8
ソーダ水の湖

#アリスラビリンス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス


0




●ソーダ水の湖
 その湖はエメラルドグリーン色。
 匂いを嗅げば、ふんわり甘い香り。一口飲めば、しゅわっと弾けるソーダ水。
 その湖には沢山のカラフルなお魚がいて、まわりに住む愉快な仲間たちは湖のお水を飲んだり、お魚を釣ったりして暮らしていました。
 愉快な仲間たちはみんながみんな硝子製。
 コップやグラスやはたまた硝子ペンまで。色硝子、磨り硝子、もちろん透明な硝子。
 カチンコチンぶつかって、時々割れて大慌てして。
 それでもとっても幸せに楽しく暮らしていました。

 そう。
「そろそろお茶の時間だね?」
 オウガが来るまでは。

●一足早く、みずのくにへ
「もうすぐ水着コンテストというのがあるそうですね」
 グリモア猟兵の八神・凛はどこか憧れの色を声に込めて言った。
「よろしければ、水着の本番前に水遊びをしに行きませんか。……いえ、お仕事なのですが」
 凛曰く、今回お願いしたいのはアリスラビリンスでのオウガ退治だと言う。
「愉快な仲間たち――みんな硝子の子なので取り扱いには注意してあげてほしいのですが、その子たちが住む世界に大きな湖があるのです。ソーダ水の湖です」
 愉快な仲間たちは湖の周りでのんびり暮らしているのだと言う。魚釣りをしたり、湖の水を飲んだり。ただ……。
「硝子のせいでしょうか。泳げないようなんです」
 そこで、まず猟兵たちが湖の周りでの楽しみ方を教えてほしいと言う。もちろん、猟兵だけで楽しむのもありだ。猟兵が楽しんでいる様子を見て、愉快な仲間たちもきっと真似をすることだろう。
「湖の周囲で楽しんだら、いよいよ湖の中で泳ぎましょう。湖の中は呼吸ができるようになっているので、普段泳げない方でも楽しめると思いますよ」
 去年の水着がある人はここで着替えてもいいだろう。愉快な仲間たちと一緒に泳いだり、もちろん猟兵たちだけで楽しむのもいい。楽しそうなことは愉快な仲間たちも真似をする。
 硝子の魚、硝子の水草。きらきらと水面を彩り、きっと綺麗だろう。
 存分に楽しんだ頃に、オウガが出てくる。
「未練をお茶菓子にするオウガです。さくっと倒してください」
 凛はそこで説明を終え、グリモアを起動させた。
「しっかりとお仕事もしてきてくださいね。どうぞご武運を」


空色
 空色と申します。
 アリスラビリンスで水遊び! お遊び系のシナリオです。

 1章では湖のまわりで遊びます。愉快な仲間たちに泳ぎ方を教えたり、一緒に釣りをしたり、のんびりとしたり。もちろん、猟兵さん同士で遊ぶのも楽しいでしょう。
 2章では湖の中で泳ぎます。呼吸ができますので、泳げない人でも安心です、たぶん。愉快な仲間たちと泳いでもいいですし、もちろん猟兵さん同士で遊ぶのも素敵ですね。
 3章は戦闘になります。たぶんさっくりと終わります。

 一部の章だけの参加、大歓迎です。
 ご友人同士のご参加も歓迎致しますが、迷子にならないように気をつけてくださいませね。

 他、受付や締切などは当方のマスターページをご確認いただけますと幸いです。
 沢山の皆様にお会いできることを楽しみにしております!
22




第1章 日常 『愉快な仲間たちと水泳』

POW   :    愉快な仲間たちに水泳を教える

SPD   :    愉快な仲間たちと魚釣り

WIZ   :    のんびり過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ソーダ水の湖の傍で。
 カチン、コチン、少しだけ硬質な音を立てて楽しむのは硝子製の愉快な仲間たち。
 けっして湖の中には入らずに、その周りだけで今日も楽しむようでした。

 でも、今日からは違うのです。
 だって楽しみ方を教えてくれる猟兵さんたちがやってくるのですから!
霧島屋・もなか
アドリブ連携可能
【POW】

ソーダ水の湖ってしゅわしゅわしてて楽しそうやわ!とか
甘い匂いのする炭酸水の中で硝子のお魚さん達と泳ぐのもロマンチックやねと言い(思い)ながら
愉快な仲間達にカワウソ流の泳ぎ方を教えるが
カワウソ妖怪の性分にはあらがえずうにゃうにゃとはしゃぎながら湖の中に潜水して目一杯泳ぐ

ソーダ水の中で泳ぐカラフルな水晶のような硝子の水棲生物達を見て一仕事終わったら兄弟達にこのことを教えたいとか誘って一緒に泳ぎたいフルーツポンチの中を泳いでる気分やわと思いながら
思う存分ソーダ水を泳ぐ



 霧島屋・もなか(ゆめかわ❤かわうそちゃん・f27972)はカワウソ妖怪の女の子。甘ロリやゆめかわなものが大好きな乙女。
(ソーダ水の湖ってしゅわしゅわしてて楽しそうやわ!)
 だから、湖の話を聞いてわくわくと湖へとやってきた。
(甘い匂いのする炭酸水の中で硝子のお魚さん達と泳ぐのもロマンチックやね)
 藍色の瞳をくりくりとエメラルドグリーンの湖に映していれば、硝子の愉快な仲間たちがもなかを遠巻きに見ていた。
「こんにちは!」
 もなかが声をかけると、愉快な仲間たちは押すな押すなとカチンコチン音を鳴らしながらやってくる。グラスやコップ、硝子の猫などもいる。
「こんにちは!」
「何をしてるの?」
「みんなはいつも此処で何してるんやろか」
 もなかが尋ねると、響く声で仲間たちは言う。
「お魚釣ったり、お水飲んだり、のんびりしたり」
「泳がへんの?」
「泳げないよ……」
 硝子の猫がしょんぼりと言った。もなかはにっこりと微笑む。
「じゃあ、あたいが教えてあげる!」
「本当!?」
 早速、湖の浅いところで硝子の愉快な仲間たちにカワウソ流の泳ぎ方を指導。
「しっぽを伸ばして……ってあかんか、じゃあ、できるだけ体を伸ばして、すーいって」
 さすがはもなか。カワウソ乙女。水に楽々と浮かび、すいっと泳ぐ。愉快な仲間たちはどぷん。ざぷん。なかなか浮かぶことができない。
「難しいねぇ」
「練習してるから、猟兵さんは泳いでてー」
 どぷん、ざぷんと沈みながらも努力家な愉快な仲間たち。
「ええのん?」
 泳いでいいと言われればカワウソ妖怪の性分には抗えない。うにゃうにゃと体をくねらせ、湖の深くまで潜水してもなかは泳ぎだした。
 エメラルドグリーンのソーダ水の中はぷかぷか泡が幾つも浮かぶ。
 カラフルな水晶のような硝子の魚がもなかの前を通り過ぎる。
(一仕事終わったら兄弟達にこのことを教えたいわぁ)
 もなかはよいお姉ちゃんなのである。そのためにも存分にぷかぷかして、この景色を目に焼き付ける。硝子の水草が揺れて、きらきらと光を放つ。
(兄弟達を誘って一緒に泳ぎたいなぁ)
 きっとみんな喜ぶだろう。でも赤い硝子の魚が頭の上を泳ぐのを見てちょっとだけ想像する。
(フルーツポンチの中を泳いでる気分やわ)
 ふと陸のほうを見れば、まだ愉快な仲間たちがどぷん、ざぷんとやっている。もなかはうにゃうにゃと体をくねらせて、彼らにまた泳ぎを教えに行ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月読・美琴
柘榴師匠と

「なるほど。ここが迷宮の国ですか。
鬼が現れるまで、待機ですね」

水辺で敵を待ち伏せしようとしますが……
師匠に水遊びに誘われてしまいます。

「師匠、私たちは遊びに来たわけでは……
って、ひっぱらないでくださいーっ!?」

水着なんて持ってきていないと反論しますが、師匠の手には数々の水着。
そのまま木陰に無理やり連れ込まれ……

「師匠っ、こんな屋外で着替えなんてっ……
って、ひゃあっ、ぬ、脱がさないでくださいーっ!」

木陰で巫女装束を脱がされて水着を着せられて……
な、なんかついでに胸とか触ってませんでしたっ!?

「うう、水着、似合います……か?」

仕方ないので、師匠や硝子の人たちと水辺で遊ぶのでした。


弓削・柘榴
美琴と

遊ぶことならあちきの得意分野じゃ、任せておくのじゃ。

美琴、なにをしとる。さ、いくぞ?

なにを言っていおる。
湖での遊び方を教えるのも任務のうちと言うておったじゃろ。

ほれ早く水着に……なに?持ってきてない?

