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陽炎の向こうに

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●焔操る機械蛇
 肉削がれた骨が、無機質な合金が――。
 灯す、命を。
 燃やす、命を。
 絶やす、命を。
 理由など、ない。

●グリモアベース
「はい! しゅーごー!」
 空穿つ声。ぱちぱちと手を打ち猟兵たちの注目を促すのはグリモア猟兵、ホワイティ・ティティ(ちちんぷいぷい・f09167)。
「アルダワでの事件を予知したよ。スチームドレイクっていう機械の蛇が地下迷宮から攻め上がろうとしてるみたい!」
 スチームドレイクは魔術錬金で生み出した炎を操る強大なオブリビオン。柔軟な構造はその巨体にそぐわぬ器用な立ち回りを可能にし、自在に操る炎は瞬く間に猟兵へと這い忍ぶだろう。
「強敵だけどみんななら大丈夫だって信じてる。で、スチームドレイクと一緒に死霊兵たちも攻めてきてるみたい。なんだろ、連れションみたいな感じなのかな。連れ攻め!」
 こちらは個々の能力は恐るるに足りぬものだが、如何せん数が多い。捨て身の攻撃が弛むことなく猟兵へ及ぶこととなろう。
「スチームドレイクをやっつけるのは死霊兵をかっこよく蹴散らしてからってことでよろしく! そうそう、それでね。ここからは私の提案なんだけど……」
 どこだかわくわくした様子のホワイティ。
「今回の戦場、すっごくひらけたところにあって、さらにさらに、魔力資源豊富な品がたっくさんあるのだ! 例えばー、変わった植物とか不思議な力を宿した鉱石とか」
 つまるところ、ホワイティは猟兵たちに訓練のすすめをしているのだ。黙々と己の持つ刃を研ぎ澄ますも良し。皆で新たな境地をひらくも良し。と、彼女は拳を握り、熱く説く。
「そして! なんと! 今回! ダララララララララララ…………おやつの金額に制限はありません!」
 やったあ!
 握り締めていた拳で天をひと突きすれば気合十分、グリモア猟兵の務めを果たさんと転送の準備に取り掛かるのであった。


京都
 はじめまして。
 京都(けいと)と申します。
 遅ればせながら皆さまと冒険いたしたく。
 一緒にがんばりましょう。

 本シナリオの舞台はアルダワ魔法学園世界。
 集団戦、ボス戦を経ての訓練タイムと過重労働な気味なシナリオとなっております。

 3章の訓練タイムは、あまり難しいことを考えずご自由にお過ごしください。
 お声がかかればホワイティも姿を見せます。
 が、へっぽこにつきご注意ください。
(もちろん全然ほっといて大丈夫なのでお気遣いなく)

 ・お好みの章にご参加ください。
 ・お知り合いでない猟兵さん方を絡ませることもあります。
37




第1章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●骨の血が湧き、肉も踊る
 スチームドレイクの姿は未だ見えない。
 しかし降り立った猟兵たちの足元、涙枯らす焦土が奴の侵攻を訴えている。
 
 良くない風が吹き、勘付いた猟兵が強く地を蹴り後ろへ跳んだ。
 刹那。元居た場所へ突き刺さったのは、赤黒い血反吐を纏って煌く憎悪の嚆矢。

 ――遠く、骸骨の笑い声が響いた気がする。

 さぁ、猟兵たちよ、地を救え、星を救え、狩り尽くせ。
デイヴィー・ファイアダンプ
ちなみにお弁当への制限はあるのかな?
相手は炎を操ると聞いていたからせっかくだしとバーベキュー用の金串を用意してきたんだけど……あぁ、そう、やっぱりダメ?

ダメなものは仕方ない。腹いせに骸骨たちに投げつけておこう。
それに彼らと来たら骨はあるのに肝心の肉はないんだよね。
まったく、彼らときたら残念なものだね。

金串を相手に目掛けて投げたことに怒るかは知らないけど、反応したなら討たれた矢を交わしつつ戦場を駆け回るよ。

しかしあれだね。
わざとらしい挑発をしたとはいえ、弓矢はしっかりと狙わないと危ないものだよ。
そうしないと“誰に当たるかわからない”からね。



●お弁当の金額に制限はありません
 金串を供に参戦したのはデイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)。スチームドレイクの放つ炎は滅多にお目にかかることのできない超火力だ。こいつを利用しない手はないと彼は考えたのだ。

 しかし。

「……ああ、そう、やっぱりダメ?」
 それを許さなかったのは死霊兵。パーフェクトBBQポイントを探す暇も与えず、あれよあれよという間にデイヴィーへと群がりはじめた。

「キミたちに肉があればな。まったく、残念なものだね」
 淡々と流れた科白に微かな苛立ちを乗せて。手持ち無沙汰にくるりと金串を回す姿はどこか淋しげでもあり。
「ううん、せっかく持ってきたんだから使わない手はないか」
 呟くが早いか、デイヴィーは金串投げのプロフェッショナルさながらの美しい投串フォームを見せつけ、そして出来上がる死霊兵の串刺し。
 かつて左目が輝いたであろう空洞に滑り込んだ串は、しかし頭蓋が振られると空しくに地に落ち、それと同時、怒りに任せた我武者羅な攻撃がデイヴィーを襲う。
「……!! 危ないじゃないか。なに、怒った?」
 ひらり、かわす。
「――さて、児戯はここまで」
 次、地に足をつけたデイヴィーの表情は、悪戯を宿し炎の如く揺らめいて。

 『悪意を此処に、彼の者に悲劇を』

 冷ややかな唇が紡ぎ堕とすは呪いの詞。悲劇を見舞う、冷たい詞。
 するり。詞が骸骨の頭をすり抜ければ。
 ゆらり。死霊の動作が止む。

 その後は、死霊兵たちにとってはまさに悲劇。
 味方を討ち合い、己の骨を切り刻む。炎が支配するこの戦、きっと、蜃気楼でも見たのだろう。誰かの悪意に満ちた、いたずらな陽炎を。
 己の放った血矢に射抜かれ散った骸は地に横たわってなお、笑っていた。

 「弓矢はしっかりと狙わないと危ないものだよ。そうしないと“誰に当たるかわからない”からね。次世で活かしてみてくれよ」

 あおい炎は潰えない。

成功 🔵​🔵​🔴​

空澄・万朶
連れ攻め…そんなのあるんだね
学園の地下だけあって災魔も学生っぽい思考になるのかな?

