これは愛ではなかったから(作者 北辰
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●注いで膨らみ、浮かんで朽ちる
 昔から私は『上手くやる』事ができなかった。
 素敵な人の手を引いて、私の住み家に招くまでは良いのだ。
 けれども、みぃんな。
 みんな、苦し気に暴れ出したかと思うと、何も語ってくれなくなる。
 私がどれだけ言の葉をかけようとも、手を取りしなだれかかっても。
 ふわふわ、ぶよぶよ。
 変わり果てた姿で、誰もがだんまり。

 私は生来頭が良いという訳でもなかったけれど、何度も失敗をすれば流石に学ぶ。
 私はきっと、やり方を間違えていた。

 だから、手本を見せてほしいのだ。

●嗚呼、素晴らしき愛の世界
「皆様、お集りいただきありがとうございます。世界コードネーム:カクリヨファンタズムにて、オブリビオンの出現が確認されました」
 袴姿のグリモア猟兵が、自分の呼びかけに応じてグリモアベースに集った猟兵達へ語りだす。

「はい、もうご存じの方も多くいらっしゃるかと思いますが、かの世界では色んなものが無くなったり異常発生したりと、頻繁に滅亡の危機に瀕しております」
 さながら日刊カタストロフ。
 グリモアベースにとっては見つかったばかりの新世界であれど、日々起こる様々な危機に対して多くの猟兵がこの世界での活動を始めている。
「さて、今回は後者。とあるものが過剰に世界に現れた結果、カクリヨファンタズム崩壊の危機なのですが……」
 ここでグリモア猟兵、ちょっと言いよどむ。
 それほどまでに恐ろしいものが現れたのだろうか?
 猟兵に予知を届ける身として、相応に荒事に慣れているはずの彼女でも目を逸らしたくなるような何か。
 そのようなものがあの幽世を襲っているのかと、猟兵の誰かが唾をのむ。
 そして、彼女はやがて観念したかのように口を開くと。
「現在、あの世界は『愛』に溢れています。ええ、らぶで世界が滅びそうになっているのです……」
 遠い目で、詳細を語り始めた。

 最初に現れたのは、風船のようにふよふよ宙を漂う赤いハートだった。
 それは妖怪たちを襲うでもなく、ただゆらりと漂って……突然はじけた。
 そして、それから間もなく、カクリヨファンタズムの妖怪たちは愛に目覚め、幽世は愛に包まれたのであった。
 めでたしめでたし。
「はい、ハートはオブリビオン……骸魂がばら撒いたものですので、当然そうはなりませんでした」
 自己愛に目覚め、鏡の前から動かなくなった奴はまだいい、周りに危害を及ぼさないから。
 夫婦愛に目覚めたは良いものの、お互いの事しか目に入らず、二人の世界を作るために周りの妖怪を攻撃し始めたはた迷惑なカップル。
 友愛の名のもとに何故か仲間を鍛え始めて、倒れた仲間を引きずってでもランニングをする奴だとか、愛を囁くのに熱心すぎて餓死寸前の奴。
「愛は満ち溢れちゃった後なので、元凶である骸魂を倒す必要があるのですが……それ以前にまあ大混乱でして」
 オブリビオンを追う前に、周囲の混乱を治めねば犠牲者が出かねない状況だ。
 とはいえ、愛に狂った人々に対していちいち親身に相談にでも乗っていたら、日が暮れても終わることは無いだろう。
 どこか気の抜ける事態ながらも厄介ではある。そう、猟兵たちが悩まし気な表情を浮かべたその時だ。
「いえ、解決の糸口は見えているのです。どんな愛に目覚めた妖怪も、皆一様に口にする疑問がありまして──」

「『真に愛と呼ぶべきものとは何か』」

「奇妙なことに、愛に狂った妖怪たちは、どこかで自らの愛が間違いであると信じているのです……あるいはもっと根源的な、この事態を招いた者がそうなのかもしれませんが」
 それは、今この場で考えても分からぬことだろう。
 首を振ったグリモア猟兵が改めて語るには、妖怪たちが欲する疑問への解を答えてやれば、彼らは大人しくなるらしい。
「少々気恥ずかしいという方もいらっしゃるかもしれませんが、混乱をそのままにしては、オブリビオンとの戦いの最中に迷い込んでしまう妖怪もいるかもしれません」
 どうか、よろしくお願いしますね。
 そう言葉を締めくくった彼女の手に浮かぶグリモアの光が、異なる世界への道を繋ぐ。
 猟兵たちが、次々にその光の中へと入っていき。

 ちゃぷんと、静かな水音が遠くから聞こえた気がした。


北辰
 オープニングの閲覧ありがとうございます。
 貴方が当たり前に知っていることも、手にしているものも。
 誰かにとっては手を伸ばしても届かないものかもしれません。北辰です。

 そういうわけでカクリヨファンタズムで愛を語るのです。
 オープニングでは色々な困った愛がありましたが、基本的に質問は変わらないのでフレーバーです。
 でもフレーバーって大事にしたいよね。『こういう奴に愛を語るんだ』というプレイングがございましたら極力ご期待には添いたいと思います。

●1章
 愛に満ち溢れすぎて大混乱なカクリヨでの冒険です。
 別に放っておいてもオブリビオンの下には行けはするのですが、そうすると被害が拡大するので治めてあげてください。
 問いはオープニングの通り、『真に愛と呼ぶべきものとは何か』。
 猟兵様の考える、『これを愛と呼ぶ』というものを語っていただきます。
 妖怪たちは絶対の正解を求めているわけではないので、真摯にご自分の考えをお伝えくだされば基本的には納得します。

 気を付けていただきたい事としましては、妖怪たち(の愛に狂ってる部分以外)は現代的な価値観に殉ずるものとします。
 いわゆる殺し愛的なお話も決してダメではありませんが、妖怪たちに納得してもらう難易度は若干上がるものとお考え下さい。
 そして、性愛のお話。
 こちらも愛の一側面ではありますが、あんまり過激なものは大幅なマスタリング対象となりますのでご注意ください。

●2章、3章
 妖怪たちの混乱が治まりましたら、騒ぎの元凶たるオブリビオンの下へ向かいます。
 彼らの根城、いわば要塞とでも呼ぶべき場所へ攻め入る形ですので、そういった点を意識していただくとプレイングボーナスをつけやすくなるかと思います。
 案の定と言いますか、彼らも愛に執着しておりますので、その辺りに上手く触れることができれば、戦意や士気という面で有利になるかもしれません。
 また、この世界のオブリビオンは骸魂、無辜の妖怪を取り込んだ形を取っております。
 できれば、彼らの事も考えてあげて下さると、より良い結末を迎えられるのではないでしょうか。

 ここまでの閲覧、ありがとうございました。
 それでは、これが愛だと呼べるプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『欲しがり妖怪』

POW情報から連想される物の名前を次々挙げてみる
SPD本人以外の妖怪にも聞き込みを行い、情報を集める
WIZ多くの断片的な情報を繋ぎ合わせ、欲しい物の正体を推理する
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●愛は盲目
 愛に満ちた世界、と呼べば聞こえはよいのだが。
 この幽世に降り立った大多数にとって、愛情ばかりが満ち溢れたこの場所が素晴らしいものには到底思えないだろう。
 オブリビオン、骸魂の企みによって歪んだ愛情を植え付けられてしまった妖怪たちは、皆その愛だけしか目に入っていない様子だ。
 人を、そして自分を傷つけようとも愛を求めるその姿は、恐ろしくもあり、どこか哀れでもある。

 自分のみを愛する者、親しい友を、恋人を愛する者や家族を愛する者。
 あるいは、ただただ膨れ上がる愛情を向ける先を探す者。
 カクリヨファンタズムを包む愛に支配された彼らはバラバラの行動を取るけれど、そこには一つだけ共有される思いがあった。
 異世界より現れた猟兵を見つけた誰かが、ニコリと笑って問いかける。

 ──真に愛と呼ぶべきものを、教えて欲しいと。
末代之光・九十
怪我や衰弱してる妖怪をUCで治療しつつ話を聞こうね。
それで。愛…
そうだね。僕にとっては

繋がりたい結ぼれたい一つになりたい。触れて撫でて抱きしめて握って話して語って見つめて見つけて溶けて食べて混ざって。接触で愛撫で抱擁で腕力で対話で理解で説明で視覚で認識で溶解で摂取で融合で。何でも良いよどんなでも良いよただあなたと僕の間にある全てが要らなくてあなたと僕の中にある全てが欲しくて全部ほしいから何もいらなくて何もいらないから全部を頂戴?
(話す毎に横長だった瞳が『開いて』行き、最終的に真円になって)

(次の瞬間、一気に線状迄閉じる)
…なんて。身勝手で浅ましい欲望を抑制する事。かな。

相手あっての愛だよ。ね?


