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熱砂と渇きの大地

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 妖怪達の住まう幽世。森や河川、農地など自然と緑にあふれた豊かな地だ。
 しかしその世界の安息は、オブリビオンの引き起こした突然の異変によって終焉を告げる事となる。
「水……水をくれ……」
 見渡す限りの砂、砂、砂。直射日光を照り返す、焼けた鉄板めいた熱砂。
 いつしか大量の砂に幽世は沈み、妖怪達の苦しみうめく声で満ちるようになった。
 かつては多種多様な妖怪行き交う町も、道路も建物もまんべんなく砂丘で覆われてしまう。
 さらにその異変の力によるものか、住人達はひっきりなしの渇きに襲われ続けていた。
「駄目だ……飲んでも飲んでも、喉が潤った気がしねぇ」
 砂漠化のために何もかもが埋まるのみならず、少しでも渇きから逃れようと、水を巡って争いまでが起き始めてしまう。
 そのわずかな水さえも、乾燥した空気にさらされ蒸発。目減りしていく始末だった。
「なんてこった……これじゃあみんな仲良く、ミイラになっちまうぞ」
「噂で聞いた話だが、町はずれにある鉱山に、竜が住み着いたらしい……なんでも骸魂に憑かれちまってて、そいつがこの現象を引き起こしているとか」
 はるか山の奥の奥。鉄の採掘場として知られていた炭鉱の奥地にて、凄まじいまでの凶暴な咆哮が、挑戦を待つかのように響き渡っていた――。

「猟兵のみんな、よく集まってくれたな! カクリヨファンタズムが、砂に覆われちまう事件が発生しているようだぜ!」
 グリモアベースに集まる猟兵達へ『人間のガジェッティア』ロロック・ハーウェイが、事件の発生を告げた。
「このまま放っておけば、生きとし生けるものはみな風化し、砂の一部になっちまうだろう。そうなる前に、みんなにはオブリビオンを見つけ出し、撃破して欲しい!」
 猟兵達が向かうのは、妖怪らも噂していた、町はずれにある炭鉱だ。
 ただし、この炭鉱はオブリビオンの力で複雑な構造の迷宮と化している。突破するのは一筋縄ではいかないだろう。
「あちこちに折れ曲がった道や、落とし穴みたいな縦穴。その上どこもかしこも砂だらけで、足を取られる事間違いなしだ」
 加えて、この「砂の世界」では、全てが乾いていく。
「文字通り、みるみる喉が渇くんだ。喉が渇けば体力が削られちまう」
 しかもどこにも熱の逃げ場がないため、砂そのものがとても熱く、どこで休もうと焼け石に水。短時間で大量の水分を奪い取られていくだろう。
「まぁ肉体を持っていないタイプの猟兵なら影響はそんなにないだろうが、それでも渇くようなもどかしい、精神的に耐えがたい不快感や疲労感は蓄積していくだろう」
 ならば水筒やボトルなど、水を携行していけばいいと思われるが、その水自体も、密閉して保存していようが徐々に減っていく有様なのだ。
 いずれは水分補給もできなくなり、オブリビオンとは厳しい戦いを強いられるだろう。
 すなわち、渇ききる前に素早くこの炭鉱を駆け抜けるのが肝要なのだ。
「けども、奥へ到達するには、途中にある頑丈な扉を開けなきゃならねぇ。この扉を力ずくで開くのは恐ろしく時間がかかるから、どこかにある鍵を見つけた方がずっと早い」
 鍵そのものは壁や砂を掘って探せばあっさり見つかるだろう。
 だがなんといっても、その数がやたらと多いのだ。
 ほとんどはダミーの鍵であり、本物は一つのみ。
 本物でなければ扉は開かず、無論探している間にも喉の渇きは進行していく。
「対策としては、とにかく掘りまくって見つかり次第片っ端から扉へ試すか、すでに見つかった鍵を見比べて本物を探すか、あるいは探す場所を工夫するとかな」
 扉そのものは険しい通路を抜けた奥に設置してある。つまりオブリビオンは、猟兵達に奥へ進んでほしくないと考えているはずだ。
 もしオブリビオンが鍵を隠すとしたら、炭鉱の「入り口側」とは考えにくい。ならば炭鉱の「奥側」を重点的に調べれば見つかるかも知れない。
 逆にその思考の裏をかき、あえて入り口側に仕込んである可能性だって捨てきれない。
 よく探す場所を指定して、それが的中すれば、素早く本物の鍵を発見できる事だろう。
 もちろん、一か所に集中してしまう分だけ、徒労に終わった場合余計に体力を消耗するデメリットも存在するが――。
「どっちみち、こんな悪条件の迷宮は急いで抜けちまうに限るな。猟兵でこんだけ辛いんだから、妖怪達はもっと厳しい目に遭っているはずだ。彼らを救うためにも、この砂の試練を踏破してくれ!」


霧柄頼道
 霧柄頼道です。よろしくお願いします。

●砂の世界
 猛暑と乾燥した空気で覆われているため、幽世にとどまっているだけで喉の渇きが進行していき、その分体力や気力が減っていきます。
 水を飲む事で多少は軽減されるので、持てる分、動きの邪魔にならない分の携行を勧めます。
 また、厚く積もった砂に足を取られるため、普通に歩いていると移動が遅くなります。
 炭坑内にばらまかれている鍵は百本以上です。本物は一つだけです。
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第1章 冒険 『本物の鍵は?』

POW   :    片っ端から試す!

SPD   :    鍵を見比べて本物を探す

WIZ   :    扉から逆算して本物を見つける

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
あーーークソ暑い!!
いや、襟巻きのついたコート着ているお前も
人のこと言えないからな?

水分補給用の水筒は少しでも減りを押さえる為に
氷竜の零に抱いててもらう
まぁ簡単なクーラーボックス的な役割だ

更に暑さ対策として
UC発動し氷属性の小型のドラゴンを数体召喚
俺達の周囲に配置し、常に氷のブレスを吐かせて
暑さを冷気で緩和させる
名付けてドラゴンエアコン!…暑さで少しおかしい
ドラゴン達がバテたら新たに数体召喚して交代
こうしてドラゴンを小出しにして
少しでも長く涼しい空間を保ち
その間に綾と協力して地道に鍵を探していくぞ

一気に移動したい時は、少し狭いが
成竜の焔に乗って飛んで行き時間短縮


灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
いやーまったく、梓ってばそんなハイネックの服着て
見ているだけで暑さが増してくるよ

暑さ対策は梓がしてくれるから
俺は少しでも効率的な鍵探しの方法を考えよう
まずUC使用し、ナイフに「砂」を透過する性質を与える
これをスコップ代わりに突き刺せば
砂の抵抗を受けずに鍵だけを探り当てられる
百本以上もあるから、これで時間や体力の消耗を
かなり抑えられるはず
ナイフを梓にも渡して手分けして探し集めていくよ

で、集めた鍵の先端(差し込み部分)を見比べる
大量のダミーをわざわざ全部違う形状にはしなさそうだし
全く同じ形状の鍵が複数あれば
それはハズレと考えても良いだろうね
こうして可能な限り絞り込んでいく


藏重・力子
なんと!砂に覆われ砂と化すか、ぞっとせぬな
無味乾燥な世は好かぬ。必ず果たすと【気合い】を入れて突き進まん!

乾物になるのは御免である!水を入れた竹製の水筒を持参し、途中で渇きを覚えたら少しずつ飲むぞ

『司鬼番来・流』で鯉幟を召喚。宙に浮くこれらを道、そして足場として迅速に走り抜け、目指すは炭鉱の奥側だ!

【第六感】を働かせ、隠すなら此処ではないか……という所に着いたら、その場にある鍵を【見切り】、手当たり次第に試すしかあるまい!
「これでもない!これでもない!一つ違ってこれでもない!」
……砂を噛むような作業であるが、これが今の我に尽くせる力よ
例え本物がなくとも、手早く偽物を減らせれば御の字、であろうか


カグヤ・アルトニウス
〇その扉?

(アドリブ歓迎)
肉体を持たぬ者が通り抜けられない扉というのが、少し引っ掛かるので、これが見たままの物でない可能性も考慮して攻略に乗り出す事にします

(UC)
対象:扉
効果:「扉」を「道」に書き換える

これによって扉は「開けない」ので鍵はいりませんが、扉のある所が道になるので一時的に通れる様になる…と思います

(行動:WIZ)
今回の備えは…
宇宙空間でも耐えられる宇宙服を稼働させれば熱と乾燥は問題ないですね
飲料水もある程度は宇宙服内にしまっておけますし…
動き難い問題も【念動力】による【空中浮遊】で移動すればいいのですし

念の為、扉の鍵に【追跡】のサイコメトリーで鍵の特定も出来る様にはしますね


マイア・ヴェルナテッド
召喚した使い魔達に持たせた水分補給用の水とは別に犬達の負担にならない程度の水を持たせて余分に水を持ち込み
闇夜の日傘で日陰を作り、熱除けの『結界術』、日除けのフード&外套で熱対策をしっかり施した上で臨みます

【使い魔による探索】で呼び出した犬達の『野生の感』『失せ者探し』で鍵を探させつつ索敵、私自身はまっすぐ扉前まで向かいます
後は扉前で待機しつつ使い魔達に回収させた鍵を使います


ティクルス・ディータ
ここ、あつい。ぴりぴりする
水、間に合う?…なくなる前に、出たい
あついのは、生きてるからだけど
これじゃ、消えてなくなっちゃうから、やだ
でも、依頼は守る。早く出たいから、頑張る

足、動きにくい。転んで、落ちた。全部じゃりじゃりする。気持ち悪い
鍵、早く見つけたい。でも、たくさんある
考えて、分からないのはだめ
掘って、合わないのもだめ
いっぱい見つけて、いっぱい試せばいい
だから【クライシスゾーン】で全部掘って、探す
強いとまた埋もれる?困るから、気を付ける
あと、ひとも巻き込んだら、だめ


天星・零
enigmaで夕夜と

指定UCと【ウェビル・ジョーカー・オブ・ウィスパー】のオブリビオン で一緒に【情報収集】しつつ鍵を探す

「ふふ、宝から探しみたいで楽しいね夕夜」

『まぁな!鍵なら【変幻自在の影の住人】が鍵穴を見て鍵の形を作ればいけるんだろうが、敢えて探すのも楽しいからな!』

と言ってみんなで鍵を捜索します。
指定UCのルーガルズはみんなが暑さにやられないように適度に弱い吹雪や氷を作ったりと気配り。

「わ、ありがとう。ルー。」
『なんか、こうやって遊ぶのは久々な気がするな』

汚れてない手でルーを撫でてあげる

鍵を見つけたらみんなでハイタッチしてそのまま進みます



「あーーークソ暑い!! どうなってんだこの暑さ!」
 全身を襲う焼けつくような猛暑に、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)はみるみる額に汗を浮かべ、手で顔を扇いだものである。
「いやーまったく、梓ってばそんなハイネックの服着て……見ているだけで暑さが増してくるよ」
 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が苦笑すると、梓もうろんげな目つきでびしっと指差す。
「いや、襟巻きのついたコート着ているお前も人のこと言えないからな?」
 どっちもどっちである。
 ともあれ、この熱空間の中をさらに奥へ進まなければいけないのだ。
 そのためには、薄暗い炭鉱のどこかにある、扉を開ける鍵を見つけるしかない。
「零、こいつを頼む」
「ガウ……」
 さすがにこの異常な暑さは堪えるのか、気持ちぐったりしている氷竜へ、梓が水分補給用の水筒を預ける。
 これで少しは水も冷えるだろうし、その分減りも遅くなるはずだ。
 さらにそこからUC【竜飛鳳舞】を発動。飛び回る氷の小型ドラゴン達を召喚し、自分と綾の周囲へ配置すると、そこから氷をブレスを放出させ、空気を冷却させ始めた。
「ふー、涼しい。これでちょっとは暑さも緩和できたね」
「ああ。名付けてドラゴンエアコン! ……なんだよ零、そんな目で見るなよ」
 熱が頭に上っているのか、だんだんと梓のテンションもおかしくなってきている。
 とはいえ、これで暑さに対する対策は完了した。ドラゴン達に天然のクーラーをかけてもらいつつ、綾は取り出したナイフにUC【ディメンション・ブレイカー】を使用する。
 与えた性質は砂の透過だ。試しに足元へ刺してみれば、刃は豆腐でも切るように、何の抵抗もなくするりと地面へ入り込み、手を離せばそのまま下へ潜り込んでしまいそうな程だった。
「これをスコップ代わりに突き刺していけば、鍵だけを探り当てられるね」
 おまけに作業時間は短縮できるし、体力の消耗も相当抑えられる事だろう――。
「よしきた、それならどんどん刺しまくるぜ!」
 綾がもう一本のUC使用済みナイフを梓に渡し、さっそく二人で手分けして探し始めた。
 とにかく一つ一つのフロアを徹底的にしらみ潰しにしつつ、鍵を集めていく。
 ドラゴンエアコン達が疲労の末にバテれば、梓が新たなメンツを召喚。効率よく交代を繰り返してクールな空間をなるべく保つ。もちろん、必要になれば零に預けた水をもらい、まめな水分補給も忘れない。
 じわじわと真綿で首を絞められるような悪条件の中、何より集中力と根気のいる地道な作業だが、足元の砂が一面穴だらけになる頃には、両腕で抱えられるくらいの量の鍵が集まっていた――。

