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キリギリスに明日あれかし(作者 小林
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#アポカリプスヘル 


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#アポカリプスヘル


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 この拠点は、もうダメだよ。
 みんな年中喧嘩ばかり、なけなしの食料も奪い合ってさ。
 いや、オレの腹が減るのは良いんだ、歌ってりゃ気も紛れるし。ポロロン。
 ただ。仲が悪いのはダメさ。
 苦しい中でさらに苦しんでどうすんのさ。楽しく滅びようって気概がないよ。
 くたばるならララバイ、愉快に死にたいって思わないのかねえ。

 それとも、皆。『大丈夫だ』って、『頑張ろう』って言ってくれる、あの声を待ってんのかな。
 もうそんな声はないんだって、バカなオレでも分かるのに……ポロロン。

 ……ん?
 婆さん、どうした? オレはもう飯は喰ったよ、本当だって。気にしないで……え?
 種を、みつけた?
 ーーああ、良い! 最高だ!
 黄色いでっかい、太陽の花束をみんなで見れば、きっとオレたち笑って死ねる!

「みんな! 向日葵だ、向日葵を咲かせようぜ!」



「崩壊寸前の拠点(ベース)を、立て直せる」
 グリモアベースにて。ラピタ・カンパネルラは、微笑みながら告げた。
「土壌も希望も痩せた時こそ、笑顔がきっと必要なんだ。君達猟兵に、その拠点全員を笑顔にする手伝いをしてきて欲しい」

 その拠点の最大の難点は、人々の非協力と険悪さである。
 協力こそが生存には必要であるのに、その逆の不和が満ちている。
 ーー不和の発端は、拠点において大切なものを一度にふたつも、失ってしまった事。ひとつは、皆で育てていた畑。もう一つは、その拠点で慕われた奪還者でもあった、旧リーダー。
 それら二つが、オブリビオンに襲われ、一度に失われた。
 ……人々は心の支えを失い、疲れ果ててしまった。諦めてしまったのだろう。
 ーーいやに浮かれた、一人を除いて。

「空き缶を加工して作ったギターを弾いてる人が、一人居る。その人が、拠点の新しいリーダーになれる筈なんだ」
 彼の名前は『グラッパ』、拠点で唯一の金髪故に、行けばすぐに分かるだろう。
 問題事を無責任にへらへら笑ってやり過ごす。楽しく滅べば良いじゃないか、がモットー。
 このグラッパが、リーダーに相応しくなれるように、猟兵達で手助けをして欲しいのだ。
「彼自身、リーダーになろうなんて思っていないし。拠点の仲間も、彼のことを、歌ってばかりの不真面目なキリギリスって呼んでいる」
 彼のカリスマ性を開花させる事。戦闘経験をつける事。笑い歌う事の素晴らしさを、皆で分かち合う事。
 それが出来れば、きっとこの拠点は、大丈夫だ。

「行くと……多分、グラッパが何か困ってるだろうな。先ずは、それを助けてあげて。きっと、素敵な事をしようとしている筈だから」
 ラピタは赤い目を細め、ふくふくと小鳥の囀りのように笑う。
 拠点に、グラッパに、手を差し伸べてくれる猟兵の手を取ってーーその握手で、転送の光に包み込んだ。





第2章 集団戦 『グラトニーアント』

POW ●異常発達した大アゴ
【鉄筋コンクリートをも噛み砕く大アゴ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD ●超濃縮蟻酸
【頭】を向けた対象に、【体内で作り出された蟻酸を吐きつける事】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ ●巨大アリの大軍
【フェロモンを周囲に撒き散らす事で仲間たち】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 芽吹きだ。
 誰もが待ち望んだひとつめの芽が顔を出す。それはやわらかくたよりない緑で、地上に現れた。
 ようやくか。と、疲弊感滲む溜息を、グラッパの歓声がかき消した。
 ひとつ芽吹けば、あとは続々と。たよりない双葉が、来る日も来る日も増えて、伸びて、緑の隊列を作っていく。ある日はしおれて。時には強すぎる日照や雨から、ちっぽけな緑を無力な人々が護って。
 諦めていた日々の方が、疲れてはいなかったかもしれない。
 けれど、徒労に終わるかもしれない日々がこんなにも優しかったことを。子供達の笑顔が、こんなにも愛しかった事を。思い出すのは、遅すぎたろうか。
 きっと誰もが、いいや、と言った。