●秘する
 その質問を末代之光・九十(何時かまた出会う物語・f27635)が受けたのは、彼女が傷つき蹲る妖怪たちを助けて回る、その最中であった。
 傷を負った多くの妖怪たちは衰弱も合わさり大人しいものであったが、中には痛みに顔をしかめながらも身体を起こし、九十に問いかける者が居たのだ。
 あるいは、倒れる者に手を差し伸べるこの神ならば、自分達を突き動かす問いの答えを知っているのではと、縋りたくなったのかもしれない。
「愛……そうだね。僕にとっては──」
 投げかけられたその言葉。
 それに対して、九十は柔らかな笑みを浮かべて……。

「繋がりたい、結ぼれたい、一つになりたい」
 初めに口にするのは、多くの者が持つであろうものと同じもの。
 けれども、それとは一線を画す熱を孕んだような言葉は、淀みなく続けられていく。
「触れて撫でて抱きしめて握って話して語って見つめて見つけて溶けて食べて混ざって」
 満足に動けぬはずの妖怪が、それでも身を捩り後ずさる。
 骸魂の狂気に染められたこの地の住民とは違う、彼女の深いところに根付いた異様さ。
「接触で愛撫で抱擁で腕力で対話で理解で説明で視覚で認識で溶解で摂取で融合で」
 彼女はただ、言葉を並べているだけだ。愛に狂った妖怪たちもやっていたような事でしかない。
 ならば、何故これほどに彼女が恐ろしいのだろう?
 かはづのそれを思わせていた彼女の瞳は、ああも円いものだったか?
「何でも良いよどんなでも良いよ」
 恋焦がれるようにあらゆる結合を語る彼女は誰だ。
「ただあなたと僕の間にある全てが要らなくてあなたと僕の中にある全てが欲しくて」
 童女のように収集を愛する彼女は誰だ。
「全部ほしいから何もいらなくて何もいらないから全部を頂戴?」
 彼女、たちは。

「……なんて」
 答えを求めた筈の妖怪が今にも逃げ出しそうなまでに怯えているのを見て。
 元の線状の瞳を細める九十が、やはり穏やかに笑う。
「身勝手で浅ましい欲望を抑制する事。かな」
 相手あっての愛だよ、と。
 納得してくれただろうかと首を傾ける彼女に、先の情念の香りはまるで残っておらず。
 愛に狂っていたはずの妖怪は、ただただ首を縦に振るばかりであった。
成功 🔵🔵🔴

ヤムゥ・キィム
初めての任務、リリリ(f01018)と参加するゾ!アドリブ大歓迎!
ヤムゥは難しいコトよくわかんないケド誰かが誰かを愛しすぎテ困るコトもあるんダナ。愛っテ難しいナ〜
ヤムゥは家族いっぱいいるケド、家族と友達と好きな人への愛ってちょっとずつ違うような気がすル!
リリリはどう思ウ?
ヤムゥはリリリと美味しい物いっぱい食べたイって思ウ!これも愛カ?

あっでもヤムゥ、恋なラわかル!村を救ってくれたあの人のことが大好キ…ハッ、運命のあの人がもしかするトここにいるカモッ!キャ〜ッ(無意識にユーベルコード発動)
こうなったラ聞き込みダ!ねえねえヤムゥの運命の人見かけター?!もし会えたら何をすれば喜んでもらえると思ウ!?


リリィ・カスタード
ヤムちゃん(f01105)と一緒に行動
お任せ/変更可/アドリブ・絡み歓迎

愛?愛に満ち溢れてるの?それってチョ~~素敵じゃん!?
『真実の愛とは何か』を教えるなんて、おとぎ話みたーい♪

りりィちゃんは愛のこといっぱい知ってるよ~愛の伝道師って呼んで!
ヤムちゃんのことも愛してるし、いっぱいいるお友達み~んなのこと愛してるのっ。
あ!もちろん今日会った妖怪さんたちもみんな、もうあたしのお友達だよ♪
だから迷惑かけちゃだめって、りりィちゃんのお願い聞いてくれるよね?

ヤムちゃんの運命の人が見つかったら、あたしもお友達になってもらうんだ~!
だってヤムちゃんが好きな相手なら、きっとサイコーの人だもんね?


●信じる
 ヤムゥ・キィム(猪突猛進恋狂い・f01105)に難しいことは分からない。
 隠れ里の族長の娘として生まれた彼女は、有り体に言って世間知らずのお嬢さんである。
 里がオブリビオンに襲われなければ、それを救ってくれた『あの人』がいなければ、ただ小さな里で物作りをしているだけの女性であったやも知れぬ。
 しかしヤムゥは猟兵になる事を選んだのだ。
 これが彼女の初任務であろうとも、オブリビオンはそんなの忖度してくれない。
 猟兵として此処に立つヤムゥには、この混乱を鎮める責務があるのだから。
「誰かが誰かを愛しすぎテ困るコトもあるんダナ。愛っテ難しいナ〜」
 ヤムゥは愛について考える。そりゃあもうめっちゃ考える。
 そこそこ癖のあるこの案件を初任務に選んだチャレンジャブルな女、ヤムゥ・キィム。
 彼女の猟兵としての戦いは、ここから始まるのだ。
「うーん、ヤムゥは家族いっぱいいるケド……家族と友達と好きな人への愛ってちょっとずつ違うような気がすル!」
 妖怪からの問い、真の愛とは何か。
 大家族に生まれた彼女だ、愛情の一つや二つ知らないわけもない。
 しかし、それらのどれか一つを真の愛情として語ることが正しいのか? 彼女は良い子であったのでそうは思えなかった。
 加えて語るなら、ヤムゥは良い子だったので、こういった場合にどうするかもすぐにわかる。
 人に聞こう。

「リリリはどう思ウ?」
「よくぞ聞いてくれました! りりィちゃんは愛のこといっぱい知ってるよ~愛の伝道師って呼んで!」
 ヤムゥと共にこの地を訪れたもう一人の女性猟兵。
 愛の伝道師ことリリリことりりィちゃんことリリィ・カスタード(だんぴーる🦇・f01018)は、友人からの問いかけに笑顔で答える。
 実は、グリモアベースで予知の説明を受けた時からリリィは上機嫌。
 愛に満ちた世界で、おとぎ話のように真実の愛を示す。
 なんて素敵なシチュエーション、テンションも上がる一方である。
 愛情だとか友情だとか、そういう一切合切はリリィの得意分野だ。
「ヤムちゃんのことも愛してるし、いっぱいいるお友達み~んなのこと愛してるのっ」
 高らかにリリィが語るのは、彼女が抱える沢山の愛。
 ダンピールから放たれる圧倒的な陽の者オーラはオブリビオンによって狂わされた妖怪たちを圧倒し、反論や疑問の一切を許さない。
「そうなのカ! ヤムゥはリリリと美味しい物いっぱい食べたイって思ウ! これも愛カ?」
「もっちろん! あ! もちろん今日会った妖怪さんたちもみんな、もうあたしのお友達だよ♪」
 ニコニコと笑顔を崩さないリリィがヤムゥに頷きながら、妖怪たちへとウインクを一つ。
 オブリビオンに洗脳され、半ば暴徒化した相手だろうともリリィの愛は変わることは無いのだ。これもまた、一つの真実の愛と言って……。
「──だから迷惑かけちゃだめって、りりィちゃんのお願い聞いてくれるよね?」
 ちょっと場の雰囲気が変わりましたね。

「大丈夫、お話を聞いてくれるってりりィちゃん信じてるよ、だって友達だもん!」
 リリィの笑顔は変わらない。その可愛らしい顔から何か圧力を感じるとしたら当人の気のせいだ。
 ちょっと怖い感じのユーベルコードも今回は使ってないから。リリィは友達を信じてるだけだから。
 何故か怯えだした妖怪がヤムゥへと縋るような視線を向ける。何から助けろというのだろうか、まるで分らない。
「愛って難しイ……あっでもヤムゥ、恋なラわかル! 村を救ってくれたあの人のことが大好キ……ハッ」
 しかしヤムゥさん、妖怪さんをそっちのけで考え込んでおられます。
 そして、おもむろに顔を上げたと思えば。
「運命のあの人がもしかするトここにいるカモッ! キャ〜ッ!」
 『背が高くて強い』以外のてがかり無いんじゃないの?
 そう言ってくれる人は此処にはいない。いないのでヤムゥも止まらない。
「なら、探しに行かなきゃ! ヤムちゃんの運命の人が見つかったら、あたしもお友達になってもらうんだ~!」
「うん、聞き込みダ! 何をしたら喜んでもらえるかも、色々聞かなくっチャ!」
 そしてリリィは止めるどころか油を注ぐ。
 かくして居るかどうかも分からないヤムゥの想い人を探すべく、女猟兵二人は駆け出していく。
 残されるのは妖怪たち、無言で顔を見合わせる彼ら。
 とりあえずリリィのお願いを守っておこうと結論が出るのには、長い時間はかからなかったという……。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

カーバンクル・スカルン
【WIZ】
「他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情を抱くこと」……ねぇ。

