14
チョコレートの魔王とお菓子の国

#アリスラビリンス #猟書家

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#猟書家


0




●アリスラビリンス:お菓子の国
 ある晴れた日のこと。お菓子の妖精たちが暮らす平和な国に、一人のふしぎな紳士がやってきました。
 その紳士は、上から下まで黒ずくめのスーツを着た、なんとも奇妙なふんいきの人でした。
 国のまん中にある広場に、いつの間にか立っていた紳士は、広場にいたお菓子たちにていねいにおじぎをしました。
「みなさま、初めまして。わたくしは【猟書家】(ビブリオマニア)と申します。今日はみなさまに、ある本を紹介したく、参上いたしました」
 ビブリオマニアと名乗った紳士は自己紹介を終えると、これまた真っ黒なかばんから、一冊の本を取り出しました。
「この本は『アリスとチョコレートの魔王』。
 異世界から招かれた少女が【魔王】を打ち倒して世界を救い、元の世界へと帰還する。子ども向けのありふれた物語でございます」
 紳士が空高くかかげるチョコレート色の本の表紙には、立派なお城の上に立ったおそろしい魔王と、剣を持ったいさましい女の子の姿が描かれています。
「ですが、童心に帰るのもたまには良いものです。
 どうぞ、みなさまもこの本の世界をお楽しみ下さい」
 紳士が本をパッと開くと、広場にいたお菓子の国の住人たちは一人残らず本の中に吸い込まれてしまいました。
「もっとも、登場人物たちにとっては遊びではなく命懸けなのでしょうけどね。
 さあ、果たしてアリスならぬ愉快な仲間達はあの【魔王】を打ち倒すことができるのでしょうか?
 役者が変わった物語がどのような結末を迎えるのか、とても楽しみですね」
 だれもいなくなった広場で、ビブリオマニアはくすくすと笑うのでした。

●グリモアベース
「アリスラビリンスで奇妙な事件が発生しました。ある【不思議の国】の住人達が本の世界に閉じ込められてしまったのです」
 道化師の格好をしたグリモア猟兵、渡月・遊姫(二重人格の殺人姫・f19443)は集まった猟兵たちに事件のあらましを説明しはじめた。
 【アリスラビリンス】には異邦人であるアリスたち以外にも、様々な姿をした擬似生物たちが暮らす【不思議の国】がたくさんある。その中の一つ【お菓子の国】に、【猟書家】(ビブリオマニア)を名乗る黒ずくめの男が現れ、たくさんの【愉快な仲間】たちを本の世界に閉じ込めてしまったのだという(【時計ウサギ】やアリスは現場にはいなかったようだ)。
「猟書家の正体や目的は不明ですが、このまま放置することはできません。どうやら本の中にも邪悪なオウガがいるようです。このままでは住人たちはみな本の世界の住人になって永遠に出られなくなってしまうか、悲しい結末を迎えてしまうでしょう」
 まだ住民は無事のようだが、本の世界には魔王を名乗る支配者のオウガや、その手下がうようよいる。愉快な仲間たちだけでは、本の世界から脱出することは不可能だろう。
「そこで皆さんにも、本の世界に転移して、お菓子の国の人たちを助けていただきたいのです。彼らはすでに冒険を始めておりまして、カラスに襲われて困っているようです。みんな体がお菓子でできているせいか、めっちゃ突っつかれてます。
 直接そのページに転移できるようなので、皆さんは転移が完了したらすぐに愉快な仲間たちを助けてあげてください」
 遊姫本人は気づいていないようだが、素の口調が出たのか、ちょっと関西弁が混ざった。
「……そして、ページに沿って本の世界を進み、魔王城のページにいるボスのオウガ【チョコレートの魔王】を倒せばみんな本の世界から脱出できるはずです。
 あと、本には一つ厄介なルールがあるので、ルールを破らないないように気をつけて下さい」
 厄介なルールとは、「進行方向」のことだ。本の世界では、太陽の中に次のページの方向を示す矢印が表示されており、その方向を無視して移動すれば、愉快な仲間はおろか、例え猟兵でもだんだんと生命力を奪われてしまい、最後には本の中に完全に取り込まれてしまうのだという。ちなみに元々本の世界の住人だからか、オウガたちにはこの制約は無いらしい。
「【チョコレートの魔王】は強力なオウガです。ですが、本来の主人公がいない本の世界で魔王を討ち果たし、【愉快な仲間】たちを救えるのは猟兵である皆さんだけです。どうか、よろしくお願いします」
 遊姫は深々と一礼し、猟兵たちを本の世界へと送り込んだ。


大熊猫
 こんにちは。大熊猫です。今回はアリスラビリンスの「本の世界」が舞台の依頼となります。
 本の世界を支配する魔王(オウガ)を倒し、お菓子の国の人々を救い出しましょう!

●お菓子の国の住人について
 お菓子の国の住人はみな擬人化されたお菓子の姿を持つ【愉快な仲間】たちです。全部食べられると死んじゃいますが、少しぐらいならかじられても平気です。食べられて目減りした体も章をまたげば復活します。
 ※プレイングでリプレイに登場する住人の特徴を大まかに指定することもできます。
 例:シャイなチョコパフェちゃん、頑固な煎餅のおじいさんなど。

●本の世界のルールについて
 本の世界の中では、ページの進行方向を示す矢印が常に表示されています。矢印の方向に逆らって移動すると、どんどん生命力が失われていき、最終的には本の世界の住人になってしまいます。

●章構成
 一章 カラスの群れに襲われて立ち往生している愉快な仲間たちを救出しつつ、群れが作り出した迷路を突破しましょう。カラスたちは魔王の手下ですがオウガではありません。
 強引に蹴散らしても構いませんが、交渉や工夫をすれば平和的に通してもらうこともできるでしょう。

 二章 グリードキャタピラーの群れとの戦いです。お菓子の国の住人たちとの相性は最悪なので、猟兵達が庇ってあげる必要があるでしょう。

 三章 魔王の城にて、チョコレートの魔王との決戦です。魔王は自分のいる世界が本の世界であることを理解しており、ユーベルコードの攻撃以外でも猟兵たちを矢印の以外の方向に進ませようと画策してきます。
 ※愉快な仲間たちはボス戦には参加しません。離れた所から戦いを見守ります。

●プレイングボーナス(三章のみ)
 オウガの矢印以外の方向に進ませようとする攻撃に対して対抗策を用意する。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。

●童話風リプレイ
 序章のような童話っぽい文体をご希望の場合はプレイング冒頭に「♯」をお書き下さい。

●合わせプレイングについて
 グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。3名以上の場合はどなたか合計人数をご記載頂けると助かります。

●プレイング受付
 OP公開~7/12(日)朝7:00。
 ※各章開始時に童話風の断章が入ります。

 以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
74




第1章 冒険 『カラスのラビリンス』

POW   :    力づくで蹴散らす、この場で誰が一番強いかわからせる

SPD   :    素早く突破する、餌付けして危機を減らす

WIZ   :    カラスと話して道を教えてもらう

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●本の世界:魔王の城に続く森
「カァー! こいつは何ともうまいティラミスだな!」
「ああ、つつかないで! つつかないで! ちゃんとナイフで切ってお皿に取り分けて食べておくれよ!」
「カァカァ! モンブランさん、貴女の指輪、キラキラしてとても綺麗ね! ワタシにちょうだい!」
「やめて! やめて! それはだいじな婚約指輪なの!」
 空にうかぶ太陽が示す矢印にしたがい、本の世界を冒険をしていたお菓子たちは、今大混乱におちいっていました。森の中ですごい数のカラスの群れにおそわれたのです。
 このカラスたちは魔王の命令により、城に向かう森を塞いでいる生きている迷路、「カラスのラビリンス」です。魔王と同じで甘いものが大好きなカラスたちにとって、お菓子の国の愉快な仲間たちは格好のえじきでした。
 あらあら、お菓子の国の人たちの冒険はここで終わってしまうのでしょうか?
鈴木・志乃

ビブリオマニア、最近多いなァ
カラスに体つつかれるとか痛いわ!
早くなんとかしないと……

カラスの好物は卵と肉だって聞いたことがあるよ
どっかの研究でからあげにマヨネーズかけたものでおびき寄せてたからね。というわけでそれを用意。
あと卵ね、卵。UDCアースで事前に買って来た卵を大量に用意。
一応脂身の多い生肉も置いとくか……。
お菓子をつつくのはお菓子が油の塊だから、ってどっかで聞いた。
おーいカラスさん、これ良かったらどうぞ(100%善意)

こんなとこ(ビブリオ)にいたらひもじいだろうなぁ……。
愉快な仲間さんこんにちは。
ごめんカラス対策にキムチか唐辛子スプレー塗ってもらっていい?
刺激物は効果覿面だからさ……



●ブラック・フード・デリバリー・サービス
「ビブリオマニア、最近多いなァ」
 エコバッグを両手にぶらさげ、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は呟いた。不思議の国に出没し、住人たちを本の世界に閉じ込めてしまうという黒尽くめの紳士淑女たち、【猟書家】(ビブリオマニア)。志乃が彼らが起こした事件に挑むのは今回が初めてではない。本の世界の時計塔の囚われた少年アリスを救出しにいったこともあれば、トマトな人々とドッジボールをしてきたこともある。
 今回のビブリオマニアが用意した本はまた趣きが異なり、魔王退治の王道ファンタジーの物語の世界らしい。まずは、愉快な仲間たちを困らせているカラスをなんとかしなければならないようだ。
「カラスに体つつかれるとか痛いわ! 早くなんとかしないと……」
 聞くところによれば、愉快な仲間たちはカラスの大群に全身をつつかれている真っ最中だそうだ。だが、カラスはオウガではないから倒す必要はないとも聞いた。
 そこで、志乃は円満に事態を収拾する為、ちょっとだけ寄り道して「秘密兵器」を用意してきたのである。
 志乃はプラスチックの箱を開封し、秘密兵器を開帳する。それは、マヨネーズがたっぷりかけられたホカホカの唐揚げであった。
「カァカァ! なんだなんだ! スゲーいい匂いがするぜ!」
「カァー! あそこだ! あそこからするぞ!」
 志乃が開封した唐揚げの匂いを敏感に察知し、近くにいたカラスたちは一斉に志乃の方を向いた。思った通り、効果覿面だ。
 さらに、志乃の周りには唐揚げだけではなく、たくさんの卵(10個入り98円)が置かれていた。鶏卵はカラスたちの好物なのだ。
(一応脂身の多い生肉も置いとくか……。お菓子をつつくのはお菓子が油の塊だから、ってどっかで聞いた)
 雑食で知られ、お菓子も食べるカラスだが、それはどうやら油が好物だから、らしい。そんな豆知識を思い出した志乃は、脂身たっぷりの生肉も用意していた。
「おーいカラスさん、これ良かったらどうぞ」
 志乃は微笑みながら大きく手を振り、カラスたちに手招きした。山のように積まれたごちそうを見たカラスたちは……。
「カァ! サンキューねえちゃん! ありがたくちょうだいするぜ!」
「なんという慈悲……! まさか女神様?」
「カァカァ! かたじけない」 
 ごはんに釣られたカラスたちは魔王に与えられた使命のことなどすっかり忘れ、この世界では滅多にお目に掛かれないであろうごちそうに飛びついた。
「カァー! うめえ!」
「お肉だ! お肉だ!」
「こんなとこにいたらひもじいだろうなぁ……」
 志乃の差し入れに夢中になっているカラスたちの食べっぷりを見て、志乃はしみじみと言った。わざわざUDCアースに寄り、大急ぎで食料もろもろを調達してきた甲斐もあったというものだ。そして、志乃はカラスたちがお食事している間に愉快な仲間たちの下に駆け寄る。
「愉快な仲間さんこんにちは」
「ありがとう、助かったよ。あいつらにつつかれて困っていたんだ。黒い服を着ていても、君はあの男とは違っていい人なのだね」
 ところどころ穴だらけになったスイートポテトのおじさんは、助かった愉快な仲間たちを代表して志乃に礼を言った。
「ごめんカラス対策にキムチか唐辛子スプレー塗ってもらっていい? 刺激物は効果覿面だからさ……」
 志乃はキムチと唐辛子スプレーを取り出し、愉快な仲間たちに配った。ゴミ箱をひっくり返してでも何でも食べるイメージがあるカラスだが、辛い物だけは苦手だ。これらでガードすればカラスはもう寄り付かないだろう。
「なるほど、お嬢さんは物知りだね。ありがたく使わせてもらうよ」
 こうして、志乃はカラスたちを傷つけることもなく、愉快な仲間たちの一団を連れて森を抜けることに成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

わわわっ!?このままじゃ愉快な仲間たちが食べられてしまいます!
ここはわたしが説得する…振りをして【全てを凍てつかせる小さな妖精】を発動!
こっそりカラスさんの背後から妖精さんで凍らせてしまいましょう!
数分もすれば解凍するので大丈夫のはず…その間に愉快な仲間達と一緒に早く通ってしまいましょう!



●カルデラのお芝居
 テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)が本の世界に着くと、いきなりお菓子たちの悲鳴が辺りに響き渡っていた。
「カァカァ! プリンうめぇ! コーヒーゼリーもうめぇ!」
「ギャ―! ワタシのプルプルのお肌が――ッ!」
「わわわっ!? このままじゃ愉快な仲間たちが食べられてしまいます!」
 カルデラの目の前で襲われていたのは身なりのいいドレスに身を包んだゼラチン系のお菓子の貴婦人たちだ。
 柔らかい分、つつかれやすかったのだろう。彼女達の体積はすでに半分以下まで減少していた。急いで助けないと! カルデラは魔力を溜めながら大きく息を吸い込み、カラスたちに呼びかけた。
「カラスさん! その人たちを解放してあげてください! 嫌がってます!」
「カァー! ああん、なんだあ? また侵入者かぁ?」
「カァカァ! 人に何か頼むなら誠意ってモンを見せてもらわねえとなァ」
 カラスたちは一旦お菓子たちをつつくのをやめ、カルデラの方に向き直った。
「誠意……ですか。たとえばどんな?」
 カルデラは小さく指を動かしながら、カラスたちに問いかけた。
「カァー! このお菓子たちに代わるごちそうだな!」
「カァカァ! ピカピカの宝石を用意するなら考えてやってもいいぜ!」
「カァー! 何か面白い芸を見せてもらうとかだな!」
 カラスたちは口々に答えた。
「なるほど、分かりました。……あ、準備できたみたいですね」
 カルデラはカラスの後ろの方に視線をやりながら言った。
「ああん?」
 次の瞬間、カラスたちの背後から凄まじい冷気と共に小さな妖精が通り抜け、一瞬にしてカラスたちを凍り付かせてしまった。
「妖精さん、ありがとうございます♪」
 カルデラはこっそりとカラスたちの後ろに召喚していた悪戯妖精に礼を言った。
 彼女がカラスたちを説得しようとしていたのは、実はカラスたちの注意を引く為の芝居だったのだ。不意打ち冷凍作戦は無事成功。カラスたちは解凍されるまでの数分間は身動きがとれないだろう。
「愉快な仲間さんたち、もう大丈夫です。今のうちにこの森を抜けましょう!」
「ありがとう、うさぎさん。助かったワ!」
 カルデラは愉快な仲間たちを連れ、急いで森を抜けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鍋島・小百合子
SPD重視
#◎

ありすの世界の民が攫われたという事か
…あのふくよかな大福がその民かえ?

