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農業は自然との闘い

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●迫りくる自然の驚異
 アポカリプスヘル、そこはオブリビオンストームによって全てが荒廃した世界。ダークセイヴァーが死が隣にある世界ならば、アポカリプスヘルは既に一度死んだ世界と言えるだろう。
 だが、今そのアポカリプスヘルに、再び生命の息吹を興す活動が広がり始めていた。
 すなわち、農業。
 奪還者が命がけで持ち帰ってきた種や、奇跡的に生き残っていた苗を不完全な知識と不屈の執念で育て上げ、死の荒野に再び命が戻り始めていた。
 そして今、一つの拠点が収穫の時を迎えようとしている。作物はトウモロコシ。数は少なく、質も良いとは言えないが、それでも無から立ち上がるための大いなる成果であった。
 喜びに沸き立つ住人達。
 しかし、彼らは知らない。ほんの少し先に、実ったものも元からあったものも根こそぎ奪い尽くす、黒と白の巨大な竜巻が迫っていることを。

●農民たちよ負けるな
「各々方、刈り入れの時にござる!」
 集まった猟兵を前に、シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が高々と声を上げる。
「これまでの皆様方のご活躍により、アポカリプスヘルにも少しずつ復興の光が差し始めました。中でも今のムーブメントは農業! これより皆様には、トウモロコシの収穫に赴いていただきます!」
 猟兵の活躍によりアポカリプスヘルにも復興の兆しが見え始めた。それ自体は実に喜ばしいことだ。だが、ただ収穫を手伝うためだけに猟兵が駆り出されるはずもない。
「なのですが、やはりそこはアポカリプスヘル。農地と拠点を狙い、オブリビオンが襲ってきます。刈り入れはそれを退治してからのこととなるでしょう。襲ってくるオブリビオンは二種。いずれも自然災害を模したような存在でござります」
 農業にとって自然は恵みであり、災厄でもある。それとうまく付き合っていくのが永遠の課題でもあるが、今回はオブリビオン。明確に駆除すべき敵と見て問題ない。
「まず来るのは、『竜巻蚊柱』という、大群が集まって竜巻のようになった巨大な蚊柱でござる。これを構成する蚊は血はもちろん、果汁や樹液、さらには石油や電気まで、エネルギーになりそうなものなら何でも吸収してしまうオブリビオンにござる。一匹の力は普通の蚊と同程度ですが、何万と集まって群れで行動し、進路上にあるものを吸い尽くそうとします。幸い病気などは持っておりませぬが、たかが虫と侮って良いものではないでしょう」
 蚊柱自体が一つの生き物のように行動することもできる、最早一つの生きた竜巻と言ってもよい存在であろう。
「それを駆逐したら、今度はスーパーセル……つまり超巨大な暴風雨みたいなものですな。これが襲ってきます。こやつはその見た目通り、雨や風を武器に周囲一帯をなぎ払ってきます」
 本物の自然災害ではないか、そんなものとどうやって戦えと言うのだ。猟兵のその疑問に、シャイニーはご安心をと答える。
「こやつの正体はナノマシンの集合体にござる。雲や竜巻に見えるものを体と見立て攻撃すれば十分破壊できましょう。ただ、そのナノマシンをごく微量にこちらに取り付け、直接の攻撃をしても来ます。雨風ばかりに気を取られずそちらにも十分にご注意を」
 そしてこの二つの災害を打ち払えば、ようやく収穫の時だ。
「災害がなくなれば収穫タイムにござる。収穫の手伝いや他の力仕事、あるいは休憩用の食事作りなども良いかもしれませぬ。また知識や技術のある方は、それを伝達して差し上げれば喜ぶのではないでしょうか」
 彼らとて初めての収穫。きっと何もかもが足りていないだろう。どんな形であれ、手伝いは喜ばれるはずだ。
「せっかく芽吹いた命の新芽、ここで消させるわけにはいきませぬ。さあ各々方、ご出陣くだされ!」
 シャイニーはそう言って、猟兵たちをアポカリプスヘルへ転送するのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 今回はアポカリプスヘルで、ちょっとアグレッシブな農業のお手伝いをしていただきます。

 第一章は『竜巻蚊柱』との集団戦となります。集団戦なので蚊柱自体が複数あると考えてください。疫病などの心配はありません。

 第二章はスーパーセル『グレイ・グー』との戦いです。フィールドは荒天となりますのが、作物は拠点の人たちが守っているのである程度は耐えてくれます。地面から竜巻のようなものが空に向かって伸びていますので、その部分を攻撃すればダメージは与えられます。

 第三章ではトウモロコシの収穫をお手伝い。基本的には何を手伝っても喜ばれます。頼めば少しくらいはトウモロコシを分けてくれるかもしれません。拠点の人たちも農業経験や設備はないに等しいので、農具も武器や戦車を代用しています。呼べばシャイニーも来ますので、ご自由にこき使ってください。

 拠点の人たちは戦闘中は後方で作物を守っていますので、戦力にはなりません。その代わり特別こちらで守る手立てを講じる必要もないので、戦闘に注力してください。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『竜巻蚊柱』

POW   :    回転を保ちつつ一斉吸血
技能名「【吸血】【生命力吸収】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    竜巻勢力増大
【回転速度を高める】事で【さらに荒れ狂う蚊の竜巻】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    分離部隊による潜行吸血
【竜巻本隊を囮にした、生気を吸う吸血蚊部隊】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「さあ、今日はいよいよ収穫の日だ!」
 トウモロコシ畑の前、リーダーらしき男の声に、一斉に歓声を上げる住人達。しかし、それに水を差すかのように、ぶおんぶおんと耳障りな音が聞こえてくる。
「何だ? 誰か戦車のエンジンでも入れっぱなしにしてるのか?」
「いや、そんなはずは……何だあれ?」
 辺りを見回す住人たちの目に映ったのは、何本もの黒い竜巻の群れ。音はそこから発生しており、しかもその竜巻のたちは真っ直ぐにこちらに向かってきている。
 一人の男が正体を確かめるべく、望遠鏡代わりにスナイパーライフルを覗きこんだ。
「あれは……蚊!? でかい蚊柱だぞ!」
「そ、そんなバカな!? いくら何でも蚊があんなに……」
「バカでもなんでも、こっちに来てるのは間違いないんだ! 戦える奴は武器を持ってこい! 畑を守るんだ!」
 命がけでつかみ取った恵みを守るべく、住人たちは武器を構える。だがその武装は元より質、量とも十分とは言えず、一部は農業用に改造してしまったためさらに性能が落ちてしまったものもある。これではあの巨大な竜巻に抗するには、あまりに貧弱にすぎるというものだろう。
 猟兵よ、彼らに代わって拠点と畑を守り抜くのだ!
尾守・夜野
収穫を邪魔する奴らは許さねぇ…!
俺も農地開拓…というか村一人で作成中だからな
わかるとも
害虫は滅べ!

怒りに任せ空間を塗り替えよう
出口を俺の後ろとした上でな
数?しらん!
一対一で正々堂々かかってこい!
なお、出口は俺の足元というか…倒さねぇと出れねぇところに位置取る

別動隊?それも知らんなぁ!
どんなに数がいようと関係ねぇんだよ!
一対一なら俺の吸血・生命力吸収能力のが高いはず!
出るためにここに来たのを一匹ずつ始末する作業をしていこう

だがそもそもここに入ってこねぇかもしれん
スキットルの中身をぶちまけおびき寄せ挑発しようか



 拠点に迫る黒い竜巻の群れ。アポカリプスヘルにようやく芽生えた恵みを蹂躙せんと迫るそれの前に、一人の若い男か立ちはだかった。
「収穫を邪魔する奴らは許さねぇ……!」
 尾守・夜野(墓守・f05352)は怒りを込めた目で蚊柱の群れを見つめる。その目に宿るのは単なる義憤だけではない。もっと体の奥から湧き出る、実感を伴った生々しい怒りだ。
「俺も農地開拓……というか村一人で作成中だからな、わかるとも」
 ダークセイヴァーにて、廃村を立ち直らせようと孤軍奮闘している夜野。だからこそ、実体験として滅びた村に命を蘇らせるのがどれほど難しいか、そしてそれがかなった時がどれほど嬉しいか分かる。綺麗事でもなんでもなく、この一件は他人事ではない。
「害虫は滅べ!」
 怒りと共に、【四辻回廊大禍時】を発動させた。拠点と竜巻を隔てるように周囲の空間が塗り替えられ、歪んだ四辻が連なった迷路へと形を変える。
 その様子は拠点からでも観測でき、住人たちにざわめきが走った。
「あれは……何だ!?」
「分からない……けど、ここを守ってくれるつもりなのか……?」
 距離の関係でその声は夜野には聞こえない。だがまるでその声に応えるように、夜野は迷宮の出口へと陣取った。
「出口はここだ。俺を倒さねぇと出れねぇからな。一対一で正々堂々かかってこい!」
 そう言いながら夜野は、愛用のスキットルの中身を自身の周りにぶちまけた。赤い液体が周囲に広がり、迷宮内に血臭が漂う。その臭いはエネルギーを貪らんとする蚊たちを引きつけ、一直線に夜野の元へと向かわせた。
 ほどなくして、ぶんぶんというやかましい羽音が聞こえ、真っ黒な竜巻が夜野へと迫ってくる。竜巻こそ一つしかいないが、その一つを構成する蚊は一体如何程の数か。
「数? しらん!」
 だが夜野は怯まない。何故ならば群れた弱者ほど、この四辻の餌に相応しいものはいないのだから。
 竜巻は出口に近づくほどに形を変え、蚊が一列に連なる細い糸のような形状に変化していった。
 やがてその蚊の群れが夜野の元までたどり着くと、一匹の蚊がまるでごく普通に吸血するかのように、夜野の肌に取り付いた。夜野はそれを、本当にただの蚊でしかないかのようにぴしゃりと叩き潰す。
 そしてその直後、またもう一匹の蚊がぶぅんと飛んで夜野に近づき、そしてすぐに叩き潰された。
 この四辻の力。それは出口にいる夜野と一対一を強いられること。数こそが頼みの蚊にとっては、まさに天敵とも言える効果であった。
 蚊は対策を取るためか、吸血能力に秀でる別動隊を竜巻から切り離し、夜野へと差し向ける。それはやはり一体ずつではあるが、完全に姿を消した状態で夜野に取り付き、その血を啜りだした。夜野の血は魔術装置の動力である故、蚊にとっては極上のエネルギーだ。
「別動隊? それも知らんなぁ! どんなに数がいようと関係ねぇんだよ!」
 だが、それが来ることも予想の内。夜野はその血の刻印としての力を使い、血を吸い返し、蚊の生命力をも吸い上げる。吸ったところで大した量ではないが、そのわずかな量を吸収するだけで、脆弱な蚊の一匹は力尽きる。
 あとはただの作業だ。村と作物を守るための害虫駆除。それは夜野にとって勝手知ったる仕事であり。自らの目標のため、糧となる経験でもあった。
 もはやこの場での勝利は揺るがない。だが、ただ一つ、夜野には誤算があった。
「……で、いつ終わるんだこれ……」
 負ける要素はないがとにかく蚊は多い。自分の村でやるときはこの方法は使えないかもしれない……そう考えながら、夜野は蚊を一匹ずつ潰し続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春霞・遙
この世界は初めてきます。荒廃した世界だけれど抗う力に満ち溢れていますね。これは消してはいけない焔、といったところでしょうか。
生きようと足掻く人たちには手を貸しましょう。

