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ひと塗り三百貫、ふた塗り六百里

#サクラミラージュ #ID_真峰

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#サクラミラージュ
#ID_真峰


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 街明かりを弾き、闇に浮かぶは紫みを含む黒赤色の薔薇。
 咲いたばかりのそれをそっと包み込むのは薄紅色の玉手。
 願えば花はその姿を芳香を閉じ込めた蝋へと変え、白い容器の中へと収まってゆく。

「ありがとうございます! お姉さま!」
 掌に収まるほど小さなそれを夢中で受け取り、学生と思しき者は早口に礼を述べる。
 切らしてしまってどうしようかと思っていた、やっとあの人の前に出られる。
 念仏のように独り言を唱えながら、中の蝋を指で掬い、耳の後ろへひと塗り。
 すると、その声は見る間に高く可愛らしく、鈴を転がすような音色へ。
 耳を塞ぎ自分の声を確認した学生は、やっと落ち着いた様子だった。

『……ねぇ、アナタはいま……シアワセ?』
 薔薇色ドレスの女性から問いかけられる言葉は、甘くしっとりと歌声のような響き。
 しかし聞こえているのかいないのか、学生は一礼すると足早にその場を後にした。

『…………ねぇ、アノコは…………ワタシは……ワタシの成したことは…………』

 どろりとその身の内側から、形容できない何かがあふれ出るような感覚に襲われる。
 何かが塗り潰されるような気分に眩暈がして、壁一面を覆う蔓に手をつき息を整える。

 辺りを覆うおびただしいほどの黒薔薇の中。
 落とす影は真黒く巨大な――異形の鬼。


「サクラミラージュにて、民間人に匿われている影朧を確認した。至急現場に向かい捕獲してくれ。討伐するか、転生を促して倒すかは任せる」
 グリモアに自らの捕捉した光景を映し出しながら、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)が呼びかける。繰り返し再生される映像に合わせ、ベース内の景色も薄紅の花弁が舞い散る大正浪漫の景色へと移り変わる。

「この影朧は直接の悪さこそしないが、その力で作り人々に手渡している"練り香水"と呼ばれるものが厄介だ。ユーベルコヲドとまではいかないが、使用した者の能力を爆発的に引き上げる」
 ある者は頭に思い浮かべた絵画を瞬きの間に描き上げ、ある者は予鈴ギリギリまで家で寝ていても秒で教室まで走り抜け、またある者は玄人のような審美眼で以って一代で財を築いた。

「あくまで当人の持ち得る能力をひとつだけ超強化するという範囲に止まるが、練り香水の香りが消えればそれまで。元の只人だ」
 だからその恩恵を受ける使用者は、それはそれは丁寧に影朧を秘匿する。
 その力を、永遠に得続けんが為に。

「だが、過ぎた力には代償が付き物。此度は影朧と使用者の正気だ。……まぁ、どちらも時間の問題だったろうがな」
 正気を取り戻させ力に更なる制限を加えれば、かの者達も夢から覚めないまま日常を送れるだろうか。否と、猟兵はその邂逅に首を振る。

「影朧とは、かの世界に呼び寄せられた不安定なオブリビオンのことだ。直ちに人を傷つける意思が無くとも、その行動が世界の崩壊につながってゆく。あるべき場所へ、導いてやってくれ」


「まず向かうのは練り香水の使用者の出入りが多く見られる、中華風の倶楽部店だ。昼過ぎまでは飲茶を提供している店らしい。茶と軽食がてら出現に備え、影朧を知る者から居場所などの情報を引き出してくれ」
 食事代に関しては帝都からのサアビスチケットを活用するが良い、と真峰は豊富に提供された札を扇のように広げて見せる。

「また、めぼしい使用者を見つけたら会話がてら、その者自身の話を聞いてやるのも良いかもしれん。……影朧が現れた際、真っ先に邪魔してくるのは彼等だろうからな」
 練り香水がなければ生きてゆけないと、中毒者のようになっている者もいるだろう。影朧を守ろうと妨害を仕掛けて来た際、超弩級戦力としての力を見せつけ屈させても良いし、その心を縛る恐怖や焦燥との付き合い方を教えてやっても良い。

「妨害を越え影朧を追い詰めれば、応戦してくるだろう。薔薇鬼の力と自らを顧みない捨て身の攻撃が得手のようだ。どう対処するにしろ、油断はせぬようにな」
 どうやら器物に鬼が宿ったものらしく、その考えは人間よりも盲目的だ。献身的に人を助けているようで、その実自分の為の行動なのだろうと。
「何を求めての行動だったのかは、察するに余り有る。その心までもが鬼と化す前に、止めてやってくれ」

「では、よろしく頼むぞ」
 程よく湿って暖かい季節、幻朧桜の風を受け、猟兵は帝都へ降り立った。


小風
 小風(こかぜ)です。
 21作目はサクラミラージュにて影朧を匿う者達です。
 よろしくお願いします。

 また、プレイング期間を設けています。送信の際はMSページも御確認下さい。
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第1章 日常 『上海恋歌』

POW   :    スタアの歌に酔いしれる

SPD   :    美味な点心に酔いしれる

WIZ   :    会話と雰囲気に酔いしれる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 繁華な通りから少し外れた道も、食事時には賑わうようだ。

 赤色を基調とした外観に、房の付いた大きな楕円の提灯。
 金色の毛筆書体で『祥来香』と掲げられた大きな看板。

 店内の賑わいと共に漂う食欲をそそる香りに、胃袋がせっせと空間をあける音がする。

 あくまで調査の為に、サアビスチケットを手に店内へ歩を進める猟兵。
 その足取りがどことなく軽やかに見えるのは、はたして気の所為だろうか。


 お茶に点心に、何より会話を楽しむ空間は活気にあふれていた。
 相席は当たり前のようで、同じ円卓に通された者同士で会釈をする姿も見られる。

 席に着けば早速訊かれるのはお茶の種類。
 点心ともよく合うプーアール茶、柔らかな風味のサウメイ茶、華やかな香りのジャスミン茶、芳ばしい味わいのウーロン茶……緑茶、紅茶のご用意もあります。
 お湯のおかわりの際は急須茶器の蓋を開けてお待ち下さい。

 湯気の立つ小振りなセイロを乗せた荷車が各席を廻る。
 一口サイズの餃子や肉まん小籠包、小皿料理は炒飯にエビチリ酢豚にお粥、甘味は杏仁豆腐ゴマ団子マンゴープリン桃饅頭……こちらも種類豊富に。
 お腹の許す限り、追加注文を承っております。

 ここが夜間には雰囲気のある倶楽部になるというのだから驚きだ。

 店内にサッと目を配った猟兵は、目的の席へと座った。
浅海君・惟春
話をお聞きしましょうか。

軽い食事をしながら店内を見回して、上機嫌に昂られている方に香りについて声をお掛けいたします。

不躾な作法になってしまいますね。
謝りながら、好きな花の香りがした気がしたので、と練り香水について話を促します。
語られるのは自身に満ちた言葉か、後ろめたさのある言葉か。

ああ、なるほど。
もう一度謝罪いたします。

本当は、その香水へと不信感を煽りたかったのですが、私には合わないようです。
その香水が無くとも、その成功体験は紛れもなくあなたのものです。きっと大丈夫。

私は、その香水の供給を止めるために参りました。

どうか、ありのままのあなたに自信をお持ちください。

アドリブ歓迎



 楽し気な話声と軽やかな食器の音が織りなす店内の背景音楽。高級店ほど上品ではないが騒がしくもない賑やかさ。同卓で注文の仕方を教えている様子が見られるに、常連客もそこそこいるようだ。
 折り目正しい所作で空席を探すのは浅海君・惟春(帝都桜學府所属ホテルズドアマン・f22883)。普段は従業員側の立場であるが、今日は自分がお客様。片付け終わったばかりだろう広い卓に素早く着くと、周りを見渡した。

「見ない顔だねぇ。この店は初めてかぃ?」
 すると隣に迷わず座ってきたのは初老の男性。手には茶器と自身の伝票。どうやら席を移動してきたようだ。
「誰もいないんじゃ注文も分からんだろう。まずは茶で食器と箸を洗うのが本場流さぁ」
 まだ酒が出る時間帯ではないはずだが、ほろ酔いのように上機嫌な様子。茶を注ぐ手から漂うは、ふわりとコクのある香り。
「ジャスミン茶……だけではありませんね。好きな花の香りがします。不躾で申し訳ありませんが、何か香水をつけていらっしゃるのでしょうか」
 初老の男は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに自分の手首を指して自慢気に語る。
「ここいらでちょいと流行っている品さぁ。おりゃあ体壊して酒が飲めなくなっちまったんだが、コイツのおかげでずっといい気分よぉ。ボンクラは飲み食いできなきゃ娯楽が無いからねぇ」

