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短冊に願いをのせて

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●願い
 とある大きな公園には、七夕の季節になれば笹が飾られる。
 大きな机がいくつも設置され短冊の紙も無料で配布されている。折り紙もあるので飾りを折って切り飾ることもできる。
 笹は公園のいたるところに置かれ、色鮮やかな提灯が、夜でも照らす。
 さぁ、君は何を願う?

『これからも元気にすごせますように』
『新しいおもちゃが欲しい!』
『お金をいっぱい稼げますよーに!』

 たくさんの願いごとが、短冊に飾られている。

『あのひとに、もういちどあえますように』
『あの子に会いたい』

 願い事の中には誰かに会いたい、という願いが何個か存在する。
 それは、公園の近くの神社が失せ人への縁を結ぶご利益があるから、らしい。その神社も今は廃れ、人は立ち入らなくなってしまった。
 だがその神社の近くの公園に失せ人への縁を願うと、会えるというジンクスがあるのだ。
 家族、恋人、友人、愛するペット…すでに居なくなってしまったものに、お願いごとをすれば会えるのだとか。
 
 しかし、会いたいものに会えたら人はどうなってしまうのか。連れて帰りたくなるのだ。しかし、連れてはいけない。…ならば、ここににずっと居ることを選択することになる。
 物も食べず、何もせず、ただただ会いたいひとと一緒に居れば…どうなるのかは目に見えている。
 
 今年もまた、そんな切望するほどに会いたいものに会える季節が、やってくるのだ。


●グリモアベース
「…短冊を書いたことがあるか?」
 集まった猟兵たちに持っている笹を振り樋島・奏弥(ノイズ・f23269)は首を傾げた。
「短冊に書いたことは叶うらしい。…今回行ってもらうのはサクラミラージュのとある町の公園の七夕イベントだ」
 イベント、と言っても短冊に願いを書いたり飾りを作ったりするこじんまりとしたものだ。そのイベントに影朧が現れる、という予知を奏弥は見た。
「…ひとつは近くの廃れた神社に居た『くろがらすさま』。」
 くろがらすさまは、丸くてふくふくした烏型の影朧だ。近くの神社で神の使いとして祀られていたのだが今は神社も打ち捨てられ、崇めるものが居なくなり…、神性を失った烏の成れの果てだ。
「もう一つは、『寄り添う存在』…こちらが厄介だ。短冊に居なくなった誰かに会いたい、そう願えば現れる。それもその誰かの姿で」
 それは恋人、家族、愛する猫や、犬の姿かもしれない。会いたい誰かの姿で現れるのだ。
「攻撃力はさほど無いだろう。だが…一般の人たちがこの影朧に遭遇し、犠牲になる。それは避けなければならない」
 『誰か』は攻撃をしない。にこにこと微笑み、願った人の傍で寄り添うだろう。…しかしそれは所詮偽物だ。
「…あなたたちに寄り添い、言ってほしい言葉を言うだろう。それに惑わされてはいけない」
 失った誰かに会えて、傍に居てくれる。なんて甘美なことなのだろう。ずっとここに居たい、そう思うのかもしれない。…それはしてはいけない選択肢だ。
「居なくなった誰かには、もう会えないんだ。過去の先に今がある。…思い出の存在を、乗り越えてほしい」

 転送ゲートを開き、奏弥は猟兵たちを見送った。


笹山ぱんだ
●笹山ぱんだです、こんにちは。
今回は七夕のシナリオです。
もう居ない誰かに会いたい。そう思ったことはありませんか?
お願い事をして、会えたらいいですね。

第1章:『笹にお願い事を』
とある公園の七夕イベントです。必要なものはそろってるので自由にお過ごしください。
また、人払いを行っているので、この日は一般人は居ません。

第2章:『くろがらすさま』
集団戦 近くの神社からやってきたくろがらすさまです。
もふもふ攻撃します。

第3章:『寄り添う存在』
プレイングの中で指定した『居なくなった誰か』の姿で登場します。
攻撃はほぼしませんが、貴方に寄り添い、ここに居てもらおうとします。


プレイングは7/2~の募集になります。宜しくお願いします。
それでは、良き戦いを。
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第1章 日常 『笹にお願い事を』

POW   :    一番上に短冊を飾る

SPD   :    お願い事をたくさん書く

WIZ   :    短冊飾りを作る

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●短冊にお願い事を。
 ささのは、ゆらゆらゆれて。
 時刻は夕刻、公園についた猟兵たちを迎えたのは沢山の笹と、数個の机に置かれた短冊と折り紙だ。
 笹の葉にはもうすでに公園の近くの住人が書いたと思われる願いごとがたくさん書いてあった。
 可愛らしい願い事や、到底無理であろう願い事まで。
 そんなたくさんの願い事のなかでも、一定数あったのが居なくなった誰かに会いたい、というもの。
 神社のご利益であろうと居なくなったモノには会えないのだ。…だがそれを実現してしまうのが影朧という存在。
 短冊に願いを書く誰かが犠牲にならないためにも、なんとかしなければいけない。

 だが、ひとまずは七夕を楽しもう。
 願い事を書こうか、それとも折り紙を折って飾りを作る?

 空に浮かぶであろう天の川はきっと、皆を見守っている。
賀茂野・たまき
※アドリブや、他の方との絡みOK


『もう会えない方に会える』と言うご利益…
夢ならば良かったのですが、現実に起こるとなると、大変ですね。

ですが、まだ影朧の時間では無いようです。

それなら私も、七夕を思い切り楽しみましょうか。

えぇと…
皆さん、短冊に願い事を書く方が多いようです。

なら、私は、短冊飾りを沢山作りましょう。

吹き流し、提灯にお星様。
彦星様と織姫様も、忘れてはいけませんね。
(折り紙で、器用に丁寧に、大量制作)

ふふ…!
皆さんの短冊の色の鮮やかさだけではなく、キラキラと金の折り紙で折った、お星様も輝いて、吹き流しや提灯も、風に揺れています。

隣合った、彦星様と織姫様も、可愛らしく出来ました。

満足です。


御心・雀
:水の少女、飾りを作る

『たんざく』…?
って、なにかしら。このかみがそうなのね?
このえだ…はっぱ? に、おねがいごとを書いたかみや、かざりをつけるということね。

じゃあ、じゃくもがんばってきれいなかざりをつくるよ。ふふ。くらげさんをぷらーんってするのはどうかしら。

…いろいろなおねがいごとがあるのねえ。じゃくは文字がじょうずじゃないから、だれかにおねがいして書いてもらおうかしら。
えっとね、かあさまがしあわせでいてくれますように。うみのとうさまとにいさまも元気でいますように、って書けるかしら?
そう。そしたら、この『たんざく』を、つくったかざりと一緒につければいいのね?
おねがいごと、とどくといいなあ。



●短冊に願いを
 サクラミラージュ、とある公園についた賀茂野・たまき(剣豪・f16537)はテーブルの上に並ぶ短冊や折り紙たちを眺める。
「『もう会えない方に会える』と言うご利益…夢ならば良かったのですが、現実に起こるとなると、大変ですね。ですが、まだ影朧の時間では無いようです。」
「それなら私も、七夕を思い切り楽しみましょうか」

「『たんざく』…?って、なにかしら。このかみがそうなのね?」
 御心・雀(セイレーンの聖者・f27642)はテーブルの上に置かれた長方形に切り取られた色とりどりの紙を見つめて首を傾げる。
「このえだ…はっぱ? に、おねがいごとを書いたかみや、かざりをつけるということね」
 傍にあった笹の枝にはたくさんの願い事やかざりが飾られている。納得したように頷いた。
「なら、私は、短冊飾りを沢山作りましょう」
 たくさんの願い事を見てたまきはそれならば、飾りを作ろうと呟いた。その言葉を聞いた雀は興味を抱き、近づいてみる。
「かざりを、つくるの?」
「えぇ、貴方もつくってみますか?」
 折り紙をたまきが雀に差し出せば、雀は深海色の瞳を輝かせて。
「じゃあ、じゃくもがんばってきれいなかざりをつくるよ。ふふ。くらげさんをぷらーんってするのはどうかしら」
「クラゲも可愛いですね。なら、作りましょう」
 二人は折り紙を使い、かわいらしいクラゲの笹飾りを作り上げた。ひらひらたくさんの細長い足がついている。
 たまきは他にも吹き流し、提灯にお星様、彦星様と織姫様も、忘れずに丁寧に作り上げた。
 たくさんの飾りを二人は飾る。その途中、ちらりと見えた願い事に不思議そうに首を傾げた。
「…いろいろなおねがいごとがあるのねえ。じゃくは文字がじょうずじゃないから、だれかにおねがいして書いてもらおうかしら」
「じゃあ私が書きましょうか」
 これも縁だろう、とたまきは雀に問いかける。それを聞いた雀はうん、と頷いて。
「おねがい。えっとね、かあさまがしあわせでいてくれますように。うみのとうさまとにいさまも元気でいますように、って書けるかしら?」
 すらすらっとたまきはそのお願いごとを短冊に書きあげる。飾りと同じく、丁寧に仕上げられた文字に雀は嬉し気に頷いた。
「そう。そしたら、この『たんざく』を、つくったかざりと一緒につければいいのね?」
「えぇ」
 雀に渡されたおねがいごとの短冊は笹に飾られ風に揺れる。
 他の色とりどりの短冊や、キラキラと金の折り紙で折った、お星様も輝いて、吹き流しや提灯も、クラゲもそよそよ風に揺れている。
 隣り合った彦星様と織姫様も、可愛らしく出来たことに、たまきは満足していた。
「おねがいごと、とどくといいなあ」
「…そうですね」
 純粋な雀のお願いごとに、たまきも頷く。きっと、届く。だって今日は良い天気。彦星と織姫もきっと機嫌よく願いをかなえてくれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花澤・まゆ
お願い事かぁ……
笹を見上げて、ちょっと考え込んじゃう
色んなお願いごとがあるけど
あたしの一番の願いは、顔も覚えてない両親に会ってみたいということ
でも、これじゃあ影朧を呼んじゃうよね

折り紙で鶴とかお星さまとか折って飾って
少し考えて

よし、とペンを手にとって書く願い事は
「沢山の人を助けられますように」
過去は見ない
未来を見て、これから頑張らなくっちゃ!

笹の一番高いところを目指して飾ります
どうか、叶いますように

アドリブ、絡み、歓迎です


ノネ・ェメ
連携、アドリブ歓迎


 居なくなった誰か、かぁ。
 少し前に、亡くなった大切な人へ姿を変えるオブリビオンがわたしに見せたのは、わたしそっくりの子だった。あの時は思い浮かべた相手がいなくて、わたしになったのかもしれないけど──

 お願い、お願い。うーん。ここ一年位で見知った人達と、より仲良くなっていけますように、とか? こゆのって、どんなにわいわいやってても、どこか不安がなくなりきらない感じしない? 何度願っても、念に念をおしたくなるような。まぁ念をおしたくなるくらいの人が増えたともいえるし、そこは猟兵になってよかったところ、かな。

 ぁわたしの彦星様も、この目開いたら現れててくれていんですよ~、なんて。



●お願い事を。
「お願い事かぁ……」
 青い瞳でたくさんの願い事が揺れている笹を見上げ花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)はつい、考え込んでしまう。
(あたしの一番の願いは、顔も覚えてない両親に会ってみたいということ)
「でも、これじゃあ影朧を呼んじゃうよね」
 もう居ない、両親に会いたい。そんなことを願えばきっと影朧は両親の姿となり、まゆを惑わすだろう。それが分かっていた。
 テーブルに置かれた折り紙を折り、鶴やお星さまを作るとそれを笹に飾るとさらに、笹がにぎやかになり喜びを表すかのようにさらさら揺れた。

「居なくなった誰か、かぁ」
 同じく短冊に触れ考え込むのはノネ・ェメ(ο・f15208)だ。
(少し前に、亡くなった大切な人へ姿を変えるオブリビオンがわたしに見せたのは、わたしそっくりの子だった。あの時は思い浮かべた相手がいなくて、わたしになったのかもしれないけど──)
 今、誰かに会いたいと願えば影朧は誰に姿を変えるのだろうか。それとも、何も変わらない? 会ってみないと、わからない…。
 目の前で折り鶴や星を折り、笹に飾るまゆの姿を見て、ノネは少しだけそれの折り方を教えてもらう。
 可愛いピンクのお星さまが出来ればノネはそれを目の高さ辺りに飾った。
「あなたは、お願い事決まったんですか?」
 参考までに、ノネはまゆに話を聞いてみた。まゆは折り紙を折っている間、それをずっと考えていた。だから決まったのだ。
「はい、沢山の人を助けられますようにって。過去は見ない。未来を見て、これから頑張らなくっちゃ!」
 ペンを握りしめ笑顔でそう言うまゆの姿に微笑ましげにノネは微笑む。
「そう。…お願い、お願い…うーん。ここ一年位で見知った人達と、より仲良くなっていけますように、とか?」
 悩みながらもノネはその願い事を絞り出した。
(こゆのって、どんなにわいわいやってても、どこか不安がなくなりきらない感じしない?)
 ノネはどこかそう感じている。楽しいことも、刹那に消えてしまうかもしれない。そんな不安。
(何度願っても、念に念をおしたくなるような。まぁ念をおしたくなるくらいの人が増えたともいえるし、そこは猟兵になってよかったところ、かな。)
 猟兵になり、大事な人が増えた。一緒に居て楽しく時を過ごすことが出来る。それはとても尊いことだ。
「いいですね!じゃあ笹の一番高いところを目指して飾りましょう、一緒に!」
 二人は短冊に願い事を書いて、笹に願いを飾る。背伸びをして、高いところへ飾ればゆらゆらと、短冊が楽しげに揺れた。
「どうか、叶いますように」
「ぁ、わたしの彦星様も、この目開いたら現れててくれていんですよ~、なんて」
 そっと瞳を閉じて、お願い事を、空高く、天の川の傍に居る織姫と彦星に届けるのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加

七夕か。彦星と織姫が年に一度だけ会えるという。まあ、アタシにとっての彦星・・・夫はもう会えないが。願い事ね。折角の七夕の催しだ。1つ願ってみようかね。

アタシの願い事はただ一つ、「奏と瞬がこれからも健やかで元気でいますように」母親に取って、大事に育てた子供達は何よりの宝だ。随分逞しくなったらまだ年若い。無茶もする事もあるだろう。子供達が元気でいるのがなによりの願いだ。短冊に願いを書いて、吊るすよ。奏と瞬は、どんな願い事をしたんだい?


真宮・奏
【真宮家】で参加

七夕、恋人である彦星と織姫が年に一度会うというお話ですね。私は・・・(瞬をちらりと見て)いつも一緒にいたいですけど。折角の催し、願い事してみますっ。

私は、「いつまでも家族3人で美味しいご飯を食べたい」です。いや、訪れる所で家族3人で食べる食事は格別ですし、いつまでも母さんの作ったご飯を家族で囲んでいたいですしっ!!まあ、これからの努力次第ですが、神頼みしたって、いいですよね?(首傾げ)


神城・瞬
【真宮家】で参加

恋人である彦星と織姫が年に一度逢瀬を重ねる七夕・・・恋人達が願いを叶える七夕の催しに参加させて貰いますか。(奏の視線に気付いて)僕も奏はいつも傍にいて欲しいですね。

出来れば願い事は母さんと奏に内緒にしたいので、こそこそと物陰に隠れて短冊に願い事を。「母さんと奏を護れるような強い男になれますように」いつも前衛で身体を張っているのは母さんと奏ですが、僕も2人の背をしっかりと護れるように。こそこそと短冊を笹に飾ります。



●お願い事を。
 風が吹きさらさらと短冊と飾りを吊った笹の枝が揺れる。
 サクラミラージュの七夕に訪れた三人はそれぞれの想いを胸に、笹を見上げた。
(七夕か。彦星と織姫が年に一度だけ会えるという。まあ、アタシにとっての彦星・・・夫はもう会えないが)
 幼い娘と自分を置いて夜空の星になってしまったひとの姿を思い出し、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は小さく苦笑した。
「七夕、恋人である彦星と織姫が年に一度会うというお話ですね。私は…」
 七夕の物語を思い出しながら、ちらりと傍らを見やるのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)だ。
「いつも一緒にいたいですけど」
 離れ離れになり、一年に一度しか会えないなんて考えられない。ずっと家族として共に居たのだから。
「僕も奏はいつも傍にいて欲しいですね」
 神城・瞬(清光の月・f06558)はそんな奏の瞳に気付けば微笑みを返す。
 そんな二人の姿を微笑まし気に見つめる響もやるべきことを思い出して、話しかけた。
「折角の七夕の催しだ。1つ願ってみようかね」
 テーブルに置かれた短冊を手に取ると、それぞれ願い事を思い浮かべる。

 母である響の願い事は一つ。『奏と瞬がこれからも健やかで元気でいますように』 しっかりした文字でそう書き上げる。
 母親に取って、大事に育てた子供達は何よりの宝だ。たとえ血がつながっていなくても、大事な、愛するべき家族である。
 随分逞しくなったがまだ年若い。無茶もする事もあるだろう。子供達が元気でいるのがなによりの願いなのだ。
 大事な願いは上の方に飾る。そうすればきっと、天の川の傍に居る織姫と彦星にも見やすいだろう。
「奏と瞬は、どんな願い事をしたんだい?」
 一生懸命願い事を書いてある二人を見れば、響は何が書いてあるかが気になり奏の短冊を見やる。
 そこに書かれていた願いは、『いつまでも家族3人で美味しいご飯を食べたい』。色んな訪れる所で家族3人で食べる食事は格別だ。そしてもちろん母の作る料理を3人で食べるのもまた、至福の時である。
「…奏…」
 そんな可愛らしいお願い事を見れば響の心にじーんと響いた。そんなことを願われたのなら、いつまでも元気で居ようと思う。
「まあ、これからの努力次第ですが、神頼みしたって、いいですよね?」
 奏は首を傾げて二人に聞く。もちろんそれを否定する人間はここには居ない。瞬も心にじんわりと温かい思いが広がるのを感じた。

 そんな瞬はもうすでに願い事を書いて、飾った後だった。
 二人に見られないよう、こそこそと物陰に隠れて書いていたのだ。そんな瞬の願いは『母さんと奏を護れるような強い男になれますように』
 いつも前衛で身体を張っているのは響と奏だが、瞬だって2人の背をしっかりと護れるように強くなりたいのだ。
「え、もう飾ってしまったんですか?」
「えぇ、…上の方へ」
 二人より背の高い瞬が、高い笹の枝へ短冊を飾ればもうその願い事は見えやしない。内緒の願い事は、誰にも見られない。
 大事な願いだからこそ、瞬は心の内に秘めて努力をしていこうと思ったのだ。

 そんな仲良し家族を、夕刻の空は見下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『くろがらすさま』

POW   :    雑霊召喚・陰
レベル×5体の、小型の戦闘用【雑霊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    おねむりなさい
【ふわふわの羽毛】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    みちしるべ
【勾玉】から【光】を放ち、【視界を奪うこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●くろがらすさま
 夕方の空に無数の黒くて丸い姿が飛んでいるのを猟兵たちは発見した。その黒く丸い姿の何かは公園に向かって振ってきた。
 かーかー、と鳴いたその声はとても可愛らしかった。しかし猟兵たちはその存在が影朧だということに気付く。
 くろがらすさまはこの近くの神社に昔祀られていた神様の使いである。しかしその神社が廃れてしまった為、信仰が無くなり神の使いとしての役割を無くしてしまったのだ。
 そんな哀れなくろがらすさまは、七夕の騒ぎを聞いて現れたのだ。
 ふわふわとしたフォルムの身体を揺らし、くろがらすさまは、猟兵へと立ち向かう。
 彼らの戦う理由はもうわからない。信仰が無くなれば神はただのモノになってしまうからだ。ただ、目の前の猟兵を倒す。その意志だけが瞳に宿っていた。
真宮・響
【真宮家】で参加

昔は八咫烏ってのも存在してたらしいが。信仰されなくなったのは可哀想だと思うが、人を襲っていい理由にはならないね。・・・奏、外見は可愛いが、影朧だ。手加減は不要だよ。いいね?

敵は手数が多いか。炎の戦乙女に前方の抑えを頼み、アタシは【目立たない】【忍び足】で敵の群れに背後を取り、【オーラ防御】【残像】【見切り】で敵の攻撃を凌ぎ、【二回攻撃】【串刺し】【範囲攻撃】を併せた【破魔】【浄化】の一撃を。さあ、輪廻の輪に還りな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

大変可愛らしい黒い鳥さんですが、残念ながら人に害意を持ってるのですね・・・信仰されなくなった寂しさは分かるんですが、ここはこの世界を生きる人の場所ゆえ。

トリニティエンハンスで防御力を高め、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で敵の攻撃を防ぎながら【属性攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】【シールドバッシュ】【衝撃波】で敵を吹き飛ばして行きます。攻撃に【破魔】と【浄化】も乗せますね。可愛らしい鳥さんを倒すのは心苦しいですが、もうここには居てはいけない存在ゆえ、お許しください!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

七夕の催しがあるので、多分近くに神社があって、その神社で祀られていた鴉でしょうね。僕にも鴉の朔がいるので、忘れられる寂しさは分かりますが、人を襲うならば。


まず【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】で牽制し、【破魔】【浄化】を乗せた疾風閃を【範囲攻撃】化して【二回攻撃】。敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。朔の同胞を倒すのは心苦しいですが、送るべきところに送りましょう。(肩で鴉の朔が悲しそうにカァと鳴く)



●七夕の空に飛ぶ黒き鳥
 かーかー、と烏が鳴く声が響く。その声に七夕を楽しんでいた3人は顔を上げた。事前に聞いていた通りの、まんまるとした黒い烏の姿だ。
「…昔は八咫烏ってのも存在してたらしいが」
 神話に記されている八咫烏。神の使いであるくろがらすさまもその一種だろうか。真宮・響(赫灼の炎・f00434)はその姿を見ながらつぶやく。
「大変可愛らしい黒い鳥さんですが、残念ながら人に害意を持ってるのですね…」
 そうでなければこの可愛らしいフォルムの鳥を精一杯愛でたかった。真宮・奏(絢爛の星・f03210)は気を取り直して烏を見やる。
「七夕の催しがあるので、多分近くに神社があって、その神社で祀られていた鴉でしょうね」
 近くにあった神社は既に廃れてしまった。その為にこのくろがらすさまは信仰を失い、神力を失ったのだ。
「僕にも鴉の朔がいるので、忘れられる寂しさは分かりますが、人を襲うならば」
 神城・瞬(清光の月・f06558)は己の世話好きな使い魔のことを見る。忘れられたら寂しいのだろう。だがそれは人を襲う理由になってはいけない。
「…奏、外見は可愛いが、影朧だ。手加減は不要だよ。いいね?」
「はい、わかっています、母さん。…信仰されなくなった寂しさは分かるんですが、ここはこの世界を生きる人の場所ゆえ」
 響の言葉に大きくうなずく奏。奏もくろがらすさまの寂しさには同情する。しかし、人を襲う影朧には退いてもらわなければいけない。
 それぞれの武器を構え、3人はくろがらすさまに戦闘を挑んだ。

 たくさんのくろがらすさまは一番前に居た奏へと攻撃を繰り返す。雑霊を無数に召喚し、幾度も、幾度も、奏の盾へとぶつかった。
 奏はオーラ防御や拠点防衛のスキルを駆使し、その攻撃に耐える。【トリニティ・エンハンス】で底上げした防御はたくさんの攻撃にも耐えうるものだ。
 攻撃を受けながらも衝撃波をくろがらすさまに与え、浄化と破魔を行っていく。
「可愛らしい鳥さんを倒すのは心苦しいですが、もうここには居てはいけない存在ゆえ、お許しください!!」
 無数の雑霊とくろがらすさまを横から誘導弾で牽制攻撃するのは瞬だ。誘導弾にマヒの攻撃を乗せれば痺れたくろがらすさまの動きが鈍くなる。
 横からの攻撃に驚いた彼らが瞬へと攻撃を繰り出そうとすればユーベルコード【疾風閃】で広範囲に衝撃波を繰り出し、蹴散らす。
「朔の同胞を倒すのは心苦しいですが…送るべきところに送りましょう」
 このままここで人を襲っていても、くろがらすさまには良い事など何もない。
 攻撃を耐えている奏の前に【炎の戦乙女】を送り、攻撃を耐えてもらいながら響はと目立たないよう忍び足でくろがらすさまたちの後ろから素早く破魔と浄化を合わせた一撃をその赤く光る光剣に乗せて繰り出す。
「さあ、輪廻の輪に還りな!!」
 それは数々のくろがらすさまを串刺しにし、浄化していく。
 3人の攻撃で数多のくろがらすさまは消え、散っていく。ここには桜の精は居ない。転生は出来ず、消えていくのみだ。
 瞬の肩の上で、朔が悲しげに小さく鳴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノネ・ェメ
連携、アドリブ歓迎


 黒硝子? 首もとの勾玉のことかな? でも緑っぽいような。かーかー鳴いて、カラスみたい。でもカラスより丸々としてて、かわい。

 ……からす? 黒……がらす……

 ぁ。そういう。。

 かわいいものを見るなり引き寄せられるように、キャッキャと軽率に抱き寄せに行ってしまうムーブ。
 たとえ勾玉の光に視覚を奪われたとしても、ふゃっ?と驚くだけ。聴覚だけで把握できてしまうので、全部視えてます。

 それに、順風満帆でも悪戦苦闘でもUCの加護は段々強まってくので、良くも悪くも何かしらアクションさえ起こし続けてれば、周囲の猟兵さんの守りもかためられるかと。例えば、もふったりとか。後は、もふったりとか。


花澤・まゆ
くろがらす、さま…
神様の使いで…影朧で…
でもふくふく…ふくふく…

決めた、一瞬でもいい、モフる!

【小夜啼鳥】を抜刀、UC発動
スピードを上げてくろがらすさまに接敵
くろがらすさまが動揺している隙にえいや!

もふっ

一度もふったら離脱!
ああ、このふわもこ、ふくふく、さすが神様の使い!

ありがとう、くろがらすさま
あとは、どうか役割を終えて骸の海へ
もう、神様の使いでいる必要はないんだよ

一撃で、痛くなく、決めてあげる

UCを使用したまま、衝撃波で薙ぎ払う
どうか、次は本当の神様のお使いとして現れてね

アドリブ、絡み、歓迎です



●まーるいくろがらすさま
 かーかー、夕方の空にくろがらすさまの声が響く。
 ノネ・ェメ(ο・f15208)はくろがらすさまを観察しながらつぶやいた。
「黒硝子? 首もとの勾玉のことかな? でも緑っぽいような。かーかー鳴いて、カラスみたい。でもカラスより丸々としてて、かわい」
 最初は、その名前が鴉に由来するとはわからなかった。だってその丸っこいフォルムは鴉には見えない。だがその鳴き声は鴉そのものだ。
「……からす? 黒……がらす……ぁ。そういう…」
 完全にりかいした。
「くろがらす、さま…神様の使いで…影朧で…でもふくふく…ふくふく…」
 花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)もまた、くろがらすさまのまるまるとしてふわふわとしたボディに魅了されていた。
 きっと触れたらもふもふしていて、抱きしめればまゆを柔らかく受け止めてくれるのだろう…。
「決めた、一瞬でもいい、モフる!」
 もふりたい二人の共同戦線が始まった。

 まゆは小夜啼鳥を抜刀する。軽く振れば微かに高い小鳥の鳴き声のような音が響いた。ユーベルコード【剣術・桜】を発動し、幻朧桜の香りを纏うと高速移動をしくろがらすさまに接近する。
 驚いたところを思い切りえいやっともふる。それは至極の柔らかさ。極上のお布団のような心地よさ…。
「ああ、このふわもこ、ふくふく、さすが神様の使い!」
 それに続いたノネもくろがらすさまを軽率に引き寄せもふもふもふる。心地良く温かい…。もふれば弾力のある感触。
 くろがらすさまは抵抗し勾玉の光でノネの視界を奪う。
「ふゃっ?」
 驚いた声を出す。視界は奪われた、だがノネは聴覚だけで周りを把握できてしまうので意味のないものだった。そして意味の無いものだとしてもユーベルコード【〝音奏〟】の効果はある。武器や防具の力をアップさせるのだ。
 
「ありがとう、くろがらすさま」
 一度もふったまゆはくろがらすさまから離れ、小夜啼鳥を構える。
(あとは、どうか役割を終えて骸の海へ。もう、神様の使いでいる必要はないんだよ)
 そう願う。こんな風に人を襲わなくても良いように。ふわふわの羽毛で眠りを誘われても、攻撃へ向かう手は止めず。
「一撃で、痛くなく、決めてあげる」
 幻朧桜の香りが濃くなる。小夜啼鳥で放たれた斬撃による衝撃波で一体ずつ、くろがらすさまを撃破していく。その斬撃はノネの【〝音奏〟】により強化され攻撃力を上げていた。
「どうか、次は本当の神様のお使いとして現れてね」
 そんな時が現れればいい。…その時は、もっとたくさん、もふらせてほしいな。まゆとノネはそう思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御心・雀
そうなの。とりさんにも、いろいろあるのね…。
とりさんも、『たんざく』におねがい書けたら、いいのにね。

だいじょうぶよ。きっと、わるいことはおきないの。
だって、ねえ、とりさんはかみさまとおともだちだったのでしょう?
かみさまだって、ちゃんとおねがいごと、きいてくれるとおもうの。

だからとりさん。
まいごになりませんようにって、じゃくがおねがいしてあげる。
とりさんたちが、みんなちゃんとおうちへかえれますように、って。

だいじょうぶ。
こわくない、こわくないよ……。
じゃくがみちあんないをしてあげる。ほら、こっち。
あかるいほうにいけばいいだけよ。
うみはみんなの『故郷』なんだって、にいさまたちもいつも言ってたもの。



●くろがらすさま
 夕方のオレンジの空を黒い烏が飛ぶ。それらは猟兵の姿を見つけると降り立ち、攻撃の体制をとった。
「そうなの。とりさんにも、いろいろあるのね…。とりさんも、『たんざく』におねがい書けたら、いいのにね」
 神の使いだった烏は、信仰を失い神力を失った。鳥の漢字を持つ御心・雀(セイレーンの聖者・f27642)にもその辛さは伝わった。
「だいじょうぶよ。きっと、わるいことはおきないの。だって、ねえ、とりさんはかみさまとおともだちだったのでしょう?」
 かー、かー、とくろがらすさまは雀の言葉を聞いて鳴く。言葉は解らない。だけれど何か、返事を返してくれているのかもしれない。
 つらい、つらい、くるしい。でも曖昧な存在に、影朧になってしまったくろがらすさまは雀を攻撃するしかない。その気持ちを発散するところを知らないのだ。
 数多のくろがらすさまが雀に攻撃していく。小さな嘴が、雀を傷つけていく。
「かみさまだって、ちゃんとおねがいごと、きいてくれるとおもうの」
 いたくても、きっと、本当につらいのはくろがらすさま。
「だからとりさん。まいごになりませんようにって、じゃくがおねがいしてあげる。とりさんたちが、みんなちゃんとおうちへかえれますように、って」
 雀は攻撃を繰り返すくろがらすさまのふわふわな体をぎゅっと抱きしめる。
「だいじょうぶ。こわくない、こわくないよ……。じゃくがみちあんないをしてあげる。ほら、こっち」
 ユーベルコード【家路】を使い、かえるための道すじを示す光を放ちくろがらすさまへとあるべきところへと帰る道を作る。
「あかるいほうにいけばいいだけよ」
 抱いていたくろがらすさまを離す。かー、と小さく鳴いて光の方へ飛んでいく。
「うみはみんなの『故郷』なんだって、にいさまたちもいつも言ってたもの。」
 それはまるで、オレンジに染まった海のよう。母なる海はきっと、何もかも包み込んでくれる。雀はそれを知っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

賀茂野・たまき
この様な可愛らしいお姿の神様の使いがいらっしゃったのですね。

今は黒いお姿ですが、元は何色をなされていたのでしょうか…。

…ですが、こうなってしまっては人に仇なすもの…。

人に仇なすものは、私にとって…いえ、守護者にとって討滅すべき対象です。

しかし、その原因が人にある…というのも物悲しくも感じます。

人は…業に塗れた存在であるのでしょうか…。

(頭を振り、思考を切り替え)

今は、少しでも被害が出ない様に。
そして、この子達が憎しみにから解放される様に、この剣でその想い、断ち切ってみせます…!

【指定UC使用】
剣刃一閃。意識を集中し耳をすませ、やってくる雑霊達を断ち切ります!
そして剣よ…!
その先の想いまで届け!



●くろがらすさま
 オレンジの空から降り注ぐのは黒い鳥、丸いフォルムのくろがらすさま。
「この様な可愛らしいお姿の神様の使いがいらっしゃったのですね」
 賀茂野・たまき(剣豪・f16537)はくろがらすさまを見て呟く。
「今は黒いお姿ですが、元は何色をなされていたのでしょうか…」
 くろがらすさまではなく、白や青だったのかもしれない。それはそれできっと、可愛らしいのだろうけれど。
「…ですが、こうなってしまっては人に仇なすもの…」
 人を攻撃するようになってしまえば、それは害のある存在だ。
「人に仇なすものは、私にとって…いえ、守護者にとって討滅すべき対象です」
 陰陽師であるたまきが倒すべき敵であることは確かだ。
「しかし、その原因が人にある…というのも物悲しくも感じます。人は…業に塗れた存在であるのでしょうか…」
 かつては人であふれた神社も、人が居なくなり廃れてしまった。その結果くろがらすさまが生まれたとすれば…。それは悲しいことだ。
 そこまで考えて頭を強く振る。今すべきことは、くろがらすさまを倒すこと。己の気持ちで剣先が鈍ってはいけない。

「今は、少しでも被害が出ない様に。そして、この子達が憎しみにから解放される様に、この剣でその想い、断ち切ってみせます…!」
 くろがらすさまは雑霊を召喚し、たまきへと攻撃を向ける。
 ピン、と張り詰めた糸のように、意識を集中させる。たくさんの攻撃を受けてもそれは僅かな傷にしかならない。痛みに耐え、その刀で横へ凪ぐ。
「そして剣よ…!その先の想いまで届け!」
 その攻撃は雑霊を、くろがらすさまを斬り絶っていく。そして、消えていく。桜の精の癒しはない、影朧である影朧たちが向かうのは骸の海だ。それでも、彼らに救いがあることをたまきは祈ることしかできなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『寄り添う存在』

POW   :    あなたのとなりに
【寄り添い、癒したい】という願いを【あなた】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD   :    あなたのそばに
【理解、愛情、許し、尊敬、信頼の思い】を降らせる事で、戦場全体が【自分が弱くあれる空間】と同じ環境に変化する。[自分が弱くあれる空間]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    あなたはもう大丈夫
自身の【誓約。対象の意思で別れを告げられ消える事】を代償に、【対象自身の選択で心に強さを持ち、己】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【過去を振り切った強さ】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠宮落・ライアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●追憶
 くろがらすさまが消えた後、ふわりと香るのは桜の香り。そして懐かしい――。
 おいで、あいたかったよ、そうまどろみの向こうの誰かが猟兵たちに話しかける。
 それは、大切な人、友人、恋人、家族、愛犬や愛猫…。
 それぞれの瞳に映る姿は違う。彼らは猟兵たちに言う。ずっと、ここで一緒に居よう。大好きだよ、と。
 もう会えない、失ってしまった人たちはここに居たのだ。そう、猟兵たちは思った。
 彼らが言うのなら、それもいいかもしれない。

 ……それは本当に、その人?
 猟兵たちは、疑問を持ちながらも、追憶の向こうのひとに、話しかけるのだ。


――――――
(※あなたの失った、愛する人をプレイングにいれてください。)
真宮・響
【真宮家】で参加

目の前に現れるのは11年前にアタシと奏を庇って命を落とした、最愛の夫、律。

暴漢に襲われた所を助けてくれた律は、アタシにとって運命の王子様だった。アタシが存分に弱音を言えて、寄りかかれる人。律はそういう存在だった。

今傍にいる律が労わりの言葉をかけてくれるなら、アタシは昔のように律に寄りかかってしまうかもしれない。でも、違うんだ。

律はもういない。アタシは律に託された奏と思いがけず家族になった瞬の為に強い母親でいなければいけない。だから、さよならだ。飛竜閃で振り切るように律を斬り裂く。あなた、アタシは先にいくよ。空の上で見守っていてくれ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

目の前にいるのは11年前にいなくなったお父さん。とても厳しい人でしたが、いつも私を護ってくれました。頭を撫でてくれる手は大きくて、暖かくて。抱っこして貰うととても安心したものです。

もし、お父さんがあの時のように頭を撫でて、抱きしめて貰えたら、ずっとこうしていたいと思ってしまうかも。

でも、お父さんはもういない事は分かってるから、このまま浸っている訳にはいかないんです。お父さんのように大事なものを護れる人になるという目標の為に、先に進まねばならないんです。ごめんなさい、お父さん。信念の一撃でお父さんを斬り裂いて、幻から脱出します。


神城・瞬
【真宮家】で参加

目の前にいるのは、11年前に里の壊滅で亡くなった、生みの父親、千早。ヴァンパイアでしたが、種族の差別をしない、変り者でした。父が率いる傭兵団は様々な種族がいて、活気に満ちていました。その背中は、男としてあるべき姿を示してくれていた。

僕は母の方に似たらしく、術士の方に向いてましたが、今目の前にいる父に労わりの言葉を掛けられると、昔、いつも僕を元気にしてくれた父を思い出して、いつまでも生みの父と一緒にいたいと思ってしまうかも。

でもふと我に帰ります。僕のいるべき場所は母さんと奏の傍です。父さんのような強い男になれるように、見守っていてください。裂帛の拳で全力で攻撃。



 くろがらすさまを倒した3人は空気が変わったのを感じた。そして瞬きをした瞬間、笹の木の下に居たのは――。

 神城・瞬(清光の月・f06558)の目の前に居るのは、11年前に里の壊滅で亡くなった、生みの父親、千早だった。
 他のヴァンパイア達とは違い、種族の差別をしない変わり者だ。率いる傭兵団は様々な種族がいて、活気に満ちているのを、瞬は今も覚えている。
 その背中は、男としてあるべき姿を示してくれていた。
 幻想の姿は、瞬に元気だったか、と言う。
「…、えぇ…、貴方は…」
 貴方は元気だったか、等と言おうとして止めた。言うまでもない。彼は死んでいる存在だ。そのはず…
 彼は言う、頑張ったな、いつも頑張っている姿を見ていた、と。もうそろそろ休もう。一緒に、ここで過ごそう、と。
 瞬は昔いつも自分を元気にしてくれた父を思い出す。
(…父がそう言うなら、それもいいのかも、しれない)

 だが、ふいに鼻をくすぐる香りがした。それは奏の、香り。甘くて柔らかい、彼女の香り。瞬はふと我に返る。
 違う、自分の居るべき場所はここではない。
「僕のいるべき場所は母さんと奏の傍です。父さんのような強い男になれるように、見守っていてください」
 己の拳に力を込めて、思い切り、父親の姿をした幻影を殴ったのだった。

「お父さん…!」
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)の目に映ったのは、11年前にいなくなった父親の姿だった。
 とても厳しい人だったことを覚えている。いつも奏を護ってくれていた。。頭を撫でる手は大きくて、暖かい。抱っこして貰うととても安心したのだった。
 おいで、と幻影は奏に手を広げる。おずおずと、抱き着く。その身体は温かい。頭を撫でる手も、そのままで。このままずっと護ってもらえるのなら、なんて幸せなことなんだろう。
(ずっとこうしていたい…でも…)
 奏には、わかっていた。父親がもう居ないことを。このまま浸っているわけにはいかないことも。
「お父さんのように大事なものを護れる人になるという目標の為に、先に進まねばならないんです。ごめんなさい、お父さん」
 そう宣言をして、奏は【信念の一撃】で父親の幻影を切り裂く。幻影は容易く切り裂かれ、霧散していく。後悔は、無い。

「…律…」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)の前に現れたのは11年前に自分と奏を庇って命を落とした最愛の夫、律の姿だ。その姿はあの時と何も変わらない。
 響の名前を呼び、幻影の彼は優しく手を握る。温かく、血が通っているひとのようだった。
 …響が暴漢に襲われた所を助けてた律は、響にとって運命の王子様だった。存分に弱音を言えて、寄りかかれる人。律は響にとってそういう存在だった。
 幻影の律は言う、いつも頑張っているところを見ていたよ。これからは、家族みんなで、一緒にここで暮らそう。頑張ったね、と。響の頭をそっと撫でながらそう言うのだ。
(このまま昔のように寄りかかってもいい?…ううん、違う。そうじゃない)
 律はもう居ない。律に託された奏と、思いがけず家族になった瞬の為に強い母親でいなければいけないのだ。
(だから、さよならだ)
 渾身の力を込めた【飛竜閃】は、幻影を切り裂く。あぁ、でもこれだけはいわなければ。
「あなた、アタシは先にいくよ。空の上で見守っていてくれ」

 それぞれの想いを胸に、七夕の祭りは終わる。
 オレンジの空の向こうに、星が一つ流れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

賀茂野・たまき
※アドリブ他の方との絡みOKです。

私には、いえ、私の自覚している限りでは…私にとって特別に愛する方…大切な方は居ません…。

強いて言うのなら、全ての方が等しく大切です。

それは、守るべき存在である、という事も含め、
私は、他者の存在あってこそ、自己の「意味」を確立出来ると、そう感じるからなのかも知れません。

自身も他者の業も営みも、全てを捨てず進みたいから…


【指定UC使用】
🔴敵である「寄り添う存在」に対し、巨大結界の様に護符を展開。周囲にある敵のユーベルコードを封じる。

(他の方と同行する場合は封じる事に徹し、敵を倒す全体補助を。一人の時は、封じた後に自身の黒い刀身の刀で敵を吸い込む様に消し去り斬る)


御心・雀
:亡き母

……かあさま?
どうしてりくちにかあさまがいるの?
ねえ、かあさま。かあさま。……どうして撫でてくれるの?
とってもうれしいけれど、ねえかあさま。
じゃくは、もう、おおきくなったのよ。
ちゃんと、とうさまにもにいさまにも認めてもらってりくちにきたの。
じゃくは、もう、かあさまの知ってるちいさなじゃくじゃないのよ。まだまだよわくてちいさいけど、ちがうの。

ずっと……そばにいてくれるの?
そうやって撫でてくれるの?
じゃくもとっても、とっても、そうしたいよ。

……ううん。でも、かえらなくちゃ。
じゃくは、ちゃんと、やるべきことをやるから。だから、かあさまも……かあさまのいなきゃいけないところに、もどって……ね。



●ひとみにうつるのは
「……かあさま?」 
 御心・雀(セイレーンの聖者・f27642)は目の前に居る己の母へと声をかける。それは幻影、さくらのまぼろし。
「どうしてりくちにかあさまがいるの?」
 雀とおなじく、透き通った身体をもつセイレーン。こんなところにいるはずがないのに。
 幻影は雀に近づき、優しく微笑むとその頭を優しく撫でる。その手はまさしく、母の手だった。
「ねえ、かあさま。かあさま。……どうして撫でてくれるの?とってもうれしいけれど…」
 静かに、幻影は頷き雀の話を聞いている。その姿は子供の話を楽し気に聞く母親だ。
「ねえかあさま。じゃくは、もう、おおきくなったのよ」
 雀は必至に訴える。もう、あの頃の自分じゃないのだ。
「ちゃんと、とうさまにもにいさまにも認めてもらってりくちにきたの。じゃくは、もう、かあさまの知ってるちいさなじゃくじゃないのよ。まだまだよわくてちいさいけど、ちがうの」
 
 賀茂野・たまき(剣豪・f16537)には、何も見えなかった。周りの猟兵たちはよく分からない霞に向かって話かけている。
 たまきには、特別に愛する、大切な人は居なかった。少なくとも、自覚している限りでは。強いて言うのなら、すべての人が等しくて大切だ。
 自分は他者の存在あってこそ、自己の「意味」を確立できると、そう感じているから。
 自身も他者の業も営みも、全てを捨てず進みたいからなのだ。
 雀が嬉し気に霞に向かって話しかけているのが見える。『かあさま』?それは、違う。気付いているかもしれないけれど、それは違うんです――。
 彼女みたいに、母親をとてもいとおしく思っていれば、自分にもそれが見えたのかもしれない。でも、実際には違う。
 惑わされるわけにはいかない。たまきは守る側の存在なのだから。

「ずっと……そばにいてくれるの?そうやって撫でてくれるの?じゃくもとっても、とっても、そうしたいよ」
 優しく撫でる手、それはとても心地良く離れがたいものだ。
「……ううん。でも、かえらなくちゃ」
 幻影の中で首を横に振り、否定をする。それを見たたまきは雀に声をかけて
「…あれは影朧です。…雀さん、サポートしますね」
「…うん、おねがい」
 たまきは【七星七縛符】を使い、巨大結界のように護符を展開する。『寄り添う存在』を捕縛しその力を封じた。
「じゃくは、ちゃんと、やるべきことをやるから。だから、かあさまも……かあさまのいなきゃいけないところに、もどって……ね」
 影朧が、本当の母親ではないことは雀にだってわかっている。でも、やっぱりその姿は『かあさま』なのだ。
 すべてのものがきたところから、あるべきところへ、かえるための道筋を示す光は、影朧の姿を溶かしていく。
 かあさまの姿が、溶けて、消えていく。最後まで、幻影は微笑んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノネ・ェメ
 また、わたしだ。衣服こそ違えど、やっぱり瓜二つ。攻撃はしないってきいたけど、ホントかな?(UC発動)
 本当? 音楽聴こえてるんだ?? ひとまず大丈夫かも。

 前に会った(?)時は、すごく責められた。でもそれはそういうUDCだったみたい。今回のは、これまた真逆なんだね。肯定されればされるほど、あなたがそういう影朧なんだって、理解ってしまう。けど、も少し話し続けてたら、あなた“達”が一貫してわたし(?)を見せてくる理由、その一端だけでも、ワンチャンないかな。

 やっぱり全肯定されるだけでは何も判れないや。どこまでも鏡、姿見って感じ。ただ。こうして鏡に映るのだから。
 あなた(?)は、本当にいたんだね。



●おなじ存在
 ノネ・ェメ(ο・f15208)の前に現れたのは、ノネと同じ顔をした少女だった。
「また、わたしだ。衣服こそ違えど、やっぱり瓜二つ。攻撃はしないってきいたけど、ホントかな?」
 【〝音憩〟】を発動する。戦闘を行っていないものには、楽しめる素敵な音楽が流れだした。
「前に会った時は、すごく責められた。でもそれはそういうUDCだったみたい」
 幻影を見せる影朧、UDCもたくさん居るのだろう。かの地にて見た己の姿をした存在とは雰囲気も違う。
 幻影のノネは、ノネの話を聞いて微笑み頷く。
「大変だったね、でもこれからは大丈夫。安心して、ここで過ごそう」
 ここで、この場所で一生。骨が埋まるまで。幻影はノネをすべて肯定する。そして甘く、優しく語り掛けるのだ。
(今回のは、これまた真逆なんだね。肯定されればされるほど、あなたがそういう影朧なんだって、理解ってしまう。。けど、も少し話し続けてたら、あなた“達”が一貫してわたし(?)を見せてくる理由、その一端だけでも、ワンチャンないかな)
 幻影は優しく、ノネの手を握り頬を撫でる。同じ顔に見つめられるのは少し居心地が悪い。
「あなたは、わたし?」
「あなたは、あなた。わたしは、あなた」
 どこまでも測れない、その言葉にノネは首を傾げる。
(どこまでも鏡、姿見って感じ。ただ。こうして鏡に映るのだから)
「あなたは、本当にいたんだね」
 ノネは、幻影、幻影は、幻影。ノネは…?
 『寄り添う存在』は微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

花澤・まゆ
……おかあ、さん

あたしを捨てた人
でも会いたくて仕方のない人
その人があたしの前で微笑んでる

甘えたいし、泣きたい
本当は一人でとっても苦しかったんだよって
ずっと一緒にいたかったんだよって

…そう、あたしは知ってる
おかあさんの顔を、あたしは知らないから
目の前のおかあさんは「偽物」だ

だから
…転生、できればいいねってせめて思って
寄り添う影朧に刀を向ける
その優しい悪意だけを斬る

もう見せないで
あたしにおかあさんの幻を
あたしは思い出さないって決めたのだから

アドリブ、絡み、歓迎です



●幻影は微笑む
「……おかあ、さん」
 花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)の目の前で微笑むのはまゆを捨てた人。オラトリオの花と羽を訝し気に思い捨てたひと。
 でも会いたくて仕方のない人。その人が今、まゆの目の前で微笑んでいた。
 涙が出てくるのをこらえる。甘えたいし、泣きたいのだ。本当は一人でとっても苦しかったんだよ、ずっと一緒にいたかったんだよってそう、伝えたいのだ。
 幻影は優しくまゆの身体を抱きしめる。その腕は、身体は、暖かく本当のひとのようだった。

 でも…
(あたしは知ってる。おかあさんの顔を、あたしは知らないから。目の前のおかあさんは「偽物」だ)
 幻影の顔を覗き込む。その顔は微笑んでいるようにみえるが、まゆには認識できなかった。
 その手に刀を握り、傍にあるその身を切りつける。その刃は、優しい悪意だけを斬りさいた。
(おかあさん…)
 ふわりと、切り裂かれた身体は霧散してどこかへ消えていく。転生はきっとまだ出来ないのだろう。どこかへまた向かい、同じように幻影を見せるのだ。それが『寄り添う存在』の願いなのだから。
「もう見せないで。あたしにおかあさんの幻を。あたしは思い出さないって決めたのだから」
 思い出さない。このまま、まゆはまた歩き出すのだ。心の中に、思いを閉じ込めて。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月16日


挿絵イラスト