自然災害としての火災旋風は恐ろしいと聞きますが、これは悪しきものを祓う炎です。蚊遣り火のようなものだと思ってください。
夜間であれば灯りに誘って燃やすこともできるでしょうが、恵みの収穫を前に太陽が陰るのは好ましくないですよね。

あとはー、可能ならUDCアースから虫除けスプレーとか殺虫スプレーとか持っていきたいです。
今の忌避剤って有能なんですよ?有効で子供も使えるものもありますし。いざとなったら火炎放射器にもなりそうですし、ね?


アニー・エステン
(アドリブ大歓迎です)

ちょっと勘弁してよ!!
何、あの蚊柱!!
あんなのどうにかしろっていうの?
あぁぁ…なんでまたこんなトラブルに巻き込まれるのーーー!?(泣)
今回はトウモロコシの収穫を手伝って分けて貰う
簡単、安全なお仕事だと思ったのに!?

一通り泣き言を言った後に頭を切り替えます

大量の水をぶちまけて畑を駄目にするわけにもいかないし…

なら…
荷物から取り出したガスマスクAN-①Pを装着
(両手を「竜巻蚊柱」に向けて掲げ、瞳を閉じます)
虫除け薬の化合物は―…
N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド…ブツブツ
大丈夫、分かる。イメージも完璧―行くよ!!
コレを気化させたガスをココにボクの記憶から創造する!!



 アポカリプスヘルに降り立った春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は、辺りを見回しその風景を確認する。
「この世界は初めてきます。荒廃した世界だけれど抗う力に満ち溢れていますね」
 オブリビオンストームによって荒れ切った世界だが、その中で生き残った僅かな人々は今も再起を図り戦い続けている。見方によってはとても力強い世界とも言える場所だ。
「これは消してはいけない焔、といったところでしょうか。生きようと足掻く人たちには手を貸しましょう」
 初めての世界のため決然とそう言う遙。一方その隣で涙目になっているのはアニー・エステン(ハミングバード・f28276)。
「ちょっと勘弁してよ!! 何、あの蚊柱!! あんなのどうにかしろっていうの? あぁぁ……なんでまたこんなトラブルに巻き込まれるのーーー!?」
 ほんの少し前まで単なる一般人のメカニックだったアニーにとって、オブリビオンは未だ恐怖の対象としての認識が強い。猟兵になってからは対処する力も得てなんだかんだ切り抜けられても来たのだが、そもそも関わり合い自体になりたくないのは変わらない。
「今回はトウモロコシの収穫を手伝って分けて貰う簡単、安全なお仕事だと思ったのに!?」
 一しきり泣き言を言って、アニーは前方を睨みつけた。
 初めてこの世界に降り立った者と、この世界で生まれ育った者。両者の前に、黒い竜巻が不快なうなりを上げて近づいてきた。
「夜間であれば灯りに誘って燃やすこともできるでしょうが、恵みの収穫を前に太陽が陰るのは好ましくないですよね」
「大量の水をぶちまけて畑を駄目にするわけにもいかないし……」
 その迫る虫の大群を前に、冷静に対処法を考える二人。遙はもとより、アニーも泣き言は言いたいだけ言い切った。それをスイッチに、頭を冷静に状況に対処する方に切り替える。
 そして、二人の出した答えは。
「夏至の夜を汚す悪しきものを追い払え、聖なる炎を消す水の流れを探し出せ」
 まずは遙がハシバミの枝に火をつけ、それを蚊柱に向けて放り投げた。悪霊払いの力が込められた炎が蚊を炙り、次々と焼き落としていく。さらにその炎で照らされる地形に流れる力を全身で理解し、それを力に変え次の一手に備えた。
 その隣では、アニーが鼻と口を覆うガスマスクAN-①Pを装着し、蚊柱に両手を向けて目を閉じていた。
「虫除け薬の化合物は―……N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド……」
 マスクの中でブツブツと呟くアニー。かつて自分で分解し、その組成を理解している薬剤の成分を改めて思い出す。何しろ完成品が手に入ることなどめったにない世界だ。組成を理解していれば、原料から無理矢理作り出すことだってできる。
「大丈夫、分かる。イメージも完璧―行くよ!! コレを気化させたガスをココにボクの記憶から創造する!!」
 アニーのかざした手、【ヘーパイストスの両手】から、気化した殺虫ガスが創造され蚊柱を包み込んだ。生き残るため理解し、作り上げられた猛毒が、蚊たちの命を奪い、次々と地に落としていった。
 その両者の攻撃に反撃するように、蚊柱は回転を増し、さらなる暴風となって二人に迫っていく。さらにはその竜巻からは別動隊が離れ、乾坤一擲の決死隊の如く横から二人の血を吸わんと回り込んでいた。
 その暴風に、遙が再びハシバミに火をつけ、それを放り投げた。
「自然災害としての火災旋風は恐ろしいと聞きますが、これは悪しきものを祓う炎です。蚊遣り火のようなものだと思ってください」
 その火の狙いは蚊柱そのものではない。アニーが創造し、敵を包ませた殺虫ガスだ。そこに含まれる、噴霧式殺虫剤に付き物の可燃ガス。それにかがり火が引火し、蚊柱を包んで大きく燃え上がった。
 悪霊払いの火炎竜巻。その焚き付けとなったのはヘーパイストス……炎の神の両手より放たれたガス。
 猟兵二人によって作られた災厄をはらう劫火は、分かれ力を増した蚊柱と別動隊を、広がりながら飲み込んで焼き尽くした。
 ガスマスクと自己強化でガスと炎の逆流から自分を守った二人は、その場の蚊が全滅したことを確認して顔を見合わせる。
「UDCアースから虫除けスプレーとか殺虫スプレーとか持ってきたのですが……もっと強烈なガスがあってよかったです」
「いやー、まさかあんなよく燃えるとは。良ければそのスプレーも見せてくれない? 中身分かれば作れるようになるかも」
「ええもちろん。今の忌避剤って有能なんですよ? 有効で子供も使えるものもありますし。いざとなったら火炎放射器にもなりそうですし、ね?」
 未だ熱気の残る中、二人はそう言って笑い合うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動

蚊の大群、だがやべえのは確かだな。
今回は属性攻撃を活用しねえとヤバそうだ。
武器に纏わせるなりしねえと駆除できねえ。
極低温の冷気か火炎、しかも範囲攻撃でやらねえとな。
俺はUCで燃え盛るナイフを数本形成して投げる。
敵のど真ん中で範囲攻撃と風の属性攻撃で広範囲を火の海にできれば。
見切りやダッシュで回避も忘れず。

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動

相手は蚊、と言っても大群な上に小さいと普通の攻撃じゃダメよね。
今回は焔刃で攻めるわ。
ジェイクと同じように範囲攻撃や属性攻撃なんかを用いて対処するわ。
鞭のようにして早業で振り回せば……なんてやっても駄目だろうな。
骨法の事を教えてもらった時、物事の芯というのを教わって、それを応用できれば。
ヤヌスの光刃を芯にして焔と風を纏わせて草木の様にできれば対処できるかも。


絡み・アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

範囲攻撃と属性攻撃の合わせ技か。
確かに相手が小さければ普通に対処しても埒があかん。
白銀の魂を長柄に形成し、能力を上げて攻撃する。
見切りやダッシュで回避しつつ、残像で誘うのも。
華澄の方も見ておかないといけないので、そっちも気を配る必要があるな。

絡み・アドリブOK


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動

私はアシストに回ります。
ヴァナディースに殺虫作用のある薬剤を撃ちだそうと思います。
えーと、ダメ元ですけど殺虫用の液体の入った容器なんかも置いておけばいいかも。
ただエネルギーとして活用できると判断されるか分からないので賭けなのが。
第六感で警戒して、なにかあれば属性攻撃で対処します。