「少々相談したいことがある故…まずはそこの大福から離れてたもれ」
UC「侍女招集陣」発動にて81名の幼侍女を召喚
41名は大福の保護(という救助活動)、15名はカラスとの通訳(動物と話す)、残りはカラスへのおもてなしに向けて待機をそれぞれ指示
大福を襲わないよう手持ちの菓子でカラスとの交渉を試みる
糧食としてちょこれーとや芋菓子(ポテトチップスの類)、あんまん等を持参しておった
まだ口にしておらん一品もある故にこのような形で取られるのは悔しいが…これも人助けじゃ
カラスがこちらの提示に食いついたら待機侍女におもてなしを命ず



●小百合子のおもてなし
「ありすの世界の民が攫われたという事か。……あのふくよかな大福がその民かえ?」
 本の世界に転移した鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は、森をきょろきょろと見回しました。
 すると、丸々と太った、おいしそうな大福もちの「愉快な仲間」がたくさんのカラスにつっつき回されているのが目につきました。
「痛い! 痛い! つっつかないでよ!」
 大福もちは、頭を両手で押さえながら、たまらず悲鳴を上げています。このままでは中のあんこが飛び出してしまうでしょう。小百合子はカラスに近づき、声をかけました。
「烏や。烏や」
「カァー! なんだ? 俺たちはつまみぐい……じゃなかった、侵入者を追い払うのに忙しいんだ!」
「少々相談したいことがある故……まずはそこの大福から離れてたもれ」
 小百合子の後ろには、着物を着た、たくさんの幼い侍女たちがぞろぞろとついてきています。小百合子がユーベルコードで呼び出した、自慢の家来たちです。
 小百合子は懐からお芋のチップスやあんまんなどのお菓子を取り出すと、カラスたちにこう提案しました。
「この菓子をやるから、そこの大福を見逃してやってくれんかえ?」
(まだ口にしておらん一品もある故にこのような形で取られるのは悔しいが……これも人助けじゃ)
 落ち着いた様子でカラスたちに語りかけながらも、心の中では、小百合子は涙を流していました。実は、これらのお菓子は小百合子がお腹が空いた時に食べようと、楽しみとっておいた逸品たちだったのです。
 カラスは言いました。
「見逃せ、だと? 俺たちは魔王の命令でここを守っているんだ。みすみす侵入者を通すわけにはいかん」
 そうは言いながらも、カラスたちはチラチラと小百合子が差し出したお菓子を見ています。小百合子はもう少し押せばいけるんじゃないかと思いました。
「ならば、わらわの侍女たちに命じてそなたらをもてなそうではないか。どうじゃ?」
「おい、どうする? こんなチャンスはめったにないぞ」
「むむむ……」
 カラスたちは悩みました。
 実は大福はとっくに小百合子の侍女たちに保護され、カラスから見えないところで手当てを受けているのですが、カラスたちは全然気が付きませんでした。
「……よし、分かった! おまえたちは特別に見逃してやろう!」
 結局、カラスは誘惑に負けました。
「心得た。さあ、侍女たちよ! 烏たちをもてなすがよい!」
 小百合子が命じると、お祭りのような騒ぎが始まりました。侍女たちは自分の国の昔話を聞かせたり、カラスの羽根を綺麗にしてやったりと、精一杯のおもてなしを始めました。カラスたちはとても満足そうで、使命のことなどすっかり忘れています。
 小百合子は後は家来たちに任せ、大福を連れて颯爽と森を駆け抜けて行ったのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

西行・胡桃
●DEXで挑戦
◎♯
ばなこ(f00572)
いのちゃん(f01962)と「GWP」で参加
合計三名です

愉快な仲間たちを襲うカラスに
「待ちなさい!」と言って登場
さぁーて、カラスを蹴散らすのは簡単だろうけど、怪盗らしくスマートに
そう、この依頼の説明を聞いた時から思いついていたの
と、ばなこを見ます
あ、いのちゃんも準備してる
まあ、皆思いつくよね……

カラスが信用して食べたなら、魔王について聞き込みしましょう
矢印の以外の方向に進ませようと画策してくることへの対策になるかもしれない

住人にバナナのお菓子の子がいたら食べ尽されないように気を付けます


八海山・いのこ
◎♯
おししょー(f01389)、ななちゃん(f00572)と一緒に怪盗チーム「GWP」として参加しますっ

まずはカラスをどうにかしないとなんだねー。
んー、ななちゃんならきっと…(バナナを準備し始める)
ななちゃんから合図が来たらバナナをたくさん出すよ!
「任せてななちゃん!」

それと、大事なものを取られた人のものを取り返してあげたいね!
ななちゃんのバナナとかおししょーの話とかで気を引いているうちにこっそり取り返してあげよー!
こういうところで怪盗らしくしないとだね!

持ち主に返すときもこっそりだよ!
気付きそうになっても「しーっ」ってして黙っててもらおー!


難駄芭院・ナナコ
◎♯
西行・胡桃(f01389・しっしょー呼び)
八海山・いのこ(f01962・いのこ呼び)
とチーム名「GWP」で参戦

ここは超平和的解決法を編み出したナナコさまの名案が炸裂するぜ!
バナナを餌付けしてその隙に進めばいいんだ!
なっ、しっしょー!いのこ!

やいやいやい、カラスどもめ!そこまでだ!
このバナナが目に入らねぇか!とバナナを差し出す!
さぁ、食らいつけ!そこの愉快な仲間たちよりうめぇぞ!

聞き込みか、その辺はしっしょーとかが得意そうだしな
ほれほれ、うまいかもっと食え食え~
おっ、なんだバナナ欲しいヤツ他にもいるのか~?
遠慮せず食べて行けよな!



●バナナはお菓子にふくまれますか?
「やめて! いたいわ! つつかないで!」
「宝石だー! これももらっちゃうよ!」
 ケーキの姿をした愉快な仲間たちが、たくさんのカラスにいじめられています。お菓子たちが嫌がっているのに、カラスたちはお菓子をつついたり、指輪やブレスレットをうばったりと、やりたい放題なのです。カラスたちは甘いものも大好物ですが、キラキラ光るものも大好きなのです。
 もはやお菓子たちはここで果てる運命かと思われたその時です。凛とした声が森に響きました。
「待ちなさい!」
 カラスたちやお菓子たちが声を振り向くと、そこにはばっちりポーズを決めた美しい三人の少女たちが立っていました。怪盗「GWP」の3人組が、愉快な仲間たちを救う為にこの本の世界にやってきたのです。
 カラスたちに声をかけた、西行・胡桃(残像行使・f01389)はこんな風に考えていました。
(カラスを蹴散らすのは簡単だろうけど、怪盗らしくスマートに)
 カラスたちはオウガではないので、倒す必要はありません。ならば、暴力で解決するのは怪盗らしくないと思ったのです。
「そう、この依頼の説明を聞いた時から思いついていたの」
 胡桃にはカラスたちから愉快な仲間たちを引きはなす秘策があったのです。胡桃は後ろにいる二人の弟子の方を見ました。
「まずはカラスをどうにかしないとなんだねー。んー、ななちゃんならきっと……」
 カラスにあげるためのバナナを準備していた、八海山・いのこ(豚じゃないもん・f01962)は言いました。
「ここは超平和的解決法を編み出したナナコさまの名案が炸裂するぜ! バナナを餌付けしてその隙に進めばいいんだ! なっ、しっしょー! いのこ!」
 ななちゃんこと、難駄芭院・ナナコ(第七斉天バナナチェイサー・f00572)も自身満々に言いました。何でも食べるカラスなら、きっとバナナにも飛びつくに違いありません。何より、バナナはとてもおいしいのです。
「あ、ばなこも、いのちゃんも準備してる。まあ、皆思いつくよね……」
 とっておきの秘策が思いっきり二人とかぶっていた胡桃はちょっとしょんぼりしました。
「やいやいやい、カラスどもめ!そこまでだ!」
 威勢よく啖呵を切ったナナコは、いのこにウインクして合図をしました。
「任せてななちゃん!」
 いのこは、ばなこの合図に応え、大量のバナナを大きな袋から取り出し、ナナコの前に転がしました。ぼわっと、熟したバナナの甘い香りが辺りに広がります。
「このバナナが目に入らねぇか!」
 ナナコはあざやかな黄色に染まったバナナをびしりと指差しました。
「さぁ、食らいつけ! そこの愉快な仲間たちよりうめぇぞ!」
「バナナよ! バナナよ!」
「この甘い香り! たまらないわ!」
 カラスたちは一斉にバナナに飛びつきました。器用にくちばしで皮をむき、実をつっついてパクパクと食べ散らかします。
「今だ!」
 いのこはカラスたちがバナナに夢中になっている間に、カラスたちが愉快な仲間たちからうばった貴重品をこっそりと持ち出し、愉快な仲間達に返してあげました。大切なものを取り返してもらったケーキたちは喜んでお礼を言いそうになりましたが、カラスに気付かれてしまっては大変なので、いのこは人差し指で「しーっ」と合図をしました。
「あ、あそこにバナナケーキさんがいる! 間違えて食べられないようにしないと!」
 胡桃はバナナケーキに駆け寄り、いのこに引き渡しました。果物のバナナと一緒に愉快な仲間まで食べられてしまっては大変です。
「ほれほれ、うまいかもっと食え食え~。おっ、なんだバナナ欲しいヤツ他にもいるのか~? 遠慮せず食べて行けよな!」
 カラスたちにバナナの皮をむいてやっているナナコも、とても楽しそうにしています。ナナコはバナナが大好きなので、バナナがおいしそうに食べてもらえると自分も嬉しいのです。
「ねえねえ、カラスさん」
「カァ! なんだい、太っ腹なお嬢さん」
 胡桃はバナナを食べてゴキゲンになっているカラスに話しかけました。
「魔王はどんな魔法が使えるの?」
「カァカァ! そうか、よそ者は知らないのか。いいだろう。バナナのお礼に魔王の『力』の技を教えてやろう。
 魔王はチョコレートを支配する悪魔だ。飲み込んだものを何でもチョコレートにしてしまう『チョコレートの津波』を操るのさ。もし魔王に会うことがあれば、怒らせてチョコに変えられないように気をつけな」
 上機嫌なカラスは、胡桃の質問に答えてくれました。どうやら、魔王は厄介な技を使えるようです。進める方向に制約がある胡桃たちには、よけるのは大変かもしれません。
「ありがとう、カラスさん。いのちゃん、ばなこ、行こう」
「「おー!」」
 こうして、怪盗チームGWPたちは見事にカラスたちから愉快な仲間たちと魔王の秘密を盗み出し、森を抜けて魔王の城に向かって進むのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー

愉快な仲間のみんなが、危ない。早く助けて、あげないと……!

ダッシュで愉快な仲間たちの方へ向かって、【プリンセス・ホワイト】で呼んだ白鳥さんたちをカラスさんたちにけしかけて、食べるのを止めさせる、ね。白鳥さんとあなたのどっちが強いか、賢いカラスさんならわかる、よね?
けど、このままだとカラスさんたちもお腹がすいちゃう、かな。愉快な仲間のみんな、もしよかったらあなたたちをカラスさんにちょっとだけ食べさせて、あげて?お皿を用意して、お行儀よくカラスさんに食べてもらえば、いいよね。わたしもティーセットで紅茶を淹れてあげる、よ。
美味しかったなら、よかった。じゃあ、お城まで案内してもらっても、いい?


ローズ・ベルシュタイン
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との協力歓迎

■心情
カラスの群れですか、カラスは頭の良い鳥類ですから敵に回すと厄介ですわね。
ここは一つ、カラスと話して道を教えて頂きましょう。

■行動
薔薇園狂詩曲(UC)をカラスに披露してみましょうか。
「カラスの方々、この音楽を聴いてみませんか?」
【楽器演奏】でヴァイオリンを演奏し、UCを聴かせてみますわね。
奏でている間に、【コミュ力】でカラスに話し掛けますわ。

「私はあなた方と争うつもりはありませんわ、
この迷路の道を教えて頂きたいと思いますの」

愉快な仲間達が狙われない様に、常に【かばう】で守る準備をしておきますわ。



●プリンセス・ホワイト
「愉快な仲間のみんなが、危ない。早く助けて、あげないと……!」
 本の世界へと転移してきたミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)はカラスに襲われている愉快な仲間たちの姿を遠目に見て、勢いよく駆け出した。ミアは愉快な仲間とも縁が深い「アリス」だ。彼女がアリスラビリンスで初めてオウガと出会った時は、愉快な仲間に助けられた。今度はミアが彼らを助けてあげる番だ。
「カァカァ! カスタードパイはうまいな!」
「きゃああああ! 痛いのだわー!」
 カラスたちは、寄ってたかってカスタードパイの少女をつっついていた。たっぷりと鶏卵と砂糖が練り込まれたカスタードクリームはカラスたちの大好物なのだ。
「やめて……!」
 その時、ダッシュで現場に辿り着いたミアの制止の声が辺りに響いた。さらに空中に描かれた召喚円からたくさんの美しい白鳥が飛び立ち、あっという間にカラスたちを包囲していく。
 カラスを包囲したのはミアのユーベルコード、「プリンセス・ホワイト」によって召喚された白鳥たちだ。白鳥たちは優雅な佇まいながらも、主の怒りを体現するかの如く、迫力に満ちていた。
「カ、カァ……」
 軽く3倍は大きさがある白鳥たちに睨み付けられ、動けなくなったカラスたちにミアは穏やかに問いかける。
「ね。白鳥さんとあなたのどっちが強いか、賢いカラスさんならわかる、よね?」
 
●ローズガーデン・ラプソディ
「痛いってば! 痛いってば!」
 その頃、ミアが転移した場所から少し離れた場所で、人間ほどの高さがあるホットケーキの愉快な仲間がカラスに追い掛け回されていた。カラスたちはたっぷりとかけられたシロップとバターをペロペロと嘗め回し、ふわふわの生地を遠慮もせずについばんでいる。
 ホットケーキはずっと走り回っていたせいでもうヘロヘロだ。ついに、石につまずいて転び、カラスに囲まれてしまった。
「もうだめだ! おしまいだ!」
 絶望し、天を仰ぐホットケーキ。
 その時、ホットケーキのすぐそばに一輪の薔薇が突き刺さった。さらに、転んでいるホットケーキを護るように一陣の旋風が巻き起こる。
「カァ!?」
 カラスたちは驚き、バサバサと羽ばたいて空に逃れた。すると、どこからか格調高いヴァイオリンの音楽が流れてくる。
「カラスの方々、この音楽を聴いてみませんか?」
 カラスたちが、声の方を振り向くと、そこには、夕焼け色のドレスに身を包んだ美しい淑女が立っていた。ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)だ。ローズはヴァイオリンの音色に魔力を乗せ、カラスたちに天上の調べのような美しい演奏を聴かせた。
(カラスは頭の良い鳥類ですから、敵に回すと厄介ですからね)
 生物学に長じるローズはカラスの特性もしっかり把握していた。カラスは他の鳥類と比べ、飛び抜けて頭の良い鳥だ。いじわるされた人間の顔を覚えることもできるし、なんと、それを仲間に伝えることすらできるとまで言われているほどである。
 知能が高いからこそ、音楽の美しさも分かるのだろうか。ローズの見事な演奏に心を奪われたカラスたちはホットケーキを襲うのをやめ、黙って『薔薇園狂詩曲』(ローズガーデン・ラプソディ)に聴き入り始めた。
 カラスが大人しくなった頃合いを見計らい、ローズは言った。
「私はあなた方と争うつもりはありませんわ」