まあそれはともかく、本当に数が多いね
オレは一体一体確実に仕留めていこうと思うよ

戦闘:
「行くよ、虚空」
普段は漆黒のファードラゴンの姿をしているドラゴンランス(虚空)に槍の姿に変身してもらい、【ドラゴニック・エンド】を放つ
槍はリーチが長いから、敵の近接武器が届きにくくなるだろうしね
相手は骸骨な分突き刺せる部分が少ないだろうから、一番面積が広そうな胸辺りを重点的に攻撃するよ
槍が命中したら動けないように【串刺し】にして【召喚ドラゴン】を放つ

「時は金なりってね。ちゃっちゃと終わらせてしまいましょう」

他の仲間達との協力OK


勿忘・あい
すごい数の死霊兵。
ふふ。ここはホワイティの言うように、私にどんな戦いができるのか。
そんな可能性を探りながら、やってみようかしら。
【POW】
バトルアックスを構え、ユーベルコード【グラウンドクラッシャー】を使用。まずは最前線にいる死霊兵を速やかに撃破。
敵からの攻撃は【衝撃波】を伴う一撃をバトルアックスから放ち相殺。
近距離での攻撃をメインに立ち回るわ。
味方と声を掛け合って連携も取れたら嬉しいわね。



●緩急
「連れ攻め……そんなのあるんだね。学園の地下だけあって災魔も学生っぽい思考になるのかな?」
「わあ。なるほど」
 お花見日和な会話を交わすのは空澄・万朶(忘レ者・f02615)と勿忘・あい(紺屋・f00269)。
 
 そこへ割り入るは鋭い矢の切先。忘れてくれるな、と。

「あらいやだ。おしゃべりの途中に無粋なことねえ。でもご挨拶にはお返しをしないと」
 囀りあえかに。華奢なあいが戦斧を構え、反動なしに地を突いた。

 ゴッ!!!!!!!

 地響きを伴い身を散らす大地。
 単純にして強烈なその一殴は矢を裂き散らし、土埃の収束とともに顕著したのは膝付く骸骨どもの姿。

「……すさまじいな」
 抉りを逃れた万朶が独り言つ。
「さて、オレたちも遅れてはいられないね。――行くよ、虚空」
 それを合図に万朶の傍らから竜が現れ、ひと回り。たちまちその小さな身体を槍へと転じてみせた。
「時は金なりってね。ちゃっちゃと終わらせてしまいましょう」

●冷却
 敵の数も構わず、あいは敵軍の懐へと飛び込む。
 まさに大胆不敵。
 そしてその攻撃はときに捨て身。大振りな攻撃で敵に致命傷を与える反面、僅かな隙が生じることもある。しかしそれは彼女にとっては些細なこと。傷つくことなど恐れていない。
 なぜなら、そう、彼女は紛うことなき『戦士』なのだから。
 
 轟々とする戦場。そこに差したるは――竜人の影。

「大丈夫ですか?」
 万朶が優しく問うた。その一方であいが牽制した敵を鋭く確実に仕留めながら。
「ふふ、ありがとう」
 柔和な笑みはたおやかさを欠くことなく。しかし頬には血が伝っている。
「少し、夢中になりすぎたかしら」
 血雫を指先で拾いながら、困ったように笑う。どうにも、止められなくて。
「――いや、このまま切り込んでくれ。頼めるかな?」
 うら若き乙女に乞うのは些か気が引けるものだが、彼女の力を見込めば頼らずにはいられない。事実、あいに続くことで、万朶は多くの屍を積み上げていたものだから。
 そんな万朶の心情を知ってか知らずか。あいは、喜んでと言わんばかりに笑みを深め、肯定を示す。
「袖振り合うも多生の縁って言うものね。それじゃあ、細かな立ち回りはお任せしちゃいます」
 どこかほっとした表情で万朶が頷き、あいの間合いに入り込まんとする骸骨の胸を突いた。

 ――さぁ、ともに。
 
●怒涛
 ふたりの猛攻は止まない。
 殺意を伴う牽制と、的確な終焉。
 ここら一帯は彼らの独壇場と化していた。

 弛まぬ攻撃にたじろぐ骨は前へ後ろへと不規則な動きを晒し、力は無く、それでも剣を振り上げ戦意を燃やす。
「頑張るね。でもこれで終わりじゃないんだ」
 虚空と共に死霊兵を抑える万朶の口端が微かにつり上がったその瞬間、死霊兵は大きな影に包まれた。
 一切の抵抗も許されぬまま絶命する死霊兵。
 そのふたつの空洞が最期に映したもの、あれは、そう――『ドラゴン』だ。

「まあ、あんなこともできるのね」
 少し離れたところ、これは頼もしい味方を得たと、あいが小さく跳ねて笑う。
「よし、私ももうひと息。さあ、この戦場を私たちの色に染めあげましょう」
 あいの瞳には沈まぬ斜陽。
 手にある得物の輝きも褪せることを知らない。

 嗚呼、黄昏に空は澄み――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アドニード・プラネタリア
前衛しまーす♪

ユーベルで(全力魔法)を込めて。
数に圧倒されてね♪

攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,敵を盾にする,範囲攻撃,破魔)のレベルは10以上だよ!
覚悟ゎいいかな?

防御技能(残像,敵を盾にする,盾受け,見切り)のレベルも10以上!
当てにくいよ?