絡み・アドリブOK



 幾度かの交戦を経て、いまだ残り多い蚊柱の大群。その前に次の猟兵たちが立ちふさがる。
「相手は蚊、と言っても大群な上に小さいと普通の攻撃じゃダメよね」
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)は相手の特徴を観察し、そう思う。
「ああ。蚊の大群、だがやべえのは確かだな。今回は属性攻撃を活用しねえとヤバそうだ。武器に纏わせるなりしねえと駆除できねえ」
 ジェイク・リー(影の護り手・f24231)も同様に、今回の敵の特殊性を考え通常とは戦法を変えていくことを考えた。二人の言う通り、今回の敵は弱く小さい蚊が無数に群れた存在。ただ強烈な一撃を点や線で叩きつけても効果が薄いのは明白だ。より二次元的……あるいは三次元的に攻撃を届かせるのが勝利への鍵と言えるだろう。
「範囲攻撃と属性攻撃の合わせ技か。確かに相手が小さければ普通に対処しても埒があかんな」
 二人の発言を受け、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)も今回は特殊な戦法を取る必要があることを考える。少なくとも体術や武器術が単純に通じる相手ではないはずだ。さてどうした者かと、二人と共に思案するアリス。
「私はアシストに回ります」
 藤宮・華澄(戦医師・f17614)はそう言ってライフル『ヴァナディース』を構え、三人より後ろに下がった。
 他の三人が懸念している通り、今回の相手に銃は効果が薄そうだが、それは華澄も承知の上。いつもとは違う弾をライフルに込めながら、華澄は後方支援に適した位置に陣取る。
 猟兵たちがそれぞれ対策を考える中、竜巻蚊柱はうなりを上げて四人へと迫っていく。その竜巻相手に、まずはジェイクが前へと出た。
「極低温の冷気か火炎、しかも範囲攻撃でやらねえとな。俺はこいつでやるか」
 その手にあるのは、ユーベルコード【アトリビュート・アームズ】で形成した数本の炎のナイフ。それを竜巻の中心に投げ込み、内部から蚊を炙り焼きにした。だが、それだけではジェイクの攻撃は終わらない。
「火は風に従って動くもんだ」
 さらに風の属性を操り、その炎の下から暴風を巻きあがらせた。それは炎の餌となり、それを巨大な炎の竜巻へと成長させる。内から発生した新たな竜巻に食い破られ、竜巻蚊柱を構成する蚊たちは一瞬にして焼き尽くされて行った。
「さすがね。じゃあ私も同じようにしてみようかしら」
 そう言ってエルーゼは『ヤヌス』を鞭に変え、素早く竜巻に打ち付けた。空気を切り裂く鋭い音が聞こえて鞭は竜巻を切り裂くが、それだけでは竜巻に致命傷は与えられない。
「駄目だろうなとは思ったけど……やっぱりこっちで行くか」
 鞭で小さな虫を叩くと言うのはそれはそれで十分達人の技とも言えるのだが、それが今有効かどうかは別の話だ。
 エルーゼが思い出すのは、依然教わった骨法という格闘技。そしてその時学んだ物事の『芯』という考え方だ。
「元素を交差させてより強く」
 【クロス・エレメント】で属性の力を纏い、その中でも炎と風の力を形状を光刃に変えたヤヌスに移す。そしてそれを芯として使い、炎を草原になるかのように、地面に横ばいに燃え上がらせた。
 下から広く炙られ、竜巻は足を払われるように下から消え上せてく。だが、足で立っているわけではないそれは、倒れることはなくそのままエルーゼに迫る。
「新芽はやがて木になる……なんてね」
 そして炎の芯になっているヤヌスの真上へと来た瞬間、ヤヌスを中心に巨大な火柱が噴きあがった。それは下から蚊柱を突き刺し、蚊を一瞬にして灰燼へと帰す。その姿はまるで、不毛の荒野に聳え立った赤い巨木の様でもあった。
 そしてアリスは、『白銀の魂』を長柄に形成し蚊柱へと立ち向かう。
「出来損ないと言えど邪神の力は侮れんぞ」
 【血の覚醒】で自らの能力を上げ、蚊柱へ立ち向かっていくアリス。白銀の魂を振り回しながら蚊柱と戦うが、属性の力を攻撃ではなく自己強化に向けている分、エルーゼやジェイクほどの殺傷力はない。
「そらそらどうした、こっちだぞ!」
 だがアリスは構わず、残像を残しながら竜巻の間を駆け回り、その動きを制限していく。そのアリスを捕らえんと、竜巻は徐々にお互いの間隔を狭め、一か所に集まり始めていた。
 やがてアリスはある場所で止まる。その足元には、たっぷりと液体の入った一つの容器。
「よし、それじゃあくれてやろう。たっぷり味わえばいい」
「腹が減っては、ってね!」
 竜巻に捲かれる瞬間、アリスは容器を蹴り倒し残像を残して離脱した。そしてそこに放たれる、華澄のヴァナディースの弾丸。
 その弾は竜巻の内部に吸い込まれて破裂し、辺りにもうもうと煙を撒き散らした。その煙に巻かれた蚊は、次々と力尽きたように落ちていく。
 華澄が撃った弾丸は殺虫剤を詰めた毒弾。そして容器に入っていた液体は、これまた華澄が用意した殺虫液であった。華澄は【戦備】で強化された力で、素早く次々と次弾を装填、殺虫の弾を蚊柱へと見舞った。
「うまくいったな」
「アリスが誘導してくれたおかげです」
 アリスは華澄の様子を見つつ、後方から薬剤を撒く準備をする時間を稼いでいた。殲滅力よりも機動力を重視した強化を選んだのも、その戦法のためである。
「属性と言っても自然の力だけじゃないということね」
「自然由来の毒もあるが……まあ今回は違うか」
 エルーゼとジェイクがそれを見て感心したように言った。炎と風の属性を使った自分とジェイクに対し、華澄が使ったのは化学的な毒属性。ある種医術担当の華澄の面目躍如とも言える戦法であった。
 もちろんそれを成せたのは、高速で飛び回る獰猛な虫さえ制御できるアリスの体捌きあっての事。
 炎と毒に捲かれた黒い竜巻はその力を全て奪い尽くされ、各種入り乱れた元素と属性の嵐が止んだ後には勝利を表すような晴天が広がるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘇摩・瞬華
うわあ…蚊があんなにいっぱい…。
頑張って退治しないとね…!

命喰ホムラダマを発動して、目につく蚊柱それぞれに突っ込ませていくよ。
そのまま炎に包んでまとめて【焼却】。あれだけの密度だし、一匹に火がつけばそこから燃え広がっていきそうだけど、どうかな。

別働隊の奇襲にも警戒しておくよ。
【第六感】や聴力を頼りに、できるだけ早く接近を感知できるようにして、あとハゼリダマも出しておくよ。
気付き次第ハゼリダマをぶつけて自爆攻撃(【爆撃】)、そのまま【焼却】するね。
小さい群れは【衝撃波】で地道に潰していこうかと。



 幾度となく焼かれ、落とされ、それでもなお残る竜巻蚊柱。その災厄を完全に打ち払うため、蘇摩・瞬華(蒼篝・f25151)もまたアポカリプスヘルの地へと降り立った。
「うわあ……蚊があんなにいっぱい……頑張って退治しないとね……!」
 そう言いながら瞬華は目の前で唸る竜巻に指先を向ける。すると辺りにはぽっと青い炎が玉となっていくつも現れ、まるで瞬華の指示を待つように、その周囲をふわふわと漂い始めた。
「みんな、ごはんだよー?」
 瞬華の声と共に、その火の玉たち……【命喰ホムラダマ】の軍団は次々と蚊柱へ向かって飛び込んでいった。
 その名の通り命を喰らう青き炎にとって、小さな命の集合体である蚊柱は餌の山とも言える存在であった。近くにいる蚊から手当たり次第に青い炎が移っていき、小さな蚊は当然一瞬にして燃え尽きる。そしてそれと同時に爆ぜるように周囲の蚊へ延焼、また一瞬でその命を喰らい、次の蚊へと炎が移る。
 連鎖的に延焼を繰り返しては蚊を爆ぜさせていく青い炎は、まるで昼の空に打ちあがる花火の様ですらあった。
 しかし、相手は小さな蚊の群れとは言えオブリビオン。これだけで簡単に焼き払えるような相手とは到底思えない。
 瞬華もそれは理解しているのか、燃え上がる蚊柱を見上げながらも、自身の周囲への警戒も怠らなかった。
「別動隊……奇襲してくるんだったね」
 この巨大な竜巻を囮にした、少数精鋭の吸血部隊。そのような序列があるのかは分からないが、言ってみれば蚊たちのエリートとも言える存在だ。瞬華は自身の感覚を総動員、さらには蚊柱に撃ち込んだのとは別の青き炎、ハゼリダマを周囲に浮かべ、その接近に備える。
 目で追うことは最初からあきらめ、目を閉じて狐の耳を澄ますが、そこに聞こえてくるのは炎に飲まれ蚊が焼け落ちていく音ばかり。空気の流れも熱気に満たされ、小さな虫一匹の起こす気配など感じられない。
 だが、来ること自体は間違いない。血と、全てのエネルギーを吸い尽くすため、狂暴な害虫が自身を狙ってくるのだ。獣の勘と、妖の力であるハゼリダマ。それらの全てを用い、瞬華は蚊の最後の攻撃を看破せんと待ち構えた。
 そしてその瞬間。音も空気も異常はないが、確かに瞬華の尾が何かを捕らえ、ピクリと動いた。まるでそれはその尾に宿る『亜神アオカグヒ』が何かを感じ、それを宿主に伝えようとしたかのような動き。その動きに導かれるように、瞬華は半ば青い炎と変じている自らの尾を振った。
 それに指揮されるように、ハゼリダマの一つが瞬華の前へと動く。白い薄布に覆われた褐色の腿の直前。ハゼリダマはその名の如くぱん! と爆ぜ、ごく微量の燃え滓を落として消え去った。
 それを合図にしたように、ハゼリダマたちが瞬華の周囲に散り、ぱん! ぱん! ぱん! と次々と爆発して消えていく。そしてその後には例外なく小さな滓が落ちていた。その小さな燃え滓はハゼリダマの自爆によって瞬華にたどり着けなかった蚊の、最期の姿であった。
 敵の攻撃をしのぎ切ったと確信した瞬華は、改めて前方で燃えていく蚊柱に目を移す。
 燃料となる蚊のほとんどが焼け落ち、消えかけた蚊柱。だが目を凝らせば、炎から逃れた僅かな塊が残っているのが見える。
 こうなればもはやただの蚊の群れのようにしか見えないが、さりとてその本質はオブリビオン。これだけでも一般人には脅威になり得るかもしれないし、ここから再繁殖でもされてしまったら元も子もない。
「最後は地道にいこうねー」
 最後の群れに狙いを定め、『仙狐の霊杖』を振り上げる瞬華。そしてそれが振り下ろされると、空気をうねらせる衝撃波が蚊の集団を巻き込んだ。その空気の動きの中で、蚊の脆い体はばらばらに引き裂かれ、そのまま地に落ちて消えてなくなる。
 そしてそれと同時に蚊柱に飛ばした青い炎も完全に消え去り、燃えるものがなくなったことを召喚者に告げた。
 ここに恵みを奪わんとした第一の災厄、黒き竜巻は消え去ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『グレイ・グー』

POW   :    シビアウェザー
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD   :    一度として現れないことを祈る
【集中豪雨】を降らせる事で、戦場全体が【極度の悪天候】と同じ環境に変化する。[極度の悪天候]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    終焉の灰
攻撃が命中した対象に【自己増殖するナノマシン】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【分解機能】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はウラン・ラジオアイソトープです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 竜巻の如く荒れ狂うかの集団を滅ぼし切った猟兵たち。
 だがまるでその勝利を呪うかの如く、それまで晴天だった空は一瞬にして真っ黒に曇り、雨が降り始めた。その雨は乾いたアポカリプスヘルの大地を濡らし、さらにはそこに川さえ作らんばかりに滝のように激しくなる。
 先の戦いでは多くの猟兵が火を用いた。大火事の後は雨が降るとも言われるが、それにしたってあまりにも急すぎるし、なにより規模が大きすぎる。
 そしてその雨の中、それは現れた。
 地から天を貫くほどの、白く巨大な柱。それは雲さえ巻き込むほどの、巨大な竜巻であった。数は一本しかないが、その規模は竜巻蚊柱とは比較にならないほど大きく、その力の強さも見た目を裏切らないことは明白だ。
 その竜巻は、まるで意思を持っているかの如く猟兵へ、そして拠点へと一直線に向かってくる。
 間違いない、あれこそがここに芽生えた希望を蹂躙せんと迫る第二の災厄、スーパーセル『グレイ・グー』だろう。
 一見すれば人の身では平伏するしかない自然の驚異であるが、その実態はナノマシンの集合体であり、群体生物のオブリビオンだ。その竜巻と雲を体と見立てれば、猟兵であれば十分戦い得る存在のはず。
 猟兵たちよ、荒れ狂う雨風を切り裂き、偽りの災厄を振り払うのだ!
尾守・夜野
アドリブ・連携歓迎

害虫駆除が終わったと思えば自然災害かよ…
だが!収穫は!天候にだって!邪魔させねぇ!