水辺で遊ぶというのに準備の悪いやつじゃな。
しかたない。ここに『偶然』ぴったりの水着があるから、
これを着せてやろう。ほればんざーい、するのじゃ。

うむ。しっかり育っておるの。
また大きくなったか? 順調に美味しそうになっとるの。

と、いろいろ触りながら水着に着替えさせるかの。

水着はマイクロビキニにすけすけのフリルがついたセクシー系。
「うむ。よく似合っておるぞ。これで愉快な仲間たちものーさつじゃな」



 ソーダ水の湖の湖畔は、風までも少し甘い香り。
 月読・美琴(月読神社の退魔巫女・f28134)はすうっと息を吸い込んでから、周囲を見渡した。
「なるほど。ここが迷宮の国ですか」
 遠くで愉快な仲間たち――硝子のコップやグラスが木の陰からこちらを見ているのがわかる。美琴は使命を思い出し、大きく頷いた。
「鬼が現れるまで、待機ですね」
 とても真面目に待ち伏せ場所を探そうとする美琴を遮ったのは、美琴の傍に居着いている猫又の弓削・柘榴(月読さんちの猫又さん・f28110)師匠だ。
「遊ぶことならあちきの得意分野じゃ、任せておくのじゃ」
「え?」
「美琴、何をしとる。さ、いくぞ?」
 柘榴は美琴を促し、湖の浅瀬へと誘う。
「行くぞって、どこへですか、師匠」
「無論、水遊びじゃ。このような所に来て他に何をしようというのじゃ」
 真面目な美琴には柘榴の言い分がわからない。目を見開いてきょとんとしてしまう。
「師匠、私たちは遊びに来たわけでは……」
「なにを言っておる。湖の遊び方を教えるのも任務のうちと言うておったじゃろ」
 はい。確かにグリモア猟兵はそんなことも言っていました。師匠の言うとおり。
 柘榴は美琴の手をぐいぐいと引っ張り湖のほうへ。このままでは巫女服が濡れてしまう、と美琴は焦る。
「ってひっぱらないでくださいーっ!? 巫女装束が濡れてしまいますーっ!?」
「簡単なことじゃ。ほれ早く水着に……」
「水着なんて持ってきてないですよ……」
 困惑したまま美琴が言えば、ぎろりと厳しい柘榴の目。
「なに? 持ってきてない?」
「だって、鬼を退治しに来たんですから……」
 柘榴は嘆かわしげにため息をつき、頭を振った。
「水辺で遊ぶというのに準備の悪いやつじゃな」
「いえ、ですから」
「しかたない。ここに『偶然』ぴったりの水着があるから、これを着せてやろう」
 ばばーんと柘榴が取り出したるは何故か美琴にサイズがぴったりな水着。さすが師匠、準備のよいことです。
「ほれほれ」
「え、着せるって、あの、師匠……?」
 湖畔の木陰に美琴を引っ張っていく柘榴。不安そうに愉快な仲間たちが木陰を見守っていると……。
 ――(ここからは音声のみでお楽しみください)――
「師匠っ、こんな屋外で着替えなんてっ……」
「ほればんざーい、するのじゃ」
 がさがさ。
「って、ひゃあっ、ぬ、脱がさないでくださいーっ!」
「うむ。しっかり育っておるの。また大きくなったか?」
 がさがさ。がさがさ。
「師匠、あの、なんかついでに胸とか触らないでくださいっ!?」
「順調に美味しそうになっとるの」
「腰を触るのもやめてくださいーっ!」
 がさがさ。
「うむうむ。年頃の乙女らしくてよいではないか。はい、着替えは終了じゃ」
 ――(以上音声のみでお届けしました)――
 愉快な仲間たちがそわそわしていると、柘榴にひっぱられて美琴が出てきた。マイクロビキニにすけすけのフリルがついたセクシー系の水着だ。巫女服が清楚だっただけにこのギャップはすごい。
 カチャーンと硝子のコップが鼻血を吹いて倒れた。
「うう、水着、似合います……か?」
「うむ。よく似合っておるぞ。これで愉快な仲間たちものーさつじゃな」
 コップたちが頷くようにかちゃんかちゃん揺れている。完全に悩殺されている。さすが柘榴師匠、見立てはばっちりだ。
「さあ、遊ぶぞ、美琴! そこの愉快な仲間たちも来るのじゃ!」
 もじもじしている美琴をよそに、柘榴師匠は声をかける。コップたちは我先にとかちゃんかちゃん美琴の元へとやってきた。
 じーっと美琴を見ているコップたち。
「あの……」
「水着……すごい」
「すごい、水着」
 口々に褒め言葉?を伝える愉快な仲間たち。美琴は頬を赤らめた。
「あ、ありがとうございます……」
「ほれほれ、評判は上々じゃろう。さあ、皆で遊ぶのじゃ」
 愉快な仲間たちに囲まれて、水辺で遊ぶ美琴と柘榴。コップたちは嬉しいのか、やたら美琴に水をかけてくる。かけては、皆で呟くのだ。
「すけすけ……」
「あんまり言わないでくださいーっ」
 こうして楽しい時間は始まったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニーナ・アーベントロート
ロラン(f04258)と
アドリブOK

着替える場所をお借りして、水着にチェンジ

愉快な仲間達の身体、夏の日差しできらきらしてる
…触ってみてもいい?(うずうず)
あたしも【動物と話す】で対話してみよーかな
ボディランゲージと【コミュ力】も駆使

友達になったら、一緒に泳ぎに行こー!
ほわぁ…冷たくて気持ちいいね
しゅわしゅわの湖を漂って夢心地
…(ロランの甘えたそうな視線に気付いて)
しょーがないな、おいで?
(満更でもないのは内緒)

泳ぎは水に慣れるとこから練習ね
まずリラックスして身体の力を抜いて、ぷかーっと浮いてみよう
怖がってる子がいたら【手を繋ぐ】【鼓舞】で励ます
大丈夫、怖くないよ
あたしたちを信じて


ロラン・ヒュッテンブレナー
※アドリブOK
感情が尻尾や耳によく表れる

おねえちゃん(f03448)と遊びに来たの
水着、着替える所あるかな?

愉快な仲間、ガラスでできてるの…(興味津々)
【動物と話す】でおしゃべりできないかな?
仲良くなれたら水辺であそぼ?
…その前に、触ってみてもいい?
狼変身(小柄な子どものハイイロオオカミ)して遊ぶの

おねえちゃん、冷たくて気持ちいいよ♪
浅瀬を狼姿でばしゃばしゃはしゃぐの
おねえちゃんに甘えても、大丈夫かな?

ほら、キミたちもこっちおいでしょ?
近寄って呼んであげるの
水を掻けあったり、水辺を走ったり、軽く泳いでみたり
浮かべる位の水って、やっぱり気持ちいいな



 愉快な仲間たちに事情を話し、着替える場所をお借りしたのはニーナ・アーベントロート(埋火・f03448)とロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の腹違いの姉弟たち。
 二人は水着に着替えて、ふんわり甘い、湖畔の風を思い切り吸い込んだ。
「気持ちいいね、ロラン」
「気持ちいいね、おねえちゃん」
 声が同時に出て、思わず顔を見合わせ笑い合う。
 そんな二人を木陰から覗いている、愉快な仲間たち。夏の日差しを浴びて、硝子製の体がきらきらきらめいている。
 虹色硝子はひんやりしていそうで、とても気持ちよさそう。
「愉快な仲間、ガラスでできてるの……」
 ロランはその硝子の体に興味津々。
「……触ってみてもいい?」
 うずうずとしながらニーナが尋ねると、愉快な仲間たちはカチンコチンと音を立てながらこちらへとやってきた。
(おしゃべりできないかな?)
 ロランは恐る恐る声をかけてみた。
「こんにちは?」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
 一斉に二人に挨拶をしてくる愉快な仲間たち。どうやら、意志疎通は可能のようだ。
「触ってみてもいいよ」
「ボクの自慢はこのカーブを描いた持ち手の部分なんだ」
 ワイングラスたちがニーナに自分を自慢しながら迫ってくる。ニーナは手を伸ばしてつるりと硝子面に触れた。
「わ、気持ちいいね!」
 自慢げにくるりと回るワイングラス。
「……ぼくも触ってみてもいい?」
 ロランが尻尾をぱたぱたさせてお願いすると、小さなぐい呑たちがロランの前に勢揃い。
「「触ってー」」
 切子細工の入った表面はざらりつるり、不思議な感触。ロランは嬉しくて尻尾をぱたぱた。
「よかったら、一緒に泳ぎに行こー!」
「水辺であそぼ?」
 ニーナとロランの言葉に愉快な仲間たちもうきうきと二人の後を追いかける。ロランはくるん、と一回転。小柄な子どものハイイロオオカミの姿に変化する。
 おそるおそる一人と一匹が浅瀬に足をつけると、しゅわっと水が弾けた。ひんやりとした水は夏の日差しを遮ってとても心地いい。
「ほわぁ……冷たくて気持ちいいね」
「おねえちゃん、冷たくて気持ちいいよ♪」
 足首まで水にひたし、ぱしゃぱしゃと水を上げるニーナ。その水しぶきにわざと濡れるようにはね回るオオカミ姿のロラン。
 ニーナはもう少し深くまで行って、ぷかりと体を浮かべる。しゅわしゅわの泡が弾けて、漂っていると夢心地。
 ロランはニーナの傍をくるくると泳ぐ。足がつかないから不安というのもあるけれど。
(おねえちゃんに甘えても、大丈夫かな?)
 じーっと、おねだりする視線。ぱたぱたする耳。
「……」
 ニーナはそんな視線に気づいて、やれやれと手を伸ばす。
「しょーがないな、おいで?」
 満更でもないのは、ロランには内緒。ロランは尻尾を大きく振ると、ニーナに飛びついた。ぱしゃん! と水が大きく跳ねる。
「こら、ロランー!」
「わーい、おねえちゃん♪」
 浮かぶニーナに飛びついてご機嫌なロラン。ニーナはロランにぱしゃぱしゃと水をかける。しばし姉弟の水遊びタイム。
 そんな二人を水際で眺める、愉快な仲間たち。
「ほら、キミたちもこっちおいでよ?」
 ロランが声をかけるが、愉快な仲間たちは憧れの視線を二人に向けるばかり。
 その視線に気づいて、二人は水際へと戻ってきた。
「いいな、ボクたちも泳げるようになりたいなあ」
 一人のコップが言うと、ニーナはコップをそっと手に取り、水へと浸した。
「泳ぎは水に慣れるところから練習ね」
「水に慣れる?」
「まずリラックスして身体のちからを抜いて、ぷかーっと浮いてみよう」
 ニーナの言葉に愉快な仲間たち、大騒ぎ。「浮く!」「浮いてみる!」と水にぱしゃんぱしゃん入ってくる。上手くぷかりと浮かべるグラスもいれば、硝子ペンは沈んでしまって慌ててロランが助けに入る。
「キミはぼくと水をかけあうところから」
「うん!」
 硝子ペンは嬉しそうにロランと水かけっこ。
 水際でおずおずしてるのはワイングラスのお嬢さん。
「大丈夫、怖くないよ。あたしたちを信じて」
 ニーナがそっとグラスに手を伸ばすと、ワイングラスはうん、と一度頷いてからちゃぽん。そしてぷかり。
「ほら、浮かべた!」
「本当! すごいわ!」
 ワイングラスは大喜びでニーナの周りを飛び跳ねる。
 ロランはオオカミ姿で、先程仲良くなったぐい呑のご兄弟たちと水辺を走る。ぱしゃぱしゃと水を跳ね上げて、ぐい呑たちも楽しそう。
(浮かべる位の水って、やっぱり気持ちいいな)
 ロランは顔を湖につけて、かぷん、とソーダ水を飲み込んでからぷるぷるっと身体を振った。水が飛び散り、ニーナが歓声を上げる。
「やったなー、ロラン!」
 負けじとロランに水をかけるニーナ。ロランは嬉しくて、尻尾をぴこぴこ振りながらニーナのまわりをくるくる。
 楽しそうな姉弟を眺めながら、愉快な仲間たちの水泳教室は続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

