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願いはひとつ

#スペースシップワールド #【Q】 #クエーサービースト #惑星ロボ #ダイアモンド・アドベンチャー #ハーツ・テ・サブロ

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「資材搬入ヨシ!」
「ヨシ!」
「マインドコネクタおよびドライバ、点検終了してまーす!」
「おーし、いいぞー。とりあえずこれで最低限の準備は終わったの」
 ――スペースシップワールド。未踏宙域付近。大規模マシン建造用拠点船、ハーツ・テ・サブロ。
「うむ。あとは猟兵たちの到着を待つばかりだな」
 ハーツ・テ・サブロの代表を務めるゴレンジア艦長が重々しく頷いた。
「然り然り。しかし、まさかビーストの躯体構成素体そのものが奴らへの対抗手段になるとはなあ」
 技術顧問の1人である才媛ツルヒメ女史が、艦内の資材倉庫へと搬入されたクェーサービースト・マインドミナVBAの外殻素材を眺めながら呟いた。
「何事もサイオー宙域の宇宙ホースという。禍福はあざなえるアステロイドベルトの如し、だ」
 プロジェクト・ハーツ・テ・サブロ。ここハーツ・テ・サブロに集った無数の人々が、願いをひとつにクェーサービーストを叩き新たなる道を拓くための巨大兵器建造計画である。
 かくして彼らは猟兵たちの到着を待ち、そして計画は開始される。

「よし。では汝らには今からスペースシップワールドに行ってもらう」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は頷いた。
「過日より進められているスペースシップワールドの未踏宙域調査に進展があったのだ。マインドミナVBA、とゆークェーサービーストのことは皆覚えておろう?」
 ロアはモニターに敵の資料映像を示す。
 マインドミナVBA。兼ねてより猟兵たちが進めている未踏宙域の調査を妨害する惑星級大型オブリビオン、クェーサービーストの一種である。
「このマインドミナVBAの構成素材が、こちらの兵器として転用可能な素材であることが判明したのだ。……うむ、しかもその上汝らは既にそれを見たことがある」
 続けてモニターにはかつて猟兵たちの前に立ちはだかったスペースシップワールドのオブリビオンフォーミュラ、銀河皇帝の姿が映し出された。
「かつて皇帝の用いし思念兵器マインド。これがそうだ。スペースシップワールドの人々は、このデータなどを元にしてマインドミナVBAの素材を利用した戦闘兵器の開発を開始している」
 銀河皇帝はこの思念兵器をワープドライブというサイキック能力の強化に用いていたが、これはマシンに組み込むことによってパイロットの力をダイレクトにマシンへと伝えることのできる装置となるのである。
 続けて画面が切り替わる。今度映し出されたのは、巨大な格納庫の情景である。そこには多くの素材が積み上げられていた。
「汝らはこれよりスペースシップワールドに向かい、現地の人々と協力して思念兵器を搭載した戦闘マシンを完成させるのだ。……完成した戦闘マシンは、マインドを通じて汝らのユーベルコードを放つことができる。このマシンでもって未踏宙域に赴き、クェーサービーストを撃破せよ」
 ここまで話し終えたところで、ロアがホワイトボードにペンでまとめを記述する。
 ひとつ。現地でスペースシップワールドの人々と協力し、思念兵器搭載型戦闘マシンを完成させる。
 ふたつ。戦闘マシンを駆って未踏宙域へと赴き、クェーサービーストへと攻撃を仕掛ける。
 以上である。
「なお、この思念兵器搭載型戦闘マシンを用いた戦闘機動だが、一度の戦闘の中では猟兵1人につきユーベルコード1発が限界だ。思念兵器は強力ではあるが、その分汝らの心身へとかかる負担が大きい。1発殴ったらパイロット役を交代するのだ。よいな。くれぐれも無理はするでないぞ」
 最後に、ロアは人差し指を立てながら付け加えた。
「というわけで、説明は以上である。ほかに質問はないな?」
 そして説明を終えたロアは、最後の確認を行うと掲げたグリモアを輝かせ、転送を開始するのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。
 お世話になっております。カノー星人です。

 好きでしょ、ロボ。
 カノー星人もすきです。
 それでは、この度も侵略活動を続けさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『試作型惑星ロボ開発計画』

POW   :    完成したパーツを組み立てて、小惑星サイズの巨大ロボを完成させる

SPD   :    試作型惑星ロボの完成に必要な装置を作成したり、分割したパーツごとに完成させていく

WIZ   :    試作型惑星ロボの設計を行なったり、必要な資材をもつスペースシップに出向いて交渉する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ハーツ・テ・サブロは、ある文化圏における独自言語において『素晴らしき仲間たち』を意味する言葉だ。
 その実態は、ゴレンジア艦長の指揮する一番艦『ヴァーリブ・ルーン』を中心として40隻を越える多くのスペースシップが合わさったいわば巨大な群体である。スペースシップワールドでも屈指の巨大艦のひとつであり、重装と重火力を併せ持つスーパー船体はスペースシップワールドの子どもたちにも人気があった。
「よく来てくれた、諸君。私がここハーツ・テ・サブロの司令官を務める、艦長のゴレンジアだ」
 ハーツ・テ・サブロの船内作業領域へと到着した猟兵たちを、ゴレンジア艦長が出迎えた。
 ゴレンジア艦長は力強さと威厳に溢れたヒューマノイド型スペースノイドの男性だ。既に齢70を越える老境であったが、その双眸にはたしかな意志の光が宿る。
「うむ。よう来てくれたの!」
 ゴレンジア艦長とともに猟兵たちを迎えたのは、以前にも猟兵たちとともに未踏宙域の調査を行った経験のあるツルヒメ女史である。ツルヒメ女史は宙間戦闘用の機動忍者兵器の開発に関わったこともある機械工学のプロフェッショナルなのだ。
「技術的なところのサポートはわしに任せるがよいぞ」
「ああ。君たちのイマジネーションを伝えてくれれば、我々の手で完璧に仕上げてみせよう」
 ゴレンジア艦長が頷いた。
「単純に組み上げるだけでなくてもいい。君たちが思うように、様々なギミックを提案してくれ。……それから、もし思いつかなければ、アイデア探しに船の中をボウケンしてみても構わない。出会いが絆を結び、そして新たな道を拓くこともあるはずだ」
「うちの船、人材は豊富じゃからのー。わしの他にも何人か宇宙忍者おるし。あとなんじゃったか、宇宙拳法使いだの宇宙動物博士だの、宇宙海賊に宇宙怪盗、宇宙警察に宇宙レーサー……まー、もーなんでもアリじゃからな。適当にぶらつけばイマジネーションを引き出してくれるメンバーに出会えるじゃろ」
 ――というわけで。

 猟兵の諸君に与えられたミッションは、ただひとつである。
 それは、対クェーサービースト戦闘用マシンの建造にかかわるアイデアを供出すること。
 そのアイデアは自分自身の中から生み出したものでもよいし、ハーツ・テ・サブロの人々との交流の中から案を生み出してもよい。如何なるものでも、建造を担当するスタッフがそのイマジネーションをかたちにすることだろう。
 なお、技術的な面で知識と実技能力に自信がある猟兵であれば、実際に建造の現場に関わってもよい。なにしろ自分たちの想いを乗せて動くマシンだ。自分の手で作り上げていきたいと願うのも必然であろう。

 かくして、ハーツ・テ・サブロにおけるプロジェクトは開始されたのである!
レパル・リオン
すごおぉーいっ!本物のハーツ・テ・サブロだぁーっ!カッコイイーっ!
(ヒーロー大好きなので異世界のヒーローチェックも欠かさない)

あたし知ってるわ!ハーツ・テ・サブロの強さの秘訣はユウジョウ・パワーなんだって!
よーし、船内でインタビューよ!
スマホで撮影して異世界でも放送して、みんなにヒーローの姿をお届けするわ!
あたしのUCで船員の所にワープして、効率よく船内を回るわ!

あ、ロボット作りもしなきゃ!
そうね…どんなユーベルコードも使えるように、どんな形にもなれる装備を用意するのはどうかな?
たくさんのパーツが変形合体して、ユーベルコードに合わせた必殺ウェポンに変身するの!
できたらよくない?スゴくない!?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
そういうことでしたら、ゆっくりと回りながら検討してみましょうかぁ。
何かに気づき易い様『効果小・効果時間長め』の『秘薬』を摂取して【霊結】を使用、『注意力』を強化しておきますねぇ。

【UC】の中には『武器』に依存する物も有りますし、『使い慣れた物に似た武器』は欲しいですよねぇ。
交替を考えますと『形状変化する武器』が良いでしょうかぁ?

(そして、休憩に向かう『スペース料理人』を見て)
成程、ローテーションですかぁ。
そう言えば『操縦者の交替』を考えますと、『待機中』の人が『準備に時間の掛かる【UC】の準備をしておける』と良いですよねぇ。
待機場所にそういう仕掛けが御用意出来ましたら?



「すごおぉーいっ!本物のハーツ・テ・サブロだぁーっ!カッコイイーっ!」
 レパル・リオン(f15574)は、艦内の工業エリアへと足を踏み入れながら歓声をあげる。すれ違うスペースシップワールドの戦士たちはレパルに笑顔で手を振ってくれた。
「いま通ったのは……カーレン・クルーマーさんとゴーエンジ・エコちゃんね!」
 ヒーローという存在について強い興味と関心を抱くレパルは、事前にここハーツ・テ・サブロを構成するメンバーたちについても下調べをしている。既にここの多くの戦士たちの顔を知っていた。
 たとえば今彼女がすれ違ったカーレン・クルーマーはちょっとドジでおっちょこちょいだが銀河帝国との戦いの折に帝国の宇宙暴走族部隊と戦ったことでも有名であり、ゴーエンジ・エコもまた銀河帝国による宇宙環境汚染作戦に立ち向かった勇敢な戦士なのである。趣味はラップ。2人ともメカニックとしての腕前も一流だ。
「あら……そうなんですかぁ」
 夢ヶ枝・るこる(f10980)はレパルの視線を追い、通路を行く2人を見送った。るこるもまた思念兵器搭載型戦闘マシンの開発にかかわるアイデアを探すため、船内を探索していたのである。
「そうなのよ!いろんなスペシャリストがたくさんいるのよね……!でもあたし知ってるわ。ハーツ・テ・サブロの強さの秘訣は単に力の強さや技術だけじゃなく、その力を結束することでうまれるユウジョウ・パワーなんだって!」
 レパルはグッと拳を握って熱弁する。すごい熱量であった。
「そうですねぇ。私たちも一人で戦うことは難しいですし」
 るこるは聞き役に徹して頷いた。
「そう!……というわけで、そんなハーツ・テ・サブロのヒーローの姿をぜひ参考にしたいわ!せっかくだから配信も!インタビューでみんなにお届けするわ!」
 目を輝かせたレパルの手にはキマフュ製のスマートフォン。撮影・配信用のアプリを起動しながら前を行く。やる気十分に飛び出す勢いでレパルは進んだ。るこるは遅れないように小走りでその背中を追いかける。
 2人は先ほどすれ違ったカーレンとエコに追いつく。さっそくインタビューだ。思念兵器搭載型戦闘マシンの構築についても参考になる話が聞けるに違いない。

「――いやー、やっぱりね、自分にもある弱さを知ってこそ本当のヒーローだからさ。仲間と手を取り合うことが大事だぞ!」
「うんうん、わかるよカーレンセンパイ!みんなの声が聞こえると、一人じゃないんだ――って思うんだよね。勇気が加速する感じ、わかる?」
 カーレン・クルーマーとゴーエンジ・エコの2人は、インタビューに快く応じてくれた。
「わかる!」
 レパルはグッとガッツポーズしながら話を引き出していく。
「そうなんですねぇ」
 るこるは適切なタイミングで相槌を打ち、上手く聞き役に徹した。
「それにしても今回はクェーサービースト戦用のロボなんてな。……やっぱり、力を合わせて立ち向かうしかないんじゃないか?」
「ってことはやっぱ合体構造は不可欠じゃない?パイロット役の人に合わせて合体パターン変えて変形するとか」
「そうね……どんな形にもなれるロボット……ううん、ロボットだけじゃなくて装備も変形するのはどうかな?」
「おっ。いいアイデア」
「私達もやったねー、みんなの武器あつめてバズーカ組んだり」
「したした」
「なるほどぉ、『形状変化する武器』ですかぁ……」
 るこるが思案げに首を傾ぐ。
「たしかに、私たちのユーベルコードは『武器』に依存する物も有りますし……『使い慣れた物に似た武器』は欲しいですよねぇ」
「力を合わせるってことは、違う個性を認め合うってことだからな。それぞれに合わせられるようにするってのは大事かもしれない」
「実際、猟兵の皆だって交代しながら戦うんでしょ?なら決まりだね」
 カーレンとエコは今回のマシン建造において実際に作業を行うメカニックの役割も兼ねる。受け取った意見を実現に向けて頑張ろう、と2人は拳を打ち付け合った。
「交代しながら……そうですねぇ、ローテーション……」
 更にるこるは思案する。そして数秒の沈黙を置いてから、再び口を開いた。
「そう言えば……『操縦者の交替』を考えますと、『待機中』の人が『準備に時間の掛かる技の準備をしておける』と良いですよねぇ」
「なるほど、操縦権をもらい次第すぐに必殺技が打てるような……?」
「待機場所にそういう仕掛けが御用意出来ましたら?」
「わかった、検討してみよう」
「よーし!それじゃあ案は固まったわね!それじゃ、さっそく現場に行きましょう!」
 ――というわけで、2人は会話の中から生まれたイマジネーションをひとつの案として整理する。