 程よく相槌を打ちながら聞いていた惟春。だが、ふいに自嘲気味に笑うと「申し訳ありません」と謝罪を述べた。再び驚いた顔をする初老の男に、惟春は続ける。
「本当は、その香水へと不信感を煽りたかったのですが、私には合わないようです。けれど、決してあなたはボンクラではありません。どうか、ありのままのあなたに自信をお持ちください」
 なぜなら初老男は身体をだまして暴飲することをせず、その気分を楽しむにとどめ体を労わっている。更に新顔の惟春をすぐに見つけて世話を焼いた。中毒者が発生していると聞いた中で随分理性的なのだ。あとは気の持ちようだと、惟春は卑下する言葉を誠心誠意否定した。

 しばらく惟春を見つめていた初老男性が、得心したように小さく頷く。
「……あんた、學徒兵か」
 するとワゴンを呼び止め自身の伝票を差し出すと、惟春の前に一つ杏仁豆腐を置いた。
「ちょいと正直すぎるが、そういう若者は嫌いじゃねぇ。おごりだ。"ゆっくり"食っていきな」
 年若な童顔にマシュマロボディの見た目なだけで、惟春も十分大人なのだが、どのみちこの男性には関係ないのだろう。
 先ほどの言葉はヒントだろうかと思い返しながら、惟春はふるりとした白い甘未を掬い上げる。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
SPD

能力を引き上げる練香水なぁ。
正直それに頼る気持ちはわからん。持ち得る能力というのなら努力すればいいだけの話ではないのか?
そう思うのは俺が猟兵だからなのか、…それとも人ではないからなのか。

とりあえず飲茶ってやつを楽しむか。
茶は好きだし軽食がてら、甘味だけでないのは嬉しい。
お茶は初めて聞いたサウメイ茶。
あと実は胡麻団子が好きでな、もちもちと胡麻の香りがまた良い。
まぁ、甘味が得意ではないのでせいぜい一つぐらいしか食べられないが。
腹に余裕があれば肉まんも。

適当に店員か同席の人に質問を。
夜は倶楽部になるとはいえ、昼でも香水をつけてくる人が多いんだな。
この辺りで香水の有名な店があるのか?



「(能力を引き上げる練香水なぁ。正直それに頼る気持ちはわからん。持ち得る能力というのなら努力すればいいだけの話ではないのか?)」
 白い毛の生えた不思議な茶葉が耐熱硝子の中で踊るのを眺めながら、黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)はサウメイ茶が蒸れるのを待つ。
 本体はナイフ。ヤドリガミとして生を受けた自身。常の者には当たり前の望みなのだろうか。世界に選ばれた猟兵……ましてや人ではない自身だから思い至らないのだろうか。

「そろそろいい頃ですよ」
 同席の婦人から声を掛けられれば瑞樹は顔を上げ、一杯目の茶を淹れる。初めて聞く名前のお茶だったが爽やかな口当たりで、夏バテ防止にも好んで飲まれるとのことだ。
 注文した胡麻団子のもちもちとした食感と香ばしい胡麻の香りを楽しむ。好物の一つだが甘味自体は得意でない為、広がってきた餡子の味は同時に注文した肉まんを食べて胃袋へ押しやった。
 程よく自分の速度で食事を楽しみながらまた一人と、横を通り過ぎる客に目を向ける。

「夜は倶楽部になるとはいえ、昼でも香水をつけてくる人が多いんだな。この辺りで香水の有名な店があるのか?」
 人によりけりですねー、と濁すように言う婦人に「同じ香りがする」と重ねれば、困ったような顔で視線を逸らす。
「流行り始めは確かにこのお店のようですね。香りだけなら珍しくないから、近くのお店にも置いてあるんじゃないかしら」
 香り"だけ"なら、と心の中で反芻し「ではよく覚えて行こう」と笑みを返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「ジャスミン茶に海老の威化紙揚げ、海老蒸し餃子、フカヒレ蒸し餃子、翡翠餃子、烏賊団子、フカヒレ水餃子、海老肉焼売、小籠包、叉焼饅…とりあえず最初はこの程度で」

「それでは首筋や耳の後ろ、手首の内側から花のような香りのする方を探して下さい。そして見つけたら相手に見つからない場所に隠れて、その動きを教えて下さいね」
注文後UC「蜜蜂の召喚」
蜜蜂に探索依頼
食べながら時々目を瞑り対象者観察
何回かお代わりして胡麻団子・タピオカココナツミルク・ココナツ餅で締めたら会話に

「あの、とても華やぐ香をつけていらっしゃるので。どちらで購入を?」
「気分があがればやる気も上がりますもの。貴方も何か良いことが?」


ジャスパー・ジャンブルジョルト
「練り香水の存在は知らないが、その手の物を求めてる奴」を装ってみるか。親切な常用者が売人の情報とか教えてくれるかもしれねーし。

だが、その前に点心だ(茶のチョイスは適当)。おかず系おやつ系の区別なく、食いたいものを食いたいだけ食いまくーる!
まずは春巻き! うまっ!
お次はゴマ団子! うまっ!
そして、杏仁豆腐! うまっ!
小籠包、いってみよー! 熱っ!?

食いっぷりに興味を持って誰かが話しかけてきたら、ここぞとばかりに自分語り。
俺、帝都桜學府の入府試験に落っこちたから、ヤケ食いしてんだ。あー、どこかに頭の良くなる薬でもないかなー。(ちらっ)
ないかなー。(ちらちらっ)


煮るな焼くなとご自由に扱ってください。



「ジャスミン茶に海老の威化紙揚げ、海老蒸し餃子、フカヒレ蒸し餃子、翡翠餃子、烏賊団子、フカヒレ水餃子、海老肉焼売、小籠包、叉焼饅……とりあえず最初はこの程度で」
「食いたいものを食いたいだけ食いまくーる! 春巻き! ゴマ団子! 杏仁豆腐! 小籠包、いってみよー!」

 食い気に振り切れた両者が相席となった。
 カフェーの給仕服で着席するは御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。
 おかず系おやつ系をまとめて注文するのはジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)。
 荷車ひとつを空にされ、慌てて戻った店員が厨房へ向かって何か叫んでいる。
 卓上いっぱいに広がっていた湯気立つセイロが、小気味よい音を立てて積み上がっていく様子は手品のよう。離れた席の客もセイロ塔の伸びる速度を見て、何事かと首を伸ばして覗き込んでくる。

「兄さん小柄なのによく食うな~。流れの大食い戦士かい?」
 冷ましたプーアール茶で一息ついたところへ声を掛けてきた客人へ、待ってましたとばかりに大げさな身振りと共に振り向くジャスパー。
「確かに大食いではあるが、俺は『タフでクールでダンディな放浪剣士』JJと呼んでくれ。今日はヤケ食いでな……帝都桜學府の入府試験に落っこちたんだ」
 どこかに頭の良くなる薬でもないかなー、と呟きながら、ここぞとばかりに自分語りを始めるケットシー。思い出したらまた食欲がと言うように、荷車丸ごと追加注文。店員が慌てた様子で品切れの案内を叫べば、客人もまだ食うのかと驚いて顔を見合わせる。
「腹がはち切れるよ兄さん!? あーそうだな、この店は夕方から倶楽部になるんだが、兄さんも一杯どうだい? スタアの生歌なんかも聴けるんだ」
 特に最近入った――と話したところで、隣の客が肘鉄を飛ばしてそれを止める。
「……えー、ゴホン。ライバルを増やすようなことしちゃいけないな? まあ、酒や歌で癒されることもあるって言いたいのさ。傷心止まらないなら、またおいで」
 礼を述べ、新たなセイロを開けるジャスパー。
 ちらりと先ほどの客人を見やりながら、"最近入ったスタア"の会話を記憶に留める。

 こちらは何度目かのお代わりの後、胡麻団子・タピオカココナツミルク・ココナツ餅の甘味で飲茶を締めた桜花。
 片付けられたセイロ塔の奥からこんもりと束になった伝票が現れた時には、また店内がざわついたという。
「とても気持ちの良い食事風景でした。わたくし桜の精さんて、てっきり霞でも食べていらっしゃるんだと思っていましたわ」
 ふわりと声を掛けてきたのは、白髪の上品そうな老女。お礼に少しおごりましょうかと伝票をとる手から漂う芳香はダマスクローズ……桜花のユーベルコード・蜜蜂の召喚にて、香から目を付けていた客の一人だ。
「いえいえ、サアビスチケットがあるから大丈夫です。――あの、とても華やぐ香をつけていらっしゃるのですね。どちらで購入を?」
「あら、少しつけすぎたかしら。……必要な常連さんにだけオーダーメイドしている品みたいなものよ。良いものだけれど、購入は難しいかもしれないわね」
 気分があがればやる気も上がりますもの、と返せば、老女は少し目を伏せて。
「そうね……わたくしもそうなりたい時に、この香りを付けるのよ。あの人は笑顔が好きと言ってくれたから……」
 あなたの桜の香りも素敵よ、と老女は席を後にする。

