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月光満ちたるマヨイガにて(作者 寅杜柳
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●月光を喰らうために
 地球と骸の海の狭間に在るカクリヨファンタズム。
 どことなく懐かしい日本家屋を寄せ集めたような迷宮を月の光がやわらかく照らす。
 だんだんとその光は強くなり、迷宮を中心に周辺地域へと広がってゆく。
 迷宮――マヨイガの中からおかしな声が次々に響く。
 それは例えば聞いた事もないようなマナー、例えばあやかしメダルの味の識別法、例えば妖怪煙がどこから生ずるのか。大してとりとめもない疑問やルールを大真面目に、或いは馬鹿馬鹿しい調子でバラバラに主張する。
 月光が導くのは奇妙な狂気。その光をカクリヨファンタズムに大量発生させた元凶は、マヨイガのどこかでただ一匹面白おかしく眺めつつ、その身に狂気の光を浴びるのであった。

「予知を得た。カクリヨファンタズムの事件となる」
 重々しい声で水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)が集まった猟兵達に告げる。
「知っての通り、カクリヨファンタズムはいつも滅びの危機に晒されておる。今回の事件は一体のオブリビオンにより月光が溢れだし、それに覆われた幽世は狂気の世界となってしまっている上、無数の骸魂が妖怪達をオブリビオンに変えてしまっている。一刻も早く元凶を退治して欲しいのだ」
 そして龍神は彼の得た予知について語り始める。
「異変の中心となっている場所はマヨイガ――複雑に合体し、立体的な構造の広大な迷宮と化した日本家屋だ。黒幕の位置は迷宮の中心付近と見えたのだが、そこまでの道筋までは複雑で予知しきれなかった。しかしこのマヨイガには様々な妖怪が棲みついている。彼らならば中心への道筋も知っているだろう」
 だが、と多摘は言葉を切る。
「しかし、マヨイガ内の妖怪達は月光に覆われて狂気に陥ってしまっている。狂気の内容については個体差があるが……基本的に強い月光に覆われているほど話が通じないようだ。故に包んでいる月光が薄い妖怪を探し、言葉巧みにルートを聞き出すか、案内させるのが黒幕への近道となるだろう。因みに猟兵達には作用せず、光も視界を塞ぐほどでもないようだ」
 そしてある程度中心に近づいたら、骸魂に憑りつかれオブリビオンと化した妖怪達が襲い掛かってくるだろう、と龍神は言う。
「戦闘は基本的にマヨイガ内、多くの日本家屋が合体して立体的な構造となっている為上手く利用できれば有利に戦うことも出来るだろう。そしてここのオブリビオンに変えられた妖怪達は、倒せば救出できる。だから妖怪を殺してしまう事を恐れる必要はない」
 どうか、頼んだ。そう締め括ると、龍神はグリモアを輝かせ、猟兵達をマヨイガへと転送したのであった。





第3章 ボス戦 『金秘華猫』

POW ●にゃーんにゃん♪
攻撃が命中した対象に【徐々に体が猫化する呪詛】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【金秘華猫に好意を寄せてしまう呪詛】による追加攻撃を与え続ける。
SPD ●月を食らう猫
戦闘中に食べた【月の光】の量と質に応じて【更に妖艶な姿になり、一時的に無敵になって】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ ●化け猫の悪戯
【面をかぶることで、周囲の猟兵や妖怪の姿】に変身し、武器「【不意打ちの爪や牙】」の威力増強と、【バレた時は猫の逃げ足】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●月下の金猫
 そして猟兵達が横穴を通り走り続け、辿り着いたのは空のよく見えるマヨイガの頂上。
 平たく広い展望台のような作りのその場所は、このマヨイガで月にもっとも近い場所。
 月の光はまぶしい位にマヨイガ全体を覆っていて、至る所で騒がしい声が響いている。
 そんな様子を見てにゃーにゃー笑う、金色の猫の妖怪が一匹いた。
 キセルを持ち、お多福の面を頭にかけ服を微妙に着崩した姿はいかにも悪戯を好むよう。
 ――月の精、月光を浴びて化け猫となった妖猫。
 彼女がマヨイガを月光で満たし、カタストロフのような状況を齎した元凶だ。
『にゃーん? もうきちゃったのかにゃー』
 どこか気だるげに聞こえる声だが、その姿に隙はない。
『もっと光を浴びて力を高めておきたかったんだけどにゃー……今ここで返り討ちにしちゃえばもっと浴びれるにゃ!』
 緩んだ雰囲気がその言葉と共に刺すような殺意に引き締まる。
 金秘華猫を倒し、骸魂を剥がせばこの月の光の異変も収まるだろう。
 猟兵達は各々戦闘態勢を取り、そして決戦が始まった。
陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


火土金水・明
「この方が今回の事件の元凶ですか、こちらも全力で迎え撃ちましょう。」「もちろん、取り込まれた方も助け出します。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の疾風】で、『金秘華猫』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【呪詛耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも骸魂にダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


