに込められた笑みは、遠く記憶を掘り返すような淡いものだった。
「うちの初代、お伊勢から今の郷へ、農を教えに行ったのよね。そしたら豊かにはなったけど、まー襲われる襲われる。近在の村々を束ねて跳ね返していたら、いつの間にやら戦巫女」
狩猟ではなく、農耕の良い点であり悪い点であった。狩猟生活のように住居を転々とせずにすみ、住居の確保は楽になる。しかし、外からの驚異から易々と逃げる訳にもいかなくなるのが農耕の困った点で。
「田畑を守って二千年。稲霊の巫女は尋常ではないわよ」
瑞穂が、懐かしい光景から視線を逸らす。懐かしみたくない光景がやって来るのが、わかっていたからだ。
『イッヤッハー!!』
瓦礫の向こうから聞こえる奇声。それに農作業をしていた者の一部が気づいた。
「レイダー、レイダーどもだ!」
「ちくしょう! 女子供を避難させろ! 男連中は武器をもってこい!」
「ここまで育てたんだ、奪わせるかよ!!」
拠点も騒がしくなる。ふと、農民の一人が一つの後ろ姿に気づいて声を張り上げた。
「あんた、逃げろ! 殺されるぞ!」
「理解できない」
ぽつり、とサオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)がこぼす。気遣ってくれた農民にではなく、襲い来るレイダー達に向かっての言葉だ。サオササは学生服を脱ぎ、武装を展開した。
「ゲーム感覚で殺し回るってなら、おらもその悪い遊びを全力で止めてやるだけだべ」
「典型的な小悪党だな。殺しがゲーム?じゃあお前達に教えてやるよ。人に殺意を向けるとき、その相手もまた殺意を持ってることを。殺される覚悟は出来てるんだろ? 出来てないなんて言葉は聞く気はねぇ」
銀山・昭平(田舎っぺからくり大好き親父・f01103)が、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が、膨大な数のAI搭載型歩行戦車の前に立ち塞がっていく。農民は、ハッと息を呑んだ。
「……あんた等、噂の猟兵か?」
答えはない。ただ、その後姿こそが答えだった。
「ここから先には行かせないのです!」
リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)の夜のような黒髪が揺れる。血のような赤眼、彼岸花模様の着物――頭に帽子代わりに般若の面を斜めに被った。
「外道相手なら情けは無用だな」
「ああ」
上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は喧嘩用オープンフィンガーグローブを嵌めると、近づく地響きに吐き捨てた。
「気に食わねぇな」
修介は、別に正義感から猟兵になったわけではない。だが、こんなふざけたゲームに何も感じないほど薄情ではない。
「推して参る」
『イッヤッハー!!』
守る者と奪う者、猟兵とレイダーの激突が始まった。
●遠雷は実りを約束する
双方が激突する寸前、瓦礫の上で『彼等』は短く言った。
「イライラしますねー、こういう敵」
「同感ですな」
「一番、怒りを力に変える『者』がでるか」
一人の口からこぼれる、疾き者・静かなる者・不動なる者――そして、最後の侵す者が黒燭炎を手に言い捨てた。
「端的にいうと。『わしら全員を怒らせた』。何がゲームだ、人の命、農場を何だと思って……!」
四人の複合型悪霊――馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)が、その身を翼の生えた虎へと変じていく。そして、虎は黒燭炎は飛び立つと大量のAI搭載型歩行戦車の上空を舞い――轟音と共に、雷の雨を降らせた。
雷に撃ち抜かれ、先頭の二台が地面を転がる。後からやってきた歩行戦車達は迷わず元仲間を踏み砕いていった――競争相手が減った、その程度の認識だった。
「食べ物目当てなら殴り倒してから食べさせるけど、焼き払いにくる罰当たりには、自ら灰になってもらいましょう」
瑞穂が舞い踊り、その周囲に狐火が点る。舞に誘われた狐火達に、瑞穂は歌うように囁いた。
「おいでおいで、火の子たち」
ボボボボボホボボボボボボボボゥ!! と狐火達が、歩行戦車達へと飛び込んでいく。レイダー側は陣形を組むと、加速して突撃してきた。
「クハハハハハハ! 火なんざ効か――ああああああああああああ!?」
効かない、と言おうとしたレイダーが、ガクン! と歩行戦車の体勢が崩れる。膝関節に入り込んだ狐火に、関節部が溶かされたからだ。
「この絡繰を使えば、お前なんてイチコロだべ! ……多分」
昭平の銀山流即席絡繰術・弐式によるトラップが、同時に発動する。ガツン! と眼前に展開される金網――高圧電流の流れる電流フェンスが触れた端から歩行戦車達の前進を食い止めていった。
前がトラップにかかった事で、後方は左右に展開しようとする――それを牽制したのは、サオササのサイコ・スフィア・スナイプ・レールガンとサイコ・スフィア・ブラッジ・ライフルの十字砲火だった。
「させません」
猟兵側とレイダー側の大きな差は数ではない。猟兵側が協力できる仲間であるのに対して、レイダー達は競争相手――敵に過ぎないのだ。だからこそ、一時的共闘はあってもすぐに切り捨ててしまう。サオササの戦術視点で見れば、それは大きな隙だった。
「フゥ――フッ!」
そして、仲間と敵の呼吸を読んで修介が一気に間合いを詰める。反射的に機械の拳で反撃する歩行戦車に、修介は紙一重で身を沈ませ回避。体当たりの要領で歩行戦車のスネ部分にぶつかると、その勢いのまま押し込んだ。
「んな!?」
「温い」
歩行戦車の巨体が、宙に浮く。人力では不可能なはずのそれは、純粋な力学、純粋な術理があってこそだ。修介は柔を持って歩行戦車を浮かせると、繰り出した手刀で運転席を貫いた。
「くそが! 化け物か、テメェ等!」
歩行戦車の三台が、赤熱した腕部装甲を展開し飛ばした。ワイヤードロケットパンチ、とでも言うべきそれを修介は歩行戦車を盾に受け止め、刀也は残像を囮にかいくぐった。
「それが何だ?」
ワイヤーが引き戻されるより速く、刀也は駆ける。跳躍からの大上段、刀也の獅子吼の一閃が操縦者ごと縦一文字に両断した。
