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月夜に響く猫の声

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 にゃんにゃんにゃーと月夜の光に照らされる中一人の妖艶な金毛の猫妖怪が上機嫌で神社の屋根の上をゆらりゆらりと歩いている。
「ツイているのにゃー参拝にきた妖怪に憑依できるにゃんてにゃー」
 元が猫の妖怪だったから私との相性もばっちりゃと嬉しそうにしながら屋根の上で月光を全身に浴びてふにゃんっと幸せそうにしなだれる。
「月夜はやっぱし毛並みにいいのにゃーキラキラ輝いてて大好きにゃん」
 だからお日様なんてこの世から無くなっちゃえにゃと妖艶な雰囲気で横になりながらキセルを吹かすオブリビオン。

 そんなオブリビオンの何気ない一言がここカクリヨファンタズムでは事象として実現してしまう。
 昼が永遠に奪われて、月光が妖艶に辺りを照らす月夜の世界へと変貌していくカクリヨフンタズム。
 その変化につられるように無数の骸魂が活性化して住民の妖怪達を襲いだし悲鳴があらゆるところから聞こえてくる。

 神社にも届くその妖怪達の悲鳴にはこれっぽちも興味なくオブリビオン・金秘華猫はただただ月光浴をを楽しむのみ。
「例え世界が滅んでも私が美しければそれでいいのにゃん」
 そんな自分勝手なことを言う彼女の金毛は月光に照らされてキラキラと輝いていた。


「カクリヨファンタズムがカタストロフの危機に瀕してます」
 集まった猟兵達にそう伝えるのは羽柴・詩織(白鱗の學徒兵・f23413)だ。
 詳しく知らない人の為にと前置きをしながら詩織はカクリヨファンタズムの世界について説明する。
 そこはUDCアースと骸の海の間にあるとても不安定な世界で、人々に忘れ去られた妖怪達が暮らす世界。
 この世界に来る途中に亡くなった妖怪は骸魂へと変じ、生前縁のある者や相性の良い者に取りつくことでオブリビオンとしての力を振るうことができるのだと言う。
「今回の予知で世界から昼を奪い月夜の世界に変えたオブリビオンは偶然相性の良い体を手に入れて上機嫌みたいです」
 猟兵が倒せば憑りつかれた妖怪の方は助けられると思うのでどうか救ってあげてくださいと詩織はお願いしながらグリモアから予知内容を投影し、より詳細な説明に入る。

「カタストロフの影響で幽世中に骸魂が飛び交って人々がオブリビオン化しています」
 最終目標である金秘華猫の元に向かう道中にも沢山の骸魂に乗っ取られた犠牲者がいるらしい。
「皆さんが比較的に安全に神社までたどり着ける道中で出会うのは彼らです」
 とグリモアで映し出されたいくつかのルートと相対するオブリビオンの姿、それは無数の目玉を持つ真っ黒な何かで……。
「目目連さん達がカビた餅妖怪の骸魂に取りつかれてこの様な姿になったようでして……」
 カビたモチ目目連って名前らしいですと続けながら敵のユーベルコードの説明に入る。
 まず一つ目は攻撃が命中した対象の口や鼻をお餅で塞いで呼吸困難にする技、二つ目は毒性のあるカビた餅を何個も放つ技、3つ目は自分の体を熱々の出来立てのお餅に変えて(カビは生えたまま)伸縮性や弾力性を活かした動きができるようになる技だ。
「どれもお餅にまつわる怨念の籠った技で強力です」
 くれぐれも気を付けてくださいと話を区切り、今度は騒動の主犯格についての詳しい説明だ。

「神社で皆様を待ち構えるのは最初にお伝えした通り金秘華猫と呼ばれるオブリビンオンです」
 月光に照らされてその金毛がキラキラと美しく輝くようになった彼女は上機嫌で逃げたりする素振りもなくやってきた皆さんに勝負を挑むはずですと詩織は伝えた。
「きっと自身のユーベルコードに絶対的な自信があるのだと思います」
 予知によると彼女が使ってくるのは攻撃した対象をだんだん猫にする呪いを付与し、そのまま自分に好意を抱かせてしまう技、月光を食べれば食べるほどその姿が妖艶になり一時的な無敵と戦闘力を強化する技、最後は頭につけたお面を被ることで猟兵や妖怪の姿に変身して虚を突いたところ爪や牙で攻撃し、たとえ失敗しても逃げ足を高めたその歩みは空中すらも飛翔してしまう力を宿すユーベルコードを使ってくるらしい。

「どれも強力な技ばかりですが、カタストロフを発生させているオブリビオンを放置できません。憑りつかれた妖怪さんを救う為にもどうか皆さん力を貸してください」
 と集まった猟兵にお辞儀をし転送の準備に入り始める。
 その準備を進めながらあ、そういえばと詩織は皆さんにちょっとした情報を付け足す。
「金秘華猫に取りつかれている猫の妖怪さん、どうやらお蕎麦屋さんを営んでいるようでして」
 今回もお客さんが沢山来ますようにと参拝しに来た所を憑りつかれてしまったようです、なのでよければ事件解決後はお蕎麦屋さんに足を運んであげてくださいと補足する。
「妖怪さん達からすると猟兵は自分達を認識してくれる人達なのですごく歓迎されるようです」
 なので、店主自慢の美味しいお蕎麦で歓迎してもらえると思いますよと猟兵達に伝え、それではよろしくお願いしますと詩織は集まった猟兵達を幽世へと転送するのであった。


 カクリヨファンタズムに転送してきた猟兵達、予知の通りそこは大きな満月が辺りを照らす月夜の世界だった。
 幽世の至る所で骸魂による被害で妖怪達の悲鳴が聞こえる、猟兵達は事件を解決する為元凶の待つ神社に向けて幽世のどこか懐かしい街並みを走り抜けていく。


高月 渚
 お世話になってます。高月 渚です。
 妖怪達が住むカクリヨフンタズムでカタストロフの危機です。昼を奪われたの世界をどうか救ってください。

『プレイグと執筆について』
 OP公開後、参加者様のタイミングで送信していただいて大丈夫です。誰かと一緒に参加する場合は文頭にグループ名や相手のお名前とIDなどを記入後、近いタイミングで送信をお願いします。
 また、途中参加なども歓迎です。お気軽にご参加お待ちしています。
 執筆にはお時間を頂くことになるかもしれませんのでお急ぎの方はご注意ください。

『フラグメント』
 1章:集団戦です。カビたモチ目目連達の餅攻撃を突破しボスの待つ神社を目指してください。
 倒した後の憑依されていた妖怪さん達は気を失た状態になりますがボスを倒すのが先決ですので特に気にせず、戦闘後は安全な場所に寝かしたり逃げてもらったことにします。

 2章:ボス戦です。幽世から昼を奪った金秘華猫との戦いです。敵の特性的に猟兵の方が不利な気もしますが皆さんなら倒せるはずです。

 3章:日常パート、助け出した猫妖怪さんのお蕎麦屋さんでの食事です。
 色々とメニューあるようなので食べたいお蕎麦をプレイングで注文して楽しんでください。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。皆様のご参加お待ちしてます。
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第1章 集団戦 『カビたモチ目目連』

POW   :    キミモクルシムトイイヨ
攻撃が命中した対象に【口と鼻が餅でふさがった状態】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【呼吸困難】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    タベラレルモノナラタベテミテヨ
レベル×5本の【毒】属性の【カビた餅】を放つ。
WIZ   :    デキタテダヨ
自身の肉体を【熱々のお餅】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ケイティ・ネクスト
 ひたひたと足音も立てずにしめやかにエントリーだにゃ。
「猫の力を悪用するような奴は黙っておけないにゃん」
 攻勢植物&スライム触手の立体機動で地形を利用して縦横無尽に飛び回りながら隙を見て触手を絡ませて転倒からの拘束。
「いただきにゃんこ!」
 暗殺ケモナー猫モードの猫の爪で仕留めるにゃん。触手の多重展開で纏めて縛って、暗殺モードで急所突き! 連続ゲットでポイント倍点!
 一通り片づけたら基本形態の人間幼女猫モードに戻って、
「さ、悪い猫を退治しに行かないとにゃー……金ぴかエロ猫はそんなに沢山要らないにゃぁー……猫のパチモノは猫駆除だにゃ」



 猫の力を悪用するような奴は黙っておけないにゃんと静かに闘志秘めながら幽世を走るのはケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)。
 足音も立てずに予知で説明を受けたルートを走る彼女に餅っぽくにゅーんと暗闇から伸びてきたのはカビたモチ目目連。
「ネコサンダ オモチタベテヨ オイシイヨ」
 無邪気な子供の様にお餅を食べてと自らの体を震わせカビた餅をケイティに向けて発射するモチ目目連。
 だが、その餅が彼女を捉えることはない。