蛇の伝承には気象に関するの多いんだぜ?
人の力だろうと機械だろうと止めれねぇその力を見やがれ!
あらゆる天候に関する力を伝え聞く蛇神、怪異を呼び出そう
人の身に余る災害に関してなんざ祈るくれぇしかできねぇからな
多分諸々起きる天候変化の類いに対してカウンター決めつつ、竜巻にも何かしてくれんじゃねぇかな

ナノマシンは見えねぇし避けられる気もしねぇから
大蛇の影に隠れてやり過ごそうか
あたったら被害を減らすため回りごと抉り…回復は後でだな


春霞・遙
これが噂のオブリビオンストーム、ですか?
天候を左右するようなオブリビオンの集合体って、えー……これ、本当に人の力で倒せるんですか。
有効な手段が思いつかないのですけれど……。

火が消えたのなら植物が燃やされることはない、かな。
【葬送花】の花吹雪でナノマシン一つ一つを破壊していく方針で行こうと思います。
UDCアースのスーパーセルと同じ成り立ちかは知りませんけど、もしこの花々を上昇気流に巻き込んで本体に飲み込んでくれるなら、風に阻まれてすべて無効化されることはないでしょうし。
それに花弁が分解されても触れたナノマシンを相殺できれば敵の数は減らせるでしょう。


アニー・エステン
アドリブ上等です。

ふっざけんなぁぁぁ~~~~!!!!
なんの冗談だよ!!!!
ボクのトウモロコシがダメになるだろ!!!

普通の雨なら普段なら大歓迎なんだけど
こんな馬鹿みたいな現象あり得ないっての

荒れ狂う嵐の中、白く巨大な柱を睨みつけ
冷静に相手の弱点と打開策を探そうと
UC「解析眼」を使用

グレイ・グー
…そもそもは極小サイズのハイテクノロジーのナノマシンの集合体
ならその行動信号を書き換えることのできるものを作れば
逆に操れるかも?
その上、ナノマシンのサンプルさえ手に入れば
有効利用できる「グレイ・グー」をボクの力で再現できるかも…

ヤバッ、メカニックとして俄然やる気出てきた!!
やちゃるぞ!!!



 吹き付ける暴風雨の中、猟兵たちはその発生源を見上げる。上空に大きく広がる雲と、まさに竜の如く天へ上る竜巻。
「これが噂のオブリビオンストーム、ですか?」
 春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)はその荒れ狂う竜巻を見てそう呟く。もちろんこれはオブリビオンストームではない。この世界を崩壊させたその竜巻は中を見通せぬ漆黒のそれであり、見た目だけならばむしろ先の蚊柱の方が似ていると言ってもいいだろう。だが、誤認しても仕方ないくらいに、目の前の竜巻は荒れ狂い、その猛威を見せつけていた。
「天候を左右するようなオブリビオンの集合体って、えー……これ、本当に人の力で倒せるんですか。有効な手段が思いつかないのですけれど……」
 思わず弱気な言葉が遙の口から洩れる。そしてその隣では。
「ふっざけんなぁぁぁ~~~~!!!! なんの冗談だよ!!!! ボクのトウモロコシがダメになるだろ!!!」
 アニー・エステン(ハミングバード・f28276)は空に向けて、思い切り怒鳴り声をあげた。そもそもトウモロコシは拠点のもの……なんてツッコミを聞いている余裕などない、そんな風雨が上を向くアニーの顔に容赦なく叩きつけられる。それはただ浴びているだけでも痛みを感じる程の大粒の雨であり、これに捲かれてしまえば痩せた大地のトウモロコシ畑など根こそぎなぎ倒されてしまうだろう。そうなればもう誰のものでもなく、ただ絶望と共に腐って土にかえっていくだけだ。そんな誰も喜ばない結末だけは避けなければならない。
 そしてこの荒れ狂う空に怒りを燃やす猟兵がもう一人。
「害虫駆除が終わったと思えば自然災害かよ……」
 尾守・夜野(墓守・f05352)はうんざりしたように空を見上げる。一難去ってまた一難。そんなありきたりな言葉で表せるような生易しい災害ではなく、通る先にあるものを全てへし折り、なぎ倒し、吹き飛ばす、無差別かつ圧倒的な暴力の顕現がそこにはあった。
 しかしその雨も風も、彼の怒りの炎を消し去ることはなかった。むしろそれを焚き付けにでもしたかのように、夜野の怒りはより一層燃え上がる。
「だが! 収穫は! 天候にだって! 邪魔させねぇ!」
 その怒りのままに、夜野もまた天に向かって叫んだ。
 そしてその叫び声は、単なる無意味な自然への反逆ではない。迫る敵を討つためにあげる、戦いの号令である。
「不死という毒を喰らい、進まぬモノよ。永遠を、己の尾を喰らうモノよ。同胞よ。呼び声が聞こえたならば来い!」
 巨大すぎる敵との戦いの先陣を切り、【大虫召喚】が放たれた。それによって呼び出されるのは、蛇の神に連なる力と怪異。その声に応えるかの如く、現れるのは7つの頭を持つ大蛇。
「蛇の伝承には気象に関するの多いんだぜ? 人の力だろうと機械だろうと止めれねぇその力を見やがれ!」
 豪雨に打ち据えられながら、夜野は天に向かって啖呵を切る。それに呼応するように、蛇は7つの口を大きく開け、竜巻へと噛みかかった。がぶがぶと、まるで霞でも食べるかの如く咀嚼を繰り返す蛇の頭。一見すると何の意味もなさそうな行動に見えるが、だがそれは竜巻を形成するナノマシンを確かに噛み砕き、その腹へと修めていた。そしてそれと同時に、上昇していく気流が弱まり、猟兵たちを殴りつけるような雨も僅かに勢いが弱まったように思えた。
「人の身に余る災害に関してなんざ祈るくれぇしかできねぇからな……だがこいつは、人じゃねぇぜ?」
 竜王として仏教に取り入れられた多頭の蛇神。それは怒れば旱魃を呼び、宥められれば雨を降らせる。本来ならば雨乞いのためまつられる存在なのだろう。だが今神は、そして夜野は怒っていた。この暴なる雨を干上がらせんがため、呼び出された怪異は伝承の通りに空から注ぐ水を大口を開けて食らい尽くさんとしていた。
 そしてその僅かに弱まった雨の間から、アニーの目はしかとグレイ・グーの姿を観察していた。
「普通の雨なら普段なら大歓迎なんだけど、こんな馬鹿みたいな現象あり得ないっての」
 その通り、これは自然の雨ではなく、オブリビオンが起こす意図的な攻撃。だからこそ、そこには仕組みがあり、法則がある。人の力で分解能い得る、人知の及ぶ存在なのだ。
「……そもそもは極小サイズのハイテクノロジーのナノマシンの集合体。ならその行動信号を書き換えることのできるものを作れば、逆に操れるかも?」
 アポカリプスヘルで生まれ、メカニックとしてこの厳しい世界を生きてきたアニーの目が、オブリビオンとして、ナノマシンとしてのグレイ・グーを観察し、その正体を読み解いていく。
 そしてその青い瞳が、天災を偽るオブリビオンの構造を見破った。
「解析完了! 遙さん、これ、使って!」
 アニーは手の中に生成されたごく小さな金属片のようなものを大量に遙に手渡す。それはグレイ・グーの気象制御能力を狂わせる、小型の妨害電波発生装置だった。サイズは小さく電波も弱く、至近距離のナノマシンにしか効果はない。使うには竜巻の中に直接放り込みでもするしかないものだ。
 そしてそれを手渡された遙は、ぐっと力強く頷き木の杖を竜巻へと向けた。
「風に舞う薄紅の嬰児よ惑う命の導きと成れ」
 その声と共に、杖の先から薄物色の桜吹雪が放たれる。ユーベルコード【葬送花】の花びらは一直線に竜巻へと向かい、その中へ混ざりこもうとした。
 だが、それに反撃するかのように蛇に喰らわれていたグレイ・グーは再び回転を増し、その雨と風をより強め始めた。グレイ・グーはオブリビオン。故にユーベルコードを使うこともできる。水属性の暴風を巻き起こし、グレイ・グーは猟兵たちへと反撃を試みた。
 それと同時に、蛇がもだえるように体をくねらせ、同時にその陰にいた夜野の腕にも激痛が走る。
「ち、やっぱ分かってやがんのか……」
 夜野の腕の一部の皮膚が割け、血が流れ出していた。暴風雨こそ強まれど、直接の攻撃を受けてなどいないのに……
 否、攻撃は受けていた。先の蚊よりも小さいナノマシンが、僅か数機夜野に取り付き、その体を分解し始めたのだ。最初に夜野が狙われたのは最も目立つ蛇神を召喚し、それ諸共攻撃対象とされたからであろう。心配げに彼を見る二人の仲間を、夜野は無事な方の手で制する。
「俺に構うな……それよりそいつを使うんだ!」
「分かりました……あのスーパーセルがUDCアースと同じ原理なら!」
 そう言って遙は花びらの群れに、アニーに渡された小型機械を混ぜ込んだ。それは花びらに乗り、どんどんと竜巻へと吸い込まれていく。そして遙の狙い通り、それは上昇気流に乗り、上空に広がる雲の部分にまで届いた。
 そして次の瞬間、一本の柱の様だった竜巻はぐねぐねとうねり、上空の雲にいくつもの切れ目が開き始めた。その切れ目からは光が注ぎ、雲が薄くなっていることが見て取れる。
 【葬送花】によるダメージと、アニーの生成した即席の特効兵器、その二つがオブリビオンとしてのグレイ・グーに少なからぬダメージを与えていた。そしてその隙間を、蛇神の怒りがさらにこじ開けていく。
「やっぱりあいつはナノマシンなんだ! サンプルさえ手に入れば、有効利用できる「グレイ・グー」をボクの力で再現できるかも……」
「ああ、欲しけりゃやるよ。ちょっと余計なものもついてるけどな」
 アニーの呟きに、夜野はナノマシンに侵食されていた傷を回り事抉り取り、アニーへと渡した。当然傷は深くなり血は噴き出るが、今は攻勢の波に乗っているとき、回復など後だ。
 アニーもこの険しい世界出身なだけあり、その血まみれの肉片を怖じることなく受け取り、密閉してバックパックに放り込む。
「ヤバッ、メカニックとして俄然やる気出てきた!! やちゃるぞ!!!」
「それはいいですけど……後でちゃんと診せてくださいね」
 興奮するアニーの横で、遙は夜野の腕の傷を心配する。二人に村づくりやメカニックとしての意思があるように、遥かにも医師として脇に置けぬものがあるのだ。
 ともあれ、今眼前にいるのは決して戦えない存在ではない。その事実を、三人は見事に示してのけたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リカルド・マスケラス
連携アドリブ歓迎