「上等だァ!! 難易度激ムズだから『ゲーム』は盛り上がるってもんだろうが!」
「俺は尼でも巫女でもない。力尽くで、あの世に送ってやる」
左腕を天叢雲剣へと変化させ、リコリスが言い捨てる。右手で剣を掴み、隻腕で構えた。
『イッヤッ―――』
ズザン――! と、レイダー達の叫びがリコリスの横一閃に繰り出した天叢雲剣の切断音に飲まれて消えた。
●第一ステージ――
もはや、『ゲーム』のジャンルが違った。ポイント制の的撃ちが3Dアクションゲームになっていた。レイダー側からすれば完全に難易度はルナティック――正気の沙汰ではなかったろう。
「っうらあああああああああああああああああああああ!! 気持ちよく殺してぇのに邪魔すんなァ!!」
そう、正気など彼等には無かった。蘇る脳細胞が使用できる時点で、彼等はゾンビと等しかったのだから。
「ふん。殺される覚悟もない奴が、興味本意で人を殺すか。悪いなお前らを生かしておく気はない。武器を抜くってことは殺される覚悟が有ったと言うことだ」
歩行戦車が突撃してくる。刀也は同時に地面を踏み砕きながら踏み込み――獅子吼を薙ぎ払った。
「じゃあな。授業料が高くついたな」
ずるり、と歩行戦車の上半身が横へ『ずれ』る。ガシャン、と倒れた上半身と下半身を見届けることなく、刀也は次の獲物を捜して走り出した。
(「私の本来の役目は戦う皆を支える事……負けはさせない」)
数が減ってきた歩行戦車だが、散解出来ないでいたのはサオササのサポートがあったからだ。サイコ・スフィア・スナイプ・レールガンとサイコ・スフィア・ブラッジ・ライフルが戦場を縦横無尽に飛び回り、突進のタイミングが潰されるのだ。
ヒュガガガガガガガガガガガガガ! と強引にサオササの掃射を一体の歩行戦車が抜けていく。装甲に穴が空き、ひしゃげていく中、それでも抜けられた意味は大きい――。
「お返しだ、ああああああああああああああああああああああ!?」
だが、抜けた先には昭平がいた。そう、抜けたのではない。そこへ誘導されたのだ。
「どんぴしゃだべ!」
昭平が渾身の力で鉄梃を振り下ろす! 直後、歩行戦車が大爆発を巻き起こした。
「くそ! 一回退いて態勢を立て直すぞ!」
「命令すんなボケ! 後退! 戦略的後退!!」
状況の悪さにレイダー達が後退しようとした、その時だ。後退しないのだ、もちろん前進もできない――その理由を告げたのは、瑞穂だ。
「鉄をも燃やす御霊の炎。隙間だらけの絡繰りでは防げない」
サオササのサポートで集められた歩行戦車達を前衛が抑え、その隙に瑞穂の狐火達が内側から燃やしたのだ。関節部は溶け、骨格は歪み、駆動系に異常が出る――動けるはずがなかった。
「そろそろ、お前達の終わりだ」
体勢を崩した歩行戦車の一体を、一本背負いの要領で修介が投げ飛ばす。まるでボーリングのように、動けない歩行戦車達が地面に転がり――。
「悪いが殲滅させてもらう」
「潰れろ」
リコリスの天候操作と『侵す者』のそれは雷のように(ウゴクコトライテイノゴトク)が、同時に雷霆の豪雨を降らせた。内側を熱でショートさせていたところに雷を受けては、歩行戦車の回路が持つはずもない――レイダー達は連鎖で爆発し、四散した……。
大成功
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第2章 ボス戦
『シックス』
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POW : ルールP『まばたきもしてはならない』
【対象に視認されていない瞬間に限り】【あらゆる過程を吹っ飛ばし瞬時に】【首の骨を折って体内の異次元へと取り込む力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD : ルールS『見てはならない』
【対象が自身の頭部を視認している瞬間に限り】【あらゆる過程を吹っ飛ばし瞬時に】【対象を粉々に粉砕して異次元へと吸い込む力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : ルールW『見られてはいけない』
【自身が対象を直接視認している瞬間に限り】【対象のUC使用を封じた状態を維持し】【近付き触れただけで異次元空間に捕らえる力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
イラスト:すねいる
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ロニ・グィー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第二ステージ
「ハハッ! ハーハハハハハハハハハハハハハ! いやぁ、綺麗な花火じゃあ、ありませんか」
シックスは立ち上がり、歩き出す。その動きに気負いはない。ちょっと近所に散歩に出かけるような気楽さだ。
「ええ、ええ! 『ゲーム』変更です! 今度はあなた達がプレイヤーだ、猟兵!」
パン! と胸の前で手を打ち、シックスは仮面の下で笑った。
「せいぜい、楽しんでください! さぁ、このステージのラスボスの登場ですよォ!!」
両手を広げたシックスは、瓦礫の山から落下する。爆発した、かつてのプレイヤー――元部下達の上へと。
秋津洲・瑞穂
「簡単すぎてゲームにならないけど、いいの?」
二千年勝ち続けた世襲巫女の継嗣だと言っているのに。
産まれ落ちた瞬間から修業が始まり、寸毫も途切れることはない。
一挙手一投足どころか、目の配りから指先の向きまで全てが儀式。
そうして作り上げた心身を持つが故に、幼くして剣豪たり得る。
それ位でなければ、今ここに立ってはいない。
自身の身体を制御し損なうほど素人でもないし、
瞬時の残像術を得意とするわたしが相手を見失っては笑い草。
目を閉じるな、追い続けろというならば易々と為してみせましょう。
見切り/残像/ダッシュ/鎧無視攻撃/2回攻撃の剣刃一閃、
突撃戦を延々続ける継戦能力、
止められるものなら止めてみなさいな。
御剣・刀也
お前が大将か
こんな雑魚どもをけしかけといて、次は俺たちがプレイヤーだと?