「ただの猫だと思ったかにゃん? ケモ度は自由に変えれるのにゃ」
 そうモチ目目連の背後から声をかけた彼女は先ほどまでの猫幼女ではなく体内で共生している攻勢植物と仲良くなって飼いならしているゴールデンスライムの力を借りて機動力を上げた、立体軌道モード猫である。
 今も奇襲してきたモチ目目連の気づかない速さで攻勢植物とスライムがにゅーんと伸びて後ろの電柱に絡みつき縮むことで逆に背後を取ってみせた。
 そしていつのまにか触手で縛り上げたモチ目目連、目掛けて自らの爪から生成されるキャットタスクを投げつければカビた体は宿主と分離して細切れの餅となって消滅してしまう。
「ツヨイ ネコサンツヨイネ ダッタラタベテモヘイキダヨネ?」
 集まった他のカビたモチ目目連達は仲間が倒された事に悲しんだりせずケイティの強さに目を輝かせるこれだけ強いならカビた餅を食べても平気かもしれないと。
「猫はカビた餅には興味ないのにゃん 二人は食べてみたいかにゃん?」
 敵に囲まれていても妖艶な笑みを崩さないケイティが攻勢植物とゴールデンスライムに聞いてみれば両者ブンブンと体をうねらせて拒否する。
 真っ黒になるまでカビた餅は誰だって食べたくない。
「それならさっさと倒さないとにゃ」
 猫は猫の偽物を倒さないといけないからにゃと発射されたカビ餅の間を縫うように攻勢植物とゴールデンスライムに指示をだし立体的に目にもとまらぬ速さで移動するケイティ。
「ネコサン ハヤスギダ ドウシヨウ」
「トニカク トニカク コウゲキダ」
 カビたモチ目目連達の沢山の目でも捕えられないその動きに物量でどうにかしようとカビ餅をまき散らすが、その餅は彼女の煌びやかなダンス衣装に掠ることもない。
 高速移動で攻撃を掻い潜りながらも周囲にいたカビたモチ目目連達を触手でからめって動きを封じて見せたケイティ電柱の上に立ち月夜に照らされながら妖しく微笑んでみせる。

「いただきにゃんこ!」
 シュタッと電柱から飛び出したケイティ、敵を殲滅するべく一部の者を魅了してやまない暗殺猫モードに移行しながらにゃん、にゃん、に~んっとゲームでポイントを稼ぐ様にその爪をカビたモチ目目連の急所と思われる目玉に突き刺し憑りつかれた宿主達を骸魂から解放していく。
「ウワー ネコサン ツヨスギルー」
 と子供っぽい悲鳴をあげて退治されたカビたモチ目目連、解放された宿主を安全そうな場所に寝かせてるとケイティは幼女猫モードに戻って再び足音も立てずに神社へと走り出す。
「さ、悪い猫を退治しに行かないとにゃー……金ぴかエロ猫はそんなに沢山要らないにゃぁー……猫のパチモノは猫駆除だにゃ」
 別にパチモノでもないのだが妖艶な猫と何かと共通点が多い今回の主犯に対して彼女は討伐に燃えていた。
 どちらがセクシーな金ぴか猫か解らしてやると決意を胸に彼女は月光に照らされながら美し疾走するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪
「どうも… はじめまして ダークマターOMOCHIクリーチャーさん ジンライ・フォックスです」
(月光を背に【礼儀作法】で奥ゆかしくお辞儀)

お餅の怨念か… フゥゥム… 分からないでもない。
実際僕もお正月には余らせてカビさせた事がある。
それに関しては潔く謝ろう。

しかし! だからと言ってお前たちの暴力が正当化されるわけではない。その矛先を向けるのは、お前たちOMOCHIを安く仕入れ 叩き売りしている暗黒コーポの連中に向けるべきだ。

だから 悪いがボクも手加減せずお前たちを叩きのめす。

ダッシュ+残像+ジャンプ+目立たないを用いて一気に踏み込み 疾雷で腕を黒雷に変え属性攻撃! 熱切断する!



「ダレカ タベテ オイシイヨ?」
「カビテテモ タベレルヨ オイシイヨ?」
 誰かに自身を食べてほしくて周囲を彷徨っているカビたモチ目目連。
 隠れていた妖怪を見つけてはカビ餅と共に仲間の骸魂を憑依させ仲間を増やしている。
 そんな彼らに待て! と静止の声が響きそちらを向けば屋根の上で立たずむ黒雷を纏った一人のヒーローが……そう叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だ。

「どうも…… はじめまして ダークマターOMOCHIクリーチャーさん ジンライ・フォックスです」
 月光を背に首に巻いた黒雷をバチバチといわせているが、ジナライ・フォックスから攻撃してくる素振りがないことをカビたモチ目目連達は感じ取り、礼節には礼節を介さねばと彼女にならって深々とお辞儀を返す。
「ジンライ・フォックスサン ハジメマシテ オイシイオモチデス」
 挨拶をしながらもさりげなく美味しいお餅アピールを盛り込むカビたモチ目目連、だがその真っ黒な見た目とかから君達が普通の餅じゃないのはバレているぞ。
 そんなコノヒトナラタベテクレル? とわくわくしているカビたモチ目目連達の元にシュタッと飛び降りて近寄るジンライ・フォックスはその仮面の奥で表情を曇らせながら彼らに呼び掛ける。
「君達の気持ちは良く解る、実際ボクもお正月には余らせてカビさせた事がある。それに関しては潔く謝ろう」
 自らの経験を告白しながらジンライ・フォックスはより礼儀正しく謝罪の念の籠ったお辞儀を行いカビたモチ目目連の心を震わせる。
「ジンライ・フォックスサン アリガトウ アヤマッテクレテ ウレシイ」
「ボクタチ アヤマッテモラッタノハジメテ ダカラ……」
 トビッキリノ オモチ タベサセテアゲル と体をもにゅもにゅ変形させカビた餅を生成していく。
 そんな彼らに待ちたまえとジンライ・フォックスが静止の声を上げる。
「お前たちの暴力が正当化されるわけではない。その矛先を向けるのは、お前たちOMOCHIを安く仕入れ 叩き売りしている暗黒コーポの連中に向けるべきだ」
 そう、安売りで大量に袋に入ったお餅をついついお得だと消費者は買ってしまう、その結果中々消費できなくて気がついたらカビが……。
 悲しき妖怪、カビたモチ目目連達が生まれるのはこう言った背景が原因なのかもしれない。

 だが、ジンライ・フォックスの説得は彼らには届かなかった。
「ウリカタナンテ シラナイモン」
「ボクタチハ タベテクレタラ ソレデイインダ!!」
 怒りのカビ餅攻撃を行うカビたモチ目目連達、説得は無理だったかと黒雷の力を用いた高速移動でカビ餅弾幕を掻い潜りながらジンライ・フォックスは覚悟を決める。
「悪いがボクも手加減せずお前たちを叩きのめす!」
 シュンっと残像を残しながらフィールドを駆け走るジンライ・フォックスの速さに翻弄されながら攻撃をするがその攻撃は残像を捉えるだけ。
 そしてジンライ・フォックス本人は気配を消したまま敵の背後をとると、己が腕を彼らを倒す黒き雷へと変化させる。
「雷は何者にも捕らえられない…… 疾雷!」
 膨大な黒雷に変化させた腕による一閃はカビたモチ目目連をその熱量で切断してみせた。
「アツイ! アツイヨ! アアアア!!!!」
「コンナニ アツイト ボクタチチチ!!!!」
 切断面から全身を蝕みだす黒雷にカビたモチ目目連はその餅でできたボディを不規則に膨らませてやがて宿主から離れる様に爆発四散した。

「次があるなら今度こそ美味しいOMOCHIとして生まれてくるといい」
 その時はボクも頂こうと心の中で彼らに手向けの言葉を送りながらジンライ・フォックスは宿主を安全な場所に隠すと再び月光を背に飛び立つと黒雷を纏いながら幽世を走り抜ける。
 幽世を襲う異常事態を止めるのはここからなのだからと……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
カビた餅が跋扈するとか軽い地獄ですね
…蕎麦の一杯くらいおごってもらわなきゃ割に合いませんよ


●毒耐性・結界術
ユーベルコード発動
光の柱を並べて防護壁を敷きつつ、柱と柱の隙間から爆弾を投げて攻撃します
どう考えてもあれを食べるのは無理です

…そうなると当然、隙間を狙った反撃が予想されます
そこは直刀による【串刺し・スナイパー・カウンター】で返すのがベルベナ流の常套戦術です
手抜き戦術?いえい、温存のつもりです
我々の狙いは彼等ではない、ココで疲弊するわけにもいかないでしょう


そういうわけで戦況次第【取引(優しさ・精神攻撃】を試みます
怖いなら逃げても構いません
怨恨を抱える理由も解ります、などと相手を立てつつです



「カビた餅が跋扈するとか軽い地獄ですね」
 蕎麦の一杯くらいおごってもらわなきゃ割に合いませんよと道を走り抜けているのはベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)だ。
 カタストロフが発生しやすいここカクリヨファンタズムだとしてもカビた餅が暴れまわっているのは確かに地獄である。
 昼を現在進行形で奪われているこの世界も見方を変えたら綺麗かもしれないのに真っ黒になるまでカビた餅が飛び交えば風情なんてない。
 短時間で騒動を解決し、美味しいらしい蕎麦をいただきたいものだと考えていたらそんなベルベナの元にもカビたモチ目目連達の魔の手が迫る。

「アツアツ デキタテノオモチダヨ?」
「タベテタベテ」
 自身の体を熱々の餅に変えてにゅーんと伸ばしながらベルベナに食べさせようとしたカビたモチ目目連達だったがそんな危険な代物を食べるわけには行けないベルベナはしっかりと対策済みだ。
「猫の足音、女の髭、岩の根 以下略!」
 術の詠唱を破棄しながら繰り出したのは自身を守る聖なる結界を発生させる術だ。
 350本の柱で構成されたその大結界は今回の敵に合わせて毒による耐性も強化されたカビたモチ目目連達からしたらたまったものじゃなかった。
 試しに柱に触ってみた個体が居たが触れた瞬間に毒耐性と聖属性の合わせ技によって宿主から強引に引き離されるように骸魂を浄化させられる。

「ウワ スゴイヨ ドウシタラ……ワー!」
 結界の強度にどうしようと悩む暇もなく柱を縫うように投げられたベルベナ愛用の時限爆弾によってまた一人結界に触れるもなく焼却されてしまう。
 時限爆弾をキャッチして時間に猶予があるから投げ返そうとすれば時間が経過するより先にベルベナの念動力で爆破、ならば餅の体を活かして柱に触れない様にぐにゅーんと伸びながら迫ってみても直刀を素早く抜いたベルベナの突き技で腕を裂かれて、その手が結界に触れてジ・エンド。
 ベルベナはただただ淡々とした所作でカビたモチ目目連を処理するのみ、なぜならこんな所で消耗している場合ではないからだ、本命はこの先にあるのだから力を温存するのも戦略の一つだ。