 希望とは、いつまでも続くものだろうか。

 今朝もグラッパが一番乗り、揚々とひまわり畑に駆け出していくのを、拠点内部から住民や、小まめに様子見を繰り返す猟兵が見ていた。もうそんなに毎日見に行かずとも、花は育ってくれるのにーーと呆れを含んで語らう。
 足りない食事で最低限の疲労を補う。さてさて今日は、食料の補充の為に少し移動をしてくるよ。きっと足りないが無いより良いだろーーと、大人達が話して、扉に手をかけた。
 瞬間。
 グラッパが先に扉を開けた。

「だめだ」

 顔面蒼白、引き攣った顔。消え入りそうな声で告げられた否定に、人々は顔を上げる。朝の冷えた空気が人々の首を撫でる。あのグラッパが、外に出ることを拒否する、ーー?
「あ、の、だめ、だめだ、みん、な。やっぱさ、だめだ。」
 錯乱。
「逃げよ。ひまわり、とか、やっぱ、駄目だったん、だって。逃げよ。いや、いや、逃げたくない、けど、だめなん、だって」
 多汗と、危うい呂律。落ち着け、落ち着いて話して。異常事態を察した猟兵がグラッパの背をさすりゆっくり呼吸をさせるーーグラッパの、マメが潰れた手が、猟兵に縋り付いた。
「前のリーダーだって、あの蟻共に呑まれて死んだんだから!!!」

 トラウマだ。笑って死にたい。こんな恐怖はもう味わいたくない。失う絶望から目を背けていたいーー全身から悲鳴同然に噴出するパニック状態に、拠点の人々も息を呑み狼狽える。退路を探り振り返った視界端の窓。
 窓に、見えるだろう。
 大型犬程の体高を持つ巨大蟻共が群れを成しやってくるのが。
 黒い行進は、餌ーー人の肉の匂いを嗅ぎつけている。
 畑が踏みつけられる。牙と牙を打ち合わせて不愉快な音を立てている。
 此処に武器はあるか? 有るともさ。君たち猟兵と。それから、心許ない程度の銃と近接向けの農具。
 それと、人々の。
 向日葵を見たいと、灯ってしまった、意思が有る。

___

 募集方式:期間の定めはありません。一章で書けた方を優先的に描写させていただきます。
 もし継続参加していただけた場合、継続参加の人数を表記いたします。
(継続参加者様のプレイング2件現在受け取っております、ありがとうございます!)
(継続者さま4件、新規さまも1件受け取っておりますありがとうございます!)
(継続合計6名様受け取っております、ありがとうございます!)(再送はどうぞご任意に、書き上げられたら連絡いたします)
大紋・狩人
(擦っていた手を離す
かばう、向日葵畑や人々の前へ立ち塞がり)
グラッパ
人を喰うものは恐ろしいよな
僕の家族も皆喰われた

今すぐ戦えとはきみに言えない
けど、リーダー
今後もこういう存在はやってくる
戦わなくてはならない時は来る
皆で生きるには敵を知るしかない
行動の癖、倒し方
見て、知る程に
おそれはとけるから

覚悟、おびき寄せ
【ばらまいた砂糖の火】で蟻群れの動きを止め
宝探し、蟻達の隙や弱点を示し
出来そうなら
動けない中の一体を倒させる
成功体験は克服の足掛かり
部位破壊、怪力
あとは僕が

怖いのに逃げたくないって言えたのは凄いよ
だめじゃないさ
その手はきみの、皆の、意思あってのもの
僕さ、グラッパ
実は凄い怖がりなんだ
仲間だね





 嗚咽を摩る手があった。
 少女のように華奢で、けれど皮膚の下に確かに骨を感じる手だった。
 その手が離れた時、グラッパは僅かに失望されたような心地になったがーー
「グラッパ」
 その手は、持つべきものを優しさから刃に替えただけ。
「人を喰うものは、恐ろしいよな」
 大紋・狩人は凛と立つ。砕けそうに美しいガラスの靴は、朝を蓄え光を散らす。庇い立てた後方ーー向日葵の芽吹きに、人々に、グラッパにーープリズムの如く七色を散らした。放射線状に伸びる輝きは、彼らの未来を潰えさせぬ決意の顕れに酷似する。
「僕の家族も、皆喰われた」
 庇われた彼等は、肩越しに振り返る斜めから覗いた口元をみた。残酷な過去を紡ぐために硬かった。それでも、彼の声はやさしかった。大切なひとを殺された痛みを抱えーーそれでも今、君達を護れる同胞のひとりとして。未来を生きる、数多あるだろう見本のうちの、どうか正しいひとつになれるように。

「今すぐ戦えとは、きみに言えない」
 朝陽の逆光のなか、砂粒をガラスで轢き潰し前へと出る狩人の背を見ながらグラッパは思う。どうして。家族を喰われた僕は戦っているんだ、たくさんのものを持っているきみがどうして戦わないーーって、言いたいんじゃないのか、本当は。
「けど、リーダー」
「う、ば、」
 違、違う違う違う。オレじゃないよそんなの、違うよ姫さんそんな思ってもいないことは言わないでいい。けれどグラッパは知っている。この美しい姫君は、こんなに優しい声で嘘を紡げる程器用ではない事を。
「今後もそうゆう存在はやってくる」
「ひ」
「戦わなくてはならない時は来る」
 グラッパは恐怖に、狩人は護り切れるかという使命に。唾を飲む。心拍を上げる。だから、身体が同じリズムだから。彼の優しくて凛とした声は、妙にグラッパの身体に響く。
「みんなで生きるには、敵を知るしかないーーみて」
 行動の癖を。そこに必ず潜んでいる倒し方を。

 人々の視線は、無意識に。狩人の背のみならず、襲いくる蟻群へと向けられた。

 瞬間、蜜香。人びとは思い違った、花が開花したのかとーー否、蜜ともまた違う甘さ。空腹を呼び覚す甘さ。よくよく熟成された肉が、御馳走の風格をもって入刀され、柔らかな筋繊維が解けて放たれる甘い香り!
 蟻どもは思い至った。我こそが喰われるにふさわしいと、嗅覚と皮膚感覚に訴えかける香りの粒子はーー襤褸で華奢な姫君から放たれている!
 気が変わった、気が変わった!!! あの女を喰らおう、仲間たちよ!!
 風に立ち登るは蟻どもの放つ甘いフェロモン。その香りに乗る『御馳走だ』という信号に、蟻群は一斉団結し、ただの一人の灰かぶりに群がった。
「、姫さん!!!」
 悲鳴。振り下ろされる幾多の蟻の強靭な顎をーー
「大丈夫。」
 落ち着いて。狩人の刃は鋭く、怪力任せに打ち払った。
 顎の砕けた蟻が弾かれた勢いで転倒する。転倒に巻き込まれた群は脚と脚が絡まる団子状へ。
「腹が減ると、冷静になれないのは、敵も同じなんだ」
 香りはさらにつよく、つよく。甘さは最早発酵へ、酒気へ、飢餓を酩酊へ。食いたい、あの肉を食いたい、追い立てて疲れ果てさせて柔らかくして、一頭柔らかい内臓から牙を立てて、骨の髄まで飲み干して。そういった肉喰らう欲求が滾れば滾るほど、蟻どもはまともに歩けない。
「……いや、こんな力任せな事をするんだなんて言わない。僕ら人間がすべきことはーー落ち着いて、敵を見ること。落ち着いて、おそれをほどくんだ。人の肉が柔らかなように、敵にも必ずやわらかな箇所や急所はある。たとえばーー
 たくさんの水や蜜を求めて膨らむ腹部が、硬いはずはないだろ」
 は、と、人びとは目を開く。
 まだ動ける蟻を切り払いながら、玻璃の踵は蟻の膨れた腹部を踏み貫く。上がる蜜飛沫は狩人の白い脚を汚す。その脚を見せ付ける様に、香りがドレスに籠らぬ様に骨組みをあげて見せれば、シロップ掛けの腿肉は判断能力が鈍った蟻を惹きつける。
「やってみるといい、何かあれば必ず僕ら猟兵は駆けつける。だから、君たちの力を信じて」
 震える手が。最初に動いたのは、グラッパ。
「わ」
「グラッパ」
「わ、ゎ、ゎゎわlrわ、か、った」
「すごいよ」
「ま、だ、何も、何も、してない、」
「凄いさ。怖いのに、逃げたくないって言えた」
 どくん、どくん、口から心臓が出そうな心拍数。
 怖くて、けれど逃げたくなくて、恐ろしいものに立ち向かいたくて、
「だめだよ、おれ、こんな、教えてくれたことさえ、できるか、どうか、」
「だめじゃないさ」
 その震える手は、きみの、みんなの意思あってのもの。
 それを背負って最初に動けた君が。だめなものか。
「僕だって、すごく怖がりなんだよグラッパ」
 音楽を愛する君に僕らの心拍は伝わるかな。
「仲間だね」

 狩人は蟻群れを惹きつけ、かわしながら。グラッパの振り下ろした一撃、ニ撃、三撃が、蟻の一匹を潰すのを視界端に見る。
 泣き声にも似た歓声を、人びとはグラッパに向けて。グラッパは、戦う狩人へ向けて叫んだ。
大成功 🔵🔵🔵

ダンド・スフィダンテ
虫かぁーーーー
(ここにも虫にトラウマを抱えた男が一人)

俺様虫は苦手なんだよなぁ
アン、助けてくれるか?
(左手に添う赤い命が、励ますようにあんぎゃと鳴いて武器となる)

(灯れ、灯れ、我等は太陽。本能のみの虫等に、負ける筈があるものか)

さぁて!各々武器は持ったな!怪我をした者は必ず下がれ!
丁度良い。ここで戦のコツを掴めば、次は貴殿らだけでどうにか出来るさ!

と言うわけで行くぞグラッパ殿!!
はっはっはっ!
先ずは笑え!貴殿の取り柄なんて笑顔とでかい声と歌ぐらいだろう!!

誰も死なせはしないと、死なせたくないと、だから共に頑張ってくれと、叫ぶ事が第一歩だ!

俺様も支援系だし貴殿も支援系!何か掴める事はある筈だぞ!


●

 砂塵と日射に満ちる悲喜の中。誰もが、これ以上折れたくない心を脆い支えに立つそのさなか。
 瞳を逸らした男が一人。

「虫かぁーーーーーーー」

 虫である。
「虫かぁぁぁぁしかも群てるタイプかぁぁぁあああ」
 蟻の大群がわらわらである。
「あーーーーー」
 こんなに泣き顔に近い半笑いある??
 ある。なんせどんなに強い魂にだって、好きも嫌いもあるのだ。思い出したくなくとも刻み続ける記憶/傷もあるのだ。類に漏れず、この黄金の巨漢ーーダンド・スフィダンテにだって。
「あんた!おい!!天を仰いだって敵はそっちから向かってこねえし、女の子も降ってこねえんだぞ!!」
「いや、いやそのわかってる、俺様だってちゃんとそこは覚悟してるんだ、からあとほんのすこーーし、覚悟をキメる時間を俺様にどうかくれまいか、そうだな、ざっと30、否15秒でいいんだ」
 天を仰ぎ顔を抑えている。直視のための時間をくれまいか。万一今、地上から視認できない程遠い空から降るミューズがいたとしても、15秒は受け止めるに間に合う時間だろう。
 何より、猟兵とーーこんな風に。ユーモアまで絡めて、俺様を叱責してくれるような、頼り甲斐のある仲間がいるのだから。なあ、グラッパ殿。
 15秒くらい、余裕だろう。
 蟻のうちの一匹を殴りつけた彼らの歓声が、そんなダンドに応えたかのようだった。

「いやあ、はは。俺様虫は苦手なんだよなあ」
 我ら猟兵は、これからの彼らの手本になりにきた。だから、己の弱さを腹から声に出そう。それでも笑える強さを示していよう。
「ああ!? 虫が苦手、なんて。あの馬鹿のふるえを見ろよ、それでも立ち向かうあいつに言えるか!?」
 暗に下がっていろ、と、含ませた男の声。彼はグラッパの側に行くべく既にこちらには背を向けて走ったが、ダンドはそれに頷いてすまなそうに笑う。
 赤い竜ーー愛娘アンブロジウスが、ダンドを案じて左手に絡む。
「大丈夫、俺様も貴殿らも、恐怖を声にする力がある。己の欠点を晒すだけの、他人への信頼がある」
 そんな弱い父と、このひとときの仲間たちを。
「アン、助けてくれるか?」
 おうともさ!
「あんぎゃあ!」
 娘の応答は光へ変わる。光は空へと伸びてーードラゴンランスに変形。
 赤い龍鱗の槍に、反射した陽光がぎらぎら灯る。
 炎のように真っ赤に照らせ。太陽そのもののように絶えず輝け。
 人であれば必ず焦がれる、空の光同然の平等さで、意志ある者達の魂を熱せ!
「あーーー、戦っている者達に、俺様から伝えたいことがある!」
 真/心に、霧散知らずに向かう明るい声圧。
 覇気ある声と激しい光は、生きたいと願う魂を必ず揺さぶる。

「我らは、弱い! ああ、聞きたくも無いほど知り尽くした事だろう! だからこそ、此処を決して捨てられない!」
 
 そうだ、と。鼓膜から血管全てに至るまで共鳴する。

「このーー失う事を恐れるという、ひとの強さは。生存本能のみで生きる虫共に負けはしない」

 そうだ。爪も牙も外殻も無いからこそ花に触れられる肉体だ。花に触れられるからこそ、また立ち上がれた我々だ。

「そうだろう!」

 左様
 阿吽
 そうだとも!

「さあて、友よ、武器はその手に在るな!」

 一斉、無意識に掲げた銃器が、棒が、腕が輝いた。
 もうこれ以上失えない。それを太陽は勇気と呼ぼう。ひとは勇気を戦意ーーバトルオーラと呼ぼう!

「よし、怪我をした者は必ず下がれ! 蛮勇は誰一人も望まない、そうだろう!?」

「そっ…………そう!!!! 絶対、絶対に死なないで!!! 怪我したら下がれよ、下がったら子供たちは手当に当たってくれ! 死なないでくれよ、戦ってもいいけど死なないで、でも此処をどうか諦めないで!!
 オレに、オレのこんな腕で出来たことが、お前らに出来ないはずがないんだ!!」

 噛み噛みの頼りない震え声。弱者が弱者を勇気づけていく。
 バトルオーラを宿した仲間達が、猟兵の援護をもらいながら敵の倒し方を考える。行動に移す。それに賛美の声を上げながら、オレも、と邁進するグラッパ
 の首根っこを
「よーし行くぞグラッパ殿!!」
 大きな手が引っ張る。
「ぐえっ」
 後ろへ。後ろ、が拠点で待つ子供達を指すとするならば、中衛へ。
「えっ行くってどこ、逃げるんすか、やだあああ今逃げるとあああああオレぇぇぇぇぇ」
「逃げない逃げない、俺様も貴殿もおそらく支援系! もっと出来る事がこっちにあるのだとも!」
「な、なんすか。オレ、出来、ことなんて、くそへびり腰で敵を倒して……仲間を勇気づけるくらいしか……っ」
 否、いな。
「グラッパ殿、だいじょうぶ、だいじょーぶだ。それはもう十分に働いた。ここからは、もっと貴殿に向いた戦い方があるぞぉ」
 ずるずる。なんすか。オレに向いた戦い方とか、そんなん、
「太陽。
 後ろで大声出して皆を鼓舞し、皆を照らし、笑い続ける仕事」

 きょとんと、瞬き。「、あ、できる」

「そうだろう! なんせ貴殿の取り柄フルコースだものな、はっは!」
 中衛。仲間達を見渡せる場所。声が届く場所。ダンドの輝く槍が後光の役割を果たし、この勇敢なへっぴりリーダーを一層たくましく見せてくれる場所。
「笑い、叫ぶぞ! 貴殿が踏み出したその願いで、仲間達を引っ張っていけるとも!」
「は、は、はは」
「はっはっは!」
「あっはははは! 勝つ、勝つぞ、みんなーー!!」
「はっはっは、いいぞその調子だグラッパ殿! わっはっ」
 こぷ。
 喉を競り上がる酸味が、ダンドの笑った口元から不覚にも漏れた。
 おっと、飲み込めていたつもりだったのに。気合を入れて大声を出しすぎたかと、ダンドが口元を拭うのを。グラッパは見ていた。
 この人の怯えが、冗談ではない証を見ていた。

「……あんた、吐い」
「内緒」
 し。
 ダンドが、人差し指を口の前で立てて苦笑。
「だぞ?」
「……あっは」
 ……し。グラッパもうなずいて、同じ仕草を返して。
 ひきつれども笑む。
 我ら、臆病な太陽。此処からなら、曇らずに、いられようさ。
大成功 🔵🔵🔵