紙の辞書の記述は少なくとも今の状況は満たしてますな。真に「自分と最も愛してる相手や物体以外は見ていない」んだから。

でも、最初から最期まで自分1人だけで生きていける奴がどこにいるって話よ。食べ物も服も電気も色々な物が別の誰かによって作られてる。あなたがぶっ飛ばしたそれが実はあなたの大好物を作っているかもしれない……まあ、そんなこと思えるなら狂ってねぇか。

だから私は定義する。「愛」とは「自分」だと。
自分を愛し、より良い環境に身を置くために他人に手を差し伸べる。

打算的? ……ハッ。しない善よりする偽善、よ


●繋げる
「『他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情を抱くこと』……ねぇ」
 開いた書物はかく語るけれど。
 狂った妖怪に問いを投げかけられ、それに目を落とした女──カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)の浮かべる表情は、読み上げた記述を信じた者のそれではなかった。
 骸魂のはかりごとにより愛の狂気に身を落とした妖怪たちは、まさしく愛したものしか目に入っていない。
 本が語る通りであるならば、彼らは自身が求める真の愛とやらを既に手にしているのだろう。
 だが、彼らは自分たちを肯定する言葉では納得しないという話であるし……なによりも、カーバンクル自身がそうは考えられなかった。

「──最初から最期まで自分1人だけで生きていける奴がどこにいるって話よ」
 カーバンクルは知っている。
 この世界は、誰も見ず、何も受け入れずに生きていけるほど都合の良い場所ではないのだと。
 誰かの為した何かが、誰かを助ける一因となる。
 生きている以上、自分たちはどうしようもなく影響し合って生きているのだ。
 愛情の名の下に他をないがしろにすれば、それは巡り巡って愛した何かを損なう結果を招くかもしれない。
 ましてや、カクリヨファンタズムの住民は感情を食べて生きる妖怪……他者の存在無くしては食糧の調達すら不可能である。
 他とは、彼らにとって必要不可欠のものであるなど、彼らは重々承知の筈であるが。
「……まあ、そんなこと思えるなら狂ってねぇか」
 理解の及んでいない様子の妖怪の顔を見て、カーバンクルは静かに首を振る。
 骸魂のもたらした狂気はそれほどまでに深刻なのだろうか。
 それならばと、彼女は自身の出した結論へと話題を移す。

「だから私は定義する。『愛』とは『自分』だと……自分を愛し、より良い環境に身を置くために他人に手を差し伸べる」
 そうして世界が回っていく。
 その自愛の連鎖が愛なのだと語るカーバンクルへ、戸惑う様子の妖怪が言葉を投げかける。
 あまりに利己的、あまりに打算的なそれを愛と呼んでいいのかと。
 けれど彼女は、その疑問を笑い飛ばして。
「よく言うでしょ? しない善よりする偽善、よ」
成功 🔵🔵🔴

ステラ・エヴァンズ
真に愛と呼ぶべきものですか…これはまた難しい…
UCで負傷者達を癒やしながらお話しましょう

まずこの狂愛のそれら全て…別に間違いではないと思います
愛は愛ですもの…でも強いて言うなら過剰に過ぎる、かと
私の敬愛する方は『愛とは、大きな愛情をもって小さな事をする事』だと仰いました
同時に『誰かに微笑みかけること、それは愛の表現であり、その人への素晴らしい贈り物となる』のだとも
見返りを求めたり、誰かを犠牲にするのではなく、ただ単に心から愛を込めて微笑みかける…それで良いのだと思います
そこに愛さえあるのなら

さて、貴方の怪我も治りましたでしょうか?どうぞお大事に
と疲労を表に出す事なく手を取って微笑みかけましょう


●微笑む
「真に愛と呼ぶべきものですか……これはまた難しい……」
 全身に宿る、清浄な青白い光。倒れた者たちにかざす手から溢れ出すのは神聖なる星の光。
 混乱の最中、傷つき倒れた妖怪たちの手当てをしながら、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)は投げかけられた問いを考える。
 金の瞳をやんわり細め、彼女はグリモアベースで聞いた予知の話を思い出す。
 グリモアが語ることには、妖怪たちは自分達に宿った狂愛が、間違いであるとどこかで信じているという事であったが……。

「この狂愛のそれら全て……別に間違いではないと思います」
 まず第一に伝えるべきだと思ったのは、この言葉だった。
 愛は、愛なのだ。
 過剰すぎる愛情が結果として誰かを傷つけ、不本意な事態を招くことがあったとしても、その愛そのものが偽りであるだとか、間違いであるというのは、また別の話。
 ステラは、それを否定しない。
 ただ、抱いた愛情を反映する行動。それが、この世界の住民は大きすぎただけなのだ。
「──私の敬愛する方は『愛とは、大きな愛情をもって小さな事をする事』だと仰いました」
 抱えきれぬほどの愛を抱いたとして、だから大きな行動を持ってそれを表現しなければならないなんてことは無い。
 見返りが必要だとか、何かの犠牲を払うだとか。
 そんな重々しく苦しい考えではなくて、もっとささやかで小さな行いでよいのだと、ステラは妖怪たちへ示していく。
「『誰かに微笑みかけること、それは愛の表現であり、その人への素晴らしい贈り物となる』……これも、その人の受け売りですが……それで良いのだと思います」
 そこに愛さえあるのなら。
 そう言葉を結んだステラが星光を収めれば、妖怪たちの傷ついた身体は十分に癒された後であった。

 どうぞお大事に、とステラが送り出す妖怪たちは憑き物が落ちたように笑い、彼女に手を振り去っていく。
 それを見送るステラの身に現れるのは、決して軽くはない疲労感。
 ユーベルコードの副作用であるそれは、猟兵であるステラの身にとっても大きな負担となるものだ。
 けれども彼女は、すぐにでも座り込み、休みたい気持ちに蓋をして。
 最後に去っていく幼い妖怪の手を取り、微笑んで送り出すのであった。
成功 🔵🔵🔴


第2章 集団戦 『輪入道』

POW ●燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD ●紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●渇愛の巣
 真に愛と呼ぶべきものとは。
 妖怪たちからの問いかけに答え、混乱を鎮めた猟兵達は骸魂の下へと急ぐ。
 あくまで、この平穏は一時的なものだ。
 妖怪たちを狂わせた張本人へ対処をしなくては、いずれまたあの混乱と被害は起こってしまう。
 正気の色濃い妖怪の証言により、猟兵達は骸魂が根城にしているという箇所──とある河辺へと進み入る。
 そこに待ち受けていたのは、木々の間、岩同士を結ぶように架けられた蜘蛛糸の橋。
 粘着性に富んだその糸から漂うのは尋常ならざる邪気。
 猟兵と言えども、無策で触れれば蝶々のごとく絡めとられてしまうかもしれない……そのような不穏な罠だ。
 そして。

「何処だ……愛情は、まことの愛は……」
「渇く、渇くゥゥ……!」
 人魂のような灯を放つ無数の影。
 宙を漂い現れるのは、微弱な力しか持たぬ妖怪に憑りついた骸魂、輪入道。
 怨嗟をまき散らすように、苦悩を訴えるように呻く彼らは、蜘蛛糸の間を器用に縫いながら浮遊し。
「教えろ……教えろ……!」
「さもなくば──去れェェ!」
 猟兵達を見とがめたその直後。
 炎に浮かぶその顔に激情を浮かべ、猟兵達へと襲いかかるのであった。
リリィ・カスタード
引き続きヤムちゃん(f01105)と出撃!
お任せ/変更可/アドリブ・絡み歓迎

りりィちゃんの翼にはこの蜘蛛の糸は相性悪悪だよ〜。ユーベルコードで羽根を飛ばして糸を切れるかやってみよ!
道が空いたら突撃だー!ヤムちゃん!!
輪入道のおにーさんけっこーイケてるじゃん?そのセンス嫌いじゃないなっ。
でもメンヘラっぽいのはNG〜!あたしが本当の愛って何か教えてあげよっか?
そのためにまずはお友達にならないと、ね〜♪


ヤムゥ・キィム
うふふ運命のあのヒトのコト考えてたらいっぱい勇気が湧いて来たゾッ(前回のユーベルコードの効果である)
ウギャッねばねばヤダー!木を引っこ抜いてブンブン絡めとったらキレイになるカナ!エーイ!
うおっとリリリの羽!コラー!気をつけロー!

よーし突撃ダ!
アチ!わァァおっきイ顔!カッコイ〜イ!でも、なんだカ苦しソー…どぅわわこっちキタ!!落ち着いてってバー!(持っていた木を輪入道の車輪にぶん投げて突っ込む!)
顔クン落ち着いテ、お喋リ!ネ!メンヘラは、ダメ!
怒ってないデお友達になろウ!そこカラ愛が始まるのダ!
リリリとヤムゥと顔クンとで恋バナしよーゼ!

…ところでリリリ、メンヘラってナニ??


