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黄金色の聖餐

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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●禁断の果実
 それに触れた私は気がふれたのだと確信した。しかし私が禁断に抗う術は無く、ああ、心地良い幸福が地獄(現実)を洗い流してくれる。浄められ、爛れ、啜った液体は『実り』の根源で、滾々と歓喜する花々が歓迎していた。誰が此れを手放すと言うのだろうか。世界は私を中心に『永久』へと到り、ただの黄金色が幸せを模っている――私の絶望は消え、絶え、朽ちて、素敵な素敵な詩を綴ろう。太陽が落とした戯れが、酩酊と成って兎に変える。ねえ。あなたの真っ赤も染めましょう。齧った林檎は甘いに決まっている。

 ――酒のような赤。肉のような彫像。
 ――コッペパンは要らないの。

 薔薇の棘にはご用心。

●グリモアベース
「あ……はい。僕です。久々に予知しちゃいました。気分最悪です」
 回々・九流々々(くるくるくるるく・f21693)は血の通っていない貌を君達に向ける。おそらくはグロテスクな予知でも視たのだろう。真っ青は直ぐに紫へと染まるに違いない。唾を飲んで息を吐き、酸っぱさを押し込んで。
「ええと。アリスラビリンスで、絶望の国、オウガのゆりかご案件です。なんでもアリスは現実の『何か』に絶望してオウガと化してしまったらしいのですよ。それで。その絶望の国は『幸せいっぱい薔薇たくさん』です。幻覚に囚われたら最後、如何なるのかわかりません。強い心で突破しましょう――そうしたら元アリスを倒してください。アリスの絶望を和らげれば『次に溢れる』たくさんのオウガも減るでしょう。はい。減らさないと溢れてしまいますね――しかし幸福。幸福ですか。僕にはよくわかりませんね。よろしくですよ」
 グリモアが輝いて。


にゃあら
 にゃあらです。
 赤色と黄金、酸いも甘いも。

 宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『幸せな誘惑』

POW   :    これは夢だ! 自分をつねったりはたいたりして、力ずくで正気に戻る

SPD   :    種も仕掛けもあるんだろう! 幻影を見せている罠を探し出し、解除する

WIZ   :    これは現実じゃない! 現実にはありえない部分を指摘し、幻影を破る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 薔薇園は幸福に抱擁されている。ころがった林檎が齧られるのを待っており、きらきらと馥郁を放っている。たくさん並べられた人型は黄金色で、絶望した誰かの造り物に違いない。踏み込んだが最後『幻覚』に堕とされ、貴様等は在り得ない悦びに眩むだろう――脳味噌を強く維持するのだ。合法阿片じみためまいから逃れ、元凶たる『もの』を還さねば成らない。しかし美味しそうな林檎だ。

 一口ならば大丈夫……。
黒影・兵庫
【蜂皇族】
(林檎を手に取りじっと見つめる)
本当においしそうだ...
(無意識に口に含もうとするのをクロリアの錆色の腕ががっちりと固定し教導虫によってリンゴにそっぽを向くように体を操作される)
あ...ごめんクロリア、この林檎やばいですね、せんせー
(「あ?正気に戻った?そうね、ヤバヤバよ。あとからくる猟兵のためにもヤバ林檎は駄目になってもらいましょうか)
わかりました!農家泣かせの虫害を引き起こしてやりましょう!
(UC【蠢く霊】を発動し羽虫の霊を呼び出しリンゴと薔薇をズタボロに切り裂かせる)
トドメは大嵐っと!
(枯死の『呪詛』を込めた『衝撃波』で林檎と薔薇にとどめを刺す)
これでスッキリ!


播州・クロリア
【蜂皇族】
(林檎を食べようとした黒影の腕を{錆色の腕}で『怪力』を使って拘束する)
その林檎は口に含んではいけませんよ、あにさん
すっぱい葡萄ではないです
蟲なんですから貪る価値のある果実は見抜けます
ここにあるのは見た目は綺麗でも食べられないイミテーションばかり...
鬱陶しいので枯らしましょう
(救いを求めるように天を仰ぎ手を伸ばした後{晩秋の旋律}で『ダンス』を始める)
蔓延る幸せの花園に冬が来ました
破滅の訪れです
(UC【蠱の人】を発動しクロリアの周りにテレビの砂嵐のような不鮮明な人影な出現し、枯死の『呪詛』を込めた林檎狩りと除草を開始する)
地平線に沈む夕日が見たいので
きれいさっぱり無くしましょう



