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深紅に染まれ、人狼組織

#ダークセイヴァー #同族殺し

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●グリモアベース
「……ううん、どうも凄い展開になっているなぁ」
 穏やかな笑みはそのままに、腹の底から小さく唸り声を上げるのは、ジファー・グリムローズ(人狼の文豪・f13501)。
 依頼概要を聞きに訪れた猟兵たちの姿に気付き、軽く手を振ってみせた獣の目はまるで笑っていなかった。
「やぁ、いつもお疲れ様だね。 新世界も発見されて忙しいだろうけど……さて、この中で暗殺や乱戦に乗じた奇襲が得意って人はいるかな?」
 なかなか物騒な募集要項を口にしたジファーは、薔薇の形をしたグリモアを宙に浮かせてその花弁を撒き散らす。
 その一枚一枚が映したのは、深い夜と闇に覆われたダークセイヴァー世界のとある血塗られた古城だった。
 風化した床や壁に飛び散った血や肉片は、今しがたぶち撒かれたばかりだと言うくらいに新しいモノで……耳を澄まさずとも聞こえるのは虐殺の音。
 黒装束を身に纏った人狼の群れが、一方的に切り裂かれ、燃やされ、食い散らかされるといった……眼を覆いたくなるような光景が写し出されている。
 その惨状を今まさに作り出しているのは……たった一人の人狼だった。
 その者は、憤怒の炎を連想させる赤々とした毛並みを鮮血に染め、同族を屠る狂気の人狼。
 では順を追って説明しようと、ジファーは指を立てる。

 かつて、ダークセイヴァーには『犯罪組織アルカード』という組織があった。
 その組織は頭のネジが数本外れたような人狼たちによって構成されていて、各地で様々な犯罪行為に手を染めていたと言う。
 そんな連中の長として君臨していたのが、『ベリル・アルカード』と言う名の人狼吸血鬼だ。
 過虐的思考、刹那的快楽主義者として悪名を轟かせていたベリルは自分さえ気持ちよくなれれば何でも構わないといった、理不尽の塊とも言うべき男だ。
 彼が『猟犬』と呼ぶ子飼いの人狼暗殺者たちに命じ、連れ拐われた人々はいずれも凄惨な最期を迎えているという……男であれ女であれ、気に入った者を散々いたぶっては弄び、遊び飽きたらその血を喰らう、それを延々と繰り返した、と。
「……私も人狼だけど、ソレと同類とは思われたくないってくらいに嫌悪感が酷いね」
 同じ人狼病患者には親近感を抱くジファーがそこまで拒絶反応を示すほどに、ベリルと言う人狼は救済の余地もない悪党だった。
 そんな彼らも既に滅びたと噂されていたが、オブリビオンとなって復活を果たし……再び刹那的快楽の為の犯罪を犯そうとしている。
 風化した古城を一先ずの拠点とした犯罪組織アルカード……ここまでであれば、ジファーからの依頼は『犯罪組織アルカードの殲滅』というシンプルなものだったろう。
 しかしここにきてイレギュラーな存在が現れた、それがアルカードの猟犬を屠っている深紅の人狼だ。
 ダークセイヴァーにおいて、オブリビオンに最も忌み嫌われた存在……オブリビオンを殺すオブリビオンのことは『同族殺し』と呼ばれている。
「申し訳ないけど、彼のことはよく分からなかったんだ。 なんとか分かったのは、彼はオブリビオンにも忌み嫌われた『同族殺し』であり、今回のターゲットはベリルだってことくらいだね」
 狂気を纏った『同族殺し』の戦闘力は、計り知れないものがある……まともに死合えば猟兵すら喰い殺すであろう程の強敵だ。
 だが幸いなことに『同族殺し』の敵視はベリルたちに向けられている……これはチャンスだとジファーは頷く。
「今回はこの『同族殺し』を利用して、ベリル・アルカードを討ち取ってもらうよ。 そしてその後に……『同族殺し』も倒して欲しい」
 ジファーの提案する作戦はこうだ。
 まず『同族殺し』が暴れまわっている隙に、猟兵は古城に潜入……領主であるベリルを探す。
 この時『アルカードの猟犬たち』と出くわす可能性があるが、交戦するか隠れてやり過ごすかは猟兵の判断に委ねる。
「ただ……間違っても【この時点で『同族殺し』に戦闘を仕掛けるのは止めてほしい】。 はっきり言って自殺行為だ」
 加えてそもそも古城への潜入も『同族殺し』を利用出来なければ、警備を破れないくらいに固いものとなっている。
 なので一先ずは潜入を成功させて、ベリルを見つけ出してほしいとのことだ。
 次は『同族殺し』とベリルが鉢合わせたタイミングを見計らって猟兵が戦線に加わり、三つ巴の戦いを行う。
 この時点での目標はベリルの撃破とする、『同族殺し』はベリルを狙うので、猟兵はそれに乗じる形となるだろう。
「念のために言っておくけど、共闘は期待しないでほしい。 『同族殺し』がみんなを邪魔だと思ったなら、容赦なく殺しに来ると思うからね」
 ベリルと『同族殺し』の両方に狙われる羽目になれば、いくら猟兵と言えど命が足りない事態に陥りかねないと、ジファーは警告をする。
 そうして最後……ベリルを倒せた後は、いよいよ『同族殺し』との戦闘になる。
 狂気を纏う『同族殺し』は強大な敵だが、猟犬たちやベリルとの戦闘を経て消耗しているはずだ、その隙を突いて打ち倒してほしいとして、ジファーはすっと目を閉じた。
「……いわゆる漁夫の利だね、ちょっと狡いかもしれないけれど、強大なオブリビオンを同時撃破するチャンスを逃す手はないと思うよ」
 あくまでもこれは好機であると強調した上で、ジファーは転移の扉を開く。
 グリモアベースに漂う闇の世界の空気は、真新しい血臭と熱を帯びていた。

「……最後に、もうひとつだけ」
 人狼入り乱れる地へ向かおうとする者たちを、ジファーは呼び止める。
 普段は穏やかな印象が目立つ人狼の青年は、胸に爪を立ててぐっと掴み、眉間に皺を寄せて、怒りを押し殺すように低く唸る。
「……あの『同族殺し』から伝わってくるものがあるんだ。 強くなりたいっていう想いと、騙された、喰い殺してやるっていう怒りと恨みの感情……。 その感情の矛先が誰に向かっているのかまでは、分からないけど……」
 気をつけて、とジファーはその場にぺたんと座り込んだ。


四季臣
 五十二度目まして、四季臣です。
 この度はここまでOPを閲覧していただき、ありがとうございます。

 人狼だらけの古城で潜入、奇襲、三つ巴と参りましょう。
(OP画面にいらっしゃる人狼さんが『同族殺し』になります)

 第1章は、集団戦です。
 犯罪組織アルカードが潜伏していた古城では、『同族殺し』が『アルカードの猟犬たち』と戦闘を行っています。
 この戦闘の隙に猟兵は古城に潜入し、第2章のボスを探すことを目的とします。
 道中にアルカードの猟犬たちと遭遇するので、その対応をお願いします。
 交戦か回避か、といった感じになるかと思われます。
 この時点で『同族殺し』と戦闘を行うのは危険であるとし、苦戦or失敗判定の確率が格段と上昇します。

 第2章は、ボス戦です。
 犯罪組織アルカードのボス、『ベリル・アルカード』との戦闘になります。
 この時『同族殺し』も戦場に出現し、ベリルに戦闘を仕掛けています。
 『同族殺し』を利用しつつ、ベリルの撃破を目指してください。
 この時点でも『同族殺し』に戦闘を仕掛けると、その程度によって苦戦or失敗判定の確率が上がります。

 第3章は、ボス戦(同族殺し)です。
 ベリル撃破後は『同族殺し』との戦闘になります。
 『同族殺し』は強敵ですが、これまでの戦闘を経て大きく消耗しているので、勝ちの目はあります。

●同族殺しについて
 第1章と第2章において『同族殺し』の様子を確認するプレイングは、ある程度なら容認させていただきます。
 ただし『同族殺し』は狂気によってまともに会話が出来ない状態になっています。
 ジファーの予知では『彼は同族殺しだ』ということしか分かりませんでしたが、確認によって新たな情報が明かされるかもしれません。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『アルカードの猟犬たち』

POW   :    レグルスインパクト
単純で重い【渾身の力を込めた大剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    コープジェミニ
【二人がかりで息のあった連撃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【癖と取り得る回避行動】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    ジフプロキオン
【純真無垢な子供のような表情で油断させる】事で【対象の油断を誘い、暗殺執行モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ガルムゼノン・フェンリル
同族殺しの男性に対して、強いデジャヴを感じる……。
もしかしてキミは…スルト…なのか?
いや、そうと決まったわけじゃない。
とにかく、彼とコンタクトを取れればいいんだが…それどころじゃ無さそうだ。まずは人狼部隊をどうにかしないとね。

少しでも数を減らせることが出来れば……!
ある程度の数を引き付けてから、殺意を向けて気を引いた個体を中心に一掃しよう。集団戦には自信があるんでね!
氷属性の2回攻撃を中心に攻撃しつつ、相手の攻撃にはフェイントや見切り、第六感で対処。
ある程度数をまとめてからUCで一網打尽にする!
【冰牙暴穿】…フロゥズ・ヴィトニル!!

アドリブ共闘歓迎だ♪


彼岸花・司狼
行き着いた先が怒りと同族殺しか、難儀なことだな。

古城内では【目立たない】ようにUCを発動しながら
【追跡】技能でベリルを探しつつ【闇に紛れて】移動する。
途中、同族殺し以外と接敵するようであれば、
周囲に気付かれずに確実に数を減らすため基本はそのまま陰でやり過ごし、
はぐれや手負いのみを狙って【早業】で【暗殺】しにいく。

近くに『同族殺し』が向かってくるようであれば、一旦戦闘を放り出してでもUCの記憶操作で存在を隠しつつ、【聞き耳】をたてながら様子見を。
倒すからには、倒すからこそ相対する前に多少なりとも相手を知っておきたい。

経緯はどうあれ、やることは変わらないが…
死者に死を、悪夢に終わりを。



●人狼集いし城
 喧騒や絶叫が轟く古城の正門前。
 見張りとおぼしき人狼の惨殺死体がいくつも転がり、辺りは血と錆の匂いが立ち込めている。
 オブリビオンを殺すオブリビオン……『同族殺し』の狩りが始まってから、ある程度の時間が経過していたようだった。
「行き着いた先が怒りと同族殺しか、難儀なことだな」
 散らばった肉片の状態を調べながら、彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)は小さく首を横に振る。
 現時点での接触は避けろと言われた『同族殺し』だが、どの道倒す相手であることには変わりない。
 多少なりとも相手を知る必要があるとして、その手口を探ろうとする司狼の側で……思索に耽る者がいた。
 ガルムゼノン・フェンリル(月をも砕く蒼狼拳士・f01970)は、グリモアが映す『同族殺し』を目にしてから、なにやら強いデジャヴを感じていたのだ。
「もしかして……スルト……なのか?」
 蒼の人狼の口に出たのは、何処かで離ればなれになってしまった旧い友の名。
 映像だけであの『同族殺し』の正体を決定付けるまでには至らなかったが、もしも彼がスルトであるならば。
「とにかく、彼とコンタクトを取れればいいんだが……」
「今の時点で『同族殺し』と関わるのは危険だ」
 一目見て確認を急ぎたいガルムゼノンに、仮面の人狼こと司狼がその考えを改めさせる。
 ガルムゼノンは頷く、今はそれどころでは無いと言うことは重々承知している。
 とにかく今は、ならず者の人狼どもをどうにかしなければならない。

「侵入者! 侵入者だ!!」
「猟兵だと?! こんな時に……ぐあっ!」
 古城へ踏み行ったガルムゼノンは、出会い頭に声を上げる猟犬にまずは一発、二発と叩き込んだ。
「(少しでも数を減らすことが出来れば……!)」
 それは後続する仲間を思ってか、はたまたまだ見ぬ『同族殺し』の為か……ともあれ、ガルムゼノンの堂々とした戦闘行為はすぐさま猟犬たちへと伝達されていく。
「青い人狼? こいつが『同族殺し』かァ?」
「バァカ、『同族殺し』は赤だろーが!」
 新たな侵入者の存在を聞き付け、現れた二人の猟犬はそれぞれ得物を構える。
 『同族殺し』でなければ仕留められると踏んだか、猟犬たちは息の合った連携をガルムゼノンへと仕掛けてきた。
 対しガルムゼノンは様々な暗器を用いて攻撃してくる猟犬たちの動きを見切り、最低限の動きで回避していく。
 次第に数を増やしていく奴らへ、時折隙をついて拳を当ててから殺意を向けてやれば、それを挑発と受け取った猟犬たちは獰猛に牙を向いた。
「調子乗りやがってェ!」
「ブッ殺してやる!!」
 頭に血が上った獣どもの特攻、ある程度の数が集まった所で……ガルムゼノンはその身に宿る氷狼の力を解き放つ。
「汝を覆う氷風は総てを屠りし凶牙と成らん!! 冰牙暴穿……フロゥズ・ヴィトニルッ!!!」
 蒼狼より放たれしは、吹き荒れる猛吹雪と雹の牙……熱あるモノ総てを凍てつかさんとしたフェンリルの牙が、猟犬たちへ深々と突き刺さっていく。
「ぐああっ!! か、身体が、凍る……!」
「チッ、ベリル様にほう」
 ――報告、と続く筈の言葉は虚しく潰された。
 氷狼の力によって、極寒の世界と化した城内を裂く紅蓮が、今まさに逃げようとしていた猟犬を瞬く間に炭クズへと変える。
 僅か数秒で焼死体と化した仲間に悲鳴を上げた猟犬も、鋭く伸びた爪の一凪によって首をはね飛ばされた。
 その最中にガルムゼノンは、ついに見た……見つけてしまった。
 圧倒的な戦闘力を以て、猟犬どもを惨殺していく『同族殺し』。
 誰よりも強くなることを望んだ男……スルト・ブラッドファング。
 ヴァンパイアとしての力を解放した旧き友が、今まさにガルムゼノンの喉笛を喰い破ろうと迫る、その姿を。

 ……。
 …………。
 ………………。

「はっ!」
「気がついたか」
 ガルムゼノンの意識が戻った時、そこには『同族殺し』……スルトの姿はなかった。
 死角となる位置に転がされていたガルムゼノンを見下ろしているのは、仮面の人狼司狼だ。
 たった今、はぐれの猟犬を仕留めてきた司狼はガルムゼノンの容態を確認するため、ひとつ問い掛ける。
「どこまで覚えてる?」
「……『同族殺し』はスルトだった。 一瞬、やられたかと思ったけど……司狼君が助けてくれたのかい?」
 ありがとう、と礼を言いながら身体を起こすガルムゼノンに、司狼が小さく頷きを返す。
 敵の目を引く為にガルムゼノンが戦う様を、司狼は死角から聞き耳を立てて伺っていたという。
 それは手負いとなった敵が逃げる所を暗殺する目的もあったのだが……加えてガルムゼノンの行為が『同族殺し』を引き寄せてしまうことを危惧していた。
 そしてその時……『同族殺し』がガルムゼノンを喰い殺そうとした直前に、司狼は強制忘却特性を発動させた。
 己の影を指定した記憶を消す異常存在に変えるこの力は、自らが存在していた記憶を代償に、他者の記憶を操作できるという。
 それによって『同族殺し』の記憶を改竄、“その場にガルムゼノンはいなかった”ことにして難を逃れたのだ。
 思わぬ形での接敵となり、ガルムゼノンには心身ともに冷やされたが、司狼にとっての収穫はあった。
 『同族殺し』の名は、スルト・ブラッドファング。
 『血餓の鬼狼』の異名を持つ、憎悪の殺戮者だ。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒柳・朔良
オブリビオンを殺すオブリビオン、『同族殺し』か
奴らが同族同士で殺しあってくれるのは非常に助かるが、そう上手くいくだろうか
敵の敵は味方、との言葉もあるが、そう単純な話では済みそうにないな

選択UCを発動、【見つからない】ように【影に潜み】第一の対象に接近しよう
途中立ちはだかる『アルカードの猟犬たち』に対しては攻撃の後【逃げ足】で即離れながらヒット&ランを繰り返しつつ【暗殺】していく
確実に仕留める(【鎧無視攻撃】)ためにも、手負いならば【傷口をえぐる】ように止めを刺そう

こちらも『同族殺し』を利用しているんだ、別に利用されても構わないだろう
それに奴が我々に牙を向かない限りは無視しておくに限るのだからな



●暗殺フェイズ
「(オブリビオンを殺すオブリビオン、『同族殺し』か)」
 既に誰かが通ったのだろう。
 炎と氷が入り交じる異様な通路を、黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)は通りすぎていく。
 オブリビオンが同族同士で殺し合い、その数を減らしてくれるのは非常に助かることなのだが……朔良は慎重に考える。
「(果たして、そう上手くいくだろうか)」
 敵の敵は味方、との言葉は確かにあるが、味方候補もまたオブリビオンとなれば、手を取り合ってと言うことは難しいだろう。
 無造作に転げた惨殺死体を見るからに、出会った者を片っ端から殺している様子が伺える……猟兵もその対象の内だろう。
 と、思索に耽っていたら、向かいよりどたどたと大柄な足音が聞こえてくる。
 その音は仲間のものではないと察した朔良は、すぐさま我が身を影へと沈めた。

「クソッ、『同族殺し』め……ッ」
 『同族殺し』から辛くも逃げきった大柄の猟犬が、炭化した左腕を庇いながら逃げてくる。
 あの『血餓の鬼狼』を止められる者がいるとしたら、それはボスくらいだろう……ほとぼりが冷めるまで、どこかで身を隠そうと必死の形相だ。
 敵前逃亡の不名誉もバレなければ、と逃げる猟犬の背に……鋭い痛みが走った。
「ぎゃあああっ!! だ、誰だぁ!?」
 背中より血を吹き出させた猟犬は、右腕一本で大剣を構えて振り返る。
 しかしそこには誰もいない……無造作に転げた仲間の頭の白濁とした目が、虚空を見ているくらいだ。
 聞けば猟兵も紛れ込んだらしいと死んだ仲間は言っていた……となると今、彼の命を狙っているのは猟兵だろう。
「隠れてねぇで姿を見せやがれ!!」
 『同族殺し』を相手するよりマシだとばかりに騒ぐ猟犬だが……今度は足に深々と“何か”が突き刺さる。
 ぐい、と引っ張られるような感覚がしたと思って下を見れば……なんと自らの右足首がばっさりと切り落とされているではないか。
「がっ、ぎゃあああああっ!!」
 足という支えを失った猟犬は、野太い悲鳴を上げながら地に転がる。
 自分も無惨に死んだ仲間のようになるのかと、心のどこかで思ってしまった猟犬が仰向けに転げた時……目が合った。
 歴史上から存在を抹消されたという、「影の一族」の末裔が、今まさに自分へトドメを刺そうとしている所……それがその猟犬が見た最期の光景だった。

 影に潜む暗殺者……朔良は自身の存在を代償に、自らの武器の封印を解き、暗殺特化の武器を振るう。
 傷口を抉るようにトドメを刺した後、その血を振り払いながら、ターゲット探しへと戻った。
「(こちらも『同族殺し』を利用きているんだ、別に利用されても構わないだろう。 それに奴が我々に牙を剥かない限りは無視しておくに限るのだからな)」
 と、『同族殺し』へは無視を決め込んだ朔良は幸いにも『同族殺し』に出くわすことなく、ベリルの捜索を進めていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
第一人格『疾き者』
一人称『私/私たち』
対応武器:漆黒風
四人で一人の複合型悪霊。生前関係は戦友。

(まだのほほん)
生前と似たようなことをやれ、ですねー。仕事ですしやりましょうかー。
『同族殺し』のことは、少しだけ気にかける程度でー。

(ここから暗殺潜入モード。語尾伸ばし消失)
戦闘は基本、回避ですね。こちらの消耗を避けたいですし。
早業や忍び足、闇に紛れたり…持てるものをすべて駆使して。
指定UCも、その呪いを目眩ましに使う程度なんです。
…純粋無垢が、いつから傷つけないと?純粋無垢だからこそ、残酷にもなれるというのに。

※生前は忍者。
他の三人は、潜入暗殺モードな『疾き者』を見るのがはじめて。
三人総意「怖」



●『あいつが一番怖い』
 ――時は少し遡る。
 グリモアベースにて、なかなか物騒な募集要項にこくこくと、のほほんとした様子で頷いている男がいた。
「生前と似たようなことをやれ、ですねー。 仕事ですしやりましょうかー」
 なにかと穏やかな印象を持つ馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)だが、“生前”という言葉が示すように義透は悪霊である。
 それも、四人の縁ある霊たちが一人の人間を象ったという、複合型悪霊だ。
 四人の名で一人の人名を新たに付けたという義透の、今の人格は『疾き者』である。
「『同族殺し』のことは、少し気にかける程度でー」
 ふわっとした物言いの『疾き者』に、他三人の霊がなんとなく不安に駈られていったが……。
 その不安は、現地で見事にひっくり返された。

 人狼古城へと潜入を果たした義透……『疾き者』の様子は、普段の“穏やかなる者”とまるで異なっていた。
 生前は忍者だった『疾き者』にとって潜入はお手の物、闇に紛れて忍び足で進む様は……まぁ、敵地へ潜入となればそうもなるかと三人の霊も納得して頷いている。
 しかし古城の警備は思いの外固く、なにより荒れている……如何様な忍者であれ、猟犬たちの目や鼻からは逃れ切れなかった。
 そこで義透が遭遇したのは年端も行かぬ少年猟犬だ、義透を侵入者と認識した猟犬はすぐさまナイフを構える。
「ベリル様の元へは行かせないぞ!」
 勇ましく構えても、純粋無垢な愛らしさが際立つ少年兵は、どこかおぼつかない手付きで義透へ駆け寄り、ナイフをぶんぶんと振り回した。
 乱雑な攻撃を『疾き者』は危なげなく回避していく……こちらの消耗を抑えて、との事だが。
 次の瞬間、少年は雑な振りから暗殺執行の構えに転じ、義透を殺すべくして飛び込んでくる。
 振り上げられた、小さくも鋭い刃が義透の首を……跳ねることはなかった。
 幼い猟犬の腕に深く突き刺さったのは、『疾き者』が操る棒手裏剣の『漆黒風』……光の加減で時折緑に光るそれは、猟犬の動きを縫い止めていた。
「なっ……油断してたんじゃ……!」
「油断? 何故ですか?」
 普段ののほほんとした雰囲気からかけ離れた『疾き者』の声色に、後ろの三人霊がびくっと震えている。
 『漆黒風』に込められた連鎖する呪い……癒えることない傷より不幸を招く悪霊の術にはまった猟犬を、『疾き者』は冷たく見下ろしていた。
「……純粋無垢が、いつから傷付けないと? 純粋無垢だからこそ、残酷にもなれるというのに」
「ぐ、うぅぅぅ……!」
 愛らしさをかなぐり捨て、牙を剥いた少年の眉間へ、新たな棒手裏剣が放たれる。
 意図も容易く子供の柔らかな頭蓋骨を砕く一撃によって、一人の猟犬は絶命した。

『……怖っ』
 思わずそう呟いたのは、三人のうちどの霊だったろう。
 全員、という線もあり得るだろうが……ともかく義透『疾き者』は猟犬に出会う先々で、淡々と暗殺をこなしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

牙国・蒼志
何故だろう……嫌な、予感がする。
具体的に何かと聞かれると返答に困るのだが。

ともかく『同族殺し』の追跡をしなければな。

……!?暗殺集団だとは聞いてはいたが、年端もいかない子供もいるじゃないか!
まさか、子飼いって……(予想の付かなかった想像で血の気が引く)
……けんな、ふざけんな、ベリル・アルカード!
少しでも同情した俺が間違っていた!!
『同族殺し』に同情すべきだった!!
こいつらはベリルのひとりよがりの快楽のためだけに喰い殺された!
これでキレるなというほうがどうかしている!

牙の陣四之型『卯月』!!
おまえ達の『武力』、全て壊させてもらう!!

(ベリルの所業に我を忘れかけており『同族殺し』は無視しています)


ルーク・アルカード
【心情】
ん、昔住んでたとこにそっくり……。
気配も匂いも一緒、でもちょっとうるさいね。
懐かしい皆もいるけどウェルシェ(今の保護者さん)みたいに優しくなかったな……。

ないしょの行動とくいだよ。お仕事頑張らないと、ね?

【行動】
『目立たない』ように『忍び足』で移動。
敵を回避できない時はユーベルコードの速さにものを言わせて無力化。
一直線に奥を目指します。



●同情の余地もない
 ――嫌な予感がする。
 転移の扉を潜る前、牙国・蒼志(蒼穹の龍・f15465)は漠然とした心の内を漏らしていた。
 具体的に何に対してかと返答を求めるグリモア猟兵にも、満足のいく答えを返せずに困るほどに。
 そんな蒼志の横を通りすぎようとした少年の姿を目にしたなら、言い表せぬ予感は膨れ上がるばかりだ。
「……どうかしたの?」
 視線に気付いた少年が振り返り、蒼志の顔をじぃっと見つめる。
 表情の変化があまりない、きょとんとした様子の彼もまた“アルカード”と……犯罪組織と同じ名を持つという。
 嫌な予感が、加速する。
「(まさか、子飼いって……)」
 その答えを、後に蒼志は嫌と言うほど思い知る。

「ん、昔住んでたとこにそっくり……」
 ルーク・アルカード(小さな狩人・f06946)もまた、血の香に満ちた人狼城に潜入を果たしていた。
 まるで家に帰ってきたかのような錯覚さえ覚えるほどに、獣の五感は懐かしい気配と匂いを敏感に感じ取っている。
 見知った顔もいくつか見つけられたが、その多くが既に死に体となって、冷たい石床を赤く染め上げていた。
 少しだけ、彼らのことを思い返してみる。
 互いに殺した数を競い合う双子がいたり、愛らしさを武器に何人もの人を連れ去っては“主”に謙譲し、褒められたと喜ぶ年下の子もいた、気がする。
 みんなどこかおかしかったのだろう、かつてのルークはそんなことに疑問を抱くことも出来なかった。
 ただ、今ならば。
「(みんな、ウェルシェみたいに優しくなかったな……)」
 宝物の赤いマフラー、それをくれた人の事を思い浮かべる。
 今のルークにとって、帰る家とはここではない……それだけは確かだ。
「……ちょっとうるさいね」
 お仕事頑張ろうと気を取り直したルークの耳が、周囲の音を機敏に拾い上げる。
 ここから『同族殺し』のいそうな喧騒はそれほど離れていない気がする、なら目立たないように忍び足で移動を始めるルークだったが。
「……? どうかしたの?」
 出発するときにもそう訪ねた大人の人狼、蒼志が。

「……ふざけんな、ベリル・アルカードォォォォ!!」

 “ちょっと”どころではない声量で吠え猛り、沸き上がる怒りを露にしていた。
 あまりの大声にぎょ、と身をすくませたルークに気付いてもいないのか、蒼志は我も忘れて怒鳴り散らす。
「少しでも同情した俺が間違っていた!! こんなことなら『同族殺し』に同情すべきだった!!」
「……あの、声が」
「こいつらはベリルのひとりよがりの快楽のためだけに喰い殺された!」
「……声が」
「これでキレるなというほうがどうかしている! こんな、こんな年端もいかない子供まで……!」
「……こえ」
 どうしよう、全然聞いてくれない。
 ルークはマフラーに顔を埋めてしまう、蒼志がこの調子では“ないしょの行動”など取りようがない。
 となればやはりと言うべきか、蒼志の怒号を聞き付けて猟犬たちも集まってくる……もはや真っ向から交戦は避けられない。
 大柄な猟犬が迫るのに、ルークは抜刀しつつ大きく息を吸う。
 殺しの業には殺しの業で、そう迎え撃つ構えを取ったルークの横で……蒼志は立ち上がる。
 嫌な予感がしていた、それはグリモア猟兵の説明にあった“子飼い”のせいだろう。
 その言葉の意味は、文字通りに“子供”を表していたのだ。
 年端も行かぬ子供を囲い、自らの快楽のために暗殺者という化け物に変え、その挙げ句に凄惨な最期を迎えさせたというベリルの所業。
 一人の子を持つ父親でもある蒼志が、それを許せるはすがない。
 ベリル・アルカードはここで討たれなければならない、『同族殺し』など知ったことか!
「……牙の陣四之型『卯月』!! おまえ達の『武力』、全て壊させてもらう!!」
 牙龍武器に霊力が宿ると、その切っ先は迫る猟犬へまっすぐに叩き込まれる。
 牙の陣四之型『卯月』……、その一撃は肉体を傷付けず、『武力』のみを攻撃する。
 これを受けた猟犬は吹き飛ばされ、手にしていた大剣を落として戦闘力を大きく削がれた。
「か、体に力が……」
 最早立ち上がる力もない猟犬から目を背け、蒼志は通路を駆け出す。
 諸悪の根元たるベリルを討つべく、ここに怒れる人狼がもう一人生まれた瞬間だった。

「クソッあの野郎……」
「……」
 後に残されたのは、ルークと『武力』を壊された猟犬のみ。
 ルークもまた刀を納め、蒼志の後を追おうとする……最早戦えぬ猟犬をこれ以上相手にする必要もない。
「……なぁ、お前、ルークだろ……?」
 背を向けたルークを呼ぶ猟犬は、力の入らない腕を必死に伸ばしてくる。
「頼む、助けてくれ、俺たち仲間だったろ?」
「……仲間?」
 救いを求める声に、ルークは振り返る。
 確かに仲間だったのかもしれない、ウェルシェみたいに優しくもなければ、褒めてもくれない人たちではあったが。
 今のルークは猟兵である以上、オブリビオンである彼らを助ける道理はない……それに、もう手遅れだ。
 既にこの場にいない蒼志の声を聞き付け、やってきたのは猟犬だけではなかった。
 倒れ付した猟犬の頭を鷲掴み、軽々と持ち上げる深紅の獣の腕がその証明だ。
「い、いやだ。 死にたくねぇ、助けっ、たずげッ」
「……ごめんね」
 かつての“仲間”が『同族殺し』に捕らわれ、悲鳴ごと喰われたのを目の当たりにした後……ルークはその場から逃げ出した。
 一度たりとも、振り返らなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋月・充嘉
え!?ベリル・アルカード!?
行く、行くっすよ!
うわぁ、楽しみ!
……あ、いやぁ、ちゃんと仕事はするっすよ、えへへ。

『同族殺し』に見つかるのは面倒っすよねぇ……なら、影獣変化で影に隠れながら一旦やり過ごすっすかね。

……っと!あー、そっかこいつらにはバレるかぁ。
同族殺しには無視されるけど猟犬たちには気づかれるかぁ。
ま、しょうがない蹴散らすっすよ!
大ぶりな攻撃をわざと誘い、シャドウウェポンでぶっ倒す!
……ところでこいつら、ちょっと遊んでもいいっすかね?こいつらもこいつらで美味しそうだし、ね?
大丈夫大丈夫、遊び終えたらちゃんと片すから。

(アドリブその他歓迎っすよ)


ナギ・ヌドゥー
オブリビオン同士で殺し合ってくれるとはありがたい。
この隙に遠慮なく乗じ潜入させてもらおう。
同族殺しが通った後をつければ無駄な交戦を避けられるだろう。
それでも遭遇してしまったら仕方ない、迅速に処理する。

子供のような表情で油断を誘っている?お前等の様な子供がいるか!
人を殺せる様になったら年齢関係無く立派な大人だ。
我が呪獣ソウルトーチャーの拷問にかけるに相応しい奴等と判断
UC発動
猟犬を捕え腹を破り腸を引き摺り出せ
即死しないようじっくりとな
甘美なる絶望の叫びを聴かせてくれ!【恐怖を与える】

この恐怖で戦意を無くす様ならそれ以上の交戦はせず先を急ぐぞ



●狂宴の獣たち
「…………」
「いっやぁ~、楽しみっすねぇ~♪」
 この状況をどうしたものか……ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は思索に暮れていた。
 オブリビオン同士で殺し合ってくれるとはありがたい、それで数が減るなら仕事がやりやすくなる。
 『同族殺し』の起こした戦闘の隙に、遠慮なく乗じたナギはここまで難なく潜入出来たのだが……別の問題が発生していた。
 その、問題とは。
「はぁぁ……ベリル・アルカード……犯罪組織アルカードのボスと、ここでも会えるんすねぇ……!」
 一緒に潜入する運びとなった影……秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)のテンションの高さに理解が追い付かないことだった。
 嫌悪感を全面的に押し出したグリモア猟兵と、ベリルの名を聞いて二つ返事で任務を請け負った充嘉のこの落差はなんなのか。
 少なくとも「暴力を厭わない相手」であることは確かなのだろう、平常時は抑えている本性を余すことなく発揮させてくれる相手であることは間違いないはずだ。
 ただ、充嘉の“楽しみ”はナギの“殺傷による悦び”と種類が異なる気がしてならない、あと少々騒がしい。
「……充嘉さん?」
「……あ、いやぁ、ちゃんと仕事はするっすよ、えへへ」
 無駄な交戦を避けるため、『同族殺し』が通ったであろう場所を選んで進むナギの影に、充嘉が影獣変化で隠れるような形で同行している。
「『同族殺し』に見つかるのは面倒っすからねぇ……通った道をなぞっていくのはいい案だと思うっすよ! ナギ頭いいっすねぇ~!」
「……確かに『同族殺し』とは遭遇しにくいと思いますが」
 ベリルを目当てにテンション高いままの充嘉に応じつつ、ナギはふと足を止めて鉈を手に取る。
 ナギの影を通りすぎそうになった充嘉も慌てて止まると……二人の目前で得物を構える大柄の猟犬と子供の猟犬……二人分の姿があった。
「っと! あー、そっかこいつらにはバレるかぁ」
「仕方がありませんね……迅速に処理する」
「りょーかい、蹴散らすっすよ!」
 戦闘にスイッチを入れた充嘉は大柄を、ナギは子供を相手取るべく地を蹴り出す。
 対して猟犬たち驚いたことだろう、白髪の男の影から突然異形の影の獣が飛び出してきたのだから。
「な、なんだこいつは?!」
 予想し得ない敵に大柄の猟犬は、自衛の為の攻撃を繰り出してくる。
 大剣の巨大さ故に、その動作はあまりにも大振りで……絶好の隙だ。
「へへっ、そんな攻撃が影に当たるわけないっすよー!」
「く、クソッ!」
「ほうら、隙ありっすー!」
 広域を凪払うようなフルスイングも余裕で回避した充嘉は、シャドウウェポンですかさず反撃を仕掛ける。
 影を具現化させたようなハンマーは、真上から猟犬の頭に叩き落とされ、一瞬でその意識を奪った。
「えっ、一撃ィ?! ……ななな、なんだよ、ボクみたいな子供相手にまさかそんなことする気じゃないよね?!」
 僅か数秒で一人になった子供の猟犬は、かたかたとぎこちない笑みを浮かべてナギを見上げる。
 その“子供らしい表情”で油断を誘うのが、アルカードの子猟犬の常套手段なのだが……ナギは構わず突っぱねた。
「それで油断を誘っているつもりか? お前のような子供がいるか! 人を殺せる様になったら年齢関係無く立派な大人だ」
「つか、殺しにライセンスはいらないっすからね」
 影の獣が横槍を入れてくるが、ナギはそれに構わずユーベルコード……禍ツ狂宴を発動させる。
 その暗殺装飾を身に纏っている以上、ナギはその子供を拷問にかけるに相応しい相手と判断した。
 そうして呼び起こされたのは……咎人の肉と骨でその身を錬成された呪獣『ソウルトーチャー』。
 影の獣に続き、不気味な拷問兵器の出没に、少年はたまらず喉の奥からか細い悲鳴を上げた。
「ひっ」
「さぁ、甘美なる宴をきょうふと共に――絶望の叫びを聞かせてくれ!」
 残忍な本性を現したナギに対し、一瞬怯んだ少年目掛けて呪獣が飛び掛かる。
 体格差において圧倒的に不利な少年は、瞬く間に呪獣にのし掛かられて……その腹に深々と牙を突き立てられた。
「ひっ、はっが……がぼッ」
 ブチブチと、服と肉の繊維が切れる音が響き渡る。
 獣の鋭利な牙で大穴が空いた少年の腹は容易く喰い破られ、喉奥から逆流した吐血に溺れかけていた。
「うわ、こりゃG指定モノっすねぇ」
「げほっげほっ……ぐ、う、ウゥ……」
 その拷問の惨状に充嘉もぼそっと呟くも、少年は血を吐き、目には涙が込み上げてきている。
 拷問の披露によって“もう戦いたくない”という恐怖の感情が、この時確かに少年の心に宿ったことだろう。
 ナギは呪獣を呼び戻し、倒れた少年の横をすっと通り過ぎる。
「……えっ? これで終わりっすか?」
「この恐怖で戦意を無くす様なら、これ以上の交戦に意味はありません。 先を急ぎましょう」
「そっすか……」
 戦闘から通常へスイッチしたナギの背中を見送る充嘉は、改めて少年の容態を見る。
 まぁ、ここまでやったなら放置すれば自ずと死ぬだろうが……それはさておき。
「ところでこいつら、ちょっと遊んでもいいっすかねー? こいつらもこいつらで美味しそうだし、ね?」
 気絶した大柄の猟犬を抱えた充嘉が、ナギにそう尋ねると……ナギは一度も振り返ることなく先へと進んでいった。
 その無言を了承と受け取った充嘉は、チロリと舌舐りをする。
「大丈夫大丈夫、遊び終えたらちゃんと片すから」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…暗殺に奇襲ね。ええ、どちらも心得ている
私は真っ当な戦士や騎士じゃないもの
敵を狩るのに選り好みはしないわ

事前に“精霊石の宝石飾り”に魔力を溜めて精霊に祈りを捧げ、
全身を風のオーラで防御して音や臭いを遮断
自身に周囲の第六感に干渉する“隠れ身の呪詛”を付与
小石のように存在感を消して気配を遮断し城内に潜入する

…今まで幾度か同族殺しに会った事はあるけど、
誰も彼も、大切な人や物を奪われて狂気に陥っていた…

…お前もその類いかしら、血染めの人狼?

第六感が危険を感じるまで同族殺しは警戒するに留め、
猟犬達を見つけたらUCを発動して闇に紛れて切り込み、
大鎌をなぎ払う早業の先制攻撃で猟犬達を仕留め生命力を吸収する



●狂気の洞察
「……暗殺に奇襲ね。 ええ、どちらも心得ている」
 グリモア猟兵の募集要項に、そう応じたのはリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)だった。
 虹色に輝く宝石飾りを手にして祈りを捧げながら、吸血鬼を狩るための装備を整えていく。
「私は真っ当な戦士や騎士じゃないもの。 敵を狩るのに選り好みはしないわ」
 相手が何者であれ、それが吸血鬼であるならば、リーヴァルディはただ狩るだけだ。
 例えそれが犯罪組織のボスでも、人狼でありながらの吸血鬼であっても……そして、『同族殺し』であっても。

 耳や鼻が利く人狼に対し、リーヴァルディが行った準備は入念そのものだった。
 事前に魔力を込めた『精霊石の宝石飾り』の精霊に祈り、全身を風のオーラで覆い、音や匂いを遮断。
 そして自身の周囲の第六感に干渉する『隠れ身の呪詛』を付与させてから、通路を行く。
 途中、慌ただしく逃げ惑うアルカードの猟犬たちを目にしたが……その誰もが小石のように存在感を消し、更にはユーベルコード――見えざる鏡像により透明化したリーヴァルディを見つけることは出来なかった。
 そして今、リーヴァルディの目線の先には……逃げ惑う猟犬たちを捕える『同族殺し』の姿がある。
 肉を裂き、骨を噛み砕く音が鮮明に響く……アルカードの猟犬がまた一人、無惨に喰い殺された。
「(……今まで幾度か同族殺しに会った事はあるけど、誰も彼も、大切な人や者を奪われて狂気に陥っていた……)」
 であれば、かの『同族殺し』も“何か”を奪われて狂気に堕ちた可能性がある。
「(……お前もその類いかしら、血染めの人狼?)」
 そう心のなかで問いながら、リーヴァルディは警戒を怠らずにその場を離れる。
 風のオーラで音や匂いを消し、呪詛で存在感を消し、見えざる鏡像で透明化したリーヴァルディが発見される確率は、限りなく低いだろう。

「……二度も俺を騙せると思うな」

 去り際に聞こえた『同族殺し』の声は、きっと独り言だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
まさに獣と言うべきかしら?
誰かを食い物にするしか能がない
欲に塗れたケダモノの群れね

『同族殺し』の襲撃に乗じて
【目立たない】よう忍び込み
もし見つかってしまったなら
連れ去られてきた無力で哀れな犠牲者の【演技】をして
どうせ食い物にした相手の顔なんて
いちいち覚えてはいないでしょう?
逃げ出そうとしたところを見つかって
ごめんなさい、なんでもするから殺さないで、と
媚びを売るように命乞いをしてみせて
欲望を抱くように【誘惑】してみせて

殺そうとするかしら?
嬲ろうとするかしら?
どちらでも良いけれど
隠し持った【物を隠す】刃で
【復讐の一撃】を叩き込む!

あは、油断を誘うのはお得意でも
油断させられるのは初めてだったかしら?



●食べられるのは誰?
「まさに獣と言うべきかしら? 誰かを食い物にするしか能のない欲に塗れたケダモノの群れね」
 かつてその名を轟かせた犯罪組織をそうばっさりと切り捨てたのは、メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)だった。
 兎を模したヴェールを揺らしながら、騒ぎに乗じて忍び込んでは、そこらで倒れるケダモノの死体をこつんと蹴飛ばす。
 そらからは極力目立たぬように進むが、今もなお騒ぎが収まらぬ人狼城にもはや安全に進める場所など無い。
 程無くしてメアリーもまた、アルカードの猟犬と出くわすこととなった。
「お前、侵入者だな!」
 手にしたナイフを構えた子供の猟犬に対し、メアリーは……ぺたんとその場に座り込む。
 予想外の動作に「えっ」と戸惑った子供猟犬へ、メアリーは上目遣いを向け……大粒の涙さえ浮かべてみせていた。
「ご、ごめんなさい、なんでもするから殺さないで」
「……は? あ、もしかして侵入じゃなく脱走?」
 そうして猟犬は、メアリー渾身の『連れ去られてきた無力で哀れな犠牲者』の演技にころっと引っ掛かる。
 メアリーの予想は的中だ、連中は誘拐して食い物にする相手の顔なんていちいち覚えちゃいない。
 すっかりメアリーを『脱走者』と認識した猟犬は、ナイフをくるくる回しながらメアリーへと近付いてくる。
「ていうかなんだよその服、ベリル様ってそんな趣味あったっけ」
「こ、殺さないで、お願い……なんでも、なんでもするからぁ……」
「……にしても、お前なんかいい匂いするな」
 一歩、また一歩と近付いてくる猟犬の目が、次第にとろんとした形に崩れていく。
 可愛らしい兎を思わせる姿をしたメアリーの誘惑にはまった猟犬は、ナイフを両手でしっかりと握り締める。
 幼い頃より子飼いにされて、殺しの快楽を叩き込まれた猟犬は、すっかり歪められた欲望をメアリーに叩きつけようとしていた。
 それが殺意であれ情欲であれ……メアリーにとってはそれがトリガーとなる。
 ふらりと目の前までやってきた猟犬がナイフを振り上げたところで、それは発動した。
「――あなたはアリスを食べたいの?」
「……は?」
 か弱いうさぎと思ったのが運のつきだったろう。
 メアリーが隠し持っていた小さな刃が鋭く投じられ、それは猟犬の首に深々と突き刺さった。
 それは正しく復讐の一撃だった、メアリーに対し何らかの欲望を向けた相手へたった今、手痛い反撃を放たれたのだ。
「あ……が?」
「あは、油断を誘うのはお得意でも油断させられるのは初めてだったかしら?」
 訳も分からぬままに絶命させられた猟犬を見下ろし、メアリーは妖艶に微笑む。
 兎の皮を被った狼にとって、狂った猟犬を仕留めるのは容易いことだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ブリッツ・エレクトロダンス
…で。(ナイトウォッチスーツCを装着完了)
俺、本業はDJなのになんで潜入工作員みたいな事してるんだ?

まあいいか。(ジシ7のスリープモードを解除、ナイトビジョンを起動。)
それじゃ、仕事すっか。

(闇に紛れ、極力交戦を回避しながら古城内部へと進む。
 猟犬を撃破しなければ進めない状況になったなら。隠れたまま機会を伺い、猟犬の頭に狙いを定めて"強襲"。追撃の早撃ちで脳天に銃弾を叩き込みにかかる。)
敵がツーマンセルなら、片方を速攻で片づければいい。
(動揺した隙を突いてもう1体も速やかに"片付け"にかかる)
簡単だろ?
(片付けた後は銃声で増援が寄ってくる前に速やかに現場を離れにかかる)



●Do you have a DJ like you
 グリニア社製のカスタムメイドシャドウスーツに身を包み。
 ピエトロ社製の自動拳銃に、手慣れた様子で弾を込める中、ふと独り言ちる。
「……で。 俺、本業はDJなのになんで潜入工作員みたいな事してるんだ?」
 ブリッツ・エレクトロダンス(★3:クロヒョウDJ・f01017)のこの言葉は、猟兵ならば誰しもが通る道だろう。
 多様性が尊重された世界……キマイラフューチャーであっても、潜入と聞いて隠密装備を取り寄せるディスクジョッキーはそう多くはないはずだ。
「まあいいか。 それじゃ、仕事すっか」
 やがて考えるのをやめたブリッツは仕事を始める、スーツの挙動も問題はない。
 闇に紛れるに適した姿のブリッツは、暗がりと死角を駆使して奥へ奥へと進んでいく。
 いくつかの交戦の後を通りすぎようとした頃……進むべき通路の先に二人の猟犬が息を切らしている所を見つけた。
「(……噂の『同族殺し』ってヤツから逃げてきたか? それより、そこに陣取られちゃ進めねぇな)」
 極力交戦は避けたかったが、ここで立ち止まったり引き返すつもりは毛頭ない。
 道を塞いだ二人以外に敵の影がないことを確認したブリッツは、闇の中から一気に飛び出した。
 この時発動させたユーベルコードは……クローカー強襲中。
 ブリッツの存在に気づいていない猟犬の一人は、脳天に凄まじい衝撃を受けて地に倒される。
 あまりにも突然な状態変化、訳の分からぬまま頭部に激痛を抱えて転がされた猟犬は、最期に。
「Missed me, didn't you?(会いたかったんだろ?)」
 見上げた先で銃を突き付けている漆黒の男に“飛び蹴りを食らった”ことにも気付かぬまま、脳天を撃ち抜かれる。
「なッ――」
 銃声を聞きつけて振り返ったもう一人の猟犬に対しても、早撃ちの銃弾が放たれた。
 右肩と胴に鉛弾を叩き込まれた猟犬は、その衝撃に仰け反って腰から倒れ込む。
 相棒がやられた、それだけはなんとか理解したらしい片割れの猟犬が、痛みに唸りながらブリッツを睨み付ける。
「貴様、よくも――」
「敵がツーマンセルなら、片方を速攻で片付ければいい……簡単だろ?」
 電脳ゴーグルから漏れる僅かな光が、黒豹のシニカルな笑みを浮き立たせる。
 それに苛立った猟犬の唸りに向け、ダメ押しの一発を叩き込む。
 脳天から血を吹き出させた猟犬が倒れ行くを見届けてから、ブリッツは速やかにその場を離れた。
 次のライブ会場には、もうじき着くだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

アガト・シレスティアル
人狼さんはなんで同族殺しをするのかにゃ?
「しゃんしゃん?」
にゃーは心を読めないし
人狼さんは話し合える状態じゃないから
知ろうとするのは無謀だろうけど
理由の片鱗でも知れれば、しっかりと剣を握れるのにゃ

選択UCを発動後
電脳ゴーグルによる武器改造でいつものシャーくんに光学迷彩機能を追加、
光学迷彩機能をコピー&ペーストで量産型シャーくんにも追加
305匹の量産型から20匹の小隊を5つ、光学迷彩を使用して偵察として先行
猟犬に見つかったら親愛の甘噛みをする
近くに同族殺しがいれば
泣きながらそちらへ逃げて擦り付ける

残りは41匹の小隊として偵察の後方から追従
偵察が猟犬と接敵したらホーミングミサイルで攻撃
アドリブ歓迎



●『同族殺し』の洞察
「人狼さんはなんで同族殺しをするのかにゃ?」
「しゃんしゃん?」
 グリモアベースにて、アガト・シレスティアル(夕焼けと青空・f03547)と、その相棒の機械鮫黒剣の『シャーくん』がはて、と首を傾げていた。
 そんなアガトのふとした疑問に、同行するダンピールの黒騎士が己の経験を元に答えを返す。
 “同族殺しの誰も彼もが、大切な人や物を奪われて狂気に陥っていた”と。
 なるほどにゃー、と頷きお礼をしたアガトは、映像の中で同族を屠る深紅の人狼の姿をじぃっと見つめ……一度、頷く。
 一人の人狼を『同族殺し』たらしめたその理由……知ろうとするのは無謀だろう。
 けれどその理由の片鱗さえ知れれば、アガトはしっかりと剣を握れるのだという。
 その信念故に、アガトは……あまりに危険な綱渡りを試みた。

「うにゃあああ~~!! 助けてにゃ~~!!」
「ヤツを逃がすな、追え、殺せ!」
「この鮫ども、鬱陶しい!」
 そして人狼古城にて、アガトはあまりにも多くの猟犬に追われることとなる。
 光学迷彩を施した量産型シャーくんズを限界まで増やし、偵察として先行させたのが猟犬に看破されたのだ。
 発見されたシャーくんズは猟犬へ親愛の甘噛みを仕掛けるも、一撃で倒されてしまうシャーくんズは返り討ちにされる。
 そうして機械鮫の群れを処理した猟犬たちは、アガトの姿を視認すると我先にと追走してきた。
 シャーくんたちが倒され、多くの猟犬に追われたアガトがにゃあにゃあと泣きながら逃げた、その先には。
 目についた偵察シャーくんを、憎悪の炎で焼き払っていく深紅の人狼……『同族殺し』がいた。
「(狙い通りにゃ!)」
 アガトは小さな身体を死角に押し込め、自身もまたシャーくんの光学迷彩を利用して透明化する。
 そこへアガトを追ってきた猟犬たちが現れて、消えたアガトを探すが……猟犬たちはアガトよりも先に『同族殺し』と目線が合ってしまう。
「ッ?! あの猫……ハメやがった!」
「クソッ……全員で畳み掛けるぞッ!!」
 『同族殺し』を擦り付けられた猟犬たちは、その数に物を言わせての特攻を仕掛ける。
 透明化したアガトの目の前で繰り広げられる人狼たちの死闘……それは一人、また一人と猟犬が裂かれては焼かれ、グリモア越しに見た光景が再び描かれる流れとなった。
 狼の咆哮、怒号、そして悲鳴……ビリビリと伝わってくる絶望の音の中で、アガトが嗚咽を堪えつつ拾い上げたのは、『同族殺し』の声だった。

「俺を騙した奴は、何処だ」
「俺を殺した奴は、何処だ」
「殺す、殺す、喰い殺してやる」
「二度も、俺を騙せると思うな」

 呪詛のように呟かれる、執拗なる憎悪と殺意の言葉から……騙されたのみならず、挙げ句に殺されたことへの復讐心が滲み出す。
 悲鳴が途絶え、これ以上は危険だと判断したアガトはゆっくりと、伏せていた顔を上げる。
 その、夕焼けと青空の色をした目の先には……数多の返り血を滴らせてアガトを見下ろす『同族殺し』がいた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ベリル・アルカード』

POW   :    ラストクレスト
【魔眼で見つめた相手に淫紋を転写し、そこ】から【超強力な魅了と発情効果】を放ち、【経験したことがない快楽】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ダーティーランペイジ
自身の【体液】を代償に、【作成した蝙蝠や蛇などの使い魔】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【超強力な催淫効果のある毒液など】で戦う。
WIZ   :    幸災楽禍の狂宴
【他人の不幸に愉悦を感じる性格】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【襲いかかる不運な出来事】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルーク・アルカードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●欲に塗れたケダモノの長
 血と炎の匂いが染み付いた腕が、光学迷彩を剥がれたケットシーを掴み上げる。
 ギリギリと、万力のように締まる手に捕らわれた主を守るべくして、機械鮫の黒剣が深紅の腕に食らい付いた。
 『同族殺し』は腕を振り払い、その拍子にケットシーと鮫剣を遠くへと投げ飛ばす。
 丁度その時、何人もの猟兵が探していた者の姿が、そこへ現れた。
「俺様の城で……随分と好き放題ヤッてくれたようだなァ?」
 胸を大きくはだけた服を纏い、じっとりと濡れた蝙蝠と蛇の使い魔を従えし人狼吸血鬼――ベリル・アルカード。
 犯罪組織アルカードのボスは、崩れた城や討ち死にした子飼いの暗殺者たちといった、もはや壊滅といって過言でない状況を一通り見回してから、ニタリと嗤った。
「『同族殺し』と言ったかァ? そりゃあイイ、随分と活きの良い餌がそっちからやってきたってワケか!」
「……貴様ァ」
 両腕を広げて歓迎する様さえ見せたベリルへ、『同族殺し』はその身に憎悪の炎を立ち上らせる。
 グリモアの予知にも影響を及ぼした、激しい怒りと恨みの矛先は、紛れもなくベリルに向けられているようだが……。
「……? どこかで会ったか? クハハッ、全ッ然覚えがねェなァ?」
 当のベリルはまるで身に覚えがないと嘲り嗤う……自分さえ気持ちよければ後はどうでもいいという快楽主義者は、食い物にする他者の顔なんていちいち覚えていないのだ。
 それでも『同族殺し』にはいくらか興味を抱いたベリルは、べろりと舌舐りをしながら臨戦態勢を整える。
「まァいい、俺様の猟犬どもを可愛がってくれた礼をしてやろう……二度と俺様に逆らえねェよう躾けてやる」
「二度と、俺を騙せると思うな……殺す、喰い殺す」
 二人のオブリビオン、二人の人狼吸血鬼の目線がぶつかり合う。
 その時、猟兵は……。

●状況説明
 ベリル・アルカードと『同族殺し』が鉢合わせた所、猟兵はどこか死角から覗き見ている状態になる。
(アガト・シレスティアルも投げ抜けに成功し、負傷なしの状態で隠れている)
 この状況から猟兵はベリルを撃破すべく、ベリルへ不意打ちを仕掛けていくことになる。
 ただしベリルは猟兵の存在には気付いているため、当たり前に反撃を仕掛けてくる。
 『同族殺し』を上手く利用できたなら、ベリルに大ダメージを与えることも可能だ。
 逆に、意図的にベリルの攻撃を被弾しようとした場合、『同族殺し』からも攻撃を受け、厳しい状況になる点は注意してほしい。
ガルムゼノン・フェンリル
キミが出てくる依頼は『俺』も予知したが…なるほど
スルトが執拗にキミを狙う理由…過去にキミがとった行動がスルトをオブリビオンに堕したのなら、俺はキミを斃すまでだ!

【氷神狼解放】で真の姿を強化して挑む!
ベリルの攻撃には持ち前の野生の勘、見切りなど日頃の修行で培った能力を活かしていく
使い魔の攻撃には氷属性の波導によるオーラ防御で対応しよう
氷属性の2回攻撃や衝撃波などでダメージを与えていこう

あ、スルトの気を引くのも今は不味いからな、彼とは少し距離をとって戦闘しよう。一応炎属性耐性はあるけど…

氷狼フェンリルの血を継ぎし者として…同族に負ける訳にはいかない!

俺の拳は硬いぞ!

蒼くん(f15465)と共闘希望


牙国・蒼志
ゼノ(f01970)との共闘希望だ。

お前が、ベリルか…!
親友がいるというのもあって、冷静さを取り戻そう。
…少し血が上り過ぎていたようだ。あの『同族殺し』に心当たりがあるのか?
なら、あとで聞かせてくれ。今はこのくそったれな人狼を倒すのに集中するぞ。

真正面はさすがに無理か。ならば【牙の陣八之型『葉月』】で戦闘力を強化し、牙龍連銃を連結させて狙撃銃にし死角から狙い撃つ。
代償は毒だ。

お前に弄ばれるほど俺は暇ではない。
最初の狙撃が終わってからは牙龍連銃を分割させ二丁銃として使用。
『同族殺し』やゼノの攻撃に合わせて、自分も攻撃する。
できれば、『同族殺し』の攻撃の直後に撃てればいいが。

アドリブ諸々歓迎だ。



●もう一つの憎悪
「ベリル・アルカード……キミが出てくる依頼は『俺』も予知したが……なるほど」
 思い返せば、ガルムゼノンがグリモア猟兵としてベリルの名を見聞きした時も嫌な予感がしていた。
 別のベクトルでデジャヴを感じずにはいられなかったベリルの攻撃手段は、こうして目にすると最早気のせいと言うことには出来ない。
 一旦心を落ち着かせ、背後に控えた親友の蒼志へと振り返る……ここでばったり出会った蒼志は今にもベリルへ突撃しそうな勢いだったが、ガルムゼノンの姿を目にして冷静さを取り戻したようだった。
「落ち着いたみたいだね、蒼くん」
「あぁ、少し血が上り過ぎていたようだ。 ところで……あの『同族殺し』に心当たりがあるのか?」
 落ち着いた証明として、蒼志は先程までのガルムゼノンの視線の先にいた『同族殺し』について尋ねてみる。
 対しガルムゼノンは一度だけ頷いてみせる……『同族殺し』は、旧い友のスルトで間違いない。
 そうか、ならばと蒼志は二丁一対の銃器を連結させて構える。
「あとで聞かせてくれ。 今はあのくそったれな人狼を倒すのに集中するぞ」
「あぁ。 スルトが執拗にベリルを狙う理由……過去にベリルがとった行動がスルトをオブリビオンに堕したのなら……俺が、ベリルを斃すまでだ!」
 氷狼の力を引き出しながら、ガルムゼノンは享楽の吸血鬼へ牙を剥いた。

「我が祖たる氷狼フェンリルよ! この身に降りて広がりゆく災厄を振り払わん!」
「……あン?」
 憎悪の炎、毒液の使い魔が飛び交う戦場に轟いた第三者の声に、ベリルと『同族殺し』はピクリと耳を傾ける。
 荒れ狂いし獣どもが見やった先では、蒼の人狼拳士が今まさに、己が真の力を解放せんとしていた。
「フェンリス……ヴォルフ!!」
 氷神狼解放――それは限界まで氷狼の力を引き出す奥の手だ。
 真の力を強化し、身体の中に流れる氷狼フェンリルの力……それを蒼の波導として身に纏う。
「氷狼フェンリルの血を継ぎし者として……同族に負ける訳にはいかない!」
「フェンリル、だァ? ん、どっかで聞いたことある、か……?」
 気配こそは察していても、爆発的に広がった力の渦にベリルは面食らったように目を見開かせ……“フェンリル”のフレーズには反応を示す。
 そしてベリルと向かい合っていた『同族殺し』もまた、力を解き放つガルムゼノンを凝視した。
「……ゼ、ノ?」
 狂気に染まった金瞳に映されたガルムゼノンは、この時再びのデジャヴを感じ取る。
 ――フェンリルの力を解放した時、ガルムゼノンの元へ真っ先に躍り出たのは、誰だったか……それを思い返した頃。
「避けろ、ゼノ!!」
 蒼志の声にガルムゼノンは顔を上げる……その先にいたのは、ベリルを素通りして爪を構えた『同族殺し』の姿だった。
 ガルムゼノンの身に宿る氷狼の血……それは『同族殺し』の憎悪を異様なほど引き付けてしまっている。
「ゼノォォォッ!!」
「くっ!」
 猟犬の首を容易く跳ねた爪を、ガルムゼノンは紙一重で回避してからベリルの元へと駆け出す。
 ガルムゼノンを追おうとする『同族殺し』の足へ、狙撃銃の初撃が的確に撃ち込まれた。
「!!」
「お前の相手は後だ、『同族殺し』!」
 牙の陣八之型『葉月』……闇のモノに纏わる力で強化された蒼志の銃弾は、『同族殺し』をその場に縫い付ける。
 代償の毒に顔をしかめながら、狙撃銃を分離……二丁銃へと変えた蒼志は、ベリルの周囲に飛ぶ使い魔たちへ牽制射撃を行った。
 銃声が鳴る度、使い魔の蝙蝠は毒液を撒き散らしながら弾け飛ぶ……ガルムゼノンは氷の波導でそれを凌ぎながら、ついにベリルの目前へと到達した。
「俺の拳は硬いぞ!」
「ぐはッ」
 魔眼に見つめられるよりも早く、ガルムゼノンの氷纏う拳がベリルの腹へと突き刺さる。
 衝撃と共に、凍えるほどの寒さに身を震えさせたベリルの眉間へもう一発、氷狼拳士の右ストレートが叩き込まれた。

 大きく吹き飛ぶベリルが壁に叩き付けられるところにも、ガルムゼノンの背には身を抉るような殺気が突き刺さる。
 振り返らずともガルムゼノンは察した、『同族殺し』……スルトはベリルを憎む以上に、自分のことを恨んでいるのだと。
「ゼノ……お前さえ、お前さえいなくならなければ……グルルルル」
「スルト……キミは」
 足の痛みが引いたなら、直ぐにでも動き出しそうなスルトを、蒼志が二丁銃を向けて制する。
「ゼノは下がってくれ……君がこの場にいると『同族殺し』は……」
「……わかった」
 ベリル以上に『同族殺し』の敵視を受けるガルムゼノンが、この場に留まり続けるのは危険だ。
 そう判断を下した蒼志の身に隠れながら、ガルムゼノンは戦場より退避する。
 氷狼フェンリルの力……その影響が消えゆくまで、『同族殺し』はガルムゼノンの向かった先を睨み続けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

馬県・義透
潜入暗殺モード『疾き者』のまま。
三人は生前『最初から最期まで戦友』でしたから、こちらの私を知りませんね。今まで見た人は、生きていないですし。
いつかはバレるので、気にしませんが。

指定UCは最初の一撃に。
『同族殺し』に視線が向かっているうちに、ベリルの肩に向かって投擲。
ついでに属性攻撃で風つけときましょう。…母由来の属性がここでね…。
反撃は即ち隙。私は毒耐性で耐えつつ、『同族殺し』がベリルを攻撃すればね?
以降は合間をぬっての武器投擲ですね。
あと、色事は忍びの務めですよ。

※三人(見たことがない『理由』を察した)
(そういえば、あだ名に『鬼』ってあったな)
のほほん暗殺の方が怖いのに気づいてない。



●生者必滅
 標的を確認した義透こと『疾き者』は、道中とさして変わらぬ潜入暗殺の構えでベリル達の様子を伺っていた。
 ここに到達するまで幾つもの暗殺作業をこなしてきた『疾き者』の背後、三人の霊は円陣組んでひそひそ話。
 曰く、『疾き者』を含めた四人は『最初から最期まで戦友』だったから、“この”『疾き者』のことは知りようがないのだとか。
 それは何故か、尋ねた戦友に『疾き者』は淡々と答える。
「今まで見た人は、生きていないですし」
『…………へぇ?』
 それは何故か、尋ねられた戦友はいなかった。

「!!」
 戦場から逃げた猟兵二人を追おうとしたベリルの肩に、何かが突き刺さる。
 それはベリルにも見覚えがあるだろう、何匹かの猟犬の眉間に突き刺さっていた緑色の棒手裏剣だ。
 風の属性が付与された早業を受け、ベリルの腕に深い裂傷が刻み込まれる……真っ赤な血が噴水のように弾き飛んだ。
「ハッ、そこにもいやがったか!」
 ベリルは流血したばかりの血を用いて使い魔を作成、手裏剣の飛んできた方角へ蝙蝠と蛇を向かわせる。
「隠れてもムダだ!」
 超音波や熱での索敵に優れた使い魔たちは、影に潜む義透の居場所を容易く突き止め牙を剥く。
 毒液滴る無数の牙に対し『疾き者』は……それは風のようにと、手裏剣を投じては迎撃していく。
 降りかかる毒液は耐性防御で凌ぐ中、催淫効果のある毒の香を『同族殺し』が忌々しげに焼き払った。
「……殺す」
「どいつもこいつも対策済みってか? チッ、ツマラネェ奴らだ」
「ええ、色事は忍びの務めですから」
 憎悪の炎に蒸発した毒を物ともせぬ『疾き者』の手裏剣は、今もなお迫り来る使い魔へと投てきされ続けている。
 その、あまりにも的確に“作業”に……三人の霊の憶測がちらほらと。

 ――見たことない理由って、もしかしてそういう?
 ――そういえば、あだ名に『鬼』ってあったな。
 ――この話もうやめないか? 怖い。
 ――そうだな。

 いつかはバレるから気にしないという『疾き者』だが……戦友たちが真相に辿り着くのにはもう少し時間が必要だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ブリッツ・エレクトロダンス
(物陰から観測中)
おおっと、"Lusty Wolf"と"Avenger"を発見した。
しかし、"Lusty Wolf"と目を合わせたかねえなあ。
ロクでもない奴2号だし…

(観測を継続する。"Lusty Wolf"の回避パターンや癖をデータとして集め続ける。
 高精度な回避予測が出来るレベルまでデータを集めれば、後は行動に移すのみ。)

(仕掛けるのは大振りの攻撃を"Lusty Wolf"が回避しようとする瞬間!)
Say good night, "Lusty Wolf"!!
(予想回避座標を埋め尽くす様に放電!雷に焼かれるか、手痛い一撃を喰らうか、あるいはその両方か!)

見つかったらドリンクキメつつ回避ッ!


彼岸花・司狼
がちのへんたいじゃないですかやだー
馬鹿が力を持つと厄介ってのはこういうことか。

相手の視線から逃れるため、【目立たない】よう死角に潜んだままの位置から、攻撃。
UCで放った鋼製狼の群れの自主性に任せて、自壊するレベルで突撃させる【怪力+鎧砕き+限界突破+捨て身の一撃】。
戦力バランスが崩れ過ぎないように一度間を空けて聞き耳で確認し、元気すぎるようなら再攻撃(【2回攻撃】)
基本はベリルに集中させて、一方的に同族殺しが優位になりそうであれば牽制に何匹かそちらに向ける。

あんまりこういう使い方はしたくないんだがね、こいつらも。
共倒れ狙いは仕方ないにしても、肩入れしすぎてもダメとかやりづらくて適わん…



●獣を隠すなら群れの中に
「おおっと、"Lusty Wolf"と"Avenger"を発見した。 しかし“Lusty Wolf”と目を合わせたかねえなあ」
「がちのへんたいじゃないですかやだー。 馬鹿が力を持つと厄介ってのはこういうことか」
 発する言葉からひしひしと伝わってくる嫌悪感、それらを一切隠さず告げたのはブリッツと司狼の二人組だった。
 性欲旺盛な狼だし、ロクでもない奴2号だしと、とにかく極力お近づきになりたくないブリッツはベリルを発見と同時に観測を開始……その行動パターンや癖をデータとして収集している。
 これまでベリルに戦闘を仕掛けた者たちによって、データはあらかた集まったのだが……まだ足りない。
「あともう一つ、決め手に欠けるんだよなぁ」
「……ふむ」
 高精度な回避予測が出来るまで……と呟くクロヒョウを横から覗き見た司狼には把握しきれない事だが、とりあえず“戦ってるデータが欲しい”と言うことは理解した。
「……あんまりこういう使い方はしたくないんだがね、こいつらも」
 そうぼやきながらも、司狼は自らの持つ狩りの異能を呼び起こす。
「例えどんなに寂しい夢だとしても」

 今もなおベリルと『同族殺し』が交戦するその場に雪崩れ込んで来たのは、鋼で出来た巨大な狼の群れだった。
 それは餓狼と狩人……鋼と狼、武器と獣の異能から編んだ狩りの異能たちは、自壊をも厭わぬ勢いで人狼吸血鬼たちへと特攻を仕掛けたのだ。
「チッ、雑魚どもがぞろぞろと!」
 その数の多さに鬱陶しさを抱きつつ、ベリルは魔眼で鋼鉄狼の群れを見つめる。
 邪悪な視線に捕らわれた鋼鉄狼の身には淫紋が転写され、そこから強力な魅了と発情の効果が解き放たれる。
 そうして一体ずつ動きを封じていくベリルだが、何分数が多く視認が間に合わない。
 自前の爪で迎撃を始めるも、玉砕覚悟で迫る獣たちの捨て身の一撃を何度か受けている。
「クソッ、コイツら……!」
 鋼鉄狼の猛攻の最中、大きく飛び退いたベリルの死角に。
 データ収集を終えて行動に出たブリッツが、鋼鉄狼の群れの中に紛れて特攻を仕掛けに来た。
「Say good night, “Lusty Wolf”!!」
「!?」
 ブリッツの手より放たれた神雷は、ベリルの予測回避座標を埋め尽くす様に放たれる。
 鋼鉄狼の群れを相手取るのに手を焼いていたベリルはブリッツの予測を覆せず、集中的に降り注ぐ落雷に焼かれることとなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…二度も俺を騙せると思うな…ね

人狼吸血鬼同士、何か因縁がありそうだけど、
同族殺しの事を覚えていないみたいだし…致し方ない

…今はあの悪辣な吸血鬼を狩る事を優先するわ

前章と同じく同族殺しを警戒しつつ存在感を消して闇に紛れ、
【吸血鬼狩りの業】と戦闘知識を頼りに敵の死角を見切り、
第六感が好機(同族殺しへ攻撃する等)を捉えたら、
残像が生じる早業で暗視した死角へ切り込みUCを発動

…いくら警戒していても無駄
お前が魔眼を使う隙を見逃す私ではない

魔力を溜めた怪力の掌打と同時に生命力を吸収する血杭を放ち武器改造
敵の体内で無数の血棘を乱れ撃ち傷口を抉る2回攻撃を放つ

…聖槍は反転する。我が敵を喰らえ、血の魔槍…!


黒柳・朔良
『同族殺し』が何故ベリルに執着しているか、過去に何があったかは気になるところではあるが、問いかけたところで答えてくれることでもないだろう
それよりも今はやつを利用してベリルを殺すことを考えないといけないな

選択UCを発動、【目立たない】ように【闇に潜み】ながら、ベリルの背後から『同族殺し』との戦闘で出来た【傷をえぐる】ように攻撃を仕掛けよう(【暗殺】)
ベリルは『同族殺し』との戦いに気を配っているから、背後からの奇襲は効果的だろう
とはいえ、相手もそれは警戒しているだろうから、仕留めきれなければ【逃げ足】を使って即離れるのがいいだろうな(【戦闘知識】)
うまく利用して仕留め切れればいいのだがな



●暗殺の業
「二度も俺を騙せると思うな……ね」
「『同族殺し』が何故ベリルに執着しているか、過去に何があったかは気になるところではあるが……」
 深い因縁を思わせる言葉を聞いたリーヴァルディに、闇を伝って来た朔良が合流する。
 片方は狂気に狂い、もう片方は忘れたと宣う人狼吸血鬼たち……問いかけたところで答えが返ってくることもないだろう。
 過去を知る術は無くしたが、それでも本来の目的を果たすことに関して支障はない……吸血鬼狩人と暗殺者、二人は頷きを交わして再び闇に溶ける。
「……今はあの悪辣な吸血鬼を狩ることを優先するわ」

 鋼鉄狼の残骸が残る中で、ベリルは苛立ちを隠せずにいた。
 魔眼で一睨みするか、使い魔に一噛みさせるか……それだけで他者を服従させてはいたぶってきた吸血鬼にとって、自分の思い通りにならない者がいると言うのは相当なストレスであるらしい。
 そんな中でも、狂気により魅了も快楽も弾く『同族殺し』は執拗にベリルの命を狙う……残骸を焼き払いながら、鋭い爪を振るう。
「どいつもこいつも……大人しく俺様の玩具になりながれ!」
「二度も、俺を騙せると思うな……!」
「あぁそうかよ、クソッ!」
 迫る『同族殺し』を蹴り飛ばし、距離を取ったところでベリルの気は休まらない……悪辣な吸血鬼は今やっと、自分の置かれた立場というのを理解し始めていた。
「どこにいやがる、猟兵ども!!」
 ベリルは死角に潜んでいるであろう者どもへ怒鳴り、服従させるべくして視点を巡らせる。
 当然ながら、それに応じる声などない……ベリルの魅了術である『ラストクレスト』は、その魔眼で一度さえ見つめれば発動し、敵の動きを封じるものだ。
 それは裏を返せば、敵を視界に入れなければ効果が発動しないと言うこと……そしてこの場に居合わせたリーヴァルディと朔良は、その条件に適していた。
 存在感を消し、闇に潜むことに特化した二人の猟兵は、ベリルの魔眼に捕らわれることなく仕事を進めていく。
 今しがた『同族殺し』に受けたばかりの爪痕に暗殺の刃がねじ込まれ、より深く鋭い傷へと変えていった。
 舞う血飛沫、苛立った獣の唸りを背後にした朔良はそういったヒット&アウェイの戦法を繰り返す……人狼吸血鬼の体力は流石というべきか、一度の奇襲では削り切れない。
 それでも朔良は確信していた……この獲物は、猟兵という『影』に殺されることを。
 それを裏付けるかのように、同じく死角へ切り込んだリーヴァルディが……その瞬間だけヴァンパイアと化した狩人の掌打がベリルを捉えた。
 次いで放たれる、圧縮された魔の血杭は『限界解放・血の聖槍』……しかし敵の体内に埋め込まれた杭は派生する。
「……聖槍は反転する。 我が敵を喰らえ、血の魔槍……!」
 ベリルを貫く杭より放たれるは無数の刺、それは敵を内部から破壊し尽くす吸血鬼狩りの業。
「ガァアアアッ!! クソッ……!」
 身体の内より生える刺に毛皮をも突き破られ、ベリルはついに膝をつく……しかして撃破には至らず、戦いはまだ終わらない。
 それほどまでに、ベリル・アルカードがこの世界に残した罪と傷跡は深いモノであることを、リーヴァルディは感じ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
真の姿で半獣半人の人狼に

ふぅん?
事情は知らないけれど「復讐」がお望みなのかしら?
メアリ、復讐は好きよ
一方的に誰かを食い物にするばかりで
いつか自分が食い殺されるだなんて思ってもいない
そんな相手に牙を届かせるその瞬間は
とっても甘くて素敵だもの!

見つかる前に【私を飲んで】で小さくなって
『同族殺し』を目くらましに
可能なら誰かにくっついて?
【目立たない】よう戦場へ
そのまま【ジャンプ】で跳び付いて
目なり局部なり弱点を【部位破壊】
傷付いているなら【傷口をえぐる】
いっそ大口開けたなら
お腹の中から攻撃を?

だけれど一つ、同じ大口狙いでも
蛇の丸呑みにはご用心!
攻撃したらすぐさま【逃げ足】で
捕まらないよう立ち回る


ナギ・ヌドゥー
同族殺しがベリルを狙っている内にケリを付けるぞ
ベリルの使い魔共にはソウルトーチャーをぶつけ、オレは本体を狙う。【2回攻撃】
汚い体液から出来た魔物とてコイツにとっては良き餌となろう【捕食】
この屍肉の呪獣に催淫など効くまい、オレの身体も簡単に毒には屈せん【毒耐性】
間隙を縫ってUC発動
超スピードでベリルに斬りつける【早業】
毒を塗った刃の斬撃にて徐々に削る【傷口をえぐる・毒使い】
【殺気】を帯びた【残像】の【フェイント】を織り交ぜ狙いを定めさせない
その汚ねぇ体液を出しているブツの根元から断ち斬ってやろう【部位破壊】



●赤頭巾
「ふぅん? 事情は知らないけれど「復讐」がお望みなのかしら?」
 兎を模したヴェールを外したメアリーは、いまだに殺し合いを続ける獣たちを見ては微笑む。
 狩られる者の衣装を脱いだその手足に獣の爪を、髪の間から狼の耳を生やしたかつての“アリス”は、人狼としての姿をさらけ出す。
「メアリ、復讐は好きよ。 一方的に誰かを食い物にするばかりで、いつか自分が食い殺されるだなんて思ってもいない。 そんな相手に牙を届かせるその瞬間は……とっても甘くて素敵だもの!」
 道中に殺めた猟犬……訳も分からぬままに死んだ彼とは違って、ケダモノの長は“いつか”の時が脳裏に過っているのだろうか。
 それはどうあれメアリーのやることは変わらない、世界や舞台が違えど人食いを楽しむ者はみな殺すだけ。
 不思議な霊薬を飲み、その身をみるみると小さくしていくメアリー……まるで私を飲んでとばかりに、狼の口に容易く収まるサイズにまで縮む少女の背後から。
「……ではひとつ、お芝居を打ってみましょうか」
 穏和に微笑む白髪の咎人殺し……ナギが、緑色に怪しく輝く注射器を片手にやってきた。

 その特殊薬物はナギにとって、“慣れ親しんでしまった”モノだ。
 奴隷時代の幼少期、人体改造によって埋め込まれたその力は、薬物の過剰投与によって発動する諸刃の刃……オーバードーズ・トランス。
「加速しろ――限界を超えて!」
 首に打ち込み、空になった注射器が地に落ちるよりも速く、トランスモードに転じたナギはベリルへと突撃する。
 追従する呪獣『ソウルトーチャー』に使い魔どもの相手を任せ、瞬速の殺戮者は微塵も容赦なく歪な怨刃を振り抜く。
 超高速で人狼の肉を引き裂く心地良い感触に浸りながら、もっと、更にもっとと刃で肉を削り取る。
 それに殺気帯びた残像、フェイントを織り混ぜて繰り出したなら……四方八方より斬撃を浴びせられたベリルはもはや八つ裂きの有様だ。
「テメェら……餌の分際でェ!!」
 ナギを複数人と錯覚するほどに、その速度に目が追い付かぬベリルは使い魔を新たに呼び起こす。
 ナギは嘲笑った。
「残念、餌はアンタだ」
「……ン、だと?」
 その言葉の意を、ベリルはやがて思い知る。
 自らの体液で出来た使い魔どもが、ナギの『ソウルトーチャー』に次々と喰われる様を目の当たりにしたのだ。
 屍肉の塊でもあるこの呪獣は、催淫の毒液など物ともせずに蝙蝠も蛇も食い尽くす。
 やがてまだ食い意地を張った呪獣は更なる餌を求め、ついにベリルそのものに牙を突き立てる。
 狼や吸血鬼のそれより肥大な牙に喰らいつかれ、ベリルは大口を開けて絶叫した。
 と、同時に……ベリルの口の中へ、何かがするりと入り込む。
 唐突に舌の上に流れ込み、喉奥へと引っ掛かる……甘い肉の味がするそれを、ベリルは声と共に呑み込む。
「ガッ……ゲハッ」
「悪辣なる狼よ、お前は何を呑み込んでしまったのだ?」
 殺傷の悦に浸るナギの芝居がかった台詞と共に、ベリルの身に異変が起こる。
 激痛が走る、それも身体の内側から。
 呪獣と共に飛び掛かり、ベリルの体内へと侵入した何かが腹の中より攻撃している……刺を放つ血杭に次いで、内部破壊のお代わりだ。
「ガ……がふっ」
「嗚呼、可哀想な赤ずきん。 今からあなたを助け出してみせましょう」
 あまりの激痛に声も詰まったベリルが、その物語が理解できたかは定かではない。
 しかしてナギはそれには構わず、歪な怨刃でベリルの股下から上に掛けて、大きく切り裂いた。
 麻酔も無しに開かれた傷口から飛び出したのは、小さな小さな“赤ずきん”。
 ……訂正、狼の血に塗れて赤く染まった少女メアリーは本来の大きさに戻り、自らも腹の内側を引き裂いておきながら、こう微笑んだ。
「助けてくれてありがとう、猟師さん?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋月・充嘉
んっふっふ、ベリル見ーっけ。…でもなんていうかお呼びでない空気?
んー、流石に無視してベリルの攻撃を受けるってのはやめとくっすかねぇ。

バレてそうだけど、一応の奇襲をかましてみるっすかね。
…というわけで頼んだっすよ、狼の兄ちゃん!終わったら気持ちいいことしてあげるからさ。

『同族殺し』が仕掛けたあとに俺も攻撃を入れるっすよー。狼お兄さんがまだ無事なら連携を頼むっすよー。
…あの『同族殺し』の狼さんも悪くなさそうだけど、なんかそういうのめっちゃ嫌いそう。触らぬ神になんとやらっすねぇ。


アガト・シレスティアル
ふにー。掴まれたところがちょっぴり痛い痛いにゃ
「しゃーん」ぺろぺろ
これは掴まれた分同族殺しさんを盾にしてお返しするにゃ

隠れながら選択UCを発動
空想魔剣【砕氷と幻日】を想像
魔剣による天候操作で敵だけに影響するダイヤモンドダストを起こす
吹雪と違ってこれ単体ならただきれいなだけだけど

ベリルへ不意打ちを仕掛けた後、反撃のラストクレストで見つめられる前に
魔剣のもう一つの効果で
天候操作した氷晶で光を反射、屈折させ、ベリルが見つめる相手を同族殺しへ!敵を盾ににゃ!
ベリルが同族殺しのヘイトを稼いで一石二鳥にゃ

にゃーは真の姿で大きくなっても二十歳じゃないから
エッチなのは大人同士でするべきだと思うにゃ
アドリブ歓迎


ルーク・アルカード
【心情】
嫌な匂い。そして怖くて嫌なヒト。

どーぞく殺しさんがなんであんなに怒ってるのかわからないけど、何かあったのかな。
二人を相手にするのはちょっと危ないから、一人だけ狙おう。

※マフラーに顔を埋めて深呼吸して、マフラーをくれたヒトから『勇気』をもらいます。

【戦闘】
武器に『吸血』させて『武器改造』を施し、戦闘形態へ。
攻撃は『野生の勘』や『第六感』を全力で働かせ、避けきれないのは『武器受け』でガード。

隙をみてユーベルコードを発動。



●ベリル・アルカードの終焉
「んっふっふ、ベリル見ーっけ。 ……でもなんていうかお呼びでない空気?」
 “片付け”を終えて来た充嘉が目にしたのは、今や深手を負ったベリルともう一人の人狼吸血鬼、『同族殺し』だ。
 再び棺桶に片足突っ込んでいるような状態のベリルにあれもこれもと期待はしづらいし、やはり『同族殺し』の存在は無視できない。
 ベリルの攻撃を受けて魅了云々にかかろうモノなら、『同族殺し』に消し炭にされそうだ。
「(あの『同族殺し』の狼さんも悪くなさそうだけど、なんかそういうのめっちゃ嫌いそう。 触らぬ神になんとやらっすねぇ)」
「ふにー。 掴まれたところがちょっぴり痛い痛いにゃ」
「しゃーん」
 と、充嘉が悶々と思索する隣では、アガトが自身の首回りをさすっている。
 相棒の鮫剣シャーくんが気遣うのに、アガトは礼を言って立ち上がると同時に……真の姿へと転じる。
「これは掴まれた分『同族殺し』さんを盾にしてお返しするにゃ」
 再びの策を講じるアガトの後ろには、ルークがいる。
 鼻を刺すような嫌な匂いに、それを漂わせる怖くて嫌なヒト……ベリルとこうして会うのもかれこれ四度目だ。
 喉奥が苦くなるほどに強烈な支配を示し、ある時は育ての親としての親愛をも覗かせたベリル・アルカード。
 嫌と思いながら、彼にただ従う日々は苦ではなかった……何も考えずに、全部仕事だからと思えば楽だったから。
 そして何よりも……そう動くことこそが、ルークという“猟犬”に与えられた最初の存在意義だったから。
「……」
 マフラーに顔を埋めて深く息を吸う、宝物を与えてくれたヒトから勇気を貰い受けるように。
 最初の存在意義を失い、路頭に迷った“猟犬”に居場所を与えてくれたヒトの元へ帰れるように。
「お仕事、がんばろう」
 ルークは今一度“猟兵”として、かつての主に立ち向かう。

 毒液塗れの使い魔どもを掻い潜り、担いだ大剣を振りかぶった狼の獣人がいる。
 その目前にいたベリルは大穴開けられた腹を庇いながら、迫る武骨な一撃を爪で受け止めた。
「テメェ……!!」
 ベリルはその男に見覚えがある、城内警備に割り当てた猟犬のうちの一人だった人狼だ。
 しかしてその支配権はベリルにはない……何故ならば。
「いやーなんやかんやしてたら呼び出せちゃったっすねー! かっこいいっすよ、狼の兄ちゃん!」
 それはその実、充嘉がユーベルコード――『助けて!狼お兄さん』によって現れた、猟犬に似て非なるモノ、“狼お兄さん”だからだ。
 そんな狼お兄さんの剣を受け止め、隙を晒したベリルの背後から充嘉がシャドウウェポンで追撃を仕掛ける。
 深手を負った腹に追加される影の一撃が、既に内臓をズタボロにされたベリルに容赦なく突き刺さる。
 意識すら遠退く最中、ベリルの魔眼が捉えたのは……辺りにキラキラと舞い散るダイヤモンドダストだ。
 城内にいながらの異常な天候操作は、空想魔剣【砕氷と幻日】を操るアガトの手によるもの。
 一見すればただきらびやかなだけのものだが、それには光の屈折によるギミックが仕込まれている、その中でアガトは不意打ちを仕掛けるべく飛び出した。
 その突撃に魔眼で対抗しようとしたベリルが見たモノは……アガトではなく、水晶で光を屈折させた先にいた『同族殺し』の姿だった。
 “騙される”ことを嫌った『同族殺し』は、漂う水晶を破壊しながらベリルの元へ更に突撃。
 それは奇しくもアガトと『同族殺し』が挟撃を仕掛ける形となって、ベリルに大きな爪痕を残すこととなった。
 ベリルが再び膝から崩れる最中、水晶浮かぶ中にベリルのモノとは異なる血の香が漂う。
 その匂いに覚えがあったのだろう、ベリルは鼻を鳴らしながら、その匂いの元を辿るべく顔をあげる。 その目線の先には――告死・飛刃血晶により……血を固めた刃を構えたアルビノの人狼がおり。
 他者の不幸に愉悦を感じる間もなく、アルカードの暗殺の刃は主に向けて放たれる。
 急所という急所に深々と血晶が突き刺さり、逆流した血を吐くベリルは、もはや力の宿らぬ双眸でルークを見据え……口角を釣り上げる。
「クハッ……俺様に言いなりの“猟犬”風情が……“猟兵”に成りやがるとは、な……」
 ベリルは嗤う……それは長としての意地か、痛みと迫る死に快楽を感じてか。
 倒れ付したベリルは、骸の海へと沈み行く中でも尚、愉しそうに嗤っていた。
「……テメェも精々、愉しめよ。 このクソッタレな世界を、な」
 そう言い残して、ベリル・アルカードは目を閉じる。
 刹那的快楽を求め、身勝手に生きた男は最期の時まで散々に愉しんだ挙げ句の果てに、ついに終焉を迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『血餓の鬼狼『スルト・ブラッドファング』』

POW   :    クロースラッシュ
【鋭く伸ばした人狼の爪】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ヘイターブレイズ
【内なる憎悪を糧として燃え上がる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【憎悪の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    血肉踊るための贄
【ヴァンパイアの力】に覚醒して【血肉を啜るに適した状態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ガルムゼノン・フェンリルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●次の標的は
 犯罪組織アルカードの長、ベリル・アルカードは斃れた。
 その血に塗れた骸を『同族殺し』は凝視し、その死を確めるように鼻を鳴らす。

 ――死んだ。
 ――俺を騙した男は死んだ。
 ――俺を殺した男は死んだ。

 ――ならば、次は誰だ?
 ――それなら、もう決まっている。

 幾多の戦闘の果てに傷を負いつつも、内なる憎悪の炎は未だに消えない。
 何故ならば、『同族殺し』は……スルト・ブラッドファングはこの地で見つけてしまったから。
 かつて友と呼んだ、蒼の人狼のことを。
 何も告げることなく自分の前からいなくなり、自分が騙される切っ掛けを作り出した男のことを。
 復讐の対象は瞬く間に切り替わる、死した吸血鬼に興味を無くした紅の人狼は新たな獲物を求める。

「ゼノ……何処だ、何処にいる」
「お前さえ、お前さえいなくならなければ」
「俺は騙されることもなかった」
「殺されることもなかったのだ」

「お前のせいだ」
「お前のせいで、俺はベリルに騙され、殺された」
「お前のせいで」

 呪詛のような呟きも切り替わり、スルトはふらついた足取りで城内を徘徊し始める。
 まだこの地に潜む猟兵……ガルムゼノン・フェンリルを見つけ出し、殺すために。
彼岸花・司狼
誰かがいたら死ぬことはなかった?
それは独りで生き延びれる程強くなかっただけだろう
騙されないだけの知恵を付けなかった、騙されても食い破るだけの力を持たなかった、生に貪欲に無様に逃げ延びることもできなかった。

【目立たない】ようにすぐに息を潜めて【闇に紛れる】、
誰かの攻撃に紛れられるようならその攻撃の間に【見切り】を使いつつヒットアンドウェイを繰り返し、バランスを崩したところで腕か足を狙ってUCを叩込む。
あくまで自身は負傷の蓄積を目的とするため、無理に攻めていかないように注意する。

…この世界ではよくある、巡り合わせや運が悪くて死んだ。
弱肉強食、結局はそれだけの話だろう?


馬県・義透
静かなる者「あれは」
侵す者「まずいな」
不動なる者「疾き者に任せるが…」

引き続き潜入暗殺『疾き者』

任せられました。目的人物、見かけたあの人でしょうね…。
その方に行く前まで、何とか削りましょうか。そのまま遭遇すると危ないですし。
できれば遠目の死角から漆黒風を投擲し、指定UCを相手に押し付けましょうか。
相手の攻撃は戦闘知識、第六感を駆使して避けましょう。
ああ、ところで。この『私』を見た者は、今までは全員『暗殺対象』でしたので。

三人「でしょうね」

…よく考えれば相手の『同族殺し』も、その対象ですね。依頼内にあるわけで。
ですが、私がやるのは弱体化。倒すのは、少なくとも私…『私たち』ではない。

三人「同意」



●それはありふれた物語
 獣爪が石床を削る、燻る炎と滴る血の匂いが漂う。
 ただ一人の猟兵への恨み言を呪いのように呟く声は、司狼の耳にも届いていた。
「誰かがいたら死ぬことはなかった? それは独りで生き延びれる程強くなかっただけだろう」
 辛辣な物言いは、司狼もまたこの世界の実情を知っているが故のものだろうか。
 騙されないだけの知恵がなかった、仮に騙されても食い破る力もなければ、無様に逃げ延びることも出来なかっただけだと断じる。
 ベリルに殺された当時のスルトがただの人狼であったなら、目をつけられた時点で逃れようがなかっただろうが。
 それはこの世界でよくある話、巡り合わせや運が悪くて死んだ。
 弱肉強食……結局のところ、ただそれだけの話だ、と。
 ただその経緯はどうあれ、スルトはオブリビオンとして蘇り……『同族殺し』として狂うほどの力を得て舞い戻ってしまった。
 それも数多のアルカードの猟犬を喰い殺し、復讐相手であるベリルに一矢報いるほどの力をだ。
『あれは』
『まずいな』
 義透の第二の霊『静かなる者』と第三の霊『侵す者』が、今なお残る危機に警戒を促す。
『疾き者に任せるが……』
 手負いといえど、努々気を抜くなと第四の霊『不動なる者』からも声がかかり、『疾き者』は頷きを返す。
「任せられました。 その方へ行く前に、何とか削りましょうか」
 彼もまたスルトを新たな『暗殺対象』と改め、その手に棒手裏剣を構えた。

 其の疾きこと風のごとく。
 遥か遠方の死角より放たれた忍びの手裏剣は、悉くスルトの肩や脚へと突き刺さる。
 肉を貫く鉄杭に風の裂傷を受けたスルトは、飛び散る血には構わず風の匂いを辿り……すぐさま義透の存在を嗅ぎ付けた。
「……喰い、殺す」
 並の人狼と比較にならないほど肥大化した牙を剥き出しに、尋常ならざる速度でスルトは地を蹴り出す。
 死角に潜む邪魔な猟兵、義透を贄とするべくしてヴァンパイアの力を解き放つ。
 爆発的な戦闘力を以て高速移動をしたスルトが、義透の目前で大口を開いた。
 悲鳴すら喰らう慈悲なき牙は、義透の首に……突き刺さることなく閉ざされる。
 致命の一撃が成される前、義透の連鎖する呪いがスルトに降り掛かった。
 癒えぬ傷を刻まれたスルトを襲う不慮の事故……それは、ベリルが相手取った鋼鉄狼に撃ち漏らしがいたことだ。
 主である司狼の命令は尚も継続されている……自壊すら躊躇わぬ捨身特攻がスルトへ直撃していった。
「殺す……殺してやる、邪魔者全て!」
「――我は死者を殺し、理を斬跋する刃なり」
 今になってやってきた数の暴力に憤るスルトの背後より、群れに紛れた司狼は。
「故に其の悉くを、終へと至らせん」
 ユーベルコード――空亡。
 合わせ刀のうち一刀を抜き、死角からの不意打ちを放つ。
 鋼鉄狼が雪崩れ込む最中の一撃は、体制が崩れたスルトの脚を大きく切り裂いた。
「グッ、ウウゥゥヴァアアアッ!!」
 憤りの唸りは激昂の咆哮に転じて、スルトは人狼の爪を振り回す。
 司狼は咄嗟に鋼鉄狼を盾にするが、その配下は瞬く間に真っ二つにされ……開けられた亀裂の先に、狂気と怒りに燃えるスルトの双眸があった。
 瓦礫と化した鋼鉄狼を切り捨てて追い縋るスルトだが、深手を負った足では司狼に辿り着けない。
 しかし、もし不用意に踏み込もうものなら……贄となるのはお前だと言わんばかりの殺意を滾らせていた。
「ここは一度引きましょうか」
「ああ」
 『疾き者』の提案に、司狼は同意する……目的である負傷の蓄積は達成されたと見ていいだろう。
 スルトを倒すべき猟兵がいるとしたら、それは司狼でも義透でもない……控えた三人の霊も『同意』と頷いた。
 そうして二人の猟兵は、一足早く戦場より退避する……決着は、とある一人の手に委ねた。

「ところで、この『私』を見た者は、今までは全員『暗殺対象』でした」
『でしょうね』
「……それ、自分からバラすのか?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ブリッツ・エレクトロダンス
さて、残るは"Avenger"だが―――ガルムゼノンに相当な怨念を抱いているみたいだな。

…。(この件とは関係ないが、似たようなのが俺にもあるよな、と思いつつ)

だからと言ってただやらせる訳にもいかねえぜ?
(いつものジューカジャケットに《早着替え》!
 それと同時にデジ・スピーカーを物理展開し一気に場をライブ会場へと変化させる!)
さあ、ここからは俺のプレイタイムだ!盛り上げていこうぜ!
(お前のようなDJがいるか、なんて言われたから本業に入ったぜ!
 でも邪魔する奴はハンドガンの《クイックドロウ》《2回攻撃》による射撃でお黙り願おう!)


黒柳・朔良
ベリル・アルカードは死んだ、か
『同族殺し』が次に狙うのは猟兵のひとりのようだな
手の内を一度見せている相手に対して同じ手を使うのは悪手ではあるが、奴の狙いは決まっている
警戒されるかもしれないが、気を取られている内は付け入る隙もあるだろう

選択UCで気配、もとい『存在』そのものを消して(【目立たない】【闇に紛れる】)手負いの敵に【傷口をえぐる】ように攻撃(【暗殺】)
今回は次の戦いもないわけだから、【捨て身の一撃】と【逃げ足】でヒット&アウェイを繰り返して敵の体力を削る

裏切られて殺されて、かつての仲間を恨んでオブリビオンとして蘇った哀れな『同族殺し』
今度こそ骸の海へと還れることを願っている


アガト・シレスティアル
自分には分からない
同族殺しは本当に騙されたのかもしれない
ただすれ違ってるだけかもしれない
分からないから、ガルムゼノンさんとしっかり話し合えるよう
剣を振るう!

選択UCを使用
空想剣:夕焼けの赤を創造
能力は相手の憎悪や邪心、怒りだけを攻撃できる!
そして武器改造でシャーくんと夕焼けの赤を合体、
空想剣が切断されたら自分が持ってる方と床に落ちた方が再生して
二本に増えて、シャーくんが無線で操作してオールレンジ攻撃してくれる機能を追加!

クロースラッシュは武器受けで対処!
シャーくんが操作する空想剣は6割はスルトへ攻撃、4割は自分の防御を固める
その増悪も、復讐心も、怒りも!骸の海へ帰る時間だ!
アドリブ歓迎


リーヴァルディ・カーライル
…これ以上、暴れる気なら此方とて容赦はしないけど…

…どうやら他にも因縁の相手がいたみたいね

…ならば、過去の精算はその猟兵に託すとしましょう

敵の火属性攻撃は魔力を溜めた火炎耐性のオーラで防御し、
過去の戦闘知識や第六感を用いて敵の殺気や気合いを捉え、
敵の攻撃予測を残像として暗視して見切りUCを発動

…人狼の爪、憎悪の炎、そして吸血鬼化…

…その動きはさっき散々見せてもらったもの

私に攻撃を当てたければ、せめて素面になってから出直して来なさい

敵の怪力を利用した早業のカウンターで懐に切り込み、
大鎌を武器改造した双剣の2回攻撃で五体を乱れ撃ち傷口を抉り、
生命力を吸収する呪詛を付与してUCの封印を試みる


ルーク・アルカード
【心情】
ん、あの人に何かされたの?
そんなに怒ってるなんてきっととっても酷いことされたんだね。
でも、お仕事だから……ごめんね?

【戦闘】
武器に『吸血』させて『武器改造』、
他の人が戦闘中に『目立たない』ように立ち回り、背後から『暗殺』。
かわされても他の人が付けた『傷口をえぐる』ように当てる。

相手からの攻撃は『第六感』や『野生の勘』で回避、避けきれなければ『武器受け』でガード。


メアリー・ベスレム
まぁ、まだそうも猛るのね
これだけ血を流してもまだ収まらないなんて
メアリ、本当に復讐は大好きよ?
叶う事なら遂げさせてあげたいと思うけれど
もう『同族殺し』じゃないあなたを
メアリは殺さないといけないみたい
あぁ、それってとってもつまらない事だわ

何があったかなんて知らないし、興味もないけれど
決着はきっと、当事者同士で付ける方がいいでしょう?
だったらメアリは【凍てつく牙】の高速移動と【逃げ足】で
捕まらないよう立ち回り
憎悪の炎に魔氷をぶつけ
鎮める事はできなくても勢いを弱めるぐらいはできるかしら
そうやって支援攻撃に専念する

あぁ、だけれどオブリビオンであるあなたはもう
復讐を果たしたとして喜ぶ事もできないのかしら



●死亡確認
「ベリル・アルカードは死んだ、か」
「んで、残るは“Avenger”だが……ガルムゼノンに相当な怨念を抱いているみたいだな」
 黒の人狼吸血鬼の死亡を改めて確認した朔良とブリッツは、点々と続く真新しい血の跡を目で追う。
 炎に当てられて乾いた猟犬からの返り血以外に続く真新しいものは、おそらくスルトのものだろう……消耗しているようだが、油断はならない。
 急ぎ後をと朔良が通路へ向かう中、ブリッツはふと立ち止まる。
 ベリルに対する激しい嫌悪と、“Avenger”スルトが狂ったその理由を。
「(この件とは関係ないが、似たようなのが俺にもあるか……)」
 いつか対峙した“ロクでもない奴1号”や、それの犠牲となった友人のことを思い返しながら……ブリッツは振り返る。
「もう行くぞ、ルーク」
「……うん」
 ベリルの亡骸を見下ろすルークに声をかけてから、ブリッツはいつものジャケットを手にして通路を駆け出す。
 ルークもすぐにその後を追った。
 “猟犬”の首輪を置き去りに、赤いマフラーをしっかりと巻いて。

●決着を着けるべきは
「そこを……退けぇぇ!!」
「うわっ!」
 司狼と義透の撤退後も、スルトと猟兵たちの交戦は続いていた。
 激しい怒りを纏うスルトの爪にアガトの空想魔剣が砕かれ、アガト自身も大きく弾き飛ばされる。
 空中で一回転、猫のバランス感覚で体勢を整えて着地したアガトの横に、リーヴァルディとメアリーが駆け寄りそれぞれ身構える。
「まだ戦えるようね、アガト」
「勿論だよ、リーヴァルディ」
 リーヴァルディの身を案じる声に、被った猫を捨てたアガトは力強く頷く。
 砕かれた赤の空想剣を再生するアガトとは対照的に、メアリーは少々気の抜けた様子で刃を構えた。
「なぜ邪魔を、する……俺は、ゼノを殺す……殺さなくては……!」
 立ち塞がる三人の猟兵に怒り、憎悪の炎を立ち上らせる“血餓の鬼狼”。
 メアリーはさも驚いたと表現するように、「まぁ」と口元に手を添える。
「まだそうも猛るのね。 これだけ血を流してもまだ収まらないなんて」
「……どうやら他にも因縁の相手がいたみたいね」
 スルトが名指しする猟兵の姿が、リーヴァルディたちの脳裏に過る。
 氷狼フェンリルの力を行使する蒼の人狼……彼がなぜスルトに憎まれているのか。
 その理由を知らず、知る術のないリーヴァルディとアガトもまた、それ故に。
「……ならば、過去の精算はその猟兵に託すとしましょう」
「『同族殺し』……いや、スルトさんとガルムゼノンさんがしっかり話し合えるよう、自分は、この剣を振るう!」
 決着を着けるべきは彼であるとし、二人はスルトへと挑み掛かる。
 ただ、メアリーはスルトの姿をじっと見つめ……やがて小さく首をかしげた。

 憎悪の炎が迫り来る、スルトの姿が見えなくなるほどに。
 邪魔者を全て焼き尽くせと放たれた炎を、リーヴァルディは火炎耐性で凌ぎながら、炎の主の殺気を捉える。
 人狼の爪、憎悪の炎、吸血鬼化……スルトの繰り出す技は、ベリルと戦っていた時に散々と見せられたものだ。
 これまで幾度となく吸血鬼を狩ってきたリーヴァルディは、その経験を元に吸血鬼狩りの業・封陣の型を展開する。
 その炎の流れを見切り受け流す流水の型、その炎を円の動きで跳ね返す水鏡の型で、スルトが放つ炎を退かせた。
 炎の切れ目の先にいたスルトがその目を見開く、死者の想念を断ち切る大鎌を双剣に変化させたリーヴァルディの突破力に驚いていた。
「なぜ、邪魔を……ッ」
「私に攻撃を当てたければ、せめて素面になってから出直して来なさい」
 スルトの炎を、その狂気ごと穿つべくして止水の型が放たれる。
 リーヴァルディが操る全ての型を受けたスルトは、その身に纏う炎をもかき消され、体勢を崩した。
 憎悪の炎が止んだ、今が好機と言ったところで……場違いな音楽が流れ始める。
 加えて戦場に展開されたデジタルな空間はやがて、大音量を発するデジ・スピーカーが設営されたライブ会場へと様変わりしていった。
 いったい何が、音の流れる方へリーヴァルディが目を向けると……そこにはブリッツがいた。
「お前のようなDJがいるか、なんて言われた気がしたから本業に入ったぜ! さあ、ここからは俺のプレイタイムだ!」
 先程までの潜入スーツから普段のジューカジャケットに早着替えしたブリッツは、ブリッツタイムを発動させる。
 闇夜の世界には馴染みのないエレクトロニック・ダンス・ミュージックが城内に轟く、それは猟兵たちの戦闘力を増強させる力を持っていた。
「テンション上げて、盛り上げていこうぜ!」
「ウグッ……グウゥゥ……!」
「おおっとご機嫌ナナメか? ノリが悪いぜ“Avenger”!」
 そして音楽に共感することのないオブリビオンにとって、ブリッツのクラブミュージックは騒音に他ならない。
 すぐに止めろと憤るスルトの敵視がブリッツに切り替わる、その隙を……二人の猟兵が捉えた。
 朔良とルーク、黒と白の暗殺者が闇より出でて、スルトの背を深々と斬りつける。
 その暗殺の刃は一度のみならず、二度、三度と繰り返され……捨身の黒い刃と傷を抉る血晶が、スルトの身より血飛沫を舞わせた。
「(裏切られ殺されて、かつての仲間を恨んでオブリビオンとして蘇った哀れな『同族殺し』……今度こそ、骸の海へと還れることを願っている)」
「(そんなに怒ってるなんて、きっととっても酷いことされたんだね。 でも、お仕事だから……ごめんね?)」
 哀悼の念を込めながら振るわれる刃の中で、血飛沫とはまた異なる“赤”が二つ浮かび始める。
 その“赤”とはアガトの空想剣と砕かれた剣だ、その二つをシャーくんが無線で操っている。
 助けるため、終わらせるための、夢見ていた空への想いによって生まれた“夕焼けの赤”の力は揺るがない。
「その憎悪も、復讐心も、怒りも! 骸の海へ還る時間だ!」
 アガトの右目に似た色をした刃が飛び、スルトの狂気を切り裂いていく。
 『同族殺し』として大きく歪んでしまった感情がひとつ、またひとつと切断されていく最中……アガトは見た。
 憎悪の色に塗り潰されたスルトの表情……それが一瞬だけ、泣いているように見えた。
「俺は……ゼノを……」
 力を封じられ、数多の刃に身を裂かれたスルトもまた、地に膝をつける。
 何かが見えた、そう感じたのはアガトだけではなかった。
 その証拠に朔良とルークの繰り出す刃は止まり、ブリッツが奏でる賑やかなダンスミュージックもボリュームが下がっていく。
 リーヴァルディも双剣を大鎌の形態に戻した頃、座り込んだスルトの前へメアリーがやってきた。
 ユーベルコード――凍てつく牙によって冷気を身に纏い、魔氷でスルトの足を凍らせた上で、見下ろしている。
「あのね、メアリ、本当に復讐は大好きよ?」
 念を押す言葉に偽りはない、スルトが『同族殺し』であり続けるならば、その復讐を最後まで遂げさせてあげたいと思ったことも本当だ。
 しかし復讐の相手が猟兵に切り替わり、『同族殺し』ではなくなったスルトは、やはり殺さなくてはならない。
 それは、とってもつまらないことだと思う……けれど。
「ゼノは何処だ……何処に……」
「……ねぇ、あなた」
 古の人狼の魔氷の冷たさに身を震わせるスルトに、メアリーは問いかける。
 復讐が大好きなメアリーだからこそ、スルトに抱いた違和感の理由に気が付いた。
 ベリルを追い立てる『同族殺し』の姿はまさに復讐者であり、それはそれはメアリーの心をときめかせる程に輝いていた。
 しかしその相手が猟兵に切り替わった途端に、その輝きも失われてしまった……その原因は、単なる消耗ではない。
 ならば、何故か……答えは単純だ。

「本当は、復讐なんてこれっぽっちも望んでないのよね?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガルムゼノン・フェンリル
蒼くん(f15465)と共闘希望

(メイン判定SPD、POW行動有)
それでも…それでも俺は…
キミを討たねばならないのか…?
いや、違う。
やれることはある……!
【氷狼の加護】を発動、炎属性耐性を引き上げる。
ゆっくりと近づいていきながら、スルトへ説得を試みる。

もういいんだ、もういいんだよ、スルト…俺たちは……これ以上戦わなくていいんだよ。
全身を燃やされようが、そんな生半可な攻撃でこの氷(命)は溶かせまい?
スルトち抱きついた腕へ【優しさ】をめいいっぱい纏めあげた氷狼の波導をスルトの背中に【崩月・蒼牙破心撃】を流し込む…!

彼がオブリビオンとしての役目を終えるまで、抱きしめていよう。

さよなら、俺の──。


牙国・蒼志
ゼノ(f01970)と引き続き共闘。

『同族殺し』、いやスルトだったな。
正直にいえば、お前には同情できる。だがな…。
もう、終わってしまったんだよ。過ぎた過去はもう戻せられないんだ。
…倒したくはないが、ゼノを守るためだ。恨むなら俺も恨め。

牙龍鎧をドラゴントゥース(以下DT)で召喚し装着、ゼノの攻撃が通るように牽制と庇いを受け持つ。
DTをスルトに向けて投げ、ドラゴニック・エンドを狙う。

スルト、お前はなにも悪くない。ただ少しだけ…そう、少しだけ、めぐり合わせが悪かっただけだ。
こうなる前に出会えてたら…俺と君も、親友と呼べる仲になれただろうな…。



 ――何処だ。
 ――ゼノは何処だ、何処にいる。

 ――何故、いなくなった。
 ――俺に何も告げず、何処へ行った。

 ――探さなくては。
 ――ゼノを探さなくては。

●まだ、やれること
「『同族殺し』、いやスルトだったな」
 音楽も鳴り止んで、再び静寂が訪れた戦場に現れたのは蒼志だ。
 その少し後からガルムゼノンもやってくる……その気配に気付いたスルトは、顔を上げると同時に牙を剥く。
 今は魔氷や封陣の型によって、立ち上がることも憎悪の炎を放つことも叶わないが、それも時間の問題だ。
 氷を溶かし、血を焦がす炎の匂いがガルムゼノンにも届く……拘束が解かれれば、再び血と炎が舞うこととなるだろう。
「殺す……ゼノ、俺は、お前を……」
 夕焼け色の刃で削られた狂気に混乱し始めた旧い友の姿を目にして、ガルムゼノンは自問する。

 それでも俺は、スルトを討たねばならないのか、と。

「正直にいえば、お前には同情できる。 だがな……もう終わってしまったんだよ。 過去はもう戻せないんだ」
 ガルムゼノンを庇うように、蒼志は牙龍鎧をドラゴントゥースによって召喚、装着していく。
 炎の匂いが濃くなったのを蒼志も感じる、憎悪の矛先はどうやら蒼志にも向けられたようだ。
「お前が、ゼノを……」
「……倒したくはないが、ゼノを守るためだ」
 今にも立ち上がりそうなスルトへ、ドラゴントゥースを槍形態へ変えた蒼志が迎え撃とうとして……肩に手を置かれた。
 蒼志が振り返ると、そこには氷狼の加護を纏わせたガルムゼノンがいた。
「ここは、俺に任せてほしい」
「ゼノ……、分かった。 気を付けろよ」
 氷狼フェンリルの力を通じて、ガルムゼノンの意を汲んだ蒼志は……一度頷き、龍槍を下ろす。
 行く道を譲られたガルムゼノンは、ついに立ち上がったスルトへ向けて一歩、また一歩と踏み込んでいく。

 ――スルトを討たねばならないのか。
「(いや、違う……やれることはある!)」

●炎は氷に抱かれて眠る
 魔氷は溶けて、封陣が剥がれ始める。
 狂気と共に、力の一部を取り戻したスルトはすぐさま憎悪の炎を燃え上がらせた。
 目前にいる者を、かつて友と呼んだ男を焼き殺すための炎は、瞬く間にガルムゼノンの全身に纏わり付く。
 危険だ、と誰かが助けに向かおうとしたかもしれない。
 けれどもその足を蒼志が制して止める、ゼノは大丈夫だと言い聞かせて。
「もういいんだ、もういいんだよ、スルト……俺たちは……これ以上戦わなくていいんだよ」
 スルトの炎に焼かれながらも、ガルムゼノンはその歩みを止めなかった。
 氷狼の加護によって炎の耐性を得た蒼の人狼を、その命を、狂気に染まった炎で溶かせはしない。
「ゼノ……どうしてなんだ?」
 脳裏に過るデジャヴは、幼い頃の友の姿を映し出す。
 彼と離れ離れになってしまったのは、思い返せば二人がまだ子供だった頃だ。
「スルト……キミは」
 ガルムゼノンの腕が、スルトを包み込むように抱き締める。
 氷狼の加護はやがて波導へと移り変わり、優しさをめいいっぱいに纏め上げた波導をスルトの背中に流し込んだ。
 それによって、『同族殺し』の狂気の殻が少しずつ剥がれていく。
 燃え盛る炎も次第に勢いを失っていく……紅の毛皮を通じて伝わってくるのは、狂気の内側にあったスルトの優しさだ。
「ゼノ……どうしてなんだ」
 スルトもまた、ガルムゼノンの身を抱き返す。
 オブリビオン故にか、その力はガルムゼノンの身を潰してしまいそうなほどに強いものだったが。
「どうして俺の前からいなくなった……俺は、お前のことをずっと……」
「キミは、俺のことをずっと探し続けていてくれたんだね」
「ゼノ……ゼ……ノ……お前は、ここに……いるんだな……」
 数多の猟犬を殺した力も次第に弱まっていく、狂気頼みでなんとか保っていたその身に終わりの時が迫っている。
 ガルムゼノンも腕の中で、ゆっくりと目を閉じていく旧き友、スルト・ブラッドファングは。
「お前が無事で……本当に、良かった……」
 いなくなった大切な人を一途に探し続けた、一人の人狼として……息を引き取った。

「こうなる前に出会えていたら……俺と君も、親友と呼べる仲になれただろうな……」
 返事が来ないと知りながらも、蒼志はガルムゼノンに抱かれた人狼にそう声をかけ……成り行きを見守っていた猟兵たちと共に帰還していく。
 その場に一人残されたガルムゼノンは、スルトの亡骸を抱きしめていたが……鮮やかな紅の毛並みは次第に色を失い、灰へと変わっていく。
 オブリビオンとしての役目を終えたスルトの寝顔は、狂気に呑まれたとは思えないほどに穏やかなもので。

「さよなら、俺の――初恋の人」

 その告白と熱い抱擁を受け取って、スルト・ブラッドファングはその姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月24日
宿敵 『ベリル・アルカード』 『血餓の鬼狼『スルト・ブラッドファング』』 を撃破!


挿絵イラスト