●誰の地獄か
 此処で輪入道というオブリビオンについて語る。
 古くUDCアースでは生者の魂を抜き去ってしまうと信じられた妖怪であり、彼らを遠ざけるための札を貼る民家も見受けられたほど畏れられた存在である。
 そして何より見た目が凄い。
 燃え盛る車輪に人の生首がドッキングされてるのだ。そりゃもうインパクトがあるのだ。
 そんなものが、ベトベトと嫌ーな感じで粘着する蜘蛛糸塗れの林、川辺でわらわら飛び回っているのを想像してみて欲しい。
 地獄絵図である。
 そう、輪入道とは能力とルックスを兼ね備えた恐ろしい妖怪なのであって……。
「輪入道のおにーさんけっこーイケてるじゃん? そのセンス嫌いじゃないなっ」
 こんな事を言えるリリィは、胆力と寛容さを兼ね備えた女性であるのだ!!

 そんなこんなでテンションが若干上向いたリリィではあるが、それはそうと状況は良くない。
 なにせ蜘蛛糸だ、ねばねばだ。
 翼の分、常人よりも横幅のある通路の方が嬉しいリリィにとっては相性最悪、どうにかしてこの粘つくあん畜生を排除しなくてはならない。
 だがしかしリリィは焦らない。世の中にはギブアンドテイク、持つべきものは友人なんて言葉がある。
「エーイ! ねばねばなんてこの木で絡めとってやるゾー!!」
「さっすがヤムちゃん! あたしも手伝うよー!」
「うおっと!? コラー! 気をつけロー!」
「ごめーん!」
 そう、リリィには恋のパワーで凄いことになっているヤムゥ(E:その辺で引っこ抜いた木)という友が居る!
 リリィの飛ばす羽根で蜘蛛糸ごと斬られそうになったりしつつ、巨木を振り回し進むヤムゥ。
 その葉は蜘蛛糸を絡めとり除去し、その枝は速度に任せて木々を斬り倒し、幹が当たった岩は無残にも粉砕される。
「う、おおおお……!?」
「愛……愛……?」
 その破壊力に、正気なんてものも見いだせなかった輪入道すらたじろぐ。
 前章では特に触れる意味も無かったがヤムゥの種族はドワーフ。身長は105.8cm。
 これは人間で例えるならば、5歳女児の平均身長に匹敵する。
 そんなサイズ感の相手が巨木を振り回しながらすべてを粉砕し迫りくるのだ!
 普通に怖いと思う。

「あれ、メンヘラっぽいのがちょっとNGかな~と思ってたんだけど……落ち着いてきてる?」
 なんで? と疑問符を浮かべるリリィが輪入道の異変に気付くが、その理由にはいきつかない。
 だってヤムちゃんはお友達。お友達を怖がる趣味はりりィちゃんにはありません。
 でもなんかヤムちゃんを見ている気もする。
「──よし、このまま突撃よヤムちゃん! お友達になってもらって、本当の愛を教えてあげるためにもメンヘラは卒業してもらわなきゃ!」
「わかッタ! メンヘラは、ダメ! お友達になって、そこカラ愛が始まるのダ!」
 ので、煽ることにした。
 どちらにせよ、彼らをお友達にするのであれば、リリィが動きやすい場づくりは必要だ。
 べたべた蜘蛛糸の除去、なんか好みではないメンヘラの解消。
 どちらもヤムゥが木を振り回して達成されるのであれば、思う存分振り回していただく他ない。
 ヤムゥとしても、友達であるリリリが喜ぶのであればそれは嬉しいし、顔クンがこのまま落ち着いてくれれば恋バナもできようもの。
 木を振り回す腕にも力が込もりまくる。

 かくして、輪入道にとっての地獄絵図が此処に誕生した。
 木を振り回す見かけ幼女とすっごい鋭利な羽を飛ばしてくる女性。
 すっかり気おされたオブリビオンは、ほうほうの体で逃げ回るしかできない。
 そんな一方的な戦いの中、ヤムゥにはある想いが生まれていくのであった。

「……メンヘラってなんだロウ?」
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ステラ・エヴァンズ
今度は何処に、ときましたか…真の愛とは求めるものに非ず与えるもの也
故に、貴方の内にあると答えましょう
後は貴方がそれに気付けるかどうかです

目立たぬよう物音を立てず忍びつつ破魔を纏わせた炎属性の衝撃波を放って糸を焼き捨て進みます
そうして奇襲の一つでもかけられたらいいのですが
速さと力を持ってこちらに突っ込んできたならば見切り第六感と見切りを併用して回避を試みます
万が一に備えて結界術にて自身の周りに結界も張っておきましょう

燃えているのならば…水でも被って頭を冷やしてください…!

高速詠唱にて水属性付与の精霊彗星を展開
取り込まれた妖怪さんは傷つけず骸魂だけに効果があるようこちらも破魔もつけておきましょうか


●利益はなく、意味を抱き
「今度は何処に、ときましたか……」
 木々の影、輪入道の叫びを聞いたステラは、その言葉を繰り返す。
 精神を支配された妖怪たちとは似て非なるその問い。
 相手は、先ほどとは違いオブリビオンそのものだ。
 猟兵ならば倒すべき相手であり、落ち着かせるためにも質問に答えなければならなかった先の場面とは、状況はまるで異なる。
 まして、ステラは輪入道達からの視界から外れることに成功しているのだ。
 まさしく、奇襲の絶好の機会。
 余計な問答で隙を生むことは、彼女にとって不利益になっても利益になることなどまるでない。
 無論、多少の無駄が生じたところで、この程度の相手に後れを取るステラではないが、それでも万一の事が起きれば、幽世の混乱は収まることなく拡大していくのだ。
 その上で。
 妖怪たちに愛を語った彼女が、ただオブリビオンを討てばよいと考える女性である筈もない。

「ぐぅ、猟、へぇいいい!」
 輪入道が木々を抜けて現れたステラに気付いたのは、既に彼女がオブリビオンを自らの術の射程圏内へと捉えた後であった。
 清浄なる破魔の力を持った彼女の炎は、物理的な法則に縛られるものではない。
 蜘蛛糸が焼き切れ蒸発する音も、熱せられ膨張する木が爆ぜる音も。
 炎という熱が生み出すはずの一切をすり抜け林を抜けたステラは、輪入道たちの索敵能力で捉えられる限界を遥かに超えていたのであった。
「この程度で、あれば……!」
 結果、殆どのオブリビオンは彼女の奇襲に迎撃の体勢を整える事すらできなかったし、かろうじて行動を起こした個体も、ユーベルコードの完全な発動に必要な回転を行う事が出来ず彼女の動きについていくだけの速さを出すことができない。

「燃えているのならば……水でも被って頭を冷やしてください……!」
 天に向けられた薙刀が指し示すのは、荒波を想起させる水の彗星を呼ぶための陣。
 理想的な動きだ。後は妖怪をオブリビオンたらしめる骸魂をこの星で押しつぶしてしまうだけ。
「──真の愛とは求めるものに非ず、与えるもの也」
 だからこそ、オブリビオン達に答えてやる機会はここしかない。
 飛び掛かる火の輪を躱しながらも、ステラは語る。
 損得などという無機質な勘定ではない。
 答えたところで見返りなど無い……だからこそ意味があるのだと、彼女は言ったばかりなのだ。
「故に、貴方の内にあると答えましょう……後は、それに気付けるかどうかです」
 言葉を結んだ彼女が薙刀を振り下ろせば、邪炎を鎮める水の星がオブリビオンを呑み込む。
 骸魂を押し流したその後に残るのは、傷ひとつなく寝息を立てる妖怪たちだけ。

「……先を急ぎましょう」
 妖怪たちに傷が無いことを素早く確認したステラが再び歩み出す。
 消滅するその刹那、輪入道が浮かべた表情。
 それまでの怨嗟ではない、懐かしむべき何かを見つけたようなあどけない眼差しを、確かに胸に焼き付けながら。
大成功 🔵🔵🔵

末代之光・九十
君達は本当の愛を知る事自体が目的じゃないんじゃないかな?
(ゆっくりと瞳を。目を閉じて行く)
だって。渇くんでしょう?
教えて貰う事で。何処にあるか知る事で。それを手に入れたい。
愛が欲しいだけじゃないの?

もしそうなら。ね。あげるよ。これは愛じゃないけれど。これの全てを飲み干して受け入れて蕩かす事が出来るのは。ねえ。愛だけなんだ。

だから。これらの全てを受け入れ切った時。君達の中には間違いなく愛がある。真実の愛があるんだ。だから。ねえ?
(左目だけを開けた時。其処にあるのは元の顔で。その右目を開けたのは瞳が顔サイズに相応する巨身で。騙し絵の如く繁茂する生命の顕現と生命の花々)
ねえ
ねえ
ねえ?
僕を愛して。ね?


