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嘆願の末に起きた結末

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 村の至る所から聞こえる悲鳴や爆発音。それらを聞きながら、体格の良い男は辺りを警戒しながら、そっと年寄りや女子供が集まる小屋へと入る。
「この村はもう駄目だ。この地を離れ、何処かに隠れ住まなくては」
 その言葉に、どこからともなく嗚咽が漏れる。
 仕方が無い。領主の怒りを買った上に村まで滅ぼされようとしているのだ。
「村の裏口にある採取用の馬車を使って村から脱出しよう。これ以上、あいつらに皆を殺させないように」
 あいつらに……村を襲うかつての家族、仲間達にと。
 絶望に暮れる村人を励ますリーダー格の男の言葉に、どうしようもないのだと村人が意識を振り切り、馬車のある場所に向けて歩を進めていく。

 若い男達が馬車の置いてある裏口まで村人達を護衛し、馬車に村人を乗せていくと背後からくすくすと楽しげに笑う声。
 男達がが慌てて振り返れば、そこに居たのは黒衣を身に纏った少女。
 この地を治めるオブリビオン、その名をゼラ。
「あらあら。納税義務を怠った上に逃亡なんて、反逆罪にも程があるわね?」
「っ……行け!」
 村人の大半が馬車に乗り込んだのを見て、リーダー格の男が声を上げる。
 馬を操る御者も多少の躊躇はするも、それでもその声に従って馬を進めていく。
 ガラガラ音を立てて馬車は速度を上げ、そして村から遠ざかっていった。

「ふふ、健気ね。それで村人を守ったつもり?」
 馬車の姿が見えなくなっても、ゼラは慌てる事もなく笑っている。
「大丈夫よ。逃げた者達もすぐに『同じ』にしてあげるから」
 男達が鎌や鍬を構える中、ゼラは楽しそうにその手に持つ大鎌を振るう。
 巻き起こる風に、斬檄に、武器を構えた男達は何が起きたのかを理解する前に、次々と倒れ、事切れていく。
「さて、あれを使いましょうか」
 動く者の居なくなったその場所で、ゼラは部下に持って来させた血染めの甲冑を、倒れた男達に手際良く装着させていく。
「……さぁ、目覚めなさい」
 ゼラのその言葉に従うように、倒れていた男達は次々に起き上がる。
「ふふ、次は逃げた村人を追わないとね。ちゃんと殺してらっしゃいな」
 ゼラの言葉を受けて、血染めの甲冑を着せられ自我を無くした男達は、ふらふらとおぼつかない足取りで馬車を追うのだった。


「集まってくれてありがとな。ダークセイヴァー世界で起きた事件を解決する為に、力を貸して欲しい」
 コーダ・アルバート(人狼の竜騎士・f02444)は沈痛な表情で、集まってくれた猟兵に声を掛けると、手にしたグリモアを見ながら言葉を紡ぐ。
「ある村で、自我を無くした村人が村人を殺戮するという事件が起きたんだ。勿論オブリビオンの仕業だ」
 その地域は元々日照量も少なく、毎年そこまで多くの農作物など取れない地方ではあったものの、今年はそれらに加え大雨や土砂崩れなどの自然災害にも苦しめられ、いつも以上に作物の取れない年だった。
 そして一部の村人が村の惨事を伝えに、この地域を治める領主の元に行った。
 どうか今年は大目に見て欲しい、税を軽減して欲しい、と嘆願した。

 その答えが、この襲撃。

 領主に伝えに行った者達はその場で殺され、領主の部下として蘇させられた。
 その行為が領主への反逆に当たるとしてこの村は反逆の罪に問われ、そして今、領主の命令で皆殺しにされようとしている。
 かつての村人に、この村を襲わせる形で。

「村を襲ってる戦士達にはもう自我は無い。新しく部下にさせられた男達にもな。そしてこのまま行けば逃走した馬車も追っ手に追いつかれて、最後には皆殺しにされるだろう。命を賭して逃がそうとした村人達の為にも、それだけは避けたい」
 だからまずは逃げた村人達の安全を確保して貰いたい、とコーダは続ける。
「村人の安全を確保できたら、馬車を追いかけてくる追っ手の戦士を倒して、最後は村で部下達の報告を待ってるオブリビオンを倒して欲しい」
 粗方の説明を終えると、コーダは猟兵達の足元に転移の魔方陣を形成する。
「……村を守ろうとオブリビオンに歯向かって殺された村人達は、もう救えない。それでも彼らの守りたかったものを守って、彼らを眠らせてあげる事が、彼らに対して最後に出来る事だと思ってる。この件、宜しく頼む」
 その言葉と共に、猟兵達を転移させるのだった。


早瀬諒
 初めまして、またはこんにちは。早瀬諒です。
 第三作目となります。
 ダークセイヴァー世界において馬車で逃走中の村人を保護し、その追っ手と追っ手を差し向けたオブリビオンの討伐シナリオとなっております。
 きっと重めのシナリオになります。

 それでは彼らの危機を救うため、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『反逆者の手引き』

POW   :    護衛として付く、見回りをする。

SPD   :    馬車を改造する、人々を運ぶ。

WIZ   :    安全な新天地を探す、人々を宥める。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「あらあら。納税義務を怠った上に逃亡なんて、反逆罪にも程があるわね?」
「っ……行け!」
 ゼラの姿を尻目に、村人の大半が馬車に乗り込んだのを見てリーダー格の男が声を上げる。
「どうせ全員は無理だ!だから早く行け!」
 ゼラから村人の乗った馬車を守ろうと、男達はその手にしていた武器を構える。

 殺されればどうなるかは分かっている。
 ここに居る人数で、手持ちの武器で勝てる相手ではない事も分かっている。
 それでも皆殺しにされない為に。
 一人でも多くの村人が生き残れる様に。

 御者を務める男もそれを理解したのだろう。その声に従って馬を進めさせる。
「っ、ちくしょう……」
 ガラガラ音を立てて馬車は速度を上げ、そして村から遠ざかっていく。
 残された者達がどうなるのか、それを理解しながらも走り去る馬車。
 助ける事は出来ない。このまま逃げたって、行く当てなんかない。
 それでも「今」殺されない為だけに、馬車は当ての無い逃避行を始めるのだった。


 猟兵達が転移してきた場所は、逃避を続ける馬車の付近。
 重量オーバーなのが見て取れる程に、動きが遅い馬車は猟兵達が軽く走ればすぐに追いつけるだろう。
 それはつまり、追っ手に追いつかれるのも時間の問題という訳で。
 猟兵達は追っ手が迫る前に村人達を救おうと、一目散に馬車目掛けて走り出すのだった。
満月・双葉
説得の最中、追っ手が来ないかなどを、ユーベルコードで召喚したカエルのマスコットに偵察させておきます。

【WIZ】
コミュ力で打ち解け、説得をしてみましょうか。

命あっての物種と言います。
逃がした人達は貴方達が生きていくことを願って逃がしたはずです。
後は僕達が何とかします。
生き残る確率は僕達が居れば上がります。
ですから、前を向いて頂けませんか。
犠牲になった生命が迷わないようにする為にも貴方達は生きるべきです。
遺された人々には、生きる義務があるんです。
彼らはこう思っています『お前達は生きるんだよ』と。




 ガラガラと行き先も定まらぬまま逃走を続ける馬車。
 馬車の中からは泣き声や嗚咽、もう駄目だと絶望に染まる声が馬車に併走するかのように走る満月・双葉(星のカケラ・f01681)の耳に入る。
「『とっとと探しておいで』」
 双葉はそっとユーベルコードを発動し、【動くカエルのマスコット】を召喚すると、そのカエルを馬車の上部に乗せる。
 自身と五感を共有し、指定した方角を偵察するカエルに追っ手が来ないかなどを確認させておいて、双葉はするりと馬車に乗り込む。

「ひっ」
 不意に馬車の中に入ってきた双葉に、引きつるような声を上げる村人に対して、双葉は落ち着いた声色で話し掛ける。
「怖がらないで。僕は敵ではありません」
 敵意を感じさせなかったからか、それ以上双葉の存在で馬車が混乱を起こす事は無かったが、それ以上に「敵であってもなくても、いずれ皆、領主に追われて殺されるんだから誰だろうと関係ない」という、自棄になったような空気を双葉は察する。
 虚ろな目をする村人を見て、双葉はこれではいけないと思い、村人達に対して声を上げる。
「命あっての物種と言います。逃がした人達は貴方達が生きていくことを願って逃がしたはずです」

 ゼラを前に『行け!』と叫んだ人が、自らが殺されると分かっても村に残ったのは、村人を死なせる為なんかじゃない、と。
 その言葉に、馬車の中の村人達は言葉を失う。

 彼らが何の為に村に残ってくれたのか、その意味を理解していない訳ではないのだから。

「後は僕達が何とかします。生き残る確率は僕達が居れば上がります。ですから、前を向いて頂けませんか」
 犠牲になった生命が迷わないようにする為にも、貴方達は生きるべきです。
 続けられた双葉の言葉に、馬車の中には沈黙が降りる。
 けれどその沈黙には否定や絶望は感じられない。
 その空気を察して、双葉は再び口を開く。
「……遺された人々には、生きる義務があるんです。彼らはこう思っています……『お前達は生きるんだよ』と」

 それはかつて、死に瀕した双葉の双子の姉が双葉に遺した言葉。
 死する者が、最愛の者に願う最期の願い。

 その言葉を受けて、馬車の中には再び泣き声や嗚咽が響き渡る。
 けれどもそれは、絶望に包まれての悲しい涙ではなく。

 生きる事を決めた村人達の、死んでいった人々に対する弔いの涙だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユリウス・リウィウス
追うも追われるも同じ村の村人か。こういう時こそ、俺たちのような余所者の出番だろう。

俺はここで追っ手を待ち、足止めを行う。その間に、馬車はせいぜい距離を稼げ。

ふむ、来たか。
かつての隣人を手にかけるのは本意ではあるまい。通りがかりの飲んだくれが一つ皆殺しにしてやろう。
血統覚醒。
「傷口をえぐ(る)」りながら、黒剣を振るって生ける屍どもに突っ込む。リーダー格が指揮しているのだろう? そいつの首をもらう!
受けた傷は「生命力吸収」で回復しながら敵陣をかき乱し、甲冑鎧どもの中から指揮者を探し出して相まみえよう。
黒剣を基本は剣として使い、間合いを外した機に不意に鞭に変えて隙を狙う。

おまえの無念は俺が背負おう。




「追うも追われるも同じ村の村人か。こういう時こそ、俺たちのような余所者の出番だろう」
 気だるげそうにユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は黒剣を手に、その場に残って一人追っ手として現れるであろう村人達を待っていた。

(かつての隣人を手にかけるのは本意ではあるまい。通りがかりの飲んだくれが、一つ皆殺しにしてやろう)

 黒剣を振るって生ける屍どもに突っ込む。恐らくはリーダー格が指揮しているのだろう?そいつの首をもらう!
 敵陣をかき乱し、甲冑鎧どもの中から指揮者を探し出して相まみえよう。
 その場に立ちながら、まだ見ぬ敵を前にユリウスは一人、戦闘での動きをシミュレートしていた。
「おまえの無念は俺が背負おう」
 誰に手向けた言葉なのか、ユリウスはその言葉を最後に沈黙を貫いた。

 数刻後、姿を見せた追っ手にユリウスは絶句する。
 数体だけならば一人でも対処は出来ただろうが、その数はかなり距離があるはずの現在地から見ても、軽く十体を超える。
 加えて追っ手には統率も何もなく、ただ『村人を殺せ』とのゼラが与えた命令のままに、有象無象の集団が蠢いているようにしか見えない。
 この統制を破るつもりなら、先にゼラを討たねばならない。
「これは、読み違えたかな?」
 流石に一人で相手にするのは難しいと悟ったユリウスも、追っ手に追い付かれる前に逃走を模索する。
 幸い、敵の移動力もそこまで早くもなく、また馬車との距離もそれなりにあるのは把握出来た。
 敵との距離、そして敵の情報を確保できたのは大きいとして、ユリウスはその場を離れ、先行した馬車と合流すべく撤退を開始した。

失敗 🔴​🔴​🔴​

香坂・翔
SPDで行動!

馬車から落ちちゃった人とかを馬車まで運んで助けるよ!