初志・貫鉄
即興共闘歓迎

ソーダ水の湖とその周辺の硝子の住人か…楽しそうだが、少し気を付けなくちゃぁなぁ

湖の近くまで、自前の屋台車『機動厨房 功徳丸』で移動
ソーダは甘く炭酸が柔らかめと湖の水質(?)を確認してから、住人に魚釣りを教えてもらう

一緒に魚釣りを楽しんだ後は、調理タイム
功徳丸の厨房部分を開放して、一緒に料理を楽しもう
魚の肉質を確認しながら、持ち込んだ食材でオリジナル料理もふるまうぜ

今日のバーガーは、臭みが少ない魚を選んでフィッシュソテーバーガー
魚自体が甘くシュワッとしてるのは初体験だな
なら、味付けはこれだ
レタスとスライスオニオン、バターソテーはレモン塩でさっぱりと
サルサソースも作って、これはお好みで



 ソーダ水の湖の湖畔に、屋台車『機動厨房 功徳丸』が止まった。
 木陰から興味津々と屋台車を覗く硝子製の愉快な仲間たち。屋台車から男性が出てくるとまたコチンカチンと音を立てて覗き込む。
(ソーダ水の湖とその周辺の硝子の住人か……楽しそうだが、少し気をつけなくちゃぁなぁ)
 心配そうに出てきたのは初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)だ。
 まずは湖の水質を確認。少し口に含み、よく吟味する。
(ソーダは甘く炭酸が柔らかめ。ふむ)
 それから、屋台車から釣り竿を取り出した。
「すまないが、魚釣りを教えてもらえないか」
 声をかけてもらったのが嬉しかったのだろう、愉快な仲間たちは硝子のぶつかる音を賑やかに立てながら、貫鉄の前に現れた。
「魚釣りなら、硝子の猫が詳しいよ」
「釣り竿を垂らして、ゆらゆら揺らすといいんだにゃー」
 硝子の猫は自分の硝子の尻尾を湖につけてみせる。
「餌は?」
「なくても大丈夫。揺らし加減を調整すれば食いついてくるにゃー」
 ふむふむ、と頷いて貫鉄は釣り糸を垂らした。硝子の猫のやるように釣り竿をゆっくりと揺らして様子を見てみる。
 すると、すぐに手応えがあった。釣り竿を大きく跳ね上げると、硝子の魚が食いついていた。
 貫鉄はしばらく、硝子の魚を観察。
(なるほど、外は硝子だが、食べられそうだな)
 そうとわかれば、もうニ、三匹釣ってから調理タイムへ!
 屋台車、功徳丸の厨房部分を開放すると、愉快な仲間たちは興味津々に貫鉄の料理を覗き込む。
「料理?」
「お料理、初めて見る!」
 愉快な仲間たちは嬉しそうだ。これは腕を振るわねば。
(魚の肉質はさっぱり、白身魚に近いな。そうしたら……)
 貫鉄はまずは三枚に下ろして刺し身にする。醤油とわさびを添えて、一口。
「ふむ。生食よりもやはり揚げたほうがよさそうだな」
「こんなふうに食べるの初めてー」
 愉快な仲間たちには好評だが、貫鉄としてはまだ満足しない。
 臭みの少ない魚を選び、魚をからりと揚げて。本日のメニューはフィッシュソテーバーガー。
(魚自体が甘くシュワッとしてるのは初体験だな。なら、味付けはこれだ)
 持ち込んだ食材からレタスとスライスオニオン、バターソテーはレモン塩でさっぱりと。サルサソースはお好み次第。
「さあ、どうぞ」
 自分が食べるより先に、愉快な仲間たち用に小さくバーガーを切り分ける。愉快な仲間たちは我先にとフィッシュソテーバーガーをぱくり。
「「美味しい!!」」
 満足そうに食べる姿を眺めながら、貫鉄は自分の分もぱくり。
 しゅわっと口で弾けるバーガーは貫鉄にとっても初めての味だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
おー、大きな湖、だね。水もきらきらしてて、綺麗。

ここはソーダ水の、湖?じゃあわたしは、湖のそばでティーセットで淹れた紅茶と湖のソーダ水とを混ぜて、ティーソーダを作ってみよう、かな。作るのは初めてだから、いろんな紅茶と混ぜてみて、美味しくできたら愉快な仲間たちに、あげる。ん、泳ぐのは全身を使うし、初めてなら練習するのも大変、だよね。みんな、疲れたらこれを飲んで休憩、しよ?気に入ってくれたなら、作り方も教えてあげる、ね。

わたしもティーソーダを飲みながら、湖で泳ぐみんなを眺めながらのんびりする、よ。みんな、楽しそう……。もうちょっと休んだら、わたしも泳ぎに行こう、かな。



「おー、大きな湖、だね」
 ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)はきらきらと光るエメラルドの湖面を見て、目を細めた。
「水もきらきらしてて、綺麗」
 湖面にしゅわしゅわと泡が弾ける。ふんわり香る風はソーダ水の甘さがする。
「ここはソーダ水の、湖?」
 湖に手を浸し、少しだけ水を舐めた。舌の上でしゅわっと甘くソーダが弾けて、ミアは微笑む。
 湖の傍の草地にシートを広げ、ティーセットを用意する。
(紅茶と湖のソーダ水とを混ぜて、ティーソーダを作ってみよう、かな)
 ティーセットの傍に用意するのは色々な茶葉。ダージリンにアールグレイ、定番のセイロン。アッサムはちょっと味が濃そうだから、おいておこう。
(作るのは初めてだから、いろんな紅茶を混ぜてみて)
 ティーポットに茶葉を入れて、のんびり湖を見ながら茶葉が開くのを待つ。すると、様子を眺めていた愉快な仲間たちがミアの傍へと寄ってきた。
「何してるの?」
「紅茶を淹れてるの。ティーソーダ」
 カップに紅茶を注いで、持参したグラスに氷と紅茶、そして湖のソーダ水を入れる。琥珀色の液体がしゅわしゅわと泡を上げるのは、目にも綺麗だ。
 試しに淹れたものを一口。じっと見ている愉快な仲間たち。
「ん。……まあまあ、かな」
 ミアが言うと同時にグラスたちがミアの元へおねだりに。
「ボクに注いで!」
「綺麗な色! ボクにも注いで!」
 飲むよりもティーソーダを注いでもらいたいらしい。ミアが注意しながら注いであげると、グラスたちは自慢げに氷を鳴らしてみせた。カラン。
「泳ぐのは全身を使うし、初めてなら練習するのも大変、だよね」
「うん、そうなの」
「泳ぐの、楽しいけど大変なのー」
 全身びしょ濡れのコップたちがミアの言葉に頷く。
「みんな、疲れたらこれを飲んで休憩、しよ?」
「本当?」
「いいの、いいの?」
 あっと言う間にミアの元に群がる愉快な仲間たち。
「美味しいねえ」
「ソーダ水と違って、また美味しいねえ」
「気に入ってくれたなら、作り方も教えてあげる、ね」
「本当?」
 嬉しそうなのは硝子のティーポット。ここは自分の出番とばかり、まるまるとした体を揺らしてミアの元へ。
「美味しい紅茶の淹れ方から教わりたいわ。そうしたら、私の独壇場だもの」
 硝子のティーカップたちもくるくる回って嬉しそう。
 ミアも愉快な仲間たちと一緒にティーソーダを飲みながら、湖で泳ぐ皆を眺めてのんびり。日差しはほどよく照りつけ、けれども風は湖畔のせいで涼しい。
(みんな、楽しそう……)
 跳ね上がる水しぶきを見て、ミアは目を細める。
(もうちょっと休んだら、わたしも泳ぎに行こう、かな)
 こんな綺麗な湖で泳がないのはもったいない、かも。
 ミアはティーソーダをもう一口飲んで、ちょっと考えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『水中探索』

POW   :    ぷくぷくぷく

SPD   :    ぷくぷくぷく

WIZ   :    ぷくぷくぷく

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 愉快な仲間たちもだいぶ泳げるようになりました。
「猟兵さん、もっと奥まで泳いでみたい!」
「もっと深くまで泳いでみたい!」
 硝子の身体を揺すりながら、愉快な仲間たちはおねだり。
 さあ、今度は湖の中へとご案内。
 揺れる硝子の水草や、顔を出す硝子の魚。
 運が良ければこの湖の主、硝子の大亀にも会えるかも。
 湖では息もできますから、心配ご無用。存分に遊んでくださいね。
ニーナ・アーベントロート
引き続きロラン(f04258)と
愉快な仲間達の提案に「いいね」と悪戯っぽく応えて
綺麗な景色を楽しみながら、ぷくぷく進むよ
ソーダ水の泡が硝子に当たって弾ける音、気持ちいい…

先導しつつ、ロラン達がちゃんと着いてきてるか
時々後ろを振り返って

おっと、湖の主さんを探すの忘れるとこだった
景色も見ながら【第六感】を使って
大きな硝子の亀さんを探すね
【動物と話す】でお魚たちから聞き込みも

あと、最近何か変わったことないか、教えて貰えないかな?
一番大事な猟兵のお仕事…オウガ退治に有効な情報、あれば知っときたいよねえ

わぁ、あれが大亀さん?
ほんとだ、立派な甲羅…
ロランくらいなら楽々乗れそうだね
暫しの平和に笑顔が零れる


ロラン・ヒュッテンブレナー
おねえちゃん(f03448)、愉快な仲間たちが呼んでるよ?