●注いで、注いで
 コレではない。
 宙を漂う異形の首を見つめる印象的な四白眼を。その真中に浮かぶ瞳をゆっくりと閉じながら、九十は結論付ける。
「君達は本当の愛を知る事自体が目的じゃないんじゃないかな?」
 乾くというその言葉は、愛情に対する問答よりも、より即物的なものを求めているようにも見える。
 彼らが求めているものと、九十達が追ってきた存在が求めたであろうもののズレが意味するもの。
 妖怪たちを狂気に落とし、この幽世を狂愛の問答で埋め尽くそうとした黒幕は、彼らではない。
 だが、事態の解決に動く猟兵としてはこの地を突破しなくてはならず、その為には、明らかに自分たちへと敵意を向けるこのオブリビオンを除かねばならない。
 ──それはそうと。
 黒幕とは異なる彼らの望み。
 教えて貰う事で。何処にあるか知る事で。それを手に入れたい。
 つまり、彼らはただ愛が欲しいだけではなかろうか。
 そうであるのなら。

「もしそうなら。ね。あげるよ」

 輪入道の内のとある一体は、自分たちが精神的な攻撃、幻を見せられていると結論付けた。
 そうであるならと、彼は身体の一部である炎輪の回転速度を上げ、そのような術に対する耐性を向上させようという……まったくもって無駄な行動に出た。
 それほどまでに、九十が作る光景は奇妙で現実感が無く、信じがたいものであったのだ。
 左目だけを開けた彼女のかんばせは、先ほどまでと同じ、少女のもの。
 けれども右の目を開けたのならば、有するは人の域を超えた巨体のそれ。
 眼か脳か思考か、何かが誤作動でも起こさない限り現実には現れぬような、騙し絵のごとく矛盾をはらんだ姿。
 決して一つの身体に同居しない筈の正反対の要素《いしかほのり》が招くのは、生命力に溢れながらも決定的な奇妙さを実らせた花々である。

 そこから生み出されるものは、九十がオブリビオン達へ贈るそれは。
「これは愛じゃないけれど」
 その全てを飲み干して、受け入れて蕩かす事が出来るのは愛でしかないのだから。
「これらの全てを受け入れ切った時。君達の中には間違いなく愛がある。真実の愛があるんだ。だから。ねえ?」
 ねえ、ねえ、ねえと。九十の言葉が投げかけられる。
 どん、どん、どんと。生命の凶弾が撃ち放たれる。

 やがて、ぷつりと音が止み。
「僕を愛して。ね?」
 悍ましい蜘蛛糸も、愛を求めた亡霊も。
 すべてが居なくなったその場所で、女の声が一つ響いた。
成功 🔵🔵🔴

カーバンクル・スカルン
車輪に顔は生えないけど、合体して戦う、っていうのは私と重なる部分があるねぇ。だからと言って手加減はしないけど……あんたの戦い方参考にはさせてもらおうか。

私の愛すべき作品の一つ、カタリナの車輪の更なるアップデートのために『クリスタライズ』を使って姿を消し、輪入道を高所から観察。

ふーむ、炎を纏わせるために新しい機構をつけたら耐久性的にキツイし、回り続けたら気絶って、複数体でカバーするのを前提にした動きか? ……これはちょっと流用は出来ないな。

データ収集は終わった。それじゃそろそろ参戦させてもらうよ!

車輪を投擲でぶつけて捕縛。気がついても回れなくなった所を金槌でぶん殴ってぐちゃぐちゃにしていきます!


●愛するものはこの手で造った
 くるりくるりと、輪入道の車輪が回る。
 その回転の速度が増すにつれ、オブリビオンとしての彼らの力も強大になっていく。
「回り続けたら気絶って、複数体でカバーするのを前提にした動きか? ……これはちょっと流用は出来ないな」
 その様を赤い瞳に映して分析する女が一人。
 スクラップビルダーを名乗り、自作の武具で戦うカーバンクルとしては、自身の誇る作品の一つである『カタリナの車輪』と似た形状をした彼らから得るものはないかと、樹上に陣取り観察を続けていたのであった。

 輪入道が炎を噴き出す。
 あれを自分の武器に後付けしようにも、改造による耐久の低下は無視できないものになるだろうか。
 回転速度が最高潮に達した個体が、糸が切れたように動きを止め、地へと落下する。
 常に複数で動く彼らであればそれでもいいだろうが、カーバンクルが単独で運用するにはリスクが高すぎる。
 ──結論。
「車輪と合体して戦うっていうのには親近感も湧くけど……そのまま参考に出来るものは無し、かあ」
 アイデアを突き詰めたら問題発生、など武器の自作をしていれば日常茶飯事。
 対して落胆した様子もないカーバンクルは思考を戦闘へ向けたそれへと切り替え、握り締めた車輪を掲げる。
 そこに、今初めて、『色彩』が与えられ。
 クリスタリアンとして生来持ち合わせていた隠形のユーベルコードを解除した女猟兵は、颯爽とオブリビオンへと飛び掛かった。

「そら──よっと!」
「ぐっ、ううぅ……!?」
 奇襲をかけられた形となる輪入道が反応するより先に、カーバンクルの操る車輪がその身体を拘束する。
 カーバンクルが流用を断念したもう一つの理由。
 回転という物理的な動きによって己の能力を高めていた輪入道は、その前提を強引に崩されることで、ユーベルコードの恩恵をたちどころに失ってしまっていたのだ。
 一気に動きが鈍った相手にフック付きの鎖を投げかけてしまえば、後は引き寄せて金槌でごっすん。
 川辺に蜘蛛糸が巡らせられよう関係ない。相手の強みを潰して、引き寄せるだけのこの戦いで、動き回って糸に引っかかる余地など無いのだから。

「よしもう一体! うーん、やっぱ傑作だなぁ私の愛すべき作品は!」
 輪入道の背負う回転などに、自らの車輪は負けやしない。
 獲物への信頼と共に河辺に破壊音を響かせるカーバンクルの戦いは、もう少しだけ続くのであった。
成功 🔵🔵🔴


第3章 ボス戦 『水蜘蛛川姫』

POW ●巻き捕る
レベル×1tまでの対象の【体に妖力を込めた蜘蛛糸を巻き付け、その端】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●吸い取る
【鋭い牙での噛み付き】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生命力を奪い自身の戦闘力を強化。敵は苦痛】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ ●絡め獲る
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【耐刃性の優れた糸で出来た、頑丈な蜘蛛の巣】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十三星・ミナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●愛し下手
 空舞う怪異を退け進んだ先。
 更に数を増した蜘蛛の巣で結ばれた木々のざわめきと、水音が響く川辺に『彼女』はいた。

 蜘蛛の骸魂に憑りつかれた妖怪の名は川姫。
 水辺に佇み、哀れな犠牲者に微笑みかけては精気を吸い取り殺めてしまう……残酷ではあるが、珍しくはない類の存在だった。
 けれども、オブリビオンとなってしまった彼女は分不相応な力を得て、世界の敵として歪められた思考で自問した。
 なぜ、自分は愛するという事がこれほどまでの不得手なのかと。

「ですから、皆様にも協力していただいて、上手いやり方、優れたやり方……本当の愛し方を知りたかったのですけど」
 武器を携え現れた猟兵へ、水蜘蛛川姫は困ったように笑う。
 まだまだ続けていたかったが、目の前の彼らはそれを許してはくれないらしい。
 ならば、此処から立ち去ってもらわねば。

 盲目的な愛の為、身勝手な愛の為。
 哀れな愛しか知らぬ女は、猟兵達へゆらりと向き直った。
ステラ・エヴァンズ
妖怪さんにも哀しき葛藤が…しかしそれも骸魂によって歪になってしまった
…彼女の為にもしっかり祓わせていただきます

まずは星廻にて自身を強化
結界術にて自身を結界で包み、その上で第六感と見切りを併用して糸を避けながら接近します
避けきれないものは炎属性の衝撃波で焼き払いましょうか
耐刃性があっても糸は糸、ですものね?
近づいたならば天津星に破魔を纏わせ、蜘蛛の骸魂のみを切り離すようになぎ払います

私が言ってきたただ微笑みかける愛と言うのは、川姫さんと言う妖怪さんの性質上難しいものがあるのでしょう
なれば『相手の幸せを願う事』…そう願うだけでも他に何かをしなくても十分な愛足り得る事もあると…お伝えできたらいいです


●半鬼慈愛を語る事
 水蜘蛛川姫が迫りくる。
 骸魂に憑りつかれた彼女は既にオブリビオンと化しており、猟兵が戦うにそれ以上の理由は必要ではないだろう。
 故に、ダンピールの胸に去来するその想いは、ステラ・エヴァンズの戦う理由。
 彼女にも、悲しむべき葛藤があったなら。
 その想いを、蜘蛛の魂が歪めてしまったのなら。
「……彼女の為にもしっかり祓わせていただきます」
 薙刀を構えるその腕に一切のブレはなく。
 凛とした眼差しの戦巫女は、惑う妖怪を静かに見据えた。