 "最近入ったスタア"の"常連"ということだろうか。
 久しくすっきりと片付けられた円卓の上で、ジャスパーと桜花は視線を合わせる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水心子・静柄
ふーん…真峰にしては厄介な依頼ね。香水を使って能力を強化する。その能力で成功者になる。そして、成功し続けるには香水を使い続けるしかない…香水を使い続ければいずれ破滅するとわかっても、香水を使うのをやめれば香水を使って築き上げたものが全て失われ破滅すると。正気を失っていくんじゃ…これってもう詰んでないかしら?まぁ遅刻回避に使ってる人にはもっと早く起きろと説得(物理)すれば済むかもしれないわね。とりあえず、倶楽部では得意な事とそれがどう役に立ったか聞いて取捨選択するしかないかしら?

ところで今の時間帯はお酒のメニューはないのかしら?



「ふーん……真峰にしては厄介な依頼ね」
 円卓からは少し離れたバーカウンターにて茶をしばくのは水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。
 夜間は倶楽部ゆえにこんな席もあり、選んで座る客同士の会話も無いか密やかだ。
「(香水を使って能力を強化する。その能力で成功者になる。そして、成功し続けるには香水を使い続けるしかない……)」
 茶は黙ってたら出されたジャスミン茶。慣れない異国の者にも飲みやすい一品だそうだ。
「(……香水を使い続ければいずれ破滅するとわかっても、香水を使うのをやめれば香水を使って築き上げたものが全て失われ破滅すると。正気を失っていくんじゃ……これってもう詰んでないかしら?)」
 点心は桃饅頭。これも荷車の中を適当に指したら出された品だ。
「(まぁ遅刻回避に使ってる人にはもっと早く起きろと説得(物理)すれば済むかもしれないわね)」
 脇差のヤドリガミ、いつもの手は準備万端である。

 ……ところでお気付きだろうか。
 そう、この水心子・静柄、食事をしなくていいタイプのヤドリガミである。
 ジャスミン茶は冷え切っているし、桃饅頭もすっかり乾いてカチンコチンである。
 ではなぜ飲食店調査にと聞かれれば、ツンデレな当人は答えないだろうから言います。
 この事件を予知したのが最愛の姉だからである!

 ふと、天井の照明が一段暗くなり、流れて来る曲の雰囲気が少し変わる。
 会話の邪魔をしない静かな導入に、各楽器の音も主張し過ぎないゆったりとした早い曲……ジャズと言っただろうか。
「ところで今の時間帯はお酒のメニューはないのかしら?」
 カウンター越しに店員へ問えば、飲茶のラストオーダーが終わってからだと返事が来る。どうやらコレがその合図らしい。
 なんだつまらないと、ひんやりとした茶器を再び弄び始めようとしたところで、ぴたりと手を止める静柄。ジャズから歌声が流れ始めたところだ。
 スッと目を閉じ……また開く。傍目から見れば音楽を心地よく聴いているように見えるだろう。
「いい声ですよね。お気に召しましたか?」
「いいえ」
 にべもない返事をする静柄。ただ素っ気無いのではない、その心の内は、仄かに殺気立っているのだ。
「何かしらね、この……戦場にいるような気持ち」
 不規則な目蓋の開閉は、次の曲に切り替わるまで続いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

不染居・ユキ
※アドリブ歓迎

能力を引き上げる練り香水…
それを使って芸術の才能を高めた者もいるらしいが、はっきり言って邪道だ
己の才は己で磨き上げるものなのに

まず、練り香水で才能を得たらしき者に接触する
相席を頼み、ジャスミン茶を注文
点心と共に舌鼓を打ちつつ、まずは彼に【アート】に関する話題を持ちかけ、己がしがない芸術家であることを示す
そして、顔を曇らせぽつり

「思い通りに筆が動かないんだ。何か、気分を変えられるものがあると良いのだが。そう、香水とか…」

相手の顔を伺いつつ、もう一押し

「くっ…!このまま絵の才覚を失ったら、私は…!」

苦悩する様子を見せれば何か手掛かりを見せてくれるだろうか?
やれやれ…演技は苦手なのだが



「能力を引き上げる練り香水……それを使って芸術の才能を高めた者もいるらしいが、はっきり言って邪道だ」
 己の才は己で磨き上げるものなのに、と心中憤慨するのは不染居・ユキ(四尾の浮世狐・f28597)。
 三度の飯より絵が生き甲斐という筋金入りの画家である自身。その培われた審美眼で以って見つけたのは、己と同じ目を持つ一人の客――芸術家だ。
 隣席の者が立ち去る頃合いを見計らって相席をすると、不自然にならないよう軽く挨拶。ラストオーダーとの店員の声に素早くジャスミン茶と、荷車に残ったマンゴープリンを指差した。
「気分転換に来てみたんだが珍しい雰囲気だな。君も画家だろ、袖口が汚れている」
 鮮やかな絵具と筆跡の走る手を指し示せば、自分は商業の絵描きだと名乗る女。舞台は違えど興味を持ったようで、芸術家同士の会話にしばし花が咲く。
 そろそろかと頃合いを見計らい、ぎこちないながらも顔を曇らせ声を落とすユキ。
「しかし最近は思い通りに筆が動かないんだ。何か、気分を変えられるものがあると良いのだが。そう、香水とか……このまま絵の才覚を失ったら、私は……!」

「そ、そうコンを詰めすぎなさるな。ワタシたち絵描きってのは自分の世界に入ってナンボのもんではあるが……」
 吐露された弱音と落ち込む様子に、狼狽える絵描き。同業者として気を許したのもあるのだろう。ユキの演技にもしっかり親身になってくれたようだ。
「……あー、そうさね、絵を待ってる人がいると思うともうダメでね、ワタシも色々試してきたよ。酒に煙草に合法阿片に……あぁ、最近はついでにコチラのスタアちゃんの追っかけさ。住み込みの従業員なんだと、色々お喋りも聞いてくれる。おごるし紹介するよ、一杯どうだい? 最近買ったこの香水もお揃いで――ぴゃあ!!?」

 ふいに周囲から刺されるような視線を感じて、身構えるユキと飛び上がる絵描き。
 飲茶の時間も終わりに近付き、賑わいが落ち着いてきた店内。周囲の客達がこちらの会話を聞いているようだった。
「(同担拒否……にしては剣呑すぎる。"スタアの香水"か……)」
 深刻そうな表情を浮かべてしまったユキに、せめてもと自らのマンゴープリンを差し出す絵描きであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

髪塚・鍬丸
SPDで行動。アドリブ歓迎。

邪魔するぜ。注文はまだ間に合うかい?
緑茶を一杯と、そうだな……ゴマ団子を貰おうか。

能力強化する香水ねぇ。別に悪い事とは思わねぇな。
御下命如何にしても果たすべし。目的の為にそれしか手段が無いなら迷わず使うべきだ。
……とは言え、手段は最善手を選ぶべし。安易に手軽な手段に飛び付くのはいただけねぇな。

そんな事を考えつつ軽く腹拵えしながら、店内を見回す。さて、件の香水とやらを使ってる奴の当たりをつけるか。
【第六感】【情報収集】。香りや表情、言動等から香水の使用者を推測。
世間話を持ちかけて、事情や香水の出所、経路等を聞き出そう。
夜は長いんだ。気長にじっくり付き合うぜ。



「邪魔するぜ。注文はまだ間に合うかい?」
 注文〆切間近、手早く緑茶とゴマ団子を頼む髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)。
 揚げたての団子が冷めるのを待つ為に、まずは湯呑を回しながら茶を一杯頂く。
「(能力強化する香水ねぇ。別に悪い事とは思わねぇな)」
 顔を上げたついでのように店内に目を走らせる鍬丸。店を閉めずそのまま倶楽部へと変わるのか、やや着飾った客の入りが多くなってきたように見える。
「(御下命如何にしても果たすべし。目的の為にそれしか手段が無いなら迷わず使うべきだ)」
 それは結果を出さなければ生きてゆけない、自身が傭兵であり元は里の忍者であるゆえの考えか。
「(……とは言え、手段は最善手を選ぶべし。安易に手軽な手段に飛び付くのはいただけねぇな)」
 指で掴めるほどになったゴマ団子をそのまま口へ運び齧る。中華菓子独特の油を練り込んだ餡子はまだ熱々だったようで、すぐに緑茶を流し込み口の中で冷ました。