 かくして。
『形状変化が可能な、変形する武器』。
『待機中の猟兵が技の準備をしておける仕組み』。
 まずは、この2つが思念兵器搭載型戦闘マシンの建造案として提出されたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

舞塚・バサラ
【SPD】
ふうむ、ともあれ相手に一撃叩き込む為の駆体って事で御座るよな?
で、あれば………(少し考えつつ)
ひたすらに速く、音も無く移動。そして必殺の一撃を以て破壊しつつ、即座の離脱。
これができ得る事が望ましいで御座るかね。
可能ならば、得物も某が使い慣れている刀が望ましいで御座る

要望はこんな所で…後は、某が命を預ける駆体。某にも手伝わせてくだされ(この作業に関わる皆を"味方"として認識した上でUC発動)
某と、某が生み出す皆々方の影分身の手数有らば作業を迅速に進める事が出来る筈で御座る。
一つ、雑用でも製作でも(武器改造、学習力、情報収集、戦闘知識、早業、怪力、見切り)某の力、使ってくだされ



「ふうむ、ともあれ相手に一撃叩き込む為の駆体って事で御座るよな?」
「うむ。そうなるな」
 電算室において、コンピュータ機材の前で舞塚・バサラ(f00034)はツルヒメ女史と話し合う。
「で、あれば………」
 バサラは思案した。
「ひたすらに速く、音も無く移動。そして必殺の一撃を以て破壊しつつ、即座の離脱。これができ得る事が望ましいで御座るかね」
「うむ、うむ。それはすなわち宇宙忍者の業であるな」
「然り」
 バサラとツルヒメが頷きあった。
「おッ。なになに。宇宙忍者の話した?」
「おお、ケンジか」
 2人の横から1人の青年が顔を出した。ツルヒメ女史は手を振ってこたえる。
「おや、こちらの御仁は」
「ハリイ・ケンジ。そこのツルヒメねーさんと同じく、宇宙忍者伝説の後継者だぜ」
「なるほど」
 スペースシップワールドにおいては宇宙忍法はポピュラーな武術であり、無数の流派が存在している。ここハーツ・テ・サブロに集った戦士たちの中にも宇宙忍者は少なくない。ハリイ・ケンジもまた超宇宙忍法によって銀河帝国の宇宙忍者たちと戦った一流の忍者戦士なのである。
「であれば」
「ああ、俺たちにとっちゃ慣れたもんだからな」
「うむ。我々には機動忍者兵器のノウハウもある故な」
 ツルヒメ女史はコンソールを叩き、コンピュータ上で戦闘機動プログラムの構築を開始する。
「お主が言っておったよーな戦術はわしらもようやっておったからのー。忍術の戦闘機動プログラムなんぞもチョチョイのチョイよ」
「超宇宙忍法、あのマシンでも完璧に再現できるようにしっかり仕上げておくぜ!」
 任せておけとツルヒメ女史が胸を叩き、ケンジがびしっと親指を立てた。
「うむ。頼んだで御座るよ。それから……可能ならば、得物も某が使い慣れている刀が望ましいで御座る」
「オッケーオッケー。準備しておこうではないか」
「ああ。カタナは宇宙忍者の基本だからな。きっちり使えるようにしておくぜ」
「かたじけない」
 ――というわけで、バサラの要望を受け取った2人があらためてコンピュータへと向き合った。データ入力作業は続き、戦闘マシンの神経系とでも言うべき戦闘機動プログラムが編み上げられてゆく。
「要望はこんな所で……後は、某が命を預ける駆体。某にも手伝わせてくだされ」
 ここでバサラが協力を申し出た。
「お、なんじゃ。作業を手伝ってくれるのか」
「勿論で御座る。では、作業区画まで案内を頼むで御座るよ」
「わかった。それじゃあ俺が案内……おわッ!?」
 振り返ったケンジが素っ頓狂な声をあげた。【陰我式・百鬼当万億兆夜行/インガシキ・ワイルドハントレギオナイト】。そこに佇むのはバサラのユーベルコードが構築した影の群れである。
「影分身の術か……恐れ入ったぜ」
「うむ。これは周りの人々の影を分身として使役する術で御座ってな。某と、某が生み出す皆々方の影分身の手数有らば作業を迅速に進める事が出来る筈で御座る」
 バサラが振り向くと、影たちが頭を垂れた。
「一つ、雑用でも製作でも某の力、使ってくだされ」
「なるほどのー。人手が増えるのはわしらも歓迎じゃ。ひとつよろしく頼むぞ」
「それじゃ案内するぜ、ついてきてくれ!」
「応」
 そして、影を引き連れたバサラが作業エリアへと向かう。
 かくしてプロジェクト・ハーツ・テ・サブロは、着々と進行しつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーティス・ミーティア
WIZ
人型に変形した宇宙バイク『オーヴァーマインド』の中から
あくまでドロイドとかウォーマシンの振りをして接するミーティス
漆黒と金の装甲の隙間でアイセンサが妖しく光る

「成程、マインドの建造ですか」
(超大型思念兵器がもうここまで出来上がってたとはね……)
「でしたらやはり、念動力で自在に転身出来るモノが良いでしょう」

「大事なのは骨格です。鍛え上げた骨格があれば、
充実した気力で如何なる技でも再現出来る――そう思います」
(UCの再現もだけど継戦能力が課題よ。まずは頑丈に作らなきゃ)

「どんな形……そうですね、巨大な竜はどうでしょう?
先の戦争でも竜は猛威を奮いました。イメージしやすいかと」

アドリブ連携大歓迎



「成程、マインドの建造ですか」
 ミーティス・ミーティア(f28473)は偽装躯体の内側で目を細めた。
 ミーティスはフェアリーであるが、彼女はそれを秘匿し、四肢を持つ人型のマシンを操作することで鉄の躯体をもつウォーマシンに類する種族の猟兵であるように振舞っている。
 何故そのような偽装をしているかといえば――彼女はスペースシップワールドの人々を信用していないのだ。彼女は以前にこの世界において思念伝達物質『マインド』を用いたなにがしかの計画の被験者として使われ、非人道的な扱いをうけた経験があるのだという。
(超大型思念兵器がもうここまで実用段階に入っていたとはね……)
 そして、今ここハーツ・テ・サブロで行われている計画は研究機関が異なるとはいえ、彼女に非人道的な行為を行った思念兵器マインドを取り扱うものだ。過去の悪夢が彼女の胸に影を落とすが、しかしてミーティスはそれを振り払うように躯体の内でかぶりを振った。
「うむうむ。そうなのじゃよ。この思念兵器というやつは、搭乗する猟兵たちの能力をダイレクトに機体へとフィードバックさせることができる、まさに夢のよーな機関じゃ。であるが故に、パイロット役をやらされるお主らのリクエストにしっかり応えるようにつくらねばならん」
 いざ出来上がってみてから、機体がパイロットについてこれませんでした、ではシャレにならんからの。操作パネルを叩きながら、ツルヒメ女史が振りむいた。
 ハーツ・テ・サブロ内。電算室である。ツルヒメ女史に呼び止められたミーティスは、ここでこうして思念兵器搭載型戦闘マシンの開発についての意見を求められていた。
「で、おぬしはどう思う?」
 ――ということで、首を傾いだツルヒメがミーティスに問う。
「でしたらやはり、念動力で自在に転身出来るモノが良いでしょう」
 ミーティスは頷いて答えた。
「転身……。うんうん。そうじゃな。機動力というか、パイロットのイメージに沿うような運動性能の確保……といったところかのー?」
「はい。それと、大事なのは骨格です。鍛え上げた骨格があれば、充実した気力で如何なる技でも再現出来る――そう思います」
「フレームの強度といったところか。……このへんはまー、うまく設計するっきゃあるまいな」
「……脅威として立ちはだかるクェーサービーストは強力な相手ですから。マインドを用いたユーベルコードの再現も重要ですが――敵を打倒しうるまで駆動できるだけの耐久性や、継戦能力も必要でしょう」
 ――まずは頑丈に作らなきゃ。
 パイロットのイメージに応えられるだけの機動性。長時間の戦闘に耐えうる耐久性――すなわち、ミーティスは機体の基本性能の底上げが必要不可欠であると要求した。
「うむ。そこんとこは任せておけ。うちのスタッフは優秀じゃからな。リクエストにはばちっと答えてやろーぞ」
「ええ、よろしく頼みます」
 ミーティスは頷いた。
「……で、じゃ。ついでじゃから、アンケートに答えてってくりゃれ」
「アンケート、ですか?」
「うむ。……デザインじゃよ、デザイン!」
「デザイン」
 ミーティスは躯体の内部で首を傾げる。
「試作機じゃからどこまでこたえられるかわからんが、指針は必要でなー。で、おぬしはどんな形がよいと思う?」
「どんな形……」
 ツルヒメ女史から急に向けられた質問にミーティスは面食らったが、数秒の思案の後に口を開いた。
「そうですね、巨大な竜はどうでしょう?先の戦争でも竜は猛威を奮いました。イメージしやすいかと」
「竜……なるほどドラゴンか。うむ、よいな。ドラゴンはこどもたちにも大人気じゃから、マーケティング的にも実際大正解じゃ」
 ツルヒメ女史は納得した様子で機材へと向き直り、データ入力作業を再開した。
「よっし。たいへん参考になったぞ。助かった!」
「いえ、大したことは――それより私、作業エリアの様子を見てきます」
 ミーティスは踵を返し、通路へと向けて歩き出した。
「おっ。そうじゃな。そしたら、なにか現場の手伝いをしてやってくりゃれ」
 呼びかけるツルヒメ女史の声にミーティスは機体の腕を振って返し、電算室を後にする。
 猟兵たちの案を受け取りながら、作業エリアにおける思念兵器搭載型戦闘マシンの建造は確実に進んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
お、ツルヒメじゃないの。
未踏宙域でのクェーサービースト戦以来だねぇ。
今回も頑張るんでよろしくね♪

ふむふむ、ロボのギミックを提案しろとな。
一応「格闘に便利なアームパーツ」とか、案が無い訳じゃないんだよね。
ただまあ、折角だから船の中をボウケンしてアイデアを補強しとこうかしらん。
何しろ私の格闘家的第六感によれば、この船には宇宙拳法使いが3グループは居る気がするんだよね。
こう、コズミックなオーラパワーの持ち主とか、宇宙的気力の継承者とか、スペース象形拳の使い手とかそんなん。
そういう人たちと交流(手合わせ的なやつ)をすれば、アイデアの補強もバッチリよ!
むしろもっといいアイデアがモリモリ湧いちゃうかもね!