湖の中、それなら、この姿だと泳ぎにくいね
(人間に戻る)
ん~、水の中だと、しっぽに泡がいっぱい溜まって浮きそうなの
(じたばた)
シュワシュワ鳴っててなんだか楽しくなってきたの

湖の主?
うん、あいさつしに行かないとね
お魚さん、主さん、どこにいるのかな?【動物と話す】
【暗視】で遠くまで見渡してみるね
わぁ、すっごくきれいな景色なの
あ、おねえちゃん、まって…

主さん、亀さんなんだね
甲羅がきれいでかっこいいな!(甲羅をガン見)
乗せてくれるの?やった!
亀さん亀さん、もっときれいな所、ない?
連れてって欲しいな

ん?お仕事??(すっかり忘れてる子)



「猟兵さん、もっと奥まで泳いでみたい!」
「もっと深くまで泳いでみたい!」
 だいぶ泳げるようになった愉快な仲間たちは硝子の体を揺らしておねだり。
 それを笑ってロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は眺めて、
「おねえちゃん、愉快な仲間たちが呼んでるよ?」
 と声をかける。呼ばれたニーナ・アーベントロート(埋火・f03448)は愉快な仲間たちに泳ぎを教えていた手を止めた。
「……いいね」
 ニーナは悪戯っぽく提案を受け容れる。
「じゃあ、もっと深くまで潜ってみようか。みんな、着いてきて」
 ざぷん、と湖の中へ潜水していく。次々と続くコップたち。ロランも続こうとして子どものハイイロオオカミの姿のままだったことに気づく。
(湖の中、それなら、この姿だと泳ぎにくいね)
 くるん、と人の姿に戻ると、愉快な仲間たちに負けじとニーナを追いかける。ロランの尻尾にソーダ水の泡が溜まってぷかぷかと浮かぶ。
(ん~、水の中だと、しっぽに泡がいっぱい溜まって浮きそうなの)
 上へと持ち上がる尻尾。下へと潜るロラン。じたばた。
 先導しているニーナが、ロランが着いてきているか時々後ろを振り返ってくれる。そんな些細なことが嬉しいロラン。でも先になかなか進めない。じたばた。
 そんなロランがまた可愛らしくて、心の中でふふっと笑ってしまうニーナ。
 エメラルドグリーンの湖の中、赤い硝子の小魚が群れをなして泳いでいく。ゆらゆら揺れる硝子の水草。ゆったりと泳ぐ黄色の大きな硝子の魚。
 ぷくぷくと皆のことを振り返りながらニーナは潜っていく。ニーナの傍を泳ぐワイングラスにソーダ水の泡が当たって弾ける。ぷくぷくぱちん。その音がとても気持ちいい。
 ロランの尻尾はようやくしんなり湿って、深く泳げるようになってきた。尻尾にもソーダ水の泡がジュワジュワと絡みつく。その音が楽しくて、ロランはニーナを必死に追いかける。
「おっと、湖の主さんを探すのを忘れるとこだった」
 呼吸ができるので、おしゃべりもできる。ニーナがはた、と気づいてロランを振り返ると、もうロランは隣まで来ていた。
「湖の主? うん、あいさつしに行かないとね」
 ニーナが景色を楽しみながら周囲を注意深く探していると、ロランはお魚に声をかける。
「お魚さん、主さん、どこにいるのかな?」
「あっちよ、あっちの奥でお昼寝しているわ」
 黄色の硝子のお魚がひらひらと泳ぎながら教えてくれる。
「あっち?」
 ロランが遠くまで見渡してみると、湖の底に何かきらめくものが。
「あれかな。あと、もうひとつ聞きたいのだけど」
 ニーナはお魚を引き止め、懸念していたことを尋ねた。
「最近何か変わったことないか、教えて貰えないかな?」
 それは一番大事な猟兵のお仕事……オウガ退治に有効な情報収集。
「変わったこと……」
 お魚が考え込めば、コップたちがかちゃかちゃ音を立てる。
「コップが割れてることがあるよ」
「割れると僕らは動けなくなっちゃうんだ」
「怖いね、怖いね」
 オウガの仕業なのかもしれない。ニーナは少し表情を引き締める。
 一方のロランはきょとんとした顔。
「ん? お仕事??」
 遊びに夢中で――しかも大好きなおねえちゃんと一緒で、すっかり忘れてた様子。
「そうだよ、ロラン。お仕事もちゃんとしなくちゃ」
「うん……でも、ぼく、おねえちゃんともっと遊んでたいな」
「もう、ロランったら」
 困ったようにニーナは言うけれども、満更でもない。でも、そんな表情を見せないように、主がいるらしい方向へとさらに沈む。
「あ、おねえちゃん、まって……」
 ロランも慌てたようにニーナの後に続いて潜っていく。
 エメラルドグリーンの色は一層濃くなり、湖の底は白い砂。硝子たちの影がゆらゆらと揺れている。
 そこでお昼寝をしているのは硝子の大亀。甲羅は虹色の硝子できている。物音を感じたのか、首を伸ばして二人を見た。
「わぁ、あれが大亀さん?」
「主さん、亀さんなんだね。甲羅がきれいでかっこいいな!」
「ほんとだ、立派な甲羅……」
 姉と弟が甲羅をしげしげと眺めていると、大亀も得意そうだ。
「わしの甲羅は特別製だからのう」
「ロランくらいなら楽々乗れそうだね」
「うむ、乗れるであろうよ、乗ってみるかい?」
 大亀がニーナの言葉に応えるように甲羅をロランに向ける。
「乗せてくれるの? やった!」
 ロランはいそいそと虹色の甲羅へ乗る。つるつるの手触りと抜群の安定感。乗り心地は最高だ。
「亀さん亀さん、もっときれいな所、ない? 連れてって欲しいな」
「いいとも。水草の綺麗なところがあるんじゃ。そこへ行ってみようか」
 亀がのっそりと泳ぎだす。ニーナもその横を泳いでいくと、小さな赤い硝子の花を咲かせた水草が一面に生えているところへと到着した。愉快な仲間たちも嬉しそうにぷかぷか浮かぶ。
 揺れる水草の澄んだ緑と赤が白い砂に映って、きらきら、きらきら。
「綺麗だねえ」
「うん、きれい!」
 暫しの平和に二人は笑顔になるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

初志・貫鉄
即興共闘歓迎
ぷくぷくぷく

さて、潜ってみるかぁ…その前にキチンと準備もしなきゃな?

服を脱いで褌一丁になってから、先にUCを使い、分身を先に行かせて足場など緊急時の移動経路を想定させながら潜水

本体はというと?
慌てるなー、急ぐなー。怪我したら楽しいものも楽しくなくなっちまうぞー
なんて、順番にゆっくりと湖に入るように言いながら、奥に行きたいという面子の引率者状態

簡単なハンドサイン(陸上に戻って)だけを決めて説明してから、いざ皆で潜水
呼吸ができるって不思議過ぎるんだがなぁと思いながら、陽の光が差し込み綺麗に反射する硝子と炭酸水の世界を事故がないように楽しみます


北・北斗
『うーん、なんか、きみたち、泳げなさそうな形してるね』
さてどうしようかと思ってしまうが、まぁ、それはさておき。
もっと深い水に潜るのも、いいかも。
おいらは、泳げればいいかなって思ってるけど。
この水って、なんか刺激的な感じがする。
身体がシャワシャワする感じ。
飲むと、口の中がジュワって。
ここでは、ここなりの生態系があるんだね。
この魚、食えないけど。

見た目で分かるとおり、トドで、水着なんてのは付けない。
食える魚がいないのを除けば、なんか、新鮮な感じがする湖だ。
ここで、来たるべきオウガを待ち受けて待っていよう。
とりあえず、一度上がって呼吸してこよう。

アドリブ絡み歓迎



 『機動厨房 功徳丸』を畳んで、初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は湖畔を遠くまで眺めて立った。
 その横で巨体を横たわらせているのは北・北斗(遠い海から来たトド・f20984)。トドのバイオモンスターだ。
 二人のまわりで愉快な仲間たちが「深くまで泳ぎに行きたい!」とさっきから声を上げている。
『うーん、なんか、きみたち、泳げなさそうな形してるね』
 北斗が喋るのはテレパシーを使ってだ。まったく問題なく貫鉄とも愉快な仲間たちとも意志疎通できている。
「「えー」」
 細いペアグラスのカップルが困ったように声を上げた。
(さてどうしようか)
 北斗が困っていると、貫鉄が大きく頷いた。
「この硝子たち、意外と泳げるぞ。練習をしていた」
『えっ』
「だから潜ることも、準備さえすれば問題ないと思われる」
『そうか、それなら……』
 北斗自身はもっと深い水に潜るのは大賛成だ。愉快な仲間たちはともかく自分が泳げればいいかなあ、とも思う。
 だが、貫鉄は泳ぐからには安全第一に泳ぎたい。
(さて、潜ってみるかぁ……その前にキチンと準備もしなきゃな?)
 功徳丸の中で服を脱ぎ、漢なら水着はいらぬとばかりに褌一丁。けれども、貫鉄はそこで飛び込むような危険は侵さない。
 ユーベルコードでもうひとりの己を先に湖の中へと行かせる。もうひとりの貫鉄は緊急時の移動経路などを想定しながら、ゆっくりと潜っていく。
「何してるの?」
 わくわくどきどきの愉快な仲間たち。この硝子の体に傷をつけてはいけない、と貫鉄はしみじみと思う。
 北斗はトドだから水着などには着替えない。ただ、横たわって貫鉄のすることを眺めている。
 少し様子を見てから貫鉄がおもむろに言った。
「よし、少しずつ入ってみようか」
「わーい」
 次々と湖の中に飛び込んでいく愉快な仲間たちに貫鉄は慌てる。
「慌てるなー、急ぐなー。怪我したら楽しいものも楽しくなくなっちまうぞー」
 引率のお兄さんよろしく、足元でかちこち跳ねる硝子たちをたしなめる。先に行きかけていたコップたちも慌てて貫鉄の足元へ。北斗も合わせて水に少しはいる。
「いいか、順番にゆっくりと湖に入るんだ。そうしたら事故も起こらない」
「「はーい!」」
 よい返事の愉快な仲間たち。貫鉄、幼稚園の引率の先生みたいである。
(なるほど、安全を確かめながらなんだね)
 北斗は大きな尾ひれをぺしゃんと叩いて水をはねさせた。
「よーし、一度、水に体を慣らすぞ。水のかけっこだ」
 言われたとおりに愉快な仲間たちは水かけっこで、まず体を慣らす。コップやグラスは嬉しそうに貫鉄や北斗にも水をかけてきて、すぐに二人もびしょ濡れになった。
 体の上でしゅわしゅわと水が流れていくのは、どうにも不思議な感じがするが、それはそれ。
(この水って、なんか刺激的な感じがする。身体がシャワシャワする感じ)
 北斗はがぽり、と水を飲んで見る。
(飲むと口の中がジュワって。ここでは、ここなりの生態系があるんだね)
「よし、一度上がるぞ」
 貫鉄の言葉どおり、愉快な仲間たちは湖畔に上がると貫鉄を期待の眼差しで見た。北斗も付き合いで一度湖畔へと上がる。
「いいか、これ以上奥へ潜るな、という時はこういうハンドサインを出す」
 真剣に頷く愉快な仲間たち。
「ゆっくり泳げ、はこうだ。陸地に戻れ、はこう」
 貫鉄は幾つかのハンドサインを指導して、もうひとりの自分の報告を受ける。
「よし、では行くぞ」
『じゃあ、おいらはお先に』
 北斗はじゃっぷじゃっぷと湖畔から湖へと泳ぎ出ると一気に潜水して行った。その堂々たる姿に愉快な仲間たちから歓声が上がる。
「すごーい!」
「あんなふうに泳ぎたーい!」
「あー、愉快な仲間たちは慎重にな」
 慌てて貫鉄は声を飛ばす。
 潜っていくと、すぐにエメラルドグリーンの水の中、コップたちがぷかぷかと浮かび、潜っていく。安全確認を怠らず、貫鉄も周囲を見渡した。
(呼吸ができるって不思議すぎるんだがなぁ)
 潜っていても苦しくないのは、本当に不思議だ。愉快な仲間たちも貫鉄の言うことをきちんと守り、貫鉄の周りで楽しんでいる。
 陽の光が差し込み、綺麗に反射する硝子たち。そこへ弾けて泡立つ炭酸水。
 北斗は悠々と身体を伸ばし、時折くねらせて泳ぐ。
(なんか、新鮮な感じがする湖だ)
 水面はいつも以上にキラキラ。泡はしゅわっと弾けて、北斗の皮膚をくすぐっていく。
(ここで、来るべきオウガを待ち受けて待っていよう)
 何にせよ、泳ぐのは気持ちがいい。深さもそれなりにあれば、北斗が潜るのにも十分だ。
(とりあえず、一度上がって呼吸してこよう)
 湖畔のほうへ身体を返せば、泳ぐ勇気のない愉快な仲間たちがカチンコチンぶつかりながら北斗のほうへ駆けてくる。
「湖の中って綺麗?」
「お魚、いる?」
『綺麗だし、お魚もいるよ』
「「すごーい」」
 きらきらと眩しそうに北斗を見つめる愉快な仲間たち。
 貫鉄も時々、皆に休憩を取らせながら、ゆっくりと奥へと潜っていく。
 事故のないように、安全第一に、そして楽しく。愉快な仲間たちとの湖での泳ぎは続いたのだった。ぷくぷくぷく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
よし、じゃあわたしも愉快な仲間のみんなと一緒に泳ぐ、ね。水着は、前に温泉に入ったときのにしよう、かな。(水色のセパレート、下はスカート)