なら地獄に叩き落としてやるよ
ルールP『まばたきもしてはならない』で攻撃されないよう第六感と見切りで相手の動きを予測し、視界に納めておく
もし、視界から逃れたら、第六感、見切り、残像で攻撃を避けて、カウンターと捨て身の一撃で反撃する
相手の反撃は勇気で恐れず、攻撃をくらう前に捨て身の一撃を打ち込む
「異次元を使う相手か。なら、お前が異次元に逃げる前に貫いてやる!」
サオササ・テセル
相手の力を把握し私は一瞬愕然と戦意喪失し銃を下げてしまった
間違いない、あの存在は
「全て夢の泡にし破裂崩壊させる自我を生んだ半身」と同じ力の根源の持ち主…
(ぽつりと独白:ゲーム主催者がゲーム版壊しに来るなんて酷い理不尽…」
瞬時に身を隠しルールS対応に動く
【武器改造】で子機の弾を【爆撃】できる【誘導弾】に切り替え深呼吸で【落ち着き】を取り戻す
仲間を瞬時粉砕はさせない
攻撃主軸は【念動力】で動く子機で【爆撃】し顔を直接見ずに戦う。
自分自身は【弾幕】+【範囲攻撃】で敵の足を止め【ロープワーク】【第六感】【見切り】【空中浮遊】【空中戦】で飛び回る
相手は強大だけどその力の大きさからくる侮りが突破口?
馬県・義透
引き続き『侵す者』
ややこしいルールだの…!
いやまて、ルールSは…(普段から目閉じな人たち)
手伝え、『疾き者』!生前から目閉じなお前とならいける!
戦闘知識と第六感を駆使し、呪詛つきの2回攻撃を行う!
『わしら』の連携をなめるな!!
※
第一人格『疾き者』忍者
一人称『私/私たち』のほほん
対応武器:漆黒風
まあ、今の身体は大半私が元ですからねー。
(怒りで語尾伸ばし消失)
ええ…あのふざけたGM気取りにはちょうど良いでしょう。
私は暗殺の要領で動きつつ、早業で漆黒風を投擲。属性攻撃で風も着けておきましょうか。
そう、連携をなめない方がいい。ここには『四人』だけでなく…他の猟兵もいるのですから。
銀山・昭平
うーん、要するにこっちはずっと胴体だけを見て、相手に見られないようにする、ってのが手っ取り早いが、流石に全部満たすのは難しいべ。
こういう時こそ、【銀山式絡繰人形部隊】の出番だべ。
おらは適当な物陰に隠れながら、相手のまんまるな頭を見ないように、【暗殺】の技術を用いて相手に認識されないように近づいていくべ。そしてある程度近づけたら人形たちで全軍突撃だべ!
人形たちに【存在感】を仕込むことによっておらが隠れてる場所もわからねぇ、って寸法だべ。
リコリス・ガレシア
鬼の少女は【明鏡止水】の極致で感じ取ります。頭部を見たらやられると。
「面倒な相手だ。こういうやつが相手ならアイツのほうが得意だろうにな」
自分を宿す主たる少女の持つ別の人格を思い出し愚痴りながら、おもむろに斜めにかぶった般若の面を顔の正面にピタリと合わせます。
「手加減はできない」
敵を視認しないように目を瞑り、隻腕の右手で天叢雲剣を構えます。
「かかってくるといい」
般若の面で強化された闘争本能【第六感】と【明鏡止水】の極致により、目を瞑った状態で的確に敵の動きを見切り回避、または神剣で【武器受け】します。
「無駄だ」
強化された身体能力が【残像】を伴う高速戦闘へ敵を誘います。
「全力で行かせてもらう」
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
「この期に及んでゲームマスター気取りか」
――為すべきを定め、心は水鏡に
「遊んでやる。堪能して去ね」
調息、脱力、先ずは観る。
得物:徒手格闘
UC:防御重視
奇怪な頭部と相手の『ゲーム感覚』の所為で、視線や殺気、闘気を読んで攻撃のタイミングと軌道を見切るというのは困難だろう。
端から回避を捨てダメージ覚悟で強引に間合いを詰め、至近戦闘に持ち込む。
常に敵の姿を視野に納めることに注意。
視野角と動体視力には自信があるが、もし視認できない状況になった、あるいはなると想定される状況になった場合は左手『首の骨』を自分で折って強引に条件を満たして、敢えて内部に飛び込み、内側からラッシュを叩き込む。
●『ゲーム』第二幕
「ええ、ええ! 『ゲーム』変更です! 今度はあなた達がプレイヤーだ、猟兵! せいぜい、楽しんでください! さぁ、このステージのラスボスの登場ですよォ!!」
虚空から舞い降りる赤いスーツ姿の男――シックスが、猟兵達の眼前に降り立った。両手を広げ、慇懃無礼に一礼する。
「お前が大将か。こんな雑魚どもをけしかけといて、次は俺たちがプレイヤーだと?」
「ハハハ、大将などと! ただの提供者に過ぎません」
獅子吼の切っ先を突きつける御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)に、シックスは仮面の下で笑みを崩さず言ってのける。
「この期に及んでゲームマスター気取りか」
上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の言葉に、シックスは肩をすくめて答えた。
「仕方ありません。他に提供者がいてくれませんので」
「ゲーム主催者がゲーム盤壊しに来るなんて酷い理不尽……」
思わずこぼしたサオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)の独白こそ、正論だったろう。しかし、シックスはどこ吹く風だ。
「なぁに、私はライブ感を大事にしているだけです……ようは、その場が面白ければルールなんて捻じ曲げたっていいんです。ゴールデンルールって、ご存知です?」
少なくとも、ゴールデンルールはそういうものではない――そう指摘するものなどいなかった。サオササは本能でシックスの能力を察知して、一瞬愕然と戦意喪失し銃を下げてしまう。
(「間違いない、あの存在は「全て夢の泡にし破裂崩壊させる自我を生んだ半身」と同じ力の根源の持ち主――」)
不意に、シックスの姿が消える。いや、消えたと思わせるほどの超高速で死角へとその姿を消したのだ。
次の瞬間、ガキン! と火花が散った。
「簡単すぎてゲームにならないけど、いいの?」
「ほう?」
視線も向けず秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)が抜いた神獣刀が、シックスの伸ばした右腕を受け止めたのだ。瑞穂の横顔を見下ろし、シックスは感嘆の声をこぼす。
「二千年勝ち続けた世襲巫女の継嗣だと言っているのに……産まれ落ちた瞬間から修業が始まり、寸毫も途切れることはない。一挙手一投足どころか、目の配りから指先の向きまで全てが儀式。そうして作り上げた心身を持つが故に、幼くして剣豪たり得る。それ位でなければ、今ここに立ってはいない」
「ハッ! 二千年の研鑽!? 桁が違いますねぇ!」
笑い、再びシックスは姿を消す。タン、と軽い調子で離れて瓦礫の上に着地すると、シックスはゴキリと両手の指を鳴らし、腰を落として身構えた。
「ならば、ここから先こそ本領――P、S、W。三つの複合で挑ませていただきます」
ルールを司る――だからこそのゲームマスター。シックスは、己のルールの全てを持って猟兵達へと挑みかかった。
●GMからの挑戦
「うーん、要するにこっちはずっと胴体だけを見て、相手に見られないようにする、ってのが手っ取り早いが、流石に全部満たすのは難しいべ」
銀山・昭平(田舎っぺからくり大好き親父・f01103)は、そう小さくこぼす。
ルールP『まばたきもしてはならない』。
ルールS『見てはならない』。
ルールW『見られてはいけない』。
この三つを同時に満たす、それは困難なはずであった――本来なら。
「ややこしいルールだの……! いやまて、ルールSは……」
馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)、『侵す者』ははたと気付く。自身、否、正確にはこの体は最初から目を閉じている。まばたきを目の開閉と判断すれば、目を閉じ続けて見ていれば、この効果は無効なはずだ――とんちに近い考えだが。
「手伝え、『疾き者』! 生前から目閉じなお前とならいける!」
『侵す者』は黒燭炎を左手にオルタナティブ・ダブルを発動、生まれた分身である『疾き者』が右手で棒手裏剣――漆黒風を引き抜いた。
「まあ、今の身体は大半私が元ですからねー。ええ……あのふざけたGM気取りにはちょうど良いでしょう」
義透が漆黒風を投擲する――シックスの仮面、正確に眉間を狙った棒手裏剣をシックスは左腕でギリギリ掴む。
「ハハハハ! 手加減なしですな、よろしい!」
だが、完全にまばたきをしないものなどこの場では義透ぐらいなものだ。だからこそ、ルールPを利用。移動手段として、シックスは行使する。
「面倒な相手だ。こういうやつが相手ならアイツのほうが得意だろうにな」
リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)は自分を宿す主たる少女の持つ別の人格を思い出し愚痴りながら、おもむろに斜めにかぶった般若の面を顔の正面にピタリと合わせる。
「手加減はできない」
隻腕の右手で天叢雲剣を構え、リコリスは目を閉じる。敢えて視認しない――その間隙を、シックスは見逃さない。
「ヒャハ――!!」
背後に回り込み、首に伸ばされる腕。しかし、それは明鏡止水の極地によって高めた第六感による見切りが、許さない。リコリスは逆手に持ち替えた天叢雲剣の切っ先で手首を弾き、軌道を逸した。
「無駄だ」
「いい見切りです――!」
しかし、これで終わりではない。腕を弾かれてからの回し蹴り――剣が引き戻されるより速い、神速の蹴り。だが、それを修介の蹴りがそれを受け止めた。
「遊んでやる。堪能して去ね」
「ハハハ! 処理が追いつきませんね!」
「なら地獄に叩き落としてやるよ」
そこにすかさず、刀也が踏み込み獅子吼を袈裟懸けに振り下ろす。スーツを斬られ、蝶ネクタイを飛ばしながらシックスは強引に後退した。
「こういう時こそ、【銀山式絡繰人形部隊】の出番だべ」
シックスが着地した瞬間、昭平の銀山式絡繰人形部隊によって召喚された昭平のからくり人形達が『壁』を作る。その背に身を隠し、サオササは深呼吸――サイコ・スフィア・スナイプ・レールガンとサイコ・スフィア・ブラッジ・ライフルで射撃する。銃声と同時、シックスは駆け出すが誘導弾を装填していた銃撃はそれを追尾。シックスは瓦礫の山を駆け上がり、敢えて瓦礫を崩してその誘導弾を誘爆させた。