●優雅なお茶会
 数分後、森の中で、優雅なお茶会が開かれていた。ローズが奏でるヴァイオリンのゆったりとした曲が流れる中、愉快な仲間たちが用意した白いテーブルの上に、きれいに切り取られたカスタードパイやホットケーキ、そして香り高い春摘の紅茶が置かれている。元気な愉快な仲間たちが少し体を分けてくれたのだ。お菓子の妖精である愉快な仲間達の体は、正しい手順で切り分ければ、痛みも特にないらしい。
 カラスたちはきちんとテーブルクロスを身に付け、行儀よく椅子の上に乗っていた。ミアは手が使えないカラスに紅茶を注いでやる。
「おいしい?」
「カァー! もちろん! たまには優雅なお茶会も悪くありませんな!」
「美味しかったなら、よかった」
「こうして、きちんと作法に則れば愉快な仲間の方も、嫌がったりはしませんわ。ところで、出口への道を教えていただけませんか?」
 ローズは演奏の合間に、カラスたちに質問してみた。おいしい食事ときれいな音楽ですっかりリラックスしている今なら、このカラスたちが造り出した迷路の出口を聞き出せるかもしれない。
「それは、わたしも、聞きたいな……。どうせなら、お城まで案内してもらっても、いい?」
 ミアもローズの問いかけに頷く。すると、一羽のメタボなカラスがこう言った。
「よろしいでしょう! 楽しいお茶会に誘ってもらったお礼です。わたくしめが近くまでご案内いたしましょう!」
 こうして、二人は愉快な仲間を救い出し、さらに一羽のカラスを道案内に付けることに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
【電脳の箱庭】
「そこまでです、カラスたち!
お菓子の皆さんをこれ以上食べさせるわけにはいきませんっ!
行きましょう、理緒さん、シャルロットさん!
これ以上、私たちのおやつを食べさせるわけにはいきませんっ!」

……え、違う?

オウガではないカラスたちなら、交渉の余地はありますね。
理緒さんに作っていただいたキラキラのアクセサリーを付けながらカラスたちに話しかけましょう。

「カラスの皆さん!
ここは、お菓子の皆さんの身体の一部をあげますから、どうかここを通して下さい!」

お菓子の皆さんは身体をかじられる程度なら大丈夫とのこと。
少し食べられる程度なら大丈夫なはず!

「あ、ところで、私もちょっと味見させてくださいね」


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】

わたしの得意は辛いほうだけど、
カラスさん、ケーキ系が好きっぽいし、パウンドケーキを準備していこうかな。
それと、カラスさんならキラキラも好きだよね。

それなら【偽装錬金】を使って、
クリスタルガラスや宝石のアクセっぽいのを作ってみよう。
あ、甘い物とキラキラと引き替えに、
道とか教えてもらえたりしたら嬉しいなー♪

って、なんだかカラスさんが寄ってこない?
あ、唐辛子とかが嫌いなのか! これはしまっておかないと、だね!

あ、アクセはアイさんとシャルロットさんの分も作っちゃおう。

2人とも可愛いから、
甘い物とキラキラがあれば、さらに魅力度あっぷだよね!

かわいいは正義! うん、心の補給ができるね!



●出発前の一幕
「わたしの得意は辛いほうだけど、カラスさん、ケーキ系が好きっぽいし、パウンドケーキを準備していこうかな」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は大きなタッパーごと、リュックにケーキを詰めこんでいた。これは甘いものが好きそうなカラスを餌付けする為のアイテムだ。
「それと、カラスさんならキラキラも好きだよね」
「はむはむ。オウガではないカラスたちなら、交渉の余地はありますね。うまうま。食べ物や貴金属を差し出せば、争わなくても通してもらえるかもしれません」
 ついでに餌付けされたアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はパウンドケーキの試作品をむしゃむしゃしながら、理緒に相槌を打った。
「それなら【偽装錬金】を使って、クリスタルガラスや宝石のアクセっぽいのを作ってみよう。
 あ、甘い物とキラキラと引き替えに、道とか教えてもらえたりしたら嬉しいなー♪」
 理緒はケーキが焼き上がるまでの間、『偽装錬金』のユーベルコードを使い、クリスタルガラスや宝石のアクセサリーを作り出していく。
 数十分後。ばっちり準備を終えた二人は、本の世界への転移を開始した。
「さあ、行きましょう理緒さん! これ以上、私たちのおやつを食べさせるわけにはいきませんっ!」
 アイはいつになく張り切っていた。

●正義(かわいい)の名の下に
「そこまでです、カラスたち! お菓子の皆さんをこれ以上食べさせるわけにはいきませんっ!」
(早く止めないと、わたしたちの分がなくなってしまいます!)
 本の世界へと転移してきたアイはカラスたちに向かって言い放った。心の声はどうか無視していただきたい。
「なんだ、あの発光体は!? 眩しい!」
 カラスたちはアイのあまりのキラキラっぷりに目を眩ませた。
 そう、アイはまるで絵本のお姫様か、ニチアサ魔法少女の劇場版のごとくドレスアップされていたのだ。銀色のティアラやクリスタルのブレスレットなど、一人で身に付けるには多すぎる気がしないでもない大量の装飾品や、フリフリのお姫様ドレスは、全て理緒が用意したものである。アクセサリーは出発直前に理緒がユーベルコードで錬成したものだが、ドレスの方も、理緒がアクセサリーと合わせてとっておきのコスプレ衣装を引っ張り出してきたのだ(なお、いつの間にサイズを測定したのか、ドレスのサイズもアイの為にあつらえたようにバッチリであった)。
 カラスたちの視線はキラキラなアイと理緒に釘付けだ。そして、アイの方もザッハトルテやベルリーナ、タルトやババロアなど、勢ぞろいした人間大のお菓子たちの魅惑のボディに釘付けだった。
「このパウンドケーキをあげるので、愉快な仲間たちを見逃してくれませんか?」
 理緒はにこにことカラスに尋ねてみた。
「カァカァ! ノーサンキュー! オマエ変なにおいがする!」
 しかし、カラスの返事はノーだった。
「あ、唐辛子とかが嫌いなのか! これはしまっておかないと、だね!」
 理緒はリュックのポケットから唐辛子がはみ出ていることに気付き、慌ててリュックの奥へと押し込んだ。
 その様子を見て、我に返ったアイがすかさずフォローに入る。
「カラスの皆さん! ここは、お菓子の皆さんの身体の一部をあげますから、どうかここを通して下さい!」
(お菓子の皆さんは身体をかじられる程度なら大丈夫とのこと。少し食べられる程度なら大丈夫なはず!)
「ええ!?」
 驚いたのは愉快な仲間たちだ。頭脳明晰なはずのアイは、お菓子食べたさのあまり、つい愉快な仲間との交渉をすっとばしてしまった。まるでこの場のお菓子は全て自分のものである、と言わんばかりの暴君っぷりである。
「甘い物とキラキラがあれば、さらに魅力度あっぷだよね!」
 しかし、アイの可愛さに目が眩んでいる理緒はあまり気にしていない様子だ。
「カァカァ! いいだろう! そのキラキラも付けてくれるならその条件を呑んでやる!」
「分かりました!」
 アイはいい笑顔で即答した。こうして、愉快な仲間たちはもっと愉快な猟兵コンビの活躍により、カラスの魔の手から解放されたのである!
「あ、私にも少し食べさせて下さいね」
 試食に名乗りをあげたグリード・キャタ……じゃなかった、アイの頬には、よだれが垂れていた。

「かわいいは正義! うん、心の補給ができるね!」
 理緒はお菓子たちを全種類制覇しそうな勢いで試食しているアイにスマホを向けながら、親指を立てるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

薙沢・歌織
【薔薇園の古城】【WIZ】
私も魔法の研究家故に、ビブリオマニア的な気持ちは理解できなくはないですが…世界を巻き込む事件を起こすのはどうかと。

矢印ルールを把握し、ルナティックオーブを遠隔操作して【偵察】して迷宮を進みます。鴉達がウサギさんに食事や貴金属をたかっていますね…。
オーブから鴉達に得体の知れない【恐怖を与え】牽制。鴉達へ手作りお弁当の肉やパンをあげて、ウサギさんの解放及び道の情報の【取引】。

蒼海の指輪も、貴金属として目をつけられそうですが…これはグリードオーシャンでの活動には必要不可欠です。
その場合【精霊達の小夜曲】を発動し、鴉の欲望を刺激する【歌唱】で鴉達の動きを止め先へと進みます。



●カラスの迷宮を抜けて
「私も魔法の研究家故に、ビブリオマニア的な気持ちは理解できなくはないですが……世界を巻き込む事件を起こすのはどうかと」
 薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)は伝え聞いた猟書家の所業を思い返し、溜息を吐いた。目的はどうあれ、これは集団監禁事件だ。いくらお気に入りの本を紹介したくても、本の世界に無理やりアリスラビリンスの人々を閉じ込めるなど、とうてい許されることではない。
「あれが、進行方向を示す矢印……」
 歌織は空を仰ぎながら呟いた。太陽の中に刻まれている不思議な矢印。あれがこの「本の世界」を支配するルールだ。この世界では、本のページの続く方向に従わない異邦人は徐々に生命力を失い、本の世界に取り込まれてしまうのだという。
 慎重に進まなければ。歌織は空に浮かべたルナティックオーブを先行させ、カラスたちが形づくる迷路の道筋を調べていった。
「どうしても、何度か曲がる必要がありますね……」
 迷路なのでそれ自体は当然なのだが、果たしてこの「曲がる」という行為は本のルールに抵触するのだろうか。そこが問題だ。壁の材質がカラスなので迷路自体を破壊して直進することは不可能ではないが、オウガでもないカラスの命を奪うことは可能な限り避けたい。
 歌織は思い切って、ゆっくりと曲がり角に足を踏み入れてみた。しかし、特に体には影響はなかった。恐らく、迷路を曲がっても進む道が正しい限りは矢印のルールには抵触しないのだろう。
 ひとまず安心した歌織は迷路をつき進んでいたが、やがて、ウサギ型の饅頭の姿をした愉快な仲間たちがカラスたちにつつき回されている姿が目に入った。
「鴉達がウサギさんに食事や貴金属をたかっていますね……」
 歌織はカラスたちを止めようと、ルナティックオーブに魔力を送った。すると、オーブに込められた狂月の魔力が波のように放出され、カラスたちの精神を蝕んでいく。
「カァ!?」
 得体の知れない恐怖を感じたカラスたちは、一瞬ビクッと硬直し、ウサギから距離を取った。歌織はすぐにウサギたちに歩み寄り、庇うように背中に隠すと、カラスたちに語りかける。
「私と取引をしましょう。このお弁当を差し上げますから、ウサギさんたちをここから解放し、出口までの道を教えてください」
 歌織は手作りのお弁当の肉やパンを少し取り出し、床に置いた。
「……カァカァ。わかりました。どうぞお通りを」
 カラスたちは本能で歌織との実力差を感じ取ったのか、あっさり取引に応じた。カラスたちから道を聞き出した歌織は、ウサギたちを連れて素早くカラスのラビリンスを抜け出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『グリードキャタピラー』

POW   :    キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦闘番地とはらぺこオウガ
 猟兵たちは、いたずらにカラスの命を奪うこともなく、愉快な仲間たちを連れて森を抜けることができました。
 太陽の矢印の示す方向にしたがい、猟兵たちはお菓子たちを先導して歩いていきます。
 本のページをめくるように、ちょっと歩くと情景がパッと切り替わってゆくのはとても不思議でした。
 一体、どれぐらい歩いたでしょうか。
 やがて、猟兵たちは「戦闘番地」と書かれた標識が立っている、大きな大きな十字路に出ました。
 すると、小さな家ほどもある巨大なイモムシが空から何匹も降ってきました。
「げはははははは! うまそうな奴らだな! みんな俺たちが食ってやるぞ!」
 その禍々しい姿を見て、愉快な仲間たちは悲鳴を上げました。
「あれは、グリードキャタピラー! あわわ、みんな食べられてしまう!」
 食欲にギラついた目で、愉快な仲間たちを見つめるオウガたちの目が鈍く光りました。 
鈴木・志乃
開幕即UC発動
味方と自分に高速詠唱のオーラ防御展開

いやぁ……大きなお口してるなぁと思いまして。いろいろ、廃棄に都合が良いなと。いえ私の職場は何か憑いてまして、どういうわけか必ずメシマズを大量生産してましてですね……。

あ、スイートポテトさん、あいつに唐辛子スプレーかけてやりましょ。激辛キムチも念動力で食らわしてやろう。

うまそうって言ったよね??
みんな食ってくれるんだよね???
多分それもう猛毒になってると思うし、だんだん体おかしくなると思うけど私の知ったことじゃないな。
【罠使い、毒使い、マヒ攻撃、精神攻撃】

さーひたすら逃げるぞ!
近寄ってきたら唐辛子スプレースプラッシュだ!!!



