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秘境の村で満天の星空を

#UDCアース #呪詛型UDC

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●闇夜に呼ぶ
 空を流星が駆ける。幾筋もの光が瞬いては消える。
 そんな満天の星空の下、人気の全くない荒れ果てた廃村に、篝火を焚く集団があった。
「いら いら れとぅるま ふれいや」
「いら いら」
 いずれも奇怪な文様の入ったローブを纏い、謎の言語を発して天へと両腕を伸ばしている。彼らの中心には巨大な魔法陣と、山に住んでいたであろう鹿の死骸。真っ当な儀式でないことは、目に見えて分かる。
 儀式を監督する立場らしい、ひときわ色の淡いローブを纏った男が、くつくつと喉を鳴らした。
「ここなら……この場所なら、必ずや出来るはずだ、邪神のおわす領域へと至ることが」
「しかし、導師……ここは人里から離れすぎています、仮に召喚が成功したところで、世間への影響は……」
 導師、と呼ばれた淡い色のローブの男に、付き従う年若い男が心配そうな表情をした。
 ここは埼玉県でも特に山奥、人気のない山中だ。近隣にあるランドマークと言えば隣の山にあるキャンプ場と天文台のみ。それも交通の便がよろしくないせいで、とんと人気がない。
 しかし、導師の男はにやりと口角を持ち上げ、隣の男を見た。
「場所が重要なのではない、同志よ。この世界に邪神の眷属が顕現すること、それそのものが世界に邪神の力を及ぼす契機になるのだから」
 そう、満足げに言いながら、導師の男が前方を見やる。既に儀式は佳境なようで、廃村をねっとりとした重たい空気が包み込んでいた。
「いら いら れてゅりま た えらすた ぱんどら」
「えらすた ぱんどら」
 召喚の文言の最後のフレーズを、魔法陣を取り囲むローブの集団が唱えると。
 バキバキ、という音を立てて鹿の死骸が砕けて地面に飲み込まれた。
 それと同時に魔法陣の中心がねじ曲がり、底の見えない穴を開ける。
「おぉ……っ!」
 その穴から勢いよく、車輪型の兵器が飛び出してくるのを、導師の男は歓喜の眼差しで見つめていた。

●闇夜に瞬く
「ごきげんよう諸君、夏の夜に天体観測はいかがかね?」
 ロスティスラーフ・ブーニン(ドジっ子ライオン先生・f00470)は開口一番、グリモアベースにて猟兵たちにそう告げた。
 確かに、初夏の晴れ間が続く日。天体観測するには具合が良い。
 何人かの猟兵が興味関心を示す中、ロスティスラーフが取り出したのは一枚の広告チラシだ。
「この日は、関東地方で広く流星群が観測されることが分かっていてな。埼玉県比企郡のとある天文台で、観測会が開かれておる。それに参加してきてはどうかな、という話だ」
 チラシを見せながら、大学教授でもあるロスティスラーフは笑う。曰く、埼玉県内の大学にお邪魔した際、構内で配られていたのだそうだ。
 手渡されたそれを猟兵たちが覗き見て、ちらりと獅子獣人を見やる。しばしの沈黙ののち、彼はぴしゃりと額を叩いた。
「……ああ、いかんいかん。このまま説明を終えてしまっては、諸君を呼び止めた意味が無いな」
 そう話してロスティスラーフが頭を振った。やはりと言うべきか、ただ天体観測を楽しむだけの話ではないらしい。
「実は、その天文台にほど近い近隣の山中にて、邪神教団『システィーナ巡礼団』が召喚の儀式を執り行うことが分かった。ついては、それの阻止も頼みたい」
 次いで発せられたその言葉に、猟兵たちは納得の表情で頷いた。近隣で邪神教団が何やら動くのなら、イベントついでに仕事をするのは、なんらおかしな話ではない。
 日常を楽しむ人々が怪異に襲われる現象は、UDCアースでも未だ頻発している。今回も、その類というわけだ。
「召喚されるのが、『廻るパンドラ』という車輪型の、兵器が変じた眷属でな。召喚された場所から転がってやがては天文台に至り、人々を害するだろう。それは避けねばならぬ」
 話しながら、ロスティスラーフが小さく肩を竦める。確かに天体観測で意識が空に向いている中、地上から襲われたらひとたまりもない。襲ってくるのが兵器とあれば猶更だ。
 そして、この兵器は日常を楽しむ人々に襲いかかってくる。ということは。
「まあ、つまりはだ……この召喚される邪神の眷属を、諸君が引き寄せてしまえばいいのだよ。そうして倒してしまえ、という話なのだ」
 そう言って、獅子の男性はにやりと笑った。
 『システィーナ巡礼団』の連中には悪いが、この世に邪神の眷属を解き放つわけにはいかない。しっかり自分たちに引き付けて始末し、ついでに連中も捕らえて後顧の憂いを断ちたいところだ。
「『システィーナ巡礼団』の者共は、天文台のある山の隣にある山、その中の廃村で儀式を執り行っている。天文台のある山とは異なり荒れ放題で、道は整備されておらん。加えて夜だからな、道のりは険しいものとなろう」
 ロスティスラーフ曰く、天文台のある山は道路も舗装されて車が行き来できるようになっているが、隣の山はそうではないとのこと。この時期は虫も多く出るだろうし、人家の明かりどころか街灯すらも期待は出来ない。灯りを持ち込むなどの対策が必要だろう。
 そうして山中に分け入り、廃村に辿り着いたらいよいよ戦闘だ。
「廃村で儀式を行う『システィーナ巡礼団』の儀式を止めれば、廻るパンドラの召喚を最小限に抑えることが叶うだろう。召喚された輩は、諸君の力で滅してしまえばよい。巡礼団の連中がその隙に逃げるかもしれんから、撃破は迅速にな」
 廻るパンドラの召喚を最小限に抑えれば、10体ほどが召喚されたタイミングで儀式を終了させられるだろう。後は召喚されたものを倒せば仕舞いだ。
 廻るパンドラの攻撃手段は、金属製の車輪で火花を起こし、精製した火薬に着火して発生させる爆発だ。激しい爆発で広範囲を巻き込むほか、高速で敵に接近して至近距離で爆発を起こすこともできる。動きは直線的だが機動力がある敵なので、注意が必要だ。
 そこまで話したところで、ロスティスラーフは手の中のグリモアを回転させた。開いたポータルの向こうは漆黒の夜闇。
「準備はよいか? それでは、諸君の活躍に期待している。まずはきっちり、楽しんできてくれたまえ」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 先月に引き続き天体観測ネタですが、今回は皆さんが実際に天体観測を楽しむ流れです。
 目指せ埼玉県の山奥。

●目標
 ・廻るパンドラ×10体の撃破。

●場面・戦場
(第1章)
 埼玉県比企郡にある、天文台の設置されたキャンプ場です。
 具体的には下記のシナリオで舞台となった、あそこです。
 (https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=25032)
 今日は流星群が観測できることが分かっており、観測のために天文マニアが数人集まっています。