これらの技能を重視して戦闘を行います。


長坂・リン
POW

実戦の後に訓練、なんて初めてかも。
楽しい訓練の前に死なないようにしないとね。

ユーベルコードの橄欖魔弾は攻撃力重視で敵に撃ち込むよ。
狙うのはあたし達の近くに寄ってきた奴から順に。
回り込んできたリ捨て身で飛び込んでくる奴もいるだろうから、技能のクイックドロウと零距離射撃で迎撃するつもり。

一緒に戦ってくれる人達とはお互いの死角を補うように立ち回れたらいいな。
戦況が余裕な感じなら、仕留めた数で競争するのも楽しいかもね。



●欺くには
「実戦の後に訓練、なんて初めてかも。楽しい訓練の前に死なないようにしないとね」
 長坂・リン(涼風猟兵・f12981)が気ままに呟けば、
「僕も頑張っちゃう! お姉ちゃんのその銃、すごく強そうだ」
 アドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)が熱風に髪を揺らしながら覗き込んだ。
「そういう君の得物も随分と鍛え抜かれているようにみえる」
 慣れた手付きで愛銃を構えつつ、リンは横目で視線を送る。そのまま暫しアドニードを眺めていたが、ふと思い付いたように口をひらいて言うことには、
「ねぇ、君とあたしと、どちらがたくさん倒せるか競争しない?」
「競争? 競争、なるほど…………」
 きょとんと首を傾げたアドニードだが、そのまま黙り込んで何か考えはじめたようだ。
 それを不審に思ったリン。どうしたものかと様子を窺おうとした、まさにその時。
 突如、アドニードが地を蹴り空を駆けた。

 『必神火帝、万魔拱服!』

 そうでなくとも熱の篭った戦場に、数多の炎の矢が降り注ぐ。
 それらは隕石よろしく明々と燃え盛り、一瞬のうちに一帯の死霊兵を貫いて。
 
「スタートダッシュ! 先手必勝、ってね」
 息絶えた骨のうち、手近にあった頭蓋骨を足で砕きながらアドニードが高らかに宣言す。
「……ずるい」
 先を越されたリンの佇まいはどこだかじっとり。
 だが彼女も狩りのプロ。
「私たちも行くよ」
 愛銃に語りかけ、瞬きひとつのうちに気を引き締てみせる。
 
 ――いざ、骸骨山へ。

●屍山
 好敵手の存在ほど研磨を手伝うものもない。
 文字通り競い合う二人の周りには、哀れ、二度目の絶命を迎えた者たちの山が。

「ようこそ」
 懐に飛び込んだ死霊兵に向かって、リンが俄かにほくそ笑む。
 これに不穏を感じた死霊兵が反射的に身を翻そうと試みるが、もう、遅い。

『狙った獲物は逃さない、かもね』

 有言実行。
 零距離で発射された美しい新緑の弾丸が、ありったけの力を以って骨を粉砕。
 そこへ呼ばれたように吹いた風。白い粉を散り散りに運び、二度と組まれぬものにした。

「お疲れ様。どうやらここらの敵は壊滅したみたいだね」
 さすがに骨が折れたと、リンは頭を振って汗をはらう。
「案外あっけなかったな」
 歩み寄ったアドニードはうーんと大きく伸びをした。まるで準備運動を終えたみたいに。
「幼い見た目に反して強いものだね。……それで、君は何体殺ったんだ?」

 間。

 そして間。

 さらに間。
 
「……あああっ! 途中から数えるの忘れてた!」
 アドニードは大きく叫び、そして項垂れる。
「それはそれは。……奇遇だね、あたしもだよ」
 二人して思わず顔を見合わせれば、くすくすと、擽ったく笑い合う。

 勝負はお預け。
 そんなわけで、

 ――また、よろしく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルイス・アケーディア
☆アドリブ歓迎

妙に楽しそうな骸骨だな。
お前たちも遠足か?
やらんぞ、おやつは。

初めに『燦爛たる宝物庫の管理者』を使用。
矢尻が金属であれば操って勢いを殺して止めつつ、自身を浮遊させ飛行する。

攻撃手段はプログラムド・ジェノサイド、
上空から機銃での無差別連続射撃を行う。
これだけ数がいるのだから、どれかには当たるだろう。問題ないな。
弓での遠距離攻撃?撃ち落とせばいい。問題ないな。

……こういう時のための格言があるらしい。
おうちに帰るまでが遠足です、と。
お前らも、早く帰るべき“家”に帰るといい。



●先生、ルイスくんがいじわるします
「妙に楽しそうな骸骨だな。お前たちも遠足か? やらんぞ、おやつは」
 狂気に喚く死霊兵を前に宣言するのはルイス・アケーディア(ストーンヘンジ・f08628)。
 この男、図体はでかいが器は小さいようだ。少なくともおやつに関しては。
 いやしかしこれも彼が長い人生で得た見地なのかもしれない。よってこれ以上は語るまい。
 
 気を取り直して。
 
「こんな浮かれポンチな骸骨どもが相手ならば――武器も、防具も、急拵えで充分だ」

 空気が震い、ルイスの巨躯が浮上する。
 そこに寄り添うようにやってきたのは周囲に散らばる鉱石の一部。
 まるで意思を持つかのようにルイスを等間隔に囲み、それぞれの個体の一番鋭い部分を敵軍へと向けている。
 もとより血気盛んな死霊兵がこれを見て黙っているはずもなく、すぐさまルイスを標的とし、一斉に矢を放った――が。
 空を切る矢の一部がまるっきりコントロールを失ない、ぽとり、ぽとりと地に落ちていくではないか。
「お、引っかかったか? あわよくばといったところだったが、こいつは運がいい」
 ポルターガイストを引き起こした当の本人はのらりくらり傍観者の如く。
「なんか変な石っころもついてきたし、幸先がいいな」
 ちなみにこのなんか変な石っころはこの領域特産の魔力鉱石で、うまく扱えば矛にも盾にもなる有用な一品だ。
 キラリ。どや顔を示すかのように鉱石が光った気がする。

「さて、出鼻は巧く挫けたか。闘いを続けるぞ」
 さらに上昇を重ねるルイス。
 うじゃうじゃと群がる骸骨を眼下に収めると――、

『プログラムド・ジェノサイド――無差別攻撃だ。お前ら、上手いこと当ててきてくれよ』

 予め設定されていたプログラムに乗り、機関を飛び出した弾丸たちが戦場を駆け巡る。
 それはある者にはがむしゃらに、ある者には芸術の如く映ったという。
 
 瞬く間に空間を制圧したルイスの攻撃は、一度止むとしかし、さびしいほどの静寂を生んだ。
 まるで最初から何もなかったかのような静かな大地へと、ルイスは戻る。
「……こういう時のための格言があるらしい。おうちに帰るまでが遠足です、と」
 己の影に朽ちた屍へ語りかける。
「お前らも、早く帰るべき“家”に帰るといい」