「なんと! 砂に覆われ砂と化すか、ぞっとせぬな」
 藏重・力子(里の箱入りお狐さん・f05257)が炭鉱の出口から覗いた先には、見渡す限りの砂漠地帯。
 乾いた風だけが思い出したみたいに吹き抜ける空の下。生きとし生けるものの気配がまったくなく、まさに滅びそのものの定めを辿っているかのような有様だ。
「無味乾燥な世は好かぬ。水で潤い緑の繁茂する大地を取り戻すため、必ずやこの仕事、果たしてみせよう!」
 いざ、と気合を入れてきびすを返し、炭鉱の奥へと踏み込んでいく。
 けれども、その足はすぐに止まった。
 進み始めてほんの数歩。すでに力子の額は汗だくになり、乾ききった口が水を求め、無意識に開いてしまっていた。
「洞穴の中にいるというのに、まさか陽炎が立って見えるとは……これも世界にはびこる尋常ならざる力の仕業、という事か」
 すぐに竹製の水筒を取り出すや、ごくっと一口飲み下す。
「ふーっ……乾物になるのは御免である! とはいえ飲み尽くさぬよう、配分を考えてゆかねばな」
 その上、まだ出入り口付近にも関わらず、足首から膝下あたりまでが砂に呑まれてしまっていた。もう少しいけるか、と思ったが、その見込みも修正した方が良さそうである。
「温存などしていられる状況ではないか……「おたき」殿、力を借りるのである!」
 力子はUC『司鬼番来・流』で鯉幟達を召喚。この世ならざる酷暑と渇きの中でもふよふよと平和に漂う鯉幟の群れを、砂の上へと並べて配置。
 力子は慣れた動作でぴょんと軽やかに飛び乗ると、足場にした鯉幟達の上を駆け、素早く奥へ向かって突き進んでいく。
 途中に道をふさいでいる扉。それを開くには、どこかにある鍵を発見する他はない。しかしながら、あいにくその手掛かりはないに等しい。
(「つまるところ、頼りになるのは我の直感! よく観察し、そして感覚を研ぎ澄ます!」)
 いかにもありそうな、という雰囲気の場所へ辿り着くと、そこからは鯉幟を降りて、熱を伴った砂に直接触れながら、ひたすら地面を掘り返し始めた。
「これでもない! これでもない! 一つ違ってこれでもない!」
 砂の中へ手を突っ込むごとに、焼けるような痛みが走る。
 加えて、ぽんぽんと見つかる鍵もどれもが偽物の上、太陽の熱が伝播されて十分に熱された金属なため、うかつに触り続けようものなら軽い火傷を負ってしまう。
 探し尽くせばまた別の場所へ行くため、凄まじい熱が蓄積されたままの足を酷使し、鯉幟を走っていく。
 その間にも襲い来る渇きにたまらず水筒へ手が伸びるため、作業時間も遅らされる一方だ。
「……砂を噛むような作業であるが、これが今の我に尽くせる力よ」
 けれども、幽世の妖怪達の苦しみはこんなものではないだろう。もはや偽物の鍵に落胆している暇すら惜しい。足りない手数は根性で補おう。
 例え本物がなくとも、手早く偽物を減らせれば御の字――そんな風に前向きに考える事で気合を入れ直し、力子は無心に手を動かし続けたのだった。

「内部は入り組んでいるようですね……多めに水を持ち込んできて正解でした」
 闇夜の日傘を差したマイア・ヴェルナテッド(ノーレッジデザイア・f00577)は、日陰から目をすがめて炭坑内を見渡す。
 薄暗く、日の光こそさして射し込みはしていないものの、外から続く熱波がひっきりなしに洞穴内を駆け抜け、こうして砂の上に立っているだけで炎の蛇が足をよじ登ってくるかのようだ。
 空気の乾燥ぶりもひどい。長時間いようものならせっかくのしっとり手入れされた肌がずたぼろになりかねない。目だって、開けているだけで熱にあぶられるかのようだ。こんな場所、常人では一刻たりとて耐えられないだろう。
「単なる自然現象だけではない……それらを強めるオブリビオンの力が働いているという事ですね」
 もとより、日除けのフードと外套を羽織って熱と紫外線への防御は固めているものの、到底それだけでは、この【敵の攻撃】を防ぎきる事はかなわない。
 マイアはさらに魔杖を振るい、周囲に熱除けのための結界術を張り巡らす。
 素早く施された結界の効力か、骨まで食い進むが如き熱の進行はするすると後退し、せいぜい生暖かい空気に覆われている程度の感触に軽減される。
 結界を維持しながら長い距離を歩くのはそれなりの労力を要するが、これ以上この熱と渇き地獄にさらされ続けるよりかはずっとマシだった。
 傍には召喚した蝙蝠使い魔達に水のボトルを持たせ、さらに探索に長けた使い魔の犬達にはそれよりも一回り小型のボトルを首にかけさせ、炭坑内へ放つ。
「とりあえず手当たり次第に鍵を集めてきて」
 探索に長けた使い魔達なら、効率よく鍵を収集できるはずだし、敵が隠れ潜んでいないかの索敵も行えるだろう。鍵の真贋はマイア自身の目と手で確かめていけばいい。
 マイアは蝙蝠達を引き連れ、悠々と奥へ向かう――。
 辿り着いたのは、大きな扉の前だった。なるほど堅牢そうな佇まいであり、鍵穴は一つだけ。
 うっすらとかいた汗を手ぬぐいで拭き取りつつ、適当な岩の上へ優雅に腰かけて待っていると、やがて鍵をかき集めてきた犬達が駆け戻ってきた。
「さて、当たりが入っているといいけれど……」
 マイアは大量の鍵の山から一本ずつ取り出して、鍵穴へ突っ込んでいく。合わなければ放りだし、また別の鍵を――という具合に試していったが、残念な事に扉が開く気配はなかった。
 使い魔達には悪いが、もう一度鍵の回収に向かってもらわねばならない。
 口を開くとその分乾燥した空気に水分を持っていかれるため、手ぶりで使い魔達へ指示を出してから、マイアは初めて水分補給用のボトルへ口をつけた。
 準備の段階からあらかじめ冷やしておいたにも関わらず、それらの水はすでにぬるくなっていた――。

「うおー! あっちいなあ! 洞窟の中なのに、外と大して変わらない暑さだぞ!」
 enigmaで現れるや否や、炭坑内を見回しながら夕夜がそんな事を漏らす。
「この洞窟爆発させたら、すっごい楽しそうだねウェヒヒ!」
 これまた物騒な呟きをこぼしているのは、人手として呼んだウェビルである。
「やめろ……お前が言うと冗談に聞こえない」
 一方、もう一人の人手であるルーガルズは、やりたい放題しかねないウェビルに先んじて釘を刺していた。
 これに天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)を加えた四人のメンツで捜索すれば、鍵探しもスムーズに進むと思われるはずだ。
 さっそく奥に向かって踏み出しながら、怪しそうな箇所を調べたり掘ってみたり、鍵の捜索に手を付けていく。
「ふふ、宝探しみたいで楽しいね夕夜」
「まぁな! 鍵なら【変幻自在の影の住人】が鍵穴を見て鍵の形を作ればいけるんだろうが、敢えて探すのも楽しいからな!」
「それにそんなズルしたら、扉が大・爆・発しちゃうかもしれないからねっウェヒ!」
「とりあえず爆発させないと気が済まないのかお前……」
 基本的にあっちこっちを自由にうろつき、奔放に探しまくる夕夜やウェビルを横目に、ルーガルズが適度に弱い吹雪を吐いて全員の体温を調節したり、喉が渇けばほどほどの氷を作って渡してくれたりと気配りしてくれる。
「わ、ありがとう。ルー」
「なんか、こうやって遊ぶのは久々な気がするな」
 零がお礼の意味を込めてルーガルズの毛並みを撫でると、ルーガルズは気持ちよさそうに薄く目を細めていた。
「おーい! こっちになんかあるぞ! っておいウェビル! 勝手にあさるな!」
 と、いつの間にか遠くまで行っていたのか、奥から夕夜とウェビルのじゃれ合う声が聞こえてくる。
 急行してみると、そこは炭坑内のフロアの一つ。すでにいくらか地面が掘りぬかれ、中から鍵らしき物体の先端が顔を出しているではないか。
「もしかしてこれかな? 鍵って」
「……そう見える。もう少し砂を除ければ取り出せそうだな」
「よし! そうと決まれば全員で掘りまくるぜ!」
 わっと地面へ屈みこみ、手で砂をかきだしていくと、みるみるその物体が金属の輝きを放ち、全容があらわになっていくではないか。
 出てきたのは手ごろなサイズの鍵だった。とはいえまだ一本しか見つかっていないため、これが本物かどうかは分からない。
「ふふ、やったねみんな」
「零の声ガラガラになってるーウェヒヒっ」
 それでも四人組は確かな探索の手ごたえに、はしゃぎ声を上げて喜びつつ、ハイタッチを交わす。
 炭鉱の環境は決して快適とは呼べないものの、賑やかに歩きながら協力して何かを探す充実感に疲れを忘れ、それからもあちこちを探し回り、どんどん鍵を見つけていくのだった――。

「ここ、あつい。ぴりぴりする」
 ティクルス・ディータ(海雪・f27190)は肌を刺すような熱気に、早くも持参の水ボトルへ手をつけていた。
 オブリビオンの力によるものか、飲んでも飲んでも、一向に喉が潤う充足感は得られない。むしろ自制心を働かせなければ、無意識に全部飲み尽くしてしまいそうだった。
「水、間に合う? ……なくなる前に、出たい」
 この暑さ。渇き。生々しい感覚の全ては生の証左ではあるが、これではそう長い時を待たず、ティクルス自身が朽ち果て、あたりに散らばっている砂に沈みかねない。
 そんなのは御免だ。
「でも、依頼は守る。早く出たいから、頑張る」
 もそもそと歩みだすが、とたんにずぼっと足首までが砂の地面に埋まり、斜めにたたらを踏む。
「……動きにくい」
 なんとかもう片方の足を前へ進めようとするも、うまく運べず身体が傾ぎ、そのまま前方へ転がるように転倒してしまう。
 しかもそこは勾配となった砂の坂。ずるずると下方へ滑り、手足を踏ん張って身を起こした時には、もう全身砂まみれになっていた。
「全部じゃりじゃりする。痛い。気持ち悪い」
 砂に宿る熱が、衣服や肌を通して神経を痛めつけてくる。最悪とはこの事だ。
 とにかく鍵を見つけ出したい。確か偽物と本物があるのだったか。
 早く本物を……と手近な壁を掘ってみるも、転がり出て来たのはどれも似たようなデザインの鍵。到底扉を開けられるとは思えなかった。
 いちいち一つ一つ試していたのでは間に合わない。
 ――であれば、全部掘り返してしまえばいい。
 ティクルスが叡智の杖に魔力を集中させ、UC【クライシスゾーン】を解放する。
 するとどうだろう。ティクルスを中心にして周囲の砂が巻き上がり、その下に埋もれていた無数の鍵が一網打尽に舞い上がって、ぱらぱらと降ってくるではないか。
「強いとまた埋もれる……困るから、気を付ける」
 巻き上がった砂は小規模な竜巻に変換され、視界も悪くない。とはいえ、解除するとまた砂へ戻る上、一斉に降り注いでくるため下敷きになりかねない。
 戻す際は慎重に行うとして、この炭坑内には他の猟兵の仲間も探索している。
 竜巻の規模を広げすぎてもいけない。細かな調整が大事なのだ。
 ティクルスはクライシスゾーンを維持しながら、発見した鍵を一か所に集めていく。
「頭、ふらふらしてきた」
 竜巻のおかげで幾分涼しくなってはいるものの、渇きの進行そのものは止まらない。目もぱさついてきた。
 UCへの集中、鍵集め、その間に水分補給――とやる事が多く、もうなにがどう辛いのかすら分からない。
 けれど、頑張ってやるのだ。頑張れば頑張るほど、早くここから出られるはず。
「十、二十……結構、集まった。もうひと踏ん張り」
 そうして作業がひと段落した後、ティクルスの前には結構な数の鍵が揃っていた。
 果たして、この中に本物はあるのか……さっそく扉の解錠を試すべく、ティクルスは腕いっぱいに鍵の山を抱えて立ち上がった――。

「肉体を持たぬ者が通り抜けられない扉というのが、少し引っ掛かりますね……」
 カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は思索を巡らせながら、炭坑内を奥へと進んでいた。
「これが見たままの物でない可能性も考慮した方が良さそうです」
 そのためにも、まずは扉まで無事に辿り着く必要がある。
 備えとしては、この身に着けている宇宙服多領域用防護服「アクティブ・アイギス」だ。
 宇宙空間でも耐えられる耐久性に加え、一度稼働させれば、高熱だろうと乾燥地帯だろうとあらゆる状況に適応する生命維持機能を発揮する。
 カグヤが十全に行動できるだけの快適な環境が展開されている上、生存に不可欠な飲料水も十分な量、宇宙服内に収納しておける。
 残る問題は柔らかすぎる砂だ。体重をかければあっという間に足を飲み込み始めるだろうその足場は、カグヤ自身が念動力を行使して浮き上がり、空中を浮遊しながら行軍する事で解決した。
 入り組んだ迷路のような構造に関してはさすがに踏破にてこずらされたが、それでも事前準備が功を奏し、最低限と呼べる消耗に抑えつつ、目標の扉前へ到着できた。
「見た目はいかにも、頑丈そうな扉ですね」
 目の前にそびえるのは巨大で、分厚く、侵入者を阻むかのような威圧的な両開きの扉である。中央部には鍵穴と思われる小さな穴が開いていて、おそらくはこの箇所に鍵を差し込むのであろう。
「ともあれ、さっそく試してみましょうか」
 ここでカグヤが発動させたのは、UC【Overlord The Dimension】だ。
 対象は当然、眼前に立ちふさがる扉。
 選ぶ効果は、「扉」を「道」に書き換える――。
「これによって扉は「開けない」ので鍵はいりませんが、扉のある所が道になるので一時的に通れる様になる……と思います」
 カグヤの読み通りであれば、自分のみならず他の猟兵も、鍵を探す労を経る事なく、全員で通過がかなうはず――。
 結論から言うと、「扉」は「道」になった。
 但し、扉には特殊な特異概念魔術遮断防壁が局地的な多重閉鎖空間を形成しており更に高次の時空間かつ広範囲の位相に対して隙間なく効力を供給している為に一度のUC行使に於いては想定外のリソースを多量注ぎ込む破目になるようだ。
 つまり、この扉は思ったより固いのだ。「道」は「道」でも針の穴みたいにごく狭く、通過するためにはカグヤのルールが浸透しきるまでそれなりの時間待つ必要がある。
「それなら、並行して鍵も探すとしましょう」
 突破の手段は多い方がいい。カグヤは扉の鍵穴に触れ、本物の鍵がどこにあるのか、位置を逆算するようにサイコメトリーを使う。
 脳内に浮かび上がる、本物の鍵が埋まっている部屋の光景。とはいえ迷宮化しているためにどこの場所も同じに見えるため、分かったのはおおまかな位置関係のみだ。
 けれども、これは大きな手掛かりになるだろう――カグヤは鍵を探す他の猟兵達に、この情報を伝えていくのだった。

 その情報を聞いた梓と綾は、本物の鍵があると思われる場所を探索し、そこで見つかった鍵を扉前へ向かいながら精査していた。
 何度も炭鉱内をさまよったおかげで多少なりとも道筋には明るくなり、扉前へは少し狭いが成竜の焔に乗って飛行しながら移動中である。
「あー……ったく! 暑い中、こういうこまごました作業は体力だけでなく精神に来るよな」
「まあまあ。鍵の先端を集中して見比べれば、ちょっとは楽になるかもしれないよ」
 綾の言う通り、もし大量のダミーをたくさん作るとして、わざわざ全部違う形状にはしないであろうし、全く同じ形状の鍵が複数あればそれは外れと見ていい。
 その点、鍵の差し込み部分に限れば(ダジャレではない)、全体を見るよりも確認作業にかかる手間は大幅に短縮できるのだ。
 扉前には他の猟兵達の姿もあった。みんなは一か所に集めた鍵の山を焚火よろしく囲み、目を凝らして一心不乱に確認を行っている様子である。
 梓と綾も運んできた鍵をその山へ乗せて、改めて全員で黙々と見比べていく。
 そうして――ほとんどの鍵の山が取り除かれ、残るは最後の一本。一番底の方に埋まっていた鍵だ。
 全員で覗き込む。手元のダミー鍵と見比べる。
 違う。その造作の丁寧さも。差込み部分の形状も。漂わせるオーラも。輝きの高貴さも。
「こ――これだーーー!」
 梓がやってやったとばかりに叫び、続いて力子も両腕を振り上げて歓声を上げる。
「砂漠の中から一本の針を探し出したかのような達成感であるな!」
「あつい。……これで、先に進める?」
 ティクルスが熱でゆだったみたいな呆然とした呟きを漏らし、そこにマイアが予備の分の水ボトルを差し出す。
「お疲れでしょう、どうぞ。みなさんも良かったら」
「ふふ。ありがとうございます」
 にこやかに受け取る零の後ろで、カグヤがさっそく本物の鍵を、鍵穴へ差し込んだ。
「あ、回りましたよ。苦労した甲斐がありましたね」
 重厚な音を発しながら、いよいよ扉が開いていく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鴉威し』

POW   :    烏合
全身を【ぼんやりした銀色の光】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    三様
戦闘力が増加する【大弓を持つ狩人】、飛翔力が増加する【風車を大量に背負った姿】、驚かせ力が増加する【巨大な目玉】のいずれかに変身する。
WIZ   :    追捕
攻撃が命中した対象に【黒い泥のようなマーキング】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自動追尾するエネルギー弾】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の探索により、ついに開いた炭鉱の扉。
 その先はさらなるアリの巣じみた複雑な迷宮へ通じており、しかも『鴉威し(からすおどし)』と呼ばれる、元がどんな妖怪かも不明な、影のごとき骸魂がはびこっていた。
 さしたる戦力も持たない相手ではあるが、壁や岩の後ろから、死角を突いて襲ってくるぞ。敵の奇襲や包囲に注意しよう。
 そこに輪をかけて、戦場の地形が最悪だ。
 これまた無数に点在する急勾配や、一度足を取られたら瞬く間に呑み込もうとしてくる、濁流めいた流砂。
 おまけに天井に開いた数々の穴からは、大量の砂の塊が雪崩か滝よろしく、不規則なタイミングで降り注いで来るだろう。
 もちろん、猟兵の身体を蝕む高熱や乾燥パワーも健在である。
 あらゆる要素がスタミナを削ってくるため、うまく温存するか、あるいは速攻をかけて敵を全滅させよう。
 山登りに例えるならばここはいまだ中腹。天頂に坐する黒幕のオブリビオンの元へ辿り着くため、敵群を蹴散らし突破するのだ――!
カグヤ・アルトニウス
〇砂幽霊

(アドリブ歓迎)

まあ、普通の物質なのにUCを弾く様な扉で封じ込まないといけない存在には今から物凄く…嫌な予感がしますけど、今はここの突破ですね

(行動:WIZ)
基本的には宇宙服と【空中浮遊】による移動はそのままですね
天井からの砂は【第六感】で察知して【ダッシュ】による短距離テレポートで離脱して対処します

(対鴉威し)
UCにヤサカで除霊効果を付与して盾代わりとして自分の周りに竜巻の様に展開してシャッター・ウオールと併用して奇襲に備え、攻撃を受けたら【カウンター】で迎え撃ちます
また、時折、安全な場所で停止して【念動力】+【追跡】で敵性の思念を探知し、捉えたらUCを送り込んで一気に仕留めます



「まあ、普通の物質なのにUCを弾く様な扉で封じ込まないといけない存在には今から物凄く……嫌な予感がしますけど、今はここの突破ですね」
 カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)が肩越しにちらりと振り返れば、そこには開け放たれたばかりの扉。
 果たしてこの先に待ち受けるものは、一体どれほどの相手なのか――。
 懸念もあるが、ともあれまずはオブリビオン群の歓迎だ。これを攻略しなければ、進む事はかなわない。
 しかし、思い通りの戦闘を行うためには、まずこの地形による妨害をどうにかする必要があった。
 先ほどと同じように宇宙服は着用したままで、激しい戦いに備えてあらかじめ水分を補給しておく。浮遊状態も引き続き維持する事で、足元の柔らかく熱い砂には一切触れないようにした。
 問題は天井の穴から降り注ぐ砂である。これに関しては宇宙服の防護をもってしても、ひとたび直撃を受けようものなら地面へ叩きつけられてしまうであろう。
 また、どれだけ観察しても規則性というものが感じられない自然の猛威だ。だからこそ、カグヤは直感を働かせ、あちこちからあふれ出る砂の滝めがけ、素早く分け入っていく。
 落砂地帯の間から間を縫うように避けつつ、さらに加速をつけてテレポート。分厚い砂の壁を一気に跳び越え、奥に漂う鴉威し達を捕捉する。
 構えたのはヤサカ。神代の勾玉を埋め込んだ腕輪型サイコデバイスだ。
「剣なりし花吹雪の舞をその身に受けなさい」
 瞬間、ヤサカが白銀の光を放ったかと思えば、無数の桜の花弁が回転しながら広がっていく。
 霊を浄化する力を備えたそれらは、カグヤを中心に局地的な竜巻の如く展開された。そこへ鴉威し達が接近し、黒い泥を飛ばしてくる。
 けれども花弁達はその汚泥を一切カグヤへ触れさせる事なく蹴散らし、ならばと直接体当たりを見舞ってくる敵に対しては、展開中の花弁へ紛れさせるように発動していたシャッター・ウォールがさながら不可視の壁と化して防ぎ止める。
「迎撃します……!」
 シャッター・ウォールが寸前で食い止めている敵を狙い、花弁達が浴びせかかって身動きを阻害。
 その上で後方に余らせていた分の花弁を一時的に呼び寄せ、両側から挟み込むようにして叩きつけた!
 じゅうっ、と蒸発でもしたかのような音が立つ。黒い影じみた鴉威しの体躯を大量の花弁が切り刻み、自らもほのかな桜色に変わりながらもろとも霧散していく。
 その間に別の敵が後背へ回っていたため、素早く花弁を操作して防御を固める。その隙にカグヤ自身が向き直り、しっかり標的を定めながら花弁を飛ばして薙ぎ払う。
 動けば動くほど天井から降り注ぐ砂に当たりかねない。ならば止まっていればいい。忙しく敵を迎え撃ちながらも、一方でカグヤは死角となりうる壁の後ろや物陰などへ念を差し向け、隠れ潜む敵の位置を探る。
 感じた。そこかしこから、こちらへの害意を。奴らはカグヤが油断し、隙を見せる瞬間を待っているのだ――。
「見えていますよ」
 間髪入れず、カグヤは花弁の塊を稲妻よろしく送り込み、周辺に潜伏している敵を貫かせていく。
 一体を倒してまた次の一体と、まるで一筆書きめいて、その一撃のみでもって一網打尽にしてのけたのだ。
「……こんなものでしょうか。でも、遠くにもまだ敵の気配を感じますね」
 こちらの射程圏外のため、倒すためには危険な移動を再開せざるを得ない。
 カグヤは一旦UCとシャッター・ウォールを解除し、それから忘れずに水を飲んで体を労りつつ、身軽になった状態で再び短距離テレポートを繰り返し、奥へ疾駆していくのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

イフェイオン・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

この生けるもの全てを飲み込む熱砂の砂漠に、私の求めるものはあるのでしょうか。

危険地帯を何の策も無く歩きたくないです。
こんな時は奴隷兵を召喚し、先導してもらいます。
私の代わりに流砂に飲まれても良し、敵に襲われても良し、代わりに戦ってもらっても良し。
頭を踏んづけて困難な場所を乗り越えたり、危ない時は盾に活用。
たまに奴隷に背負ってもらい、水筒の水で休憩しつつ体力の温存。
私の奴隷兵は万能ですからね!倒れた奴隷はさよならです。
この迷宮を踏破する頃には何体残っているかは秘密です。
急勾配もナイフで突き刺しながら進み、
敵がいたらナイフを突き刺して進み。
奴隷と協力して先へ進んでいきましょう



「この生けるもの全てを飲み込む熱砂の砂漠に、私の求めるものはあるのでしょうか」
 イフェイオン・ウォーグレイヴ(濡鴉の死霊術士・f19683)は呟く。
 外の砂漠地帯も、この炭鉱の中も、感じるものは死というより虚無。生が地へ転がる事を死と呼ぶのなら、もろとも丸呑みにしてしまうこの砂の獄は、さながら無そのものだった。
 そんな危ない場所を無策で歩き回るなど論外である。イフェイオンはさっそく、過去に存在したウォーグレイヴ家の奴隷兵達を呼び出す事にした。
「地に伏した我が奴隷たちよ。その肉を血を、その生き様を我に捧げよ」
 むくりと起き上がる風に現れたのは、顔を麻袋で覆い、牛刀や鍬、鋤や槌を手にした物々しい風貌の兵士達だ。
「さあ、進みましょう。ひたすら前進です」
 イフェイオンを中心に据え、取り囲むように守りの陣形を敷いた上で、ウォーグレイヴ家の行軍が開始される。
 さっそく先頭の何人かが流砂に呑まれた。彼らがあっさりと姿を消した位置を記憶しておき、そこは迂回したり、避けて進んでいく。
 するとだしぬけに、死角から複数の黒い泥が飛来してきた。姿を隠したままの、鴉威し達の攻撃である。
 これを布石とし、付着した対象めがけてさらなる追加攻撃を仕掛けてくるつもりなのだ。
 イフェイオンがとっさに身をかがめて泥を回避すると、代わりに真後ろにいた奴隷兵へ泥が命中。続けざまに敵のエネルギー弾がどこからともなく飛んできて、ターゲットされた奴隷兵を吹き飛ばした。
「あちらにいますね、倒してきて下さい」
 けれども、一連の攻撃を観察していたイフェイオンは、敵がどのあたりに潜伏しているかおおまかに見当をつけていた。
 適当に奴隷兵の集団を送り込み、殴る蹴る、打つ刺すなど数に任せためったうちで、鴉威し達を殲滅してのける。
 こちらの被害も相応にあったが、まだ手駒は十分に残っていた。
 そこからの道のりはより困難なものになる。通路という通路がめちゃくちゃに入り組んでいる上、どこも狭苦しく、あるいは上下に高く低く、まともに歩けたものではない。
 でも、こちらにも人足はいる。時には奴隷を足場にして強引に障害物を乗り越え、天井から降り注ぐ砂は奴隷をぐるりと張り巡らせ、盾にしながら突破。
「ふー……まあ、私の奴隷兵は万能ですからね! さすがに水を作り出す能力まではありませんが……」
 足腰が疲れて来たので奴隷に背負ってもらいつつ、水筒を飲んで小休止を挟む。
 その後ろにはすでに点々と奴隷達の屍が転がっていたが、イフェイオンはとりたてて振り返る事もない。
 それからも度々、敵の襲撃があった。イフェイオンがいけるとゴーサインを出せば、捨て身の奴隷兵達が正面から叩き伏せる。
 逆に敵の待ち構える陣深くまで入り込んでしまった場合は、これまた奴隷を囮にしつつナイフを振り回して鴉威しを牽制。
 大急ぎでその場を離脱し、急勾配にナイフを突き立てながら力ずくでよじ登り、物陰へ一旦身を隠してどうにか態勢を立て直す。
「今度は敵の後方から攻めてみましょうか……と、もうこれだけしかいないんですね」
 気づけば、引き連れている奴隷兵の数は、控えめに言ってもちょっと心許ない。
 ここからは、自分も積極的に戦っていく必要があるだろう。
 果たして迷宮を踏破する頃には、何体残っている事だろうか――他人事みたいに考えながら、イフェイオンはナイフを握り直して、敵の群れへと歩を進めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
一難去ってまた一難ってやつだねぇ
まぁでも、ちまちま鍵を探す作業よりは
よっぽど楽しめそうだよ