(第2章)
 埼玉県比企郡の山中です。
 邪神教団『システィーナ巡礼団』が根城にしている廃村を目指し、進んでいただきます。
 夏なので虫は多いですし、夜なので暗いです。それなりに準備をしておくことをオススメします。

(第3章)
 埼玉県比企郡のとある廃村です。
 邪神教団が召喚した廻るパンドラをけしかけて、猟兵たちから逃げようとしています。
 撃破して、教団の構成員を捕まえましょう。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『夏の夜空、星に願いを込めて』

POW   :    健康や安全を願う

SPD   :    技量向上や上達を願う

WIZ   :    学業や合格祈願などを願う

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャオ・フィルナート
【虹氷】

まだ人にちゃんと慣れていないゆえかどことなく距離を取りつつ
話しかけられたら一度はちゃんとそちらを見て
すぐに星空へと視線を戻し

……少しだけなら…聞いたことある
こぐま座がわかれば…やまねことか、キリン…近くにいるって…

あの辺…と指さしながらも
必要以上には口を開かず星を眺める

隣で何かをし始めた双葉さんをチラッと見るも放っておいたが
描かれた星空を差し出されたら双葉さんと絵を交互に見ながらキョトン
え…あ、の…?

…綺麗な、思い出……
告げられた言葉の後戸惑いがちに受け取り
………そ…う、だね
その…あ…ありが、と……

…はぁ……いいよ、灯り…俺が持つ
双葉さん……向こうの空も、欲しい…(精一杯の我儘のつもり


満月・双葉
【虹氷】
アドリブ歓迎
シャオちゃん、星座とか知ってる?
僕詳しくないんだよね
綺麗なもの見られればぶっちゃけ名前なんてどうでも良いのだけどもね
それでもヒトがつけたストーリーは面白かったりするかもしれないから
二人でぼんやり星を眺めて、ふと思い立ったように星空の絵を書き始める(【アート】)
写実的に描きあげ、満足げに眺めるとシャオちゃんにあげる
あげるよ。僕機械とかと相性悪いから昔からカメラは使わないんだ
穢いことの多い世の中だけど、こうして綺麗なものもあるなら良いのかな
綺麗な思い出を多くしておけばお得だと思わない?

所でシャオちゃんや、僕灯りとか爆発させそうなんだけどどうしようね?!

いいよ、幾らでも描く



●星は仰ぎ見るもの
「僕、星座とか詳しくないんだよね」
 満月・双葉(時に紡がれた星の欠片・f01681)はシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)と隣に並びながら、事もなげにそう告げた。
 その零された言葉に、ハッとした表情でシャオが双葉の物憂げな瞳を見る。が、すぐに視線は頭上に広がる満天の星へと向いて。
 シャオは思った。自分も詳しいとは言えない。精々、北極星周辺の星座をいくつか知っているくらいである。
 しかして、双葉の瞳がつい、と光の向きによっては金色にも見える双眸を向ける。
「シャオちゃんは、星座とか、知ってる?」
「ん……少し、なら」
 双葉の問いかけに、おずおずとした様子でシャオが言葉を返した。
 そうして、ゆっくりと。数多の星々が瞬く北の空を指差す。そこに輝く北極星のポラリスの周辺、街中では見られないような星もたくさん見えて。
「あそこ……こぐま座が分かれば、やまねこ、きりん、りゅう……近くに、いるって」
「へー。こぐま座が、北極星、なんだっけ」
 双葉の言葉に、こくりとシャオが頷く。
 こぐま座の周辺に目立つ星はりゅう座のエルタニンと、ケフェウス座のアルデラミンくらいなもの。しかして、ポラリスは空中にポツンと浮かぶように、よく目立つ。
 しかし、そんな諸々の話など気にもしない様子で双葉が足元をぶらつかせた。
「まあ、綺麗なもの見られれば、ぶっちゃけ名前なんてどうでも良いのだけどもね」
「……ん」
 そんな情緒も何もない双葉の発言を否定もせずに、シャオは夜空を見つめたままで返す。その視界に、ちらりと一条光が走って。次いで二度、三度、流星が夜空を奔っていく。
「流れ星も、キレイ」
「そうだね。あれらの流れ星にも、ヒトがストーリーをつけたりしたんだろうか」
 シャオの発した言葉に双葉も頷く。そうして二人、静かに夜空を見上げる中で、不意に双葉がクロッキー帳を取り出してペンを走らせた。
「え……あ、の……?」
「ゴメン、もうちょっと待ってて」
 突然夜空から視線を外した双葉に、シャオが目を見張るも。双葉は視線を手元に落としたままで手を動かし続ける。
 そうしてしばしの時を置き。双葉がクロッキー帳のページを一枚切り取った。そこに描かれるのは、星空を写実的に切り取った、ファンタジックな一枚の絵画だ。
 そのページをじっくり、満足げに見やると、シャオにそれをさっと差し出す。
「はい。シャオちゃんにあげるよ。僕、機械とかと相性悪いから、昔からカメラは使わないんだ」
「あ……」
 その一枚を受け取って、シャオは文字通り言葉を失った。
 なんて鮮やかで、華々しい様子が、ここに顕されたのだろう。
 目を見開くシャオに、双葉がはにかみながら言う。
「穢いことの多い世の中だけど、こうして綺麗なものもあるなら良いのかな。綺麗な思い出を多くしておけば、お得だと思わない?」
 そう話す双葉に、じわりと目元に滲むものを感じながら。
 シャオは自分の手の中にあるその一ページを愛おしげに見つめて言った。
「うん……そ……う、だね。……その、あ……ありが、と……」
 そうして、手元の一ページを丁寧に丁寧に巻きながら、シャオが目を向けるのは夏の大三角が見える東の空だ。
「ねえ、双葉さん……向こうの空も、欲しい……」
「わかった、いいよ、幾らでも描く」
 そうして再び、双葉はクロッキー帳に筆を走らせて。
 そうする中で、はたと、双葉が筆を止めて顔を上げた。
「ところでシャオちゃんや、僕灯りとか爆発させそうなんだけどどうしようね?!」
「……はぁ……いいよ、灯り……俺が持つ」
 機械オンチ通り越して機械に嫌われているレベルの、双葉の心配事にも、ふっとシャオは息を吐くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・源次
【義鈴】

目標『廻るパンドラの撃破』並びに『巡礼団員の確保』…了解した(UDC組織との通信を切り、さてどうしたものかと思っていたらサギリに袖をくいくいと引かれる)

一応、俺達は仕事で来ているのだが…いささか無粋だったか
目標が事を起こすまで時間はある…現捕出来ねば意味もあるまい…いいだろう、付き合う

(少しばかりの穏やかな時。夜空を見上げ、星々の一瞬の煌めきを観測する)
…流れ星に願い事を三回言れば叶う…などと言うジンクスがあるが…サムライエンパイアにはそういった風習はあるのか?

…そうか。俺か?俺は…星に託すほどの願い事は無いのだが…そうだな…
こういった平穏なひと時を過ごす機会が増えれば良い。そう思う。


サギリ・スズノネ
【義鈴】

お兄さん、お兄さん!(源次さんの袖をくいくいひいて)
見て下さいなのです! 空! 空にー流れ星がたくさん流れているのです!
すげーのです! きれいなのです! 流星群、素敵なのです!

やったーなのですよ!
源次お兄さんと一緒に、流星群をのんびり眺めるのです!えへへ。

はいなのです。エンパイアでもー、同じジンクスがあるのですよ。
いつもなら流れ落ちるまでに三回は難しいですけど、今日はお願いし放題なのです!
手を合わせてー、お願い事をするのですよ!

サギリのお願いはですねー、源次お兄さんや、みんなのお願いが叶うようになのです。
お兄さんはどんなお願い事したんでしょう。ちょっと聞いてみるのですよ!



●星は冀うもの
 叢雲・源次(DEAD SET・f14403)は、空を見上げる他の面々からいくらか距離を取って、スマートフォンを耳元に当てていた。
「目標『廻るパンドラの撃破』並びに『巡礼団員の確保』……了解した」
 電話の相手は事態のサポートにあたる埼玉県飯能支部のUDC職員で。こうした普段の日常を楽しむ場においても、源次は仕事を忘れることはなく。
 電話を切ってふっと息を吐く源次の左腕の袖を、サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)がつんつんと引いた。
「お兄さん、お兄さん!」
「うん?」
 源次が視線を左手に落とせば、サギリがパッと明るい表情で彼の顔を見上げている。
 そしてサギリは嬉々としてはしゃぐのだ。まるで遊園地にでも来た子供のように。
「見て下さいなのです! 空! 空にー、流れ星がたくさん流れているのです!」
「……」
 言われて源次は初めて空を見た。満天の星空、それだけで充分に人目を引くであろうそこに、幾筋もの光が走っては消えていく。
 その一時限りの天体ショーに源次が何も言えずに視線を向ける中、ぴょんぴょんと手元で跳ねるサギリが天上を指差した。
「すげーのです! きれいなのです! 流星群、素敵なのです!」
 その、この世とも思えぬ美麗なる光景に、源次の口元が僅かに持ち上がる。
「一応、俺達は仕事で来ているのだが……いささか無粋だったか」
 そう、僅かにだ。僅かにだが、彼はこのひとときを愛おしいと思った。
 そうしてサギリの手を、源次は優しく握ってやる。
「目標が事を起こすまで時間はある……現捕出来ねば意味もあるまい……いいだろう、付き合う」
「やったーなのですよ! 源次お兄さんと一緒に、流星群をのんびり眺めるのです! えへへ」
 そう言って、サギリは源次の手を引いていく。そのまま天文台のベンチに腰を下ろすと、源次は隣に座るサギリにちらと視線を向けた。
「流れ星に願い事を三回言れば叶う……などと言うジンクスがあるが……サムライエンパイアにはそういった風習はあるのか?」
 ここはUDCアース、サムライエンパイアとは異なる歴史を歩んだかもしれない土地。しかしサギリはこくりと頷いて天上を見上げる。
「はいなのです。エンパイアでもー、同じジンクスがあるのですよ。いつもなら流れ落ちるまでに三回は難しいですけど、今日はお願いし放題なのです!」
「そうか……まあ、確かに、次から次へと流れてくるものな」
 そうして天を見上げるサギリに誘われ、源次も満天の星々が輝く夜空を見上げる。
 美しい空だ。都心部や新都心周辺では見ることも叶わない、満点の星空だ。その中をさーっと、時折流星が駆けていく。
 なんとも、得難い。得難いひと時だ。
 そんな夜空を見上げながら、サギリが朗らかに言葉を溢す。
「サギリのお願いはですねー、源次お兄さんや、みんなのお願いが叶うようになのです」
「……そうか」
 そう言われて、源次はつい、と夜空を見上げた。
 この満点の星空に願うような、自分の願い。
 あるだろうか、思い付くだろうか。
 そう逡巡する中で、サギリは無邪気にも問いを投げてきて。
「お兄さんはどんなお願いごとをしたですか?」
「俺か? 俺は――」
 問われ、聞かれて。
 星空を見上げたままに、源次は言葉を探す。
 自分の中にある願い。自分の求める願い。
 而して、口元にふっと笑みを浮かべながら、彼はこう言うのだ。
「……そうだな。こういった平穏なひと時を過ごす機会が増えれば良い。そう思う」
 この一時が、この一般人の憩う一時が、続くようにと、永くあるようにと。
 その、内から発する願いを受けて。
「……うん、叶ってほしい願いなのです」
 サギリも、ふっと目を細めながら、星空にまた一条、光が奔るのを見つめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『発見、秘境の廃村に巣食う悪』

POW   :    道が無くても関係ない、気合いとフィジカルで道を切り開き山を進んでいく

SPD   :    教団の信徒たちはどうやって現地へ? 彼らの後を追跡していく

WIZ   :    古い地図や衛星写真などを事前に調査、容易に進めそうな道に当たりをつけていく

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星は瞬き、人を導く
 各々が、思うように天体ショーを楽しんだ後。人々が天文台から離れ、家路についた頃。
 猟兵たちは天文台の位置する山の隣の山、人気の全くない山の入り口にいた。
 この山の中に、廃村があり、「システィーナ巡礼団」の面々が儀式を執り行っているはずだ。
 しかし人気のない、人の手の加わっていない山中。勿論街灯なんてありやしない。
 それでも、分け入って進まねばならないのだ。
 覚悟を決めて猟兵たちは、真っ暗な闇が待ち受ける山の中へと踏み入っていった。

●特記事項
 ・問題の山の中は、人家の明かりもなく真っ暗です。相応の対応が必要です。
 ・夏なので虫も多いです。虫に刺されたからと言ってその後の戦闘に影響があるわけではないですが、対策しておくことをおすすめします。気分的な意味合いで。
シャオ・フィルナート
【虹氷】

山に入る前に調査が可能なら
先に情報を集められそうな場所に目星をつけて調査を

…俺も、機械の扱いは普通なんだけどな…
まぁ、じゃあ双葉さんは書籍の方なんとかしてよ
分担した方が、早い

あとは、そうだな……動物くらいは、いる?
鳥でもなんでもいいんだけど…
いるなら、【動物使い】と【動物と話す】技術で
周辺地形に関する聞き込みを

双葉さん…苦手なもの、あるんだ
なんか、意外……

【暗殺】技術のおかげか夜目は効くんだけどね(【暗視】)
仕方ないから、灯りで双葉さんの周辺を照らしながら
一応…声は出さないでね
(虫は興味無いので出たら氷の【属性攻撃】で冷却対処)

手…俺冷たいけどいいのかな…(氷使い)


満月・双葉
【虹氷】
ふむ、闇雲に探すと迷いそうだから、なにか調べてから行こう
周辺の地形やら何やらがあるのは図書館とかだろうか?
あるかな、あるなら調べに行ってみようよ
後はネットカフェみたいなところで衛星写真を調べてみても良いかもしれないけど操作は宜しく…後ろから口はだせるけど手は出せないよ…ネットカフェが廃村と化すからね…!

図書館やネットカフェにありついたらば、機械系でなければ率先して資料を探し、機械系はシャオちゃんに任せる

シャオちゃん、灯りとこの虫除け線香をお願いね
僕はこの虫除けハーブを身に付けておくよ
僕山は好きなんだけど虫は無理なんだ…(アホ毛プルプル)
手を繋いで森を進んでいこう

最後の手段は【野生の勘】



●星は光り、空を照らす
 山の入り口の前にて。
 シャオと双葉は懐中電灯とスマートフォンの明かりを頼りに互いの集めた情報を確認し合っていた。
「まさか、駅前まで行かないと図書館がないなんてねー。でも、おかげでこの山の情報は見つかったよ」
「俺も、スマートフォンで……なんとか、衛星写真、見つけた……ここの、これ」
 二人とも気持ち疲れた顔をしながら、手に入れた情報を見せ合っている。
 なにしろ、この天文台のある場所は埼玉県比企郡でも特に山の中。つまりは田舎だ。バスや乗り合いタクシーはあるものの、その発着場までも天文台からは遠い。
 図書館は町内に一軒だけ。ネットカフェなどバスでかなり遠くまで出ないと見つからない。
 そんなわけだから機械を使って情報を集める役目を負ったシャオは早々に移動を諦めて、天文台に設置された無料のWi-Fiを利用し、スマートフォンで情報を集めていた。
 そんなシャオが取得しておいた地図情報のページ。夜の時間帯の衛星写真を映し出せば、山の中だというのにぽつりと灯りが灯っている場所が、二ヶ所ある。
 一ヶ所は分かる、さっきまでいた天文台だ。天文台の形も分かるから。では、もう一つはなんだろう。
「ふーん、確かにぽつんと灯りが見えるね。不自然だ」
「俺たちが、今いるのは……方角的に、こっちのはず、だと思う。ここから、どう登って行けば、いい、かな……?」
 双葉が口をへの字にするのと同時に、シャオが地図の一点を指さした。灯りの南東部。確かに、道の通り方からもこの方向にいると思われるだろう。
 頷いて、双葉が鞄からがさがさとコピー用紙を取り出す。そこに印刷されているのは、ここら一帯の古い頃を説明する書籍からコピーした見開きページだ。
 山が二つ並び、右の山は先程までいた山。左の山がこれから分け入る山で、山中にぽつりと村の名前が書かれているのが分かる。そこに至るまでの道も、うっすらと。
「ちょっと古いけど、地図をコピーしてきた。これを頼りに進もう」
「あとは、動物か何か、いれば……あ」
 地図を懐中電灯で照らす双葉に頷いて、シャオがきょろきょろとあたりを見回すと。不意に近くでがさりと草の鳴る音がした。
 そちらに灯りを向ければ、それはびくりと身体を強張らせる。まるっとした身体、目の周りの黒い模様。低い鼻先。
「……たぬきだ」
「シャオちゃん、いける?」
 野生の狸だ。それに驚くシャオに双葉が声をかけると、動物と話す技能を持ったシャオがゆっくり近づいて、話をし始める。
 何やらこそこそと、小声で問うて。狸がふぐふぐ鼻を鳴らし始めて。
「ふん……ふんふん……案内してくれるって、行こう……」
 何やら案内を買って出てくれるらしい狸に一つ頷くと、シャオはゆっくり立ち上がる。
「あ、待ってシャオちゃん、その前にこれ、虫除け線香。僕はこっちの虫除けハーブを身につけておくよ」
 と、歩き出すシャオを呼び止めて、双葉が彼に火を付けた虫除け線香をケースに入れて手渡す。対して双葉はと言うと、虫除けのハーブを入れた布袋を、身体のあちらこちらにぶら下げていた。
 随分、厳重だ。線香を受け取りながら、シャオが目を見開く。
「双葉さん、もしかして……虫、苦手……?」
「うん……僕、山は好きなんだけど虫は無理なんだ……」
 首を傾げて問いかけるシャオに、双葉はすんなりとそれを認めた。その言葉から察するに、かなり苦手なようだ。
 双葉にも苦手なものがあるのか、と別の意味で目を見開くシャオであるが、すぐに双葉へと片手を差し出した。はぐれてはいけない。
「分かった……俺は、夜目が利くからいいけど、手、離さないでね……」
「うん、よろしく……」
 すぐに双葉はシャオの手を取る。氷使いだからと手までひんやりとは限らない、ぎゅっと握った手は血が通って温かくて。
「あ、あと声も出さないでね……」
 そんな思いを感じ取ったかいないのか、シャオの念押しに、無言のままこくこく頷く双葉。
 そうして狸の先導を受けながら、シャオと双葉の二人は山中に踏み入っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィゼア・パズル
天体観測…なんとも良い風だった。
昔から夜空を見上げる事は好きでな
楽しませて貰おう

【情報収集】で事前に当たりをつけた道筋
【空中浮遊・暗視】技能を常時発動させ
【範囲攻撃・全力魔法・属性攻撃】を応用
森の木々と大地の超自然な意識体…精霊へ干渉
道を開ける様に指揮を取る
大体人間が通れる程の広さであれば自然にも負担は無いだろう
……ああ、闇の中は星が美しいな



●星は霞み、空に踊る
「天体観測……なんともいい風だった」
 森の下草のすぐ上を浮かびながら、ヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)は木々の隙間から覗く夜空を見上げた。
 ここら一帯は人家の灯りもない、人工の灯りもほとんどない、夜空を見るには正しく最適な場所だ。故に、ヴィゼアの心も自然と踊る。
 文明の蔓延るこの世界でも、こんなにも星々は美しい。
 事前に町の図書館でかつて村があった場所は調べておいた。この方向に進めば、それがあった場所に辿り着ける、そう彼は踏んでいた。
 こんな暗く、人の手が入っていない森の中でも、暗視の技能を保有する彼は行動するのに支障はない。
「とは、言ったものの……さすがにここまで鬱蒼としていると、邪魔だな」
 そう零しながら、ヴィゼアは好き放題に枝を伸ばし、進路をふさぐ木の幹に触れる。
 そのまま静かに目を閉じて、木の内側、ひいてはその根が繋がる地面に、意識を集中させた。
 木、大地、そこに住まう超自然的な存在へ語り掛け、指揮を取る。
 と。
 ぎ、ぎ、という鈍い音を立てながら、木の幹が動いた。
 まるで門が開くように、折り重なった木はすっくと立ち、だいたい人一人分が通るのに支障がない程度の獣道を作り出す。
 道とは言え獣道。下草は生えるし頭上には木の枝が生い茂る。
 しかし先程よりは、ずっと星々が良く見えて。
「……ああ、闇の中は星が美しいな」
 また夜空を見上げながら、ヴィゼアは静かに碧の目を細めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・源次
【義鈴】

(かたやスーツ、かたや和装…お前ら山舐めてんのか。という恰好で山に行く。いや、舐めてなどいない…山は時として雄大で在り我々を飲み込まんとするのを知っている。故に、こちらも持ち得る性能を発揮し、山に挑むのだ)
『インターセプター、起動…広域走査モード…地形把握…クリア…最短ルート構築…アナライザー起動…暗視モード…動体反応に対し自動検知を有効化…』

(藪蚊は…人工皮膚、強化人工筋肉、強化骨格で構築された肉体なれど多少の血液は流れている。サギリの『誘蛾灯』が如き働きに甘えるとする)

…うむ…心なしか小刀を振るう姿が生き生きとしている気がするのは気のせいだろうか…(などと思いつつ最短ルートを進む)


サギリ・スズノネ
【義鈴】

普段通りの和装で山へ行きます。
山は呑んでも呑まれるなという言葉が、あるようなないような、そんな気持ちなのです。
お兄さんと一緒に、サギリ、頑張るのです!

源次お兄さん。それにしても、これだけ真っ暗だと、エンパイアを思い出すのです。
サギリ、暗いのはそれなりに慣れてるのです。
(※暗視)

でも念には念を入れて、火ノ神楽で火の鈴を呼び出して、辺りをふよふよさせます。
明るさに虫が寄ってきたらそのまま燃やすのです。
あ、でも、木々等に当たった場合は、延焼させないように気を付けておくのですよー。
……何か火の玉みたいなのです?

あとはー、草などで進み辛い部分は、小鈴鳴丸で切りながら進むのです!



●星は照らし、空に光る
 さて、この深夜の鬱蒼と木々が生え散らかす山の中。
 何故にその格好で踏み入った、と世人から言われそうな両名が、名も知られぬ山の中で歩を進めていた。
 片や、かっちりとしたスーツに身を包んだ源次。
 片や、裾のひらひらした和装を身に着けたサギリ。
 いずれにおいても、山を、こと深夜の山を舐めていると言われかねない服装である。
 ただしこれは、二人共がUDCアースの一般市民であるならば、の評である。
「インターセプター、起動……広域走査モード……地形把握……クリア……最短ルート構築……アナライザー起動……暗視モード……動体反応に対し自動検知を有効化……」
 ぶつぶつと、誰に聞こえることもないほどの小声で呟く源次は、己の機能を総動員して山の中を進む。サイボーグたる彼ならではの、機械らしさを全面に押し出した行軍である。
「源次お兄さん、大丈夫ですかー?」
「ム、問題ない……」
 誘蛾灯がごときに手元で鈴の形の火を灯し、周囲に火が燃え移らないよう注意しながら進むサギリが、振り返ってはモニタリングする源次に声をかけた。
 そう、この場において、先頭に立っているのはサギリの方だった。
 なにも源次が怖気づいたわけではない。サギリが手に持つ小刀で、道を阻む枝やら草やらを切り払いながら進んでいるのだ。
「うむ……心なしか小刀を振るう姿が生き生きとしている気がするのは、気のせいだろうか……」
 サギリが迷いなく前方に歩を進め、邪魔になる枝を払っていくその様子に、源次はうっすら目を細めた。
 如何にこの少女がこういう場に慣れているとはいえ、自分が最短経路をスキャンしてその通りに進んでいるとはいえ、こうも迷いなく進まれると、思うところはある。
 と、源次の呟きを拾ったか、サギリが後ろをちらりと見やる。しかしその手は止まらず動くままで。
「お兄さん、どうかしたのです?」
「いや、なんでもない……」
 スッパスッパと枝葉を切り刻んでいく目の前の少女に、源次は曖昧な返事を返すので精一杯だった。
 彼の思いを知ってか知らずか、サギリはどんどん前へと進んでいく。
「了解なのですー。それにしても、これだけ真っ暗だと、エンパイアを思い出すのです。サギリ、暗いのはそれなりに慣れてるのです」
 そう話しながらも、サギリの小刀を振るう手は止まらない。如何にこの山が、人の手が入らないままでいたかの証左だろう。
「サムライエンパイアの夜は、この山と同じくらいに暗いか?」
「人工的な明かりが少ない世界なので、夜はとても暗いのです。UDCアースに来て、夜でもピカピカ明るいのに、サギリはとてもびっくりしたのです」
 源次が問いかけると、サギリは朗らかに答えを返して。
 そうして二人は粛々と、深夜の山の中を真っ直ぐに進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キング・ノーライフ
完全に何かを気楽に楽しむ流れには乗り損ねたか…。
仕方ないが道々で星空を楽しむとするか。

まず【狸塚の呼び鈴】で狸塚を呼ぶ、
狸は夜行性で多少は夜目が利くからな。
我も【従者転身】で狐塚に、これで我も夜目が利くし殺虫灯代わりの狐火を展開して二人で山道を進むか。

道中は狐塚の【演技】をしながら星とか見ながら話す。
「普通に一人で行けるじゃないですか?」
狸塚君、俺は星空とかを二人で楽しみたかったんすよ。
それじゃダメっすか?

「ならわざわざ演技しなくても…」あー、もう。たまにはかたっ苦しいの抜きに話してみたかったんすよ。…こっちも続けるの相当ハズいんすからねと【誘惑】。ほら、現場まで仲良く楽しく行くっすよ。