 凝視する。凝視されている。覗き込んだ。幸せが覗き込んでいる。深淵への入り口が此処だと解せるならば、真に望むべき果汁は甘美なのだろう。ああ。本当に。涎が溢れて留まる事を知らず、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は舌を伸ばすように飲み込んだ。齧りたい。齧り尽くしたい。無意識に掴んだ林檎の色は二度と忘れない※※――つめたい。四肢が動かない事を認識出来たのは『勝手に横を向いた』瞬間だった。脳内の教導虫(せんせー)が上部分を捻らせて、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)の錆色が拘束している。成程。つまり「この林檎は危険」なのだろう。口に含む事も赦されないのだ。すっぱい葡萄ではなく、馥郁で素晴らしい果実なのだ。貪る価値のない『嘘の幸せ』の類――蟲ならば容易く見抜けるのだ。
 綺麗でも食べられない模倣品(イミテーション)と怪物は謂う。正気に戻ったか『確かめた』ならば後は普段通りの後始末だ。あとから来る猟兵のためにも――林檎(あれ)は枯らして滅ぼせば好い。農家泣かせの虫害を起こせ。蔓延る幸せの花園に『冬』の足音が訪れた。嗚呼。此れを破滅以外に何と称する。
 死霊が干渉出来ないなど誰が説いた嘘なのだ。涌き出した羽虫の幽体が『林檎』と『薔薇』を咬み千切り、根の元まで引っこ抜いて往く。蟲が成したら今度は人型。砂嵐(モザイク)じみた不鮮明が呪詛を撒き散らし『枯死』で満たす。地平線に沈む夕日が見たいので――きれいさっぱり無くしましょう。除かれた幸福は絶望している。
 バラバラに成された草木が地に伏せ、生命力に餓えている。片付けたとは『言い難い』現状。ならば吹き飛ばして終えば良い。掃除(トドメ)は大嵐だ。更なる呪詛を帯びた衝撃が方々に到り、病的な色彩を茶へと腐らせていく――総てが塵だと思えたならば、黄金色も要らないだろう。蟲の『主』は定まっている。

 駄目になった果実達は叫べない。
 ――もがれて朽ちた、食せはしない。
 まだ生じるなど『正気』の味なのか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミラン・ローズブレイド
オレーシャ(f04602)と
初めて会うけれど、共通の友人を通して知っている仲

・心情
なるほど、反吐が出るほど”甘美”だね

・行動
同じ聖者同士…まぁ会ったのは初めてだけれど、リュヌから話はきいてるよ
「さぁ、共に“あれ”を正しましょうか」
他の猟兵もいるだろうし、貝細工乃飄風で魅惑の林檎もなにもかも壊してしまおう
「ねぇ、オレーシャはどんな教義をもっているの?」
全てはあの方のために、俺の”私”の教義の前にこんなものは必要ないのですよ


オレーシャ・アルヴィア
ミラン(f10316)と参加
共通の友人:リュヌの紹介で初同行

心情
魅惑の果実の匂いに酔いしれそうになると、聖痕が熱く感じるようなきがする
"私の幸せ"じゃないと警鐘を鳴らしてるみたい
それとも"堕ちた林檎"に関する知識のおかげ?

行動
「そうね、ミランさん。この誘惑の元を絶ちましょう」
ミランの言葉によろしくと穏やかに応じて
-迷える子羊たちを惑わすものよ、去れ-
自分や他の猟兵の視界から奪うように鈴蘭の嵐で林檎に攻撃を試みる。

「教義なんて大層なものはないの。せめて届く範囲だけでも皆を助けたい」
まだ"知らない"世界を知り、"癒し"の道を開くだけ。
幸せの形を無限だけれど"ココ"ではできないから、誘惑は要らないの