「お、ツルヒメじゃないの」
「おお、おぬしは!」
 ハーツ・テ・サブロの通路を行く中で、エダ・サルファー(f05398)はツルヒメ女史とばったり出会った。
「未踏宙域でのクェーサービースト戦以来だねぇ」
「うむ。あの時は助かったぞ。今回も来てくれたんじゃな」
「うんうん。今回も頑張るんでよろしくね♪」
 エダは以前ツルヒメが艦長を務めていた外宇宙調査船ダイアモンド・アドベンチャー号に同乗し、クェーサービースト・キエリビウムJOXとの戦いを繰り広げたことがある。ツルヒメ女史とはその際に知り合った仲だ。
「ところでおぬし、あれか。インスピレーション探しに来ておるんじゃな?」
「ご名答。ロボのギミックを提案しろ、ってことじゃない?案が無いわけじゃないんだけど……折角だから船の中をボウケンしてアイデアを補強しとこうかと思って」
「うむ、よいことじゃ。そうしてうまれたアイデアからなら、きっとすばらしいマシンが完成することじゃろう!」
 ツルヒメ女史はエダのやる気に感心し、大きくうなずいてみせた。
「何しろ私の格闘家的第六感によれば、この船には宇宙拳法使いが3グループは居る気がするんだよね……」
 一方エダは、格闘家としてのカンをはたらかせ周辺へせわしなく視線を送る。
「おー、さすがじゃの……おるぞおるぞ。まずはスガタ・マスクマのオーラ戦闘術部隊じゃろ、それからダイ・セイゴの宇宙拳法チーム。それからマスター・ジャンフの開いておる宇宙形意拳スペースビーストアーツの一派……」
「おっ。やはり私のカンが正しかったみたいだね!いやー、いると思ってたんだ。こう、コズミックなオーラパワーの持ち主とか、宇宙的気力の継承者とか、スペース象形拳の使い手とか……」
「だいたい合っとるの……。なんじゃ、エスパーかおぬし」
 ツルヒメ女史はかるくおののきながら視線を通路の先へと向けた。
「それなら、そこの道を行ったところの無重力エレベータを通ってよっつ上のフロアにいくとよいぞ。連中、いつも組手なんかしておるからな。日々是精進。暮らしの中に修行あり……らしい」
「いいねぇ。そういう人たちと交流できれば、アイデアの補強もバッチリよ!」
 グッと拳を握ったエダはその双眸に光を灯しながら、一度ツルヒメ女史に頭を下げると示された方向へと向けて小走りに進みだす。
 あーあれ絶対手合わせするつもりじゃろうなー、と、その背中を見送りながらツルヒメ女史は思ったのであった。

 ――余談であるが。
「鍛え上げるんだ、オーラのパワーを……そう、戦う君は美しい!」
「気力だァァッ!!」
「そうさ、ちょっとはカゲキなくらいがちょうどいい!さあ、燃えろ!」
「うおお……みんな、すごい気迫だ……!こいつは私も負けてられないね!」
 エダの挑んだ手合わせに宇宙拳法使いたちはこころよく応え、宇宙武道場において熱い戦いを繰り広げたのだという。
 結果。
『格闘戦用の腕と足のパーツの準備』。
『格闘術の再現に困らないくらいの運動性能の確保』。
『パイロットの“氣”をマシンに反映する仕組み』。
 エダからの要求は、以上であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルンバ・ダイソン
アイ・リスパーと行動

対クェーサービースト用のロボットか。とりあえず基地の子供達の遊びつつ、ヒアリングをしてみよう。子供の柔軟な発想は侮れないからな。
低出力でビームを発射したり、レーザーソードで鉄柱を切断したり、変形ギミックを披露してパフォーマンスをするぞ。他にもリクエストがあれば応えよう。
おや、見覚えのある白髪の少女がいるかと思えば、アイさんじゃないか......。
こうして見ると年相応......いや、ちょっと幼いぐらいだろうか(保護者目線)
とりあえず腕からビーム。
なるほど、パンダ型ロボか。悪くない......。


アイ・リスパー
ルンバさんと

「ルンバさんが子どもたちにヒアリングするなら、私も同行しますね」

確かに、子どもたちの柔軟な発想は昔から技術発展を促してきました。
小惑星サイズのクエーサービーストを打ち倒す鍵は、意外と子どもたちが持ってるのかも知れませんね。

「わぁっ、ルンバさん、レーザーソードですね!
それから変形までっ!
あとはビーム撃って下さいビーム!」(ロボ好き

……はっ、い、いえ、子どもたちよりも、私がはしゃいでるとか、そんなことはナイデスヨ?

「はっ、いまので閃きました!
子どもにも大人気なルンバさんの愛らしい外見!
これは大きな武器になります!
というわけで、惑星ロボはパンダの外見にしましょう!」



「対クェーサービースト用のロボットか……」
 ルンバ・ダイソン(f13195)は思案した。
「と言われても、って感じですよねぇ」
 アイ・リスパー(f07909)はルンバに付き添うように通路を進んでゆく。
「いきなり言われても、なかなか案は出ないものだな」
「とはいえ、何も案が出ない、というのは避けたいところですしね」
 2人はああでもないこうでもない、と言葉を交わし合いながらハーツ・テ・サブロの内部をぐるりと回るように進んでゆく。
「やはり、艦の人々と交流をもってアイデアを……む?」
 その最中、ルンバはふと足を止めた。
「どうしました?ルンバさん」
 怪訝な表情でアイが尋ねる。
「……子供の声だ。託児所があるようだな」
「託児所ですか」
 ルンバの視覚センサーが捉えたのは、スペースシップワールドの公用語で『保育室』の文字の書かれた扉であった。
「ああ。……行ってみよう。子どもたちの柔軟な発想は侮れないからな。アイデアを出す手掛かりになるかもしれない」
「確かに、子どもたちの柔軟な発想は昔から技術発展を促してきました……小惑星サイズのクエーサービーストを打ち倒す鍵は、意外と子どもたちが持ってるのかも知れませんね」
 2人は頷きあい、そして声のする方向へと足を進めた。
「「「ロボだーーーーー!!」」」
 歓声。
 かくして施設の管理者と宇宙保育士の許可を得た2人は、お客さんとして保育室の中へと足を踏み入れたのである。
「みんな、こんにちは。俺はルンバ・ダイソン。猟兵だ」
 普段より爽やかさを何割か水増しした声色で、ルンバは子どもたちに挨拶した。
「「「わーっ!」」」
 子供たちとアイがはしゃぎながら声をあげた。ルンバはこたえるように手を振ってみせる。
「では、今日は特別に俺のとっておきの技をみんなに見せてあげよう」
 ルンバは子どもたちから距離をとりながらパフォーマンスの準備をした。これから彼が披露するのは、いかに加減したとしても殺傷力を持つ戦闘用の兵器である。であるが故に、安全面への配慮は非常に重要なポイントだ。じゅうぶんに注意を払ったうえで、彼はその腕から光の刃を形成した。
「「「わーっ!」」」
「わぁっ、ルンバさん、レーザーソードですね!」
 はしゃぐ子供たちの中でも、いちばん声が大きいのがアイである。ルンバを取り巻くように座った子供たちに混ざってパフォーマンスを見るアイは、ルンバの披露するレーザーソード演武や腕をビーム射出用の砲身に変形させるギミックの展開などのパフォーマンスに子どもたちと一緒になって喜んでいた。
「……」
「……はっ、い、いえ、子どもたちよりも私がはしゃいでるとか、そんなことはナイデスヨ?」
 弁明するようにアイは首を振った。違うんですよ、会場を盛り上げているんです。若干刺さるような視線を感じつつ、アイは言い訳した。
「そ、それよりほら!みんな、見てください!ルンバさんが変形しますよ!変形!」
「「「わーっ!!」」」
 と、ここでアイが子供たちの視線を誘導。若干変な感じになりかけた空気をもとに戻す。子どもたちはルンバの披露するパフォーマンスに夢中だ。特に男の子は、どこの世界においてもロボットが好きなのである。
 続けて再びレーザーソード演武。ビーム砲のデモンストレーション。変形機構の披露――いくつものパフォーマンスで子どもたちとアイを楽しませ、時間にして小一時間ほど経った後。
 子どもたちとの交流を終えたルンバとアイは、子どもたちにまたねと手を振りながら保育室を後にする。またきてね、という子供たちの声に約束を交わしながら。
「……はっ、いまので閃きました!」
 ここで、ハーツ・テ・サブロの通路を歩き出しながらアイが叫んだ。
「どうした?」
 怪訝な表情でルンバがアイの顔を覗き込む。
「はい、わかったんです!子どもにも大人気なルンバさんの愛らしい外見!これは大きな武器になります……というわけで、惑星ロボはパンダの外見にしましょう!」
 グッとガッツポーズしながら、名案でしょうとアイが胸を張った。
 ――外装をパンダにする。
 それこそが、アイが行き着いた思念兵器搭載型戦闘マシンへの提案であった。
「なるほど、パンダ型ロボか。悪くない……」
 ルンバは頷いた。
 ――なお、現在建造されている思念兵器搭載型戦闘マシンはロールアウトする一機を猟兵たちで交代しながら運用することが前提だ。いわば共用の備品である。その外装を1人のためにカスタマイズすることは少々難しい。
「機体そのものをパンダにするのは難しいでしょうけど、たとえばパンダ型のサポートマシンとか!」
 アイは現実的な方向に提案の軌道修正をしながら検討した。
「ああ。さっきの子どもたちも、パンダ型ロボの姿を見ればきっと喜んでくれるだろう」
 ルンバも全面的にその提案を肯定しながら、2人はその行く先を開発担当の主任役を務めるツルヒメ女史のもとへと向ける。
『ロボの外装をパンダ型に』――。
 果たしてその提案は、どの程度採用されるものか。次章をお待ちいただきたい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シルヴィア・スティビウム
一人一機という訳にはいかないのね。一蓮托生だわ。
さて、そのようなものだから、作り上げるにも手は抜けないわね
とはいえ、私の知識は近代兵器止まり……。もっとマウレファから情報を引き出せばその限りではないでしょうけど……
まあやれることからやりましょう
力仕事などは得意ではないから、必要資材の鉱床に出向いてみましょうか
私が提供できるのは、くだもの、セドナからの贈り物、それから怪我や病気の治療といったところかしら。
どれもそれほど不足しているとは思えないけれど……無償でいただくわけにはいかないもの
根気よく交渉しましょう
さあケガ人を出しなさい。



「一人一機という訳にはいかないのね。一蓮托生だわ」
 シルヴィア・スティビウム(f25715)は嘆息した。
「さて……そのようなものなら、手は抜けないわね」
 シルヴィアはエアロック・ゲートを通過しながら、船の内部へと足を踏み入れる。彼女はハーツ・テ・サブロのスポンサーを務めるスペースシップへと赴いていた。
 ――軍産複合企業スペースシップ、『ヴァン・ダイ』。
 強化型外装、機動兵器、宇宙火器、果ては生体兵器まで――スペースシップワールドにおいても最も多くの兵器を扱うと言われる、いわゆる“武器商人”だ。
 プロジェクト・ハーツ・テ・サブロが完成を目指す思念兵器搭載型戦闘マシンは、惑星規模のサイズの機会である。であるが故に、その躯体を構成するのに必要とされる物資の量はそれこそスペース天文学的な数字だ。それだけの物資を調達するには、当然ながら多くの支援者の協力が必要となる。その中でもスペースシップワールド中でも強い影響力と資金力を持つ軍産複合企業スペースシップ『ヴァン・ダイ』の支援は必要不可欠といえた。
「……まあ、やれることからやりましょう」
 相手は海千山千の強者に違いない。交渉は慎重に行わなければならない。ここでどれほどの譲歩を相手から引き出せるか、というところに、プロジェクト・ハーツ・テ・サブロの。ひいてはスペースシップワールドの未来がかかっているのだ。シルヴィアは気を引き締める。
「やあ、どうも――お初にお目にかかります」
 応接室のひとつに通されたシルヴィアの前に姿を見せた男は、ヴァン・ダイの中でも上層部に位置する重役であった。仕立てのよいコズミックフォーマルスーツが映える壮年の男性である。
「よろしくお願いします」
 シルヴィアは楚々とした仕草でお辞儀をする。かしこまらずとも、と男は手を振った。
「……それで、交渉にいらした――ということでしたね」
「はい」
 2人はテーブルを挟んで席に着き、静かに向かい合う。
「……こちらとしても、無条件でとは言わないわ。こちらから提供できるものは、メリットとしてそちらに提示させてもらいましょう」
「ほう」
 男は興味深そうに目を細めた。僅かに腰が浮く。
「そんなに期待されても困るわね……」
「ああ、これは失礼を……職業柄、どうも損得の話には目がなくなってしまいまして。……それで、提示いただけるものとは?」
 宇宙放射線遮断ゴーグルの向こうで、男の双眸が光ったのをシルヴィアは感じた。
「……まずは、ご挨拶がわりにこちらを」
 シルヴィアがスーツケースを開く。中から取り出されたのは上質なブランドの葡萄である。――地上で育った果実は、スペースシップワールドにおいては貴重なものだ。男は短く嘆息した。
「しかし、よもや果実一房で交渉のテーブルにつこうというつもりはありませんでしょうな」
 しかして男は表情を引き締める。短い緊張感。一瞬の沈黙を挟んで、シルヴィアは頷いた。
「では――医療の提供を」
「ほう?」
 男が目を瞬いた。
「ええ。私にとっては得意分野なの」
 シルヴィアは手の中に銀の光を灯す。――アイン・メス・ザオム。彼女の得意とするユーベルコードのひとつだ。それは他者を癒す治癒の魔術である。
「……対価として不足かもしれないけど」
「いえ、いえ。結構結構」
 男はその光を見ながら、口の端を吊り上げて頷いた。
「よろしい。その心意気で結構です。……ははは、ハーツ・テ・サブロが元から『お得意さん』でしたからね。そもそも支援要請を断るつもりはありませんよ」
 そして、ヴァン・ダイの男は少々意地悪そうな表情を浮かべながら笑い声を漏らした。
「その上、今回のプロジェクトはスペースシップワールドの一大事……。勿論、我々ヴァン・ダイとしても強力は惜しみません。すぐに物資の手配をしますよ」
「でも、無償でいただくわけには――」
「ええ、そうですね。では、貴方には今日一日、こちらの医務室でスタッフのケアに協力していただくことと致しましょう」
 男がぱちりと指を鳴らす。シルヴィアの手元に情報端末がひとつ転送され、更に起動した端末がヴァン・ダイの案内図を展開した。
「その端末が医務室まで案内します。……ああ、それと、支援物資の目録もそちらに転送しますから、後程ご確認ください」
「手際がいいわね」
「ええ、いつ要請が来るかと思って構えておりましたので」
「なるほど。……話が早くて助かったわ」
「はっはっは。……では、ハーツ・テ・サブロの勝利を願っています」
 シルヴィアは頷いて席を立った。一度頭を下げると応接室を出て、開かれた端末が案内する医務室へと足を向けていく。
「さあ、ケガ人を出しなさい」
 その第一声とともに、かくしてシルヴィアはヴァン・ダイの医務室へと入り込む。かくして、彼女は物資的な支援の約束を取り付けるのであった。

 ――猟兵たちの協力により、思念兵器搭載型戦闘マシンの建造は開始されている。
 シルヴィアの尽力によって、建造に必要な物資も必要な量が届けられることであろう。あとは、作業がつつがなく進んでゆくことを祈るのみだ。
 スペースシップワールドの人々の夢と祈りを乗せて、プロジェクト・ハーツ・テ・サブロは進捗を進めてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『クエーサービースト・マインドミナBVA』

POW   :    BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD   :    BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『がんばれ!ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)!』

 ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)は、ハーツ・テ・サブロ(はあつ・て・さぶろ)で完成(かんせい)した、さいきょうのロボット(ろぼっと)だ!
 猟兵(いえぇがぁ)のみんなのちからをあわせて、クェーサービースト(くぇえさあびいすと)をやっつけるぞ!

 ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)は44体(たい)のスーパーメカ(すうぱあめか)が合体(がったい)する、すごいロボット(ろぼっと)だ!合体(がったい)するメカ(めか)がかたちを変(か)えたりすることで、いろいろなフォーム(ふぉおむ)にかわるぞ!


・ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ) バトルフォーム(ばとるふぉおむ)
 バトルフォーム(ばとるふぉおむ)はヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)のいちばん基本的(きほんてき)なかたちだ。
 ヴィクトリーブラスター(う゛ぃくとりいぶらすたあ)やヴィクトリーミサイル(う゛ぃくとりいみさいる)などのすごい武器(ぶき)で、クェーサービースト(くぇえさあびいすと)をやっつけるぞ!

・ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ) ニンジャフォーム(にんじゃふぉおむ)
 ニンジャフォーム(にんじゃふぉおむ)はすばやい機動力(きどうりょく)でたたかうぞ!ヴィクトリーニンジャソード(う゛ぃくとりいにんじゃそおど)や、ヴィクトリーシュリケン(う゛ぃくとりいしゅりけん)などのぶきのほかに、ヴィクトリー分身(う゛ぃくとりいぶんしん)などの宇宙超忍法(うちゅうちょうにんぽう)もとくいなんだ!

・ヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ) オーラフォーム(おおらふぉおむ)
 オーラフォーム(おおらふぉおむ)のヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)は、武器(ぶき)をもたないかわりに強力(きょうりょく)なパンチ(ぱんち)やキック(きっく)でたたかうぞ!それだけではなく、オーラ(おおら)のパワー(ぱわあ)をつかった必殺(ひっさつ)の宇宙拳法(うちゅうけんぽう)もすごいんだ!

・ほかにもヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)はいろんなすがたに変(か)わることができるぞ!なかには、あたまがパンダ(ぱんだ)になってるフォーム(ふぉおむ)も……?

「どうだ!まいったか!」
 やったあ!クェーサービースト(くぇえさあびいすと)にヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)のワザ(わざ)がさくれつだ!
「おのれヴィクトリーハーツ(う゛ぃくとりいはあつ)!」
 ――以上が、スペースシップワールドで発行されるスペース幼年誌『たのしいおともだちマガジン』に掲載された、プロジェクト・ハーツ・テ・サブロの成果である小惑星級思念兵器搭載型戦闘マシン、その名も『ヴィクトリーハーツ』の概要である。

 スポンサーでもある『たのしい宇宙を創る宇宙軍産複合企業 ヴァン・ダイ』の助力もあって完成したその機体は、猟兵たちとハーツ・テ・サブロの人々の願いを受け、力強く宇宙へとその一歩を踏み出した。
 ――完成までの日数と、戦闘機能を重視したが故に、そして試作段階を脱することができぬ故に、そのマシンの外観が多少不格好であることは許してほしい。開発スタッフのチーフ役を務めたツルヒメ女史は、徹底的に憔悴しきった顔でそれだけ言い残したが、しかして、機体性能は想定されていた水準に達している。

「皆、よくやってくれた」
 ゴレンジア艦長が重々しくうなずき、ハーツ・テ・サブロの艦橋より完成したヴィクトリーハーツの機体を仰いだ。
「……しかし、完成しただけでは意味はない。……そうだ。何をどう取り繕ったところで、これは戦うための兵器である。だからこそ……その性能を、示さなくてはならない」
 ――ハーツ・テ・サブロは、船体を動かし宙域を移動していた。
 向かった先は――未踏宙域。すなわち、クェーサービーストの潜む暗黒の領域である。
「皆、覚悟を決めろ。これより我々ハーツ・テ・サブロ、及び思念兵器搭載型戦闘マシン『ヴィクトリーハーツ』は、戦闘マシンの稼働試験及びクェーサービースト駆逐作戦を開始する!」
 そして、作戦は発令される。
 ハーツ・テ・サブロ、そして猟兵たちの乗り込んだヴィクトリーハーツの内部でけたたましく鳴り響くサイレン音!機体のレーダーは、接近するクェーサービーストの姿を捉えていた!
「各員に告ぐ――ゆくぞ!すべての力を結集し、敵を倒すのだ!」
 かくして、戦いが始まる!
ミーティス・ミーティア
※BGM効果音などお任せします

竜型マインドを騎乗する様に操作し戦線へ
そう……こんな所でやられる訳にはいかないよ!
念力転身! マインドチェンジャー!
天に瞬く流れ星! ミーティス・ミーティア
人型のオーラフォームに転身だァァッ!!

更に自らのユーベルコードを上乗せし
機体は真の姿めいた巨大な翼を生やし鎌を手にする
念動招来! 超常武人流星王!
え、名前が違う? イイのよ細かい事は!
全ては皆を守る為に!

防御力を代償に超殺戮形態になるんだったら
こちらも無限にマインドで装甲を生やし続けて
敵の中枢へ突撃だだだッ!

引き剥がされた敵のマインド外殻を出来れば利用したいわね
念動力で搔き集めて盾代わりにして大圧殺してやるわ!


レパル・リオン
うわぁーっ!すっごぉーーいっ!でかい!強そう!危ない!クェーサービーストとの宇宙大決戦よ!
行っくわよ、ヴィクトリーハーツ!太陽よりも燃える心を見せてやるわ!

ヴィクトリーハーツ:オーラフォームで出撃!相手がどんな兵器で対抗してくるか知らないけど、まずはオーラをまとって突進よ!
オーラ塊をパンチに変えて、オーラのラッシュで兵器をぶっ壊す!
オーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラ!

懐に踏み込んで、必殺技よ!
その名も、超惑星級・竜咆拳(プラネティカ・ドラゴンブレス)!


エダ・サルファー
開発スタッフのみんなのお陰で素晴らしいロボは出来た!
ならば次は我々が、ロボと一緒にクエーサービーストを倒す番だ!
さあ行くぞヴィクトリーハーツ!お前の力を見せてやれ!

……しかし凄いなこれ。
このサイズなのに私のイメージ通りに手足が動くし、運動性能も注文通りだし、何より本当にいわゆる「氣」を反映してくれてるじゃないの!
呼び方も性質も様々な、ヒトが秘めてる不思議な力をよくもまぁ……
これなら私の格闘術も完全に再現できるってもんよ!
さあ!私の拳よ唸れ!
スペースシップワールドの明日を変えるために、お前を倒せるってところを証明してみせるぞ!マインドミナBVA!
このサイズの聖拳突き、喰らえばただじゃすまないぜ!



 そして、マインドミナBVAは駆動した。
 それが確固たる意志をもった行動であるのか、単純な本能と代謝による反応であるのかは今は判別はつかない。
 たったひとつ確かなことは――この怪物は、猟兵たちとスペースシップワールドの人々の敵である、という一点のみである。

「開発スタッフのみんなのお陰で素晴らしいロボは出来た!ならば次は我々が、ロボと一緒にクエーサービーストを倒す番だ!」
 エダ・サルファー(f05398)は操縦席からモニター越しにクエーサーの全容を捉えた。
「うわぁーっ!すっごぉーーいっ!でかい!強そう!」
 レパル・リオン(f15574)はモニターに映し出された敵の威容に声をあげた。
『よろこんどる場合じゃないぞー!戦闘準備できとるか!交戦距離到達まで10秒!9、8、7……』
 通信機越しにツルヒメ女史の声が操縦席へと届けられる。既に敵性クエーサービーストは戦闘機動を開始していた。その外殻がギャリギャリと音をたてながら戦闘形態へと変化し始めている!
「よし――いきましょう!」
 ミーティス・ミーティア(f28473)はマインドを通じて搭乗した戦闘マシンへと意志を繋げる。
「念力転身!マインドチェンジャー!」
『おおッ!』
『いけッ!気力で勝利だ!』
 気合のこもったミーティアの声に応じてマシンが形を変えてゆく。連動して44体の合体メカがフォーメーションを変え、そして連結する躯体は人体を模した四肢を備えた戦闘形態を形作るのだ!
「オーラフォームに転身だァァッ!!」

『勝利だ!ヴィクトリーハーツ』 作詞・無限宇宙人 カノー星人

 無限に続く 宇宙(そら)の闇を
 切り裂き飛ぶ 無敵の魂
 唸る鋼 燃える心 正義のハートをいま ひとつに
(合体!ヴィクトリー・フォーメーション!)
 魔法!忍法!宇宙拳法!力をあわせて
 突撃!電撃!とどめの一撃! 
 繋いだ心が勝利のかなめさ
 たたかえぼくらの ヴィクトリーハーツ

