遊びに行ける場所なんて全然知らない。どうやったら明るい顔ができるなんて分からない。笑顔なんて、ちっとも楽しい気分になれない。できっこない。今だってほら、知らない場所に飛ばされて、わけのわからないままひとりぼっち。誰も助けに来てくれない。
ネーデルの説明によると、あるオウガが目に付けたアリスを同胞に勧誘しようとしているという事だ。アリスの名前は「花島 つつじ」。10歳の少女だが両親を失くし、孤独に過ごしていた記憶を思い出してしまい元の世界に帰還する意欲を無くしている。
ついでに今回の転移では直ちにオウガとアリスの元へ飛べるが、アリスの扉までは彼女の心を写したかのような広い迷路が広がっている。迷路を抜けた先には扉を通せんぼするように蔓延っているオウガの群れがいるのでそれらもなんとか突破して欲しいとも付け加えた。
樫木間黒
お久しぶりです。樫木間黒です。
今回はアリス・花島 つつじの説得が重要になります。例え戦闘がうまく行っても説得が欠けていれば後味の悪い結果になるでしょう。以下に各章の説明をば。
みなさんのプレイングをお待ちしております。
【第一章:ボス戦】
アリスを勧誘しようとしているオウガとの戦闘です。その場にアリスもいるので彼女の事を考えながら戦うといいかもしれません。
【第二章:冒険】
迷宮の中をアリスと一緒に歩き扉へと連れ出します。アリスと話すならこの時が一番時間を取れるでしょう。アリスはやや達観してる所はありますが、本質的には寂しがり屋の子供です。迷宮内部もアリスの精神状態によってはゴールに辿り着きやすくなるかもしれません。
【第三章:集団戦】
アリスを外に届けるための最後の戦いです。無事元の世界に送り返すための最後の一押しをがんばりましょう。
第1章 ボス戦
『色欲のドッペルゲンガー』
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POW |
●楽しいから
【際限なく求める無垢なる愛】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
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SPD |
●美味しいから
【直接に触れる方法もしくは大兎】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【経験と知識の記憶】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
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WIZ |
●温かいから
自身が【全ての性的指向を内包する汎愛性の高い愛】を感じると、レベル×1体の【大兎】が召喚される。大兎は全ての性的指向を内包する汎愛性の高い愛を与えた対象を追跡し、攻撃する。
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👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 |
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「オルヒディ・アーデルハイド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
高速詠唱オーラ防御をつつじに展開
第六感で行動を見切り
光の鎖で早業武器受け
……ひとりぼっちは寂しいもんなぁ。
せかいはこんなにも人がいるのに、誰ともお話できなくて
生きてる意味なんてないような、そんな気がする
誰でもいいからこっちを向いて欲しい
傍にいて欲しい、そう思うのも無理ないよ
でも、だからこそ……
必要と感じればUC発動
故人、つつじの両親
指定、つつじ
千引岩対象、敵
一瞬でもいいから、誰より貴方を愛した人と
貴方が再会出来ますように
少しでもその想いが報われますように
全力魔法なぎ払いで敵を攻撃
愛をくれなくても、貴方の両親も私も貴方をめいっぱい愛すよ
クッキー持って来たんだ、良かったら一緒に食べない?