 友達の友達が紹介したのなら、きっと似たような色彩に違いない。馥郁が漂う中で二人、ミラン・ローズブレイド(羽風・f10316)とオレーシャ・アルヴィア(オラトリオの聖者・f04602)は『林檎』の落ちたのを確認した。誘惑のめまいが鼻腔を擽れば、聖なるかな『痕』が熱っぽくて気がふれる。それは『私の幸せ』じゃない。女は警鐘を脳髄で覚えながら、それとも横にして『堕ちた果実』の知識の所為か――おかげさまで。なるほど。男はオレンジを揺らしながら『禁忌』を覗き込む。それは反吐が出るほどに『甘美』な導きで、己とは全くの『現実』に活きていた真っ赤だ。赦し難い。赦されない。彼女も彼も『抱き締める』ようにすれ違って。
 全て。総て。話は※※※から聞いている。共に『あれ』を正しましょうか。ええ。ええ。この誘惑の『元』を――塗りたくる匂いは香りを殺すヒラヒラか。他の猟兵に『這入らない』よう、あの酩酊を壊す他に無い。舞い混ざる『おもい』は色を知らないのか――爛々と嗤っていた『実』も前段階には敵わない。叶えるべきではない『幸福』を花弁どもが浸している。冒されたのは何方かと問えば、自ずと理解は得られるだろう。迷える子羊を惑わすものよ。すべては『あの方』のために……去れ、と告げたのは同時だったのか。林檎は腐る事もなく滅んでいけ。
 教義――女は問われて如何に返す。そんな大層なものはないの。せめて届く範囲の皆を助けたい。答えられた男は如何に思う。俺の『私』の前にこんなもの――思考は手繰られる事なく『交わして』往く。形は無限でも【ココ】ではできないから。そして『唯一』重なった――。

「必要ないのですよ」
「要らないの」

 その台詞は耳に届いたのか。おそらくは林檎にしか届かない。落ちて。墜ちて。堕ちて。逆らえなかった毒物が、否定されて本性を晒している。どろりとあふれた果汁は何者の生臭さ――最早『いる』のは鈍器だけだ。
 存分に働きなさいと、謂ってやれ。
 ――奇跡が起きるとは想えない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紗我楽・万鬼
何言ってんですか酒と肉だけじゃ『身体』に悪いですよ!
其れで林檎です?
おいしそうですねー

あっしね林檎なら砂糖煮好きですね
シャリシャリ感残して綺麗な黄金色になった奴が好いんですよ
其処らに転がってる金色?存じませんね美味く亡さそうですもん
活きが良いなら物語の終い後に見に来てやりやすよ
でね砂糖煮をパイに乗っけりゃ完璧ですってシナモンはお好みで
だからほらパンは必要じゃないですか
パイとパンは違う?ニアピンですよ!

未だ騙り足り無いんで食う暇は存在しませんね
あっし口は入れるより出す派なんですよ

後黄金ならチョコ包んでて下さいよ
なんて語りがてら御犬様と林檎を焼却処分していきやしょうね
嗚、焼き林檎もまた一興ですねぇ



 地獄に佛と誰が呟いたのか。酒と肉だけでは『身体』に悪いと紗我楽・万鬼(楽園乃鬼・f18596)は否定した。転がった林檎が何を『すった』のかは不明だが、真っ赤で艶々な皮は実に魅力的だ。其れで『果実』と書くには綺麗で、描くにも『塗料』が不相応――嗚呼。おいしそうですね――生で齧るのも勿論喜ばしいが、猟兵曰く砂糖煮だ。シャリシャリ感を残して黄金色になったやつが好いんですよ。甘いのか酸いのか決めるのは舌で、よく廻る先は前者を覚えるのか。美味しく亡さそうな『元』からの黄金が戯れている。活きがいいなら物語の終い後に見に来てやりやすよ……それは厭だとキラキラ喧しく、花々が大笑いとはこの噺か。兎角砂糖煮はパイに乗っけりゃ完璧ですってシナモンはお好みで焼き過ぎには注意しましょう。だからほら『パン』は必要じゃないですか。そんなに肉が欲しいならば抉り取れば……パンとパイは違う? ニアピンですよニアピン賞。章を跨ぐにも幸せが不足気味ですね。
 未だ。未だ。未だ語り足りないのは。騙り足りないのは獄卒の性質だ。嘘偽りも真実に成せば抜く舌もなく、口に入れるよりも出す派なのか。チョコを包んだ黄金ならば捲った時に嬉しいだろう。云々吐きながら御犬様招いて焼却処分だ。ほら。焼き加減はウェルダンと決まっている。え? 灰々返事しながらの調理は御法度ですって? 焼き林檎もまた一興ですねぇ。火に油を注げば影が憑く。

 ――楽園に堕ちた万物(なきもの)は僥倖か。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『薔薇園の番兎』ローゼス』