「戦は最後の武器だ」
 腹拵えを終え、独り言ちるように唱えて発動するは忍術(シノビノワザ)。
 第六感に情報収集、刃を交えぬ技能に没頭することでその力を鬼神の域にまで高める。
 研ぎ澄ませた感覚により、表情やふとした言動から使用者の憶測を試みる。

「…………驚いたな。多いとは聞いたがこの店内、ほとんどが香水の使用者じゃないか」
 最初からこうだったか、それとも時間と共に集まって来たのか。首に手首に鞄の中。香りの強弱はあれど、漂わせるは同じ匂い。鼻を利かせるほどにむせ返るようだ。

 よぎる、まさかという考え。
 そして、それにいち早く気付いたのもまた鍬丸だ。
 明るい店内と暗い店奥、隔てる目隠し暖簾を掻き分けるように、白い手が伸びてきた。
 鋭敏な感覚が警鐘を鳴らし、その身を素早く身構えさせる。
 一目で分かる、纏う気配で確信する。

 ――――影朧だ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『桜の追走劇』

POW   :    体力の続く限り追跡する

SPD   :    先回りをして進路を塞ぐ

WIZ   :    牽制攻撃を行い速度低下を狙う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『マスター……カギが無いって……。……!!』
 店奥から顔を出したのは、薔薇色ドレスにカタコトの甘い声。
 予知で捉えられた影朧の姿がそこにあった。

 ここで乱闘するわけにはいかない。
 すぐさま歩み寄り、店の外へ連れ出そうとする猟兵。
「おっと、スタアに手を触れちゃあいけないよ?」
 立ち塞がったのは客の一人。猟兵だと名乗るが「お触り禁止」とはぐらかされる。
 その人は影朧だ、と別方向から猟兵仲間が駆け寄るも、また別の客が間に入る。
 ふと周囲を見れば店内の客のほとんどが立ち上がり、猟兵達をじっと見つめていた。

 ……いい人だよ、優しい子だよ、素敵な歌だよ、話を聞いてくれる、頷いてくれる、苦しくなくなる、悩まなくていい、一つだけ叶えてくれる、それがない人生なんて、取り分が減るじゃないか……。
 口々に呟かれる、それはまるで呪詛のよう。
 ジリジリと猟兵との距離を詰めながら迫ってくる。
「帰ってくれ、そのままにしてくれ、あたし達はただ――」

 シアワセになりたいんだ。

『――!!』
 刹那、それまで呆けていた影朧の腕が、弾かれたように振るわれる。
 瞬間、取り囲む客達の体から、真黒いイバラの蔓が溢れるように生い茂った。
「ぎゃああぁーー!!?」
 ある者は首から、ある者は手首から、ある者は鞄に忍ばせた練り香水の容器から。
 瞬く間に、イバラの濁流が視界を埋め尽くしていった。


 気付けば眼前に広がっていたのは、真っ黒なイバラの生垣で造られた迷路。
 先ほどまでは店内だったのに、亜空間の一種だろうか。どこまでも広がっている。
 後方には広がっていないところを見ると、影朧はこの先なのだろう。

 ……いけない……いけない……いかせない……。

 迷路に踏み込むと現れたのは、影朧の練り香水に心を奪われた客のひとり。
 自由には動けるようだが、体に黒いイバラを巻き付け、迷路の一角と繋がっている。
 まるで囚われているよう――いや、しがみついているのかもしれない。

 影朧を匿う者達。
 その執着を断ち切れば、邪魔をする生垣ごと解放されるだろう。
 試してみる価値はある。

 それに何より――迷路は真っ直ぐ突っ切った方が、絶対早い!!


 猟兵の前に立ち塞がるはいかなる者か。
 その妄執を解くより安全な解決方法を心得ており、提示してやれるだろうか。

 かつての自分と似た者だろうか。
 寄り添うように不安と経験を語れば、抱える不安の形を教えてやれるだろうか。 

 おごり高ぶるものだろうか。
 万能など無いと埒外の力の差を見せつければ、胡乱な香水など手放すだろうか。

 惑わすイバラから解き放つ為、桜の陰にて追走劇の幕が上がる。
髪塚・鍬丸
迷宮に乗り込む。逃がしゃしない。

立ち塞がる相手は…気持ちは分かるんだが、邪魔するなら容赦はしないぜ。
【幻術】使用。【情報収集】で相手の記憶と思考を読み取る。
こいつがお前さんの願いか。叶えて貰ってさぞかし嬉しかっただろうな。
だが、考えてみな。人間を超えた能力が、何の努力も代償も無く貰える。そんな旨い話があると思うか?
自身の幸運を、彼女の善意を信じるか?多少の代償を払う覚悟ならあるか?
人外の力ってのはそんなに甘いもんじゃないぜ。

幻覚で精神攻撃。塗られた練り香水が粘菌の様に蠢き増殖、全身を飲み込み侵食する幻覚。
正気を失う前に引き剥がして助けるぜ。

人間、分相応の力が一番だよ。さぁ、そこを通してくれ。



 ざわり、と葉擦れの音と共に目の前を生垣の迷路が塞ぐ。
 刺さるような視線の先を追えば、関わるなと言わんばかりに、足首から蔓を生やした細身の男が身構えていた。

「気持ちは分かるんだが、邪魔するなら容赦はしないぜ」
 その視線を受け止め、前へ出たのは髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)。
 相手は一般人、まずは警告だと、ごく自然な動作で歩を進める。
「ジャマをしているのはそっちだろう! 香水がなくなったらどうしてくれるんだ!? もうすぐ代表戦が控えているってのに!!」
 どうやら彼は運動選手のようだ。薬物摂取よろしく、香水の力を使っていたようだが。
「考えてみな。人間を超えた能力が、何の努力も代償も無く貰える。そんな旨い話があると思うか? 自身の幸運を、彼女の善意を信じるか? 多少の代償を払う覚悟ならあるか?」
 またひとつ、歩を進める鍬丸。おごれる者に引き返す考えを与えるように、少しずつその危険性から脅してゆくように。
「~~~~黙れ!! 少しだけじゃないか! 終ったらやめるつもりなんだから!!」
 呼応するように、風もない空間で黒い生垣が震える。不気味なそれと繋がった自身を知ってもなお平気だと言い放つ姿は、健全な選手とはあまりにも言い難い。

「……人外の力ってのはそんなに甘いもんじゃないぜ」
「!?」
 風もないその空間。だが今静かな視線を注ぐ鍬丸から何かが放たれたような気がして、男は一足地面を蹴る。ごく軽い動作であったが、その体は身長より高いはずの生垣の上へ乗っていた。同じく地を蹴り飛び上がると、追う鍬丸。
「ユーベルコヲド使いだか知らないが、オレだって抑えてたんだからな!」
 また一歩、今度は足場の悪い生垣の上を踏みしめる男。刹那、その姿は通路を跳び越えた向こうの生垣の上にあった。素早い足運び、力強い跳躍、それはまるで忍者を思わせたが――。

「こいつがお前さんの願いか。叶えて貰ってさぞかし嬉しかっただろうな」
 影が喋ったのかと思った。ぴたりと真後ろから聞こえたのは、遥か後方に置いてきたはずの鍬丸の声。彼もまた忍者であった。埒外の力を持ち、里を抜け逃げ隠れる、本物だ。
 振り返ろうとした瞬間、足から違和感が上ってくる。
 練り香水を塗り込んだ足から生える蔓、それが自身まで飲み込もうと真っ黒な粘菌のように変わり蠢き、這い上がってきたのだ。
「う、ウソだろ!? 目的にしか使わなければ大丈夫って――あぁイヤだ! ヤメロ!! もういい、もう使わないから――!!」
 男の声など聞くはずもなく、黒い粘菌は全身を包み込むと、そのまま真っ黒な生垣の中へ、その身を引きずり飲み込んでいった。

「人間、分相応の力が一番だよ。さぁ、そこを通してくれ」
 倒れた男を見下ろす鍬丸の声。そこは最初に対峙した生垣迷路の前であり、男は粘菌に飲み込まれてもいなかった。全ては鍬丸の幻覚が見せた、正気を失った先にあるかもしれない光景だったのだ。
 見る間に萎れていった足首の蔓を引き剥がせば、真っ黒な生垣も薔薇の花弁が散るように崩れ消えていった。
 見晴らしの良くなった亜空間を、新たな妨害が現れる前にと、猟兵は駆け抜ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「同じ時間を使うなら。貴女とお話したかったのです」