「あれが人工物っていうのもすごい話っすね~」
そんな感じで軽口を叩いているのはバイクに乗ったお面。
「空に浮いてるし、戦術は限られるっすけど、逆に迷わなくていいっすね」
敵の攻撃はバイクの【操縦】技術で駆け抜けて回避。被弾しても
「アルタイルはスピードよりもパワーや頑丈さ重視のカスタマイズなんすよ。そのくらい、どうってことないっすよ!」と軽く強がり挟んでおく。ちょっとだけ火炎や評決、電撃の【耐性】あるしね
反撃は【牽牛星覚醒】で強化したビーム砲の【なぎ払い】やミサイルランチャーの【一斉発射】で攻撃。ついでにナノマシンの信号系が狂うのを期待して雷系の【属性攻撃】を乗せとく


蘇摩・瞬華
わ、凄い雨…!こんなオブリビオンも出るなんて、アポカリプスヘルって凄いところだね…。
でも、負けないんだから!雲じゃなくて、えーっと、なのましん?なら、わたしの炎も通じるはずっ!

【結界術】と【環境耐性】を組み合わせて、頭上に傘みたいにバリアを展開。雨に濡れすぎないようにして戦うよ。
攻撃は暴乱アオカグヒで。切り離したアオカグヒさまをできるだけ雲の中心に近いところまで飛び込ませて、そこで巨大化から暴れさせるね。周りにお仲間さんがいないなら、そのまま連続攻撃!
雨水も蒸発させちゃうくらいの勢いで【蹂躙】からの【焼却】してもらっちゃうよ。



「あれが人工物っていうのもすごい話っすね~」
 天に広がる巨大な雲と、それを貫く巨大な竜巻。それを少し珍しい天候でも見たかのような軽い声で評するのは、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。ヒーローマスクである彼の今のその姿は、猛牛を模したバイクに狐の面が乗っただけという特異なものであり、当然ながらその姿から表情などはうかがえない。
「わ、凄い雨……! こんなオブリビオンも出るなんて、アポカリプスヘルって凄いところだね……」
 蘇摩・瞬華(蒼篝・f25151)もその巨大な敵を見上げ、驚嘆の声を上げる。その巨大さと、自然現象そのものという他に例を見ない特異な外見。先の竜巻蚊柱もそうであったが、アポカリプスヘルだからこそ存在を許されるかのような全てをなぎ払い、壊しつくす圧倒的な力、それを模した存在を、瞬華は純粋な驚きを持って見上げていた。
 だが、既に分かっている通り、これはただの自然現象ではない。倒さなければならない、倒すことのできるオブリビオンである。その敵と戦うべく、まずはリカルドが前に進み出た。
「空に浮いてるし、戦術は限られるっすけど、逆に迷わなくていいっすね」
 人の形をしていない今のリカルドに、雲と竜巻に対して取れる手段は少ない。撥ねたり轢いたりできるような相手ではなく、バイクそのものを武器にするような戦法は取りがたい。だが、ヒーローマスクが依代とするバイクがただのバイクであるはずもない。その『普通じゃない』部分を使えばいいだけのことなのだ。
 迫ってくるリカルドを敵と認識したか、グレイ・グーは無軌道に噴き散らかしていた暴風雨を、明確に指向性をつけてリカルドへと叩きつけ始めた。風と水の強力な属性が黒を基調としたボディに叩きつけられ、そのバランスを崩し、さらに内部機関まで水を染み込ませ、動力部を破壊せんとする。だが、リカルドは仮面から力を送ってバイクを操縦士、点灯せぬようバランスを取って猛スピードでグレイ・グーへと迫り続けていた。
「アルタイルはスピードよりもパワーや頑丈さ重視のカスタマイズなんすよ。そのくらい、どうってことないっすよ!」
 その言葉通り、どっしりした重厚なボディは風に負けることなくまっすぐグレイ・グーへ突っ込んでいく。さらに接近しながら搭載されたビーム砲を放ち、竜巻のどてっ腹にそれを叩き込んだ。それは相手が本物の竜巻ならばおおよそ効果は見込めないような攻撃だが、ナノマシンの集合体であるグレイ・グーには着弾地点のナノマシンを焼き払うことで、着実にダメージを与えていった。
「でも、負けないんだから! 雲じゃなくて、えーっと、なのましん? なら、わたしの炎も通じるはずっ!」
 そして瞬華も、相手が本物の自然現象ではないことは分かっている。ナノマシンが何かは分からずとも、先の蚊柱と似た群体生物だということさえ分かれば手の打ちようはいくらでもある。その意思を示すが如く、結界によって風雨から守られた尾の青い炎が一際強く燃え上がった。
 だがその結界さえ破らんが如く、瞬華に降り注ぐ雨はより一層強くなる。それはリカルドに吹き付けた横殴りの風雨とは違い、上から押し潰さんとする縦の攻撃。一層濃くなった雲と滝の如き集中豪雨は、それ自体がさらなる風雨の呼び水となり、天候をさらに悪化させる。この状況は暴風雨の独壇場、冗談ではなく、それに適応しないものは立ったまま溺れ死にかねないほどの雨であった。
 瞬華はその身により強く結界を張り、その雨から自身と、自身と同化している『亜神アオカグヒ』を守る。そしてその雨の中、瞬華は少しずつグレイ・グーへと接近していった。
 強すぎる雨は視界を遮り、敵の視認を困難にする。あまりに大きすぎるグレイ・グーはそれでも容易に猟兵側から視認できたが、人の大きさはその雨の中では豪雨に覆われ掻き消えてしまっていた。グレイ・グーがいかなる手段で外敵を認識しているかは不明だが、少なくとも豪雨を振らせていこう、その雨以上の妨害は瞬華には放たれなかった。その雨に隠れ、瞬華はゆっくりとグレイ・グー本体である竜巻へ狙いを定めていく。それは敵の降った雨を隠れ蓑とした、一つの環境への耐性であり、適応であった。
「アオカグヒさま、やっちゃって!」
 そして自身が飲み込まれないギリギリの位置まで近づいてから、アオカグヒを竜巻の中へ飛び込ませ、そのまま爆発させた。
 ばん! という強烈な破裂音と共に、青い閃光が竜巻を中から食い破る。さらに続けてばん! ばん! と同じ爆発が二度、竜巻の中から上がった。ナノマシンを焼却し、蹂躙しつくさんとするその爆発は近くにいれば味方さえ巻き込みそうな威力だったが、グレイ・グー自体の巨大さが幸いし、リカルドは攻撃できる間合いを保ちながらもその爆発の範囲外にいることができた。
「こりゃすごい……アルタイル! こっちもすごいとこ見せてやるっすよ!」
 そしてそのリカルドも、負けじと【牽牛星覚醒】で宇宙バイク『アルタイル』の搭載兵器を強化解放、ビーム砲とミサイルランチャーを爆発の範囲から逃れた場所へと叩き込んだ。それは兵装としての力だけでなく、リカルドから与えられた電撃を纏い、竜巻と雲の接点をなぎ払い、爆発させる。
 その衝撃と電撃はナノマシンの制御を狂わせ、雲と竜巻がまるでバグを起こしたゲーム画面でもあるかのように、分離し、曲がり、風雨の強弱をやたらに変えて自然ではありえない動きを見せた。
「苦しんでる、のかな?」
「まあ機械だし、バグることもあるでしょう。屋根なしでよけりゃ送るっすよ?」
 やはりグレイ・グーは自然現象などではない、ただの暴走する機械の塊なのだ。それを確信しながら、荒れる風雨から一旦身を守るべく、リカルドは瞬華をアルタイルに乗せ、その場を離れるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイク、トリガーと行動

こいつは……本当に自然を相手にするのか。
イザナギの覚悟を長柄に形成して対抗するが、何時もより力を出す。
衝撃波による範囲攻撃で吹き飛ばしによる広範囲を攻める。
(くそ、ナノマシンが相手だと本当に効いてるかも分らん)
もっと強く……力があれば……。
しかしいつ攻撃を受けたか分からない、そんな可能性も考えておかねば。
まさか服を分解とか……?

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイク、トリガーと行動

相手の正体分かってても勝てるかどうか分からないと思ってしまうわね。
亡き恋人から引き継いだリヴェンを呼び出してサイキック能力でなんとかなるか分からないけど。
ヤヌスに全力魔法と属性攻撃で属性の光刃を形成して状況に合わせて変えながら攻めるしか。
範囲攻撃と早業で攻めつつ限界突破とリミッター解除でさらに威力を高めれば。
相手の攻撃で服が分解とかありえそう。
リヴェン、あのハーミットって名乗る男の事知ってるのかしら?