「――シィッ!!」
「遅いのよ」
振り返ったシックスへ、瑞穂の神獣刀が閃く。切り裂かれたシックスの胸元を見て、瑞穂は言ってのけた。
「自身の身体を制御し損なうほど素人でもないし、瞬時の残像術を得意とするわたしが相手を見失っては笑い草。目を閉じるな、追い続けろというならば易々と為してみせましょう」
「それ、生物としてどうなんでしょうねぇ!?」
シックスは大きく後方へ弾かれるままに跳ぶ。ほんの刹那、移動の瞬間。自身の仮面が猟兵の誰かの視界に入る位置へ滑り込み――空間を歪曲させ、大爆発を巻き起こした。
●プレイヤーフレンドリィ
(「――強い」)
サオササは、空中を舞いながらそう胸中で判断する。シックスが活用するのは、遠近法だ。視認させる、視認させない、見られる、見られない――このルールを、シックスは熟知している。時に自身を晒し、時に身を隠し。ある時は視界を通し、ある時は敢えて見ない。その一瞬の切り替えを利用し、猟兵達に無理矢理ルールを押し付けるのだ。
ルール。『ゲーム』において、時にGMすら支配する絶対のもの。このルールを破った時、『ゲーム』は『ゲーム』でなくなるのだ。
「――だからこそ、『ゲーム』は面白いッ!!」
ズサァ! と瓦礫の上を滑る音がする。修介が、その音を視線で追って――気付く。音はシックスが鳴らしたものだが、そこにシックスはいなかった。移動の瞬間、瓦礫を蹴って瓦礫の上を滑らせたのだ。
修介の視界が外れた刹那、シックスの手が修介の首を掴み――。
「――――」
――ゴキリ、と骨が折れる不気味な音が、戦場に響いた。
「……なっ!?」
しかし、戸惑いの声を上げたのは他でもない。ルールPを行使したはずの、シックスであった。
「『首の骨』が折れればいいんだろう?」
修介が振り返る。ダラン、と左手『首の骨』を自ら折り、修介の連続蹴りがシックスを完全に捉えた。
「ハ、ハハ……! ギリ、セーフ、ですかね――!!」
とある卓上遊戯には、このような言葉がある。GMがルールの判断に迷った時、その判断基準を『プレイヤーが有利になるように判断すればよい』という思考――プレイヤーフレンドリィの思想が。
GMだからこそ、その考えに至った相手を称賛してしまった。己を提供者、『ゲーム』の管理者であると自認するシックスゆえに生まれたルールの隙間だった。
「全軍突撃だべ!」
その間隙を見逃さない。昭平の号令一下、絡繰人形達がシックスへと迫る。その人形の群れへ自ら飛び込み、シックスは強引にルールSを発動させて粉砕していった。
「――ッ!」
そこへ絡繰人形に混じっていたサオササのサイコ・スフィア・スナイプ・レールガンとサイコ・スフィア・ブラッジ・ライフルが火を吹く。着弾の爆発を受けて、シックスが地面を転がった。
「やって、くれますね――!」
地面に転がりながら、剥がれ残ったアスファルトをシックスは引き剥がす。それを壁に再びルールSを発動させようとした刹那――。
「異次元を使う相手か。なら、お前が異次元に逃げる前に貫いてやる!」
一気に駆け込んだ刀也の、全身のバネを使った零距離から強烈な突き――雷神突・零式が、アスファルトの隠れ蓑ごと、シックスを刺し貫いた。ガハ、と血を吐いてシックスは跳ぶ。しかし、義透はその逃亡を逃さない。
「血の匂いが、消せていませんよ」
放たれた漆黒風は、風をまとう。シックスは再び掴もうとして、その風に手を大きく弾かれた。
「ぐ――!」
「『わしら』の連携をなめるな!!」
そこへ、呪詛を込めた『侵す者』の黒燭炎が繰り出された。シックスは脇腹をえぐられながらも、止まらない。
「この程度で――ッ」
「そう、連携をなめない方がいい。ここには『四人』だけでなく……他の猟兵もいるのですから」
『疾き者』の言葉と同時、風に乗った瑞穂とリコリスがシックスの前後に回り込んでいた。明確にシックスの処理能力を越えた連携――これが一対一ならば、凌駕していたはずのシックスが、追い込まれる。
「まだ――!!」
異次元空間に捕らえる力を放とうと手を伸ばすシックスへ、瑞穂とリコリスが刹那で死角へ滑り込む。
「突撃戦を延々続ける継戦能力、止められるものなら止めてみなさいな」
「全力で行かせてもらう」
シックスの手が虚空を掴んだ瞬間、瑞穂の神獣刀とリコリスの天叢雲剣が同時に放たれ、GMの胴を上下に両断した。
クルクルと視界が回転する中、地面に落ちる直前。シックスは笑っていった。
「ハ、ハハ……お、見事……『ゲーム』クリア、です、ね」
ズシャリ、と提供者としての仕事をやり終え、この『ゲーム』のゲームマスターがついに倒れた……。
大成功
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第3章 日常
『アポカリプスで農業を』
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POW : 力仕事を担当する
SPD : 丁寧な仕事を心掛ける
WIZ : 技術指導などを行う
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●大地の恵み