店であった老婦人にUC「桜の癒やし」
眠らせ香りの場所確認
手巾で拭き取り茨気にせず膝枕して待つ

「またお会いしましたね」
「先ほどの会話…もしかして旦那様の事でしょうか。もしかして、お亡くなりに?…とてもお寂しそうに見えたので」

「あの香りを使ったのは、ご自分を奮い立たせるためだけですか?人に会う時に変わりない自分を見せたかったからですか」
老婦人の手を握り
「他の方と手を繋いだりハグしたり…人の体温に触れてみて下さい。作ろうとしなくても、それで笑顔は生まれますから」

「私は御園桜花、帝都に住むメイドです。良かったらお友達になって、貴女の話を聞かせて下さい」



 真っ黒な生垣の迷路がひと固まりずつ、ざわめいては進路を塞ぐように移動してくる。
 その中の一つ、寂しげに揺れるイバラの葉に見覚えがあるような気がして、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は自ら迷路の中に飛び込んだ。
 ほどなく進み、中に一人座り込んでいたのは、店で出会った老婦人。自らに起こった怪異に驚き、状況が呑み込めないまま動けないでいたようだ。

「またお会いしましたね」
 突然の声に身をすくめる老婦人。しかしそれが先ほど店で喋った桜花だと分かり、見知った顔にいくらかの緊張を解いた。
「いっぱい食べる桜の精さんね。あの……これは一体何が起きたのかしら?」
 ふわりと目線を合わせるようにしゃがみ、店で香りを確認した手を見る桜花。――生垣から伸びる蔓が絡んで掴むように巻き付いている。

「同じ時間を使うなら。貴女とお話したかったのです」
 桜を思わせるその身から、吹雪かせる花弁は桜の癒やし。
 温かな風に撫でられてまぶたを下ろした老婦人を支え、自らの膝の上で寝かせる桜花。
 なるべく練り香水を取り除こうと、黒い蔓の隙間に手巾を差し込み手首を拭う。細い枝が肌を傷つけることなく剥がれてゆき、老婦人がゆっくりと目を開ける。

「先ほどの会話……もしかして旦那様の事でしょうか。もしかして、お亡くなりに? ……とてもお寂しそうに見えたので」
 自分の手首に手を添える桜花を見上げ、薄く苦笑いを浮かべる老婦人。
「あの香りを使ったのは、ご自分を奮い立たせるためだけですか? 人に会う時に変わりない自分を見せたかったからですか」
「……ほんの少しだけ、難しいお話ね。"大往生"なんて言われても、おめでたい気分になんてなれないのよ。"年寄りは役目が終わったから悲しくない"なんて言う人の前でも、いつもどおりでいなければ、なんてね……」
 一番つらい時に、分かち合える人はもういない。悲しみを受け入れる前に、生者の人生は進んでゆく。誰にも頼れなかった老婦人は周りと足並みをそろえる為、感情を替えるように香水を塗り込んでいたのだ。

 どこまでも優しすぎた彼女。理解されない自らの悲しみが重たくなるのもいとわずに。生きてきた年月の違いが生み出してしまった壁だろうか。
 しかし、それでもと、桜花は老婦人の手を握る。
「他の方と手を繋いだりハグしたり……人の体温に触れてみて下さい。作ろうとしなくても、それで笑顔は生まれますから」
 気持ちを勝手に判断し、流してしまう人ばかりなら。悲しみを認め、そのまま聞いてくれる人がいないのならと、桜花は自らの給仕服を広げて言う。
「私は御園桜花、帝都に住むメイドです。良かったらお友達になって、貴女の話を聞かせて下さい」

 生きていれば、あの人にも紹介したかったわね……。
 柔らかく目を閉じ、一筋の涙を流す老婦人。
 握った手から枯れて細くなった黒い蔓が滑り落ちる。

 周囲を高く囲っていた生垣はなくなり、新しい道が現れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

真っ向で俺なりの言葉をぶつける。ただの八つ当たりかもしれんが。

偽物の能力、偽物の健康。そうして得たものが本当に幸せであるもんか。
もしそれが幸せであるなら、とっくに俺だって嘆きの欠片もない人生を送ってる。
別にさ、たった一つの事にこだわって、未練がましくもしがみつく事を否定はしない。
けど偽りで得たそれで本当にいいのか。
真実あんたたちはそれで満足してるのか。どうあがいてもいつか必ず香水はなくなる。
永久に影朧が作り続けることは不可能だ。それがわかってて、それでもそのいつか終わりが来る偽りにしがみつくのか。

俺にだって未練はあるさ。でも偽りで目を曇らせる程落ちぶれたつもりはない。



 自らのイバラの迷路を引き連れ、好戦的に立ち塞がったのは紺色上下の袴姿。剣道着の男が現れた。
「まさかアンタら、あの影朧を消すつもりか!? そうはさせん! お嬢様との結婚がかかってるんだっ!!」
 どれほど練り香水を塗り込んでいるのか、いっそ下品なくらい離れていても匂いが漂ってくる。巻き付く蔓の数も多いらしく、腕を振ればイバラは手の中で撚られ、まるで黒い竹刀のような形を作った。

「八つ当たり結構。こちらも真っ向で俺なりの言葉をぶつける」
 進み出たのは黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)。 
 こちらが手にするは自身の本体でもある黒く大振りなナイフ。刃を立てなくても打ち合える丈夫な逸品だ。
「お嬢様に相応しいのはオレだ! 師範ほどの腕がなくたって絶対に苦労なんてさせない! イマドキ剣の腕で心身を量ろうなんてバカな家から、オレが助け出すんだっ!!」
「偽物の能力、偽物の健康。そうして得たものが本当に幸せであるもんか。もしそれが幸せであるなら、とっくに俺だって嘆きの欠片もない人生を送ってる」
 刹那、鋭い打撃音が響き渡る。竹刀とナイフが激しく打ち合ったのだ。蔓が体中に巻き付いたと思えない速度で、一般人であるはずの香水男が踏み込んできた。
「別にさ、たった一つの事にこだわって、未練がましくもしがみつく事を否定はしない。けど偽りで得たそれで本当にいいのか」
 遠慮なく打ち込んでくる男の竹刀を素早いナイフ捌きでいなしてゆく瑞樹。剣道の試合なら一本も有効も取れていたはずのそれらを次々とかわされ、息も乱れない瑞樹に焦りの色を見せる男。止まれば負けだとばかりに攻撃の手を緩めない。

「どうあがいてもいつか必ず香水はなくなる。永久に影朧が作り続けることは不可能だ。それがわかってて、それでもそのいつか終わりが来る偽りにしがみつくのか」
「黙れーーっ!!」
 男が怒りのままに放った突きが、瑞樹の喉を貫き――そして影のように薄らいでいった。ユーベルコード・水月により召喚した影。それを目の前で身代わりとして使ったのだ。

「本当ならここで後ろに回っているのが俺だけど……」
 水月を盾に身を低くしていた瑞樹が一瞬乱れた男の竹刀を払うと、そのまま上段から脳天に向かってナイフの腹を打ち下ろした。強烈な一撃、"面"である。
 防具もない男はしたたかに脳を揺らし、そのままたんこぶの重さに耐えかねたように崩れ倒れていった。
「俺にだって未練はあるさ。でも偽りで目を曇らせる程落ちぶれたつもりはない」
 まとわりつくように、しがみつくように体を包む蔓は引き剥がすのも大変そうなので、生垣に伸びる部分からまとめて切り離した。

 途端、迷路は散り、広がる外の世界。
 せめてこの先は終わりにおびえない自分の力でつかみ取って欲しいと願いながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・静柄
ただ幸せになりたいだけですって?ならその幸せの影で不幸になる人はどうでも良いの?っていう話をしてもどうせわからないわよね。ただ自分が幸せになりたいだけで影朧を守るというなら、私はただこれ以上不幸な人を増やさない為に影朧を叩き斬るわ!そう…この本差で斬れないものはないわ…執念だってね!だからここにある全ての執念を斬ってあげるわ(物理で)

なんかも説得が面倒で、とりあえず斬れるものは斬って、後のことは斬った後に考えればいいかってなんて思っていないわ。まぁエゴとエゴのぶつかり合いだからいいわよね?