四王天・燦
アタシも独りは嫌い
愛されたい欲もある
オウガの気持ちも分かるんだ
ただ、つつじの未来を考えてないことが致命的…オブリビオンという呪いだ
可哀想だね
念の為つつじを後方に庇うぜ
離れてくれると助かる
辛いかもしれねーが帰ろうぜ
此処は停滞の園
歪に愛し合っても微笑み合う未来がないんだから
四王稲荷符から電撃属性攻撃の紫電を飛ばして前方範囲攻撃
ドッペルと大兎にマヒ攻撃付きで浴びせる
大兎が大群で攻めてきたら時限爆弾カウントダウンを即時起爆で投擲
たーまやー
オウガが近距離に入ったらグラップルで抱き寄せる
盗み攻撃で髪のリボンを奪う
何も遺せず逝くには可哀想だからね
これくらいしかしてやれねーんだ…
後は伍式の集中砲火で逝かせるぜ
●どうか慈悲の手を
アリス――つつじとオウガの間に割って入るように二人の猟兵が現れた。猟兵の一人、鈴木・志乃(ブラック・f12101)がつつじにオーラ防御を展開し、もう一方、四王天・燦(月夜の翼・f04448)が庇うように立ち塞がる。これではオウガも容易く近付けないだろう。
状況を把握したオウガはすぐさま邪魔者の排除に切り替える。オウガが一声呼び掛けると大兎の群れがオウガを囲むように、盾となり矛となるために壁を作る。
「キミたちは何なのかな? ボクに愛を与えに来てくれたのかな?」
「違うな」
オウガの声は愛らしくもあり、あどけなさも感じさせるその口振りは容姿と相俟って正体を知らなければ好意すら感じてしまうだろう。しかし答えた燦にはオウガのオブリビオン故の歪みを捉えている。
(アタシも一人は嫌いだ。愛されたい、その気持ちもよーくわかる……けどな)
オウガの「愛されたい」はただの建前には聞こえない。だが、オウガの語る言葉にはつつじの未来を気にかける感情が欠落している。ただ愛し、愛されそれだけで終わってしまっている。オブリビオンと共に歩む未来はどこにも進めない虚しい世界でしかないのだ。
そんなオウガに対し「可哀想」とも思うが、それで手を抜くほど燦はお人好しではない。
「お前を倒し、この子を外に連れて行くんだぜ――!」
燦が投げた四王稲荷符から紫電が飛び出しオウガを襲う。対する大兎を盾に並べるが広範囲に走る紫電を全て防ぐ事はできない。
大兎諸共電撃を浴びてしまう。すかさず、麻痺して動きが鈍ったオウガたちに向け、時限爆弾『カウントダウン』を即時起動で手榴弾のようにして放り投げる。
「たーまやー」
一足早く麻痺の影響が弱まったオウガは爆風を浴びるだけで済んだが、オウガより弱い大兎たちは爆弾で吹き飛ばされていった。
志乃も光の鎖を振るい、向かって来る大兎たちを跳ね除ける。
後方にちらりと目を向けた。今の所、つつじは呆気に取られてすぐに動けそうにない。しかし時間が経てばオウガの元へ駆け寄ろうするだろう。未だオウガが救世主であるという認識がつつじを縛り付けている。
故に、せめてこの場に押し止めるよう彼女の意識を変える。
『掛け巻くも畏き■■■尊に、恐み恐みも白さく――』
志乃もひとりぼっちの寂しさは分かる。
(せかいはこんなにも人がいるのに、誰ともお話できなくて、生きてる意味なんてないような、そんな気がする)
つつじもそんな孤独の中で生きてきた。誰でもいいからこっちを向いて欲しい、傍にいて欲しいと強く強く渇望してしまうほどに。
(でも、だからこそ……)
神に祈りを、願いをかける。つつじの祈りも、渇望も重ねて届けるように。
そして、祈りが届けられる。
「……嘘っ?!」
立て直そうとしたオウガを岩が取り囲む。其れは黄泉比良坂を塞ぐ千引岩。文字通り千人の力を使わないと動かす事もできないと語られる難攻不落の関所。
代わってつつじの前には二人の人間が現れる。
「……! おとう、さん……おかあ……」
死んだ人とは二度と会えないと思っていた。なのに、つつじの目の前には死んだはずの両親が立っている。
あまりにもつつじの理解を超えた事態に声も出ないままでいた。そんな少女に志乃が声をかける。