大丈夫?って声掛けして、馬車まで運ぶねって言って連れてく

子供だったら抱き上げて馬車に乗せられるんだけど、大人は流石に肩を貸す位かな?
老人ならおぶれそうだけどさ。

馬車の速度も早くないみたいだし、置いてかれない様に気を付ける!

馬車に乗せられたら、次は落ちないようにねって声掛けしながら、他にも馬車から落ちちゃった人が居ないか、馬車の後方にくっついて見てるよ。




 猟兵の説得によって何とか落ち着きを取り戻した村人達。
 大人達が何処に行こう、あそこなら隠れられるんじゃ?と前向きな議論を始める中で、馬車の端から不安そうに空を眺めている子供達。
「あの子達、危ないなー。落ちたらどうすんだよ」
 荷台から身を乗り出すように外を見上げる子供達を、香坂・翔(人間の咎人殺し・f03463)は心配そうに見守る。
 その時、岩にでも乗り上げたのだろうか、突如ガタンと揺れる馬車。
「あ!」
 その衝撃で、馬車の荷台から一人の女の子が馬車から振り落とされてしまう。
「言わんこっちゃないんだからー!」
 女の子の身体は宙に投げ出されて。それでも子供達の落下に警戒していた翔は、一目散に落下する女の子目掛けて駆け出した。
 落下の際の衝撃に身体を強張らせながら、女の子はぎゅっと目を閉じたけれど、女の子の身体が地面に接触する前に、翔はその身体を抱き上げた。

「ふぅ……大丈夫?」
 怪我がないかを確認して声を掛ければ、落ちた時の恐怖から涙目にはなっているものの、大きな怪我とかは見受けられなかった。
「怪我がないなら良いよ。ちゃんと馬車まで運んであげるね」
 そのまま泣きそうな子供を背負って、先に進んだ馬車の位置を視線で追う。
(早めに追いつかないと離されちゃうね)
 そこまで離された訳ではないとは言え、それなりの距離が開いたのも事実で、翔は女の子を背に軽く駆け足で馬車を追いかける。
 走っている最中、翔は自分の服を掴む女の子の手が震えているのを感じて、女の子に声を掛ける。
「大丈夫だよ、俺達が助けるから!」
 何が、とかどうやってとか具体的には言わない。
 けれどその言葉に安心したのか、女の子の手から震えは無くなっていた。
 そのまま馬車まで駆け寄って、女の子を荷台に乗せる。
「次は落ちないようにね!ちゃんと大人の人と居るんだよ」
 そう言って翔は馬車から離れていく。
 少し離れた所から馬車を見れば、荷台の端で危なそうにしていた子供達の姿は、それぞれの親の腕の中へと戻っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

八剱・忍
行き先見えないこの逃避行、せめて犠牲の出えへんように力を尽くしたい所やね。

役割分担なら、うちは馬車の護衛に回るで。
追っ手の対処をする為にしんがりを務めさせてもらうわ。

追っ手に追いつかれてもうたら、スキル「おびき寄せ」で注意を引いて、戦闘になるんやったらスキル「なぎ払い」で大鎌振るって、追っ手を追い払うで。

逃げる的には固執せんと、第一目的の馬車を護る事に力を尽くすわ!




「行き先見えないこの逃避行、せめて犠牲の出えへんように力を尽くしたい所やね」
 猟兵の活躍で、馬車に乗っている村人達は落ち着いてきている。
 その上で役割分担なら、と八剱・忍(黒の囀り・f13028)は馬車の護衛を申し出た。
 追っ手の対処をする為に殿を務めようと後方に回るも、うわっ!と軽い悲鳴と共に進行を止めてしまう馬車。
「なんや?」
 慌てて前に出てみれば、そこには野良狼がうなり声を上げながら馬車の前に立ちはだかっていた。

(ああ、敵は追っ手だけやないっちゅう事やな)

 いつの間に狼の縄張りに入り込んだのだろうか。と冷静に考えるも、威嚇を続ける狼達は、気を抜けばそのまま馬車に飛びかかろうとする勢いだ。
 それならば、と村人を守るために戦うと決めた忍に迷いはなく、うなり声を上げながら馬車を威嚇する狼達を前に、忍は手にした大鎌を構えながら狼達と馬車の間に立ちはだかる。
「ほら、お前達の相手はこっちや!掛かってきい!」
 忍が一歩踏み込めば、そこが境界線だったかのように襲い掛かってくる狼達。だが、飛び掛ってきた狼達を目掛けて一閃、薙ぎ払う様に大鎌を振り回せば、その鎌に切られた狼達は鳴き声を上げながら去っていった。
 馬車を守る事が第一。逃げるならば追わないと決めていた忍は、去っていく狼を見送っていた。
「あ、ありがとうございます」
 狼が去ってほっとしたらしい御者の礼の言葉に、忍は笑顔で返す。

 それでも、とも思う。 
 行き場のない逃避行。このままあてもなく進み続ければ、今度はまた別の獣の縄張りに入り込むかもしれない。
 獣ならばまだ対処のしようもあるだろうが、それこそ別の予知されていないオブリビオンの領域に入り込んだら?
 そしてそのオブリビオンに目を付けられる事になったら?
 それを思えば行き先も決まらず、ただ彷徨うだけの現状はあまりにも危険すぎるだろう。
「そろそろ、行き先位は決めなあかんかもな」
 馬車の進みに付いていきながら、忍はぽつりと言葉を漏らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グルクトゥラ・ウォータンク
村人を守りつつの撤退戦、純戦力はわしら猟兵のみ。ヘヴィなシチュエーションじゃが、逆境こそ腕の見せ所よな。

まずは早急に馬車の改造が必要じゃの、機動力も防衛力もこいつが要になる。足を止めている時間はないので走らせながらの即興改造じゃ。ガジェットボールズを追加の車輪として馬車に接続、移動速度と安定性確保。
その後車体と装甲の強化、装甲は背面側面を重視するぞい。あとは弩砲でもつけて村人でも戦えるようにしておくかの。手数が足りんのも理由じゃが、戦えることが心の救いになることもあるしのう。

もちろん仲間との連携も重視するぞい。特に改造方針は予め打ち合わせて無駄の無いように進めたいのう。


マーラー・ジュウナナサイ
あらぁ前時代的な馬車ですこと。ほら、皆さん降りてくださいまし!
護衛は他の方にお任せしますわ
わたくし非力な17歳、花もつぼみな乙女ですもの
(太いタイヤを用意しつつ)

馬車を魔改造いたします。なにせわたくし【メカニック】ですから
この重量なら空転の心配はいりませんし、後輪駆動への改造が楽ですわね
こんなに細いタイヤでは性能が悪すぎますわ、交換いたしましょう
【純白偽装】で必要な工具を出して施工いたします
馬は不要ですわ、どなたか乗っていらしてくださいまし

……現地民に運転技術がない
そちらのお足元にあるのが加速板、そちらが減速板ですわ
加速板を踏んで、丸い輪っかを回して舵を取るんですのよ
さあ、ボン・ヴォヤージュ!


ペンチ・プライヤ
やっぱりもやもやする(この世界の在り様について釈然としてない、言語化出来ない)
・・・まずは、出来ることをちゃんとやらないと

こんな形だけど、悪いようにはしないから、任せてくれない??

ガジェッティアの能力を活かして馬車の改良をする
まずは整備、その後最低でも十分な強度を確保したい
出来そうならサスペンションを付けて、全ての車輪が必ず接地するようにした上で車輪を増やしたり、蒸気魔導技術でパワーアシスト機能つけたりする

余力があれば、インスタントステージで灯体ドローン増やし、村人達にライトを当て、show must go onでの回復を図る
疲れるけど、村人達を見るとそんな事言えない

(俺ってちっちゃいなぁ)




「村人を守りつつの撤退戦、純戦力はわしら猟兵のみ。ヘヴィなシチュエーションじゃが、逆境こそ腕の見せ所よな」
 グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)は、ガタガタと今にも壊れそうな馬車の車輪を見ながら状況を把握する。
(まずは早急に馬車の改造が必要じゃの、機動力も防衛力もこいつが要になる)
 修理する箇所の見当を付け、グルクトゥラはそれに必要なガジェットを生み出そうと模索する。

「やっぱりもやもやする……でもまずは、出来ることをちゃんとやらないと」
 ペンチ・プライヤ(工具による光と蒸気の空間芸術・f02102)もこの世界の在り様について釈然としない、上手く言語化出来ない思いを抱えながらもまずは目先の事、馬車の修繕に向き直る。
 そんな考えを巡らせていると、いきなり馬車が急停止した。
「なんじゃ!?」
「あらぁ前時代的な馬車ですこと。ほら、皆さん降りてくださいまし!」
 グルクトゥラが不思議そうに馬車の進行先を確認すれば、そこに居たのはマーラー・ジュウナナサイ(17歳ぴっちぴちギャル・f00029)。
 あろう事か馬車を止め、村人に馬車を降りるよう言い始めるマーラーに、馬車の修繕・改造をしようとしていた二人はあっけに取られる。
 ポカンとしている村人を余所にマーラーは紙を取り出して、改良後の馬車……この世界には存在しない『車』の図面を書き上げていく。
「馬車を魔改造いたします。なにせわたくし【メカニック】ですから。この重量なら空転の心配はいりませんし、後輪駆動への改造が楽ですわね。こんなに細いタイヤでは性能が悪すぎますわ、交換いたしましょう。ああ、馬は不要ですわ。どなたか乗っていらしてくださいまし。ああ、護衛は他の方にお任せしますわ」
 ペラペラとマシンガントークを繰り広げるマーラーの言葉を、正確な意味で理解出来た村人は居ない。
 村人が今の話から理解出来た事はただ一つ。

『馬車を壊して別な何かを作ろうとしている』という事のみ。

「ふ、ふざけるな!大体、馬も無しにそんな箱だけでどうやって動けって言うんだ!」
 漸く我に返った村人がマーラーの持つ絵を指差しながら反抗する。
 そこで他の村人達も馬車を壊されまいと、馬車から降りようとせずに怪訝な目でマーラーを見る。
「そこは心配ありませんわ。こちらにあるのが加速板、こちらが減速板ですわ。加速板を踏んで、この丸い輪っかを回して舵を取るんですのよ」
 村人の問いかけに、無問題だと言わんばかりに絵を指し示しながら自慢げに答えるマーラー。
 そのやり取りを見ていた、置き去りにされていた二人は頭を抱えるしかなかった。
 車の概念も運転技術もないこの世界において、制御不能になるほどのスピードすら出せるそれを、制御の仕方を全く理解していない村人に与える事のどれだけ危険な事か。
 それこそ何も分からぬ赤子に、刃物を渡すのと等しい行為ではないのだろうか?
 そんな不安を、二人は正しく理解していた。
「ちょっと待って!」
 さぁさぁと、村人を馬車から降りる様に促すマーラーを止める様にペンチは声を掛ける。その声にマーラーも、馬車を降ろされようとしている村人達も視線をペンチに向ける。
「馬車は壊さないよ。それは約束する」
 ペンチの言葉に続くように、これ以上の時間のロスは避けたいグルクトゥラもペンチの隣に立って村人に声を掛ける。
「馬車の改造は確かに必要じゃ。じゃが、それでも馬車が馬車のままである事だけは約束しよう」
「こんな形だけど、悪いようにはしないから任せてくれない?」
 マーラーの言葉に疑心暗鬼になっていた村人達も、ペンチやグルクトゥラの真剣な言葉に、「馬車を壊さないなら……」と渋々納得して、馬車の改良の為に馬車から降りていった。


「時間がなくなってしまったので即興改造じゃ」
 馬車から村人が降り立った為改造はしやすくなったが、時間を大分使ってしまったので、追っ手との距離も縮まってしまっただろう。
 加えて大元の馬車自体が布に覆われただけの幌馬車。追いつかれては耐久性の低いこの馬車ではどうしようもなかった。

「まずはガジェットボールズを追加の車輪として馬車に接続、移動速度と安定性確保。その後車体と装甲の強化、装甲は背面側面を重視するぞい。あとは弩砲でもつけて村人でも戦えるようにしておくかの。手数が足りんのも理由じゃが、戦えることが心の救いになることもあるしのう」
「ならばわたくしは装甲の強化を承りましょう。わたくし非力な17歳、花もつぼみな乙女ですもの。重たいものを運ぶなど出来ませんわ」
 グルクトゥラの提案に、マーラーは即座に答える。
「じゃあ俺は馬車を軽く整備した後、蒸気魔導技術でパワーアシスト機能つけたりするよ」
 悩みながらもペンチも自らの役割を見出していく。
 各々がやる事を明確に宣言してから作業に取り掛かった。