●たのしい職場体験
「スイートポテトさん! 私の後ろに!」
 志乃はグリードキャタピラーが出現するとすぐ、自分たちの周囲をオーラの壁で覆った。その直後、グリードキャタピラーが黒い粘液を纏って突進してきた。
 ギャリリリリリ! 戦闘番地に激しい衝突音が鳴り響く。オーラでキャタピラーの突進を弾き返した志乃は、グリードキャタピラーの巨大な顔を覗き込むように見つめた。
「何故俺の顔を見つめる?」
 グリードキャタピラーは不思議そうに志乃へと問いかけた。
「いやぁ……大きなお口してるなぁと思いまして。いろいろ、廃棄に都合が良いなと」
「ナンダト?」
 グリードキャタピラーはきょとんとした。
「いえ私の職場は何か憑いてまして、どういうわけか必ずメシマズを大量生産してましてですね……」
 遠い目をしながら志乃は言った。
 すると、志乃とグリードキャタピラーの周囲の空間が陽炎のように揺らぎ、UDCアースのキッチンそっくりの迷路が戦闘番地に上書きするように出現した。辺りには鼻を突くような物凄い異臭が漂い始め、何故か遠くから悲鳴のような音も聞こえる。
「何だこれは!? くっさ!」
 グリードキャタピラーはあまりの異臭に身をよじった。
 これは志乃の職場を再現する地獄のユーベルコード、その名も『あの日味わった惨状を私は忘れない』(ナンノヘンテツモナイキッチン)である。
「地獄を見ろ」
 志乃がぼそりと呟くと、大皿に盛られた料理(らしきもの)が次々と出現した。
「あ、スイートポテトさん、あいつに唐辛子スプレーかけてやりましょ」
「あ、うむ……」
 志乃は鼻をつまんでいたスイートポテトにスプレーを手渡しながら、念動力で特製の激辛キムチをオウガの口元に突っ込んであげた。スイートポテトも追撃とばかりにグリードキャタピラーに唐辛子スプレーを浴びせかける。
「ギャアアアアアア!」
 刺激物を口に突っ込まれると同時に顔に浴びせられ、苦悶の声を上げるグリードキャタピラー。
 ただの唐辛子と侮るなかれ。唐辛子の中には、目に付着すると失明するものや、調理の際に防護服の着用が推奨される程の劇物も存在するのだ。
 志乃はダメ押しとばかり、念動力を駆使し、まずそうな料理を次々とグリードキャタピラーの口の中にねじ込んでいった。
「ぐえええ! なんだこの味は!?」
 あまりのまずさに悲鳴を上げるグリードキャタピラー。
「うまそうって言ったよね?? みんな食ってくれるんだよね???」
 志乃は有無を言わさぬ圧を込め、笑顔で巨大芋虫へと問いかける。
 そうしているうちにも、料理は延々と湧き出てくる。まさに地獄である。
「多分それもう猛毒になってると思うし、だんだん体おかしくなると思うけど私の知ったことじゃないな」
 志乃は冷たく言い放った。味はともかく、毒性についてはユーベルコードだからだと思いたい。
「ぐふっ!」
 血を吐き、地面に倒れるグリードキャタピラー。志乃の職場の味をお腹いっぱいごちそうされたオウガはついに天に召されてしまった。
「きさまあああああ! よくも仲間をー!」
 怒り狂ったグリードキャタピラーたちは志乃へと一斉に襲い掛かる。
「さーひたすら逃げるぞ!」
 スイートポテトの手を取り、志乃は駆け出した。行く手を阻む料理を飛び越え、志乃は爆走する!
「逃がすかああああ! あの毒殺女を殺せ!」
 怨念の籠った声を上げながら、グリードキャタピラーの一体が後ろから突っ込んできた。
「「唐辛子スプレースプラッシュ!」」
 志乃とスイートポテトの声がハモる。二人は振り向き様に、追手の大きな顔に向けて特製唐辛子スプレーを噴射した。
「目が! 目がぁ~!」
 唐辛子スプレーをブチこまれ、ビクビク痙攣するグリードキャタピラー。そうしている内にも、クソマズイ料理はオウガたちの周囲に溢れ、志乃たちの姿を覆い隠す。
 オウガたちの悲鳴と怒号は、彼らが決死の覚悟でキッチンを破壊するまで続いたのである……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミア・ミュラー

えっ、あの虫しゃべる、の……!?けど、カラスさんたちとは違って話は通じそうにない、かな。

近づかれると愉快な仲間たちが食べられちゃうから、その前に攻撃した方が、いいかな。みんなはわたしの後ろに、いてね。敵の後ろに【水鎚】を出して頭を、叩く。くらくらさせて動きを封じるのが、目的。
粘液は水で流すこともできると思うし、見た感じ遠距離攻撃はできなさそうだから、そもそも近づかれる前に動きを止めちゃえば、強くなっても攻撃できない、よね。
そのまま頭を水で覆って水を飲ませたら、さらに雷を纏わせたソリッドダイヤをぶつけて、痺れさせちゃう、ね。ん、あなたたちにお菓子はもったいない、よ。代わりに水と雷を、あげる。



●お菓子たちは渡さない
「げははははは! みんな食ってやるぞ!」
 大きく口を開け、高笑いをするグリードキャタピラー。その様子を見て、ミアは目を丸くした。
「えっ、あの虫しゃべる、の……!?」
 てっきり知性のない怪物かと思っていた。虫だし。
「けど、カラスさんたちとは違って話は通じそうにない、かな」
 カラスと違ってこいつらはオウガだ。愉快な仲間も猟兵も食べる気満々だし、迎え撃つしかない。
「あわわ、あわわ」
「みんなはわたしの後ろに、いてね」
 ミアはあたふたしているお菓子たちにそう警告すると、不気味な粘液をでろでろ垂れ流しているオウガをぱっちりした青い瞳でしっかり見据えた。スートロッドを敵に向け、魔法の呪文を唱える。
「其は水……叩き潰し、覆い尽くせ。『水鎚』(ウォーター・ハンマー)」
 ミアの呪文と共に、グリードキャタピラーの背後の空間が水面のように揺らぎ、中から水で出来た透明色の、牛ほどもある巨大ハンマーが飛び出した。
 ボグッ! 
 太陽光を反射し、きらきらと光る水のハンマーはグリードキャタピラーを後ろから容赦なく叩いた。後頭部を強打されたグリードキャタピラーはピヨピヨと目を回す。 比喩表現ではなく本当に頭の上でヒヨコがくるくる回っているのはここが本の世界だからだろう。
 ハンマーはばしゃんと音を立てて弾けると、意志を持つかのようにぶよぶよと動き、今度はグリードキャタピラーの顔にへばりついた。ついでに溢れた水がグリードキャタピラーの分泌している粘液を洗い流していく。
「がぼがぼ! ごぼごぼ!」 
 グリードキャタピラーはばたばたと暴れるが、水のマスクは取れなかった。人型のオウガならむしり取れた可能性もあるが、グリードキャタピラーは芋虫なので外そうにも手がないのである。
 芋虫がもがいていると、ミアの操る水はしゅるりとグリードキャタピラーの口の中に滑り込んだ。
 ミアはリュックから取り出したダイヤを掌に載せ、魔力を籠めた。
「ん、あなたたちにお菓子はもったいない、よ。代わりに水と雷を、あげる」
 ミアが投擲したダイヤは雷を纏い、一直線の軌道でグリードキャタピラーへと飛んだ。
 バチチチチチチチ! 
 グリードキャタピラーに命中したダイヤは弾けるような音を立て、水に濡れたグリードキャタピラーを雷で貫く。
「ギャアアアアアア」
 体内まで焼かれたグリードキャタピラーは一瞬で黒焦げになった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鍋島・小百合子
WIZ重視
【薔薇園の古城
◎#

意地汚い事この上ない虫共じゃ
大福を彼奴等の糧にするわけにはいかぬな

「部隊を三つに分ける。わらわに追従する兵は共に前へ!」
【薔薇園の古城】の者達との連携を重視
UC「聖尼守護陣」発動
82名の神官騎士を召喚し戦闘知識と集団戦術込みで指揮
22名はわらわと共に敵の攻撃を防ぐ盾として前衛にて布陣
30名は大福の護衛、残り30名は猟兵達の後方援護をそれぞれ指示
わらわは前衛にて薙刀で虫共を斬り捨てていき、大福には一匹たりとも近づけさせぬ(なぎ払い、範囲攻撃、吹き飛ばし、拠点防御、継戦能力併用)
機を見て後方の兵に弓での援護射撃と神罰の聖魔術をもって【薔薇園の古城】の者達の援護を命ず


薙沢・歌織
【薔薇園の古城】【WIZ】
醜悪なグリードキャタピラーの群れに、この本の世界の住人は渡せません!

【集団戦術】で、愉快な仲間達を狙う敵を優先的にお二方と連携して倒していきます。【魔力溜め】で魔力に余裕を持たせ【空中浮遊】し【空中戦】へ適応。精霊銃フュルギア・改式の炎【属性ビーム誘導弾】と、魔導砲レイン・クロインでの【爆風を伴う範囲攻撃の砲撃】を浴びせます。
新しく落ちる芋虫も狙います。私へ落ちてくるなら【空中ダッシュ】で回避し、緋炎剣の【切り込み】で【焼却】します。

お二方がUC発動後も敵の数が増えるようなら【高速詠唱】から【裁きを下す天の光】で【範囲攻撃】。…私の切り札も残っていますよ!


ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加(計3名)
WIZ判定の行動
アドリブ歓迎

■心情
「戦闘番地」ですか、中々物騒なところですわね。
ともあれ、グリードキャタピラーは此方を襲うつもりなら倒すまでですわ。

■行動
夕暮れ時に薔薇は踊り咲く(UC)を使用して戦いますわ。
【ダッシュ】で一気に敵の元へと向かい、【範囲攻撃】で複数を狙い
【マヒ攻撃】も織り交ぜながらUCで攻撃しますわ。
特に、弱っている個体から優先して倒していき
愉快な仲間が狙われそうなら【かばう】で守っていきます。

仲間と声を掛け合いながら
狙う敵を統一して素早く倒すなど、連携して
互いの死角となる範囲をカバーし合いながら戦いますわね。



●薔薇園の守護戦士達
「げはははは! お菓子たちも人間も、残らず食ってやるぞ!」
 グリードキャタピラーは猟兵たちの後ろで怯えるお菓子の愉快な仲間たちを見て、よだれを垂らしながら、笑い声を上げました。
「意地汚い事この上ない虫共じゃ。大福たちを彼奴等の糧にするわけにはいかぬな」
 小百合子は眉間にしわを寄せながら、薙刀を構えました。せっかくカラスたちから救助したお菓子たちを、みすみす食べさせるわけには行きません。
「醜悪なグリードキャタピラーの群れに、お菓子の国の住人は渡せません!」
 歌織も小百合子と同じように眉をひそめながら、精霊銃を構えました。
 どうやら二人は、粘液を垂らしながら、うねうねとうごめくグリードキャタピラーたちの姿を気持ち悪いと思っているようです。
「『戦闘番地』ですか、中々物騒なところですわね。ともあれ、グリードキャタピラーは此方を襲うつもりなら倒すまでですわ」
 不気味なグリードキャタピラーの姿に、女性らしい反応をした二人と比べて、ローズはへっちゃらな顔をしていました。ローズは理科、特に生物の勉強が好きなので、虫には慣れているのです。とはいえ、オウガに対する闘志はローズも他の二人と同じでした。
 ローズは魔法の力を宿す長剣を振りかざし、風のように大地を駆けて、グリードキャタピラーの元へ突撃していきます。
「我は招く、聖と天に殉じ心ある者を守護し敵を滅す戦士達……出でよ! 『聖尼守護陣』(カミニツカエシオトメノエイレイタチ)!」
 小百合子はグリードキャタピラーたちの攻撃から守る為、大勢の神官騎士の霊たちを呼び寄せました。非業の死を遂げた、かの英霊たちは、正しい心を持つものを守る為なら、たとえどんな場所にでも駆け付けてくれるのです。
「無辜なるお菓子たちが怪物に喰われて果てることなどあってはならない! これは聖戦である!」
 神官騎士の霊たちは高らかに宣言しました。
「部隊を三つに分ける。わらわに追従する兵は共に前へ! 残りの半数は歌織殿と共に大福たちの護衛を。もう半分は猟兵を後方から援護せよ!」
「「はっ!」」
 小百合子は素早く騎士達に命令を下し、ローズに続いて突撃していきます。
 最前線に赴く二人を見送ると、歌織はふわりと空中に浮かび上がりました。愛銃の精霊銃フュルギア・改式の狙いを定め、突進してくるグリードキャタピラーに向けて空から引き金を引き、炎の弾丸を放ちます。
 炎はグリードキャタピラーの大きな顔に命中し、一瞬にして燃え上がった巨大芋虫は、悲鳴を上げて黒焦げになりました。
 仲間を倒されて怒ったグリードキャタピラーたちは、唸り声を上げて突進してきます。
 歌織はぐんと高度を上げてグリードキャタピラーの突進を回避しましたが、はっと変な感じがしたので、空中でピタリと止まりました。
「なるほど、本のルールですね」
 どうやら、あまりに高く飛び過ぎると、「上に進んだ」、つまり「矢印の示す進行方向通りに進んでいない」と判定されてしまうようです。歌織は本の中で許されるギリギリの高さで滞空しながら、精霊銃の弾丸を連射しました。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい! 『夕暮れ時に薔薇は踊り咲く』(ローズ・ワルツ)!」
 戦場に、ローズの凛とした声が響きました。呪文と共にローズの手にした夕暮れ色の薔薇がパッと散り、刃となってグリードキャタピラーたちを切り刻みます。
「グオオオオオ!」
 グリードキャタピラーは牙を剥き出しにしてローズに反撃しようとしますが、その動きはさっきまでよりも鈍くなっています。ローズのあたりにばらまいた花びらの刃たちには、敵を麻痺させる薔薇の毒がたっぷりとしみ込んでいたからです。
「破ッ!」
 毒で動きが鈍ったグリードキャタピラーたちを狙って、小百合子の薙刀や、幽霊の騎士達のメイスが閃き、グリードキャタピラーたちを吹き飛ばしていきます。
「グオオオオッ!」
 突然、倒れていたグリードキャタピラーの一体が起き上がり、神聖騎士の霊たちへと襲い掛かりました。狡猾なオウガは死んだふりをしていたのです!」
「しまっ……!」
 咄嗟のことで、避けるのは間に合いそうにありません。
「レインクロイン、発射!」
 しかしその時、空から大砲の砲弾が降り注ぎ、グリードキャタピラーを吹き飛ばしました。歌織の魔導砲です。
「ひゃあああああ!?」
 ほっとしたのも束の間、猟兵たちに守られていたはずの大福が悲鳴を上げました。愉快な仲間たちの真上から、新しい芋虫が降ってきたのです。歌織が魔法の剣でグリードキャタピラーを焼き斬るも、数が多く、何体かはそのまま地上に落下していきます。
「増援ですか。しつこいですわね!」
 ローズは薔薇の勲章が施された円形の盾を構えてジャンプし、落ちてきたグリードキャタピラーを弾き飛ばしながら言いました。小百合子の呼び出した神聖騎士の霊たちも、みんなで聖なるバリアを張って愉快な仲間たちを守ります。
「大福たちには一匹たりとも近づけさせぬ!」
 小百合子は薙刀をくるくると風車のように回転させ、地上に残っているオウガたちを薙ぎ払いながら言いました。
「みなさん、オウガを一か所に固めて下さい!」
「了解しましたわ!」
「心得た!」
 歌織の言葉に、ローズと小百合子、そして騎士達が頷きます。
「矢を放て! オウガたちを押し戻すのじゃ!」
 小百合子が命じると、騎士達は一斉に矢を放ち、オウガたちを退かせます。
「薔薇よ、風に乗りて舞い踊りなさい! 『風が導く薔薇の舞踏(ローゼ・ヴィント)』!」
 ローズも舞い散る薔薇の刃を疾風に躍らせ、グリードキャタピラーたちをまとめて押し戻しました。
「今です! 神罰を下します!」
 神聖騎士達は一斉に聖なる光をグリードキャタピラーたちに浴びせました。
「……私の切り札も残っていますよ! 裁きの光、遥けし空の彼方より降り注げ! 『裁きを下す天の光(セレスティアル・レイ)』!」
 騎士達の光に合わせ、歌織が天空に描いた魔法陣から光線が降り注ぎます。
「ギョエエエエエ!」
 2つの眩い聖なる光は、邪悪なグリードキャタピラーたちをまとめて消し飛ばしたのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

八海山・いのこ
SPDで勝負!
◎♯
今回もおししょー(f01389)、ななちゃん(f00572)と一緒に怪盗チーム「GWP」として参加するよっ

なんか凄い怖いイモムシだよー!?
あ、あんまり見ていたくないかも…。
で、でもお菓子の人たちが食べられちゃったら大変だもんね、頑張らないと!