 ――戦闘機動コードを入力された躯体が合体を遂げ、そしてヴィクトリーハーツ・オーラフォームが完成する!同時にメインの操縦権がミーティスへと委任された。
「念動招来!超常武人流星王!」
『流星王!?』
『名前がちがうぞ!?』
「イイのよ細かい事は!」
 思わず素の喋りでツッコミを躱すミーティスは、しかして意識を目の前の敵へと集中する。
 マインドミナBVAは既に眼前に迫りつつあった。【BVAジェノビック】!吼えるクエーサービーストの躯体がヴィクトリーハーツめがけて迫りくる!
「全ては皆を守る為に……!」
 だが、ミーティスは怯まない。【正義の誓い】が彼女の勇気を支えた。
「マインド……!アタシの意志にこたえて!」
 躯体が光を纏う。搭載された思念兵器を通じて増幅したユーベルコード出力が機体を包み込んだ。光が翼めいて広がりながら、ヴィクトリーハーツは正面からマインドミナBVAを迎え撃った。激突!轟音!
「くッ……!」
 マインドミナBVAは外殻にドリルめいた回転する質量兵器を生成し、それによってヴィクトリーハーツの装甲を削りにかかった。だが、ヴィクトリーハーツはそれを抑え込む。正義の誓いがその躯体を支える限り、ヴィクトリーハーツは砕けない。――しかし、敵の攻撃もまた強力であることは事実だ。
「……こんな所でやられる訳にはいかないよ!」
 ミーティスはぎり、と歯を噛み鳴らし、自分自身に喝を入れた。気力だ!彼女の身の内で“氣”が熱く燃え滾り、そして氣はヴィクトリーハーツの躯体へと伝播する!
 轟音!ヴィクトリーハーツは氣の循環によってその出力を増し、マインドミナBVAの殺戮兵器をへし折った!その勢いのまま外殻を引っぺがす!
「このまま、中枢に突撃……」
 ――だが、ここでミーティスは全身に圧し掛かる重篤な疲労感に襲われる。そう、思念兵器搭載型戦闘マシンがパイロットへとかける負担は非常に大きい。限界が近づきつつあったのだ。
「危ない!……ここからは私が操縦をかわるわ!」
 ここで操縦権の交代が行われる。接続先をシフト。ミーティスよりレパルへ!
「よーし……クェーサービーストとの宇宙大決戦ね!行っくわよ、ヴィクトリーハーツ!太陽よりも燃える心を見せてやるわ!」
 レパルは気合の叫びとともにヴィクトリーハーツを駆動させた。位置取りは既に敵の眼前。殴り合いの至近距離だ。――ミーティスの活躍により、既に敵の外殻は剥がされている。
「このまま一気にやっつけるわ!ラッシュでぶっ壊すわよ!」
『よォし、いいぞ!活き活きの湧き沸きだ!』
 ハーツ・テ・サブロの人々の応援の声を聞きながら、レパルはマシンを駆動させる。オーラの力を引き出しながら、その光を拳にしてクエーサービーストへと撃ち込むのだ!
「オーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラオーラ!」
 怒涛の連打!打撃打撃打撃打撃!打打打打打打ッ!マシンガンめいて撃ち込まれるオーラの拳がマインドミナBVAを砕いてゆく!
 マインドミナBVAは反撃のために再び殺戮兵器の構築を試みるが、レパルの放つオーラ打撃のラッシュはクエーサービーストが兵器を作り上げるより先に次々に破壊してゆく!
「反撃の隙なんかあげないんだからね!そして必殺技よ!その名も……」
 そして、レパルは握った拳へと更に力を込めた。短い呼吸。一拍の間を置いて、己が身の内のユーベルコードを励起する。
「超惑星級・竜咆拳(プラネティカ・ドラゴンブレス)!」
 【竜咆拳/ドラゴンブレス】!至近距離から叩き込む、強力な正拳突きである!轟音!衝撃!ヴィクトリーハーツの拳がマインドミナBVAを叩き砕く!クリーンヒットだ。マインドミナBVAは衝撃に震え回転しながら反動で大きく吹き飛ばされた。
「ッ、ふう……」
 しかし、ここでまた稼働限界だ。重くのしかかる疲労感がレパルの動きを押し止める。
「よし、ここからは私がやるよ!」
「ええ、お願いするわ……!」
 そして操縦権が移行する。――マインドを通じて機体と“繋がる”感覚。エダはゆっくりを息を吐きながら拳を握った。応じて、ヴィクトリーハーツが構えをとる。
「……しかし凄いなこれ」
 呼吸と共に、丹田で練り上げた氣をエダは全身へと巡らせた。呼応するように、ヴィクトリーハーツの機体をエネルギーラインが流れてゆく。
「このサイズなのに私のイメージ通りに手足が動くし、運動性能も注文通りだし……何より本当に、いわゆる“氣”を反映してくれてるじゃないの!」
 ヴィクトリーハーツ・オーラフォームは、44体のマシンのエネルギーラインや情報伝達ネットワークを、可能な限り人体の神経系やいわゆる経絡に近づけた設計をしている。それは即ち、人体のもつ神秘の力を電子的に再現するために編み上げられた機構だ。
「気功、オーラ、プラーナ……呼び方も性質も様々な、ヒトが秘めてる不思議な力をよくもまぁ……」
 感覚を確かめるように、エダは拳を握った。
「これなら私の格闘術も完全に再現できるってもんよ!」
 そして、エダは前進する。ヴィクトリーハーツが宇宙を飛ぶように翔けた。猟兵たちのユーベルコードを叩きつけられたマインドミナBVAは、態勢を立て直すのに時間をかけている。それは攻め入る好機であった。
「さあ!私の拳よ唸れ!スペースシップワールドの明日を変えるために、お前を倒せるってところを証明してみせるぞ!マインドミナBVA!」
『そうだ!いけ!』
『黄金(きん)のオーラに生命を燃やすのだ!』
 ハーツ・テ・サブロの人々から声援が届く。エダはその声に背を押されるように更に機体を加速。練り上げた氣を拳に収束させるイメージ。ヴィクトリーハーツの拳に再び光が宿る。
「このサイズの聖拳突き、喰らえばただじゃすまないぜ――くらえ必殺!」
 そして、再び接敵!ヴィクトリーハーツがクエーサービーストの躯体を捉える!
「聖、ッ拳!突きぃッ!」
 【必殺聖拳突き】!極限まで練り上げられたオーラのパワーが、再びマインドミナBVAを叩いた!悲鳴めいた粉砕音と共に破片を撒き散らしたクエーサービーストがまたも吹き飛んでゆく!
「はあ……はあ……なるほど……!たしかに、これはしんどいね……!」
 だが、ユーベルコードを放ったエダにもまた重篤な疲労感が圧し掛かった。これ以上の継戦は不可能だ。――対し、クエーサービーストは半壊した状態でありながらもまだ健在であった。ぎちぎちと音をたてながら、外殻上に再び殺戮兵器を構築しようとする様子が観測できる。
『……上等じゃ!3人ともようやった。一旦下がってコントロールを渡すんじゃ!』
 ハーツ・テ・サブロのツルヒメ女史からの通信が操縦席に届く。
「ええ……。わかったわ」
「了解よ!やっつけられなかったのは悔しいけど……!」
「ああ、あとは任せたよ」
 3人は頷いてヴィクトリーハーツの機体を後退させる。

 ――この交錯において、そのパワーを発揮したヴィクトリーハーツはクエーサービーストに大きなダメージを与えることに成功した。
 しかし、マインドミナBVAは大きなダメージを負いながらも未だに健在だ。思念兵器搭載型戦闘マシン、ヴィクトリーハーツの戦いはまだ始まったばかりなのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、そういうことですかぁ。
スポンサー様に恥ずかしくない戦いにしたいですねぇ。

『バトルフォーム』をベースに『FRS』に似た『自動砲台』を展開した状態で挑みましょう。
【仰域】を使用し『乳白色の波動』を纏いますねぇ。
この『波動』は、相手の『ユーベルコード』や『攻撃手段』を吸収、此方のエネルギーに変換する物ですから、その【UC】や『攻撃力手段』が強い程、効果も高まりますぅ。
全て吸収出来るかは不明ですが、『吸収したエネルギーを乗せたオールレンジからの[砲撃]』を、低下した体に撃ち込まれれば、相応のダメージになるでしょう。

後は、私自身に『吸収し過ぎの負担』がどう出るか、ですねぇ。


シルヴィア・スティビウム
さて、お仕事の時間だわ……
私の魔術がどこまで再現されるかわからないけれど、最大の射程を持つものといえば、このユーベルコードしかないわ
チャンスは一度きり。照射時間にも限りがある。
ありったけの属性攻撃を捨て身で行うわ。
私の順番は後に回ることになるでしょうから、その間は魔術の構築にあてましょう。
無限に変化する外殻は、私の魔術を再現するようだけれど、特性まで真似る勤勉さがあるなら、威力を出すため長い詠唱が必要なことも真似るはず。
あなたの外殻にそれができて?



『いやあ、素晴らしい』
 ヴィクトリーハーツの操縦席へと通信機越しに声が届く。軍産複合企業スペースシップ『ヴァン・ダイ』の代表を務める男からの通信であった。
『我々も支援した甲斐があったというものです』
「ええ。せっかく支援してもらったんだもの。見合っただけのものをご覧に入れるわ」
 シルヴィア・スティビウム(f25715)は静かに呼吸を整える。駆動する動力炉の音を捉え、鉄の鼓動に自らの意識を重ね合わせ、同調してゆく。
「成程、そういうことですかぁ……」
 夢ヶ枝・るこる(f10980)はモニターの端に映し出された男の様子を見ながら頷いた。――惑星サイズのロボットの建造などという大仕事、やはり出資者が必要だったのでしょうね、と納得する。
「スポンサー様に恥ずかしくない戦いにしたいですねぇ」
『ああ、期待しているよ。……何しろ、猟兵の皆さんの戦いは世界中の注目の的だからね』
 それはスポンサーであるヴァン・ダイにとっても利のある話、ということである。勿論、彼らが満足する戦いを見せることができれば、であるが。
「お喋りの時間はもうなさそうね。お仕事の時間だわ……」
「そうですねぇ。……きますよぉ。私からいきますねぇ」
 ――敵性体に動きあり。クエーサービースト・マインドミナBVAは先の戦いによるダメージから態勢を立て直し、そして再起動。再びヴィクトリーハーツへと襲い掛かりにきたのだ。
「ヴィクトリーハーツ、バトルフォームへ変形しますぅ」
 がきん、ッ。44体のマシンが駆動し、ヴィクトリーハーツの躯体が再構成される。バトルフォームは標準的な火砲を備えた基本的な戦闘形態だ。50000ミリ口径光線砲ヴィクトリーブラスターや2000連装ヴィクトリーミサイルなどを備える。
「こっちは準備に時間が要るの。しばらくそっちに任せるわ」
 シルヴィアは操縦席で精神を集中させながら術式を練り上げ、魔力を高めてゆく。――十分な準備を整えた上で、必殺の一撃を叩き込む心算だ。
「わかりました。時間をつくりますねぇ」
 るこるは頷きながらマシンを駆動させた。同時に、ビット兵器めいた自律型の機動砲台を展開する。マインドミナBVAは構わず加速しながら接近。るこるは機動砲台からの砲撃で牽制するが、クエーサービーストは速度を落とさない。更に加速――そして激突。
「強引に来るんですねぇ……。ですが……負けませんよ」
 【豊乳女神の加護・仰域】。
 マインドミナBVAがヴィクトリーハーツに激突する――その瞬間である。るこるの展開したユーベルコードは、白い光のヴェールとなってヴィクトリーハーツを包み込んだ。
 衝撃――!ヴィクトリーハーツの機体が揺らぐ!しかし、同時にその激突によって生じる破壊的エネルギーを仰域の力場が吸収し、ダメージを大きく緩和したのである。
「完全に吸収はしきれませんでしたか」
 重篤なダメージには至らなかったにせよ、機体は大きく揺らがされた。マインドミナBVAは更なる追撃を加えるべく、外殻を殺戮兵器へと変異させようとしている!このまま無防備に何度も受けてしまえばユーベルコードを展開しているとはいえ、致命的な損害を被ってしまうだろう。
「ですが、これほどのパワーなら……!」
 だが、るこるとて黙ってはいない。展開した力場は叩きつけられた攻撃のエネルギーを吸収し、自身の力へと変換するものだ。クエーサービーストの攻撃は強力である。であるが故に、彼女はそのパワーを利用する方策に出たのである。
「お返ししますよぉ」
 出力は十分だ。るこるは吸収によって生じたエネルギーを機体と機動砲台へ流し込み、そして放つ。ヴィクトリーブラスターと機動砲台からの一斉射!放たれる光の奔流がクエーサービーストを押し流す!極彩色の閃光がマインドミナBVAを灼いた。
「……っ、ふぅ」
 ――だが、ここでるこるの身体は急激に重篤な疲労感に襲われる。思念兵器を用いた戦闘機動はユーベルコード一回分が限度。そのリミットが訪れたのである。
「十分よ。操縦権をこちらに渡して」
 シルヴィアは自身の操縦席からるこるへと呼びかけた。頷くるこるは回線を切断。操縦権をシルヴィアのもとへと譲渡する。
「よし」
 シルヴィアはその精神をヴィクトリーハーツの躯体へと深く同調していた。
 フラスコチャイルドという被造物である彼女の存在は、同じく人に作られたものであるマシンと相性がいい。唸るリアクターの振動は彼の鼓動。壁を走るエネルギーパイプは彼の血管。そこに生命を見出した彼女は、思念兵器を通じてヴィクトリーハーツと意識を重ね合わせた。
「いけるわね」
 鉄の躯体の隅々にまで意識を行きわたらせる。――そして、自分自身の身体に魔力を巡らせるように、機体の内部へと魔術式を届けてゆく。
「チャンスは一度きり。ありったけぶつけるわ」
 魔術師が杖を構えるように、ヴィクトリーハーツがブラスターの砲身をクエーサービーストへと向けた。光る魔法円が砲身の表面へと無数に浮かび上がり、そして組み上げられた術式がここに完成する。
 その光を目の前にしたクエーサービーストは、明らかに警戒の色を見せた。回転しながら態勢を立て直し、不気味に揺れ動く。そして、体表に光の魔法円を描き始める――【BVAリモーフ】。シルヴィアのユーベルコードを複製するつもりなのだ。
「私の魔術を再現するつもり?」
 機体のモニター越しにそれを見るシルヴィアは、静かに息を吐く。
「……だけど、特性まで真似る勤勉さがあるなら、威力を出すため長い詠唱が必要なことも真似るはず。でしょう?」
 ヴィクトリーブラスターの砲身に光が満ちた。
「茫漠の果てより生まれ出でるもの、創めであり終わりを齎すもの、輝きであり闇を齎すもの、来たれ蒼穹を焦がす極光……」
 【破天の暁光/アグニスアルクス】。
 それは光の濁流であった。マインドミナBVAは対抗するように光を放ったが、その威力はシルヴィアが放つものには大きく及ばない――詠唱時間に応じて威力を上昇させる特性上、このユーベルコードは“先んじて準備をしていた方が強い”のだ。後手に回ったマインドミナBVAの複製ユーベルコードでは、十分な時間をもって詠唱を完成させていたシルヴィアに勝つことはできない。圧倒する光が模倣魔術を叩き潰し、そして敵の姿を呑み込んだ。
「このまま……ッ!」
 クエーサービーストの躯体にひびが入る。ぱき、と音を立てて、崩壊の足音が聞こえた。戦いの様子を見守っていたハーツ・テ・サブロの人々が息を呑む――しかし。
「……!」
 ――ここで光が途絶える。ヴィクトリーハーツのエネルギーが急速に低下を始めた。シルヴィアの体力も底を尽きる。限界が訪れたのだ。
「ここまでみたいですねぇ……」
「……ええ。一度後退するわよ」
 幸いにして、敵は動きを止めていた。撃破には至らなかったが、それでもこの交錯ではクエーサービーストに大きなダメージを与えることに成功している。
『いい仕事でしたよ、お二人とも』
『ああ、よくやった。……あと一息だ。次のパイロットに交代してくれ』
 ハーツ・テ・サブロからの通信がそれぞれの操縦席へと届けられる。シルヴィアは頷いて操縦権を放棄し、次の猟兵へとバトンを繋いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
ルンバさんと

「いよいよ、ヴィクトリーハーツでクエーサービーストとの対決ですね!
行きましょう、ルンバさん!」

ルンバさんと私、二人で一緒にメインパイロットとしてヴィクトリーハーツを操縦します。
ルンバさんがメインパイロットで、私がサブパイロットのナビゲーターです。

「ルンバさん、ヴィクトリーハーツ、パンダ・フォームに変形完了です!
全武装、オールグリーン、いつでもいけます!」

クエーサービーストの動きをレーダーに捉えながら、ルンバさんのアシストです。

「ルンバさん、ヴィクトリーハーツの必殺技、パンダキャノンの発射準備完了です!」

ルンバさんの攻撃に合わせて【アインシュタイン・レンズ】を放ち、合体攻撃します。


ルンバ・ダイソン
ここからが本番だ。アイさんと二人でコックピットに乗り込む。メインパイロットは俺が務めよう。

「ウォーマシンの俺がロボットを操縦するというのも妙な気分だがな」

コックピットに乗り込む際はアイさんが転ばないように後ろに詰めておこう。俺の体重ならたとえアイさんと激突してもビクともせん。

アイさんのナビに従い、敵の戦力を削っていくぞ。

今だ、ヴィクトリーハーツ、パンダフォームチェンジ! 