「時間を掛けていい事はない。さっさと仕上げねばならんな」
 古びた今にも壊れそうな車輪を外して、グルクトゥラはガジェットボールズを取り出して馬車のサイズに合う車輪を生み出すと、それを馬車に装着させる。
「一つだと足りぬか。ならば『ガジェットショータイム』じゃ!」
 ユーベルコードを発動させ、新たな車輪を生み出していく。
「……ふむ、これならいけるじゃろう」
 ユーベルコードで生み出された新しい車輪。ぴたりと嵌った車輪を次々に付け替えて、全ての車輪が新品な物に変わった時、不安そうにしていた村人から歓声が上がる。
「これでいい。次は弩砲じゃな」
 湧き上がった歓声に何処となく嬉しそうにしながら、グルクトゥラは弩砲の設置のために、再びユーベルコードを発動させるのだった。

「さてと、どう装甲を強化しましょうかしらねぇ」
 マーラーもふむ、と思案するも先程から村人の視線が痛い。
 どうも馬車を先進的な車に魔改造しようとした事で、村人達から警戒されているようだ。
(警戒されているのならば、いっそ派手にやりましょうか)
 村人達の視線を集めてるのをいい事に、笑みを浮かべながらマーラーは自らのユーベルコードを発動させる。
「わたくしの分析によれば……これですわ。『純白偽装(ル・マリアージュ・ブラン)』!」
 村人達の見ている前で、マーラーの声に導かれるようにそこに現れたのは、鎖で縫い合わされた純白の大型の布。
「あら、鎖帷子ですの?まぁ幌馬車の装甲をあげるにはもってこいでしょうけれど」
 それを手に取って、使い方を把握するマーラー。それを見ていた村人達は、突如何もない所から物を取り出したマーラーの力を、驚愕の眼差しで見つめていた。
「世界には、貴方方の知らない事も沢山あるんですのよ?」
 そんな村人達にウインクを一つ残すと、馬車を包むほどの大きな鎖帷子(十数キロはありそうなサイズ)を軽々と運んでいく。
 村人達はそんな自称・非力な17歳、花もつぼみな乙女のマーラーを、今度は別の意味で驚愕した眼差しで見送っていった。

「まずは整備、最低でも十分な強度を確保したいからな」
 ペンチは馬車の状態を確認し、そして破損した部位をガジェッティアの能力を生かして修繕していく。
 グルクトゥラが追加した車輪にサスペンションを付け、全ての車輪が必ず接地するように調整を施し、蒸気魔導技術を駆使してパワーアシストのための装置を組み立ててそれを取り付けたりと、ペンチはせわしなく動き回っていた。
「ふぅ、あれ?」
 一息ついて身体を動かしていたその時、ペンチの視界に馬車の完成を待つ村人の姿が入る。
 地面に座り込み、相当疲れが溜まっていたのかその場に横になって寝転んで居る村人さえ居た。
「……あんな事があったんだ。そりゃ疲れてるよな」
 村を同じ村人だった人に襲われ、住んでいた地を追われ、今まだ追っ手に追われているのに、未だ安住の地は見つからず。
 そして今、馬車の改造の為に何もする事がない状態で待たされているのだ。
 張り詰めていた緊張が解け、体調を悪くする者も出るだろう。
「俺も少しでも役に立てるかな?」
 馬車の改造はグルクトゥラもマーラーもやっている。けれど疲れた村人のケアは今のところ誰も出来ていない。
 それならば。
「……『It's show time!!』」
 思うが早いか、ペンチは己のユーベルコード・インスタントステージ(ショータイムダ)を発動する。
 自身が装備していた『Lighting multicopter』……舞台等で使う照明機器をドローンに組み込んだ灯体ドローンを複数個生み出すと、それらを疲れて眠る人々の下へ念で操りながら飛ばして、人々にスポットライトを当てる。
「な、なんだ!?」
 急に注がれるライトの光に村人達に動揺が走るも、ペンチは続けてもう一つのユーベルコードを発動させる。
「『Show must go on!!(ブタイヲトメルナ)』」
 発動すればその光は癒しの力を帯びていく。そうすれば、光を浴びた人々は次々に癒されていくだろう。
 村人達は身体が軽くなったのか次々に起き上がり、活力が漲ってきたのか、中には明るく笑いあう者も出てくる。
「良かった……」
 奥歯を噛み締めながら、術を発動し続けるペンチ。
 複数人同時の高速治療は、ペンチの身体に大きな負担と疲労感を齎す。
 それでも、絶望の淵に居た村人達を見て、そんな事は言えない。
 村人達が元気になっていったのを見届けて、ペンチは術を解除するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ガリヤ・アルディージャ
あなた達から感じるわ…失った平穏な暮らしへの憧憬、領主への悔恨の想い
私は未練の代行者…その思いを引き受けましょう。大丈夫、あなた達の物語はここで終わらないわ

人数の規模にもよるけれど…下手に隠れるよりは、馬車を活かしてとにかく距離を離した方が良さそうね
カムビに乗って、進行先の偵察、進みやすい道を探しましょう
見つかると面倒だから…あんまり高くは飛ばないでね、カムビ
村の外に詳しい人がいるなら、一緒に乗ってもらって案内をしてもらいましょう

死霊の未練を感じ取るために、【第六感】も活かして
追っ手の気配が感じ取れたら、待ち構える場所も品定めしておきましょう
森の中みたいな…大人数が戦いにくい所がいいわね




 馬車の改造も進み、ペンチのユーベルコードで体力や気力が回復しても、それでも拭えないそれをガリヤ・アルディージャ(未練の代行者・f05648)は感じ取っていた。

「あなた達から感じるわ……失った平穏な暮らしへの憧憬、領主への悔恨の想い。私は未練の代行者……その思いを引き受けましょう。大丈夫、あなた達の物語はここで終わらないわ」

 村人が感じているもの。
 それは『未来への不安』や『仲間を救えなかった悔恨』など。
 身体の傷が癒えても、簡単には消えてくれないもの。

「だから……『一緒に舞いましょう、カムビ』」
 村人達の不安を一つでも消すために。
 ガリヤはユーベルコードを発動し、碧落を越える大鷹・カムビを招来し、その背にひらりと舞い乗る。
「見つかると面倒だから…あんまり高くは飛ばないでね、カムビ」
 その声を理解しているのか、カムビは小さな声で返事をした。
 最初は誰か村の外に詳しい人がいるならとも思ったが、村から大分離れたこの地の事を知る者はそう居ないだろうと、ガリヤはカムビに跨って空へと舞い上がった。

 空から見るこの先の景色は、わずかな森や水場などは見えてもそれ以外は荒野の様で、深い森や岩山といった追っ手から隠れるのに適した場所は、ガリヤの視界には見当たらなかった。
「これだと下手に隠れるよりは、馬車を活かしてとにかく距離を離した方が良さそうね。この先の事は分かったわカムビ。皆の所に戻りましょう」
 そうカムビに指示を出すと、カムビも方向転換をして元の場所に戻ろうと旋回する。
「……あら?」
 追っ手の居場所、死霊の未練を感じ取るために第六感を働かせていたガリヤは、村人達の元へ戻ろうとした時にふと嫌な感覚を覚える。
「カムビ、このまま進んで」
 追っ手の気配かと、何か嫌な感じを覚えたガリヤはそのまま元の場所に降りる事はせず、その先の追っ手の気配を探りながら村の方角へと飛んでいく。
「気のせいであって欲しいのだけど……」
 異様に近いような感覚にガリヤは呟く。けれどガリヤが見たのは、馬車が止まっている場所から数刻もしない様な場所を動く、数多くの追っ手の姿。
「ここまで来ていたのね……カムビ、戻って」
 急いで場所を移さなければ、追い付かれてしまう。
 追っ手の進軍を伝えるため、ガリヤは急いで仲間達の下に戻ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。全員は助けられない…か
死者の弔いと吸血鬼を狩るのは、後でもできる
今は目の前の彼らを救う事を考えないと…

私は【常夜の鍵】から物を出し入れする姿を見せUCの説明を行い、
彼らが了承すれば馬車ごと村人達を中に入れ匿えるようにする

…速度が遅くて追いつかれるなら、軽くすれば良い
幸い、私には荷物運びに便利な術がある…

脚部の怪力を機動力に変え、安全な場所まで駆け抜ける
その後、自身の生命力を術式に吸収して魔力を溜め、
第六感に訴えて存在感を隠す呪詛を周囲に付与し、馬車や村人を外に出す

…認識阻害の結界。この中に居れば獣の心配は無い

後は万が一、結界が破られれば逃げるように告げ
大量の保存食をその場に置いて村へ戻る




 ガリヤが齎した「敵が迫っている」との情報は、一気に村人達に混乱を起こさせた。
「なんだよ!ここまで来たのに!」
「もう駄目なのか?」
 馬車の改造が終わっても、進む場所なんてない。
 目的地がなければ、このまま遠くへ逃げ続けるだけしか出来ない。
 次々に上がる悲痛な叫びに、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はふむ、と思考を働かせる。
(全員は助けられない……か。死者の弔いと吸血鬼を狩るのは、後でも出来る。今は目の前の彼らを救う事を考えないと……)
 追いかけてくる村人は救えない。それはこの世界に転移してくる前にグリモア猟兵に聞いた事。
 ならば救える村人は救わなければ。
(……速度が遅くて追いつかれるなら、軽くすれば良い。幸い私には荷物運びに便利な術がある……)
 よし、と覚悟を決めたリーヴァルディは、喧騒の中に歩を進めていく。
「少しいいだろうか?」
 混乱する村人に話し掛けるリーヴァルディ。
 今までの猟兵の活躍で、ここに居る村人達は猟兵は味方、猟兵なら何かしてくれるんじゃないかとの思いがあったのか、リーヴァルディが声を掛けた時、一斉に騒ぎの声は静まった。
「……私にはこういう力がある。この力ならば皆を隠して移動する事も可能なのだが」
 リーヴァルディはユーベルコード・常夜の鍵(ブラッドゲート)を発動させ、その中にある物を出し入れする姿を見せる。
 流石に超常現象すぎるか?とも思ったが、今まで散々ユーベルコードの超常現象を見てきた村人達は、素直に感嘆の声を上げる。
 こんな簡単に受け入れられて良いのだろうか、と逆にリーヴァルディが不安を覚えるが、それでも村人達の理解が早い事にはありがたい。
 そう思い直し、リーヴァルディはそのまま説明を続けた。
「……この中に皆を馬車ごと隠す。そして私が安全だと思った場所に皆を匿う」
 この辺りの地理は先程聞いた。人が生きていく上で必要な食料と水がある場所ならば暫くは安全だろうとの思いもあった。
 ざわざわと村人同士で話し合っているのだが、悩むだけの時間はない。
 馬車の中の村人を統率していた男が、分かったと了承したのを聞いて、リーヴァルディは馬車を飲み込ませる準備をする。
「『……開け、常夜の門』」
 リーヴァルディがユーベルコードを発動させると、村人や馬車を飲み込むかのように足元に描かれる魔法陣。
 そしてその魔方陣に飲み込まれるかの如く、馬車や村人達の姿は綺麗に消え去っていた。
「……さて、行くとしよう」
 脚部の怪力を機動力に変え、広い荒野を駆け彼女が目指したのは、獣の気配もあまりしない静かな森の中。
 敵の追撃も、獣の襲撃も避けながら辿り着いたその場所は、荒れ果てた荒野が続くダークセイヴァー世界の中においても、珍しい程に静かな場所だった。
 リーヴァルディが辺りを軽く探索するも獣の気配もあまり感じず、近くに小川も流れ、飲み水にも困らないだろう。
「ここならば大丈夫か……」
 それでも、万が一という事もある。自身の生命力を術式に吸収して魔力を溜め、第六感に訴えて存在感を隠す呪詛を周囲に付与する。
 ……彼女が生み出した、認識阻害の結界。
 全ての準備を整え、リーヴァルディは常夜の鍵(ブラッドゲート)の中から、馬車ごと村人達を外に出す。
 見慣れぬ場所に出た村人達は、最初困惑した相貌を見せるもリーヴァルディの姿を見て安堵の息を漏らす。
「認識阻害の結界を張った。ここに居れば獣の心配は無い。万が一結界が破られるならば、馬車でどこかへ逃げるように」
 一方的にそれを告げると、リーヴァルディは大量の保存食が入った袋を置いて村人達の下から去っていく。