●星は瞬き、夜空に座す
 他方、山の中の獣道を進む人影が二つ。
 天文台での天体観測を諦めて、道中で星を楽しむことにしたキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)と、その従者の一たる狸塚・泰人の二名である。
 しかし、泰人は普段のとおり、自分の主人を相手に接することが出来ないでいた。
 何故なら。
「ほら見てみて狸塚君、この山からも星がめっちゃ見えるっすよ、綺麗っすねー」
「え、ええ……」
 自分の主人たるキングはキングの姿でそこにはおらず。
 自分と同じ従者の一、ある種同僚と言える狐塚・雅紀の姿で自分の目の前にいて、嬉々として頭上の空を見上げているのだから
 従者転身。キング自身が従者の三人の姿を取り、その力を自ら扱う、新たな力。
 実際今でも、雅紀の力を使って狐火で殺虫灯とし、狐の獣人たる彼の目を以て夜の山を苦もせず進んでいる。この場において、有効に働いていることは間違いない。
 しかし、それでも。
「普通に一人で行けるじゃないですか?」
「狸塚君、俺は星空とかを二人で楽しみたかったんすよ。それじゃダメっすか?」
 呆れ半分、戸惑い半分の泰人に対し、キングは雅紀の人格を演じながら、笑顔まで見せて彼に返した。
 キング・ノーライフというこの男、役者としても大成するのではないだろうか。
 そう思わされるほどに、キングの雅紀の演技は、本人と見紛うほどに堂に入っていた。
 泰人もうっすら、目の前にいる狐耳の青年が同僚であると思わされてしまう。しかし、そうではない。そうではないのだ。
 頭を振って、泰人は前を見据える。
「ならわざわざ演技しなくても……」
「あー、もう」
 批判的な目を向ける泰人に、雅紀の姿をしたキングはぶるぶると頭を振った。
 そうして、本当に雅紀であるかのように彼は笑ってみせる。
「たまにはかたっ苦しいの抜きに話してみたかったんすよ……こっちも続けるの相当ハズいんすからね」
「確かに、最近狐塚君と腹を割って話す機会なんて無かったですけど……」
 キングのはにかんだ笑みに、泰人は複雑な笑みを返して。
 彼らはさくさくと、下草を踏みながら進んでいく。目的地の廃村は、もうすぐそばだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『廻るパンドラ』

POW   :    終末理論
【激しい爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    臨界点突破
【高速で接近し、爆発】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    革命前夜
【爆発音】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星は囁き、闇に惑う
 各々の手にした情報を元にして、猟兵たちが廃村のある場所に踏み入った時。
 廃村の中心、恐らくは広場でもあっただろうその場所で、太い光の柱が立ち上るのを猟兵たちは見た。
「えらすた ぱんどら」
「えらすた ぱんどら」
 システィーナ巡礼団の面々が、祈りの文言を唱えているのが目に見える。
 最早一刻の猶予もない。誰が合図を出すでもなく、猟兵たちの攻撃が儀式を執り行う巡礼団の輩を撃った。
「なっ!?」
「なんだっ!?」
 困惑するシスティーナ巡礼団の面々。それと同時に儀式に綻びが生じ。
「いかん、退避ーっ!」
 巡礼団の誰かが言い放つと同時に、彼らの取り囲んでいた魔法陣が爆発して。
 その内からうぞ、うぞ、と這い出るように、車輪型の邪神が姿を見せる。
 慌てふためくシスティーナ巡礼団の面々も捕らえる必要があるが、邪神の眷属を放置するわけにもいかない。
 猟兵たちは迫りくる眷属を前に、決断を迫られていた。

●特記事項
 ・システィーナ巡礼団の構成人員は、邪神の攻撃から逃れるべく猟兵の皆さんがいる方向に逃げてきます。
  システィーナ巡礼団の人員を捕らえることが出来れば、プレイングにボーナスが付きます。
シャオ・フィルナート
【虹氷】

…ほんとに、逃げられると思ったのかな…
暗殺者…嘗めないでほしいんだけど

向かってくる構成員達を視界に入れるように★死星眼を発動し
視界に入った全員に【催眠術】の【範囲攻撃】で眠りに落とす
邪神からは距離を取りながら

双葉さん…少し、足場貸して

鍛えた【暗殺】術により
体重をかけない、音を立てない移動法は身についてるから
双葉さんの協力で軽く飛ぶと同時に背に★氷の翼を具現
【空中浮遊】しながら【指定UC】を発動し
威力を上げた★氷麗ノ剣を操り強烈な水流の【属性攻撃】
爆発できるものなら、したらいい
俺の前で濡れる事の意味…教えてあげる
凍れ

翼から放つ氷の弾丸の【一斉発射】と
剣から放つ氷の属性攻撃で敵の凍結狙い


満月・双葉
【虹氷】
わぁい逃さなぁい☆
君達が巻いた種なんだ、責任取りやがれです
シャオちゃんより前になる位置に陣取り、光弓の首飾りを開放して【スナイパー】で精度を上げて矢の無差別射撃を放ち敵の足止めをする
構成員は念の為ふん縛って転がしておく

邪神に対しては敵の射程範囲に入らないように注意しつつ同じく弓で撹乱し、大根の爆発【属性攻撃】で更に動きにくくし、シャオちゃんが狙いを定めやすくする
UCによる腱等への攻撃と虹瞳で【生命力吸収攻撃】て動きを鈍らせる
わざと派手に動き、シャオちゃんの動きがより目立ちにくくなるしようにし

足場?よし来た好きに踏め
肩を足場に貸して跳躍の手助けをする

シャオちゃん動き方綺麗だなぁ…惚れた



●星は付き従うもの
「急いで連中から距離を取れ!」
「し、しかしここでは――」
 広場の中央部から蜘蛛の子を散らすように、召喚された廻るパンドラに背を向けて、「システィーナ巡礼団」の構成員が逃げ始める。
 その現場に踏み入ったシャオと双葉は、冷たい眼差しを敵へと向けながら己の武器を構えた。
 シャオは魔力で形成した水の剣。双葉は大根と、首飾りから姿を変えた光の弓矢。
「わぁい逃さなぁい☆ 君達が巻いた種なんだ、責任取りやがれです」
「ほんとに、逃げられると思ったのかな……暗殺者……嘗めないでほしいんだけど」
 逃がさない。逃がすはずがない。一片の情けもかけてやるつもりはない。
 大根を握りしめ、シャオの前に立った双葉の背中に、シャオの平坦な声がかかった。
「双葉さん……」
「なにー?」
 前を見据えたまま双葉が返すと、シャオは自らの右目を金色に輝かせた。
「向かってくる連中、縛り上げる用意……お願い」
 そう告げるや、前方、自分たちの方に向かって走ってくる三人の構成員を見つめる。
 と。
「は――」
「か――っ」
 フードを目深に被った三人の人間が、即座に昏倒して地面に崩れ落ちる。
 死んではいない。シャオの死星眼によって催眠をかけられ、眠りに落ちただけだ。
「……よし」
「ひー、一発。怖い怖い、それじゃ起きないうちにっと」
 すぐに瞳を戻すシャオをちらと見ながら、双葉は即座にロープを取り出す。雁字搦めに縛り上げてそこら辺に転がして置いておくと、改めて二人は視界に映る車輪型の兵器を見やった。
 緑色の炎を纏い、ぎゃりぎゃりと地面の土を噛みながら、廻るパンドラの二体がこちらに向かわんと方向転換をした。ただの兵器のはずなのに、その動きはまるで生きているかのようだ。
「機械みたいな邪神だけど……命、視えた」
 そう呟くと、双葉は生成した矢を弓に番え、ばら撒くように射た。その矢を追いかけるように接近して、大根で爆発を起こし、また距離を取っていく。
 離れては射て、近づいては大根で一撃。そのヒットアンドアウェイに、パンドラも距離を詰めることが出来ないでいる。困惑するようにその場で何度も爆発を起こしていた。
 そして双葉が何度目かの後退をしたところで、シャオが静かに地を蹴った。
「双葉さん……足場、貸して」
「足場? よし来た好きに踏め」
 双葉が体勢を整えて待ち構えると、シャオの足が双葉の右肩を踏んだ。その肩を足場にして、彼は高々と宙を舞う――否、それだけではない。背には氷で出来た翼。
 その翼で宙を駆けながら、シャオが水の剣を鋭く振るう。
「逃れられると、思わないでね……」
 そうして巻き起こるのは強烈な水流だ。篝火をなぎ倒し、パンドラの纏う炎も弱めていく。加えてパンドラに仕込まれた火薬も湿気てしまった。
「爆発できるものなら、したらいい。俺の前で濡れる事の意味……教えてあげる」
 そう、冷たく言い放って、シャオが再び剣を振るった。
「凍れ」
 次いで放たれるのは氷の刃。さらに氷の翼から、相手を氷結させる弾丸が無数に放たれた。
 氷の豪雨に晒されて、パンドラの身体が見る間に氷におおわれていく。そしてその全身が氷に覆われた次の瞬間、バキリ、という音と共にパンドラの身体が氷と一緒に砕け散った。
「シャオちゃん動き方綺麗だなぁ……惚れた……」
「もう、双葉さんってば……」
 緩やかな動きで地面に降りてくるシャオに、双葉が見惚れながら言うと。
 シャオはうっすらと目を細めて、彼女から視線を外すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キング・ノーライフ
「我は今、機嫌が悪い」と輩を撃った【ノーライフ】を構えたまま睨む。
狸塚と気楽に話そうとして結果上手く行かなくてややイラつき気味。

距離を取りつつ【大狸囃子】で団員とパンドラの動きを止め、雷の【属性攻撃】で機械部にもダメージが通るように撃ち抜いていく。ついでに爆発音をかき消すことで強化も封じる。誘爆はあっちも最後の手段だろうから適切に距離を取って一体ずつ破壊していこう。

団員は動きが止まった所を【救助活動】で抱きかかえ、「改宗の刻だ、我の物になれ」と耳元で囁いて【誘惑】して篭絡狙い。
このアースで信仰されるのも悪くないしな。
狸塚が不満そうなら最後に思いっきり抱きしめ
「帰りはこのまま星を見るぞ」と囁く。



●星は集うもの
 パンパン、と短い銃声が二度続く。
 足元を撃たれた「システィーナ巡礼団」の構成員が、突然の攻撃にたたらを踏んだ。
「わ、わっ、なんだっ!?」
「我は今、機嫌が悪い」
 対して、銃を構えたままのキングは吐き捨てるようにそう告げた。眉間にはしわが寄っている。イラついている様子だ。
 そんな彼へと、狸囃子で使う大太鼓と横笛を妖術で生み出した泰人が、おずおずと話しかけた。
「ご主人様……そんなに、僕と思うように話せなかったことが、ご不満ですか?」
「当然だろう、狐塚の姿まで取ったというのに、お前はちっとも腹を割ってくれぬ」
 そう、この廃村に到着する前の、道中でのこと。キングは泰人と気軽な風で話をしようとしたが、結果は不発。それが不満なのだ。
 しかし、今はそれをあれこれ言っている場合ではない。仕事が優先だ。
「ともかく、仕事だ。やれ」
「かしこまりました。参ります!」
 キングの短い指示に、意図を汲んだ泰人が手をかざす。その手が向いた方向に、大太鼓と横笛が鳴らす大音量が放たれた。
 爆音に身を打たれ、構成員の足が止まる。同時にパンドラの動きも停まった。
「ぎっ……!?」
「うわ……!」
 動きを止めた様子に、キングが口角を持ち上げた。この状況なら、爆発音を聞いて戦闘力を底上げすることも叶わない。
「よし、これでいい」
 すぐさま彼は、ノーライフの引き金を引いた。パンドラの駆動部、車軸の中央を目掛けて雷の弾丸を放っていく。
 正確に車軸を撃ち抜かれたパンドラは、途端に動きがぎくしゃくし始める。そのまま何度もキングの弾丸に穿たれて、遂にパンドラの躯体がばらばらに分解し、消えていった。
 その有り様を、爆音に晒され続けて動けないままでいた巡礼団の構成員が、呆気に取られた目で見つめている。
「え、あ……」
「邪神が……」
「そこまでだ、邪教の徒よ」
 その構成員の動けない一人の身体を、キングがひょいと抱き上げた。
 突然のことに困惑する構成員。しかし藻掻いて逃げ出そうとするその前に、キングの顔が構成員の顔に、耳元に寄った。
「改宗の刻だ――我の物になれ」
「あ――」
 囁かれる、誘惑の言葉。
 それを聞いた構成員の脳がぐらりと揺れる。
 フードの下で目を大きく見開いた構成員の表情が、やがて恐怖から、恍惚へと変わる。
「キング様……」
 下ろしてやると、構成員はフードを外してキングの足元に傅いた。若い男性だ。見目はそれほど悪くない。
 満足そうに笑うキングに、狸囃子の手を止めた泰人が声をかけた。
「珍しいですね、普通の人間も配下に置くんですか?」
「配下というよりは、信者だな。我を信奉する者がUDCアースにいるのも悪くない」
 泰人の言葉に、ふんと鼻を鳴らしながら返すキングだ。
 彼は神だ。機械の神だ。神たるもの、信奉者はいるに越したことはない。
 しかして仲間の一人が呆気なく篭絡され、それまでの信仰を手放したのを目にしたもう一人の構成員が、その場にへなへなと崩れ落ちた。
「あ、あ……」
「さあ、お前もだ。大人しく我の物になれ」
「っ、あ……」
 その若者にすぐさま近寄り、もう一度誘惑の声を聞かせてやる。その後、この若い男がどうなったかは、改めて書くまでもないだろう。
 しかして、一仕事を終えたキングが立ち上がり、泰人に鋭く声をかける。
「狸塚」
「っ、はいっ」
 身を強張らせる泰人に、キングは小さく顎をしゃくって笑いかけた。
「帰りはこのまま星を見るぞ。もう一度、付き合え」
「あ……か、かしこまりました」
 その言葉に、一瞬だけぽかんとした表情になるものの。
 泰人はすぐさま、主人の後を追いかけるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・源次
【義鈴】

目標地点に到達…邪教団と…当該UDC怪物を確認。
これより確保、及び討滅に移行…ハイキングは終わりだ。行くぞ、サギリ。

(アナライザー、インターセプターを戦闘モードに切り替え。戦闘区域内のUDC怪物と邪教徒の位置の把握を試みる)
『廻るパンドラ』…爆発による周囲への攻撃を主とするか…邪教徒は逃がさない、UDC怪物は滅ぼす…どちらも…そう難しい事ではあるまい、俺とサギリであれば

『蒼炎結界』

(右義眼より、地獄の蒼炎を顕現させ邪教徒の退路を断たんと蒼炎の壁を形成しつつ、回るパンドラの接近を許す前にこちらから焼き払い誘爆させんとする。邪教徒が足止めを喰らっている間に急接近し当身にて気絶を狙う)


サギリ・スズノネ
【義鈴】

合点なのです、お兄さん!
あの見るからにやべー奴らをー、二人でぶっとばしてやりましょうなのです!

おおっお兄さんの炎!
サギリあの蒼い炎、すげー格好良くて好きなのです!
よーし、サギリもー頑張るのですよ!

パンドラは動きが速いのが厄介ですね
でも空中に跳ね上げれば、動きを鈍らせることができるかも

火ノ神楽で炎の鈴を複数出現
そこに『破魔』の力も込めてぶつけて、パンドラの車輪を狙います
炎を延焼させて、継続ダメージを与える事も忘れずに、何度もぶつけて衝撃波で浮かび上がらせます

上手く跳ね上げられたらそこへ、
出来なかったら動きが鈍ったところを狙って、
残った炎の鈴を合体させてぶつけるのです!



●星は弾けるもの
 廻るパンドラが次々に倒され、召喚されたその数がどんどん減らされていく中。
 逃げ惑う「システィーナ巡礼団」の構成員の前に、源次とサギリが姿を現した。
「なんだ、新手か!?」
「目標地点に到達……邪教団と……当該UDC怪物を確認。これより確保、及び討滅に移行……ハイキングは終わりだ。行くぞ、サギリ」
「合点なのです、お兄さん! あの見るからにやべー奴らをー、二人でぶっとばしてやりましょうなのです!」
 困惑する構成員に冷たい視線を向けながら、ゆるりとその手を伸ばす源次と、短刀をしっかと握りしめるサギリ。
 二人の戦闘態勢に構成員が怯んだその一瞬の間に、源次の解析が素早く走る。
「『廻るパンドラ』……爆発による周囲への攻撃を主とするか。邪教徒は逃がさない、UDC怪物は滅ぼす……どちらも……そう難しい事ではあるまい、俺とサギリであれば」
 解析完了、と共に彼の右目から放たれる蒼い炎。それは彼の周囲に撒き散らされて、まるで壁を作るかのように高く燃え上がった。
 もちろん、その壁の内に囚われた構成員は、逃げられようはずもない。
「なっ、逃げ道が!?」
「おおっお兄さんの炎! サギリあの蒼い炎、すげー格好良くて好きなのです!」
 源次が発した蒼い炎に、サギリが感嘆の声を漏らした。
 普段はなかなか見ることのできない蒼炎結界、その本領がここに発揮されているのだ。見惚れないわけがない。
 しかしそんなサギリを諫めるように、源次は涼やかな視線を傍らの少女に向けた。
「浮かれるな、行くぞ」
「よーし、サギリもー頑張るのですよ!」
 短く言葉をかけられたサギリが、短刀を眼前に構える。その周囲に浮かび上がるのは、金の鈴の形をした黄金の炎だ。
「鈴を鳴らして舞いましょう……そーれ、そこですっ!」
 サギリの周囲に浮かんだそれは、パンドラが動き出すよりも早くその身体に殺到した。次々にぶつかっては、その衝撃でパンドラの車体を上へ、上へと持ち上げていく。
 廻るパンドラは車輪型の兵器だ。接地していればその機動力が発揮できるが、宙に浮かんでいては空転するばかり。無力化されたも同然だ。
「まだまだっ! どんどん行きますよ!」
「よし、いい具合だ……ここで落とす!」
 サギリが次々に鈴の炎をぶつけていき、程よく地面から離れたところで、源次の炎が鉄槌を下す。パンドラは何をさせてもらうよりも早く、二人による猛攻でボロボロになっていた。
 その一連の動作を見ていた構成員が、呆気に取られるのを咎められるものはいないだろう。
「な……」
「よーし、今なのですー!」
 そしてもう一度、パンドラが地面から持ち上げられた時に、サギリの黄金の炎が炸裂した。
 集められた鈴の炎が、一体となってパンドラを包み、焼き尽くしていく。
 後には塵の一つも残さないその炎に、「システィーナ巡礼団」の構成員はただ立ち尽くすしかない。
「あ……」
「そんな……」
「そこだ……逃がさない」
 呆気に取られる間に、静かに傍に寄っていた源次が当身をぶちかます。
 言葉を発する間もなく気絶し、地面に倒れ込む構成員に、サギリが軽い足取りで駆け寄った。
「落ちましたですか?」
「ああ、目を覚まさないうちに拘束するぞ……」
 言いながら、源次はロープを取り出す。
 そしてそのまま構成員の拘束を始める二人を、阻むものは殆どいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより



●星は煌めくもの
 パンドラは次々に倒され、構成員は逮捕され、残すところはあと一人と一体。
 最後に残った「システィーナ巡礼団」の構成員、すなわち巡礼団の幹部は、次々に捕らわれ、倒されていく仲間たちに困惑を隠せなかった。
「くそっ、こうなったら私だけでも……なっ!?」
 何とか自分だけでも、そうして逃げようとする構成員の前に、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)はしゅたっと舞い降りる。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上……」
 だるそうに、気だるげな表情をして鬱詐偽は話す、が、すぐさまに口調と表情を崩してわめき始めた。
「……って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。うう、これも番組の為なのね」
 気恥ずかしいセリフに文句だが、番組のため、企画のため。鬱詐偽はそれから逃れることは出来ないのだ。
 そんなことなど露ほども知らない構成員、歯噛みしながら鬱詐偽から距離を取った。
「くっ、実況者の類いか? だがここで衆目に晒されるならば……!」
「お前が、この事態を引き起こした首魁なのね。ならば、一つも容赦するわけにはいかないわ……あぁでもやだ、怖いわ」
 そんなことなど露ほども知らない鬱詐偽、ふるふると頭を振って視線を向ける。
 と、その瞬間に構成員を取り囲むように、なにやら浮かび上がる機械に物体。構成員は驚いたことだろう。
「なっ!?」
「怖いわ、とても怖い……怖いから、私はお友達の皆に任せるわ……」
 困惑する声が上がる中、鬱詐偽は小さく頭を振る。それと同時に構成員を取り囲む物体たちが、ぞわりと動いて。
「ちょっ、やめっ、うわっ、うわーっ!?」
「あぁ……これでこの世に蔓延る悪が、この世から一つ消えた……そうであれば、いいのだけれど」
 次々に殺到する物体たちに悲痛な声が上がる中、鬱詐偽は頬に手を寄せながらもう一度、儚げに呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月22日


挿絵イラスト