「そこか! 直撃させる!」

アイさんのレーザーに合わせてプラズマクラスターキャノンを口から発射だ!



「行きましょう、ルンバさん!」
「ああ!メインパイロットは俺が務めよう」
 ルンバ・ダイソン(f13195)とアイ・リスパー(f07909)は、複座式コクピット内で声をあげた。
 2人は協力してヴィクトリーハーツを駆動させているのだ。メインパイロットはルンバが務め、サブパイロットとしてアイがサポートを行うかたちとなる。
 マインドミナBVAはその躯体をぎゅるりと回転させながら、2人の駆るヴィクトリーハーツへと身体を向けた。その装甲は既に大きく損傷していたが、マインドミナBVAはそれでも戦闘継続の意思を示す。
「ウォーマシンの俺がロボットを操縦するというのも妙な気分だがな」
「感傷に浸る時間ないですよ、ルンバさん。敵、もう目の前!」
「ああ!」
 ぎゅおん、ッ!轟音と共に迫りくるクエーサービースト!強襲!回転する躯体がヴィクトリーハーツへと襲い掛かる!
「回避機動お願いします!同時にフォームチェンジ!」
「わかっている!交代と同時に変形シーケンス……オープンハーツ!」
 アイとルンバは機体を後退させながら、一度合体を解いた!44体のマシンがばらばらに散り、宇宙に漂う部品と化す!その隙間をクエーサービーストが通過した!
「今だ、ヴィクトリーハーツ、フォームチェンジ!」
「スペースビーストパワー……オンッ!」
 即座に2人は変形シークエンスを開始する!一度分離した44機のマシンを再合体!組み上がるマシンは、ややいびつな人型――否。それはやや前傾姿勢の獣めいたカタチだ!
「ヴィクトリーハーツ・ビーストフォーム!」
 ヴィクトリーハーツ・ビーストフォームは、宇宙に存在するあまねく生命の姿を躯体に宿すワイルドパワーマシンだ。更に、ビーストフォームのみが更なるスタイルチェンジを行うことができるのである!
「シフト・ザ・ビースト!ファルコン・トゥ・パンダ!」
 ビーストフォームの基本形は猛禽を模した高速戦闘機動形態ファルコンシフトである。ここから、2人の強い要望によって搭載された重装戦闘形態パンダシフトへとスタイルをチェンジする。
「ルンバさん、ヴィクトリーハーツ、パンダシフトに移行完了です!全武装、オールグリーン、いつでもいけます!」
「了解した!このまま仕掛けるぞ!」
「はい!
 轟ッ!頭部パーツをパンダ状に入れ替えたヴィクトリーハーツがマシンの出力を上げ、機動する。ルンバは照星の先にクエーサービーストの姿を追った。
「現在の視点から16度右へ旋回してください!そこに敵ですよ!」
 アイは機体に搭載されたレーダーの情報を観測し、敵の現在位置を捉えている。その声に従ってルンバはマシンを駆動させた。――敵性を確認。ターゲット・インサイト!
「アイさん、武器は!」
「そう言うと思ってあっためてました!パンダキャノンの発射準備、完了してます!いつでも撃てますよ!」
 アイは既に攻撃の準備を行っていたのである。ジェネレーターの出力を上昇させ、パンダヘッド部に搭載した大出力の粒子砲へとエネルギーを送り込んでいたのだ。
「トリガー、任せました!」
「任された!――直撃させる!」
 そして、ルンバは引き金を引く。
 同時に機体をふたつのユーベルコード出力が駆け巡った。【アインシュタイン・レンズ】。そして【光芒の弩/プラズマクラスター・キャノン】である。同時に発生した2つのユーベルコードの光は重なり合いながらひとつに溶け合い、そしてヴィクトリーハーツの頭部から放たれる膨大な熱量の光の奔流としてクエーサービーストへと襲い掛かる!
「おおおおおおおおおおおッ!」
「いっけええええええ!」
 光条。
 そして、爆発。
 クエーサービーストの躯体に直撃した閃光は、超新星爆発もかくやというすさまじく巨大な爆発を起こした。炎の中にマインドミナBVAの姿が呑まれる!
 ――しかし。
「やったか……!」
「……いえ」
 爆炎が、晴れる。
 ――その中に、クエーサービースト・マインドミナBVAは未だ健在であった。
「流石にクエーサービーストということか……てこずらせてくれるな!」
「ですが、あと一押しですよ!……あとは、次の人に任せましょう」
 ユーベルコードを放ったことで、搭載された思念兵器により凄まじい負担をその身体にかけられた2人にはこれ以上の戦闘継続は不可能だ。2人は操縦権を譲渡し、一時的にヴィクトリーハーツのシステムから切り離される。
『よーしよし、お主らようやった!ようやったぞ!』
 ここで、ハーツ・テ・サブロから2人へと通信が届く。
『かっこよかったよ、宇宙パンダのおにいちゃん!』
 子供たちの声援も一緒だ。猟兵たちを応援する無垢な瞳が眩しい。――2人は、その声に笑顔で手を振ってみせた。

 かくして、クエーサービースト・マインドミナBVAとの戦いは終局へと近づいてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

舞塚・バサラ
【SPD】
行くで御座るぞ、忍びの機神よ。
今こそ我々の業術見せる時!

敵は巨大故に攻撃の面積が広いで御座る。
此方の機動性を見れば、広範囲、或いは此方の行動を詰める類の攻撃を使用してくるのは自明の理。故に相手の動きから数手先までを考えた上で動くで御座る(第六感、見切り、学習力、戦闘知識)
また、相手は巨大故にどうしてもその動作そのものは鈍重にならざるを得ない筈で御座る。
即ち、撹乱しつつ距離を詰めるのが勝利への一手に御座ろう(残像、ダッシュ、覚悟、存在感、目立たない、投擲、闇に紛れる)

近付けば此方の物。そして、某の一閃は…もう放ったで御座る(ギリギリまで接近してUC使用)(鎧砕き、早業、部位破壊)



「行くで御座るぞ、忍びの機神よ――!」
 舞塚・バサラ(f00034)はマシンの操縦桿を押し込みながら機体を駆動させる。
 ――フォーメーションチェンジ。ヴィクトリーハーツを構成する44機のマシンが形を変えながら機体を組み上げ、そしてここにヴィクトリーハーツ・ニンジャフォームが完成する!
『よーし、敵は既に爆発寸前じゃ!そのままとどめをさしてやるがよい!』
 ツルヒメ女史が拳を掲げて興奮しながら、バサラへと声援を送った。
「承知!」
 バサラは通信機へと短く返答を返しながら機体を繰る。ヴィクトリーハーツの他のどの形態よりも機動性に優れたニンジャフォームは、小惑星サイズの巨体からは想像もできぬほど素早く滑らかに動いた。
 だが、敵もただそれを黙って見てはいない。マインドミナBVAは既に半壊した躯体であったが、ヴィクトリーハーツを迎撃すべく機動した。
「やはり動き出したで御座るな……此方の機動性を見れば、広範囲、或いは此方の行動を詰める類の攻撃を使用してくるのは自明の理」
 ――故に、敵の手を読み、躱しながらその喉元に刃を突きつけねばならない。
「然らば、攪乱しつつ距離を詰めるのが勝利への一手に御座ろうな――」
『ワケミデコイを使うんじゃ!』
『カクレエフェクターもあるぞ!』
「なるほど」
 バサラはハーツ・テ・サブロからの声を頼りにマシンの機能を起動してゆく。宇宙超忍法・ワケミデコイの術。ニンジャフォームに搭載された、空間に立体的な虚像を投影する機構である!バサラはこれらの機能を十全に用いて、クエーサービーストの目をくらまし、迎撃の手を逃れながら間合いを詰めるつもりだ。
『それからヴィクトリーシュリケンじゃ!』
「承知!」
 バサラは更に機体を加速させながら、マシンに装備されたシュリケンランチャーから光子シュリケンを連射した。分身による攪乱と同時に襲い掛かるシュリケンの牽制が、クエーサービーストを翻弄する!
「近付けば此方の物――」
 戸惑うクエーサービースト。マインドミナBVAは迎撃のために外殻を変形させ、殺戮兵器による攻撃を仕掛けるが、爆ぜる殺戮ミサイルはデコイの虚像をすり抜け虚空で爆発した。殺戮ハンマーもまたシュリケンランチャーに軌道を逸らされ、ヴィクトリーハーツを捉えることができない。
「そして、某の一閃は……」
 ――交錯。
 マインドミナBVAがまごついている隙に、バサラは既に白兵戦距離までクエーサービーストとの間合いを詰めていたのである。
 バサラの繰る鉄の両腕の中で、ヴィクトリーニンジャソードがその白刃を閃かせる。
「もう放ったで御座る」
 両断――【陽術:不知火燕】!焔を纏うヴィクトリーニンジャソードは、クエーサービーストに最後の一撃を叩き込む!
 ヴィクトリーハーツから放たれた幾つものユーベルコードは、既にマインドミナBVAへと重篤な損傷を与えていた。――であるが故に、この一撃を耐え切ることはもはやできない。
 断ち切られたクエーサービーストの躯体が文字通り真っ二つに分かれ、断面より無数の火花を散らしながら――そして、爆発し灰塵へと帰す。

 ――戦いは、決した。
 ヴィクトリーハーツはかくして初陣を見事な勝利で飾り、その雄姿にハーツ・テ・サブロの人々が惜しみなく喝采を送る。44機の操縦席のすべてを、人々の声が満たした。
 クエーサービースト・マインドミナBVA――撃破。
 ヴィクトリーハーツの躯体も完全に無傷というわけにはいかなかったが――戦果としては、十分である。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『クエーサービースト・ヴァキアスEAT』

POW   :    EATグラトニウム
【周囲に蠢く存在を喰らいたいという暴食】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    EATマテリライズ
【外殻を物質を破壊する超振動モード】に変形し、自身の【喰らった栄養分の消化】を代償に、自身の【外殻の防御力・スピード・反射速度】を強化する。
WIZ   :    EATベルゼバブル
【あらゆる生物・物質を消化する分解液の霧】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「いいぞ、諸君。素晴らしい戦果だった」
 ハーツ・テ・サブロより、ヴィクトリーハーツに登場する猟兵たちのもとへとゴレンジア艦長の声が届く。
「もう十分だ。君たちもマシンも一度帰投して休息をとり給え。補給物資と受け入れの準備を――」
 ――だが、その時である。
 けたたましい警報音が突如として鳴り響き、ヴィクトリーハーツのコクピット内を満たした!
「何事だ!」
「……まずいぞ、艦長!新手のクエーサービーストじゃ!」
 悲鳴交じりの声で、ツルヒメ女史が叫んだ。
「皆、すぐにそこから退くのじゃ!新型のクエーサービーストが接近しておる!先の戦いで消耗したお主らでは、奴に勝つことは困難じゃ……!」
 ツルヒメ女史は撤退を推奨する。ヴィクトリーハーツはまだ試作段階のマシンだ。連続した戦闘は、無事を保証できない、と。
「……敵が逃がしてくれなかったら?」
 だが、ゴレンジア艦長がここで現実を突きつける。
「……しかし」
「相対速度を見たまえ。……どのみち振り切れはしない」
 押し黙るツルヒメ女史の横で、ゴレンジア艦長が息を吸い込んだ。
「そういうわけだ。……君たちにとっては厳しい戦いになる。無茶を頼んでいると思うことだろう。だが」
 そこから更に一拍を置いて。
「頼む。戦って、勝ってくれ」
 ゴレンジア艦長は、猟兵たちにそう指示した。

 ――轟音。咆哮。
 かくして新たなるクエーサービースト・ヴァキアスEATがヴィクトリーハーツへと迫る!
舞塚・バサラ
【SPD】
(深呼吸)よくある事で御座るな
まあ…劣勢覆しての猟兵で御座る
追加手柄が来たと思って一丁、やるで御座るか

真向は此方の状況から不可!
此処は兵装のデコイや諸々の残りを全開し、動作を見切る!(残像、見切り、情報収集、逃げ足、時間稼ぎ、ダッシュ、逃げ足)此処で某が敵の動きを探れば、幾らか戦いやすくなるで御座るかな…?