ん、せっかくなら湖の底まで行って、みようか。息はできるみたいだから、愉快な仲間たちの手を引いて、ゆっくり泳ぐ、よ。みんながお魚さんや水草にぶつかって割れちゃわないように気をつけないと、ね。お魚さんも硝子だから、光が当たってきらきらして、綺麗……。ん、みんなもきらきらして素敵、ね。
どんどん下まで行って、足がつくところまで着けたら、ちょっと歩き回って探検したい、な。どうなってるか、気になる。深い方がやっぱり大きなお魚さんがいるの、かな?



「泳ぎに行こう」
「深くまで行ってみよう」
 愉快な仲間たちはミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)の紅茶に満足したのか、ミアの足元で誘う。確かに湖の色は綺麗で、日差しも強くなってきた。湖で泳ぐのは気持ちよさそうだ。
「よし、じゃあわたしも愉快な仲間のみんなと一緒に泳ぐ、ね」
 そう宣言すると硝子の愉快な仲間たちはカチコチと音を響かせて跳ねて喜ぶ。
 場所を借りて、ミアは水着に着替えてきた。水色のセパレートタイプの水着だ。下はスカートになっている。ミアが着るととても清楚で可愛らしい。ワイングラスのお嬢様方が、
「とても綺麗でいいわ」
「ええ、とっても素敵」
 と、ミアの水着を惚れ惚れと見上げる。ミアはちょっぴり照れくさくなって、早速湖に潜ってみることにした。
「ん、せっかくなら湖の底まで行って、みようか」
 わーい、と歓声をあげる愉快な仲間たち。湖に足をつけると足首のあたりでしゅわしゅわと水が弾ける。少しくすぐったく思いながら、どんどん湖へと入っていく。足がつかなくなったあたりで、かぷん、と水を飲んだ。しゅわっと甘いソーダ水。息はちゃんとできる、苦しくない。
 安心して、ミアはワイングラスの持ち手を握って、一緒にゆっくりと泳いでいく。
(みんながお魚さんや水草にぶつかって割れちゃわないように気をつけないと、ね)
 なにせ、お互いが硝子で出来ている。うっかりぶつかったら大惨事になりかねない。ミアが心配する横で、コップやグラスはぷかぷかと嬉しそうに泳いでいる。
 目の前を赤い硝子のお魚の群れが横切った。お魚は差し込む光を体全体に浴びて、きらきら、きらきら。
(綺麗……)
 思わず見つめてしまうと、周りのグラスたちも光を集めてくるくると回ってみせた。
「綺麗?」
「ボクらも綺麗?」
 ミアはくすりと笑う。
「ん、みんなもきらきらして素敵、ね」
 喜ぶ愉快な仲間たち。お魚も嬉しかったのか、ミアの周りできらきら揺らめき泳ぐ。
 ミアは、どんどん下まで潜ってみることにした。
 湖底は白い砂。光の波紋が硝子と水に当たってゆらゆらと線を描いている。足を砂につけると、ひんやりと冷たい。
 ミアはそのまま、歩き回るように湖底を探検することにした。
(どうなってるか、気になる)
 硝子の水草が揺れて、そこから大きな黄色の魚が顔を出す。黄色の魚はミアを見ると背びれを振った。
「こんにちは、お嬢さん」
「こんにちは」
(深い方がやっぱり大きなお魚さんがいるの、ね)
 ミアが納得していると、黄色のお魚はゆらゆらと泳ぎながら言う。
「あっちに、湖の主の大亀がいるよ」
「主?」
「主さまだよ、亀なんだ」
 愉快な仲間たちも声を揃える。
「会ってみたい、な」
 ミアは湖底をまた歩き出す。虹色の硝子の大亀に会いに。きらきら、きらきら、エメラルドグリーンの中を光が降り注ぐ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弓削・柘榴
美琴と

美琴、恥ずかしがっている場合ではないぞ。
今度は水中での修行じゃ。

あちきが捕まえたら、容赦はせんからの。
それがいやなら、しっかり泳ぐのじゃ。

ん? なにをするのか、じゃと?
そんなもの、剥ぐに決まっておろうが。

……ふむ。潜ったか。
あちきが猫又ということを考えたか。
すこしは考えて行動するようになったかの。

まぁまぁやるようになったではないか。

とはいえ、まだまだじゃ。
あちきが何年生きていると思っとるのか……。
水が好きというわけではいが、とうに克服しておるわ。

ま、成長もみられたし、剥ぐのは許してやるか。
そのぶん、しっかりと抱きつかせてもらうがな。

今回はくすぐるくらいで勘弁してやることにするかの。


月読・美琴
柘榴師匠と

「うう、水着が大胆すぎて恥ずかしいです……」

面積が小さくて、すけすけな水着を両手で身体を隠しながら水に浸かっていると、師匠から修行開始という言葉が。

「ふぇっ!?
師匠に捕まったら水着剥ぎ取りの刑っ!?」

師匠のことです。
捕まったら本当に水着を剥ぎ取って来るに違いありませんっ!
ここは本気で逃げないとっ!

「逃げるなら……こっちですねっ!」

師匠は猫又!
猫といえば、きっと水の中は苦手なはずですっ!
水中深くまで潜ってしまえば手も足も出せないでしょう!

「わぁっ、水の中、凄く綺麗ですっ」

感動しながら硝子の魚を見ているところに背後から師匠が近づいてきていて……
くすぐりの刑をされてしまうのでした。



「うう、水着が大胆すぎて恥ずかしいです……」
 月読・美琴(月読神社の退魔巫女・f28134)は首まで湖に浸かっている。面積が小さくてすけすけな水着を、弓削・柘榴(月読さんちの猫又さん・f28110)師匠に着せられてしまったからだ。
 水着をひたすら隠すように両手で体を抱いている美琴に、柘榴は湖畔から声をかける。
「美琴、恥ずかしがっている場合ではないぞ。今度は水中での修行じゃ」
「修行……ですか?」
「さよう。あちきが美琴を追いかけて捕まえる。それを見事かわしてみよ」
 美琴は柘榴師匠の修行に大変嫌な予感を覚えた。柘榴師匠は神妙な顔つきで大きく頷く。
「あちきが捕まえたら、容赦はせんからの。それがいやなら、しっかり泳ぐのじゃ」
「容赦はしない……師匠、いったい何をするつもりなんですか……?」
 恐る恐る尋ねる美琴に、柘榴は顔色ひとつ変えずに言った。
「ん? なにをするのか、じゃと? そんなもの、剥ぐに決まっておろうが」
 美琴は目を丸くする。
「ふぇっ!? 師匠に捕まったら水着剥ぎ取りの刑っ!?」
 思わず声も裏返る。美琴の脳裏にくふふと笑う柘榴師匠の顔が広がった。
(師匠のことです。捕まったら本当に水着を剥ぎ取って来るに違いありませんっ!)
 そうして、あんなことこんなことされてしまう未来が予想される。それは断じて避けねばならない。
(ここは本気で逃げないとっ!)
 普段はおっとりとしている美琴が、やる気をみなぎらせた。柘榴は湖畔から湖へ一歩一歩近づいてくる。まさに鼠を追い詰める猫のようだ。
「逃げるなら……こっちですねっ!」
 今は水着にかまっている時ではない。美琴はえいや、と湖の奥、湖底深くまで潜り始めた。
(師匠は猫又! 猫といえば、きっと水の中は苦手なはずですっ! 水中深くまで潜ってしまえば手も足も出せないでしょう!)
 この作戦なら、きっと勝てる。
 美琴は確信を持って水中へと潜っていった。