「私の為……? これは異なことを。私の願いを邪魔立てするのは、貴女方だというのに」
 下半身が大きな蜘蛛へと変じた川姫の背丈は大きく、特別大きな身体をしているでもないステラを見下ろしながら、酷薄な笑みを浮かべる。
 好いた相手を殺める事しかできない妖怪によくも言ったものだ。
 言葉を交わすに値しないと、蜘蛛の脚が周囲の糸を絡めとり、複雑な図柄を描いていく。
「私の為と仰るのなら、これを受け、地へと磔になってくださいな!」
 繰り出されるは蜘蛛糸の弾幕。
 まともに受けてしまえば、動きを止められたステラへ、大きな蜘蛛の身体から放たれる追撃が突き刺さるだろうことは容易に想像がつく。
「──ッ!」
 そして何より、予想以上の密度とスピード。
 元々、戦闘に長けた妖怪ではない川姫なれど、オブリビオンとして得た強大な妖力により次々へ繰り出される蜘蛛糸は、数多の戦いを経たステラであっても、すべてを見切るのは至難の業。
 結界術を展開し、隙間を探し、それでもなおステラを捕らえんと迫る蜘蛛の巣の砲撃。
 迎撃し、打ち払う必要がある。
 何が適切だろう? 純粋な力を舞いと共に撃ちだすか? 天から星の光を呼ぼうか?
 刹那の思考の後、ステラは半ば直感めいた結論を出す。
 糸は糸、焼き切ってしまおう。炎を飛ばそう、星の鳥の力を乗せて。

 それが、愛に飢えた妖怪へと示せる、鬼の血を引く彼女の答えなのだから。

「……くっ!? これは、炎……!」
 常と色彩が反転したような髪色に、紅い瞳。
 ステラが使用した自己強化のユーベルコード、【星廻(キルクイトゥス)】の理屈にそう難しいことはない。
 彼女が生まれ持った力を引き出し、修めた星の術で制御するだけのユーベルコード。
「これは……この気配、力、まさか、貴女は……!」
「……正解、とだけ答えましょう」
 だが──半人半鬼、吸血鬼の子として産声を上げた彼女がそれを用いるのであれば、川姫にとっても違う意味を持つ。

 炎を統べ、糸を越えて迫りくる女が先刻妖怪たちに語った愛の形。
 綺麗ごとだと、美しく正しい存在だからこそ語れるのだと、そうとしか思わなかった。
 だが、彼女も、最初からそうではなかったのなら。
 川姫という妖怪だから、まともな愛し方などできぬと結論付けた、それが間違いだったのなら。
「さあ、間合いです!」
「くぅ、あぁ……!」
 ステラの振るう青の刃が蜘蛛の身体を裂く。
 破魔の力を込めた薙刀は物理的な損傷を与えず、水蜘蛛川姫の力は多少損なわれた程度。
 裂かれた蜘蛛の身体は熱を帯びたように疼くが、支障はない。
「……『相手の幸せを願う事』。ただそれだけでも、十分な愛足りえる……ご納得いただけませんか?」
 傷を庇いながら、ステラの眼差しを川姫が見返す。
 そのような些細な感情が愛であるなど納得できるものか。
 もっと重く、もっと痛く、もっと手の届かないものである筈なのだ。

 その思考に、一抹の疑念が混ざり始めたのは。
 骸魂との繋がりが綻んだからか、ステラというダンピールを知ったからか。
 川姫はまだ、その理由を知る由もない。
成功 🔵🔵🔴

カーバンクル・スカルン
ハリネズミのジレンマかー、勝手に傷つけてしまうとか何とかっていう。

方法は無くはない。どうしても精気を吸うのが止められないのであれば、精気が無尽蔵な人を探してきてもらって慈しむか、精気を溜め込む物を別に用意して人から吸わないようにするとか?

こういうのって川姫固有の悩み、って訳じゃなさそうだし、他所にそこら辺詳しい人がいるんじゃないの? ……とりあえず言えるのは「同胞を頼れ」ね。

はい、私からは以上。というわけでとっとと骸魂切除しましょーねー。

相手の投じた糸にわざと捕まって狙いを定め、こっちもフックを投擲。そして拘束したら川の中にいたワニが下半身の蜘蛛な部分に飛びかかる。

私は囮、本命はそっちよ


●2対1
 ハリネズミのジレンマ、という話を聞いたことがある。
 震えるハリネズミたちは、身を寄せ合って寒さを凌ごうとするも、互いの身体の針がお互いを傷つけてしまう。
 離れれば寒い、近づけば痛い。そんな話。
 はて、この話の最後に、ハリネズミ達はどのような結論に至ったのだろうか……。

「どうしても精気を吸うのが止められないのであれば、精気が無尽蔵な人を探してきてもらって慈しむとか?」
「そのような方が、都合よく現れ、私の愛に付き合って下さるでしょうか……」
「精気を溜め込む物を別に用意して、人から吸わないようにするのは」
「そのような物は寡聞にして存じ上げませんし……精気を吸わなくとも、川の中へ招いたせいで殺めてしまう事も……」
 カーバンクルの提案を、川姫は存外大人しく思案する。
 元々、妖怪たちを狂わせ混乱を巻き起こしていたオブリビオンではあるが、それは目的そのものではない。
 思ったよりも理性的だ。この様子だと『策』の実行にも支障をきたすのではないか……カーバンクルがそう危惧したその直後。
「ええ……お心は嬉しいですが、貴女様も答えは持ちえないご様子……お引き取りを」
「うわっ」
 素直に猟兵の言葉を聞いていた微笑はそのままに、水蜘蛛川姫の妖力が膨れ上がる。
 やはり、彼女は骸魂に憑かれたオブリビオン。多少の友好的な面が残っていたとしても、その本質は攻撃的な世界の敵だ。
 だからこそ。
「(──やりようは、ある)」
 放たれる蜘蛛糸をすんでで躱しながら、カーバンクルは薄い笑みを浮かべるのであった。

 オブリビオンの、蜘蛛の形をした下半身から繰り出される蜘蛛糸の鞭。
 骸魂の妖力を纏わせ強化されたそれは、ひとたび捕らえられてしまえば猟兵の膂力をもってしても抜け出すことは難しいだろう。
「くっ……よっと!」
 故にこそ、カーバンクルはそれを受けるまいと足を止めず、川姫は一度当たれば十分だと蜘蛛糸を放ち続ける。
 戦場は川辺。
 水の中に入り過ぎれば苔むした岩に足を滑らせる危険があり、林の方に逃げれば、木々で動けるスペースが限定されてしまう。
「(流石にその辺りは弁えているようですが……時間の問題ですね)」
 故にカーバンクルはつかず離れず攻撃を躱し続けるが、川姫の側に焦りはない。
 当たらなかった蜘蛛糸はそのまま地面に残る。
 カーバンクルがどう立ち回ろうとも、戦場は川姫の有利な場へと変わっていくのだ。
 じわり、じわりとカーバンクルの逃げる場所は減っていき……。
「……ふふっ! さあ、捕まえましたよお嬢さん」
「……っ!」
 やがて、蜘蛛の糸は猟兵を捕らえるに至る。
 動きを拘束してしまえば此方のもの。川姫は戦闘に長けた妖怪ではないが、ひも付きの相手など容易い。
「まだだ……!」
「いいえ、終わりです」
 苦し紛れに投擲されるフック、拘束されてるが為に直線的な軌道でしかないそれをあっさりと打ち払いながら、オブリビオンは笑みを深くする。
 この状況、勝負は決した。

「まあそうだね。というわけでとっとと骸魂切除しましょーねー」
「──えっ」
 カーバンクルの勝利という形で、だ。

 水蜘蛛川姫という名の通り、大きな蜘蛛の身体を持った彼女を襲う衝撃と痛み。
 その正体はカーバンクルが川辺に忍ばせた機械仕掛けのワニによる一撃だ。
 目の前のカーバンクルにばかり気を取られていた川姫は、本命たるそのアギトに直前まで気づけず、その代償は蜘蛛の身体を抉られる痛みとなり降りかかる。
「まあ、素直に私を追い回してくれて助かったし……お礼代わりに一つ」
 ダメージを受け、緩んだ拘束から抜け出した猟兵は語る。
 カーバンクルは一人ではない。信頼する作品でもあるワニの力があってこそ、川姫の虚を突くことができた。
 川姫は違うと何故言えよう。彼女の苦悩は、きっと他にも共有できる妖怪が居るはずなのだ。

「まずは『同胞を頼れ』。そこから始めたらどう?」
成功 🔵🔵🔴

末代之光・九十
愛かあ。
僕も偉そうに語ったけどさ。実際難しいよね。

先ず骸魂を外すべきなのかも知れないけど…
でも。歪められていても。それは君の思考で疑問なんだよね?
じゃあ。一方的に封殺と言うのも何だか悪いや。

(技能誘惑を持って目前に出る)
ねえ。
それじゃあ見せてみてよ。君の愛を。やって見せて。
女性は趣味じゃなかったらごめんね? でも。おいでよ。
お遊びやお試しでもいいよ。

今度は反撃なんかしないからさ。好きなだけ。好きなように。して良いよ?
(ダメージを受ける毎にUC使用。要するに誘った上での耐久)

冷たい。
温かい。
嬉しい。
苦しい。

どうあれ。先ずは体験して見ないと。何もわからない気がするから。
君を知りたいな。ね。教えて?