「ありがとうございました! 本当に、助かりました」
拠点のリーダー格の男は、そう深々と猟兵達に頭を下げた。そして、小麦畑を振り返ると、困ったように頭をかく。
「本当ならお返しもしたいところだが……この小麦も、手探りでやっててね。もうそろそろ、刈り入れていいものやら……」
時期だけを見るのならば、もう刈り入れてもおかしくはないだろう。ただ、彼等自身農業の素人だ。むしろ付け焼き刃の知識で、ここまで育てられた努力を褒めるべきだろう。
「また、連中のようなヤツ等が来るかわからない。刈り入れてしまおうと思うのだが……良かったら、この小麦で焼くパンでもお礼に提供させてほしい」
どうだろう? という男の言葉に、どう返すか? それはその場に立ち会う猟兵次第だろう……。
秋津洲・瑞穂
ちょっと待って。
まだ実っていないと聞いて来たんだけど、畑見せて。
「安心なさい、稲作の伝播にも関わったお伊勢狐の末裔よ。
小麦だろうと何だろうと豊かにしてあげる」
ていうか、そうしないと神様からご先祖様から総掛かりで
天罰の集中砲火を受けてしまうっ(苦笑
……あーうん、まだまだ実が小さいね。ばらつきも酷い。
でも実り始めてはいる。ここまで出来ていれば大丈夫。
旅行李から巫女装束を取り出して【祈年舞】を奉納しよう。
さあみんな、集まってー。
時間はたっぷりあるし、豊作と呼べる程度には持って行く。
稲霊の巫女なめんな(
すったもんだの後も、しばらく居残って農を伝えよう。
……二千年前の初代もこんな感じだったのかしらねぇ。
●稲霊の巫女
リーダー格の男の話を聞いて、一番最初に疑問を投げかけたのは秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)だった。
「ちょっと待って。まだ実っていないと聞いて来たんだけど、畑見せて」
「あ、はぁ……」
再度繰り返そう――彼等自身農業の素人だ。麦の育て方も知識も付け焼き刃、それでも実りまで到達できたのは、その努力の結果である。
「安心なさい、稲作の伝播にも関わったお伊勢狐の末裔よ。小麦だろうと何だろうと豊かにしてあげる」」
瑞穂はそう請け負った。実績と誇りがある。何よりも、だ。
(「ていうか、そうしないと神様からご先祖様から総掛かりで天罰の集中砲火を受けてしまうっ」)
苦笑しつつ、瑞穂は男に連れられて小麦畑へとやって来た。小麦の穂、一つ一つを手にとって確認し、内心でため息をこぼす。
(「……あーうん、まだまだ実が小さいね。ばらつきも酷い。でも実り始めてはいる。ここまで出来ていれば大丈夫」)
おそらくは手探りだったのだろう。植えた時期にずれがあったと思われる。専門家であれば実っていない、と判断を下すそれでも、素人目から見れば穂はついているように見えるのだ。
特に小麦で難しいのは、収穫前の乾燥期だ。しっかりと乾燥を終えた頃、穂は実り切る。この過程があるのとないのでは、収穫量に違いが出るのも当然だった。
「さあみんな、集まってー」
拠点の人々や猟兵達を集め、旅行李から取り出した巫女装束に着替えた瑞穂は呼吸を整える。
「御年皇神等の前に白さく、皇神等の依さし奉らむ奥津御年を、手肱に水沫画き垂り向股に泥画き寄せて取作らむ」
祈年舞――豊作であれという願いを舞に接した人々に呼びかけるユーベルコード。まさにこの時のためにある稲霊の巫女の力である。
おお、と人々から驚きの声が上がる。豊作を祈り舞いながら、瑞穂は心に決めた。しばらく居残って、彼等に農を教えよう、と。
(「……二千年前の初代もこんな感じだったのかしらねぇ」)
努力している人々がいる。その力になりたいと思う、なれる力がある。ならば、そうしない理由がなかった。
何故なら、瑞穂は稲霊の巫女なのだから……。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』。
『疾き者』は、「驚かせるといけませんからー」といって戻った。
時期的には刈り入れだろうが…ふむ。
穂が実っているかどうかだの。
実っていれば良し、実っていないのならばもう少し待つように説得でもしようかの。
刈り入れるのならば、その手伝いをしよう。
しかし、麦か。よくここまで育てたな。
たしか、藁の方も肥料になるのではなかったか?
乾燥させて編めば、帽子もできたはず。日差しを避けるのにいい。
…他に力仕事で人手がいるのならば言ってくれ。
わしはそっち方面の方が性に合う。
リコリス・ガレシア
鬼の少女はぶっきらぼうに
「俺の役目は終わった。あとは任せる」
姿と人格が本来のものに戻り、おっとりとした口調で
「お疲れ様、なのですよ」
申し入れに対して
「そんな、当然のことをしたまでなのです!」
「その刈り入れ、わたしもぜひお手伝いさせてください!」
通常状態でも神器を宿す少女は【怪力】を持っており、手早くスピーディに作業をこなします。
「力仕事は任せてください!」
パン作りに関しては【料理】知識を生かして
「わたし、作り方知ってます!」
「みんなで一緒に作りましょう!」
最後はいっしょにパンを食べて、満面の笑みを浮かべます!
●恵みを噛み締めて
祭りの光景を眺めながら、鬼の少女はぶっきらぼうに言い捨てた。
「俺の役目は終わった。あとは任せる」
リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)は、自身に宿る鬼の少女におっとりと微笑んだ。
「お疲れ様、なのですよ」
「驚かせるといけませんからー」
馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)、『疾き者』もまたその姿を消す。それを見送り、『侵す者』はうなずいた。
「……本当にみなさんにはお世話になりました」
「そんな、当然のことをしたまでなのです!」
改めて頭を下げる男に、リコリスは当然の事のように返す。他の猟兵達もそれは否定しなかった。
だが、男は言葉ではなくもう一度深く頭を下げる事で礼をする……その『当然』がなかったのが、このアポカリプスヘルなのだ。
「しかし、麦か。よくここまで育てたな」
「いや……やはり農業は難しかったです。最後に力添えしてもらわなければ、どうなっていたか……」
完全に成長を遂げた小麦畑を見回し、義透が感心したように言う。農業というのは、経験と知識がものを言う。手探りでここまで出来ただけでも、十分な偉業と言えた。
例えば、歴史として見るならば、かつて狩猟から農耕への転機があった時代には誰よりも豊作を可能にした者が集団の王となる時代さえあったのだ。幾度の失敗と試行錯誤の上の成功、そしてその成功法の教授と伝達――人類の発展とは、その果てにあったものだ。
(「実っていないのならばもう少し待つように説得でもしようかと思ったが……」)
仲間の機転のおかげで、その必要もなさそうだ。義透は安堵を隠し、提案した。
「刈り入れるのならば、その手伝いをしよう」
「助かります。祭りと一緒に刈り入れもやってしまおうと思いまして」
「その刈り入れ、わたしもぜひお手伝いさせてください!」
リコリスも挙手する。それに拠点のリーダーは、嬉しそうに笑った。
「力仕事は任せてください!」
「アッハイ」
155センチほどのリコリスが、当然のように小麦を束にして抱える姿に周囲の男連中も言葉が出ない。通常状態でも神器を宿す少女はかなりの怪力だ、手早く作業するリコリスに男連中も負けられないと頑張るが……結果は、努力を認めてあげてほしい。
「たしか、藁の方も肥料になるのではなかったか? 乾燥させて編めば、帽子もできたはず。日差しを避けるのにいい」
「ああ、穂にもそういう使い方があるのね」
義透の言葉に、穂を梳き終わり積み重なった穂を見上げて女性が納得する。ただ無駄で終わらせない、それこそが人類の知恵と言って過言ではなかった。
「……他に力仕事で人手がいるのならば言ってくれ。わしはそっち方面の方が性に合う」
「ああ、だったらこの藁を――」
祭りは続く。大人も子供も、表情は明るい。努力が良い結果になる事を努力が実ると言うが、まさにこれだ。今日のためではなく、明日のために頑張る――その積み重ねの結果だからこそ、喜びも一入であった……。
大成功
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銀山・昭平
おらの経験だと、この小麦はちょうど収穫時期だべ。それも、立派に成長しててとても良いパンや麦粥が作れそうだべ。
◆行動
というわけで、【銀山流即席絡繰術・弐式】で、色々とお手伝いするべな。
脱穀機での脱穀や、唐箕での選別、石臼での製粉……それらが終わったらパンを焼くための釜もほしいべな。
全部できるようなら問題ないが、足りないものがあったらおらの絡繰で手伝うべ。
絡繰がなくても人手が必要なら、おらにも手伝わせてほしいべな。皆で食べるもんは皆で作った方が美味いに決まってるべ。
しかし、皆いい笑顔だべ。これならここの自給自足も大丈夫そうだべ。
御剣・刀也
POW行動
ほう。こいつはいい小麦だ
パンを作るのか
ほうほう。主夫として黙ってられないな!
小麦を刈り取ったら石臼で小麦粉にしてそれをドライイーストを合わせてパン生地にした後、寝かせて発酵させるとただ食パンにしてもつまらないので、そこにカスタードクリームを混ぜてオリジナル食パンを作る。
材料は調達できるならするし、できないなら小麦と聞いて用意しておいた自前のものを使う
「主夫歴15年。そんじょそこらの奴には負けん!」
●暖かな食事
祭りと刈り入れが続く中、小麦を使った調理もまた始まろうとしていた。
「立派に成長しててとても良いパンや麦粥が作れそうだべ」
銀山・昭平(田舎っぺからくり大好き親父・f01103)は、楽しげに笑う。お祭りに三度の飯、自分の好きなものが二つも目の前にあれば当然だった。
「色々とお手伝いするべな。脱穀機での脱穀や、唐箕での選別、石臼での製粉……それらが終わったらパンを焼くための釜もほしいべな」
「窯か。せっかくだ、長く使えるように本格的なのがいいだろう」
「んだな!」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)も満足げにうなずく。銀山流即席絡繰術・弐式で昭平一人の手で足りない分は、絡繰にも手伝ってもらう。拠点の人々も、昭平や絡繰の作業を見て覚え、実際に手伝いを行なった。
(「使い方だけじゃなく、直し方も覚えてもらった方がいいべな」)
技術者には技術者の視点というものがある。蛇口を捻れば水が出る、程度の知識でいいのはいつでも専門家に頼れる状況にある時だけだ。昭平からすれば、そこまでアフターケアをして初めてやった意味がある。
「ほう。こいつはいい小麦だ」
「これがパンになるんだっけ?」
「パンを作るのか。ほうほう。主夫として黙ってられないな!」
石臼での製粉を終えたそれを手に、刀也が思わず口元を綻ばせる。戦闘中の修羅のそれとは違う、完全に主夫のそれだ。
小麦粉にしたそれにドライイーストを合わせ、パン生地に。それを寝かせている間に、刀也は他の作業を手に出す。その手際に、年配の女性が笑った。
「手際が良いねぇ。台所によく立ってる動きだ」
「主夫歴15年。そんじょそこらの奴には負けん!」
「ははは、そうかいそうかい! うちの男連中にも見習わせたいもんだね!」
調理勢の女性陣や猟兵に紛れて、子供達もやって来ていた。昭平がこさえた本格的な窯に火が入り、パンが焼けていくからだ。カスタードクリームを混ぜた甘い匂いに、子供達が目を輝かせて今か今かと待ちかねていた。
「よし、離れてろ。火は危ないからな」
刀也の言葉に、子供達が窯から素直に離れる。道具を使って取り出したそれは、カスタードクリームを混ぜたオリジナル食パンだ。よく焼けた耳部分の色合いといい、柔らかく膨れ上がった見た目といい、甘い香りに満ちた台所でどよめきがあがる。
「乾パンとかは知ってるが、こういうのもいいねぇ」
「食べてみるといい。美味さが段違いだぞ」
「麦粥も出来上がったべよー」
昭平が自作した鍋を手にやって来る。大人も子供も、皆が明るい笑顔になる。その表情を見て、昭平はようやく安堵の笑みを見せた。
「しかし、皆いい笑顔だべ。これならここの自給自足も大丈夫そうだべ」
「そうだな」
アポカリプスヘルしか知らない者達が、未来の希望に笑顔になる機会など数える程しかない。だが、これは恒例の事に出来るだろう――人々の笑顔を見た事で、彼等はようやくその実感を得る事ができた……。
大成功
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サオササ・テセル
戦闘が終わったので子機2つを回収したバイオアタッチメントブーストを解除後、装備してない「自己主張の1つ」をあえて着る
私はまだあまり学生のような子供でいたいとは思わないけど
メッセージボードを虚空で巨大化「範囲農耕するので付近出歩き危険につき注意」と周知前置きし【武器改造】で連射銃の弾を着弾場所を耕す機能に改造、【範囲攻撃】【弾幕】を【スナイパー】で精密に狙い作業する
【情報収集】【学習力】【偵察】で農業に適した場所の割り出しは完了済み
どうかこの場所が豊かと平穏でいずれ息を吹き返すよう【祈り】もこめて
選択肢:丁寧に仕事
パンは辞退するか誰かにおすそ分けかな、私には帰る寮も美味しい料理もあるから
上野・修介
※絡み・アドリブ歓迎
まずは左手首の応急処置。
タクティカルペンを添木にしてバンテージで固定。
周辺を探索【視力+第六感+情報収集】し残党、伏兵、置き土産(トラップ、爆弾など)などを確認。
確認し特に問題なければ、農作業を手伝う。
「とは言ったものの、どうしたもんかな」
とりあえず他の猟兵で専門知識がある人がいる様なのでその人の指示に従う。
作業をしながら先の戦闘を思い返す。
(今回のは結構な賭けだったが、さて『次』はどうしたものか)
一つの戦いは終わった。
なら次の戦いがある。
――行住坐臥造次顛沛
思考は途切れず、次を、先を見据える。
●祭りの裏で
サオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)の耳に、人々の笑い声が届く。
(「私はまだあまり学生のような子供でいたいとは思わないけど」)
サオササは、改めて自分の姿を見下ろす。戦闘終了後、子機2つを回収するとバイオアタッチメントブーストを解除し、自己主張の1つに敢えて着替えていた。その格好は、もしもというサオササの考えと願いをある人達に形にしてもらったものだが……戦いが終わった後、拠点の人々に余計な心配や威圧を与えたくないというサオササなりの気遣いだった。
サオササの頭上には、巨大化したメッセージボードが浮かんでいた。その内容は、こうだ。
『範囲農耕するので付近出歩き危険につき注意』
ヴァリアブルウェポンの一つである、特殊弾連射銃が掃射される。放たれるのはただの弾丸ではない――着弾場所を耕す機能に改造された特殊弾だ。それで拠点の農耕地を拡大するため、『耕して』いたのだ。
(「どうかこの場所が豊かと平穏でいずれ息を吹き返すように――」)
祈りを込めた銃弾が、瓦礫やアスファルトを破砕し、消去していく。事前の情報収集で農業に適した場所の割り出しは完了済みだ。正確で丁寧な狙撃は、二時間ほどで広大な農地を新たに生み出していた。
(「パンは辞退するか誰かにおすそ分けかな、私には帰る寮も美味しい料理もあるから」)
人々の笑い声を遠くに聞きながら、サオササはそう思う。ここは彼等の拠点――故郷だ。それと同じように自分にも帰るべき場所がある。知らず知らず、大事にしていたお守りに触れて、サオササは耕し終えた農地を見回した……。
――その頃、もう一人喧騒から離れた場所にいる者がいた。上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)だ。
「……随分な置き土産だな」
小麦畑に隠すように仕掛けられた爆弾を解除し、修介は一人ため息をこぼす。間違いなく、シックスが仕掛けたものだろう。『ゲーム』終了の合図に起爆するつもりだったのか、あるいは己の敗北さえ想定した上での結果だったのか――。
(「……多分、後者だな」)
シックスは『ゲーム』と言った。ならば、勝敗があるという事だ。自身の敗北の可能性を切り捨てていたとは思えない。褒められる性格ではなかったが、『ゲーム』に対する姿勢だけは妙な信頼感はあった。
「…………」
ふと、修介は視線を落とす。タクティカルペンを添木にし、バンテージで固定した右左手首の応急処置跡を見た。
(「今回のは結構な賭けだったが、さて『次』はどうしたものか」)
戦闘に絶対はない。それは自身よりも実力が上の相手でも戦い勝てるという意味ではあるが――その逆も然りだ。一つの戦いは終わった。修介の中では、既に『次』の戦いが始まっていた。
――行住坐臥造次顛沛。
それは心構えだ。日常においてすら、わずかな時も余さず修介は戦いの中にある。思考は途切れず、次を、先を見据える――修介にとって一つの決着は区切りであり、終わりではない。次への始まりなのだ。
そういう意味では、あのシックスというゲームマスターモドキも似てはいたのだろう。こうして、置き土産をしっかりと残していたのだから――己の敗北、死さえ結末に含めていたからこその用意だったはずだ。
それを修介は忘れない。次に、次の次に、これからの戦いに活かすそのために……。
大成功
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