 目指すは近くまで来ている追っ手の集団。

 そして、村に居るだろうオブリビオンの元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『朱殷の隷属戦士』

POW   :    慟哭のフレイル
【闇の力と血が染付いたフレイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【血から滲み出る、心に直接響く犠牲者の慟哭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    血濡れの盾刃
【表面に棘を備えた盾を前面に構えての突進】による素早い一撃を放つ。また、【盾以外の武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    裏切りの弾丸
【マスケット銃より放った魔を封じる銀の弾丸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 村人達を匿った森から数刻、大して離れていない荒野に彼らは居た。
 村人を殺すように命じられた彼ら。
 その瞳は虚空を彷徨い、その動きはどこまでも鈍足で。
 それでも猟兵達の姿を見れば『敵』として襲い掛かってくる。

 村を守ろうとオブリビオンに歯向かって殺された人達は救えない。
 グリモア猟兵は確かにそう言った。
 彼らを眠らせてあげる事が救いになると信じて、救われない人達を安らかな眠りに誘う為、猟兵達はその手に武器を携え駆け出すのだった。

 
満月・双葉
これは命ではない。
やれやれ、抜け殻は土に返しましょう…次の命に繋げる為に

他の猟兵と連携してことに当たります
地形を把握し死角を利用、援護射撃で撹乱して敵を掃討しやすい環境を作ります

忍び足や目立たぬ動きによる騙し討ち、早業による残像、多彩な攻撃で翻弄していきます
桜姫から衝撃波を放ち薙ぎ払い、大鎌への変形で吸血し、生命力を吸収する2回攻撃を放ちます
パパ直筆の御札からは恐怖を与える呪詛、同士討ちを誘発する催眠術
薔薇の涙を投擲し傷口を抉り
大根で串刺し
スナイパーを用いお兄ちゃんの銃で遠くからまたはゼロ距離で射撃

敵の攻撃は第六感や野生の勘で見切り、見切れないものは盾受けや武器受け、オーラ防御で防ぎましょう。


リーヴァルディ・カーライル
…ん。亡者とはいえ、彼らを傷付けるのは忍びない
手加減する気は無いけど…死者は傷付けない。その呪いだけを噛み砕く

事前に防具を改造。第六感を強化して精霊の些細な存在感を見切り、
彼らを鼓舞して魔法の制御を補助してもらう誘惑の呪詛を付与

…術式選択。魔術師の衣
闇の精霊、死の精霊。死した者に安息を与える為に、力を貸して…

私は後方から【限定解放・血の教義】を発動
自身の生命力を吸収して魔力を溜め
精霊使いの礼儀作法に則り精霊に助力を乞う
そして血塗れの鎧の傷口を抉って血を吸い取り
鎧の呪いを吸収する“闇の奔流”の2回攻撃で広範囲をなぎ払う

…大技を使う。退避して
もう誰も貴方達を傷付ける事は無い。眠りなさい、安らかに…




「これは命ではない。やれやれ、抜け殻は土に返しましょう…次の命に繋げる為に」
 満月・双葉(星のカケラ・f01681)は兄から受け継いだ銃を手に、高台から操られた戦士達の群れを眺める。
「……ん。亡者とはいえ、彼らを傷付けるのは忍びない。手加減する気は無いけど……死者は傷付けない。その呪いだけを噛み砕く」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)もその隣に立ち、オブリビオンに囚われし命を見やる。そして、隣に立つ双葉に視線を向けると、リーヴァルディは決意の籠もった声で告げる。
「……術を放つ。それまで時間を稼いで貰って良いか?」
「良いだろう」
 リーヴァルディの言葉に、双葉は即答する。
 そのつもりで来たのだと、双葉は銃と札を構えながら敵の群れへと駆け下りていく。


 地形を把握し死角から銃を撃ち抜き、大鎌を振りぬく早業による残像、札から与える呪詛や催眠術と、双葉は多彩な攻撃で敵を翻弄していった。
 だが統率のない隷属戦士達は、前の誰かが倒れても動揺もせずにフレイルを振りかざし、双葉目掛けて振り下ろす。
 それらを第六感や野生の感で回避し、それでも避けきれないものは武器で受け止めそのままの流れでゼロ距離で銃を撃ち抜く。
「はぁ、はぁ……」
 かなりのダメージを与えている筈なのに、倒れる気配のない隷属戦士達。
 息を切らしながら、大鎌・桜姫から衝撃波を放ち敵を薙ぎ払う。そのまま駆け寄り、大鎌で切り裂いて隷属戦士に与えられた生命力を奪い去る。
 戦士達と距離が開いたのを確認し、双葉は眼鏡を外して戦士達に視線を送る。
「『一緒に踊らない?』」
 その言葉は双葉のユーベルコードを発動させ、オーラで構成された虹色の薔薇の花弁が視線を向けた戦士達を包み込む。
 そして花弁によるダメージを受けている戦士達に、双葉は勢い良く大根を突き出した。


「……術式選択。魔術師の衣。闇の精霊、死の精霊。死した者に安息を与える為に、力を貸して……」
 双葉が時間を稼いでいる間、後方の高台からリーヴァルディは己のユーベルコード、限定解放・血の教義を発動させる準備を進めていた。
 自身の生命力を吸収して魔力を溜め、精霊使いの礼儀作法に則り、精霊に助力を乞う。
「『……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!』」
 リーヴァルディの言葉に導かれるように発動されたユーベルコード。リーヴァルディを取り巻くように巻き起こる黒い竜巻。
「……大技を使う。退避して」
 その異変を察知した双葉も、その声に頷いてその場を離れた。
 眼下に広がる隷属戦士達の群れ。
「もう誰も貴方達を傷付ける事は無い。眠りなさい、安らかに……」
 リーヴァルディが戦士達にそう告げると、鎧の呪いを吸収する“闇の奔流”を巻き起こした。

 黒い風が去った後、その場に居た戦士達は着せられていた鎧を壊され、その場に倒れ伏していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

西院鬼・織久
【POW】
【心情】
守るべきものを守れず自らの手で殺さねばならぬ
その身を縛る呪いと慟哭、全て喰らい尽くしてやろう
我等が怨念と交わり糧となるがいい

【同行】
呼称:ベリザリオ(f11970)

【行動】
「視力」で集団全体を把握
不測の事態にも備えて「第六感」を働かせる
基本は攻撃特化。ベリザリオと互いを邪魔しないよう立ち回る

【戦闘】
「先制攻撃」は「殺意の炎」による「範囲攻撃」で牽制
「ダッシュ」で接近し勢いと「怪力」を上乗せした「鎧砕き」
損傷個所に「二回攻撃」で「傷口をえぐる」「串刺し」
敵が集まってきたら「影面」で近付いて来た一体を拘束。「怪力」で振り回して周りに叩きつける
そこに「なぎ払い」「殺意の炎」で追撃


ベリザリオ・ルナセルウス
●目的
織久(f10350)と一緒に戦う
もう二度と彼等が同じ人の血で汚れる事がないように【祈り】を捧げよう
【覚悟】しよう。私は贖罪のため、守るためにこの手に剣を取ったのだから

●戦闘
織久は何を言おうが突っ込んで行くから私はそのサポートに徹しよう
彼が孤立しないように取り囲もうとする戦士を中心に【鈴蘭の嵐】で撹乱する
止まらないなら織久の背後を守るために盾や剣で攻撃を防ぐ
味方を【鼓舞】しながら敵視を集めておびき寄せていこう
【無敵要塞】は動けなくなるが、集中攻撃がきたら躊躇わず使う
私が的になればその分織久が自由に動けるからね
危険な時は【生まれながらの光】もあるが、これは疲労と引き換えだから奥の手だ




 ぞろぞろと歩む隷属戦士達の群れ。その群れを見ながら、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)は沈痛の表情を浮かべる。
「……もう二度と彼等が同じ人の血で汚れる事がないように、祈りを捧げよう。そして覚悟もしよう。私は贖罪のため、守るためにこの手に剣を取ったのだから」
 人に戻る術の無い彼らを思い、そして救うためにとベリザリオはその手に武器を構える。
「守るべきものを守れず、自らの手で殺さねばならぬその身を縛る呪いと慟哭、全て喰らい尽くしてやろう。我等が怨念と交わり糧となるがいい」
 集団全体を見回し戦局を把握すると、ベリザリオと共に居た西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は己が武器を手に、単身敵陣へと飛び込んでいく。
「織久!」
「『我等が怨念尽きる事なし』」
 ベリザリオが止めるのも聞かず、織久は駆けながらユーベルコードを発動させる。
 黒い炎が先制攻撃だと言わんばかりに敵陣の先端を包み込み、ダッシュで接近した勢いそのままに、織久が力を籠め振り下ろしたその武器は、目の前に居た隷属戦士の鎧の一部を砕いた。
 そのまま手を止めずに、織久はその損傷個所目掛けて武器を振り下ろす。鎧の損傷を広げるように武器で串刺しにし、手首を返し武器を抜き取れば隷属戦士はそのまま地に崩れ落ちる。
 その一体を倒した時に、織久の背後から振り下ろされる隷属戦士のフレイル。
「『鈴蘭の嵐』」
 振り下ろされるフレイルを避け、回し見る辺りに居る敵の数に別のユーベルコードで敵を捕縛しようとした織久の視界に、鈴蘭の花びらが舞い散るのが映った。
 その花びらは織久の周りを取り囲み、花びらが舞い散るが如く辺りの敵を切り裂いた。
「大丈夫か、織久?」
 聞こえてきた声に織久が視線を向ければ、敵陣を割いて駆け寄ってきたベリザリオの姿。ベリザリオはそのまま敵を切り捨てながら、織久の背後を守るように立ち位置を決める。
「……邪魔はしないのでは?」
「織久は何を言おうが突っ込んで行くからな、私はそのサポートに徹しようと思って」
 織久の言葉に、ベリザリオがはっきりと答える。織久が一人で突撃してからも、孤立しないように取り囲もうとする戦士を中心に、ユーベルコード・鈴蘭の嵐で撹乱してきたが、それでも織久を取り囲む戦士達から織久を守るために前線に来たのだ。
「……そうですか」
 敵の攻撃をほぼ一人で捌きながら言うベリザリオに、織久は憮然に返す。ベリザリオがここに来たのでは大技が使いにくいと、苦虫を噛み潰した様な顔を浮かべる織久。だが。
「織久なら出来るだろう?」
 困惑する織久に、ベリザリオが笑顔で優しく告げる。
 何を、とは言わない。それでもその意味を悟り織久はこくりと頷くと、ダッシュで敵の群れの輪の中から駆け出していく。
「さぁ!私を倒せるものなら倒してみるがいい!」
 走り去る織久から意識を逸らさせる様に、ベリザリオが隷属の戦士達に向けて声高に叫ぶ。
 そうすれば敵の意識はベリザリオに向けられる。振り上げられたフレイルは、ベリザリオ目掛けて振り下ろされる。
「それでいい。私が的になればその分織久が自由に動けるからね」
 敵からの集中攻撃を一点に引き受けるベリザリオは、ユーベルコード・無敵要塞を発動させていた。
「後は、織久が……」
 織久の去っていった先を見ながらベリザリオはその時を待っていた。

「『我等が怨念尽きる事なし』!!」
 敵の群れを薙ぎ払いその中心から走り去り、敵の輪の中から飛び出すや否や、織久は敵の群れへ向けユーベルコードを発動させる。
 発動し、漲らせた殺意の炎は、敵の群れ全体を黒い炎で焼き払う。
「ガ……ァ」
 火力の高い黒い炎に焼かれ、隷属の戦士達は炎に包まれながら次々と倒れていく。
「はぁ、はぁ」
「流石だな、織久」
 動くものが無くなって、織久が息を整えて全てを燃やし尽くした黒い炎をかき消せば。

 そこには無傷のベリザリオが立っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガリヤ・アルディージャ
"救えない"って断言してたわね、あのグリモア猟兵…
私の誇りが許さないわ。ならば救ってみせましょう、未練の代行者の名にかけて

他の人の攻撃によって瀕死になった村人の元に寄るわ
射撃を受けないためにできるだけ主戦場からは離れているべきね…

彼女の呪詛に、正面から【執せよ、魂】で挑むわ
村と、家族と、友人を護る為に戦った、貴方達の崇高な魂…
それは理不尽な運命に呑み込まれるほど弱いものだったの?違うでしょう?
エピローグは、貴方達の手で紡ぐのよ

立ち上がったら、あなたと同じ様に苦しんでいる他の仲間を連れてきて
同じことをできるだけ繰り返して…可能な限り多くの人を救うのよ

さあ、帰りましょう。あなた達の故郷に




「"救えない"って断言してたわね、あのグリモア猟兵……。そんなの私の誇りが許さないわ。ならば救ってみせましょう、未練の代行者の名にかけて」
 ガリヤ・アルディージャ(未練の代行者・f05648)はグリモア猟兵に告げられた予知を覆すべく、他の猟兵の攻撃によって戦場で倒れ伏した村人の元に駆け寄った。

「ここは危険ね。少し距離をおきましょう」
 他の者の攻撃を受けない様に村人の身体を戦場から遠ざけて、そこでガリヤは既に命を落とした村人に向け、ユーベルコード・執せよ、魄(シュウセヨ・タマシイ)を発動する。
「諦めきれないのでしょう…? なら、朽ちる前に抗いなさい…あなたのその手で」
 ガリヤは必死に声を掛ける。死亡した対象を未練に応じて強くするこのユーベルコードで、彼らの抱える未練を解放する為に。
「村と、家族と、友人を護る為に戦った、貴方達の崇高な魂……。それは理不尽な運命に呑み込まれるほど弱いものだったの?違うでしょう?エピローグは、貴方達の手で紡ぐのよ」
「う、う……」
 そのユーベルコードに応じる様に、死んだ村人達は立ち上がる。
「あなたと同じ様に苦しんでいる他の仲間を連れてきて。同じ事を出来るだけ繰り返して、可能な限り多くの人を救うのよ。……帰りましょう。あなた達の故郷に」
 ガリヤの言葉に従うように立ち上がった村人達は、未だ囚われている隷属戦士の下へ向かう。
 しかし起き上がった村人も辿り着くや否や、隷属戦士に振り下ろされたフレイルに押し潰され、ただの肉塊となった。
 そしてその身体は、そのまま起き上がる事は無かった。
「……え?」
 その光景に、ガリヤは呆然となった。
 他に目覚めさせた村人も、仲間を連れ戻そうと隷属戦士に向かって行って、ある者はそのフレイルに潰され、またある者はその棘の付いた盾に貫かれ、別の者は手にした銃に撃ちぬかれて、誰もがそのまま起き上がる事はなかった。
「どうして……」
 ガリヤは呟く。このユーベルコードは、戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【抱えている未練に応じて強くなる死霊】に変えて操るもの。
 村人達に未練が残っていたのなら、救えたのかもしれない。
 彼らの抱えた、抱えていた未練はきっと、初めに殺されゼラの配下とされた時に消え去ってしまったのだろう。

『……殺された村人達は、もう救えない。それでも彼らの守りたかったものを守って、彼らを眠らせてあげる事が彼らに対して最後に出来る事だと思ってる』

 こうなる事も、グリモア猟兵である彼は予知していたのだろうか?
「彼らの未練が消えてしまう前に……もっと早くに救えていたなら……」
 立ち上がりながらも隷属戦士に倒れさていく村人を見ながら、ガリヤはその胸に、彼らに再び仲間を殺させてしまった後悔と、それでもまだ彼らを救えるのでは?という未練を抱えながら呟くのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユリウス・リウィウス
さあ、もう一度遊んでくれよ、おまえら。
血統覚醒をした上で真の姿を現し、黒風鎧装。
漆黒の旋風で攻撃を弾きながら、一人ずつ殺し直してやる。
悪い夢もこれで終わりだ。

戦闘中は「吸血」と「生命力吸収」で死人どもに与えられた仮初めの生命を奪いながら、継戦能力を維持。
「傷口をえぐ(る)」って、黒剣で奴らが着せられた甲冑を破壊する。
奴らに連携も何もないのは分かってる。突出してきた個体から壊させてもらうぞ。
人を止めた者同士、今度は最後までやり合おうぜ?

真の姿:全身を板金鎧とも拘束具ともつかない黒い装甲で覆われた『人型の鉄塊』。あちこちに鋭い棘が生えている。肌は見えず、兜の眉庇から爛々とした赤い眼光が漏れるのみ。


マーラー・ジュウナナサイ
香坂・翔さん、ユリウス・リウィウスさんと参加

命ではないモノにかける情は、わたくし持ち合わせておりませんわ
死霊術士がそのような情など持っていては、命にかかわりますもの

皆さんの後方で、【リザレクト・オブリビオン】の騎士を操ります
蛇竜は絶対に召喚しませんわ
騎士には、重さを活かした長剣での攻撃をさせますけれど、
真の目的は敵のフレイルやマスケットの予備動作を【見切り】、
【2回攻撃】で騎士を味方と敵との間に割り込ませ、
攻撃を受けさせることですわ

ダメージで騎士は消えるでしょうけれど、また出せばよいだけのこと
うふふ、いくらでも新品の次がありますのよ

わたくしは趣味の人間観察がてら、敵の動きを観察しておりましょう


香坂・翔
ユリウス、マーラーと一緒に行動

防衛はマーラーに、攻撃をユリウスに任せるなら俺がすべきは妨害かな
咎力封じで敵の動きを封じてくから、切り捨てちゃって!

迫られたらブラッディランスで突き刺したり技能で反撃するよ

……俺はお前達を倒すよ。
俺の大事な人が、それを願ったんだから。
だから俺はそれを叶えるよ
だから、お休み




「防衛はマーラーに、攻撃をユリウスに任せるなら、俺がすべきは妨害かな?」
 うーんと悩みながら香坂・翔(人間の咎人殺し・f03463)はユーベルコードを発動し、敵陣へ突っ込んでいく。
「当たるかなー?えいっ!」
 その手には【手枷】【猿轡】【拘束ロープ】の拘束具。一体の隷属戦士目掛けて投げつける。手枷と猿轡は回避されたけれど、その身体に巻きつく拘束ロープ。
「お、当たった」
 けれどそれは複数居る敵の一体の動きを、ほんの少し鈍らせたに過ぎない。もう一回!と翔はユーベルコードを発動させ、新たな拘束具を生み出す。
 それらを再び投げつける前に、隷属戦士の盾刃が翔を目掛けて突きつけられた。
「へへーんだ!届かないよ!」
 けれど翔は、『誰か』の後ろに隠れる事でそれをやり過ごした。

「命ではないモノにかける情は、わたくし持ち合わせておりませんわ。死霊術士がそのような情など持っていては、命に関わりますもの」
 マーラー・ジュウナナサイ(17歳ぴっちぴちギャル・f00029)は仲間の背後、戦場から少し離れた安全な後方から、ユーベルコード・リザレクト・オブリビオンを発動させる。
「さあ、皆さんを守る盾になりなさい。ダメージで騎士は消えるでしょうけれど、また出せばよいだけのこと。うふふ、いくらでも新品の次がありますのよ」
 マーラーのユーベルコードで呼び出された死霊騎士は、与えられた命に従い戦場へと向かっていく。
「さて、わたくしは趣味の人間観察がてら、敵の動きを観察しておりましょうか」
 その言葉通り、安全な場所から戦場を見渡すマーラー。けれどもその騎士は、敵の群れの中で何度か敵の攻撃を受け止めると、その姿を消していく。
「あら……早すぎません?」
 早くに消え去った騎士に、弱いですわね。と息を吐くとマーラーは新たな死霊騎士を呼び出して護衛に向かわせる。
 それでもまた消え去っていく騎士。流石に消え去るのが早いと感じ、マーラーはその理由を探る。
 そして見つけた。その元凶は、共に同行していた翔にあった。
 観察がてら敵と騎士の動きを見ていれば、視界に入るその周りをうろちょろと飛び回る翔の姿。
 翔は敵に拘束具を投げつけ、敵からの反撃があれば死霊騎士の後ろに隠れて、その攻撃を肩代わりさせていた。そしてその後ろから持ち前の槍で隷属戦士を貫く。時に、翔の護衛をしている筈の死霊騎士も道連れにして。
「これじゃ消えるのが早いわけですわ」
 翔のある意味正しい死霊騎士の使い方にマーラーは笑って、今消え去った騎士の代わりとなる新たな死霊騎士を生み出した。
 その騎士も翔の盾としてすぐに消えるのだろう。
「これではゆっくり観察なんか出来ないじゃないですの」
 再び消え去った騎士の代わりの死霊騎士を、マーラーはひたすら生み出していくのだった。

「むー、効率悪いなー」
 文句を言いながら、翔はユーベルコードで生み出した拘束具で隷属戦士の動きを封じ込め、ブラッディランスで敵を鎧を貫いていく。
 それでも甲冑に大ダメージを与えるといった、これという絶対の一撃を持たない翔には、鎧にひびを蓄積させていくしか出来ない。
 突進される盾刃の攻撃は、マーラーの生み出す死霊騎士が肩代わりしてくれているとはいえ、それでも翔の疲労は大きくなりつつある。
「……それでもさ、俺はお前達を倒すよ。俺の大事な人が、それを願ったんだから。だから俺はそれを叶えるよ」
 すぐに果たす為には、今は力が足りなくても。
 それでもその願いを叶える為に翔は愛用の槍・ブラッディランスを構える。

 隷属戦士の攻撃で、目の前に居た死霊騎士は消え去った。
 開けた視界に入るのは、今までの攻撃でぼろぼろになった隷属戦士。

「だから、お休み」
 バイバイ、と小さな声で呟いてから、隷属戦士を包む甲冑の中でも特にひびの大きい部分を狙って、翔は渾身の力を籠めて突き上げた。
 貫かれた甲冑は粉々になり、隷属戦士はそのまま倒れ伏し、二度と起き上がる事は無かった。


「さあ、もう一度遊んでくれよ、おまえら。一人ずつ殺し直してやる。悪い夢もこれで終わりだ」
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は、先程戦えなかった鬱憤を晴らすかのごとく隷属戦士達に宣言すると、ユーベルコードを発動して、その瞳を血の如く赤く染め上げヴァンパイアへとその姿を変える。
 そしてそのまま先程得た力を使って真の姿……全身を、板金鎧とも拘束具ともつかない黒い装甲で覆われた『人型の鉄塊』へと変えていった。
 その姿はあちこちに鋭い棘が生え、肌は見えず、兜の眉庇から爛々とした赤い眼光が漏れるのみ。
「さあ、始めよう」
 その言葉と共に、空にまで舞い上がるほどの漆黒の旋風を巻き起こすユリウス。
 ユリウスの巻き起こしたその風は、隷属戦士達の攻撃を弾きながら、隷属戦士達の血とゼラから与えられた生命力を奪っていく。
「これだけでは終わらんぞ?」
 ユリウスの手にした黒剣で、隷属戦士が着せられた甲冑を真の姿になり上昇した力をもって破壊する。
 連携も何もない、目に付いた者から貫き打ち砕く姿はさながら狂戦士のようで。
「人を止めた者同士、今度は最後までやり合おうぜ?」
 その瞳はどんどん人ならざる色に染まっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ペンチ・プライヤ
引導を渡そう。俺は綺麗な戦いは出来ないけど、許して欲しいな。

「お前達の舞台は終わったんだ、本当にかっこよかった。後は俺達に任せて休んでくれ。」

敵の妨害と、他の猟兵のサポート

インスタントステージで灯体ドローンを複製、steam generatorで蒸気を周囲に撒く

A part of the scenarioで攻撃を読む、突撃してきたら、足元にsteam statueで彫像を作り転ばせる。銃弾は彫像で受け流す。

錬成カミヤドリでペンチを増やし、フレイルの鎖部分を掴み自由にさせない。

テンションが上がるなら、灯体ドローンで猟兵達を照らし出す。大きな負傷にはshow must go onで回復をする


グルクトゥラ・ウォータンク
一先ず村人を逃がすことには成功したのう。ならば次はオブリビオンに捉われた奴らを解放してやらねばならんな。

ガジェットボールズバタリオン、オープンコンバット。誤射を避けるため使用兵装は近接武器のみとして完全自律行動、味方以外全て殲滅じゃ。フレイルやメイス、ハンマーなど鈍器を展開、【武器改造】で鎧ごと叩き潰すことに特化させる。目的は味方のサポート、狙う部位は機動力を削ぐ脚。
あとは手持ちの肉と酒をかっ喰らい自身を【吞海喰地の大宴会】で強化、真っ正面から殴りあいをやってやるわい。
結構頭にきとるからなわし。この怒りはオブリビオンに叩き込むまで消えはせんぞ。覚悟しておけ。


八剱・忍
ここまで来たなら、村の皆をきっちり守りきってみせるで!