あ、あと真峰を最愛の姉ってなんか思っていないんだからね!(ツン



「ただ幸せになりたいだけですって? ならその幸せの影で不幸になる人はどうでも良いの?」
「なるほど、一理ありますね。利益の独り占めはいけません」
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)の入った迷路の主は妙に弁の立つ男。首に太く念入りに巻き付いた蔓の様子からするに、喋り関する願いなのだろう。望みが強い者ほど、練り香水の塗り方が独特であったから。
「だからこそ、この香水の素晴らしさをより多くの人に広めてなくては。そうすれば、不幸が降りかかろうとも、必ず一番の幸せは手に入ります」
 この様子からすると、影朧の噂を広めたのはこの者だろうか。柔和な表情と柔らかな物腰、低く落ち着いた心地よい揺らぎのある声。一見すると信用が置けそうと思わせられるだろう。だが事件と影朧の力を知る猟兵は見抜く――彼は詐欺師だと。

「――っていう話をしてもどうせわからないわよね」
 いけしゃあしゃあと話し続ける上に全く退く気配もない。静柄は両手を軽く伸ばすようにして空中で構えた。
「ただ自分が幸せになりたいだけで影朧を守るというなら、私はただこれ以上不幸な人を増やさない為に影朧を叩き斬るわ!」
 握り込んでゆく手の中に形作られたのは、鞘に納められた一振りの太刀。ユーベルコード・僕の考えた最強の刀(マミネショウカン)にて創造した、最強の武器だ。
「私はただこれ以上不幸な人を増やさない為に影朧を叩き斬るわ! そう……この本差で斬れないものはないわ……執念だってね!」
 白刃を抜き放つと共に一閃、鋭く空間を切る音が鳴る。

「――より多くの方々にお手に取っていただく為にまずはワタクシを中心とした――――ってぇひやゃあぁ!!?」
 立て板に水と話し続けていた男の真横を斬撃が走り、真っ黒な生垣がザックリと断ち切られた。
「だからここにある全ての執念を斬ってあげるわ」
「ちょまっ! 落ち着いてっ!? ひょえっ! 切れる! 斬られるぅ!!?」
 無論、男を斬りはしないが、静柄は止まらない。暴走した草刈り機のように、取り囲み惑わせようとする迷路の生垣を、舞い踊りながら切り倒してゆく。
「あぁーやめて! 話を聞いて!! きっとアナタもいい思いできますから!!」
 話を聞いてくれる相手なら丸め込めると思ったのだろう、しかし猟兵、そしてこの静柄は(物理)至上主義! 聞く耳を持たない非常に相性の悪い相手だったのである。

 すっかり迷路の役割を果たさなくなった男の迷路を後にして、静柄はつぶやく。
「あ、あと真峰を最愛の姉ってなんか思っていないんだからね!」
 あれだけ振り回しといて刃こぼれ一つない太刀を掲げながら言っても、説得力に欠ける言葉であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リスティ・フェルドール(サポート)
援護・治療・盾役として参加いたします。最優先は自分を含む仲間全員の生存と帰還。成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありません。

真剣な雰囲気は邪魔をせず、仲間同士の険悪な雰囲気はあえて朗らかに。チームワークが生存率を上げる一番の方法として行動します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスター様におまかせいたします。よろしくおねがいします!


カミンスキー・テレサ(サポート)
 多重人格者の學徒兵×力持ち、14歳の女です
口調は設定を参照して下さい

 普段(テレサ)は軍人口調で、生真面目な性格の優等生
規律を重んじ従順に従い行動しますが、世間知らずで割と天然です
馬鹿なので力と勢いで解決します
自己犠牲心が強く、他人を優先して行動します

別人格のゾフィアは余裕のあるクールな成人男性の人格
テレサよりは融通が利き、大人っぽいです。
ドジな所はあまり変わりません

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 亜空間、黒イバラの生垣迷路を突き進む猟兵。
 練り香水の使用者達は大体、影朧を守る為に妨害をするので、仕掛けようと姿を現す者が多かった。
 しかしこの区画はいくら進めど主たる一般人の気配はなく、その影響なのか迷路の中をいよいよ彷徨っているような気さえしてきた。
 こちらから行くしかない。
 姿無きその人を探す為に、猟兵は打って出た。

「行くでありますゾフィア!」
「任せろテレサ」
 人格に姿を与え分身したのはカミンスキー・テレサ(貫き通す意思・f23215)。
 軍服姿の片割れゾフィアが中腰で差し出した両手に向かい、少女テレサが助走をつけて踏み込む。
「はっ!!」
 呼吸を合わせ足ごと上へ少女を飛ばせば、その体は頭上の生垣の上へと運ばれる。
「!! 発見! 二時の方角へ逃走中であります!」
 一瞬見えたのは身体から植物を生やした人影。猟兵仲間ではない。恐らく香水の使用者だろう。猟兵を背に一目散に、自らの迷路を突き進んでいた。
 足場の悪い生垣の上をバキバキと踏み荒らしながら派手に進むテレサと、指示に従い迷路を先回りするゾフィア。挟み撃ちで使用者を追いかける。

「う、うわぁあ!? 来るなぁ!! 人なんか嫌いだ! ずっと迷路の中でいい!!」
 逃走するは青年。その願いは人との関わりを断つこと。頭部を包み込むように生やした蔓は遠目から見ると確かに見つけ辛くて。

「人がダメですか……ではこの仔ならどうでしょう? さあ出ておいで」
 青年の叫びを聞き、リスティ・フェルドール(想蒼月下の獣遣い・f00002)が自らのユーベルコード・蒼猫(フレンドキャッツ)を発動する。
「あの人を止めてきて下さい。……てぃっ!」
「にゃーっ!」
 生垣の上に投げ上げた猫が返事と共に宙を跳ぶ。
 リステ、先を行くテレサの言葉から青年の行方を知ると、イバラの迷路の上を一直線。前方に現れたゾフィアに気をとられている隙に――背後から突撃! 首筋へ抱き着いた。
「ひゃあ!?」
「「確保ー!!」」
 遅れてテレサも突撃! 二人と一匹の連携により、迷路の主を捕らえた。

「離せよ! やっと誰とも関わらないって願いが叶ったのに!! 他人なんて裏切る生き物なんだから!」
 顔に巻き付いた蔓のトゲで傷つくこともかまわず、青年は体を振り回して抵抗する。
「一人で楽しく生きる……はい、良いと思います」
 猟兵の腕の中でも抵抗する青年。これ以上怪我をする前にとリスティは肯定の意見を口にする。意外だったのか、青年が驚いた顔で振り向く。
「もしかして自分達が友人に見えるでありますか? 本日即興で組んだ同志であります」
「僕など普段は表に出ないんだ。意外とこの世は一人の世界が隣り合ってる場合の方が多いんじゃないか。無理をして合わせなくて良い」

 からりと笑う猟兵に、それでも良いのか、と呆気にとられた青年の視線が告げる。
 探しに行ってごらん、まずは趣味の合う仲間でも。
 青年の視界を覆うイバラを、猟兵は断ち切った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『白鞘・ユヲ』

POW   :    アナタがくれた全て、お返しするわ
全身を【四肢のように動き、鋭く赤黒い衣】で覆い、自身が敵から受けた【五感の刺激】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    ワタシに宿るもの、ワタシになったもの
肉体の一部もしくは全部を【呪われたクロイバラ(黒薔薇・黒茨)】に変異させ、呪われたクロイバラ(黒薔薇・黒茨)の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ   :    いたくないわ、鞘は割れるものだもの
自身の【五体いずれか】を代償に、【自身に宿るクロイバラの鬼】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【花弁となり回避、武器を模った赤黒い血】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠水心子・真峰です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――本当は刀に憑きたかった――。
『ダメだよ……代わりにゼンブあげるから……とてもカラっぽだけれど』
 ――あと一歩だったんだ。運が無かっただけなんだ。
『イイよ……ほんの少しだけなら助けられる……とてもナガレルけれど』
 ――もっと欲しいもっと欲しいもっと欲しい。ねぇ、貴方だけは見捨てないよね?
『……イイよ……とてもドロドロしているけれど……』

 ……ねぇ……望むカタチ……シアワセを知っているヒトを叶えたら……
 ワタシもシアワセになるよね……?


