●アックス&ウィザーズ
ここは、群竜大陸から遠く離れたムーア村。
冒険者の集う酒場『黒銀亭(こくぎんてい)』。
戦斧使いの女性が、冒険者への依頼の張り紙を物色していた。
「マスター、いい依頼はあるかい?」
「おや、旅の人かね。それなら、ちょうどいいのがある」
口ひげのダンディな店主が、壁の依頼書を示す。
「なになに、森のゴブリンを倒して、巨大だんごむしを捕まえられるようにしてくる……だって?」
「祭り用の奴だよ。だんごむし祭り」
店主が次に示したのは、派手な張り紙。
そこには、だんごむしの絵が描かれている。でかでかと。
「伝統のだんごむし祭りさ。目玉は、巨大だんごむし飛ばし大会だ。けど、もうすぐ祭りの時期だってのに、森でゴブリンどもが暴れてるせいで、だんごむしを捕まえにいけない。だから、そいつらを駆除して……って」
店主は見た。女戦士の顔が青ざめているのを。
「あ、あたしは虫が苦手なんだよ……ッ!」
「いやいや、冒険者ならもっとヤバいヤツだって相手にしてきたんだろ?」
女戦士は、ぶんぶんと首を振った。
「それとこれとは話が別ッ! 他の依頼にしてくれッ!」
「急ぎの依頼だから、報酬もかなーり良い感じなんだけどなあ……」
「うぐッ……」
高額報酬と、嫌いな虫。
女戦士の心の天秤が揺れるのだった。
●グリモアベース
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、アックス&ウィザーズの地図を投影すると、とあるポイントを拡大してみせた。
「ここ、ムーア村では、伝統行事がありまして。その名も『だんごむし祭り』」
かつてモンスターに襲われたムーア村を、村人と野生の巨大だんごむしが協力して救った……という伝承に由来するらしい。
「近くの森に生息する巨大だんごむしを、いかに遠く飛ばせるかを競う大会もございます」
ちなみに、どれくらい巨大化というと、丸まった状態で、2メートル前後。
特に今年は、帝竜戦役の戦勝祭もかねて開催される予定だったのだが。
「巨大だんごむしの生息地である近隣の森で、ゴブリンが暴れておりまして。森にだんごむし探しに行った村人が返ってこないという事案も発生しているのでございます」
そこで、ゴブリン達を退治し、村人も助けて欲しいと、そういう依頼なのだ。
オブリビオンが人に危害を加えるなら、放ってはおけない。
「なお、森には、行く手を遮る大きな湖がございまして、そこには何やら大きな魚類が棲んでいるとか」
正体は不明だが、食べられそうなものもいれば、不気味なものもいる。
回り道をするもよし、突っ切るもよし。いずれにせよ、通る際には十分注意して欲しい。
「森の奥にいるゴブリンを退治し、村人を救出してくだされば、任務完了です。あとは、だんごむし祭りへの参加です」
だんごむしまんじゅう(色と形だけ)に、だんごむしパン(色と形だけ)。
遊具系は、だんごむしお面などなど。村じゅうに屋台が出る他、メインイベントは巨大だんごむし飛ばしだ。
「丸まっただんごむしを飛ばして、その距離を競うのでございます。スパーンと大会新記録、期待しておりますよ」
ヴェルタールの赤い目が、きらっ、と光った。
七尾マサムネ
俺はだんごむしで行く。
●第一章
森に向かい、湖を突破します。
湖に生息する謎の魚類に襲われないよう、注意してください。
謎の魚類の種類はこちらで決めますが、「こんなのいるかも!」というプレイングがあれば、出来るだけ反映します。
(淡水がどうとかは問いません)(足が生えた魚とかでもОKです)
●第二章
森の奥で、ゴブリンを退治します。
割と悪いヤツなので懲らしめましょう。
捕まえた村人を利用してきますので、「村人を傷付けないよう戦うプレイング」があれば、プレイングボーナスが発生するものとします。
●第三章
ムーア村に戻り、巨大だんごむし飛ばしに参加します。
二章にも参加していた場合、お好みの色やサイズのだんごむしを捕まえてきたことにしてもかまいません。
飛ばし方は特に問いません。キックでもバットでも。
なお、飛距離の判定は、「0メートル~100メートル」の範囲で、プレイングで申告していただいた距離に基づいて行います。
(成功ならほぼその通りの距離、大成功ならもっと遠くの距離飛ばせたものとします)
それでは、皆さまのご参加、お待ちしております。
第1章 冒険
『巨大魚の影を追え!』
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POW : ダイナミックに挑戦
SPD : スピーディーに行動
WIZ : エンジョイに冒険
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
森は一見、穏やかだった。
暴れていると言うゴブリンの気配も、まだない。ただ、何ものかが活動した痕跡が見受けられるのも事実。
そして、木々を抜けた先、広がる湖。
時折、水面近くによぎる、謎の影。魚のような、それでいてうねうねしているような。種類は、1つではないようにも。
思い切ってショートカットするか。それとも、堅実に湖のほとりを回り道するか。
水中の影の主は、通り行く者を狙っている……。
リオン・リエーブル
ようし!ダンゴムシハンター出動だ!
湖はもちろん上を突っ切っていこう!
どんな魚がいるのかなー?
ゴーレムさんに船を運んでもらって、湖に浮かべてレッツゴー!
風を切りながら進んでいくよ
動力? もちろんゴーレムさん
なんやかや(お任せ)で動かしてくれてるよ
がんばれー!
こういうのって、やっぱり醍醐味は巨大魚だよね!
船を丸呑みするくらい巨大な魚のシルエットが出てきていきなり襲いかかって…っていうのがセオリーかな?
襲ってきたら急いで逃げるよ
飲み込まれたら動力のゴーレムさんを組み替えて腹の中から攻撃
やっぱこうでなくちゃ!
倒した魚は引き上げて保存しとこう
食べられるならダンゴムシ飛ばしの時に料理して出すよ
楽しみだね!
リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)が、森の冒険を開始した。
「ようし! ダンゴムシハンター出動だ!」
ピクニックの様相、加えて探検隊の趣もある。
さて、この辺りはまだ、巨大だんごむしのテリトリーではないらしい。話に聞いたほど大きいのなら、なんらかの痕跡が見つかるはずだからだ。
裏を返せば、ゴブリンもこの辺りにはいない、という事である。安全。
のんびり森の散策を楽しんでいたリオンを、別の景色が迎えた。
湖だ。
一見、穏やかな湖面。だが、ひとたびその水中をうかがえば、謎の水棲クリーチャーが蠢いているのだ。うごうご。
リオンはさっそく、お供のゴーレムに頼んで、運んできてもらった船を水面に浮かべてもらう。
「どんな魚がいるのかなー? さあレッツゴー!」
リオンの掛け声とともに、船は出発した。
風を切り、進む船。リオンの長髪もキレイになびく。
船の動力はゴーレムさんだ。自らをエンジンに……するのではなく、オールを凄い勢いで動かし、船を前進させているのだ。人力!
「がんばれー!」
がんばる!
リオンの声援に応え、遮二無二水を掻くゴーレム。
そうして夢中になっていたゴーレムは、気づかなかった。
ザバアアア!