「貴方の気持ちはとてもよくわかるよ。けれど、よく見て」
「此処は停滞の園、歪に愛し合っても微笑み合う未来がないんだぜ」
燦も後押しに声を掛ける。
「貴方の両親は貴方が何かしてくれたから、愛してくれたのかな?」
優しい声で、同じ目線に立つように語り掛ける。問いかけに対してつつじは首を横に振った。
「愛をくれなくても貴方の両親は貴方を愛した。私たちも、めいっぱい愛すよ」
「今は辛いかもしれねーが帰ろうぜ」
「クッキーも持ってきたんだ。後で一緒に食べよう?」
つつじは両親の方を再び見た。二人の顔はどこか寂しそうで、つつじを申し訳なさそうに見ているようにも感じた。「一人にしてごめんね」と。
「私、私……は……」
つつじの心が揺らぎ始める。自分を置いて行った両親への不満は愛情の裏返し。今すぐに切り替えられないとしても、暫くは彼女が自発的に動く事はない。志乃はそう判断した。
どうか、彼女の願いが少しでも満たされますように、少しずつ彼女が変わってくれますように……と思いつつ千引岩に向き直る。
「どうして……こんな酷いことをするのかな!?」
叫び声と共に千引岩が砕かれる。どうやらこのオウガには愛情を元に力を増幅させる性質があるらしく、単純な力や物質に頼った拘束では相性が悪いらしい。
しかし千引岩に消耗させられたのも事実。岩を砕いた勢いに任せて突進するオウガを燦が抱き寄せるように食い止める。
「……もしかしてボクを愛してくれる気になってくれたの?」
「いいや、何も遺せないまま逝っちまうのが可哀想に思えただけだ」
しゅるりとオウガについているリボンを解く。そして間髪入れずに距離を取り、
「御狐・燦の狐火をもって命を貫き焼き尽くせ。苦痛なく安らかに、彼岸の向こうへと渡り給う――《フォックスファイア・伍式》!!」
紅蓮の炎矢が一斉にオウガを襲う。その数は数えきれないほどに夥しく――オウガの小さな体が炎の中に沈んで行った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
独りじゃないと言えば良いだけの話かも知れないが、それは俺の役割じゃないな。
呼び掛け
<つつじ
皆は君の苦しみや悲しみを知らないし、分からない。何故ならそれは、自分は感じた事がない痛みだから。でもだからと自分の悲しみに沈み、自分を憐れみ続けても駄目なんだ。それでは亡くなった家族達が一生浮かばれないからね
<オウガ
…人の苦しみに漬け込み、自らの愛欲を満たすか。…同情は出来るが、だからと言ってその子の心を自由にはさせられないな
先制攻撃+ダッシュ+地形の利用でオウガとつつじに割って入りUC発動
敵と大兎の攻撃をUC+見切り+戦闘知識で躱し、カウンター+二回攻撃+早業+傷口を抉るで反撃
つつじはオーラ防御で守るよ
北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)もつつじに言葉をかける。
「俺たちは君自身じゃない。だから君の苦しみや悲しみが分かるとは言わない」
つつじは確かに不幸だ。しかし、その不幸は優希斗が味わったものではない。故に安易にわかるなどとは言わないし、「独りじゃないよ」なんて語れる役割とも思えない。それでも。
「でも……自分の悲しみに沈み、自分を憐れみ続けても駄目なんだ。君の亡くなった家族のためにもね」
「…………」
つつじは思い出す。僅かばかりとはいえ、あの日の、つつじの覚えている最後の姿のままであった両親と出会った。話ができたわけではないが、あの表情はつつじの幸せを願ったものに見えた。
「……ずるいよ。私を……置いていって、そんな……」
あまりにもずるくて涙が出るほどだった。
「かわいそうに。とても苦しくてつらいんだよね。ボクがつらい気持ちも全部埋めてあげるから、こっちにおいで」
「残念だけどこの子の心を自由にさせてはあげられないな」
「どうして……! つらくて、悲しい思いをしている者同士、慰め合っていいでしょ?」
「心に穴が開いた気持ちは同情できるけど、そのために人の苦しみにつ漬け込むってのがどうもね……!」
優希斗は駆ける。オウガより速く踏み込み、二刀を振り下ろす。
対するオウガは辛うじて刀を受け止め、大兎を呼び出し反撃に転じようとするが――
「それも“視”えている!」
蒼穹に輝く《剣王の瞳》は未来さえ読み取る。オウガの振るう腕の機動も、不意打ちを狙って飛び込む大兎の姿も。数秒先とはいえ優希斗の技量の前にはそれで十分。駄々をこねるように暴れるオウガを赤子の手をひねるように軽くいなし、返す刀で切り刻んだ。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
たとえ誰がなんと言おうとも、貴方(つつじ)はたった一人の存在だ。他に代えがきかないし、誰も貴方になることは出来ない。
大丈夫、貴方を愛してくれる人は世界に沢山いるよ。まだ出会っていないだけ。
本当は、貴方を苛めた人達だって愛を求めて、自分の居場所を求めて貴方を傷つけたのかもしれない。
……これ以上傷つけ合うのは嫌だね。
ほい、クッキーたべる?
疲れたときには甘いものだよ。
敵に向かって全力魔法UC発動
幻想だけれど、これが私の精一杯の愛し方。幸福な幻想を見せて、攻撃を明後日の方向に向かわせてくれるといいな。
そのまま幻想に抱かれて、優しく眠れるといい。
七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
羅刹の剣豪×マジックナイト、46歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、仲間には「フレンドリー(俺、呼び捨て、言い捨て)」です。
行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わります。
戦闘に関しては戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させて戦場を探してる竜殺しです。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「そんなに構って欲しいなら俺が相手になってやろう!」
七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)の剛腕がオウガを襲う。
「ぐっ……いいよ♪ ボクを楽しませて!」
オウガの膨れ上がる感情に合わせ底上げされた力が龍厳を受け止める。一見子供にしか見えない体躯が急激に鍛え上げられたかのように膨れ上がり己の拳を受け止めた。その強さが龍厳を昂らせる。
(期待以上の力だ)
力の源は何処だろうか? 急に体が大きくなり膂力が増した。となればからくりは相手の使うユーベルコードだろうか?
殴り合いの刹那に目まぐるしく思考が駆け巡る。龍厳が戦いを楽しんでいる証拠だ。目の前の敵を超えてやる。その一心を果たすために。
「際限なく強くなるならば――」
圧倒的な力で一気に吹き飛ばす。全てを滅ぼす破壊のオーラ――《ジ・エンド・オブ・アルテマ》が掌底から放たれる。
「――――きゃっ!」
「お前は強い。……が、俺に敵うには十年早かったな!」
一方、志乃はつつじに語り掛ける。
「たとえ誰がなんと言おうとも、貴方はたった一人の存在だ。他に代えがきかないし、誰も貴方になることは出来ない」
「……でも、私は特別な誰かには……」
代えのきかない存在だからといって無条件で誰かに大事にしてもらえるわけではない。大事に、特別にしてくれた人は消えてしまった。そう零すつつじに「違うよ」と志乃は否定する。
「君を大事にしてくれる人は沢山いるよ。まだ出会えてないだけ」
まだその「誰か」と出会えてない故に孤独を感じて愛を求め誰かを傷つけてしまう人もいる。もしかしたらつつじを苛めていた人たちだってそうかもしれない。思い通りにいかない存在に八つ当たりしてしまった。そんな不幸。