 日のすっかり落ちた、切り取られた空が広がる。
 夜を彩る薄紅の花弁。現実のサクラミラージュに帰ってきたのだ。

 しかしこの一角は桜よりも、一面に乱れ咲く薔薇の存在感が強い。
 夜を重ねた黒色の花弁。影朧のテリトリーに誘われたのだ。

 ざわめく薔薇の空間の中心に立ち、嘆くは彼らの主人『白鞘・ユヲ』
『……シアワセ……シアワセ……どんなに削っても……フリそそがない……』
 まだ足りなかった? もっと続けなければ? そう、その寿命尽きるまで。

 四方を覆い尽くす薔薇の影が一斉に滴るように伸びる。
 波打ち立ち上がり、影朧の後ろに現れたのは巨大な人型――鬼と形容できるだろうか。

 己の望みも、願いも、感情も知らず、混沌を彷徨う空虚なおぼろ。
 破滅の旅路に終止符を。
 猟兵は影朧と対峙する。
叢雲・凪(サポート)
人間のミュータントヒーロー×ゴッドハンド、
ヒーロー名【ジンライ・フォックス】

まずはその世界の住人・猟兵仲間に挨拶をしよう…。
礼儀は大事。年上の人や先輩にはちゃんとしないとね。
『どうも ジンライ・フォックスです』(お辞儀しつつ)

基本的な戦い方は【リミッター解除】を使ってからの【ダッシュ】+【残像】+【夜天九尾】を使った電光石火の接近で敵との距離を詰め畳み掛けよう。相手が強力な単体ボスなら一気に攻撃を仕掛ける。

※黒雷で生成されたマフラーを解いて夜天九尾発動。尻尾1本につき10秒 合計90秒間の間超高速で動ける。90秒で決着をつける。並みの動体視力では対応できないはずだ。

『天誅・・・』


アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。
また既存のPCでトドメを刺しにくい時は【最終局面】を使って下さい。逆転の隙を作ったり、心情的に殺せないタイプのPCがいた際にどうぞ。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。



 黒薔薇の花園に一条、漆黒の雷が落ちる。
「どうも。ジンライ・フォックスです」
 黒雷で織り上げられたマフラーに狐面。礼儀は大事と叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は戦場の猟兵仲間に名乗りお辞儀をする。
『……白鞘……』
 見て倣ってか、影朧もぽつりと告げる。挨拶は大切である。

「ドウモ、アラン・スミシーです。お嬢さん名前は名乗らないのかい? "ユヲ"だろ?」
 するりと影朧の側に現れたのはアラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)。
 互いの間合いに入っても即座に交戦にならないのは彼の飄々とした振る舞いと、即座に発動したユーベルコード・聞き込み(グッドトーキング)によりコミュ力を振り切れさせたからである。
『…………』
「あー、もしかして今言ったのは道具の種類か。――君は転生の可能性だってあるんだろ? ただの物のつもりじゃ勿体ないと思わないかい?」
 見つめ返すは鈍い金の瞳。自身の考えを示す語彙ほどの、持ち合わせがないのだろう。お喋りと問いかけは苦手と見える。だから一番それに近い単語と、行動で応える。
『…………ユヲ……』
 名乗ると同時に、目の前に吹き抜けるは黒い花吹雪。風にさらわれるように、その姿は花弁となって崩れてゆき、薔薇の夜景に混じって見えなくなった。

「相手を一人とみなければ……避けられる」
 地の利は完全に相手にある。視界を覆い惑わすように襲い掛かる黒い花吹雪、闇夜に紛れて忍び寄るしなやかなイバラの鞭。
 常に先手を取られるそれを、凪は電光石火のダッシュで紙一重でかわし、残した残像により惑わし返し一手奪う。黒薔薇に囲まれた空間で四方八方から来る攻撃を、稲妻が走るごとく駆け抜ける。
「(けれど……反撃の手がない……本体はどこだ……)」

「まったく、視力も怪しい歳になってきたっていうのに」
 凪が激しく動き回っているおかげか、アランへの攻撃は比較的手薄だ。今も迫ってきた黒い蔓を銃で撃ち返し散らすと目を凝らし、深まる闇夜を蠢くクロイバラの動きを追う。
 先ほど影朧は自身を"鞘"だと言った。ならばこの薔薇は手づから操っているものではないか。己でないカモフラージュ用の花弁は、どうやって調達している。
 今、壁を這うイバラの中から花が一輪、付け根のガクから落ち、外側から花弁が離れてゆく。――薔薇はそんな散り方をしない。

「ジンライ・フォックス!!」
「!!」
 不自然な薔薇に向かい乱れ撃つと同時に叫ぶアラン。
 絡まろうと迫る蔓と花弁のわずかな隙間を潜り抜けて跳ぶ凪。
 花弁に弾かれた火薬の光が点々と人の輪郭を描く。

「お前の魂さえも残さず消し飛ばす……! 黒雷槌!」
 黒雷マフラーが閃光と共に手の平に巻き付き、拳を撃ちつけると同時に爆発する。
 瞬刻、網のように駆ける雷撃が舞い飛ぶ花弁を繋ぐように駆けまわる。
 逃げる隙さえ与えない。

 どさり、と重たい音を鳴らして再び姿を現した白鞘ユヲ。
 立ち上がり広がる黒赤のドレスは裾から僅かに縮れ、青味のある色へと変わっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺(本体)の二刀流

器物に鬼ってそれはヤドリガミとそう変わらんのでは?
鬼(き)はそもそも死者の魂だから…本当に何が違うというんだろう。

真の姿になり能力の底上げを。
存在感を消し目立たない様に死角に回り、可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC菊花で攻撃。代償は寿命。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛・呪詛耐性で耐える。

幸せを叶えても、君も幸せになるとは限らない。
だって悲しい事に人の欲は際限なく、次は次もとなり底がないのだから。


髪塚・鍬丸
人の役に立ちたい道具の業か。
理解も共感も出来るが、理外の力は容易く人を堕とす。すまんが、倒させて貰うよ。

薔薇に取り囲まれたか。迂闊に動くと更に取り込まれかねない。ならば。
「風魔手裏剣」の術。超音速で回転する【衝撃波】の円刃を生み出す。
UC【飯綱の術】で刃を増加。【範囲攻撃】で無数の風刃を自分中心に竜巻のように旋回させ、薔薇も蕀も香気も全てを【なぎ払う】。
薔薇を吹き散らした隙を狙って、全風魔手裏剣を影朧に集中【投擲】だ。

俺達が来なくても、そろそろ限界だったんじゃないか?自分を削って他人に尽くしてきてんだろう。
少しずつでもいいから、他人も自分も皆で幸せになるって事を考えてみてくれないか。



「器物に鬼ってそれはヤドリガミとそう変わらんのでは?」
 鬼(き)はそもそも死者の魂だからと、首を傾げるのは黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)。
 彼もまた手にした二刀の片方・黒鵺を本体とする者だ。
 今静かに目を閉じ、開いた瞳に金色の光が灯り、和装へと変わった。生命体の埒外である真の姿へと変貌したのだ。
 一歩、また一歩と陰と同化するように後ろへ下がると、次第にその姿が認識できなくなっていった。

「人の役に立ちたい道具の業か。理解も共感も出来るが、理外の力は容易く人を堕とす」
 揺らめき立ち上がった影朧の視線を受けたのは髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)。
 人間にして人に使われる傭兵を生業としてきた者だ。
「すまんが、倒させて貰うよ」
『……』
 しゃがむように、お辞儀をするように、影朧の頭の位置が低くなってゆく。青みを帯び始めたドレスが、ほどけるように崩れてゆく。やがて全身が沈むとイバラの蔓へと変わり、切り取られた黒薔薇の園がうねりだす。

 建物から引き剥がされた蔓が投網のように空を覆う。地を這うイバラが猟罠のように足元で弾けて捕らえんとする。
「俺達が来なくても、そろそろ限界だったんじゃないか? 自分を削って他人に尽くしてきてんだろう。少しずつでもいいから、他人も自分も皆で幸せになるって事を考えてみてくれないか」
『……願いは……ヒトは……間違えるの……? ……ワタシよりも……シアワセを知っているのに……?』
 声のした方向へ視線を向ければ、顔のすぐ横に一輪の赤紫。蔓で叩かれ弾ければ、芳しい芳香と共に散って漂う、麻痺の呪い。すぐに跳ぶも踏み込みが足りず、着地と同時にイバラが包囲する。

「迂闊に動くと更に取り込まれかねない。ならば」
 手の中に現れるは忍法で練り上げた風魔手裏剣。
 更にユーベルコード・飯綱の術を重ねて複製すれば、現れるは刃を持つ風車の花園。
「霊……宿……動!」
 一斉に回転し踊り狂う円の刃。
 散らすは切り刻んだ蔓の破片。花弁よりもなお重たく影色に宙を彩る。

「手応えあり。……だが姿が見えない」
 まだ攻撃の余韻が残り、パラパラと重なり落ちるイバラの気配。紛れて闇から忍び寄るは、一際細く真っ黒な蔓。鍬丸の落とす影に重なった瞬間、それは今までにない動き――鋭い槍のように一直線に穿たれた。