●間違った愛。君の愛
 川姫は、ばら撒いた狂気を通じ、猟兵たちの答えを見ていた。
 その中で彼女が感じたのは、驚嘆であり、尊敬であり……落胆だ。
 妖怪たちにも影響を出していたように、川姫は自分という存在が真っ当でないと強く信じている。
 愛していると言いながら男の手を引き、川へ沈めて殺める妖怪。
 そのような者が正道を歩む者の愛を真似るなどできよう筈もなく、猟兵たちの答えを聞くたび、それを羨みながらも手が届かぬと嘆いていた。
 その中の、数少ない例外の一人が九十であった。
 狂気的な言の葉、常人とは隔絶した神としての在り方。
 妖怪の身で神域に手を伸ばすこともおこがましい行いではあるが、只人のそれよりも可能性はあるのではないか。

 そのような期待を懸けられていたなど知る由もない九十はというと、蜘蛛に憑かれたオブリビオン、水蜘蛛川姫を前に対応を決めかねていた。
 猟兵として立つ以上、オブリビオンを打ち倒すことは必要だ。
 元々この世界の住民であったのならば、それを歪めた骸魂を外してやらねばなるまい。
 そう、歪んだのだ。
 方法は危険なものとなり果てようと、その執着が度を越した狂気になろうとも、愛を知りたいというその思考、疑問は川姫が最初から持っていたものだ。
 そうであるならば、ただ一方的に封殺してしまうのも、少々気が咎めよう。
 オブリビオンと猟兵、その背景は異なれど、彼女たちはただの闘争を望んではいない。
 その二人が出くわせば……。

「愛かあ。僕も偉そうに語ったけどさ。実際難しいよね」
「貴女でも、そうなのでしょうか?」
 他の猟兵と入れ替わりに川姫と相対するや否や、どこかぼんやりと呟く九十と、首を傾げて相槌を打つオブリビオン。
 彼女たちの対面は、奇妙なほどに穏やかな始まりであった。

「ねえ。それじゃあ見せてみてよ。君の愛を。やって見せて」
 動いたのは九十の側。
 答えるにも、まずは彼女の今を誰かが受け止め、知る必要があるだろう。
 ごく自然な論理からそう結論付けた九十が歩み出れば、川姫はたじろぐように後ずさる。
「え、ええっと……それは……」
 川姫の愛が何を招くか、知らぬわけではないだろう。
 微笑みながら近づいてくる彼女。
 男の人の方がいいか、などと呑気なことを言いながら手を差し出す彼女のそれは、まさしく自殺行為。
 罠だろうか、恐ろしい企みがあるのでは。
 川姫の中にいくつもの疑念が生まれ、渦巻く。
 だが。
「……もう少し、手を上へと伸ばしていただけますか?」
「ああ、蜘蛛の身体で、背が高くなってるものね……これでいい?」
 誰もが恐れた彼女の愛に手を差し伸べた神の言葉。
 その誘惑に抗う事など、川姫には到底不可能であった。

 ぶくぶく。ぶくぶく。
 手を引かれ、引きずり込まれた川の中。
 水は肌を刺すように冷たく、奇妙なほどに暖かい彼女の手から精気を吸われるものだから、空気を求めて藻掻くこともできやしない。
 ──これは確かに死んでしまう。
 薄っすら開けた目は、揺れる水中を映す。
 死が九十の足を引く度に、彼女から溢れる生命が引き戻してくれるけど、苦しいことには苦しいのだ。
 むしろ、ただの犠牲者ならば一度きりで済むその苦痛を、九十は何度も、何度も味合わねばならない。
 苦しい。苦しい。苦しい。
 これ、何か意味あるのかな。体験しなくては分からないとは思ったが、体験したところで何かが分かる保証もない。
 ああ、蜘蛛糸まで巻き付き始めた。今逃げないと、それこそいつまでも沈められるぞ。
 ぼうっと水中を眺めていた九十は、その視線を川姫のいる側へと移して。

 ──だけど、もう少しだけ付き合おう。彼女を教えてもらおう。
 あんなに、嬉しそうなのだから。
成功 🔵🔵🔴

リリィ・カスタード
引き続きヤムちゃん(f01105)と!
お任せ/変更可/アドリブ・絡み歓迎

ありゃ~さっきのべとべと蜘蛛の糸はこのおねーさんの仕業だったわけか。
蜘蛛のおねーさんも愛して愛されたかっただけなんだよね…!リリィちゃんわかるよっ。ウンウン。

習うより慣れろって言うしね♪本当に恋する痛みってどんなものか感じてみて!
てなわけでユーベルコードを拳でブチ込むッ!
これでリリィちゃんのこと好きになってくれるでしょ?
愛するって苦しくて辛い時もあるよね……でも大丈夫!リリィちゃんもちゃーんとおねーさんのこと愛してあげるからっ。


ヤムゥ・キィム
絡み、アドリブ、やりすぎ、なんでも大歓迎ナノ!

蜘蛛の綺麗なお姉サンにとって好きってナニ?
ヤムゥはネ、昔里を救ってくれた猟兵サンに会っテ、たくさんお話ししてありがとうッテ言いたいノ、それがヤムゥにとっての好きデ、愛なノ…
世界中の誰もが笑っちゃうくらいちっぽけな事でも、ヘンテコな事でも確かに愛ダヨ、お姉サンがしちゃう事もネ
愛って人それぞれナノ

だからお姉サンが大好きな人も違ウ愛を求めてるカモしんナイ、もしかしたらヤムゥも好きな人の迷惑になっちゃウかもしんナイ。愛って辛くて怖イ。お姉サンも怖いよネ、苦しいよネ。

ヤムゥはお姉サンにもリリリにも皆にも笑っててほしい!全部守りたイ!
これは皆の迷惑になル?


●事はシンプルに
 猟兵とオブリビオンの戦いは続く。
 その勝敗の天秤が傾くのは、猟兵たちの側だ。
「はあ、はあ……嗚呼、頭が傷む……」
 次々に現れる猟兵たちの攻撃による純粋な消耗もさることながら、水蜘蛛川姫を苦しめるのはその言葉。
 一度は蜘蛛の魂を受け入れた川姫であるが、猟兵の言葉を聞くにつれ彼女の胸中には疑問が生じ始めたのだ。
 本当にこれで良いのか? 求める答えを手に入れるには、もっと別の方法があるのでは?
 無論、依然として骸魂の支配は強固であり、だからこそ戦いは継続される。
 しかし、川姫という妖怪と骸魂の結びつきは、確実にほころび始めていた……。

「……蜘蛛の綺麗なお姉サンにとって好きってナニ?」
 そんな戦いの最中。
 武器を振るう腕を止め唐突に問いかけたヤムゥへ、川姫が視線を向ける。
 今更、戦いの最中に何をとは問いはしない。
 猟兵とは、少なくともこの地に降り立った彼女たちはこういう存在なのだと、妖怪の側も理解していたのだから。
「……さあ。私の中には、これがそうだと、胸を張って言えるものはありませんから……」
「むうー? なんだか落ち込んでル?」
 しかし、だからこそ、彼女たちに堂々と返せる答えが見つからない。
 言いよどむそぶりを見せる川姫を見て、ヤムゥはどうしたものかと共に戦う友、リリィの方を振り返る。
 何を言うべきか、しっかり者の友ならば、その答えを教えてくれるのではと期待して。
 ……だが。
「──よし、任せたヤムちゃん! 君なら自分の言葉で想いを伝えられるっ! というかリリィちゃん、投げかけられたべとべと蜘蛛の糸の間をすり抜けるの、もうちょっとかかりそう!」
「なんだってー! 大丈夫かリリリ!?」
「大丈夫、さあ行くんだヤムちゃん!」
 返ってきたのは、熱烈な応援とサムズアップ。
 確かに、ヤムゥより大きな身体に翼まで持つリリィは、この蜘蛛糸の領域に難儀するのは事実であろう。
 とまあ、そういうわけで。
「──よし! お姉サンには、ヤムゥの好きについて聞いてもらウ!」
「ええ……はい……?」
 戦いの手を止めたヤムゥは、自分のやりたいようにやることにした。