やはり、限界があるで御座るな?あの動きが無尽蔵に続く筈なし!
三號!出番ぞ!(人格交代)
うん、やるべきは、さいだい、さいそく、そして、さいうすの!(UC使用。得物に薄く巨大な影の刀身を拡張。)
そのうすいくちもとから!もらいうける!!(暗殺、破壊工作、部位破壊 ばっくり開いた口を狙う)


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
猟兵に無茶はつきものですからねぇ。
何とか頑張ってみますぅ。

形状柄「接近戦」が得意な様に見えますし、此方では無く『艦』を狙われると厄介ですねぇ。
最初はバトルフォームで[砲撃]、出来るだけ此方に注意を引きましょうかぁ。

此方に注意を向けましたら、増幅した【処檻】を使用、拡大した『乳白色の波動』を放ち『超重力空間』で捕えますねぇ。
これだけ巨大な存在なら、『超重力』で受ける影響も大きいでしょうし、派生する『棘』は相手が強い程威力が強化されますから、この様な強力な個体には特に有効ですぅ。

ところで、このクエーサービーストの体も何かの素材に使えたりしませんかねぇ?
『肉の味』にも興味が。



「――」
 舞塚・バサラ(f00034)は深く息を吸い、そして、静かに吐き出した。
「よくある事で御座るな」
 そして、口の端に薄く笑みを乗せる。
「まあ…劣勢覆しての猟兵で御座る。追加手柄が来たと思って一丁、やるで御座るか」
「猟兵に無茶はつきものですからねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(f10980)もまた操縦席で身体を動かし、感覚を確かめた。――大丈夫。疲労は残っているが、まだ戦えるはず。
「何とか頑張ってみますぅ」
『すまない……!』
「……ところで、このクエーサービーストの体も何かの素材に使えたりしませんかねぇ?」
『ウーン……サンプルを採取できれば調査してみるが。しかし、そのためにもまずは勝って帰還するのじゃ!』
「……実は『肉の味』にも興味が」
『食べる気!?』
「いや、案外いけるかもしれぬで御座るよ。宇宙モンゴリアンデスワームも食材として流通しているで御座るし――いや、話している余裕はないで御座るな。このまま某が仕掛けるゆえ、そちらは準備を」
「わかりましたぁ」
 バサラは操縦桿を握り、思念兵器を通じて機体へと意識を繋げる。ヴィクトリーハーツ・ニンジャフォームが静かに駆動し、迫りくるクエーサービースト・ヴァキアスEATに対峙した。
「……真向勝負は少々無理が過ぎるで御座るな」
 バサラは機体と自分自身の状態を冷静に把握しながら戦い方を思案する。正面衝突は恐らくパワー差で押し切られるだろう。ならば、ニンジャフォームの機能を活かした戦術をとるべきだ。思念兵器を通して、機体が戦闘機動を開始する。
 宇宙超忍法・ワケミデコイの術。搭載した映像投影機構がヴィクトリーハーツのかたちを虚像として映し出した。更にジャミングスモークを展開し、クエーサービーストの感覚器官を眩ませる。闇に隠れる宇宙忍者殺法の一端だ。
《VVvvVVvKKkKkkkKThThtHhhTThTH!!》
 対して、ヴァキアスEATは咆哮しながらまっすぐに突っ込んできた。ヴァキアスEATは自らの最大の攻撃手段を、その巨体そのものだと理解しているのだ。流星めいた速度で突進する――しかし、それが貫いたのはジャミングスモークの中に浮かぶ虚像である!
「見た目通り、直線的な機動が主で御座るか――であれば、御し易し!」
 バサラは更にワケミデコイを形成しつつヴァキアスEATの狙いを引きつけ、そして躱してゆく。
「そして――彼奴も『口』をもつ生き物ということは、食餌によるエネルギー補給が必要ということ。あの動きが無尽蔵に続く筈なし!」
 果たしてその判断は正しい。ヴァキアスEATのユーベルコードはいずれも獲物を捕食することを前提とする能力だ。そうした生命である以上、必ずエネルギー不足――すなわち空腹の瞬間が訪れる。
「動きが鈍ったで御座るな――三號!出番ぞ!」
 無形の貌がかたちを変えた。――多重人格者であるバサラは、その人格を切り替えることでもユーベルコードを起動する。第四人格“三號”が相貌を開く。
「――うん、わかってる」
 そして、ヴィクトリーハーツが再びヴィクトリーニンジャソードを抜いた。
「やるべきは、さいだい、さいそく、そして、さいうすの!」
 【いんじゅつ:はじゅん】――。三號は影を練り上げる。影は巨大な刃となってヴィクトリーニンジャソードを覆い、黒き影の大剣を編み上げた。
「そのうすいくちもとから!もらいうける!!」
 機動!ジャミングスモークの影に身を隠し、そしてヴィクトリーハーツが翔ける!――側面!ヴァキアスEATを急襲するヴィクトリーニンジャソードが、クエーサービーストの躯体を引き裂いた!
《VvVVvvvVvVVKKkKkKkkKkkththhhHHHTtTHhTThThhHT!!》
 悲鳴めいた咆哮とともに、毒々しい極彩色の体液を撒き散らしながらヴァキアスEATが跳ねるように暴れまわる!
「――っ、はあ!」
 バサラは機体を後退させながら態勢を整えた。しかし、バサラの身体と精神にかかる負荷は既に限界を大きく超過している。これ以上の戦闘は不可能だ。膝を屈しながら、バサラは機体の操縦権を手放した。
「あ、とは……まかせる」
「ええ、任されますねぇ」
 ここでるこるがバトンを受け取る。システム接続。操縦権が渡される。
「バトルフォームに、チェンジしますぅ」
 同時にヴィクトリーハーツを変形させた。ニンジャフォームから火砲戦闘形態のバトルフォームへ!
「『艦』を狙われると厄介ですねぇ……出来るだけ此方に注意を引きましょうかぁ」
 傷を受けた痛みに暴れまわるクエーサービーストの躯体をターゲットサイトに捉えながら、るこるは照準を定める。50000ミリ口径光線砲ヴィクトリーブラスター!収束する光と熱がヴァキアスEATへと襲い掛かる!
《VVvVvVkkKKkKkkKttThTtthHhHHhTttH!》
 光がヴァキアスEATの体表で爆ぜた。その躯体が向きを変え、ヴィクトリーハーツへと矛先を変える!
「こっちを向きましたねぇ……では」
 咆哮と共にヴァキアスEATが宇宙空間を駆け抜けた。そのまま食いちぎるつもりか。クエーサービーストはまっすぐにヴィクトリーハーツへと距離を詰める!
「捕えますねぇ」
 しかし、その路はるこるが閉ざす。――【豊乳女神の加護・処檻】。ヴィクトリーハーツを中心に、乳白色の波動は宇宙空間へと広がった。それは彼女のユーベルコードであり、支配領域である。
《VVvvVVvKKkKkkkKThThtHhhTThT!?》
 『処檻』は異常重力空間であり、内部に囚われたオブリビオンは超重力の圧に縛られる。更にその内部で圧縮されたオブリビオンの体組成は棘となってさらなる破壊をもたらすのだ。
「これだけ巨大で、強力な相手なら……特に有効なはずですぅ」
《vVvVVvkkKkkKkTThThttThhThhHHth!!》
 その威力を示すように、超重の檻の中でクエーサービーストが身を捩りながら悲鳴を上げた。動きを封じながら着実にダメージを与えることに成功している。実際、彼女のユーベルコードは有効ンはたらいていた。
「このまま、時間をつくりますねぇ……次の方、準備をお願いしますぅ」
 更にるこるはこのまま限界が訪れるまで敵を封じ込める方策に出た。先のマインドミナBVAとの戦いの中でも、準備時間を必要とするユーベルコードを用いる猟兵がいたはずだ。そうした次の一手へと、彼女は繋ぐ。

 クエーサービースト・ヴァキアスEATとの戦闘はこうして始まった。
 ――スペースシップワールドの人々が見守る中、戦いは続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レパル・リオン
なっなにィーっ!?これがッ!噂の新種クェーサービースト!!
だけどあたしは…立ち上がるのをやめない!力を合わせるわ、ヴィクトリーハーツ!コイツを倒して、未来を変えるのよ!

あたしの体から虹色の炎が溢れ出し、猟兵のみんなとヴィクトリーハーツを包むわ!
これぞ勇気の具現、【聖炎抱翼】!この炎でみんなを包み、体も心も癒すわ!
もちろんヴィクトリーハーツだって回復してみせる!うおおっ!

そして…このまま格闘バトルよ!小惑星サイズの回復力で、どんな攻撃も事実上ブロックよ!

本日のラストバトル、あたしはぶっ倒れるまで戦い抜くわ!
そしてヒーロー的サムズアップで仲間に後を託すわ!



「これがッ!噂の新種クェーサービースト!!」
《VVvvVVvKKkKkkkKThThtHhhTThT!!》
 襲撃!クエーサービースト・ヴァキアスEATは傷口から体液を撒き散らしながらも、奇怪な咆哮とともにヴィクトリーハーツへと攻め入る!
 レパル・リオン(f15574)は操縦権を受け取り、そしてオーラフォームへと変形しながらモニターに表示されたその威容へと対峙する。
「状況はよくない、ってことね……」
 同時にモニターに映し出されたヴィクトリーハーツの機体の状況は、決してベストコンディションであるとは言えない。
「だけどあたしは……立ち上がるのをやめない!」
 しかしてレパルはその胸に灯した火を大きく燃え上がらせた。
「力を合わせるわ、ヴィクトリーハーツ!コイツを倒して、未来(あす)を変えるのよ!」
『そうだ、その気持ちだッ!鍛え上げたその技で、悪に挑め!』
『折れない気持ち……そう、オネスト・ハートよ!』
 ハーツ・テ・サブロの人々がレパルの背を支えるように声援を送った。ヒーローたちの声に、レパルの心に灯った火も、更に熱さを増してゆく。
「折れない、負けない、気持ち……!」
 レパルは拳を握り、そして息を吐き出した。眼前のモニターには、恐ろしく吼えながら襲い掛かるクエーサービーストの姿。しかしレパルは怯まない。
「うおおおおおおおっ!」
 そしてレパルは叫ぶ。――その気迫に呼応してか、ヴィクトリーハーツの全身が光を帯びた。レパルの意志が思念兵器を通じて機体へと伝えられているのだ。
 【聖炎抱翼/フェニックスブレス】。レパルの気迫を映し出すように鮮やかに燃え上がる炎は、ヴィクトリーハーツの機体全体を包み込む。それは力を活性化させる、癒しの炎だ!
「このまま……バトルよ!」
 更にレパルは機体を繰り、前進する。燃ゆるヴィクトリーハーツが真正面からクエーサービーストへと激突した!
《VVVVvVvVVvkKKkkKkKkkKKtHhTHthttThhHthTHhTThHHth!》
 咆哮!そして轟音!ヴァキアスEATはその凄まじく巨大な体躯でもってヴィクトリーハーツの機体を叩く!衝撃に軋む躯体!だが、そのダメージはレパルの炎が和らげる。カウンターめいて振り抜く蹴り足がヴァキアスEATの腹部を叩いた。虚空の中でクエーサービーストの苦悶に呻く鳴き声が響く。
「やあ、っ!」
《VvvVVvkKKkTttThhHH!》
 一進一退!ヴァキアスEATがヴィクトリーハーツを叩き、ヴィクトリーハーツがクエーサービーストを殴る。激しいインファイト。小惑星級サイズの獣と鉄人がぶつかり合う!
「はあ……はあ……!」
 ――だが、打ち合いは不利だ。思念兵器を用いた戦闘である以上、長くはもたない。
 レパルは全身に圧し掛かる重たい疲労感に喘いだ。――だが、隙を見せるわけにはいかない。これが彼女にとっては本日のラストバトル。力尽きて倒れるまで戦い抜く覚悟だ!
「お、おおおおおおおっ!」
 最後に残った力の全てを振り絞って、レパルとヴィクトリーハーツは拳を振り抜いた。轟音!叩きつけられたヴァキアスEATは悲鳴めいた金切り声をあげながら衝撃に吹き飛ばされ、ヴィクトリーハーツとの距離を強引に開かされる。
 だが、ここでレパルの体力は限界だ。操縦権を手放しながら、コクピットの中で膝をつく。
「あとは……託すわ!」
 だが、それはあきらめでも敗北でもない。レパルは十分に戦い抜いたのである。
 レパルは通信モニターに向けて親指を立てた。――そうして、バトンは再び受け渡されるのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーティス・ミーティア
またぞろデッカイのが出てきたね!
こうなったら――スピードで勝負よ!