イモムシをお菓子の人たちに近づけさせないように、機動力を奪うよー!
チームのコンビネーションでやっつけちゃうんだ!
私の役目は誘導係だよ!
錬成ヤドリガミの弾幕で攻撃するんだけど、その中で弾幕の薄い所を作ってそこに敵を誘導していきたいよっ。
で、その先にはななちゃんとおししょーが準備をしてくれてるの!

作戦がうまくいったら、みんなで一斉攻撃だー!


難駄芭院・ナナコ
◎♯
西行・胡桃(f01389・しっしょー呼び)
八海山・いのこ(f01962・いのこ呼び)
とチーム名「GWP」で参戦

なんじゃこのホラーな芋虫は!
メルヘンな世界じゃなかったのかよー!やだー!
一秒でも早く目の保養に退場願うぜ!

なるほど!機動力を奪えばいいんだな!
二人とも任せな!ここはナナコさまの「黄金果実の絨毯」の出番だぜ!
食べ終わったバナナの皮にはこういう使い道があるんだぜぇ!

辺り一面を黄金のフィールドに敷き詰めて動かなくなれば一斉攻撃のチャンス!
「その顔面をまっ平にしてやんよぉ!」


西行・胡桃
◎♯
ばなこ(f00572)
いのちゃん(f01962)と「GWP」で参加
合計三名です

うわっ、顔怖っ、キモっ
絵本の世界にそぐわない怪物は退治しちゃおうね

機動力を奪う……バナナの皮?
幾らばなこちゃんでもあの巨大な身体を滑らせるほどのバナナの皮を準備するのは大変なはず!手伝わないと!……あ、大丈夫だったわ

手際が恐ろしい程いい!?
私やることないかも!!
転んでからの号令は、やります
「いのさん、ばなさん、やっておしまい!」

動かなくなったら【灰燼拳】当て放題ね……



●おとぎの世界の怪盗たち
「うわっ、顔怖っ、キモっ。絵本の世界にそぐわない怪物は退治しちゃおうね」
 胡桃はグリードキャタピラーの顔を見て言いました。こどもの頃にどこかで見たような気もしますが、やっぱり違いました。こんな気持ちの悪い虫が出てくる絵本なんて、胡桃は知りません。
「なんじゃこのホラーな芋虫は! メルヘンな世界じゃなかったのかよー! やだー! 一秒でも早く目の保養に退場願うぜ!」
 と、ナナコは言いました。
「なんか凄い怖いイモムシだよー!? あ、あんまり見ていたくないかも……。で、でもお菓子の人たちが食べられちゃったら大変だもんね、頑張らないと!」
 と、いのこは言いました。
 怪盗たちは三人そろってグリードキャタピラーの姿を酷評したのです。
「てめーら! 黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって! どう見ても絵本のキャラそのもののメルヘンフェイスだろうがッ!」
 秘かに自身があった容姿を遠慮なく罵倒され、グリードキャタピラーたちは激おこです。こう見えて、繊細な性格なのかもしれません。
「てめーらは食ってやらん! 踏みつぶしてくれるわ! 行くぞ! おめーら!」
「おう!」
 グリードキャタピラーたちは無数の足を蠢かせ、怪盗たちに向かって突進してきました。
「おわっ! 速い!」
 怪盗たちは日頃鍛えた身のこなしでグリードキャタピラーたちの攻撃を必死に避けますが、動きが速すぎてなかなか反撃することができません。
「てめーらはつぶすが、お菓子たちは食うぜッ!」
 グリードキャタピラーの一体が、口を大きく開いて怪盗たちの後ろに避難していた愉快な仲間達に狙いを定め、突撃しました。
「お菓子たちが危ない! イモムシをお菓子の人たちに近づけさせないように、機動力を奪うよー! ななちゃん、おししょー、準備お願い!」
 と、言いながら、いのこは「スペアキー」を空中にたくさんバラまき、グリードキャタピラーたちへと飛ばしました。鍵たちはいのこのイメージ通りに、サーカスのような不規則な軌道を描いて乱れ飛びます。これらの鍵は、いのこの本体である「鍵」の複製品です。いのこは人間ではなく、鍵のヤドリガミなのです。
「痛、痛、痛! ええい、うっとおしい!」
 いのこの複製鍵の弾幕に晒されたグリードキャタピラーたちは、これはいかんと、鍵が一番少ない方向へと逃げていきました。その様子を見て、いのこはニヤリと笑いました。
「機動力を奪う……バナナの皮?」
 胡桃は首をひねりました。巨大芋虫がバナナの皮でつるりと滑っている姿が彼女の目に浮かびますが、グリードキャタピラーたちはとても大きい上に足がたくさんあるので、ちょっと大変そうです。
「幾らばなこちゃんでもあの巨大な身体を滑らせるほどのバナナの皮を準備するのは大変なはず! 手伝わないと!」
 胡桃はナナコをお手伝いするべく、ナナコの元へと走ります。
「なるほど!機動力を奪えばいいんだな! 二人とも任せな! ここはナナコさまの金果『黄金果実の絨毯』の出番だぜ!」
 ナナコは高らかに叫ぶと、特製のバナナ専用携帯バナナの皮捨て袋から、美味しく食べ終わった大量のバナナの皮を撒き散らしました。すると、一瞬にして足の踏み場もないほどの量のバナナの皮が辺り一面に敷き詰められました。
「どうだ、見たか! ナナコさまの力を!」
「なんだと……!? あれだけの量のバナナを一人で食べたというのか! なんて食い意地の張った子なんだ!」
 愉快な仲間たちの間に動揺が走ります。そんな中、バナナケーキだけが幼い我が子を抱く父親のような温かい眼差しをナナコに注いでいるのでした。
「ぐあー! だれだ、こんなところにバナナを捨てたやつは!」
「皮ごと残さず食えよ! ぜいたくなやつめ!」
 いのこに誘導され、バナナの絨毯に勢いよく突っ込んでしまったグリードキャタピラーたちは口々に文句を言います。バナナの皮で滑ってしまうので思うように進めなくなったのです。
「……あ、大丈夫だったわ」
 ナナコが一人でバナナを用意し切れたのを見て、胡桃がぽつりと呟きました。
「手際が恐ろしい程いい!? 私やることないかも!!」
 胡桃はあせります。もしこのまま活躍できなければ、怪盗一味の「おししょう」から「マスコット的存在」に降格されてしまうかもしれません!
「いのさん、ばなさん、やっておしまい!」
 おししょうの威厳を保つべく、胡桃は弟子たちに号令をかけました。これで一安心です。なんだか悪の女幹部のような号令でしたが、気にしてはいけません。
「その顔面をまっ平にしてやんよぉ!」
 ほら、弟子もちゃんと空気を読んでくれました。ナナコは完全にヴィランな台詞と共に、如意棒を振り回し、転んでいるグリードキャタピラーの顔面をタコ殴りにしました。
「一斉攻撃だー!」
 いのこもスペアキーを乱舞させてビシバシ攻撃し、転んだ芋虫たちが起き上がるのを阻止します。
「トドメよ! 『灰燼拳』!」
 胡桃の拳が唸り声を上げ、グリードキャタピラーたちの腹に突き刺さります。
「うわ――――!」
 動けないところに必殺の拳を受けたグリードキャタピラーたちは、次々と星になっていったのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えての自爆活動だよ

アドリブ連携等ご自由にどぞー

登場即自爆
とにもかくにも速攻で自爆
台詞よりも活躍よりも速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!

何かいきなり自爆する蠢く怪奇現象
自爆という概念生物
ただ自爆するためだけに現れる存在

技能:捨て身の一撃を用いてのメッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆する
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
近づかない動かない即自爆
大事なのはスピード、そうスピードなのですぞー

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能さ



●大爆発!
 カッ!
 突然、戦闘番地に閃光が走った。光に一瞬遅れ、膨大な熱風が吹き荒れ、爆音が轟く。そう、これは猟兵による自爆攻撃だ。出現してから攻撃するまで約1秒。一切の迷いのない自爆であった。
 あまりにも突然過ぎる出来事だったので、近くにいた数体のグリードキャタピラーは防御も回避もできず、超高熱の爆風に巻き込まれ、蒸発した。
 自爆故に自身をも巻き込む上、一度の戦闘で一度きりしか使えぬ技だが、その威力は折り紙付きだ。
 ぐつぐつとマグマが煮えたぎる、爆心地に発生した巨大なクレーターの中心には、およそ人とは思えぬ、黒い何かがぴくぴくと痙攣していた。彼こそが自爆したブラックタールの猟兵、虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)である。「名状しがたきもの」、ではない。「名状しやすきもの」である。
 その男には目が無かった。鼻も無かった。口も無かった。だが、その姿は極めて特徴的だった。彼を見た者は誰しも、たとえ小学生であろうともその名を言い当てることができるだろう。なぜならば――。
 彼の体自体が「うつろぎ」というひらがな文字で構成されているからである。何と分かりやすいことか。
 閃光の速さで本懐を遂げたたうつろぎは、どこか満足そうに、クレーターの中でぴくぴくしていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・シフファート
【電脳の箱庭】
「遅れてごめんなさい!!さて、この芋虫をどう料理してやりましょうか…」
と、ユーベルコードを起動。
「脱皮する速度が速く、それに応じて早くなるといっても、光速まで対応できるかは見ものね!」
と、速度強化に重視した魔術や科学で攻撃。芋虫の加速が充分になる前に先手を打って潰しておく。

そして理緒の策が成功したならそこに熱量重視のレーザー光線で纏めて焼き尽くす。
「…やっぱり、ビジュアルがキツイわね」
と、少し気分悪そうに穴の中の惨状を顔を歪めて見下ろしながら更に追撃を放つ。


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】◎

いもむし……。
そーだった。グリードキャタピラーってこれだったね。

せっかく美味しい感じの依頼なのに、空気読めないよね!
ほら、みんな怯えちゃってるし!
これで甘さが減ったらどうしてくれるのか!

とりあえず、あんまり見た目よろしくなくなりそうだけど、
芋虫は穴に落とすことにしよう。

【虚実置換】で地面に大きな穴を開けて落としたら、
【地形を利用】して、芋虫を1ヶ所に集めちゃおう。

え? 水も入れちゃうの? 煮込む?
あ-。なんだかどこかにそんな料理あった気もする……けど、
これは、ちょっと……キツイね!

あ、あー……愉快なみんなは見ちゃダメだよ!
美味しくなくなっちゃいそうだからね!


アイ・リスパー
【電脳の箱庭】◎
「巨大なイモムシが相手ですか……!
ですが、私のデザート……じゃなかった、お菓子の国の住人は食べさせませんっ!」

ケーキは美味しかったですし、パフェも最高。あんみつもいいですよね!
それが時間が経てば復活して食べ放題なんて、まるでおとぎ話の世界ですね!

「っと、なんか、お菓子の国の人たちから怯えた目で見られてる気がするので、早いところオウガを倒して安心させなくては!」

理緒さんが穴に落としてくれたオウガたちに対して【マックスウェルの悪魔】で生み出した氷を溶かして水を流し込み、さらに炎で熱して煮込んであげましょう!

「自分たちが料理される側になる気分はいかがですか!
いや、食べませんけど!」



●電脳飯! 3人娘クッキング!
「いもむし……。そーだった。グリードキャタピラーってこれだったね」
 理緒はぽんと手を叩いた。名前に聞き覚えはあったのだが、外見はどんなのか忘れていたのだ。グリードキャタピラーはアリスラビリンスで最も出現記録が多いオウガの1つであるので、存在を知る猟兵も多いのだ。
「巨大なイモムシが相手ですか……! ですが、私のデザート……じゃなかった、お菓子の国の住人は食べさせませんっ!」
 かつてグリードキャタピラーと戦ったことがあるアイは、闘志を剥き出しにして芋虫オウガたちを睨みつけた。そう、お菓子の住人たちはもうアイの大切なデザ……お友達なのだ。アイは本の世界から脱出した後も彼らとはぜひ仲良くしたい。そう思っている。
「ケーキは美味しかったですし、パフェも最高。あんみつもいいですよね! それが時間が経てば復活して食べ放題なんて、まるでおとぎ話の世界ですね!」
 マドレーヌ、ジェラート、ミルフィーユ。まだお話しできていない新たなフレンド候補たちに熱い視線を注ぐアイだったが……。
 お菓子たちはアイを目が合うと、視線を逸らして一歩後ずさりした。お菓子の妖精なので食べてもらえるのはやぶさかではないのだが、物事には限度というものがあるのだ!
「っと、なんか、お菓子の国の人たちから怯えた目で見られてる気がするので、早いところオウガを倒して安心させなくては!」
 アイはドレスで腕まくりをした。
「せっかく美味しい感じの依頼なのに、空気読めないよね! ほら、みんな怯えちゃってるし! これで甘さが減ったらどうしてくれるのか!」
 まさかお菓子たちが怯えているのがグリードキャタピラーたちだけではないとは気付かず、理緒も気炎を上げる。
 恐怖で甘さが減る。不思議の国の住人ならそういうこともあるかもしれない。
「いくぞおおおおお!」
 多数の足を蠢かせ、少女達に向かって突進してくるグリードキャタピラーたち。
その時、遠方から魔術の砲撃が放たれ、グリードキャタピラーの一体を吹き飛ばした!
 オウガたちが砲撃が飛んできた方に目をやると、そこには装甲車のハッチから顔を出すシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)の姿があった。
「「シャルロットさん!」」
 ハモるアイと理緒。
「遅れてごめんなさい!! さて、この芋虫をどう料理してやりましょうか……」
 長い髪とミニスカートをたなびかせ、装甲車から飛び出したシャルロットは二人の前に立ち、決めポーズを取った。すかさず理緒がスマホカメラのシャッターを切る。
「おっと、撮影会はそこまでだ! これでも食らえッ!」
 グリードキャタピラーたちは緑の皮を脱ぎ捨て、加速して三人の下に突撃した!
「脱皮する速度が速く、それに応じて早くなるといっても、光速まで対応できるかは見ものね!」
 シャルロットは余裕たっぷりに言い放つと、エレメンタルロッドから光属性の魔弾をグリードキャタピラーたちに向けて連射した。
 ドンドンドンドンドン!
 光の速さで放たれたガトリング砲の如き魔弾はオウガたちに回避を許さず、その巨体をノックバックで押し戻していく。
「あんまり見た目よろしくなくなりそうだけど! レタッチ、アンド、ペースト」
 理緒は一歩前に出ると、電脳魔術を行使し、「世界」へと働きかけた。詠唱と共に、大地に大穴が穿たれ、グリードキャタピラーたちはまとめて墜落していく。理緒の魔術干渉により、本の世界の秩序に綻びが生じ、空間が改竄されたのだ。
「理緒さん、ナイスです! エントロピー・コントロール・プログラム、起動します! 『マックスウェルの悪魔』!」
 アイは穴に落としたグリードキャタピラーたちに向けて、熱量操作の電脳魔術で空気中の水分から生み出した水を穴の中に注ぎ込む。さらに、今度は穴の中の熱量を一気に上昇させ、穴の中を満たした水を一瞬で沸騰させた。
「ギャアアアアア! 熱ィ! 熱ィ!」
 グリードキャタピラーたちが悲鳴を上げる。
「え? 水も入れちゃうの? 煮込む? あ-。なんだかどこかにそんな料理あった気もする……けど、これは、ちょっと……キツイね!」
 穴を覗き込んだ理緒だったが、すぐにそっと地獄絵図から目を逸らした。昆虫食は田舎に行けば、割とありふれてはいるが、この毒々しい虫はさすがにノーサンキューである。
「自分たちが料理される側になる気分はいかがですか! いや、食べませんけど!」
 アイもとりあえずノリで煮込んでみたが、グリードキャタピラーを食べる気はゼロだ。もっと美味しいお菓子たちがすぐ目の前にたくさんいるのだから!
「やっぱり、ビジュアルがキツイわね」
 穴の中を覗いてみたシャルロットも、気分が悪そうに目を逸らした。絶賛煮られ中の虫と目が合ってしまったのだ。
「あ、あー……愉快なみんなは見ちゃダメだよ! 美味しくなくなっちゃいそうだからね!」
 理緒は大急ぎで穴にモザイク処理を施し、好奇心に駆られた愉快な仲間たちを制止した。彼らのピュアハートをこんなグロ画像で汚すわけにはいかない。
「過ぎたる魔術と科学、即ち叡智と技術はやがて魔の法の域に到達する。其れは因果を跳躍して理を紡ぐ超人の御業なり。
『無尽光全て司どりし戴冠聖光』(アンリミテッド・シャイン・コンプリート)!」
 シャルロットは膨大な熱量を誇るレーザーを垂直に放ち、穴を貫く。
 こうして、電脳魔術士たちの3人娘クッキング(放送事故)により、グリードキャタピラーたちは葬り去られたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『悪魔王アマイモン』