POW   :    アリスの生き血で実る禁断の果実
戦闘中に食べた【アリス(猟兵含む)の血を吸い実ったリンゴ】の量と質に応じて【アリスのユーベルコードを習得し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    迷い込んだ者の生き血を啜る迷宮
戦場全体に、【触れた者の出血を促す棘を生やした茨の壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    薔薇園を拒む者に施される拷問
【ハートのワンド】が命中した対象の【体に絡みつく蔦】から棘を生やし、対象がこれまで話した【薔薇園を否定する言葉】に応じた追加ダメージを与える。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 焼け野に一匹、跳ねる兎。滓の林檎と手折れた薔薇。両方を抱いて『君達』を歓迎する。少女(アリス)だった絶望が誰かの生き血を呑んでいる――その原因を訊ねても、彼女はゆらゆらと微笑むだけだ。兎の巣に迷い込めば、其処は大きな大きな薔薇園(ラビリンス)。可愛い植物、如何して如何して『悪口』散らすのか。問い掛けても問い掛けても彼等は嘲笑ったのだから、啜ったって構わない。
 ――赤い林檎と赤い茨。

 かじる幸せは共食いだ。
黒影・兵庫
【蜂皇族】
薔薇園の管理者か
薔薇は林檎と一緒に枯死させちゃいました
笑って許してくれるでしょうか
(「怒りはしないけど殺されると思うわ」と頭の中の教導虫が返事する)
それは怒っているということでは?
どう思うクロリア?
怒りや憎しみの感情がないかも?
それは...幸せ、なのかなぁ?
(クロリアと同じ『ダンス』をしながら{錨虫]を『念動力』で操作して敵に巻き付け動きを封じた後『衝撃波』を叩きこむ)
うーんやっぱり不幸も感じないとやだなぁ
幸福だけじゃどれが本物か分からなくなるからね
(UC【光殺鉄道】を発動し黒影の影から湧き出した芋虫たちがレーザーブレードを敵に放つ)
今は幸せ?


播州・クロリア
【蜂皇族】
({メトロノーム・コイン}でコインロールしながら黒影の問いに答える)
刺々しさも燃やし尽くすような赤色も感じませんね
怒っていないようです
いや、そもそもそんな感情ないのかも?
生まれつきなのか、あえてそうしているのか
後者なら今すぐ止めることをお勧めします
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
怒りのリズムは良いダンスを生み出すことが多々あります
もったいないですよ
(UC【蠱の腕】で{錆色の腕}を草刈り鎌に変えた後、イバラを切り裂き、炎を纏った『衝撃波』で『属性攻撃』を行う)
前者でしたら...お悔やみ申し上げます



 枯らした。涸らした。何もかもが尽くされた、その薔薇園に罪はない。与えるべき罰は至極簡単で、兎は只管に『間引いて』いく。管理者というには可愛らしく、少しは『アリス』の面影を残して在るのか。実った真っ赤の原因は麺麭(ひと)の葡萄酒に違いない――その笑顔で許してくれるとは思えない。疑問を重ねても『怒り』は生じず、ただ餌食を観る肉食が如くが。ああ。めぐる銀色(コイン)が感情を――空の脳味噌を弄んでいる。生まれつきなのか。あえてそうしているのか。次の『疑問』を投げつけても、したたる汁に『返答』はない。ああ。殺されると思うわ――三人寄れば文殊の知恵。そんな諺へと到る前に、残虐な楽園は血肉に愛される。
 それは『幸福』なのだろうか。人間は首を傾げて隣の『リズム』に同調する。はせる紅焔が輪郭をなぞり、深々とおちる林檎を定めた。齧る寸前で歌えば好い――もったいない。怒りが良質なダンスを生むのが解せないのか。
 残酷なほどに『彼女』は無碍だったのだ。動かされた『錨』が兎を捕縛し、食せぬ幸せが絶叫していく。封じられた数秒後、新たなる血肉が飛沫に堕ちる。衝撃がにくを容赦なく――何方にせよ『不幸』を舐らねば成らぬ。毒を食らわば皿までか。幸福だけでは『何がしあわせか』理解出来ない。本物の意味を忘れて終う。
 錆色の死神(うで)は鎌を成す。為された草刈は熱を通し、纏わる撃が焦がしていく。恋われる感覚も死んでいて、最早「ご愁傷様」以外に在りはしない。前者は赦されず後者に蜜を溜め込んだ。お悔やみ申し上げます――逃れる術も失った。喪った希望は線路に飛び出した少女のようだ。涌き出した芋虫がころころなって、向こう側から素敵な電車(光線)――サイコロステーキな末路は如何だ。今は幸せ? ええ。ええ。勿論、今も幸せに決まっている! やける臭いがたまらなく、焼き林檎に成りたかったのだ。

 ひどい悪性(ダラキュ)な聖なるかな。
 ――ねばついた絶望を曇らせる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミラン・ローズブレイド
オレーシャ(f04602)と共に
・心情
なるほど、君の教義は俺とは逆なんだね
でも、やることは一つだ