「……ふむ。潜ったか」
 柘榴は美琴が潜る様子を湖畔から眺めていた。
(あちきが猫又ということを考えたか。すこしは考えて行動するようになったかの)
 そう思うと、美琴が成長しているようで、なんだか嬉しい柘榴である。
(まぁまぁやるようになったではないか)
 口元が笑みを作るが、それで満点をあげるほど優しい師匠ではないのが柘榴である。美琴は月読神社の巫女、もっともっと育たねばいけないのだ。
 柘榴はすぐに厳しい顔になった。
(とは言え、まだまだじゃ。あちきが何年生きていると思っとるのか……。水が好きというわけではないが、とうに克服しておるわ)
 そこは柘榴師匠、師匠だけあって、ただの猫又ではないのである。
(ま、成長もみられたし、剥ぐのは許してやるか。そのぶん、しっかりと抱きつかせてもらうがな)
 柘榴は水が苦にもならないように、とぷん、と潜った。しゅっと素早い動きで泳いでいく。
(今回はくすぐるくらいで勘弁してやることにするかの)

「わぁっ、水の中、凄く綺麗ですっ」
 完全に柘榴師匠をまいたと思っている美琴は目の前を泳いでいく硝子の魚に感動中。ソーダ水の泡がぷかぷかと浮かび、硝子の水草がゆらゆらと揺れている。
(綺麗ですね……この湖をしっかり鬼から守りませんとっ!)
 美琴がやる気をみなぎらせていると、不意に目の前の硝子の魚たちがぱあっと散るように逃げ出した。
「ふぇっ!?」
「見つけたぞ、美琴」
 背後から柘榴の声。そして後ろからぎゅーっと抱きしめられる。
「し、師匠っ!? ここ、水の中なのに、どうしてっ!?」
「あちきを誰だと思うておる?」
 にっこりと笑う柘榴。さあっと青ざめる美琴。
「は、剥ぐのだけは許してくださ」
「捕まえたからには容赦はせんと言うたよな?」
 美琴の言葉尻にかぶせるように柘榴はゆっくりと言うと、美琴の脇腹をくすぐり始めた。
「ひゃっ!? し、師匠、く、くすぐった、ひゃぁっ!」
「よく考えたゆえに剥ぐのはやめておくが、まだまだ美琴は詰めが甘いのう」
 背筋もしっかりくすぐる柘榴師匠。脇の下や首の下もしっかり攻めます。
「ひゃぁっ! ご、ごめんなさい、師匠、や、やめてください……っ!」
 身をよじらせる美琴をくふふと笑って堪能する柘榴師匠。硝子の魚たちが興味津々でそんな二人を見守っている。
 エメラルドグリーンの湖の中、二人の修行はまだまだ続くのでありました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ひつじのしつじさん』

POW   :    食事の時間だね
【銀製フォーク】が命中した対象を切断する。
SPD   :    痛いのは好きじゃないんだ
全身を【もふもふの羊毛】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    願い事を叶えてあげよう
小さな【ティーポット】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【対象の理想が全て叶った世界】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エンティ・シェアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 泳ぎ疲れて、湖畔に上がってきた頃だった。
 猟兵たちは予感に身をこわばらせ、愉快な仲間たちを背に隠す。
 木々の隙間からやってきたのはティポットを持った、ひつじのしつじさん。
「やあ、キミたち、とても楽しそうですね」
 執事だけあって、大仰なお辞儀をしてからひつじのしつじさんは一歩前へ出る。
「そろそろお茶の時間ですよ。いかがですか。……貴方たちの未練をお茶菓子に致しましょう」
 ひつじのしつじさんはにっこりと微笑んだ。
「そう、たとえば……もっと泳ぎたかったなどという未練はとても美味しそうですね」


※【WIZ】を選んだ方は「理想の世界」と「どうやってそこから脱出するか」を明記くださいませ。
ニール・ブランシャード(サポート)
困ってる人がいるの?
ぼくで良ければ力になるよ!

(全身甲冑の中に棲みついたブラックタールの少年です。武器は長い柄の先に斧がついた戦斧です。
主な活動内容は冒険、集団戦、ボス戦です。

純朴で人懐っこく、優しい心を持っています。
オブリビオンに命を脅かされる人たちの助けになりたいと思っています。

NG:性的表現のあるシナリオ

あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。)



 優しそうな笑顔の裏に凶悪なものを潜めて、ひつじのしつじさんは愉快な仲間たちへと手を伸ばす。
 硝子製の愉快な仲間たちはカッチンコッチン大騒ぎ。右に左に逃げ惑う。そんな時だった。
「困ってる人がいるの? ぼくで良ければ力になるよ!」
 現れたのは全身甲冑姿の少年、ニール・ブランシャード(うごくよろい・f27668)。甲冑の中はブラックタールだが、今はその姿はまったく見えない。
「助けて」
「助けて」
 愉快な仲間たちはニールの甲冑の後ろへと我先にと避難する。ニールは両手を広げ、愉快な仲間たちをかばうようにして立った。
 ひつじのしつじさんはニールを見て、にっこりと笑う。
「まあ、ここで会ったのもひとつの縁です。お茶でもいかがですか」
「お茶は嫌いじゃないけど、断るよ。だって、お前はこの子たちを壊すんだよね?」
「コップは壊れるものと決まっておりますよ」
「いつかは壊れるかもしれないよ。でも、それは今じゃないんだ」
 ニールはそう言って、戦斧を構えた。長い柄の先に斧のついた騎士が持つようなものだ。一歩、踏み出すとそれをぶん、とオーガに向かって振り回す。
 ひつじのしつじさんは、それをぎりぎりでかわした。足元で愉快な仲間たちがぴょんぴょんと跳ねる。
「頑張れー」
「負けるな、がんばれー」
 ニールの優しい心に火が灯る。
(ぼくのことを応援してくれてるんだね。頑張らなくちゃ!)
「そのように暴れてはお茶がこぼれてしまいますよ」
 ひつじのしつじさんは困ったようにティポットを揺らす。だが、そんな仕草にかまっていられない。
(ぼくはこの愉快な仲間たちの力になりたいんだ)
 再度踏み込み、戦斧を薙ぐ。今度は刃に手応えがあった。ひつじのしつじさんは苦しそうに胸元を押さえている。
「お茶の時間に随分と野蛮なことをされますね」
「ぼくは、守りたいだけだよ。お茶なら愉快な仲間たちとするよ、お前は帰って」
 戦斧でティポットを狙う。ニールの鋭い突きにひつじのしつじさんは上体を揺らした。ティポットを守るように後ろへと下がる。
「まったく、忌々しい……」
 ひつじのしつじさんが低い声で言い、ニールを睨んだ。ニールはびっくりして甲冑からちょっとだけブラックタールの部分がぴょこんと出てしまう。
「わっ」
 愉快な仲間たちもニールの姿にびっくり。ニールは困ったように頭を掻いた。
「驚かせちゃったかな?」
「ううん、かっこいい!」
 キラキラと体を輝かせて言うコップたち。ニールはほっとして、戦斧を構えた。
「ありがとう、きっと守ってみせるからね!」
「うん!」
 愉快な仲間たちの声援を受けた一撃は、ひつじのしつじさんの肩を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
おねえちゃん(f03448)と、オウガ退治なの

しつじのひつじ…、ん?
ひつじのしつじ……んん??
ちょっと、わからないの
とりあえず、オウガ、だよね?

愉快な仲間たちを守りながら
【ダッシュ】で距離を取って動きを観察【情報収集】なの
【聞き耳】もしてるの
おねえちゃんに【オーラ防御】の【結界術】で援護するね

おねえちゃん、強いなぁ(きらきら)
ぼくも、しっかり狙いを定めて…、UC発動なの!
【全力魔法】で吠えるの!

相手は羊さんだから、狼の遠吠えで【第六感】の恐怖に訴えかければ(【ハッキング】)当てやすいはずなの
今!(【ダッシュ】で鉄鎖をぐるぐる巻きに)

大人しく、骸の海に還ってね(もう一回UC)

これでもう大丈夫なの


ニーナ・アーベントロート
引き続きロラン(f04258)と

【POW】
ちょっと可愛いけど、物騒なひつじだね
【オーラ防御】で攻撃を防ぎつつ
愉快な仲間達の逃げ道を確保
終わるまで、安全な場所に隠れてて!

攻撃は『ブレイズフレイム』で
先ずは相手のフォークへ炎を射出
…ひつじさん、銀ってかなり熱を通しやすいんだよねぇ
持つところまでがっつり銀製っぽいけど
そろそろ熱くて持っていられなくなるんじゃない?
敵が武器を手放したら、一気に距離を詰め
もう一度地獄の炎を放ち、羊毛も焦がす

…暴れるひつじは、ラムステーキにでもしちゃおうかなぁ?
(弟には聞こえないよう小声で囁き【恐怖を与える】)
トドメはロランに任せた!