POW   :    チョコラテ・ウォール
【万物をチョコ化するチョコレートの津波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    チョコレート・ウォー
【チョコレートで出来た悪魔の軍勢】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    チョコラテ・イングレス
非戦闘行為に没頭している間、自身の【主催する鬼ごっこの不参加者と捕まった者】が【チョコレート化する魔王の権能を発動】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シスカ・ブラックウィドーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●チョコレートの魔王
 猟兵たちは、戦闘番地のグリードキャタピラーたちを蹴散らし、ついに魔王の城へとたどり着きました。
 いよいよこの世界を支配する魔王との決戦です。
 危ないので、愉快な仲間たちにはお城の手前のページで待ってもらうことになりました。
 猟兵たちがお城の中をずんずん歩き、お城の最上階までたどり着くと、真っ暗な、長い長い廊下に出ました。
 猟兵たちが一歩足を踏み出すと、壁に取り付けられた燭台に一斉に青い灯が灯り、廊下を照らしました。
 廊下の突き当たりまで猟兵たちが歩いていくと、突き当たりにあった大きな扉が、猟兵たちを誘うように独りでに開いていきます。
 扉の奥にあった、大きな縦長の部屋の奥には、可愛いらしい小さな女の子が王様のような立派な椅子に座っておりました。
 そのそばには、角と翼の生えた小鬼や、大きな鳥や猪など、色んな姿をしたチョコレートの悪魔が控えています。
 彼女が、この世界を支配する魔王に違いありません。魔王は不敵な笑みを浮かべ、猟兵たちに語りかけます。
「よくぞここまで辿り着いた。わらわが悪魔王アマイモンじゃ。
 かつてない挑戦者たちよ。たっぷりと遊んでやろう。
 さて、『かげおに』、『たかおに』、『だるまさんがころんだ』......。どれにしようかの? まあ、鬼ごっこではなく殺し合いでも構わぬがの!」
テフラ・カルデラ

POW

こ…これが魔王…!魔王…?
何だかかわいらしい魔王ですね…?
鬼ごっこなんてやってられません!直接勝負なのです!!

【全てを凍てつかせる小さな妖精】を召喚!悪魔の軍勢も魔王もまとめて凍らせて氷像にしちゃってください!
あ、凍結から解放された魔王が怒った…ってふえぇ!?チョコレートの津波が襲い掛かってきます!?
よ…妖精さん…凍らせれますでしょうか?イチかバチか…!!
(チョコ化フラグはお任せします)



●アイス&チョコレート
「こ…これが魔王…! 魔王…? 何だかかわいらしい魔王ですね…?」
 テフラは魔王と名乗った小さな女の子を見て、驚きの声を上げた。魔王というから、もっと迫力のある姿だと思っていたのだ。だが、今目の前にいる「魔王」はどう見ても十歳にも満たない幼い少女にしか見えない。
 しかし、この少女はオウガだ。いかに可愛らしい姿をしていても、倒さねばならない。テフラたちはその為にこの世界にやってきたのだから。
「鬼ごっこなんてやってられません! 直接勝負なのです!! 妖精さん……頼みましたよ!」
 テフラは力強く叫ぶと、召喚した氷の妖精を悪魔王アマイモンに向かってけしかけた!
 咄嗟に配下の悪魔達が割って入り、魔王を庇うが、テフラの操る氷の妖精は、チョコレートの悪魔たちを一瞬で凍結させながら飛び、魔王の眼前へと迫った。
「!」
 氷の妖精の、ぞっとするほど冷たい手が魔王の肩に触れる。魔王は一瞬にして凍りつき、分厚い氷の中に閉じ込められた。
「やった! やりました!」
 テフラはダブルピースで勝利を喜ぶが――
 ぱきぃいいいいいいん!
 その直後、ガラスが割れるような音を立て、悪魔王アマイモンは氷の封印から脱出した。
「不意討ちとはやってくれたな! 雌ウサギめ!」
 怒りのオーラを迸らせながら、魔王は全身から凄まじい魔力を立ち昇らせる。ちなみにテフラは実は男性なのだが魔王は気づいていないようだ。
「今度はこっちの番じゃ!」
 魔王は右腕を大きく横に振りながら、膨大な魔力の奔流を解き放った!
『チョコラテ・ウォール!』
 魔王の放った魔力は巨大な茶色の津波となって具現化し、テフラに襲いかかった!
「チョコレートの津波が襲い掛かってきます!?」
「避けれるものなら避けてみよ! もっとも、後ろに下がればあっという間に本の世界の取り込まれることになるがの!」
 会心の悪戯が成功した子供のように、魔王はにやにや笑いながらテフラを見ている。
「よ…妖精さん…凍らせれますでしょうか? イチかバチか…!!」
 回避が無理ならばと、テフラは氷の妖精を呼び寄せ、津波を凍らせて凌ごうと試みた。猛烈な冷気に晒された津波はピキピキと音を立て、固体へと変わっていくが――。
「間に合わっ……! あああああああ――!」
 必死の抵抗も空しく、テフラは際限なく押し寄せるチョコの津波に呑まれ、チョコレートの彫像と化してしまった。
 テフラは「チョコレートの魔王」という名前を聞いた時から、なんとなくこうなる予感はしていたのだ。
「む……。なんか一瞬、抵抗が緩んだ気が……? まあよいか。まずは一人じゃ。さて、次は誰と遊ぼうかのう?」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ミア・ミュラー
◎ WIZ
ん、あともうちょっと、ね。愉快な仲間のみんなのためにも、最後まで頑張る、よ。

ん、鬼ごっこならわたしも得意、だよ。矢印の方向に進ませないように追いかけるなら、すれ違うようにしたり、傘で空を飛んで飛び越えたり、矢印に沿えるように工夫して、逃げるよ。タッチされそうになっても、グリッターハートが身代わりになってくれるから、大丈夫。……ハートのチョコレート、美味しそう、かも。
距離を離せたら【陽はまた昇る】で悪魔を溶かしながら、光で魔王の目潰しを狙う、ね。目が見えなければ鬼ごっこなんてできないし、太陽を消そうとするなら、戦闘行為になるからアーデントクラブで、直接攻撃。鬼ごっこはもう終わり、だよ。



●アリスと魔王の鬼ごっこ
「ん、鬼ごっこならわたしも得意、だよ」
 魔王アマイモンへの次なる挑戦者として名乗りを上げたのはアリス適合者の猟兵、ミアだった。
「ほう。そうこなくてはな。では、わらわが鬼じゃ!」
 アマイモンはニヤリと笑うと、ミアに向かって猛スピードで突進してきた。魔力で脚力を強化しているのか、ちびっこい割になかなかの素早さである。
「タッチじゃ!」
「ん、えいっ」
 ミアは傘を使って天井すれすれまでジャンプし、アマイモンの体を飛び越えてタッチを回避した。そのまま空中でスートロッドを一閃し、アマイモンへと魔法の矢を放ちつつ、ふわりふわりと着地する。
 しかし、ミアが放った魔法はアマイモンに当たる直前、ふっと掻き消えてしまった。
「効いて、ない?」
「むう! 避けられたか! じゃが、鬼ごっこ中のわらわは無敵じゃ!
 悪魔たちよ、お前達は空を飛んでおれ! ジャンプの邪魔をしてやるのだ!」
 アマイモンは手下のチョコレート悪魔達に空を塞ぐように命令すると、くるりとターンし、再びミアへのタッチを試みた。
「もう空には逃げられまい! 鬼ごっこは走って逃げるものじゃ!」
 全力疾走で一気にミアへと距離を詰めたアマイモンは、ミアのお腹にタッチした!
「やった! わらわの勝ちじゃ! チョコレートになるがよい!」
 ボンッ! 
 コミカルな音を立て、ミアの体から白い煙が上がる。しかし、チョコレートになったのはミアではなく、彼女の所持するハート型の魔法のアイテム、【グリッターハート】だった。主の危機を察し、身代わりになってくれたのだ。
「……ハートのチョコレート、美味しそう、かも」
 ミアは1キロ以上ありそうな巨大チョコになってしまったグリッターハートを見てそんな感想を漏らしつつ、魔王から距離を取る。
「残機制じゃと!? ええい、そんな特権、認めんぞ!」
 無事だったミアを見てぷんぷんと怒る魔王。両腕をぶんぶんと振り回しながら、ミアへと再度の突撃を敢行した。
「とうっ」
 振り返ったミアは今度は身をひねってアマイモンのタッチをかいくぐり、すれ違うように走り抜けた。
「ええい、ちょこまかと! じゃが! もうそれ以上は逃げられまい!」
 アマイモンはびしりとミアを指差した。確かに魔王の言う通り、玉座の近くであるここはもう行き止まりだ。ミアは魔王の方を振り向くと、スートロッドを空高く掲げた。
「諦めなければ、誰にもきっと、光は射す。『陽はまた昇る』(セカンド・サンライズ)」
 詠唱が終わると同時にミアの頭上に小さな太陽が生まれ、眩い輝きと超高熱を発し始めた。高熱に炙られたチョコレートの悪魔たちはドロドロと溶けだし、形を失っていく。
「まぶしっ……!」
 アマイモンはさすがに溶けてはいないが、あまりの眩しさに手で目を覆っていた。
「ええい、消えよ太陽! これでは鬼ごっこができん!」
 魔王は太陽に向けて魔法の弾を放ち、太陽をチョコレートへと変えた。チョコレートはボトリと落下し、ごろごろと転がっていく。
「ふはははは、いくら太陽でもチョコになれば熱も光も出せんじゃろ!」
 勝ち誇る魔王。だが、その隙を突いて、魔王の眼の前まで迫っていたミアは、少しだけ色を失いつつも、スートのクラブを象った棍棒を全力で振りかぶっていた。
「しまっ……!」
「鬼ごっこはもう終わり、だよ」
 掬い上げるような一撃。【アーデントクラブ】が直撃し、カキーン、と気持ちのいい音を立てて吹っ飛ばされた魔王アマイモンは、勢いよく壁に叩きつけられた。
「ん、あともうちょっと、ね。愉快な仲間のみんなのためにも、最後まで頑張る、よ」

成功 🔵​🔵​🔴​

八海山・いのこ
◎♯
怪盗チーム「GWP」として参加しますっ

●名乗り口上
おししょーが投げた予告状に相手が気づいたら名乗りだね!
「怪盗チームGWP、参上だよ!」
ポーズもびしっと決めていこう!

●行動(真の姿)
カラスさんたちの情報だと、チョコの津波っていうのを使ってくるみたいだし…。
屋根の上とか木の上の高い場所にすぐ行けるように目星をつけておきたいかなっ。
「たかおにって、高い所に逃げれば安全なんだよね?」

そして隙を見て「七星七縛符」で相手の動きを封じれるといいな!
私は二人を信じて妨害に徹するよー!

追いかけられたら、頑張って逃げるよ!んふふー、足の速さにはちょっと自信があるしね!


難駄芭院・ナナコ
◎♯
西行・胡桃(f01389)
八海山・いのこ(f01962)
と怪盗チーム「GWP」で参戦

真の姿で参戦ですわ!
●名乗り口上
しっしょーの予告状と名乗りに合わせて続けて参ります!
「さぁ、とっととお宝を寄こしやがれ!ですわ!」

●行動
チョコ津波を警戒して高いところに最初からいる、流石ですわねしっしょー!
「チョコバナナにならないようにしないとですわね!」
チョコとバナナの相性は抜群だけど、今はノーサンキュー!
「バナナで受ける!」

たかおにって一番高いところでアピールした人が優勝じゃないんですの?
それならばこの一撃で決めていきますわよ!
「奥義!黄金果実の一撃!」
一撃と言わずに二撃、三撃とおかわりもありますわー!


西行・胡桃
◎♯
ばなこ(f00572)
いのちゃん(f01962)と「GWP」で参加
合計三名です

【予告状】
悪魔王アマイモン様
この狂った絵本世界から
愉快な仲間たちを
盗ませて頂きます!

「怪盗GWP!参上!」

チョコ津波を警戒していたので、ここまで来る間にも高い場所の目星はつけていたわ
……一番いいとこは今名乗りで使ったけどね
と、いうことで選ぶ遊びは【たかおに】!
これで有利に進めるはず

ところで、たかおにってどうなったら勝ちなの?
やっぱ殴らないとダメなのかな?

ばなこが作った道を、チョコの波を貫いて近付き、白龍!
【ドラゴニック・エンド】
相手を埋もれさせて相対的にこっちを高くするムーブ!
……あれ?これも悪役っぽい?