・行動
回復には回らず、攻撃に専念させてもらうよ
腥風乃祈願で彼女を”救い”ましょう
「そこまで”壊れた”のでしたら、最期の希望を与えましょう」
大丈夫、怖くない、痛くない、全てはあの方のためですから
…あぁ、とはいえ、オレーシャに攻撃がいきそうなら【かばい】ますね
彼女が癒してくれるというのなら、神佑天助を与える機会も得られるはず


オレーシャ・アルヴィア
ミラン(f10316)と参加

〈心情〉
考えは違えど、道は同じようですね。
あなたが自身を更に歪めるのならば、私もあなたを止めましょう。

<アリス>正気に戻し癒すには、時/悪食がすぎましたね。
醜悪に貪り、同化を早め、穢れ壊れ拡がってゆくのは見過ごせません。
あなたに寄り添えない私は未熟かもしれませんが、『元凶』を倒すことにします。
少女への懺悔の念とともに


行動:
如何して?辛かったのでしょうか?問いの通じる様子でない少女に
『どうか』してしまったのねと悲しげに瞳を伏せる

ミランさんの攻撃補助に回ります。彼がせめて戦闘に専念できるよう回復行為を優先。
痛い思いをさせてしまうけれど…赦さないでね(魔鍵で攻撃)



 掬うにも液体は消えており、救うにも脳髄は狂っている。違う思考が捻じれの如くに『ふれた』として、教えるべき『貌』に変わりない。代わりを欲した人型でも、絶望に沈み込めば『染み込んだ』赤。歪む。そんな台詞が吐き出されるほど、摩耗した精神に縋る『あい』――でも。やることは『ひとつ』だ。一個の救済の為に歩を進める。両者留まる事を知れず、痴れたアリスの『よく』を覗き込む。鬼の深淵『底』無くても、醜悪の貪りを広げる事は赦し難い。悪性が膨張して弾ければ、ただの地獄が待っている。寄り添えないのは未熟なのか。癒せないのは青い林檎なのか。兎角。元凶を倒してしまえば好い――少女への懺悔ととも……どうかしている、ぐしゃ。
 救いましょう。救いましょう。救いましょう。何度も何度も『救われる』鈍痛が、只管に頭蓋骨を砕いている。そこまで壊れたのなら。そこまで狂ったのなら。最後の希望を与えましょう。大丈夫。怖くない。痛くない。絶えていない。耐えられない。全てはあの方のため……何処を観ているのだ。オマエは何を視ているのだ。鬼に何を『ぬりたくって』いるのだ。齧られなかった果実が、枯葉の上におちている。
 如何して? 辛かった。からい、からい、この現実が死ねばよかった。悲し気に伏せられた瞳に『凄惨』が映る事はない。あふれた脳漿が手を濡らしても、あの撲殺(すくい)は止まらない。生まれながらの光が【すくい】を治すとは皮を忘れた肉なのか――伸びる腕が『奇跡』の葡萄酒を啜らんと。

 ――届いたが、それは誰『からも』愛されなかった。

 くずれた世界に鍵が刺され、動けない『もの』は奥まで救われた。赦さないでね。痛い『思い』はなくなった。漸く見えた救いの元は、綺麗(あか)に浸かった――鈍器(かじつ)の成り損ない。堕ちた物語は誰が為に捲られる。逆転する【禁忌】が恍惚ならば、抗う貌(カタチ)は抱く心地に満ちて逝く。救世――限度なく与えられた扉が、輝きだけを孕むと謂うのか。

 盲目的な翼。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紗我楽・万鬼
御機嫌よう氏が無い獄卒です!
熱烈歓迎はひょいと避けてご遠慮しますね!

にしても喧しいですね植物共
言霊は心抉る刃に成る、棘の様に絡んで蝕む
元アリス嬢も其れがお嫌だったんですかね?

でもねお前さん
悪口詰まった林檎じゃ『身体』に悪いと思いません?
デトックスしやしょう此処も貴女も!
白薔薇兎の怪異達を騙り植物共むしゃり悪口ごっくん!
体内でなんやかんや後吐き出しゃ真っ白林檎の出来上がり!
さぁどうぞ喰うなら此の白林檎にしなせぇ
優しい毒で眠り姫に成れますよ
槍で貫くより絶望(痛く)ないですから