「――はっ!」
 イバラの槍が、影からの刃二振りによって打ち砕かれる。
 暗殺を試みた黒薔薇を暗殺し返したのは、真の姿となった瑞樹。
 刹那、総攻撃と言わんばかりに残った蔓が壁から剥がれ始め――赤黒い花をつけたイバラの槍が全方向から撃ち出される。
 同時に瑞樹も跳躍する。
 避けて一刀、マヒを乗せた斬撃で蔓の動きを鈍らせる。
 更に踏み込んで二刀、鍬丸から死角となり、切り伏せるイバラから生命を感じる方へ。

 月明かりを宿した金色の瞳が輝く。
 ユーベルコード・菊花により力を宿した二刀を手に、瑞樹が更に跳ぶ。花を切るほどに降りかかる呪いに耐え、直撃でない槍には肉をくれてやりながら。二刀流で放つ、目にも止まらぬ九連撃。
 最後の一刀は寿命と引き換えの渾身の一撃。イバラの蔓の中に――確かな手応え。
 堪らず蔓の生えてた壁の隙間から引きずり出されたのは、人の姿へと戻った白鞘ユヲ。

「幸せを叶えても、君も幸せになるとは限らない」
 肩で息をしながら、同族になりえたかもしれない彼女に、瑞樹は先達として説く。
「だって悲しい事に人の欲は際限なく、次は次もとなり底がないのだから」
『……それでも……ワタシは…………ミたかった…………ホしかった…………?』
 ふらりと立ち上がったドレスは青く退色してロイヤルパープル。
 その身が朽ちる前に、どれほど導けるだろうか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御園・桜花
「自らが焦がれる幸せを見失ったのですね…お可哀想に」

高速・多重詠唱で銃弾に破魔属性乗せ制圧射撃
敵と鬼の行動阻害を試みる

「幸せとは、どういう心の動きか分かりますか。それは心が満たされること、心が浮き立ち嬉しい気持ちになること。それは自身の願いを自身で叶えた時にもっと高まる感情です。幸せを知りたいではなく、他者の願いが叶うと嬉しいから手助けしたい。そう願って行うのでない限り、今の貴女の行動では叶えられない願いなのですよ」

戦闘終了直前UC「幻朧桜夢枕」使用
彼女が幸せという心の動きを感じられるよう願う

「貴女自身が幸せと感じる願いを持つために…転生して、ゆっくり貴女の幸せを探しませんか」
子守唄で送る


水心子・静柄
あら?どこかで見かけた事があると思ったら真峰の知り合いかしら?……洗いざらい真峰との関係を吐かせてから粉微塵にしてあげるわ。

五感の刺激に比例して…ね。それなら五感を刺激しなければいいだけよね。知っているかしら?刀の達人クラスにもなると相手に知覚されずに斬る事も出来るのよ。流石に私は達人クラスじゃないけど、この本差なら相手に知覚されずに斬る事が出来るわ。なんてったって私のじ………えっと、それは今関係ないわね。とりあえずこの刀と私が漸く身に付けた居合で斬り捨ててあげるわ!!


ジャスパー・ジャンブルジョルト
ふー、迷路を抜けるのに手間取ったぜ。(訳:2章のプレイング出し忘れてた)

元が鞘だけに中身も空っぽか?
人様にシアワセを与えたつもりになっても、なにも満たせやしないぜ。現世にしがみついている限り、おまえさんずっと空っぽのままだ。
どうしても満たしたいのなら、来世でやり直しな! (などとカッコつけてるが、本当はビビりまくって、尻尾がめっちゃ膨らんでる)

本体よりも鬼を狙おう。竜の霊を召喚して相手をさせるぜ。花弁に変わって爪を回避されたタイミングをねらい、ブレス攻撃!
おうおう。花吹雪が燃えて舞い散る様ってのは綺麗なもんだな。(などと余裕ぶってるが、本当はビビり略)

※煮るな焼くなとご自由に扱ってください。



「五感の刺激に比例して……ね。それなら五感を刺激しなければいいだけよね」
 先手必勝、ユーベルコードにて創造した無敵の本差を手に、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が瞬時に間合いを詰める。
『……!』
 相手に知覚されずに斬れる達人クラスではないが、この想像の本差・真峰ならば話は別だ。そのうえ"自慢"の姉の力に微塵の疑いもない。
 影朧が動くよりも早く太刀を上段で抜き放つと一閃、直立する影朧を深々と袈裟切りにした。
『…………それ……』
 肩から胸にかけてだくだくと流れ出すものに構わず、いまだゆらりとその場に立つ影朧が、静柄に問う。
「妙に凝視するし、どこかで見かけた事があると思ったら真峰の知り合いかしら?」
 視線の先にある太刀を掲げながら、今度は静柄が問う。
『…………分からない……』
「まあいいわ。……洗いざらい真峰との関係を吐かせてから粉微塵にしてあげる」

 ざわり、と戦場一面に散った薔薇の花が風に吹かれて鳴り出す。
 影朧がスッと目を閉じ……また開く。傍目から見れば花の香りを楽しんでいるように見えるだろう。
 ただの物であったなら得ることもなかった……見開く目、切り裂かれる肌、熱い血潮、振える四肢、駆け巡る頭の水……熱いまぶた……。あの一瞬で初めての感覚だらけだ。
 刀傷から咲くように、赤黒い衣が開いて広がり身体を包み込む。
『…………アナタがくれた全て……お返しするわ』
 うっとりと歌うような甘い声とは裏腹に、大きく伸びた薔薇色の衣が巨大な刃のように、静柄へと振り下ろされる。

「俺のツィターに酔いしれろぉーっ!」
 衣の一撃を止めようと太刀を振り抜く静柄の後ろから、巨大な赤い爪の援護が加わる。
 伴奏付きの旋律にのって砕かれる衣の刃。かき鳴らされ続けるのはジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)の楽器演奏。
 ユーベルコード・JINGLED JUGGERNAUT(ジングルド・ジャガーノート)による黄金竜の霊である。
 迷路を抜けるのに手間取ったぜ、と笑いながら、ギター琴のメロディーに乗せてジャスパーは語りかける。
「お前さん、元が鞘だけに中身も空っぽか? 人様にシアワセを与えたつもりになっても、なにも満たせやしないぜ」
 その曲はどこか倶楽部で流れるジャズにも似て。歌姫であった影朧はすぐには交戦に出なかった。
「現世にしがみついている限り、おまえさんずっと空っぽのままだ。どうしても満たしたいのなら、来世でやり直しな!」
 自前の爪で弾くその姿は優雅ながら、先程から尻尾が爆発したように膨らんでいる。
 猫でいうなら怖がっている時のサインであるが……きっとちょっと急いでて、手入れが行き届かなかっただけだろう。

「自らが焦がれる幸せを見失ったのですね……お可哀想に」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が静かに立つ影朧に話しかける。
「幸せとは、どういう心の動きか分かりますか。それは心が満たされること、心が浮き立ち嬉しい気持ちになること。それは自身の願いを自身で叶えた時にもっと高まる感情です」
 負傷によりくすみ青みを帯び始めた影朧のドレス。薔薇ならばこの後は枯れるだけだ。
「幸せを知りたいではなく、他者の願いが叶うと嬉しいから手助けしたい。そう願って行うのでない限り、今の貴女の行動では叶えられない願いなのですよ」

 しばしの沈黙の後、影朧は語る。
『……ワタシは……ヒトのシアワセは…………分からなかった……』
 ぽつり、ぽつりと紡ぐ影朧の言葉。猟兵のコトバを思い出し、拾い集めて、今まで深く考えてこなかった自らの思いをカタチにする。
『……ワタシのした……それを……シアワセと……幸せと……聞きたかった……』
 オブリビオンとなった今、それは途方もない願い。
 渾身で崩壊へ導く存在には手にすることができない、たった一言の小さな願いだった。

『アナタは……ワタシを幸せにしてくれる?』
 影朧の両腕が地に落ち、滴る赤黒から沸き立ち現れるは巨大な鬼の姿。
 その鈍い目の輝きは悲しく、今の影朧に似ていた。

「――行け! 黄金竜!!」
「援護します――破魔の銃弾です」
 鬼は動かず、白鞘ユヲも、ブレスと弾幕から身を隠さなかった。

 幻朧桜の花弁が、かつて薔薇の園だったこの地に降り注ぐ。
 転生を願う伴奏付きの子守唄は・幻朧桜夢枕。

 荒魂の慰めを願う、その一部となりながら――いま影朧が一体、姿を消した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月05日


挿絵イラスト