「この方が今回の事件の元凶ですか、こちらも全力で迎え撃ちましょう」
 屋上へ向かう際に合流した猟兵の一人、黒一色の火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は金秘華猫へと銀に輝く剣を向ける。
 このマヨイガには月の狂気に汚染された妖怪達が数多く居て、欲望のブレーキが失われたような状態だった。
 その元凶であるこの金秘華猫も言動から推測するにそれに似たような状態になっているのだろう。
 世界に破滅を齎す存在にされてしまったこの妖怪、骸魂を引き剥がしさえすれば異変は収束する。
「もちろん、取り込まれた方も助け出します」
『やらせはしないにゃ!』
 そう言って最初の標的を明に見定めた金秘華猫は猫の手指の爪を伸ばし、明に飛び込もうとする。
 しかし初動は明の方が早い。動き出す前に一気に踏み込んだ明が銀の剣を真っすぐに妖猫に突き込もうとする。慌ててそれを防ごうと腕を薙いで振り払うとするが、手応えはなくたたらを踏んでしまう。
「残念、それは残像です」
 その腕の届かないギリギリの位置で急停止していたウィザードの女の残像、空振りさせて隙を見せた金秘華猫にその銀の剣に魔力を籠め一閃。
 刃による外傷はない。
『ぎにゃー! 痛いにゃー!』
 しかし金秘華猫は思い切り苦痛に顔を歪め叫ぶ。その銀の剣は骸魂のみにダメージを与えるユーベルコード、妖怪を助け出す為の一撃だった。
 反撃する金秘華猫だったがその前に明は距離を取っている。呪詛をかけ延々と心を縛り続けるユーベルコードも最初の一撃が当たらねば意味はない。
 当たっていたとしてもそれらに対する抵抗力のある彼女はそれなりに耐えられたのだろうけれども。
 そして入れ替わりに、屋上への入り口から飛び出してきた陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)が薙刀に炎を纏わせ斬りかかる。
 このマヨイガの中の多くの妖怪達、彼らを狂気に冒す原因を作ったこのオブリビオンは間違いなく悪い奴、だからぶっ飛ばす。
 シンプルな思考の彼女は一度動き出せばとても早い。
『新手かにゃ!』
 痛む体を無理矢理動かしながら金秘華猫はその腕で薙刀を防ぐ。月の魔力に満たされた月光を纏う腕は、炎に燃やされる事無くギリギリと押し合い――そして弾く。
 月の精を受けているだけ強化されている金秘華猫、弾き飛ばした一瞬に軽いひっかき傷を柳火に刻む。
 それはユーベルコードの発動条件、徐々に柳火の体が猫化していき、同時に金秘華猫への好意が心の奥に植え付けられ増幅されてしまう。
 このままではまずい、そう思考した柳火は懐より携帯食『にゃんジュール』を取り出しじゅるじゅると摂取する。
 ――呪詛を受けてすぐとはいえ、まだ動けるのは元が猫の性質に近いからなのかもしれないけれど、それは置いておく
「エネルギーチャージといこうじゃねえか!」
 そして屍塊転燃を発動。摂取した屍肉――加工食品でも大丈夫なそれにより全身に漲る魔力は金秘華猫の呪詛を一時的に抑え込む事に成功、呪詛により増幅されていく好意にどうしようもなくなる前に薙刀の全力の一撃を振るう。
 その速度は最初の一撃とはまるで別人、金秘華猫でも防ぎ切れず、その胴に炎の一閃を見舞う。
『熱いにゃー!』
 しかし妖猫が唐突に叫ぶ。最初の交錯の際に柳火は纏う護符装束の一部を解いて炎の力を込めた護符を作り出し周囲にばら撒いていたのだ。
 周囲に展開された護符は火の力を高め、この薙刀での一撃をより強烈なものとしていた。
 さらに炎で金秘華猫周囲の視界が悪くなった瞬間、明が飛び込み銀の剣を二連で振るう。
(「少しでも骸魂にダメージを与えて次の方に」)
 特殊な魔力を籠めた銀の剣の一撃はじわじわと骸魂にダメージを与えていく。悲鳴を上げる金秘華猫のレンジから即座に二人は離脱。
 こうして金秘華猫へのファーストアタックは見事に決まったのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

早臣・煉夜(サポート)
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね

妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
それらを気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
使えそうならアルジャーノンエフェクト
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです

僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです

勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね

なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です


春田・木蓮
うへえ、すっごい金ぴか……。
春田の趣味ではないなぁ。
さっさと骸魂剥がしちゃおっか。

【骸合体「がしゃ髑髏」】で腹ペコがしゃ髑髏と合体するよ。
ここにくる前にお腹いっぱいにしてきたから、ガンガン戦っちゃう
あっちも月の光を食べてお腹いっぱいみたいだね。じゃあ手加減なしで。
まあ、春田はもともと力を抑えられないタイプなんだけど!

トゲトゲの鬼棍棒で殴っちゃうと痛いかな?なぁんだ、大丈夫そう?
痛くなるまでどんどん殴っちゃうよ。あとで恨まないでね
こんな怪しいことやめて、また人を驚かして暮らしてこうよー。絶対その方が楽しいよ〜
月の光なんて不味そうだしさ
春田が眠る前に終わらせちゃおっか

アドリブ、連携歓迎
一人称:春田


 先に攻めた猟兵が後退し、金秘華猫を包んでいた炎が消える。柔らかな光は屋上を照らし、炎に焦げた毛並を尚金色に輝かせる。
(「うへえ、すっごい金ぴか……春田の趣味ではないなぁ」)
 そんな様子をげんなりしつつ見つめるのは木蓮。少々華美すぎる金秘華猫の姿は、彼には少々合わないようだ。
「こんな怪しいことやめて、また人を驚かして暮らしてこうよー。絶対その方が楽しいよ〜」
 月の光なんて不味そうだしさ、と金秘華猫に木蓮が言葉をかける。
『黙れにゃ! みーんなおかしくなっちゃってる方がおどかしてて楽しいんだにゃ!』
 けれど妖猫はその言葉を強く拒絶しつつ、やわらかな月光を浴びた金の毛並がより輝きを増す。
 傾国の美――おそろしく妖艶な姿となった金秘華猫は全身で光を浴びるようにマヨイガ屋上の戦場を駆け回り猟兵達を切り崩さんとする。
 これまでの住人のように、いやそれ以上に月光を受けているこの猫は話が通じる相手ではない。こういう時にはさっさと骸魂を剥がし元の姿に戻してしまうに限る、そう考える木蓮と彼の近くに居合わせた早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)は考える。
 妖猫がまずは狙ったのは煉夜。それを察知した妖刀を構えた煉夜は飛び込んできた金秘華猫の一撃を受け流しつつ、勢いを殺さぬように返した刀を妖猫の体に滑らせる。
 しかし魔力を帯びた金の毛並は妙に抵抗が強い。刃を滑らせたものの傷は浅い、返ってきた手応えに煉夜は一旦距離を取りながらユーベルコードを起動する。
 妖刀の禍々しい怨念が彼の全身に拡がり纏わりつくと、煉夜は金秘華猫に切り込んでいく。
 怨念により強化された彼の速度は金秘華猫以上、代償として寿命が削れてしまうけれどもそんな事は気にならない。
 振るわれる爪、それを掠める程にギリギリの回避でやり過ごしつつその懐に飛び込み、妖刀を振り抜く。同時に発生した衝撃波で大きく弾き飛ばされたその先には、鬼棍棒を構えた木蓮。
「それじゃあ、いただきまーす」
 その言葉は木蓮のユーベルコードを起動する合図、腹ぺこがしゃ髑髏の骸魂を召喚し身に取り込み合体した彼はオブリビオンに非常に近い状態となっている。
 代償となる満腹度についてはここに来るまでに十分満たしている為、加減なしのフルスロットルで戦える。
 しなやかな動きで体勢を立て直し攻撃動作に切り替えた金秘華猫の動きに木蓮は即座に反応、トゲトゲの鬼棍棒を猫の爪の一撃に合わせ、そして真上にかち上げ弾き飛ばす。
 そして空中で体勢を立て直そうとする妖猫に煉夜の刀より放たれた斬撃から衝撃波が命中、姿勢制御困難な空中での攻撃を受けて金秘華猫はきりもみ回転しながら屋根に墜落するが、その猫の足が屋根につく前に鬼棍棒を構えた木蓮が飛び込んでくる。
「さっさと剥がしちゃおっか」
 鬼棍棒のフルスイングが衝突、マヨイガの屋根を金秘華猫は数度バウンドしながら吹き飛ばされた。
『痛いにゃー! 酷いにゃー!』
 だが金秘華猫はふしゃー! と即座に起き上がる。その身に喰らった月の光による魔力がダメージを即座に癒している。
「結構いいの入れたけど……なぁんだ、大丈夫そう?」
 元々力を抑えられないタイプの木蓮、手加減なしでかかっているからやり過ぎにはちょっと気を付けていたのだが、これなら問題なさそうだ。
「ありがとーございますです」
 いつの間にか駆け寄ってきていた煉夜が木蓮に先程の礼を言う。
「いいのいいの、でも無茶は程々にね?」
 木蓮が緩く笑み、そう返す。
 ――オブリビオンを倒す為に生み出されたフラスコチャイルドの彼、痛みには鈍くオブリビオンを狩る為に調整された体。
 死ななければいい、死だけはそれ以上オブリビオンを狩れなくなってしまうからそれだけは困る。
 効率よく狩る事を優先する思考の煉夜の戦い方は、木蓮には少々危なっかしく映っていたからなのだけれども。
 二人は武器を構え金秘華猫へと向き直り。
「もうちょっと痛くなるまで殴っちゃうけど、あとで恨まないでね」
 その身に憑いた骸魂、剥がす為には十分なダメージを与える必要があるのだから。
 少し、眠気が出てきた気がする。
 けれどもう少し、眠りに落ちるまでは持たせないと。
 そう思考しながら木蓮は鬼棍棒を再び構え先に飛び込んだ煉夜に続いた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