此処の幸せとやらに肯定は在りませんよ
貴女に来世の目覚めが有るのなら
次は喧しく無い世へと鬼が一匹祈りやすから
どうぞ御心穏やかに



 少しは黙る事を覚えてくれ。記憶の欠けた林檎を落とし、小世界の重力が嘲りを続けるのだ。ご機嫌よう。ええ。御機嫌よう。酔っ払った兎が葡萄酒をふくんで、実り知らずの薔薇園を整える。氏が無い獄卒と貌を合わせれば詩を忘れたメルヒェン。熱烈な歓迎は禁忌からの挨拶で、避けられた鈍器は赤に濡れない。遠慮しますね。喧しい植物の棘が空に這い、灰色の干からび死体を仄めかす。言霊は心を抉る刃に成り、その痛みは絡んで蝕む蔦と表現出来る。出来上がりのパイは焼く事も為せず、淡々と生を面にぬりこんだ――元アリス嬢も其れがお嫌いだったんですかね? 嫌だ。厭だ。そんな鳴き声が根に吸われて『おに』が笑う。来年も再来年も、過去が歩めるとは思えない。
 でもね。お前さん――悪口の詰まった果実は身体に悪い。デトックスしやしょう此処も貴女も。穴が在ったら入りたい恥に、ただ染まれば簡単だったのだ。白薔薇兎の怪異達を騙りに語ってむしゃむしゃ無惨に呑み込んで、吐き散らせば最後には真っ白林檎。喰らえ。食らえ。此の『色』食めよ。優しい毒で眠り姫に成れますよ――悲劇に慣れた絶望(いた)み。槍(カギ)で貫くよりはマシだろう。増幅する万物(ナキモノ)が軍を生む。膿んだ群に肯定有り餌ぬ幸せを。
 貴女に来世の目覚めが有るのなら。貴女に希望の酩酊が有るのなら。迷々を晴らす『独創的』が識って往く。次は喧しく無い『世』へといけ。祈る鬼の【楽園】は何処か。どうぞ御心穏やかに――出鱈目に臥せた、その黄金。

 ――心臓は止まる。
 否定的な麺麭(にく)に化粧を。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヤニ・デミトリ
見せかけの幸せでも満たされたなら、
人間を務めるのもきっと苦労しなかったっスね
アリスがそれを拒みきれなかった地獄、想像しても愉快にはならない

おれは真に幸せというものを理解しているか確証はないが、
絶望の末血を啜り、虚ろな黄金と棘に囲まれていたのを
きっと幸せとは呼ばない
植物の形の騒音も安らぎには程遠い
少なくとも、アリスが掴むべきなのはもっとマシなものだったろう
この娘がもっと優しいものに包まれていたら良かった

然様ならアリス
できるだけ痛くないようにしますね

血も涙もない泥の悪魔に姿を変えたら、
茨をすり抜けて手を伸ばす
身体に触れたら、穏やかに命を吸い取って



 満ち満ちた真っ赤が艶やかに、元アリスの頬を染めている。見せ掛けの幸せで微笑むならば人間を『務める』のも苦労しない。そう泥(のうみそ)で巡らせたのはヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)だ。少女が拒み切れなかった地獄が戸の先に蔓延り、病的と錯乱の摩天楼に『愉快』の意味は解けない筈だ。想像する。吐き出された汚物を思い、溜息に似た真っ黒がこぼれる――おれは真に幸せというものを理解しているか確証はないが。硝子に引っ掛かった血肉が茨を活性化させる。刺さるような黄金が目に飛び込んで、絶望の末を啜っていく。虚ろに囲まれた鬼ごっこが楽しいとは思えない。きっと。幸せとは呼ばないのだ――植物の貌(カタチ)が混迷している。
 騒音が安らぎに成り得るのは、狂気に浸った人形だけだ。少なくとも『アリス』が掴むべきなのはもっと綺麗(マシ)な類だろう。苦労を重ねて堕ちた絶望。奏(そう)。この娘が優しいものに包まれていたら――うねり、叫び、泣き……。
 然様なら。別れは素早く。断面は美しく。できるだけ痛くしないように――薔薇を擦り抜けた『もの』は無慈悲だった。残酷な獣の数字に『泥』がかかり、伸ばした手が『パン』をもぐ。葡萄酒は濃厚で怪物好みだ。

 化物(けもの)は自分だけを騙っている。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『黄金花』

POW   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アリスだった麺麭(にく)は壊れ、オウガだった葡萄酒(ち)は枯れた。絶えた林檎と薔薇を圧し退け、生えて踊るのは黄金の花。良い香りを撒き散らしながら、崩れ始めた世界で増殖(はびこ)る――放たれた魔力が無差別に『黄金』を為し、成された聖餐は凄惨に等しい。此れを冒涜と謂わずに表現出来ようか。
 固形は中身を腐らせず、ただ思考の渦に絶望を一滴。
紗我楽・万鬼
あっしが黙ったら其れこそ否定ですよ!?
ってえぇーお前さん等待てなかったんです?
チョコ包めそうに無い姿ですねぇ

めしべから距離はとりましょか…とそうですね
黄金と言えばちょいと一つ試させて下さいよ
未知な騙りかも識れませんけど、ねぇ
今な噺を御存知ですかい?

とある不明の昏い底から
這い寄る黒い男が在りました
バラ撒く狂気の香りは金の魔力を凌駕して
廻る混沌、出でし禍の姿は正に冒涜!
闇に棲むものが其の術伸ばせば獲物共は燃え上がる
『黄金』はおいしく貪り尽くすでしょうね

――祖して『私』は否定する
(からの、暫し扇を広げて口を『閉ざした』)

…もう宜しいですかね喋って
増殖達は鏖殺されました?
漏れたら槍でトドメ刺しますよー



 沈黙と記された『メルヒェン』は鬼に対する冒涜に違いない。否定ではなく世界からの拒絶が幕閉じ、黄金の輝きが崩壊を謳っている。詩の意味を忘れた花粉が、鼻腔を擽るのは確定事項か。ああ。お前さん等待てなかったんです? 疑問符を嗾けても植物は頷けない。出来損ないの鬼(オウガ)が咲き誇り、一足早い『満開』が視えていく。チョコレートすらも包めない金紙だ。如何か銀紙に頼んでおくれ――手遅れだった絶望が死の内側でしあわせを食んで――距離を取って『とるべき』案を弄れば好い。黄金と言えば蜂蜜だ。蜂蜜と言えば嫌われているアルコールか。ちょいと一つ試させてくださいよ――未知な騙りかも識れませんけど、ねぇ。お前さん等は痴れてないと思えますよ。想いが重なった花弁が、魔性の香りを漂わせて……届く前に次の言の葉。

 ――今の噺を御存知ですかい?

 とある不明の昏い底から。もしくは底無い暗い迷から。這い寄る男が在りました。歩み尽くす人間が在りました。綴り嘲る悪霊が在りました。薔薇にバラ撒く狂気の臭いは、黄金色の固形を凌駕して――巡る。廻る。貌。出でし禍の言葉はまさに冒涜。闇に棲むものが其の術(て)を伸ばせば――獲物どもは燃えくさる。『黄金』は最後の一滴まで、美味しく美味しく貪り尽くされるでしょうね。

 ――祖して『私』は否定する
 ――広げた扇の奥の貌(くち)、それは本当に『あっし』なのか。

 最早『でたらめ』は殺された。全てが総て『既知』の枠組みに嵌まり【ただされ】る。閉ざした器官は門なのか否か。それを解く鍵はなく、万物(ナキモノ)は新たなる頁を踏んだ。朱色の施しはイツイツ戻る――もう。宜しいですかね。喋って――塵に同じく花は融け、ただの『説き』が過ぎ去った。漏れた個体に突き刺したのは『嘆き』『怨み』といとおしく。トドメはある種の慈悲で在った。

 ――さぁ終わりやしょう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミラン・ローズブレイド
オレーシャ(f04602)と
・心情
ふぅん、救済を与えたと思ったら、まだいるんだね…
最後の救済も頑張るとしようか、オレーシャ

・行動
貝細工乃飄風でできるだけ数を巻き込むようにしよう
「この黄金は”綺麗”じゃないから、イラナイもの、だね」
うーん、魔力を浴びないようにしたいところだけれど、オレーシャと交互に攻撃すれば、多少は動きやすいだろうか
あまり意味がないようなら一緒に攻撃するとしよう
「オレーシャ、君と戦えてよかったよ」
俺も、俺の”教義”について、少し、考える時間ができたからね


オレーシャ・アルヴィア
ミラン(f10316)さんと共に

心情:
まだ、終幕ではないのですね。
そう・・・これが最後の救済だと信じたいですね、ミランさん。

行動:
微笑みながらも内心にはまだアリスへの想いが脳裏をよぎる。
それでもこの状況は、魔力にあてられるのはもう終わりにしなければいけない。
「あの魔法が元凶なら、今度こそ、この『黄金』はうまれなくなるかしら?」
気を取り直して、気丈にミランに最後までよろしくねと微笑みかえす。

ミランさんの提案に乗じて交互に攻撃や、魔法にあたらないよう一緒に戦う方法を模索する。
似たような手が通用するかわかりませんが「鈴蘭の嵐」で魔力の上書きを試みる。
「またご一緒できたらいいわね、ミランさん」



 与えても与えても、中てられた黄金が『終』得るには救いが不可欠だ。まだいるんだね。溜息のように吐き出された言の葉が、男の脳内を弄っている。最後だ。最期へと堕ちる世界に『祈れば』お互いの眼球がころがり合う。遭い損ねた化物どもに、如何か素敵な撲殺を――微笑む。その内と外には『アリス』への想いが連なっていた。脳裏に過ぎった獣化の所以が、絶望の耳朶で傾いていく。あの魔法だ。あの呪術じみた『花弁』が、ふわふわと力を散らしている。今度こそ。次こそは。この『黄金』はうまれなくなるかしら――膿じみた思考詰まりが、さらりとした管に変質して往けば良い。「よろしくね」……隣の芝生を青いと思えたならば、どんなに気が楽なのか。
 綺麗じゃない。汚い。穢れている。この黄金は『イラナイ』ものだ。造り物は『よごれ』て在って、有るべき自らを咲かせない。逆さに固まった誰かの貌が、塗り潰された『悪夢』で成った――浴びる事は赦されない。髪の毛一本までも『すくい』の糧なのだ。交互に動けば多少は動き易いだろうか。兎角。花に重なった花は、ただの毒物(くちはて)と見做される。
 探る。弄ぶ。戯れた馥郁の混在――罪を積み上げた黄金が、錯乱するかの如く書き換えに中る。症状は遂に悪化して、落下する世界と映えている。最早『生える』事は無い。蔓延する色彩は『土留』を思わせ、全く違う胡蝶を誘う――君と戦えてよかったよ。何もかもがすくわれた後で、紅茶に一滴の耽りを。あまくない。

 ――考える機会。機械的だったのは襤褸々々の果て。
 ――称される体。人間的だったのは毒々しい愛の態。

 また。ご一緒できたらいいわね――枯れた黄金を踏みながら『今の奇跡』を噛み締める。終いの時が這い寄って、酩酊する『世界観』が歪んでいる。描く事も曖昧な『はて』が抱き合うように【くれて】善く――セイサンたる信意にお辞儀を。嵐に隠れた二つの影が、紙一枚に阻まれて踊っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヤニ・デミトリ
ああーもうそんな沢山いるんだから、
黄金のおともだちを増やすのは遠慮してほしいっス
ブラックタールが鉱物になったら商売上がったりっスよ
生えたばかりだろうが除草待ったなしだ

植物を食うのは鉄と炎、ついでに黄金を溶かすのも炎
まあつまり全部焼き討ちっス
スクラップの尾先を銃器に変えたなら、
俺も四つ足の獣へ形を変える
精度は十全じゃなくとも走れれば良い
鈍色の眼で魔力の流れを探知しつつ
漂うそれを避けてより低くより高く駆け抜けながら、
鉄共の息を草へ芳香へ吐き散らかしていく
魔力って燃えるのかな…

折角だ、派手に燃えてほしいっス



 もう『たくさん』と少女の絶望が聞こえたのは気の所為だ。何せ『鬼』は既に殺され、崩壊する世界には黄金どもが狂騒している。ああ。ああ。そんな『沢山』いるんだから。お友達を増やす必要はない筈だ。お仲間を乱立させる必要もない筈だ。外された世界は飽に苛まれ、為すべき光輝が嘲笑し始めて――粘性が鉱物と成り果てるなど『商売上がったり』に決まっている。生えたばかりだろうが除草待ったなしだ。泣く事も啼く事もないだろう。蝋の如くに溶けたいならば、早々に化物(けもの)へと集うが好い。葉も花も黄金も、それらを喰うのは『熱』に違いない。鉄と炎が混じり合えば『答え』も『応え』も明快で、つまり全部焼き討ちっス――魚の骨が咽喉に詰まって、窒息死するのがお似合いだ。尾先(スクラップ)を銃器(つど)わせて、群がる雑草どもを睨め付ける。突き出された口の胴体は、嗚呼、おぞましくも四つ足だ。精度は不要だ。要るのは駆ける己と翔ける熱線――十全じゃなくとも走れれば好い――オマエの目玉は何色だ。鈍たる塊が定めていく。
 漂う魔力よりも速く。蔓延る固形化よりも早く。低く。更に高く。届かぬ『おもい』に浸らせて、鉄共の嘔吐が派手に、派手に。折角なのだ。

 ――燃える。燃える。何が燃えた。
 ――麺麭も葡萄酒も、血肉ではない。
 ――香(おわ)り酔えれば、息がとまる。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト