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大切な人は誰?

#UDCアース #心情

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#UDCアース
#心情


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●こんな私でよければ
 目が覚めたら世界は真っ暗だった。
 埃っぽく冷たい床から上半身を起こして辺りを見回す。どうやら室内のようだが薄暗くてここがどこなのかはわからない。
「嘘ダ。コンナ事、アルハズナイ……! 嘘ダ!」
 聞き覚えのない男性の声がする。ひどく怯えた声だ。
「嘘ではありませんよ。あなたは救われたのです」
 また別の落ち着いた穏やかな男性の声。
 何があったのだろう。
 闇に慣れてきた目で声の聞こえた方を見た。
 そこにいたのは長い髪の男性と――。
「ひっ!」
 化け物がいた。
 人間と複数の動物が合わさった異形の怪物。それがそこにいた。
「ああ、気が付かれたのですね」
 長髪の男性がこちらに歩み寄ってくる。彼は場違いなほど穏やかに微笑んだ。
「大丈夫ですよ。すぐに貴女も救って差し上げますからね」
「嘘ダ……嘘ダ……!」
 怪物は泣いているようだった。
「何を……どういう……?!」
 何も理解できなかった。けれどもおそらく、私は今日死ぬのだろう。そんな予感がした。
 逃げ出したいけれどもそれはできない。一年前の交通事故で私の下半身はもう動かなくなってしまったから。
 まだ彼からのプロポーズの返事をしていなかったのに。最期に、彼に会いたかった……。

●グリモアベースにて
 グリモア猟兵のアリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)はひどく深刻な表情で集まった猟兵たちに説明を始めた。
「UDCアース、人、次々、いない、してる、です。老若男女、関係、ない、でも、重病、大ケガ、ある、人、ばかり、行方不明、です」
 とある町で年齢や性別を問わず一般人がUDCに拉致されているのだという。
「どこ、いる、わかる、ない、です。だから、まず、探す、ください」
 まずは町で情報収集だ。行方不明者の知り合いに話を聞いたり、被害者が拉致された現場付近を調査したりなどが考えられる。
「その、場所、UDC……と、思う、者、いっぱい、いる、です。それ、どうにか、する、です。そしたら、攫う、した、ボス、倒す、です」
 UDCだと思うとは妙に歯切れが悪い説明だ。猟兵が指摘すればアリスは申し訳なさそうな表情になる。
「ごめんなさい……。オブリビオン、詳しい、わかる、ない、です。でも、普通、オブリビオン、違う、気、する、です。……とても、悪い、予感、する、です」
 アリスは胸の悪くなるような何かを予知から感じたようだ。
「でも、オブリビオン、倒す、しないと、助ける、できる、人、助ける、できる、ない、です。だから、覚悟、する、行く、ください」
 そう言うとグリモア猟兵は深々と頭を下げた。


彌厘
 UDCアースでちょっと冒涜的で心情よりなシナリオになります。暗い話や救いのない話が苦手な方はご注意ください。猟兵の行動によって若干シナリオ分岐しますので、後悔の無い選択を。
 1章はオープニング公開直後から、2、3章は断章公開後からプレインを受け付けます。それ以前に頂いたプレイングは流しますので、お気持ちに変わりなければ再送いただければと思います。受付終了はマスターページ冒頭にてお知らせしますので、お手数をおかけしますがプレイング送信前にご一読お願いします。
 それでは、素敵なプレイングお待ちしています!
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第1章 冒険 『シリアルキラーを追え』

POW   :    とにかく歩き回り、犯人をみつける

SPD   :    狙われそうな格好をするなど自分を囮にする

WIZ   :    情報をかき集め、解析し、犯人や犯行を推理する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

故無・屍
…フン、弱った奴を狙って拐うたぁ効率的な野郎だ。
こういう臆病な野郎は総じて隠れるのが上手ェ、
こっちから誘い出してやるとするか。

演技の技能を使用
露出の少ないロングコートを羽織り、
フードを目深に被って顔を隠し
あまり目立たない場所を杖をついて歩く。
合間に動物と話す、動物使い、情報収集にてヒトではなく動物から情報を収集、
その他、UCにて汚れ仕事での経験を活かし痕跡の捜索を行う

怪しい者に声をかけられたら

…あァ、すみません。ちょっとした事故で足をやってしまいまして。

フードを外し、顔に刻まれてた傷跡を見せて

傷も治りはしましたが、この通り。
人様の前にも出られず。
どうしてこんなことになっちまったんでしょうね…。



●ケモノ
 故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)は拉致現場から痕跡をたどっていた。一般人では見逃すような痕跡も汚れ仕事で培った追跡能力で容易く追える。
(……フン、弱った奴を狙ってさらうたぁ効率的な野郎だ。こういう臆病な野郎は総じて隠れるのが上手ェ、こっちから誘い出してやる)
 屍はロングコートのフードを目深に被り直して杖を突き左足を引きずりながら歩く。もちろん彼の両足は不自由なく動く。これは敵を誘き出すための演技だ。
 道中でも動物たちに話を聞きながら情報を集めた。彼らが言うには最近見たこともないケモノが現れて人をさらっているそうだ。
 そうこうしている間に真昼でも薄暗い路地裏へとたどり着く。痕跡はこの奥に続いていた。奥へと向かおうとした時。
「こんなところで何をしている?」
 屍は五十代くらいに見えるスーツ姿の男性に呼び止められた。彼はポケットから何かを取り出すとこちらに見せてくる。警察手帳だ。
(チッ、外れか。UDC組織は何やってんだ)
 猟兵にはオブリビオンがオブリビオンだと一目でわかる。この刑事は明らかにただの人間だった。
 確かに刑事から見れば今の屍の姿は不審者に見えただろう。夏だというのにロングコートでしかもフードで顔まで隠している。声をかけるのは当然だった。
 ただ一般人への情報統制はUDC組織が行っているはずだ。何か手違いでもあったのだろうか。
「……あァ、すみません。ちょっとした事故で足をやってしまいまして。この道が家への近道なんですよ」
 屍はフードを外して顔に刻まれた傷跡を見せた。
 だが刑事の仏頂面は変わらない。
「この付近で事件があったのは知っているだろう? 回り道でも人通りのある道を行った方がいい。引き返せ」
 ここで抵抗すれば応援を呼ばれる可能性がある。第一相手はオブリビオンではない。傷つけるわけにはいかないのだ。
 幸い敵の情報は手に入れた。屍は一度引くことにした。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

嘉納・日向
◆表人格:日向

伊能くん(f21577)と
UDC組織の関係で、ちょっとした知り合い
学校も近いしね、同行しても怪しまれないと思う

……見たこともない、獣?
まぁ、UDC怪物だろうね

片腕を包帯で吊って、
病院帰り(を装いつつ)攫われたところを通りかかって、探索しようか
付き添いありがとう、伊能くん
……さて、どうしようね。休み明けまでには治らないかなぁ……(はぁ、と溜息)

攫われた場所付近についたら、辺りを見回して手がかり探し
あんまり深追いはしないでね
獣なら、毛でも落ちてたらいいんだけれどね
攫うものが現れての戦闘は避けたいかな
ひまりに脳内から見張ってもらって、なにか来たら教えてもらうよ


伊能・龍己
先輩(f27753)と

うす、獣が人をさらっている……とか。
攫われた場所を歩いて、手がかりを探しましょう
降水確率で雨雲を操って、太陽の光の加減を変えながら手がかりを探します

(一応は先輩の付き添い……てことで)
……うす、気にしないでくださいっす
先輩、試合が近いのは分かりますけど。無茶しないでくださいよ?
折りたたみ傘をこっちで開いて渡しつつ、探し物っすね
攫われた痕跡自体は片付けられていても、なにか残ってるといいんすけど

どうして怪我をした人ばかりが……。嫌な予感、しますね。



●刑事
「……見たこともない、獣?」
「うす、それが人をさらっている……とか」
「まぁ、UDC怪物だろうね」
 先行の猟兵から情報を得て拉致現場までやって来たのは学生二人組。嘉納・日向(ひまわりの君よ・f27753)と伊能・龍己(鳳雛・f21577)だ。
 日向は片腕を包帯で吊り病院帰りを装っている。
「付き添いありがとう、伊能くん」
「……うす、気にしないでくださいっす。先輩、試合が近いのはわかりますけど。無茶はしないでくださいよ?」
 龍己はそう言いながら折りたたみ傘を開くと日向に手渡した。
 空を黒い雲が覆い始めていた。龍己の逆さ龍の刻印が雨雲を呼び集めているのだ。太陽の光の加減を変えながら手がかりを探そうと思ってのことだった。
 現場は小雨の降るごく普通の街路だ。事件のせいだろうか。人通りはほとんどない。
「……見つからないね。獣なら、毛でも落ちてないかと思ったんだけど……」
「そうっすね。路地裏に続いているっていう痕跡をたどった方がいいかもしれないっす」
 目を皿にして何かないかと探していた二人だったが有力な情報は得られなかった。
『ひなちゃん、こっちに人が来るよ! あれ、もしかして噂の刑事さんじゃない?』
 見張りをしていた日向のもう一つの人格であるひまりが日向の脳内で告げる。
「伊能くん、刑事っぽい人がこっちに来るって。どうする?」
「……話を聞いてみましょうか。何か知っているかもしれないっすから」
「そうだね」
 二人が待っていれば程なく曲がり角から五十代くらいの男性が現れた。彼は二人を見つけると顔をしかめた。
「学生がここで何をしてるんだ? ここは事件のあった場所だ。さっさと帰れ」
 警察手帳を見せながら男性は言った。
 しかし帰るわけにはいかない。二人は食い下がった。
「刑事さんは拉致事件の捜査をしているっすか?」
「……そうだ」
「警察の捜査は終わったはずですよね?」
 日向の言葉に刑事の顔はさらにしかめられた。
 日向はUDC組織でアルバイトをしている。だから知っていたのだ。組織は警察に捜査の打ち切りを命じ、警察はそれを受け入れたことを。
「……よく知ってるな、嬢ちゃん。そうだ。これは警察としての捜査じゃなく、俺の個人的な捜査だ。……これで満足か?」
 刑事はさっさと帰れと言いながらこの場を去ろうとする。
「それってバレたら首になるんじゃないっすか? どうしてそこまでして調べてるんですか?」
 龍己の質問に刑事の足は止まる。
「……事件なんざどうでもいいんだ。俺はただ、あいつを連れ戻したいだけだ。そのためなら何だってするし、どうなったってかまわねぇ」
 それだけ言うと彼は立ち去った。もう何を言っても立ち止まらなかった。
「……あれって刑事さんの知り合いがさらわれたってことだよね?」
「そうみたいっすね。ケガをした人ばかりを狙ってるって話だし、さらわれた刑事さんの大切な人もそうなんでしょうね」
(しかし、どうして重病やケガをした人ばかりが……。嫌な予感、しますね)
 雨が本降りになり始めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セプリオギナ・ユーラス
重病人や怪我人ばかりがいなくなると聞いて──
詳細は分からないにせよ、放っておける気がしなかった。

◆正六面体
情報収集でしたら私のお仕事でございますね。
はて、いなくなったかたがたに、本当に共通点はないのでしょうか?
皆さま、いつの間にいなくなったのでしょう。行方不明が出始めたのはいつから?
UCで手分けして、色んな人に訊いたり、ネットワーク上の情報を探したりしてみましょう。

……はて。
杞憂であれば良いのですが。
(俺なら)(俺ならヒトが必要なら足のつかない人間を選ぶが)
(例えば、誰かを救えると思うのなら“そう”する)
いなくなったみなさんがご無事だと良いのですが……。



●一か月ほど前から日没後に
 セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)は医者である。それ故重病人やケガ人ばかりがいなくなると聞いて放っておけなかった。
「情報収集でしたらわたくしのお仕事でございますね」
 セプリオギナは白衣に眼鏡の男性姿から黒い霧をまとった黒い正六面体の姿になる。ブラックタールである彼は医者としての活動の際は人型だが普段はこの正六面体姿であることが多い。
 セプリオギナは救急招集により正六面体型医療スタッフを呼び出す。彼らと手分けをして被害者の知人に話を聞いたりインターネット上で情報収集に当たった。その結果以下のことが分かった。
 行方不明者が出始めたのは約一か月前。犯行時刻は日が沈んでから。ほんの数分でも一人でいた時を狙われている。さらわれた場所は様々で直近の者は街路だったが自宅や入院先の病院から消えた者もいた。
 そして被害者には重病・重傷以外の共通点は本当になかった。家族のいる者、いない者。老若男女。かかっている病院も同じ者もいれば違う者もいる。
「……はて。杞憂であればいいのですが」
(俺なら)
 医者でありそして殺人者であるセプリオギナは考える。
(俺ならヒトが必要なら足のつかない人間を選ぶが。例えば、誰かを救えると思うのなら『そう』する)
 見つからないように闇に紛れての犯行は理解できる。だが家族のいる自宅や医者等がいる病院から人をさらうというのは見つかってしまう可能性がある。やっていることがちぐはぐなのだ。
(見つかりたくないのか、見つかってもいいのか。そうまでして何故重病・重傷人をさらうのか)
 情報は集まるが未だ事件の全容は見えてこない。
「いなくなったみなさんがご無事だといいのですが……」
 言い知れない不気味さを振り払うように呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビディリー・フィズン
■口調
「…」を多用

空前絶後の美貌を纏って降臨
これまでの猟兵の調査から、個人捜査している刑事を探すことが肝要だろう
それに、彼自身の安全も保証しなければ
「……誰の命も見捨てません」

件の刑事は事件の関与してるところに出没するだろう
「存在感」を放ち引き寄せと直接話をする
何故個人で動くのか
何を掴んでいるのか
「……それから、誰を助けようとしているのか」

有益な情報が得られれば良し
その上で捜査からは手を引くよう伝える(言いくるめ+威厳)
「……君のため、君を守るためです」

素直に話さない、手を引かないなら少し強く話す
ボクの言葉は必ず届く(UC)
君も、君の大切な人も守ります
「……だって、王子様ですから」

アドリブ歓迎



●恋人
 ビディリー・フィズン(虚栄の王冠・f20090)は絶世の美男子である。その美しさに誰もが振り返る。美貌による圧倒的存在感で彼は事件現場に佇んでいた。
「……何かの撮影でもやってるのか?」
 彼を遠巻きにしてちょっとした人だかりができ始めたころだ。件の刑事も不審に思ったのかそこに現れた。彼は警察手帳を見せて人々を追い払っていく。
「……君を、探していました」
 ビディリーの言葉に刑事は眉間にしわを寄せた。
「俺を? 初対面だろう?」
「ボクも事件を調査しているので……君が個人捜査をしているのは知っています。……何故個人で? 何を掴んでいるのでしょうか? ……それから、誰を助けようとしているのか。それを、話してください」
「あんたも調査を? 刑事でもないのに? それこそ何故だ?」
 威厳を持って話すビディリーを刑事は胡散臭そうな表情で見た。どうやら言いくるめられるような相手ではないようだ。
 しかしビディリーにはユーベルコードがある。
「ボクは王子様なので……誰の命も見捨てません」
「……全く意味が分からんが、信用できちまうのは何でだろうな」
 ビディリーの美声は聞けば言うことを聞かなければいけない気がしてしまうのだ。
 刑事はため息をつくとビディリーの質問に答えた。
「俺に付き合わせて他の奴らまで首にさせる訳にはいかねぇだろ。だから一人で動いてる。で、ここ最近町外れの廃病院に夜になると人の気配がするって情報を掴んだ。ただ、今日実際に何度か様子を見に行ったが人の出入りはなかった。夜にしか来ないのか、あるいは外れだったのか」
 刑事は一拍置くとため息交じりに最後の質問に答える。
「誰を助けようとしているか? 恋人だよ。俺より二十も年下なのに、一年前に事故で下半身不随になってな。その恋人からほんの数分目を放した隙に、車椅子だけ残して消えちまった」
「……その人はボクが助けますから……君は手を引いてください。……君のため、君を守るためです」
 刑事の身を案じて言ったことだった。
 しかし刑事は首を横に振った。
「あんたの言うことは聞いてやりたいが……あいつが待ってるんでね。気持ちだけもらっとくよ。あんたも気をつけろよ」
 刑事はひらりと手を振ると足早に去って行った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル(サポート)
※【限定解放・血の化身】による分身体
怪力任せな振る舞いは品が無いと感じる
吸血鬼流の礼儀作法に則り冷笑を浮かべた高慢な人格

…ふふふ。次はどんな世界かしら?
あの娘の分まで楽しまないとね

はぁ…思いの外、煩わしいものね
太陽の光というのは…

陽光は闇属性攻撃のオーラで防御して、
状況に応じた吸血鬼能力を使用する

・第六感に訴えて暗示を行う魅了の呪詛
・蝙蝠や狼を操り情報収集をする眷属召喚
・残像のように存在感を消し闇に紛れる霧化

…等々。戦闘では蝙蝠化や霧化で敵の攻撃を避け、
魔力を溜めた蝙蝠を弾丸の如く乱れ撃ち、
敵の傷口を抉る遠距離攻撃主体で闘う

あら、もう終わり?意外と脆いのね?

それじゃあ終わりにしましょうか?


スコッティ・ドットヤード(サポート)
外見はどう見ても女子、性格は年相応の活発な男子のサイキッカー。
口調は城〇内君みたいな感じ。友情に厚く義に厚く、明るくてギャグもこなせます。年相応にお色気に弱いです。

両親を4年前に亡くし、それ以来妹と二人で生き延びてきた経験から、小さい少女を見ると世話を焼きたがります。
また、困っている人を見捨てられない性分です。

攪乱や陽動に使えるUCが主体で、戦闘でも前に出るよりも周囲の援護に回ることが多いです。
主な武器はE&F、左手から電撃、右手から炎で攻撃します。
料理が得意ですが、料理系のUCは戦闘では使いません。

戦闘でも日常系でもどんなシナリオでも参加OKです。
よろしくお願いいたします。



●廃病院
 人手不足と聞いて駆け付けたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)とスコッティ・ドットヤード(どこからどう見ても女の子な少年・f20279)は拉致現場から痕跡が続いていた路地裏に来ていた。
「ここからさらにどこに痕跡が続いているかが重要でしょうね」
「そうだな。この先に被害者が捕まっている可能性が高いよな」
 二人は夕方の薄暗い路地裏を進む。
 幸いリーヴァルディは限定解放・血の変生で吸血鬼の特性を得ている。暗い道も難なく歩くことができた。
 そうして二人がたどり着いたのは廃病院だった。
「刑事も廃病院が怪しいって言ってたらしいぜ」
「当たりだったみたいね」
 二人が中を調べようと門に手をかけた時だ。
「ここは立ち入り禁止だぞ」
 やはり刑事が現れた。彼は険しい顔で二人をにらみ据えている。
 スコッティが臆することなく持ち前のコミュ力で刑事に応じた。
「一人で捜査しているっていう刑事さんっすよね? 俺たちも事件を調べてるんっすよ。だからいっそのこと、一緒に調べないっすか?」
「ちょっと!」
 スコッティの提案にリーヴァルディが思わず声を上げた。猟兵ではない者を巻き込むのに抵抗があるのは当然だろう。
 だがスコッティは真剣な表情でリーヴァルディと刑事に言った。
「ここで言い争うのは時間がもったいないと思うんだ。一刻も早く事件を解決して捕まってる人たちを助けたいのはみんな同じだろう? だから、お願いします! 俺も四年前に両親を亡くしてるから、大切な人がいなくなる苦しみはわかるつもりっす」
 刑事は鋭い目でスコッティを観察していた。しかし彼の言葉に裏がないとわかったのだろう。ため息を吐くとつかつかと歩いて行き廃病院の門をくぐった。
「……身の危険を感じたら逃げろよ?」
「有難うございます!」
 一方リーヴァルディは呆れ顔だ。
「あなたが言ったことなんだから、あなたが責任持ちなさいよ?」
「わかってる。いざとなったら俺が守るよ」
 三人は廃病院内に踏み込んだ。
 屋内は長く使われていないことを証明する様に埃だらけだった。あちこちにクモの巣も張っている。電気が通っていないため路地裏以上に暗い。
 刑事が懐中電灯で辺りを照らした。
「……何かが通った跡だ」
 廊下に埃が積もっていない箇所があるのだ。それは奥へと続いていた。
「なんすか、これ? 爪痕……?」
 壁や床の所々に引っかき傷がある。それも人間がつけたとは思えないほど大きく深い痕だ。
「……血の臭いがするわ」
 奥へと進むほどにその臭いは強くなっていく。
 一つの部屋の前でリーヴァルディは立ち止まった。
「ここね……」
 扉を開けばスコッティと刑事も強烈な異臭に顔をしかめた。
 その部屋は手術室だったようだ。部屋の真ん中に手術台がある。そして部屋の隅に大量のごみ袋が積まれていた。羽虫がたかっている。異臭の原因であることは火を見るより明らかだ。
 嫌な予感しかしないが調べないわけにはいかない。三人はごみ袋を開いた。
「これは……っ!」
「うっ……!」
 袋に入っていたのは動物や人間の身体の一部だった。しかしどれも一部だけですべてそろっているものはない。
「ここで何かが行われているのは間違いないみたいね……」
 だがどこを探しても肝心のオブリビオンの姿はなかった。
 猟兵たちは日が沈んでからもう一度この廃病院に来ることにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『繋ぎ合わされし者たち』

POW   :    オ、オマエハ……俺ノ、餌ダ!
【飢えを抑えられず、リミッターの外れた姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    俺ノ身体ハ……モウ、長クナイ
【猟犬の嗅覚と反射神経】【虎の腕力と家猫のしなやかさ】【狐と狸の狡猾さと馬の脚力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    死ヌ前ニ、オマエタチダケ、ハ……!
自身に【決死の覚悟】をまとい、高速移動と【身体の継ぎ目から吹き出す、血の斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 太陽が完全に沈んでから猟兵たちは廃病院に侵入した。これまでの調査内容を踏まえて手術室へと向かう。
 そこには人がいた。一人は件の刑事だ。それと対峙するようにたたずんでいるのは白いスーツ姿の長髪の男性。そして彼を守るように立ち塞がっている者たち。
「何なんだ、お前ら……?!」
 刑事が困惑の声を上げるのも無理はなかった。
 その者たちは人間と動物をつぎはぎしたような姿をしていたのだ。オブリビオン――この世界で言うところのUDCである。
「何だとはひどいな。君たちは彼らを探していたんじゃないのかい?」
 長髪の男性が柔和な笑顔で言う。
「何を……言っている……?!」
「私が救ってあげたんだよ。腕を失くした者には腕を与えた。目の見えない者には見える目を与えたんだ。残念ながら、寿命はあまり長くはないんだけどね」
「まさか……じゃあ、そいつらは……!」
「ここに連れてきた人間だよ。感動の対面だね」
 にっこり笑ってそういう彼もオブリビオンであることは猟兵たちにはわかっていた。
 刑事は信じられないという表情で言葉を紡ぐ。
「じゃあ……美花は……?」
「彼女なら……ほら、そこにいるよ」
 示されたのは部屋の隅でこちらに背を向けてうずくまっている女性らしき者だった。体つきは人間の女性だが犬の脚と猫の頭を繋ぎ合わせられている。
「見ないで……護さん……」
 護と呼ばれた刑事は異形の者となった恋人を見つめたまま動かなくなった。
「どうしたんだい? 彼女は救われたんだよ? 彼女はまた、自分の足で君の隣を歩くことができるんだよ? 抱きしめてあげないのかい?」
 途端に刑事は鬼の形相で男を睨んだ。
「こんな化け物の姿にしておいて、よくも――!」
「化け物? 彼女はもう君の大切な人ではないと? じゃあ君は美花さんを殺すのかい? 懐の銃で彼女を撃つのかい?」
 刑事は懐に手を突っ込んでいたがその手を取り出すことはできなかった。
 男は猟兵たちの方へと向き直る。
「君たちは殺すんだろうね。君たちの仕事は何の罪もない彼らを殺すことなんだから。私は違う。人間を救うのは猟兵ではない。私だ」
 繋ぎ合わされし者たちが前に進み出る。
「ワガ子ヲコノ手デモウ一度、抱キシメルンダ。ソノ為ナラ、オ前タチヲ……!」
「殺ス。殺ス殺ス殺ス!」
 もう理性は残っていないようだ。彼らをどうにかしなければ男を倒すことはできない。襲ってくる以上躯の海に還す以外に救う手立てはないだろう。幸い今のところは刑事を襲うつもりはないようだ。
 しかし美花は部屋の隅から動かない。彼女にはまだ理性が残っているようだった。倒す以外の道があるかもしれない。
 戦いながら彼女の処遇も考えなければならないだろう。救う手立てがないのなら腹を決めるしかない。
「殺ス!!」
 猟兵たちは複雑な心中で襲い来る繋ぎ合わされた者たちを迎え撃つ。
セプリオギナ・ユーラス
(スーツの男への返答として)ああ、殺す。殺すとも。罪の有無など関係ない。
それが俺の仕事だ。猟兵としてではなく、医師としての。

──ひとは、ただしく救われねば意味がない

少なくとも彼女は施療を望んでいなかったように見える。
如何なる医療行為も、患者の望まぬ処置を行うのは間違っている。ましてや寿命を代償に損傷を補うなど、見当違いも甚だしい。
貴様の言う救いが患者にとってのそれではないのが明らかだ。愚かしい。


元がなんであれ知ったことか。仕事の邪魔をするのならば排除する、それだけだ。
……だがもし望むのであれば、異物の摘出を。死するとしても、人間としての死を望むならば。その願いを叶えることこそが俺の“仕事”だ。



●救い
「ああ、殺す。殺すとも。罪の有無など関係ない」
 人型のセプリオギナは白いスーツ姿の男を睨み据えて言う。
「それが俺の仕事だ。猟兵としてではなく、医師としての」
 彼は襲い来る繋ぎ合わされし者を白衣を翻して避ける。同時に殺戮刃物で相手の急所を突き刺しえぐった。
「――ひとは、ただしく救われねば意味がない」
「正しい? 私の救いが何故正しくないと言い切れる?」
 柔和な表情だった男の顔が嫌悪に歪む。自分の行いを正しいと信じて疑っていない様子だった。
 セプリオギナはそれに侮蔑のまなざしで返す。
「少なくとも彼女は施療を望んでいなかったように見える。いかなる医療行為も、患者の望まぬ処置を行うのは間違っている。ましてや寿命を代償に損傷を補うなど、見当違いも甚だしい。貴様の言う救いが患者にとってのそれではないのが明らかだ。愚かしい」
 吐き捨てるように言って跳びかかろうとしていた繋ぎ合わされし者を電動チェーンソーで切り捨てる。
「君の方こそ間違っている! 医者でありながら人間だった者たちを殺すなんて……!」
「元がなんであれ知ったことか。仕事の邪魔をするならば排除する、それだけだ」
 そう言いながらもセプリオギナは異形の者となった美花の方へと視線を走らせる。
 彼女はこちらを見ていた。その顔はどこから見ても猫のそれである。人の原型をとどめていなかった。
「……だがもし望むのであれば、異物の摘出を。死するとしても、人間としての死を望むならば。その願いを叶えることこそが俺の『仕事』だ」
「……っ!」
「――待ってくれ! 彼女を元に戻せるのか?!」
 必死の形相の刑事がセプリオギナに詰め寄る。
 だがセプリオギナは首を横に振った。
「元には戻らない。動物の部位を取り除くだけだ。切り取られた彼女の部位を見つけて繋いだとしても、もう手遅れだ」
「……死ぬ、のか……?」
「……ああ。死ぬだろう」
 セプリオギナの言葉に刑事は膝から崩れ落ちた。拳で床を殴りつけると獣のような叫びをあげる。
「くっそおおおおおお!」
「護、さん……」
 それを見た美花は猫の目から大粒の涙をこぼした。
「これが、貴様の言う救いか?」
「……黙れ!」
 男が憎悪もあらわに怒鳴る。
 すると繋ぎ合わされし者たちが猟兵たちに殺到した。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊能・龍己
先輩(f27753)と

この人達、……どうしても、助けられないんすかね
これが救いとは思えないっす
刑事さんの大事な人も……。
本当に、こうするしかないんですかね。
……そうっすか。わかりました。

俺は【神立】で先輩の援護を
〈属性攻撃(氷)〉で細い槍を降らせるように〈天候操作〉をして〈範囲攻撃〉。逃れた敵さんも動きを制限させて、先輩のところへ行くように誘導
自身に来る攻撃も氷雨(神立)の障壁で防ぎます

……先輩を一人にしていいのか?足を引っ張っているじゃないか?
いいえ、ぜんぜん違います、よ
(雨雲の目隠しで不意打ちの補助。銃声にほっとした顔)
もう1人の先輩、お久です
……や、少年くんとか呼ばないでくださいよもう


嘉納・日向
*心情
……これが、救い?
大事な人と引き離して、勝手に化け物に変えておきながら?
ああ、馬鹿らしいわ
……倒すよ。でも。美花さんってヒトは、刑事さんとお話、させてあげたいかな
ほら、後悔したきりよりは、ね?

*戦闘
足止めと撹乱を伊能くんの雨でお願いしつつ、シャベルを振りかぶって殴っていくよ
ある程度雨の結界で移動は限定されるはず
そうなって高速で飛び込んできてくれるところを迎撃する形で仕留めていくよ
……まぁ、でも雨で視界は悪くなるし、一人だけで前に出てはジリ貧だよね
ひまり、私の死角を潰して
【オルタナティブ・ダブル】
『オーケイ、ひなちゃん!』
攻撃で注意を逸らしておいてからの
銃弾でのだまし打ち、刺さるかしら



●大切な人
「……これが、救い?」
 襲い来る繋ぎ合わされし者たちを目の当たりにして日向は顔をしかめた。
「大事な人と引き離して、勝手に化け物に変えておきながら? ああ、馬鹿らしい」
 それを聞いたスーツ姿の男は憐れみに満ちた声音で言う。
「君たち人間は救われる側の者だからね。私の崇高な救いが理解できないのは仕方がないよ」
 それでも龍己は首を横に振った。
「これが救いとは思えないっす。この人たち……どうしても、助けられないんすかね。刑事さんの大事な人も……」
 刑事は床にうずくまって動かない。
 彼の恋人は近づくこともできないままそれを見つめて涙を流している。
「本当に、こうするしかないんですかね」
 二人の様子を横目で見つつ雨乞い龍の刻印が這う片手を上げる。それを繋ぎ目から血を流しながらもこちらに向かってくる者たちに向ける。しかし龍己の心にはまだ迷いがあった。
「……倒すよ。でも」
 日向もさび付いたシャベル『ゆうやけ』を握りしめた。
「美花さんってヒトは、刑事さんとお話、させてあげたいかな。ほら、後悔したきりよりは、ね?」
「……そうっすか。わかりました」
 龍己は日向の言葉で覚悟を決めた。そして繋ぎ合わされし者たちに氷でできた細い槍を雨のように降らせる。龍己を狙っていた者たちは槍を避けるために方向転換して日向へと狙いを変える。
 日向は前に出ると次々と襲ってくる者たちをシャベルで殴り倒していった。
 しかし龍己の雨で相手の来る方向が限定されているとはいえ多勢に無勢である。
「いいのかい? 彼女を一人で戦わせて。君は彼女と違って覚悟が足りないように見える。足を引っ張っているんじゃないかい?」
 刑事に声をかけようとしていた龍己に白いスーツ姿の男が言う。
 龍己は青い瞳で真っ直ぐに男を見据えた。
「いいえ、ぜんぜん違います、よ」
 動物特有の優れた身体能力で日向に避けきれない攻撃を放とうとしていた者が突然雨雲で目隠しされる。
『ナイスよ、少年!』
 日向に呼び出され彼女と背中合わせで死角をつぶしていたひまりが龍己に向かってサムズアップする。
 そして銃声。日向がシャベルで攻撃すると見せかけて相手の射程外から銃弾を見舞ったのだ。
「あり、がとう……。やっと、苦しみ、から……解放、さ……れ……」
 犬の頭をした者が安らかな声で日向に感謝の言葉を述べた。そして躯の海へと還っていく。
 日向はそれを見送って努めて静かな声で刑事に尋ねた。
「……刑事さん、このままでいいの?」
「そうっすよ。美花さんの事、ずっと探してたんでしょう? 大切な人だから。姿かたちが変わっても、美花さんはあなたの大切な人でしょう?」
「……俺、は……」
 二人の声に刑事はゆっくりと顔を上げる。その顔はひどく憔悴していた。けれどもその瞳はしっかりと変わり果てた姿の恋人をとらえる。
「……言ったんだ。結婚しようって。足が動かないなんて、関係ねぇ。俺には、お前しかいないって……!」
 彼は近くにいた龍己に顔を向ける。そして縋り付いた。
「あんたらが何者なのか知らねぇし、何者か聞かねぇよ。だから、頼む! 見逃してくれ! 俺は美花がいないとだめなんだ……!」
「それは……」
 刑事は床に手をつくと額が床を擦るのも気にせず頭を下げた。
「頼む! 美花を殺さないでくれ! 頼む! 頼むよ……!」
「……大の大人が土下座までしているんだ。望みを叶えてあげたらどうだい? 彼女の命はどうせ長くない。君たちが殺すまでもないさ」
 UDCの男は今までにないほど真剣な表情をしていた。まさかUDCでありながら本気で人間を救おうとしているのだろうか。
 オブリビオンは倒さなければならない相手だ。しかしそうすることによって刑事の心は壊れてしまわないか。
 この世界にはUDC-Pという無害なオブリビオンもいる。美花はそれになろうとしているのではないか。
 彼女を殺すべきか否か。すべての判断は猟兵たちにゆだねられている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雨音・玲
【SPD・アドリブ歓迎】
遅れて悪い、準備に手間取っちまった
その願い後悔が無いなら応援する
頭を上げな、後は何とかするよ

…てめぇは許さなねぇ
崇高な救い?はっ、その薄っぺらい善人顔の下に見え隠れする
人の命を弄んで不幸を喜んでる素顔に吐き気がするぜ

まぁ長々話したが、良い頃合いだろ
殺すのも考えたが…俺のエゴで押し通させてもらうぜ
奢りだ―いい夢見な

はははっ何したかって?
動けなくなるぐらい酔ってんだよ
アルコール度数を上げた酒気を散布したのさ
俺たち猟兵やアンタには効果が薄いかもしれないが
動物の能力を使った身体強化を施されてるんだ十分な劇薬だろ?

さぁ自慢の兵隊は無力化させてもらった
覚悟は良いよな?先生?



●生かす者
 刑事は土下座の姿勢のまま何度も頼むと繰り返していた。
 そんな彼に歩み寄ったのは遅れてやって来た雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)だ。
「その願い、後悔がないなら応援する。頭を上げな、後はなんとかするよ」
 顔を上げた刑事に玲はニッと笑って手を差し伸べた。
「すまない……有難う……!」
 刑事はその手を取って立ち上がる。そして愛しい恋人の元へと真っ直ぐに向かった。
 白いスーツ姿の男はそれを見て微笑む。
「よかった。これで本当に、感動の再会だね」
「……てめぇは許さねぇ」
 玲の赤い瞳が男を睨んだ。
「崇高な救い? はっ、その薄っぺらい善人顔の下に見え隠れする、人の命をもてあそんで不幸を喜んでる素顔に吐き気がするぜ」
「……命をもてあそんでいるのは君たち人間の方だろう。私は善で正義だよ。私には神がついている。邪魔な猟兵にはご退場願おう」
 男が冷たくそう言えば繋ぎ合わされし者たちは玲に狙いを定めた。
(UDCアースの神って……嫌な予感しかしねぇな)
「まぁ長々話したが、いい頃合いだろ。殺すのも考えたが……俺のエゴで押し通させてもらうぜ」
 玲は懐からうわばみ瓢箪を取り出す。
「俺のおごりだ。――いい夢見な」
 言うのと同時に瓢箪を振って襲いかかってきた者たちにそれの中身を浴びせる。
「――うぐ?!」
 途端に彼らは足元がふらつき立っていられなくなる。中には目を回して倒れてしまう者までいた。
「これは一体……?! 何をしたんだ!」
「アルコール度数を上げた酒気を散布したのさ。俺たち猟兵やアンタには効果が薄いかもしれないが、動物の能力を使った身体強化を施されているんだ。十分な劇薬だろ?」
 その上玲の黒蟒の能力で瓢箪の効果や威力、射程は三倍に増幅されている。
 繋ぎ合わされし者たちの鋭い嗅覚ではひとたまりもないのは当然だった。
「……彼らも生かすというのかい? 彼らに理性はほとんど残っていないよ。外に出せば人を襲ってしまうだろう」
「だが美花って人は理性を保ってる。それは大切な人がそばにいるからじゃないか? 彼らも大切な人に会えれば自分を取り戻すかもしれないだろ。俺はやらずに後悔したくない」
「……彼女が特別なわけではない? そんなことが……いや、そんなはずは……!」
 ひどく動揺したまま男は玲を憎々し気に睨んだ。
「私に救えない者が、猟兵などに救えるはずがない! 邪魔だ、消えろ!」
 憎悪の言葉に応じて残り少ない繋ぎ合わされし者たちが猟兵たちに襲いかかってくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイ・オー
遅くなったが、この事件一枚噛ませて貰うよ。

事情は聞かせて貰った。
刑事さんは何としても彼女を助けたいんだな。力を貸してくれ。
美花さんは理性が残ってる。ならば、他の犠牲者達の魂も消滅はしていない可能性が高い。
不安定なユーベルコードだが、ここはこいつに賭けるぜ。【霊媒探偵】使用。この事件の被害者達……体を弄ばれた人達や、大切な人を奪われた身内達、その全ての魂に呼び掛け、事件解決の為の現実改変を起こす。
即ち、「被害者達を元の人間の姿に戻す」。
難しければUDC-Pでも構わない。人と共に生きられる様に。理性を失った人も身内と会わせられれば助けられるかもしれない。
少しでも幸せな解決に近付ける。それが探偵だ。



●共に
 もう一人遅れてやって来たのは探偵のカイ・オー(ハードレッド・f13806)だ。
「刑事さんは何としても彼女を助けたいんだな」
 繋ぎ合わされし者たちの攻撃をオーラ防御で防ぐカイ。
 彼を見てスーツ姿の男は忌々し気に顔をしかめる。
「また猟兵か……。いい加減うっとうしいな」
 一方カイは男には目もくれず霊媒探偵を発動させた。
「……やっぱり、他の犠牲者たちの魂も消滅していないな」
 彼のユーベルコードは事件を解決したいという願いをその事件の被害者たちに呼びかけて賛同者数に応じて実現させる能力だ。
 カイはすでに亡くなった者たちと繋ぎ合わされし者たち、そして美花の魂に呼びかけた。
「みんな、聞いてくれ。俺はみんなの同意を得られれば事件を解決できる。現実を改変することもできるんだ。すなわち、被害者たちを元の人間の姿に戻すことができる。だから力を貸してくれ」
 しかしその言葉にうなずく者はほとんどいなかった。
「君は何もわかっていないね。彼らは私に救われたんだよ。だというのに、元の姿に戻す? 病の身体、欠損のある身体に逆戻りしろと? 賛成するはずがない」
 男の小馬鹿にした発言にもカイは動揺しない。想定の範囲内だ。
「それが難しければUDC-Pでも構わない。人と共に生きられるように。理性を失った人も身内と会わせられれば助けられるかもしれない」
 繋ぎ合わされし者たちの動きが止まった。人のいいカイの言葉に心を動かされているのは明らかだった。
「その姿で生きるのは簡単じゃないだろう。UDC組織の監視もつくことになる。それでも、大切な人と共に生きられるように取り計らうよ。少しでも幸せな解決に近づける。それが探偵だ」
「……返事を、してなかった」
 今まで黙り込んでいた美花が口を開いた。
「プロポーズの返事。こんなことになる前に言っておけばよかったって思っていたの。こんな姿になって、もう言えないって思ってた」
「俺の気持ちは変わっていないぞ。どんな姿でも、美花は美花だ。俺と結婚してくれ」
 刑事は異形の姿になった恋人を真っ直ぐに見つめて改めて求婚した。
 美花も彼をしっかりと見つめて返事をする。
「こんなわたしで……化け物でも、よければ」
「当たり前だ……!」
 二人はようやく互いを抱きしめ合った。
 それを見た繋ぎ合わされし者たちも口々に言う。
「帰りたい……妻に会いたい……!」
「お父さん、お母さん……!」
「あの人と……生きたい……!」
 彼らの姿は何も変わっていない。しかしその瞳には知性の光が宿っていた。
 そして猟兵たちにはわかった。彼らはもうオブリビオンではない。UDC-Pだと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『救済者アルファ・ニール』

POW   :    兄弟仲良く…
戦闘力のない【操り人形に改悪したクローン聖者の失敗作達】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【自身の勝利を祈る様洗脳した聖者達の加護】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    どう救う?
対象への質問と共に、【自分がこれまで力を植え付けた人々の中】から【暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達】を召喚する。満足な答えを得るまで、暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達は対象を【怪光線や鋭利な牙、巨大化した爪による暴力】で攻撃する。
WIZ   :    憎たらしい…!
【敵対する猟兵のユーベルコードのエネルギー】【を取り込みその強さへの嫉妬と憎悪により】【奪ったユーベルコードの力をコピーする事で】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠キリエ・ニールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あはははは!」
 繋ぎ合わされし者たちが無力化されたのを見て男は狂ったように笑った。
「……たかが人間風情が私の崇高な救いを邪魔するとは。憎たらしい。ああ、憎い。憎い憎い憎い憎い憎い!」
 表情とは裏腹にその目は猟兵への憎悪に満ちていた。
 しかし男は突然動きを止める。そして何もない宙をじっと見つめた。
「……ええ。そうですね。私があの者たちを救ってご覧に入れましょう」
 男は何事もなかったように柔和な笑みを浮かべて猟兵たちに視線を戻す。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私は救済者アルファ・ニール。人によって生み出された、聖者のクローンだよ。以後、お見知りおきを」
 被っていた白いシルクハットを取って一礼して見せた。
 それと同時に男――アルファの周囲の床が赤く光る。その光の中から彼によく似た者たちがゆらりと立ち上がる。しかし彼とは違いその顔に表情はなくその瞳には何も映さない。アルファを守るようにただそこに立っていた。
「さあ猟兵。彼らをどう救う?」
 アルファの言葉と共に今度は猟兵たちの目の前の床が赤く光る。そこからずるりと出てきたのは子どもたちだった。彼らの腕は異様に大きい。爪は動物のように鋭く長い。口からは肉食獣のような牙がのぞいている。
「救えないのなら彼らが……私が君たちを、猟兵と言う名の呪いから救ってあげるよ!」
 子どもたちがこちらを見た。
「オモチャ」
「アソボウ」
「アソンデ」
 彼らは巨大な両腕を振り回しながら猟兵たちに襲いかかってくる。
セプリオギナ・ユーラス
“どう救う”ときたか。
またずいぶんと莫迦ばかしい質問をされたものだ。

──俺には誰も救えやしない
吐きかけた言葉を飲み込む。どうせ何を答えたって満足しないのだ、こういう輩は。

猟兵という名の呪いとはよく言ったものだ。
ほんとうに。救い方を知っているなら教えてほしいくらいだ。

ああ、業腹なことに俺はお前たちを救えない。だが俺はそれでも救おうとするのをやめない。この手に力が、医術が医学が知識がある限り。手を伸ばそう。

全ての怒りも苛立ちも、誰からも見えぬように◆正六面体へおしこめて。
「どう救うか、でございましたね」
平然と答えよう。
「『救おうとし続ける』それがわたくしの答えにして性、とお答えいたしましょう」


嘉納・日向
伊能くん(f21577)と

……あくまでも、こんなのを救いだって言うんだね
『二重の意味で?』
「そういうのじゃないから」(親友のユベコ解除)
(こほん)
……。
終わってしまった人の救い、私には倒すことしか浮かばないんだよね
あと、救われてやる気もないから

伊能くん、ほら、お仕事続けるよ

*戦闘
引き続き足止めとか目潰しはお願いね
闇に紛れて不意打ち狙いからの、すぐ退けるような接近戦を挑んでいくよ
【朝霞は届かない】
シャベルに炎を纏わせて、ここぞって時に食らわせてやる

『ひなちゃん、コレ使った時大抵声が震えるよねー』
……泣いてないし。
目隠しナイス、伊能くんの雨雲……。


伊能・龍己
先輩(f27753)と

救い……
やっぱり、あんたの救いは変ですよ
あの子たちも、幸せそうに見えないっす

うっす、先輩。お仕事続けましょう

【黒風白雨】で援護っす
撹乱ならお任せください
天候操作して、雨雲からの、氷の豪雨……!

嫉妬からの真似なんてカッコ悪いっすよ、お兄さん
それに……俺の氷、炎で溶けるんですよね



●救われたいのは誰か
 セプリオギナはアルファ・ニールの質問に内心で自嘲していた。
(――俺には誰も救えやしない)
 しかしこういう輩には何を答えてもどうせ満足などしない。故に言葉を口にすることはなかった。
 セプリオギナは鋭い牙で噛みつこうとしていた子どもを避ける。そしてそれの胸を殺戮刃物で貫いた。
「あはははは! やはり君は、医者でありながら人を殺すのか! その子たちはね、親に捨てられたんだよ。まともな教育もされず、自我すらほとんどない。大切に思ってくれる人もいない、ただの純粋無垢な子どもたちだよ。それを君は、殺すのか?! それが救いだと?!」
 顔に笑みを張り付けたままアルファが叫んだ。
「猟兵は人を救わない! ただオブリビオンを殺すだけだ! 猟兵など不要、私が人間を救う!」
(ほんとうに。救い方を知っているなら教えてほしいくらいだ)
 はらわたが煮えくり返りそうな思いでセプリオギナは黙して肯定した。彼らを救う術を自分は持っていない。どのような医術を用いても彼らの心が救われることはないだろう。
(だが俺はそれでも救おうとするのを止めない。この手に力が、医術が医学が知識がある限り。手を伸ばそう)
 セプリオギナは無造作に刃物を投げた。それは子どもたちの間を通り抜けアルファの肩に深々と刺さる。
「――ぐっ……!」
 アルファはそれを引き抜き憎悪の目を持ち主のいるであろう方へと向ける。
 しかしそこに白衣の男性の姿はない。変わりに黒い霧をまとった黒い正六面体がいた。
「どう救うか、でございましたね」
 この姿であれば怒りも苛立ちも誰に知られることもない。彼は落ち着き払った声音で平然と答えた。
「『救おうとし続ける』。それがわたくしの答えにして性、とお答えいたしましょう。さて、わたくしからも質問させていただきましょうか。貴殿は救うことにずいぶんと固執しているようですが、真に救いたいのは誰なのでございましょう?」
「――っ!」
 アルファは肩を押さえて少しうつむいた。
「……もう遅い」
 そう呟いた彼の表情もシルクハットに隠れてうかがい知ることはできなかった。

 龍己と日向にはアルファ・ニールの呟きは聞こえていなかった。
「……救い? 身寄りのない子どもたちを、化け物にすることがっすか?」
「……あくまでも、こんなのを救いだって言うんだね」
「それに……」
 龍己はアルファの周囲にいる者たちに目を向ける。
「その人たちは誰なんすか?あなたによく似てるっすけど……」
 うつむいていた顔を上げたアルファはまた笑顔を張り付けていた。
「彼らは私と同じクローン聖者だよ。まあ彼らは失敗作として人間に捨てられたんだけどね。要するに私の兄弟みたいなものだよ」
「自分の兄弟をそんな、道具みたいに……!やっぱり、あなたの救いは変ですよ。その人たちもこの子たちも、幸せそうに見えないっす」
 救ったというのならば幸せでいるべきだ。笑顔であるべきだ。
 しかし彼らはどうだ。クローンたちは本当に生きているのか疑ってしまう程に無表情だ。子どもたちは笑ってはいるがその瞳は狂気に満ちている。
「幸せ?」
 途端にアルファは憎悪の目で龍己を射抜く。
「人間に、世界に選ばれた猟兵にはそんなこともわからないのかい? 幸せになれるはずがないだろう! 信じた者に、愛されるべき者に捨てられた孤独を! 絶望を! 理解できないとは……!」
「……あなたには、理解できるんすか?」
「できるさ。当たり前だよ。私は人間を救うために作られたクローンだ。しかし猟兵が現れた。だから! 私は! 捨てられたんだよ! 猟兵がいるからもう不要だと!」
 アルファは変わらず笑っていた。しかしその笑顔が悲しげに見えるのは果たして気のせいだろうか。
「……確かに俺は両親に大切に育てられました。そういう意味ではあなたたちの絶望を真に理解できないのかもしれないっす。でも」
 龍己は真っ直ぐにアルファを見つめた。
「どんな理由があろうと、こんな救い方は間違ってます。だから、ここで終わらせるっす」
 彼の逆さ龍の刻印がアルファの頭上に雨雲を呼ぶ。そこから氷柱の豪雨が降り注ぐ。
「――ああ、憎たらしい……!」
 アルファが肩を押さえていた片手を上げる。すると豪雨と雨雲は霧散した。代わりに龍己の頭上に雨雲が出現する。
 氷の豪雨が龍己を襲う。はずだった。
「嫉妬からの真似なんてカッコ悪いっすよ、お兄さん。それに……俺の氷、炎で溶けるんですよね」
 龍己に刺さる寸前に氷柱は溶けて雨になり蒸発して消えた。
「何っ?! ……もう一人はどこに行った!」
 子どもたちの相手をしていた日向がいつの間にか姿をくらましていたのだ。
 龍己がアルファの注意を引きつけている隙に日向は夜の闇に紛れて子どもたちから隠れていた。そして攻撃の機会をうかがいながら後悔や罪悪感を抑え付ける心を代償に自身の攻撃威力を上げていた。
 普段の彼女は冷静沈着だが真面目な性格だ。この状況でも冷静に振舞っていたが罪悪感を感じていないわけではない。理性で感情を抑えていただけなのだ。それ故その抑えを失くした彼女の心は後悔と罪悪感で溢れた。
(ごめんなさい。私はあなたたちを救えない。あなたたちは何も悪くないのに、終わらせることしかできない……! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!)
『ひなちゃん、コレ使った時、大抵声が震えるよねー』
 場違いに明るいひまりの声が脳内に響く。
(……泣いてないし)
 強がりで反論する。けれどもそれで自分を取り戻せた。龍己の声が聞こえる。
「――だから、ここで終わらせるっす」
(終わってしまった人の救い、私には倒すことしか浮かばないんだよね。だから、救うよ)
 それが倒した繋ぎ合わされし者たちや子どもたちのためになると信じて。
 日向は龍己のすぐそばを駆け抜けて氷を蒸発させる。そしてそのまま一気にアルファに死角から肉薄する。握りしめた彼女の罪の証『ゆうやけ』に太陽にも似た灼熱を込めて振り下ろす。
「ぎゃあああ!」
 灼熱に身を焼かれてアルファは床を転げ回った。だがそれが鎮火すれば彼はよろよろとしながらも立ち上がる。もう虫の息であるにもかかわらずだ。
「……猟、兵えええ!」
 今の彼はもう猟兵への憎悪のみで立っているのだろう。彼をそれから救えるのは猟兵だけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー
不具を治す代わりに異形に変えることを救いと称しておったが
本当に救おうとしていたのかの?

異形となったことに苦しむ姿を見て笑っていたのではないか?
変わり果てた愛する者の姿に苦悩するのを見て愉しんでいたのではないか?

あれこそが救いだと言うのであれば、救いは身体ではなく心にあることすら知らぬわけじゃ
なるほど、欠陥品として捨てられたのも頷けるのう

と、これは個人の感想じゃ
ここからは猟兵としての仕事をさせて貰おうぞ

動きを見切って接近
UCの力を込めた光剣で斬り伏せよう

猟兵は人を救う者として選ばれるのではない
オブリビオンを屠る者として選ばれる

おぬしの生みの親がそれに気付いておれば、違った結末になったかもしれぬの



●すべての魂に救いを
「不具を治す代わりに異形に変えることを救いと称しておったが本当に救おうとしていたのかの?」
 廃病院に最後に現れた猟兵はクレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)だった。クレアは金の瞳でアルファ・ニールを静かに見据える。
「異形となったことに苦しむ姿を見て笑っていたのではないか? 変わり果てた愛する者の姿に苦悩するのを見て楽しんでいたのではないか?」
 アルファは焼けただれた顔でも笑顔を張り付けていた。
「……何を、言っている? 救った、者を見て、笑うのは……当然、だろう? 感動の、再会を、楽しむ、のは……当然……だろう?」
 もはや虫の息であるにもかかわらず彼の意見は変わらない。それが本心なのだろう。
「私が! 私が、救ったのだ……! あはははは! 救って、やったんだ……! 私の、存在意義は……まだ、ある!」
 アルファは狂ったように笑った。
 それを見たクレアは哀れにすら思った。
(あれこそが救いだと言うのであれば、救いは身体ではなく心にあることすら知らぬわけじゃ。なるほど、欠陥品として捨てられたのもうなずける)
 彼女もアルファと同じく人間に造られたサイボーグだ。その自分でも救いは人の心に因るものだと当たり前にわかるというのに彼にはまったく理解できていない。心がないから捨てられたのか。あるいは捨てられたから心を忘れたのか。どちらにしろ今の彼に人を救うことなどできないのは明白だった。
 アルファの周囲のクローン聖者たちが祈りをささげてアルファの魔術を強化する。
 アルファは手のひらの上で赤く光る魔法陣を展開。そこから次々とナイフを出現させるとクレアに放つ。
 人造人間であるクレアは自身に搭載されている見術により攻撃のすべてを完全に見切った。彼女はかすり傷一つ負うことなくアルファに接近する。そしてオブリビオンを骸の海に返す力を込めた光剣を一閃。
「がはっ……!」
「猟兵は人を救う者として選ばれるのではない。オブリビオンを屠る者として選ばれる」
 オブリビオンの源となる核を正確に破壊されたアルファは地に倒れ伏す。
「おぬしの生みの親がそれに気付いておれば、違った結末になったかもしれぬの」
 骸の海へと還って行ったアルファに果たしてその言葉は届いていただろうか。

 UDC-Pとなった繋ぎ合わされし者たちは監視がつくことを条件にUDC職員に連れられて大切な人の元へと帰ることとなった。
 刑事とその恋人は猟兵たちに深々と頭を下げて礼を述べると彼らと共に去って行った。少ない余命を愛する者と共に幸せに生きる。そう言った美花はもう泣いてはいなかった。
 命を救えた者は確かに多くはない。けれども命を落とした者たちも異形の身体から魂を救われ猟兵たちに感謝していることだろう。
 かくしてオブリビオンは討たれ町は救われたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月11日


挿絵イラスト