ヴィクトリーハーツ、念動転身!
ドラゴンユニットに変形だッ!
巨大な竜の姿を模したマシンに変形し騎乗!
ライディングドラゴンハーツ! 行ッけェーッ!

超振動モードに対抗して更にこちらのマシンの速度を上げる
そうすれば消化も早まってユーベルコードも解除される筈
チキンレースよ、付いてらっしゃい!
マインドの扱いは慣れてるのよ、ダイジョーブダイジョーブ!

相手の動きが鈍ったらチャンスよ
その瞬間に人型へ変形し攻撃力を最大化!
ターゲット、ロックオン――今が審判の時!
ヴィクトリーハーツ、フルブラスト・アクション!

うん、ここまでかな
後はみんな……ヨロシク!


シルヴィア・スティビウム
この機体はいつまでもつのかしら……
まあ、逃げきれないのなら、壊れるまで戦って、勝つしか活路はないわね
宇宙に季節はあるのかしら。
命の輝く季節は。
この音色が、この旋律が、宇宙に響くかどうかは……私の腕次第。
この大きな魂を揺さぶることができるのなら、
生物でも物質でもないこの輝きは、分解の霧すら突き抜けるはずだわ
私の音色を聞いて。そして、前を向いて、阻む壁を打ち破る。
もはや、リミッターなどかけない。心の限り演奏して、この魔曲を完成させましょう
願わくば、この魂に幾久しい安寧のあらんことを。


エダ・サルファー
状況はあんまり良くないし、ツルヒメの心配も当然だわな。
しかーし!猟兵ってのは追い詰められるほどに強くなるもんだぜ!
みなぎる力は理屈抜きなのだ!
さあ!命知らずはかかってこい!

……しかしコイツ、ただでさえ超巨大なのに更にデカく強くなれるってのはインチキ臭いなー。
でもこっちにだって奥の手ってのは有るんだぜ?
そう!お前が暴食の感情爆発で強くなると言うならば!
こっちも真の姿と祈りとドワーフ力(ちから)で強くなれるってのを見せてやろう!
これぞ奥義・巨人式!
いつもと違ってサイズも巨人サイズだぜ!
短時間かもしれないけど、これでお前と正面から殴り合ってやらぁ!
私とヴィクトリーハーツの拳、存分に味わえ!

【血反吐】



「またぞろデッカイのが出てきたね!」
 ミーティス・ミーティア(f28473)は、マシンのモニタ越しにクエーサービーストの威容を見た。
「とはいえこちらもダメージが残った状態……」
「状況はあんまり良くないし、ツルヒメの心配も当然だわな」
 エダ・サルファー(f05398)は機体の損耗状態をチェックする。
 戦えない、とは言わない。だが――決して、万全ではない。
「この機体はいつまでもつのかしら……」
 シルヴィア・スティビウム(f25715)もまた操縦席のコンソールを叩き、マシンの状況を確認した。
「まあ、逃げきれないのなら、壊れるまで戦って、勝つしか活路はないわね」
「ああ、どの道やるっきゃないさ。猟兵ってのは追い詰められるほどに強くなるもんだぜ!」
「ええ――そうね。出来る限り、やってみるわ」
 シルヴィアが操縦権を受け取り、思念兵器を通じてマシンへと意思を繋げる。
「宇宙に季節はあるのかしら」
 そして、彼女は楽器を手にした。青白く透き通る潮騒のフィドル。シルヴィアは短く息を吐いて、その弦を弾く。
「命の輝く季節は」
 【ひかりのきせつ】。
 ――奏で上げる旋律が、ヴィクトリーハーツを通じて宇宙の虚空の中へ光の波として広がってゆく。
《VVVvVvVkkKKkkKKtTThTHhhHthTThT!》
 対するヴァキアスEATは咆哮と共におぞましくも邪悪な極彩色の霧を吐き出しながらヴィクトリーハーツへと攻撃を仕掛ける!【EATベルゼバブル】!
「この音色が、この旋律が、宇宙に響くかどうかは……私の腕次第」
 シルヴィアは音色を奏でる。光の波はヴァキアスEATの吐き出す霧にぶつかって、爆ぜた。ユーベルコード同士がぶつかり合い、その力が拮抗する!
《VvvVvVkkKKkKkkTThhThTHttHth!!》
 しかしヴァキアスEATはその音色をかき消そうとするように、その咆哮を更に響かせた。再び放射される溶解液の霧!
「もはや、リミッターなどかけない……!」
 シルヴィアは更にフィドルの音色を奏で上げる。光の波がもう一度虚空を満たし、再び霧とぶつかった。――正面衝突。ユーベルコードの力が互いに押し合う。そして。
「心の限り演奏して、この魔曲を完成させましょう……」
 ――光の波が。シルヴィアの奏でる音が、ヴァキアスEATのユーベルコードを打ち破った。
《VVVvvVvVkkKKkKkKKKkTTtTTttHHThthhTHth!!》
 光はクエーサービーストの躯体へと届き、そしてその身体を震わせる!苦悶の悲鳴と咆哮!ヴァキアスEATの身体が軋む!
「は……ッ」
 だが、ここでシルヴィアの体力が底をつく。思念兵器を用いた戦闘負荷だ。これ以上の戦闘続行は不可能である。
「操縦権、こっちによこして!アタシが仕掛けるわ!」
 続けてミーティスが操縦権を受け取る。思念兵器を通じて、ミーティスはヴィクトリーハーツの躯体へと意識を繋いだ。マシンの全体へと意識を行き渡らせ、ミーティスの思念はヴィクトリーハーツの躯体と一体化する。
「ヴィクトリーハーツ、念動転身!」
『おお……あの姿は!』
 ヴィクトリーハーツはその躯体を構成する44機のマシンを分離し、そして形を変えながら再結集する。そこに完成するかたちは――
「ヴィクトリーハーツ、ドラゴンフォームだッ!」
 ヴィクトリーハーツ・ドラゴンフォーム。ヴィクトリーハーツのフォームの中でも最大級のパワーと加速力をもつ形態である!
「ライディングドラゴンハーツ!行ッけェーッ!」
 ミーティスはブースターに点火し、推進剤の軌跡を残しながらマシンを加速させた。【ゴッドスピードライド】!
《VVVvVVvKkKKkTThThthtthThtHH!》
 クエーサービーストはヴィクトリーハーツを完全に敵性として認識し、最優先の攻撃目標として定めている。凄まじい敵意を乗せた咆哮とともに再び動き出すヴァキアスEATはヴィクトリーハーツを追った!
「さあ、付いてらっしゃい!」
 ミーティスはヴァキアスEATを翻弄するように旋回し、その追跡を躱しながら牽制した。ヴァキアスEATは咆哮と共にヴィクトリーハーツへと追いすがろうとするも、ヴィクトリーハーツはその速度を上回り、そしてミーティスは敵に捉えられぬよう完全に機体をコントロールしている。
「マインドの扱いは慣れてるのよ……!」
 ここでミーティスは機体を急激に反転させた。ブーストを吹かし、ミーティスは機体を再加速!同時に再び機体を変形させる。近接戦闘形態、オーラフォーム!加速の勢いのままに、ヴィクトリーハーツはヴァキアスEATの懐へと飛び込む!
「捉えた――今が審判の時《ジャッジメント・タイム》!」
 フルブラスト・アクション!加速の勢いを乗せたオーラフォームの拳を、ミーティスはクエーサービーストの躯体へと叩き込む!
「Got you!」
《VVVvVvVVkkKKkKKKkkKTttTtthhTHTttTHtTH!!》
 激突ッ!衝撃にヴァキアスEATの身体が悲鳴をあげながらひび割れてゆく。その躯体の耐久力はもはや限界を迎えつつあった。
「これでとどめ――って、いきたかったけど」
 だが、ミーティスは全身に圧し掛かる疲労感に膝をつく。身体にかかるきわめて重たい戦闘負荷。ここで活動限界だ。
「うん、ここまでかな……後は、ヨロシク!」
「ああ、ここまでお膳立ててもらったなら――」
 そして、エダが操縦権を受け取った。
「勝たなきゃ、ダメだよねぇ!」
 エダは機体の手足へと意識を乗せる。マインドを通してエダはヴィクトリーハーツの躯体を掌握した。
「さあ!命知らずはかかってこい!」
 エダの繰るヴィクトリーハーツは、すぐさまヴァキアスEATへと拳を叩き込んだ。轟音と共にクエーサービーストの躯体が揺らぐ!
《VVvVvVkkKKkKkkKttThTtthHhHHhTttH!》
 だが、咆哮!ヴァキアスEATはすぐさま態勢を立て直しながら巨大なその顎を開いた。【EATグラトニウム】!惑星サイズの巨体が、更にその質量を増してゆく!
「コイツ……ただでさえ超巨大なのに、更にデカく強くなれるってのはインチキ臭いなー……」
 小惑星級のサイズであるヴィクトリーハーツから見ても、ヴァキアスEATの巨大さは規格外だ。あまりの質量差に、エダはため息を吐く。
「でも、こっちにだって奥の手ってのは有るんだぜ?」
 だが、エダは恐れることなく対峙し、その胸に火を灯す。
「お前が強くなると言うならば!こっちも真の姿と祈りとドワーフちからで強くなれるってのを見せてやろう!」
 轟音。
 それは、エダの精神に呼応して現れた巨大な拳がヴァキアスEATを殴りつけた音だ。
「見よ!鍛練と祈りが生み出す力を!」
 【奥義・巨人式】!ヴィクトリーハーツの全身を強力な力場が包む。
 ――これが最終ラウンドだ。エダは一度短く息を吐き出すと、踏み込みながら拳を放った!
《VVVvVvVkkKKkkKKtTThTHhhHthTThT!》
 だが、クエーサービーストも一方的にやられるなどということはない。エダの拳を叩き込まれながらも、ヴァキアスEATはヴィクトリーハーツの躯体に牙を突き立てる!装甲破損!だが、喰らいついたヴァキアスEATの上顎にエダは強烈なカウンターパンチを突き立てる。ヴァキアスEATが悲鳴をあげた。エダは強引にクエーサービーストを引きはがす!
「このくらい、で……!」
《VVvvVVvKKkKkkkKThThtHhhTThT!!》
 ヴァキアスEATが頭部を振り回す!その質量がヴィクトリーハーツを襲った。叩きつけられた衝撃に揺れるコクピット。鳴り響くアラートメッセージ!
『いかん!』
「まだだよ、ッ!」
 しかし、エダは踏みとどった。その拳に、全身全霊の力を込める。
「私とヴィクトリーハーツの拳……存分に味わえ!」
 そして――ヴィクトリーハーツが、その鉄の拳をクエーサービーストへと叩きつけた!
《VVVVvVvVVvkKKkkKkKkkKKtHhTHthttThhHthTHhTThHHth!》
 衝撃。
 ヴァキアスEATの頭部中央がひび割れ、そしてそのひびはクエーサービーストの全身へと瞬く間に広がってゆく。
 ――そうして、爆ぜるように。クエーサービースト・ヴァキアスEATの躯体は遂に崩壊し、その活動は終了した。
「まわりに敵の反応なし……勝った、みたいね」
 周辺宙域の反応を確認しながら、ミーティスは呟いた。
「……ええ。終わったようね」
 シルヴィアはモニターに映し出される宇宙空間を仰ぎながら、静かに頷く。
「願わくば、この魂に幾久しい安寧のあらんことを」
『おお……おぬしら、ようやった!よう勝ったわ!』
『すごいぞ!』
『あんたたち、やっぱり強いぜ!』
 そして、通信機越しにハーツ・テ・サブロの人々の声が届いた。
『……皆、よくやってくれた。誰にでもできることではない』
 ゴレンジア艦長もまた、猟兵たちへとねぎらいの言葉を届ける。
『さあ、すぐにこちらへ帰還してくれ。安全な宙域まで戻ったら、そこで祝賀会をしよう』
 ――かくして。
 猟兵たちの乗る思念兵器搭載型試作戦闘マシン・ヴィクトリーハーツは2体のクエーサービーストを撃破する戦果をあげ、ハーツ・テ・サブロへと帰投するのである。

 スペースシップワールドの人々が未来へとかける願いは、猟兵たちの手によってまた新たな一歩を踏み出したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月26日


挿絵イラスト