…なんか前より強くなったよね、お互いに



 現れたひつじのしつじさんに、愉快な仲間たちは大パニック。
 そして、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)もちょっぴり混乱中。
「しつじのひつじ……、ん?」
 えへんと胸を張るひつじのしつじさん。
「ひつじのしつじ……んん?? ちょっと、わからないの」
「ちょっと可愛いけど、物騒なひつじだね」
 ニーナ・アーベントロート(埋火・f03448)はばっさりと切り捨てた。それを聞いてロランも頷く。
「とりあえず、オウガ、だよね?」
「そうそう! まずは愉快な仲間たちを避難させないと!」
 ロランも納得したところで、姉と弟は愉快な仲間たちを避難させるべく動きだした。
「そうはさせませんよ」
 ひつじのしつじさんが銀のフォークを振りかぶる。ニーナはそれを咄嗟に防御しながら、愉快な仲間たちの逃げ道を確保する。
 ロランは少し離れたところへ位置取ると、ひつじのしつじさんの動きを観察しながらニーナに結界を張って援護をする。
「おねえちゃん、右!」
「うん!」
 銀のフォークを受け止めるのは、柄と鞘に繊細な象嵌を施した小ぶりのナイフ、Instinkt。ニーナがフォークを振り払っている間に、愉快な仲間たちは足元を駆けていく。
「終わるまで、安全な場所に隠れてて!」
「うん!」
「頑張れー!」
 カチンコチンと音を賑やかに鳴らしながら、愉快な仲間たちは避難。
「おねえちゃん、もう一度、右!」
「はい!」
 再度の攻撃を、ニーナはロランの指示もあり、楽々と受け止める。ひつじのしつじさんは苦々しい表情になった。
「私はただお茶を飲もうと誘っているだけですよ」
「その割には物騒なものを持っているじゃない」
「ぼく、あなたのお茶は飲みたくないなぁ」
 ニーナとロランの言い返しに、ひつじのしつじさんはやれやれと言う顔になった。
「それなら仕方がありません。力づくでお茶を飲みましょうか」
「望むところ!」
 ニーナはフォークとInstinktを斬り結んだ。
 そうこうしているうちに、愉快な仲間たちは木陰や藪の中へと避難を完了させる。ニーナはひつじのしつじさんのフォークから距離を取り、ナイフを構え直した。
「さあ、本気で行くよー」
 ニーナの持つナイフに纏わりつくように噴出する「地獄の炎」。ニーナは一気にその炎をひつじのしつじさんの持つフォークへと射出した。銀のフォークが炎で赤く熱せられる。
「……ひつじさん、銀ってかなり熱通しやすいんだよねぇ」
 ニーナはにっこりと笑う。
「持つところまでがっつり銀製っぽいけど、そろそろ熱くて持っていられなくなるんじゃない?」
 その言葉と同時にひつじのしつじさんも熱かったのか、フォークを取り落した。悔しそうな顔をするひつじのしつじさんへと、一気に距離を詰めるニーナ。
 再度、地獄の炎を放ち、顔の周りの羊毛も焦がし、追い詰めていく。
「……暴れるひつじは、ラムステーキにでもしちゃおうかなぁ?」
 絶対にロランには聞こえないように囁くと、ひつじのしつじさんは思わず動きを止めた。
 そんなニーナを見つめるロラン。
(おねえちゃん、強いなぁ)
 きらきら、憧れの瞳を浴びて、ちょっとだけ罪悪感を覚えてしまうニーナ。だが、今はこのオウガを倒してしまわないと。
「トドメはロランに任せた!」
 ちりちりと羊毛を焦がしながら、ニーナはひつじのしつじさんから距離を取る。
(ぼくも、しっかり狙いを定めて……)
 ロランは小さい体で大きな人狼の遠吠えを響かせた。
「るぅぉおおお!」
 相手は羊。狼の遠吠えでその根源の恐怖に訴えかける作戦だ。遠吠えはひつじのしつじさんを爆破し、なおかつ、魔術回路で編まれた魔力を封じる鎖で互いをつなぐ。
 至る所焦げたひつじのしつじさんは、何が起きたかもわからず目を瞬くばかり。
「今!」
 ロランは速度を上げて、鎖でひつじのしつじさんをぐるぐる巻きにする。
「大人しく、骸の海に還ってね」
 にっこりと微笑み、再度高く大きな遠吠えをすれば、ひつじのしつじさんはもうぼろぼろだ。
「これで大丈夫……かな」
「……なんか前より強くなったよね、お互いに」
 ロランが鎖を回収するのを見ながら、ニーナはぽつりと呟く。ロランはニーナを見て、ぱっと笑顔になった。
「ほんとう?」
「本当、本当。強くなったよ、ロラン」
 ロランは嬉しそうに尻尾をぱたぱたと動かす。
「おねえちゃんもとっても強かった」
「そっか。……ありがとー」
 ロランの素直な称賛が、ちょっぴりニーナにはくすぐったい。それでも、今は素直に受け止めよう。
 愉快な仲間たちを守りながら、ひつじのしつじさんの様子を伺う。だいぶ二人でダメージは与えている。決着はもうじきつくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

北・北斗
今回のオブリビオンは…ひつじ?

まぁ、なんていうか、不思議の国な感じだ。
とはいえ、何か、気が気でないよ。
未練?よくわかんないよ!

『銀のナイフ…だけど、そうはいかないよ!』
『おいらは空だって、泳ぐように飛ぶんだ。だから、攻撃は当たらないよ!!』
という事で、後ろから足に噛み付いて、【びったんびったん】を食らわせる。
『おいらを甘く見ると、痛い目にあうってことなんだよ!!』

とにかく、硬い地面に叩きつけてダメージを与えていく。

アドリブ歓迎



(今回のオブリビオンは……ひつじ?)
 北・北斗(遠い海から来たトド・f20984)はトドの首を傾げた。
 目の前にいるのはひつじのしつじさん。羊が執事服を着て、フォークを剣のように携えて立っている。
(まぁ、なんていうか、不思議の国な感じだ)
 確かにアリスラビリンスらしいオブリビオンと言えるだろう。とは言え、北斗の胸には何か嫌な予感のような、ざらざらした感情が去来する。
(何か、気が気でないよ)
「さあ、お茶はいかがですか。あなたの未練をお茶菓子にして……傷をえぐりながら、美味しいお茶を飲みましょう」
 笑顔で迫ってくるひつじのしつじに北斗は首をふるふると振った。
(未練? よくわかんないよ!)
「おや、お茶はお好みでないのでしょうか、ならば……」
 ひつじのしつじさんは銀製のフォークを構え、北斗へと向かってきた。北斗はそれをヒレでばしんと払う。
『銀のフォーク……だけど、そうはいかないよ!』
 北斗の大きさだ、ヒレでの一撃は重く大きい。ひつじのしつじさんはよろめく。
『おいらは空だって、泳ぐように飛ぶんだ。だから、攻撃は当たらないよ!!』
「その大きな体で、ですか?」
 ひつじのしつじさんが嫌な笑顔を浮かべる。北斗は自分の言葉を証明するように、ひらりとひつじのしつじさんのフォークを回避した。
 そして、一気に跳ぶ。それはまるで、本当に空を泳ぐかのよう。
「なっ……!?」
 ひつじのしつじさんが驚く。一瞬のうちに、北斗はひつじのしつじさんの背後を取っていたのだ。背後から足に噛み付いて、ぐいと掴んで持ち上げる。そのままびたん、と地面に叩きつけた。
『おいらを甘く見ると、痛い目にあうってことなんだよ!!』
 もう一度、硬そうな地面を狙って、びたん。軽々と持ち上げられるひつじのしつじさんの体。持っていたティポットや銀のフォークも手から離れてしまっている。
「やめてください、お茶でも飲んでおちつきましょう」
『おいらはオウガのお茶なんていらない。それより、おいらを甘く見たことを悔やむといい!!』
 もう一度、びたん。なんか、羊の頭がずれたような気がする。北斗が驚いて、足を離すとひつじのしつじさんはやっぱり頭がずれていた。中身が見えかけているのに気づいて、慌ててひつじの頭を直す。
(やっぱり、なんか気持ちの悪いヤツだな)
 北斗の攻撃で、すっかりよれよれのひつじのしつじさん。この分なら倒れるのも時間の問題だろう。北斗は油断なくひつじのしつじさんに身構えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミア・ミュラー
ん、あなたはちょっと危険、ね。お茶の時間にするのは賛成だけど、あなたは招待できない、かな。

後ろに愉快な仲間のみんながいるから、しっかり守って、あげないと。近くにいるなら傘を広げて、遠くにいるならコンパスとソリッドダイヤを飛ばして、敵の攻撃を防ぐ、ね。ん、わたしが守るから、怪我しないようにみんなはじっとしてて、ね。
羊毛でもこもこになっても、【プリンセス・バースト】で羊毛を透視して、内部から爆発させちゃう、から。羊毛を爆発で吹き飛ばして、光でくらくらさせたら、アーデントクラブで、追撃。こんなに素敵なこの国を、あなたの好きになんて絶対させない、から……!



 ひつじのしつじさんの、裏に闇がありそうな笑顔を見て、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は形のいい眉を潜めた。
「ん、あなたはちょっと危険、ね。お茶の時間にするのは賛成だけど、あなたは招待できない、かな」
 オウガの気配が色濃くする。ミアは心配そうにざわざわカチコチする愉快な仲間たちを背に、ひつじのしつじさんを警戒した。
(しっかり守って、あげないと)
「そのように警戒なさらずとも。ただ、お茶をご一緒にと申し上げているだけですよ」
 にっこりと微笑むひつじのしつじさんに、ミアは首を横に振る。
 軽く振り返れば、ミアの足元にいるワイングラスや、やや遠くで怯えているコップたちが目に入った。ミアは空を飛べる丈夫な魔法の傘を開いて足元へと置いた。
「隠れてて」
 ワイングラスたちは綺麗な高い音を奏でながら、傘の陰へ。遠くのコップたちへもミアは頷く。
「そこにいて、ね」
 声をかけ、懐中時計型自律式シールド付きコンパスを放る。ただのコンパスではない。シールドにもなっているから、安心だ。遠くのコップたちはその陰へと隠れた。
「負けないで」
「でも、怪我しないで」
「応援してる」
 愉快な仲間たちが口々にミアへと言葉を投げる。
「ん。ありがとう」
 ミアが微笑んだと同時に、ひつじのしつじさんが銀のフォークを振りかざした。ミアが避けると、ワイングラスたちの傘に当たる。中のワイングラスたちはカタカタ震えながらも無事だ。ミアはほっと息をつく。
「わたしが守るから、怪我しないようにみんなはじっとしてて、ね」
「「うん!」」
 愉快な仲間たちからの圧倒的な信頼を受け、ミアはアーデントクラブを構えた。立ち向かう勇気に応じて熱を持つ、クラブのスートを模った魔法のアイテムだ。
「仕方がありませんね」
 ひつじのしつじさんは羊毛でもこもこになり、ミアへとフォークを振りかざす。ミアはアーデントクラブでフォークを押さえ、藍色の瞳を大きく見開いた。
 羊毛でもこもこになったひつじのしつじさんを透視する。遮蔽物を見通す、ミアの不思議な力。その力は見通すだけではない。
「どかーん」
 きらめく七色の光を伴って爆発を引き起こす。羊毛の内部からの爆発と七色の光の眩しさにひつじのしつじさんはくらくらと、めまいを起こしたようにふらつく。そこへ、ミアはアーデントクラブを振りかざした。追撃。ひつじのしつじさんはミアの一撃で倒れる。
(こんなに素敵なこの国を、あなたの好きになんて絶対させない、から……!)
 だから、何度相手が立ち上がろうが、ミアは負けない。
 ミアはアーデントクラブを構え、再度攻撃を放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月読・美琴
柘榴師匠と

「お茶を用意してくださるなんて、親切な羊さんですね」

遠慮なくお茶をいただきましょう。

……なんか、師匠が止める声が聞こえたような気がしますが、気のせいですよね。

「って、ここは?」

気がつけば、そこは実家の月読神社。
目の前には、いつもと違って凄く真面目な柘榴師匠。

「師匠がふざけないで教えてくれるなんて、まるで夢のようです!」

喜んで師匠の指導を受けますが……
そこに現れたのは、もうひとりの師匠!?