「ヤムゥはネ、昔里を救ってくれた猟兵サンに会っテ、たくさんお話ししてありがとうッテ言いたいノ」
 殺される以外の未来をくれたあの人。ヤムゥ達を守った強さと、弱気を庇う背中ばかりが鮮烈だったあの人。
 顔も忘れてしまったあの人。
「それは……」
 川姫は、脳裏に過ったその思考を、すべては口にできない。
 カクリヨファンタズムの妖怪である彼女は、この世界の在り方を、骸の海に浮かぶ無数の世界を知覚する。
 顔も名前も分からぬ相手、それも世界を渡る猟兵を見つけるなど、大海から一欠けらの宝石を探そうとするようなもの。
 無謀という言葉すらも届かぬような苦難に、ヤムゥは正面から立ち向かおうというのだ。
「世界中の誰もが笑っちゃうくらいちっぽけな事でも、ヘンテコな事でも確かに愛ダヨ。それがヤムゥにとっての好きデ、愛なノ……」
 それは貴女も同じだろうと、真っすぐに語るヤムゥの眼差しから、川姫は反射的に目を逸らす。
 自分はそれほどまでに自分の愛を肯定できなかった。
 だからこそ、蜘蛛に憑かれてこうなっているのだ。
「──もしかしたらヤムゥも好きな人の迷惑になっちゃウかもしんナイ」
 その様を見たヤムゥは、言外にその恐怖を肯定する。
 他人に理解できぬ愛を持つこと。
 それを、愛しい誰かと共有しえない可能性。
 川姫の苦悩は特別なものでも、救いがたい事でもなく、すべて、すべて、当たり前のことなのだ。
「お姉サンも怖いよネ、苦しいよネ」
「わ、私は、そのような言葉をかけていただける身では……」
 ヤムゥの言葉に、川姫は首を振る。
 この真っすぐな恋と、恐ろしい自分の愛が同じものだと、そのようなおこがましいことは口にはできない。

「そう、そうなの……!」
 なお、此処で今一度思い出していただきたい。
 居ます。もう一人。猟兵。

「よく言ったわヤムちゃん! 蜘蛛のおねーさんも愛して愛されたかっただけなんだよね……! リリィちゃんわかるよっ。ウンウン」
「おお、リリリ! 蜘蛛糸は大丈夫だったカ?」
 どうにか蜘蛛糸の陣を抜け現れるはリリィ。
 ヤムゥは良いことを言った。すごく良いこと言った。
 その愛情が恐ろしいものだとしても、本質は自分達となんら変わることは無い感情だ。
 が、そうと言われて納得できるかは別問題。川姫さんは未だ苦悩に捕らわれておられるご様子。
 ならばリリィの出番であろう。愛のお話、実践編担当としてヤムゥとバトンタッチの時来たれり。
「習うより慣れろって言うしね♪ 本当に恋する痛みってどんなものか感じてみて!」
「え、あの……きゃあ!」
 戸惑う川姫の脇腹に鋭い右フックが突き刺さる!
 勿論、リリィもこの話の流れで不意打ちで仕留めようというわけではない。
 川姫が混乱する間もなく、その左手に嵌められるのは紅き指輪。
 リリィのユーベルコードで付与されるそれは、恋煩いにも似た呪いの痛みを与える呪具であった。
 この期に及んでまだ納得しないのなら、荒療治で恋とはどんなものかを体験してもらおう。リリィちゃんはスパルタだった。
 だがしかし!

「さ、これでリリィちゃんのこと好きになってくれ……」
「うう、ウウウウ……ああああ!!」
「ひゃあああ!?」
 お返しとばかりに放たれるストレートを慌てて躱すリリィ。
 あれ、ミスったかな? でも指輪ちゃんと嵌ってるんだけどなー?
「ど、どうなってるんだリリリ!? お姉サン苦しそうだゾ!」
「いや、リリィちゃんも何が何だか……あ!」
 ここでリリィは気づく。
 このカクリヨファンタズムのオブリビオンは、現地の妖怪と骸魂と呼ばれる霊魂が融合したものだ。
 リリィは、暴れ出した川姫……いや、水蜘蛛川姫の下半身、蜘蛛の形をした身体を確認する。
 嵌ってなかった。指輪。
「…………ヤムちゃん!」
「な、なんだリリリ!」
 リリィの術の支配下に置かれた川姫と、あくまでオブリビオンとして猟兵を倒さんとする蜘蛛の骸魂の反発。
 それがこの状況を生むのであれば、対処法は明確だ。
「いったん倒すよ! まず骸魂を外さなきゃ!」
「おお、それをすれば、お姉サンもリリリも皆も笑えるカ? ヤムゥは全部守りたイ!」
「勿論!! リリィちゃんもちゃーんとおねーさんのこと愛してあげられるっ」
 ここまでさんざん回り道だったのだ、最後くらい単純でもいいだろう。
 武器を握り直し、水蜘蛛川姫と相対する二人。
 最初と同じ構図でありながらも、二人の表情は、希望と笑顔で溢れていたのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

末代之光・九十
…ああ。一つだけ分かった。
君は。愛するだけ。
結果的に死ぬにせよ。精気を奪うせよ。君のそれらは僕(相手)を愛する行為なのに。相手(僕)に愛される事の方は。求めないんだね。
もしかすると。求め方を知らないだけかもだけど。結果は一緒だ。

なら。蜘蛛糸は良くないね。動きを封じられる前に。
手を伸ばして。
僕の方からも。君を愛してあげないと。

ギュッと抱き締めて。優しく撫でて。
後は…頬擦りと唇を寄せる位かな。流石に長く持たないし…

一方通行が駄目とは言わないけど。でも。きっと。ずっとそれだけは寂しい。寂しいのは。良くないよ。愛には。愛を。
…良い子。良い子。大丈夫。僕は君を嫌ったりしないよ。


生きていれる間は。だけど…


●その濡れ髪に指を通して
 川の中から、ざぱぁと起き上がる影が一つ。
 息は絶え絶え、冷たい水の中に沈められた身体は冷え切り、窒息し続けた脳は今にも活動を停止しそうだ。
 それでもなお、九十は足を動かした。
 一つだけ、たった一つだけ分かった彼女の事。
 それを、伝えなければいけないのだから。

「君は。愛するだけ」
「…………」
 再び現れた九十の言葉に、川姫が返すのは視線だけ。
 度重なる猟兵との戦闘で、彼女に憑りついた蜘蛛の骸魂は既に消えかけている。
 もはや妖怪たちを狂わせたあの力は残っていないだろうし、水蜘蛛川姫というオブリビオン自体、長くは持たない。
 『この』彼女には、もう九十に言葉を返す余力も残っていないのだ。
「……結果的に死ぬにせよ。精気を奪うせよ」
 だが、余裕が無いのは九十の側も同じ。
 今しかこの言葉は伝えられぬと、川姫の返答を待つこともなく、彼女は語り続ける。

「君のそれらは僕を愛する行為なのに……相手に愛される事の方は。求めないんだね」
「ッ…………」
 九十が知ったその事実に、川姫はただ気まずそうに目を伏せるばかり。
 求め方を知らぬのか、求める資格が無いとでも言いたいのか。
 どちらにせよ結果は同じ。
 異形と化し、九十を遥かに超える体躯を持つ彼女が、今は小さな子供のような印象を受ける。
「……ちょっとごめんね」
 それを受けた九十が、最後の力を振り絞り歩み寄る。
 蜘蛛の身体は動く気配を見せないが、それでも彼女の頭は遠い。
 それへと向けられた九十の手は、まず彼女の腕を引き。
 戸惑う川姫を、自分の下へと引き寄せたのなら。

「……良い子。良い子」
「……!」
 その胸に川姫の頭を抱き寄せ、幼子にするようにその髪を撫で始めた。
 骸魂に憑りつかれた妖怪である川姫は、死ぬわけではない。
 けれども、オブリビオンの影響で変容した──ある意味でその胸の内を惜しげもなく見せた彼女は、今此処で消えるのだ。
 ただ消えるばかりだった彼女へ、九十はありったけの愛情を注ぐ。
 眠る子へ母がするように額へと口づけし、川の水ではない別のもので濡れる彼女の頬に自分のそれを寄せ。
「大丈夫。僕は君を嫌ったりしないよ」
 生きていれる間はそれを約束しよう。
 与えるばかりであった川姫の愛を否定はしまい。
 けれども、それでは埋められぬ寂しさを祓う方法を、愛されることをこの子に教えてあげよう。
 水蜘蛛の魂がすべて消え、彼女がただの妖怪に戻るその時まで……。

●死した魂去ったのち
「…………何処だろう、此処は」
 その後、川姫の瞼が閉じられるのを見届けてから意識を手放した九十は、最初に降り立った妖怪たちの集落で目を覚ました。
 結構な無茶をしていたのだし、誰かが此処に運び込んでくれたのだろうか。
 礼を言わねばとも思うけれど、やはり気がかりなのはあの川姫。
 教えられるもの、与えられるものは与えてやったつもりだが、妖怪がそう簡単に在り方を変えられるなら、カクリヨファンタズムという世界は生まれなかった。
 猟兵たちとの出会いが彼女の意思に影響を与えたとしても、果たして未来はどうなるのか。

「……おや」
 そこまで考えながら部屋を出た九十は、目に入った光景に思考を打ち切り、思わず破顔する。
 猟兵の指導を受けながら、混乱で壊れた町を修理する妖怪たち。
 容姿を見るに、道中で行く手を阻んだオブリビオンとなっていた者たちだろうか。
 そして、その中の。

 ひと際小さな黒髪の少女は、此方の心配などまるで知らないような、屈託のない笑顔を浮かべていたのだから。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月07日
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