何事も先手必勝や!他猟兵と連携して、こっちから、仕掛けるで!
敵陣切り込んだら、スキル「見切り」で敵をかわしつつ、スキル「なぎ払い」で、敵を斬り捨ててくわ!

さらに深く敵陣踏み込んで、あえて敵に囲まれたら、ユーベルコード 「黒き斬瘴」で一気に決めるで!

「全部たたっ斬ったる!覚悟しいや!!」

これで敵陣崩せればええな!




 今までの戦いであらかた倒されたとはいえ、目の前には未だ立ちはだかる隷属戦士達。
 オブリビオンが待つ村まではあと少し。
 やり方によっては、彼らを振り切って先に進む事も出来ただろう。
 それでも、目の前に居るオブリビオンに囚われたままの命を眠りに就かせるため、ペンチ・プライヤ(工具による光と蒸気の空間芸術・f02102)は武器を手に取る。
「引導を渡そう。俺は綺麗な戦いは出来ないけど、許して欲しいな」
 ペンチはそう言いながらアイテム・steam generatoを取り出すと、敵を包み込むように蒸気を周囲に撒き散らした。

「一先ず村人を逃がすことには成功したのう。ならば次はオブリビオンに捉われた奴らを解放してやらねばならんな」
 グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)もまた、隷属戦士を見ながら呟く。
「ここまで来たなら、村の皆をきっちり守りきってみせるで!」
 グルクトゥラの隣で八剱・忍(黒の囀り・f13028)も覚悟を決めて、隷属戦士達を見やる。
 数はそこまで残っていない。それでも、無視するわけにもいかない。
「何事も先手必勝や!連携して、こっちから仕掛けるで!」
 そう叫ぶと、忍は敵の群れ目掛けて走り出す。
「全部たたっ斬ったる!覚悟しいや!!」
 そうして忍も蒸気に包まれる敵陣へと突っ込んでいく。

「お前達の舞台は終わったんだ、本当にかっこよかった。後は俺達に任せて休んでくれ」
 ペンチはユーベルコード・A part of the scenarioで敵の攻撃を読み、突き出される盾刀の攻撃をかわしていた。
 避けるだけでは戦士達が止まらないのも分かっている。
 ペンチはユーベルコード・steam statueを発動させ、先程撒き散らした蒸気を固体へと変え、地面に障害物を生み出す。
 それが隷属戦士の足を絡め地に縫い付け、その機動力を奪った。
「たあああ!」
 足を絡め取られても、それをフレイルで破壊して進もうとする隷属戦士達を、駆け出していた忍がなぎ払っていく。
 敵陣を切り裂く様に切り込み、隷属戦士が振り上げるフレイルの軌道を見切り、そのまま攻撃をかわしつつ敵陣の中央まで走りこんでいくと、忍はその場でユーベルコードを発動する。
「『全部ぶった斬ったる!』」
 発動されたユーベルコードは、漆黒の瘴気を纏った目に見える斬撃を放ち、辺りを無差別に切り裂いた。
 それは周囲に居た隷属戦士だけでなく、その場を包んでいた蒸気すらをも消し去るほどの威力だった。

「かかか、子供達も派手にやるのぉ」
 敵を包んでいた蒸気が消え失せ、グルクトゥラの視界に広がった戦場。かなりのダメージを受け、動きがぎこちなくなっている隷属戦士達とそれに相対する味方という状態。
 敵味方が入り乱れるその場を確認し、グルクトゥラも戦局を把握すると、ユーベルコードを発動させる。
「ガジェットボールズバタリオン、オープンコンバット。誤射を避けるため使用兵装は近接武器のみとして完全自律行動、味方以外全て殲滅じゃ」
 そうして召喚される、側面装甲に「1」と記された一体の戦闘用コマンダーボールズと、それに従う三体の小隊ボールズ達。
「フレイルやメイス、ハンマーなど鈍器を展開、武器を改造し鎧ごと叩き潰すことに特化させる。目的は味方のサポート、狙う部位は機動力を削ぐ脚……じゃな。行け」
 指示を出せば、それに従い動き出すボールズ達。
「さてと」
 召喚したボールズ達が戦場で共に戦いだしたのを確認し、グルクトゥラは荷物から肉と酒を取り出して、それを戦場で食べ、呑んでいく。
 グルクトゥラのユーベルコード・呑海喰地の大宴会(グレート・ドワーヴン・リチュアル)の効果で、がっつりと食べきったその肉と酒はグルクトゥラの肉体を強化していく。
「これで良し。真っ正面から殴りあいをやってやるわい」
 元の体格から一回りも二回りも大きくなったグルクトゥラは、そのまま味方の元へと駆け寄り、その豪腕を振り下ろした。
「ふぬぅ!」
 その一撃はぼろぼろになっていた隷属戦士の甲冑を打ち砕き、地に伏せた。
 それに負けじとペンチも新たな蒸気を満たし彫像を生み出すと、隷属戦士の銃撃から仲間を守り、忍も敵の動きを見切りながら、隷属戦士の懐に入り込んでその武器を薙ぎ払う。
 そうして最後の一体が倒れるまで、三人は連携を取りながら倒していくのだった。


 ドサリと最後の一体が倒れると、ペンチは息を切らしながら辺りを見回した。
「これで……囚われていた人達は解放出来たんだろうか」
「だと……ええんやけどな」
 忍も辺りを見回すが、向かってくる隷属戦士の姿はどこにも見えず、また倒れている戦士達が起き上がってくる気配もない。
 戦いは終わったと、ペンチと忍は息を吐きその武器を仕舞う。
 けれどもグルクトゥラだけはまだ、戦意を解き放っていなかった。
「どしたん?戦は終わったろ?」
「終わってなかろう。あそこに……まだ居るじゃろう」
 忍の言葉に、グルクトゥラは怒りを隠さぬまま答える。
 グルクトゥラが見据える先には、荒野の中に佇む、人の気配のしない一つの村。

 倒すべきオブリビオン・ゼラが待ち構えている、今回の目的地。

「結構頭にきとるからなわし。この怒りはオブリビオンに叩き込むまで消えはせんぞ。覚悟しておけ」
 グルクトゥラの言葉に、ペンチも、そして忍も気を引き締める。

 そう、まだ何も終わってはいない。
 あの村に居るゼラを倒さぬ限り、この悲劇はまたどこかで起きるのだ。
 ゼラを倒し、避難させた村人達がまたこの村に戻れるようにと、最後の戦いに赴くべく、猟兵達は村へと歩を進めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 やっと辿り着いた村に入り辺りを見回せば、視界に入るのはあちこち壊された建物と、噎せ返る程の血の匂い。
 人気のない村の中を歩いていけば、かつては村人達が集まる広場だったのだろうか、少し開けた場所に黒いフードを被った黒ずくめの少女が一人退屈そうに立っていた。

 その少女こそ、捜していたオブリビオン・ゼラだ。

 その存在を倒すべく猟兵達が奇襲の構えを取る前に、猟兵の存在に気付いたゼラは、「あら?」と不思議そうな声を上げた後、何がおかしいのかくすくすと楽しげに笑い始める。
「あらあら、こんな所に猟兵が居るなんて。もしかして、何の罪もない村人達を殺してここまできたのかしら?猟兵って残酷な事をするのね」
 何の罪もない村人……ゼラに殺され操られ、生きている村人を殺すように動かされていた戦士達の事だと、猟兵達はすぐに理解した。
 誰かが反論する前に、ゼラは楽しげに笑った後で猟兵達に不敵の笑みを浮かべる。

「そして今度は私が憑依した『この少女』も殺すのね?猟兵って本当、残酷な事するのねぇ」

 楽しげに告げられたその言葉に、一部の猟兵は絶句する。それが真実か否かは知る術などない。それでも、他人の自我を消し操る術を持つゼラの事、それが嘘だとは誰も言い切れない。
 それでも、ゼラを倒さねば悲劇はどこまでも繰り返される。
「ふふ、さあいらっしゃい。貴方達も私の操り人形にしてあげる。それとも『第二の私』になりたいかしら?」
 ゼラはそう言うと、手にした大鎌を構えるのだった。
満月・双葉
貴女も命でしょうが様はありません。
未来ある命を置いて逝ってください。

連携を重視
地形を把握し、死角利用を心掛ける
攪乱により隙を作らせ先制攻撃により戦闘を有利に

ユーベルコード冥界の女王の怒りを前に使い相手を動揺させた後、お姉ちゃん…『力を貸して』

第六感や野生の勘を使い攻撃を見切るか、オーラ防御や盾受け、武器受けで受ける

攻撃法はコロコロ変えて相手に把握させず予測も出来ぬように

パパ直筆の御札は恐怖を与える呪詛や催眠術
桜姫による傷口を抉りつつ吸血する攻撃から、大鎌に変形させで衝撃波で薙ぎ払い吹き飛ばす2回攻撃
大根で串刺し
本を投擲
スナイパーを利用し銃で狙撃
零距離射撃もしますよ

虹瞳による生命力吸収もね




『ふふ、さあいらっしゃい。貴方達も私の操り人形にしてあげる。それとも『第二の私』になりたいかしら?』
 くすくすと楽しげに呟かれたゼラの言葉に、満月・双葉(星のカケラ・f01681)は己が武器を手に立ち向かう。
「貴女も命でしょうが用はありません。未来ある命を置いて逝ってください」
「あらあら、怖い事言うお嬢さんね」
 眼鏡を外し、裸眼でゼラを睨み付ける双葉。視線が合うならばその動きを封じ込められたのだろうが、ゼラが双葉を見る事は無かった。
 村の中を見回しながら、ただそこに佇むだけ。
「お姉ちゃん……『力を貸して』」
 ならば、と双葉はユーベルコードを発動させ、死した片割れを呼び起こす。顕現する双葉の双子の姉を見て、ゼラは漸く双葉に意識を向けた。
「そんな事も出来るのね。これでお揃いかしら?」
 双子の姉を顕現させた双葉に対してゼラが手を振ると、続々と召喚されていくゼラの眷属達。
「さあ、始めましょう」
 楽しげに振るわれたゼラの大鎌の攻撃を、双葉は建物の中に飛び込む事で回避した。
 そのまま壊された建物や、壁などの死角から攻撃を仕掛ける双葉。
 懐から札を取り出すと、恐怖を与える呪詛や催眠術をゼラに向けて発動させ、そのままゼラの懐に潜り込んで剣状の桜姫を突き出すも、それらは全てゼラの眷属達が受け止め、ゼラを守っていた。
「ふふ、届かないわね」
 ゼラはそう告げるのと同時に、甲高い声の衝撃波を放つ。
 少女の慟哭が双葉に襲い掛かるも、双葉の姉のフルートの音が同じ音の衝撃を和らげた。
 普通に攻撃しても眷属に庇われる。慟哭を受けて消え去った眷族を再び召喚するゼラに、ならばと桜姫を大鎌に変形させる。
 鎌を大振りし衝撃波を巻き起こせば、呼び出された眷属達は次々に衝撃波に刈られ、消えていく。
 再び眷属を呼び出される前に、兄に読んで貰った本を投げたり、銃で狙撃したりと、ゼラが新たな召喚を出来ない様に阻害する。
 双子の姉の笛の音が、ゼラの狂気を引き起こした一瞬で双葉はその懐に入り込む。
 突き上げた大根はゼラの黒衣を切り裂き、零距離で撃ち抜いた銃はゼラを貫いた。
 虹瞳で睨み付ければゼラの……ゼラが憑依した少女の命が自らに流れ込むのを、双葉は感じ取っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユリウス・リウィウス
血統覚醒、黒風鎧装。(姿は第二章の通り)こいつは速攻で潰さないとやべぇ。