こんなトラップまみれの戦場を
動き回るのは得策じゃないよね
体力の消耗も避けたいところだし
だから…敵からこっちに来てもらえばいい
まずは梓と共に焔に乗って
天井の穴が無い、且つすぐ近くに壁や岩も無い、
なるべく開けた安全地帯に陣取る
ひとまずこれで砂のトラップや奇襲は避けられる

そこから敵へナイフを投げつけ
普通に攻撃をしているフリをしながら
そっとPhantomの蝶の群れを周囲に飛ばす
のこのこと敵が集まってきたら、UC発動
蝶が少しでも触れた瞬間、鎖へと変わり一気に捕縛
あとは一網打尽にしちゃって、梓


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
ったく、扉を開ければ
この暑さともオサラバ出来るかと期待したが
そんなに上手くは行かないか
こんな状況でも楽しさを見出だせるお前が少し羨ましい

綾の作戦を了承し、成竜の焔の背に乗り
空中から敵を誘き寄せる
綾とは背中合わせになり、全方位をカバー
蝶を使った綾の狙いを悟られないように
焔の咆哮で敵の注意を引いたり、炎のブレスで攻撃していく
…だがしかし、焔のブレスは余計に暑さが増すなコレ
あまり乱発させないようにしよう

綾の蝶によって敵を縛り付けたら
さぁ、零、お前の出番だ!
この暑さで心底ストレスが溜まっているだろう
腹の底から思い切り歌え!
UC発動し、零を成竜に変身させ
周囲の敵へ向け咆哮響かせる



「ったく、扉を開ければこの暑さともオサラバ出来るかと期待したが……そんなに上手くは行かないか」
「一難去ってまた一難ってやつだねぇ」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)と灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の前に広がるのは、無機質な音を立てて降り注ぐ砂塊。どこからともなく聞こえる、鴉威し達のうごめく風切り音。
 障害はさらに増え、一難どころか二難も三難も待ち受けている寸法だ。にも関わらず、綾は鍵探しで凝った肩をほぐすみたいに軽く回し、笑って見せたものである。
「まぁでも、ちまちま鍵を探す作業よりはよっぽど楽しめそうだよ」
「こんな状況でも楽しさを見出だせるお前が少し羨ましい……それで、何か策はあるのか」
「見回した限り、こんなトラップまみれの戦場を動き回るのは得策じゃないよね。体力の消耗も避けたいところだし」
「確かにな。ただでさえ何もしてなくともやたら喉が渇くってのに、そこへ何度も往復したり、ふらふらさまようみたいな事になっちまったら……ぞっとしない話だ」
 だから、敵からこちらへ来てもらえばいい――綾はそう前置きして、詳細な作戦を説明していく。
「なるほど……よし、それなら頼むぞ焔!」
「キュー!」
 さっそく成竜に変身した焔の背へ、二人して乗り込む。
 一つ飛翔し、砂を巻き上げながら宙へ浮けば、もう足元の熱く柔らかい砂に絡め取られる事はない。
 なるべく開けた安全地帯を探し、焔は飛行し始めた。ただし通路は入り組んで狭く、視界も悪いため、トラップをジグザグに避けつつ慎重に進んでいく。
 目的に適した、見晴らしの良いフロアに出た。近くにトラップはなく、四方に通路が伸びており、中央は少し盛り上がった砂丘となっている。
 その砂丘へ焔は向かっていった。ひとまずここに陣取れば敵の奇襲に備えられるし、高所という地の利もある。
 逆に言えば、敵からもこちらの姿が良く見えるため、囲まれる可能性も高い――が、それは望むところだった。
「さて、敵を壊滅させるのが先か、こっちが干からびるのが先か……」
「――なんて言ってるうちに、さっそくお客さん達の登場だね」
 互いに背中合わせで索敵を行っていた二人は、通路から鴉威し達が続々と現れるのを目にする。
 まずは綾が素早く向き直り、そちらめがけてナイフを投げ込んだ。空間に鋭い軌跡を切り取る投擲は、寄り来る鴉威しの群れへ次々と突き刺さる。
「後ろからも来てるぞ! 焔、頼む!」
 梓の指示に合わせて、思い切り息を吸い込んだ焔が、炎のブレスを吐き出す!
 洞窟内に充満する熱などとは比べ物にならない灼熱の赤が、集まる鴉威しをまとめて呑み込み、消し炭も残さず吹き飛ばしてのけた。
「しかし、焔のブレスは余計に暑さが増すなコレ……」
 あまり乱発させないようにしよう、うん――そんな風に内心方針を固める梓だが、状況はそう悠長にしている事を許さない。
 とにかく敵の数がものすごいのだ。あちこちの通路からとどまる事なく、鴉威しが黒い川の流れのようにあふれ出て、しゃにむに焔へと向かってくる。
 綾が連続でナイフを投げ続けても、焔が首をぶん回しながらブレスを吐き散らしても、一向に攻勢が緩む気配はない。
 一度焔へ取りつかれようものなら、あえなく地面へ引き倒されてしまうだろう――。
 そしてその時は、さして間を置かずやって来た。こちらを包囲する鴉威しの大群が、まるで黒い波が躍りかかるかのように、一斉に突っ込んでくる……!
「かかったね」
 綾が、小さく笑む。
 瞬間、今しも雪崩を打って押し寄せてきていた鴉威し達は、ぴたりと焔の目前で、身動きを止めたのである。
 見れば、彼らの合間を縫うかのように、無数の鎖がちりばめられ、がんじがらめに縛り付けていたのだ。
 いつしか、綾の周囲には、赤い蝶の群れが浮いていた。その蝶が一匹、ふよふよといまだ自由に動ける鴉威しへ接近したかと思えば頑丈な鎖と化し、敵を穿って串刺しにする。
 UC【ロンサム・ファントム】――ナイフや焔のブレスに紛れさせて、綾がこっそりと戦場へ敷いていた。敵は囮に目がくらみ、まんまとこちらのトラップへ飛び込んできていたのである。
 例えるなら、それは網。あるいはこの炭鉱迷宮の複雑な構造の再現。数珠繋ぎに縫い留められた鴉威し達は、その一体一体が状況を整理し、冷静に脱出を試みれば、あるいは絡まった糸をほぐすみたいに縛鎖から抜けられたかも知れない。
 けれども。そんな猶予など、梓が与えない。
「あとは一網打尽にしちゃって、梓」
 綾の言葉に、今度は梓が笑った。
「ああ――さぁ、零、お前の出番だ!」
 すかさず飛び出す零。すでにその身は成竜へと変身済みだ。
「この暑さで心底ストレスが溜まっているだろう……構わん、腹の底から思い切り歌え!」
 そうして、周囲の敵をゆっくりと睥睨するや、凄まじい咆哮を放った。
 荒々しく力強い焔のブレスとはまた異なり、まるでハープの澄んだ音色が反響するかのような、重圧を備えながらも神秘的な音質が響き渡る。
 するとどうだろう。あれほどに群れを成していた鴉威し達が、見る間にばたばたと倒れこんでいくではないか。極寒の地で体力が尽き、眠るように最期を迎える遭難者めいた様相だ。
 彼らは氷晶の歌姫の声により、生命力を奪われ、静かなる滅びへと誘われたのである――。
「ふう、なんとかなったねぇ」
「綾の作戦通りだな。焔も零も、よくやってくれた!」
 こうして、厳しい地形における戦いは、梓と綾達の勝利に終わった。
 そのまま焔の背へ乗りながら、さらに奥へと向かったのである――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

藏重・力子
長居は無用。干乾びる前に敵を倒し切り、前へと進むのだ!

気を張り詰め、我等を脅かす砂や敵の奇襲は【第六感】を活かして回避
すぐさま態勢を整え戦である!

「ぐどう殿!」『司鬼番来・元』で巨腕の盟友を召喚!
「いざ、我等の腕の見せ所よ!」我の拳でぐどう殿の拳に触れ、【破魔】の力を彼にも付与
離れた敵はぐどう殿に叩きのめしてもらうのである!
我自身は薙刀で戦い、敵の攻撃は【武器受け】
「烏合の衆と、盟友ならば……力の差は、火を見るよりも明らかであろ!」
刃を振るい【怪力】で敵を砂ごと纏めてぐどう殿の方へ【吹き飛ばし】だ。追い打ちは彼に頼んだ!

我等の闘志を貫き通し(決して洒落ではない)、この難路を抜けるぞ、ぐどう殿!



「例えるならば砂地獄……長居は無用。干乾びる前に敵を倒し切り、前へと進むのだ!」
 藏重・力子(里の箱入りお狐さん・f05257)はあいにくと、まだ地獄へ落ちる気はなかった。一段と神経を研ぎ澄まし、意識を集中させ、がむしゃらに前進を始める。
 もたもたしていれば体内の水分も、持ち合わせている補給用の水も尽きてしまう。とはいえ、立ちふさがるのは敵だけではない。
 足を取り、アリジゴクへと呑み込むかのようないくつもの流砂。天井から降り注ぐ、落石も同然の砂の塊。どこを向いても勾配が視野を阻み、行くべき道が分からない。
 果たして足を運んでいる先に最奥があるのか、それとも同じ地点をぐるぐる回っているだけなのか、確かな情報は何もない。
 それでも一つ言えるのは、敵を倒せばその分仲間の猟兵が楽になる。そして、誰かがこの迷宮を突破してくれる。
 これはそのための戦。何一つ不確かだからこそ、力子の直感はこの上なく輝く!
 刹那、隠れ潜む敵の存在を察知したのか、ぴくりと力子の狐耳が動いた。
「ぐどう殿!」
 直後には、頼れる巨腕の盟友を召喚していた。
 同時に、壁の後ろや砂の中から、影のように鴉威しの群れが現れる。力子達を包囲し、威圧するみたいに取り巻き、惑わそうとしてくるのだ。
 しかし、そんなものに狼狽などしない。力子は傍らのぐどう殿の拳へ力強く触れると、自身を通じて清浄なる【破魔】の力を分け与える。
 一時的な措置だが、ぐどう殿がそのパワーを余す事なく炸裂させるには十分だ。
「いざ、我等の腕の見せ所よ!」
 相変わらず熱い砂を踏みつけ、蹴速をつけて力子は飛び出す。
 何せ足場が悪いため、十全の体勢で踏み出すだけでも相当の労力を要するが、それならば消耗する前に敵を叩けばいいだけの話だ。
 黒い陽炎じみた鴉威しめがけて、破魔を込めた薙刀を見舞う!
 一刀両断に裂いた後は、腰のひねりを利かせて振り向き、背後から迫っていた別の鴉威しへ、遠心力をつけた薙刀の刃を真横から叩き込む。
 特に気を配るのは足運びだ。万が一にも転倒すれば危機は免れないだろう。
 かといって迂闊に跳躍しようものなら、着地した瞬間砂に呑み込まれかねない。
 ために、力子の敏捷性は普段の半分ほどしか発揮できていない。悪く言えば立ち回り自体は精彩を欠いており、薙刀で防御する腕へはより大きな負担がかかってしまっている。
 けれども、その分を補ってあまりあるのが、一対碧腕の盟友の存在だ。
 力子が目の前の敵にだけ注力できるよう、ぐどう殿は少し離れた位置の鴉威しへ突っ込んでいた。遠巻きに様子をうかがうだけの日和った態度の敵へはお構いなくその剛腕を打ち付け、襲い掛かってくる相手にはこれまた拳で迎え撃つ。
 力子もぐどう殿も間断なく攻撃を繰り返していたが、やがて仕留めきれなかった鴉威し達の姿が、ぼんやりと銀色に光り始めた。
 その負傷度合いに応じて、敵全体がさらに一段、二段とスピードアップ。
 嵐の如き連撃に、一転力子達は守勢へ追い込まれる。
 けれど。二人の底力は、こんなものではない――!
「烏合の衆と、盟友ならば……力の差は、火を見るよりも明らかであろ!」
 途端、力子は足元の砂へ薙刀を突き立てるや、津波のように襲い掛かって来る敵に向けて、渾身の力で得物を振り上げる。
 轟音を発しながら、大量の砂が巻き上げられた。しかもそれらは力子の剛力によって巨大な砂玉に固められており、突っ込んでくる敵勢をまとめて一飲みにする。
 鴉威し達を無秩序に呑み込んだ砂玉は、パスをするかのようにぐどう殿の方へ飛来していく。
 ぐどう殿も心得たとばかり、その腕の筋肉を引き絞る。
 次の瞬間、はちきれんばかりに膨張した二の腕より放たれた拳が、空間を轟と突き進み、砂玉を敵の群れもろとも粉砕した!
「我等の闘志を貫き通し、この難路を抜けるぞ、ぐどう殿!」
 ここで決め台詞、と力子が薙刀を構え直して啖呵を切るが――肝心のぐどう殿は乗って来ず、肩をすくめるみたいに斜めに腕組みしたものである。
 まるで「ちょっと寒いわ」と言わんばかりの様子に、力子は思わず吹き出してしまう。
「わっはっは! こんな場所なのだ、むしろ寒いのは良い事ではないか?」
 そう……そうだろうか……そうかもしれない。
 とにかく気を取り直し、力子とぐどう殿は、炭鉱内の熱量をさらに引き上げるかのような見事なコンビネーションを存分に見せつけながら、敵を一気に撃破していくのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

マイア・ヴェルナテッド
日が差してこないから良いですがやはり長時間は危険ですね。
障害には余り構わず通り抜けてしまいたいものです。

前章に引き続き闇夜の日傘で日陰を作り、熱除けの『結界術』、日除けのフード&外套で熱対策をしっかり施した上で使い魔達に持たせた余剰分の水分持ち込みで臨みます


【アストラル・レイ】は氷属性で使用。溶かしても飲用としては使用できませんが暑気払い程度の効果はあるでしょう。
これを『高速&多重詠唱』で近づいてくる鴉威しや落ちてくる砂塊などを『誘導&呪殺弾』で射出して迎撃、果ては砂を凍らせて足場の確保&安定を図ります。



 この状況、とマイア・ヴェルナテッド(ノーレッジデザイア・f00577)は迷宮と化した炭鉱を見回す。
 充満する熱気と、乾燥を招く有害な影響は据え置き。さらに加えて、ざらざらと音を立てて下方へ流れる流砂や、それとは逆に上から降り注ぐ砂の塊が、行く手を遮っている。
「日が差してこないから良いですがやはり長時間は危険ですね」
 厳しい環境に急き立てられているものの、道のりの上にはこれでもかとトラップを敷き詰められているようなものだ。
 合理的に考えて、障害には余り構わず通り抜けてしまいたい――が、それにも相当の苦労を要しそうなジレンマである。
 日傘が作る日陰の下で水を含み喉を潤すかたわら、熱除けの結界術を構築し直す。
 ここまでは戦闘を行わなかったため、日除けのフード&外套にはこれといった破損もない。そのまま問題なく利用できるだろう。
 だが、ここからはそうはいかない――引き続き余剰分の水を持たせた使い魔達に陣形を作らせ、念入りに索敵も行わせつつ、この難所へ歩を進める。
 使い魔達は危険な流砂のある場所など、吠えたり袖を引っ張ったりして教えてくれるが、天井から襲ってくる砂塊まではそううまくいかない。
 まったくの突然。何の前触れもなくマイアの頭上から、岩盤と見まがう大量の砂が降って来る!
 マイアはとっさに息を詰め、素早く真上へ日傘の先端をかざした。長々とした詠唱では遅い。可能な限りに高速し短縮し、必要な分の【アストラル・レイ】を放つ。
 放出されたのは、何十本もの魔力の矢。白々とした冷気を伴い鋭利な軌道を描いて、凍てつく魔矢達が砂塊を迎撃する。
 その途端、突き刺さった端から砂塊が瞬時に凍り付き、天井に張り付くつららめいた格好で停止した。天井の穴も同時にふさいだため、この位置からはこれ以上、新たな砂塊が降る事もないだろう。
「なんとか間に合いましたか……」
 無言で透き通った光を反射する氷柱からは、この場には似つかわしくない程に涼しげな空気が発散されている。
 あいにく溶かしても飲用としては使用できないが、こうして障害物を凍らせる一方、暑気払い程度に涼んでいく事は可能だ。
 この調子で、足元の流砂も必要に応じて凍らせ、足場へ変え始める。
 無論魔力を節約するために、遠回りを強いられそうだったり、戦う事になったら邪魔になりそうな場所のみに限定しておいた。
 その上を行く使い魔が、たまにつるつるっと滑る姿が微笑ましいものの、そんなマイア達の周辺には、すでに敵の影が迫っていた。
 だしぬけに、先頭の使い魔が足を止める。
 こちらへ接近する敵の存在を察知したと思われ、ワンと吠えた次の刹那には、迷宮に凝る闇の先から、おぞましい異形の影【鴉威し】の群れが、わんさ(ダジャレではない)と迫って来るではないか――。
 その数たるや、マイアが引き連れている使い魔の何倍にも及ぶ。黒い煙じみた残滓を残し、マイアが作ったあちこちの氷柱へその姿を反射させ、奴らは四方から距離を縮めて来た!
「そして瞳は放つ、荒ぶ魔の閃光を。魔の叫び、驚愕の空を引き裂く」
 すかさずマイアは日傘を振るった。その動作はさながら、輝く氷上でフィギュアスケーターが流麗なステップを踏むかのように、自身を中心とした全方位へと魔力の矢を射出する。
 鈴の音にも似た美しくも恐ろしい音色がさざめき、無数の氷の矢が鴉威し達を貫く。
 邪悪な怪姿をもろともに、透き通った氷の中へ閉じ込めたかと思うと――ぱちん、とマイアが指を弾けば、それらは一斉に弾けて。
 いっとき、この猛暑を忘れるような心地の良い涼やかさが広がったのだった。
「そう何度も戦いたくはないですが、たまには相手をしても良いかも知れませんね」
 そんな感想を漏らしつつ、マイアは再び、奥へ向けて歩き出した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天星・零
【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で弱点死角と地形や敵の行動パターンを把握し応戦
enigmaで零と夕夜で

『おや、これは楽しみがいのある…ということで夕夜頑張って』

「お前らぁぁ!!」

夕夜が戦闘を担当、Punishment Blasterとグレイヴ・ロウ、Øで戦う

前章のオブリビオン と零は暑いのでそのまま水分補給したり涼しんでます
また、零に至っては地形がどうなってるのか情報収集してます

『ふふ、そろそろ夕夜が可愛そうだし手を貸してあげるか』
『では、お相手さん行きますね。』

指定UCを使い視界範囲内の全ての時間を止めて攻撃

『ごめんごめん、夕夜怒らないで』
「くっそー、あとでなんか冷たい物でも作れよ!



 天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)とその愉快な仲間達は、さらに奥へと冒険中、さっそく鴉威しの群れと遭遇していた。
「おや、これは楽しみがいのある……という事で夕夜頑張って」
「いや零お前、言葉の前後が矛盾してるからな!?」
「零、あっちの物陰の方が休めそうだ、早く行こう……」
「俺は!? なあ俺は!?」
「ウェヒヒ、それじゃお先~」
「お前らぁぁ!!」
 夕夜に後事を託し、ぱたぱたと手を振りながら後退していく零達。適当に涼めそうな場所を探し、そこで一息入れ始める。
 まあ、夕夜なら適当になんとかしてくれるだろう――。
「なんとか、なるかぁぁ!! うおおぉぉぉぉぉぉッ!」
 残された夕夜は襲い来る敵の大群を相手に、Øをぶん回し、グレイヴ・ロウを駆使し、果てには少々炭鉱が崩れても構うもんかと、Punishment Blasterまで持ち出してやけくそ気味に大立ち回りを演じている。
 一方その頃、ウェビルやルーガルズは岩の上へ腰かけ、思い思いに小休止していた。
「ウェッヒヒ! ルーちゃん、もっともっと冷たいブレス吐いていいよ!」
「今くらいは休ませてよ……疲れてるんだしさ」
 さらに零に至ってはまったりと水で喉を潤しつつ、迷宮の先の方まで少々偵察し、楽そうなルートを模索してたりする。
「やっぱりこのあたりは道が細い……迂闊に暴れたら、天井が崩落しそうな感じがする」
 後方ではそんな懸念をよそに、夕夜が何事かわめきながらどったんばったん死闘を繰り広げているようだ。
「ふふ、そろそろ夕夜が可愛そうだし手を貸してあげるか」
「僕達も手を貸そうか」
「構わないよ、休んでて」
 ルーガルズ達が助力するまでもないと、零はすたすた戦場へ戻っていく。
「ごぼぉっ! も、もう、限界だ……!」
 さすがにずたぼろになった夕夜がなんか情けない弱音を吐いているので、零はその正面に立ち、おもむろにUCを発動する。
「では、お相手さん行きますね」
 瞬間、零の視界内にいた全ての鴉威し達が、ぴたりと動きを停止させた。零が見ている限り、もう彼らは一切の抵抗をする事がかなわない。
 のみならず、それまで散々ボコられた仕返しと、夕夜がPunishment Blasterの追撃を浴びせた。
 その場の空間に縫い留められた敵の群れは、猛然とした砲撃を次々に浴びて、木っ端みじんに消し飛んでいく――。
「ぜぇぜぇ……やっと終わったか……!」
「ごめんごめん、夕夜怒らないで」
「くっそー、あとでなんか冷たい物でも作れよ!」
 憤然とする夕夜を、まあまあと零はなだめつつ、とりあえず水のボトルを分けてあげるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティクルス・ディータ
どこに行けばいい?早く、進まないと
止まってても、どうにもならない

下と、上。下は近いから、よく見て動く
埋まったら、そのままになりそう。動いてる砂と斜めな所は、避ける
…もう、じゃりじゃりしたくない
【クライシスゾーン】の竜巻を後ろに出せば、上は大丈夫?
敵も、見えるところなら避けられる。たぶん
近付いてくる前に、吹き飛ばせばいい
「来ないで、やだ」
砂も、敵も、全部いらない。全部、嫌い
暑いし、水も少ないし、動きたくない
でも、それじゃ死んでるのと同じ
だから、行かなきゃ
全部倒して、早く出たい



「どこに行けばいい? 早く、進まないと」
 どれだけ道を探して見回しても、出口があるわけではない。どの景色も似たり寄ったりで、急がなければいけないのに、思うように進めない。
 それでも、ティクルス・ディータ(海雪・f27190)は歩き出した。止まっていても、途方に暮れていても、どうにもならないのだから。
 ただ、その前進を阻むのは、これまた無数に敷かれた流砂と、天井から降り注ぐ砂塊である。これらに対処しなければ、それこそ永遠に足止めを食らいかねなかった。
「埋まったら、そのままになりそう……もう、じゃりじゃりしたくない」
 脳裏をよぎるのは、入り口付近でうっかり転倒した時の事。あれは最悪だった。二度と味わいたくない。
 ともかく、足元へ視線を注ぐ。少しずつ流れる砂の動きを良く見て、強い流れに捕まらないよう避けて、あるいは大回りに迂回しながら先へ向かう。
 急勾配も危険だ。ショートカットしようと頑張って登り切ったと思ったら、そのすぐ下り坂が巨大な流砂だったという始末になってもおかしくない。こちらもあえて遠回りし、とにかく視野を広く確保する事を優先する。
 暑い。暑いからと水を飲もうとすれば、いつの間にかボトルの中身が減っている。それを見て、つい数分前にもすでに飲んでいた事を思い出すのだ。
 でも、ちょっとだけ、と口に含むけれど、これまた数分後には同じ事をしてしまっていて、どんどん水が少なくなっていく。
 と――このあたりのフロアは、一際天井からの砂が激しく注ぎ込んで来ていた。目をすがめて行けそうなルートを模索するも、さすがに合間を縫っていくのは無理そうである。
 かといってこれ以上迂回を繰り返せば、いよいよ体力が危なくなる。ならばとティクルスは、やおらにUCを発動。
 竜巻が発生し、砂が巻き上がる。試しにその竜巻を差し向ければ、降り注ぐ無数の砂塊は、時間を巻き戻すみたいに天井の上へと押し返されていった。
「これを後ろに出せば、上は大丈夫?」
 かも知れない。相変わらず流砂には注意が必須だが、竜巻を維持しながら進めば、天井からの砂塊は気にしなくてもいいだろう。ついでに風が吹いて涼しい。
 ようやく突破口が見えたと思われた瞬間、危なっかしい足取りで進むティクルスの周囲に、恐ろしい黒い影の群れが肉薄してきた。
 この迷宮にはびこる鴉威し達である。とぼとぼと歩くティクルスめがけ、気持ち悪い粘性を伴ったどす黒い泥を、矢継ぎ早に発射してくるではないか――!
「来ないで、やだ」
 ティクルスはかぶりを振りながら杖を掲げ、竜巻の規模を一時的に強める。
 それまでは砂塊や邪魔な障害物を吹き飛ばすだけにとどめられていた風が、瞬時に巨大化するや、黒い汚泥を残らず吹き飛ばし、のみならず接近していた鴉威し達を微塵に引き裂いてのける。
 その後も鴉威し達が懲りずに襲ってきたが、その度にティクルスは竜巻を強弱調節し、巨大化と縮小を繰り返して撃退した。
 そのうちに敵もただの攻撃は無駄と悟り、また、ティクルスが追撃して来ない事を理解したのか、竜巻の届かぬ位置で遠巻きにこちらを窺うにとどめている。
 ただし、これは別にティクルスという獲物を諦めたわけではない。ティクルスが疲労し、隙を見せる機会を待っているのだ。
 ほんの少しの間隙ができれば、奴らは何度でも飛び掛かってくるだろう――。
「砂も、敵も、全部いらない。全部、嫌い」
 何もかも吹き飛ばしたいのに、できない。どこまでも執拗にティクルスを追いかけ、まとわりついてその命を狙い続ける。体力だけでなく、精神と神経が削られる。
 持っている水も心許ない。もう数口で底をつく。身体が重い。動きたくない。
 でも、それでは死んでいるのとさして変わらない。
「だから、行かなきゃ」
 もはや棒のような足を、なおも動かし、前へ運ぶ。
 さらなる疲弊を誘う戦法に切り替えたのか、小刻みに襲撃してくる鴉威し達をなんとか少しずつ倒しつつ、ティクルスはどこにあるとも知れぬ出口を探し続けた――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『竜撃大砲』

POW   :    有り余る生命力
自身の【飲み込んだ竜の生命力】を代償に、【大砲から竜の生命力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって飲み込んだ竜の生命力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    強靭な肉体
【竜の肉体】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
WIZ   :    理解が及ばぬ精神
自身の【飲み込んだ竜の精神】を代償に、【理性を失った竜】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【牙や爪】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィリア・ラズワルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 危険な探索と戦闘を経て、ついに炭鉱の最深部へ辿り着いた猟兵達。
 そこは空洞をくりぬいたような大広間となっており、中心には巨大な大砲を背中に装着した竜が鎮座していた。
 そいつはこちらを目に留めるなり、立ち上がって凄まじい咆哮を発した。
 その余波でビリビリと周辺の砂地が揺れ、天井からはぱらぱらと小石が崩れ落ちてくる。
 この者の名は【竜撃大砲】。昔、存在すると思われていた竜を討伐する為に作られた大砲が妖怪と化したものだ。
 この世界で竜を倒すため、骸魂となった後には実際に竜と同化した上でその心身を酷使し、殺す事が目的である。
 すなわち、竜撃大砲はこの戦いの中で、猟兵達に竜を殺させようとしていたのだった。
 これまでに立ちふさがった障害はそれだけの戦力に足るかどうか、こちらを試すために配置されたものだったのである。
 同化させられた竜は元々人家に迷惑をかけず、炭鉱の奥でひっそりと平和に暮らしていた犠牲者に過ぎない。できれば助けてやりたいところだ。
 骸魂である大砲のみをうまく破壊できれば、竜の命は救われる。しかし、大砲はそうはさせじと竜を無理やり操ってこちらを攻撃したり、盾にもする。
 また、この大広間の天井は脆い。戦闘が行われる衝撃で容易に落盤が起き、岩石までが襲ってくるだろう。
 けれどもその岩石を大砲へピンポイントに当てる事ができれば、有利に戦えるはずだ。敵の動きを予測し、誘導し、可能なら狙ってみよう。
 ともあれ、この戦いを勝ち抜けば、ついに砂の異変は解決される。
 残る力を振り絞り、勝利をもぎ取るのだ――!
灰神楽・綾
【不死蝶】
この大地を灼熱化させたのも
単にそれに耐えうる実力者を
ここに呼び出す為の一環だったのかな
随分と悪趣味な骸魂だねぇ

まずはEmperorを構え
バカ正直に大砲へ攻撃を仕掛けに行く
当然竜を盾にするだろうけど想定内
真の狙いは梓の為に敵の隙を作ること
攻撃動作を辞め、UC発動
ここから俺は「全ての攻撃を凌ぎきる」
竜への攻撃はせずに耐久に徹する
Emperorや念動力のナイフで武器受け
残像発生させながら動いて敵の標的を惑わし
時には梓のドラゴン達に庇ってもらう
それでも喰らえば激痛耐性で意識強く保つ

超強化された竜の一撃は凄まじいけれど
そんな無茶な強化は長くは続かない
お前と俺達、どちらが先に倒れるか我慢比べだ


乱獅子・梓
【不死蝶】
正々堂々と戦って倒すならまだしも
罪の無い竜を乗っ取り
利用するだけ利用して殺すだなんて反吐が出るな

UC発動、氷属性のドラゴンを召喚
硬い鱗を持ち、攻撃より防御に特化した形状

綾が攻撃を仕掛け、竜が綾へ向かった隙を狙い
大砲の砲口へと氷のブレス攻撃を放つ
砲口をガチガチに凍らせ塞いでしまえば
もうそこから砲撃は出来なくなる
無理に撃てば暴発するからな
邪魔は潰しておいた

さぁここからは地獄の耐久戦だ
ドラゴン達を縦横無尽に飛ばせ敵の気を引き
綾が攻撃受けそうな時は割り込み庇い
数に物言わせて時間を稼ぐ
少しでも綾との連携を怠れば各個撃破されかねないな

ついに竜が昏睡状態となれば
無防備となった大砲に攻撃を叩き込む



「正々堂々と戦って倒すならまだしも、罪の無い竜を乗っ取った上、利用するだけ利用して殺すだなんて反吐が出るな……」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)はサングラス越しに、竜撃大砲の大砲部分を射貫くように見据えながら、氷竜達を呼び出す。
 いかにも高熱を宿していそうな竜撃大砲の赤い竜とは対照的に、水色の強靭な鱗を備え、より防御に特化した屈強な群れである。
「この大地を灼熱化させたのも、単にそれに耐えうる実力者をここに呼び出す為の一環だったのかな」
 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の言葉に、梓は頷く。
「竜と言えば熱! みたいな安直な考えだったんだろうさ」
「随分と悪趣味な骸魂だねぇ」
 綾は苦笑気味にしながらも、少し姿勢を低くし、Emperorを構えて戦闘態勢を取る。
 その戦意を感じ取ったのか、竜撃大砲もまた両脚を踏みしめ、洞窟中に乱反響するかのような、凄まじい咆哮を張り上げた――。
 それが開戦の契機。一足飛びに疾駆した綾が、真っ向からハルバードを振りかざす。
 竜を傷つけたくはない。狙いは当然、大砲部分だ。
 しかし竜撃大砲は綾の目標を読んだのか、すかさず身を引き、竜部分を前へ押し出す。
 次いで敵から放たれる圧力が数段増し、ただでさえ暴悪な能力を持っていた竜の肉体が、さらに途方もないレベルで強化されていく――。
 だが、そのわずかな隙を突いて、梓が叫ぶ。
「今だ、仕掛けろ!」
 それによって召喚されていた氷のドラゴン達が、一斉に竜撃大砲を取り囲み、大砲めがけて猛烈なブレスを浴びせかける。
 絶対零度の吐息が大砲の砲口へ見舞われたかと思うと、みるみるその先端部分から砲身にかけ、分厚い氷の蓋が広がっていくではないか。
 竜撃大砲はとっさに頭を振り乱し、ドラゴン達を振り払うがもう遅い。
「どうだ? もうそこから砲撃はできないだろう……無理に撃てば暴発するからな」
 邪魔は潰しておいた、と梓は、力強く宣言する。
「さぁ、ここからは地獄の耐久戦だ!」
 直後には、綾も得物を引き。
「俺は決して攻撃しない」
 UC【ロスト・チェックメイト】を発動!
「――かといって、倒れもしないよ」
 寿命を代償に、これからあらゆる攻撃を凌ぎきる心算である。
 竜が殴り掛かってくる。前脚による単純だが暴力的な一撃を、綾はEmperorを振るって弾き返した。
 衝突の瞬間強烈なまでの衝撃が駆け抜け、その余波だけで天井にピシピシと亀裂が入る。
 ならばと竜撃大砲は、素早い立ち回りで綾の背後を取ろうとした。大幅に上昇した速度から繰り出されるステップで、勢いよく回り込んでくるのだ。
「お前と俺達、どちらが先に倒れるか我慢比べだ」
 綾も背後を取らせまいと身をひねり、先んじてナイフを投げつける事で牽制して、敵の動きを妨害。足を止めず俊敏に動き回りつつ、残像を発生させて奴の目を惑わす。
 猛然と追う竜撃大砲。ひらりひらりと躱す綾。その周りを縦横無尽にドラゴン達が飛び交い、竜撃大砲の注意を引いて時間を稼ぐ。
 一手のミスが命取りの、綱渡りめいた戦況だが、それにもほどなく変化が訪れる。
「おっと――」
 ナイフを小刻みに投擲し、牽制して中距離を保っていた綾だったが、多数用意していたはずのナイフが、気づくと在庫切れになっていた。
 どうやら敵の攻撃を捌くため、いつの間にか使いすぎていたらしい。UCを使用していたとしても、つまりはそれほど苛烈な相手という事だ。
 目の前に振り上げられていたのは、竜の爪。さすがに避けきれないが、ここまで体力は温存できている。
 一発くらいなら、まだ耐えられるかな――そう冷静に判断を下す綾の正面へ、別の影が割り込んできた!
「そこだ、庇え!」
 梓の指示が飛ぶと同時、飛び込んできたドラゴン達が、壁のように固まって敵の一撃を受けた!
 綾へのダメージを防ぎつつ、また密集する事で、自分達への打撃も分散させてのけたのである。
 それでもドラゴンの何体かは力尽きて崩れ落ちた。梓はそんな様子を鋭く見つめつつも、あえて不敵に笑ってみせる。
 刹那――がくり、と突如、竜撃大砲の足が折れるように沈み、体勢が傾ぐ。
 竜の目が瞬かれ、まるで気を失う寸前かのように頭が揺れ始めた。ついに来たのだ。
 最前線の綾。整然と隊列を作り、盾となるドラゴン達。この耐久戦。
 超強化された竜の一撃は確かに凄まじい。綾も大きな代償を支払って耐え続けたほどだ。
 されどもそれは敵もまた同じ。無茶な強化は長くは続かず、活動限界に至るタイムリミットがやって来たのだった。
 そうはさせじと、大砲がさらなる力を強引かつ無理やり注ぎ込み、竜の命をすり減らさせながら叱咤しようとするものの、無駄な試みに終わる。
 竜は確実絶対に、一分間の昏睡状態へ陥るのだ。その間は何をされようと目覚める事はない。
「全員、全力のブレスをあの胸糞悪い大砲へ叩き込め!」
 梓の声に、残ったドラゴン達は空中を旋回しながら、一気に滑空して竜撃大砲へ突っ込む!
 先頭のドラゴンから、残るスタミナを注ぎ込んだ渾身のブレスが放たれ、大砲へと見舞っていく。
 激しい戦闘で氷が溶け始めていた大砲だが、ドラゴン達の波状攻撃によって新たな氷が輝きながら侵食し、大砲自体が苦しむみたいに奇怪な音が響き渡ったものである。
 そこへ追撃を加えるべく、改めてEmperorを携えた綾が、勢いよく地を蹴って跳躍。
「俺が攻撃するのは、お前の方だけだよ――覚悟してもらおうか、大砲」
 全体重と落下のスピードを乗せた大振りの斬撃が、大上段から大砲へ着弾する。
 綾が再び着地した数拍後には、半ば氷漬けとなっていた大砲部分に巨大な亀裂が入って。
 堅牢そうな合金の装甲。とりわけ頑丈に作られていたはずの重厚な外殻部分が、纏わりついていた氷の残骸を伴い、盛大に砕け散った――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

藏重・力子
痛ましい叫びだな。だが……まだ、生を感じる!
我等が行くゆえ、もう暫しの辛抱であるぞ!

落ちてきた岩石は【見切り】回避
薙刀で戦い、敵の攻撃は【武器受け】である。竜を傷付けたくはない、隙を作るまで耐え切るのだ
「望まぬ戦いを強いおって……!」
【カウンター】で弾き返したら、すかさず護符を【投擲】!『七星七縛符』である!
【破魔】と【浄化】の気を最大限に込め、一時的にでも竜の精神を解き放ちたい
「今、助ける!動かず堪えよ!」
そのまま天井からの落石を、敵本体……竜撃大砲に狙いを定め、薙刀の石突を使い【怪力】で突き、打ち込むぞ!
「力子砲を受けてみよ!どっせい!」

異変に囚われた此の世も、竜も、全てまとめて解放致す!



 竜が咆哮する。聞く者が聞けば心胆寒からしめるような、地の底から響くかの如き叫喚。
 とはいえ藏重・力子(里の箱入りお狐さん・f05257)は、その声音から確かに、大砲に操られる竜の苦痛と、何より誇りを傷つけられた怒りを感じ取っていた。
「痛ましい叫びだな。だが……まだ、生を感じる!」
 今ならば間に合う。この手でその忌まわしいくびきから解放せしめるべく、力子は薙刀を構えた!
「我等が行くゆえ、もう暫しの辛抱であるぞ!」
 竜撃大砲は、その巨体と背負った重量級の大砲からは驚くほどのスピードで突貫して来た。
 疾駆しながら薙刀を振るう力子と、竜が力任せに叩きつける爪が激突する。縦横に重い衝撃波が発生し、洞窟が揺れる。
 力子は自分からは打ち込まず、あえての専守防衛に回っていた。竜を傷つけぬよう、それでいて本当の敵【大砲】の隙を待つためである。
「望まぬ戦いを強いおって……!」
 力子にとっても、竜にとってもだ。この戦いで得をするのは大砲だけ。だが、奴の思惑通りにはいかせない。
 竜の攻撃は、その一発一発が炸裂する砲弾じみていた。力子は薙刀で受け流しながらも、時にはその体躯ごと弾き飛ばされて砂を噛み、状況は持久戦の様相を見せてくる。
 長引けば長引くほど、今度は竜の生命力が大砲によって削られてしまう。こちらの体力とて無限に続くわけでもない。
 突破口を見出さなければ――と一層意識を集中する力子の前方に、どすどすと音を立てて、地面へ岩石が突き刺さっていく。
 これだけの戦いの余波によるものか、天井から崩落が始まったのだ。次から次へと大小の岩が落下し、あたりは騒然とした地響きが広がり始める。
 その瞬間を待っていたみたいに、力子は跳躍した。落ちてくる岩石の後ろへ身を隠し、一気に間合いを詰めていく。
 焦ったかのように、竜が腕を振るう。ろくにこちらを捕捉できていない乱雑な爪撃へ呼吸を合わせるのはたやすく、完璧な角度で跳ね返す。
「今、助ける! 動かず堪えよ!」
 その衝撃を利用する事で身を翻し、宙を回転しつつ真横からさらに距離を寄せた上で、準備しておいた護符を投げつけた!
 標的は竜撃大砲の竜部分。あらん限りの【破魔】と【浄化】の気が最大限に込められた一投が、荒ぶる竜の額へ張り付く……!
「護符よ――邪悪な魔の意思より、高潔な竜の心を解き放て!」
 『七星七縛符』――護符が一段と光り輝いた途端、完全に我を失っていた竜の双眸に、ふと理性の色が灯る。
 しかし、それもわずかな間のみ。けれど竜はそのほんの少しの時間に、一言だけ力子へ、語り掛けていた。
「……ぉぉ……小さき戦士よ……これ以上、その身を危険にさらす事はない……ワシごとやれ……」
「断る!」
 力子は即答し、再び大きくジャンプ。
 いまだ崩れ続ける岩石の上へ中腰で着地するや、身動きを止めている竜撃大砲――否、大砲のみへと真上から狙いを定めて。
「異変に囚われた此の世も、竜も、全てまとめて解放致す!」
 片膝をつきながら、薙刀の石突で岩を思い切り突き、己もろとも大砲に叩き込む!
「力子砲を受けてみよ! どっせい!」
 満身の剛力から放たれたその一撃は、岩石を束の間、流星の如き速度で目標へ激突させる。
 これまでにない激しい轟音と衝撃が大砲を揺るがし、その砲身の上半分を、ものの見事に粉砕してのけた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カグヤ・アルトニウス
〇ここは…竜の谷だった訳ですね

入口の厳重すぎる扉の訳はこの竜達だった訳ですね
ただ、「元の光景」が想像できませんが…何とかしましょう

アドリブ歓迎

(行動:WIZ)
今回の狙いは背中の大砲なので、最速でかつ最短で狙っていきます

と、その前に、全ての竜に対し【先制攻撃】+【精神攻撃】+【範囲攻撃】+【衝撃波】で精神的ショックを与えてスタンを狙い
隙を見てUC+【鎧無視攻撃】で突っ込み、さらに【2回攻撃】+【暗殺】+【衝撃波】による返す刃で大砲の急所に追撃して爆砕を狙います

後は短距離テレポートで離脱し、【念動力】+【空中戦】+【ダッシュ】で落盤を躱しつつ間合いを取り、さらにUCで仕掛ける事を繰り返していきます



「ここは……竜の谷だった訳ですね」
 竜撃大砲と相対し、カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は戦闘態勢を取る。
「入口の厳重すぎる扉の理由も、この竜だった訳ですね」
 扉も、その次の鴉威し達も、奥のものを封じるためではなく、外のものを阻むために設置されていたという事なのだ。
「ただ、「元の光景」が想像できませんが……何とかしましょう」
 カグヤが狙うのは背中の大砲である。あの大砲さえ破壊できれば、竜は解放されるのだ。
 長期戦になればカグヤも竜の消耗も厳しいものとなり、最悪共倒れである。ここは最速・最短を期して仕掛けるべきだろう。
 カグヤはエクストラ・ブルーを振りかざすや、竜撃大砲が何をする間も与えず、先手を打って斬り下ろす。
 虚空を断つ斬撃から衝撃波が放たれ、一直線の光線の如く竜撃大砲の竜部分を貫いた!
 竜はその一撃によって巨躯を揺らがせ、ついにはがくりと膝を折る。
 体力にこそ変化はないが、短時間という制約はあるもののその精神を摩耗させ、むやみやたらに暴れさせる事を防げたのだ。
 加えて言えば、竜の意識が胡乱となっているこの状態なら、大砲による「竜の理性を失わせ強化する」行動も阻害できている。
 つまり今の竜撃大砲は、まったくの無防備――カグヤは刹那に刀の切っ先を突き付けるや、一拍後には奴の側までテレポートし、一息に振りかぶった。
 念には念を入れ、テレポートした先の地点は竜の斜め上という死角を取っており、敵はこちらを見失っている状況だ。
「今度のターゲットは竜ではなく、大砲です」
 カグヤは両手で握り締めたエクストラ・ブルーを、渾身の力で大砲へ叩きつけた!
 凄まじい衝撃と轟音が巻き起こり、揺れる洞窟。天井に刻み込まれる亀裂から、バラバラと岩石が降り注ぎ始める。
 強烈な衝撃波を伴うカグヤの一撃は、大砲へ一文字の斬撃痕を刻み付けていた。のみならず、返す刃でもう片方の砲身めがけ、逆袈裟の連撃を浴びせる。
「これで少しは効いたはず……一旦距離を取りますか」
 確かな手ごたえを得ると同時、カグヤの身体が重力に捕まって落下を始める。
 直後にはスタンから回復した竜がかち上げるみたいに殴りかかって来たため、すぐさま後方へテレポートし、寸前でその殴打を回避した。
 短距離テレポートした先でもすでに岩石の雨が降っていたので、続けざまに念動力で身体を浮遊させ、その合間を縫うようにかいくぐる。
 そうして岩石で自分の姿を隠してカモフラージュしつつ、竜がこちらを見失った瞬間に再びテレポートで突っ込む。
 今度の奇襲も、当然死角から攻撃を見舞う。
 雷光めいた軌跡を残す斬撃の嵐が、断続的に大砲を切り刻む。奇襲と離脱を繰り返し、敵の反撃は一発も受けない。降り注ぐ岩石をも利用した、カグヤの見事な立ち回りだった。
 すると竜撃大砲もまた焦りを感じたのか、カグヤを一気に吹き飛ばさんと、砲弾そのものを発射すべく、その砲口が熱を帯びていく――。
「させませんよ」
 すぐさま接近したカグヤが砲口めがけて突きを叩き込み、間髪入れず間合いを離した直後。
 装填されていた砲弾をも傷つけたのか、砲身内部で閃光とともに爆発が起きる。
 轟音を響き渡らせながら盛大に爆風が放出され、それが晴れた先には、内部からの爆発によって大きく損傷した大砲が、半分ちぎれかけたみたいに、カグヤの前で弱弱しく揺れていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

イフェイオン・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

私も敵の力を利用してますからお互い様ですね。
死の輝きに近付けるように、一歩でも深く触れ合えるように。
四肢に触手を刺し『ドーピング』。戦闘開始です。

私よりも大きい敵、なら死角も必ずあるはずです。
地を蹴り壁を蹴り、突き立てたナイフをも足場にし、敵の視線を潜り抜けましょう。この速さについてこられたら、私の負けです。それはそれで興味深いですが。
死角から大砲部分を『暗殺』も良いですが、敵の頭上、岩盤部分にへばり付いて、わざと攻撃を誘うのも面白そうです。
攻撃を紙一重で避けるか、もしくは大砲の餌食になるか。

まだ寝ないでくださいよ。寝たら待ってますから。もっと私に見せてくれるのを……。



「敵と竜を殺すため寄生し、操作する……私も敵の力を利用してますからお互い様ですね」
 イフェイオン・ウォーグレイヴ(濡鴉の死霊術士・f19683)は竜撃大砲と対峙する。
 相手から感じるのは濃密なまでの殺気。恐らくこれは竜のものではなく、大砲の発するそれだろう。
「相手にとって不足はなさそうです」
 イフェイオンの周囲の空間が不気味な歪みを表出させながら裂け、内部より這い出た触手が、滑り込むようにしてイフェイオンの両の腕と足に突き刺さる。
「死の輝きに近付けるように、一歩でも深く触れ合えるように」
 四肢へ深々と突き入れられた触手から流し込まれるのは、これまた冒涜的な何かだ。
 それによってイフェイオンの脳内物質が過剰に分泌され、異常なまでのどす黒い高揚感が胸中から爪の先まで広がっていく――。
「戦闘開始です」
 光の灯らぬ眼球をぎょろり、と一度だけ剥かせた刹那には、イフェイオンは駆け出していた。
 それぞれの手には一対のナイフを把持し、一足飛びに竜撃大砲へ距離を詰めていく。
 すると竜撃大砲もまた、大砲が竜部分を激烈に強化した上で、イフェイオンを迎え撃つべく猛然と迫ってきた。
 イフェイオンよりも頭四つも五つも大きそうな巨体が、影を覆うように肉薄する。
 けれども、その体格差を逆手に取って、イフェイオンは身を沈めた。そのまま竜撃大砲の足の間を滑りながらすり抜け、敵の背後へ回る。
 しかし竜撃大砲は、この大胆な動きに対して簡単に対応した。素早く振り向きざま、ラリアットめいた剛腕を振り回して来たのである。
 風圧だけで、すでに体勢を整えていたはずのイフェイオンを派手に吹き飛ばす。
 飛ばされた先は凹凸のある壁面だ。イフェイオンは空中でくるりと宙返りするや、すぐさま壁を蹴って駆け上がる。その一秒後には、追撃する竜撃大砲の殴打が、先ほどまでイフェイオンのいた位置へ叩き込まれ、衝撃とともに大穴を開けていた。
「速いですね……面白くなって来ました」
 イフェイオンはとっくにトップスピードを出している。にも関わらず敵は、さして苦労するでもなく追いついて来ているのだ。このままでは捕捉されるのも、時間の問題だろう。
 あるいはそれも、興味深い――間断なく突っ込んでくる竜撃大砲を一瞥しつつ、イフェイオンはナイフを壁へ突き立てて足場にし、さらによじ登って間合いを離す。
 そこから一気に跳躍して、ついに天井へ張り付いた。その際にナイフは手放し、イフェイオンは無手の状態である。
 敵に撃たれても、抵抗する術がない。まさに死線。すぐそこまで死が迫っている。
 竜撃大砲もまた、イフェイオンめがけて盛大に砲弾を発射した。その破壊の火の玉の先端には紛れもなく死が乗せられている。
 直撃すれば死。かすめただけでも致命傷に近いダメージを受けるだろう。
 だがそれがいい。だからこそ、この行動に賭ける価値がある!
 イフェイオンはぎりぎりまで砲撃を引き付けたのち、おもむろに天井から手を放し、自身を自由落下に任せた。
 突然落下を始めたイフェイオンに、砲弾がとっさの軌道修正などできるわけもなく、イフェイオンとすれ違うように紙一重で逃す事となる。
 ならば、その砲弾はどこへ激突するか。
 言うまでもなく、それまでイフェイオンが掴まっていた、天井の岩盤部分――。
 轟音と振動が走り抜けるとともに、激しい火砲が岩盤をえぐりぬいた。
 その衝撃で、瞬く間に天井の崩落が始まる。竜撃大砲は慌てて回避しようとするも、ちょうどタイムリミットが来たのか、竜部分はぐったりとくずおれて昏睡状態に陥ってしまう。
 とめどなく崩れ落ちる落盤が、ちょうど真下にあった、大砲部分へ衝突していく。
 イフェイオンもまた落盤群に襲われていたが、こちらは小回りを利かせて素早く離脱し、ナイフを回収しながら改めて竜撃大砲と相対していた。
 竜撃大砲の大砲部分はこれでもかと岩石に潰され、最初の頃の威圧的な様相からは見る影もなく変形しきっていたが、それでもなお、殺意と砲口をこちらへ向け、戦うつもりでいる風だ。
 イフェイオンは、喉の奥で小さく笑った。
「起きるまで待ってあげますよ。もっと私に見せてくれるのを……」

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・零
enigmaで夕夜と

『これは…厄介なものに憑依されてますね。夕夜、大砲をだけ狙っていこう。』
「了解!とりあえず俺がまず遊び相手になって牽制してくるわ!」


零が【情報収集】した洞窟の状態を見て、零が夕夜をサポートしたり、されたりと連携しつつ

共通

Ø

夕夜
グレイヴ・ロウを用いて牽制
punishment bluster(A)を【零距離または一斉射撃】で【貫通攻撃】を試みる


同じくグレイヴ・ロウで牽制


タイミングを見て夕夜がAで天井を崩落

『ルー!行くよ!』

指定UCが氷を広範囲に出現させて敵の大砲だけに当たるようにかつ本体は守れるように展開する
零も一緒に連携し虚鏡霊術で鏡のような見た目のオーラ防御で支援



「これは……厄介なものに憑依されてますね。夕夜、大砲をだけ狙っていこう」
「了解! とりあえず俺がまず遊び相手になって牽制してくるわ!」
 見送る天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)に軽く応じつつ、夕夜が先行する。
 まずは夕夜が敵の力を見定めつつ、後方では零が洞窟の状態を分析し、必要に応じてサポート。互いに連携し合うという戦法だ。
「よっしゃ、いくぜ! ほどほどに相手してもらおうか!」
 勢いよく切迫する夕夜。果敢に踏み込みながら、槍の様な骨の形状をしたグレイヴ・ロウを突き出す!
 そのグレイヴ・ロウへ、竜が牙で食らいつき、たやすく受け止めて見せる。力ずくで押し込もうとする夕夜だが、腕力では押し勝てないとすぐに諦め、得物をするりと引き抜いて退いた。
「デカブツだけあって半端ねーな!」
 逃がさじ、と如才なく追撃を仕掛けてくる竜撃大砲。砲身がガクンと動き、照準を夕夜へ合わせつつ、さらに竜部分までが爪撃を見舞ってくるではないか。
 どちらも壊滅的な威力を備えている。まともにもらえばただでは済まない。
「やべ、どっちを躱す!?」
「夕夜、大砲を避けて!」
 その時、戦況を観察していた零が大声で呼びかけた。
 確かに、この状況では一方のみしか避けられない――回避できたとしても、どちらかはまず間違いなく命中してしまう。
 けれど、夕夜はその言葉を聞いて、迷わず砲撃の回避を試みた。
 鼓膜を潰さんばかりの轟音を張り上げ、閃光とともに砲弾が迫る。夕夜は地面へ身を投げ出すみたいに伏せ、頭と背中に高熱を感じつつもかろうじて躱してのけた。
 でも頭上から、今度は竜の恐るべき爪が迫る――。
 瞬間、零が地中より飛び出させたグレイヴ・ロウが、夕夜をかばうように現れてその一撃を受け止めた!
 これまた激しい音が鳴り響き、あまりの威力に衝撃波までが飛散する。
「さんきゅ、零!」
「それと、夕夜から見て左奥のあたりで戦って」
 続けてそう指示を出す零。任せとけ、と言われた通りに行動する夕夜を、零の隣でルーガルズが落ち着かなげに見つめていた。
「大丈夫かな、夕夜……僕が加勢しなくても」
「もう少し待って。夕夜があの位置まで敵をおびき寄せるまで……」
 防御を重視して立ち回る夕夜から視線を外さず、零はそうなだめる。
 そしてほどなく、その時は来た。最後の方ではしゃにむに汗だくで逃げ回っていた夕夜が、ついに竜撃大砲を指定の場所まで誘い込んだのである。
 その位置の真上の天井は、ちょうど岩盤が崩れかかっていた。少し刺激してやれば、あっという間に崩落が始まるはずだ。
 それこそを零は狙っていた。間髪入れず前へ飛び出す。
「ルー! 行くよ!」
 ルーガルズを伴って疾走しながら、再びグレイヴ・ロウを壁の真横から突き出させ、竜撃大砲から夕夜を守る防壁とする。
 刹那にはすでに、夕夜はpunishment blusterを構えていた。天井へ狙い定め、すべての弾丸を一斉に射出する!
「散々撃ちまくってくれたな、今度は俺からのプレゼントだぜ!」
 ぶっ放された砲撃は目標通りに天井を穿ち、バラバラと激しい轟音を立てて大量の岩盤を崩れ落ちさせた。
 ルー、と零が叫ぶ。呼応したルーガルズが氷のブレスを全力で竜撃大砲へ見舞い、足元からみるみる氷で凍てつかせる。
 これ以上大砲が暴れぬよう、砲口を氷でふさいで阻害し。
 そうして、竜部分を安全に防護する形で包み込み。
 落下する岩盤はちょうど、無防備にさらされている大砲部分めがけ、無数に降り注ぐ――!
「うおぉぉぉぉぉ!?」
 崩落の着弾地点には運悪く、夕夜も巻き込まれていた。零のグレイヴ・ロウだけでは到底守り切れないため、ここは一気に飛び込んで肩を並べ、虚鏡霊術を発動。
 鏡の如く透き通ったオーラを展開し、自分と夕夜をともに岩石群から防いでのける。
 やがて崩落がひと段落した後には、もはや数え切れぬ損傷が走り、破壊寸前となった大砲が、ふらふらと砲身を揺らしていた。
 一方の零と夕夜、ルーガルズは傷一つなく、瓦礫の中から姿を見せる。
「作戦成功だな!」
 砂まみれの汚れた顔で笑う夕夜に、零も微笑み返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティクルス・ディータ
あれを倒して、急いで、全部壊して、早く帰りたい
…?中身は、壊したらダメ?どうして?
依頼は、オブリビオンを倒して、ここを出ること
だから、オブリビオンさえ壊せれば、それでいい。じゃないの?
…ひとの考えること、難しい。けど、ひとの中で生きたいなら、言うことを聞かないと
じゃないと、入れてもらえないから

まわりのだけ壊すなら、中身は動かない方がいい
電気だと、死んじゃうかもしれない
だから【シェイプ・オブ・ウォーター】で、動きにくくする
雨で、上が落ちてくるかも。でも、皆なら避けられる、たぶん
ついでに、倒してくれるといい。危ないから近寄りたくないし、杖で壊すの、大変

…水、落ち着く。もっと早く出しておけばよかった


マイア・ヴェルナテッド
さて…。大砲を破壊するには竜の方の動きをどうにか…。最低限、足を止めさせなければいけませんね。
なおかつ竜の方に必要以上にダメージを与えないように…、ふむ…。

『多重詠唱&2回攻撃』で【エレメント・ミサイル】を詠唱しての多段攻撃を行います
1射目に水属性の【エレメント・ミサイル】を竜の足元に向けて射出、足元の砂地をぬかるませて目くらましの陽動兼簡易的な足止めに
2射目は氷属性で射出、『誘導弾』を付与してぬかるませた足場及び脚部と大砲を狙い攻撃、龍の脚部及び足場と大砲を凍らせて攻撃&行動阻害
3射目以降は大砲に向けて氷と闇属性で『誘導&呪殺弾』化した【エレメント・ミサイル】を発射し足止め&攻撃します



「あれを倒して、急いで、全部壊して、早く帰りたい」
 ティクルス・ディータ(海雪・f27190)の呟きは切実だった。
 度重なる疲労、ひっきりなしにまとわりつくあらゆる不快感、その他諸々、もう色々と限界なのである。
「さて……。大砲を破壊するには竜の方の動きをどうにか……。最低限、足を止めさせなければいけませんね」
 ところが、同じ戦場を共にするマイア・ヴェルナテッド(ノーレッジデザイア・f00577)が思案しながらこぼした言葉は、ティクルスにとって思いがけない内容で。
「……? 中身は、壊したらダメ? どうして?」
 その質問は、すでに脳内で高速で戦術を練っているマイアの耳には届いていないようだ。 けれども、別段間違った事を言っている風にも感じられない。
 だからティクルスは、なんとか考えてみた。
「依頼は、オブリビオンを倒して、ここを出ること」
 まるで自分へ言い聞かせるように言葉を継ぐ。
「だから、オブリビオンさえ壊せれば、それでいい。じゃないの?」
 でも、どうやら他の猟兵達も全員、竜ごと始末しようとはしていないらしい。
 その証拠に、ここまで竜部分に傷らしい傷はほとんどついていなかった。
「……ひとの考えること、難しい。けど、ひとの中で生きたいなら、言うことを聞かないと」
 結局、よく分からない。分からないなりに、ティクルスの中では回帰するみたいに結論が出る。
「――じゃないと、入れてもらえないから」
 その頃には、マイアの中でも戦法の算段がついていた。
「なおかつ竜の方に必要以上にダメージを与えないように……、ふむ……」
 攻略方法は見えた。日傘を振りながら、魔術発動に向けての詠唱を始める。
 当然そんなものを黙って見ている竜撃大砲ではなく、マイアを直接叩き潰して黙らせようと、轟く叫喚を張り上げながら突っ込んで来た!
 この時、マイアが想定していたのは多重詠唱・及び連続魔法攻撃による速攻である。
「いけませんね……思っていたよりも敵のスピードが早く、距離を詰められすぎています」
 なのにこちらはまだ、一射分しか詠唱を終えられていない――。
 やむなく、迫り来る竜撃大砲めがけ、詠唱を終えた分の【エレメント・ミサイル】を発射する。
 撃ち出された多数の魔法の矢は水属性を内包しており、それが猛然と踏み込む竜撃大砲の足元へと着弾。
 さながら水玉が破裂したみたいな音を発し、多量の水分を注ぎ込まれた地面が勢いよく弾けた。
 深い水溜まりを思い切り蹴り散らしたかの如く、泥濘が飛散して竜撃大砲の視界を覆い、のみならずその丸太じみた強靭な足を、泥がぬるりと呑み込む。
 竜撃大砲の体勢が傾いだ。どうやら足止めには成功したらしい。
 ここで詠唱を再開するマイアだったが、竜撃大砲の大砲部分が、軋むような音を立てて、赤熱し始めた砲口をこちらへかざしてくるではないか――。
「まわりのだけ壊すなら、中身は動かない方がいい……電気だと、死んじゃうかもしれない」
 するとティクルスもまた、魔杖を振って魔法を展開した。あの竜撃大砲をどう食い止めたものか悩みはしたが、そのヒントは一連の攻防を見て掴んだのである。
 しとしとと、やがてざあざあと、水滴が降り始める。ティクルスがこの戦場全体に発生させた、ソーダ水の甘い雨だった。
「……水、落ち着く。もっと早く出しておけばよかった」
 心なしかちょっとリラックスしたみたいなティクルスとは対照的に、今しも砲撃しかけていた竜撃大砲は、まるで巨大な重圧に襲われたかのように、がくりとうなだれてしまう。
 それもそのはず。雨の勢いこそそれほど激しいものではないが、これが降っている間、戦場は【深海】と同じ環境に変化している。
 すなわち、前もろくに見えないほどの暗闇。そうして水圧。他にも様々な要因が、本来陸の王者たる竜を海中深くへ引きずり込むように、その動きを阻害させているのだった。
 後はついでに誰か、竜撃大砲をどうにかしてくれないだろうか。
 あの竜や大砲が大変な脅威なのには変わりないし、さすがにここから近づいて杖で殴って倒すのは、大層骨が折れる事だろう――。
 深海のフィールドの影響はマイアも受けていたが、術者である彼女はその場を動く必要がなかった。おまけにティクルスのおかげで、無事に最後まで詠唱を終わらせている。
「では、今度こそ披露させていただきましょう」
 続いての二の矢は、氷属性の射撃だ。たとえ周囲が深海の暗闇に包まれていようと、誘導性を付加したエレメント・ミサイルであれば、何の障害もなく標的へ命中させられる。
 瞬間的に生成された、これまた大量の魔矢が敵を襲来する。
 先ほどぬかるませた地面を凍てつかせ、さらに水気を帯びた竜の足、そうして大砲の砲身を氷漬けにしていく。
 竜部分の動きは完全に止まった。問題は大砲の方だ。
 自分が絶体絶命のピンチであると認識しているのか、これほどのダメージと悪条件を付与されてもなお、強引に砲撃を再開しようとしている。
 照準は無論、マイアとティクルスだ。発射されようものなら、これまで積み重ねた攻撃をひっくり返すかのような、甚大な被害を被ってしまうはず――。
「その前に終わらせます」
 マイアが宣言して、あらん限りのエレメント・ミサイルをぶっ放し、砲撃体勢に入っている大砲へ矢の雨を降らせていく。
 もう属性を切り替える必要はない。その魔法へ込められているのは氷と闇、そして凶悪な呪殺力が込められた、いわば矢というより魔弾の嵐だ。
 破壊のみに特化し、黒く可視化されたマイアの魔力が、とどまる事なく大砲へ叩き込まれ、何をさせる間もなく崩壊へと導いていく――!
 されども大砲は力を振り絞り、崩れ落ちる自らの残骸を振り上げ、道連れ上等とばかりにマイアを叩き潰そうと振り下ろす。
 刹那。
「えい」
 いつの間にか肉薄していたティクルスが、スイングした杖の先で大砲を殴って、ささっと素早く離れる。
 危険な相手なのでなるべく近づきたくはなかったが、マイアの攻撃に乗じた事でうまくいった。加えて周りが深海だったため、その場からの離脱もスムーズに運んだのである。
 そしてたっぷり、数拍後――それがダメ押しとなったみたいに、大砲は黒色の爆発を引き起こすと、くぐもった爆音を響き渡らせ、破片をまき散らしながら木端微塵に砕け散った。
 途端、操られていた竜ははっと我を取り戻し、瞳には深い理性と知性の色が宿る。
「おお……ワシは……助かったのか……?」
 氷結属性を帯びた矢に撃たれていたため、竜の足元に散らばった大砲の破片は、綺麗な氷の結晶に覆われていた。
 竜はその大砲だったものをじっと見下ろしたかと思えば――ふんぬと声を上げて足を振り下ろし、踏み潰してのけたのである。

 こうして猟兵達の活躍により、竜撃大砲は倒された。
 厳密に言えば、竜を利用していた骸魂の大砲のみが破壊され、竜は無事、正気を取り戻したのである。
「そなたたちのおかげで、ワシはこの通り、なんともない。もう駄目じゃと思っていたが、命拾いができた。本当に、礼を言う」
 竜はそんな風に、猟兵達への感謝を口にした。彼はこれからも、静けさを取り戻した炭鉱の奥で、ゆるりと暮らしていくという。
 別れを告げて地上へ出ると、あれだけ一面砂に埋もれていた景色は、嘘みたいに元へ戻っていた。
 どこまでも広がる平原。青々と生い茂る森。澄んだ空気と、日差しを照り返して輝く湖――色鮮やかな情景が、紛れもなく生き物達の生命を彩っている。
 異変は終わった。妖怪達は今まで通りに生を謳歌し、世界は続いていく事だろう。
 平和を取り戻した幽世を確認し、安心した猟兵達は、めいめいに立ち去っていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月19日


挿絵イラスト