絡み・アドリブOK


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイク、トリガーと行動

これって本当に倒せるのでしょうか。
雲を攻撃すればダメージ与えられるとの事なので攻めましょう。
能力強化をして少しでも楽になれればと。
でも相手がナノマシンだと通常の攻撃は……。
さっきとは違い、地形も変わっているので慎重に動かないと。
爆発物を撃ち込めば多少は役に立つかな?
えーと、ナノマシンって服とか分解とかしませんよね?
ハーミットさんに言われてハッキングをできるように。

絡み・アドリブOK


ジェイク・リー
※トリガー、アリス、エルーゼ、華澄と行動

まずは相手を知る事が先になる。
一撃入れて調べたら下がる。
(静動業一……禁じ手であるそれを使えば)
静動業一、発動させれば確かに大きいがリスクも……。
「あんたは……」
使おうと思ったが止められる。
魔力と元素を触媒に華澄と共にハッキングを試みる。

絡み・アドリブOK


トリガー・シックス
※ジェイク、アリス、エルーゼ、華澄と行動

「それを使うには早すぎますよ」
姿を現し、ジェイクを止める。
「私は……そうですね。ハーミットとでも」
黒衣に身を包み、顔も隠してそう名乗る。
「相手はナノマシンならハッキングで。魔力と元素を触媒に」
うまくいけば、ナノマシンを使って撃破できると考え指示を出す。

「なるほど、よく似ている」
リヴェンとエルーゼ、種族以外は瓜二つと言える容姿に納得する。
「私は彼ではありません……ただ、消滅する前に伝えて欲しいと」
植え付けられた人格の最期の頼み。
「作り物である俺を愛してくれてありがとう、と」

絡み・アドリブOK



 頭上に広がる巨大な雲。それを幾人かの猟兵が見上げているが、その表情は総じて明るいものではなかった。
「こいつは……本当に自然を相手にするのか」
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)はその今までとは勝手の違う相手の姿に、戦い方すら想像できないでいた。
「これって本当に倒せるのでしょうか」
 藤宮・華澄(戦医師・f17614)もまた、不安げに空を見上げる。その雲が自然の存在ではないという話は聞いていたが、それでも単純に攻撃して終わり、という相手ではないことに変わりはない。
「でも相手がナノマシンだと通常の攻撃は……」
「相手の正体分かってても勝てるかどうか分からないと思ってしまうわね」
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)も普段のマイペースな調子はなく、険しい表情で空を見つめている。自分の何十倍、下手をすれば何百倍にもなるかもしれないその大きさは、ただ存在しているだけで敵を圧倒するに十分な威圧感を持っていた。
 そんな中、ジェイク・リー(影の護り手・f24231)はただ黙ってハンドキャノン『ミゼラブル』を構え、竜巻に向けて銃弾を放った。着弾地点を吹き飛ばすほどの威力を持ったその弾はまっすぐ竜巻に向けて吸い込まれていき、その側面に穴をあける。その穴はまるで周囲の風が底を埋めるようにすぐ塞がれてしまうが、普通の竜巻ならそもそも開くはずのないものであり、眼前の相手が手の施せない相手ではない、と示すには十分な一手でもあった。
 それに続くよう、華澄も『ヴァナディース』を構えジェイクと並ぶ。
「雲を攻撃すればダメージ与えられるとの事なので攻めましょう。爆発物を撃ち込めば多少は役に立つかな?」
 そうして狙いをつけ、竜巻に向けて弾丸を発射。そこに込められていたのは通常の玉ではなく、着弾地点で弾ける炸裂弾だ。竜巻の中に潜り込んだ弾はその中で弾け、中から食い破るように竜巻に内側から無数の穴をあけた。その穴も同じように塞がりはするが、その速度は若干遅くなったようにも見える。
「とにかく、面で攻めるか。踊ろうか。どちらが倒れるか分からんが」
 アリスも『イザナギの覚悟』を長柄に形成し、それを大きく振るって衝撃波を放つ。その衝撃波も竜巻に叩きつけられ、広い範囲に抉るように傷をつけるが、やはりすぐに修復されてしまう。
(くそ、ナノマシンが相手だと本当に効いてるかも分らん)
 それを見ながらアリスは内心で歯噛みする。穴を他のナノマシンが埋めているのだから、消滅した分のダメージは与えているはず。しかし血を流すわけでもなく、感情や意志の表示をするわけでもない竜巻が相手とあっては、効果を実感できないのも無理のないことでもあった。
「リヴェン」
 そしてエルーゼの取る戦法は、得意とする自己強化ではなく、亡き恋人から引き継いだ霊リヴェンを呼ぶ技。サイキックを得意とする彼女との連携で、属性の光刃とした『ヤヌス』を振るってやはり雲と竜巻の面を攻めていく。それはやはり竜巻を抉り、着実にダメージを与えてはいるのだが、相手からの反応は乏しくどれほど効果が出ているのか正確には測りづらい。
「きゃっ!?」
 その時、華澄が突然小さく悲鳴を上げた。その声に仲間たちが彼女の方を見ると、華澄は自分の胸元を手で押さえている。その手の下からは、確かに服があったはずの場所から彼女の地肌がのぞいていた。
「まさか服を分解とか……?」
 その様子に、アリスも自分の体を確かめるように触る。するとやはり、本来服で覆われていた部分の肌が露出し、雨に濡れていた。
「台風までセクハラしてくるなんて……」
 エルーゼも自分の服が破れているのを確認し、呆れたように呟く。まるで冗談のような状況だが、ジェイクは自分の服も傷が入っていることを確認し、一つの危惧を抱いた。
 ナノマシンによる浸食で服を破壊する目的は、直接濡れる面積を増やしての体温と体力の奪取ではないか。それを裏付けるかのように、こちらが責める程に風雨はどんどん強くなっている。雨が降る程に強化されるグレイ・グーの特性を考えれば、これ以上戦いを引き延ばすのは得策とは言えそうもなかった。
(静動業一……禁じ手であるそれを使えば)
 リスクは高いが、この状況を覆し得る禁じ手。その使用をジェイクは考える。それぞれの攻撃が効いているかもわからないこの状況で時間もかけられなくなったとあれば、たとえ危険を冒してでも早期に戦いを終わらせるしかない。
 ジェイクは覚悟を決め、一歩前へと進み出た。
「それを使うには早すぎますよ」
 その前に、一人の黒衣の男が立ちふさがった。
 分厚い黒衣に顔まで隠し、さらには豪雨に視界まで塞がれその顔はまるで分らない。彼はトリガー・シックス(ハーミット・f13153)という名の猟兵だが、それを名乗ることはしない。
「あんたは……」
「私は……そうですね。ハーミットとでも」
 ジェイクの問いに、トリガー……もといハーミットはそう答え、ジェイクと華澄の二人を交互に見た。
「相手はナノマシンならハッキングで。魔力と元素を触媒に」
 突如現れ、指示を出す男。本来なら聞きたいことも多くあろうし、そもそも従う義理もない。そのはずなのだが、なぜかその男の言葉には逆らい難い説得力がある。
 その言葉に従い、二人は自身の魔力を元素を操作し大きく展開、竜巻とそれをつなげることで、魔術的なハッキングをグレイ・グーに対して仕掛けた。
 以前もアックス&ウィザーズで同じようなことをジェイク単独で行ったが、今回は二人いる上、魔術的な防御はほぼ無いに等しいアポカリプスヘル。その難易度は雲泥の差だ。あとは繋がった部分から、機会にするように情報書き換えを行う。こちらは華澄が得意とする分野だ。
 そうして雨が弱まっているうちに、ハーミットはエルーゼと、その傍らにいるリヴェンへと歩み寄る。
「なるほど、よく似ている」
 確かに、エルーゼとリヴェンは種族の差こそあれ、その外観はよく似ていた。だが、エルーゼは少なくとも今目の前にいる黒衣の男に覚えはない。
「さて、台風の目も見えてきたようだ……終わらせよう」
 ハーミットはそう言って、二つの柄から光刃を出し、竜巻へと切りかかった。
 それは周囲のものを無差別に切り裂く苛烈な斬撃であったが、巨大なグレイ・グーにはその無差別さがちょうどいい。その斬撃は竜巻の下部を消し飛ばし、地上から浮いた状態という奇妙な形状へと変えていた。そしてその消えた下部は、もう修復されない。
「凄い技だな……それに二人のハッキングも効いているか。私ももっと強く……力があれば……」
 ナノマシンの修復能力が阻害されていることを確認し、アリスは再びイザナギの覚悟を振るう。その衝撃波は竜巻の残る上部に当たり、跡形もなく吹き飛ばした。竜巻が消えるとともに、周囲にあれほど吹き付けていた風が止む。残るは上から滝のように降り注ぐ雨、そしてその発生源である雲だ。
「リヴェン、手伝いよろしくね」
 そして放たれる、エルーゼの限界を突破し、内在するすべての魔力をのせた全力の魔法とリヴェンのアークビーム。それは上空の雲へと吸い込まれ、数度小さな爆発を起こす。そして一瞬後、その爆発が呼び水となったように、エルーゼの奥った魔力全てが横方法へ一斉に爆発。その衝撃が雲と、それを形成していたナノマシンの全てを吹き飛ばした。
 巨大な雲を散らす衝撃が収まった時、そこには雲一つない晴天と、強烈な夏の太陽がアポカリプスヘルを照らしていた。
 全ての力を使ったエルーゼが、気の抜けたようにその場に座り込んだ。リヴェンを維持する力もなくなったか、彼女の姿も少しずつ薄くなっていく。その彼女に、ハーミットが再び歩み寄る。
「私は彼ではありません……ただ、消滅する前に伝えて欲しいと」
 それは植え付けられた人格の最期の頼み。
「作り物である俺を愛してくれてありがとう、と」
 それだけ告げて、ハーミットは彼女から離れた。
「リヴェン、あのハーミットって名乗る男の事知ってるのかしら?」
 その問いに、リヴェンは答えず消えた。
 あとはただアポカリプスヘルの太陽が、濡れた猟兵たちを照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アポカリプスで農業を』

POW   :    力仕事を担当する

SPD   :    丁寧な仕事を心掛ける

WIZ   :    技術指導などを行う

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ありがとう、ここからでも見えていたよ! ここを守るために戦ってくれていたんだろう!?」
 無事を確認するべく拠点へ向かった猟兵たちを、リーダーである男が出迎えた。その後ろでは、住人たちがトウモロコシ畑にかぶせていたビニールシートやトタン屋根を外している。どうやら猟兵たちが戦っている間、彼らは彼らなりに作物を守っていたらしい。
 オブリビオンの危険はもう去ったが、これから始まるのは彼らにとって初めての収穫。喜びも大きいが、技術も知識も足りていない彼らにとってその苦労はどれほどとなるだろうか。
 どうせ乗り掛かった舟だ、収穫まで手伝ってしまってもどこからも文句はくるまい。
 人手はいくらあっても困らないだろうし、農業に関する知識があるのならばそれを伝えてもいい。知識もなく力仕事も苦手であっても、食事の炊き出しや住民との交流などできることはいくらでもある。
 さあ、不毛の大地に実った恵みを分かち合おう!
尾守・夜野
一応知識はあるから収穫手伝いに回ろうか

…俺の農地選択UCで種作ったり作業してるから
実際に体動かすのはいつぐらいぶりかね?
「あー…それはまだ時期じゃねぇぞ?
この色みて判断すんだよ
んー…多分これは種向きだな
全部食う訳じゃねぇんだろ?
なら次回のために種として取っときな
そうだな…だいたい1~2か月乾燥させな」

「次に植えてぇ物とかあるのか?この残った茎とか良い肥料になるが…さすがに時間がかかるぞ?」
根とかかなり深いが…
抜く時耕せていいんじゃね?
農具ありゃ楽なんだろうが…多分ないから
UC+苦離捌で蔓系の何かで作成
配布
斬り倒した後畑横に穴掘って埋めて肥料になるように
「ひげも食えるから捨てるなよ?」



 迫る災厄を打ち払い、拠点とトウモロコシ畑を守り切った猟兵たち。そしてここからは、その守り切った恵みを収穫する時間だ。
「一応知識はあるから収穫手伝いに回ろうか」
 尾守・夜野(墓守・f05352)は村づくりで培った経験を活かし、手際よくトウモロコシを収穫していく。根元を強く抑え、下に引っ張るように素早く折り取るその動きを、手に鉈や斧を持っていた住人たちは驚きの表情で見ていた。
「道具はいらないのか?」
「多少力加減がいるけど、慣れれば手で十分だな。道具を使うにしたってハサミで根元を切るだけでいい。とりあえずそんなデカい得物はいらねぇよ」
 適切な収穫の仕方を説明し、夜野は次々とトウモロコシを収穫していく。そしてそれを真似するように他の住人も手、あるいは小さめの刃物で収穫をしていくが、ある住人が一つのトウモロコシに手をかけた瞬間、夜野はそれに待ったをかける。
「あー……それはまだ時期じゃねぇぞ? この色みて判断すんだよ」
 夜野は住人が手をかけたそのトウモロコシの、緑色の髭を指さした。夜野が収穫していたトウモロコシは全て髭が枯れたような焦げ茶色をしている。ここの色が収穫の目安になるとの説明に、住人たちは収穫していいトウモロコシを選別。それを収穫していった。
「んー……多分これは種向きだな。全部食う訳じゃねぇんだろ? なら次回のために種として取っときな。そうだな…だいたい1~2か月乾燥させな」
 実経験に基づいて次々と出てくる夜野の知識に、住人たちは逐一感心し、教えられたことを実践していく。その尊敬のまなざしは決して居心地の悪いものではなかったが、夜野はこっそりと心の中で呟いた。
(……俺の農地UCで種作ったり作業してるから、実際に体動かすのはいつぐらいぶりかね?)
 だが、それでもその動きは錆びついているわけではなく、知識も間違ってはいない。その指導の元トウモロコシの多くが収穫され、後には茎だけが残っていた。
「次に植えてぇ物とかあるのか? この残った茎とか良い肥料になるが……さすがに時間がかかるぞ?」
 種も苗も十分にあるわけではないので、次に植えられるのもトウモロコシになるだろう。だが、茎が肥料になるなら、次はきっとより多く、味も良いものが取れるはず。住人が夜野にそう答えると、夜野は残った茎を見回して少し考える。
「根とかかなり深いが……抜く時耕せていいんじゃね? 農具ありゃ楽なんだろうが、多分ないだろ」
 その通り、住人たちはきちんとした農具など持っておらず、有り合わせのものをそれら行く使っているだけだ。ないものは基本的にはどうしようもない。だが、そう言うときこそ猟兵の、そしてユーベルコードの出番である。
「よし、今回は特別だ。お前が刈り取られるんだよ! さぁ! 収穫祭の始まりだ!」
 ユーベルコード【【襲】穫祭】の力で、茎の根元に無数の蔓を生やした植物を生やす。夜野は根に深く絡んだそれを住人たちに一斉に引かせ、茎を根こそぎ切り倒させた。さらにそれから指示を出し、根を切り取って畑の横に埋めて肥料とさせた。
「ひげも食えるから捨てるなよ? ああ、それと、こいつは土産だ。空いてる土地にでも植えておけ」
 最後に夜野はいくつかの種子を住人に手渡した。それはユーベルコードで生まれた植物が元に戻るとき、残していった種だ。何の種かは夜野自身にも分からないが、畑から生まれたのだから食べられる実がなるだろうし、アポカリプスヘルの地質に適応した特性を備えているはずなので発芽する可能性も高い。
 あるいはこの芽が出た時に、それが何かを確認して改めて育て方を伝えるのもいいかもしれない。
 そう思いながら夜野は、改めて自分の興している村とこの拠点を重ねて見るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

春霞・遙
せっかくの恵みですし是非焼きとうもろこしでも味見したいです。
採れたてのお野菜はなんでも美味しいですよね。茹でたり焼いたりだけではなくてバターコーンにかき揚げに、とうもろこしごはんも美味しいです。けどここでは物資の無駄遣いは控えた方が良いかな。

今日食べない分は保存用に乾燥トウモロコシでも作りましょう。先に茹でたものと生のもの、どちらも作っておくといろいろな用途に使えて良いかと思います。
例えば茹でておけばそのままサラダやスープの具になりますし、そのまま乾燥させたものはポップコーンとかコーンミールにしてフレークやパンにしたりできるそうです。

これからもっと農業が発展すると良いですね。


リカルド・マスケラス
「こーゆー時こそアルタイルの真価が発揮されるっすよ」
【念動力】で大量に農具を動かし一気に収穫したりして宇宙バイクの【怪力】で荷台を引いてゆく。パワー重視型バイクの面目躍如っすよ
人手が足りなければUCでカバー

後は【料理】っすね
「トウモロコシはいろいろできるっすからね~」
宇宙バイクで『簡易キッチンセット』を引っ張ってきて、醤油を塗って焼いたり。あとはトウモロコシ粉でトルティーヤ生地を作って適当な食材を挟んでタコスとかっすかね
「おいしいものを食べてる時の笑顔はやっぱいいものっすね」
そのうちコーン油とかが十分取れるようになれば、揚げ物に炒め物、料理のレパートリーがさらに増えそうなが楽しみっすね



 猟兵と住人たちの働きにより、多くのトウモロコシが収穫された。トウモロコシは取れたその瞬間が一番おいしいと言われるが、全てをそうやって食べるわけにはいかない。味を犠牲にしてでも保存しなければならない分もあるし、色々な料理も味わいたい。その為には、まず拠点の内部へとトウモロコシを運んでいく必要があった。
「こーゆー時こそアルタイルの真価が発揮されるっすよ」
 張り切ってそれを運ぶのは、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。大型の宇宙バイク『アルタイル』に荷台を取り付け、そこに収穫したトウモロコシを念動力で乗せて一気に運んでいく。相当な重量なはずの荷台を引いても全くスピードが落ちずバランスも崩れないのは、パワー重視型バイクの面目躍如といったところだろう。
 一度で荷台に乗り切れない分は、【忍法・霧影分身術】で召喚した分身に運ばせる。何しろ霧で作った体なのだ、疲れることもないし、いくらこき使っても文句を言われることもない。
 そうして運んだ先には、春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が七輪と網を用意して待っていた。七輪にはすでに火が入れられ、その種火は贅沢なことに戦いにも使ったユーベルコード【悪霊祓いのまじない】の火だ。
 その火を使って何を作るか。それはもう遙の心の中では決まっていた。
「せっかくの恵みですし是非焼きとうもろこしでも味見したいです」
 その要望通り、彼女のもとに運ばれたトウモロコシが早速網の上に乗せられる。肉とは違いすぐには変化が起きないが、じりじりと火で炙られるうち、少しずつ粒に焼き目がついていく。
「トウモロコシはいろいろできるっすからね~」
 運搬を終えたリカルドも七輪の横につき、焼けていく様を見ながら霧の分身に醤油を塗らせた。とたんにじゅうじゅうと音が鳴り、醤油の焦げる匂いがあたりに漂い始める。抗いがたい魅力を放つその臭いに、拠点の住人達も作業の手を止め、つい次々と群がってきてしまう。
 やがて十分に焼けたところで、遙をはじめ数人がトウモロコシを手に取った。
「それでは、いただきましょう!」
 遙の声と共に、全員が一斉に焼きとうもろこしにかぶりついた。とたんにコーンの甘さと醤油のしょっぱさが口の中に広がる。コゲのわずかな苦みも混じるが、それもまたアクセントの一つだ。やせた土地で取れた質の良くない作物とはいえ、全員が命がけで育て、守った実りだ。おいしくないはずがない。
 その味と、苦労が報われたという達成感に、その場の誰もが笑顔になった。
「おいしいものを食べてる時の笑顔はやっぱいいものっすね」
 憑依先の男の肉体にトウモロコシを食べさせながら、リカルドは心の底からそう思った。
「採れたてのお野菜はなんでも美味しいですよね。茹でたり焼いたりだけではなくてバターコーンにかき揚げに、とうもろこしごはんも美味しいです」
「メイン食材だけじゃなく、いろんな原料にもできるっすね。たとえばほら、こんなのとか」
 そう言ってリカルドは荷台を外したアルタイルで代わりに引っ張って持ってきた『簡易キッチンセット』でトルティーヤを作り、適当な具材を挟んで即席のタコスを作り上げた。
 次々と出てくる予想以上のトウモロコシの使い道に、拠点住人達も目を輝かせてその作り方を学んでいく。
「今日食べない分は保存用に乾燥トウモロコシでも作りましょう。先に茹でたものと生のもの、どちらも作っておくといろいろな用途に使えて良いかと思います」
「そうっすね、トルティーヤもしっかり乾燥させて粉にしたもので作った方がよりおいしくできますし」
「茹でておけばそのままサラダやスープの具になりますし、そのまま乾燥させたものはポップコーンとかコーンミールにしてフレークやパンにしたりできるそうです。ポップコーンはお菓子ですから、子どもたちのおやつにもできますね」
 お菓子、という言葉に子どもたちが喜びの声を上げる。何しろこの世界では子どもどころか大人にとってすら、お菓子は貴重品なのだ。それを自分たちの拠点で生産できるとなれば、それは子どもたちにとってはまさに夢のような話と言えるだろう。
「それにそのうちコーン油とかが十分取れるようになれば、揚げ物に炒め物、料理のレパートリーがさらに増えそうなが楽しみっすね」
「他にも収穫量が増えればヤングコーンとしての収穫や、コーンスターチなども……ちょっと皮算用が過ぎますかね?」
 次々出てくるトウモロコシの使い道に、今度は大人の住人達まで目を輝かせ始める。確かに少し夢を見すぎ、欲の出しすぎなのかもしれないが、欲があるから前に進むことができるし、夢や希望だって欲の一種なのだ。
 いつかそれが現実の恵みとしてこの地を埋め尽くすことを望みながら、その大きな夢の小さな最初の一歩である焼きとうもろこしを、二人はもう一口齧るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄、トリガーと行動