ユーベルコードで戦闘力を底上げし、真の姿でゼラと相対する。

眷属召喚は俺が巻き起こす黒の疾風で叩き潰そう。
囚われの慟哭? 聞こえないな、そんなもの。俺が望むのはオブリビオンの断末魔ただ一つ。

となると、俺が最大限に警戒すべきは小さな十字架か。皮肉なものだな。
小さな十字架を警戒しつつ、黒剣の間合いでゼラを仕留めるべく全力を尽くそう。
オブリビオンの傀儡に「恐怖を与える」ことは出来るかな?
「生命力吸収」でゼラの体力を自分に取り込みつつ、「吸血」でさらなるドレインを。

今更撤退なんてしないよなぁ、おい?
きちんと葬ってやるからここで死ね。




「こいつは速攻で潰さないとやべぇな」
 真の姿を解放し、ユーベルコードで全身を、板金鎧とも拘束具ともつかない黒い装甲で覆われた『人型の鉄塊』へと変えたユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は、即座に漆黒の旋風で覆われる。
「ふふ、風に隠れてかくれんぼ?可愛らしい所もあるのね」
 まだまだ余力がありそうなゼラの言葉に、ユリウスは愛用の黒剣を突きつける。
「今更撤退なんてしないよなぁ、おい?きちんと葬ってやるからここで死ね」
「そう、貴方に私が葬れるといいけれど」
 何処までも挑発的な態度を崩さないゼラ。
 ゼラが巻き起こす甲高い少女の慟哭も、召喚された眷属もユリウスの漆黒の旋風を揺らがすだけで、ユリウスには届かない。
「慟哭など聞こえないな、そんなもの。俺が望むのはオブリビオンの断末魔ただ一つ」
「そう、残念ね。貴方にそれは聞けないものね」
 黒剣を振り下ろすユリウスの攻撃はゼラの大鎌に弾かれ、ゼラが持つ大鎌を警戒するユリウスも、大鎌の間合いへとなかなか飛び込めない。
 互いに相手の攻撃を防ぎながら、決定打を欠いていた。
 ユリウスは打つ手を探しながら、試しに召喚された眷属に恐怖を与えてはみるものの、その眷属が恐怖を感じたかどうかを判断する前に、旋風に巻き込まれ消えていく。

 仕方ないと、ユリウスは一気に間合いを詰める。
 黒剣の間合いへ、ゼラの射程範囲へ。

 ユリウスが振り下ろした渾身の一撃はゼラに確かな一撃を与え。
 ゼラがユリウスに向けすれ違いざまに放ったのは、警戒していた鎌ではなく、効かない筈の少女の慟哭。
 それもまた、接近してきたユリウスに的確な一打を入れていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ガリヤ・アルディージャ
私、貴女を越えられなかったわ。悔しくて指を噛み切ってしまったくらいよ…
でも感謝しているの。久しく忘れていた…怨嗟と怒りの感情を…貴女が思い出させてくれたから…
未練の代行者として、貴女を殺すわ

エズ、あなたはその大盾で眷属をひきつけて…私を守りなさい
アムール、あなたはエズがひきつけたり、他の猟兵に群がった眷属を、溜息でまとめて焼き払うの
私の未練と後悔、残された村人達の決して潰えぬ陰鬱な想い…せめて貴女が、全て吐き出してしまって

眷属が減ったら、【月を追う狼の招来】でハティを呼ぶわ
囚われた少女の慟哭、ここに集う猟兵達と私の怒り…全てあなたの大好物、そうでしょう?
その尾刀で彼女に引導を渡してあげて




 どこまでも楽しげに笑いながら眷族を召喚し続けるゼラ。そんなゼラを苦々しげに、ガリヤ・アルディージャ(未練の代行者・f05648)は睨み付ける。
「私、貴女を越えられなかったわ。悔しくて指を噛み切ってしまったくらいよ……」
「そう?それは何よりだわ」
 見ればガリヤの指からは血が滴り落ちている。それを見ながらゼラは満足げに微笑んだ。
「でも感謝しているの。久しく忘れていた、怨嗟と怒りの感情を貴女が思い出させてくれたから。……未練の代行者として、貴女を殺すわ」
「出来るかしら?貴女に」
 そう言うとゼラは再び眷属を召喚していく。そしてその数が十数体となっても、ガリヤは一切怯まなかった。
「『護りなさい、エズ』『聞いてあげるわ、アムール』」
 ガリヤはユーベルコードを発動し、死霊騎士・エズと死霊蛇竜・アムールを召喚する。
「エズ、あなたはその大盾で眷属を引き付け、私を守りなさい。アムール、あなたはエズが引き付けた眷属を、溜息でまとめて焼き払うの」
 ガリヤの言葉にエズは盾を構え、アムールは全てを焼き払うべく大きく息を吸い込んだ。
 動けぬガリヤを屠らんと、ガリヤ目掛けて飛び掛るゼラの眷属達。
「私の未練と後悔、残された村人達の決して潰えぬ陰鬱な想い……せめて貴女が全て吐き出して」
 ガリヤを狙う攻撃を盾で弾くエズを見ながら、ガリヤはアムールに告げる。
 ガリヤの思いを晴らすように、猟兵達の鬱憤を全て吐き出すかのようにアムールは焼け付く息を吐き出した。
 巻き起こる息はエズに纏わりつく眷属達を焼き払う。そこに残ったのは、ゼラただ一人。
「あら、なかなかやるわね」
「『おやつの時間よ、ハティ』」
 眷属をなくし新たな眷属を生み出す間も与えまいと、ガリヤは血塗られた狼を召喚する。
 負の感情に飢える狼は、今にも飛び掛らんばかりの勢いでゼラを睨み付ける。
「囚われた少女の慟哭、ここに集う猟兵達と私の怒り、全てあなたの大好物、そうでしょう?その尾刀で彼女に引導を渡してあげて」
 ガリヤの許しを得たハティは、その負の感情を力に尾刀をゼラ目掛けて振り下ろした。
「……っ」
 その尾刀はゼラを守る眷族が割り込んだ事もあって、ゼラを切り裂く事は出来なかったが、それでもそれを受け止める為に構えた大鎌には、大きな亀裂が入っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペンチ・プライヤ
(大切な人を手にかける話は沢山あるけど、近い立場になると覚悟が足りないなぁ)
残酷だとしても。お前ほどじゃないし。だからこそ自分でやるべきだと思うよ。

インスタントステージで灯体ドローン複製
steam generatorで蒸気散布

shock of sound、超高輝度プロジェクターでの目潰し、A part of the scenarioで妨害及び回避

steam statueにて巨大な握りこぶしの彫像を作り
機を見てそれでぶん殴る

こんな攻撃でごめんなっ!!

灯体ドローン使用でグラフィティースプラッシュで広範囲攻撃
show must go onでの回復
あと、誰かに光を当ててテンションをあげることができる




 村を守ろうと思った村人が村を襲う話、操られた少女が大切な人を傷つける話。
 このダークセイヴァー世界において、世の中に溢れる悲劇を思えば、それは決して珍しい事ではないのかもしれない。

 それでも、とペンチ・プライヤ(工具による光と蒸気の空間芸術・f02102)は思う。

 (大切な人を手にかける話は沢山あるけど、近い立場になると覚悟が足りないなぁ)

 部外者ならば何とでも言えるだろう。自分が当事者になった時真っ直ぐに正しい道を決断する事が、簡単な事ではないだろうとも思う。
「例え残酷だとしてもお前ほどじゃないし。だからこそ自分でやるべきだと思うよ」
 村を襲う村人を屠るのも、操られた少女がこれ以上の罪を犯すのを止めるのも。
 それを果たすべく、ペンチはsteam generatorを用いて辺りに蒸気を撒き散らす。生み出された蒸気はペンチを、そしてゼラの姿を蒸気の中へと隠していく。
「小賢しいまねを!」
 視界を奪うペンチの蒸気に、ゼラは甲高い少女の慟哭を撒き散らす。
 それは蒸気の中を揺れる様にして、ペンチに蒸気に隠れたゼラの居場所を伝えた。
 ゼラに見つかっていないのをいい事にsteam statueを発動し、蒸気を固めて巨大な握りこぶしの彫像を作り上げる。

(こんな攻撃でごめんな)

 心の中で少女に謝罪する。二度目の甲高い衝撃波。ペンチはそれを避けながら真っ直ぐにゼラへと近寄っていく。
 その姿が見えた時、ペンチは生み出した彫像をゼラへと振り下ろす。

 ペンチのその一撃がゼラを打ち抜き、ゼラは膝を付く。
 ペンチの生み出した彫像を真っ二つに切り裂きながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

八剱・忍
「残酷や思うわ。業の深いこっちゃで。でもな、それがうちらの稼業や。今さらそないな台詞でブレるほどヤワにはできとらへん」

大鎌をぶん、と大きくひと薙いで。

「あんたの大鎌がうちの魂を刈り取るか、うちの大鎌があんたの魂を刈り取るか、試してみよかっ!」

一気に距離を縮めるで。

スキル「残像」で相手を攪乱させながら大鎌を振るって、スキル「暗殺」で死角に回り込みつつまた大鎌を振るうで。スキル「二回攻撃」で手数を増やしていくわ。

「その娘にゃ悪いけど、ここでの悲劇はとあんたとその娘の命で打ち止めや。――いくで、断罪の大鎌」

とどめはユーベルコード「断罪の大鎌」で形残らんようなるまで斬り刻んだるわ。




「残酷や思うわ。業の深いこっちゃで。でもな、それがうちらの稼業や。今さらそないな台詞でブレるほどヤワにはできとらへん」
 八剱・忍(黒の囀り・f13028)は、膝を付き息を切らせ始めたゼラに対して大鎌をぶん、と大きくひと薙いでギッと強く睨み付ける。
「あんたの大鎌がうちの魂を刈り取るか、うちの大鎌があんたの魂を刈り取るか、試してみよかっ!」
「お前如きに、私の命が刈れるのか?」
 忍の言葉に先程同様に挑発するゼラ。しかしその言葉は弱弱しく、もはや虚勢にも聞こえる。
「試せば分かるやろ!」
 忍はそう言うと一気に距離を縮め、残像で相手を撹乱しながら死角に回り込みつつ大鎌を振り抜く。
 そんな忍の攻撃を同じく大鎌で返しながら、甲高い少女の慟哭で間合いを開かせるゼラ。
 それでも開かれた間合いをすぐに詰めなおし、忍はその大鎌を振り抜く。
「くっ……」
 振り抜いたその一撃がゼラを弾き、その衝撃でゼラはバランスを崩した。その隙を見て、忍は大鎌を持ち直す。
「その娘にゃ悪いけど、ここでの悲劇はあんたとその娘の命で打ち止めや。――いくで、断罪の大鎌」
 この隙を逃すまいと、忍はユーベルコードを発動させる。発動された魂を喰う大鎌による連斬がゼラを襲い、その身を、身を纏う黒衣を派手に切り裂いていく。
「が、ぁ……」
「あんたの魂、喰ろうたるわ」
 その斬撃が止まった頃、ゼラはぼろぼろになって立ち尽くしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリザリオ・ルナセルウス
●目的
少女が憑依されているだけなら助けられるだろうか?
織久(f10350)に協力してもらって少女を救おう
織久はどちらかと言うとローブが本体と睨んでいるらしい

●戦闘
まずはいつも通り織久のサポートだ
【鈴蘭の嵐】も使って敵視を集めて盾と剣で防御する
武器の大鎌を【武器落とし】で狙って攻撃を邪魔しよう
少女の体に致命傷を負わせては憑依がとけても助からない
織久はなるべくローブと武器を狙ってくれるが、彼の攻撃は基本容赦なしだ
危ないと思ったら【生まれながらの光】で癒す
織久の攻撃で敵の注意が私から逸れたらローブをはぎ取る
予想外れなら……終わらせよう
私の我儘に付き合わせて織久に余計な苦しみを味わわせてしまった


リーヴァルディ・カーライル
…ん。お前の戯れ言に耳を貸すつもりはない
宿主の生死がどうであれ、私のすべき事は何も変わらないのだから…

改造した防具で強化した第六感を頼りに敵の殺意の存在感を見切り【吸血鬼狩りの業】で攻撃を回避

そして敵の隙を突いて【限定解放・血の波涛】を発動
吸血鬼化した怪力を機動力に変えて敵の懐に潜りこみ、黒衣を掴んで生命力を吸収する呪詛の波動を黒衣のみを対象に放つ

薙ぎ払え…そして逆巻け、血の波涛…!

その後、周囲に拡散した呪詛が黒衣の呪い目掛けて追跡、収束し溜めた生命力を宿主に還元しながら傷口を抉るように黒衣のみを破壊する

…言ったはず。宿主の生死は関係無いと…

お前だけを滅ぼす術ぐらい、掃いて捨てるほどあるもの


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
少女を救う為に堪えろと
狩るべき敵を前にした我等に!
……いいでしょう
ただし、失敗した際には覚悟を
少女が二度と見れぬ姿になるやもしれません

【行動】
呼称:ベリザリオ(f11970)に協力
ゼラの黒衣を宿主から剥がす

【戦闘】
「先制攻撃」の「殺意の炎」は黒衣の表面に留まるように調整
「残像」を利用した「フェイント」を使いながら接近
大鎌での攻撃を誘い「武器受け」と同時に「怪力」で抑え込む
そのまま黒衣の剥ぎ取りを狙い、成功したら黒衣を投げる
再び憑依する前に「影面」で拘束して「ダッシュ」で「串刺し」
そのまま「殺意の炎」を使って燃やす
黒衣の剥ぎ取りが不可能なら全ての攻撃を全力で行う


香坂・翔
ベリザリオ、織久と行動

ちょっ、あの黒衣だけ狙うとか正気か!?
少女を助けるって……あーもう!どうなっても知らないからな!

咎人の怨念を使用
黒い風による真空波を巻き起こし、黒衣を切り裂く様に狙う
高速移動しながら、ブラッディランスで黒衣を切り裂いていく

敵の攻撃はモーションを確認してなるたけ回避
俺に攻撃が向いてる時は距離を取って体制を立て直す。

取り敢えず黒衣を剥がして見るけど……それでも駄目ならちゃんと殺してやるからな!

にしても、黒衣を剥がして、本当に救えんのか?
ベリザリオも相当無茶苦茶言うよな。


グルクトゥラ・ウォータンク
自身の非道を棚にあげるその腐った性根、最早救い難し!零れ落ちた命の無念を背負い、今貴様を断罪しようぞ!

【アースジャイアント】召喚!鋼の腕持つ分身とともに一気呵成に殴りかかるぞい!ガジェットアームとアースジャイアントの二重鉄拳じゃ!
味方との連携も忘れておらん。味方の攻撃を邪魔せんようにフットワークとポジションを意識しておくぞい。オブリビオンに憤っておるのはわしだけではないはずじゃ。それに、怒りに任せて万一こやつを逃がしたら同じ悲劇が繰り返されてしまうからの。
そして、慟哭は敢えて受けきる!…憑依された娘の最後の声じゃ、誰一人聞かずに逝くなど悲しいじゃろ。自己満足だろうがの。




 ぼろぼろになりながらも倒れないゼラの前に、グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)が立ちはだかる。
「自身の非道を棚にあげるその腐った性根、最早救い難し!零れ落ちた命の無念を背負い、今貴様を断罪しようぞ!『アースジャイアント』召喚!」
 苛立ちに任せグルクトゥラは自身の身長の2倍もある大地の巨人を召喚すると、自らもガジェットアームを装着し、ゼラへと駆け寄る。
「貴様に憤っておるのはわしだけではない!それに、万一貴様を逃がしたら、また同じ悲劇が繰り返されてしまうからの。ここで終わらせてやるわい!」
「調子に乗るな!猟兵が!」
 ダメージを受け、苛つきを隠さないゼラは無数の眷属を召喚する。
 グルクトゥラと巨人はそれを薙ぎ払いながらゼラとの距離を縮めていく。
「く、なら」
 止まらないグルクトゥラに向けて、ゼラは甲高い少女の慟哭を巻き起こし、衝撃波がそのままグルクトゥラへと襲い掛かる。
 照準もまともに定まらず発せられた衝撃波の動きは、グルクトゥラにも見えていただろう。
 それでも、グルクトゥラは敢えて避けずにそれらを全て受け止める。
「な……!」
 それに驚愕の声を上げたのはゼラの方で。
「……憑依された娘の最後の声じゃ、誰一人聞かずに逝くなど悲しいじゃろ。所詮、わしの自己満足だろうがの」
 避ける事も身を守ることもせずに衝撃波を受けきったグルクトゥラは、血まみれになりながらアースジャイアントとの一撃をゼラに叩き込むのだった。


「ぐはっ……」
 血を吐き、立ち上がるのも困難になりつつあるゼラを、冷たい眼差しをしたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が見下ろす。
「ふふ、本当に猟兵は残酷な事をするのねぇ。巻き込まれただけの少女まで殺そうとするなんて……」
「……ん。お前の戯れ言に耳を貸すつもりはない。宿主の生死がどうであれ、私のすべき事は何も変わらないのだから…」
 ゼラの挑発にもリーヴァルディは表情一つ変えずに答える。
「あら、そう。残念だわ」
 言うが早いか、ゼラはその大鎌をリーヴァルディ目掛けて振り下ろす。
 それでも第六感を頼りにゼラの鎌を避ける。次々と振り下ろされる鎌との距離を取れば、ゼラは少女の慟哭を衝撃波に変えてリーヴァルディ目掛けて放つ。
「……まだ、そこに居るの?」
 誰に告げる訳でもなく、リーヴァルディはぽつりと呟く。
 次々と巻き起こす衝撃波を、第六感をフル稼働させその衝撃を避けながら、リーヴァルディはユーベルコードを発動させる。
「『……限定解放。薙ぎ払え、血の波濤…!』」
 発動と同時に巻き起こる血色の波動。それらは自らを守らせる為にゼラが生み出していた眷属達を一斉に薙ぎ払った。
 守りの薄くなったそのタイミングを見計らい、リーヴァルディは足の力を籠めると、一瞬でゼラの懐へと潜り込む。
「薙ぎ払え……そして逆巻け、血の波涛!」
 リーヴァルディはゼラの黒衣をぎゅっと握り締め、生命力を奪う呪詛を放つ。
 リーヴァルディの狙い通り、拡散した呪詛は黒衣のみを襲撃しその黒衣をズタズタに引き裂いていく。
 ポゥ、とリーヴァルディの掌に集められた生命エネルギーは、そのまま宿主への少女へと吸い込まれ、少女の身体に刻まれた傷跡を消していく。
「っ……何の真似だ!」
 傷の癒えたゼラが慌ててリーヴァルディから間合いを取る。そんなゼラに、リーヴァルディは淡々と言い放つ。
「……言ったはず、宿主の生死は関係無いと。お前『だけ』を滅ぼす術ぐらい、掃いて捨てるほどあるもの」


「……言ったはず、宿主の生死は関係無いと。お前『だけ』を滅ぼす術ぐらい、掃いて捨てるほどあるもの」
 淡々と言い放たれた言葉に、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)は、先程から抱えていた思いを隠せずにはいられなかった。
(少女が憑依されているだけなら助けられるだろうか?)
 ここに飛ばされる時、彼は『黒衣を剥ぎ取れば救える』とは言わなかった。
 きっとあの黒衣を剥ぎ取っても、少女は救えないのだろう。
 それでも、とベリザリオは同行する西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)と香坂・翔(人間の咎人殺し・f03463)に提案をした。

「少女を救う為に堪えろと?狩るべき敵を前にした我等に!」
「ちょっ、あの黒衣だけ狙うとか正気か!?少女を助けるって……」
 当然のように反発する二人。当然だ、今回の目的はオブリビオン・ゼラの討伐なのだから。
 それでもと頭を下げるベリザリオに、二人は一つ溜息を吐いて。
「……いいでしょう。ただし、失敗した際には覚悟を。少女が二度と見れぬ姿になるやもしれません」
「あーもう!どうなっても知らないからな!」
 狙いはゼラの黒衣。その意識のすり合わせをして、三人はゼラに相対する。
「ふふ、私の本体がこの黒衣だと、良く見抜きましたね。ならば黒衣を剥いで少女を救ってみますか?無駄な足掻きでしょうけれども」
 翔の声に目的を理解したゼラは高々と宣言するも、それでも三人の意識は変わらない。
「無駄でも何でもいいよ。俺達のやる事に変わりはないからさ」
「その通りです」
 翔と織久が言い切ると、お互いが別々の方向へ走り出す。
「『我等が怨念尽きる事なし』」
「『お前らの恨み辛み、全部俺が晴らしてやる』」
 ゼラを挟み込む様に対峙すると、織久と翔は同時にユーベルコードを発動させる。
 黒い風に舞い上げられた黒い炎は、意思を持ってゼラの黒衣を切り裂き、焼き払おうと舞い踊る。
「くっ」
 奔流する風と炎に翻弄されるゼラの懐にベリザリオが入り込み、大鎌を目掛けてその武器を振るう。
 ギィンと弾かれるゼラの大鎌。鎌を無くしたゼラに、織久と翔が駆け寄り手にした武器でその黒衣を貫く。
「ふ、ふふ。そんなにこの娘が欲しいのかい?なら、くれてやろう」
 黒衣を剥ぎ取るベリザリオと織久を前に、ゼラはそう言うと、少女から剥離した。
 途端ドサリと崩れ落ちる少女の身体。それを優しくベリザリオが受け止める。
 ふわりふわりと意識を持った様に剥ぎ取られた黒衣の残骸が舞った先に居たのは、リーヴァルディ。
「逃がさないからな!」
「逃がしません!」
 翔はユーベルコードで得た高速移動で、織久はダッシュで舞い行く黒衣の残骸を追いかけると、互いにユーベルコードを発動させる。
 翔の放った黒い風が黒衣をズタズタに切り裂き、織久の黒い炎が切り裂かれた黒衣を全て灰へと化していった。


「にしても、黒衣を剥がして本当に救えるの? ベリザリオも相当無茶苦茶言うよなー」
 倒れた少女にベリザリオがユーベルコード・生まれながらの光を当てて治療しているのを見て、翔がぼやく。
 グルクトゥラもリーヴァルディも織久も、少女が目覚め、万が一まだゼラの意識に囚われていたら、という危険がある故、警戒だけは解かずにいた。
「……ベリザリオにその傷治して貰う?」
 翔は少女の慟哭をまともに受けたグルクトゥラにそう問いかける。
 だがグルクトゥラはその申し出に首を横に振る。
「この傷は娘が最期に残した声じゃ。今は消さんでいい」
 どうせいずれは消えてしまうからの、と告げれば、翔もそれ以上は何も言わなかった。
 ベリザリオの治癒の光が消え、そっとその様子を見守る。
 身体を覆う傷は癒した。それでも少女がいつからゼラになっていたのかは分からない、自我を消されてどれ程経ってしまったのかも。
 救える、と言われなかった少女を救えるのだろうかとベリザリオも不安そうに見守る中、少女は軽い呻き声と共に、うっすらとその瞳を開いた。

「………」
 この少女はゼラなのだろうか、それとも宿主にされた少女なのだろうかと皆が思案していると、気が付いたらしい少女は視線を動かし、自分を癒したベリザリオ、織久、翔、リーヴァルディ。
 そして最後に傷だらけのグルクトゥラを見ると、ふわっと笑みを浮かべて。
「あり……がと……」
 軽やかな声で一言囁くと、少女は再びその目を閉じ、二度と目を開ける事はなかった。


 ゼラは倒された。
 それを森に隠れていた村人達にそれを告げれば、犠牲になる者はもう出ないんだと村人達は泣いて喜び、助けてくれてありがとうと猟兵達に頭を下げた。
 ゼラに利用されていた少女の亡骸を村人に渡せば、少女の母親らしき人が泣きながらその亡骸を抱きしめる。
 村人の誰もが、少女を責める事はしなかった。
 その少女もまた、被害者なのだから。

「これで、終わったね」
 猟兵の中の誰かが言った。彼らはこれから生まれ住んだ村に戻り、村を再建するのだろう。そこから先の仕事は、生き残った彼らの仕事だ。
 ゼラに殺された村人は救えなかった。ゼラに利用された少女も。

 それでも前向きに未来を語る村人達に安堵する気持ちもあって。
 村に向かい歩を進める村人達。
 彼らの背中を見送って、猟兵達も自らの場所へと戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト