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願望に囚われし騎士~失ったモノは(作者 ウノ アキラ
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●逃げるアリスと人違い
 魔法のウサギ穴をくぐればそこは別の国。ここは複数の小さな『世界』が繋がり合う不思議な迷宮、アリスラビリンス。

 ここはそんなちいさな『世界』のひとつにある、レンガと石で作られた街……そこで『アリス』がオウガに追われていた。
 オウガは細い路地の邪魔な木箱を斬り崩しながら『アリス』を追う。
「なぜ、逃げるのですかメアリー。ようやく、見つけたというのに!」
 そう声を投げかけるオウガに対し、逃げる『アリス』はこう叫んだ。
「ですから、私の名はクラリスだと! 人違いです!!」
 路地を逃げ回る彼女だったが、身に着ける防具が重く長く走れない。……やがて彼女は建物の屋根へと追い詰められてしまった。
「もう逃げられませんよ。これまで斬り捨てた有象無象の『偽物』と違い、今度こそきっと、『本物』だ。さあメアリー、今度こそ君を離さない……」
 クラリスを追っていたオウガ、『リヒター・ライヒハルト』はそう言いクラリスへと近づく。
 彼はこれまでも、一方的な人違いで『アリス』を捕らえては偽物だと切り捨ててきた様だ。

 だが、追い詰められたクラリスは逃げ場が他にないと知ると意を決して隣の建物の窓へ飛び降りる。
「なんという無茶を!」
 オウガもすぐさま後を追ったが、その先に積まれた小麦の袋から舞い上がった粉が視界を覆った。
「これは……」
 舞う小麦を風の精霊で吹き飛ばした時には、既に追う『アリス』の姿は無かった。

●まずは逃げ隠れるアリスを探そう!
「集まってくださり、ありがとうございます! アリスラビリンスでオウガに追われている『アリス』の方を発見しました!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにぺこりとお辞儀をすると説明を開始する。

「場所は、石畳と石造りの街です。この街には藁で出来たカカシの『愉快な仲間達』たちが住んでいて、そんな街に、オウガがやってきました」
 ユーノは持ってきたノートへ、手にしたペンでざっくりと絵を描いていく。
 そこに描かれたのは精霊の魔法を纏う剣を持つ黒髪の剣士。
「最後に戦う事になるオウガ――オブリビオンは『『異界の剣聖』リヒター・ライヒハルト』さん。彼には生前とても大切な人が居た様です」
 その大切な人の名が、メアリーと言うらしい。
「ですが、守れなかった絶望が彼を追い詰め、後にオブリビオンとなったことで目に映る世界を憎むようになり、行く先々で破壊をしては見つけた『アリス』に想い人を重ねて捕らえ『人違いだった』と嘆き殺す様になりました」

 それは、喪失を埋めるような願望交じりの妄想と勝手な失望。
 その狂気はオブリビオンとなることで歪められて得たものか。あるいは生前の絶望により歪んでしまったものなのか――。

「彼は実戦で磨かれた堅実な剣術を身に着けており、精霊の召喚による属性の付与と組み合わせることで飛び道具の迎撃も行えます。手堅い戦い方に注意が必要な相手です。ですが……」
 しかしこのオブリビオンには『確かな隙』がある。それは……。
「ですが、生前に想い人を守れなかった未練がこのオブリビオンに願望からくる妄想を見せている事です……その願望を利用するにせよ、矛盾を突きつけるにせよ、そこには隙が産まれるでしょう」

 続けて描かれたのは、追われている『アリス』。
 その姿は茶色の長い髪を結わえて丸くまとめており、チェーンメイルやガントレット、グリーヴなどの防具をきっちり身に着けているがあまり旅慣れていない風貌をしている。
「彼女はクラリスさんと言います。装備は揃っていますが実力はあまり伴っておらず、身体能力も剣の腕も基礎が身に付き始めた程度の様です……そのため次にまたオウガに見つかってしまえば確実に捕まってしまいます」
 先ずは、息を潜めて隠れる彼女を保護することが最優先になるだろう。
「今は石畳の街のどこか……水場の近くでしょうか? 隠れられる場所に潜んで、休んでいる様です。『愉快な仲間達』もそれぞれ避難しているため、街中は閑散としているでしょう」

●失ったモノ、失われていくモノ
「街も今はそれほど破壊されていませんが、『アリス』の方が捕まれば遠慮なく破壊されてしまうでしょう……。大切なモノを奪わた方が、破壊で奪う側になるのは、悲しいことだと思います……」
 ノートをたたむとユーノは集まっている猟兵たちへと改めて向き直った。
「この喪失の連鎖を止めるためにも、どうかみなさんの力を貸してください」

 ユーノは祈りを捧げながら魔法を展開させた。この上に乗れば、目的の世界へ転移できるだろう。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので、同行はできません……。どうか、みなさまに武運と幸運がありますように……」





第2章 集団戦 『たのしいおとぎばなし』

POW ●残飯
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【人体模型】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD ●たすたすけたすけたすけにきたよ
【王子様と白馬の成れの果て】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ ●おいしかったもの
【プリンセス】の霊を召喚する。これは【恐怖を呼び覚ますけたたましい悲鳴】や【【溶ける体を見せつける事】で攻撃する能力を持つ。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●二章についてのお知らせ
 一章へのご参加、ありがとうございます。
 以降はこのシナリオは平日であっても書けそうなタイミングで書かせていただきます。
(ですが採用しやすいのは木曜~金曜にいただいた分になりそうです。)
 途中参加も問題ありません。特に言及がなければ初めから居た扱いになります。
 よろしくお願いいたします。

●執着心が呼び寄せた、意思なき怪物
 メアリー……怪我をしてはいないだろうか。お腹を空かせてはいないだろうか。
 かつて、剣を習いたいと言ってきた君。
 時おり勇ましく芯の強い一面を見せては、理不尽へ立ち向かい周囲を振り回す事があった君。
 ぼやけた記憶が私を焦らせる。
 時間が、焦れる思いを募らせる。
 けれど、軽率には動けない。
 あの時と同じ失敗は、繰り返す訳にはいかない。

 嗚呼、ぼやけた記憶が私を焦らせる。

 潜むオウガはじっと潜んでいた。
 しかし同時に、怨念にも似た歪んだ執着を放ってもいた。
 この執着が新たな別のオウガを『呼び乗せる』……。

 ――ぬるり。
「プりんセす、まも、ル」
 青いスライムの様な怪物が何処からともなく街中に這い出てきた。
 それは地下水路も例外ではない――湧き出たオウガへ対処をしなければ。

 可能ならこのまま、街に隠れている『リヒター・ライヒハルト』と戦う準備を並行して進めるのも良いだろう……。