「シャアアアアアアッ!!」
突如上がった水飛沫が、リオンたちを襲う。
行く手に現れたのは、巨大なサメだった。巨躯に見合った口を開き、立派な歯並びでリオンたちを待ち受けている。
「巨大魚、醍醐味だよね!」
おののくどころか、はしゃぐリオン。
だが、獲物を見つけて同じくらいはしゃぐ巨大サメも、ぐんぐん迫る。
ゴーレムは慌てて進路を変更しようとするが……間に合わなかった。
ぱくっ。
「シャアアアア」
リオンたちを飲み込み、巨大サメが勝ち鬨を上げる。
が。
「シャ?」
ぐばっ、と巨大サメの口が開いて、リオンたちが飛び出した。
リオンと船を両脇に抱えたゴーレムは、戦闘モード。そのパワーでもって、サメのお腹の中でひと暴れしてきたのだ。
無事、魚を切り抜け、船旅に戻るリオン。船上には捕まえた巨大サメ。ゴーレムの力も借りて、新鮮保存。
「食べられるかな……村に戻ったら料理してみよう。楽しみだね!」
リオンの瞳は、湖面の如く煌めいていた。
成功
🔵🔵🔴
ヤニ・デミトリ
伝統かあ、人間の考える祭りって奇怪っス…
でも2メートルのだんごむしめっちゃ見たい
はて、湖は素直に大鴉(人間大)に化けて飛んで超えてみるっスか
高さがあれば、気配を察知するのに多少猶予ができるかもしれない
水面から距離を離し、視野を広めに取れるよう空を行く
奥の方の森の様子は流石に…見えないか
死角は使い魔の黒蛙君に警戒してもらおう
何が出ようとこの飛翔力でかわしながら、嘴と爪で迎え撃つっス
しかし食べれる生き物なら持ち帰って祭りで料理して貰いたいけれど
まさか鳥まで襲う魚とかいる訳ないスよね、ははは
…はあ!?
※連携・アドリブ歓迎
ゴブリンの、そして巨大だんごむしの住まう森を歩きながら。
ヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)は、この世界の奇祭に思いをはせていた。
「伝統かあ、人間の考える祭りって奇怪っス……」
でも、2メートルのだんごむしめっちゃ見たい。
そんな願望で胸を膨らませながら。ヤニが進んでいくと、第一の試練が顔を見せた。
湖だ。何やら巨大な魚がいるという噂の場所である。
巨大だんごむしの生息地は、この先のようだ。とすると。
ゴブリンも脅威だが、このエリアも普通に脅威ではないだろうか。村人大丈夫か。
「いや巨大だんごむし捕まえてくる時点で、人間ヤバいっス」
とりあえず先を急ごう。
危険なフィールドを越えるため、ヤニは素直に対処した。すなわち、飛んでショートカット。
ブラックタールのボディを変質させて人間大の大鴉に化けると、空へと舞い上がる。
眼下に広がる湖。これから行くべき森の様子も眺めてみるが、あるのはとめどもない木の群れ。
ゴブリンの姿はおろか、巨大だんごむしの姿も見えない。
さて、気になるのは、湖に住まうもの。食べられるようなら持ち帰って、村の祭りで料理してもらいたいとも思うが。
ヤニの死角を警戒するのは、使い魔の黒蛙だ。つぶらな瞳で辺りをチェック。
高さがあるので、めったなことでは襲われないだろうが、万全を期して。
「まさか鳥まで襲う魚とかいる訳ないスよね、ははは」
上空を優雅に舞うヤニが笑っていると。黒蛙がけろりと鳴いた。涼やかに。
ばしゃあああああんッ!
激しい、いや、激しすぎる水音。
水面を切り裂いて、巨大な影が飛び出した。
しゅっとしたそのフォルムの正体は……巨大トビウオだった。
「……はあ!?」
しかも、頭部の先端はカジキ並みに尖っている。常人なら、刺さると即死コースもありうる。
「……トビウオ?」
疑問しつつヤニはとっさに高度を上げて、串刺しになるのを免れる。
重力に引かれて落下していくトビウオを、さっ、と嘴でついばむヤニ。
そうして、首尾よくトビウオ(亜種)を捕らえたまま。湖を飛び越えて、向こう岸に着地したヤニは、人型に戻る。
「一応でかいからお肉多めで食べれそうっスけど、おいしいんスかね、キミ」
目をぐるぐるにして気絶中のトビウオは、ヤニの質問には答えてくれないのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鏡神・りた
【えるふメイド隊】参加
アドリブ&連携お任せ♪
お祭り! そして巨大魚(これは食べたい)
楽しい一時を守る為参加しますぅ
「ダイナミックに挑戦(POW)」に挑戦!
魚はショッキングピンクなお魚。
美味そうではなく‥邪魔をするなら片付けるのがメイドさんの役目。
妹の真理亞(聖愛ちゃんの宿主さん)と一緒に調理開始だよ。
ユーベルコード「美獣の指先(ケモノノユビサキ)」を使い、お刺し身にします。
葉川・聖愛
【えるふメイド隊】所属
A&Wも落ち着き初めての依頼です。
まだまだ猫の手も借りたい状況ですね・・・。
連携&アドリブ、マスター様にお任せ致します。
■戦闘
宿主の真理亞様が不満そうですね(苦笑)
お姉さんのりたさんが暴走しないか心配‥‥食べ物につられて
湖の魚を食べ尽くさないか?
多分大丈夫ではないでしょうか(若干不安)
「エンジョイに冒険(WIZ)」に挑戦します。
UC「ティアマト(ティアマト)」を使い、巨大を贄に
雷の結界で巨大魚を駆逐いたしますわ。
倒した魚はエレガントにりた様のお腹に収めさせて貰います。
花が咲き、小鳥さえずるのどかな森を、【えるふメイド隊】が進む。
鏡神・りた(美獣・f27665)の足取りは、とても軽い。
楽しみが幾つも待っているのだから、無理もないだろう。
「お祭り! そして巨大魚!」
魚の方は食欲だ。
UDCアース生まれのりただが、エルフの血ゆえだろうか。異界の森にも安らぎを感じる。
さて、まだ巨大だんごむしの姿は見えない。りたは、草や木の陰をちらり探してみるが、影も形も無い。
もっとも、こんな森の入り口近くで見つけられるなら、苦労はないだろう。むしろご対面が楽しみになるりたである。
そんなりたと共に、森の散策を楽しむのは、葉川・聖愛(メイドマスク・f23289)だ。油断なく、注意を辺りに払いながら。
「帝竜戦役も落ち着きましたが、まだまだ猫の手も借りたい状況ですね……」
強力無比な帝竜たちは滅ぼされたものの、一歩群竜大陸の外に出れば、オブリビオンの跋扈は絶える事が無い。
そして、世界には、まだまだ不思議が溢れているのだ。
虫はいないようですねと安堵した聖愛は、ふと、宿主の感情の揺らぎを悟る。
「真理亞様、不満そうですね。お姉さんが暴走しないか心配……食べ物につられて湖の魚を食べ尽くさないか?」
ちらり。
ご機嫌そのもののりたの表情をうかがい、聖愛は思わず苦笑。
「多分大丈夫ではないでしょうか」
「??」
ピクニック用のおやつ、バナナを食べながら、小首をかしげる、りた。
大丈夫と結論づけたものの、聖愛の心から若干の不安がぬぐえないのは、何故だろう。りたの笑顔と軽い足取りには、邪気の一片もないというのに……。
やがて、りた達えるふメイド隊の前に姿を現したのは、湖。
鼻歌交じりで、大きすぎる水たまりを、じぃっと見つめるりた。どこかなどこかなと、動く魚影を探す。
しかし、りたが湖をのぞいている時、湖の方にもこちらをのぞいているものがいるのだ……。
「……?」
りたが、違和感を覚えた次の瞬間。
突如、大きな魚が飛び出した。きらりきらきら、光を浴びて輝く水飛沫。
水面下から現れた魚は、ショッキングピンクのタイだった。
「美味しそう……」
じゅるり。
思わずこぼれた、りたの本音。
聖愛の……というか妹の「やっぱり……」という視線に気づき、りたはぶんぶんと、頭を振って食欲を追い出すと。
「邪魔するなら、片づけるのがメイドさんの役目だよ」
りたはさっそく、『調理』を開始した。自然の中での料理は、醍醐味の1つだ。
りたを狙って、何度も飛びかかって来るショッキングピンク・フィッシュ。
しかし、大ジャンプするも、りたには届かず。
そのまま水中に落下していくタイミングを狙って、指を繰りだす。
「えい♪」
「!!!?」
秘孔というか、クリティカルポイント的なアレを突かれたピンクフィッシュは、一瞬で絶命する。きっと、自分が何をされたかもわからなかったに違いない。
ふっ、と指先を吹くりたの背後、ピンクフィッシュが落下する頃には、立派なお刺身が出来上がっていた。なんという絶技!
「いい調子!」
「お見事です」
聖愛は、用意していた皿でお刺身を受け止めながら、自らも獲物を探す。
すると、騒ぎを聞きつけたのか、別の魚群が近寄って来る。
水面から跳びあがったのは、先ほどにもまして巨大な魚だった。
いや、聖愛がよく見れば、普通サイズの魚が隊列を為して、一匹の巨大魚を形作っているのだ。
「一糸乱れぬその連携。素晴らしいです」
それなら、聖愛もメイドとして、しっかり調理するのが礼儀というものであろう。
取り出した調理器具は、小さき竜の姿。すなわち、召喚した悪魔ティアマトに、巨大魚の駆逐をお任せする。
魚らしからぬ咆哮……聞きようによっては奇声……で、湖面や聖愛の聴覚を揺らす。
無論、その腹に収められるつもりはない。
ティアマトが張り巡らせた雷の結界が、巨大魚を包み焼きにした。
一瞬で連携が崩れ、バラバラと無数の魚に戻っていく。
「これ、食べられるでしょうか……。ティアマト、お味の方は?」
聖愛に尋ねられた小竜は、贄とされた魚を一匹丸のみした後、満足げにうなずいた。どうやら、問題はなさそうだ。
聖愛は、山ほど獲れた魚をエレガントに調理……こちらは本来の意味で……すると、りたのお腹に収めさせて貰うことにしたのだった。
「沢山獲れましたから、りた様にもご満足いただけると思いますわ」
……多分。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木元・杏
だんごむし祭りを守る!
……だんごむし?だん…(庭で集団でうもっといらっしゃった記憶)(うぞっ)
守る!(気合い)
まずは湖を抜ける為に、お魚とのご対面
釣り竿に、餌はたまこのゆでたまご
ぽちゃんと湖に釣り竿投げ入れ、暫し待つ
…いいお天気
小鳥がさえずり、虫の声が聞こえる
岩に座って待ってると、ついうとうと微睡み
はっ、寝てた…
(目の前にマンボウ的っぽい?お魚(手足付)がぬらーんと)
〇□※×☆…!!!
大剣にした灯る陽光でびたーん!と叩き飛ばし、ついでに【鎌鼬】で追い討ち仕留める
(ぜーはーぜーはー)
さ、最近のお魚は這い寄ってくる…おぼえた
それにしても真正面顔は少しシュール
謎のお魚を退治したら、すぱっと湖を抜ける
「守る! だんごむし祭りを!」
目の前に広がる森、そして湖を前に、木元・杏(食い倒れますたーあんさんぽ・f16565)は決意した。
そう、祭りを、だんごむしを……。
「……だんごむし? だん……」
うぞっ。
杏の脳裏に、庭に集団で、うもっといらっしゃった記憶が蘇る。
…………。
「守る!」
断言した。
ぽちゃん。
杏の投じた釣り竿の先端が、湖に沈む。まずは釣りの時間だ。
餌は、たまこのたまごのゆでたまご。栄養満点。これなら謎のお魚たちも見逃すまい。
「……いいお天気」
ちゅんちゅん、ちちち。みーんみーん。
空は晴れ、小鳥がさえずり、虫の声が聞こえる。
穏やかだ。群竜大陸で帝竜が暴れまくっていたのが遠い昔のよう。
丸みを帯びた岩の椅子に腰かけ、釣りの時間をのんびり楽しむ杏。ゴブリンも巨大だんごむしもいないので平和だ。
あまりののどかさに、杏はうとうと、微睡んで……。
「はっ、寝て、た……」
ぬらーん。
ついつい舟をこいでしまった杏が我に返ると、目の前に人影があった。
「…………」
「…………」
マンボウめいた顔。ぴちぴちした手足。つるりとした肌。そして、ぱくぱくした口。
違う。これは人影じゃない。魚影だ。
「うぼっ」
「〇□※×☆……!!!」
口がバッテン印になる勢いで硬直した杏は、とっさに釣り竿を放り投げた。
灯る陽光を大剣にして、思い切りスイング。
びたーん!
「うぼっ……」
叩き飛ばされ、宙をくるくる舞うマンボウ人。ついでにうさ印の護身刀で追い討ちした。
墜落するマンボウ人。上がる水柱。盛大に。
ぜーはーぜーはー。荒い息を鎮めながら、杏はマンボウ人の落下した場所を眺めた。
沈んでいく体、ぴくぴく痙攣する足が見えている。美脚だった。
「さ、最近のお魚は這い寄ってくる……おぼえた」
その知識、役に立つ機会は訪れるだろうか。
あんなのがまた釣れたら困るので、杏は釣り竿を仕舞って、すぱっと湖を抜けることにした。
さしもの杏でも、あの魚肉は美味しく召し上がれそうにない。
「ちらっ」
くるっ。
杏は、水辺にマンボウ人の仲間がいないのを確かめ、先を急いだ。
それにしても。どアップで迫るマンボウの真正面顔は、少しシュールだった。
少し……いや、かなり。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ゴブリン収穫兵』
|
POW : ヒューマンライド
自身の身長の2倍の【剣を装備した後、捕獲した人間(調教済)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD : ホステージシールド
全身を【隠す様に、捕獲した人間を固定した盾】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃を盾で受け止め、固定した人間の負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ : 食人肉料理~生~
戦闘中に食べた【捕獲した人間の血肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し、自身の負傷が回復】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
イラスト:kamiya jun
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
森の奥。
ゴブリンの住処は、洞窟であった。そんな気はしてた。
木々で意図的に隠されてはいたものの、人間を収容するためであろう。入り口のサイズはさほど窮屈ではなかった。
薄暗く、狭い通路を進んでいくと、ほのかな灯りが見えて来た。
話し声に混じり、鞭打つ音が聞こえてくる。
そして、殊の外整備された通路の奥……邪鬼がたむろしていた。
「さあ、教えるゴブ、巨大だんごむしを操る方法を!」
「ひいっ! 知らねえよ!」
縄で拘束された人間男性を、鞭で打つのはゴブリンだ。
開けた空間、奥には檻があり、足枷を付けられた人間たちが捕らえられている。
だんごむし探しに来て、行方不明になった村人たちだろう。
そして檻は、もう1つあった。おびえたように、丸まった巨体が何匹も……それこそ、巨大だんごむしだ!
1人、檻の外に出され、拷問を受ける村人A(仮)。
「あの巨大だんごむしをペットに出来れば、『ゴブリンだんごむしライダー』にクラスチェンジして、人間の村襲い放題だゴブ。さっさと極意を吐くゴブ!」
「いや、俺らにそんな期待されても! だんごむしマスターじゃねぇから!」
拷問に夢中になっていたゴブリンたちが、ようやく猟兵たちの気配に気づく。
「なっ、人間が向こうから来やがったゴブ」
「巨大だんごむしの飼い方知ってるゴブ? 大人しくしゃべって楽になるゴブ!」
交渉なんて高尚なスキルは、ゴブリンにはない。
ならばこちらも、肉体言語で応じよう。
力ずくで、村人と、巨大だんごむしを救い出すのだ!
ヤニ・デミトリ
人(虫)質を使うとは卑劣っス
手心いらないスね
だんごむしの飼い方は解らないんスけど、
こっちのライドに挑戦するのはどうスか?
身を削って差し出せば愛情も伝わるっス。さあ遠慮なく!
キリング鬼磯目と化したバラックスクラップを解き放つ
二手で追い立てることで相手に召喚の暇を与えたくないんスけど、
村人達を利用される事があれば、
俺はゴブが磯目に気を取られた隙に溶け視覚外から接近。
人間の眼前にあやしい懐中時計を滑り込ませ、
光線〈催眠術〉を放って無力化を試みるっスよ
寝ちゃったら使い物にならないでしょうしね
出来そうなら回収
ゴブ単体ならばぶちのめすのみ!
磯目の巨体でバーンとひっぱたくっス
※連携アドリブ歓迎
リオン・リエーブル
連携アドリブ歓迎
ゴブリン発見!
ダンゴムシに目をつけたのは褒めてあげよう
だけど!先にダンゴムシに目をつけたのはムーア村の人達なのさ
君たちには渡さないよ!
もちろん村人たちも返してもらうからね!
捕獲された村人たちを食べさせたりしないよ!
高速詠唱+先制攻撃で指定UC
水+地属性の足止め用高粘着スライム発射!
足止めしたら村人さん達を避難誘導
災難だったねもう大丈夫
その後は全力魔法と鎧無視攻撃、2回攻撃の試験管攻撃
足止めしたファイターは遠距離でチクチクするのがセオリーだよね!
ゴブリンだんごむしライダー
ダンゴムシを車輪にして高速移動
いざとなったら丸まった中に隠れて防御もバッチリ
なかなか手強そう
危ないところだった
木元・杏
見つけた、村の人達
きっと見つめ、…奥の巨大だんこむしからはそっと目を逸らし
だんごむし飼いたい?
ふふ、何を隠そう、このわたしがだんごむしマスター・杏
大人しく極意なるもの喋ってあげるから少しこっちへ
そう、もっと近付いて…えい(メダルぺた)
ん、UC発動
さあ、うさみん☆の動き(阿波踊り的な)を真似て?
だんごむしに相反する柔軟な身体
それを身に付けてこそだんごむしマスター&ライダー
ほらみて、だんごむし達も尊敬の目で見てる
視線を逸らした隙に巨剣にした灯る陽光を手にダッシュ
うさみん☆、大の字にばーん
これで人を盾に出来ない
仮にしても、第六感でタイミングを読み地を蹴りジャンプ
ゴブリンのみを思い切り叩き斬る
葉川・聖愛
【えるふメイド隊】参加
アドリブ、連携お任せ致します。
●戦闘
目的の為とはいえ小鬼達の所業は許せません。
戦闘中、敵の死角や射程外からの攻撃を狙います。
前衛は鏡神さんに任せつつ。
宿主の真理亞さんにはゴブリン討伐に向かいます。
霊力を込めて、メイスを構え相手の攻撃を【武器受け】と【盾受け】で
流しつつ、ゴブリンの群れに入り込んだら。
【なぎ払い】をしながら
「少し痛いですよ……。」
ゴブリン収穫兵の「ヒューマンライド(POW)」に対し、ユーベルコード「刀背打ち(ミネウチ)」を使うことで村人を傷付けないように戦います。
これなら村人の命を取らずに戦える筈です。
鏡神・りた
【えるふメイド隊】所属
連携&アドリブ、マスター様にお任せ。
「悪い子は許せません!」
村人さんを助け出しながら戦うのは大変ですが
頑張ります!
戦闘中、主に味方の支援に徹します。
ゴブリン達を引き寄せながら。
「村人を傷付けないように戦う戦法」を心掛け。
ならばこれだ。
「百邪を斬る為、此処に推参‼️」
UC「白坤府(バイクンフー)」を使いフォレスト・ガパメントと
合体し暴徒鎮圧型形態に変身します。
リボルバーの向日葵とマシンウォーカーのユニットに接続し水による
放水【弾幕】を展開。相手の動きを封じ。
時間は掛かりますが【武器落とし】で戦力を削ぎ。
村人救助の下地を作りまする。
●ゴブリン(が)パニック!
敵のアジトに突入したヤニ・デミトリは、わらわらと現れるゴブリンの数を数えた。
「結構いるっスね。しかも人質を使うとは卑劣っス。手心いらないスね」
「黙って家畜になれゴブ!」
剣を握り、斬りかかって来たゴブリンを跳び箱にして、かわすヤニ。
しかし、すぐに別のゴブリンが向かって来る。奇声を上げて。
「だんごむしぃぃぃー!」
「どんだけだんごむし好きなんスか。目的を見失ってるっス」
ただ、邪念で目を曇らせたゴブリンは、ヤニにとってある意味、興味深い存在だった。欲望は暴走する……!
「こ、こんな時こそ家畜の出番だゴブ!」
「そっち行ったっス」
「承知しました」
人々を閉じこめた檻へと向かおうとするゴブリンを阻んだのは、葉川・聖愛と鏡神・りただった。
「邪魔するなゴブ!」
「いいえ悪い子は許せません! 私たち【えるふメイド隊】がお相手します!」
りたが見た所、囚われの村人は、それほど多くない。
だが、だんごむしを助け出し、両者を守りながらゴブリンの相手をするとなると、少し骨が折れそうだ。
しかし、それを成し遂げてみせるのが、りたたち猟兵なのだ。
聖愛は、りたの背後をきっちりと守りながら、ゴブリンたちを見据えた。
もっとも、聖愛も虫は得意な方ではないので、檻のだんごむしは、出来るだけ視界に入らないように……。
「目的の為とはいえ小鬼達の所業は許せません」
軽機関銃と小銃を構え。聖愛と真理亞も、ゴブリン討伐を開始した。
どこにこんなにいたのやら。ゴブリンが、次々と奥から姿を見せる。
そんな中、木元・杏は、助けを請う村人たちの声を受けた。
「見つけた、村の人達」
「お嬢ちゃん、危ない逃げろ!」
村人の心配をよそに、杏は、倒すべきゴブリンをきっ、と見つめ……奥の巨大だんごむしからはそっと目を逸らし……た。
杏たちの実力も知らず、群がって来るゴブリン。
彼らの横から声を飛ばしたのは、リオン・リエーブルだった。
「ダンゴムシに目をつけたのは褒めてあげよう。だけど! 先に目をつけたのはムーア村の人達なのさ」
「この森はゴブたちのもの。だからだんごむしもゴブたちのものゴブ!」
数で勝っている分、気が大きくなっているのだろう。
リオンにも臆することなく、ゴブリンたちが自論を展開する。
「でも君たちには渡さないよ! もちろん村人たちも返してもらうからね!」
リオンたち猟兵と、ゴブリンたちの乱戦が、本格的に始まった。
●反撃のゴブリンズ!
「今こそ人質にライドゴブ!」
「だんごむしの飼い方は解らないんスけど、こっちのライドに挑戦するのはどうスか?」
笑ったヤニの背後から立ち上がったのは、バラックスクラップ。
ヤニのタールを喰らって殺戮マシーンと化してうねる姿は、巨大なムカデ……いや、まるで鬼磯目だ!
「身を削って差し出せば愛情も伝わるっス。さあ遠慮なく!」
「ヒエエ!」
キリング鬼磯目と化したバラックスラップが、ゴブリンたちに襲い掛かる。
ヤニと鬼磯目、二手から追い立てられ、ゴブリンたちが恐慌状態に陥る。
浮足立つゴブリンに、りたのリボルバー・向日葵が命中した。敵をかわしながら射撃を仕掛け、ゴブリンたちの注意を村人から引き剥がしにかかる。
「だんごむしのことが知りたいのでしょう? ならこちらです!」
「ゴブっ!?」
りたの誘い掛けに、ゴブリンたちはまんまと引っ掛かった。鬼磯目が怖かったとも言う。
だが、りたからのプレゼントは、水弾だ。
「だましたゴブ!?」
「素直に教えるとは言ってません!」
できるだけ村人を背にして、流れ弾が当たらないように心がけるりた。
数こそ多いが、ゴブリンはでんでばらばらに攻撃を仕掛けようとするせいで、互いにぶつかることもしばしば。
その隙をついて、りたたちは一気に攻めかかる。
「ぐはっ!」
突如、ゴブリンが蜂の巣になった。
何事かとそちらを向いたゴブリンも、すぐに同じ末路を辿る。
反撃の主は、聖愛だ。ゴブリンたちの死角や射程の外から、軽機関銃にてもてなしていく。
りたたちの奮戦を視界に収めていた聖愛は、ふと、首筋にささる殺気に気づいた。
「背中ががら空きゴブ!」
振り返れば、剣を振り上げたゴブリンがジャンプ中だった。
がきぃん!
金属質の音が、洞窟に反響する。ゴブリンの剣を、聖愛の銀刀が受け止めた音だ。
「ぐぐ……全然動かないゴブ。怪力ゴブ」
「婦女子にむけて怪力とは失礼な。これもメイドのたしなみです」
そう言ってゴブリンの剣を押し返すと、聖愛はゴブリンの密集地帯に突入した。
「うわああああ」
複数のゴブリンたちが、一斉に宙を舞う。
聖愛が霊力をこめたメイスが、一気に敵を薙ぎ払ったのだ。
「少し痛いですよ……」
「そういう事はもっと早く言えゴブ!」
聖愛は、ゴブリンの非難の声を受け流した。
この混戦状態に乗じて、杏は、魅力的な提案を投げかけた。
「だんごむし飼いたい? ふふ、何を隠そう、このわたしがだんごむしマスター・杏」
「えっ」
杏の発言に、ゴブリンたちは足を止めた。
「大人しく極意なるもの喋ってあげるから少しこっちへ」
「さっさと教えるゴブ」
杏の手招きに、ゴブリンの一団が集まって来る。
「そう、もっと近付いて……」
「ゴブ」
「えい」
ぺた。
「なんだゴブ?」
ゴブリンの額に、メダル。
「さあ、うさみん☆の動きを真似て?」
うさ耳メイドさんが始めた、阿波踊り的なモーションに合わせて。
ゴブリンたちが、踊り始める。
ゴブリンの頭が悪いわけではない。いや、それも否定しないが、杏の貼り付けたメダルの力で操られているのだ。
「だんごむしに相反する柔軟な身体。それを身に付けてこそだんごむしマスター&ライダー」
「なるほど!」
ゴブリンは納得した。素直。
杏のレッスンが繰り広げられる一方、真面目に戦いを頑張るゴブリンもいる。統制が取れていないとも言う。
「くそっ、強いゴブ」
リオンたちに押され気味となったゴブリンの視線の行く先は、檻の中の村人たちだった。
「腹が減っては戦は出来ぬ、前に喰った人間が言ってたゴブ」
「おっと、そうはさせないよ!」
ゴブリンの目的が村人を食しての強化にあると見抜いたリオンは、即座に詠唱を完了させた。
ゴブリンたちを阻むようにばら撒かれた試験管が、スライムを発射した。ゴブリンの体にまとわりつき、地面と足をつなぎとめてしまう。
「なんだコレ取れないゴブ!」
「でも、のびーるゴブ!」
高粘着のスライムだが、伸縮性がある事にたまたま気づいたゴブリンは、頑張って前進を続けた。一歩、二歩……。スライムが伸びて……。
「もう少しで檻に届くゴブ……」
びよーん。
「うわああゴブ」
伸びれば縮む。ゴブリンたちはスライムを受けた場所に逆戻り。
その間にリオンは、檻の1つにたどりつくと、村人の解放にかかった。
「災難だったねもう大丈夫」
「助かった! 後で美味しいだんごむし饅頭をご馳走するよ!」
嬉しいお礼に、リオンが思わず破顔する。
●ゴブリンバスターズ!
ヤニにも簡単に読み取れるくらい、ゴブリンたちの思考は単純だ。すなわち、自分が生き残る事しか考えていない。
村人たちの首根っこをつかんで騎乗しようとするも、村人だって鬼磯目は怖かった。
「こら、まだちゃんと乗ってないゴブ、勝手に走るなゴブ」
「いやアレこええよ!」
もたつく村人とゴブリンを分断するように、ヤニの鬼磯目が立ちはだかる。
「こんなの、湖でも見たことないゴブ!」
「やべーゴブ!」
見た目のインパクト、そして捕食する気満々の鬼磯目に、ゴブリンたちの足はすくみっぱなしだ。
その隙にヤニは、にゅるりと接近。ゴブリンを騎乗させている……実のところ、おんぶしているだけだが……村人の視線に、あやしい懐中時計を滑り込ませた。
こぼれたあやしい光が、村人の意識をまどろませる。みるみるうちにまぶたが閉じて、眠りの世界へと誘われた。
「ゴ、ゴブ?」
突然眠りこけた村人の背から、ゴブリンがひっくり返る。
ゴブリンだけなら、容赦はいらない。ヤニとアイコンタクトした鬼磯目は、その巨体を存分に振るって、ゴブリンに全身ビンタを浴びせた。
「ゴブー!?」
壁に、ゴブリンが埋め込まれていく。
「にしても、数が多いのは厄介ですね」
懲りる様子も無く、わらわらと湧いてくるゴブリンを見て、りたは決断した。
敵の群れを蹴散らし、駆け付けたのは、フォレスト・ガパメント!
「うわっ、なんだゴブ?」
浮足立つゴブリンたちの目前で、りたはフォレスト・ガパメントと合体。雄々しきロボットの姿へ変身を遂げた。
「百邪を斬る為、此処に推参!!」
暴徒鎮圧型形態。この呼称ほど、この場に相応しい名称もあるまい。
りたは、リボルバーとマシンウォーカーのユニットを接続。超高圧洗浄銃となった向日葵から、豪快に水流が噴射された。
もはや弾幕とも呼べる水圧が発動し、邪悪なるゴブリンたちに鉄槌を下していく。
「ゴブっ」
「そいつをよこすゴブ!」
巨大だんごむしより強く、カッコいいと判断したのだろう。
りたの鋼の体躯を欲して、ゴブリンが飛びかかった。
だが無防備な姿をさらしたゴブリンは、りたの恰好の的でしかなく、あえなく撃墜されるのであった。
仲間のフォローを続けていた聖愛は、新たな敵の襲来を察知した。
「どこにこんなに隠れていたのやら」
「メイドならゴブたちがこき使ってやるゴブ!」
奥から連れ出したのだろう、村人にライドしたゴブリンたちが、通路から殺到する。
「騎馬戦なんてさせません」
聖愛は、再びメイスの持ち手に力をこめ、敵陣を駆け抜ける。疾風の如く。
それでいてスカートのすそのなびきは最小限。メイドの所作は戦闘でも淑やかに。
「……? 今、何かしたゴブ?」
「はっはァ! 痛くも痒くもないゴブ……ゴブっ?!」
高笑いしていたゴブリンが、突然村人の背からずり落ちた。
聖愛の一撃は、ゴブリンたちの肉体ではなく、邪心だけを打ち据えたのだ。
邪そのものであるゴブリンにとっては、ひとたまりもない。
「安心してくださいませ、みねうちです」
倒れ伏したゴブリンどもを振り返った聖愛は、解放された村人を入口へと誘った。
味方が倒されても、気にしない。杏のレッスンを受けるゴブリンたちはマイペースだった。
「言う事を聞くのも今だけゴブ。だんごむしを操れれば、こんな奴等ひとひねりゴブ」
「でも、これでホントにマスターになれるゴブ?」
「ほらみて、だんごむし達も尊敬の目で見てる」
疑問を抱くゴブリンに、杏の示したのは檻の中。
だんごむしたちは、確かにこちらを見つめている。……何を思っているのかはわからない。
だが、ゴブリンが、杏につられて視線を動かしたのが運の尽きであった。
巨剣にした灯る陽光を手に、杏がダッシュを仕掛けた。
ずばっ。
「だ、だましたゴブ……!」
我に返ったゴブリンたちが、杏に背を向け、檻に向かう。
だが、
「!?!?」
ばーん! 大の字のうさみん☆が、視界を遮った。
「村人は、盾にさせない」
檻に辿り付くことなく、杏に切り捨てられていくゴブリンたち。
皆の活躍で、村人が無事避難できたのを確かめると、リオンは残るゴブリンの駆除に取り掛かった。
ゴブリンは接近戦が得意。というか遠距離攻撃が有利という発想があまりないらしい。
しかも今は、多くが猟兵たちの奮闘や、スライムで足止めされている。
そこでリオンは、距離を置いた上で、魔法攻撃を浴びせかけた。
炸裂した試験管の光がゴブリンの視界を焼き、爆音が聴覚を破壊する。
そして、とどめの爆発。
「ゴブゥゥゥ!!」
「ゴブリンだんごむしライダー……ダンゴムシを車輪にして高速移動、いざとなったら丸まった中に隠れて防御もバッチリ……」
もしも実際に爆誕していたら、危ないところだった。
リオンは、額の汗をぬぐった。
改めて集合する猟兵たち。もはや洞窟内に動く敵はいない。
ゴブリン駆除、これにて完了である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『あの雲の向こうまで!』
|
POW : パワーでかっとばす。
SPD : テクニックですっとばす。
WIZ : 魔法でぶっとばす。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ムーア村は、特別な活気に包まれていた。
無事開催された、だんごむし祭りの真っただ中である。
行方不明だった村人が、無事全員戻った事もあり、お祝いムードが強い。
屋台には、様々なだんごむしスイーツやだんごむし玩具、だんごむし工芸品が並べられている。
「祭り名物、だんごむし饅頭! 出来たてだよ!」
「だんごむしお面、今年は新色出たよ!」
「だんごむし木彫り人形作り体験、次の回、まだ空きがありまーす」
そんな中、やはり一番人が集まっているのは、巨大だんごむし飛ばし大会だろう。
会場である広場にやってきた参加者が、続々とエントリーを済ませている。
「俺のブラックホール号が天を衝くぜ」
「いいや、ワシのまんまるちゃんの方が強いんじゃ」
参加者の相棒自慢が捗っている。どのだんごむしも、ツワモノに見えてくるから不思議だ。
折角だ、猟兵も参加してみようではないか。
森に行ったときに連れて来た巨大だんごむしを相棒にしてもいいし、大会の方でレンタルもしてくれている。
借りるならどの色の、どの大きさの、どんな気性のがいいだろう?
受付係の青年が、猟兵のエントリーを受理していく。
「どのくらい飛ばすつもりだい? ……へえ! それじゃ、その距離目指して、どーんと一発かましてくれよな!」
空は晴れ、風はない。
絶好のだんごむし飛ばし日和だ。
※
プレイングには、ご自分の目標だんごむし飛距離を「0メートル~100メートル」の範囲でお書きください。
申告していただいた距離に基づいて、飛距離を決定します。
(成功なら申告通りの飛距離、大成功なら申告の1.2倍の飛距離)
目指せチャンピオン! という猟兵さんは100メートルがよいでしょう。
なお、巨大だんごむしを飛ばす方法は特に問いません。
ユーベルコードを利用してもOKです。(ただし生き物なので適度に優しくしてあげてください)
せっかくなので、リプレイの最後で、優勝の猟兵さんを決めます。
同じ飛距離の方が複数いらっしゃった場合は、ダイスで判定します。
優勝賞品は名誉だけですが、もしよろしければ挑戦してみてくださいませ。
※
リオン・リエーブル
いようし! ダンゴムシ飛ばしやってみよー!
目指すはチャンピオン! 飛ばせる限り飛ばしちゃうよー!
という訳で、なるべく小さくて軽いダンゴムシさんがいいな
気性が穏やかで、でもあんまり臆病じゃないやつ
ロック鳥型のゴーレムさんを召喚して、ダンゴムシさんの背中を優しく掴んで空へGO!
地形の利用で風を読んで空高く飛ばすよ
さすがにズルだからグライダーみたいにゆっくり落ちるように
鳥人間コンテストならぬ鳥ダンゴムシコンテストだね!
いっけー!遠くまで飛んでけ-!
落ちたゴーレムさんは土に還るからダンゴムシさんも野生に還るはず
悠々飛んでくダンゴムシさんを見送ったら
ダンゴムシ屋台を楽しもう
どんな面白い屋台が出てるかな?
リオン・リエーブルは、既に活気あふれる大会会場を訪れた。
「いようし! ダンゴムシ飛ばしやってみよー!」
他の参加者同様、やる気は満々だ。
受付の青年が、リオンの参加を受理しながら、その顔を二度見した。
「あなたは、父を助けてくれた猟兵さんでは? 有難うございます!」
「あの時の! そうだったんだね、無事でよかった!」
さて、会場である広場の一角には、何匹もの巨大だんごむしが集められている。
逃げ出す事はないのか、それとも、逃げ出そうとしたら人力ではなすすべがないのか。
特に檻などには入れられず、ざっくりとした柵がある程度だ。
一見、どの個体も同じのようだが、リオンが注意深く見つめると、それぞれ色や目元の形などが異なる事がわかる。
リオンが選んだのは、なるべく小さくて軽そうなだんごむしだ。気性が穏やかで、けれどあまり臆病すぎない子である。
「よろしくね、一緒にチャンピオンを目指そう!」
言葉はわからないだろうが、なんとなく同意してくれたような気が、リオンにはした。
スタッフに導かれ、所定の場所に付くリオン。
「さあ、ゴーレムさん、よろしく!」
リオンに応えて召喚されたのは、ロック鳥型のゴーレムだ。
丸まっただんごむしの背中を優しく掴むと、そのまま空へとGO!
「いっけー! 遠くまで飛んでけ-!」
リオンが風を読み、ゴーレムが空高く飛ばす。
びゅうん!
観客や参加者から、歓声が上がる。
さすがにズルかな、と思ったので、グライダーのようにゆっくり落下するよう調整。
鳥人間コンテストならぬ、鳥ダンゴムシコンテストの様相だ。
悠々飛んでいっただんごむしを見送るリオン。落ちたゴーレムは土に還るし、だんごむしもそのまま野生に還るはず。
「記録、120m! 凄い飛距離が出ました!」
「やったねダンゴムシさん! ……って聞こえないか」
と思ったら、戻って来てた。
それからリオンは、ダンゴムシ屋台のエリアへ足を向ける。
飴細工から焼きそばまで、だんごむしを模した食べ物はもちろん、簡単なゼンマイ仕掛の走るおもちゃまである。
「あっ、お兄さんじゃないか!」
声の主は、饅頭の屋台を出している男性だ。
「あの時は、ゴブリンから助けてくれてありがとな! 約束通り、だんごむし饅頭をご馳走するぜ! 何個でももってってくんな!」
「ありがとう……って、あれ?」
リオンは、店主の顔を二度見した。
その顔に、大会受付の青年の面影が重なったからである。
大成功
🔵🔵🔵
ヤニ・デミトリ
凄いなあ、お祭無事できて良かったっス
折角だから俺もやるっスよ、だんごむし飛ばし!
連れて行くのは森でスカウトしてきた2mのおおらかそうなだんごむし
でかい…泥にはない生物の造形…良い…
最初はお祭を見て回れたらそれで十分と思ってたんスけど
君の立派な丸さが俺の心に火をつけたっス…90越えは狙うっスよ!
杭にした両腕を地面に突き刺したらUCで姿をベルト状に変化
力加減しつつ弾力性を利用して
スリングショットの要領でだんごむしを空へと放つっス!
祭りを楽しむ姿を見ていると、人間て本当に色々な顔するなァ
伝統がなぜだんごむしを飛ばすに至ったかは未だに解せないけれど
少なくともここでは人とだんごむしは仲良しってことっスね
ヤニ・デミトリは、活気に満ちたお祭り会場を、歩く。
「凄いなあ、お祭無事できて良かったっス」
ヤニたち猟兵の活躍は広まっているらしく、すれ違う人たちから、何度も声を掛けられる。
「こういうのもなんか、悪くないっスね」
そしてヤニの足は、メイン会場へと向かう。
受付では、村人たちがヤニを迎える。
「猟兵さん、参加するんですね? ええと、相棒は……いるみたいですね」
受付係の青年の言う通り、ヤニの傍らには巨大だんごむしが一匹。
件の森でちゃっかりスカウトしてきた、2mのだんごむしだ。目がつぶらで、どことなくおおらかさが漂う。
ヤニは、改めてその独特のフォルムに、うっとりする。
「でかい……泥にはない生物の造形……良い……」
「わかる……」
受付係もうなずく。
さすがは、だんごむし祭りを開催する村の人間だけはある。
「最初はお祭を見て回れたらそれで十分と思ってたんスけど、君の立派な丸さが俺の心に火をつけたっス……90越えは狙うっスよ!」
うごうご、と身じろぎするだんごむし。
まかせて……ヤニは、だんごむしがそんなふうに言ったように見えた。
そして、所定の位置に着く、ヤニとだんごむし。
「飛ばし方はなんでもいいんっスよね? それなら」
ヤニは、両腕を杭の形に変えると、地面に突き刺した。
自身は、ブラックタールの本領発揮、ベルト状の姿に変化する。
「さあ、だんごむしさん、来るっス!」
ヤニに呼ばれ、だんごむしが丸まってベルトに身をゆだねる。
びよーん、と弾力性を発揮すると、スリングショットの要領で、だんごむしを空へと放つ!
「飛んだー!!」
観客から歓声があがる。大きく弧を描くだんごむし。
着地ポイントでは、審判がOKの旗を上げる。
「記録は……108m! 凄い!」
「うん、なかなかっスね」
戻って来ただんごむしの活躍を称えるヤニだった。
それから、ヤニは再び祭り会場へ。
だんごむしなら何でもいいとばかり、食べ物も遊具もだんごむしモチーフのものばかり。
だんごむし型水ヨーヨー釣りに興じる子ども達。
だんごむし型のターゲットを狙う、射的に挑む少年少女。
人間て本当に色々な顔するなァ……祭りを楽しむ人々の表情を見ていると、ヤニはつくづくそう思う。
伝統が、なぜだんごむしを飛ばすに至ったかは未だに解せないけれど。
「少なくともここでは人とだんごむしは仲良しってことっスね」
普通にだんごむしを連れて歩く村人を見て、ヤニはしみじみと呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
お仕事終えて、いざ、祭り!
んむ?まつりんと、手に持つ…だんごむし!?(後ずさり
…おまんじゅうに、パン?
……動いたりしない?(つんつん
うひゃ!(動いた!?
食べるとおいしい。ん、おいしいは正義
あっちにだんごむしミルクティー(タピオカ的な
あれはだんごむし飴
あっちこっちのおいしい巡り
だんごむしサイコー!(はむっ
そしてまつりん、見て
本命の広場
エントリーを済ませ、わたしの相棒は森で助けたダンゴ太郎(命名)
つるんと黒くて丸いお目目に真ん丸フォルム
飛ばす距離は当然100M
怪力(50)の一発勝負!
とうっ!
(後方の家のベランダに干される布団にぼすっとヒットするだんご太郎)
…んむ?
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)の応援に来たぞー♪
お祭りだね。
だんごむしカステラ、だんごむしアイス。
むしパンとむし饅頭、普通に美味しそうじゃん。(二人前購入)
メタリックブルーだんごむしお面をかぶり。
あ、アンちゃんいた。
ん、だんごむし焼き、食べる?(タコ焼き風にかつおぶしが踊ってる)
祝・だんご投げ大会出場!(必勝鉢巻をきゅっと)
団子太郎君。妹を頼んだよ!(うじゃうじゃ足と握手……握指)
木元村ソングを歌って応援するよー♪(サウンドオブパワー)
もぐもぐパワーだ、きもとあんー♪
おぉー!
力強いフォームから。
飛んだー!
あー。ガラス割れなくてよかったね。
おばちゃんに平謝りして、太郎回収。
野へお帰り?(リリース)
「ここがムーア村? お祭りだねー♪」
木元・祭莉(CCまつりん・f16554)が、うきうきと祭りを行く。
妹の応援に来たつもりが、すっかりお祭りを楽しんでいるようだ。
「だんごーだんごーだんごむしむしー♪」
祭莉の歌の通り、並ぶ出店は、どれもだんごむし推しだ。
「だんごむしカステラ、だんごむしアイス。むしパンとむし饅頭……普通に美味しそうじゃん。あ、おじちゃーん、全部二人前ちょうだーい」
「育ち盛りだな坊主! 1人で食べるのか?」
「それもいいかもー♪」
と、思ったけどやめた。これはおすそ分けの分なのだ。
仲間と一緒に無事、ゴブリン退治を終えて、ムーア村に戻っていた木元・杏。
村中、お祭りムード全開に、そわそわ、わくわくっ。
「あ、アンちゃんいた」
「んむ?」
呼ばれて杏が振り返った先にいたのは……謎のだんごむし仮面だった。
「……どなた」
「おいらだよー。おいらおいら」
「……おいらおいら詐欺?」
なんてやりとりの後、メタリックブルーのお面の下から現れたのは、もちろん祭莉の顔。
「大会出るんでしょ? 応援に来たよー♪」
「まつりん、その手のは……だんごむし!?」
祭莉の手もとを見て、思わず後ずさりする杏。
「ん、だんごむし焼き、食べる?」
祭莉の差し出した笹船の中では、タコ焼き風にかつおぶしが踊っている。くねくね。
「他にも色々あるよー」
「……おまんじゅうに、パン? ……動いたりしない?」
にぱっ。祭莉の差し出した食べ物の数々に、杏は恐る恐る。
つんつん。
びくっ。
「うひゃ!」
動いた??
けれど、食べるとおいしい。
「ん、おいしいは正義」
美味しければ、問題はない。
「きっとここにはおいしいがたくさん並んでる」
スイッチが入った。杏の食べ物センサーに。
「あっちにだんごむしミルクティー」
店先ではためく幟には、黒い粒……タピオカ的なものが。
「あれはだんごむし飴」
あちらこちらのおいしい巡りを堪能した杏は、すっかりムーア村になじんでいた。
「だんごむしサイコー!」
はむっ。
さて。
一通りお祭りを楽しんだ2人。
「まつりん、見て」
「なにー?」
杏が指差したのは、本命の広場。だんごむし飛ばし大会の会場である。
「おおー、ここが噂のだんごむしの聖地!」
巨大だんごむしの実物に圧倒される祭莉。
貸し出し用として集められた巨大だんごむしの皆さんが、うごうごしている。飛び入り参加もOKというわけだ。
祭莉が見ると、既に大会は始まっていて、猟兵も参加しているらしい。
ささっ、とエントリーを済ませる杏。
「猟兵さん、ご参加ですね? だんごむしは……」
「いるので大丈夫」
杏の相棒は、例の森で助けただんごむし。命名、ダンゴ太郎。
つるんと黒くて、丸いお目目に、真ん丸フォルム。ザ・だんごむしと言った趣のだんごむしである。
「いい色艶ですね、羨ましい……」
受付の青年の、ダンゴ太郎を見る目がキラキラしていた。
さて、祭莉は祭莉で準備をしなければ。
「祝・だんご投げ大会出場!」
必勝鉢巻をきゅっと結んで、応援衣装に変身だ。
「団子太郎君。妹を頼んだよ!」
まかせときな。
なんとなーくそんな感じの決意をだんごむしの目から感じ取る祭莉。
すっ。差し出されたうじゃうじゃ足と握手……握指を済ませ、健闘を祈る。
「位置について!」
審判の人の合図で、杏は、丸まっただんごむしを持ち上げ、投擲体勢。
目指す飛距離は、当然100M。
観客席では、応援衣装に身を包んだ祭莉が、声援を送る。
木元村ソングだ。聞くとなんだか力が湧いてくる。ダンゴ太郎まで鼻息荒そう。
「もぐもぐパワーだ、きもとあんー♪」
「とうっ!」
祭莉の声援を受け、杏の一発勝負!
「おぉー!」
祭莉が目を見はる。
「力強いフォームから。飛んだー!」
ぐぐっ、祭莉の拳にも思わず力が入る。
杏とダンゴ太郎。2人の合わせた力が、空を翔ける。どこまでも、どこまでも……。
ばすっ。
「……んむ?」
だんごむしが受け止められたのは、民家のベランダに干されてあった布団だった。
……ただし、後方の。
がらっ。
「ちょっと誰だい? ひとん家にだんごむしなんか投げたのは?」
窓が開いて、家主のおばちゃんが顔を出す。
「…………」
杏も、村人も、固まったまま。
「まあね、毎年あるんだけどねえ」
「あー。ガラス割れなくてよかったね」
とっとこ。お宅訪問した祭莉が、おばちゃんに平謝りして、太郎を回収。
「……はっ、記録は」
「……一応100、です。マイナス100ですけど……」
大会スタッフが申し訳なさそうに、杏にご報告した。
こうして、杏とだんご太郎の熱い夏は終わった。……夏は終わってないけど。
「さあ、野へお帰り?」
うごうご。
祭莉にリリースされ、森へと戻るダンゴ太郎。
名残惜しいのか、杏と祭莉の事を、何度も振り返る太郎であった。
かくして、大会は無事幕を下ろす。
「今年の優勝者は……猟兵のリオンさんです! その栄誉を称え、『だんごむしマスター』の称号を贈らせていただきたいと思います!」
「だんごむしマスター!」
村長の宣言に、村人たちから拍手喝さいが上がる。
そして。
村人とだんごむしを助けてくれた猟兵たち全員にも、ムーア村名物・だんごむしだんごが沢山贈られたのだった。リアルな形の。
成功
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