「これ以上傷つけあうのは嫌だね。…………疲れた時には甘いものだよ。落ち着いたら食べてね」
静かに視線を落とすつつじにクッキーを渡す。すぐに食べ始めるには至らなかったが、つつじは大事そうにクッキーを抱えた。
「……君もどうか、幻想の中だとしても優しく眠ってほしい」
立ち上がろうとするオウガを前に、志乃は魔法を解き放つ。その慈悲はいっそ無情な《流星群》。
「――今一時銀貨の星を降らせる」
周辺の無機物を操作し、祈りと浄化の風に変える。優しくも残酷な風がオウガを包み込む。アリスとの仲を裂かれたオウガは、せめて幸せな夢を見れているだろうか。求めてる愛情に包まれた幻想の中で眠れているだろうか。
「……安らかに、おやすみ」
風と共にオウガの姿も消え去った。最期に見せた微笑みがオウガが穏やかな微睡みの中で逝けた証だと、志乃は思う事にした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『不思議な迷宮』
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POW | 壁を壊すなど道を作り出して出口を目指す |
SPD | 迷宮の隅々まで探索して出口を目指す |
WIZ | 迷宮の最適解を見つけ出して出口を目指す |
👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴 |
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…
断章が入るまでプレイングの送信は暫くお待ちください。
・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…
●迷った心に光を照らすように
オウガは斃れた。
残ったのは一人の少女。
「隣にいてあげる」――そう言ってた人はいなくなった。けれどあの時みたいな深い深い絶望は襲って来なくて。
(薄情な人になっちゃったのかな)
否、そういうわけではないような気がした。もらったクッキーを見る。空っぽだった心に別の物が入ろうとして、さらに別の物が入って来た。そんな気分。
でも、彼らはずっとつつじの側にいられるわけではない。そうなった時は、いつかこの温かさもどこかに消えてしまうのだろうか?
目の前に壁がある。所々空いてる隙間は迷路のようで。進みたい、けど進みたくない。そんな気持ちが見透かされているような気分になった。
四王天・燦
SPD
帰るのが怖いんだろ?
アタシ達が居る今に甘えたい…のかな?
アタシはつつじを護ることはできても、生涯を共には歩めないんだ
その特別なお相手はつつじが見つけに行かなきゃなんねーんだぜ
ドッペルのリボンをつつじの髪に結ぶ
彼女の分まで誰かに寄添い、愛し、絆を育んで生を歩みな
お前さんには未来がある
今を生きる者の権利さ
あと願わくば彼女を忘れないであげてくれ
アタシなりのオウガにしてあげられる精一杯
心底悪い奴と思えなかった―
笑いながら手を繋ぐ
分かれ道はつつじに進路を決めてもらうぜ
迷路の先なんて分からない
ただ選べばいいだけと勇気づける
間違えても引き返せば問題ない
まるで人生と同じ迷路だ
実は大したことじゃないのさ
燦は気づいた。つつじが怖がっている事に、今与えられている優しさに甘えていたいという気持ちに。しかし現状に甘えてばかりでは進む事はできない。その事を諭しておかなければならない。
「アタシ達が居る今に甘えたい……のかな? でもな、アタシはつつじを護ることはできても、生涯を共には歩めないんだ」
ぎゅっとこぶしを握るつつじ。頭でわかってはいても認めるのを拒んでいるかのようだ。彼女の心を写すように、迷路の壁が揺らぎだす。
「その特別なお相手はつつじが見つけに行かなきゃなんねーんだぜ」
「……いるかな?」
「いるさ、ちょっと待ってな」
オウガから取ったリボンをつつじの髪に結う。オウガの髪型と結び方は違うがそれはつつじの髪によく似合っていた。
「このリボンの持ち主の分まで誰かに寄添い、愛し、絆を育んで生を歩みな。お前さんには未来がある。今を生きる者の権利さ」
「……私が」
つつじがリボンに触れる。猟兵たちが投げかけた言葉の通り、あのオウガの誘いに乗った先が歪んだ安寧であっても必要とする、その言葉を投げかけてくれた事は嬉しかった。その事を思い出す。
「あと願わくば彼女を忘れないであげてくれ」
つつじは燦の目を確かに見て、頷いた。
燦がこのように説いたのはオウガに報いるためでもある。あのオウガを完全なる悪と断じられなかった。
(気持ちはわかる、からな――)
寂寞とした気持ちを隠し、つつじに手を差し出す。つつじもその手を受け取った。
向かうは迷路の出口。少し進むと分かれ道に行き当たった。
「進路はつつじが決めな」
「……でも、行き止まりかもしれませんよ」
「気にしなくていいぜ。アタシだって先はわからない。人生と同じさ」
「人生……?」
身を強張らせるつつじに燦は笑いかけながら続ける。
「間違えても引き返せば問題ないんだ、難しく考えなくてもいいんだぜ。そう思えば大したことじゃないだろ――?」
こくりと、頷いてつつじは道を選ぶ。選んだ先は道が自ら進路を開いたかのように次の道が進んでいた。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
UC発動
お? 食べないの、クッキー?(もしゃあ)
一流ホテルのパティシエの品だよ、普通に買ったら高いんだよ!(もしゃ)
気分が晴れないなら楽しいことを考えよう。
高速詠唱で花を咲かせて、虹をかけて、必要ならつつじちゃんをドレスアップさせて……そういう『UDCアースの女の子が夢見そうな魔法』を沢山、かけて行こう。
さながら私はシンデレラの魔女かな?
私も小さい頃一人ぼっちだったんだ
親も友達も知り合いも皆死んじゃってさ
今はまた、大切な人が沢山出来たけどね
彼女の出身世界での連絡先を渡す
生きてればまた、幸せになれるよ
どうしてもダメだったら連絡して、すっとんでく
貴女を不幸にするアレコレ、ぶっ飛ばしてやるから
つつじはまだ志乃にもらったクッキーが食べられないでいた。それに対し、志乃はお道化るように別のクッキーを見せる。
「お? 食べないの、クッキー?」
包装を破り、美味しそうに齧り付いてみせる。
「一流ホテルのパティシエの品だよ、普通に買ったら高いんだよ!」
ここで食べないと損だよ、と言わんばかりに頬張る。つつじは堪らず唾を飲み込んだ。しかし、それでもと遠慮がちに口を開く。
「……怖いの。食べたら、縁がなくなってしまいそうで……」
「そっか」
じゃあ、だったらと志乃はスナップを効かせて腕を振るう。すると何もない空中からぱっと花が咲いた。
「難しい事は考えなくていいんだ」
また腕を振るう。花の次は虹が現れた。
「私も、小さい頃一人ぼっちだったんだ。親も友達も知り合いも皆死んじゃってさ」
「私と、同じ」
「そう同じなんだ」
次はつつじの体の前に布をかけるようにジェスチャーを取る。すると瞬く間につつじの服はおしゃれなドレスに切り替わった。
「……すごいでしょ?」
「うん……まるで、お話に出てくる魔法使いみたい」
「そう、一人ぼっちの女の子はこうして魔法使いになって他にたくさん大切な人ができた。だからさ、同じな君も『失くしてしまうかも』って怖がらなくていい」
動きにくいかな、とくすりと笑い、指を鳴らすとつつじの服が元に戻る。まるで一幕の劇が終わったかのように。代わりにつつじの手に連絡先を書いたメモを握らせる。つつじの出身世界からならこれで繋がるはずだ。
「どうしてもダメだったら連絡して。貴女を不幸にするアレコレ、ぶっ飛ばしてやるから」
つつじは泣きそうな目で小さく「ありがとう」と呟く。志乃の耳に包装紙の破れる音と、クッキーを咀嚼する音が聞こえた。
「おいしい」
クッキーの味と、か細い声が幼い少女の口の中に溶けて行った。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守(サポート)
100歳超(実年齢秘密) 妖狐の悪霊✕陰陽師
口調「ワシ、~殿、ゾ、~んじゃ、じゃ、じゃナ、かナ?」
荒ぶる力を揮うカミにして、魂を啜る獣、そして幻を繰る妖狐、御狐稲見之守じゃ。
カミを求め助けを願う声を聞き届けるが我が務め。ヒトの道理で叶わぬならばカミの道理を通してみせよう…なんてナ。
天変地異を起こす[荒魂顕現]に、[眩惑の術]で幻覚を見せて動きを封じたり、[山彦符][万象変幻]で敵のUCに対抗したりするんじゃ。無論、[狐火]は妖狐の嗜みじゃナ。
他にも[式神符]で対象を追跡したり〈催眠術〉で情報収集したりと色々出来るゆえ何卒よしなに。
モース・レフレクソン(サポート)
ユーベルコード小型戦術ドローンを使用して、200を超える数のドローンで広範囲大規模索敵を行う…地形、生命反応、効率の良いルートなど必要であれば細かく情報を集めてみせる…。
俺は戦略だけでなく、魔法による知識は少しはある。もし、魔術的仕掛けやカラクリなど、ドローンによる調査結果から分析して仲間に伝えるとしよう。
つつじの心が氷解していく。その影響が道を阻む迷路に出ていた。
迷路の構造が変化し、道が開けていくのを猟兵たちは見逃さない。通る道を探すため動き出す猟兵もいた。
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は式神を呼び出す。妖狐、あるいはそれよりも小さい式神符が彼女の指示の元動き出す。五感を共有している式神符には迷路を歩かせ、行き止まりに阻まれずに進める道を探させる。妖狐たちには先導させて分岐路で正解の道への案内役を務めさせた。幸いこの迷宮の中は敵対意識を持った存在は出てこない、つまり式神の消滅を気にせずに使役できるという事である。
「ヒトが助けを乞うならば其れを聞き届け願い叶えるのがカミの役目よ」
稲見之守は大仰な語り口で、人の子が通る道を拓いていった。
届かない声で助けを求めていた少女が未来に辿り着けるように。
モース・レフレクソン(サイボーグの戦場傭兵・f06734)もまた、進むべき道を切り拓く。
「全てを見通してやる……!」
200を超える小型戦術ドローンの群れが迷路の中を進む。彼のユーベルコードである《小型戦術ドローン》の軍隊だ。ドローンは彼の意の向くままに動き、迷路を探索し、時には行き止まりにぶつかり、時にはすんなりと開けた道を進んでいき……そうした繰り返しがモースの元に集まって一つの情報として、迷路の地図として完成が近づく。ドローンのもたらす情報はモースに送られるだけでなく、他のドローンにも共有される。これによりドローンは効率的に動く。同じ道を通らない、分岐点を超えた先にまた分岐点があれば別のドローンを応援に寄こす。単純な事だが数を用いた探査の中では高い成果を得るための一助となる。
探索中、一度通った道が無くなったり、長い道を進んだ先の行き止まりがなくなっている事が判明した。進むにつれて迷宮の難易度が低下している、と中に入った猟兵たちは確信する。
長い迷宮の先が見えてきたように感じられた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クゥーカ・ヴィーシニャ
SPDで判定
つつじの気持ちを理解してやることはできない。俺にはずっと、姉様がいたからな。でも、寄り添うことぐらいは出来るはずだ
寂しそうなら姉様を抱っこさせる。最愛の姉様だ。ちょっとは気を紛らわせることもできる。
どうしても寂しいのなら、人形を家族と思うのもいいかもな。普通の人形は動きも喋りもしないが、気持ちは宿る。大切にしてたら、いつかは報いてくれるさ。まあ、一番いいのは、お互いに言いたいことを言えて、一緒にいて楽しい相手を見つけることだが。
迷路はまあ、散々迷いながらゴールを探すさ。そっちの方がより長くいれるし、楽しいだろ?一切迷わず、ゴールまで一直線なんて、退屈だしな。
クゥーカ・ヴィーシニャ(絡繰り人形・f19616)は孤独という気持ちに正しく共感できない。彼女にはずっと『姉様』がいた。故に孤独とは無縁なのだ。
しかし感情がないのか、と言うとそれは違う。心まで命のない人形というわけではない。つつじと同じになれなくとも、寄り添いたいという気持ちはある。
これまでの道すがら元気が出てきたのか、つつじはクゥーカの『姉様』が気になって目を離せない様子だ。
「それは……?」
「俺の姉様だ。抱っこしてみるか?」
「え? いいんですか……」
「ああ。姉様は優しいから、つつじの寂しさも紛らわしてくれるだろう」
そう言われて、つつじは恐る恐る頷いてからクゥーカの『姉様』を抱きかかえる。
人形を抱っこしたのは何時ぶりだろうか。家族がいなくなってからほとほと無縁だった気がする。
小さな『姉様』は優しい顔でつつじを慰めているように見えた。
『姉様』をうっかり落としてしまわないように、大事に抱えるつつじへクゥーカは声を掛ける。
「どうしても寂しいなら人形を『家族』と思ってみるのもいいかもな」
普通の人形は動いたり喋ったりはしないが想いを込めればそれに応えてくれる、とクゥーカは語る。つつじも本でそういう話を見た覚えがある。すんなりと頭に入って来てくれた。
「まあ、一番いいのはお互いに言いたいことを言えて、一緒にいて楽しい相手を見つけることだが」
今のつつじに、そう言った大事な相手を作るのは難しい。けれど、それまでに孤独という穴を、想いを込められる家族が埋めてくれるだろう。
話しながら歩いているためか、時々行き止まりにもぶつかる。
しかし嫌とは思わない。話しながら、人形への想いを浮かべながら通る道は確かに楽しいものだからだ。
「こっちの方が退屈しないだろう?」
と、微笑むクゥーカの後をついていく。
――そして長かった迷路を抜け、最後の関門へと辿り着いた。
大成功
🔵🔵🔵
今までの彼女なら誘いに乗っていたのかもしれない。が、今はつつじを支えてくれている者がいる。その縁が一時的なものだとしてもつつじを気遣う心は永遠だから――。
つつじの負の感情を作る主な要素。迷路の正体がつつじの負の感情を具現化したものであれば、まだ残っている不安を元に具現化したのだろう。しかしながら、迷路が単調化しているという事はかなりの不安を取り除いているという事でもある。
繋いだ手から震えが伝わる。つつじはただの少女だ。この状況に恐れを感じているのだろう。このまま彼女の手を引いて抜け出すのは簡単だろう。けれども、ずっと付きっ切りというわけにはいかない。時にはつつじ自身の足で立って、歩かねばならない時がある。
「そして孤独の迷路の向こう側、扉の先につつじが本当に出会うべき人、縁が待っている。これは試練だ。アタシたちはつつじを全力で助ける。守る。だから――走れるか?」
燦の《フォックスファイア・捌式》が発動した。燦の体は炎となり、つつじの身を包む。炎は装束のような形を作り、背中で炎の翼が羽搏いた。まるで少女に未来へ飛翔する力を与えるように。
影たちが追跡する。神出鬼没に転移し、影から生み出した武器で無理矢理足止めしようとする。が、攻撃は炎の前に阻まれた。燦が守っている限りつつじ本人は一つも傷を負わないだろう。
クネウスの体のほとんどは機械の物だ。しかし不思議の国に囚われた民間人を救出するという強い意思は存在する。そのために、脱出を阻む障害へと銃口を向ける。影の姿が尽きるまで。
代わりに自分が少し疲れてしまうが、辻ヒーラーとしてのこだわりの前では些細な事だ。燦が自身の消耗を厭わずにつつじを守り続けるなら、コトトはそのせいで負ってしまう傷を治し続けるだけだ。