 そんな風に最小限の手法で倒されて行くうちに周りにいたカビたモチ目目連も一体だけになっていた。
「ヒクッ……」
 大きな目から大粒の涙を流すモチ目目連、どうやってもベルベナに敵わないと悟り、精神が子供だからか泣きだしてしまう。
 そんな敵へとベルベナは優しい表情と声色で語り掛ける。
「怖いなら逃げても構いません」
「エ……」
「怨恨を抱える理由も解ります、だけど無理に戦う必要はありません、邪魔立てせず通してくださるなら見逃しましょう」
 あくまで相手の気持ちを汲んだその取引はベルベナの本心かそれとも計算からくる戦略の一環かはカビたモチ目目連には解らない。
 だけどカビた餅の妖怪になって初めて優しく接してもらえた気がする。
 だから、一つだけずっと気になっていたことを聞いてみたくなったのだ。
「アノネ モシモボクタチガ フツウのオモチダッタラ タベテクレタ?」
「……ふむ」
 突然の質問に顎に手を当てて少し考えるベルベナはしばらくしてその質問に答える。
「妖怪でない普通の餅でしたら食べないこともありませんね」
 もちろん無理やりでなければですがと付け加えながらの返答。
 その返答を胸の辺りを抑えながら反芻するように自分の心の中で言葉を噛み締める、餅って嫌われているからカビるまで放置されているんじゃないんだ好きな人もいるんだと、カビたモチ目目連は涙をぬぐい優しい眼差しでベルベナを見ながら気持ちを伝える。
「ヤサシイオニイサン アリガトウ ジャマシテゴメンネ」
 コンド オイシイオモチ ミカケタラ タベテクレタラウレシイナと言いながら自ら結界の柱に触れてカビたモチ目目連は消滅していった。

 自分を遮る障害を排除し終えて結界を解き直刀をしまったベルベナはでは本命に向けてと言わんばかり駆けだした。
 彼の最後の取引は本心か作戦かはベルベナ本人にしか解らないが少なくとも一人の孤独な妖怪の心を救ったのは真実だ。
 その妖怪との約束を守るかはベルベナのみが知っている……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
うーわ、カビカビだぁ……お餅はおいしいけど、カビてるのは無理!
とか思ってたら出来たてになっちゃった!
熱っ!めっちゃ熱っ!でも出来立てなら食べられるはず!

とゆー事で行け!うるうのサメ達!
熱々のお餅が伸びきった所をノコギリで一口大に切って食べてやれー!
集団戦術で仲良く作業するんだよ1
ノルマは一匹10kgね……え、うるう?
あー……いいよいいよ、うるうお腹いっぱい……
箒に乗って空中浮遊して、高みの見物って事で。



「うーわ、カビカビだぁ」
 箒に乗って地上の様子を眺めているのは杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)だ。
 お餅はおいしいけど、カビてるのは無理! と当然の意見を述べている彼女にもカビたモチ目目連の魔の手が迫る。

「オイシイヨ オジョウチャン オモチスキ?」
「熱っ! めっちゃ熱っ!」
 熱々のできたてお餅に体を変質させたカビたモチ目目連の伸びた腕が当たりそうになり慌てて箒を操り逃げる潤と追うモチ目目連。
「マッテー オイシイヨ マックロダケド ダイジョウブ!」
「絶対にそれ大丈夫じゃないから!」
 でも、できたてのお餅なら私じゃない子なら大丈夫とバブルワンドをクルクルーと振るって構える。
 何を隠そう潤ちゃんは魔法使い、使い魔も呼べちゃう本当の魔法使いなんだから! とノリノリで魔法を使えば先祖代々の謎の書物を手にし手に至れ鮫魔術の極意の一部を披露する。
 ノコギリを体に生やした10匹の鮫達、お嬢今日はどうするんですかいっとカッコよく決めているが潤はそれに気がつかず。
「とりあえず、ノルマ一匹10kgね」
 集団戦術で仲良く戦うのよーと伝えるとスーと箒で高みの見物を決めこもうと距離を置いてしまう。
「サメサン ボクタチ オイシイヨ?」
 食べてもらえる相手が召喚されワクワクしながら熱々のお餅ボディを伸び縮みさせてアピールするカビたモチ目目連。
 そんな彼らを見て一匹の鮫が逃げ出しそうなのをガシっとリーダーポイ鮫が噛みついて逃がさない。
 ムリムリムリムリ!! だってあれカビているじゃんと訴える鮫だがリーダーに気合のヒレビンタをぶちかまされ固まる。
 俺達はな鮫魔術で呼ばれたら全力でサポートしなくちゃならねぇんだ。
 カビた餅がなんぼのものだこっちはノコギリ生やした鮫じゃぁぁぁ!!
 と言っているのかは解らないがリーダーぽい鮫が突撃かましたら残りの鮫も攻撃しないわけにはいかない。

「ワータベテモラエルー」
 ノコギリで細切れにされているというのに食べてもらえるのが嬉しいのか歓喜の声を上げながらカビたモチ目目連達は浄化されて宿主は無傷のまま解放されてなんか不思議な光を纏いながら安全に落下。
 きっとこれはカビたモチ目目連の願いをかなえた結果だろうたぶん。

 涙目でノルマとして課せられた10kg分のカビた餅を食べている鮫を遠くで見ながら潤はうわー本当に食べてるーよく食べるなーと観察しながら呟く。
「確かにさーお餅とか美味しいけどどっちかっていうとクレープとかの方がいいよねー」
 UDCアースに戻ったら食べて帰ろうかなーと今どきの子っぽい発言をしながら召喚した鮫達がカビ餅を食べ終わるのを待つのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・多摘
…目目連とは餅に纏わる妖怪じゃったか?
憑依される事で自動的にカビた餅に固定されるのは何とも惨く感じるが。
いずれにせよ世界の危機を見過ごす道理などなく、なれば元凶を討つ為まずはこの骸魂を祓わねばなるまい。

ある程度大丈夫とは言えやり過ぎぬようには注意、気を失った妖怪達は安全な場所へどかしておく。
神社に向かう際に立ちはだかる妖怪には破魔の力を宿せし霊符を神罰の如く大量に放ち気勢を削ぐ。
そして伸縮性と弾力性を活かして攻撃してくるならば祟り縄で突撃を防ぎつつUCの力を込めた呪符を放ち弾力等を封印、戸惑った瞬間に破魔の呪符で骸魂を祓い落とし目目連を救出。
…被害拡大を防ぐ為に急がねば。

※アドリブ絡み等お任せ



 厳格な表情で幽世を襲う異常事態を眺めているのは水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)。
 ……目目連とは餅に纏わる妖怪じゃったか? 憑依される事で自動的にカビた餅に固定されるのは何とも惨く感じる……と骸魂として暴れまわっているカビたモチ目目連に捕らわれた者達にどこか悲し気な瞳を向けながら多摘はふわりと悪霊となった体を浮かせ事件解決のために動く。
 世界の危機を見過ごす道理などなく、なれば元凶を討つ為まずはこの骸魂を祓わねばなるまい……と。

 さっそうと天を駆ける多摘にもカビたモチ目目連の魔の手が迫る。
「ワーオジイチャン オモチスキ?」
「オイシイオモチ タベテクレル?」
 孫が一生懸命餅を作ったかの如くお爺ちゃんに甘える調子でカビたモチ目目連達は語り掛けてくる。
 そんな彼らに少しだけ悲し気な瞳を一瞬向けた多摘であったがどんなに幼い妖怪でもこの世界を乱すのなら祓わねばならないと一切の容赦のない霊符の雨を降らせる。
「ウワー イタイヨ! コノオフダイタイヨ!」
 破魔の力を宿したその霊符による攻撃はかつて邪神と戦った頃よりは威力が落ちるものの世界にあだなす存在となった者を裁くのには十分な威力を持っていた。
 符が触れた所から破魔の力が侵食し苦しみながら浄化されていくカビたモチ目目連達。

 苦しむ仲間を助けるべく動きだしたカビたモチ目目連が。
「オジイチャン ナンデボクタチヲ イジメルノ?」
 タダボクタチハ オモチヲタベテ ホシイダケナノニ と熱々の餅に変化させた腕で霊符の雨をくぐる様に多摘を襲う餅の腕。
 だが、それすらも長き邪神との戦いの経験からか予想していた多摘は祟りの力が込められた縄でその攻撃をいなしすかさずその腕を縛り上げてみせる。
「ウワ コワイコワイヨ ナニコレ!?」
 祟り縄に込められた怨念の呪詛がカビたモチ目目連にすさまじい恐怖感を与える。
「オジイチャン オジイチャン ハズシテ ゴメンナサイスルカラ」
 ぬぐい切れない恐怖感に泣き叫ぶカビたモチ目目連に厳格であるがどこか優しさの籠った瞳を向けた多摘が対象の力を封じる呪符を投げつける。
「その謝辞が誠であるならば汝の痛みは和らぐであろう」
 ピっと放たれた霊符が七星の力を解き放ち、カビたモチ目目連の体を破魔の力で包み込むがその目には苦しみではなく開放感が。
 アリガトウオジイチャンと視線で伝えながら祓われたカビたモチ目目連はこの幽世の木や花の糧となり浄化されたことであろう。

 無事に身体を取り戻した妖怪達を安全な場所にどかし簡易的な結界を張って安全を確保したところでふぅ……と少し息が漏れる。
 世界の為とは言えただ餅を食べてほしかっただけの小さな妖怪を祓ったのはほんの少し心が痛むのだ。
 瞳を閉じ骸魂となってしまったが浄化された彼らが幽世の糧としてこの世界に迎えられるよう、ほんのひと時優しい祈りを願う……。
 ゆっくりと開かれた多摘の瞳は既に気持ちを切り替え、再び神社に向けて動き出す。
 これ以上の被害を防ぐため元凶を祓うべく決意に満ちた瞳で多摘は空を駆けた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『金秘華猫』

POW   :    にゃーんにゃん♪
攻撃が命中した対象に【徐々に体が猫化する呪詛】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【金秘華猫に好意を寄せてしまう呪詛】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    月を食らう猫
戦闘中に食べた【月の光】の量と質に応じて【更に妖艶な姿になり、一時的に無敵になって】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    化け猫の悪戯
【面をかぶることで、周囲の猟兵や妖怪の姿】に変身し、武器「【不意打ちの爪や牙】」の威力増強と、【バレた時は猫の逃げ足】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 妖怪達を襲う骸魂を片付け無事に事件の元凶のが待つ神社へと辿りついた猟兵達。
 そんな猟兵達に気がついた元凶はゆっくりとしなだれた動作で屋根から降りてきた。
「騒がしい悲鳴が聞こえなくなったと思えば猟兵がきてたのにゃね」
 猟兵が目の前にいると言うのに対して慌てる様子もなく金秘華猫はキセルを吹かせながら問いかける。
「別にお日様が無くなってもそれは悪いことかしらにゃー」
 妖怪的には過ごしやすい気もするにゃつまり私はいいことしてるにゃーと自分勝手な言い分を笑いながら語る。
 彼女の気まぐれでどれだけの妖怪が骸魂に乗っ取られて怖い思いをしたか……。
 あくまで猟兵達が相手したのはこの神社に辿りつくまでの道中の敵だけ、今もなお幽世中で苦しむ妖怪達が居るのだこの元凶を倒さない限り。
「月光を沢山浴びて今とってもいい気分にゃのにゃ 軽ーく遊んであげるからかかってくるのにゃん」
 尻尾をゆらゆらと楽し気にゆらしながら美容にはちょっとした運動も必要にゃんと金秘華猫は挑発する。
 その挑発に乗るわけではないが猟兵達は武器を構え戦闘態勢に入る。
 幽世を騒がせるこの妖艶な猫を倒すべく猟兵達の戦いは始まった。
叢雲・凪
「どうも… オイラン・ネコさん ジンライ・フォックスです」(【礼儀作法】を使い奥ゆかしくお辞儀)

「お前のせいで多くの妖怪が被害にあっている。その身勝手なわがままで成り立つ【厚化粧のような美しさ】にそれ程の事をする価値があるのかな?」(腕組みしつつ)

腕組みを解き 両腕を正面に交差させる特徴的な構えをとる。
「これ以上の会話は不要だ。」

呪詛耐性を用いてヤツの猫化UCを防ぎつつダッシュ+リミッター解除+残像で一気に距離を詰める。

属性攻撃で攻撃しつつ

「ここからが本番だ…!」
(マフラーを引きちぎり夜天九尾を発動。尻尾1本につき10秒 合計90秒間の間超高速で動ける。並みの動体視力では対応できないはずだ。)



 武器を構え出方を伺う猟兵達、その中から一歩踏み出したのは叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だ。
 その歩みにはまだ敵意はなく丁寧な所作で手を合わせながら相対する金秘華猫にお辞儀する。
「どうも…… オイラン・ネコさん ジンライ・フォックスです」
 どんな敵との戦いでもまずは挨拶から……それがジンライ・フォックスこと凪の流儀だ。
 奥ゆかしいその所作による挨拶を受けて金秘華猫は驚きの表情をしたかと思えば尻尾や全身をくねらして歓喜の声をあげる。
「にゃ~ん! どうしたのにゃこんな丁寧な挨拶を猟兵からもらえるにゃんて思ってなかったにゃ」
 もしかしお姉さんの美貌ににゃんにゃんしちゃったかにゃ~!! と挨拶を貰えたのがよほど嬉しかったのかしなだれて誘惑するようにキュンキュンとときめく金秘華猫。
 だがジンライ・フォックスは自分の流儀を通しただけ別にその美貌にときめいたとかでもないわけなので……。
「お前のせいで多くの妖怪が被害にあっている。その身勝手なわがままで成り立つ【厚化粧のような美しさ】にそれ程の事をする価値があるのかな?」
 腕を組み的確に相手の勘に触れそうな単語を抉る様に言い放つジンライ・フォックス。
 別に凪的には普通にまっとうな意見を述べているだけで悪気や悪意はまったくないのだろうが礼儀正しく挨拶されて上機嫌だったのに予期せぬ言葉で気分を急降下されれば……。
「誰が厚化粧だギニャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 猫被りが剥がれ落ちる様に鬼の形相になってバケ猫顔になる金秘華猫。
 怒りの余りキセルをへし折り牙をむいて威嚇する。
「テメェも猫にして私の虜にしてやるにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」
 じだんだを踏みながら言うがそのネコ化するユーベルコードを発動するより早くジンライ・フォックスが動いた。

「これ以上の会話は不要だ。出てこい…… 眠れる九尾…… 黒神の化身!! 夜天九尾!!」
 黒雷のマフラーである鳴雷を解き放ちバチバチと音を立てて九尾の黒雷の尾を生やす。
「にゃ!?」
 その変化に驚きの声をあげる金秘華猫の前からジンライフォックスの姿が消えたかと思うと自慢の顔に黒雷の力を籠めた一撃を叩き込まれ吹っ飛ぶ金秘華猫。
 捕えられないにゃと内心あせる、それもそのはずだジンライ・フォックスのこの夜天九尾は90秒と己が寿命を削る制約を課すことで高速移動を可能にする技並みの動体視力ではとらえられない。
 これはマズイと感じた金秘華猫は月の光を取り込んで己が強化に走る。
 このユーベルコードはただ強化するだけじゃない一時的に無敵になれるにゃん。
 無敵の所を攻撃してきたら返りうちにゃと考えている金秘華猫だがその効果時間が切れるのを見極めてジンライ・フォックスの拳が腹に叩き込まれる。
「にゃぁああ!! にゃんで……」
「さぁな? ここからが本番だ……!」
 自分の美しいユーベルコードの僅かな弱点をなぜ把握されてるいのか解らないまま金秘華猫はそのわずかな虚を突かれ続けジンライ・フォックスの黒雷によって自慢の金毛を焼き焦がされる。
「よくもよくも私の毛並みをにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 毛並みをボロボロにされ怒り狂う金秘華猫、そんな彼女に深追いはせず一旦距離を置くジンライ・フォックス。
 夜天九尾の最後の尾が消える頃だからだ。
「先鋒はしっかり務めさせてもらった」
 敵の怒り狂い冷静さを見事失わさせたジンライ・フォックス。
 あれだけの攻撃を叩き込まれたがさすが世界を破滅に導くオブリビオンだ、まだまだ力は健全。
 だが、冷静な判断力を失わせた戦果は大きい仲間の猟兵達の次の一手に繋がるだろう。
 仲間に心配はかけまいと平常にふるまっているが夜天九尾の反動で少しだけ仮面の内側で呼吸を乱す凪はこの場に集った仲間ならこのチャンスを活かしてくれると信じて今は体を休ませるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●SPD



金秘華(きんぴか)だァ?
ニャるほど、カクリヨにゃこんな化け猫も居るんスね

俺めもつい先日、この世界で相性よさゲな『猫』と会ったモンでしてよ
ちょいと相手ンなって貰いますでよ

デッドリーナイン・ナンバーツー・ダッシュ――『ビーストドライブⅢ』!


・【ビーストドライブⅢ】を【化術】でブーストし発動、でっかいブチ猫に化ける

・【残像】を刻む程の【ダッシュ】で機動
・ネコパンチにネコキック、頭突きに尻尾スイング、【野生の勘】に任せて先回り気味に畳み掛け続け、敵に月光浴の猶予も与えず【蹂躙】せん

・月を背に大跳躍(ジャンプ)し突貫、屋内戦に追い込む等、敵に月光を浴びさせないポジショニングも期す(地形の利用)



 フーフーと怒りの籠った唸り声をあげながら猟兵と対峙する金秘華猫、早く月光を浴びて自慢の毛並みを取り戻さねばと焦る彼女を煽る様にゲタを鳴らしてやってきたのは白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)。
「金秘華だァ? ニャるほど、カクリヨにゃこんな化け猫も居るんスね」
 じろりと煽る様に金秘華猫のボロボロの姿を見た物九郎は煽り文句を矢継ぎ早に紡ぐ。
「俺めもつい先日、この世界で相性よさゲな『猫』と会ったモンでしてよ、お前さんはそいつと比べたら随分と弱っちいなりしているな!」
 金ぴかに着飾っているが中身に華がねぇと言い放つ物九郎に金秘華猫は眉間に筋を浮かべながらブチキレる。
「私をにゃめるにゃぁぁぁぁぁぁ!!!! 猟兵にゃんかに私の美貌は理解できないだけにゃ!! 私は美しいのにゃあぁぁあぁぁぁ!!!」
 フーフーと怒りに捕らわれた目で月光を取り込み毛並みを取り戻し始める金秘華猫におっそんじゃちょいと相手ンなって貰いますでよと骸魂を取り出し構える。
「デッドリーナイン・ナンバーツー・ダッシュ――『ビーストドライブⅢ』!」
 化術の技能を交えてどろんと煙をあげながら骸魂【魔獣ネコマタ】と融合を果たし巨大なブチ猫妖怪のオブリビオンと変化してみせる。

「にゃは! 猫と聞いてみたらブチ猫じゃないかにゃん」
 私と比べたら全然美しくにゃいと物九郎の姿に笑いかけた金秘華猫に残像を残すほどのスピードで繰り出すネコパンチをお見舞いすれば盛大な勢いでぶっ飛ばされて賽銭箱にぶつかる金秘華猫。
「誰が美しさで勝負挑むって言ったぁ?」
 勝負って言ったら拳だろ世界を無茶苦茶にしておいて戦い舐めてるんじゃねぇとシャー!! 唸り声をあげながら襲い掛かる物九郎。
 こんなアウトローな奴の相手にゃん手出来ないと慌てて起き上がり必死に月光を求め彷徨う金秘華猫。
 だが……彼女の求めてやまない月光を野生の勘を駆使しながらその巨体で退路と月光を遮ってみせる物九郎。
 すれ違いざまにネコキック、その飛ばされた方向に高速移動で先回りしてみせれば体をひねり尻尾スイングで金秘華猫を打ち上げてみせる。
 打ちげられて一瞬満月が金秘華猫の視界に入る今のうちに今度こそと月光を食べようとしたが、満月は跳躍した物九郎に遮られ目に映るのはブチ模様がカッコいい猫の顔。
「しゃぁぁぁぁおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「にゃぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!!!!!!!」
 至近距離から渾身の頭突きを喰らわせられて地面へと盛大にめり込む金秘華猫。
 俺めにかかればこんなものよと神社の屋根に着地しそのまま休む体制に入り一度動きを止める物九郎。
「ここに陣取りゃ月光も浴びにくいって寸法すよ」
 ユーベルコードの代償の手持ちのマタタビの消費を計算し、一度自らの巨体を活かし敵の強化を阻むことに専念することにした物九郎。
 あれだけボコボコにしてやったンすからこいつを倒すのもあともう少しだ……そう考えながら物九郎は尾を揺らし戦況を見守るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
化け猫、かな?猫は好きだけどお日様も好きだし、何だか舐められてる気がする!
うるうは人間で妖怪より弱いかも知れないけど……本物の魔法使いなんだから!
バカにしてるとケガするぞー!

だけど猫の妖怪に素早さでは敵わないし、化けられたら分かんなくなっちゃう。
となったらやっぱり魔法の出番、今回はサメじゃなくて賢い魔法剣でやっつけてやる!
このユーベルコード、みぜりこるでぁ・すぱーだ?は何でか分かんないけどうるうの周りの敵を攻撃してくれる……らしいから、敵じゃない妖怪や猟兵には当たんない……はず!
どんなに逃げても50mくらいまでは、500本くらいの剣が突っつくぞ!



 戦場で金秘華猫と相対してから杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)は少し考え事をしていた。
 化け猫、かな? あの化け猫が言うには月夜の方が妖怪さん達は過ごしやすいらしいけど本当なのかな? と考える。
 確かに妖怪って夜のイメージあるけど……うるうが猫が好きでお日様も好きって感じる様にお日様が好きな妖怪さんだってこの世界にきっといるはずだ。
 だったらやっぱしお日様を取り戻してあげないと何よりあの化け猫はうるうのこと舐めている気がする!
 そんな悪い化け猫はうるうの魔法でお仕置きよと考えが纏まれば仲間の活躍で地面にめり込んでいる金秘華猫に近寄る潤。
 だが彼女が近づくと、どろんと音共に煙があふれ姿が消える金秘華猫。
 えっと辺りを見渡そうとした時に隣にはお面の力でろくろ首の様に首なが~くのばした金秘華猫が。
「ばぁ!?」
「きゃっ!?」
 思わず驚いてよろけた潤の隙を逃さないと金秘華猫は自慢の爪で顔を引っ掻く……のは同じ女性として傷が残ったら可哀そうと少し思ったのか潤の鼻にデコピンをして逃走に専念することにした金秘華猫。
「にゃはは! ガキンチョにはそれで十分にゃー!!」
 ユーベルコードで高められた猫の逃げ足は物理法則も無視して空中を走ることができこの力でこの場から何とか逃げ出そうと疾走する。
 そんな金秘華猫の様子と捨て台詞を聞いた潤の思考がプツンとキレた。
 肩をわなわなと震わせバブルワンドを握る手に力を籠めながら叫ぶ。
「うるうは人間で妖怪より弱いかも知れないけど……本物の魔法使いなんだから! バカにしてるとケガするぞー!」
 潤の叫びにおこちゃまの遊びには付き合ってられにゃいにゃんと高笑いをしている金秘華猫にしっかりと狙いを定めながら潤は怒りながらも冷静に使うべき魔法を選択する。
「今は鮫の出番じゃないわ 賢い魔法剣の出番よ! やっつけちゃえ! みぜりこるでぁ・すぱーだ!!」
 まだ呪文名に慣れてないのかちょっと舌を噛みそうになりながらも魔法の呪文を唱える潤、その身に宿る魔法の才能はしっかりと杖に伝わり、握る杖から無数の剣を放出する。
「にゃ? にゃぁぁぁ~!?」
 予想だにしなかった魔法剣の大群に追いつかれそうになり慌てて緊急回避と共に地面に戻る金秘華猫。
 だが、魔法剣は空中に幾何学模様を描きながら術者の狙った敵を突き刺すべく動き回る。
 それならこうにゃと戦場に居る猟兵とすれ違う形でその猟兵に変身してみせる金秘華猫。
 これならどっちが本人か解らにゃいにゃと心の中で笑うが剣には嘘は通じないようで逃がさない様に500本を超える魔法剣が金秘華猫を取り囲む。
「にゃ、にゃんで……」
 魔法剣に囲まれ思わず変身を解いて震えた声で疑問を投げかける金秘華猫に潤は得意げに魔法の自慢をする。
「この魔法はねは何でか分かんないけどうるうの敵だけを攻撃してくれるの! だからどんなに化けても無駄なのよ!」
 うるうの魔法すごいでしょと嬉しそうに笑う潤と対照的に顔色真っ青な金秘華猫。
「ゆ、許してにゃん……」
「えーどうしようかなー?」
 プルプル震える金秘華猫の訴えに少しだけ考える素振りを見せるが潤は笑顔で答える。
「さっきガキンチョってバカにしたからダメ。 だってうるうはガキンチョじゃなくてすごい魔法使いだもん!」
 さぁ賢い魔法剣達悪い化け猫はつついちゃいなさい! と潤が命じれば500本を超える剣は一本一本丁寧に金秘華猫につんつんしだす。

「にゃぁぁぁ~!! やめるにゃ~~~~!! つんつんするにゃぁぁぁぁ~!!!!!」
 悲鳴をあげる金秘華猫だが術者の潤が本気をだしていたらつんつんではなく串刺しだったかもしれないのだ。しっかりと手加減してもらえている。
 クスクスと年相応の笑みを浮かべながら潤はやっぱしうるうの魔法ってすごいと魔法使いとして覚醒した自分の力が誰かの役に立つのを噛み締めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイティ・ネクスト
「出たなパチ猫! ……いや、属性的にキャラ被りしてないからヨシ!」
 猫はエロロリ系。お前キャバ嬢系。よって被り無し。
「では、普通に猫駆除するにゃ」
 青少年に配慮した最小限の布地姿で飛び回り、猫の爪を叩き込むにゃ。
「猫は最初から猫だからにゃ。猫だからって魅了される事は無いにゃ。だが、ネコ信仰を歪める悪い猫は駆除だにゃ!」
 その無敵が一時的なら、切れるまで連続攻撃すればいいだけだにゃ。ネコカラテ重点!
「逃がさんにゃ!」
 隙を付いて足元に張り巡らせた攻勢植物で転倒を狙い、エロい感じに拘束!
「ふむ……ヨシ!」
 拘束具合を確認後カイシャク!



 仲間の猟兵達の攻撃で当初の妖艶さやつややかな毛並みをボロボロにさせた金秘華猫に、にゃははと笑いかけるのはケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)。
「パチ猫! ……いや、属性的にキャラ被りしてないからヨシ!」
 金色の毛並みの猫って何故かキャラ被りすることあるから焦って討伐に来たが猫とお前は全然キャラが被ってないと安心した声色でケイティは語る。
「猫はセクシーで合法なエロロリ系。お前キャバ嬢系……いや弄られネタ枠にゃ! よって被り無し!」
 とビシっと指差し確認をしながら行うケイティ、いや金秘華猫も元々は妖艶なキャバ嬢系だったと思うよ。ただ、集まった皆の戦果でボロボロネタ枠になっちゃっただけで。
「誰が……誰がネタ枠にゃ! 私はどんな奴も虜にするお姉さんにゃ!!」
 目に涙を溜めプルプルと体を震わす金秘華猫だがさっきまで全身つんつんされててもうボロボロで内心心も結構弱ってる。
「では、普通に猫駆除するにゃ」
 金秘華猫の言い分はまったく聞く耳を持たずにケイティはただでさえ魅惑のダンサードレスを青少年が見てもぎりぎり大丈夫なぐらいハラリと脱ぎ捨てるとにゃ~んと小悪魔的にしなだれたかと思うと超スピードで金秘華猫の前から消えてみせる。
「服なんか脱いで色気で勝負にゃん! 生意気なのにゃ!」
 ケイティは自身のスピードを高める為に脱いだだけでもはや金秘華猫とその手の勝負は全くする気ないのだが、見ているにゃ美しさにゃら負けないにゃと戦場で僅かに残る月光浴スポットで月光を浴びる。
 月光を浴びるうちに毛並みの艶やかさが少しずつ戻っていく……これにゃ私は美しくにゃいとにゃさっきまでのボロボロがおかしい……。
 と思った矢先に超スピードで周囲を走ってウォーミングアップを済ませたケイティの猫爪が金秘華猫の顔面にドーン。
 倒れる金秘華猫、倒れると同時にケイティの仲間である攻勢植物にちよっとにゃ~んって感じに縛られる金秘華猫。
 そのままマウントを取る様にケイティが跨りながら語りだす。
「猫は最初から猫だからにゃ。猫だからって魅了される事は無いにゃ。」
 金秘華猫には他人をネコに変えて魅了する技があったらしいが幸い集まった猟兵には通用しなかった。ケイティも元々猫だから喰らって通用してなかったかもしれない。
「だが、そんな技を使って悪評が広まりネコ信仰を歪められたりしたら……猫は絶対に許さないにゃ! よって悪い猫は駆除だにゃ!」
 と言いたいこと言い終えたケイティは金秘華猫の悪そうな顔を重点的に狙ってネコカラテの極意の数々を繰り出す。
「待って待つのにゃ顔はやめ……ぶにゃ!?」
 無敵時間は一時的なものなら連続攻撃してたら時々効果時間キレたタイミングでダメージ与えられるよねと容赦なくシュパパパとケイティが攻撃していけば金秘華猫の自慢の顔が可哀そうなことになり前歯とか欠けちゃったりしている。
「ふむ……ヨシ!」
 もうそれはそれは可哀そうな状態になってしまった金秘華猫の姿を確認して満足したケイティはそれ以上の攻撃は止めた。
「猫が猫として一番にゃん」
 合法エロロリ系猫としての誇りを見せつけたケイティの顔は妖艶様もあるが愛らしい子猫の様なすがすがしい笑顔を浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・多摘
成程、これは痛い目を見せねばならぬな。
月は嫌いではないがそれだけというのはつまらぬ。
憑かれているだけの妖怪には少々悪いが世界の危機を救う為に少しだけ我慢しておくれんか。

可能なら連携、UCでの支援を行う。
動きを観察しつつ祟り縄による呪詛で少しずつ動きを鈍らせ消耗させていく。
面を被り化けてきたのなら周囲を見遣り同じ姿の者両方にUCの符を放つ。
命中して姿が変わらないなら即解除、変わるならそのままUC封印し続けよう。
逃げようとするならそちらが敵と判断し追撃。
当った時点で封印されているから逃げ足も発動できぬだろう。
逃さんぞ。ここで必ず仕留めきる。
戦闘終了後は傷ついた妖怪達の治療へ。

※アドリブ絡み等お任せ



「成程、これは痛い目を見せねばならぬな」
 既に仲間の猟兵達によって散々な目に合っている金秘華猫であるが厳格な竜神である水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)的にはまだまだ生ぬるいと感じていた。
 なぜなら妖怪達の最後の居場所かもしれないこの幽世を己が我欲でめちゃくちゃにしたのだ……この猫によって呼び出された月は確かに綺麗ではるがそれだけしか楽しめない幽世などつまらぬと多摘は考える。

 ふわりと悪霊の体を浮かし倒れ伏す金秘華猫に近づくと未だ憑りつかれたままの猫の妖怪に少々悪いが世界の危機を救う為にもう少しだけ我慢しておくれんかと慈愛の眼差しを向けたのち、神罰を与えるべく祟り縄を操ると金秘華猫の細い首をきつく締める様に結んだ。
「にゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!」
 首に強めに巻き付けたと言っても呼吸ができぬほどではないだが、祟り縄を絞められた瞬間から金秘華猫はなりぬりかまわずその身を暴れさせる。
「取ってこれとってにゃぁぁぁぁぁぁあ~~~!!!!!!」
「ならぬ、それは汝が受けるべき罰じゃ」
 祟り縄から伝わる全身を裂かれるような怨念の力を浴びてのたうちまわりながら逃げ出そうとする金秘華猫。
 その様子を憐みの様子で眺めながら多摘は2枚の護符を取り出す。
 どうせこやつのやることなど先が見えている。
 悲鳴をあげながら近くにいた猟兵に面の力で変身し逃げようとする金秘華猫。
 だが、多摘が2枚の符をそれぞれの猟兵に向けて投げて見せれば破魔の力ですぐさまその変化の化けの皮をはがされる。
 味方の猟兵の護符はすぐさま効力を解き護符と祟り縄の力でその身に宿る力を封じられながら、精神を怨念で引き裂かれそうな金秘華猫の元に再びふわりと近づいた多摘はただ幽世を愛し守る者としての言葉を投げかける。
「絶対に逃さんぞ。汝はここで必ず仕留めきる」
 骸魂として彷徨いオブリビオンとなるこの幽世の世界で再び彼女とまみえる機会はあるかもしれないが多摘は一切の恩情もなく世界を戯れに壊したこのオブリビオンの此度の騒動の報いは受けさせるとさらなる護符による封印と祟り縄の怨念の力を強める。

「~~~~~~!!!!!!!!!」
 もはや言葉にならない悲鳴をあげながら猟兵達の活躍によってその美貌も企みも潰された金秘華猫は最後は苦しみ悶えた末祓われたのであった。

 骸魂が剥がれ落ち元の福を招きそうな優しい猫又の妖怪が現れれば多摘は優しくそれを受け止め治癒の術を施した。
「汝もよくここまで頑張ったな」
 世界が戻っていくのを空模様で感じ取る猟兵達の中で多摘はある意味憑りつかれている間も必死に耐えて頑張って戦っていた被害者の妖怪に労いの言葉と優しい眼差しを向けると彼女が起きるまで見守っていた。

 こうして幽世から昼を奪ったオブリビオンとの戦いは猟兵達の勝利で終わったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『妖怪のお蕎麦屋さん』

POW   :    大盛の蕎麦を注文

SPD   :    冷たい蕎麦を注文

WIZ   :    温かい蕎麦を注文

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「この度は助けてくださりありがとうございますにゃ」
 ペコリと深々と集まった猟兵達にお辞儀をするのは金秘華猫に体を乗っ取られていた猫又の妖怪だ。
 乗っ取られた時とはまったく別人の福を呼びそうな可愛い猫又の店主はお礼に好きなだけ食べていってくださいねと猟兵達に伝える。
 今猟兵達がいるのは妖怪が経営するお蕎麦屋さん、どこか懐かしい店構えをしている。
 メニューは色々あるようで従業員の新しい妖怪から教えてもらった今どきのメニューとかにもチャレンジしているので中々侮れないかもしれない。
 店主は吃驚するぐらい美味しいお蕎麦をご馳走しますと張り切っている。
 せっかくだし美味しいお蕎麦を楽しもうと集まった猟兵達はメニューを見ながら何を食べようかと悩みながらも楽し気な空気を作っていた。
叢雲・凪
「おぉ 猫さん無事に助かったのですね! 良かった良かった!」
【早着替え】で瞬間的に着替えて普段着の素顔状態に。今までのクールな断罪者と同一人物とは思えない明るく人懐っこい笑顔を見せている。

「じゃあ お言葉に甘えてボクは温かいお蕎麦をもらおうかな お餅蕎麦で!」(カビ餅くん達の事を思って 供養になるかは分からないけどおいしく食べてあげよう)

「では… すべてに感謝して… いただきますっ!!」(蕎麦が出されると【礼儀作法】を用いて姿勢を正し 綺麗に手を合わせて大声で言う)

「おぉぉ 美味しい! 材料は全部この辺りのものなのかな? 麺は弾力があるし 汁は風味がありつつ濃すぎない良い味!」(食レポ感



「おぉ 猫さん無事に助かったのですね! 良かった良かった!」
店主である猫又の妖怪が無事なのを喜んでいるのはいつの間にか早着替えで普段着に着替えていたジンライ・フォックスこと叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だ。
 ヒーローとしての任務を終えた彼女は今はただのお客さん。戦闘時からは想像できない人懐っこい笑顔と柔らかな話し方で彼女本来の優しい雰囲気を纏っていた。
 店主がお礼に食べていってくださいにゃと言ってくださるならじゃあ お言葉に甘えてとメニューを見ながらどれにしようかなーと悩む凪。

 しばらくメニューと睨めっこしていた彼女だがある品に目が留まり……しばし考えてから店員の妖怪さんに声をかけて注文を。
「ボクは温かいお蕎麦をもらおうかな お餅蕎麦で!」
「はーい! お餅蕎麦ですねー!」
 とてとてと厨房でせわしなく調理している店主に注文を伝えに行く店員さんを見届けながら凪は想うのだ。
 今回の任務で出会ったカビ餅くん達の供養になるか分からないけど、美味しいお餅蕎麦を食べたら彼らも喜んでくれるかなと。
 相対していた時はジンライ・フォックスとして容赦なく彼らを倒した凪であったが彼らの生い立ちやただ誰かに美味しく食べてほしかった想いが戦ってて伝わってきたのが少し胸に残っているのだ。
 今後彼らのような悲しい妖怪を生まない為にもお餅を買ったとはちゃんと食べきろうなど誓いを立てているうちに注文したお餅お蕎麦が運ばれてくる。

「わぁ」
 熱々の出汁の中にお餅が乗った期待通りのお蕎麦に目を輝かせる。
 そのまま食べても美味しいのだろうが辛い物が好きな凪はちょっとだけ備え付けの一味をふりかけてから礼儀だたしく手を合わせる。
「では…… すべてに感謝して…… いただきますっ!!」
 厨房に居る店長にも届くぐらいの大きな声でそう言うと丁寧な箸使いで蕎麦を一口。
「おぉぉ 美味しい! 材料は全部この辺りのものなのかな? 麺は弾力があるし 汁は風味がありつつ濃すぎない良い味!」
 と目を輝かせて食レポみたいに感想を述べている凪に店員さんが店長自慢のお蕎麦を喜んでもらえて嬉しいねぇ店長も聞き耳立ててるからきっと尻尾振って喜んでいるよ。
 と凪に笑いかけてくれる。なお、店員の言う通り店長は作業しながらも二股の尻尾を嬉しそうに揺らしていた。
「それれじゃあ次は……」
 と一味のかかったお餅を一つ掴むとむにーんと噛み千切りながら蕎麦と一緒に味わう。
 はぁ……お餅もお蕎麦も美味しい……と顔を綻ばせる凪の耳に オモチ タベテクレテ ウレシイナ とどこからか聞こえた気がして一瞬吃驚した顔になる。
 ……不思議な幽世ならこんな空耳も聞こえるかとクスっと笑いながら凪は美味しいお蕎麦とお餅を味わった後大きな声でごちそうさまでした! と手を合わせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

杓原・潤
よーし、何とかなったかな。
まだまだ他の世界や戦いには慣れないけど……うるうも結構やれるじゃん!
猫さんも元に戻ってよかったね!

それでおそばかぁ、この世界にもおそばあるんだなぁ。
むくろだまケーキみたいに変なの入ってないよね?
大丈夫そうなら……やっぱり夏は冷たいおそばかな?
……いや、やっぱあったかいのにする!

(冷たいおそばだと大体ワサビが入ってる……ワサビ食べられないとか、笑われちゃうと嫌だし!)

えーと、コロッケもいいけど…折角だし贅沢に天ぷらそば!
うるうはかきあげが乗ってるのが好き。
でも小エビに殻が付いてたらニガテ…食べやすいのがいいな。

それじゃ、いただきまーす!
ふーふー…あ、おいしい!すごい!



 カウンター席に座りメニューと睨めっこしながら杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)は今回の任務の達成感を噛み締めていた。
 無事に何とかなったかな。まだまだ他の世界や戦いには慣れないけど……うるうも結構やれるじゃん! と今回の戦いをへて確かな自信を持つことができた。
 魔法使いだと学校の友達に自慢していた彼女だが先祖の書物の影響で本物の魔法使いになれたけどちょっとばかりちゃんと戦えるかなーと思っていた。
 サメや魔法の剣を操ったりとすごい魔法が使えるうるうだけどオブリビオンの存在を知ってちゃんと戦えるかなーとほんのちょっぴり不安に感じることも……だって魔法を使えてもそれで戦ったりしたことはなかったのだから。
 だけど実際に世界を渡って戦ってみれば持ち前の才能で仲間の猟兵と協力して事件を解決。
 店主の猫さんも元に戻って元気に自分達にお蕎麦を振舞ってくれている……その様子を見ているだけで自然と口角は嬉しさで上がり友達とかに自慢もしたくなるし、もっと色んなすごい魔法を覚えて困っている人を助けたいとまだ行ったことない世界とかにもワクワクしながら潤は笑顔を浮かべるのだ。
「お嬢ちゃん、注文は決まったかにゃ?」
 メニューを見たまま笑ったままの潤に店長の猫又さんが厨房から声を駆ければ、いけないワクワクしてて注文を忘れていたとちょっぴり慌てながら注文する潤。
「えーと、コロッケもいいけど…折角だし贅沢に天ぷらそば!」
 冷たいの……いや温かいのでお願いします! と元気に注文したら店主がすぐ作るから待っててにゃーと笑顔を浮かべる。
 注文を終えたが潤はバレてないよねと少し不安になるだって……。
 冷たいおそばだと大体ワサビが入ってる……だから夏だけど温かいのにしたけど、うるうがワサビ食べられないとか思われてない? 笑われるのは嫌だし! 大丈夫!? と心配になる、別にワサビぐらい平気よただちょっとだけツンとするのが苦手ってだけで……と心の中で弁明しているが誰にもバレてないので安心してほしい。

 そんな風に心の中で葛藤しながらも潤にはもう一つ疑問がある。ここのお蕎麦変なの入ってないよね? と。
 この世界には妖しさ満載の骸魂ケーキなるものがあるらしいと聞いた事ったので心配だ、チラっと厨房の様子をカウンター席から観察するが危ない物は入ってそうにないので安心した。

 そんな風に調理の光景を眺めているうちに注文した天ぷらそばが運ばれてくる。
「天ぷらそばおまたせにゃ!」
 と出されお蕎麦にやったー! かきあげ入ってるー! と喜びの声をあげる。
「うるうはねエビの天ぷらもいいけどかきあげ大好きなんだ!」
「そうだったのにゃーうちのは具がたっぷりなのが自慢にゃん」
 気に入ってくれると嬉しいにゃーと潤に伝えて店主は他のお客様のお蕎麦に取り掛かる。

「それじゃ、いただきまーす!」
 ふーふーとお蕎麦をさまし口に含んだ後大好きなかきあげにも被りつけば出汁を少し吸った衣と沢山の具材でできた美味しいかきあげのうま味が口いっぱいに広がる。
 小エビの殻もちゃんと処理されていて食べる人に配慮されたそのかきあげは潤の満足のいくものだった。
「あ、おいしい! すごい!」
 おいしすぎてびっくりしちゃった! と驚きながら潤は大好きなかきあげの乗ったお蕎麦を思う存分楽しんだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・多摘
その様子なら大丈夫じゃろう。
一件落着、目出度き事。
ならば休息を、猫又店主の好意に甘えるとしよう。

冷たい蕎麦を頼む。
季節柄此方の方が丁度良く感じる。
今時のメニュー…ふむ。ここはひとつ、店主のお勧めなどでお願いできぬだろうか。
長生きしている故に色々と嗜んできているが、自分で選ばない型の物を味わうのもまた楽しい事。
供物ではあまり挑戦的、現代的な料理等はなかったからのう。
山の幸は色々と味わってきているから少々煩くなるかもしれぬが…
いずれにせよ頂くときは礼儀正しく、完食してから感想を。
こういう時を過ごすのは久方ぶりで。
また別の戦いが始まる、その時の為にゆるりと休み、空気に浸ろうか。

※アドリブ絡み等お任せ



  一件落着、目出度き事じゃと店主の働く様子を眺め一息付くのは水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)だ。
 骸魂に憑りつかれたことで何か後遺症がないかと心配していたがあの金ぴかな猫の影響なども残ってない招き猫の様な可愛い猫又の店主の元気に働く姿は事件がしっかりと解決したのが見てとれた。
 ならば店主の好意に甘えるとしようとメニューを見ながらしばし考える。
 夏らしく冷たい蕎麦が王道ではあるがどのような物を付け合わせにするか……長い時間を生きてきた多摘の見たことないような取り合わせのメニューも中にはある。
 今どきの蕎麦屋はこの様なものもあるのかと感心してしまうと同時に頼んでみたくもあるが我の様なものでも楽しめるかなどとも考えてしまう。
 しばし考えに考えて多摘はあることを思いつき店員を呼ぶと注文をお願いする。
「冷たい蕎麦で店主のお勧めなどでお願いできぬだろうか」
 厳格な声でそう注文してみせれば店員の妖怪が一瞬ぽかーんと吃驚してしまったが店長に聞いてきます! と慌てて聞きに行く。
 しばし厨房の店長とやりとりし、戻ってきた店員がお勧めお任せくださいにゃ! と店長張り切ってますので楽しみにお待ちください! と多摘に伝えてきた。
「それは頼もしく……楽しみじゃ」
 はてさてどのような物が頂けるかと抑えられない楽しみな気持ちがその顔にも少しだけ浮かぶ。
 長生きしている故に色々と嗜んできているが、自分で選ばない型の物を味わうのもまた楽しい事……店主殿の手腕はいかにと期待を膨らませる。
 生前、竜神として崇められていた時の供物には挑戦的な現代的な供物は少なくそうした意味でも吃驚するような品を出してくれるだろうかと年甲斐もなくわくわくしてしまうのであった。

 そんな風に待っていた多摘にも冷たい出汁に入ったお蕎麦がやってきた。
「むぅ!? これは……!?」
 運ばれてきた品に目を見開き驚いてしまう、運ばれてきたのは夏野菜の天ぷらの盛り合わせこれは分かる……季節を楽しむ品として最適だろう……だが、蕎麦の方が面妖だなぜなら……。
「店主、お勧めの夏野菜の天ぷらとすだち蕎麦のセットです!」
 店員が言う通り冷たい出汁に入った蕎麦になんとすだちを輪切りにした物が大量に入った多摘の想像を超える品だった。
「すまぬが……このすだちは食べてよいものなのじゃろうか?」
「はい、なんでも最近の人間の世界で流行っている食べ方でさっぱりしてて美味しいらしいですよ」
 あ、でも苦手でしたらこちらの取り皿に避けて蕎麦と天ぷら楽しんでください。
 すだちのさっぱりさが出汁に移っているのでそれだけでも美味しいですよーと店員は応え他の客の元に向かってしまう。

「……店主のせっかくの心遣いだ頂くとしよう」
 予想外過ぎたお勧めに少しびっくりしながらも手を合わせ綺麗な箸使いで蕎麦とすだちを掴み一口食べてみる。
「むぅ……」
 これは中々さっぱりとしていて意外とすだちの酸味が蕎麦と出汁に合うと新しく経験した未知の味に舌鼓してしまう多摘。
 ならば天ぷらの方はどうじゃと数々の野菜の中からミョウガの天ぷらを箸でつかみ出汁にくぐらせ蕎麦と食べてみれば、すだちの香りとも喧嘩せずミョウガの香りと味を蕎麦と共に楽しめた。
 山の幸は色々と味わってきているから少々煩くなるかもしれぬが……と思っていたがこの夏野菜の天ぷらの素材自体も良い物でそのままでもきっと美味しく頂けただろう。
 だが、このすだち蕎麦と共に食せばよりさっぱりと夏の味覚を美味しく楽しめる。
 このような体験は初めてじゃと心の中で驚きながら多摘は食べ進め……食べ終わると店主の元に向かいお礼を述べる。
「とても美味しい蕎麦じゃった。長生きしている我にもまだこの様な未知の美味しい料理に出会えるのじゃな」
 良い経験をさせてもらえたと店主に伝えれば店主も竜神様に気に入ってもらえて嬉しいですにゃーと笑顔を浮かべる。
「この店がさらに繁盛するよう……我も祈っておこう」
 神としての力はもはやほぼ無い身であるが祈りは力を持つもの……この店と店主どのに幸あれと祈る多摘に店主は驚きながらも竜神様にそう言ってもらえるにゃんて嬉しいにゃと尻尾を揺らすのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
(メニューを見て)…そば切りって気分じゃないんですよね
コンド オイシイオモチ ミカケタラ タベテクレタラウレシイナ
…などと、言われたら似たものを無性に食べたくなってしまいましてね
そういうわけで酒と蕎麦がきを頼みます
誰に、って餅から直接ですよ



手を付ける前に『蕎麦がきに酒を備えて』から
敵ではあっても悪とは少し違うように思えましたから
供養の意思があることを示してから頂きます
似たようなものだからあの子たちも納得してくれるでしょう、多分ね




実際の供養、美味しいお餅は季節が巡った頃に改めて頂きたいと思います
冬頃にまた来ますのでメニューにそれっぽいの考えておいてくださいな



「…そば切りって気分じゃないんですよね」
 メニューを眺めながら呟くのはベルベナ・ラウンドディー(berbenah・∂・f07708)。
 蕎麦屋だし蕎麦を食べるべきなのかもしれないがどうにも気が乗らない……と言うのも今回の任務で出会ったカビ餅の妖怪との最後の光景が目に焼き付いているからだ。
 コンド オイシイオモチ ミカケタラ タベテクレタラウレシイナ そういいながら自分から消滅していったあの幼い妖怪とのやりとりを思い出すたびに無性に似たような食べ物が食べたくなってきている。
 一応、今の時期でも温かい餅入りの蕎麦とかもあるらしいがなんか違うのだ……こうできることなら餅単体を食べたい気分なのである。
「お客さん難しい顔してどうしました?」
 ウィーンとなんかロボっぽい見た目の店員がやってくる。彼こそこの店に現代風のメニューとかを広めた新しい妖怪さんだ。
「いや……その餅っぽい物を食べたくて」
 とベルベナは経緯なども伝えながら店員さんに相談してみる。
「それなら蕎麦がきがそれっぽいのでは?」
 ピコピコと音をさせながら答える店員さん、ベルベナも確かに餅っぽいメニューはこれだよなーと思っていたのである。
「あっ」
 ピコーン! と電球がついたような音を立てる店員さんがベルベナにある提案持ち掛ける。
「お客様、蕎麦がきとあんこを合わせるのどうですか?」
「あんこをですか?」
 詳しく店員さんの話を聞いてみると何でも最近の人間の世界ではあんこを添えたデザート風の蕎麦がきとかがあるらしい話を聞いたことありますとピコーン! ピコーン! と効果音を鳴らしながら説明する店員さん。
「メニューには無い品ですが店長に言ったら作ってくれると思います」
 と店員さんが自身たっぷりに言うのでそれならお酒と一緒にお願いしますと注文するベルベナであった。

「お待たせしましたー蕎麦がきとお酒ですー」
 ウィーン、ピコピコとやっぱし効果音を立てながら持ってきた蕎麦がきを見てベルベナは呟く。
「あんこが乗っているだけで餅っぽさがでてきますね」
 出されたお皿に乗った蕎麦がきはお餅っぽく成形された上に美味しそうなつぶあんが乗っていた。
 もう見た目はほぼ餅である。そんなデザート蕎麦がきに手を付ける前にベルベナはお酒をおちょこに注ぐとあのカビ餅妖怪に弔いの祈りをささげる。
 敵ではあっても悪とは少し違うように思えましたから……どうか安らかに成仏してください。
 しばし祈りを注いだ後おちょこに入った酒をグイっと飲みほしでは、いただきますとベルベナは蕎麦がきを食べ始める。
「ふむ……これは……」
 見た目通り餅に近いと思った……もっちりした蕎麦がきの食感、つぶあんと合わさった味も普通に美味しい……。
 これだけ似ている品を食べればひとまずはあの子たちも納得してくれるでしょう、多分ね……と思いながらベルベナはデザート蕎麦がきを堪能した。

「美味しい蕎麦がきをありがとうございました」
 自分の気持ちを汲んでメニューにない今風の蕎麦がきを提案してくれた店員さんにお礼を言いながらベルベナもお店側に提案してみる。
「できれば先ほどの蕎麦がきをメニューに追加していただけますか?」
 とても美味しかったのと……メニューに追加したら彼らの供養にもなる気がしてと伝えるベルベナ。
 幽世では骸魂となった妖怪を今でも隣人として悼んでいる、ベルベナのその申し出に店員は笑顔を浮かべながら店長に伝えておきますねと微笑む。
 優しい店長のことだすぐにでもメニューに追加しそうだし何なら色んなデザート蕎麦がきも編み出しちゃいそうだ。
「それではまたお餅の季節になった頃に伺いますね」
 そう告げたベルベナにありがとうございましたーと元気にお見送りをする店員さん。
 お餅の妖怪の供養もかねて冬になったらお餅の蕎麦と追加された蕎麦がきを味わおうと心に誓いながら一足先に元の世界に戻っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイティ・ネクスト
「ふむ……ヨシ!」
 暫くメニューとにらめっこした後に、
「猫御用達マタタビ配合カツオ出汁蕎麦にするにゃ。冷たい方で」
 猫舌だからにゃ。そんな物があるかどうかは知らないにゃ。でも、店主が猫股なら猫がまたたびを求める気持ちはある筈……!
「なければ作れ!」

「ほうほう、これはこれは!」
 ズルズルーッ! ズルズルズルズルッ!
「この香り……たまらない……犯罪的だにゃぁ……」



 猫にぴったりなメニューは何かにゃんとメニューを眺めているのはケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)。
 悪い猫も無事に退治することもできたしそれにふさわしくなおかつ猫にぴったりな美味しい蕎麦が食べたいと指差し確認しながらメニューと睨めっこするケイティ。
 一個一個これでもない、これじゃだめにゃんインパクトが足りないにゃと選んでいる彼女だったがしばらくしてふむ……ヨシ! と意を決して大きな声で注文する。
「猫御用達マタタビ配合カツオ出汁蕎麦にするにゃ。冷たい方で」
 猫舌だから冷たいのは当然、そしてやっぱし猫にはマタタビだ。
 お祝いの席で食べるなら猫としてマタタビは外したくないとケイティは考えた。
 だが、もちろん注文したマタタビ蕎麦はメニューには載ってない……だけど、この福を呼ぶ様な猫とは別方向の愛らしい顔つきの猫又店主なら猫の気持ちを汲み取り作ってくれるに違いにゃいと同じ猫として店主を信じて注文したケイティだったのだが……。
 店主は忙しいのにわざわざ厨房から出てきてケイティの前までやってくるとにゃふふと含みのある笑いでケイティの注文に返答する。
「お客様……当店の裏メニューを言い当てるとはすごいですにゃー猫って言ったらやっぱしマタタビですよにゃ!」
 にゃふふとほんの少し悪い顔をする店主、どれくらいマタタビキメちゃうにゃ~? と悪い顔で持ち掛けられたらケイティもつられてもちろんたっぷり猫は味わいたいにゃぁっと悪だくみしているみたいに笑ってしまう。
 何やら危ない代物を取引しているみたいになつているがマタタビは猫的にも合法です。
 そんなこんなで、なければなければ作れ! と思っていたケイティだが裏メニューとしてあったらしくお目当ての蕎麦にありつけそうである。
 にゃふふお客様が楽しくなっちゃうお蕎麦を待っててにゃーと厨房に作りに行った店主を眺めながらケイティは思う、あの店主猫と同じくらい侮れにゃいかもしれにゃいにゃと……。

 しばらくして再びにゃふふと笑いながらできた品を運んできた店主。
「感謝の気持ちを込めてマタタビたっぷり使ったにゃ味わってくださいにゃー」
 と運ばれた品を見たケイティもごくりと身構える。
「ほうほう、これはこれは!」
 一見何の変哲もない冷たい蕎麦に見えるその品だが猫であるケイティの鼻にはダシと共に香る魅惑のマタタビの香り。
 さっそくいただくにゃと箸を持ちズルズルーッ! と音を立てながら蕎麦を啜ったケイティに衝撃が走る。
「にゃ! これは!」
 マタタビとの合わせ出汁が蕎麦に良く絡むことでマタタビの味が口いっぱいに広がるが通なケイティには分かる出汁だけでなく蕎麦にもマタタビの粉を混ぜて蕎麦打ちしているにゃーと。
「この香りと蕎麦の味……たまらない……犯罪的だにゃぁ……」
 ズルズルズルズルッ! ともう一箸口に含みながら駄目にゃん! 美味しすぎて猫とろけちゃうにゃ~~~~ん!! とふにゃんとなりながらマタタビ蕎麦を楽しんだ。
 この後食べ終わった後もケイティはしばらく魅惑のマタタビパワーによりふにゃんととろけて椅子の上から動けないでいた。

「皆さん、ありがとうございましたにゃーよかったらまたきてくださいにゃー」
 店員一同で蕎麦を楽しんだ猟兵達を見送る妖怪の皆さんに手を振ったりなどしながら店を後にする猟兵達。
 こうして幽世の滅亡をみごと阻止した猟兵達はそれぞれの世界に戻っていく。
 今度は平和な時にこのお店に来るのもいいかもしれないと猟兵の中で考えた者もいるかもしれないがその時は優しい猫又の店主と気さくな店員さん達が笑顔でいらっしゃいませーと歓迎してくれるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月17日


挿絵イラスト