●怪盗GWP対魔王!
「くっ……!油断したわ。ならば、わらわの本気を見せてやろう!」
 魔王は稲妻を放ち、部屋の天井を破壊すると、ふわりと空に浮かび上がり、屋根の上に飛び移りました。この本には、まだ続きのページがあったのです。舞台を城の屋根の上へと移し、戦いは続きます。
「ここならば、壁を気にせず存分に走り回れるのじゃ! 外の世界から来た者でなければな!」
 銀色の月の光が闇夜を照らす中、アマイモンは笑いました。
 その時です。アマイモンの足元に、どこからか飛んできた一枚のカードが突き刺さりました。そのカードには、こう書かれていました。
「悪魔王アマイモン様
 この狂った絵本世界から
 愉快な仲間たちを
 盗ませて頂きます!」
 そう、怪盗からの犯行予告状です!
「何者じゃ!」
 アマイモンがカードが飛んできた方を振り返ると、魔王城の屋根で一番高い見張り台の上に、三人の人影が立っていました。
「怪盗GWP! 参上!」
 カードを投げた胡桃はポーズを取り、堂々と名乗りを上げました。
「怪盗チームGWP、参上だよ!」
 おししょうに続き、真の姿を現し、黒いチャイナドレスに身を包んだいのこもポーズを取って名乗りを上げました。
「怪盗チームGWP参上! さぁ、とっととお宝を寄こしやがれ! ですわ!」
 ナナコも赤いチャイナドレスとお洒落な黄金のマスクに身を包み、お嬢様っぽい口調で名乗りを上げながら、ポーズを決めました。真の姿を解放したその姿は、妖艶な美女へと成長しています。
「悪魔王アマイモン! 私達と『たかおに』で勝負よ!」
 胡桃は魔王に勝負を挑みました。
「たかおに」は、鬼よりも高い場所にいれば捕まらないという、鬼ごっこの一種です。有名な遊びなので、子供の頃に実際にやったことのある人も多いかもしれません。
 胡桃たちはカラスから魔王の技を聞き出していた為、そのための対策として高い場所に戦いが始まる前から目星をつけていたのでした。一番いい場所は今の名乗りで使ってしまいましたが……。
「チョコ津波を警戒して高いところに最初からいる、流石ですわねしっしょー!」
 ななこはおししょうに尊敬のまなざしを向けました。
「よかろう! ではわらわが鬼じゃ。この悪魔王アマイモンに挑んだことを後悔させてやろう!」
 アマイモンは怪盗たちの挑戦を受け、子供とは思えない速さの駆け足で見張り台に向かって突進してきました。
「たかおにって、高い所に逃げれば安全なんだよね?」
 いのこが二人に確認します。鬼ごっこの一種であることは知っているものの、実際にたかおにをやったことはないので、ちょっとルールがあやふやだったのです。
「えっ! たかおにって一番高いところでアピールした人が優勝じゃないんですの?」
 ナナコは驚きました。たかおにをやったことがないどころか、たかおにが鬼ごっこであることすら知らなかったようです。
「たかおにってどうなったら勝ちなの? やっぱ殴らないとダメなのかな?」
 胡桃はこちらに近づいてくるアマイモンを迎え撃つべく、拳を構えました。さっきナナコに尊敬のまなざしを向けられていた胡桃でしたが、たかおにのルールについて彼女も何か勘違いをしているようです。オウガ相手ならともかく、普通は鬼ごっこで相手をぶんなぐってはいけません。
「三人まとめてチョコレートにしてくれるわっ!」
 ものすごいジャンプで一気に見張り台まで登ってきたアマイモンは、三人に向かって手を伸ばしました。
「まずいっ! もう登ってきた! おししょー、ななちゃん、逃げるよ!」
 三人は大慌て。大急ぎで見張り台から飛び降り、月が示している本の矢印の方向に一目散に逃げました。
「逃げ足の速い奴らめ! 怪盗というのも伊達ではないようじゃな!」
 次から次へと建物の屋根や木の上を飛び移り、城下町へと逃げていく怪盗たちを魔王は必死で追いかけました。魔王も決して遅くはないのですが、足の速さと身軽さでは、どうやら怪盗たちの方が優れているようです。魔王は捕まえたら本の矢印の反対方向に怪盗たちを投げ飛ばしてやろうと思っていたのですが、身軽な怪盗たちは決して掴まりませんでした。
「ええい、ちょこまかと! こうなったら鬼ごっこはもうやめじゃ! 魔法で決着をつけてくれる!」
 アマイモンはとうとう鬼ごっこで勝つのは諦め、魔法に頼ることにしました。
「『チョコラテ・ウォール』! みんなまとめてチョコレートになるがよいっ!」
 アマイモンは大きな大きな、チョコレートの津波を放ちました。津波は城下町を呑み込んでチョコへと変えながら、ものすごいスピードで怪盗たちへと迫っていきます。
「チョコバナナにならないようにしないとですわね! おししょー、いのこちゃん、後ろに!」
 二人を後ろにかばいながらナナコはチョコレートの津波を見据えて仁王立ちしました。
 チョコとバナナの相性は抜群ですが、今はノーサンキューです!
「バナナで受ける!」
 ナナコは高らかに叫ぶと、人ほどもある巨大なバナナを取り出し、思いっきり地面に叩きつけました。
 バキバキバキバキッ!
 すると、石畳の床がまるで地割れのようにひび割れ、チョコレートの津波は地面にできた穴へと吸い込まれていきました。
「何ッ!? バナナで防いだじゃと!?」
「冷凍バナナは釘が打てるほど硬いのですわ!」
 チョコレートの津波を見事やり過ごしたナナコは、アマイモンにもバナナを喰らわせるべく、全速力で駆けて行きます。矢印とは違う方向なので少し体の色が薄れていますが、魔王に「立ち向かう」分には、本の世界に取り込まれるのはかなり遅くなるようです。
「返り討ちにしてくれるわっ!」
 魔王は魔力を漲らせ、ナナコを迎え撃とうとしました。しかしその時、いのこの放った『七星七縛符』がアマイモンの体へと纏わりつき、体の動きを封じました。
「破魔の護符か……! う、動けぬ!」
 魔王は護符の呪縛を打ち破ろうと全力で抵抗しますが、いのこは必死にこらえました。
「二人共、長くは保ちそうに、ない! 今のうちに……!」
 いのこは仲間たちに呼びかけます。
「ナイスですわ! 奥義! 黄金果実の一撃!」
 動けない魔王の間近まで迫ったナナコは、冷凍バナナを勢いよく振り下ろし、魔王へとお見舞いしました。
「ぐはっ!」
「一撃と言わずに二撃、三撃とおかわりもありますわー!」
 さらにバナナの突き上げ、遠心力をたっぷり付けたジャイアントスイングバナナと三連撃を叩き込み、ナナコは魔王を思いっきり吹き飛ばします。
 ザパッ!
 その時、今も進み続けていたチョコレートの津波を切り裂き、長い槍に乗った胡桃が登場しました。胡桃は自分で投げた槍に追いついて飛び乗り、ナナコの作ってくれた道をここまで進んでいたのです。槍は今も身動きが封じられている魔王の肩にグサリと突き刺さり、魔王はうめき声を上げました。
「白龍!」
 胡桃が槍へと呼びかけると、魔王に突き刺さった槍の飾り布は白い龍へと姿を変え、胡桃を背中に乗せました。
『ドラゴニック・エンド!』
「ぐわ――――!」
 白龍は輝くブレスを浴びせかけ、アマイモンをチョコレートの津波へと突き落としました。チョコレートになりはしませんでしたが、魔王アマイモンはドロドロのチョコレートの海に沈んでいきました。
「相手を埋もれさせて相対的にこっちを高くするムーブ!……あれ?これも悪役っぽい?」
 胡桃は白龍の背で腕組みをしながら、首をひねったのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

薙沢・歌織
【薔薇園の古城】【POW】
…チョコ好きも程々になさい、アマイモン。猟兵の真の力を発現させ、自らを追い込んでいますよ?

戦闘前に【魔力を溜め】、薔薇園団員として【集団戦術】で攻撃や合図を合わせることを確認。遠距離から魔導砲の【炎属性のバーナー砲撃】でチョコを溶かしながら攻撃、地霊盾の【盾受けオーラ防御】で防御。

…チョコレートの津波を放つ能力は【学習力】で分析済みです。
緋炎剣と雷迅刀のUC【地竜滅砕破】を【2回攻撃】で地面に放ち、城の床を破壊して一部を底抜けにする【地形の利用】で津波を下階へ逃がします。破壊後は【足場習熟】で立ち回り、パターン変化の為接近戦も仕掛け、緋炎剣の【炎属性焼却切り込み】を!


ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加(計3名)
WIZ判定
アドリブ歓迎

■心情
チョコは私も好きですけど、食べ過ぎるのも身体に毒ですわ。

■行動
矢印の以外の方向に進ませようと画策されたら
周囲を良く見渡して、矢印の方向を【学習力】で覚えて
違う方向へ進まない様に注意。

戦闘では、白銀勇霊装(UC)を使用
自身を甲冑で覆い、接近しての【マヒ攻撃】や【2回攻撃】を使用。
自身が負傷したらUC能力の【生命力吸収】で攻撃。

仲間の攻撃で地形が破壊されたら【地形耐性】や【足場習熟】で対処。

チョコラテ・イングレスには
私も鬼ごっこに参加する演技をし、
誰も捕まえない様にし、敵への反撃の機会を伺いますわ。


鍋島・小百合子
SPD重視
【薔薇園の古城】
◎#

全てをちょこれーと菓子に変えようとは真っ当な飯など食えんじゃろうて

「仕置きが必要であろう?その児戯に付き合おうぞ」
UC「群制御動陣」発動
召喚した女鉄砲兵を8名になるまで合体させ戦闘知識活用にて指揮
合体させたうち5名はわらわの随伴に、矢印方向に随伴兵を矢印の形に象らせ、残り3名と合体させなかった2名でわらわの隊の四方を固めて矢印以外を進まぬように四方を固める陣形をとる
戦闘では【薔薇園の古城】の者達との連携を重視
兵達には鉄砲で敵の軍勢の相手をさせ、戦況に応じて猟兵達の援護射撃を命ずる(集団戦術)
わらわは状況に応じて薙刀と長弓を使い分け、主に敵の牽制と足止めを担う



●決戦! 薔薇園の三戦士VS魔王!
「さっきのは危なかったわ……おのれ、猟兵共め……」
 チョコレートの洪水から這い上がってきたアマイモンは、ぜえぜえと荒い息を吐きました。アマイモンは自らがチョコレートへと変えた町の屋根の上によじのぼり、板チョコの屋根をバリバリかじりながら休憩を始めました。
 しかし、それも長くは続きません。すぐに猟兵達がアマイモンにさらなる追撃をしようと駆け付けてきました。
「……チョコ好きも程々になさい、アマイモン。猟兵の真の力を発現させ、自らを追い込んでいますよ?」
 辺り一面すっかりチョコレート色に染まった街を見回し、歌織は呆れたように言いました。
「チョコは私も好きですけど、食べ過ぎるのも身体に毒ですわ」
 ローズも両手で剣を構えつつ、魔王に忠告します。ローズも甘い物は好物ですが、さすがにこのチョコレートの量は食べきれません。
「やかましいわ! わらわは魔王! どれだけ夜更かしをしようが、チョコを食べようが、誰もわらわは止められぬ!」
 魔王はいーっと歯を剥き出しにして、猟兵たちに言い返しました。
「全てをちょこれーと菓子に変えようとは真っ当な飯など食えんじゃろうて」
 小百合子もあきれ顔で言いました。小百合子もチョコレートは好きですが、主食にまでする気はありません。
「ええい、なんじゃ貴様らは! お母さんか! お前達、やってしまえ! こいつらを矢印と反対方向に投げ飛ばせ!」
 魔王アマイモンが子供に見えるせいか、叱るような態度をとった猟兵たちでしたが、アマイモンはプライドを傷つけられたようです。
 アマイモンは空に黒い穴を開け、自分の手下であるチョコレートの悪魔たちの軍勢を異空間から呼び寄せると、猟兵たちへとけしかけました。
「我は呼ぶ武を誇らんと勇む戦女達。『群制御動陣』(イクサニノゾミシウツクシキハナバナノグンダン)!」
 小百合子は悪魔の軍勢を食い止めるべく、鮮やかな朱色の鎧に身を包んだ82人の女鉄砲隊を呼び出しました。数はアマイモンの悪魔たちには及びませんが、いずれも鍛え上げられた火縄銃の名手たちです。
「魔王様のご命令だ! お前達を本の世界に取り込んで家来にしてやるぞ!」 
ゲッゲッと不気味な笑い声を上げながら、ガーゴイルのような悪魔たちが一斉に小百合子たちに襲い掛かりました。
 小百合子は女性兵士の中から優れた2人を招き寄せると、こう言いました。
「仕置きが必要であろう? その児戯に付き合おうぞ。兵士たちよ、合体せよ!」
 小百合子が号令をかけると、なんとずらりと並んだ80人の女性兵士たちは次々と合体し、8人の合体超戦士に変身したのです。
「合体した、じゃとっ!?」
 魔王は驚きに目を見開きました。
「5名、付いて参れ!」
 小百合子は合体兵士を5名お供につけ、大きな薙刀を構えて矢印の向きから離れないように陣形を汲み、悪魔の軍勢に突撃していきました。
 さあ、せんそうの始まりです。鉄砲隊はバンバンと悪魔たちを撃ち始めました。悪魔たちは弾丸をかいくぐり、爪や牙で小百合子たちに襲い掛かります。
「小百合子、私も行きますわ! 我は纏う薔薇の気高さに等しき極みの鎧! 『白銀勇霊装』(ハナコトバハシロクカガヤキシヨロイ)!」
 ローズは呪文を唱えると、アルヌワブランの薔薇で彩られた華やかな白銀色の鎧姿へと変身しました。
 ローズは剣で悪魔たちを切り裂き、鎧で悪魔たちの攻撃を受け止めながら、アマイモンへと切り込んでいきます。囲んだり、一方から押し寄せたりと、矢印と違う方向に進ませようとする悪魔たちの狡猾な罠も、矢印の向きを常に頭に入れているローズには通用しません。
 歌織も、魔法の大砲から炎の弾をバーナーのように放ち、悪魔たちをまとめて溶かしていきます。
 アマイモンが呼び出した悪魔たちは、すぐにほとんどがバラバラでドロドロのチョコレートに変わってしまいました。
「なかなかの強さじゃな! だが、戦いは上手でも遊びはどうかの?」
 アマイモンが悪戯っぽい笑みを浮かべた途端、辺りの空気が変わりました。
「さあ、タッチじゃ!」
 アマイモンは屋根からぴょんとジャンプすると、小百合子の近くにいた女兵士へとヘッドスライディングしました。
「きゃあっ!」
 なんと、アマイモンにタッチされた女兵士はチョコレートの彫像へと変わってしまいました。
「このっ! やりおったな!」
 小百合子は薙刀を振りかざし、アマイモンへと叩きつけました。しかし、薙刀の刃はアマイモンがまるで幽霊であるかのように通り抜けてしまったのです。
「何ッ! 効かぬのかえ!?」
「ふははは! 『チョコラテ・イングレス』が発動している間は戦闘は中止なのじゃ! さあ、次の鬼は赤いの、お前じゃ! 拒否すればすぐにチョコレートになるぞ!」
 アマイモンが鬼に指名したのは、ローズでした。ローズは鬼ごっこの鬼をやらなければ、自分がチョコになってしまいます。これは困りました。
「分かりましたわ」
 しかし、なんとローズは素直に頷き、歌織に向かって走り出しました。
「ローズさん!?」
「ローズ殿!?」
 二人は目を丸くして驚きました。
「ほう! 物分かりのいいやつじゃ! さあ、仲間をチョコにしてしまえ!」
 走り出したローズですが、そのスピードは普通の人と同じぐらいの速さでした。本気を出せばもっと速く走ることもできるのですが、ローズは本当に仲間を捕まえる気なんて、もちろんないのです。
 歌織と小百合子も、ローズがこっそり目配せしたので演技であることに気付いていましたが、アマイモンを油断させる為、あえて驚いたフリをしたのでした。
「さあ、覚悟しなさい歌織! タッチですわ!」
 ローズは歌織に向かって手を伸ばしますが、歌織はひらりとタッチを躱しました。何度ローズが手を伸ばしても、歌織はひらひらとタッチをよけてしまいます。
 しばらく二人は矢印から離れないようにしながら走り続けていましたが、いつまで経ってもローズは歌織を捕まえられませんでした。
「ええい! のろまめ! もうよいわ!」
 アマイモンはしびれを切らし、『チョコラテ・イングレス』を解き、攻撃の為の準備を始めました。
「今じゃ!」
 この時をずっと待っていた小百合子は長弓を引き絞り、アマイモンへと矢を放ちました。
 小百合子に続き、鉄砲隊も弾丸を雨あられとアマイモンに浴びせます。
「おっと!」
 アマイモンはマントを翻して飛び、小百合子の弓も、弾丸の雨も躱し切りました。
「フン、わらわにただの弓矢など……」
 魔王が皮肉を言いかけたその時です。
「油断しましたわね。魔王アマイモン、覚悟!」
 風に乗って一気に距離を詰めたローズが空中の魔王へと躍りかかり、星の瞬きのような速さの二連突きをお見舞いしました。魔王は咄嗟に後ろへと飛びましたが、夕暮れ色の美しい刃が魔王の肩を浅く貫きました。
「ふっ。なかなかの突きじゃが、かすり傷じゃ!」
「かすり傷で十分ですわ」
 ローズが不敵に笑うと、魔王は膝を落としました。
「ぐっ……! 毒か!」
 ローズの剣には毒が塗られていたのです。傷口から魔王の血の中に侵入した薔薇の毒は、魔王の体を痺れさせ、その動きを鈍らせました。
「魔導砲、発射!」
 魔王が膝立ちになった隙を見逃さず、歌織は炎の砲撃を放ちました。バーナーのような激しい炎は生き残っていたチョコレートの悪魔たちを貫き、アマイモンの体を包み込みました。
「ぬおおおおっ!」
「やったか!?」
 小百合子は炎に包まれた魔王に目をやります。
 しかし、魔王はまだ倒れてはいませんでした。咄嗟にチョコレートのバリアーを作って熱を遮っていたのです。
「あっつ……! もう許さんぞ! 貴様ら!」
 怒りと共に、魔王の体に魔力が満ち始めました。
「ユーベルコードが来ますわよ!」
 ローズは仲間達に警告を発しました。そしてその直後、魔王アマイモンの恐ろしい魔法が放たれました。
「喰らうが良い! 『チョコラテ・ウォール』! 逃げ場はないぞ!」
 アマイモンは10メートルはあろうかという、大きなチョコレートの津波を放ちました。屋根より高い大津波は全てを呑み込み、チョコレートへと変えようと猟兵たちへと迫っていきます。
「万物をチョコ化するチョコレートの津波! その能力は分析済みです!」
 歌織は【緋炎剣】と【雷迅刀】を逆手に構えると、左右に交差させるように二振りの剣を振り上げました。
「大地の咆哮に震え、喰われよ! 『地竜滅砕破』(デストラクション・アース)!」
 斬撃と共に地竜の咆哮のような衝撃波が放たれ、城下町の地面は真っ二つに切り裂かれました。
 チョコレートの津波は地面のクレバスに吸い込まれ、滝のように滑り落ちていきます。周りにあった家も衝撃波に飲み込まれて粉砕され、チョコの瓦礫へと姿を変えました。
「ローズさん、小百合子さん、今です!」
「アマイモン、覚悟なさい!」
「仕置きの時間じゃ!」
 三人の猟兵達は瓦礫の山を飛び越え、アマイモンへと一斉に攻撃を仕掛けました。 ローズの剣から巻き起こった薔薇の旋風がアマイモンの視界を遮ったかと思うと、小百合子の放った炎の矢と、歌織の赤く燃える剣の鋭い一撃が、同時にアマイモンに命中し――
「うわああああーーーー!」
 大爆発と共に、本の世界にアマイモンの叫び声が響き渡りました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・シフファート
【電脳の箱庭】
「どこかで見たことがあるけど…それはそれ、倒させてもらうわ」
と、UCを起動させて氷精霊広域冷却兵装を作成。
チョコの軍勢を一瞬で凍結。仮にチョコじゃない普通のオウガやオブリビオンだとしても凍結する冷気を展開するわ。

「鬼ごっこがしたいの?良いわよ。氷鬼をしましょう」
と、氷と凍結の概念を展開してチョコレート化に氷鬼のルール、他の子(追われる側)が触れたら氷鬼のように解除されるというルールを適用するわ。
「万が一という事があるからね」


アイ・リスパー

【電脳の箱庭】
「出ましたね、世界中のチョコを独占しようとする魔王!
なんていう鬼の所業なのでしょうか!」

ところであの魔王、どこかで会った気がするのですが気のせいですよね?

とにかくチョコを征服させるわけにはいきません!

「みなさん!
これが最後の戦いです!
力を合わせて勝ちましょう!」

そして魔王を倒した暁には、お菓子の仲間たちをご褒美として一口づつ食べさせてもらうのです!(じゅるり

「チョコレートなら固めてしまえば動けないはず!」

【マックスウェルの悪魔】で生み出した氷の弾丸でチョコ悪魔たちを固めて、さらに魔王も凍らせてあげましょう!

「ところで、チョコ悪魔のアイスも美味しそうですね!」


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】

チョコの魔王……。
辛いもの好きとしては、いろんな意味で的ではあるけど、
最近はスパイス系をブレンドしたものもあるし、
この子にも、甘いだけでなくちょっとじ辛さを足してもらいたいとこだよね!

アイさんとシャルロットさんは、嫌がりそうだけど(笑)

ま、スパイスチョコは魔王を倒してからつくってみるとして、
【E.C.O.M.S】でユニットを展開。
凍り付いたチョコの軍勢に突撃させて、固まってるところを砕いていくよ。
「これでバラバラになっちゃえ-!」

魔王を倒したら、愉快な仲間さんたちとおやつタイム!
ぴりっと辛さの効いたお菓子を教えてあげたいな!
スパイス入りのいちごクッキーとか食べやすいかも!



●物語の結末
「くっ……! 傷が深い……。城に帰って傷を癒さねば……」
 大爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされた魔王はぼろぼろの体を引きずり、自分のお城へと引き返していた。しかし、彼女にトドメを刺すべく、最後の猟兵達が立ちはだかる。
「出ましたね、世界中のチョコを独占しようとする魔王! なんていう鬼の所業なのでしょうか!」
 街中に散らばるチョコレートの瓦礫を、掃除の名目で電脳空間に収納し続けていたアイは叫んだ。
「どこかで見たことがあるけど……それはそれ、倒させてもらうわ」
 シャルロットはロッドを構え、魔王の顔を見ながら言った。
「実は私も、あの魔王はどこかで見たような気がするんです」
 シャルロットの言葉にアイは同意した。二人はこの本の魔王のモデルになった人物について知っているのかもしれない。
「チョコの魔王……。辛いもの好きとしては、いろんな意味で敵ではあるけど、最近はスパイス系をブレンドしたものもあるし、この子にも、甘いだけでなくちょっと辛さを足してもらいたいとこだよね!」
 マイ唐辛子と唐辛子パウダーを構えながら、理緒は言った。
「「それはちょっと……」」
 甘党二人は理緒の言葉に難色を示した。やはり甘党と辛党は分かり合えない運命なのか。
「むざむざやられはせんぞ! 一人でも多く道連れにしてくれる! 出でよ! 我が配下の悪魔たちよ!」
 アマイモンは異空間への扉を開き、召喚の魔法を行使する。魔王アマイモンの呼び声に応え、空を埋め尽くさんばかりのチョコレートの悪魔の群れが、アマイモンの周囲に大量に出現した。
「さあ、行くぞっ!」
 アマイモンは最後の力を振り絞り、悪魔の軍勢を率いて猟兵たちへと突撃してきた。 
「みなさん! これが最後の戦いです! 力を合わせて勝ちましょう!」
(そして魔王を倒した暁には、お菓子の仲間たちをご褒美として一口づつ食べさせてもらうのです!)
 じゅるり。アイは雄々しく叫びながらも、輝かしい未来を妄想してよだれを垂らしていた。道中も散々お菓子を試食していたが、どうやらまだ食べ足りないらしい。
「ま、スパイスチョコは魔王を倒してからつくってみるとして」
 理緒は呟きながら、正八角形のユニット「Octagonal Pyramid」を大量に展開した。数は魔王の軍勢を上回るが、単体の性能ではやはり劣る。悪魔の軍勢を蹴散らす為には、仲間との連携が重要だ。
「暴虐の終焉は告死と鏖殺を宣する人の造りし神滅の剣にして弾丸。それは神界を砕く夕闇に染まる聖光に満ちている。『神戮人器・銀悠を奏するは臨界の聖剣にして魔弾なり』(コレダー・イグナイター)!」
 シャルロットの詠唱と共に、青白い輝きを放つ、氷精霊の力を秘めた兵装が召喚された。兵装は辺りに氷の精霊力を撒き散らし、辺りを氷の精霊力で満たしていく。
「チョコレートなら固めてしまえば動けないはず! 魔王も悪魔もまとめて凍らせますっ! 『マックスウェルの悪魔』!」
 アイは電脳魔術で周囲の空間から熱エネルギーを奪う。シャルロットが呼び寄せた氷の精霊たちの影響もあり、悪魔たちは一瞬にしてアイスチョコの像に変わった。
「チョコ悪魔のアイスも美味しそうですね!」
 アイは氷漬けになった悪魔たちを見て言った。……今この場においては、どちらかというと彼女の方が悪魔っぽい。
「今だ! 行け―!」
 理緒はすかさず、ユニットたちを悪魔の軍勢へと突撃させた。身動きのとれない悪魔たちは理緒のユニットの総攻撃を受け、粉々に砕け散った。
「おのれ! よくも我が眷属たちを! こうなれば! 『チョコラテ・イングレス』! ルールは『こおりおに』じゃ! おまえたちも凍り付くが良い!」
 配下達を失い、形勢不利と見た魔王は強制鬼ごっこの権能を発動し、いきなりこおりおにを始めた。
「一番動きのにぶいやつは……」
 アマイモンはきょろきょろと猟兵たちを品定めした。
「おまえじゃっ!」
 アマイモンは叫ぶと、アイに向かって全速力で突っ込んだ! 第六感でアイが壊滅的な運動音痴であることを看破したことは、流石魔王というべきか。
「ま、まずいっ! 一番どんくさいアイさんがやられちゃうっ!」
 理緒は慌てて魔王を足止めすべくユニットたちをけしかけるが、魔王の権能がユニットたちの攻撃を無効化してしまい、逆に魔王に触れたユニットたちがことごとくチョコレートへと変えられていく。
「ふはははは! タッチじゃ!」
「きゃあああっ」
 ぺたり。アマイモンはアイの薄い胸に手を触れた。パキキ……と硬質の音が鳴り響き、アイはよく冷えたアイスチョコの彫像へと変えられてしまった。
「アイさーん!」
 理緒が叫ぶ。
「アイッ!」
 シャルロットはアイの元へとダッシュした。急いで手を伸ばし、アイの体に触れる。すると、チョコに変化していたアイはすぐに元に戻った。
「あれ?」
 きょろきょろと周囲を見渡すアイ。
「なんでじゃ!? なぜ戻った!?」
 一番驚いたのはアマイモンだ。彼女の魔力でチョコへと変えられたものは、術者である彼女自身が倒されるか、相当強力な解呪の魔法をかけない限り元には戻れないはずだが……。
「驚くことはないわ。『こおりおに』は、生存者が凍った犠牲者を救出できるルールでしょう?」
 シャルロットは不敵に笑った。実は、シャルロットは氷の精霊力を周囲に撒く際に、凍結に関する概念を付与することで、チョコレート化のユーベルコードのルールにも干渉していたのだ。
「しまった……! 『こおりおに』はそういうルールじゃったか……! おのれ、こうなればやはりチョコの津波で……!」
「させないっ! いけ、E.C.O.M.S!」
 理緒は生き残っているユニットたちを魔王へと突撃させた。
「おかえしですっ! 『マックスウェルの悪魔』!」
 アイもすかさず、氷の電脳魔術をフルパワーで魔王へと叩き込む。
「これでバラバラになっちゃえ-!」
「悪魔の王であるこのわらわが――! ぐあああああ――!」
 氷漬けになったまま理緒のユニットの集中砲火を受けたアマイモンは、爆炎に包まれて本の世界から消滅した。

●さようなら、英雄たち! また会う日まで!
 こうして、本の世界を支配していた魔王は猟兵たちに退治され、愉快な仲間たちはみな、無事にお菓子の国に戻ることができました。
 愉快な仲間たちを本の世界に閉じ込めた『猟書家』(ビブリオマニア)は忽然と姿を消しており、その正体はナゾのまま。猟兵たちが彼らの正体を知ることになるのは、それからもうしばらく経ってからのことです。
「強さと優しさを持った英雄たちよ! 皆さんのおかげで多くの人々が救われました! さあ、盛大にお祝いをしましょう!」
 本の世界から救い出されたお菓子たちは、助けてくれた猟兵たちへの感謝の印に、たくさんのお菓子をごちそうしてくれました。ジェラート、チェリーパイ、チーズケーキにあんころ餅……。テーブルの上には、それはそれは美味しそうなお菓子が並びました。
「うわあ、すごい量のお菓子ですね! ……全種類食べるまでこの国に滞在しても構わないでしょうかっ!」
 アイはテーブルに並んだお菓子を見て、目を輝かせました。
「ぴりっと辛さの効いたお菓子を教えてあげたいな! スパイス入りのいちごクッキーとか食べやすいかも!」
「うむ、あなたはよく分かっておられる! 甘いだけがお菓子だけではありませんからな!」
 エプロン姿で辛いお菓子の布教に勤しんでいる理緒の言葉に、揚げ煎餅やわさび味チップスの愉快な仲間たちは頷きました。
 こうして、楽しいパーティは猟兵たちがお腹いっぱいになるまで続いたのです。

「さようなら、英雄たち! また、いつでも遊びにきてくださいね!」
 お菓子の国の愉快な仲間たちは、いつまでも、いつまでも猟兵たちに手を振り続けていました……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月29日
宿敵 『悪魔王アマイモン』 を撃破!


挿絵イラスト