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暴海のワイルド・ハント(作者 ふねこ
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●渦を巻く
 その海域は、幾つもの潮流がぶつかり合い、常に荒れているのだと言う。
 暴れ回る水面は、その上を往くものにことごとく襲いかかる。
 常ならば、避けるのが常道のその海であるが。
 しかし、危険と儲けは往々にして表裏一体というもので。
 その海には、多くの者が流れ込む。
 潮の流れに乗ってきた微生物や、それを追って小魚が群がり、更にそれを追って大魚もやってくる。
 あるいは、どこかの海域から流されてきたか、もしくはこの海域に無謀にも挑み、そして沈んで行った誰かの忘れ物も沈んでいよう。

 ……そんな海で『それ』が生まれてしまったのは、もしかすると必然だったのかもしれない。
 ざぁざぁと雨が降り、時折走る稲光が水面を照らす。
 その水面に映ったのは、小ぶりな漁船くらいには匹敵するかのような巨大な魚影。
 メガリスを喰らい暴君へと変貌を遂げた、この海域の主である。

●よーそろ
「海で遊びたい時期に申し訳ないんですけどね」
 季節は夏。
 グリモアベースでも、海だ水着だなどと涼しく楽しい話題に飢えている今日この頃ではあるが、シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)が持ってきた話題は海でこそあっても、あまり手放しで笑っていられるものとは言い難かった。
「グリードオーシャンの海中にコンキスタドール……オブリビオンの反応を捉えたので、退治をお願いしたいんですよ」
 そう言ってグリードオーシャンの世界地図を広げるシャル。
 こうして改めて見ると、ずいぶんと探索範囲も広がったものだと感慨深いところだが、そこはそれ。
 示す場所は未探索のエリア。行動範囲が広がったことで予知に引っかかるようになったのだろう。
「荒れていることで有名なグリードオーシャンの海ですが、予知が確認された場所は、その中でも特に複雑な海流を描いているみたいなんです。
 正直なところ、鉄甲船でも余所者である我々では荷が重いと言わざるを得ません」
 そこで、と。シャルは問題の場所にほど近い一つの島を指差す。
「ハニーヤード島、と言うらしいです。
 その名の通り、緑豊かな島で蜂蜜作りが盛んなんだとか」
 文明レベルとしては、アックス&ウィザーズの田舎町が近いだろうか。
 緩やかな草原や田園、潮風を受けて回る風車も見える。
「まずは問題の海域を迂回してこちらに上陸します。
 現地の海賊と接触して、協力を取りつけてほしいんです。彼らにとっては庭のような場所です、潮の流れにも詳しいかと」
 縞の海賊と一口に言っても幾つかの派閥はあるようだが、オブリビオンの影響で迂闊に海に出ることが出来ない現状、その殆どは街の酒場にたむろしているのだと言う。
 上手く事が運べば、自慢の海賊船で戦場まで連れて行ってくれることだろう。
 それが不可能でも、最低でも航海の案内くらいは取りつけたいところである。
「もっとも、危険の伴うコンキスタドール退治です。簡単に交渉を運べるとは思わない方がいいでしょう。
 安全のために私は待機になっちゃいますが……その代わり、方法は皆さんに一任しますので」
 ただでさえ危険の伴う海に、強大なコンキスタドール。
 そのリスクに見合う『価値』を提示できないことには、協力を取りつけるのは難しいだろう。
 とはいえ。海賊たちの側としても、海に出られないと言うのは文字通りの海の男にとってすれば死活問題だ。
 島の近海に潜むコンキスタドールを退治してくれると言うのは歓迎すべきことに違いない。
「それでは、船出と行きましょう。
 今回も簡単な仕事ではありませんが、皆さんの航海の無事を祈っていますよ」
 あ、もちろん酒場によると言っても未成年の方は飲酒禁止ですからね!
 そう締めくくったシャルのグリモアの光の向こうに、鉄甲船の甲板と蒼く広がる大海が見えた。





第3章 ボス戦 『壊遊魚・魔旗魚』

POW ●吶喊旗魚
全身を【蒼白いエネルギー】で覆い、自身の【戦意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD ●狂乱旗魚
自身の【蒼輝鰭】が輝く間、【自身】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ ●飛翔旗魚
召喚したレベル✕1体の【旗魚】に【魔剣】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は死之宮・謡です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大海を喰らう者
 水底から這い出てきた怨霊たちは、かくして再び沈み、骸の海へと還った。
 ほんの一瞬の休息を経て、猟兵を乗せた海賊船は件の海域へと足を踏み入れる。
 殴りつけるような荒波が、船体を揺らす。
 降りやまぬ雨が、甲板を濡らす。
 ざぁざぁと、海面に打ち付ける雨の向こう。その奥に、黒く巨大な影を見た。
「おいでなすったぜ!」
 観測手の声が響き渡ったのと、その影が海面を飛び出し、その姿を露にするのはほぼ同時だった。

 カジキ、という魚をご存じだろうか。
 旗魚、嘴魚などとも呼ばれる、上顎が槍のように鋭く伸び吻を形成する大型の肉食回遊魚で、食用やスポーツフィッシングの対象として知られているものだ。
 『奴』の姿はそれに似ていた。
 しかしその体躯は、一般的なそれの全長が1mから3m程度であるのに対し、この巨大旗魚は『全高』でそれを超える。
 いったいどういう経緯でこれが生まれたのか。メガリスの影響を受けたが故か、あるいはこうであったからこそメガリスに選ばれたのか。
 いずれにせよ、この怪魚がこれまでに幾多の船と海に生きる者達を葬ってきた元凶に相違なかった。
 荒天の下、蒼雷の如きオーラを身に纏い、海中と変わらぬと言わんばかりに魔旗魚が飛翔する。
 勢いのままに船体に叩きつけられた吻が、甲板を砕き船を大きく揺らす。
 直後、激しく上がる水柱が、狩りの始まりを告げた。