「そんなっ、師匠が二人っ!?」

新しく現れた師匠は私の全身をくすぐってきて……

「こ、この絶妙なくすぐり方は……師匠!?」

正気に戻って【加護の勾玉】の力を開放して理想の世界から脱出するのでした。


弓削・柘榴
美琴と

なに茶じゃと?
こんな黒い気に満ちた茶、久しく見てなかったぞ。
罠にしてももう少し……って、美琴!?

まったく世話の焼ける……ま、そこが可愛いところじゃが、
あれはあちきのものじゃ、返してもらわねばな。

それにしても理想の世界のぅ……。
そんなもの誰かから与えてもらうものではないのじゃがな。

とりあえず吸いこまれたティーポットの中に入って、美琴を探すぞ。

む。なんじゃあれは?
こんなところでも修行とは真面目なやつじゃ。

とはいえ偽物と修行というのは面白くないな。
「やれやれ、仕方ないのう」

修行に勤しむ美琴の前にでていき、
驚いている美琴に抱きつきくすぐってやろう。
「ほれほれ、これで本物が解ったじゃろう?」



 月読・美琴(月読神社の退魔巫女・f28134)は、ひつじのしつじさんの言葉にほわりと笑顔を浮かべた。
「お茶を用意してくださるなんて、親切な羊さんですね」
「なに茶じゃと?」
 美琴の師匠、弓削・柘榴(月読さんちの猫又さん・f28110)はすぐに警戒し、表情を引き締める。
(こんな黒い気に満ちた茶、久しく見てなかったぞ)
 この羊がオウガ――鬼であることには間違いがない。柘榴はやれやれとため息をついた。
「罠にしてももう少し……って」
「遠慮なくお茶をいただきましょう。泳いできたので、少々疲れていたのです」
「ええ、どうぞ。さあ、こちらのティポットに触れて」
「この急須に触れればよいのですね」
 和やかにひつじのしつじさんのお茶をいただいている美琴に、さすがに柘榴は慌てる。
「美琴!?」
 お茶を一口。そしてティポットに触れた美琴は、みるみるうちにティポットの中に吸い込まれていった。
(まったく世話の焼ける……ま、そこが可愛いところじゃが)
 柘榴はきっとひつじのしつじさんをにらみつけた。
「あれはあちきのものじゃ、返してもらわねばな」
「取り返せるものでしたら、どうぞ。彼女は自分の理想の世界にいます。戻ってきたいと思うでしょうかねえ」
 余裕の笑みで言うひつじのしつじさんに柘榴はやれやれと首を振った。
「それにしても理想の世界のぅ……。そんなもの、誰かから与えてもらうものではないのじゃがな」
 柘榴は自らティポットに触れる。途端にティポットに吸い込まれていった。

(……なんか、師匠が止める声が聞こえたような気がしますが、気のせいですよね)
 美琴は思い出すも、すぐに周りの景色に身構えた。
「って、ここは?」
 気がつけば、そこは美琴の実家の月読神社。その社屋の縁側に柘榴と美琴はならんで腰掛けていた。
 美琴の目の前の柘榴師匠は、いつもとは違いとても真面目な表情だ。
「よいか、美琴。月読神社の巫女としてあるためには心を清らかに保たねばならぬ」
(師匠がふざけないで教えてくれるなんて、まるで夢のようです!)
 美琴は笑顔で柘榴の言葉に頷いた。
「はい、師匠!」
「そのためには常に心を平静に保たねばならぬ。心揺れることがあれば、瞑想をせよ」
「はい、師匠」
「ならば、今日は瞑想の練習じゃ。息を緩やかに吸い、吐く。心を無にせよ。すべてのことを忘れるのじゃ」
 美琴は素直に目を閉じ、瞑想を始めた。ただ、何かが引っかかる。
(何か、大事なことを忘れている気がします……。それも、月読神社の巫女として果たさねばならない、大事なことを……)
 どうしても心は無にならない。美琴は仕方なく目を開ける。そこに現れたのは、もうひとりの師匠……!?
「そんなっ、師匠が二人っ!?」
 そこには柘榴が二人、美琴を見守っていたのだった。

(む。なんじゃあれは?)
 美琴の『理想の世界』へと入った柘榴は、美琴が真剣な表情で修行をしているのを目に止めた。
(こんなところでも修行とは真面目なやつじゃ)
 とは言え、美琴の修行相手は『理想の』柘榴である。柘榴にしては甚だ面白くない。
「やれやれ、仕方ないのう」
 瞑想をしている美琴の前へ行くと、美琴はぱちりと目を開けた。二人の柘榴に驚いた顔を作る。
「そんなっ、師匠が二人っ!?」
「ほれ」
 柘榴は美琴の背後に回ると抱きつき、先程の湖底と同様にくすぐりはじめる。
「わっ、師匠、やめてください……っ!?」
 美琴の前には無表情の柘榴と、背後からくすぐる柘榴。これなら美琴でもすぐにわかる。
「こ、この絶妙なくすぐり方は……師匠!?」
「ほれほれ、これで本物が解ったじゃろう?」
「わ、わかりましたから、くすぐるのをやめてくださいっ!?」
「罰じゃ。しばらくくすぐりの刑じゃ」
「師匠、駄目です! ここは鬼の罠なのでしょう?」
 正気に返った美琴は、ようやくその事実を理解したようだ。柘榴はもったいなさそうな表情でくすぐる手を止める。
「そうじゃ。ここは美琴の理想の世界じゃと言うておった」
「理想の世界……」
 美琴は柘榴のいる手前、少しだけ申し訳なく思う。
「わかりました。一刻も早く、鬼を退治しに戻りましょう」
 美琴は胸元の勾玉を握りしめた。
「八尺瓊勾玉よ、邪な力から我が身を守り給え」
 ひつじのしつじさんの攻撃を勾玉が吸収する。吸収すれば、すぐに、二人は外へと出ることができた。
 驚いた顔のひつじのしつじさんに柘榴はSっ気たっぷりの笑顔を見せる。
「さあ、こちらの番じゃ。あちきの美琴を奪った礼はたっぷりするからのぅ」
 柘榴は呪符をひつじのしつじさんに投げつける。呪符は虚鬼門をひつじのしつじさんに付与し、まとわりつく悪鬼で何度も攻撃をしかけた。
(やっぱり、師匠はすごい……)
 柘榴の圧倒的な攻撃に、美琴は師匠への尊敬の念を抱き直したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

初志・貫鉄
即興共闘歓迎
Pow

いや、茶菓子も要らねぇな。此処には美味いソーダ水がある。少なくとも、お前さんが淹れる茶より遥かに美味いな。

覇気を練り上げ限界突破。リミッターを解除してから、UC発動
不可視の攻撃を、あえて初撃を外し接近戦に持ち込む。
覇気の残像を使い、相手との間合いを調整し、視線や動きを誘導し、出来るだけ優位に立ち回ります

相手が腰のフォークを握った所でUCの不可視の手で、相手の手首をがっちり掴みフォークを振れないようにします

その後は自分の拳で殴り、混乱している間に、フォークは取り上げ遠くに投げ捨て、後はひたすら殴り倒す!



 お茶はいかがかと不気味な慇懃さで聞いてくるひつじのしつじさんに対し、初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は動じることなく返した。
「いや、茶菓子も要らねぇな。此処には美味いソーダ水がある。少なくとも、お前さんが淹れる茶より遙かに美味しいな」
 明確な拒絶にひつじのしつじさんは眉を潜めた。
「私のお茶のほうが美味しいと思いますがね。ですが、わかりました。仕方がありません」
 銀のフォークを抜き放ち、貫鉄へと向けるひつじのしつじさん。
 貫鉄としても望むところだ。愉快な仲間たちの無事を確認してから、ぐっと両手を握りしめる。
「頑張れー」
「負けるなー」
 仲良くなったコップやグラスたちがカチカチと音を立てる。その応援に勇気をもらいながら、貫鉄は覇気を練り上げていき、己の限界を突破する。
「おおおおぉぉぉぉぉ……!」
 リミッター解除。同時に、未だ見えぬ拳型の明王尊への憧憬をひつじのしつじに向けて放った。
「このような攻撃、たやすく避けられますよ」
 だが、その不可視の攻撃はひつじのしつじさんには当たらない。ひつじのしつじさんは余裕の笑みを浮かべるが、貫鉄にとってはそれこそが作戦。相手が避けている一瞬の間に、距離を一気に詰めた。接近戦に持ち込むための罠だったのだ。
 ひつじのしつじさんがたじろぐ。貫鉄は覇気の残像を使い、フォークの攻撃が届かない絶妙の立ち位置と間合いを調整する。
「忌々しい攻撃ですね……!」
 ひつじのしつじさんから黒い呟きが漏れた。貫鉄はにやりと笑う。
「承知の上さ。さあ、当ててみろよ」
 フォークが振り下ろされる。それもまた残像。ひつじのしつじさんが悔しそうに歯ぎしりをしたところで、貫鉄は不可視の手を使った。
 不可視の手はひつじのしつじさんの手首をがっちりと掴み、フォークを振れないようにする。
「こ、これは……!?」
 困惑するひつじのしつじさん。貫鉄はにやりと笑った。
「こっちの勝ちっていう意味だ!」
 鍛え上げた己の拳でひつじのしつじさんを殴り飛ばす。ひつじのしつじさんは吹っ飛び、ティカップが遠くへと転がった。まだフォークは握ったままだ。
 不可視の手の力を強めると、ひつじのしつじさんは痛そうに手を離す。貫鉄はフォークを取り上げ、遠くへと投げ捨てる。
 あとは馬乗りになって殴っていれば、いつの間にかオウガは動かなくなった。
 他の猟兵たちの攻撃も効いていたのだろう。だが、トドメを刺したのは貫鉄だ。
 貫鉄が立ち上がると、隠れていた愉快な仲間たちが嬉しそうに飛び出してきた。
「ありがとう」
「ありがとー!」
 感謝の声が響き渡る。


 こうしてソーダ水の湖とその周囲に住む硝子の愉快な仲間たちの暮らしは守られたのでした。
 愉快な仲間たちは泳ぎを教えてもらったことで、毎日、ちゃぷちゃぷソーダ水の湖で泳いでいるのだそうです。
 めでたし、めでたし。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月24日


挿絵イラスト