 さらさらと、砕けた骨が風に消えた。
 それは、遠く、彼方の海へと還るためなのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

奈々詩・空
おやつといっても自作の飴の場合は制限に引っかかるのかしら。
まあそれは後で考えたいですねえ。

骨骨骨、本命はまだなら露払いするのがええかね

まあともかくそんな物騒なもんは壊すなり動かなくなってもらうに限りますね。
なるだけ多くを範囲に入れてからユーベルコード【対武装破壊血風吸血鬼】で武器攻撃止めたいね。
広いみたいだから弓で攻撃してくるやつが範囲外かもしれないけど、可能な限り避けたり近場にいた骸骨の頭とかを盾にしつつ、対生命体スコップで攻撃が止まった相手を叩きたいっす

……骸骨って生命体? 動いてるから生命体!


白・ケルビン
魔力資源っ!いいねいいね
帰りに色々回収したいし、まずは邪魔なやつを蹴散らしていこっと!

格闘とか、接近戦は苦手だし、相手の攻撃は避けていくよ
囲まれないように注意もしてっと
全体の動きにも目を光らせて、相手がある程度纏まったのを見計らって、《セルシウス反応》で一気に仕留めたいな
なんでって?これ1個しか持ってきてないからね、えへへ

1回きりの大勝負、失敗したら尻尾まいて逃げ帰る!
あ、協力できそうな人がいたらご一緒したいな、撃ち漏らしたりしたら大変だし



●お楽しみのために
 結晶の角にきらきらと焔が煌いている。忌むべきとは無縁な、無垢な焔が。
「魔力資源っ! いいねいいね!」
 戦場に現れるとほぼ同時、手頃な魔鉱石を視界に捉えた白・ケルビン(イミビ・f00974)は心躍らせる。
「おやつといっても自作の飴の場合は制限に引っかかるのかしら」
 その隣、やや遅れてひょっこり顔を出したのは奈々詩・空(日々を過ごす・f00083)。
「わ! びっくりした!」
 突如現れた空に驚くケルビンは、ぴょん、とオーバーリアクション気味に跳ね、これに満足したのか空は含み笑い。
「んふふ、いい反応。でも、私が敵だったらあなた、やられちゃうよお?」
「うう……確かに……」
 ケルビンが分かりやすく肩を落とす。しかし、
「よぉし! じゃあまずは邪魔なやつを蹴散らしていこっと! それなら大丈夫だよね!」
 素直な者は立ち直りも早い。ぐっと拳を握れば、拵えた小瓶が頼もしげに揺れる。
「そうですねえ。私も飴については後で考えましょう。幸い上手く戦場は割れているし、あとは私たちがそこの群れを殲滅すれば――」
 空が見据えた先、ひと際大きな炎の柱があがり、鎌首をもたぐ蛇の姿。
「――あっちに届きそうだ」
 ガリッ。口に残る飴を噛み砕く。
 空の視線を追ったケルビンも同じ景色を眺め、煌く睫毛をわずかに伏せ物憂げな雰囲気を漂わせていた。
 ――が、突如、目を大きく見ひらき、
「あ! あの蛇、今すっごく貴重な鉱石のこと燃やした! 嘘でしょー……。もうっ、許せない! いそがなきゃ全部燃やされちゃう……! じゃあ、わたしちゃちゃっとやってきますので! いってきます!」
 ぷんすこぷんすこ。頬を膨らませながら残党目掛けて突っ込むケルビン。その怒りに燃える背を見送りながら、空は大きく伸び。
「いってらっしゃい。……というか、私も行くけどね。さ、露払いといこうか」
 身の丈ほどのシャベルを抱え駆け出す空。
 緩く結われた髪束が、少し遅れて、ふわり、揺れた。

●制圧
 戦場を素早く行き交うふたつの影。
 それは決してお互いに示し合わせた動線ではなかったが、しかし敵を撹乱へと導くトリガーとなった。
 知性の低い死霊兵がふたりの不規則な動きに対応するなど叶わぬこと。その場凌ぎの思考で行動を続けた結果、気付けば右も埋めるも左も埋めるも骸骨仲間。隙間を縫って矢を射れば同族を盾に取られ、生への憎しみ糧に剣を振り上げれば同じ顔が転がった。

「こんなものか」
 土埃とともに立ち止まる空。思惑通り配置された群れを見れば、満足に頷きが漏れる。
 
 一方、

「いけるかな!? 大丈夫かな!?」
 同じく頃合いを見計らい瓶を手に取るケルビン。こちらは何故かそわそわ、挙動が定まらない。
「実はこれ1個しか持ってきてなくって、えへへ」
 居心地悪そうに笑うケルビン。しかし彼女は賢い。なぜなら、疚しさというものは得てして曝け出すほどに荷を軽くするものであるから。
「……単純に疑問なんだけど、その1個が外れたらどうする気?」
 咎めるでもなく、純粋な疑問を以って空が問うた。
「そのときは――……尻尾まいて逃げ帰る! 予定!」
「……ふぅん。まあいいさ」
 どうせそんな結末を迎える未来なんてありえないし――足下に鮮やかな赤を滲ませながら、彼女は続ける。
「上手く後に続いてくれよ。始末は任せたから」
 滲んだのは風。澄むような赤は、いつしか闇を帯びた鮮血のように艶かしく変色し、

『対武装破壊血風吸血鬼』

 空の一声とともに津波の如く死霊兵へと流れ込むと、あっという間に群れごと呑み込んでしまった。

「はわわ、すごい!」
 別の意味で呑み込まれたのはケルビンで、
「――私も、ちゃんと見せなくちゃ」
 蒼穹の瞳が熱を宿す。
 
 幼さの残る手のひらで守り続けたとっておき。
 これを。
 いまこそ。

『二度と溶けない氷の夢を!』

 死に喘ぐ死霊兵へ、最期の手向けを。
 それは美しく咲く、大きな氷花。
 鋭く滑らかな、氷結の花。
 血骨を花脈に冷たく咲いて、みっつ瞬き、もろとも散った。

 ――いまここに、冷却の道がひらく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『スチームドレイク』

POW   :    スチームフレイム
【口内から射出される「錬金術の炎」 】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    頭部連装機関砲
【頭部連装機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    スチームファイア
レベル×1個の【錬金術 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアイシア・オブリオンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●満つ
 死霊の兵は途絶えた。

 ここにひらいた路を往くならば、炎の波が身を焦がすだろう。
 ここにひらいた路を往くならば、蒸気の熱が息を殺すだろう。

 それでも、そうか、君は往く。

 ――最後の禍を、時の流れに戻すため。
長坂・リン
POW

機械の蛇って、どこが弱点なんだろうね。
丸焼きにされたくないし、弾の効く所を早く見つけて倒さないと。

ユーベルコードの橄欖魔弾は攻撃力重視で敵に撃ち込むよ。
技能のスナイパーで、狙いは炎の射出口。
あたしの射撃が有効でなくても、味方の攻撃に合わせて援護射撃して一気に叩きたいね。
敵がこっちに近接してくるなら、技能のクイックドロウと零距離射撃で迎撃。

先の戦闘から引き続き、共闘してくれる人達と連携して攻撃の手を緩めないようにしたいな。
暑いの、苦手なんだよね。


デイヴィー・ファイアダンプ
先ずは相手の観察だね。
オブリビオンとはいえその力を無尽蔵に震えるわけではないだろう。
攻撃の範囲を見定め、人で言う息継ぎの瞬間などを調べようか。

そして大事なことだけど、基本は遠火でじっくりとだ。あせって近づいては焦げてしまうものだよ。
そしてその基本さえ守れば……このように美味しい焼きマシュマロの出来上がりだね。
キミたちもお一ついかがかな?

それどころじゃないっていうなら仕方ない、肉体を捨てた亡霊という真の姿で僕も力を使わせてもらおうか。

具体的には先に調べたとおりのタイミングを見計らって相手の拘束を狙うよ。
使えない道具ってのは破棄されるべきなんだろう?
だから、そのお手伝いをさせてもらうよ。



●虚を求め
「暑いの、苦手なんだよね」
 涼しげに長坂・リン(涼風猟兵・f12981)は言う。
「だから早く終わらせたいんだけど……。機械の蛇って、どこが弱点なんだろう」
 闇雲に攻撃を当てたとて、何れは己が割を食う。戦場を駆け続けたリンの読みは的確だ。ここは一先ず、と、突破口を求め送り出した一撃が向かう先は炎噴き出す蛇の大口。美しいエメラルドは素直な軌跡を描くも――紅蓮の炎と濁り、結果、弾けて消えた。
「……嫌なことするなぁ」
 消えゆく橄欖を看取ったリンは悲しそうに、悔しそうに次の実を誂う。

 と、そこへ。

「人で言う息継ぎの瞬間などを狙ってみたらどうだろうか」
 気配なく現れたのはデイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)。問うように提言する彼の視線はスチームドレイクを捕らえて離れない。
「オブリビオンとはいえその力を無尽蔵に振るえるわけではないだろうからね。それに敵は一体。狙えぬものでもないだろう」
「そうだね」
 唐突の邂逅にも物怖じすることなく答えながら、リンは慣れた動作で再び目標へと銃口を向け、
「いつでもいけるよ」
 言葉僅かに、態度で理解を示す。
「理解が早くて助かるよ。では、キミの攻撃を目くらましに、僕はヤツの懐に潜り込むとしよう。遠火は任せたよ」
「それって……大丈夫なの?」
「あぁ。――手はある」
「――そう」

 この会話を最後に、ふたりの猟兵は乖離した。
 互いの覚悟を持って。

●虚に到る
 錬金の炎と魔力の弾丸が艶やかな戦模様。
 リンの正確で迅速な射撃がスチームドレイクをじゃらし、片やデイヴィーは息を殺す慎重さで蛇の胴へと身を滑らせ、雌伏する。
 与えられた時間は僅か。鋭い目付きをさらに険しいものとして、デイヴィーの観察が続いていた。
 
「――そこか」
 錬金直後の僅かな隙に乗じ、デイヴィーが動く。タイミングは完璧だった。

 しかし、
 
 純粋な力の差が、すべてを覆す。
 蛇はただ一度、身を振るった。
 ただそれだけのこと。それでも、デイヴィーの出鼻を挫くのには十分だったのだ。

「ぐっ……!!」
 体勢を崩すデイヴィーへ、機関砲から放たれた火玉が次々と向かう。まともに浴びればただでは済まない。
「……いいよ、仕方ない。マシュマロにはなりたくないからね」
 ――デイヴィーの生気が流れを変えていく。

『我らが安らぎをここに、救いの手を差し伸べよう』

 呪詛に導かれ、実体のない死霊の腕が絖やかにスチームドレイクを包み込む。抱擁は一介の猟兵にあるまじき拘束力を以てその動きを封じ、重苦しい頭部を地に叩きつけた。

「――逃がさない!」
 機を逃すことなくリンが飛び込み、錬金の炎を生み出す禍口へ銃口を捻り込むと、躊躇い無く引く。引鉄を。
 
 響いた爆音は、金切り声に似た余韻を遺し、風に消えた。
 炎に滾った蛇の喉に住まうは穏やかな薄緑。
 一時の沈静が齎された。

 のたうつ蛇を尻目に、リンが双眸を細め眺めるは戦友の影。
 それは、恐ろしくも頼もしい、真なるデイヴィー・ファイアダンプ。
 ひとりの亡霊の姿だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白・ケルビン
ちょっと!さっき鉱石焼いたの、絶対許さないからねっ!
今度は、こっちがキミのこと焼く番だから!

攻め込む時はエレメンタルロッドのイフリタと行動するよ、よろしくねイフリタ!
二人で回り込むように近づいて、機関砲の標的を分散させる!
仲間がいるなら、その人たちに合わせて攻め込むのもアリだよね

タイミングを見計らってケルビン反応で全力攻撃!
今回はいくつか用意してきたから、イフリタにも持たせて2回攻撃ってね!
骨はないみたいけど、それなら炉心や核まで焼き尽くしてあげる!
それと、加減はできないから、近くに味方がいたら注意をかけとくよ

それからそれから、自分で魔力資源焼かないようにも注意!
味方とも積極的に連携するね!



●究む者の怒り
「ちょっと!さっき鉱石焼いたの、絶対許さないからねっ!」
 白・ケルビン(イミビ・f00974)のたいそうご立腹であること。
「今度は、こっちがキミのこと焼く番だから! キミとはぜーったい仲良くしてあげない!」
 ビシィッ!! 大きな大きな蛇に指差しまでしたりなんかして。
 
 その細こい指に何ができようか。
 その未熟な骨身に何ができようか。

 向こう見ずなはねっ返り娘の全力報復が、ここに幕をあける。

●炎燃やす炎
「行くよ、イフリタ」
 召され御座すは炎の精霊。戦闘時、本来ならば杖の形状を取るこの精霊は、しかし在るべき姿でケルビンに寄り添い、主を仰ぐ。
「えっとね、これをね、あの蛇にね、えーいっ!! って、してほしいの!」
 言葉で伝えきれない部分は身振り手振りで。
「わかった? だいじょぶ? もう一回説明――っ!?」
 ケルビンの言葉を遮ったのは大きな地響き。驚きに顔をあげれば、仲間たちの猛攻に押された蛇の頭部がずっしり横たわっているのが見えた。

「――はっ! これはチャンスなのでは! たなぼたってやつなのでは!」
 やれ急げ。
 イフリタを見もせず小瓶を押し付け、燃える燃える。ケルビンが燃える。
 こうしちゃあいられない。華奢な体がとてとてとて――体勢を立て直さんとするスチームドレイクへと駆け出した。
「じゃあ、さっきの感じでよろしくね、イフリタ! おさらいできなくてごめん。あっ、それとそれと!」
 駆けるすがら、せわしなくあちやこちやと指を差し。
「あれとあれと、あとあっちのあれ! 間違って燃やしちゃダメだからね。燃やしたら絶交だよ」
 ぽっ――イフリタが小さな黒煙を吐き出した。

「よし、この辺からなら……みんな、ちょっと離れててね!」
 つんのめりながら立ち止まり、戦場を切り裂くような澄んだ声で警告すれば、忽ち小瓶をけしかる。

『炉心も核も、――キミのすべてを焼き尽くしてあげる!』

 小瓶が続けざまにふたつ砕け、小さな火種が弾け飛ぶ。
 じわりじわり。引火したみたいに忍び寄り。
 ぼわっ。吹火よろしく火の花散らし。
 夏の盛りの祭のような、それはそれは美しい夢のような。
 これがケルビンの導く魔。

 己のそれとはまったく性質の違う炎に、スチームドレイクは身を転がして苦しんだ。
 何度も転げて、身を振って、炎の怖さを思い出す。

「うーん完璧! イフリタも頑張ったね」
 傍らへと朗らかに笑いかければ、肩の煤がはらりと舞った。
 
 なんだってできる。
 そう、彼女は白き可能性。

大成功 🔵​🔵​🔵​

デイヴィー・ファイアダンプ
(引き続き真の姿で)
姿も術もオブリビオンと大して変わらないとはいえ、心だけはそうなりたくないからね。力の差は身をもって知ったけど軽口を叩くのは忘れずに。

そして力が足りないならさらなるユーベルコードで引き出そう。
それでも足りないなら先に見せたように力を合わせるだけだね。

愚者火で相手と応戦し、少しづつ有利な戦場を作り上げようか。
暗闇を引き寄せるこの術の中でも灯された炎は見えるだろう。
僕が灯す炎を他の猟兵のために囮として使い、キミが灯す炎を他の猟兵が狙うべき目印として使わせてもらうよ。

既に成り果てた器物(ボク)とはいえ、使いみちはまだある筈だ。
だから、今から起こす状況を上手く使ってくれると助かるよ。



●かたりかたる
「先はイマイチだったが、今であれば、或いは……」
 その右手には、未だ果たせぬ責務を背負った――金串。
「……いやなに半分は冗談さ」
 ポイ。金串を投げ捨てる。
 誰へともない釈明。止まぬ軽口は彼が彼たる証。
 ――そう、この青白さに身を包んだ亡霊は、デイヴィー・ファイアダンプ、その“人”である。

「既に成り果てた器物(ボク)とはいえ、使いみちはまだある筈だ」
 器物こそがデイヴィーの本質。
 しかし彼は物を語り、意思を持つ。
 ならば彼の正体は、さて。
 ただひとつ言えること、それは猟兵たちの瞳に映った彼の背が、たいそう頼もしいものだったということ。
 そう、今はそれで十分だ。

●しるべ
 己を解き放ったデイヴィーの攻撃は、これ以上ない精確さでスチームドレイクを嬲っていた。
 狙えば当たる。
 当たれば軋む。
 その強さはここに降り立ったときの彼の比ではなく、強大な仇も怯みを見せざるを得ないもの。

「……なぁ、キミ。キミにとって灯とは如何ほどのものなのだろうか」
 炎操る蛇に、デイヴィーがぽつり問う。
 しかし。
 低い位置に首をもたげた蛇の燃える瞳は、ギラギラと瞳孔を滾らせてデイヴィーを見据えるのみ。
「ふむ、まぁいい。キミの赤々とした焔も良いものだけど、ボクのこの青もなかなかだと思わないか?」
 いくつもの青い炎を従えて、飄々と浮かぶデイヴィー。
「同じ炎使いのよしみに、これをもっとじっくり見せてあげようじゃなか。なに、遠慮はいらないよ」
 否、遠慮なんてさせるものか――。

『陽光を閉じよ。そして理性の扉を閉じよ』

 祝詞に寄せたデイヴィーの攻撃が、敢えて地を突いた。
 途端、機械の蛇は暗転に呑まれることとなる。
 見えない。何も。己の炉すら。
 ただひとつ、ランタンの灯す青白い炎を除いては。

 戦場を共にする仲間が見たのは青炎に向かい焦燥の火炎を見舞う蒸気蛇の姿。
 あれが何かに囚われ、我を乱していることは容易に見て取れた。

「――どうだ。なかなか上等なしるべだろう。同士たち、この機に、頼むよ」
 次の炎を宿しながらデイヴィーが僅かに口の端を上げる。
 これがボクの役目なんだ、と。

 灯火のしるべが冷ややかに燃え続ける。
 綻びは、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

寧宮・澪
《お友達》(デイヴィーさん・f04833)に、呼ばれましてー……。
現実、でははじめましてー……。

スチームドレイク、ですかー……。
あと一息、ですね……。
最後、に、常世、への、ひと押し、をー……。

【霞草の舞風】、使用。
くるくるーっと……花と、風でー……囲み、ましょー……。
手向けの、花、というわけでも、ないです、がー……。
どうぞ、綿津見に沈んで、常世へと……おやすみ、なさいー……。
ゆっくり、眠れるよう、【祈り】、ましょー……。

アドリブ、歓迎ですよー……。



●夢の彼方より
 未だ見ぬ友の呼ぶ声が聞こえた気がした――。
 故に、寧宮・澪(澪標・f04690)はここに揺蕩う。

「あと一息、ですね……」
 ほわほわと、眠気誘う語りを織り成す、澪の優しげな唇。
「最後、に、常世、への、ひと押し、をー……。素敵、な、ベッド、を、拵え、ましょー」
 言葉は次第に旋律を伴い、微睡みのアンプロンプチュへ。

 ――あなた、は、どん、な、夢を、見る、のでしょー。

●蛇の臥し所
 無垢な色したかすみ草の花弁が、ふわり、ふわり、気付けば戦場を満たしていた。
 これが澪の齎す魔術。
 優しく、美しく、儚く、そして強かな魔術。
「花と、風でー……囲み、ましょー……」
 枯れ木に花を、蒸気のからくりにも夢心地の花を。
 
 ――かすみが如く、舞い踊れ。
 ――安寧の常夜に、御月抱いて。
 ――綿津見の加護、君の常世に。

 武装から生まれたかすみの花が、スチームドレイクにぴたりと寄り添う。
 それはまるで血の通った生き物のようにあたたかく、ひとひらひとひら、澪の祈りを健気に伝える。
 もう、おやすみの時間なのだ、と。

 プシュー、
 シュー、
 プシュ、
 ……シ、…………。
 ひとつ、ふたつ、みっつ、かろうじて、よっつ。
 臨終の蒸気に断末魔の苦しみは感じらない。
 
 スチームドレイクは、まるで自ら望んでそうするように、ゆっくりと身を横たえた。
 それじゃあもう寝るからね、おやすみね、なんて言うように。
 そうして、電気でも消すみたいに、――ぷつん、炉の灯を消した。
 聖女と花の祈りとともに、夢の世界へ落ちたのだ。
 
「良い、夢、が、見られ、ます、よーに。……ん、さて、これ、で、いい、でしょー、か?」
 私も眠いので、もう眠っても? そう言いたげに、澪は溶けるような欠伸をひとつ。
 つられて大きな口をあけた者もいたとかいないとか。

 綿津見常世に蛇は沈み。
 臥し所には、花満ちて。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『猟兵達の戦闘訓練』

POW   :    肉体を鍛える訓練をする。

SPD   :    速さや技量を鍛える訓練をする。

WIZ   :    魔力や知識を高める訓練をする。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夢の跡。
 爽やかな風のなかですべてが微笑んでいた。
 草木も、花も、鉱石も、枯葉と果てた命さえも。
 先刻までの戦いなんてなかったかのように。
 
 この世にあって、平穏などきっとそう長くは続かないのだろう。
 けれども。
 だからこそ。

 猟兵たちは、成しうる限りを尽くすのだ。
 いま、この瞬間、君が出来ることを。
白・ケルビン
やったー!
これで遠慮なく素材集めができるね、えへへっ!!

誰かに取られる前にいち早く焼け残った鉱石とか、植物の回収をするよ
取り合いになったら……じゃんけんぽん!

研究室に帰るまで待てないから、ついでにその場で調合!
調合終わるまでアイスとかドーナツ食べて待ってる……けど
……ちょっとまって?アイスとかも一緒に入れたら面白いのでは??

というわけで調合中のフラスコにアイスはいドーン!(棒アイスで蓋する)
何が出来るかなわくわく。これだけいい素材使ってるんだから、調合失敗爆発とかありえないよね!!
(多分爆発します)(周りの人の戦闘訓練とか見て余所見してます)
(爆発しても大きな怪我人は出ないよ!やったね!)



●採集だホイホイホイ
 細腕いっぱいの鉱石や植物を抱えた少女がちょこちょこと駆け回る。

 ああ、あの子、さっきそこで見たと思ったら、今はもうあそこに。
 なんて言っている間に、ああもうあんなところに!
 薬草なんて、もう半分は腕からこぼれそう。大丈夫かしら?

 そんな会話があったとかなかったとか。
 別に心配する義理なんてないのに、気付けば目で追って気にしてやりたくなるような、白・ケルビン(イミビ・f00974)という少女はそういう存在だった。

●調合だホイホイホイ
 して当の本人はというと、抱えきれなくなった鉱石がふたつみっつ腕から転がったところで採集を諦め、今しがた調合へと取り掛かったばかりのよう。
 ケルビンの周りには、小さい子がお店屋さんごっこをするみたいに、一面にとりどりの鉱石や植物――それに、おやつが並べられていた。

「よーし、準備オッケー。がんばろっ! 手始めにー……んー……よし、まずはキミとキミ!」
 ――冬の明け方みたいな色した鉱石と、透明な花弁の忌花をフラスコへ。
「これだけじゃなんか物足りないよね。この中で一番貴重な鉱石はー……あ、これこれ! あとは彩りに一番可愛いお花をいれちゃおーっと!」
 ――まあるい琥珀の中に水晶の星々が瞬くとても小さな鉱石と、炎の蕾を抱えた精霊草をひとつかみ。
「うん、いい感じ! あとはしばらく煮込むだけ! ――ってことで! おやつターイム!」
 ひとり拍手をするケルビンはそれはそれは嬉しそうで。
 右手にアイス、左手にドーナツ、こぼれる笑顔――幸せは、ここに。

「やっぱり調合しながらのおやつって最高だよね」
 ひえひえのアイスを口に運べばキンキンとした鋭い冷たさが脳を突き、
「はっ! ちょっとまって、」
 冴え冴えとした瞳で食べかけの棒アイスを見つめるケルビン。
 あまりいい予感はしない。
「アイスとかも一緒に入れたら面白いのでは??」
 ――肯定する者がこの場にいなかったのは不幸中の幸いと言えよう。
 しかし。
 しかし、だ。
 この場には否定する者もいないのである。
 よって、
「アイスはいドーン!」
 ここに“ケルビンの気まぐれフラスコ ~棒アイスの蓋を添えて~”が、完成することとなったのである。
「これだけいい素材使ってるんだから、調合失敗爆発とかありえないよね!! みんなの訓練の様子でも見てのんびり待ってよーっと」

●爆発だホイホイホイ

 ドッカーーーーーーーーーン!!!!!!!!

●失敗だホイホイホイ
「…………ま、まーまーまーまーこんなこともあるよね! ある! うん、ある!」
 失敗は成功の母って言うし!
 成功のお母さんってことは成功よりすごいし!
 横顔いっぱいに煤をつけて、ケルビンは笑う。
 
 本日の研究成果『煤とわたしの笑顔』
 諦めなければ、いつか、必ず。

大成功 🔵​🔵​🔵​

デイヴィー・ファイアダンプ
精神鍛錬という名の気持ちの整理を
なにせずっと迷っていたのだから

オブリビオンは過去に捨てられた筈のものだ
それがモノとして過去から染み出したというなら、その姿はまるで自分はまだ役に立つと訴えているように見えないか?
だから今日の話を聞いてから、心が騒いで冷静ではいられなくかった

それでどうしようもなくなって助けを求めた
過去に囚われた思考を振り払うため、未だ見ぬ誰かにね
それを知ってか知らずか、歌われたのは子守唄だ
過去を夢見ることのない自分に、まるで別の何かを夢見るべきだと言わんばかりに
だからその何かは、この“心のもや”の先に辿り着ける標となる、そんな気がするね

考えが纏まったら、あとは前に進ませてもらうよ


寧宮・澪
んー……せっかくですしー……鍛錬、していきましょかー……。

謳いながらー……【属性魔法】を【高速詠唱】ー……こう、上手に、使える、ようにー。
【祈り】、【鼓舞】、しながらー……。

歌うのはー……なんにしましょ、かー……。
子守唄、にしましょか、ねー……。

――かすみが如く、舞い踊れ。
――安寧の常夜に、御月抱いて。
――綿津見の加護、君の常世に。
――麗しかな、夢路辿りて。
――たま安らかに、眠りたまふ。

迷っても、立ち止まってもー……いいんですよー……。
お休みしながら、進みましょー……。

そんなこと、歌いながら、想ってたらー……眠く、なりましたー……すやぁー……。

(アドリブなど、お任せですよー……)



●デイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)
 彼は考える。
 “オブリビオン”という存在について。
 
 “オブリビオン”
 “過去”として骸の海に在るべきモノ。
 しかし何かが作用して、そこから染み出てしまったモノ。

 ――そうだというならば。
 訴えているのではないだろうか。
 『自分はまだ役に立つ』と。
 ならば――。
 ならば、
 ……ならば、
 
 浮かびあがる可能性。
 しかし、デイヴィーは固く目を閉じ、否として頭を振った。

 縋る様に記憶の藪を搔き分け、求める。
 あの“子守唄”を。
 また囚われてしまう前に。 
 “彼女”の救いを。
 まだ記憶に色濃い彼女の呪文はすぐに脳裏に蘇り――……、

 ――いや、違う。これは……。

 伏せがちな顔を上げ、耳をすませば。
 やはり。
 その歌声は、記憶を手繰り寄せたルフランではない。
 今、ここに間違いなく響く、本物の喉から生まれ出るもの。

 どこから――、

●寧宮・澪(澪標・f04690)
 ここに在るのは姫の舞い。
 ふわりふわり、舞うは澄声、かすみの花弁。

 ――かすみが如く、舞い踊れ。
 ――安寧の常夜に、御月抱いて。
 ――綿津見の加護、君の常世に。
 ――麗しかな、夢路辿りて。
 ――たま安らかに、眠りたまふ。

 彼女の舞いは目に美しく、耳に華々しく。
 そして何より心に優しく。
 君に届けと、君を救えと、君よ眠れと。
 ほそい指先にまで、切なる願いを乗せて、澪は舞う。

 迷うもの。
 惑うもの。
 止まるもの。
 彼女はすべて、知っている。
 たればこそ、彼女は救いを謳い続ける。

 眠って、夢を見れば、新しい発見が、ある、かもです、よー……。
 お休みしながら、進みましょー……。

 甘い誘惑のような澪の救いに、先往く者ほど歩みを止めた。

●彼と彼女
 歌声を辿ったデイヴィーが見たもの。
 それは、すやすやと宙に眠る澪の姿だった。
 祈り疲れ、気持ち良さそうにくったりと眠っている。

「……一足遅かったようだな」
 ちょうど止むところだったかすみの雨がいくつか、ぽつぽつとデイヴィーの足元へ。
 そのうちのひとつをそっと掬いあげ。
「世話になったね。――ありがとう」
 ――あのときは、どうも。助けられてしまったよ。
 かすみの花弁へ向けられた彼の顔は誰も見ることができなかったけれど、きっとそれで良い。

 そのとき、微かな話し声に反応してか澪が身じろいで、
「迷っ……ても、立ちど、……ってもー……いい、……すよー、」
 ぽろぽろと零す。
 双眸は伏したまま。
 寝言だろうか、それとも――それは彼女だけが知れること。
 そんな曖昧に発せられた言葉をデイヴィーは噛み締める。
「……君は、僕に標をくれるだろうか」
 呟きは風に攫われて消えた。
 
 彼と彼女のその後について――それはまた別のおはなしで。

●陽炎の向こうに

 その果てに君たちの道が続きますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日
宿敵 『スチームドレイク』 を撃破!


挿絵イラスト