トウモロコシだけでは今後の不安は拭えねえ。
もう少し種類が必要になりそうだ。
ジャガイモならこんな土地でもなんとかなるだろうし、食糧難になる可能性も低いだろ。
一応、やり方は知っているから教えられる範囲で何とかするか。

絡み・アドリブOK


トリガー・シックス
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

「薬草なんかも植えておけば役に立つでしょう」
解毒作用のある紫蘇やよもぎ等の種を植える。
育つかは分からないが、薬用の木も植えてみる。
「胡麻は種子をすれば油ができます。これはアーユルヴェーダでも用いられるオイルマッサージにも用いられます」
様々な植物の知識と薬学を華澄と共に教える。

絡み・アドリブOK


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイク、トリガーと行動

えーと、ハーミットさんと一緒に色々と。
怪我や病気になった時の方法を教えますね。
物資が乏しいので、薬草による治療法を教えます。
聞いていると伝統医学をしてるのかなと。
マッサージなんかもインド形式のものが主みたいですし。
でも教えれば農作業なんかで疲れている人を癒したり病気の人を治したりできそう。

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイク、トリガーと行動

あのハーミットって人、初めて会った気がしないのよね。
なにか知ってるみたいだけど、はぐらかされるだけだし。
まあ今は農作業の手伝いを優先していかないとね。
あれだけ大雨降ったから植えるのは難しいかも?
まあ、属性攻撃を応用して余計な水分を抜いてしまえば種を植えられるでしょ。
少しでも広く水分を抜かないとね。

絡み・アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイク、トリガーと行動

農作業を行い手助けをする。
だがあの戦いで無力さを思い知らされてしまった。
ハーミットという男に声をかけられる。向こうは終わったようだ。
ふと悩みを口にしてしまう。会って間もないはずなのに。
そこで教えられたのは武器と一体化、武器の主になるというものだった。
まだ分からないが、いつかは……。
何というか、この男は温厚で慈悲深い、インドの神にいるヴィシュヌではと思ってしまった。

絡み・アドリブOK



 一通りの収穫を終え、農地の大部分が更地へと戻った。だが作物はなくなっても、土地は残る。再び適切に耕し、種を植えれば何度でも作物は実るのだ。
「トウモロコシだけでは今後の不安は拭えねえ。もう少し種類が必要になりそうだ」
 ジェイク・リー(影の護り手・f24231)は空いた畑をみてそう考える。一つの品種だけでは一つの災害で全滅してしまう恐れがある。そう言ったことを避けるためにも、複数の種類を育てておけば万一の際の保険にもなる。幸い土地自体はいくらでもあるのだ。スペースそのものには困らない。
「なら薬草なんかも植えておけば役に立つでしょう」
 その言葉を受けてそう言うのはトリガー・シックス(ハーミット・f13153)……今はハーミットと名乗る男だ。危険の絶えないアポカリプスヘルの地、食用以外にも使える植物を育てるのは決して無駄ではないだろう。
 もちろんただ植えるだけで生えてくるほど楽な話ではない。いくら土地があるとは言っても、そのほとんどは未開発の荒れた土地だ。まずは土づくりから始めなければいけない。生きるのに精いっぱいなここの住人たちがそこまで手が回るかと言えば甚だ怪しいものだ。だが、そんな時こそ猟兵の出番となる。
「あれだけ大雨降ったから植えるのは難しいかも? まあ、属性攻撃を応用して余計な水分を抜いてしまえば種を植えられるでしょ」
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)はあたりの濡れた大地を見渡し、そう考えた。大雨からの水の氾濫は確かに災害だが、それは土をかき混ぜ、大地を肥やす一面もある。グレイ・グーはオブリビオンでありナノマシンの集合体ではあったが、降らせた雨は本物だ。土から適度に水を抜き、その上で整えれば、乾き切った大地に比べればずっと農業に適した土地へと作り替えることができるだろう。
 そうと決まれば、まずは土地を整えるところからだ。その場にいた猟兵たちは、雨によって水浸しになったと地に散らばり、一斉にそこを整え始めた。
 まずはエルーゼが『ヤヌス』を地面に突き立て、そこを中心に水の属性の力を展開させる。水そのものを放出するのではなく、土に含まれた水を動かし、余分な水分を土から抜いていく。土の中を移動した水は拠点の脇に流れ出し、そこに溜まっていった。土を通った水なのですぐに飲めるようなものではないが、自由に使える水分というだけでありがたい。この拠点は元々農業を行うだけあり、アポカリプスヘルとしては水に恵まれている方ではあったが、この世界で水はいくらあっても困るものではないだろう。
 さらにその土に、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が『イザナギの覚悟』を突き立てた。そこから放つのは土の属性攻撃。それは湿った大地をぼこぼこと波打たせ、その内部を拡販していく。鍬での手作業でやるよりずっと早く土が耕されていき、種を植えるに適した柔らかい土へと変わっていった。
 だが、それを行うアリスの表情はいま一つさえない。何かを考えるようにぼーっとした表情で、波打つ土を見るともなしに眺めていた。
「どうかしましたか?」
 藤宮・華澄(戦医師・f17614)がその様子を見て声をかけるが、聞こえていないのかアリスはそれにも返事をしない。
 彼女らしからぬ様子を訝りながらも、華澄はアリスの傍から離れ、ハーミットとジェイクの方へと歩み寄った。
「土はだできたみたいですけど、何を植えるんですか?」
「俺はこいつだ。今は少し時期とずれてるが、こんな土地でもなんとかなるだろうし、食糧難になる可能性も低いだろ」
 そう言ってジェイクが見せたのはジャガイモの種芋。発芽率が高く左程水のいらないジャガイモは、初心者にも優しい作物としても有名だ。本来は春に植えて夏に収穫するものだが、夏に植えて秋に収穫する裏作もできる作物でもある。そう言う形に植えればメインの作物であるトウモロコシと時期も被らず、続けて収穫して食料も確保できるだろう。
 一方でハーミットが取り出すのは、宣言通りに紫蘇やヨモギなど、薬用植物の種だ。他の作物と食い合わないよう場所を選びながら、ハーミットはそれを植えていった。
「全て育つかは分かりませんがね。それと育っても使えなければ意味がない。ちょっと私と一緒にいいですか?」
 ハーミットはそう言って、華澄を伴って住人たちのもとへと行く。そうして今植えた植物の実や葉など薬効のある部分を取り出し、住人たちにそれを見せた。
「胡麻は種子をすれば油ができます。これはアーユルヴェーダでも用いられるオイルマッサージにも用いられます」
 そう言いながら、農作業で疲れているだろう一人の住人にオイルを塗り、マッサージを施すハーミット。見るからに気持ちよさそうにする住人の姿に、他の者も我も我もとハーミットの前に並ぶ。
「伝統医学とか、そういうのをなさっているんですね」
 華澄はハーミットの手際の良さとその知識に、そう当たりをつけ聞いてみた。だがハーミットはそれには答えず、華澄に薬の使い方を簡単に教えると、それを住人にも教えるよう言ってからその場から離れた。
 そして次にハーミットが向かったのは、今もぼーっと立ち尽くすアリスの所だ。
「何かお悩みでも?」
 突然かけられた声に、アリスははっと我に返る。
「あ、いや……私もまだまだだ、と思ってな」
 先の二戦で、どうにも思うような結果を出せなかったアリス。その無力さをかみしめていたことを、ぽつぽつとハーミットに話す。
「ふむ……私の知るところで良ければ、少しお教えしましょう」
 そう言ってハーミットがアリスに教えたのは、武器と一体化し、武器の主となるという使い方だ。手に持つ道具ではなく自身の体の延長ととらえ自由に動かすこと。机上に置ける人馬一体と同じような感覚を武器においても持つと、ハーミットはアリスに教えた。
 その知識と温厚で丁寧な態度に、アリスは深く感心し、彼にある印象を抱く。
(慈悲深い、インドの神にいるヴィシュヌでは……)
 ブラフマー、シヴァと並ぶインドの最高神。その中でも最上位に位置づけられることもあり、始まりであり終わりであり中である神。強き英雄であり破壊からの守護者でもあるその神を、思わず目の前の男に重ねてしまうアリス。
 そしてその様子を、エルーゼもまた遠くから見つめていた。
「あのハーミットって人、初めて会った気がしないのよね。なにか知ってるみたいだけど、はぐらかされるだけだし」
 グレイ・グーとの戦いの時から感じていた彼への違和感。それは決して否定的な感情ではないが、それでも正体が分からないのはもどかしい。
 作業の合間などに本人に何度か聞いては見たが、はっきりした答えは返ってこなかった。あるいは彼女なら何か知っているのでは……そう思い、エルーゼは自身のうちに宿るリヴェンに心の中で問うてみた。もちろん答えはないが、いつかは聞けるのだろうか。あるいはもしかしたら、知らない方がいい……それが彼のあの態度であり、答えなのだろうか。
「まあ今は農作業の手伝いを優先していかないとね。時間のかかることはその後でもいいでしょ」
 そう考えを切り替え、ジェイクの行っているジャガイモの植え付けを手伝い始めるエルーゼ。
 夏にしてはさわやかな太陽が、様々な思いと、新しい恵みの種を宿したアポカリプスヘルの大地を照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月21日


挿絵イラスト